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技術 栽培システム及び栽培方法

出願人 ヤンマーグリーンシステム株式会社
発明者 金澤進一松尾圭一郎
出願日 2018年2月22日 (4年0ヶ月経過) 出願番号 2020-501925
公開日 2020年12月3日 (1年2ヶ月経過) 公開番号 WO2019-163056
状態 未査定
技術分野 水耕栽培
主要キーワード 湿度調節機 乾湿計 冷暖房器 管理目標 光強度調節 生育日数 積算温度 積算日射量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年12月3日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題・解決手段

本発明は、作物を容易かつ適切に生長させることができる栽培システムの提供を課題とする。本発明の一態様に係る栽培システムは、作物を活着させる培地部と、栽培液貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽内の栽培液の減少量に応じて上記貯留槽に栽培液を供給する供給機構と、上記培地部中の水分率を経時的に取得する水分率取得機構と、少なくとも上記水分率取得機構で取得される水分率を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御部とを備える。

概要

背景

作物栽培する場合、作業者は通常作物の生育具合を定期的に観察し、葉の大きさ等の樹姿を基に給水量や施肥量等を調整する。この従来の栽培方法では、作業者が自身の限られた経験や知識に基づいて給水量、施肥量等を判断している。しかしながら、この栽培方法によると、作業者が自身の経験又は知識に基づいて判断できないような場合や、作業者の熟練度が不十分な場合等には適切に対処できない場合がある。従って、この栽培方法によると、安定した収量を得られない場合がある。

そのため、今日では作業者個人の経験や知識に基づかないで作物を栽培することが可能な栽培方法が発案されている(特開2003−79215号公報参照)。

概要

本発明は、作物を容易かつ適切に生長させることができる栽培システムの提供を課題とする。本発明の一態様に係る栽培システムは、作物を活着させる培地部と、栽培液貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽内の栽培液の減少量に応じて上記貯留槽に栽培液を供給する供給機構と、上記培地部中の水分率を経時的に取得する水分率取得機構と、少なくとも上記水分率取得機構で取得される水分率を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御部とを備える。

目的

本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、作物を容易かつ適切に生長させることができる栽培システム及び栽培方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

作物活着させる培地部と、栽培液貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽内の栽培液の減少量に応じて上記貯留槽に栽培液を供給する供給機構と、上記培地部中の水分率を経時的に取得する水分率取得機構と、少なくとも上記水分率取得機構で取得される水分率を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御部とを備える栽培システム

請求項2

上記水分率が上記作物の根の先端近傍の値である請求項1に記載の栽培システム。

請求項3

上記作物を生育するのに適した上記生育情報に対応する最適生育情報を格納するデータベースをさらに備え、上記制御部が、上記最適生育情報に近づくように上記生育環境を制御する請求項1又は請求項2に記載の栽培システム。

請求項4

上記生育環境が、光強度、上記栽培液の肥料濃度風速、温度及び湿度の少なくともいずれか1つである請求項1、請求項2又は請求項3に記載の栽培システム。

請求項5

上記生育情報が、さらに積算日射量平均風速及び平均飽差の少なくともいずれか1つを含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の栽培システム。

請求項6

作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部とを備える栽培装置を用いた作物の栽培方法であって、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽内の栽培液の減少量に応じて上記貯留槽に栽培液を供給する栽培液供給工程と、上記培地部中の水分率を経時的に取得する水分率取得工程と、少なくとも上記水分率取得工程で取得される水分率を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御工程とを備える栽培方法。

請求項7

上記作物の活着後における培地部中の水分率の増加分をΔW[%]、上記作物の活着後における日中の水分率の増加分をΔWd[%・hr]、上記作物の活着後における上記作物への積算日射量をS[W・hr/m2]とした場合、上記制御工程で、ΔW=fS又はΔWd=fS(但し、fは正の係数)に近づくよう上記作物の生育環境を制御する請求項6に記載の栽培方法。

請求項8

上記作物が果菜類であり、上記栽培液供給工程、水分率取得工程及び制御工程を上記果菜類の活着時から果実肥大初期までの間通して行う請求項7に記載の栽培方法。

請求項9

上記制御工程でΔW=fSに近づくよう上記作物の生育環境を制御し、上記果実肥大初期において15≦ΔW≦25である請求項8に記載の栽培方法。

技術分野

0001

本発明は、栽培システム及び栽培方法に関する。

背景技術

0002

作物栽培する場合、作業者は通常作物の生育具合を定期的に観察し、葉の大きさ等の樹姿を基に給水量や施肥量等を調整する。この従来の栽培方法では、作業者が自身の限られた経験や知識に基づいて給水量、施肥量等を判断している。しかしながら、この栽培方法によると、作業者が自身の経験又は知識に基づいて判断できないような場合や、作業者の熟練度が不十分な場合等には適切に対処できない場合がある。従って、この栽培方法によると、安定した収量を得られない場合がある。

0003

そのため、今日では作業者個人の経験や知識に基づかないで作物を栽培することが可能な栽培方法が発案されている(特開2003−79215号公報参照)。

先行技術

0004

特開2003−79215号公報

0005

本発明の一態様に係る栽培システムは、作物を活着させる培地部と、栽培液貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽内の栽培液の減少量に応じて上記貯留槽に栽培液を供給する供給機構と、上記培地部中の水分率を経時的に取得する水分率取得機構と、少なくとも上記水分率取得機構で取得される水分率を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御部とを備える。

0006

本発明の他の一態様に係る栽培方法は、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部とを備える栽培装置を用いた作物の栽培方法であって、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽内の栽培液の減少量に応じて上記貯留槽に栽培液を供給する栽培液供給工程と、上記培地部中の水分率を経時的に取得する水分率取得工程と、少なくとも上記水分率取得工程で取得される水分率を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御工程とを備える。

図面の簡単な説明

0007

本発明の一実施形態に係る栽培システムを示す模式図である。
作物の活着後の生育日数と培地部中の水分率との関係を示すグラフである。
日中及び夜間の培地部中の水分率の変化を示すグラフである。
本発明の一実施形態に係る栽培方法を示すフロー図である。

実施例

0008

[本発明が解決しようとする課題]
上記公報に記載の作物の栽培方法は、塩素イオン及び硫酸イオン寄与率を加味した土壌溶液電気伝導度管理目標を算出し、土壌溶液中の電気伝導度がこの管理目標の範囲内に含まれるように肥料溶液の濃度及び液量を調節する。

0009

上記公報に記載の作物の栽培方法によると、土壌溶液中の電気伝導度を一定範囲内に調節することで土壌溶液中の栄養状態を一定に保つことができる。しかしながら、この栽培方法によると、作物のストレス緩和することはできるものの、作物の実際の生育状況に合わせて作物の生育環境を制御することは困難である。

0010

本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、作物を容易かつ適切に生長させることができる栽培システム及び栽培方法を提供することを課題とする。

0011

[本発明の効果]
本発明に係る栽培システム及び栽培方法は、作物を容易かつ適切に生長させることができる。

0012

[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。

0013

本発明の一態様に係る栽培システムは、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽内の栽培液の減少量に応じて上記貯留槽に栽培液を供給する供給機構と、上記培地部中の水分率を経時的に取得する水分率取得機構と、少なくとも上記水分率取得機構で取得される水分率を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御部とを備える。

0014

当該栽培システムは、予め定めた特定の生育環境を保つことを主眼とする従来のシステムとは異なり、上記水分率取得機構が上記培地部中の水分率を取得し、上記制御部がこの水分率を含む作物の実際の生育情報に基づいてこの作物の生育環境を制御するので作物を容易かつ適切に生長させることができる。

0015

上記水分率が上記作物の根の先端近傍の値であるとよい。このように、上記水分率が上記作物の根の先端近傍の値であることによって、上記作物の生育度合に基づいてこの作物をより適切に生長させることができる。

0016

当該栽培システムは、上記作物を生育するのに適した上記生育情報に対応する最適生育情報を格納するデータベースをさらに備え、上記制御部が、上記最適生育情報に近づくように上記生育環境を制御するとよい。このように、上記作物を生育するのに適した上記生育情報に対応する最適生育情報を格納するデータベースをさらに備え、上記制御部が、上記最適生育情報に近づくように上記生育環境を制御することで、上記作物をより容易かつ適切に生長させることができる。

0017

上記生育環境が、光強度、上記栽培液の肥料濃度風速、温度及び湿度の少なくともいずれか1つであるとよい。上記制御部によって光強度、上記栽培液の肥料濃度、風速、温度及び湿度の少なくともいずれか1つを制御することで、上記作物をより容易かつ適切に生長させることができる。

0018

上記生育情報が、さらに積算日射量平均風速及び平均飽差の少なくともいずれか1つを含むとよい。このように、上記生育情報が、上記水分率に加え、積算日射量、平均風速及び平均飽差の少なくともいずれか1つを含むことによって、上記作物を生長させるうえでより適切な生育情報を得ることができる。

0019

また、本発明の他の一態様に係る栽培方法は、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部とを備える栽培装置を用いた作物の栽培方法であって、上記貯留槽内の栽培液の水位が一定に保たれるよう上記貯留槽内の栽培液の減少量に応じて上記貯留槽に栽培液を供給する栽培液供給工程と、上記培地部中の水分率を経時的に取得する水分率取得工程と、少なくとも上記水分率取得工程で取得される水分率を含む生育情報に基づいて上記作物の生育環境を制御する制御工程とを備える。

0020

当該栽培方法は、上記水分率取得工程で上記培地部中の水分率を取得し、上記制御工程でこの水分率を含む作物の実際の生育情報に基づいてこの作物の生育環境を制御するので、作物を容易かつ適切に生長させることができる。

0021

当該栽培方法は、上記作物の活着後における培地部中の水分率の増加分をΔW[%]、上記作物の活着後における日中の水分率の増加分をΔWd[%・hr]、上記作物の活着後における上記作物への積算日射量をS[W・hr/m2]とした場合、上記制御工程で、ΔW=fS又はΔWd=fS(但し、fは正の係数)に近づくよう上記作物の生育環境を制御するとよい。このように、上記制御工程で、ΔW=fS又はΔWd=fSに近づくように上記作物の生育環境を制御することで、上記作物をより適切に生長させることができる。

0022

当該栽培方法は、上記作物が果菜類であり、上記栽培液供給工程、水分率取得工程及び制御工程を上記果菜類の活着時から果実肥大初期までの間通して行うとよい。このように、上記作物が果菜類であり、上記栽培液供給工程、水分率取得工程及び制御工程を上記果菜類の活着時から果実肥大初期までの間通して行うことで、上記作物を適切に生長させ、容易かつ確実に所望の収量を得ることができる。

0023

当該栽培方法は、上記制御工程でΔW=fSに近づくよう上記作物の生育環境を制御し、上記果実肥大初期において15≦ΔW≦25であることが好ましい。このように、上記果実肥大初期において、ΔWが上記範囲内であることによって、根腐れを抑制しつつ上記作物を十分に生長させることができる。

0024

なお、本発明において、「活着」とは、根付いて生長し始めることをいい、「活着時」とは、苗が根付いて生長し始める時期をいう。この「活着時」とは、例えば根からの吸液活発になることで生長点付近伸長本葉展開目視できるをいい、トマトについては育苗終了後5日目から14日目程度を意味する。「作物の根の先端近傍」とは、作物の根の先端からの距離が3.0cm以下、好ましくは1.0cm以下の領域をいう。また、この「作物の根」とは、好ましくは複数の根のうちで先端が最下位に位置する根をいう。

0025

[本発明の実施形態の詳細]
本発明の好適な実施形態について、以下に図面を参照しつつ説明する。

0026

[第一実施形態]
<栽培システム>
図1の栽培システムは、作物Pを活着させる培地部1と、栽培液Qを貯留する貯留槽2と、貯留槽2から培地部1に毛管現象により栽培液Qを流通する送液部3と、貯留槽2内の栽培液Qの水位が一定に保たれるよう貯留槽2内の栽培液Qの減少量に応じて貯留槽2に栽培液Qを供給する供給機構4と、培地部1中の水分率を経時的に取得する水分率取得機構5と、少なくとも水分率取得機構5で取得される水分率を含む生育情報に基づいて作物Pの生育環境を制御する制御部6と、培地部1、貯留槽2及び送液部3を支持する架台7とを備える。

0027

また、当該栽培システムは、上記生育情報に対応する作物Pを生育するのに適した最適生育情報を格納するデータベース8と、作物Pへの日射量を取得する日射量取得機構9と、作物Pの栽培空間の風速を取得する風速取得機構10と、作物Pの栽培空間の飽差を取得する飽差取得機構11と、作物Pへ照射される光強度を調節する光強度調節機構12と、作物Pに供給する栽培液Qの肥料濃度を調節する肥料濃度調節機構13と、作物Pの栽培空間の風速を調節する風速調節機構14と、作物Pの栽培空間の温度を調節する温度調節機構15と、作物Pの栽培空間の湿度を調節する湿度調節機構16とを備える。

0028

当該栽培システムは、室内空間を用いて作物Pを栽培するよう構成されていてもよく、屋外空間を用いて作物Pを栽培するよう構成されていてもよい。当該栽培システムが室内空間を用いたものである場合、「栽培空間」とは、この作物Pを栽培するために区画された室内空間をいう。また、当該栽培システムが屋外空間を用いたものである場合、「栽培空間」とは、圃場等によって画定される作物Pを栽培するために区画された空間をいう。

0029

当該栽培システムは、予め定めた特定の生育環境を保つことを主眼とする従来のシステムとは異なり、水分率取得機構5が培地部1中の水分率を取得し、制御部6がこの水分率を含む作物Pの実際の生育情報に基づいてこの作物Pの生育環境を制御するので作物Pを容易かつ適切に生長させることができる。当該栽培システムは、送液部3が毛管現象によって栽培液Qを培地部1に流通するものであり、より詳しくは培地部1及び送液部3を介して貯留槽2に貯留される栽培液Qを底面給水によって作物Pの根に供給するものである。当該栽培システムは、供給機構4によって貯留槽2内の栽培液Qの液量が一定に保たれるので、栽培液Qの液面と培地部1との距離は略不変である。そのため、当該栽培システムでは、貯留槽2から揚水されて培地部1中に含有される栽培液Qの水分量は略一定であり、培地部1中の水分率の多寡は作物Pの根の密度(根腐れしていない根の密度)に依存しており、換言すると作物Pの生育度合に依存している。そのため、当該栽培システムは、制御部6が水分率取得機構5で取得された水分率を含む作物Pの生育情報に基づいて作物Pの生育環境を制御することで、作物Pの生育度合に応じて作物Pを容易かつ適切に生長させることができる。

0030

〈作物〉
作物Pとしては、特に限定されるものではなく、例えば果菜類、根菜類葉菜類イネ科植物花菜類等が挙げられるが、培地部1中の含水率に基づいて適切に生長させやすい果菜類が好ましく、中でもトマトが特に好ましい。

0031

〈栽培液〉
栽培液Qは、水に肥料を配合したものである。この肥料は、雑菌繁殖することを抑制する観点から、化学肥料を含むことが好ましい。

0032

(培地部)
培地部1は、状の枠体1a内に複数の粒子1bが充填された構成を有する。培地部1は、枠体1aの長手方向に複数の作物Pを活着可能に構成されてもよく、1つの作物Pのみを活着可能に構成されてもよい。枠体1aは、長手方向と垂直方向の断面がU字状である。枠体1aは、透水性及び防根性を有する帯状透水シートによって構成されている。上記透水シートは、幅方向(長手方向と垂直な水平方向)の中心部を下方に弛ませた状態で幅方向の両端部が後述する一対の上側桁材7dに固定されている。なお、枠体1aは、必ずしも1枚の透水シートから構成される必要はなく、複数枚の透水シートが連続的又は断続的に配設されて構成されてもよい。

0033

枠体1aの素材としては、特に限定されるものではなく、例えば紙、織布、不織布等が挙げられる。

0034

枠体1aの平均厚さの下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、枠体1aの平均厚さの上限としては、5.0mmが好ましく、3.0mmがより好ましい。枠体1aの平均厚さが上記下限より小さいと、防根性が不十分となるおそれがある。逆に、枠体1aの平均厚さが上記上限を超えると、上記透水シートのコストが高くなり過ぎるおそれがある。なお、「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。

0035

複数の粒子1bは、枠体1a内に充填されて粒子層を構成する。粒子1bとしては、枠体1a内に充填されて毛管現象を発現するものであれば特に限定されないが、例えば土壌、パミスサンド等の微粒軽石多孔性火山岩粉砕粒、粒状のロックウールコーラルサンドサンゴ木炭等が挙げられる。これらは2種以上を混合して用いてもよい。中でも、良好な毛管現象が確保され、また不要になった場合に自然土に返せる観点から、土壌が好ましい。

0036

上記土壌としては、例えば市販の園芸用培土バーミキュライトベントナイトゼオライト、砂、鹿沼土赤玉土真砂土等が挙げられる。これらの中でも、作物Pの根病を発生し難い点から、一般的な培土に比べて有機物含量が低く微生物生息数も少ない砂が好ましい。

0037

粒子1bの粒子径の下限としては、0.10mmが好ましく、0.15mmがより好ましい。一方、粒子1bの粒子径の上限としては、1.0mmが好ましく、0.6mmがより好ましい。粒子1bの粒子径が上記下限に満たないと、栽培液Qを作物Pの根部に供給する領域の空隙部分が少なくなり過ぎて過湿となり、雑菌が繁殖し易くなるおそれがある。逆に、粒子1bの粒子径が上記上限を超えると、栽培液Qを作物Pの根部に供給する領域の空隙が大きくなり過ぎて毛管現象が弱くなり、所望される量の栽培液Qを作物Pの根部に供給できなくなるおそれがある。なお、「粒子径」とは、JIS−Z8801−1:2006に規定されるを用い、目開きの大きい篩から順に粒子をかけて篩上の粒子数と各篩の目開きとから算出される粒子の平均径である。

0038

(貯留槽)
貯留槽2は、後述の栽培液槽4aから供給される栽培液Qを一時貯留する。貯留槽2は枠体1bの下方に配設されている。貯留槽2は樋状に形成されている。貯留槽2の長手方向と枠体1bの長手方向とは平行である。貯留槽2は、上端に帯状の開口を有する上部2aと、この上部2aの下端から下方に連続して設けられ、栽培液Qを貯留する下部2bとを有する。下部2bは上部2aよりも内部平均幅が小さい。

0039

貯留槽2の主構成材料としては、例えば金属、セラミック樹脂等が挙げられ、軽量な点で樹脂が好ましい。また、上記樹脂としては、例えばABS樹脂AES樹脂、ASA樹脂ポリスチレンポリエステルポリ塩化ビニルポリメタクリル樹脂ポリカーボネートポリエチレンポリプロピレンポリアミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。

0040

(送液部)
送液部3はシート体である。送液部3の具体的な平面形状は特に限定されないが、例えば矩形状、好ましくは長方形状である。送液部3は、一端、好ましくは短手方向の一端、が貯留槽2に貯留される栽培液Q中に浸漬している。また、送液部3は、他端側(栽培液Q中に浸漬される側と反対側)の一部が枠体1aの底部と当接している。これにより、貯留槽2に貯留される栽培液Qを毛管現象により揚水し、枠体1aの底部に供給可能に構成されている。

0041

送液部3の材質としては、毛管現象により栽培液Qを揚水し、この栽培液Qを枠体1aの底部に供給できるものであれば特に限定されないが、例えば不織布、ロックウール、フェルトポリウレタン等の合成樹脂などが挙げられる。中でも、適度な毛管現象の発現及び適切な吸水率を発揮できる点から不織布が好ましい。

0042

送液部3の透水率の下限としては、0.01%が好ましく、1.00%がより好ましい。一方、送液部3の透水率の上限としては、40%が好ましく、30%がより好ましい。上記透水率が上記下限に満たないと、枠体1aの底部に供給される栽培液Qの量が不十分となるおそれがある。逆に、上記透水率が上記上限を超えると、送液部3に要するコストが不要に高くなるおそれがある。なお、「透水率」とは、平面状の送液部の表面から水を散布した際に送液部の裏面へ通過した水の比率を意味する。

0043

送液部3の厚さの下限としては、0.5mmが好ましく、0.7mmがより好ましい。一方、送液部3の厚さの上限としては、2.0mmが好ましく、1.5mmがより好ましい。送液部3の厚さが上記下限より小さいと、送液部3の強度が不十分となり破断するおそれがある。逆に、送液部3の厚さが上記上限を超えると、送液部3に要するコストが不要に高くなるおそれがある。

0044

送液部3の揚水高さの下限としては、3cmが好ましく、10cmがより好ましく、20cmがさらに好ましい。一方、送液部3の揚水高さの上限としては、300cmが好ましく、200cmがより好ましく、40cmがさらに好ましい。送液部3の揚水高さが上記下限より小さいと、枠体1aの底部に供給される栽培液Qの量が不十分となるおそれがある。逆に、送液部3の揚水高さが上記上限を超えると、送液部3に要するコストが不要に高くなるおそれがある。なお、「揚水高さ」とは、以下の手法により測定される値をいう。まず、送液部を幅4cm、長さ120cmに切断したシートを平均厚さ0.03mmのポリエチレンフィルム被覆熱圧着で袋状としたフィルムにシートを挿入して周りを被覆)したものを測定サンプルとし、鉛直に測定サンプルを吊り下げられるようにした架台にセットする。このとき、上部及び下部を5cm開放して液面に接しておくようにする。そして、24時間で液面から揚水した高さを5回測定し、これらの平均値を揚水高さとする。

0045

(供給機構)
供給機構4は、栽培液Qを貯留する栽培液槽4aと、栽培液槽4aに貯留される栽培液Qを貯留槽2に圧送可能なポンプ4bと、貯留槽2の水位を検出するセンサ4cと、貯留槽2における栽培液Qの水位が一定以下である場合に栽培液槽4aから貯留槽2に栽培液Qを供給するようにポンプ4bを駆動すると共に、貯留槽2における栽培液Qの水位が一定以上となった場合にポンプ4bの駆動を停止する駆動制御部4dとを有する。当該栽培システムは、毛管現象によって栽培液Qを培地部1に流通するので、貯留槽2内の栽培液Qの減少量を作物Pの吸液量と一致させることができる。

0046

〈栽培液槽〉
栽培液槽4aは、貯留槽2に供給される栽培液Qを貯留する。栽培液槽4aは、例えばポリエチレン等の合成樹脂を主成分とする容器である。なお、「主成分」とは質量換算で最も含有量の多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。

0047

〈センサ〉
センサ4cは、所定間隔で経時的に貯留槽2の水位を検出する。センサ4cによる水位の検出間隔としては、特に限定されないが、例えば1秒以上60秒以下の一定間隔とすることができる。センサ4cの種類としては、貯留槽2の水位を経時的に検出することができる限り特に限定されるものではなく、光学式フロート式静電容量式超音波式等のレベルセンサを用いることができる。

0048

〈駆動制御部〉
駆動制御部4dは、センサ4cで検出された貯留槽2の水位を基にポンプ4bを駆動制御する。駆動機構4dは、貯留槽2の水位の変化を容量に換算したうえでこの容量分の栽培液Qを貯留槽2に供給するようポンプ4bを駆動制御するよう構成されてもよく、センサ4cで検出される貯留槽2の水位が一定になるまでポンプ4bを駆動制御するよう構成されてもよい。

0049

(水分率取得機構)
水分率取得機構5は、例えば水分センサによって構成される。水分率取得機構5は、例えば栽培期間中の各日の所定の時間(例えば日中又は夜間)の培地部1中の水分率を取得する。上記水分センサの種類としては、特に限定されるものではないが、例えば培地部1中の誘電率に基づいて水分率を算出するものを用いることができる。

0050

水分率取得機構5によって取得される水分率は、作物Pの根の先端近傍の値であることが好ましい。これにより、水分率取得機構5によって取得される水分率は、作物Pの根の含水率をより反映したものとなる。作物Pの根の含水率は作物Pの根の密度と略比例するため、当該栽培システムは、水分率取得機構5が作物Pの根の先端近傍の水分率を取得することで、作物Pの生育度合に基づいてこの作物Pをより適切に生長させることができる。

0051

〔作物の根の生育状況のモニタリング
当該栽培装置は、作物Pの根の生育状況をモニタリング可能に構成されている。当該栽培装置においては、上述のように、貯留槽2から揚水されて培地部1中に含有される栽培液Qの水分量は略一定である。一方、作物Pの根は、この作物Pの葉が太陽光を受ける日中に太陽光量に応じて吸液する。この際、作物Pの根の含水率は、吸液活動の大きさに応じて増加する。そのため、当該栽培装置では、培地部1中の水分率の変化は作物Pの根の含水率の変化に対応する。作物Pの根の含水率の増減は、作物Pの根の量と根の活動の大きさとに依存するため、培地部1中の含水率に基づいて作物Pの根の総量及び健康状態を把握することができる。

0052

図2に、作物Pとしてトマトを用いた場合の作物Pの活着後の生育日数と培地部中の水分率との関係の一例を示す。作物Pの活着時の所定時間(図2では夜間)における培地部1中の水分率をW0[%]、水分率取得機構5によって取得される作物Pの栽培期間中の上記所定時間(夜間)における培地部1中の水分率をWt[%]とし、Wt−W0によって算出される作物Pの活着後における培地部1中の水分率の増加分ΔW[%]とした場合、ΔWは生育日数に対応して増加しており、このΔWによって作物Pの根の総量及び健康状態、ひいては作物Pの根の生育状況を把握することができる。

0053

また、図3に、作物Pとしてトマトを用いた場合の作物Pの活着後における日中及び夜間の培地部1中の水分率の変化の一例を示す。図3に示すように、日中及び夜間では作物Pの根の吸液活動に応じて培地部1中の水分率が1%程度変化している。水分率取得機構5によって取得される作物Pの活着後の夜間における培地部1中の水分率をWn[%]、水分率取得機構5によって取得される日の出から日の入りまでの培地部1中の水分率をWs[%]とし、Ws−Wnの積分値として算出される培地部1中の日中の水分率の増加分ΔWd[%・hr]とした場合、ΔWdによって作物Pの根の日々の健康状態を把握することができる。

0054

(データベース)
データベース8は、培地部1中の水分率、日射量、風速及び飽差の少なくともいずれか1つに基づく最適生育情報を格納する。例えばデータベース8は、作物Pの活着時の所定時間(例えば日中又は夜間)における培地部1中の水分率をW0[%]、水分率取得機構5によって取得される作物Pの活着後の上記所定時間における培地部1中の水分率をWt[%]、Wt−W0によって算出される作物Pの活着後における培地部1中の水分率の増加分ΔW[%]、作物Pの生育日数をM[日]とした場合、ΔW=nM(但し、nは正の定数)によって求められる最適生育情報を格納する。また、データベース8は、水分率取得機構5によって取得される作物Pの夜間の培地部1中の水分率をWn[%]、日の出から日の入りまでの培地部1中の水分率をWs[%]、Ws−Wnの積分値として算出される作物Pの各日毎の日中の水分率の増加分ΔWd[%・hr]とした場合、ΔWd=nM(但し、nは正の定数)によって求められる最適生育情報を格納してもよい。中でも、データベース8は、培地部1中の水分率、積算日射量及び平均飽差に基づく最適生育情報を格納することが好ましい。具体的には、データベース8は、日射量計によって求められる作物Pの活着後における作物Pへの積算日射量をS[W・hr/m2]、作物Pの活着後における平均温度及び平均湿度によって求められる上記栽培空間における平均飽差をD[g/m3]とし、作物Pの生長指標をGとした場合、G=ΔW/(SαDβ)又はG=ΔWd(SαDβ)(但し、α及びβは定数)で算出される最適生育情報を格納することが好ましい。また、データベース8は、培地部1中の水分率、積算日射量、平均風速及び平均飽差に基づく最適生育情報を格納することも好ましい。具体的には、風速計によって求められる上記栽培空間における作物Pの活着後における平均風速をC[m/s]とした場合、G=ΔW/(SαDβCγ)又はG=ΔWd/(SαDβCγ)(但し、α、β及びγは定数)で算出される最適生育情報を格納することも好ましい。なお、上記最適生育情報は、作物Pの種類毎に設定されてもよく、さらに作物Pの生長段階に応じて設定されてもよい。例えば作物Pがトマトである場合、作物Pの生長段階は、栽培期間の各日の平均温度を積算して求められる積算温度を基に定めることが可能である。具体的には、播種日から起算した積算温度が1000℃となった時点を第1花房開花期、1210℃となった時点を第2花房開花期と規定することが可能である。また、上記「平均温度」、「平均湿度」及び「平均風速」とは、活着時以降における各日の温度、湿度及び風速の平均値を平均した値であってもよく、活着時以降の各日の作物Pへの日射時間(例えば日中)における温度、湿度及び風速の平均値を平均した値であってもよい。

0055

(制御部)
制御部6は、CPUと、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリとを含んで構成される。制御部6は、上述のように水分率取得機構5で取得される培地部1中の水分率を含む生育情報に基づいて作物Pの生育環境を制御する。制御部6は、データベース8に格納される最適生育情報に近づくように作物Pの生育環境を制御する。

0056

制御部6は、水分率取得機構5で取得される水分率のみに基づいて作物Pの生育環境を制御してもよい。この場合、当該栽培システムは、例えばデータベース8が、上述のようにΔW=nM又はΔWd=nMによって求められる最適生育情報を格納し、制御部6が培地部1中の水分率が上記最適生育情報に近づくように作物Pの生育環境を制御すればよい。

0057

一方、制御部6は、水分率取得機構5で取得される水分率に加え、積算日射量、平均風速及び平均飽差の少なくともいずれか1つに基づいて作物Pの生育環境を制御することが好ましい。中でも、制御部6は、積算日射量及び平均飽差の両方に基づいて作物Pの生育環境を制御することがより好ましく、積算日射量、平均風速及び平均飽差の全てに基づいて作物Pの生育環境を制御することがさらに好ましい。つまり、上記生育情報は、上記水分率に加え、積算日射量、平均風速及び平均飽差の少なくともいずれか1つを含むことが好ましく、積算日射量及び平均飽差の両方を含むことがより好ましく、積算日射量、平均風速及び平均飽差の全てを含むことがさらに好ましい。制御部6が積算日射量に基づいて作物Pの生育環境を制御する場合、制御部6は、上述のように作物Pの活着後における培地部1中の水分率の増加分をΔW[%]、作物の活着後における各日毎の日中の水分率の増加分をΔWd[%・hr]、日射量計によって求められる作物Pの活着後における作物Pへの積算日射量をS[W・hr/m2]とした場合、ΔW=fS又はΔWd=fS(但し、fは正の係数)に近づくように作物Pの生育環境を制御することが好ましい。当該栽培システムにおいて、培地部1中の水分率は培地部1中における作物Pの根の密度に比例する。そのため、当該栽培システムは、培地部1中の水分率の増加分ΔWを観察対象として用いるのみでなく、制御対象として制御することで作物Pの生長を適切に制御することができる。具体的には、上記生育情報が積算日射量及び平均飽差の両方を含む場合、当該栽培システムは、データベース8が、上述のようにG=ΔW/(SαDβ)又はG=ΔWd(SαDβ)で算出される最適生育情報を格納し、制御部6が上記生育情報を上記最適生育情報と比較し、上記生育情報が上記最適生育情報に近づくように作物Pの生育環境を制御することが好ましい。また、上記生育情報が積算日射量、平均風速及び平均飽差の全てを含む場合、当該栽培システムは、データベース8が、上述のようにG=ΔW/(SαDβCγ)又はG=ΔWd/(SαDβCγ)で算出される最適生育情報を格納し、制御部6が上記生育情報を上記最適生育情報と比較し、上記生育情報が上記最適生育情報に近づくように作物Pの生育環境を制御することが好ましい。

0058

当該栽培システムは、データベース8が上記生育情報に対応する作物Pを生育するのに適した最適生育情報を格納し、制御部6が上記最適生育情報に近づくように上記生育環境を制御することで、作物Pをより容易かつ適切に生長させることができる。

0059

また、当該栽培システムは、上記生育情報が、水分率取得機構5で取得される水分率に加え、積算日射量、平均風速及び平均飽差の少なくともいずれか1つを含むことによって、外的環境条件を加味した作物Pを生長させるうえでより適切な生育情報を得ることができる。

0060

制御部6によって制御する上記生育環境は、光強度、栽培液Qの肥料濃度、風速、温度及び湿度の少なくともいずれか1つであるとよい。上記生育環境は、例えば1日毎の光強度、栽培液Qの肥料濃度、風速、温度及び湿度であってもよく、活着時等、特定の時期を始期とする積算光強度、積算肥料濃度、積算風速、積算温度及び積算湿度であってもよい。制御部6は、後述の日射量取得機構9によって作物Pへの日射量情報を取得し、風速取得機構10によって上記栽培空間の風速情報を取得し、飽差取得機構11によって上記栽培空間の飽差情報を取得可能に構成されている。また、制御部6は、後述の光強度調節機構12を制御することで作物Pに照射する光の光強度を制御し、肥料濃度調節機構13を制御することで栽培液Qの肥料濃度を制御し、風速調節機構14を制御することで上記栽培空間の風速を制御し、温度調節機構15を制御することで上記栽培空間の温度を制御し、湿度調節機構16を制御することで上記栽培空間の湿度を制御可能に構成されている。制御部6は、例えばデータベース8に格納される上記最適生育情報に対し、積算日射量が過剰又は不足する場合には上記最適生育情報に近づくように光強度調節機構12を制御する。また、制御部6は、上記最適生育情報に対し、培地部1中の水分率が過剰又は不足する場合には上記最適生育情報に近づくように肥料濃度調節機構13を制御する。また、制御部6は、上記最適生育情報に対し、平均風速が過剰又は不足する場合には上記最適生育情報に近づくように風速調節機構14を制御する。また、制御部6は、上記最適生育情報に対し、平均飽差が過剰又は不足する場合には上記最適生育情報に近づくように温度調節機構15及び/又は湿度調節機構16を制御する。当該栽培システムは、制御部6によって光強度、栽培液Qの肥料濃度、風速、温度及び湿度の少なくともいずれか1つを制御することで、作物Pを容易かつ適切に生長させることができる。

0061

(架台)
架台7は、枠体1aの幅方向両側にこの枠体1aの長手方向に沿って立設される複数対の支柱7aと、枠体1aの幅方向に延在し、各対の支柱7aにそれぞれ連結される上側桟材7b及び下側桟材7cと、枠体1aの長手方向に延在し、複数の上側桟材7bに連結される互いに平行な一対の上側桁材7dと、枠体1aの長手方向に延在し、複数の下側桟材7cに連結される互いに平行な一対の下側桁材7eとを含む。一対の上側桁材7dは、枠体1aの幅方向の両端部をこの枠体1aの長手方向に沿って固定している。具体的には、一対の上側桁材7dは、枠体1aの幅方向の両端部をC字状の固定部材(不図示)との間に挟み込むことで枠体1aを固定している。一対の下側桁材7eは、送液部3を介在させた状態で枠体1aを下方から支持している。各下側桟材7dは、貯留槽2の上部2aを幅方向に貫通しており、これにより貯留槽2に連結されている。

0062

(日射量取得機構)
日射量取得機構9としては、作物Pに照射される日射量を取得可能な公知の器具を用いることができ、例えば照度計を用いることができる。

0063

(風速取得機構)
風速取得機構10としては、上記栽培空間における風速を測定可能な公知の器具を用いることができ、例えば風速計を用いることができる。風速取得機構10は、上記栽培空間の複数個所で測定した風速の平均値を上記栽培空間の風速として求めてもよく、上記栽培空間の任意の1点の風速を上記栽培空間の風速として求めてもよい。

0064

(飽差取得機構)
飽差取得機構11としては、上記栽培空間における飽差を直接取得可能な器具を用いてもよいし、温度及び相対湿度計測し、これらの値から飽差を間接的に取得するものでもよい。相対湿度を計測する湿度計としては、公知のものが使用でき、例えば乾湿計を用いることができる。なお、飽差取得機構11は、上記栽培空間の複数個所で測定した飽差の平均値を上記栽培空間の飽差として求めてもよく、上記栽培空間の任意の1点の飽差を上記栽培空間の飽差として求めてもよい。

0065

(光強度調節機構)
光強度調節機構12は、制御部6の制御に基づいて作物Pへ照射される光の光強度を調節可能に構成されている。光強度調節機構12としては、例えば遮光カーテン等の遮光部材が挙げられる。

0066

(肥料濃度調節機構)
肥料濃度調節機構13は、制御部6の制御に基づいて作物Pに供給する栽培液Qの肥料濃度を調節可能に構成されている。肥料濃度調節機構13は、例えば栽培液槽4aに貯留される栽培液Qの肥料濃度を調節するものであってもよく、栽培液槽4aから排出された栽培液Qの肥料濃度を調節するものであってもよい。また、肥料濃度調節機構13は、栽培液Qにおける水量を調節することで肥料濃度を調節するものであってもよく、栽培液Qにおける肥料の含有量を調節することで肥料濃度を調節するものであってもよい。

0067

(風速調節機構)
風速調節機構14は、制御部6の制御に基づいて上記栽培空間の風速を調節可能に構成されている。風速調節機構14としては、例えば当該栽培システムが室内空間を用いたものである場合、天窓側窓等、屋外に連通する窓の開閉機構循環ファンが挙げられる。

0068

制御部6によって制御する上記栽培空間の風速の下限としては、0.2m/sが好ましく、0.3m/sがより好ましい。一方、制御部6によって制御する上記栽培空間の風速の上限としては、1.0m/sが好ましく、0.5m/sがより好ましい。上記風速が上記下限に満たないと、風速が不十分のため植物Pの光合成量が不十分となるおそれがある。逆に、上記風速が上記上限を超えると、植物Pの乾燥に起因して果実の収量が不十分となるおそれがある。

0069

(温度調節機構)
温度調節機構15は、制御部6の制御に基づいて上記栽培空間の温度を調節可能に構成されている。温度調節機構15としては、例えばスプリンクラーミスト発生器送風ファン等が挙げられる。また、温度調節機構15としては、当該栽培システムが室内空間を用いたものである場合、ヒートポンプ等の冷暖房器、窓の開閉機構等を用いることも可能である。

0070

(湿度調節機構)
湿度調節機構16は、制御部6の制御に基づいて上記栽培空間の湿度を調節可能に構成されている。湿度調節機構16としては、例えば上述の遮光カーテン、スプリンクラー、ミスト発生器、送風ファン、窓の開閉機構等が挙げられる。

0071

<栽培方法>
次に、図4を参照して本発明の一実施形態に係る栽培方法について説明する。当該栽培方法は、図1の栽培システムを用いて好適に実施することができる。そのため、以下では図1の栽培システムを用いる場合について説明する。

0072

当該栽培方法は、作物Pを活着させる培地部1と、栽培液Qを貯留する貯留槽2と、貯留槽2から培地部1に毛管現象により栽培液Qを流通する送液部3とを備える栽培装置を用いた栽培方法であって、貯留槽2内の栽培液Qの水位が一定に保たれるよう貯留槽2内の栽培液Qの減少量に応じて貯留槽2に栽培液Qを供給する栽培液供給工程(S01)と、培地部1中の水分率を経時的に取得する水分率取得工程(S2)と、少なくとも水分率取得工程(S02)で取得される水分率を含む生育情報に基づいて作物Pの生育環境を制御する制御工程(S03)とを備える。

0073

当該栽培方法では、貯留槽2から揚水されて培地部1中に含有される栽培液Qの水分量は略一定であり、培地部1中の水分率の多寡は作物Pの根の含水率に依存する。また、作物Pの根の含水率は、作物Pの根の大小に依存しており、換言すると作物Pの生育度合に依存している。そのため、当該栽培方法は、制御工程(S03)で、水分率取得工程(S02)で取得された水分率を含む作物Pの実際の生育情報に基づいて作物Pの生育環境を制御するので、作物Pを容易かつ適切に生長させることができる。

0074

〈作物〉
当該栽培方法で栽培可能な作物Pとしては、図1の栽培システムと同様、例えば果菜類、根菜類、葉菜類、イネ科植物、花菜類等が挙げられるが、根の含水率に基づいて適切に生長させやすい果菜類が好ましく、中でもトマトが特に好ましい。

0075

〈栽培液〉
当該栽培方法で使用可能な栽培液Qとしては、図1の栽培システムと同様、水に肥料を配合したものを用いることができる。

0076

(栽培液供給工程)
S01は、供給機構4によって行われる。S01では、センサ4cによって所定間隔で経時的に貯留槽2の水位を検出する。また、S01では、センサ4cで検出された貯留槽2の水位を基に貯留槽2の水位が一定に保たれるよう駆動制御部4dによってポンプ4bを駆動制御する。S01では、貯留槽2の水位の変化を容量に換算したうえでこの容量分の栽培液Qを貯留槽2に供給するようポンプ4bを駆動制御してもよく、センサ4cで検出される貯留槽2の水位が一定になるまでポンプ4bを駆動制御してもよい。

0077

(水分率取得工程)
S02は、水分率取得機構5によって行われる。S02では、例えば栽培期間中の各日の所定の時間(例えば日中)の培地部1中の水分率を取得する。S02では、作物Pの根の先端近傍の水分率を取得することが好ましい。

0078

(制御工程)
S03は、制御部6によって行われる。S03では、S02で取得される水分率のみに基づいて作物Pの生育環境を制御してもよい。この場合、S03では、例えばデータベース8に格納され、作物Pの生育日数をM[日]、S02で取得される作物Pの活着後の所定時間(例えば日中又は夜間)における培地部1中の水分率の増加分をΔW[%]とした場合、ΔW=nM(但し、nは正の定数)によって求められる最適生育情報に近づくように作物Pの生育環境を制御すればよい。また、S03では、データベース8に格納され、作物Pの生育日数をM[日]、S02で取得される作物Pの各日毎の日中の水分率の増加分をΔWd[%・hr]とした場合、ΔWd=nM(但し、nは正の定数)によって求められる最適生育情報に近づくように作物Pの生育環境を制御してもよい。

0079

一方、S03では、S02で取得される水分率に加え、積算日射量、平均風速及び平均飽差の少なくともいずれか1つに基づいて作物Pの生育環境を制御することが好ましい。中でも、S03では、積算日射量及び平均飽差の両方に基づいて作物Pの生育環境を制御することがより好ましく、積算日射量、平均風速及び平均飽差の全てに基づいて作物Pの生育環境を制御することがさらに好ましい。つまり、上記生育情報は、上記水分率に加え、積算日射量、平均風速及び平均飽差の少なくともいずれか1つを含むことが好ましく、積算日射量及び平均飽差の両方を含むことがより好ましく、積算日射量、平均風速及び平均飽差の全てを含むことがさらに好ましい。S03で積算日射量に基づいて作物Pの生育環境を制御する場合、S03では、上述のように作物Pの活着後における培地部1中の水分率の増加分をΔW[%]、作物Pの活着後における各日毎の日中の水分率の増加分をΔWd[%・hr]、日射量計によって求められる作物Pの活着後における作物Pへの積算日射量をS[W・hr/m2]とした場合、ΔW=fS又はΔWd=fS(但し、fは正の係数)に近づくように作物Pの生育環境を制御することが好ましい。具体的には、上記生育情報が積算日射量及び平均飽差の両方を含む場合、S03では、データベース8に格納され、作物Pの活着後における平均温度及び平均湿度によって求められる上記栽培空間における平均飽差をD[g/m3]とし、作物Pの生長指標をGとした場合、G=ΔW/(SαDβ)又はG=ΔWd(SαDβ)(但し、α及びβは定数)で算出される最適生育情報に近づくように作物Pの生育環境を制御することができる。また、上記生育情報が積算日射量、平均風速及び平均飽差の全てを含む場合、S03では、データベース8に格納され、風速計によって求められる上記栽培空間における作物Pの活着時以降の平均風速をC[m/s]とした場合、G=ΔW/(SαDβCγ)又はG=ΔWd/(SαDβCγ)(但し、α、β及びγは定数)で算出される最適生育情報に近づくように作物Pの生育環境を制御することができる。

0080

S03で制御する上記生育環境は、光強度、栽培液Qの肥料濃度、風速、温度及び湿度の少なくともいずれか1つであるとよい。上記生育環境は、例えば1日毎の光強度、栽培液Qの肥料濃度、風速、温度及び湿度であってもよく、活着時等、特定の時期を始期とする積算光強度、積算肥料濃度、積算風速、積算温度及び積算湿度であってもよい。

0081

実施時期
当該栽培方法は、栽培液供給工程(S01)、水分率取得工程(S02)及び制御工程(S03)を果菜類の活着時から果実肥大初期の間通して行うことが好ましい。本発明者らの知見によると、果菜類の果実の品質及び収量は活着時から果実肥大初期までの生育環境の影響を受けやすい。そのため、S01〜S03を果菜類の活着時から果実肥大初期までの間通して行うことによって、作物Pを適切に生長させ、容易かつ確実に所望の収量を得ることができる。なお、「果実肥大初期」とは、第1果房に着果した果実の肥大初期をいう。

0082

上記果実肥大初期におけるΔWの下限としては、15が好ましく、18がより好ましい。一方、上記果実肥大初期におけるΔWの上限としては、25が好ましく、22がより好ましい。上記ΔWが上記下限に満たないと、培地部1中における作物Pの根の密度を十分に高くすることができず、作物Pの生長を十分に促進することができないおそれがある。逆に、上記ΔWが上記上限を超えると、培地部1中において作物Pの密度が高くなり過ぎて根腐れを生じるおそれがある。

0083

[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。

0084

例えば培地部、貯留槽、送液部、供給機構、架台等、当該栽培システムの具体的構造は上記実施形態に記載の構成に限定されるものではない。

0085

当該栽培システムは、必ずしも作物を生育するのに適した最適生育情報を格納するデータベースを有する必要はない。また、当該栽培システムは、上記データベースを有する場合でも、制御部が上記最適生育情報に近づくように生育環境を制御しなくてもよい。上記制御部は、例えば果実の収穫時期を意図的に遅くしたり、果実の品質を高めるため、敢えて生育速度を遅らせるよう作物の生育環境を制御してもよい。

0086

1培地部
1a枠体
1b粒子
2貯留槽
2a 上部
2b 下部
3 送液部
4供給機構
4a栽培液槽
4bポンプ
4cセンサ
4d駆動制御部
5水分率取得機構
6 制御部
7架台
7a支柱
7b 上側桟材
7c 下側桟材
7d 上側桁材
7e 下側桁材
8データベース
9日射量取得機構
10風速取得機構
11飽差取得機構
12光強度調節機構
13肥料濃度調節機構
14風速調節機構
15温度調節機構
16湿度調節機構
P作物
Q 栽培液

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