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技術 鋳片の鋳造方法

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 新國大介白石利幸左田野豊宮嵜雅文
出願日 2019年10月21日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2020-553400
公開日 2021年9月2日 (4ヶ月経過) 公開番号 WO2020-085313
状態 未査定
技術分野 連続鋳造
主要キーワード たわみ計 押付位置 薄帯板 両端支持梁 低荷重領域 弾性理論 最接近点 鋳造ドラム
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題・解決手段

本発明によれば、回転する一対の鋳造ドラムにより金属溶湯凝固させて鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置を用いて、前記鋳片の鋳造開始前に取得された前記鋳造ドラムを支持するハウジング変形特性と前記鋳造ドラムを圧下する圧下系の変形特性とを示す鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を用いて、式1((推定板厚)=(シリンダ圧下位置)+(鋳造ドラムの弾性変形)+(鋳造ドラムハウジング圧下系変形)+(鋳造ドラムのドラムプロフィル)−(圧下位置零点調整時における鋳造ドラムの弾性変形))より前記鋳片の幅方向の両端部の推定板厚を算出し、前記両端部の前記推定板厚の差が所定値以下となるように前記鋳造ドラムの幅方向の両端部に設けられるシリンダの圧下位置をそれぞれ制御する、鋳片の鋳造方法が提供される。

概要

背景

金属薄帯(以下、鋳片という。)の製造は、例えば特許文献1に示されるように、双ドラム式連続鋳造装置が用いられている。双ドラム式連続鋳造装置は、一対の連続鋳造用鋳造ドラム(以下、鋳造ドラムという。)を平行に配置し、対向する周面をそれぞれ上方から下方に回転させ、これら鋳造ドラムの周面によって形成された湯溜まり部に金属溶湯注入し、金属溶湯を鋳造ドラムの周面上で冷却、凝固させて、金属薄帯を連続鋳造する。一対の鋳造ドラムは、鋳造中回転軸の平行を維持したまま、所定の押圧力で鋳片を押圧している。鋳片から鋳造ドラムに対する反力は、凝固状態によって変化し、幅方向に不均一となることがあり、一対の鋳造ドラムの回転軸の平行度を厳密に保つことは困難である。このため、鋳片には幅方向両端部における板厚の差、いわゆるウェッジ(wedge)が発生することがある。ウェッジが発生すると、鋳造ドラムの下流に配置される圧延工程において蛇行が発生することがあり、圧延不良を引き起こすことがある。

例えば、ウェッジの発生を抑制する手法として、特許文献1には、一対の鋳造ドラムが互いに平行な状態を維持したまま、鋳造ドラムの開閉交差角およびオフセット量を制御して、鋳片のクラウンおよびウェッジを調整する技術が開示されている。

特許文献2には、平行な回転軸を有し任意の間隙を保持して互いに逆方向に回転する2個のドラムの表面間隙に金属の溶湯鋳込薄板鋳造する双ドラム式連鋳機の圧下制御方法が開示されている。この方法では、一方のドラムの両端部の押付力を検出加算し、これに基づく信号により、一方のドラムの両端の押付力の和が所定の値になるように他方のドラムの両端を油圧シリンダによって平行に移動させることにより、ウェッジを低減している。

特許文献3には、回転する一対のロール間あるいは、いずれか一方のロール側に溶融金属注湯し、長辺側となる該ロール側に造形された溶融金属の凝固殻双ロール圧縮して、薄帯板を連続的に製造する薄帯板の連続鋳造方法が開示されている。この方法では、回転するロールに働く圧縮負荷を検出して、この値が目標値になる様ロール間内の凝固時間を制御することにより板厚を制御している。

特許文献4には、ロール対の間隙で凝固殻が圧着される際の圧下荷重を継続して計測し、計測される圧下荷重が目標荷重に維持されるようにロール対の回転速度を制御する技術が開示されている。かかる方法では、ロール対の回転速度を制御することにより板厚を制御している。

また特許文献5には、圧延機の圧下設定制御方法において、板厚計が設置されていない場合等で板厚を求める際に、各ロール変形寄与分とロール変形以外の寄与分とに分離してミル伸び予測し板厚を推定することが開示されている。

概要

本発明によれば、回転する一対の鋳造ドラムにより金属溶湯を凝固させて鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置を用いて、前記鋳片の鋳造開始前に取得された前記鋳造ドラムを支持するハウジング変形特性と前記鋳造ドラムを圧下する圧下系の変形特性とを示す鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を用いて、式1((推定板厚)=(シリンダ圧下位置)+(鋳造ドラムの弾性変形)+(鋳造ドラムハウジング圧下系変形)+(鋳造ドラムのドラムプロフィル)−(圧下位置零点調整時における鋳造ドラムの弾性変形))より前記鋳片の幅方向の両端部の推定板厚を算出し、前記両端部の前記推定板厚の差が所定値以下となるように前記鋳造ドラムの幅方向の両端部に設けられるシリンダの圧下位置をそれぞれ制御する、鋳片の鋳造方法が提供される。

目的

本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ウェッジをより精度よく低減することが可能な、新規かつ改良された鋳片の鋳造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

回転する一対の鋳造ドラムにより金属溶湯凝固させて鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置を用いて、前記鋳片の鋳造開始前に取得された前記鋳造ドラムを支持するハウジング変形特性と前記鋳造ドラムを圧下する圧下系の変形特性とを示す鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を用いて、下記式1より前記鋳片の幅方向の両端部の推定板厚を算出し、前記両端部の前記推定板厚の差が所定値以下となるように前記鋳造ドラムの幅方向の両端部に設けられるシリンダ圧下位置をそれぞれ制御する、鋳片の鋳造方法。ただし、式1において、シリンダ圧下位置、鋳造ドラムハウジング圧下系変形は、それぞれ、圧下位置零点調整時からの差分を表す。(推定板厚)=(シリンダの圧下位置)+(鋳造ドラムの弾性変形)+(鋳造ドラムハウジング圧下系変形)+(鋳造ドラムのドラムプロフィル)−(圧下位置零点調整時における鋳造ドラムの弾性変形)・・・・・式1

請求項2

前記鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性は、前記鋳造ドラムの幅方向端部に設けられた一対のサイド堰開放し、前記鋳造ドラムの間に前記鋳造ドラムのドラム長よりも板幅が長く板厚が均一な板を挟んだ状態で締込みを実施することにより得られた前記シリンダの圧下位置及び荷重に基づき取得される、請求項1に記載の鋳片の鋳造方法。

請求項3

前記鋳造ドラムの圧下位置零点調整は、前記鋳造ドラムの幅方向端部に設けられた一対のサイド堰を開放して、前記鋳造ドラムの間に前記鋳造ドラムのドラム長よりも板幅が長く板厚が均一な板を挟んだ状態で行われる、請求項1または2に記載の鋳片の鋳造方法。

技術分野

0001

本発明は、鋳片の鋳造方法に関する。
本願は、2018年10月22日に日本に出願された特願2018−198355号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

0002

金属薄帯(以下、鋳片という。)の製造は、例えば特許文献1に示されるように、双ドラム式連続鋳造装置が用いられている。双ドラム式連続鋳造装置は、一対の連続鋳造用鋳造ドラム(以下、鋳造ドラムという。)を平行に配置し、対向する周面をそれぞれ上方から下方に回転させ、これら鋳造ドラムの周面によって形成された湯溜まり部に金属溶湯注入し、金属溶湯を鋳造ドラムの周面上で冷却、凝固させて、金属薄帯を連続鋳造する。一対の鋳造ドラムは、鋳造中回転軸の平行を維持したまま、所定の押圧力で鋳片を押圧している。鋳片から鋳造ドラムに対する反力は、凝固状態によって変化し、幅方向に不均一となることがあり、一対の鋳造ドラムの回転軸の平行度を厳密に保つことは困難である。このため、鋳片には幅方向両端部における板厚の差、いわゆるウェッジ(wedge)が発生することがある。ウェッジが発生すると、鋳造ドラムの下流に配置される圧延工程において蛇行が発生することがあり、圧延不良を引き起こすことがある。

0003

例えば、ウェッジの発生を抑制する手法として、特許文献1には、一対の鋳造ドラムが互いに平行な状態を維持したまま、鋳造ドラムの開閉交差角およびオフセット量を制御して、鋳片のクラウンおよびウェッジを調整する技術が開示されている。

0004

特許文献2には、平行な回転軸を有し任意の間隙を保持して互いに逆方向に回転する2個のドラムの表面間隙に金属の溶湯鋳込薄板鋳造する双ドラム式連鋳機の圧下制御方法が開示されている。この方法では、一方のドラムの両端部の押付力を検出加算し、これに基づく信号により、一方のドラムの両端の押付力の和が所定の値になるように他方のドラムの両端を油圧シリンダによって平行に移動させることにより、ウェッジを低減している。

0005

特許文献3には、回転する一対のロール間あるいは、いずれか一方のロール側に溶融金属注湯し、長辺側となる該ロール側に造形された溶融金属の凝固殻双ロール圧縮して、薄帯板を連続的に製造する薄帯板の連続鋳造方法が開示されている。この方法では、回転するロールに働く圧縮負荷を検出して、この値が目標値になる様ロール間内の凝固時間を制御することにより板厚を制御している。

0006

特許文献4には、ロール対の間隙で凝固殻が圧着される際の圧下荷重を継続して計測し、計測される圧下荷重が目標荷重に維持されるようにロール対の回転速度を制御する技術が開示されている。かかる方法では、ロール対の回転速度を制御することにより板厚を制御している。

0007

また特許文献5には、圧延機の圧下設定制御方法において、板厚計が設置されていない場合等で板厚を求める際に、各ロール変形寄与分とロール変形以外の寄与分とに分離してミル伸び予測し板厚を推定することが開示されている。

先行技術

0008

日本国特開2017−196636号公報
日本国特開昭62−323710号公報
日本国特開昭58−173837号公報
日本国特開昭62−123658号公報
日本国特開昭60−030508号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、さらにウェッジを高精度に制御するには、特許文献1に記載の技術では、鋳造ドラムの鋳造方向下流に板厚を測定する厚み分布計等を設置して、測定結果を鋳造ドラムのシリンダ位置等にフィードバックして、板厚を制御する必要がある。厚み分布計を設置する際に、むだ時間を小さくするため、鋳造装置にできるだけ近いことが望ましい。しかし、鋳造装置直下に厚み分布計を設置すると溶融金属の引き抜きに失敗した場合に、溶融金属が厚み分布計に降り注ぎ、厚み分布計を破損させてしまう可能性がある。このため、厚み分布計は、鋳造ドラムから、より離れた位置に設置する必要がある。これによると、むだ時間が大きくなるため、計測した板厚に応じてウェッジを高精度にフィードバック制御することは難しい。

0010

特許文献2に記載の技術では、鋳造ドラムの剛性は、両端部で等しいとは限らず、押付力の和を目標とするように油圧シリンダによって平行に移動させたとしても、ウェッジが低減するとは限らない。

0011

特許文献3に記載の技術では、材料の平均的な板厚制御を目的としており、平均板厚は所定の範囲内に収めることができるが、ウェッジを低減させることはできない。

0012

特許文献4に記載の技術では、特許文献3に開示された技術と同様に、鋳片の平均的な板厚は所定の範囲内に収めることができるが、ウェッジを低減させることはできない。

0013

本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ウェッジをより精度よく低減することが可能な、新規かつ改良された鋳片の鋳造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

(1)本発明の一態様に係る鋳片の鋳造方法では、回転する一対の鋳造ドラムにより金属溶湯を凝固させて鋳片を製造する双ドラム式連続鋳造装置を用いて、前記鋳片の鋳造開始前に取得された前記鋳造ドラムを支持するハウジング変形特性と前記鋳造ドラムを圧下する圧下系の変形特性とを示す鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を用いて、下記式1より前記鋳片の幅方向の両端部の推定板厚を算出し、前記両端部の前記推定板厚の差が所定値以下となるように前記鋳造ドラムの幅方向の両端部に設けられるシリンダ圧下位置をそれぞれ制御する。
ただし、式1において、シリンダ圧下位置、鋳造ドラムハウジング圧下系変形は、それぞれ、圧下位置零点調整時からの差分を表す。
(推定板厚)=(シリンダの圧下位置)
+(鋳造ドラムの弾性変形
+(鋳造ドラムハウジング圧下系変形)
+(鋳造ドラムのドラムプロフィル
−(圧下位置零点調整時における鋳造ドラムの弾性変形)・・・・・式1

0015

上記構成により、鋳片の幅方向の両端部の推定板厚が算出されて、該推定板厚の差が所定値以下となるように鋳造ドラムの両端部に設けられたシリンダの圧下位置が制御されることで、鋳造後の鋳片を実測して鋳造時の鋳片の板厚を制御するより、むだ時間を短く鋳片を鋳造することができる。

0016

(2)上記(1)に記載の鋳片の鋳造方法では、前記鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性は、前記鋳造ドラムの幅方向端部に設けられた一対のサイド堰開放し、前記鋳造ドラムの間に前記鋳造ドラムのドラム長よりも板幅が長く板厚が均一な板を挟んだ状態で締込みを実施することにより得られた前記シリンダの圧下位置及び荷重に基づき取得されてもよい。

0017

(3)上記(1)又は(2)に記載の鋳片の鋳造方法では、前記鋳造ドラムの圧下位置零点調整は、前記鋳造ドラムの幅方向端部に設けられた一対のサイド堰を開放して、前記鋳造ドラムの間に前記鋳造ドラムのドラム長よりも板幅が長く板厚が均一な板を挟んだ状態で行われてもよい。

発明の効果

0018

以上説明したように本発明によれば、より精度よく鋳片のウェッジを低減できる。

図面の簡単な説明

0019

本発明の一実施形態に係る連続鋳造設備を示す概略的な断面図である。
鋳造ドラムの構成の一例を示した概略的な図である。
圧延機における鋳片Sの蛇行の様子を示した概略平面図である。
圧延機において蛇行が発生する鋳片の一例の断面を示す概略的な図である。
鋳造ドラムにおけるウェッジの発生を示した模式図である。
鋳造ドラムの圧下位置零点調整の一例を示した概略的な図である。
鋳造ドラムの圧下位置零点調整の一例を示した概略的な図である。
鋳造ドラムの圧下位置零点調整の一例を示した概略的な図である。
鋳造ドラムの構成の一例を示した概略的な図である。
鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を取得する一例を示した概略的な図である。

0020

以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

0021

なお、本明細書中において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。本明細書中において、「工程」との用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また、以下の実施形態の各要素は、それぞれの組み合わせが可能であることは自明である。

0022

<鋳片の鋳造方法の概要
まず、図1図5を参照して、鋳片を製造する連続鋳造設備の一例を挙げて、鋳片の鋳造方法の概要を説明する。

0023

(連続鋳造設備)
まず、図1を参照して、連続鋳造設備1を用いた鋳片の鋳造方法の概要を説明する。図1は、本発明が適用される連続鋳造設備1の一例を示した図である。連続鋳造設備1は、双ドラム式連続鋳造装置100(以下、連続鋳造装置100と称す。)と、第1ピンチロール20と、圧延機30と、第2ピンチロール40と、巻取装置50と、を備える。

0024

連続鋳造装置100は、第1鋳造ドラム111と第2鋳造ドラム112とからなる一対の鋳造ドラムを有する。一対の鋳造ドラムは、水平方向に平行に対向して配置されている。連続鋳造装置100は、一対の鋳造ドラムの対向する面同士が下方へ繰り出されるように、第1鋳造ドラム111と第2鋳造ドラム112とを互いに異なる周方向R1およびR2へ回転させ、これら鋳造ドラムの周面によって形成された湯溜まり部に金属溶湯を注入し、金属溶湯を鋳造ドラムの周面上で冷却、凝固させて、鋳片Sを連続鋳造する。

0025

図2を参照して、連続鋳造装置100を詳しく説明する。図2は、鋳造ドラムの軸方向からの連続鋳造装置100の詳細を示した図である。連続鋳造装置100は、図2に示すように、第1鋳造ドラム111と第2鋳造ドラム112とを備える一対の鋳造ドラムと、一対の第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の幅方向端部に配設されたサイド堰150と、これら一対の第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112とサイド堰150とによって画成された金属溶湯溜まり部115に供給される金属溶湯117を保持するタンディッシュ113と、このタンディッシュ113から金属溶湯溜まり部115へと金属溶湯117を供給する浸漬ノズル114と、を備えている。

0026

このような連続鋳造装置100は、回転する第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112に接触して金属溶湯117が冷却されることにより、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の周面上で凝固シェル116が成長し、一対の鋳造ドラムにそれぞれ形成された凝固シェル116が、一対の鋳造ドラムの最接近点で圧着されることによって、所定の厚みの鋳片Sが鋳造される。

0027

連続鋳造装置100では、鋳造開始前には、鋳造ドラムが低温であることが一般的である。鋳造を開始すると、鋳造ドラムは高温の金属溶湯との接触により昇温する。また、鋳造ドラムは、内面から冷却媒体(例えば、冷却水)によって一定温度以上にならないように冷却されている。鋳造ドラムの温度が一定に到達して以降の期間を定常鋳造時といい、定常鋳造時の鋳造ドラムの温度を定常温度という。

0028

ここで図1に示すように、連続鋳造装置100より鋳造された鋳片Sは、第1ピンチロール20により圧延機30に送出される。

0029

圧延機30は、鋳片Sを所望の板厚に圧延する。圧延機30は、上ワークロール31および下ワークロール32と、上ワークロール31および下ワークロール32をそれぞれ支持する上バックアップロール33および下バックアップロール34と、を備える。

0030

圧延機30により所望の板厚に圧延された鋳片Sは、第2ピンチロール40により巻取装置50に送出され、巻取装置50にてコイル状に巻き取られる。

0031

(圧延機における蛇行)
上述したような連続鋳造設備1の圧延機30では、鋳片Sの通板位置が圧延方向に対して直角方向に移動する、蛇行が発生する場合がある。ここで図3は、圧延機30における鋳片Sの蛇行の様子を示した概略平面図であり、上ワークロール31側から鋳片Sの板面を見た図である。上ワークロール31と下ワークロール32とにより圧延された鋳片Sは、圧延方向に対して平行に進行しておらず、蛇行している。このような蛇行は、上ワークロール31および下ワークロール32の幅方向に一側と他側が非対称に圧延されることにより発生する。なお、圧延機の一側と他側とは、後述するような圧延機のモータが駆動する駆動側および駆動側とは反対側の作業側を意味してもよい。

0032

このような鋳片Sの蛇行は、圧延機30にて圧延される前の鋳片Sの板厚の形状に起因して発生し得る。図4には、蛇行を発生させる鋳片を長手方向(搬送方向)に断面視した断面図の一例を示す。鋳片Sは、一方の端部の板厚t1が他方の端部の板厚t2よりも厚く、幅方向に一方から他方へ向かって徐々に板厚が変化している。このような板厚が均一でない鋳片Sが圧延されると、板厚の厚い部分が板厚の薄い部分よりも大きく延伸される。圧下率は、入側において板厚t2側よりも板厚t1側の端部の方で大きくなる。この場合、入側での材料速度は、板厚t2側よりも板厚t1側の端部で小さくなり、鋳片Sの一端と他端との入側速度の差、すなわち鋳片Sの面内で回転が生じることで、蛇行が発生する。

0033

より詳細に説明すると、圧延機の入側および出側にて鋳片Sの材料の総量は一致するため、鋳片Sの速度と板厚を乗じた値は、圧延機の入側および出側にて同一となる。このとき、出側板厚が幅方向に均一の場合、圧延機入側において鋳片Sの一端と他端との板厚に差があると、圧下率に差が生じ、例えば入側板厚が厚い端部が、入側板厚が低い端部より入側速度が低くなる。これにより、入側速度が高い端部が入側速度の低い端部より速くワークロールに引き込まれて圧延され、鋳片Sに回転速度が生じ、圧延機における蛇行が発生する。

0034

図4に示す板厚t1と板厚t2との差であるウェッジの発生に関して詳しくは後述するが、ウェッジは圧延機30の上工程に配置される連続鋳造装置100にて鋳片Sが鋳造される際に、鋳造ドラムにてウェッジが精度よく低減されないことにより生じる。よって、圧延機30における蛇行を低減するには、連続鋳造装置100にて生じるウェッジを精度よく低減することが有効である。

0035

(鋳造ドラムにおけるウェッジの発生)
図5を参照して、連続鋳造装置100におけるウェッジの発生に関して説明する。図5は、連続鋳造装置100の鋳造方向の直上からみた連続鋳造装置100の平面図である。

0036

図5は、鋳片Sにウェッジが生じる場合の連続鋳造装置100の様子を示した図である。図5に示すように、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の回転軸Ar1および回転軸Ar2が平行ではない状態で鋳片Sが鋳造されると、図5に示したように鋳片Sの板厚が幅方向に変化してウェッジが生じる。

0037

ここで、図6図8を参照して、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の回転軸が平行とならずに鋳造が行われる要因の一例を説明する。図6図8は、鋳造ドラムの鋳造方向において、鋳造ドラムの直上から見た鋳造開始前の圧下位置零点調整時の鋳造ドラムを模式的に示した図である。

0038

図6図8に示されるように、鋳造開始前の鋳造ドラムの板プロフィルは、板幅方向に凹形状を有する。図6図8では、説明のためにプロファイルの凹形状を強調して示している。これは、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112が鋳造を開始してから定常鋳造時に到達するまでに、経過時間とともに熱膨張して変化することに起因する。鋳造ドラムは、熱膨張が見られる定常鋳造時における金属薄帯の板プロフィル(クラウン)が所望の板プロフィルとなるように、鋳造ドラムの初期プロフィルが設定されている。詳しくは、鋳造ドラムの幅中央部のドラム径が鋳造ドラムの両端部のドラム径よりも小さくされた凹クラウンに設定されている。

0039

このような凹クラウンが付与された鋳造ドラムでは、一対の鋳造ドラム同士を接触(キス)させて、所定の荷重Fを付与した際の圧下位置(押付位置)をとして、圧下位置零点調整が行われる。この圧下位置零点調整により、鋳造ドラムを圧下するシリンダの圧下位置の初期値等が設定され得る。

0040

ところが、鋳造ドラムには、上述したように凹クラウンが付与されている。このため、鋳造ドラム同士を接触(キス)させて、鋳造ドラムに対して所定の荷重Fが付与された場合には、鋳造ドラムの両端部同士のみが接触する。このため、例えば、図6に示すように、鋳造ドラムの幅方向の位置が完全に一致していない場合には、鋳造ドラムに対して所定の荷重Fをかけた際、第1鋳造ドラム111の両端部と第2鋳造ドラム112の両端部の接触点がずれて、ずれ量xが発生し不安定な状態となる。このため、圧下位置零点調整の精度が低下する。

0041

これを避けるために、凹クラウンを付与した鋳造ドラムを用いた圧下位置零点調整時には、図7に示すように、鋳造ドラム間に薄板118を挟んだ圧下位置零点調整が行われる。図7では、薄板118の幅方向の長さの中間点118Cが、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の幅方向の長さの中間点111Cおよび中間点112Cを結ぶ直線上に配置されており、鋳造ドラムの両端部にずれが発生しない例を示している。ずれが発生しなければ、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の回転軸Ar1および回転軸Ar2が平行であるため、圧下位置零点調整を安定して実施することができる。

0042

しかし、薄板118を鋳造ドラムに挟んで圧下位置零点調整を行う場合であっても、図8に示すように、薄板118の幅方向の長さの中間点118Cが、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の幅方向の長さの中間点111Cおよび中間点112Cを結ぶ直線上に配置されず、薄板118が鋳造ドラムの幅方向のどちらか一方の端部に寄って配置されることがある。この場合、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の回転軸Ar1および回転軸Ar2が平行ではなくなるため、圧下位置零点調整を行っても左右(第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の幅方向の両端)で誤差を含む状態となる。このような状態で鋳造を行うと、シリンダ圧下位置で制御した場合には、鋳造される鋳片にウェッジが発生してしまう。

0043

本発明者らは、圧延機通過時の鋳片の蛇行発生を低減するため、上述したようなウェッジを低減すべく、鋳造ドラムにより鋳造される鋳片の板厚を鋳片の幅方向の両端部で推定して、推定された板厚に基づいて、鋳造される鋳片の板厚を制御する方法を検討した。

0044

ここで、板厚の推定に関して説明する。例えば、特許文献5に示すように、圧延機においては、板厚計が設置されていない場合等で板厚を求める際に、各ワークロール変形の寄与分とワークロール以外の変形の寄与分とに分離して板厚を推定することがある。具体的には、圧延機では、ワークロールの幅方向長さが鋳片の板幅よりも長く、圧延機のワークロールの幅方向両端部のギャップを推定し、両端部のギャップの平均を用いて、ロールバレル中央の板厚を求めている。圧延機では、圧下位置零点調整時に荷重を安定的に付与することができるため圧下位置零点調整を誤差なく実施でき、このように両端部のギャップを用いて、鋳片中央の板厚を精度よく推定できる。

0045

しかしながら圧延機では、連続鋳造装置から送り出された鋳片が、圧延機の幅方向のどの位置にあるのか把握ができていない。このため、圧延機におけるワークロール間のギャップを推定できたとしても、鋳片の両端部に対応するギャップがどの位置であるかを把握することができず、鋳片の両端部の板厚を推定することができない。このため、圧延機では、推定板厚を用いて、鋳片の両端部のウェッジを推定することはできなかった。

0046

一方、鋳造ドラムでは、図5に示すように、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112と、鋳造ドラムの幅方向の両端に設けられるサイド堰150と、により囲まれて鋳片が鋳造される。このため、鋳片と鋳造ドラムの幅方向長さ(バレル長さ)とが一致する。発明者らは、本事象に着目し、圧延機における板厚推定を鋳造ドラムに対して適用し、鋳片の両端部の板厚を推定し、推定された板厚に基づいて、鋳造ドラムの押圧手段を制御することでウェッジを低減できることを想到した。

0047

(連続鋳造装置の構成)
図9を参照して、本発明の一実施形態に係る鋳片の鋳造方法を実施するための鋳造ドラムの一構成例を説明する。図9は、連続鋳造装置を鋳造方向の直上から見た構成詳細の一例を示す平面図である。

0048

第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112は、水平方向に対向して配備され、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の間で鋳片が鋳造される。第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112は、モータMの駆動により回転し、鋳片Sを鋳造方向下流に送り出す。以下、本明細書では、連続鋳造装置100の鋳造ドラムの幅方向において、モータMによる駆動側をドライブサイドDSとし、駆動側とは反対側をワークサイドWSとする。以降、ドライブサイドDSの板厚tDSからワークサイドWSの板厚tWSを減じた値をウェッジ(tDS−tWS)として説明する。

0049

連続鋳造装置100では、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の幅方向の両端に、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112が対向して生じる間隙を囲むように、サイド堰150dおよびサイド堰150wが設けられる。第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112と、サイド堰150dおよびサイド堰150wとにより囲まれる領域に金属溶湯が貯められて、順次鋳片Sが鋳造される。

0050

第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の幅方向の軸の両端は、それぞれハウジング130dおよびハウジング130wに支持される。第2鋳造ドラム112の幅方向の軸の両端は、鋳造ドラムが対向する方向で、第1鋳造ドラム111が配置される側とは反対側にて、シリンダ120dおよびシリンダ120wと接続される。シリンダ120dおよびシリンダ120wは、鋳造ドラムが対向する方向に移動可能である。第2鋳造ドラム112は、シリンダ120dおよびシリンダ120wにより、第2鋳造ドラム112の両端部を鋳造ドラムが対向する方向で第1鋳造ドラム111が配置される側に圧下される。なお、シリンダ120dおよびシリンダ120wは、第2鋳造ドラム112の両端部をそれぞれ独立して圧下制御可能である。

0051

第1鋳造ドラム111の軸の両端には、シリンダ120dおよびシリンダ120wが配置される側とは反対側に、第1鋳造ドラム111にかかる荷重を測定するロードセル140dおよびロードセル140wがそれぞれ設けられる。これにより、シリンダ120dおよびシリンダ120wの圧下による荷重をそれぞれ測定することができる。

0052

(板厚の推定)
次に、上述した連続鋳造装置100にて鋳造される鋳片のドライブサイドの端部Sdおよびワークサイドの端部Swで示される両端部の板厚を推定する方法を説明する。鋳片の端部Sdおよび鋳片の端部Swは、鋳造ドラムの一端を少なくとも含む端部領域を示す。

0053

ここでは、板厚推定の一例として、鋳片の端部Sdの板厚推定を例に挙げて説明する。板厚は、鋳造ドラムのドラム間隙から推定される。鋳造ドラムのドラム間隙は、シリンダ圧下位置による変化の他、鋳造ドラムにかかる荷重、鋳片との接触等によって変化が生じる。鋳造ドラムにかかる荷重、鋳片との接触等によるドラム間隙の変化は、鋳造ドラムの弾性変形の寄与分と、ドラム以外の弾性変形の寄与分と、鋳造ドラムのドラムプロフィルの変化の寄与分と、に分離して考えることができる。鋳造ドラム以外の弾性変形寄与分を、鋳造ドラムハウジング圧下系変形と呼ぶ。これらの弾性変形量とシリンダの圧下位置に基づいて、端部Sdの推定板厚は下記式1により推定することができる。

0054

(推定板厚)=(シリンダの圧下位置)+(鋳造ドラムの弾性変形)
+(鋳造ドラムハウジング圧下系変形)
+(鋳造ドラムのドラムプロフィル)
−(圧下位置零点調整時における鋳造ドラムの弾性変形)・・・・・式1

0055

ただし、式1において、シリンダ圧下位置、鋳造ドラムハウジング圧下系変形は、それぞれ、圧下位置零点調整時からの差分を表す。差分は、圧下位置零点調整時のシリンダ圧下位置、鋳造ドラムハウジング変形に対する偏差であってもよい。

0056

(シリンダの圧下位置)
シリンダの圧下位置とは、連続鋳造装置100のシリンダ120dが移動する方向におけるシリンダの位置を示す。例えば、シリンダの圧下位置とは、シリンダの位置が零点調整された零点である初期値からの差分による位置を示す。シリンダの圧下位置は、図9の矢印aに沿った方向の変位から求めることができる。シリンダの圧下位置は、シリンダ120d(又はシリンダ120w)の移動量を計測可能な位置センサ等(図示せず)により適時測定することができる。

0057

(鋳造ドラムの弾性変形)
鋳造時における鋳造ドラムの弾性変形とは、鋳造を開始してから鋳造を終了するまでの任意の時点における鋳造ドラムの弾性変形を示す。鋳造ドラムは、鋳造ドラムと接触する鋳片からの反力または、鋳造ドラムに加えられる外力の影響により、鋳造ドラムの軸に撓みが発生したり、鋳造ドラムに扁平変形が発生したりする。これらの変形を鋳造時における鋳造ドラムの弾性変形と言う。鋳造ドラムの弾性変形は、弾性理論を用いた解析等の手段により、求めることができる。

0058

例えば、鋳造ドラムのドラム変形の寄与分の鋳造ドラムの軸の撓みについては、鋳造ドラムを両端支持梁とみなして、材料力学の梁のたわみ計算から算出することができる。たわみ計算の際に用いられる幅方向の荷重分布については、鋳造ドラムの軸の両端に設けられるロードセル値に基づき幅方向について線形分布仮定して問題ない。

0059

(鋳造ドラムハウジング圧下系変形)
鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性とは、鋳造ドラムにかかる圧下荷重の影響をうけて、ハウジング130dおよびハウジング130wが変形する特性と、シリンダ120dおよびシリンダ120wを含む鋳造ドラムを圧下する構成が変形する特性と、を包含した変形特性を示す。例えば、特許文献5に記載の方法を用いて、鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を求めることができる。鋳造ドラムハウジング圧下系変形は、後述するように、ロードセル140d(又はロードセル140w)が測定した荷重等に基づいて算出できる。

0060

(鋳造ドラムのドラムプロフィル)
鋳造ドラムのドラムプロフィルとは、鋳造ドラムの熱膨張量または鋳造ドラムの摩耗量を示す指標である。鋳造ドラムのドラムプロフィルでは、熱膨張量は、鋳造ドラムにかかる熱を踏まえて、鋳造ドラム表面形状の変形量を算出する。摩耗量は、鋳造前のドラムプロフィルを実測しても良いし、鋳造条件から推定しても良い。例えば、鋳造ドラム設計時の表面形状は既知であるため、その表面形状に熱膨張および摩耗による形状変形を加算することで、ドラムプロフィルの変形量を求めることができる。

0061

(圧下位置零点調整時における鋳造ドラムの弾性変形)
圧下位置零点調整時における鋳造ドラムの弾性変形とは、鋳造開始前に鋳造ドラムの圧下位置の初期値を決定する圧下位置零点調整の時の鋳造ドラムの弾性変形を示す。圧下位置零点調整は、鋳造ドラムに対して荷重をかけた状態で行うため、鋳造ドラムに弾性変形が発生する。その時の弾性変形量を圧下位置零点調整時の鋳造ドラムの弾性変形としている。この弾性変形量は、鋳造時の鋳造ドラムの弾性変形と同様に、ドラムを両端支持梁とみなした材料力学の梁のたわみ計算から算出することができる。

0062

推定板厚は、上述したように、「シリンダの圧下位置」と「鋳造ドラムの弾性変形」と「鋳造ドラムハウジング圧下系変形」と「鋳造ドラムのドラムプロフィル」との値の和から、「鋳造ドラムの圧下位置零点調整時における鋳造ドラムの弾性変形」の値を減じることで求められる。

0063

(鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性の取得)
上述した、上記式1の各項のうち、ドラム以外の構成の変形特性を示す鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性は、特に低荷重領域で接触面の微妙な形状に大きく依存し、特性が変化しやすく、公知の物理モデルを用いて幾何学形状を厳密に把握することが困難であった。そこで、後述する方法を用いて鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を取得することで、推定板厚をより精度よく求められる。

0064

本実施形態においては、式1の鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を、鋳片の鋳造を開始する前に取得する。図10を参照して鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性の取得方法を説明する。図10は、鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性の取得方法の一例を示した図である。

0065

図10に示されるように、鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性の取得は、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112に試験板160を挟んで行われる。試験板160は、長手方向の長さが鋳造ドラムの幅方向のバレル長よりも長く、板厚が均一である。この状態から、シリンダ120dおよびシリンダ120wにより圧下して締めこむことで、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112により試験板160を押圧する。試験板160の長手方向に垂直な方向の長さは、限定されないが、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112に十分に接することができるように、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112のドラム径の2倍程度の、50〜100cm程度の長さであることがより好ましい。

0066

このようにバレル長よりも長い試験板160を使用することにより、鋳造ドラムの両端部に均等な荷重を与えることができ、精度よく鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を取得することができる。鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性は、荷重変化と、鋳造ドラムハウジング圧下系の変形量との関係を示す。これにより、鋳造時に鋳造ドラムにかかる荷重に応じた鋳造ドラムハウジングおよびシリンダ等を含む圧下系が変形する変形量の影響を、精度よく推定板厚に反映できる。

0067

具体的には、試験板160を鋳造ドラムに挟んだ状態で、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112を回転させない状態で、試験板160を挟み込み実施する。試験板160に対して零点調整時の荷重よりも大きな所定の荷重で鋳造ドラムを締めこんでいき、鋳造ドラムの圧下位置とロードセル140d、140wが測定した荷重とを取得して、各荷重での鋳造ドラムの変形量を計算する。そして、鋳造ドラムの圧下位置から鋳造ドラムの変形量を減じることで、各荷重に対する鋳造ドラムハウジング圧下系変形量を取得する。これにより、鋳片Sを鋳造する際に鋳片Sに対して負荷する荷重に応じた鋳造ドラムハウジング圧下系変形量を取得できる。

0068

また、他の手法としては、試験板160を挟んだ状態で、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112を回転させ、上記所定の荷重で、鋳造ドラムを締めこんでいき、所定の時間だけ該荷重を保持して、該荷重と鋳造ドラムの圧下位置との平均値を取得する。その後、さらに、鋳造ドラムの荷重を変化させて、変化させた荷重を所定の時間だけ保持して、別水準の荷重と鋳造ドラムの圧下位置との平均値を取得する。ここで、各荷重を保持する時間は、鋳造ドラム2回転分であってもよい。また、この平均値は、荷重と圧下位置の時系列データを取得して、これらの時間平均から算出してもよい。このようにして、各荷重での鋳造ドラムの変形量が計算され、鋳造ドラムの圧下位置から鋳造ドラムの変形量が減じられることで、各荷重に対する鋳造ドラムハウジング圧下系変形量が取得される。

0069

試験板160は、例えば、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の表面に形成されたディンプル等を潰さないように、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112よりも柔らかい材料から形成されることがより好ましい。試験板160は、限定されないが、例えばアルミ合金から形成されることがより好ましい。

0070

鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性の取得は、一連鋳造作業開始前に一度行っておけばよい。また、ハウジングまたは圧下系の構成の一部が交換された場合に行うことで、設備状況に応じた鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性の取得が可能である。

0071

また、圧下位置零点調整において、図10のように、鋳造ドラムの幅方向端部に設けられる一対のサイド堰を開放して、鋳造ドラムの間に、鋳造ドラムのドラム長よりも長く板厚が均一な板を挟み、鋳造ドラムを締めこんでもよい。これにより、鋳造ドラムの回転軸が平行な状態が保持された状態で鋳片ドラムが締め込まれるので、鋳造ドラムの両端に均等な負荷を付与することができ、圧下位置零点調整の精度を高めることができる。その結果、回転軸の傾きによる誤差を含まずに、圧下位置零点調整ができるためシリンダの圧下位置制御を精度よく行うことができる。

0072

(鋳片の鋳造方法)
以下、上記実施形態に係る連続鋳造装置による鋼板の鋳造方法について説明する。

0073

まず、鋳片の鋳造開始前に、第1鋳造ドラム111と第2鋳造ドラム112との幅方向端部に設けられた一対のサイド堰150dおよび150wを開放して、第1鋳造ドラム111と第2鋳造ドラム112との間に鋳造ドラムのドラム長よりも長く板厚が均一な板を挟み、鋳造ドラムの締め込みを実施する。そして、上述の手法により、鋳造ドラムを支持するハウジングの変形特性と鋳造ドラムを圧下する圧下系の変形特性とを示す鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を取得する。なお、鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性の取得とともに、圧下位置零点調整を行ってもよい。

0074

次に、連続鋳造装置100を制御する制御部(図示せず。)により、上記式1に基づき、鋳片の幅方向の両端部の板厚を算出する。連続鋳造装置100には、例えば、第1鋳造ドラム111および第2鋳造ドラム112の温度測定器、荷重を測定するロードセル140dおよびロードセル140w等の各種計測器が配備されている。制御部は、これらの各種計測器から各種値を取得して、上記式1より、鋳片の両端部の推定板厚を算出する。制御部は、予め取得した鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を上記式1に用いることができるため、推定板厚をより精度よく算出することができる。

0075

次いで、制御部は、算出された鋳片の両端部の板厚の差が所定値以下となるように鋳造ドラムの幅方向の両端部に設けられるシリンダの圧下位置をそれぞれ制御する。これにより、鋳造される鋳片のウェッジが低減され、その結果、連続鋳造装置100の下流に配置される圧延機30における蛇行を防止できる。なお、算出された鋳片の両端部の板厚の差の所定値は、例えば、実操業許容できる蛇行量から経験的に求めても良い。例えば、所定値は、40μmであってもよく、さらに詳しくは、20μmであってもよい。

0076

以上、本実施形態における鋳片の鋳造方法の詳細に関して説明を行った。

0077

本実施例では、本発明の効果を確認するために、上記実施形態に示した連続鋳造設備1を用いて、鋳片を鋳造し圧延した。本実施例で使用した鋳造ドラムは、ドラムバレル長1000mmであった。シリンダ位置、圧力、板厚は定常部の値を用いた。ウェッジ低減効果の評価は、下記表1にまとめて示し、ウェッジの絶対値が20μm未満を◎(良好)、40μm未満を○(合格)、それ以上を×(不合格)と記した。

0078

実施例1では、図10に示したような、鋳造ドラムの幅方向端部に設けられた一対のサイド堰を開放して、鋳造ドラムの間に鋳造ドラムのドラム長よりも長く板厚が均一な板を挟んだ状態で圧下位置零点調整を行った。表1中には、この圧下位置零点調整方法をAと記した。鋳片の鋳造時には、鋳片の両端部の推定板厚が幅方向の左右で同一となるように、鋳造ドラムの両端部に設けられるシリンダの圧下位置の制御を行った。

0079

実施例2では、圧下位置零点調整方法として、図7に示したような、鋳造ドラムのドラムバレル長よりも短い板を、一対の鋳造ドラムに挟んで圧下位置零点調整を行った。表1中には、この圧下位置零点調整方法をBと記した。鋳片の鋳造時には、鋳片の両端部の推定板厚が幅方向の左右で同一となるように、鋳造ドラムの両端部に設けられるシリンダの圧下位置の制御を行った。

0080

比較例1は、実施例2と同様に、図7に示したような、鋳造ドラムのドラムバレル長よりも短い板を、一対の鋳造ドラムに挟んで圧下位置零点調整を行った。鋳片の鋳造時には、推定板厚を用いず、鋳片ドラムの両端部における圧下力が左右で同一となるように、鋳造ドラムの両端部に設けられるシリンダの圧下位置の制御を行った。

0081

比較例2は、実施例2と同様に、図7に示したような、鋳造ドラムのドラムバレル長よりも短い板を、一対の鋳造ドラムに挟んで圧下位置零点調整を行った。鋳片の鋳造時には、推定板厚を用いず鋳片ドラムの両端部における圧下位置が左右で同一となるように、鋳造ドラムの両端部に設けられるシリンダの圧下位置の制御を行った。

0082

実施例1の鋳片では、定常部における実測の板厚は、ドライブサイドDSの端部の板厚が1.820mmであり、ワークサイドWSの端部の板厚が1.830mmであった。ウェッジ(ウェッジ量)は−10μmであり、非常に良好であった。また、連続鋳造装置の下流に設置された圧延機における圧延工程においても、蛇行も発生せず、問題なく圧延を実施できた。

0083

実施例2の鋳片では、定常部における実測の板厚は、ドライブサイドDSの端部の板厚が1.795mmであり、ワークサイドWSの端部の板厚が1.828mmであった。よってウェッジは−33μmであり、良好であった。また、連続鋳造装置の下流に設置された圧延機における圧延工程においても、蛇行も発生せず、問題なく圧延を実施できた。

0084

比較例1の鋳片は、定常部における実測の板厚は、ドライブサイドDSの端部の板厚が1.800mmであり、ワークサイドWSの端部の板厚が1.720mmであった。ウェッジは80μmと大きく、連続鋳造装置の下流に設置された圧延機における圧延工程において蛇行が発生し、鋳片が破断した。

0085

比較例2の鋳片は、定常部における実測の板厚が、ドライブサイドDSの端部の板厚が1.870mmであり、ワークサイドWSの端部の板厚が1.750mmであった。ウェッジは120μmと大きく、連続鋳造装置の下流に設置された圧延機における圧延工程で蛇行が発生し、鋳片が破断した。

0086

0087

上より、双ドラム式連続鋳造装置による鋳片の鋳造において、鋳片の鋳造開始前に取得された鋳造ドラムを支持するハウジングの変形特性と鋳造ドラムを圧下する圧下系の変形特性とを示す鋳造ドラムハウジング圧下系変形特性を用いて、上記式1より、推定板厚を算出し、鋳片の両端部の差が所定値以下となるようにシリンダの圧下位置をそれぞれ制御することで、より精度よく鋳片のウェッジを低減し、鋳造ドラムの下流に設置される圧延機にて蛇行を防止することができる。

実施例

0088

以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

0089

本発明は、ウェッジをより精度よく低減することが可能な鋳片の鋳造方法を提供できるため、産業上の利用可能性が高い。

0090

1連続鋳造設備
20 第1ピンチロール
30圧延機
31 上ワークロール
32 下ワークロール
33 上バックアップロール
34 下バックアップロール
40 第2ピンチロール
50巻取装置
100連続鋳造装置
111 第1鋳造ドラム
112 第2鋳造ドラム
113タンディッシュ
114 浸漬ノズル
115金属溶湯溜まり部
116凝固シェル
117 金属溶湯
118薄板
120d、120wシリンダ
130d、130wハウジング
140d、140wロードセル
150、150d、150wサイド堰
160試験板
170ロール軸受け

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