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技術 弾性波装置、マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路、及び通信装置

出願人 株式会社村田製作所
発明者 中川亮岩本英樹高井努高峰裕一
出願日 2018年12月19日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2019-564600
公開日 2020年10月22日 (4ヶ月経過) 公開番号 WO2019-138813
状態 未登録
技術分野 弾性表面波素子とその回路網
主要キーワード 中央領 データ解析ツール メインモード 絶対値差 ローノイズアンプ回路 固有音響インピーダンス カット角θ パワーアンプ回路
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題・解決手段

通過帯域特性劣化を抑えつつ、通過帯域よりも低周波数側に発生するレイリー波スプリアスを低減させる。弾性波装置(1)において、第1端子(101)に電気的に最も近いアンテナ端共振子は、第1弾性波共振子(3A)である。第1弾性波共振子(3A)及び第2弾性波共振子(3B)の各々において、圧電体層の厚さが、弾性波波長をλとしたときに、3.5λ以下である。第1弾性波共振子(3A)の圧電体層のカット角は、波長、IDT電極の厚さ、IDT電極の比重電極指の幅を電極指周期の2分の1の値で除した値であるデューティ比、圧電体層の厚さ、低音速膜の厚さから、θB(°)を基準として、θB±4°の範囲内である。第1弾性波共振子(3A)以外の少なくとも1つの弾性波共振子である第2弾性波共振子(3B)の圧電体層のカット角は、第1弾性波共振子(3A)の圧電体層のカット角よりもθB(°)からの差異が大きい。

概要

背景

従来、圧電膜を有する弾性表面波装置弾性波共振子)が知られている(例えば、特許文献1参照)。

特許文献1に記載された弾性表面波装置は、支持基板と、高音速膜と、低音速膜と、圧電膜と、IDT電極とを備える。高音速膜は、圧電膜を伝搬する弾性波音速より、高音速膜を伝搬するバルク波の音速が高速となる膜である。低音速膜は、高音速膜上に積層されており、圧電膜を伝搬するバルク波の音速より、低音速膜を伝搬するバルク波の音速が低速となる膜である。圧電膜は、圧電性を有し、低音速膜上に積層されている。IDT電極は、圧電膜上に形成されている。特許文献1に記載された弾性表面波装置では、Q値を高くすることができ、弾性波装置低損失性を実現することができる。

概要

通過帯域特性劣化を抑えつつ、通過帯域よりも低周波数側に発生するレイリー波スプリアスを低減させる。弾性波装置(1)において、第1端子(101)に電気的に最も近いアンテナ端共振子は、第1弾性波共振子(3A)である。第1弾性波共振子(3A)及び第2弾性波共振子(3B)の各々において、圧電体層の厚さが、弾性波の波長をλとしたときに、3.5λ以下である。第1弾性波共振子(3A)の圧電体層のカット角は、波長、IDT電極の厚さ、IDT電極の比重電極指の幅を電極指周期の2分の1の値で除した値であるデューティ比、圧電体層の厚さ、低音速膜の厚さから、θB(°)を基準として、θB±4°の範囲内である。第1弾性波共振子(3A)以外の少なくとも1つの弾性波共振子である第2弾性波共振子(3B)の圧電体層のカット角は、第1弾性波共振子(3A)の圧電体層のカット角よりもθB(°)からの差異が大きい。

目的

本発明は上記の点に鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、通過帯域の特性劣化を抑えつつ、通過帯域よりも低周波数側に発生するレイリー波のスプリアスを低減させることができる弾性波装置、マルチプレクサ高周波フロントエンド回路、及び通信装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

アンテナ端子である第1端子と、前記第1端子とは異なる第2端子との間に設けられる弾性波装置であって、複数の弾性波共振子を備え、前記複数の弾性波共振子は、前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ第1経路上に設けられた複数の直列腕共振子と、前記第1経路上の複数のノードそれぞれとグラウンドとを結ぶ複数の第2経路上に設けられた複数の並列腕共振子と、を含み、前記複数の弾性波共振子のうち前記第1端子に電気的に最も近い弾性波共振子をアンテナ端共振子とした場合に、前記アンテナ端共振子は、第1弾性波共振子であり、前記複数の弾性波共振子のうち前記アンテナ端共振子以外の少なくとも1つの弾性波共振子は、第2弾性波共振子であり、前記第1弾性波共振子及び前記第2弾性波共振子の各々は、圧電体層と、前記圧電体層上に形成されており複数の電極指を有するIDT電極と、前記圧電体層を挟んで前記IDT電極とは反対側に位置しており前記圧電体層を伝搬する弾性波音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速部材と、前記高音速部材と前記圧電体層との間に設けられており前記圧電体層を伝搬するバルク波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が低速である低音速膜と、を含み、前記圧電体層の厚さが、前記IDT電極の前記複数の電極指の周期である電極指周期で定まる弾性波の波長をλとしたときに、3.5λ以下であり、前記第1弾性波共振子の前記圧電体層のカット角は、前記波長をλ(μm)とし、前記IDT電極の厚さをTIDT(μm)とし、前記IDT電極の比重をρ(g/cm3)とし、電極指の幅を前記電極指周期の2分の1の値で除した値であるデューティ比をDuとし、前記圧電体層の厚さをTLT(μm)とし、前記低音速膜の厚さTVL(μm)とした場合、式(1)で求まるθB(°)を基準として、θB±4°の範囲内であり、前記第2弾性波共振子の前記圧電体層のカット角は、前記第1弾性波共振子の前記圧電体層のカット角よりもθB(°)からの差異が大きい、弾性波装置。

請求項2

前記複数の弾性波共振子のうち前記アンテナ端共振子を含む少なくとも1つの弾性波共振子は、前記第1弾性波共振子であり、前記複数の弾性波共振子のうち前記少なくとも1つの弾性波共振子以外の弾性波共振子は、前記第2弾性波共振子であり、前記第1弾性波共振子は、前記第2弾性波共振子とは異なるチップである、請求項1に記載の弾性波装置。

請求項3

前記圧電体層の材料がリチウムタンタレート又はリチウムニオベイトであり、前記低音速膜の材料が酸化ケイ素であり、前記高音速部材の材料がシリコンである、請求項1又は2に記載の弾性波装置。

請求項4

前記第1弾性波共振子及び前記第2弾性波共振子の各々は、支持基板を更に含み、前記高音速部材は、前記支持基板上に形成されており前記圧電体層を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速膜を含み、前記低音速膜は、前記高音速膜上に形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾性波装置。

請求項5

前記圧電体層の材料が、リチウムタンタレート又はリチウムニオベイトであり、前記低音速膜の材料が、酸化ケイ素と、ガラスと、酸窒化ケイ素と、酸化タンタルと、酸化ケイ素にフッ素炭素又はホウ素を加えた化合物と、からなる群から選択される少なくとも1種の材料であり、前記高音速膜の材料が、ダイヤモンドライクカーボン窒化アルミニウム酸化アルミニウム炭化ケイ素窒化ケイ素、シリコン、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、水晶アルミナジルコニアコージライトムライトステアタイトフォルステライトマグネシア、及びダイヤモンドからなる群から選択される少なくとも1種の材料である、請求項4に記載の弾性波装置。

請求項6

前記複数の直列腕共振子のうち1つの直列腕共振子が、前記複数の並列腕共振子よりも前記第1端子に電気的に近く、前記1つの直列腕共振子が、前記アンテナ端共振子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾性波装置。

請求項7

前記複数の直列腕共振子のうち1つの直列腕共振子と前記複数の並列腕共振子のうち1つの並列腕共振子とが、前記第1端子と直接的に接続されており、前記1つの直列腕共振子と前記1つの並列腕共振子との少なくとも一方が、前記アンテナ端共振子である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の弾性波装置。

請求項8

アンテナ端子である第1端子と、前記第1端子とは異なる第2端子との間に設けられる弾性波装置であって、複数の弾性波共振子を備え、前記複数の弾性波共振子は、前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ第1経路上に設けられた複数の直列腕共振子と、前記第1経路上の複数のノードそれぞれとグラウンドとを結ぶ複数の第2経路上に設けられた複数の並列腕共振子と、を含み、前記複数の弾性波共振子のうち前記第1端子に電気的に最も近い弾性波共振子をアンテナ端共振子とした場合に、前記アンテナ端共振子は、第1弾性波共振子であり、前記複数の弾性波共振子のうち前記アンテナ端共振子以外の少なくとも1つの弾性波共振子は、第2弾性波共振子であり、前記第1弾性波共振子及び前記第2弾性波共振子の各々は、圧電体層と、前記圧電体層上に形成されており複数の電極指を有するIDT電極と、前記圧電体層を挟んで前記IDT電極とは反対側に位置しており前記圧電体層を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である高音速部材と、前記高音速部材と前記圧電体層との間に設けられており前記圧電体層を伝搬するバルク波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が低速である低音速膜と、を含み、前記圧電体層の厚さが、前記IDT電極の前記複数の電極指の周期である電極指周期で定まる弾性波の波長をλとしたときに、3.5λ以下であり、前記第1弾性波共振子で発生するレイリー波応答の強度が、前記第2弾性波共振子で発生するレイリー波応答の強度よりも小さい、弾性波装置。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項に記載の弾性波装置からなる第1フィルタと、前記第1端子と前記第1端子とは異なる第3端子との間に設けられた第2フィルタと、を備え、前記第1フィルタの通過帯域が、前記第2フィルタの通過帯域よりも高周波数域である、マルチプレクサ

請求項10

前記複数の弾性波共振子からなる共振子群を複数備え、前記複数の共振子群では、前記第1端子が共通端子であり、かつ、前記第2端子が個別端子であり、前記複数の共振子群の前記アンテナ端共振子が1チップに集積されている、請求項9に記載のマルチプレクサ。

請求項11

前記第1フィルタの前記通過帯域の最小周波数が、前記第2フィルタの前記通過帯域の最大周波数よりも高い、請求項9又は10に記載のマルチプレクサ。

請求項12

請求項9〜11のいずれか1項に記載のマルチプレクサと、前記マルチプレクサに接続された増幅回路と、を備える、高周波フロントエンド回路

請求項13

請求項12に記載の高周波フロントエンド回路と、アンテナで受信される高周波信号を処理する信号処理回路と、を備え、前記高周波フロントエンド回路は、前記アンテナと前記信号処理回路との間で前記高周波信号を伝達する、通信装置

技術分野

0001

本発明は、一般に弾性波装置マルチプレクサ高周波フロントエンド回路、及び通信装置に関する。本発明は、特に、複数の弾性波共振子を備える弾性波装置、この弾性波装置を備えるマルチプレクサ、このマルチプレクサを備える高周波フロントエンド回路、及び、この高周波フロントエンド回路を備える通信装置に関する。

背景技術

0002

従来、圧電膜を有する弾性表面波装置(弾性波共振子)が知られている(例えば、特許文献1参照)。

0003

特許文献1に記載された弾性表面波装置は、支持基板と、高音速膜と、低音速膜と、圧電膜と、IDT電極とを備える。高音速膜は、圧電膜を伝搬する弾性波音速より、高音速膜を伝搬するバルク波の音速が高速となる膜である。低音速膜は、高音速膜上に積層されており、圧電膜を伝搬するバルク波の音速より、低音速膜を伝搬するバルク波の音速が低速となる膜である。圧電膜は、圧電性を有し、低音速膜上に積層されている。IDT電極は、圧電膜上に形成されている。特許文献1に記載された弾性表面波装置では、Q値を高くすることができ、弾性波装置の低損失性を実現することができる。

先行技術

0004

国際公開第2012/086639号

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1に記載された従来の弾性波共振子のように、高音速膜、低音速膜、及び圧電膜の積層構造が用いられる場合、通過帯域よりも低周波数側にレイリー波スプリアスが発生し、低周波数側の減衰特性が悪化する。特に、従来の弾性波共振子を複数用いて弾性波装置を構成した場合、アンテナに対して弾性波装置と共通に接続されている低周波数側フィルタの通過帯域に、上記スプリアスが発生する。

0006

本発明は上記の点に鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、通過帯域の特性劣化を抑えつつ、通過帯域よりも低周波数側に発生するレイリー波のスプリアスを低減させることができる弾性波装置、マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路、及び通信装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一態様に係る弾性波装置は、アンテナ端子である第1端子と、前記第1端子とは異なる第2端子との間に設けられる。前記弾性波装置は、複数の弾性波共振子を備える。前記複数の弾性波共振子は、複数の直列腕共振子と、複数の並列腕共振子とを含む。前記複数の直列腕共振子は、前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ第1経路上に設けられている。前記複数の並列腕共振子は、前記第1経路上の複数のノードそれぞれとグラウンドとを結ぶ複数の第2経路上に設けられている。前記複数の弾性波共振子のうち前記第1端子に電気的に最も近い弾性波共振子をアンテナ端共振子とした場合に、前記アンテナ端共振子は、第1弾性波共振子である。前記複数の弾性波共振子のうち前記アンテナ端共振子以外の少なくとも1つの弾性波共振子は、第2弾性波共振子である。前記第1弾性波共振子及び前記第2弾性波共振子の各々は、圧電体層と、IDT電極と、高音速部材と、低音速膜とを含む。前記IDT電極は、前記圧電体層上に形成されており、複数の電極指を有する。前記高音速部材は、前記圧電体層を挟んで前記IDT電極とは反対側に位置している。前記高音速部材では、前記圧電体層を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である。前記低音速膜は、前記高音速部材と前記圧電体層との間に設けられている。前記低音速膜では、前記圧電体層を伝搬するバルク波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が低速である。前記圧電体層の厚さが、前記IDT電極の前記複数の電極指の周期である電極指周期で定まる弾性波の波長をλとしたときに、3.5λ以下である。前記第1弾性波共振子の前記圧電体層のカット角は、前記波長をλ(μm)とし、前記IDT電極の厚さをTIDT(μm)とし、前記IDT電極の比重をρ(g/cm3)とし、電極指の幅を前記電極指周期の2分の1の値で除した値であるデューティ比をDuとし、前記圧電体層の厚さをTLT(μm)とし、前記低音速膜の厚さTVL(μm)とした場合、式(1)で求まるθB(°)を基準として、θB±4°の範囲内である。前記第2弾性波共振子の前記圧電体層のカット角は、前記第1弾性波共振子の前記圧電体層のカット角よりもθB(°)からの差異が大きい。

0008

0009

本発明の一態様に係る弾性波装置は、アンテナ端子である第1端子と、前記第1端子とは異なる第2端子との間に設けられる。前記弾性波装置は、複数の弾性波共振子を備える。前記複数の弾性波共振子は、複数の直列腕共振子と、複数の並列腕共振子とを含む。前記複数の直列腕共振子は、前記第1端子と前記第2端子とを結ぶ第1経路上に設けられている。前記複数の並列腕共振子は、前記第1経路上の複数のノードそれぞれとグラウンドとを結ぶ複数の第2経路上に設けられている。前記複数の弾性波共振子のうち前記第1端子に電気的に最も近い弾性波共振子をアンテナ端共振子とした場合に、前記アンテナ端共振子は、第1弾性波共振子である。前記複数の弾性波共振子のうち前記アンテナ端共振子以外の少なくとも1つの弾性波共振子は、第2弾性波共振子である。前記第1弾性波共振子及び前記第2弾性波共振子の各々は、圧電体層と、IDT電極と、高音速部材と、低音速膜とを含む。前記IDT電極は、前記圧電体層上に形成されており、複数の電極指を有する。前記高音速部材は、前記圧電体層を挟んで前記IDT電極とは反対側に位置している。前記高音速部材では、前記圧電体層を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である。前記低音速膜は、前記高音速部材と前記圧電体層との間に設けられている。前記低音速膜では、前記圧電体層を伝搬するバルク波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が低速である。前記圧電体層の厚さが、前記IDT電極の前記複数の電極指の周期である電極指周期で定まる弾性波の波長をλとしたときに、3.5λ以下である。前記第1弾性波共振子で発生するレイリー波応答の強度が、前記第2弾性波共振子で発生するレイリー波応答の強度よりも小さい。

0010

本発明の一態様に係るマルチプレクサは、前記弾性波装置からなる第1フィルタと、第2フィルタとを備える。前記第2フィルタは、前記第1端子と前記第1端子とは異なる第3端子との間に設けられている。前記第1フィルタの通過帯域が、前記第2フィルタの通過帯域よりも高周波数域である。

0011

本発明の一態様に係る高周波フロントエンド回路は、前記マルチプレクサと、増幅回路とを備える。前記増幅回路は、前記マルチプレクサに接続されている。

0012

本発明の一態様に係る通信装置は、前記高周波フロントエンド回路と、信号処理回路とを備える。前記信号処理回路は、アンテナで受信される高周波信号を処理する。前記高周波フロントエンド回路は、前記アンテナと前記信号処理回路との間で前記高周波信号を伝達する。

発明の効果

0013

本発明の上記態様に係る弾性波装置、マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路、及び通信装置によれば、通過帯域の特性劣化を抑えつつ、通過帯域よりも低周波数側に発生するレイリー波のスプリアスを低減させることができる。

図面の簡単な説明

0014

図1は、本発明の一実施形態に係る弾性波装置の回路図である。
図2は、同上の弾性波装置を備える通信装置の構成図である。
図3Aは、同上の弾性波装置における第1弾性波共振子の断面図である。図3Bは、同上の弾性波装置における第2弾性波共振子の断面図である。
図4Aは、同上の弾性波装置における第1弾性波共振子の要部平面図である。図4Bは、同上の弾性波装置における第1弾性波共振子を示し、図4AのA−A線断面図である。
図5Aは、同上の弾性波装置における第2弾性波共振子の要部平面図である。図5Bは、同上の弾性波装置における第2弾性波共振子を示し、図5AのA−A線断面図である。
図6は、同上の弾性波装置の第1弾性波共振子における第1範囲の構造パラメータと圧電体層のカット角との関係を表すグラフである。
図7は、同上の弾性波装置の第1弾性波共振子における第2範囲の構造パラメータと圧電体層のカット角との関係を表すグラフである。
図8は、同上の弾性波装置の第1弾性波共振子における第3範囲の構造パラメータと圧電体層のカット角との関係を表すグラフである。
図9は、同上の弾性波装置の第1弾性波共振子について、第1範囲の構造パラメータにおける、圧電体層のカット角とレイリー波のスプリアスの帯域幅との関係を表すグラフである。
図10は、同上の弾性波装置の第1弾性波共振子について、第2範囲の構造パラメータにおける、圧電体層のカット角とレイリー波のスプリアスの帯域幅との関係を表すグラフである。
図11は、同上の弾性波装置の第1弾性波共振子について、第3範囲の構造パラメータにおける、圧電体層のカット角とレイリー波のスプリアスの帯域幅との関係を表すグラフである。
図12は、本発明の一実施形態の変形例1に係るマルチプレクサの回路図である。
図13は、本発明の一実施形態の変形例2に係る弾性波装置の回路図である。
図14Aは、本発明の一実施形態の変形例3に係る弾性波装置における第1弾性波共振子の断面図である。図14Bは、同上の弾性波装置における第2弾性波共振子の断面図である。

実施例

0015

以下、実施形態に係る弾性波装置、マルチプレクサ、高周波フロントエンド回路、及び通信装置について、図面を参照して説明する。

0016

下記の実施形態等において説明する図3A、図3B、図4A、図4B、図5A、図5B、図14A、及び図14Bは、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。

0017

(実施形態)
(1)弾性波装置の全体構成
まず、本実施形態に係る弾性波装置1の全体構成について、図面を参照して説明する。

0018

本実施形態に係る弾性波装置1は、図1に示すように、複数(図示例では9つ)の弾性波共振子31〜39を備える。複数の弾性波共振子31〜39は、複数(図示例では5つ)の直列腕共振子(弾性波共振子31,33,35,37,39)と、複数(図示例では4つ)の並列腕共振子(弾性波共振子32,34,36,38)とを備える。

0019

複数の弾性波共振子31,33,35,37,39は、第1端子101(共通端子)と第2端子102(入出力端子)とを結ぶ第1経路r1上に設けられている。第1経路r1上において、複数の弾性波共振子31,33,35,37,39は直列に接続されている。

0020

複数の弾性波共振子32,34,36,38は、それぞれ、第1経路r1上の複数のノードN1,N2,N3,N4とグラウンドとを結ぶ複数の第2経路r21,r22,r23,r24上に設けられている。

0021

複数の弾性波共振子31〜39は、上記の接続構成により、ラダー型バンドパスフィルタを構成している。つまり、弾性波装置1は、ラダー型フィルタである。なお、弾性波共振子32,34,36,38の接続点とグラウンドとの間には、インダクタが接続されてもよい。

0022

なお、弾性波装置1は、複数の弾性波共振子が弾性波伝搬方向に並んで配置された縦結合型フィルタ構造を有してもよい。

0023

本実施形態に係る弾性波装置1は、例えば所定の通過帯域を有する弾性波フィルタとして用いられる。また、本実施形態に係る弾性波装置1は、例えば、図2に示すようなマルチプレクサ100に用いられる。

0024

(2)弾性波共振子
次に、本実施形態に係る弾性波装置1の各構成要素について、図面を参照して説明する。

0025

弾性波装置1は、上述したように、複数の弾性波共振子31〜39として、複数の直列腕共振子(弾性波共振子31,33,35,37,39)と、複数の並列腕共振子(弾性波共振子32,34,36,38)とを備える。複数の弾性波共振子31〜39の各々は、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)共振子である。

0026

複数の弾性波共振子31〜39のうち第1端子101に電気的に最も近い弾性波共振子をアンテナ端共振子とする。図1の例では、第1端子101に電気的に最も近い弾性波共振子は弾性波共振子31である。したがって、弾性波共振子31がアンテナ端共振子である。

0027

(2.1)第1弾性波共振子
複数の弾性波共振子31〜39のうち、アンテナ端共振子である弾性波共振子31は、第1弾性波共振子3Aである。また、複数の並列腕共振子(弾性波共振子32,34,36,38)のうち第1端子101に電気的に最も近い弾性波共振子32も第1弾性波共振子3Aである。

0028

第1弾性波共振子3Aは、図3Aに示すように、高音速部材4Aと、低音速膜5Aと、圧電体層6Aと、IDT(Interdigital Transducer)電極7Aとを備える。

0029

(2.1.1)高音速部材
実施形態1の高音速部材4Aは、高音速支持基板42Aである。高音速支持基板42Aは、圧電体層6Aを挟んでIDT電極7Aとは反対側に位置している。高音速支持基板42Aでは、圧電体層6Aを伝搬する弾性波の音速よりも、高音速支持基板42Aを伝搬するバルク波の音速が高速である。高音速支持基板42Aは、低音速膜5A、圧電体層6A、及びIDT電極7Aを支持する。

0030

高音速支持基板42Aは、弾性波を圧電体層6A及び低音速膜5Aが積層されている部分に閉じ込め、高音速支持基板42Aより下方に漏れないように機能する。

0031

高音速支持基板42Aの材料は、例えばシリコンであり、高音速支持基板42Aの厚さは、例えば125μmである。なお、高音速支持基板42Aの材料は、シリコンに限定されず、窒化アルミニウム酸化アルミニウム炭化ケイ素窒化ケイ素サファイアリチウムタンタレートリチウムニオベイト、若しくは水晶等の圧電体アルミナジルコニアコージライトムライトステアタイト、若しくはフォルステライト等の各種セラミックマグネシア、若しくは、ダイヤモンド、又は、上記各材料を主成分とする材料、又は、上記各材料の混合物を主成分とする材料であってもよい。

0032

(2.1.2)低音速膜
低音速膜5Aは、圧電体層6Aを伝搬するバルク波の音速より、低音速膜5Aを伝搬するバルク波の音速が低速となる膜である。低音速膜5Aは、高音速支持基板42Aと圧電体層6Aとの間に設けられている。低音速膜5Aが高音速支持基板42Aと圧電体層6Aとの間に設けられていることにより、弾性波の音速が低下する。弾性波は本質的に低音速な媒質エネルギーが集中する。したがって、圧電体層6A内及び弾性波が励振されているIDT電極7A内への弾性波のエネルギーの閉じ込め効果を高めることができる。その結果、低音速膜5Aが設けられていない場合に比べて、損失を低減し、Q値を高めることができる。

0033

低音速膜5Aの材料は、例えば酸化ケイ素である。なお、低音速膜5Aの材料は、酸化ケイ素に限定されず、ガラス酸窒化ケイ素酸化タンタル、酸化ケイ素にフッ素炭素、若しくはホウ素を加えた化合物、又は、上記各材料を主成分とする材料であってもよい。

0034

低音速膜5Aの材料が酸化ケイ素である場合、温度特性を改善することができる。圧電体層6Aの材料であるLiTaO3(リチウムタンタレート)の弾性定数が負の温度特性を有し、酸化ケイ素の温度特性が正の温度特性を有する。したがって、弾性波装置1では、TCF(Temperature Coefficients of Frequency:周波数温度係数)の絶対値を小さくすることができる。さらに、酸化ケイ素の固有音響インピーダンスは、圧電体層6Aの材料であるLiTaO3の固有音響インピーダンスより小さい。したがって、電気機械結合係数の増大すなわち比帯域の拡大と、周波数温度特性の改善との両方を図ることができる。

0035

低音速膜5Aの厚さは、IDT電極7Aの電極指(後述の第1電極指73A及び第2電極指74A)の周期で定まる弾性波の波長をλとすると、2.0λ以下であることが好ましい。低音速膜5Aの厚さを2.0λ以下とすることにより、膜応力を低減させることができ、その結果、ウェハの反りを低減させることができ、良品率の向上及び特性の安定化が可能となる。また、低音速膜5Aの厚さが0.1λ以上0.5λ以下の範囲内であれば、電気機械結合係数がほとんど変わらない。

0036

(2.1.3)圧電体層
圧電体層6Aは、例えば、Γ°YカットX伝搬LiTaO3圧電単結晶から形成されている。Γ°YカットX伝搬LiTaO3圧電単結晶は、LiTaO3圧電単結晶の3つの結晶軸をX軸、Y軸、Z軸とした場合に、X軸を中心軸としてY軸からZ軸方向にΓ°回転した軸を法線とする面で切断したLiTaO3単結晶であって、X軸方向に弾性表面波が伝搬する単結晶である。圧電体層6Aのカット角は、カット角をΓ[°]、圧電体層6Aのオイラー角を(φ,θ,ψ)をすると、Γ=θ+90°である。ただし、Γと、Γ±180×nは同義である(結晶学的に等価である)。ここにおいて、nは、自然数である。圧電体層6Aは、Γ°YカットX伝搬LiTaO3圧電単結晶に限定されず、例えば、Γ°YカットX伝搬LiTaO3圧電セラミックスであってもよい。

0037

圧電体層6Aは、低音速膜5A上に直接的又は間接的に設けられている。高音速支持基板42Aの厚さ方向(第1方向D1)における圧電体層6Aの厚さは、3.5λ以下である。圧電体層6Aの厚さが3.5λ以下である場合、Q値が高くなる。また、圧電体層6Aの厚さを2.5λ以下とすることで、TCFを小さくすることができる。さらに、圧電体層6Aの厚さを1.5λ以下とすることで、弾性波の音速の調整が容易になる。

0038

ところで、圧電体層6Aの厚さが3.5λ以下である場合、上述したようにQ値が高くなるが、レイリー波のスプリアスが発生する。本実施形態では、圧電体層6Aの厚さが3.5λ以下であっても、レイリー波のスプリアスを低減させるように、圧電体層6Aのカット角θ1を規定する。圧電体層6Aのカット角θ1については後述する。

0039

弾性波装置1における第1弾性波共振子3Aでは、圧電体層6Aを伝搬する弾性波のモードとして、縦波SH波、若しくはSV波、又はこれらが複合したモードが存在する。第1弾性波共振子3Aでは、SH波を主成分とするモードをメインモードとして使用している。高次モードとは、圧電体層6Aを伝搬する弾性波のメインモードよりも高周波数側に発生するスプリアスモードのことである。圧電体層6Aを伝搬する弾性波のモードが「SH波を主成分とするモードをメインモード」であるか否かについては、例えば、圧電体層6Aのパラメータ(材料、オイラー角及び厚さ等)、IDT電極7Aのパラメータ(材料、厚さ及び電極指周期等)、低音速膜5Aのパラメータ(材料、厚さ等)のパラメータを用いて、有限要素法により変位分布解析し、ひずみを解析することにより、確認することができる。圧電体層6Aのオイラー角は、分析により求めることができる。

0040

圧電体層6Aの材料は、LiTaO3(リチウムタンタレート)に限定されず、例えば、LiNbO3(リチウムニオベイト)であってもよい。圧電体層6Aが、例えば、YカットX伝搬LiNbO3圧電単結晶又は圧電セラミックスからなる場合、第1弾性波共振子3Aは、ラブ波を弾性波として利用することにより、SH波を主成分とするモードをメインモードとして使用することができる。なお、圧電体層6Aの単結晶材料、カット角については、例えば、フィルタの要求仕様通過特性、減衰特性、温度特性及び帯域幅等のフィルタ特性)等に応じて、適宜、決定すればよい。

0041

(2.1.4)IDT電極
IDT電極7Aは、図4A及び図4Bに示すように、第1バスバー71Aと、第2バスバー72Aと、複数の第1電極指73Aと、複数の第2電極指74Aとを含み、圧電体層6Aの主面61Aに設けられている。

0042

第1バスバー71Aは、第2方向D2を長手方向とする長尺状に形成されており、複数の第1電極指73Aと電気的に接続されている。第2バスバー72Aは、第2方向D2を長手方向とする長尺状に形成されており、複数の第2電極指74Aと電気的に接続されている。第2方向D2は、第1方向D1と直交する方向である。

0043

複数の第1電極指73Aは、第2方向D2において互いに並んで配置されている。各第1電極指73Aは、第3方向D3を長手方向とする長尺状に形成されている。複数の第1電極指73Aは、第2方向D2において互いに対向する状態で平行に配置されている。複数の第2電極指74Aは、第2方向D2において互いに並んで配置されている。各第2電極指74Aは、第3方向D3を長手方向とする長尺状に形成されている。複数の第2電極指74Aは、第2方向D2において互いに対向する状態で平行に配置されている。本実施形態では、複数の第1電極指73A及び複数の第2電極指74Aが1本ずつ交互に並んで配置されている。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の両方と直交する方向である。

0044

第1電極指73A及び第2電極指74Aの幅をWA(図4B参照)とし、隣り合う第1電極指73Aと第2電極指74Aとのスペース幅をSAとした場合、IDT電極7Aにおいて、デューティ比は、WA/(WA+SA)で定義される。IDT電極7Aのデューティ比は、例えば、0.5である。IDT電極7Aの電極指周期で定まる弾性波の波長をλとしたとき、波長λは、電極指周期と等しい。電極指周期は、複数の第1電極指73A又は複数の第2電極指74Aの繰り返し周期PλA(図4B参照)で定義される。したがって、繰り返し周期PλAとλとは等しい。IDT電極7Aのデューティ比は、電極指周期の2分の1の値(WA+SA)に対する第1電極指73A及び第2電極指74Aの幅WAの比である。

0045

IDT電極7Aの材料は、Al、Cu、Pt、Au、Ag、Ti、Ni、Cr、Mo、若しくはW、又はこれらの金属のいずれかを主体とする合金等の適宜の金属材料である。また、IDT電極7Aは、これらの金属又は合金からなる複数の金属膜を積層した構造を有してもよい。

0046

(2.2)第2弾性波共振子
複数の弾性波共振子31〜39のうち第1弾性波共振子3A以外の弾性波共振子は、図1に示すように、第2弾性波共振子3Bである。図1の例では、複数の弾性波共振子33〜39が第2弾性波共振子3Bである。

0047

第2弾性波共振子3Bは、図3Bに示すように、高音速部材4Bと、低音速膜5Bと、圧電体層6Bと、IDT電極7Bとを備える。

0048

(2.2.1)高音速部材
実施形態1の高音速部材4Bは、高音速支持基板42Bである。高音速支持基板42Bは、圧電体層6Bを挟んでIDT電極7Bとは反対側に位置している。高音速支持基板42Bでは、圧電体層6Bを伝搬する弾性波の音速よりも、高音速支持基板42Bを伝搬するバルク波の音速が高速である。高音速支持基板42Bは、低音速膜5B、圧電体層6B、及びIDT電極7Bを支持する。

0049

高音速支持基板42Bは、弾性波を圧電体層6B及び低音速膜5Bが積層されている部分に閉じ込め、高音速支持基板42Bより下方に漏れないように機能する。

0050

高音速支持基板42Bの材料は、例えばシリコンであり、高音速支持基板42Bの厚さは、例えば125μmである。なお、高音速支持基板42Bの材料は、シリコンに限定されず、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、若しくは水晶等の圧電体、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、若しくはフォルステライト等の各種セラミック、マグネシア、若しくは、ダイヤモンド、又は、上記各材料を主成分とする材料、又は、上記各材料の混合物を主成分とする材料であってもよい。

0051

(2.2.2)低音速膜
低音速膜5Bは、圧電体層6Bを伝搬するバルク波の音速より、低音速膜5Bを伝搬するバルク波の音速が低速となる膜である。低音速膜5Bは、高音速支持基板42Bと圧電体層6Bとの間に設けられている。低音速膜5Bが高音速支持基板42Bと圧電体層6Bとの間に設けられていることにより、弾性波の音速が低下する。弾性波は本質的に低音速な媒質にエネルギーが集中する。したがって、圧電体層6B内及び弾性波が励振されているIDT電極7B内への弾性波のエネルギーの閉じ込め効果を高めることができる。その結果、第1弾性波共振子3A(図3A参照)と同様、低音速膜5Bが設けられていない場合に比べて、損失を低減し、Q値を高めることができる。

0052

低音速膜5Bの材料は、例えば酸化ケイ素である。なお、低音速膜5Bの材料は、酸化ケイ素に限定されず、ガラス、酸窒化ケイ素、酸化タンタル、酸化ケイ素にフッ素、炭素、若しくはホウ素を加えた化合物、又は、上記各材料を主成分とする材料であってもよい。

0053

低音速膜5Bの材料が酸化ケイ素である場合、温度特性を改善することができる。圧電体層6Bの材料であるLiTaO3の弾性定数が負の温度特性を有し、酸化ケイ素の温度特性が正の温度特性を有する。したがって、弾性波装置1では、TCFの絶対値を小さくすることができる。さらに、酸化ケイ素の固有音響インピーダンスは、圧電体層6Bの材料であるLiTaO3の固有音響インピーダンスより小さい。したがって、電気機械結合係数の増大すなわち比帯域の拡大と、周波数温度特性の改善との両方を図ることができる。

0054

低音速膜5Bの厚さは、IDT電極7Bの電極指(後述の第1電極指73B及び第2電極指74B)の周期で定まる弾性波の波長をλとすると、2.0λ以下であることが好ましい。低音速膜5Bの厚さを2.0λ以下とすることにより、膜応力を低減させることができ、その結果、ウェハの反りを低減させることができ、良品率の向上及び特性の安定化が可能となる。また、低音速膜5Bの厚さが0.1λ以上0.5λ以下の範囲内であれば、電気機械結合係数がほとんど変わらない。

0055

(2.2.3)圧電体層
圧電体層6Bは、圧電体層6Aと同様、例えば、Γ°YカットX伝搬LiTaO3圧電単結晶から形成されている。圧電体層6Bのカット角は、カット角をΓ[°]、圧電体層6Bのオイラー角を(φ,θ,ψ)をすると、Γ=θ+90°である。なお、圧電体層6Bは、Γ°YカットX伝搬LiTaO3圧電単結晶に限定されず、例えば、Γ°YカットX伝搬LiTaO3圧電セラミックスであってもよい。

0056

圧電体層6Bは、低音速膜5B上に直接的又は間接的に積層されている。高音速支持基板42Bの厚さ方向(第1方向D1)における圧電体層6Bの厚さは、3.5λ以下である。圧電体層6Bの厚さが3.5λ以下である場合、Q値が高くなる。また、圧電体層6Bの厚さを2.5λ以下とすることで、TCFを小さくすることができる。さらに、圧電体層6Bの厚さを1.5λ以下とすることで、弾性波の音速の調整が容易になる。

0057

弾性波装置1における第2弾性波共振子3Bでは、圧電体層6Bを伝搬する弾性波のモードとして、縦波、SH波、若しくはSV波、又はこれらが複合したモードが存在する。第2弾性波共振子3Bでは、SH波を主成分とするモードをメインモードとして使用している。高次モードとは、圧電体層6Bを伝搬する弾性波のメインモードよりも高周波数側に発生するスプリアスモードのことである。圧電体層6Bを伝搬する弾性波のモードが「SH波を主成分とするモードをメインモード」であるか否かについては、例えば、圧電体層6Bのパラメータ(材料、オイラー角及び厚さ等)、IDT電極7Bのパラメータ(材料、厚さ及び電極指周期等)、低音速膜5Bのパラメータ(材料、厚さ等)のパラメータを用いて、有限要素法により変位分布を解析し、ひずみを解析することにより、確認することができる。圧電体層6Bのオイラー角は、分析により求めることができる。

0058

圧電体層6Bの材料は、LiTaO3に限らず、例えば、LiNbO3であってもよい。圧電体層6Bが、例えば、YカットX伝搬LiNbO3圧電単結晶又は圧電セラミックスからなる場合、第1弾性波共振子3A及び第2弾性波共振子3Bは、ラブ波を弾性波として利用することにより、SH波を主成分とするモードをメインモードとして使用することができる。なお、圧電体層6Aの単結晶材料、カット角については、例えば、フィルタの要求仕様(通過特性、減衰特性、温度特性及び帯域幅等のフィルタ特性)等に応じて、適宜、決定すればよい。

0059

(2.2.4)IDT電極
IDT電極7Bは、IDT電極7Aと同様、図5A及び図5Bに示すように、第1バスバー71Bと、第2バスバー72Bと、複数の第1電極指73Bと、複数の第2電極指74Bとを含み、圧電体層6Bの主面61B(図3B参照)に設けられている。

0060

第1バスバー71Bは、第1バスバー71Aと同様、第2方向D2を長手方向とする長尺状に形成されており、複数の第1電極指73Bと電気的に接続されている。第2バスバー72Bは、第2バスバー72Aと同様、第2方向D2を長手方向とする長尺状に形成されており、複数の第2電極指74Bと電気的に接続されている。

0061

複数の第1電極指73Aは、第2方向D2において互いに並んで配置されている。各第1電極指73Aは、第3方向D3を長手方向とする長尺状に形成されている。複数の第1電極指73Bは、第2方向D2において互いに対向する状態で平行に配置されている。複数の第2電極指74Bは、第2方向D2において互いに並んで配置されている。各第2電極指74Bは、第3方向D3を長手方向とする長尺状に形成されている。複数の第2電極指74Bは、第2方向D2において互いに対向する状態で平行に配置されている。本実施形態では、複数の第1電極指73B及び複数の第2電極指74Bが1本ずつ交互に並んで配置されている。

0062

第1電極指73B及び第2電極指74Bの幅をWB(図5B参照)とし、隣り合う第1電極指73Bと第2電極指74Bとのスペース幅をSBとした場合、IDT電極7Bにおいて、デューティ比は、WB/(WB+SB)で定義される。IDT電極7Bのデューティ比は、例えば、0.5である。IDT電極7Bの電極指周期で定まる弾性波の波長をλとしたとき、波長λは、電極指周期と等しい。電極指周期は、複数の第1電極指73B又は複数の第2電極指74Bの繰り返し周期PλB(図5B参照)で定義される。したがって、繰り返し周期PλBとλとは等しい。IDT電極7Bのデューティ比は、電極指周期の2分の1の値(WB+SB)に対する第1電極指73B及び第2電極指74Bの幅WBの比である。

0063

IDT電極7Bの材料は、Al、Cu、Pt、Au、Ag、Ti、Ni、Cr、Mo、若しくはW、又はこれらの金属のいずれかを主体とする合金など適宜の金属材料である。また、IDT電極7Bは、これらの金属又は合金からなる複数の金属膜を積層した構造を有してもよい。

0064

(3)第1弾性波共振子及び第2弾性波共振子における圧電体層のカット角
次に、第1弾性波共振子3Aにおける圧電体層6Aのカット角θ1及び第2弾性波共振子3Bにおける圧電体層6Bのカット角θ2について説明する。本実施形態では、圧電体層6A,6Bの材料は、LiTaO3である。

0065

第1弾性波共振子3Aの圧電体層6Aのカット角θ1は、下記の式(1)で求まるカット角θBを基準として、θB±4°の範囲内である。つまり、カット角θ1は、θB−4°≦θ1≦θB+4°の関係を満たす値である。式(1)において、第1弾性波共振子3Aの波長をλ(μm)とし、第1弾性波共振子3AのIDT電極7Aの厚さをTIDT(μm)とし、IDT電極7Aの比重をρ(g/cm3)とし、IDT電極7Aの第1電極指73A及び第2電極指74Aの幅を電極指周期で除した値であるデューティ比をDuとし、第1弾性波共振子3Aの圧電体層6Aの厚さをTLT(μm)とし、第1弾性波共振子3Aの低音速膜5Aの厚さをTVL(μm)とする。カット角θBは、レイリー波のスプリアスが極小となる圧電体層6Aの最適なカット角である。

0066

0067

本実施形態に係る弾性波装置1の第1弾性波共振子3Aについて、通過帯域よりも低周波数側の減衰帯域でのレイリー波のスプリアスの発生を抑制できるカット角θ1は、波長λ、厚さTIDT、比重ρ、デューティ比Du、厚さTLT、及び厚さTVLにより変化し、式(1)により規定される角度である。

0068

一方、第2弾性波共振子3Bの圧電体層6Bのカット角θ2は、第1弾性波共振子3Aの圧電体層6Aのカット角θ1よりもカット角θBからの差異が大きい。つまり、第1弾性波共振子3Aの圧電体層6Aにおけるカット角の絶対値差|θ2−θB|は、第2弾性波共振子3Bの圧電体層6Bにおけるカット角の絶対値差|θ1−θB|よりも大きい。この場合、式(1)において、波長λは、第2弾性波共振子3Bの波長であり、厚さTIDT(μm)は、第2弾性波共振子3BのIDT電極7Bの厚さであり、比重ρ(g/cm3)は、IDT電極7Bの比重であり、デューティ比Duは、IDT電極7Bの第1電極指73B及び第2電極指74Bの幅を電極指周期で除した値であり、厚さTLT(μm)は、第2弾性波共振子3Bの圧電体層6Bの厚さであり、厚さTVL(μm)は、第2弾性波共振子3Bの低音速膜5Bの厚さである。カット角θBは、レイリー波のスプリアスが極小となる圧電体層6Bの最適なカット角である。

0069

(4)弾性波装置の動作原理
次に、本実施形態に係る弾性波装置1の動作原理について説明する。本実施形態では、弾性波装置1は、ラダー型フィルタである。

0070

例えば、図1に示す並列腕共振子(弾性波共振子32,34,36,38)は、それぞれ、共振特性において共振周波数frp及び反共振周波数fap(>frp)を有する。また、直列腕共振子(弾性波共振子31,33,35,37,39)は、それぞれ、共振特性において共振周波数frs及び反共振周波数fas(>frs>frp)を有する。なお、弾性波共振子31,33,35,37,39の共振周波数frsは、一致するように設計されるが、必ずしも完全には一致していなくてもよい。また、弾性波共振子31,33,35,37,39の反共振周波数fas、弾性波共振子32,34,36,38の共振周波数frp、及び、弾性波共振子32,34,36,38の反共振周波数fapについても同様であり、必ずしも完全には一致していなくてもよい。

0071

弾性波装置1のようなラダー型フィルタの場合、並列腕共振子(弾性波共振子32,34,36,38)の反共振周波数fapと直列腕共振子(弾性波共振子31,33,35,37,39)の共振周波数frsとを近接させる。これにより、弾性波共振子32,34,36,38のインピーダンスが0に近づく共振周波数frp近傍は、低周波数側阻止域となる。また、これより周波数が増加すると、反共振周波数fap近傍で弾性波共振子32,34,36,38のインピーダンスが高くなり、かつ、共振周波数frs近傍で弾性波共振子31,33,35,37,39のインピーダンスが0に近づく。これにより、反共振周波数fapと共振周波数frsとの間の範囲の近傍では、第1端子101から第2端子102への第1経路r1において通過帯域となる。さらに、周波数が高くなり、反共振周波数fas近傍になると、弾性波共振子31,33,35,37,39のインピーダンスが高くなり、高周波数側阻止域となる。つまり、弾性波共振子31,33,35,37,39の反共振周波数fasを、信号通過域外のどこに設定するかにより、高周波数側阻止域における減衰特性の急峻性が大きく影響する。

0072

弾性波装置1において、第1端子101から高周波信号が入力されると、第1端子101とグラウンドとの間で電位差が生じ、これにより、圧電体層6Aが歪むことでX方向(図4A、図4B、図5A、及び図5B参照)に伝搬する弾性表面波が発生する。ここで、IDT電極7Aの波長λと、通過帯域の波長とを対応させておくことにより、通過させたい周波数成分を有する高周波信号のみが弾性波装置1を通過する。

0073

図6図8は、規格化膜厚(TIDT/λ)、デューティ比Du、規格化厚み(TLT/λ)、及び規格化膜厚(TVL/λ)を変化させた場合のレイリー波のスプリアスが極小となるカット角の変化を示す。図6図8に示されている結果は、有限要素法によるシミュレーションにより求められた値である。なお、上記シミュレーションでは、IDT電極の材料としてAlが用いられており、低音速膜の材料としてSiO2が用いられている。

0074

第1範囲の構造パラメータは、規格化膜厚(TIDT/λ)が0.05である場合を含み、第2範囲及び第3範囲における規格化膜厚(TIDT/λ)よりも小さい規格化膜厚(TIDT/λ)の範囲と、デューティ比Duが0.4038である場合を含み、第2範囲及び第3範囲のデューティ比Duよりも小さいデューティ比Duの範囲と、規格化厚み(TLT/λ)が0.4923である場合を含み、第2範囲及び第3範囲の規格化厚み(TLT/λ)よりも大きい規格化厚み(TLT/λ)の範囲と、規格化膜厚(TVL/λ)が0.4949である場合を含み、第2範囲及び第3範囲の規格化膜厚(TVL/λ)よりも大きい規格化膜厚(TVL/λ)の範囲とで構成されている。

0075

第3範囲の構造パラメータは、規格化膜厚(TIDT/λ)が0.09471である場合を含み、第1範囲及び第2範囲における規格化膜厚(TIDT/λ)よりも大きい規格化膜厚(TIDT/λ)の範囲と、デューティ比Duが0.5974である場合を含み、第1範囲及び第2範囲のデューティ比Duよりも大きいデューティ比Duの範囲と、規格化厚み(TLT/λ)が0.2058である場合を含み、第1範囲及び第2範囲の規格化厚み(TLT/λ)よりも小さい規格化厚み(TLT/λ)の範囲と、規格化膜厚(TVL/λ)が0.1077である場合を含み、第1範囲及び第2範囲の規格化膜厚(TVL/λ)よりも小さい規格化膜厚(TVL/λ)の範囲とで構成されている。

0076

第2範囲の構造パラメータは、規格化膜厚(TIDT/λ)が0.0725である場合を含み、第1範囲における規格化膜厚(TIDT/λ)よりも大きくかつ第3範囲における規格化膜厚(TIDT/λ)よりも小さい規格化膜厚(TIDT/λ)の範囲と、デューティ比Duが0.5である場合を含み、第1範囲におけるデューティ比Duよりも大きくかつ第3範囲におけるデューティ比Duよりも小さいデューティ比Duの範囲と、規格化厚み(TLT/λ)が0.3である場合を含み、第1範囲における規格化厚み(TLT/λ)よりも小さくかつ第3範囲における規格化厚み(TLT/λ)よりも大きい規格化厚み(TLT/λ)の範囲と、規格化膜厚(TVL/λ)が0.35である場合を含み、第1範囲における規格化膜厚(TVL/λ)よりも小さくかつ第3範囲における規格化膜厚(TVL/λ)よりも大きい規格化膜厚(TVL/λ)の範囲とで構成されている。

0077

図6図8のいずれにおいても、規格化膜厚(TIDT/λ)が大きくなるほど、カット角は小さくなる。また、デューティ比Duが大きくなるほど、カット角は小さくなる。また、規格化厚み(TLT/λ)が大きくなるほど、カット角は大きくなる。また、規格化膜厚(TVL/λ)が大きくなるほど、カット角は大きくなる。

0078

ここで、図6に示すように、第1範囲の構造パラメータとして、規格化膜厚(TIDT/λ)が小さい領域(=0.05)、かつ、デューティ比Duが小さい領域(=0.4038)、かつ、規格化厚み(TLT/λ)が大きい領域(=0.4923)、かつ、規格化膜厚(TVL/λ)が大きい領域(=0.4949)において、レイリー波のスプリアスが極小となるカット角として51°が得られる。

0079

また、図7に示すように、第2範囲の構造パラメータとして、規格化膜厚(TIDT/λ)が中央領域(=0.0725)にあり、かつ、デューティ比Duが中央領域(=0.5)にあり、かつ、規格化厚み(TLT/λ)が中央領域(=0.3)にあり、かつ、規格化膜厚(TVL/λ)が中央領域(=0.35)にある場合において、レイリー波のスプリアスが極小となるカット角として42°が得られる。

0080

さらに、図8に示すように、第3範囲の構造パラメータとして、規格化膜厚(TIDT/λ)が大きい領域(=0.09471)、かつ、デューティ比Duが大きい領域(=0.5974)、かつ、規格化厚み(TLT/λ)が小さい領域(=0.2058)、かつ、規格化膜厚(TVL/λ)が小さい領域(=0.1077)において、レイリー波のスプリアスが極小となるカット角として37°が得られる。

0081

本実施形態に係る弾性波装置1のようにラダー型フィルタの場合、直列腕共振子及び並列腕共振子のそれぞれが、0.76倍付近周波数帯にスプリアスを発生させるため、直列腕共振子の共振点反共振点)に相当するスプリアスと並列腕共振子の共振点(反共振点)に相当するスプリアスとで、帯域幅を有するスプリアスが発生する。

0082

ここで、図9に示すように、第1範囲の構造パラメータとして、規格化膜厚(TIDT/λ)が小さい領域(=0.05)、かつ、デューティ比Duが小さい領域(=0.4038)、かつ、規格化厚み(TLT/λ)が大きい領域(=0.4923)、かつ、規格化膜厚(TVL/λ)が大きい領域(=0.4949)において、レイリー波のスプリアスの帯域幅BWが極小となるカット角として50°が得られる。

0083

また、図10に示すように、第2範囲の構造パラメータとして、規格化膜厚(TIDT/λ)が中央領域(=0.0725)にあり、かつ、デューティ比Duが中央領域(=0.5)にあり、かつ、規格化厚み(TLT/λ)が中央領域(=0.3)にあり、かつ、規格化膜厚(TVL/λ)が中央領域(=0.35)にある場合において、レイリー波のスプリアスの帯域幅BWが極小となるカット角として42°が得られる。

0084

さらに、図11に示すように、第3範囲の構造パラメータとして、規格化膜厚(TIDT/λ)が大きい領域(=0.09471)、かつ、デューティ比Duが大きい領域(=0.5974)、かつ、規格化厚み(TLT/λ)が小さい領域(=0.2058)、かつ、規格化膜厚(TVL/λ)が小さい領域(=0.1077)において、レイリー波のスプリアスの帯域幅BWが極小となるカット角として37°が得られる。

0085

つまり、図6図8及び図9図11に示すように、レイリー波のスプリアスのレベル及び帯域幅が極小となるカット角は、規格化膜厚(TIDT/λ)、デューティ比Du、規格化膜厚(TLT/λ)、及び規格化膜厚(TVL/λ)の組合せにより変化する。

0086

図6図11が示すデータを含め、規格化膜厚(TIDT/λ)、デューティ比Du、規格化厚み(TLT/λ)、及び規格化膜厚(TVL/λ)と、レイリー波のスプリアスのレベル及び帯域幅BWが極小となるカット角θBとの関係を示すデータを、データ解析ツールにより解析することにより、上述した式(1)が導出される。つまり、カット角θBは、厚さTIDT、デューティ比Du、厚さTLT、及び厚さTVLに応じて変化し、一意に決定されるものではなく、式(1)により決定される。

0087

本実施形態に係る弾性波装置1において、波長λが1.3497μm、デューティ比Duが0.5、IDT電極7Aの厚さTIDTが141nmである場合、圧電体層6Aの規格化膜厚(TLT/λ)、及び低音速膜5Aの規格化膜厚(TVL/λ)と、IDT電極7Aを構成するAlの比重ρとを、式(1)に代入することにより、レイリー波のスプリアスが極小となる最適なカット角θBとして42°が導出される。よって、実施形態に係る弾性波装置1の圧電体層6Aとして、42°YカットX伝搬LiTaO3を用いることがよい。

0088

高周波数側の通過帯域を有する弾性波装置1において、アンテナ200に最も電気的に近いアンテナ端共振子を含む第1弾性波共振子3Aに、上記式(1)を用いることにより、圧電体層6Aのカット角θ1を選択できる。これにより、レイリー波のスプリアスレベルをゼロに近い値に低減できる。

0089

(5)マルチプレクサ
次に、本実施形態に係るマルチプレクサ100について、図2を参照して説明する。

0090

マルチプレクサ100は、図2に示すように、第1フィルタ11と、第2フィルタ12と、第3フィルタ21と、第4フィルタ22とを備える。さらに、マルチプレクサ100は、第1端子101と、第2端子102と、第3端子103と、第4端子104と、第5端子105とを備える。

0091

第1端子101は、マルチプレクサ100の外部のアンテナ200と電気的に接続可能なアンテナ端子である。マルチプレクサ100は、第1端子101を介して、アンテナ200に接続されている。第1〜4フィルタ11,12,21,22は、第1端子101に共通接続されている。

0092

第1フィルタ11は、第1端子101と第2端子102との間に設けられている受信フィルタである。第1フィルタ11は、第1フィルタ11の通過帯域の信号を通過させ、通過帯域以外の信号を減衰させる。

0093

第2フィルタ12は、第1端子101と第3端子103との間に設けられている受信フィルタである。第2フィルタ12は、第2フィルタ12の通過帯域の信号を通過させ、通過帯域以外の信号を減衰させる。

0094

第1フィルタ11と第2フィルタ12とは互いに異なる通過帯域を有している。マルチプレクサ100では、第1フィルタ11の通過帯域が、第2フィルタ12の通過帯域よりも低周波数域である。したがって、マルチプレクサ100では、第1フィルタ11の通過帯域の最大周波数が、第2フィルタ12の通過帯域の最小周波数よりも低い。

0095

第3フィルタ21は、第1端子101と第4端子104との間に設けられている送信フィルタである。第3フィルタ21は、第3フィルタ21の通過帯域の信号を通過させ、通過帯域以外の信号を減衰させる。

0096

第4フィルタ22は、第1端子101と第5端子105との間に設けられている送信フィルタである。第4フィルタ22は、第4フィルタ22の通過帯域の信号を透過させ、通過帯域以外の信号を減衰させる。

0097

なお、第1〜4フィルタ11,12,21,22と第1端子101との間には、インダクタが直列接続されていてもよい。インダクタは、アンテナ200と第1〜4フィルタ11,12,21,22とのインピーダンス整合をとるための回路素子であって、必須の構成要素ではない。

0098

弾性波装置1である第1フィルタ11において、上述したように、第1弾性波共振子3A(図1参照)のIDT電極7A及び圧電体層6Aの圧電材料の構造パラメータに応じて圧電体層6Aのカット角θ1を選択することができ、第1フィルタ11の通過帯域よりも低周波数側の減衰帯域におけるレイリー波のスプリアスを低減することができる。これにより、例えば、第1フィルタ11の通過帯域よりも低周波数側の第2フィルタ12の通過帯域と、第1フィルタ11によるレイリー波のスプリアスの発生周波数とが重なる場合、第2フィルタ12の通過帯域内のリップルを低減することができる。

0099

(6)高周波フロントエンド回路
次に、本実施形態に係る高周波フロントエンド回路300について、図2を参照して説明する。

0100

高周波フロントエンド回路300は、図2に示すように、マルチプレクサ100と、第1スイッチ回路301と、第2スイッチ回路302と、第1増幅回路303と、第2増幅回路304とを備える。

0101

第1スイッチ回路301は、第1フィルタ11及び第2フィルタ12と第1増幅回路303との間に設けられている。第1スイッチ回路301は、マルチプレクサ100の第2端子102及び第3端子103に個別に接続された2つの被選択端子と、第1増幅回路303に接続された共通端子とを有する。つまり、第1スイッチ回路301は、第2端子102を介して第1フィルタ11と接続され、第3端子103を介して第2フィルタ12と接続される。第1スイッチ回路301は、第1フィルタ11及び第2フィルタ12の中で、第1増幅回路303に接続されるフィルタを切り替える。

0102

第1スイッチ回路301は、例えば、SPDT(Single Pole Double Throw)型のスイッチによって構成される。第1スイッチ回路301は、制御回路(図示せず)によって制御される。第1スイッチ回路301は、上記制御回路からの制御信号に従って、共通端子と被選択端子とを接続する。第1スイッチ回路301は、スイッチIC(IntegratedCircuit)によって構成されてもよい。なお、第1スイッチ回路301では、共通端子と接続される被選択端子は1つに限らず、複数であってもよい。つまり、高周波フロントエンド回路300は、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation)に対応するように構成されていてもよい。

0103

第2スイッチ回路302は、第3フィルタ21及び第4フィルタ22と第2増幅回路304との間に設けられている。第2スイッチ回路302は、マルチプレクサ100の第4端子104及び第5端子105に個別に接続された2つの被選択端子と、第2増幅回路304に接続された共通端子とを有する。つまり、第2スイッチ回路302は、第4端子104を介して第3フィルタ21と接続され、第5端子105を介して第4フィルタ22と接続されている。第2スイッチ回路302は、第3フィルタ21及び第4フィルタ22の中で、第2増幅回路304に接続されるフィルタを切り替える。

0104

第2スイッチ回路302は、例えば、SPDT型のスイッチによって構成される。第2スイッチ回路302は、上記制御回路によって制御される。第2スイッチ回路302は、上記制御回路からの制御信号に従って、共通端子と被選択端子とを接続する。第2スイッチ回路302は、スイッチICによって構成されてもよい。なお、第2スイッチ回路302では、共通端子と接続される被選択端子は1つに限らず、複数であってもよい。

0105

第1増幅回路303は、アンテナ200、マルチプレクサ100、及び第1スイッチ回路301を経由した高周波信号(受信信号)を増幅し、増幅した高周波信号を高周波フロントエンド回路300の外部(例えば、後述のRF信号処理回路401)へ出力する。第1増幅回路303は、ローノイズアンプ回路である。

0106

第2増幅回路304は、高周波フロントエンド回路300の外部(例えば、後述のRF信号処理回路401)から出力された高周波信号(送信信号)を増幅し、増幅した高周波信号を、第2スイッチ回路302及びマルチプレクサ100を経由してアンテナ200に出力する。第2増幅回路304は、パワーアンプ回路である。

0107

(7)通信装置
次に、本実施形態に係る通信装置400について、図2を参照して説明する。

0108

通信装置400は、図2に示すように、高周波フロントエンド回路300と、RF信号処理回路401と、ベースバンド信号処理回路402とを備える。RF信号処理回路401及びベースバンド信号処理回路402は、高周波信号を処理する信号処理回路を構成する。

0109

RF信号処理回路401は、例えばRFIC(Radio Frequency IntegratedCircuit)であり、送信信号及び受信信号を含む高周波信号に対する信号処理を行う。RF信号処理回路401は、第1増幅回路303から出力された高周波信号(受信信号)をダウンコンバート等の信号処理を行い、信号処理が行われた高周波信号をベースバンド信号処理回路402へ出力する。

0110

ベースバンド信号処理回路402は、例えばBBIC(Baseband IntegratedCircuit)であり、外部からの送信信号及びRF信号処理回路401からの高周波信号のそれぞれに対する信号処理を行う。

0111

(8)効果
以上説明したように、本実施形態に係る弾性波装置1では、アンテナ200に接続される第1端子101に電気的に最も近いアンテナ端共振子である第1弾性波共振子3Aの圧電体層6Aのカット角θ1がθB±4°の範囲内である。これにより、通過帯域の特性劣化を抑えつつ、通過帯域よりも低周波数側に発生するレイリー波のスプリアスを低減させることができる。

0112

本実施形態に係る弾性波装置1では、アンテナ端共振子が複数の弾性波共振子31〜39におけるアンテナ端共振子以外の弾性波共振子とは異なるチップである。これにより、上記アンテナ端共振子以外の弾性波共振子の特性のばらつきを抑制することができる。

0113

本実施形態に係る弾性波装置1では、低音速膜5A,5Bが設けられていない場合に比べて、損失を低減し、Q値を高めることができる。

0114

本実施形態に係るマルチプレクサ100では、第1フィルタ11に弾性波装置1が用いられている。これにより、第1フィルタ11で発生するレイリー波のスプリアスが第2フィルタ12へ与える影響を抑制することができる。

0115

(9)変形例
以下、本実施形態の変形例について説明する。

0116

実施形態1の変形例1に係るマルチプレクサ100bは、図12に示すように、複数の弾性波共振子31〜39からなる共振子群30を複数(図12では2つのみを図示)備える。複数の共振子群30では、第1端子101が共通端子であり、かつ、第2端子102が個別端子である。マルチプレクサ100bでは、複数の共振子群30のアンテナ端共振子(弾性波共振子31)が1チップに集積されている。これにより、変形例1に係るマルチプレクサ100bは、複数の共振子群30を備えた構成において、小型化を図ることが可能となり、かつ、アンテナ端共振子の特性ばらつきを小さくすることができる。図12では、一点鎖線で囲まれた弾性波共振子が1チップに集積されている。例えば、1つの共振子群30における7つの第2弾性波共振子3Bが1チップに集積されている。また、共振子群30ごとの2つの第1弾性波共振子3A(図示例では、4つの第1弾性波共振子3A)が1チップに集積されている。なお、変形例1に係るマルチプレクサ100bでは、複数の共振子群30の弾性波共振子31,32が1チップに集積されているが、少なくとも複数の共振子群30の弾性波共振子31が1チップに集積されていればよい。

0117

変形例1に係るマルチプレクサ100bでは、複数の共振子群30は、互いに通過帯域の異なるフィルタを構成する。

0118

変形例1に係るマルチプレクサ100bでは、複数の共振子群30のアンテナ端共振子の特性ばらつきを低減でき、かつ、弾性波装置1の小型化を図ることができる。

0119

実施形態1の変形例2に係る弾性波装置1cは、図13に示すように、複数(8つ)の弾性波共振子31〜38の接続関係について、実施形態1に係る弾性波装置1と相違する。変形例2に係る弾性波装置1cに関し、実施形態1に係る弾性波装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。

0120

弾性波装置1cでは、複数の弾性波共振子31〜38において、複数(4つ)の直列腕共振子(弾性波共振子31、33、35、37)のうち1つの直列腕共振子(弾性波共振子31)と複数(4つ)の並列腕共振子(弾性波共振子32、34、36、38)のうち1つの並列腕共振子(弾性波共振子32)とが、第1端子101と直接的に接続されている。「1つの直列腕共振子(弾性波共振子31)が第1端子101と直接的に接続されている」とは、他の弾性波共振子32〜38を介さずに第1端子101と電気的に接続されていることを意味する。また、「1つの並列腕共振子(弾性波共振子32)が第1端子101と直接的に接続されている」とは、他の弾性波共振子31、33〜38を介さずに第1端子101と電気的に接続されていることを意味する。

0121

弾性波装置1cでは、上記1つの直列腕共振子(弾性波共振子31)と上記1つの並列腕共振子(弾性波共振子32)との両方がアンテナ端共振子として第1弾性波共振子3Aにより構成されているが、これに限らない。例えば、弾性波装置1cでは、上記1つの直列腕共振子(弾性波共振子31)と上記1つの並列腕共振子(弾性波共振子32)との少なくとも一方が、アンテナ端共振子として第1弾性波共振子3Aにより構成されていればよい。

0122

本実施形態の変形例3に係る弾性波装置は、実施形態1に係る弾性波装置1の第1弾性波共振子3A及び第2弾性波共振子3Bの代わりに、図14Aに示すような第1弾性波共振子3A及び図14Bに示すような第2弾性波共振子3Bfを備える点で、実施形態1に係る弾性波装置1と相違する。変形例3に係る弾性波装置に関し、実施形態1に係る弾性波装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。

0123

第1弾性波共振子3Afの高音速部材4Aは、高音速支持基板42Aに代えて、高音速膜45Aと、支持基板44Aとを含む。高音速膜45Aは、支持基板44A上に形成されている。ここにおいて、「支持基板44A上に形成されている」とは、支持基板44A上に直接的に形成されている場合と、支持基板44A上に間接的に形成されている場合と、を含む。高音速膜45Aでは、圧電体層6Aを伝搬する弾性波の音速よりも、高音速膜45Aを伝搬するバルク波の音速が高速である。低音速膜5Aは、高音速膜45A上に形成されている。ここにおいて、「高音速膜45A上に形成されている」とは、高音速膜45A上に直接的に形成されている場合と、高音速膜45A上に間接的に形成されている場合と、を含む。低音速膜5Aでは、圧電体層6Aを伝搬するバルク波の音速よりも、低音速膜5Aを伝搬するバルク波の音速が低速である。圧電体層6Aは、低音速膜5A上に形成されている。ここにおいて、「低音速膜5A上に形成されている」とは、低音速膜5A上に直接的に形成されている場合と、低音速膜5A上に間接的に形成されている場合と、を含む。

0124

第2弾性波共振子3Bfの高音速部材4Bは、高音速支持基板42Bに代えて、高音速膜45Bと、支持基板44Bとを含む。高音速部材4Bは、支持基板44B上に形成されている。ここにおいて、「支持基板44B上に形成されている」とは、支持基板44B上に直接的に形成されている場合と、支持基板44B上に間接的に形成されている場合と、を含む。高音速膜45Bでは、圧電体層6Bを伝搬する弾性波の音速よりも、高音速膜45Bを伝搬するバルク波の音速が高速である。低音速膜5Bは、高音速膜45B上に形成されている。ここにおいて、「高音速膜45B上に形成されている」とは、高音速膜45B上に直接的に形成されている場合と、高音速膜45B上に間接的に形成されている場合と、を含む。低音速膜5Bでは、圧電体層6Bを伝搬するバルク波の音速よりも、低音速膜5Bを伝搬するバルク波の音速が低速である。圧電体層6Bは、低音速膜5B上に形成されている。ここにおいて、「低音速膜5B上に形成されている」とは、低音速膜5B上に直接的に形成されている場合と、低音速膜5B上に間接的に形成されている場合と、を含む。

0125

支持基板44A,44Bの材料は、例えばシリコンである。なお、支持基板44A,44Bの材料は、シリコンに限定されず、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、水晶等の圧電体、アルミナ、マグネシア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト等の各種セラミック、ガラス等の誘電体窒化ガリウム等の半導体樹脂等であってもよい。

0126

第1弾性波共振子3Afでは、高音速膜45Aは、メインモードの弾性波のエネルギーが高音速膜45Aより下の構造に漏れないように機能する。同様に、第2弾性波共振子3Bfでは、高音速膜45Bは、メインモードの弾性波のエネルギーが高音速膜45Bより下の構造に漏れないように機能する。

0127

第1弾性波共振子3Afでは、高音速膜45Aの厚さが十分に厚い場合、メインモードの弾性波のエネルギーは圧電体層6A及び低音速膜5Aの全体に分布し、高音速膜45Aの低音速膜5A側の一部にも分布し、支持基板44Aには分布しないことになる。同様に、第2弾性波共振子3Bfでは、高音速膜45Bの厚さが十分に厚い場合、メインモードの弾性波のエネルギーは圧電体層6B及び低音速膜5Bの全体に分布し、高音速膜45Bの低音速膜5B側の一部にも分布し、支持基板44Bには分布しないことになる。高音速膜45A,45Bにより弾性波を閉じ込めるメカニズムは非漏洩なSH波であるラブ波型の表面波の場合と同様のメカニズムであり、例えば、文献「弾性表面波デバイスシミュレーション技術入門」、橋本研也、リアライズ社、p.26−28に記載されている。上記メカニズムは、音響多層膜によるブラッグ反射器を用いて弾性波を閉じ込めるメカニズムとは異なる。

0128

高音速膜45A,45Bの材料は、例えば、ダイヤモンドライクカーボン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリコン、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、水晶、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、マグネシア、及びダイヤモンドからなる群から選択される少なくとも1種の材料である。

0129

変形例3に係る弾性波装置では、高音速部材4A,4Bが高音速膜45A,45Bを含む。これにより、弾性波が支持基板44A,44Bに漏れるのを抑制することができる。

0130

また、本実施形態の他の変形例として、マルチプレクサ100は、4つのフィルタを組み合わせたクワッドプレクサに限定されない。マルチプレクサ100は、3つ以下のフィルタを組み合わせたマルチプレクサであってもよいし、5つ以上のフィルタを組み合わせたマルチプレクサであってもよい。

0131

マルチプレクサ100において、第1フィルタ11だけでなく,第2〜4フィルタ12,21,22にも実施形態1又は変形例2,3に係る弾性波装置1,1cが適用されてもよい。

0132

上記の各変形例に係る弾性波装置1c及びマルチプレクサ100,100bにおいても、本実施形態に係る弾性波装置1及びマルチプレクサ100と同様の効果を奏する。

0133

以上説明した実施形態及び変形例は、本発明の様々な実施形態及び変形例の一部に過ぎない。また、実施形態及び変形例は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。

0134

(まとめ)
以上説明した実施形態及び変形例より以下の態様が開示されている。

0135

第1の態様に係る弾性波装置(1;1c)は、アンテナ端子である第1端子(101)と、第1端子(101)とは異なる第2端子(102)との間に設けられる。弾性波装置(1;1c)は、複数の弾性波共振子(31〜39)を備える。複数の弾性波共振子(31〜39)は、複数の直列腕共振子(弾性波共振子31,33,35,37,39)と、複数の並列腕共振子(弾性波共振子32,34,36,38)とを含む。複数の直列腕共振子(弾性波共振子31,33,35,37,39)は、第1端子(101)と第2端子(102)とを結ぶ第1経路(r1)上に設けられている。複数の並列腕共振子(弾性波共振子32,34,36,38)は、第1経路(r1)上の複数のノード(N1,N2,N3,N4)それぞれとグラウンドとを結ぶ複数の第2経路上に設けられている。複数の弾性波共振子(31〜39)のうち第1端子(101)に電気的に最も近い弾性波共振子をアンテナ端共振子とした場合に、アンテナ端共振子は、第1弾性波共振子(3A;3Af)である。複数の弾性波共振子(31〜39)のうちアンテナ端共振子以外の少なくとも1つの弾性波共振子は、第2弾性波共振子(3B;3Bf)である。第1弾性波共振子(3A;3Af)及び第2弾性波共振子(3B;3Bf)の各々は、圧電体層(6A;6B)と、IDT電極(7A;7B)と、高音速部材(4A;4B)と、低音速膜(5A;5B)とを含む。IDT電極(7A;7B)は、圧電体層(6A;6B)上に形成されており、複数の電極指(第1電極指73A,第2電極指74A;第1電極指73B,第2電極指74B)を有する。高音速部材(4A;4B)は、圧電体層(6A;6B)を挟んでIDT電極(7A;7B)とは反対側に位置しており圧電体層(6A;6B)を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である部材である。低音速膜(5A;5B)は、高音速部材(4A;4B)と圧電体層(6A;6B)との間に設けられており、圧電体層(6A;6B)を伝搬するバルク波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が低速となる膜である。圧電体層(6A;6B)の厚さが、IDT電極(7A;7B)の複数の電極指(第1電極指73A,第2電極指74A;第1電極指73B,第2電極指74B)の周期である電極指周期で定まる弾性波の波長をλとしたときに、3.5λ以下である。第1弾性波共振子(3A;3Af)の圧電体層(6A)のカット角は、波長をλ(μm)とし、IDT電極(7A)の厚さをTIDT(μm)とし、IDT電極(7A)の比重をρ(g/cm3)とし、電極指の幅(WA)を電極指周期(繰り返し周期PλA)の2分の1の値(WA+SA)で除した値であるデューティ比をDuとし、圧電体層(6A)の厚さをTLT(μm)とし、低音速膜(5A)の厚さTVL(μm)とした場合、式(1)で求まるθB(°)を基準として、θB±4°の範囲内である。第2弾性波共振子(3B;3Bf)の圧電体層(6B)のカット角は、第1弾性波共振子(3A;3Af)の圧電体層(6A)のカット角よりもθB(°)からの差異が大きい。

0136

0137

第1の態様に係る弾性波装置(1;1c)では、アンテナ(200)に接続される第1端子(101)に電気的に最も近いアンテナ端共振子である第1弾性波共振子(3A;3Af)の圧電体層(6A)のカット角(θ1)がθB±4°の範囲内である。これにより、通過帯域の特性劣化を抑えつつ、通過帯域よりも低周波数側に発生するレイリー波のスプリアスを低減させることができる。

0138

第2の態様に係る弾性波装置(1;1c)では、第1の態様において、複数の弾性波共振子(31〜39)のうちアンテナ端共振子を含む少なくとも1つの弾性波共振子(31,32)は、第1弾性波共振子(3A;3Af)である。複数の弾性波共振子(31〜39)のうち少なくとも1つの弾性波共振子以外の弾性波共振子(33〜39)は、第2弾性波共振子(3B;3Bf)である。第1弾性波共振子(3A;3Af)は、第2弾性波共振子(3B;3Bf)とは異なるチップである。

0139

第2の態様に係る弾性波装置(1;1c)では、上記アンテナ端共振子以外の弾性波共振子の特性のばらつきを抑制することができる。

0140

第3の態様に係る弾性波装置(1;1c)では、第1又は2の態様において、圧電体層(6A;6B)の材料がリチウムタンタレート又はリチウムニオベイトである。低音速膜(5A;5B)の材料が酸化ケイ素である。高音速部材(4A;4B)の材料がシリコンである。

0141

第3の態様に係る弾性波装置(1;1c)では、低音速膜(5A;5B)が設けられていない場合に比べて、損失を低減し、Q値を高めることができる。

0142

第4の態様に係る弾性波装置(1;1c)では、第1〜3の態様のいずれか1つにおいて、第1弾性波共振子(3Af)及び第2弾性波共振子(3Bf)の各々は、支持基板(44A;44B)を更に含む。高音速部材は、高音速膜(45A;45B)を含む。高音速膜(45A;45B)は、支持基板(44A;44B)上に形成されており、圧電体層(6A;6B)を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速となる膜である。低音速膜(5A;5B)は、高音速膜(45A;45B)上に形成されている。

0143

第4の態様に係る弾性波装置(1;1c)では、弾性波が支持基板(44A;44B)に漏れるのを抑制することができる。

0144

第5の態様に係る弾性波装置(1;1c)では、第4の態様において、圧電体層(6A;6B)の材料が、リチウムタンタレート又はリチウムニオベイトである。低音速膜(5A;5B)の材料が、酸化ケイ素と、ガラスと、酸窒化ケイ素と、酸化タンタルと、酸化ケイ素にフッ素、炭素又はホウ素を加えた化合物と、からなる群から選択される少なくとも1種の材料である。高音速膜(45A;45B)の材料が、ダイヤモンドライクカーボン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリコン、サファイア、リチウムタンタレート、リチウムニオベイト、水晶、アルミナ、ジルコニア、コージライト、ムライト、ステアタイト、フォルステライト、マグネシア、及びダイヤモンドからなる群から選択される少なくとも1種の材料である。

0145

第6の態様に係る弾性波装置(1;1c)では、第1〜5の態様のいずれか1つにおいて、複数の直列腕共振子(弾性波共振子31,33,35,37,39)のうち1つの直列腕共振子が、複数の並列腕共振子(弾性波共振子32,34,36,38)よりも第1端子(101)に電気的に近い。1つの直列腕共振子が、アンテナ端共振子である。

0146

第7の態様に係る弾性波装置(1c)では、第1〜6の態様のいずれか1つにおいて、複数の直列腕共振子(弾性波共振子31,33,35,37,39)のうち1つの直列腕共振子と複数の並列腕共振子(弾性波共振子32,34,36,38)のうち1つの並列腕共振とが、第1端子(101)と直接的に接続されている。1つの直列腕共振子(弾性波共振子31)と上記1つの並列腕共振子(弾性波共振子32)との少なくとも一方が、アンテナ端共振子である。

0147

第8の態様に係る弾性波装置(1;1c)は、アンテナ端子である第1端子(101)と、第1端子(101)とは異なる第2端子(102)との間に設けられる。弾性波装置(1;1c)は、複数の弾性波共振子(31〜39)を備える。複数の弾性波共振子(31〜39)は、複数の直列腕共振子(弾性波共振子31,33,35,37,39)と、複数の並列腕共振子(弾性波共振子32,34,36,38)とを含む。複数の直列腕共振子(弾性波共振子31,33,35,37,39)は、第1端子(101)と第2端子(102)とを結ぶ第1経路(r1)上に設けられている。複数の並列腕共振子(弾性波共振子32,34,36,38)は、第1経路(r1)上の複数のノード(N1,N2,N3,N4)それぞれとグラウンドとを結ぶ複数の第2経路上に設けられている。複数の弾性波共振子(31〜39)のうち第1端子(101)に電気的に最も近い弾性波共振子をアンテナ端共振子とした場合に、アンテナ端共振子は、第1弾性波共振子(3A;3Af)である。複数の弾性波共振子(31〜39)のうちアンテナ端共振子以外の少なくとも1つの弾性波共振子は、第2弾性波共振子(3B;3Bf)である。第1弾性波共振子(3A;3Af)及び第2弾性波共振子(3B;3Bf)の各々は、圧電体層(6A;6B)と、IDT電極(7A;7B)と、高音速部材(4A;4B)と、低音速膜(5A;5B)とを含む。IDT電極(7A;7B)は、圧電体層(6A;6B)上に形成されており、複数の電極指(第1電極指73A,第2電極指74A;第1電極指73B,第2電極指74B)を有する。高音速部材(4A;4B)は、圧電体層(6A;6B)を挟んでIDT電極(7A;7B)とは反対側に位置しており圧電体層(6A;6B)を伝搬する弾性波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が高速である部材である。低音速膜(5A;5B)は、高音速部材(4A;4B)と圧電体層(6A;6B)との間に設けられており、圧電体層(6A;6B)を伝搬するバルク波の音速よりも伝搬するバルク波の音速が低速となる膜である。圧電体層(6A;6B)の厚さが、IDT電極(7A;7B)の複数の電極指(第1電極指73A,第2電極指74A;第1電極指73B,第2電極指74B)の周期である電極指周期で定まる弾性波の波長をλとしたときに、3.5λ以下である。第1弾性波共振子(3A,3Af)で発生するレイリー波応答の強度が、第2弾性波共振子(3B,3Bf)で発生するレイリー波応答の強度よりも小さい。

0148

第8の態様に係る弾性波装置(1;1c)では、アンテナ(200)に接続される第1端子(101)に電気的に最も近いアンテナ端共振子である第1弾性波共振子(3A;3Af)の圧電体層(6A)のカット角(θ1)がθB±4°の範囲内である。これにより、通過帯域の特性劣化を抑えつつ、通過帯域よりも低周波数側に発生するレイリー波のスプリアスを低減させることができる。

0149

第9の態様に係るマルチプレクサ(100;100b)は、第1〜8の態様のいずれか1つの弾性波装置(1;1c)からなる第1フィルタ(11)と、第2フィルタ(12)とを備える。第2フィルタ(12)は、第1端子(101)と第1端子(101)とは異なる第3端子(103)との間に設けられている。第1フィルタ(11)の通過帯域が、第2フィルタ(12)の通過帯域よりも高周波数域である。

0150

第9の態様に係るマルチプレクサ(100;100b)では、第1フィルタ(11)で発生するレイリー波のスプリアスが第2フィルタ(12)へ与える影響を抑制することができる。

0151

第10の態様に係るマルチプレクサ(100b)は、第9の態様において、複数の弾性波共振子(31〜39)からなる共振子群(30)を複数備える。複数の共振子群(30)では、第1端子(101)が共通端子であり、かつ、第2端子(102)が個別端子である。複数の共振子群(30)のアンテナ端共振子が1チップに集積されている。

0152

第10の態様に係るマルチプレクサ(100b)では、複数の共振子群(30)のアンテナ端共振子の特性ばらつきを低減でき、かつ、弾性波装置(1;1c)の小型化を図ることができる。

0153

第11の態様に係るマルチプレクサ(100;100b)では、第9又は10の態様において、第1フィルタ(11)の通過帯域の最小周波数が、第2フィルタ(12)の通過帯域の最大周波数よりも高い。

0154

第12の態様に係る高周波フロントエンド回路(300)は、第9〜11の態様のマルチプレクサ(100;100b)と、(第1)増幅回路(303)とを備える。(第1)増幅回路(303)は、マルチプレクサ(100)に接続されている。

0155

第12の態様に係る高周波フロントエンド回路(300)では、レイリー波のスプリアスを低減させることができる。

0156

第13の態様に係る通信装置(400)は、第12の態様の高周波フロントエンド回路(300)と、信号処理回路(RF信号処理回路401、ベースバンド信号処理回路402)とを備える。信号処理回路は、アンテナ(200)で受信される高周波信号を処理する。高周波フロントエンド回路(300)は、アンテナ(200)と信号処理回路との間で高周波信号を伝達する。

0157

第13の態様に係る通信装置(400)では、レイリー波のスプリアスを低減させることができる。

0158

1,1c弾性波装置
31〜39弾性波共振子
3A,3Af 第1弾性波共振子
3B,3Bf 第2弾性波共振子
4A,4B高音速部材
42A,42B 高音速支持基板
44A,44B 支持基板
45A,45B 高音速膜
5A,5B低音速膜
6A,6B圧電体層
61A,61B 主面
7A,7B IDT電極
71A,71B 第1バスバー
72A,72B 第2バスバー
73A,73B 第1電極指
74A,74B 第2電極指
100,100bマルチプレクサ
101 第1端子
102 第2端子
103 第3端子
104 第4端子
105 第5端子
11 第1フィルタ
12 第2フィルタ
21 第3フィルタ
22 第4フィルタ
30共振子群
200アンテナ
300高周波フロントエンド回路
301 第1スイッチ回路
302 第2スイッチ回路
303 第1増幅回路
304 第2増幅回路
400通信装置
401RF信号処理回路
402ベースバンド信号処理回路
N1〜N4ノード
r1 第1経路
r21〜r24 第2経路
TIDT 厚さ
TLT 厚さ
TVL 厚さ
θ1,θ2,θBカット角
λ波長
ρ 比重

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