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技術 近赤外線吸収性組成物、近赤外線吸収性膜及び固体撮像素子用イメージセンサー

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 大福幸司水谷洋介板本なつみ玉木継吾堀江悠太郎林健司中原一成野島隆彦福坂潔
出願日 2019年3月11日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2020-508211
公開日 2021年4月1日 (3ヶ月経過) 公開番号 WO2019-181587
状態 未査定
技術分野 他類に属さない組成物 有機低分子化合物及びその製造 スタジオ装置 第5-8族元素を含む化合物及びその製造
主要キーワード d軌道 振動撹拌 保存処理後 湿度耐性 ポリオキシアルキル基 ファイバ部材 ホスホン酸銅 超音波照射機
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2021年4月1日)のものです。
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課題・解決手段

本発明の課題は、近赤外光吸収能に優れ、金属錯体、特に銅錯体分散性、及び水分混入時における分散安定性(耐湿性)が向上した近赤外線吸収性組成物と、これを用いて形成した近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーを提供することである。 本発明の近赤外線吸収性組成物は、近赤外線吸収剤溶媒を含有し、前記近赤外線吸収剤が、下記(A)成分及び下記(B)成分のうち少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする近赤外線吸収性組成物。(A)成分:下記一般式(I)で表される構造を有する化合物金属イオンからなる成分(B)成分:下記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属化合物との反応により得られる金属錯体からなる成分

化1】

概要

背景

近年、ビデオカメラデジタルスチルカメラカメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが用いられているが、これら固体撮像素子は、その受光部において近赤外線波長領域の光に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているため、視感度補正を行うことが必要となり、近赤外線カットフィルターを用いることが多い。

近年、このような近赤外線カットフィルターを構成する材料としては、ホスホン酸銅錯体を用いた近赤外線吸収性組成物が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。

上記各特許文献においては、ホスホン酸銅錯体の分散媒体として、特許文献1では1種の溶媒を適用すること、特許文献2では特定の可溶化剤を1種適用すること、特許文献3では特定の溶媒を1種適用することにより、品質の向上、例えば、保存安定性の向上を図っているが、いずれも、近赤外線吸収性組成物としては、ホスホン酸銅塩に対し、バインダーである樹脂成分を添加した後での安定性を問題としているが、バインダー成分を含まない状態での近赤外線吸収性組成物の安定性に関しての言及はなく、本発明者らが検討を行った結果、バインダー樹脂を添加する前の段階での近赤外線吸収性組成物の分散安定性が、最終品質に対し大きく影響を与えることが判明した。

また、銅錯体には水分が混入する系では、バインダーを含まない分散液やバインダーを含む膜中でも凝集が生じるという問題を抱えている。更に熱を加えることで、凝集はより加速される。特許文献4には、エチレンオキシド構造を有するリン酸エステルプロピレンオキシド構造を有するリン酸エステル化合物銅化合物との反応により得られる銅錯体を含有している近赤外光吸収層を備えた光学フィルターが開示されているが、このような銅錯体を用いた場合でも、銅錯体の分散性や、水分混入時における分散安定性(耐湿性)が、不十分であることが判明した。

概要

本発明の課題は、近赤外光吸収能に優れ、金属錯体、特に銅錯体の分散性、及び水分混入時における分散安定性(耐湿性)が向上した近赤外線吸収性組成物と、これを用いて形成した近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーを提供することである。 本発明の近赤外線吸収性組成物は、近赤外線吸収剤と溶媒を含有し、前記近赤外線吸収剤が、下記(A)成分及び下記(B)成分のうち少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする近赤外線吸収性組成物。(A)成分:下記一般式(I)で表される構造を有する化合物金属イオンからなる成分(B)成分:下記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属化合物との反応により得られる金属錯体からなる成分

目的

本発明の上記手段により、近赤外光吸収能に優れ、金属錯体、特に銅錯体の分散性や、水分混入時の分散安定性(耐湿性)が向上した近赤外線吸収性組成物と、これを用いて形成した近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

近赤外線吸収剤溶媒を含有する近赤外線吸収性組成物であって、前記近赤外線吸収剤が、下記(A)成分及び下記(B)成分のうち少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする近赤外線吸収性組成物。(A)成分:下記一般式(I)で表される構造を有する化合物金属イオンからなる成分(B)成分:下記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属化合物との反応により得られる金属錯体からなる成分〔上記一般式(I)において、Rは炭素数が1〜20のアルキル基又は炭素数が6〜20のアリール基を表し、Rはさらに置換基を有してもよい。Zは、下記式(Z−1)〜(Z−3)から選択される構造単位を表す。上記式(Z−1)〜(Z−3)に記載の*は結合部位を表し、上記一般式(I)におけるOと結合する。R21〜R24はそれぞれ水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を表す。ただし、一般式(I)で表される構造を有する化合物は、下記条件(i)を満たす部分構造と、下記条件(ii)を満たす部分構造とを、それぞれ少なくとも1つ同時に有する。条件(i):R21〜R24が全て水素原子である。条件(ii):R21〜R24の少なくとも1つが、炭素数が1〜4のアルキル基である。一般式(I)において、lは、上記条件(i)を満たす部分構造の数を表し、1〜10の数である。mは、上記条件(ii)を満たす部分構造の数を表し、1〜10の数である。〕

請求項2

前記金属イオン又は前記金属錯体を構成する金属が、銅であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項3

前記一般式(I)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(II)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の近赤外線吸収性組成物。〔上記一般式(II)において、R、R21〜R24、l及びmは、それぞれ前記一般式(I)におけるそれらと同義である。nは1又は2であり、nが2のとき、〔〕内の構造は同一であっても異なっていてもよい。

請求項4

前記一般式(I)で表される構造を有する化合物が、モノエステルジエステルを含み、モノエステルのモル比率が20〜95%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項5

前記一般式(I)は、下記条件(i)を満たす部分構造と、下記条件(iii)を満たす部分構造とを、それぞれ少なくとも1つ同時に有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。条件(i):R21〜R24が全て水素原子である。条件(iii):R21〜R24のいずれか1つが、炭素数が1〜4のアルキル基であり、残りの3つが水素原子である。

請求項6

前記一般式(I)におけるl及びmが、それぞれ1〜3の範囲内の数であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項7

前記金属錯体の平均粒径が、50nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項8

ホスホン酸化合物を含有することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項9

650〜800nmの波長範囲内吸収極大波長を有する近赤外線吸収調整剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項10

前記金属イオン又は前記金属化合物を構成する金属に対し、1〜100モル%の範囲内の酢酸を含有することを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

請求項11

請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物を用いたことを特徴とする近赤外線吸収性膜。

請求項12

請求項11に記載の近赤外線吸収性膜を具備することを特徴とする固体撮像素子用イメージセンサー

技術分野

0001

本発明は、近赤外線吸収性組成物と、これを用いた近赤外線吸収性膜及び固体撮像素子用イメージセンサーに関し、より詳しくは金属錯体、特に、銅錯体分散性や、水分混入時における分散安定性(耐湿性)に優れた近赤外線吸収性組成物と、これを用いた近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーに関する。

背景技術

0002

近年、ビデオカメラデジタルスチルカメラカメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが用いられているが、これら固体撮像素子は、その受光部において近赤外線波長領域の光に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているため、視感度補正を行うことが必要となり、近赤外線カットフィルターを用いることが多い。

0003

近年、このような近赤外線カットフィルターを構成する材料としては、ホスホン酸銅錯体を用いた近赤外線吸収性組成物が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。

0004

上記各特許文献においては、ホスホン酸銅錯体の分散媒体として、特許文献1では1種の溶媒を適用すること、特許文献2では特定の可溶化剤を1種適用すること、特許文献3では特定の溶媒を1種適用することにより、品質の向上、例えば、保存安定性の向上を図っているが、いずれも、近赤外線吸収性組成物としては、ホスホン酸銅塩に対し、バインダーである樹脂成分を添加した後での安定性を問題としているが、バインダー成分を含まない状態での近赤外線吸収性組成物の安定性に関しての言及はなく、本発明者らが検討を行った結果、バインダー樹脂を添加する前の段階での近赤外線吸収性組成物の分散安定性が、最終品質に対し大きく影響を与えることが判明した。

0005

また、銅錯体には水分が混入する系では、バインダーを含まない分散液やバインダーを含む膜中でも凝集が生じるという問題を抱えている。更に熱を加えることで、凝集はより加速される。特許文献4には、エチレンオキシド構造を有するリン酸エステルプロピレンオキシド構造を有するリン酸エステル化合物銅化合物との反応により得られる銅錯体を含有している近赤外光吸収層を備えた光学フィルターが開示されているが、このような銅錯体を用いた場合でも、銅錯体の分散性や、水分混入時における分散安定性(耐湿性)が、不十分であることが判明した。

先行技術

0006

特許第4684393号公報
特許第4926699号公報
特許第5890805号公報
特許第4422866号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、近赤外光吸収能に優れ、金属錯体、特に銅錯体の分散性、及び水分混入時の分散安定性(耐湿性)が向上した近赤外線吸収性組成物と、これを用いて形成した近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーに関する。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、上記課題を解決すべく上記問題の原因等について検討した結果、近赤外線吸収剤と溶媒を含有する近赤外線吸収性組成物であって、近赤外線吸収剤が、(A)成分として下記一般式(I)で表される構造を有する化合物金属イオンからなる成分と、(B)成分として下記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属化合物との反応により得られる金属錯体のうち、少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする近赤外線吸収組成物により、近赤外光吸収能に優れ、近赤外線吸収性組成物を構成する金属錯体の分散性及び水分混入時の分散安定性(耐湿性)が向上した近赤外線吸収性組成物と、これを用いて形成した近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーを実現することができることを見いだし、本発明に至った。

0009

すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。

0010

1.近赤外線吸収剤と溶媒を含有する近赤外線吸収性組成物であって、
前記近赤外線吸収剤が、下記(A)成分及び下記(B)成分のうち少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする近赤外線吸収性組成物。

0011

(A)成分:下記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属イオンからなる成分
(B)成分:下記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属化合物との反応により得られる金属錯体からなる成分



〔上記一般式(I)において、Rは炭素数が1〜20のアルキル基又は炭素数が6〜20のアリール基を表し、Rはさらに置換基を有してもよい。Zは、下記式(Z−1)〜(Z−3)から選択される構造単位を表す。



上記式(Z−1)〜(Z−3)に記載の*は結合部位を表し、上記一般式(I)におけるOと結合する。

0012

R21〜R24は、それぞれ水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を表す。

0013

ただし、一般式(I)で表される構造を有する化合物は、下記条件(i)を満たす部分構造と、下記条件(ii)を満たす部分構造とを、それぞれ少なくとも1つ同時に有する。

0014

条件(i):R21〜R24が全て水素原子である。

0015

条件(ii):R21〜R24の少なくとも1つが、炭素数が1〜4のアルキル基である。

0016

一般式(I)において、lは、上記条件(i)を満たす部分構造の数を表し、1〜10の数である。mは、上記条件(ii)を満たす部分構造の数を表し、1〜10の数である。〕
2.前記金属イオン又は前記金属錯体を構成する金属が、銅であることを特徴とする第1項に記載の近赤外線吸収性組成物。

0017

3.前記一般式(I)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(II)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の近赤外線吸収性組成物。



〔上記一般式(II)において、R、R21〜R24、l及びmは、それぞれ前記一般式(I)におけるそれらと同義である。nは1又は2であり、nが2のとき、〔 〕内の構造は同一であっても異なっていてもよい。

0018

4.前記一般式(I)で表される構造を有する化合物が、モノエステルジエステルを含み、モノエステルのモル比率が20〜95%の範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

0019

5.前記一般式(I)は、下記条件(i)を満たす部分構造と、下記条件(iii)を満たす部分構造とを、それぞれ少なくとも1つ同時に有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

0020

条件(i):R21〜R24が全て水素原子である。

0021

条件(iii):R21〜R24のいずれか1つが、炭素数が1〜4のアルキル基であり、残りの3つが水素原子である。

0022

6.前記一般式(I)におけるl及びmが、それぞれ1〜3の範囲内の数であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

0023

7.前記金属錯体の平均粒径が、50nm以下であることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

0024

8.ホスホン酸化合物を含有することを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

0025

9.650〜800nmの波長範囲内吸収極大波長を有する近赤外線吸収調整剤を含有することを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

0026

10.前記金属イオン又は前記金属化合物を構成する金属に対し、1〜100モル%の範囲内の酢酸を含有することを特徴とする第1項から第9項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物。

0027

11.第1項から第10項までのいずれか一項に記載の近赤外線吸収性組成物を用いたことを特徴とする近赤外線吸収性膜。

0028

12.第11項に記載の近赤外線吸収性膜を具備することを特徴とする固体撮像素子用イメージセンサー。

発明の効果

0029

本発明の上記手段により、近赤外光吸収能に優れ、金属錯体、特に銅錯体の分散性や、水分混入時の分散安定性(耐湿性)が向上した近赤外線吸収性組成物と、これを用いて形成した近赤外線吸収性膜と、当該近赤外線吸収性膜を具備する固体撮像素子用イメージセンサーを提供することができる。

0030

本発明の効果の発現機構及び作用機構については、すべてが明確にはなっていないが、以下のように推察している。

0031

本発明の近赤外線吸収性組成物においては、近赤外線吸収剤と溶媒を含有する近赤外吸収性組成物であって、当該近赤外線吸収剤が、下記(A)成分及び下記(B)成分のうち少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする。

0032

(A)成分:前記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属イオンからなる成分
(B)成分:前記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属化合物との反応により得られる金属錯体からなる成分
本発明の近赤外線吸収性組成物では、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属化合物との反応により形成される金属錯体が、吸光係数の高い近赤外線吸収特性発現すると考えられる。前記一般式(I)で表される構造を有する化合物は、エチレンオキシド構造(条件(i))のみでなく、アルキル置換されたエチレンオキシド構造(条件(ii))を含んでいることが特徴である。エチレンオキシド構造に対し、アルキル置換されたエチレンオキシド構造は、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物において、置換基(R21〜R24)が存在するため、ジアステレオマー分数が多くなる。その結果、エントロピー効果により、凝集が抑制され、水分混入時における分散安定性を高くすることができる。また、置換基(R21〜R24)の疎水的な効果も追加されるため、分散安定性を更に高くすることができる。

0033

また、アルキル置換されたエチレンオキシド構造(条件(ii))のみを含有する場合、置換基(R21〜R24)の立体障害により、金属との錯体形成がスムーズに進まずに、金属錯体の微細分散状態を形成することができないが、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物では、エチレンオキシド構造も同一の化合物構造中に含まれているため(条件(i))、金属錯体が微細な分散状態を形成することが可能となり、この微細な分散状態により、可視光透過性が確保できると推測される。

0034

上記メカニズムにより、金属錯体の分散性や、水分混入時の分散安定性(耐湿性)に優れた近赤外線吸収性組成物が達成されると推測される。

0035

アルキル置換されたエチレンオキシド構造のみを含む化合物と、エチレンオキシド構造のみを含む化合物を併用し、金属イオンと金属錯体を形成した場合、エチレンオキシド構造のみを含む化合物が優先的に金属と錯体形成するため、水分混入時における分散安定性を改善することができない。本発明の課題を達成するためには、同分子内にエチレンオキシド構造とアルキル置換されたエチレンオキシド構造をともに含むことが重要である。

0036

本発明においては、金属錯体としては、銅錯体が好ましく、特にリン酸エステル銅錯体であることが、より優れた分散性と近赤外線カット安定性を有する点で好ましい。

0037

更に、銅イオンと錯体を形成することができる配位子を含有していることが好ましく、特に配位子としてホスホン酸化合物を併用することで、より優れた経時安定性、例えば、銅錯体粒子の分散安定性と近赤外線カット安定性を有する近赤外線吸収性組成物を得ることができる点で好ましい。

図面の簡単な説明

0038

本発明の近赤外線吸収性膜を具備した固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成の一例を示す概略断面図

0039

本発明の近赤外線吸収性組成物では、近赤外線吸収剤と溶媒を含有する近赤外線吸収性組成物であって、近赤外線吸収剤が、(A)成分として前記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属イオンからなる成分と、(B)成分として前記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属化合物との反応により得られる金属錯体のうち、少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に係る発明に共通する技術的特徴である。

0040

本発明の近赤外線吸収性組成物においては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、前記金属イオン又は前記金属錯体を構成する金属が、銅であることが、より優れた近赤外光吸収能、金属錯体の分散性、及び水分混入時の分散安定性(耐湿性)を得ることできる点で好ましい。

0041

また、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物が、前記一般式(II)で表される構造を有する化合物であることが、金属錯体の分散性や、水分混入時における分散安定性により一層向上させることができる点で好ましい。

0042

また、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物は、モノエステルとジエステルを含み、モノエステルのモル比率が20〜95%の範囲内であることが、より優れた金属錯体の分散性や、様々な条件下で保存した際の分散安定性をより一層向上させることができる点で好ましい。

0043

また、前記一般式(I)が、前記条件(i)を満たす部分構造と、条件(iii)を満たす部分構造とを、それぞれ少なくとも1つ同時に有することが、より優れた分散性と、水分混入時における分散安定性(熱湿度耐性)がより向上させることができる点で好ましい。

0044

また、前記金属錯体の平均粒径が、50nm以下であることが、より優れた可視光透過率及び近赤外光の吸収能を得ることができる点で好ましい。

0045

また、前記一般式(I)におけるl及びmが、それぞれ1〜3の範囲内の数であることが、より優れた金属錯体の分散性や、様々な条件下で保存した際の分散安定性をより一層向上させることができる点で好ましい。

0046

また、ホスホン酸化合物を含有することが、より優れた分散安定性(熱湿度耐性)と可視光透過性及び近赤外光の吸収能を得ることができる点で好ましい。

0047

また、650〜800nmの波長範囲内に吸収極大波長を有する近赤外線吸収調整剤を含有することが、より優れた近赤外線吸収能を得ることができる点で好ましい。

0048

また、酢酸を、前記金属の含有量に対して1〜100モル%の範囲内で含有することが、耐久性(熱湿度耐性)及び近赤外線領域で所望の分光スペクトルを得ることができる点で好ましい。

0049

以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。

0050

《近赤外線吸収性組成物の構成》
本発明の近赤外線吸収性組成物は、近赤外線吸収剤と溶媒を含有し、当該近赤外線吸収剤は、後述する(A)成分及び(B)成分のうち少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする。

0051

以下、本発明の近赤外線吸収性組成物の構成材料の詳細について、説明する。

0052

〔近赤外線吸収剤〕
本発明に係る近赤外線吸収剤は、下記(A)成分及び下記(B)成分のうち少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする。

0053

(A)成分:下記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属イオンからなる成分、
(B)成分:下記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属化合物との反応により得られる金属錯体からなる成分。

0054

以下、本発明の近赤外線吸収性組成物の代表的な構成成分である一般式(I)で表される化合物と、金属錯体及び溶媒等について説明する。ただし、本発明はここで例示する構成にのみ限定されるものではない。

0055

(一般式(I)で表される構造を有する化合物)
はじめに、本発明に係る下記一般式(I)で表される構造を有する化合物について説明する。



上記一般式(I)において、Rは炭素数が1〜20のアルキル基又は炭素数が6〜20のアリール基を表し、Rはさらに置換基を有してもよい。

0056

Zは、下記式(Z−1)、(Z−2)、及び(Z−3)から選択される構造単位を表す。



上記式(Z−1)〜(Z−3)に記載されている*は結合部位を表し、上記一般式(I)におけるOと結合する。

0057

上記(Z−1)、(Z−2)及び(Z−3)から選択される構造単位は、金属錯体の分散性の観点から、好ましくは、(Z−1)又は(Z−2)である。

0058

上記一般式(I)において、Zが(Z−1)の場合はジエステルとなり、Zが(Z−2)又は(Z−3)の場合はモノエステルとなる。金属錯体の分散性の観点から、ジエステルとモノエステルは混合物であることが好ましく、モノエステルとジエステルのうち、モノエステルのモル比率が20〜95%の範囲内であることが好ましい。

0059

一般式(I)において、lは、後述する条件(i)を満たす部分構造の数を表し、1〜10の数である。mは、後述する条件(ii)を満たす部分構造の数を表し、1〜10の数である。

0060

上記一般式(I)において、Rで表される炭素数が1〜20のアルキル基としては、直鎖でも分岐を有してもよく、例えば、メチル基エチル基、n−プロピル基イソプロピル基n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、2−ブチルオクチル基、2−ヘキシルオクチル基、n−デシル基、2−ヘキシルデシル基、n−ドデシル基、n−ステアリル基等が挙げられる。それぞれのアルキル基はさらに置換基を有してもよい。金属錯体の分散性と耐湿性の観点から、好ましくは、炭素数が6〜16のアルキル基である。

0061

また、Rで表される炭素数が6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基メシチル基トリル基キシリル基ナフチル基アントリル基アズレニル基、アセナフテニル基フルオレニル基フェナントリル基インデニル基ピレニル基ビフェニリル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、フルオレノニル基である。それぞれのアリール基はさらに置換基を有してもよい。

0062

Rが有してもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基エトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子等)、シアノ基ニトロ基ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基等)、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基等)、トリアリールシリル基(例えば、トリフェニルシリル基等)、トリヘテロアリールシリル基(例えば、トリピリジルシリル基等)、ベンジル基、アリール基(例えば、フェニル基等)、ヘテロアリール基(例えば、ピリジル基カルバゾリル基等)が挙げられ、縮合環としては、9,9′−ジメチルフルオレンカルバゾールジベンゾフラン等が挙げられるが、特に制限はない。

0063

前記一般式(I)において、R21〜R24はそれぞれ水素原子又は炭素数が1〜4のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基が挙げられるが、金属錯体の分散性の観点から、特にメチル基が好ましい。

0064

本発明に係る一般式(I)で表される構造を有する化合物においては、下記の条件(i)を満たす部分構造と、条件(ii)を満たす部分構造とを、それぞれ少なくとも1つその分子構造内に同時に有することを特徴とする。

0065

条件(i):R21〜R24が全て水素原子である。

0066

条件(ii):R21〜R24の少なくとも1つが、炭素数が1〜4のアルキル基である。

0067

条件(ii)を満たす部分構造は、R21〜R24の少なくとも1つが、炭素数が1〜4のアルキル基であり、更に2つが当該アルキル基である場合、3つが当該アルキル基、4つすべてが当該アルキル基である構造を包含する。金属錯体の分散性の観点から、好ましくは、いずれか1つのみが、炭素数が1〜4のアルキル基であることが好ましい。

0068

条件(i)を満たす部分構造は、R21〜R24が全て水素原子であるエチレンオキシド構造であり、金属との錯体形成能が高く、分散性を高めることに寄与する。一方、条件(ii)はアルキル置換されたエチレンオキシド構造であり、成分数が多く、エントロピー効果により、水分混入時の分散安定性を高めることに寄与する。

0069

一般式(I)において、lは、上記条件(i)で規定するR21〜R24が全て水素原子である部分構造の数を表し、その数は1〜10の範囲内であり、好ましくは1〜3の範囲内である。mは、上記条件(ii)で規定するR21〜R24の少なくとも1つが、炭素数が1〜4のアルキル基である部分構造の数を表し、その数は1〜10の範囲内であり、好ましくは1〜3の範囲内である。

0070

l及びmは、それぞれエチレンオキシド構造とアルキル置換されたエチレンオキシド構造の平均付加モル数をそれぞれ表している。

0071

また、上記一般式(I)で表される構造を有する化合物においては、下記の条件(i)を満たす部分構造と、下記条件(iii)を満たす部分構造とを、それぞれ少なくとも1つ同時に有することが好ましい。

0072

条件(i):R21〜R24が全て水素原子である。

0073

条件(iii):R21〜R24のいずれか1つが、炭素数が1〜4のアルキル基であり、残りの3つが水素原子である。

0074

例えば、条件(iii)で表すアルキル基がメチル基である場合には、同一構造内に、エチレンオキシド構造とプロピレンオキシド構造を有する化合物である。

0075

なお、本願において、「エチレンオキシド構造」とは、ポリエチレンオキシド繰返し単位構造、すなわち、三員環環状エーテルであるエチレンオキシド開環した構造をいう。また、「プロピレンオキシド構造」とは、ポリプロピレンオキシドの繰返し単位構造、すなわち、三員環の環状エーテルであるプロピレンオキシドが開環した構造をいう。

0076

また、上記一般式(I)で表される構造を有する化合物においては、下記一般式(II)で表される構造を有するリン酸エステルであることが、より好ましい態様である。



上記一般式(II)において、R、R21〜R24、l及びmは、それぞれ前記一般式(I)におけるそれらと同義である。nは1又は2であり、nが2のとき、〔 〕内の構造は同一であっても異なっていてもよい。

0077

次いで、一般式(I)で表される構造を有する化合物の具体例について説明する。

0078

はじめに、代表的な例示化合物の構造の一例について、説明する。

0079

〈例示化合物1〉
例示化合物1は、下記の表Iに示すように、
R:メチル基、
条件(i):R21〜R24=H
条件(ii):R21=H、R22=メチル基、R23=メチル基、R24=H
Z:Z−3
l:1.0
m:8.0
の構造を有しているが、例えば、下記の例示化合物(1−1)の構造で表される。



上記例示化合物(1−1)においては、エチレンオキシド構造と、アルキル置換されたエチレンオキシド構造の順番は、適用する合成方法により、任意に変更が可能であり、下記例示化合物(1−2)も例示化合物1に包含される。



本発明においては、エチレンオキシド構造と、アルキル置換されたエチレンオキシド構造の順番は、特に限定されず、それぞれの構造がランダムに配列した化合物も本発明で規定する化合物に含まれる。

0080

〈例示化合物2〉
例示化合物2は、下記の表Iに示すように、
R:メチル基、
条件(i):R21〜R24=H
条件(ii):R21=H、R22=H、R23=メチル基、R24=H
Z:Z−1、Z−2
l:2.0
m:3.0
の構造を有しているが、ZがZ−2である例示化合物(2−1)と、ZがZ−1である例示化合物(2−2)の構造で表される。



例示化合物2の場合は、モノエステル比率が50%であり、上記例示化合物(2−1)と例示化合物(2−2)が、それぞれ同モル量ずつ含まれている。

0081

上記例示化合物1と同様に、例示化合物2においてもエチレンオキシド構造と、アルキル置換されたエチレンオキシド構造の順番は合成方法により、任意に変更可能であり、下記例示化合物(2−3)、(2−4)も例示化合物2に含まれる。



本発明においては、エチレンオキシド構造と、アルキル置換されたエチレンオキシド構造の順番は、特に限定されず、それぞれの構造がランダムに配列した化合物も本発明で規定する化合物に含まれる。

0082

次いで、一般式(I)で表される構造を有する化合物の具体例を、下記表I〜表IVに列挙するが、本発明はこれら例示化合物に限定されない。












本発明に係る一般式(I)で表される構造を有する化合物は、例えば、特開2005−255608号公報、特開2015−000396号公報、特開2015−000970号公報、特開2015−178072号公報、特開2015−178073号公報、特許第4422866号公報等に記載されている公知の方法を参考にして合成することができる。

0083

〈例示化合物の合成〉
次いで、本発明に係る一般式(i)で表される構造を有する化合物の合成の代表例を挙げるが、本発明はこれらの合成方法に限定されない。

0084

〈例示化合物49の合成〉
n−オクタノール130g(1.0モル)をオートクレーブに入れ、水酸化カリウム触媒とし、圧力147kPa、温度130℃の条件で、プロピレンオキシド116g(2.0モル)を付加させた後、エチレンオキサイド88g(2.0モル)を付加させた。

0085

次に、n−オクタノールが残っていないことを確認したのち、上記付加物反応器にとり、トルエン溶液で、無水リン酸47g(0.33モル)と80℃で5時間反応させたのち、蒸留水洗浄し、溶媒を減圧留去することにより、下記に示す例示化合物49(R=オクチル基、条件(i):R21=H、R22=H、R23=H、R24=H、条件(ii):R21=H、R22=H、R23=メチル基、R24=H、l:2.0、m:2.0、Z:リン酸モノエステル(Z−2)/リン酸ジエステル(Z−1))を得た。



〈例示化合物56の合成〉
2−エチルヘキサノール130g(1.0モル)をオートクレーブに入れ、水酸化カリウムを触媒とし、圧力147kPa、温度130℃の条件で、プロピレンオキシド145g(2.5モル)を付加させた後、エチレンオキサイド110g(2.5モル)を付加させた。

0086

次に、2−エチルヘキサノールが残っていないことを確認したのち、上記付加物を反応器にとり、トルエン溶液で、無水リン酸47g(0.33モル)を80℃で5時間反応させたのち、蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去することにより、下記に示す例示化合物56(R=2−エチルヘキシル基、条件(i):R21=H、R22=H、R23=H、R24=H、条件(ii):R21=H、R22=H、R23=メチル基、R24=H、l:2.5、m:2.5、Z:リン酸モノエステル(Z−2)/リン酸ジエステル(Z−1))を得た。



〈例示化合物59の合成〉
2−エチルヘキサノール130g(1.0モル)をオートクレーブに入れ、水酸化カリウムを触媒とし、圧力147kPa、温度130℃の条件で、プロピレンオキシド58g(1.0モル)を付加させた後、エチレンオキサイド132g(3.0モル)を付加させた。

0087

次に、2−エチルヘキサノールが残っていないことを確認したのち、上記付加物を反応器にとり、トルエン溶液で、クロロスルホン酸117g(1.0モル)を約1時間かけて滴下して、反応させたのち、蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去することにより、下記に示す例示化合物59(R=2−エチルヘキシル基、条件(i):R21=H、R22=H、R23=H、R24=H、条件(ii):R21=H、R22=H、R23=メチル基、R24=H、l:3.0、m:1.0、Z:スルホン酸(Z−3))を得た。



(金属成分)
本発明に係る近赤外線吸収剤においては、前述のとおり、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属イオンからなる(A)成分と、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属化合物との反応により得られる金属錯体からなる(B)成分のうち、少なくとも1つの成分を含有していることを特徴とする。

0088

上記(A)成分における金属イオン、あるいは(B)成分である金属錯体に適用可能な金属種としては、周期律表の第I〜第VIII族に属する錯体を形成するものが挙げられ、1価及び多価の金属である。具体的には、例えば、アルミニウムコバルトクロム、銅、鉄、マグネシウムマンガンニッケル、スズ、チタン亜鉛等を挙げることができ、その中でも、ニッケル、銅、クロム、コバルト、亜鉛が好ましく、最も好ましくは銅が挙げられる。

0089

また、本発明に係る近赤外線吸収剤においては、金属種は錯体として適用することが好ましく、その代表例である銅においては、銅塩として、2価の銅イオンを供給することが可能な銅塩が用いられる。例えば、無水酢酸銅、無水ギ酸銅無水ステアリン酸銅無水安息香酸銅、無水アセト酢酸銅、無水エチルアセト酢酸銅、無水メタクリル酸銅、無水ピロリン酸銅、無水ナフテン酸銅無水クエン酸銅等の有機酸の銅塩、該有機酸の銅塩の水和物若しくは水化物酸化銅塩化銅硫酸銅硝酸銅リン酸銅塩基性硫酸銅塩基性炭酸銅等の無機酸の銅塩、該無機酸の銅塩の水和物若しくは水化物;水酸化銅が挙げられる。

0090

(金属錯体)
本発明に係る一般式(I)で表される構造を有する化合物と金属化合物との反応により得られる金属錯体の合成方法については、例えば、特許第4422866号公報、特許第5953322号公報に記載されている方法を適用することができる。

0091

本発明に係る一般式(I)は、Zで表されるリン酸基もしくは、スルホン酸基を介して、配位結合及び/又はイオン結合により金属イオンに結合し、この金属イオンは一般式(I)に囲まれた状態で近赤外線吸収性膜中に溶解又は分散されている。金属種がその代表例である銅イオンにおいては、銅イオンのd軌道間の電子遷移によって近赤外光が選択吸収される。また、Zがその代表例であるリン酸基の場合、近赤外線吸収性膜中におけるリン原子の含有量が銅イオン1モルに対して1.5以下が好ましく、さらには、0.3〜1.3、すなわち、銅イオンに対するリン原子の含有比(以下、「P/Cu」という)がモル比で0.3〜1.3であると、近赤外線吸収性膜の耐湿性、及び近赤外線吸収性膜の耐湿性、及び近赤外線吸収性膜における銅イオンの分散性の観点から非常に好適であることが確認された。

0092

P/Cuがモル比で0.3未満であると、一般式(I)で表される化合物に対して配位する銅イオンが過剰となり、銅イオンが近赤外線吸収性膜中に均一に分散しにくくなる傾向にある。一方、P/Cuがモル比で1.3を超えると、近赤外線吸収性膜の厚さを薄くして銅イオンの含有量を高めたときに、失透が起こりやすくなる傾向にあり、高温多湿の環境では特にこの傾向が顕著となる。さらに、P/Cuがモル比で0.8〜1.3モルであるとより好ましい。このモル比が0.8以上であると、樹脂中への銅イオンの分散性を確実に且つ十分に高めることができる。

0093

また、近赤外線吸収性膜における銅イオンの含有割合が上記下限値未満であると、近赤外線吸収性膜の厚さが1mm程度より薄くされたときに、十分な近赤外光吸収性を得ることが困難な傾向となる。一方、銅イオンの含有割合が上記上限値を超えると、銅イオンを近赤外線吸収性膜中に分散させることが困難となる傾向にある。

0094

(酢酸について)
本発明の近赤外線吸収性組成物においては、近赤外線吸収剤が含有する(A)成分を構成する金属イオン、又は(B)成分を構成する金属錯体における金属化合物を構成する金属に対し、1〜100モル%の範囲内の酢酸を含有することが好ましい。

0095

例えば、一般式(I)と酢酸銅を用いて、銅錯体化合物を調製する際に、酢酸が生じるが、この酢酸量を上記で規定する範囲内とすることにより、耐久性(熱湿度耐性)及び近赤外線領域で所望の分光スペクトルが得られる点で好ましい。

0096

(金属錯体の平均粒径)
本発明に係る上記金属錯体においては、その平均粒径が1〜200nmの範囲内であることが好ましく、1〜100nmの範囲内であることがより好ましく、1〜50nmの範囲内であることが特に好ましい。

0097

本発明でいう金属錯体の平均粒径は、例えば、測定装置として大塚電子株式会社製のゼータ電位粒径測定ステムELSZ−1000ZSを用い、動的光散乱法により平均粒径を求めることができる。

0098

また、そのほかの方法としては、金属錯体粒子を透過型電子顕微鏡倍率50万〜200万倍)で電子顕微鏡写真撮影し、粒子の投影面積計測し、その計測値を相当する円の面積としたときの直径を、粒径として測定し、100個の粒子について測定し、その算術平均値を平均粒径として求めることもできる。

0099

〔ホスホン酸化合物、リン酸化合物スルホン酸化合物とその金属錯体化合物
本発明の近赤外線吸収性組成物においては、ホスホン酸化合物、リン酸化合物、スルホン酸化合物又は各々の金属錯体化合物を含むことが好ましいが、特に、以下に説明するホスホン酸を含有することが好ましい。

0100

(リン酸化合物)
リン酸化合物としては、例えば
1)リン酸メチルエステル
2)リン酸エチルエステル
3)リン酸n−プロピルエステル
4)リン酸i−プロピルエステル
5)リン酸n−ブチルエステル
6)リン酸t−ブチルエステル
7)リン酸n−ペンチルエステル
8)リン酸n−ヘキシルエステル
9)リン酸2−エチルヘキシルエステル
10)リン酸n−へプチルエステル
11)リン酸n−オクチルエステル
12)リン酸シクロヘキシルエステル
等を挙げることができる。

0101

(スルホン酸化合物)
スルホン酸化合物としては、例えば、特開2015−430638号公報記載の化合物などが挙げられる。

0102

(ホスホン酸化合物)
本発明の近赤外線吸収性組成物においては、下記一般式(1)で表される構造を有するホスホン酸化合物を含むことが好ましい。



上記一般式(1)において、R1は、炭素数が1〜30の分岐状、直鎖状又は環状のアルキル基、アルケニル基アルキニル基、アリール基又はアリル基を表し、少なくとも一つの水素原子が、ハロゲン原子、オキシアルキル基ポリオキシアルキル基オキシアリール基、ポリオキシアリール基、アシル基アルデヒド基カルボキシル基ヒドロキシル基、又は、芳香環を有する基で置換されていても、置換されていなくてもよい。

0103

一般式(1)で表される構造を有するホスホン酸化合物の例としては、エチルホスホン酸プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ペンチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、2−クロロエチルホスホン酸、3−ブロモプロピルホスホン酸、3−メトキシブチルホスホン酸、1,1−ジメチルプロピルホスホン酸、1,1−ジメチルエチルホスホン酸、1−メチルプロピルホスホン酸、ベンゼンホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸等が挙げられ、その一例を、下記化合物(H−1)〜(H−8)として例示する。



本発明においては、ホスホン酸銅錯体を構成するホスホン酸が、下記ホスホン酸群から選ばれる少なくとも1種のアルキルホスホン酸であることが好ましい。

0104

1:メチルホスホン酸
2:エチルホスホン酸
3:プロピルホスホン酸
4:ブチルホスホン酸
5:ペンチルホスホン酸
6:ヘキシルホスホン酸
7:オクチルホスホン酸
8:2−エチルヘキシルホスホン酸
9:2−クロロエチルホスホン酸
10:3−ブロモプロピルホスホン酸
11:3−メトキシブチルホスホン酸
12:1,1−ジメチルプロピルホスホン酸
13:1,1−ジメチルエチルホスホン酸
14:1−メチルプロピルホスホン酸
〈ホスホン酸金属錯体〉
次いで、本発明に好適なホスホン酸金属錯体について説明する。

0105

本発明において、ホスホン酸金属錯体を構成する金属としては、周期律表の第I〜第XIV族に属する錯体を形成するものが挙げられ、1価及び多価の金属である。具体的には、例えば、アルミニウム、コバルト、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、スズ、チタン、亜鉛等を挙げることができ、その中でも、ニッケル、銅、クロム、コバルト、亜鉛が好ましく、最も好ましくは銅が挙げられる。

0106

以下、代表例として、本発明に適用可能なホスホン酸銅錯体について説明する。ホスホン酸銅錯体は、下記一般式(2)で表される構造を有する。



一般式(2)において、Rはアルキル基、フェニル基、又はベンジル基である。

0107

一般式(2)で表される構造を有するホスホン酸銅錯体の形成に用いられる銅塩としては、2価の銅イオンを供給することが可能な銅塩が用いられる。例えば、無水酢酸銅、無水ギ酸銅、無水ステアリン酸銅、無水安息香酸銅、無水アセト酢酸銅、無水エチルアセト酢酸銅、無水メタクリル酸銅、無水ピロリン酸銅、無水ナフテン酸銅、無水クエン酸銅等の有機酸の銅塩、該有機酸の銅塩の水和物若しくは水化物;酸化銅、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、リン酸銅、塩基性硫酸銅、塩基性炭酸銅等の無機酸の銅塩、該無機酸の銅塩の水和物若しくは水化物;水酸化銅が挙げられる。

0108

本発明においては、ホスホン酸銅錯体を構成するホスホン酸が、アルキルホスホン酸であることが好ましく、例えば、エチルホスホン酸銅錯体、プロピルホスホン酸銅錯体、ブチルホスホン酸銅錯体、ペンチルホスホン酸銅錯体、ヘキシルホスホン酸銅錯体、オクチルホスホン酸銅錯体、2−エチルヘキシルホスホン酸銅錯体、2−クロロエチルホスホン酸銅錯体、3−ブロモプロピルホスホン酸銅錯体、3−メトキシブチルホスホン酸銅錯体、1,1−ジメチルプロピルホスホン酸銅錯体、1,1−ジメチルエチルホスホン酸銅錯体、1−メチルプロピルホスホン酸銅錯体等を挙げることができる。

0109

〔溶媒〕
次いで、本発明の近赤外線吸収性組成物の調製に適用可能な溶媒について説明する。

0110

本発明の近赤外線吸収性組成物に用いることができる溶媒は、特に限定されるものではないが、炭化水素系溶剤を挙げることができ、より好ましくは脂肪族炭化水素系溶媒芳香族炭化水素系溶媒ハロゲン系溶媒を好ましい例として挙げることができる。

0111

脂肪族炭化水素系溶媒としては、例えば、ヘキサンヘプタン等の非環状脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素系溶媒、メタノールエタノールn−プロパノールエチレングリコールなどのアルコール系溶媒アセトンメチルエチルケトンなどのケトン系溶媒ジエチルエーテルジイソプロピルエーテルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンエチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶媒等が挙げられる。芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエンキシレンメシチレンシクロヘキシルベンゼンイソプロピルビフェニル等が挙げられる。ハロゲン系溶媒としては、例えば、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンクロロホルム等)を挙げることができる。更に、アニソール、2−エチルヘキサン、sec−ブチルエーテル2−ペンタノール、2−メチルテトラヒドロフラン、2−プロピレングリコールモノメチルエーテル、2,3−ジメチル−1,4−ジオキサン、sec−ブチルベンゼン、2−メチルシクロヘキシルベンゼンなどを挙げることができる。中でもトルエン及びテトラヒドロフランが沸点溶解性の点から好ましい。

0112

本発明の近赤外線吸収性組成物においては、溶媒の少なくとも1種が、下記一般式(3)で表される構造を有し、かつ分子量が190以下の溶媒であることが好ましい。



上記一般式(3)において、R1は水素原子又は1〜4価の有機基、R2は炭素数2〜4のアルキレン基、R3は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表し、aは0〜10の整数であり、bは1〜4の整数である。aは好ましくは1〜10の整数である。bが2以上の場合、括弧内で表される構造は、同じであっても異なっていてもよい。

0113

上記一般式(3)で表される化合物の中でも、bが1である化合物が好ましい。

0114

更には、一般式(3)において、分子量が190以下となる範囲で、R1は、水素原子、炭素数が2〜10のアシル基、炭素数が1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数が6〜10のアリール基若しくはアラルキル基を示し、アルキル基を構成する炭素原子に結合した少なくとも一つの水素原子が、ハロゲン原子、ヘテロ原子又は芳香環で置換されていてもよい。R2は炭素数が2〜4のアルキレン基を示し、nは1〜10を示す。アシル基の炭素数は、好ましくは2〜10である。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15である。アリール基又はアラルキル基の炭素数は、好ましくは6〜20である。R2で示されるアルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜3、更に好ましくは2である。

0115

上記一般式(3)において、R1で表されるアシル基としてはジカルボン酸から誘導される2価の酸基も含まれ、例えば、2−エチルブタノイル基、(メタアクリロイル基プロピオニル基ブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ヘキサノイル基、ヘプタンジオイル基が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基、2−エチルヘキサノイル基が好ましい。また、R1で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、ノニル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、ラウリル基が好ましい。またさらに、R1で表されるアリール基若しくはアラルキル基としては、フェニル基、4−ノニルフェニル基が好ましい。さらに、R2で表されるアルキレン基としては、エチレン基プロピレン基ブチレン基、テトラメチレン基が好適である。このような基を採用することで、銅を含むリン酸エステルの樹脂への溶解性及び分散性を顕著に向上させることができる。

0116

本発明に適用可能な溶媒の化合物例を以下に示す。

0117

1)PGMEAプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(分子量:132)
2)PGEEA:プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(分子量:146)
3)PGBEA:プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート(分子量:174)
4)エチレングリコールジアセテート(分子量:146)
5)エチレングリコールジグリシジルエーテル(分子量:174)
6)エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート(分子量:118)
7)エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(分子量:132)
8)エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(分子量:160)
9)エチレングリコールジブチルエーテル(分子量:174)
10)エチレングリコールモノアセテート(分子量:104)
11)エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(分子量:104)
12)エチレングリコールモノエチルエーテル(分子量:90)
13)エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル(分子量:106)
14)グリセリン1,3−ジアセテート(分子量:176)
15)グリセリン1,2−ジメチルエーテル(分子量:120)
16)グリセリン1,3−ジメチルエーテル(分子量:120)
17)グリセリン1,3−ジエチルエーテル(分子量:148)
18)2−クロロ−1,3−プロパンジオール(分子量110)
19)3−クロロ−1,2−プロパンジオール(分子量110)
20)ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(分子量:148)
21)ジエチレングリコールジメチルエーテル(分子量:134)
22)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(分子量:176)
23)ジエチレングリコールモノブチルエーテル(分子量:162)
24)ジエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量:120)
25)ジプロピレングリコール(分子量:134)
26)ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(分子量:176)
27)トリエチレングリコール(分子量:150)
28)トリエチレングリコールジメチルエーテル(分子量:178)
29)トリエチレングリコールモノエチルエーテル(分子量:178)
30)トリエチレングリコールモノメチルエーテル(分子量:164)
31)プロピレングリコール(分子量:76)
32)プロピレングリコールモノエチルエーテル(分子量:104)
上記分散剤の中でも、特に、1)〜17)、20)〜24)、26)、28)〜30)、32)で示す分散剤が好ましい。

0118

(その他の溶媒)
上記一般式(3)で表される構造を有する溶媒と併用可能なその他の溶媒としては、例えば、分子量が190を超えるジオキシエチレンラウリルエーテルトリオキシエチレンラウリルエーテル、テトラオキシエチレンラウリルエーテル、ペンタオキシエチレンラウリルエーテル、ヘキサオキシエチレンラウリルエーテル、ヘプタオキシエチレンラウリルエーテル、オクタオキシエチレンラウリルエーテル、ノナオキシエチレンラウリルエーテル、デカオキシエチレンラウリルエーテル、ウンデカオキシエチレンラウリルエーテル、ドデカオキシエチレンラウリルエーテル、トリデカオキシエチレンラウリルエーテル、テトラデカオキシエチレンラウリルエーテル等のエーテル系化合物や、ジエチレングリコールジメタクリレート(NKエステル2G、新中村化学工業社製、分子量:242)、トリエチレングリコールジメタクリレート(分子量286)、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート(NKエステル4G、新中村化学工業社製、分子量:330)、トリプロピレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールビス(2−エチルヘキサネート)(アクロス社製)、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート等を挙げることができる。

0119

また、近赤外線吸収性組成物に対する固形分の比率は、5〜30質量%の範囲内であることが、適切な固形物(例えば、銅錯体粒子)の濃度となり、保存期間中での粒子凝集性が抑制され、より優れた経時安定性(銅錯体粒子の分散安定性と近赤外線吸収能)を得ることができる点で好ましい。10〜20質量%の範囲内であることがより好ましい。

0120

〔近赤外線吸収調整剤〕
本発明の近赤外線吸収性組成物においては、吸収波形調整用添加剤として、650〜800nmの波長域に吸収極大波長を有する近赤外線吸収調整剤を少なくとも1種添加することが、分光特性の観点から好ましい。本発明に適用する近赤外線吸収調整剤としては、650〜800nmの波長域に吸収極大波長を有する近赤外線吸収色素を適用することが好ましい。

0121

本発明に好適な近赤外線吸収色素としては、例えば、シアニン色素スクアリリウム色素クロコニウム色素アゾ色素アントラキノン色素ナフトキノン色素フタロシアニン色素ナフタロシアニン色素クアテリレン色素、ジチオール金属錯体系色素等を挙げることができる。その中でも、近赤外線を十分に吸収し、可視光透過率が高く、かつ耐熱性が高いため、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、クアテリレン色素が特に好ましい。

0122

フタロシアニン化合物の具体例としては、例えば、特開2000−26748号公報、特開2000−63691号公報、特開2001−106689号公報、特開2004−149752号公報、特開2004−18561号公報、特開2005−220060号公報、特開2007−169343号公報、特開2016−204536号公報、特開2016−218167号公報等に記載されている化合物が挙げられ、これらの公報に記載の方法に従って合成することができる。

0123

クアテリレン系色素の具体例としては、例えば、特開2008−009206号公報、特開2011−225608号公報に記載の化合物が挙げられ、これらの公報に記載の方法に従って合成することができる。

0124

上記近赤外線吸収色素は市販品としても入手可能であり、例えば、FDR002、FDR003、FDR004、FDR005、FDN001(以上、山田化学工業社製)、Excolor TX−EX720、Excolor TX−EX708K(以上、日本触媒社製)、Lumogen IR765、Lumogen IR788(以上、BASF社製)、ABS694、IRA735、IRA742、IRA751、IRA764、IRA788、IRA800(以上、Exciton社製)、epolight5548、epolight5768(以上、Aako社製)、VIS680E、VIS695A、NIR700B、NIR735B、NIR757A、NIR762A、NIR775B、NIR778A、NIR783C、NIR783I、NIR790B、NIR795A(以上、QCR solutions社製)、DLS740A、DLS740B、DLS740C、DLS744A、DLS745B、DLS771A、DLS774A、DLS774B、DLS775A、DLS775B、DLS780A、DLS780C、DLS782F(以上、Crystalin社製)、B4360、B4361、D4773、D5013(以上、東京化成工業社製)等の商品名を挙げることができる。

0125

近赤外線吸収色素の添加量は、近赤外線吸収性組成物を構成する近赤外線吸収剤100質量%に対して、0.01〜0.1質量%の範囲内で添加することが好ましい。

0126

近赤外線吸収色素の添加量が、近赤外線吸収剤100質量%に対して、0.01質量%以上であれば、近赤外線吸収を十分に高めることができ、0.1質量%以下であれば、得られる近赤外線吸収組成物の可視光透過率を損なうことがない。

0127

紫外線吸収剤
本発明の近赤外線吸収性組成物においては、近赤外線吸収剤と溶媒の他に、紫外線吸収剤をさらに含有していることが、分光特性及び耐光性の観点から好ましい。

0128

紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤ベンゾフェノン系紫外線吸収剤サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、及びトリアジン系紫外線吸収剤等を挙げることができる。

0129

ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等を挙げることができる。また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は市販品としも入手することができ、例えば、TINUVIN109、TINUVIN171、TINUVIN234、TINUVIN326、TINUVIN327、TINUVIN328、TINUVIN928等のTINUVINシリーズがあり、これらはいずれもBASF社製の市販品である。

0130

ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等が挙げられる。

0131

サリチル酸エステル系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルサリシレート等が挙げられる。

0132

シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、2′−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3−(3′,4′−メチレンジオキシフェニル)−アクリレート等が挙げられる。

0133

トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−4′−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニルトリアジン等が挙げられる。トリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、TINUVIN477(BASF社製)が挙げられる。

0134

紫外線吸収剤の添加量は、近赤外線吸収性組成物を構成する近赤外線吸収剤100質量%に対して、0.1〜5.0質量%の範囲内で添加することが好ましい。

0135

紫外線吸収剤の添加量が、近赤外線吸収剤100質量%に対して、0.1質量%以上であれば、耐光性を十分に高めることができ、5.0質量%以下であれば、得られる近赤外線吸収組成物の可視光透過率を損なうことがない。

0136

《近赤外線吸収性膜とその適用分野》
本発明においては、本発明の近赤外線吸収性組成物を用いて、近赤外線吸収性膜を形成することを一つの特徴とする。

0137

本発明の近赤外線吸収性膜は、本発明に係る近赤外線吸収性組成物に、マトリクス樹脂を添加し、マトリクス樹脂に、例えば、金属錯体の微粒子、更に必要に応じてホスホン酸金属錯体、例えば、ホスホン酸銅錯体が分散していることによって形成されている。また、吸収波形調整用の添加剤として、650〜800nmの波長域に吸収極大波長を有する前記近赤外線色素を少なくとも1種、添加することができる。

0138

上記構成よりなる近赤外線吸収性膜形成用塗布液スピンコーティング又はディスペンサによる湿式塗布方式により基板上に塗布して、近赤外線吸収性膜を形成する。その後、この塗膜に対して所定の加熱処理を行って塗膜を硬化させて、近赤外線吸収性膜を形成する。

0139

近赤外線吸収性膜の形成に用いるマトリクス樹脂は、可視光線及び近赤外線に対し透明であり、かつ、金属錯体やホスホン酸銅錯体の微粒子を分散可能な樹脂である。金属錯体やホスホン酸銅錯体は、比較的極性が低い物質であり、疎水性材料に良好に分散する。このため、近赤外線吸収性膜形成用のマトリクス樹脂としては、アクリル基エポキシ基、又はフェニル基を有する樹脂を用いることができる。その中でも、特に、近赤外線吸収性膜のマトリクス樹脂として、フェニル基を有する樹脂を用いることが好ましい。この場合、近赤外線吸収性膜のマトリクス樹脂が高い耐熱性を有する。また、ポリシロキサンシリコーン樹脂は、熱分解しにくく、可視光線及び近赤外線に対して高い透明性を有し、耐熱性も高いので、固体撮像素子用イメージセンサー用の材料として有利な特性を有する。このため、近赤外線吸収性膜のマトリクス樹脂として、ポリシロキサンを用いることも好ましい。近赤外線吸収性膜のマトリクス樹脂として使用可能なポリシロキサンとしては市販品として入手が可能であり、例えば、信越化学工業社製のシリコーン樹脂であるKR−255、KR−300、KR−2621−1、KR−211、KR−311、KR−216、KR−212、及びKR−251等を挙げることができる。

0140

(その他の添加剤)
本発明の近赤外線吸収性膜には、本発明の目的効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を適用することができ、例えば、増感剤架橋剤、硬化促進剤フィラー熱硬化促進剤熱重合禁止剤可塑剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子充填剤消泡剤難燃剤レベリング剤剥離促進剤酸化防止剤香料表面張力調整剤連鎖移動剤など)を併用してもよい。

0141

これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする近赤外線吸収膜の安定性、膜物性などの性質を調整することができる。

0142

これらの成分は、例えば、特開2012−003225号公報の段落番号0229〜0260、特開2008−250074号公報の段落番号0101〜0102、特開2008−250074号公報の段落番号0103〜0104、特開2008−250074号公報の段落番号0107〜0109等に記載されている内容の参考にすることができる。

0143

本発明の近赤外線吸収性組成物は、液状の湿式塗布液とすることができるため、例えば、スピン塗布することにより膜を形成するという簡単な工程によって、近赤外線吸収性膜、例えば、近赤外線カットフィルターを容易に製造できる。

0144

《固体撮像素子用イメージセンサーへの適用》
本発明の近赤外線吸収性膜は、例えば、CCD用、CMOS用又は他の受光素子用の視感度補正部材、測光用部材熱線吸収用部材、複合光学フィルター、レンズ部材眼鏡サングラスゴーグル光学系、光導波系)、ファイバ部材光ファイバ)、ノイズカット用部材、プラズマディスプレイ前面板等のディスプレイカバー又はディスプレイフィルタープロジェクタ前面板光源熱線カット部材色調補正部材照明輝度調節部材光学素子光増幅素子波長変換素子等)、ファラデー素子アイソレータ等の光通信機能デバイス光ディスク素子等を構成するものとして好適である。

0145

本発明の近赤外線吸収性組成物を有する近赤外線吸収膜の用途は、特に、固体撮像素子基板の受光側における近赤外線カットフィルター用(例えば、ウエハーレベルレンズに対する近赤外線カットフィルター用など)、固体撮像素子基板の裏面側(受光側とは反対側)における近赤外線カットフィルター用などとして、固体撮像素子用イメージセンサーに適用することが特徴である。

0146

本発明の近赤外線吸収性膜を固体撮像素子用イメージセンサーに適用することにより、可視部透過率近赤外吸収効率及び耐熱湿性等を向上させることできる。

0147

本発明の近赤外線吸収性膜(近赤外線カットフィルター)は、具体的には、固体撮像素子用イメージセンサー上に具備させる。

0148

図1は、本発明の近赤外線吸収性膜である赤外線カットフィルターを具備した固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。

0149

図1に示すカメラモジュール1は、実装基板である回路基板12に接続部材であるハンダボール11を介して接続されている。

0150

詳細には、カメラモジュール1は、シリコーン基板の第1の主面に撮像素子部13を備えた固体撮像素子基板10と、固体撮像素子基板10の第1の主面側(受光側)に設けられた平坦化層8と、平坦化層8の上に設けられた近赤外線カットフィルター(近赤外線吸収性膜)9と、近赤外線カットフィルター9の上方に配置されるガラス基板3(光透過性基板)と、ガラス基板3の上方に配置され内部空間に撮像レンズ4を有するレンズホルダー5と、固体撮像素子基板10及びガラス基板3の周囲を囲うように配置された遮光電磁シールド6と、を備えて構成されている。各部材は、接着剤2、7により接着されている。

0151

本発明は、固体撮像素子基板と、上記固体撮像素子基板の受光側に配置された赤外線カットフィルターとを有するカメラモジュールの製造方法であって、固体撮像素子基板の受光側において、上記本発明の赤外線吸収性液状組成物をスピン塗布することにより近赤外線吸収性膜を形成することができる。

0152

よって、カメラモジュール1においては、例えば、平坦化層8の上に、本発明の近赤外線吸収性組成物をスピン塗布することにより近赤外線吸収性膜を形成して、赤外線カットフィルター9を形成する。

0153

カメラモジュール1では、外部からの入射光Lが、撮像レンズ4、ガラス基板3、赤外線カットフィルター9、平坦化層8を順次透過した後、固体撮像素子基板10の撮像素子部に到達するようになっている。

0154

また、カメラモジュール1は、固体撮像素子基板10の第2の主面側で、ハンダボール11(接続材料)を介して回路基板12に接続されている。

0155

以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行った。

0156

実施例1
《近赤外線吸収性組成物の調製》
(近赤外線吸収性組成物1の調製)
下記の方法に従って、近赤外線吸収性組成物1を調製した。

0157

酢酸銅を16.54gと、溶媒としてのテトラヒドロフラン(略称:THF)の661.46gを混合し、超音波照射機を用いて酢酸銅を溶解し、濾過操作を行って不溶解の酢酸銅を除去して、酢酸銅溶液678gを得た。

0158

次いで、この酢酸銅溶液の678gに対して、本発明の例示化合物1の43.86gをTHFの80.0gに溶解した溶液を30分かけて撹拌しながら加えて、室温で16時間撹拌した後、トルエンを238.97g加え、55〜90℃の環境で3時間かけて溶媒であるTHFを揮発させて、固形分が10質量%となるようにして、近赤外線吸収性組成物1を251.0g調製した。

0159

(近赤外線吸収性組成物2の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、酢酸銅に代えて、同モルの酢酸ニッケルを用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物2を調製した。

0160

(近赤外線吸収性組成物3の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、酢酸銅に代えて、同モルの酢酸コバルトを用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物3を調製した。

0161

(近赤外線吸収性組成物4〜14の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、例示化合物1に代えて、表Vに記載の同モルの各例示化合物を用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物4〜14を調製した。

0162

(近赤外線吸収性組成物15〜23の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、一般式(I)で表される化合物として、例示化合物1の27%を表Vに記載した各例示化合物(同モル)に変更し、前記酢酸銅溶液に対して、各例示化合物をTHF35mLに溶解した溶液を、15分かけて撹拌しながら滴下し、30分撹拌後に残りの73%を表Vに示した各配位子化合物(同モル)に変更したTHF溶液45mLを15分かけて滴下した。そのまま室温で16時間撹拌した後、アニソール238.97gを加え、55〜90℃の環境で3時間かけて溶媒であるTHFを揮発させて固形分が10質量%となるようにして、近赤外線吸収性組成物15〜23を調製した。

0163

なお、表Vに記載の近赤外線吸収性組成物23の調製に用いた配位子化合物(*1)は、特開2015−43063号公報の段落(0021)の表1に記載のA−26である。

0164

(近赤外線吸収性組成物24の調製)
上記近赤外線吸収性組成物4の調製において、例示化合物40を、表Vに示した例示化合物91に変更して、前記酢酸銅溶液に滴下、室温で16時間撹拌した後に表Vに示した近赤外線吸収調整剤として、近赤外線吸収色素であるFDR004(極大吸収波長:716nm、山田化学工業社製)を9.04mg添加し、さらにアニソール238.97gを加え、55〜90℃の環境で3時間かけて溶媒であるTHFを揮発させて固形分が10質量%となるようにして、近赤外線吸収性組成物24を調製した。

0165

(近赤外線吸収性組成物25の調製)
上記近赤外線吸収性組成物17の調製において、例示化合物56を表Vに示した例示化合物53に変更して、前記酢酸銅溶液に滴下、室温で16時間撹拌した後に表Vに示した近赤外線吸収調整剤として、近赤外線吸収色素であるFDR004(極大吸収波長:716nm、山田化学工業社製)を9.04mg添加し、さらにアニソール238.97gを加え、55〜90℃の環境で3時間かけて溶媒であるTHFを揮発させて固形分が10質量%となるようにして、近赤外線吸収性組成物25を調製した。

0166

(近赤外線吸収性組成物26の調製)
上記近赤外線吸収性組成物25の調製において、例示化合物53を表Vに示した例示化合物57に変更して、前記酢酸銅溶液に滴下、室温で16時間撹拌した後に表Vに示した近赤外線吸収調整剤として、近赤外線吸収色素であるFDR004を9.04mgと、LumogenIR765(BASF社製)を21.59mg用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物26を調製した。

0167

(近赤外線吸収性組成物27の調製)
上記近赤外線吸収性組成物21の調製において、例示化合物77を表Vに示した例示化合物67に変更して、前記酢酸銅溶液に滴下、室温で16時間撹拌した後に表Vに示した近赤外線吸収調整剤として、近赤外線吸収色素であるFDR004を9.04mgと、LumogenIR765(BASF社製)を21.59mg用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物27を調製した。

0168

(近赤外線吸収性組成物28の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、例示化合物1に代えて、同モルの比較化合物1を用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物28を調製した。

0169

〈比較化合物1〉
R:n−ドデシル基、
条件(i):R21〜R24=H
Z:Z−1、Z−2(モノエステル比率50%)
l:3.0
m:0
(近赤外線吸収性組成物29の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、例示化合物1に代えて、同モルの比較化合物2を用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物29を調製した。

0170

〈比較化合物2〉
R:n−ドデシル基、
条件(ii):R21=H、R22=H、R23=メチル基、R24=H
Z:Z−1、Z−2(モノエステル比率50%)
l:0
m:3.0
(近赤外線吸収性組成物30の調製)
上記近赤外線吸収性組成物1の調製において、例示化合物1に代えて、同モルの比較化合物1+比較化合物2(組成比1:1)を用いた以外は同様にして、近赤外線吸収性組成物30を調製した
上記調製した各近赤外線吸収性組成物の詳細を、表Vに示す。



《近赤外線吸収性組成物の評価》
上記調製した各近赤外線吸収性組成物について、下記の方法に従って、粒径、可視部及び近赤外部の透過率及び熱湿度耐性の評価を行った。

0171

(金属錯体粒子の平均粒径の測定)
上記調製した近赤外線吸収性組成物1〜30について、粒子である金属錯体の粒子濃度固形分濃度)が1.0質量%となるように、トルエンで希釈した各評価サンプルAを調製した。

0172

次いで、各評価サンプルAを、測定装置として大塚電子株式会社製のゼータ電位・粒径測定システムELSZ−1000ZSを用いた動的光散乱法により、平均粒径を測定した。

0173

上記方法で測定した調製直後の平均粒径を、下記の基準に従ってランク付けを行った。

0174

◎:平均粒径が、50nm以下である
○:平均粒径が、50nm超、100nm以下の範囲内である
△:平均粒径が、100nm超、200nm以下の範囲内である
×:平均粒径が、200nm超である
分光透過率の評価〕
上記平均粒径の測定で調製した各評価サンプルAを用い、測定装置として日本分光社製の分光光度計V−570により、300〜1200nmの波長域範囲における分光透過率を測定した。次いで、可視部領域として500nm、近赤外部領域として700nm及び800nmにおける分光透過率について、評価を行った。

0175

(可視部領域における透過率評価)
上記方法で測定した近赤外線吸収性組成物の500nmにおける透過率を、下記の基準に従ってランク付けを行い、可視部領域の透過率評価を行った。

0176

◎:最大透過率が、95%以上である
○:最大透過率が、90%以上、95%未満である
△:最大透過率が、80%以上、90%未満である
×:最大透過率が、80%未満である
(近赤外部領域における透過率評価)
上記方法で測定した近赤外線吸収性組成物の700nm及び800nmにおける透過率を、下記の基準に従ってランク付けを行い、近赤外部領域の透過率評価を行った。

0177

◎:最大透過率が、5%未満である
○:最大透過率が、5%以上、10%未満である
△:最大透過率が、10%以上、20%未満である
×:最大透過率が、20%以上である
〔熱湿度耐性の評価〕
近赤外線吸収性組成物の原液5ml及び純水0.03gを、ガラス容器収納し、窒素ガス充填した状態で密閉し、この容器を、65℃恒温槽中で撹拌しながらで5日間保存した後、上記と同様の方法で、保存液の近赤外線吸収性組成物の濃度が1.0質量%となるように、トルエンで希釈した保存処理後サンプルBを調製した。

0178

次いで、サンプルBについて、上記と同様の方法で、日本分光社製の分光光度計V−570により、保存後の可視光領域(400〜750nm)における最大透過率Tmax2を測定した。

0179

次いで、同様の方法で調製直後のサンプルAの最大透過率Tmax1を測定し、最大透過率Tmax1に対する保存後のサンプルBの最大透過率Tmax2の可視光透過率の低下幅(Tmax1−Tmax2)を求め、下記の基準に従って、保存後の可視光透過率のランク付けを行い、これを熱湿度耐性の尺度とした。

0180

◎:可視光透過率の低下幅が、1.0%未満である
○:可視光透過率の低下幅が、1.0%以上、3.0%未満である
△:可視光透過率の低下幅が、3.0%以上、5.0%未満である
×:可視光透過率の低下幅が、5.0%以上である
以上により得られた結果を、表VIに示す。



表VIに記載の結果より明らかなように、本発明の近赤外線吸収性組成物は、比較例に対し、本発明に係る例示化合物を用いることにより、金属錯体粒子の平均粒子が小さく、分光特性に優れており、可視部域(500nm)での透過率が高く、近赤外線領域(700nm、800nm)の透過率が低い、優れた近赤外光のカット能力を有していることがわかる。加えて、本発明の近赤外線吸収性組成物は、水分が共存する高温環境下長期間保存を行っても、比較例に対し、可視光透過率安定性に優れていることが分かる。

0181

また、近赤外線吸収性組成物15〜21で実証した様に、特定のホスホン酸化合物を加えることにより、上記の総合的な特性がより向上すること、更には近赤外線吸収性組成物24〜27で実証した様に、特定の近赤外吸収色素を添加すること事により、上記の総合特性が更に向上することが分かる。

0182

また、本発明の近赤外線吸収性組成物は、高温環境下で保存された際の可視部の平均透過率の低下が抑制されており、これは熱湿影響による金属錯体粒子の凝集などに起因する透過率劣化が抑制されており、本発明の近赤外線吸収性組成物は、熱湿保存下での安定性に特に優れていることが分かる。

0183

実施例2
《酢酸量の定量》
実施例1で調製した近赤外線吸収性組成物1〜27について、各々トルエンと超純水を加えて10分振動撹拌した後、遠心分離操作により水層分取し、0.45μmのフィルター濾過を行った後、キャピラリー電気泳動装置(大塚電子株式会社製CAPI−3300)を用いて酢酸イオンを検出し、検量線により含有量(モル)を定量した。

0184

次いで、別途(ICP発光分光分析法により)測定した近赤外線吸収性組成物が含有する金属(モル)に対する酢酸の含有量(モル%)を求めた結果、近赤外線吸収性組成物1〜27のすべてが1〜100モル%の範囲内であることを確認した。

0185

〈測定例〉
上記方法で求めた酢酸量の測定結果の一例を以下に示す。

0186

実施例1で調製した近赤外線吸収性組成物18について、トルエンと超純水を加えて10分振動撹拌した後、遠心分離操作により水層を分取し、0.45μmのフィルター濾過を行った後、キャピラリー電気泳動装置(大塚電子株式会社製CAPI−3300)を用いて酢酸イオンを検出し、検量線により酢酸の定量を行った結果、金属(この場合は銅)に対して82モル%であった。

0187

次に、酢酸量の効果を確認するため、近赤外線吸収性組成物18について、酢酸を添加して、それぞれ酢酸含有量を92モル%(18−2)、102モル%(18−3)及び132モル%(18−4)に調整したサンプル18−2、18−3及び18−4を調製した(元のサンプルを18−1とする)。その結果18−1〜18−2については、実施例1に記載の方法で評価した熱湿度耐性において、可視光透過率の低下幅が極めて良好な性能(評価ランク◎)を有し、18−3は上記性能がほぼ良好性能(評価ランク○)を有していることを確認したが、18−4については可視域透過率の低下がやや確認され、評価ランクが△であった。

0188

実施例3
実施例1で調製した近赤外線吸収性組成物19について、その固形分濃度を20質量%、30質量%、35質量%になる様に溶媒を留去して、近赤外線吸収性組成物19−a、19−b及び19−cを調製し、その外観目視観察した結果、近赤外線吸収性組成物19、19−a及び19−bはサラサラした溶液状であったが、近赤外線吸収性組成物19−cにおいてはチキソ性が確認され、粘度上昇が確認された。

0189

実施例4
《近赤外線吸収性膜の作製》
実施例1で調製した各近赤外線吸収性組成物に、ポリシロキサンシリコーン樹脂(KR−255、信越化学工業社製)を加えて撹拌して、近赤外線吸収性膜形成用の塗布液を調製した。調製した塗布液をスピンコーティングにより基板上に塗布して近赤外線吸収性膜1〜27を作製した。

0190

次いで、近赤外線吸収性膜に対して所定の加熱処理を行って塗膜を硬化させ、固体撮像素子用イメージセンサーに適用可能な近赤外線カットフィルター1〜27を作製した。

0191

上記作製した各近赤外線カットフィルターについて、実施例1に記載の方法と同様にして、フィルム状態での可視光透過率及び近赤外線透過率の評価を行った結果、フィルム系でも同様の効果が得られることを確認した。

実施例

0192

また、作製した各近赤外線カットフィルターを80℃・60%RHの環境下で1週間保存した後、同様な測定を行った結果、本発明の近赤外線吸収性膜を用いた近赤外線カットフィルターはヘイズの発生がなく、かつ保存前と同様な良好な分光特性を示すことが確認できた。

0193

本発明の近赤外線吸収性組成物は、近赤外光吸収能、金属錯体、特に銅錯体の分散性、及び水分混入時の分散安定性(耐湿性)に優れ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などに適用する固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーにおける近赤外線カットフィルター等に好適に利用できる。

0194

1カメラモジュール
2、7接着剤
3ガラス基板
4撮像レンズ
5レンズホルダー
6遮光兼電磁シールド
8平坦化層
9近赤外線吸収性膜(近赤外線カットフィルター)
10固体撮像素子基板
11ハンダボール
12回路基板
13撮像素子部

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