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技術 脱硝装置

出願人 中国電力株式会社
発明者 吉河敏和引野健治盛田啓一郎
出願日 2017年12月28日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2018-515904
公開日 2019年12月26日 (11ヶ月経過) 公開番号 WO2019-130572
状態 特許登録済
技術分野 煙突・煙道
主要キーワード 押込式 整流層 石炭サイロ 石炭火力発電設備 脱硫通風機 物理的劣化 炭設備 熱的劣化
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題・解決手段

排ガスに含まれる微粒子捕捉する微粒子捕捉層脱硝触媒層上流側に当接又は近接するように配置することにより、脱硝触媒劣化を抑制できる脱硝装置を提供する。石炭火力発電設備1における脱硝装置60を、長手方向に延びる複数の排ガス流通穴624が形成されたハニカム構造体、及びハニカム構造体に担持された脱硝触媒を含む複数のハニカム触媒622を有する脱硝触媒層625と、脱硝触媒層625の上流側に当接又は近接して配置され、複数の排ガス流通穴624が形成された複数のハニカム構造体623を有する微粒子捕捉層626と、を含んで構成した。

概要

背景

石炭火力発電所では、石炭燃焼に伴い窒素酸化物が発生するが、大気汚染防止法等により、窒素酸化物の排出は一定水準以下に抑えることが必要となっている。そこで発電所では、窒素酸化物を還元分解するために脱硝装置を設置している。この脱硝装置には、五酸化バナジウム等の活性成分を含む脱硝触媒が配置されており、ここにアンモニア共存させることで、高温下の還元反応により脱硝を実現している。

脱硝触媒は、一般に300℃〜400℃の高温雰囲気下で効率的に作動するため、ボイラにおいて石炭を燃焼させた直後の煤塵が非常に多く含まれた排ガスを脱硝させる必要がある。この排ガスに含まれた石炭灰等の微粒子が、脱硝触媒の表面に付着することにより、その触媒活性は徐々に低下する。このように、脱硝触媒が劣化すると、十分に窒素酸化物を還元分解することができなくなるため、定期的に触媒取替え又は再生する必要がある。

脱硝触媒の取替え、再生等による脱硝装置の維持管理コストの低減のために、従来から脱硝触媒の延命化が図られている。例えば、特許文献1では、脱硝触媒層上流側に微粒子吸着層を配置することにより、脱硝触媒の劣化を防止する方法が開示されている。すなわち、微粒子を捕捉する吸着層を脱硝触媒層の手前に配置することにより、脱硝触媒の表面への微粒子の被覆を抑制することを特徴としている。

概要

排ガスに含まれる微粒子を捕捉する微粒子捕捉層を脱硝触媒層の上流側に当接又は近接するように配置することにより、脱硝触媒の劣化を抑制できる脱硝装置を提供する。石炭火力発電設備1における脱硝装置60を、長手方向に延びる複数の排ガス流通穴624が形成されたハニカム構造体、及びハニカム構造体に担持された脱硝触媒を含む複数のハニカム触媒622を有する脱硝触媒層625と、脱硝触媒層625の上流側に当接又は近接して配置され、複数の排ガス流通穴624が形成された複数のハニカム構造体623を有する微粒子捕捉層626と、を含んで構成した。

目的

本発明は、排ガスに含まれる微粒子を捕捉する微粒子捕捉層を脱硝触媒層の上流側に当接又は近接するように配置することにより、脱硝触媒の劣化を抑制できる脱硝装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

石炭粉砕して微粉炭を製造する微粉炭機及び該微粉炭機において製造された微粉炭を燃焼させる燃焼ボイラを備える石炭火力発電設備の該燃焼ボイラの下流側に配置され、前記燃焼ボイラで微粉炭が燃焼されて発生した排ガス中に含まれる窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、長手方向に延びる複数の排ガス流通穴が形成されたハニカム構造体及び該ハニカム構造体に担持された脱硝触媒を含む複数のハニカム触媒を有する脱硝触媒層と、前記脱硝触媒層の上流側に当接又は近接して配置され、複数の排ガス流通穴が形成された複数のハニカム構造体を有する微粒子捕捉層と、を備える脱硝装置。

請求項2

前記脱硝触媒層と前記微粒子捕捉層とが当接している請求項1に記載の脱硝装置。

請求項3

前記脱硝触媒層と前記微粒子捕捉層との間に空間が設けられている請求項1に記載の脱硝装置。

請求項4

前記脱硝触媒層のハニカム触媒及び前記微粒子捕捉層のハニカム構造体が収容される触媒モジュールを備える請求項1から3のいずれかに記載の脱硝装置。

請求項5

前記脱硝触媒層を構成するハニカム構造体は、多孔質材料からなり、前記微粒子捕捉層を構成するハニカム構造体は、前記多孔質材料と同一の多孔質材料からなる請求項1から4のいずれかに記載の脱硝装置。

請求項6

前記多孔質材料は、セラミック材料である請求項5に記載の脱硝装置。

請求項7

前記微粒子捕捉層は、排ガス流路方向の長さが、前記脱硝触媒層よりも短い請求項1から6のいずれかに記載の脱硝装置。

請求項8

複数の脱硝触媒層を含み、全ての脱硝触媒層の上流側に前記微粒子捕捉層が配置される請求項1から7のいずれかに記載の脱硝装置。

技術分野

0001

本発明は、石炭火力発電所に配置される脱硝装置に関する。より詳しくは、脱硝触媒劣化を抑制できる脱硝装置に関する。

背景技術

0002

石炭火力発電所では、石炭燃焼に伴い窒素酸化物が発生するが、大気汚染防止法等により、窒素酸化物の排出は一定水準以下に抑えることが必要となっている。そこで発電所では、窒素酸化物を還元分解するために脱硝装置を設置している。この脱硝装置には、五酸化バナジウム等の活性成分を含む脱硝触媒が配置されており、ここにアンモニア共存させることで、高温下の還元反応により脱硝を実現している。

0003

脱硝触媒は、一般に300℃〜400℃の高温雰囲気下で効率的に作動するため、ボイラにおいて石炭を燃焼させた直後の煤塵が非常に多く含まれた排ガスを脱硝させる必要がある。この排ガスに含まれた石炭灰等の微粒子が、脱硝触媒の表面に付着することにより、その触媒活性は徐々に低下する。このように、脱硝触媒が劣化すると、十分に窒素酸化物を還元分解することができなくなるため、定期的に触媒取替え又は再生する必要がある。

0004

脱硝触媒の取替え、再生等による脱硝装置の維持管理コストの低減のために、従来から脱硝触媒の延命化が図られている。例えば、特許文献1では、脱硝触媒層上流側に微粒子吸着層を配置することにより、脱硝触媒の劣化を防止する方法が開示されている。すなわち、微粒子を捕捉する吸着層を脱硝触媒層の手前に配置することにより、脱硝触媒の表面への微粒子の被覆を抑制することを特徴としている。

先行技術

0005

特開2017−032212号公報

発明が解決しようとする課題

0006

ところで、本発明者らは、脱硝触媒の劣化のメカニズムにつき、さらに鋭意検討した結果、脱硝触媒層の入口付近での排ガスの流れが、脱硝触媒の表面への微粒子の付着に影響しており、シリカを主成分とする微粒子が脱硝触媒層の入口付近に溜まる傾向があることを見出した。

0007

上記の知見を利用して、本発明は、排ガスに含まれる微粒子を捕捉する微粒子捕捉層を脱硝触媒層の上流側に当接又は近接するように配置することにより、脱硝触媒の劣化を抑制できる脱硝装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、石炭を粉砕して微粉炭を製造する微粉炭機及び該微粉炭機において製造された微粉炭を燃焼させる燃焼ボイラを備える石炭火力発電設備の該燃焼ボイラの下流側に配置され、前記燃焼ボイラで微粉炭が燃焼されて発生した排ガス中に含まれる窒素酸化物を除去する脱硝装置であって、長手方向に延びる複数の排ガス流通穴が形成されたハニカム構造体及び該ハニカム構造体に担持された脱硝触媒を含む複数のハニカム触媒を有する脱硝触媒層と、前記脱硝触媒層の上流側に当接又は近接して配置され、複数の排ガス流通穴が形成された複数のハニカム構造体を有する微粒子捕捉層と、を備える脱硝装置に関する。

0009

また、前記脱硝触媒層と前記微粒子捕捉層とが当接していてもよい。

0010

また、前記脱硝触媒層と前記微粒子捕捉層との間に空間が設けられていてもよい。

0011

また、前記脱硝触媒層のハニカム触媒及び前記微粒子捕捉層のハニカム構造体が収容される触媒モジュールを備えることが好ましい。

0012

また、前記脱硝触媒層を構成するハニカム構造体は、多孔質材料からなり、前記微粒子捕捉層を構成するハニカム構造体は、前記多孔質材料と同一の多孔質材料からなることが好ましい。

0013

また、前記多孔質材料は、セラミック材料であることが好ましい。

0014

また、前記微粒子捕捉層は、排ガス流路方向の長さが、前記脱硝触媒層よりも短いことが好ましい。

0015

また、前記脱硝装置は、複数の脱硝触媒層を含み、全ての脱硝触媒層の上流側に前記微粒子捕捉層が配置されることが好ましい。

発明の効果

0016

本発明によれば、排ガスに含まれる微粒子を捕捉する微粒子捕捉層を脱硝触媒層の上流側に当接又は近接するように配置することにより、脱硝触媒の劣化を抑制できる脱硝装置を提供できる。

図面の簡単な説明

0017

本発明の一実施形態に係る石炭火力発電設備の構成を示す図である。
図1に示す燃焼ボイラの付近を拡大して示す図である。
図1に示す脱硝装置の付近を拡大して示す図である。
脱硝装置を構成する脱硝ユニットの構造を模式的に示す図である。
第1実施形態の脱硝ユニットを構成する触媒モジュールを、排ガス流入面の長手方向に平行に切断した縦断面図である。
ハニカム触媒の表面を覆うシリカ層の厚さの分布を示す図である。
第2実施形態の脱硝ユニットを構成する触媒モジュールを、排ガス流入面の長手方向に平行に切断した縦断面図である。

実施例

0018

以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態の脱硝装置60は、図1に示すように、石炭バンカ20と、給炭機25と、微粉炭機30と、燃焼ボイラ40と、燃焼ボイラ40の下流側に設けられた排気通路50と、この排気通路50に設けられた脱硝装置60、空気予熱器70、ガスヒータ熱回収用)80、電気集塵装置90、誘引通風機210、脱硫装置220、ガスヒータ(再加熱用)230、脱硫通風機240、及び煙突250とを備える石炭火力発電設備1に配置される。

0019

石炭バンカ20は、石炭サイロ(図示しない)から運炭設備によって供給された石炭を貯蔵する。給炭機25は、石炭バンカ20から供給された石炭を所定の供給スピードで微粉炭機30に供給する。
微粉炭機30は、給炭機25から供給された石炭を粉砕して微粉炭を製造する。微粉炭機30においては、石炭は、平均粒径60μm〜80μmに粉砕される。また、微粉炭の粒度分布は、150μm以上が10%〜15%、75μm〜150μmが30%〜40%、75μm未満が45%〜60%程度となる。
微粉炭機30としては、ローラミルチューブミルボールミルビータミルインペラーミル等が用いられる。

0020

燃焼ボイラ40は、微粉炭機30から供給された微粉炭を、強制的に供給された空気と共に燃焼する。微粉炭を燃焼することによりクリンカアッシュ及びフライアッシュ等の石炭灰が生成されると共に、排ガスが発生する。
尚、クリンカアッシュとは、微粉炭を燃焼させた場合に発生する石炭灰のうち、燃焼ボイラ40の底部に落下した塊状の石炭灰をいう。また、フライアッシュとは、微粉炭を燃焼させた場合に発生する石炭灰のうち、燃焼ガス(排ガス)と共に吹き上げられて排気通路50側に流通する程度の粒径(粒径200μm程度以下)の球状の石炭灰をいう。

0021

図2を参照して、燃焼ボイラ40について詳しく説明すると、図2において、燃焼ボイラ40は全体として略逆U字状をなしており、図中矢印に沿って排ガス(燃焼ガス)が逆U字状に移動した後、2次節炭器41eを通過後に、再度小さくU字状に反転する。

0022

燃焼ボイラ40の下方には、燃焼ボイラ40の内部のバーナーゾーン41a’付近で微粉炭を燃焼するためのバーナ41aが配置されている。また、燃焼ボイラ40の内部のU字頂部付近には、第一の過熱器41bが配置されており、更にそこから第二の過熱器41cが続いて配置されている。更に、第二の過熱器41cの終端付近からは、1次節炭器41d、2次節炭器41eが2段階に設けられている。ここで、節炭器(ECOとも呼ばれる)は、排ガスの保有する熱を利用してボイラ給水予熱するために設けられた伝熱面群である。

0023

以上の燃焼ボイラ40によれば、バーナーゾーン41a’において微粉炭が燃焼される。微粉炭の燃焼温度は、1300℃から1500℃に及び、燃焼によって生成される石炭灰は、矢印の方向に沿って上昇して排ガスと共に第一の過熱器41b、第二の過熱器41c、1次節炭器41d、及び2次節炭器41eを順次通過する。燃焼ガスは、ボイラ給水を予熱するために設けられた伝熱面群を通過することによって熱交換され、450℃〜500℃程度に温度が低下する。排ガスがバーナーゾーン41a’から節炭器付近まで到達するまでに要する時間は、おおむね5秒から10秒である。

0024

排気通路50は、燃焼ボイラ40の下流側に配置され、燃焼ボイラ40で発生した排ガス及び生成された石炭灰を流通させる。この排気通路50には、上述のように、脱硝装置60、空気予熱器70、ガスヒータ(熱回収用)80、電気集塵装置90、誘引通風機210、脱硫装置220、ガスヒータ(再加熱用)230、脱硫通風機240、及び煙突250が配置される。

0025

脱硝装置60は、排ガス中の窒素酸化物を除去する。本実施形態では、脱硝装置60は、比較的高温(300℃〜400℃)の排ガス中に還元剤としてアンモニアガス注入して、脱硝触媒との作用により排ガス中の窒素酸化物を無害窒素水蒸気に分解する、いわゆる乾式アンモニア接触還元法により排ガス中の窒素酸化物を除去する。

0026

脱硝装置60は、図3に示すように、脱硝反応器61と、この脱硝反応器61の内部に配置される複数段の脱硝ユニット62、62、62と、脱硝ユニット62の上流側に配置される整流層63と、脱硝反応器61の入口付近に配置される整流板64と、脱硝反応器61の上流側に配置されるアンモニア注入部65と、を備える。

0027

脱硝反応器61は、脱硝装置60における脱硝反応の場となる。
脱硝ユニット62は、脱硝反応器61の内部に、排ガスの流路に沿って所定間隔をあけて複数段(本実施形態では3段)配置される。

0028

整流層63は脱硝反応器61における排ガスの流路を区画する。整流層63は、排気通路50を流通し脱硝反応器61に導入される排ガスを整流して脱硝ユニット62に均等に導く。

0029

整流板64は、脱硝反応器61の入口の近傍における整流層63よりも上流側に配置される。より具体的には、整流板64は、脱硝反応器61又は排気通路50の内壁における屈曲部分に配置され、内壁から内面側に突出する。整流板64は、排気通路50又は脱硝反応器61における屈曲部分における排ガスの流れを整える。

0030

アンモニア注入部65は、脱硝反応器61の上流側に配置され、排気通路50にアンモニアを注入する。

0031

上記の脱硝装置60によれば、まず、アンモニア注入部65において、排気通路50を流通する高温の排ガス(300℃〜400℃)にアンモニアが注入される。アンモニアが注入された排ガスは、整流板64により整流された状態で、整流層63を通過して、脱硝ユニット62に導入される。

0032

脱硝ユニット62は、図4に示すように、同一平面上に配置された複数の触媒モジュール621を備える。触媒モジュール621には、脱硝触媒が担持された複数のハニカム構造体を含むハニカム触媒622及び脱硝触媒が担持されていないハニカム構造体623が収容されている。

0033

触媒モジュール621は、一端及び他端が開放された角筒状の金属部材により構成される。触媒モジュール621は、開放された一端及び他端が脱硝反応器61における排ガスの流路に向かい合うように、つまり、触媒モジュール621の内部を排ガスが流通するように配置される。また、複数の触媒モジュール621は、脱硝反応器61における排ガスの流路を塞ぐように、触媒モジュール621同士が当接した状態で連結されて配置される。

0034

触媒モジュール621の内側の下流側にはハニカム触媒622が収容され、上流側にはハニカム構造体623が収容される。ここで、ハニカム構造体とは、仕切壁で囲まれた開孔が隣接して複数形成された形状を有する構造体である。開孔の形状はどのような形状でもよく、例えば、三角柱四角柱、六角柱等の多角柱円柱等が挙げられる。

0035

ハニカム触媒622は、多孔質材料により構成されるハニカム構造体を備える。本実施形態では、ハニカム触媒622は直方体であり、その長手方向が排ガスの流路に沿うように配置される。また、ハニカム触媒622は、排ガスの流路に沿うように延びる排ガス流通穴624が複数形成される。排ガス流通穴624は、ハニカム触媒622の長手方向に延びる四角柱状の開孔である。

0036

本実施形態のハニカム触媒622のハニカム構造体は、酸化チタン酸化ジルコニウム等の耐熱性耐食性を有するセラミック材料を押出形成した後、所定の温度で加熱することにより形成される。

0037

上述のように、ハニカム触媒622は、ハニカム構造体に脱硝触媒が担持されている。脱硝触媒は、ハニカム構造体に担持された状態で、排ガス中に含まれる窒素酸化物の還元反応を促進させる。触媒としては、バナジウムタングステン等を用いることができる。本実施形態では、ハニカム触媒622は、脱硝触媒をセラミック材料に練り合わせた後、押出成形し、更に加熱することにより形成される。

0038

脱硝ユニット62に導入されたアンモニアを含む排ガスが、ハニカム触媒622の排ガス流通穴624を通過するときに、以下の化学反応式に従って、窒素酸化物とアンモニアとが反応し、無害な窒素と水蒸気に分解される。
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O

0039

ハニカム構造体623は、ハニカム触媒622に用いられるものと同一の多孔質材料により構成されるハニカム構造体を備える。本実施形態では、ハニカム構造体623は直方体であり、排ガスの流路に沿うように延びる排ガス流通穴624が複数形成される。ハニカム構造体623は、その排ガス流通穴624がハニカム触媒622の排ガス流通穴624と同じ方向を向くように配置される。ハニカム構造体623の排ガス流通穴624は、ハニカム触媒622と同様、四角柱状の開孔である。但し、ハニカム構造体623はハニカム触媒622と異なり、脱硝触媒が担持されずに構成される。

0040

ハニカム構造体623の排ガス流通穴624の開孔率は、ハニカム触媒622の排ガス流通穴624の開孔率以上とすることが好ましい。
本実施形態の脱硝ユニット62では、ハニカム触媒622としては、例えば、150mm×150mm×860mmの直方体形状で、目開き6mm×6mmの排ガス流通穴が400個(20×20)形成されたものが用いられる。
ハニカム構造体623としては、例えば、150mm×150mm×100mmの直方体形状で、同じく目開き6mm×6mmの排ガス流通穴が400個(20×20)形成されたものが用いられる。
触媒モジュール621としては、このハニカム触媒622を72本(縦6本×横12本)及びハニカム構造体623を72本(縦6本×横12本)収容可能なものが用いられる。
そして、1つの脱硝ユニット62には、触媒モジュール621が120〜150個用いられる。即ち、一つの脱硝ユニット62には、9000本から10000本のハニカム触媒622と、上流側に9000本から10000本のハニカム構造体623とが設置される。
なお、圧力損失を抑える観点から、開孔率をハニカム触媒622の排ガス流通穴624よりも、ハニカム構造体623の排ガス流通穴624の方が大きくなるように構成してもよい。例えば、ハニカム構造体623の排ガス流通穴624の壁厚を、ハニカム触媒622の排ガス流通穴624の壁厚よりも薄くすることで、開孔率を上げることができる。

0041

図5は、触媒モジュール621を排ガス流入面の長手方向に平行に切断した縦断面図である。図5に示すように、下流側に複数のハニカム触媒622を含む脱硝触媒層625と、上流側に複数のハニカム構造体623を含む微粒子捕捉層626とが形成される。
上記の通り、脱硝反応は、ハニカム触媒622を含む脱硝触媒層625で起こる。一方、微粒子捕捉層626では、ハニカム触媒622の手前に配置されたハニカム構造体623が、排ガスに含まれる微粒子を捕捉する。その結果、ハニカム触媒622への微粒子の流入が抑制されて、脱硝触媒層625の延命化を図ることができる。

0042

微粒子捕捉層626を形成する複数のハニカム構造体623は、脱硝触媒層625を形成する複数のハニカム触媒622に当接した状態で配置される。
また、本実施形態では、脱硝触媒層625のハニカム触媒622及び微粒子捕捉層626のハニカム構造体623が1つの触媒モジュールに収容されているが、それぞれ異なる触媒モジュールに収容してもよい。但し、ハニカム構造体623は、ハニカム触媒622に当接した状態で配置される。

0043

本実施形態では、ハニカム構造体623の排ガス流路方向の長さL2は、ハニカム触媒622の排ガス流路方向の長さL1よりも短い。したがって、微粒子捕捉層626の排ガス流路方向の長さは、脱硝触媒層625の排ガス流路方向の長さよりも短い。具体的には、例えば、L2の長さは50mm〜120mmであってもよい。

0044

本実施形態では、3段全ての脱硝ユニット62において、ハニカム触媒622を含む脱硝触媒層625の上流側に、ハニカム構造体623を含む微粒子捕捉層626が配置される。

0045

ハニカム触媒622の長手方向の側面には、短手方向に隣り合って配置されるハニカム触媒622の間の隙間に排ガスが流入することを防ぐため、シール部材が巻きつけられている。ハニカム触媒622と同様に、ハニカム構造体623の排ガス流路に沿う側面にも、シール部材が巻きつけられている。
シール部材としては、アルミナやシリカを主成分とした無機繊維及びバインダを混合して構成したセラミックペーパを用いることができる。

0046

ところで、脱硝触媒は、使用により劣化し脱硝率が低下する。脱硝触媒の劣化の原因としては、シンタリング等の熱的劣化、触媒成分の被毒による化学的劣化、及び石炭灰に含まれる微細粒子が触媒表面を被覆することによる物理的劣化等が挙げられる。本発明者らは、今般、石炭灰の平均的な粒径である数十μm以上百μm以下程度の範囲に比べて遥かに小さい粒径(1μm以下、より詳細には数十nm程度)の石炭灰に起因するシリカを主成分とする微粒子の堆積物が、脱硝触媒の表面を被覆して被覆層を形成し、それによって、脱硝触媒の閉塞が生じていることを見出した。

0047

また、本発明者らは、上記被覆層が、脱硝触媒層の入口側に、より厚く形成され、脱硝触媒層の出口側に向かうにつれて、その厚さは薄くなることを見出した。
図6は、約11年間使用して、脱硝率が約63%となった脱硝触媒層の触媒表面を覆うシリカ層の厚さの分布を示している。図6縦軸は、ハニカム触媒表面に被覆したシリカ層の厚さであり、横軸はハニカム触媒622の排ガス流入口からの距離である。図6に示すように、排ガスが流入する脱硝触媒層の入口から100mm程度までは、シリカの微粒子が厚く堆積して、それ以上出口側に向かうと薄くなり厚さは殆ど変化しない。
これは、排ガスが脱硝触媒層に流入する際に偏流の影響を受けて、上記微粒子が堆積しやすいことが原因と考えられる。

0048

ここで、本実施形態においては、微粒子捕捉層626のハニカム構造体623が、脱硝触媒層625のハニカム触媒622の上流側に配置されており、ハニカム構造体623及びハニカム触媒622の排ガス流通穴624は、同一形状であり、同一の多孔質材料により構成される。したがって、脱硝触媒層625のハニカム触媒622上に本来形成される被覆層が、微粒子捕捉層626のハニカム構造体623上に代わりに形成される。
また、ハニカム構造体623は、ハニカム触媒622に当接した状態で配置されており隙間がなく、脱硝触媒層625へ排ガスが流入する際の偏流の発生を抑えることができるため、ハニカム触媒622への微粒子の被覆を抑制することができる。

0049

最も劣化の進行が速いのは、排ガスが最初に通過する第1層目の脱硝触媒層のハニカム触媒である。但し、第2、第3脱硝触媒層に流入する際も、偏流が発生するため、第2、第3脱硝触媒層の手前にも微粒子捕捉層を配置することが好ましい。

0050

排ガスに含まれる微粒子は、主に排ガスが流入する脱硝触媒層の入口から50mm〜120mmまでに厚く堆積するため、ハニカム構造体623の長さは、ハニカム触媒622より短く、50mm〜120mmで十分効果を発揮する。また、ハニカム構造体623には、脱硝触媒が担持されていない。さらに、ハニカム構造体623に微粒子が溜まったら、新しいハニカム構造体に取替えて使用することにより、脱硝効果を維持することができる。以上のことから、ハニカム構造体623の製造コスト及びハニカム触媒622の維持コストを抑えることができる。

0051

空気予熱器70は、排気通路50における脱硝装置60の下流側に配置される。空気予熱器70は、脱硝装置60を通過した排ガスと押込式通風機75から送り込まれる燃焼用空気とを熱交換させ、排ガスを冷却すると共に、燃焼用空気を加熱する。

0052

ガスヒータ80は、排気通路50における空気予熱器70の下流側に配置される。ガスヒータ80には、空気予熱器70において熱回収された排ガスが供給される。ガスヒータ80は、排ガスから更に熱回収する。

0053

電気集塵装置90は、排気通路50におけるガスヒータ80の下流側に配置される。電気集塵装置90には、ガスヒータ80において熱回収された排ガスが供給される。電気集塵装置90は、電極電圧印加することによって排ガス中の石炭灰(フライアッシュ)を収集する装置である。電気集塵装置90において捕集されるフライアッシュは、フライアッシュ回収装置120に回収される。

0054

誘引通風機210は、排気通路50における電気集塵装置90の下流側に配置される。誘引通風機210は、電気集塵装置90においてフライアッシュが除去された排ガスを、一次側から取り込んで二次側に送り出す。

0055

脱硫装置220は、排気通路50における誘引通風機210の下流側に配置される。脱硫装置220には、誘引通風機210から送り出された排ガスが供給される。脱硫装置220は、排ガスに石灰石と水との混合液を吹き付けることにより、排ガスに含有されている硫黄酸化物を混合液に吸収させて脱硫石膏スラリーを生成させ、この脱硫石膏スラリーを脱水処理することで脱硫石膏を生成する。脱硫装置220において生成された脱硫石膏は、この装置に接続された脱硫石膏回収装置222に回収される。

0056

ガスヒータ230は、排気通路50における脱硫装置220の下流側に配置される。ガスヒータ230には、脱硫装置220において硫黄酸化物が除去された排ガスが供給される。ガスヒータ230は、排ガスを加熱する。ガスヒータ80及びガスヒータ230は、排気通路50における、空気予熱器70と電気集塵装置90との間を流通する排ガスと、脱硫装置220と脱硫通風機240との間を流通する排ガスと、の間で熱交換を行うガスヒータとして構成してもよい。

0057

脱硫通風機240は、排気通路50におけるガスヒータ230の下流側に配置される。脱硫通風機240は、ガスヒータ230において加熱された排ガスを一次側から取り込んで二次側に送り出す。
煙突250は、排気通路50における脱硫通風機240の下流側に配置される。煙突250には、ガスヒータ230で加熱された排ガスが導入される。煙突250は、排ガスを排出する。

0058

次に、本発明の第2実施形態について、図7を参照しながら説明する。上記第1実施形態と本実施形態とは、触媒モジュール621内の構成以外は全て共通であり、共通する構成については、その説明を省略する。

0059

図7は、触媒モジュール621を排ガス流入面の長手方向に平行に切断した縦断面図である。図7に示すように、下流側に複数のハニカム触媒622を含む脱硝触媒層625と、上流側に複数のハニカム構造体623を含む微粒子捕捉層626とが形成される。

0060

脱硝触媒層625を形成する複数のハニカム触媒622と、微粒子捕捉層626を形成する複数のハニカム構造体623とは、間に若干の空間を設けて配置されている。上記の空間L3の長さは、例えば、60mm〜300mmであることが好ましい。この点以外は、第1実施形態と同じ構成である。

0061

また、本実施形態では、脱硝触媒層625のハニカム触媒622及び微粒子捕捉層626のハニカム構造体623が1つの触媒モジュールに収容されているが、それぞれ異なる触媒モジュールに収容してもよい。但し、ハニカム構造体623は、ハニカム触媒622との間に若干の空間を設けて配置される。

0062

本実施形態では、第1実施形態と異なり、ハニカム触媒622とハニカム構造体623との間に若干の空間が存在するため、排ガスがハニカム触媒622に流入する際に、僅かな偏流が発生する。しかし、空間があるため、ハニカム触媒622とハニカム構造体623との目開きが合わないために生じる石炭灰等の詰まりを防ぐ利点がある。

0063

以上説明した第1実施形態又は第2実施形態の脱硝装置60によれば、以下のような効果を奏する。

0064

(1)石炭火力発電設備1における脱硝装置60を、長手方向に延びる複数の排ガス流通穴624が形成されたハニカム構造体、及び前記ハニカム構造体に担持された脱硝触媒を含む複数のハニカム触媒622を有する脱硝触媒層625の上流側に当接又は近接して配置され、複数の排ガス流通穴が形成された複数のハニカム構造体623を有する微粒子捕捉層626を含んで構成した。
これにより、石炭灰を含む排ガスがハニカム触媒622を通過する前に、ハニカム構造体623を通過し微粒子の被覆層を形成することで、上流側に配置されたハニカム触媒622の劣化を抑制できる。またハニカム構造体623には脱硝触媒が担持されていないため、ハニカム構造体623の製造にかかるコストを抑え、かつハニカム触媒622の劣化を抑制する十分な効果が得られる。

0065

(2)第1実施形態においては、微粒子捕捉層626を脱硝触媒層625の上流側に当接して構成した。
これにより、石炭灰を含む排ガスが脱硝触媒層625に流入する際の偏流の発生を抑えることができるため、ハニカム触媒622の劣化を抑制する効果が得られる。

0066

(3)第2実施形態においては、微粒子捕捉層626を脱硝触媒層625の上流側に若干の空間を設けて配置した。
これにより、石炭灰を含む排ガスが脱硝触媒層625に流入する際に僅かな偏流が発生するが、ハニカム触媒622とハニカム構造体623との目開きが合わないことによる石炭灰の詰まりを防ぐことができる。

0067

(4)ハニカム触媒622において脱硝触媒が担持されるハニカム構造体を多孔質材料により構成し、ハニカム構造体623を同一の多孔質材料により構成した。
これにより、ハニカム触媒622上に本来堆積する被覆層が確実にハニカム構造体623上に堆積するため、ハニカム触媒622の劣化を抑制できる。

0068

(5)ハニカム触媒622において脱硝触媒が担持されるハニカム構造体をセラミック材料により構成し、ハニカム構造体623を同一のセラミック材料により構成した。
これにより、ハニカム構造体623はハニカム触媒622同様、良好な耐熱性、耐食性を有し長期間にわたって使用できる。

0069

(6)微粒子捕捉層626の排ガス流路方向の長さを、脱硝触媒層625の排ガス流路方向の長さよりも短く構成した。
これにより、ハニカム構造体623の製造にかかるコストを抑えつつ、かつハニカム触媒622の劣化を抑制する十分な効果が得られる。

0070

(7)脱硝装置60に含まれる全ての脱硝触媒層625の上流側に微粒子捕捉層626を配置した。
これにより、偏流の影響によるハニカム触媒622への微粒子の被覆を防ぎ、全てのハニカム触媒622の劣化を抑制する効果が得られる。

0071

以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の2つの実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。

0072

1石炭火力発電設備
30微粉炭機
40燃焼ボイラ
60脱硝装置
622ハニカム触媒
623ハニカム構造体
624排ガス流通穴
625脱硝触媒層
626微粒子捕捉層

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