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技術 栽培方法及び栽培装置

出願人 ヤンマーグリーンシステム株式会社
発明者 金澤進一松尾圭一郎
出願日 2018年1月22日 (4年1ヶ月経過) 出願番号 2019-565687
公開日 2020年11月19日 (1年3ヶ月経過) 公開番号 WO2019-142363
状態 未査定
技術分野 水耕栽培 潅水
主要キーワード 伸長具 上下方向距離 空気含有率 毛管水 粉砕粒 側桁材 伸長領域 主構成材料
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年11月19日)のものです。
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図面 (3)

課題・解決手段

本発明は、作物根腐れを抑制し、毛管水栽培によって安定した収量を得ることが可能な栽培方法の提供を課題とする。本発明に係る栽培方法は、複数の粒子を含む粒子層を有し、作物を活着させる培地部と、栽培液貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部とを備える栽培装置を用いた作物の栽培方法であって、上記貯留槽内の栽培液の水位変動制御する水位制御工程を備える。

概要

背景

毛管水栽培では、作物活着させる培地部の毛管現象を利用して、貯留槽貯留される栽培液を作物の根に供給する。この毛管現象を利用した栽培装置としては、貯留槽中に浸漬されると共に培地部の底面に当接する透水性シートによって貯留槽中の栽培液を培地部の底部に供給するものが公知である(特開平9−56258号公報参照)。

概要

本発明は、作物の根腐れを抑制し、毛管水耕栽培によって安定した収量を得ることが可能な栽培方法の提供を課題とする。本発明に係る栽培方法は、複数の粒子を含む粒子層を有し、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部とを備える栽培装置を用いた作物の栽培方法であって、上記貯留槽内の栽培液の水位変動制御する水位制御工程を備える。

目的

本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、作物の根腐れを抑制し、毛管水耕栽培によって安定した収量を得ることが可能な栽培方法及び栽培装置の提供を課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

複数の粒子を含む粒子層を有し、作物活着させる培地部と、栽培液貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部とを備える栽培装置を用いた作物の栽培方法であって、上記貯留槽内の栽培液の水位変動制御する水位制御工程を備える栽培方法。

請求項2

上記水位制御工程で、上記水位を一定幅で反復的に変動させる請求項1に記載の栽培方法。

請求項3

上記水位制御工程で、上記水位が一定以下になった場合に上記貯留槽に減少分の液量を供給する請求項2に記載の栽培方法。

請求項4

上記水位の変動幅が2cm以上10cm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の栽培方法。

請求項5

上記粒子層の厚さが上記水位の変動幅以上である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の栽培方法。

請求項6

複数の粒子を含む粒子層を有し、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位を変動制御する水位制御部とを備える栽培装置。

請求項7

上記水位制御部が、第1の高さ位置で上記貯留槽内の栽培液の水位を検出する第1水位センサと、第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置で上記貯留槽内の栽培液の水位を検出する第2水位センサと、上記栽培液の水位が第2の高さ位置以下になった場合に第1の高さ位置まで栽培液を供給する栽培液供給機構とを有する請求項6に記載の栽培装置。

技術分野

0001

本発明は、栽培方法及び栽培装置に関する。

背景技術

0002

毛管水栽培では、作物活着させる培地部の毛管現象を利用して、貯留槽貯留される栽培液を作物の根に供給する。この毛管現象を利用した栽培装置としては、貯留槽中に浸漬されると共に培地部の底面に当接する透水性シートによって貯留槽中の栽培液を培地部の底部に供給するものが公知である(特開平9−56258号公報参照)。

先行技術

0003

特開平9−56258号公報

0004

本発明の一態様に係る栽培方法は、複数の粒子を含む粒子層を有し、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部とを備える栽培装置を用いた作物の栽培方法であって、上記貯留槽内の栽培液の水位変動制御する水位制御工程を備える。

0005

また、本発明の他の一態様に係る栽培装置は、複数の粒子を含む粒子層を有し、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位を変動制御する水位制御部とを備える。

図面の簡単な説明

0006

本発明の一実施形態に係る栽培装置を示す模式図である。
実施例及び比較例における果実糖度推移を示すグラフである。

0007

[本発明が解決しようとする課題]
本発明者らが鋭意検討したところ、上記公報に記載の栽培装置によると、培地部中で作物の根が密集することで根腐れが生じ、安定した収量を得難いことが分かった。また、根腐れが生じる原因として、培地部中の水分と空気とのバランスが保たれる領域に作物の根が集中的に伸長することで、この領域における根の密度が高くなり過ぎていることが分かった。

0008

本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、作物の根腐れを抑制し、毛管水耕栽培によって安定した収量を得ることが可能な栽培方法及び栽培装置の提供を課題とする。

0009

[本発明の効果]
本発明に係る栽培方法及び栽培装置は、作物の根腐れを抑制し、安定した収量を得ることができる。

0010

[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。

0011

本発明の一態様に係る栽培方法は、複数の粒子を含む粒子層を有し、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部とを備える栽培装置を用いた作物の栽培方法であって、上記貯留槽内の栽培液の水位を変動制御する水位制御工程を備える。

0012

当該栽培方法は、貯留槽内の栽培液の水位を変動制御する水位制御工程を備えるので、作物の根の密集を抑制することができる。これにより、当該栽培方法は、作物の根腐れを抑制し、安定した収量を得ることができる。

0013

当該栽培方法は、上記水位制御工程で上記水位を一定幅で反復的に変動させるとよい。このように、上記水位制御工程で上記水位を一定幅で反復的に変動させることによって、作物の根の伸長領域を上下方向に分散させやすい。その結果、作物の根の密集を容易かつ確実に抑制することができる。

0014

当該栽培方法は、上記水位制御工程で上記水位が一定以下になった場合に上記貯留槽に減少分の液量を供給するとよい。このように、上記水位制御工程で上記水位が一定以下になった場合に上記貯留槽に減少分の液量を供給することで、作物の吸液量に対応して栽培液の水位を容易に変動させることができる。これにより、作物の根を上下方向に均等に伸長させやすい。

0015

上記水位の変動幅としては2cm以上10cm以下が好ましい。このように、上記水位の変動幅が上記範囲内であることによって、作物の根の密集を防ぎつつ、作物を適切に生長させやすい。

0016

上記粒子層の厚さが上記水位の変動幅以上であるとよい。このように、上記粒子層の厚さが上記水位の変動幅以上であることによって、作物の根を栽培液の水位に対応して適切に伸長させることができる。

0017

本発明の他の一態様に係る栽培装置は、複数の粒子を含む粒子層を有し、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部と、上記貯留槽内の栽培液の水位を変動制御する水位制御部とを備える。

0018

当該栽培装置は、貯留槽内の栽培液の水位を変動制御する水位制御部を備えるので、作物の根の密集を抑制することができる。これにより、当該栽培装置は、作物の根腐れを抑制し、安定した収量を得ることができる。

0019

上記水位制御部が、第1の高さ位置で上記貯留槽内の栽培液の水位を検出する第1水位センサと、第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置で上記貯留槽内の栽培液の水位を検出する第2水位センサと、上記栽培液の水位が第2の高さ位置以下になった場合に第1の高さ位置まで栽培液を供給する栽培液供給機構とを有するとよい。このように、上記水位制御部が、第1の高さ位置で上記貯留槽内の栽培液の水位を検出する第1水位センサと、第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置で上記貯留槽内の栽培液の水位を検出する第2水位センサと、上記栽培液の水位が第2の高さ位置以下になった場合に第1の高さ位置まで栽培液を供給する栽培液供給機構とを有することによって、作物の吸液量に対応して栽培液の水位を容易に変動させることができる。これにより、作物の根を上下方向に均等に伸長させやすい。

0020

[本発明の実施形態の詳細]
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る栽培方法及び栽培装置について説明する。

0021

<栽培方法>
当該栽培方法は、毛管水耕栽培による作物の栽培方法である。当該栽培方法は、複数の粒子を含む粒子層を有し、作物を活着させる培地部と、栽培液を貯留する貯留槽と、上記貯留槽から上記培地部に毛管現象により栽培液を流通する送液部とを備える栽培装置を用いた作物の栽培方法である。当該栽培方法は、上記貯留槽内の栽培液の水位を変動制御する水位制御工程を備える。

0022

当該栽培方法は、上記貯留槽内の栽培液の水位を変動制御する水位制御工程を備えるので、作物の根の密集を抑制することができる。詳しく説明すると、本発明者らの知見によると、毛管水耕栽培では、上記粒子層中の水分と空気とのバランスが保たれる領域(以下、「均衡領域」ともいう)に作物の根が集中的に伸長する。一方、毛管水耕栽培では、上記均衡領域は貯留槽内の栽培液の水位を基準として一定の高さ範囲に形成される。そのため、上記貯留槽内の栽培液の水位を変動させることで、上記均衡領域を上下方向にシフトさせることができる。従って、当該栽培方法は、上記水位制御工程を備えることで、上記均衡領域を上下方向に変動させることができ、これにより上記作物の根域を上下方向に拡張することができる。その結果、当該栽培方法は、作物の根腐れを抑制し、安定した収量を得ることができる。

0023

〈作物〉
上記作物としては、特に限定されるものではなく、例えば果菜類根菜類葉菜類イネ科植物花菜類等が挙げられるが、上記水位制御工程によって根の伸長領域を制御しやすい果菜類が好ましく、中でもトマトが特に好ましい。

0024

〈栽培液〉
上記栽培液としては、水に肥料を配合したものを用いることができる。この肥料は、雑菌繁殖することを抑制する観点から、化学肥料を含むことが好ましい。

0025

(栽培装置)
当該栽培方法を説明するにあたり、まず図1を参照して、当該栽培方法の実施に適した栽培装置について説明する。

0026

当該栽培装置は、複数の粒子11aを含む粒子層11を有し、作物Pを活着させる培地部1と、栽培液Qを貯留する貯留槽2と、貯留槽2から培地部1に毛管現象により栽培液Qを流通する送液部3と、貯留槽2内の栽培液Qの水位を変動制御する水位制御部4とを備える。また、当該栽培装置は、培地部1、貯留槽2及び送液部3を支持する架台5を備える。当該栽培装置は、底面給水によって貯留槽2内の栽培液Qを作物Pの根に供給する。そのため、貯留槽2は、栽培液Qの液面が培地部1の底部より低い位置になるよう設けられている。

0027

当該栽培装置における栽培液Qの供給機構について詳説する。当該栽培装置は、送液部3によって貯留槽2内の栽培液Qを毛管現象により培地部1の底部に供給する。また、当該栽培装置では、培地部1の底部に供給された栽培液Qは、毛管現象によって粒子層11を上昇する。培地部1に加わる水頭圧は、貯留槽2内の栽培液Qの液面からの距離に応じて変化する。そのため、当該栽培装置では、貯留槽2内の栽培液Qの液面を基準とする高さに応じて粒子層11中の栽培液Qの体積含有率が変化し、より詳しくは上記液面を基準とする高さが高くなる程上記体積含有率が低下する。当該栽培装置は、上記体積含有率が一定の範囲内となる高さ領域に上記均衡領域が形成される。具体的には、作物Pがトマトであり、粒子11aが砂、粒子層11の空隙率が40%程度である場合、例えば上記体積含有率が25%以上35%以下の領域に上記均衡領域が形成される。

0028

当該栽培装置は、貯留槽2内の栽培液Qの水位を変動制御する水位制御部4を備えるので、上記均衡領域を上下方向に変動させることができ、これにより作物Pの根の密集を抑制することができる。その結果、当該栽培装置は、作物Pの根腐れを抑制し、安定した収量を得ることができる。

0029

〈培地部〉
培地部1は、状の枠体12内に複数の粒子11aが充填された構成を有する。培地部1は、枠体12の長手方向に複数の作物Pを活着可能に構成されてもよく、1つの作物Pのみを活着可能に構成されてもよい。枠体12は、長手方向と垂直方向の断面がU字状である。枠体12は、透水性及び防根性を有する帯状透水シートによって構成されている。上記透水シートは、幅方向(長手方向と垂直な水平方向)の中心部を下方に弛ませた状態で幅方向の両端部が後述する一対の上側桁材5dに固定されている。なお、枠体12は、必ずしも1枚の透水シートから構成される必要はなく、複数枚の透水シートが連続的又は断続的に配設されて構成されてもよい。

0030

枠体12の素材としては、特に限定されるものではなく、例えば紙、織布、不織布等が挙げられる。

0031

枠体12の平均厚さ(上記透水シートの平均厚さ)の下限としては、0.1mmが好ましく、0.2mmがより好ましい。一方、枠体12の平均厚さの上限としては、5.0mmが好ましく、3.0mmがより好ましい。枠体12の平均厚さが上記下限より小さいと、防根性が不十分となるおそれがある。逆に、枠体12の平均厚さが上記上限を超えると、上記透水シートのコストが高くなり過ぎるおそれがある。なお、「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。

0032

複数の粒子11aは、枠体12内に充填されて粒子層11を構成する。粒子11aとしては、枠体12内に充填されて毛管現象を発現するものであれば特に限定されないが、例えば土壌、パミスサンド等の微粒軽石多孔性火山岩粉砕粒、粒状のロックウールコーラルサンドサンゴ木炭等が挙げられる。これらは2種以上を混合して用いてもよい。中でも、良好な毛管現象が確保され、また不要になった場合に自然土に返せる観点から、土壌が好ましい。

0033

上記土壌としては、例えば市販の園芸用培土バーミキュライトベントナイトゼオライト、砂、鹿沼土赤玉土真砂土等が挙げられる。これらの中でも、作物Pの根病を発生し難い点から、一般的な培土に比べて有機物含量が低く微生物生息数も少ない砂が好ましい。

0034

粒子11aの粒子径の下限としては、0.10mmが好ましく、0.15mmがより好ましい。一方、粒子11aの粒子径の上限としては、1.0mmが好ましく、0.6mmがより好ましい。粒子11aの粒子径が上記下限に満たないと、栽培液Qを作物Pの根部に供給する領域の空隙部分が少なくなり過ぎて、粒子層11中の栽培液Qの体積含有率及び空気含有率を高め難くなり、上記均衡領域を形成することが容易でなくなるおそれがある。逆に、粒子11aの粒子径が上記上限を超えると、栽培液Qを作物Pの根部に供給する領域の空隙が大きくなり過ぎて、粒子層11中の栽培液Qの体積含有率及び空気含有率を制御し難くなるおそれがある。なお、「粒子径」とは、JIS−Z8801−1:2006に規定されるを用い、目開きの大きい篩から順に粒子をかけて篩上の粒子数と各篩の目開きとから算出される粒子の平均径である。

0035

粒子層11の厚さ(粒子層11の上面と粒子層11の最下部との上下方向距離)の下限としては、2cmが好ましく、3cmがより好ましく、5cmがさらに好ましい。一方、粒子層11の厚さの上限としては、15cmが好ましく、12cmがより好ましい。上記厚さが上記下限に満たないと、作物Pの根域を上下方向に拡張することが困難となるおそれがある。逆に、上記厚さが上記上限を超えると、粒子層11が不要に厚くなり、作物Pの根域の制御が容易でなくなるおそれがある。

0036

作物Pの活着時における粒子層11の厚さは、後述する第1水位センサ14が検出する水位及び第2水位センサ15が検出する水位の水位差以上であることが好ましい。また、作物Pの活着時における粒子層11の厚さと上記水位差との差の下限としては、1cmが好ましく、2cmがより好ましい。一方、上記差の上限としては、10cmが好ましく、5cmがより好ましい。上記差が上記下限に満たないと、作物Pの根域を十分に拡張するための培地部1等の設計が煩雑になるおそれがある。逆に、上記差が上記上限を超えると、当該栽培装置が不要に大きくなるおそれがある。

0037

〈貯留槽〉
貯留槽2は、後述の栽培液槽16aから供給される栽培液Qを一時貯留する。貯留槽2は枠体12の下方に配設されている。貯留槽2は樋状に形成されている。貯留槽2の長手方向と枠体12の長手方向とは平行である。貯留槽2は、上端に帯状の開口を有する上部2aと、この上部2aの下端から下方に連続して設けられ、栽培液Qを貯留する下部2bとを有する。下部2bは上部2aよりも内部平均幅が小さい。

0038

貯留槽2の主構成材料としては、例えば金属、セラミック樹脂等が挙げられ、軽量な点で樹脂が好ましい。また、上記樹脂としては、例えばABS樹脂AES樹脂、ASA樹脂ポリスチレンポリエステルポリ塩化ビニルポリメタクリル樹脂ポリカーボネートポリエチレンポリプロピレンポリアミド等の熱可塑性樹脂が挙げられる。

0039

〈送液部〉
送液部3はシート体である。送液部3の具体的な平面形状は特に限定されないが、例えば矩形状、好ましくは長方形状である。送液部3は、一端、好ましくは短手方向の一端、が貯留槽2に貯留される栽培液Q中に浸漬している。また、送液部3は、他端側(栽培液Q中に浸漬される側と反対側)の一部が枠体12の底部と当接している。これにより、貯留槽2に貯留される栽培液Qを毛管現象により揚水し、枠体12の底部に供給可能に構成されている。

0040

送液部3の材質としては、毛管現象により栽培液Qを揚水し、この栽培液Qを枠体12の底部に供給できるものであれば特に限定されないが、例えば不織布、ロックウール、フェルトポリウレタン等の合成樹脂などが挙げられる。中でも、適度な毛管現象の発現及び適切な吸水率を発揮できる点から不織布が好ましい。

0041

送液部3の透水率の下限としては、0.01%が好ましく、1.00%がより好ましい。一方、送液部3の透水率の上限としては、40%が好ましく、30%がより好ましい。上記透水率が上記下限に満たないと、枠体12の底部に供給される栽培液Qの量が不十分となるおそれがある。逆に、上記透水率が上記上限を超えると、送液部3に要するコストが不要に高くなるおそれがある。なお、「透水率」とは、平面状の送液部の表面から水を散布した際に送液部の裏面へ通過した水の比率を意味する。

0042

送液部3の厚さの下限としては、0.5mmが好ましく、0.7mmがより好ましい。一方、送液部3の厚さの上限としては、2.0mmが好ましく、1.5mmがより好ましい。送液部3の厚さが上記下限より小さいと、送液部3の強度が不十分となり破断するおそれがある。逆に、送液部3の厚さが上記上限を超えると、送液部3に要するコストが不要に高くなるおそれがある。

0043

〈水位制御部〉
水位制御部4は、粒子層11において上記均衡領域が上下方向に変動するよう貯留槽2内の栽培液Qの水位を変動させる。水位制御部4は、第1の高さ位置で貯留槽2内の栽培液Qの水位を検出する第1水位センサ14と、第1の高さ位置よりも低い第2の高さ位置で貯留槽2内の栽培液Qの水位を検出する第2水位センサ15と、栽培液Qの水位が第2の高さ位置以下になった場合に第1の高さ位置まで栽培液Qを供給する栽培液供給機構16とを有する。

0044

第1水位センサ14及び第2水位センサ15としては、光学式フロート式静電容量式超音波式等のレベルセンサを用いることができる。

0045

第1水位センサ14が検出する水位及び第2水位センサ15が検出する水位の水位差の下限としては、2cmが好ましく、4cmがより好ましい。一方、上記水位差の上限としては、10cmが好ましく、7cmがより好ましい。上記水位差が上記下限に満たないと、作物Pの根域を上下方向に拡張することが困難となるおそれがある。逆に、上記水位差が上記上限を超えると、作物Pの根域の制御が容易でなくなるおそれがある。

0046

栽培液供給機構16は、栽培液Qを貯留する栽培液槽16aと、栽培液槽16aに貯留される栽培液Qを貯留槽2に圧送可能なポンプ16bと、栽培液Qの水位が第2の高さ位置以下になった場合にポンプ16bを駆動すると共に、栽培液Qの水位が第1の高さ位置まで至った場合にポンプ16bの駆動を停止する駆動制御部16cとを有する。

0047

栽培液槽16aは、貯留槽2に供給される栽培液Qを貯留する。栽培液槽16aは、例えばポリエチレン等の合成樹脂を主成分とする容器である。なお、「主成分」とは質量換算で最も含有量の多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。

0048

駆動制御部16cは、栽培液Qの水位を第1の高さ位置及び第2の高さ位置間で反復的に変動させる。より詳しくは、駆動制御部16cは、貯留槽2内の栽培液Qの水位が第2の高さ位置以下となった場合に、貯留槽2に減少分の液量を供給する。

0049

当該栽培装置は、第1水位センサ14、第2水位センサ15及び栽培液供給機構16を備えるので、作物Pの吸液量に対応して栽培液Qの水位を容易に変動させることができる。より詳しく説明すると、当該栽培装置では、貯留槽2内の栽培液Qの減少量は作物Pの吸液量と略等しい。また、作物Pの根の伸長は作物Pの吸液量と略比例関係にある。そのため、貯留槽2内の栽培液Qの水位を作物Pの吸液量に応じて第1の高さ位置から第2の高さ位置まで低くすることで、作物Pの根の伸長具合を粒子層11中で上下方向に略均等に分散させることができる。そのため、栽培液Qの水位が第2の高さ位置以下になった場合に、栽培液Qの水位を第1の高さ位置まで高めることを繰り返し行うことで、第1水位センサ14が検出する水位及び第2水位センサ15が検出する水位の水位差に対応して作物の根を容易かつ確実に上下方向に均等に伸長させることができる。

0050

〈架台〉
架台5は、枠体12の幅方向両側にこの枠体12の長手方向に沿って立設される複数対の支柱5aと、枠体12の幅方向に延在し、各対の支柱5aにそれぞれ連結される上側桟材5b及び下側桟材5cと、枠体12の長手方向に延在し、複数の上側桟材5bに連結される互いに平行な一対の上側桁材5dと、枠体12の長手方向に延在し、複数の下側桟材5cに連結される互いに平行な一対の下側桁材5eとを含む。一対の上側桁材5dは、枠体12の幅方向の両端部をこの枠体12の長手方向に沿って固定している。具体的には、一対の上側桁材5dは、枠体12の幅方向の両端部をC字状の固定部材(不図示)との間に挟み込むことで枠体12を固定している。一対の下側桁材5eは、送液部3を介在させた状態で枠体12を下方から支持している。各下側桟材5cは、貯留槽2の上部2aを幅方向に貫通しており、これにより貯留槽2に連結されている。

0051

(水位制御工程)
続いて、当該栽培方法の上述の水位制御工程について説明する。上記水位制御工程では、粒子層11において上記均衡領域が上下方向に変動するよう貯留槽2内の栽培液Qの水位を変動させる。上記水位制御工程では、貯留槽2内の栽培液Qの水位を一定幅で反復的に変動させることが好ましい。当該栽培方法は、例えば水位制御部4によって、第1の高さ位置を上限とし、かつ第2の高さ位置を下限とする一定の幅で栽培液Qの水位を反復的に変動させることができる。当該栽培方法は、上記水位制御工程で貯留槽2内の栽培液Qの水位を一定幅で反復的に変動させることによって、作物Pの根域を上下方向に分散させやすい。その結果、作物Pの根の密集を容易かつ確実に抑制することができる。

0052

上記水位制御工程では、貯留槽2内の栽培液Qの水位が一定以下(基準値以下)になった場合に貯留槽2に減少分の液量を供給することが好ましい。当該栽培方法は、例えば水栽培液Qの水位が第1の高さ位置から第2の高さ位置以下に減少した場合に、水位制御部4によって第1の高さ位置まで栽培液Qを供給することで、減少分の液量を貯留槽2に供給することができる。当該栽培方法は、上記水位制御工程で栽培液Qの水位が一定以下になった場合に貯留槽2に減少分の液量を供給することで、作物Pの吸液量に対応して栽培液Qの水位を容易に変動させることができる。これにより、作物Pの根を容易かつ確実に上下方向に均等に伸長させることができる。

0053

貯留槽2内の栽培液Qの水位の変動幅の下限としては、2cmが好ましく、4cmがより好ましい。一方、上記水位の変動幅の上限としては、10cmが好ましく、7cmがより好ましい。上記水位の変動幅が上記下限に満たないと、作物Pの根域を上下方向に拡張することが困難となるおそれがある。逆に、上記水位の変動幅が上記上限を超えると、作物Pの根域の制御が容易でなくなるおそれがある。

0054

粒子層11の厚さは貯留槽2内の栽培液Qの水位の変動幅以上であることが好ましい。当該栽培方法において、作物Pの根域の上下方向の幅は栽培液Qの水位の変動幅と略等しい。そのため、粒子層11の厚さが上記水位の変動幅以上であることによって、作物Pの根を栽培液Qの水位に対応して適切に伸長させることができる。

0055

[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。

0056

例えば上記水位制御工程は、貯留槽内の栽培液の水位を変動制御可能である限り、栽培液の水位の変動幅を可変に制御してもよい。

0057

上記培地部、貯留槽、送液部、水位制御部、架台等、当該栽培装置の具体的構成は上記実施形態に記載の構成に限定されるものではない。例えば上記水位制御部は、必ずしも第1水位センサ及び第2水位センサを有する必要はなく、1つの水位センサのみを有していてもよい。この場合、例えば所定の間隔毎に上記水位センサで検出される水位まで上記貯留槽に栽培液を供給すればよい。

0058

以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0059

[実施例]
図1の栽培装置を用い、第1水位センサ14が検出する水位及び第2水位センサ15が検出する水位の水位差を4cmとし、貯留槽2内の栽培液Qの水位が第2の高さ位置以下となった場合に駆動制御部16cによって貯留槽2に減少分の液量を供給することでトマトを栽培した。この栽培方法によってトマトを10段まで摘心栽培した後、根域を目視にて確認したところ、根は上下方向に3cmの範囲で略均一に伸長しており、根に褐変は確認されなかった。また、図2に示すように、この栽培方法によると、栽培終了まで果実の糖度は5〜6程度で安定的に推移した。

0060

[比較例]
実施例と同様の栽培装置を用い、貯留槽2内の栽培液Qの水位を第1の高さ位置で一定に保ちながらトマトを栽培した。この栽培方法によってトマトを10段まで摘心栽培した後、根域を目視にて確認したところ、根は粒子層11中における栽培液Qの体積含有率が25%以上35%以下の高さ位置に密集しており、根の一部は褐色に変化していた。また、図2に示すように、この栽培方法によると、段数が大きくなるにつれて果実の糖度が高くなる傾向にあった。

実施例

0061

<評価結果>
上述のように、貯留槽内の栽培液の水位を変動制御した実施例では、トマトを10段まで栽培した後にも根に褐変は確認されておらず、根腐れが防止できている。また、この実施例では、果実の糖度が略一定に保たれており、果実の品質が均一に維持されている。これに対し、貯留槽内の栽培液の水位を一定に制御した比較例では、根腐れが確認されており、かつ果実の糖度も変化している。このことから、貯留槽内の栽培液の水位を変動制御することで、上下方向に根を分散させ、10段栽培という比較的長期間の栽培においても品質が均一なトマトを安定的に栽培することができることが分かる。

0062

1培地部
2貯留槽
2a 上部
2b 下部
3 送液部
4水位制御部
5架台
5a支柱
5b 上側桟材
5c 下側桟材
5d 上側桁材
5e 下側桁材
11粒子層
11a粒子
12枠体
14 第1水位センサ
15 第2水位センサ
16栽培液供給機構
16a栽培液槽
16bポンプ
16c駆動制御部
P作物
Q 栽培液

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