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技術 油井セメント用添加剤及び該油井セメント用添加剤を用いたセメントスラリー

出願人 デンカ株式会社
発明者 山下明宏渡辺浩佑
出願日 2019年2月4日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2020-501646
公開日 2020年6月11日 (5ヶ月経過) 公開番号 WO2019-163490
状態 特許登録済
技術分野 さく井用組成物 地中削孔 セメント、コンクリート、人造石、その養生
主要キーワード 蒸気井 カルボニル基由来 セメンチング 乾燥セメント 評価温度 クライオプローブ ジアリルアミン化合物 低減性能
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

フルイド・ロス低減性能が良好な、ビニルアルコール系重合体を含有する油井セメント添加剤を提供する。ビニルエステル系単量体多官能性単量体との共重合体ケン物であり、ケン化度が70〜95モル%、かつ、粘度平均重合度が1000〜10000であるビニルアルコール系重合体を含有する、油井セメント用添加剤。

概要

背景

油井ガス井地熱発電用の蒸気井等のセメンチングの際に使用される油井セメントは、鋼管ケーシング)を保護するために鋼管と坑井の隙間へ充填される。注入時の高圧及び地中の熱によりセメントスラリーから含有水分が失われることを一般的に「フルイド・ロス」という。フルイド・ロスによってセメントスラリーの流動性及び硬化後の強度が損なわれてしまうため、セメントスラリーには通常フルイド・ロス低減剤が添加される。

フルイド・ロス低減剤の一例としてポリビニルアルコール(以下、PVAともいう。)を用いることが知られている。近年、特にシェールガス坑井は、より深く採掘されるようになってきていることから、圧力、温度条件がより厳しくなってきており、フルイド・ロス低減剤の添加量も増量して対応している。
しかし、セメントスラリーの増粘による流動性低下や、コストアップをもたらすことから、フルイド・ロス低減剤のフルイド・ロス低減性能向上が求められている。

概要

フルイド・ロス低減性能が良好な、ビニルアルコール系重合体を含有する油井セメント用添加剤を提供する。ビニルエステル系単量体多官能性単量体との共重合体ケン物であり、ケン化度が70〜95モル%、かつ、粘度平均重合度が1000〜10000であるビニルアルコール系重合体を含有する、油井セメント用添加剤。

目的

本発明の主目的は、フルイド・ロス低減性能が良好な、ビニルアルコール系重合体を含有する油井セメント用添加剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ビニルエステル系単量体多官能性単量体との共重合体ケン化物であり、ケン化度が70〜95モル%、かつ、粘度平均重合度が1000〜10000であるビニルアルコール系重合体を含有する、油井セメント添加剤

請求項2

前記多官能性単量体がカルボニル基又はアミド基を有する、請求項1に記載の油井セメント用添加剤。

請求項3

前記多官能性単量体がトリアリルイソシアヌレートである、請求項1又は2に記載の油井セメント用添加剤。

請求項4

前記ビニルアルコール系重合体中の多官能性単量体に由来する構造単位が、ビニルエステル系単量体に由来する構造単位100モル%に対し、0.001〜1.0モル%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の油井セメント用添加剤。

請求項5

前記ビニルアルコール系重合体の粒度は、75μm以下が30質量%以下、500μm以上が10質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の油井セメント用添加剤。

請求項6

請求項1〜5のいずれか一項に記載の油井セメント用添加剤を0.01〜30%bwoc含有するセメントスラリー

技術分野

0001

本発明は、ビニルアルコール系重合体を含有する油井セメント添加剤及び該油井セメント添加剤を用いたセメントスラリーに関する。

背景技術

0002

油井ガス井地熱発電用の蒸気井等のセメンチングの際に使用される油井セメントは、鋼管ケーシング)を保護するために鋼管と坑井の隙間へ充填される。注入時の高圧及び地中の熱によりセメントスラリーから含有水分が失われることを一般的に「フルイド・ロス」という。フルイド・ロスによってセメントスラリーの流動性及び硬化後の強度が損なわれてしまうため、セメントスラリーには通常フルイド・ロス低減剤が添加される。

0003

フルイド・ロス低減剤の一例としてポリビニルアルコール(以下、PVAともいう。)を用いることが知られている。近年、特にシェールガス坑井は、より深く採掘されるようになってきていることから、圧力、温度条件がより厳しくなってきており、フルイド・ロス低減剤の添加量も増量して対応している。
しかし、セメントスラリーの増粘による流動性低下や、コストアップをもたらすことから、フルイド・ロス低減剤のフルイド・ロス低減性能向上が求められている。

先行技術

0004

国際公開2007/146348号
特開2015−196733号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1、2には、フルイド・ロス低減剤に用いられるPVAについての記載がある。しかしながら、これらのPVA含有フルイド・ロス低減剤は、高温高圧下で注入するセメントスラリーに求められるフルイド・ロス低減性能を実現するまでには至っていない。

0006

そこで、本発明の主目的は、フルイド・ロス低減性能が良好な、ビニルアルコール系重合体を含有する油井セメント用添加剤を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

すなわち、本発明は、ビニルエステル系単量体多官能性単量体との共重合体ケン化物であり、ケン化度が70〜95モル%、かつ、粘度平均重合度が1000〜10000であるビニルアルコール系重合体を含有する、油井セメント用添加剤を提供する。
前記多官能性単量体がカルボニル基又はアミド基を有していてもよい。
前記多官能性単量体がトリアリルイソシアヌレートであってもよい。
前記ビニルアルコール系重合体中の多官能性単量体に由来する構造単位が、ビニルエステル系単量体に由来する構造単位100モル%に対し、0.001〜1.0モル%であってもよい。
前記ビニルアルコール系重合体の粒度は、75μm以下が30質量%以下、500μm以上が10質量%以下であってもよい。
また、本発明は、前記油井セメント用添加剤を0.01〜30%bwoc含有するセメントスラリーを提供する。

発明の効果

0008

本発明によれば、フルイド・ロス低減性能が良好な、ビニルアルコール系重合体を含有する油井セメント用添加剤が提供される。

0009

以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。

0010

本発明の一実施形態に係る油井セメント用添加剤は、油井、ガス井、地熱発電用の蒸気井等のセメンチングの際に使用される油井セメントの添加剤として好適である。本実施形態の油井セメント用添加剤は、ビニルエステル系単量体と多官能性単量体を共重合し、かつケン化度及び粘度平均重合度を制御したビニルアルコール系重合体を含有するものである。

0011

坑井掘削時に行うセメンチングは、掘削した坑井とこれに挿入された鋼管との隙間へセメントを注入する作業である。セメンチングの方法として、セメント及び各種添加剤を乾燥状態で混合した後、高圧水によりスラリー化しながら、ポンプ注入する方法が広く採用されている。添加剤のうち、フルイド・ロス低減剤としてビニルアルコール系重合体を用いると、セメンチングの間にセメントスラリー中から含有水分が失われることを低減し(すなわち、フルイド・ロスを低減し)、セメントスラリーの流動性を維持することが可能となる。フルイド・ロスが大きい場合、セメントスラリーの流動性が失われ、充分なセメンチングを行なうことが困難となる。

0012

尚、フルイド・ロス(Fluid Loss)は、American Petroleum Institute(API)によって定義された油井セメントの物性である。Recommended Practice for Testing Well Cements, API Recommended Practice 10B−2, April 2013にフルイド・ロスの試験方法が記載されている。

0013

本実施形態の油井セメント用添加剤に用いるビニルアルコール系重合体は、ビニルエステル系単量体と多官能性単量体との共重合体をケン化して得られる重合体であり、ケン化度が70〜95モル%、かつ、粘度平均重合度が1000〜10000である。当該ビニルアルコール系重合体は、更に粒度が制御されていることが好ましい。

0014

ビニルエステル系単量体と多官能性単量体との共重合体には、本発明の効果を損なわない範囲で、ビニルエステル系単量体及び多官能性単量体と共重合可能なビニルエステル系単量体以外の単量体を更に共重合させてもよい。

0015

ビニルエステル系単量体としては、例えば、酢酸ビニルプロピオン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニルカプリン酸ビニルラウリン酸ビニルステアリン酸ビニル安息香酸ビニルピバリン酸ビニル等であってよく、これらの混合物であってもよい。重合のし易さの観点から、ビニルエステル系単量体としては酢酸ビニルが好ましい。

0016

ビニルエステル系単量体と共重合可能なビニルエステル系単量体以外の単量体としては、例えば、エチレンプロピレン等のα−オレフィン単量体;(メタアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体;(メタ)アクリルアミドN−メチロールアクリルアミド等の不飽和アミド単量体;(メタ)アクリル酸クロトン酸マレイン酸イタコン酸フマル酸等の不飽和カルボン酸単量体不飽和カルボン酸アルキルメチルエチルプロピル等)エステル単量体;無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸の無水物;不飽和カルボン酸のナトリウムカリウムアンモニウム等との塩;アリルグリシジルエーテルグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有単量体;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有単量体又はその塩;アシッドホスホオキシエチルメタアクリレート、アシッドホスホオキシプロピルメタアクリレート等のリン酸基含有単量体;アルキルビニルエーテル単量体;等が挙げられる。

0017

ビニルエステル系単量体と共重合される多官能性単量体としては、特に限定されるものではなく、分子内に重合性不飽和結合を2つ以上持つ化合物使用可能である。例えば、エタンジオールジビニルエーテルプロパンジオールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテルジエチレングリコールジビニルエーテルトリエチレングリコールジビニルエーテルポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテルなどのジビニルエーテル;ジビニルスルホン酸化合物;等がある。

0018

また、ビニルエステル系単量体と共重合される多官能性単量体としては、ペンタジエンヘキサジエンヘプタジエンオクタジエンノナジエンデカジエン等のジエン化合物グリセリンジアリルエーテルジエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテルトリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテルなどのジアリルエーテル化合物アリルメタクリレート、グリセリントリアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどのトリアリルエーテル化合物ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルなどのテトラアリルエーテル化合物フタル酸ジアリルマレイン酸ジアリルイタコン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリルアジピン酸ジアリルなどアリルエステル基を含有する単量体;ジアリルアミンジアリルメチルアミンなどのジアリルアミン化合物トリアリルアミンなどのアリルアミノ基を含有する単量体;ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどジアリルアンモニウム塩のようなアリルアンモニウム基を含有する単量体;トリアリルイソシアヌレート、1,3−ジアリル尿素リン酸トリアリル、ジアリルジスルフィドなど2つ以上のアリル基を含有する単量体;等もある。

0019

更に、ビニルエステル系単量体と共重合される多官能性単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸を有する単量体;N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミドを有する単量体;ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン;等も挙げられる。

0020

これらの多官能性単量体の中でも、ビニルエステル系単量体との反応性の観点から分子内にカルボニル基又はアミド基を有するトリアリルイソシアヌレート又はアリルメタクリレートの使用が好ましく、特にケン化反応での分解の受け難くさ等の観点からトリアリルイソシアヌレートの使用が好ましい。

0021

ビニルアルコール系重合体中の多官能性単量体の共重合量、すなわち、ビニルアルコール系重合体中の多官能性単量体に由来する構造単位は、ビニルアルコール系重合体中のビニルエステル系単量体に由来する構造単位100モル%に対し、0.001〜1.0モル%であることが好ましい。多官能性単量体に由来する構造単位は、0.005〜0.5モル%であることがより好ましく、0.01〜0.2モル%であることが更に好ましい。多官能性単量体の共重合量が0.001モル%以上であると、フルイド・ロス低減効果がより充分に発揮される。1.0モル%以下であると、ビニルアルコール系重合体が過度架橋構造を形成しにくくなり、フルイド・ロス低減効果に加えて、作業性もより良好となる。

0022

多官能性単量体の共重合量は13C−NMRを用いて算出することができる。一例として、多官能性単量体がトリアリルイソシアヌレートである場合の共重合量の算出手順を説明する。

0023

トリアリルイソシアヌレートと共重合量したビニルアルコール系重合体を十分にメタノール洗浄し90℃で1時間風乾させた後、重水に溶解させて10質量%濃度の溶液を作製する。
得られた溶液を500MHzの13C−NMR(Bruker社の「AV−III HD 500」)を用いて、測定温度80℃、積算回数20000、DCHクライオプローブにて、13C−NMRスペクトルを得る。
得られたスペクトルから、トリアリルイソシアヌレートと共重合量したビニルアルコール系重合体中の主鎖のヒドロキシ基が隣接しないメチレン基ピーク(30〜50ppm)の積分値をbとし、トリアリルイソシアヌレートのカルボニル基由来のピーク(150〜155ppm)の積分値をaとし、トリアリルイソシアヌレートと共重合量したビニルアルコール系重合体中のトリアリルイソシアヌレートの共重合量X(モル%)を以下の式(1)から算出する。
X=((1/3)a/b)×100 ・・・(1)

0024

ビニルエステル系単量体及び多官能性単量体の重合方法としては、特に制限されるものではなく、溶液重合懸濁重合バルク重合等の既知の重合方法を用いることができる。操作が容易であることや次工程となるケン化反応と共通の溶媒が使用可能であることから、アルコール中での溶液重合方法を用いることが好ましい。アルコールとしてはメタノールを使用することが特に好ましい。

0025

本実施形態で用いられるビニルアルコール系重合体のケン化度は、70〜95モル%である。ケン化度が70モル%よりも小さい場合は残存するアセチル基疎水性が強いことから、ケン化度が95モル%よりも大きい場合はビニルアルコール系重合体の分子間の水素結合が強すぎることから、何れの場合も水との親和力が低下し、結果的にフルイド・ロス低減効果が充分でなくなる。
フルイド・ロス低減効果の観点からは、ケン化度は75〜90モル%であることが好ましい。

0026

尚、本明細書における「ケン化度」は、日本工業規格のJISK6726「3.5けん化度」に準じて測定することにより算出される値を示す。

0027

ケン化反応は、ビニルエステル系単量体と多官能性単量体との共重合体をアルコールに溶解させ、アルカリ触媒又は酸触媒を加えることで行なう。アルコールとしては、メタノール、エタノールブタノールなどが例示できる。前述の通り、メタノールの使用が特に好ましい。

0028

アルコール中のビニルエステル系重合体の濃度は、固形分濃度で5〜80%が好ましい。アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム水酸化カリウムナトリウムメチラートナトリウムエチラート、カリウムメチラートなどのアルカリ金属水酸化物や、アルコラートなどのアルカリ触媒を用いることができる。酸触媒としては、例えば、塩酸硫酸などの無機酸水溶液p−トルエンスルホン酸などの有機酸を用いることができる。これら触媒の使用量はビニルエステル系単量体由来の構造単位に対して0.1〜100ミリモル当量にすることが好ましい。ケン化時の反応温度は10〜70℃の範囲が好ましく、30〜50℃の範囲がより好ましい。反応時間は1〜10時間が好ましい。

0029

ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度は、1000〜10000であり、好ましくは1500〜6000、より好ましくは2000〜5000である。粘度平均重合度が低過ぎるとフルイド・ロス低減効果が充分ではなくなり、高過ぎるとセメントスラリーが高粘度化することで流動性が低下してしまう。

0030

「粘度平均重合度」は、イオン交換水を溶媒としたオストワルド粘度計により30℃で測定した際の極限粘度[η](g/dL)から、下記式(2)により算出される値である。
log(P)=1.613×log([η]×104/8.29) ・・・(2)
ここで、Pは粘度平均重合度を示す。

0031

ビニルアルコール系重合体の粒度は75μm以下が30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。ビニルアルコール系重合体の粒度を75μm以下が30質量%以下となるように調整することで、セメントスラリー中でのビニルアルコール系重合体の溶解速度が速くなりすぎず、フルイド・ロス低減性能の悪化を抑制できる。

0032

また、ビニルアルコール系重合体の粒度は500μm以上が10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。ビニルアルコール系重合体の粒度を500μm以上が10質量%以下となるように調整することで、セメントが硬化した際に、ビニルアルコール系重合体が欠陥部分となってセメント硬化物の強度を低下させる問題が発生しにくくなる。

0033

本発明の一実施形態に係るセメントスラリーは、上記油井セメント用添加剤を特定量含有することを特徴とする。

0034

セメントスラリーへのビニルアルコール系重合体の添加方法は、特に制限されるものではなく、あらかじめ乾燥セメント組成物と混合しておく方法、セメントスラリー化する際に混合する方法などの定法が用いられる。

0035

セメントスラリー中のビニルアルコール系重合体の含有量は、0.01〜30%bwocであり、0.05〜10%bwocであることが好ましく、0.1〜5%bwocであることがより好ましい。尚、「セメント重量基準」(bwoc)という用語は、セメントの固形分のみを基準としたセメント組成物に加える乾燥形態の添加剤の重量を指す。

0036

以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を意味する。

0037

<ビニルアルコール系重合体の調製>
実施例1
還流冷却器滴下漏斗攪拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100質量部、トリアリルイソシアヌレート0.01質量部、メタノール17.0質量部、及びパーロイルNPP(日本油脂社)0.07質量部を仕込み窒素気流下で攪拌しながら沸点下で5時間重合を行った。酢酸ビニルの転化率が50%になったところで重合を停止し、定法により未反応の酢酸ビニルを重合系外に除去した。粘度平均重合度5900の酢酸ビニル系重合体メタノール溶液を得た。

0038

上記で得られた酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液に、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(酢酸ビニル由来の構造単位に対し水酸化ナトリウム0.007モル換算)を添加し、45℃で90分間ケン化反応を行った。得られた反応溶液加熱乾燥して、ケン化度80.0モル%の実施例1に係るビニルアルコール系重合体を得た。

0039

乾燥したビニルアルコール系重合体は、粉砕機により一次粉砕後、目開き500μmのを使用して篩った。篩上品は、再度粉砕機で粉砕し、先の篩下品と良く混合した。500μm以上0%、75μm以下12.0%に粒度を調整したビニルアルコール系重合体を得た。

0040

尚、一次粉砕では500μm以上の粒子比率が30%以下になるまでの時間を、篩上品の再粉砕では500μm以上の粒子比率が5%以下になるまでのおよその時間を、予備試験により事前に確認しておいた。実施例では、予備試験で確認したそれぞれの時間に基づいて粉砕を行った。

0041

実施例2
実施例1で得られた酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液を用い、ビニルアルコール系重合体のケン化度を88.2モル%へ変更した以外は、実施例1と同様にしてビニルアルコール系重合体を得た。

0042

乾燥したビニルアルコール系重合体は、実施例1と同様に粉砕機により粒度を調整し、粒度を500μm以上0.2%、75μm以下8.5%とした。

0043

実施例3
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100質量部、トリアリルイソシアヌレート0.036質量部、メタノール22.1質量部、及びパーロイルNPP(日本油脂社)0.06質量部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら沸点下で5時間重合を行った。酢酸ビニルの転化率が50%になったところで重合を停止し、定法により未反応の酢酸ビニルを重合系外に除去した。粘度平均重合度4600の酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液を得た。

0044

上記で得られた酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液に、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(酢酸ビニル由来の構造単位に対し水酸化ナトリウム0.007モル換算)を添加し、45℃で90分間ケン化反応を行った。得られた反応溶液を加熱乾燥して、ケン化度79.7モル%の実施例3に係るビニルアルコール系重合体を得た。

0045

乾燥したビニルアルコール系重合体は、実施例1と同様に粉砕機により粒度を調整し、粒度が500μm以上0.1%、75μm以下9.8%であるビニルアルコール系重合体を得た。

0046

実施例4
実施例3で得られた酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液を用い、実施例3と同様にしてビニルアルコール系重合体を得た。

0047

乾燥したビニルアルコール系重合体は、粉砕機により一次粉砕後、目開き500μmの篩を使用して篩った。篩上品は、再度粉砕機で粉砕し、先の篩下品と良く混合した。500μm以上0.1%、75μm以下32.2%に粒度を調整したビニルアルコール系重合体を得た。

0048

実施例5
実施例3で得られた酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液を用い、ビニルアルコール系重合体のケン化度を87.6%へ変更した以外は、実施例3と同様にしてビニルアルコール系重合体を得た。

0049

実施例6
還流冷却器、滴下漏斗、攪拌機を備えた重合缶に、酢酸ビニル100質量部、アリルメタクリレート0.013質量部、メタノール22.1質量部、及びパーロイルNPP(日本油脂社)0.04質量部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら沸点下で5時間重合を行った。酢酸ビニルの転化率が56%になったところで重合を停止し、定法により未反応の酢酸ビニルを重合系外に除去した。粘度平均重合度3900の酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液を得た。

0050

上記で得られた酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液に、水酸化ナトリウムのメタノール溶液(酢酸ビニル由来の構造単位に対し水酸化ナトリウム0.007モル換算)を添加し、45℃で90分間ケン化反応を行った。得られた反応溶液を加熱乾燥して、ケン化度80.1モル%の実施例6に係るビニルアルコール系重合体を得た。

0051

乾燥したビニルアルコール系重合体は、実施例1と同様に粉砕機により粒度を調整し、粒度を500μm以上0%、75μm以下9.9%とした。

0052

比較例1〜4
PVAを添加しなかった場合を比較例1とした。尚、比較例1はフルイド・ロスの測定を行った。
実施例1から多官能性単量体を除いた以外は、実施例1と同様にして比較例2に係るPVAを得た。
実施例1で得られた酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液を用い、ビニルアルコール系重合体のケン化度を99モル%へ変更した以外は、実施例1と同様にして比較例3に係るビニルアルコール系重合体を得た。
多官能性単量体を除くのと同時にメタノール仕込み量を5.0部へ減らした以外は、実施例1と同様にして比較例4に係るPVAを得た。

0053

<ビニルアルコール系重合体の粘度平均重合度の算出>
上記で得られた実施例1〜6及び比較例2〜4に係るビニルアルコール系重合体について、極限粘度[η](g/dL)を測定し、上記式(2)を用いて、粘度平均重合度を算出した。

0054

<ビニルアルコール系重合体の多官能性単量体共重合量>
上記で得られた実施例1〜5に係るビニルアルコール系重合体について、以下の方法により多官能性単量体の共重合量を算出した。
トリアリルイソシアヌレートと共重合量したビニルアルコール系重合体を十分にメタノール洗浄し90℃で1時間風乾させた後、重水に溶解させて10質量%濃度の溶液を作製した。
得られた溶液を500MHzの13C−NMR(Bruker社の「AV−III HD 500」)を用いて、測定温度80℃、積算回数20000、DCHクライオプローブにて、13C−NMRスペクトルを得た。
得られたスペクトルから、ビニルアルコール系重合体中の主鎖のヒドロキシ基が隣接しないメチレン基のピーク(30〜50ppm)の積分値をbとし、トリアリルイソシアヌレートのカルボニル基由来のピーク(150〜155ppm)の積分値をaとし、トリアリルイソシアヌレートと共重合量したビニルアルコール系重合体中のトリアリルイソシアヌレートの共重合量X(モル%)を以下の式(1)から算出した。
X=((1/3)a/b)×100 ・・・(1)

0055

<フルイド・ロスの測定>
得られた各実施例及び比較例3のビニルアルコール系重合体並びに比較例1、2及び4のPVAのフルイド・ロス低減効果は、Chandler Engineering社製のフルイド・ロス試験機Model7120を用いて、米国石油協会(API)規格10B−2(2013年4月)のフルイド・ロス評価方法に従って測定した。油井セメントは、タイプGを使用し、フライアッシュ無添加、ベントナイト無添加の処方にて、セメントスラリー密度1900kg/m3、スラリーイールド0.758m3/トンの条件にて試験した。また、ビニルアルコール系重合体添加量は、評価温度20℃で0.25%bwoc、40℃で0.4%bwoc、60℃で0.6%bwoc、80℃で0.8%bwoc、100℃で0.8%bwocとした。また、40℃の条件では、セメントの硬化遅延剤としてリグニンスルホン酸類を0.2%bwoc、60℃以上の条件ではリグニンスルホン酸類を0.4%bwoc添加した。

0056

得られた結果を表1に示す。表中、多官能性単量体の「TAIC」はトリアリルイソシアヌレート、「AM」はアリルメタクリレートを表す。

0057

0058

表1から、本発明で得られたビニルアルコール系重合体を含有する油井セメント用添加剤は、高温下でも油井セメントのフルイド・ロスを大幅に低減することが可能であることが分かった。
実施例と比較例2,4の比較より、多官能性単量体を共重合させなかった場合、高温でのフルイド・ロス低減効果が十分ではないことが分かった。また、実施例と比較例3の比較より、多官能性単量体を共重合させた場合でも、ケン化度が高過ぎるとフルイド・ロス低減効果を発揮しないことが分かった。

実施例

0059

本発明は、以下の形態とすることもできる。
〔1〕ビニルエステル系単量体と多官能性単量体との共重合体のケン化物であり、ケン化度が70〜95モル%、かつ、粘度平均重合度が1000〜10000であるビニルアルコール系重合体を含有する、油井セメント用添加剤。
〔2〕前記多官能性単量体がカルボニル基又はアミド基を有する、〔1〕に記載の油井セメント用添加剤。
〔3〕前記多官能性単量体がトリアリルイソシアヌレートである、〔1〕又は〔2〕に記載の油井セメント用添加剤。
〔4〕前記ビニルアルコール系重合体中の多官能性単量体に由来する構造単位が、ビニルエステル系単量体に由来する構造単位100モル%に対し、0.001〜1.0モル%である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一つに記載の油井セメント用添加剤。
〔5〕前記ビニルアルコール系重合体の粒度は、75μm以下が30質量%以下、500μm以上が10質量%以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一つに記載の油井セメント用添加剤。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一つに記載の油井セメント用添加剤を0.01〜30%bwoc含有するセメントスラリー。

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