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技術 金属多孔体の製造方法、及びめっき処理装置

出願人 富山住友電工株式会社
発明者 土田斉吉川竜一大井博
出願日 2018年8月10日 (3年4ヶ月経過) 出願番号 2018-564991
公開日 2019年12月19日 (2年0ヶ月経過) 公開番号 WO2019-116632
状態 特許登録済
技術分野 電気メッキ方法,物品 電気鍍金;そのための鍍金浴
主要キーワード 粘着塗料 引き上げ式 各付勢部材 予備めっき 補給頻度 円筒状陰極 スリット形 断続電流
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (16)

課題・解決手段

三次元網目状構造骨格を有するシート状の樹脂多孔体の前記骨格の表面に導電化処理を施して、導電層を有する導電化樹脂多孔体を得る工程と、前記導電化樹脂多孔体の骨格の表面に電気めっき処理を施して、金属めっき層を有するめっき樹脂多孔体を得る工程と、前記めっき樹脂多孔体から少なくとも前記樹脂多孔体の除去処理を行って金属多孔体を得る工程と、を含む金属多孔体の製造方法であって、前記電気めっき処理では、回転する電極ローラ回転軸に対して、カーボンを主成分とする材料により構成された給電ブラシ滑り接触させて給電する、金属多孔体の製造方法。

概要

背景

従来、三次元網目状構造骨格を有するシート状の金属多孔体は、耐熱性を必要とするフィルターや、電池用極板触媒担持体、及び金属複合材など様々な用途に利用されている。前記金属多孔体の製造方法としては、樹脂多孔体の骨格の表面を導電化処理した後、電気めっき処理により金属めっきを施し、樹脂多孔体の除去処理によって金属多孔体を得る方法が知られている(例えば特許文献1参照)。

特許文献1に記載された金属多孔体の製造方法では、電気めっき処理を行う際、骨格の表面が導電化されたシート状の樹脂多孔体の片面側または両面側より金属めっき層を形成するために、送りローラと、めっき槽外の給電陰極を兼ねた電極ローラとにより樹脂多孔体を順次送りながら、複数のめっき槽で繰り返し電気めっき処理を施している。電極ローラには、電極ローラの回転軸給電ブラシ滑り接触させることで電流伝送される(例えば特許文献2参照)。

概要

三次元網目状構造の骨格を有するシート状の樹脂多孔体の前記骨格の表面に導電化処理を施して、導電層を有する導電化樹脂多孔体を得る工程と、前記導電化樹脂多孔体の骨格の表面に電気めっき処理を施して、金属めっき層を有するめっき樹脂多孔体を得る工程と、前記めっき樹脂多孔体から少なくとも前記樹脂多孔体の除去処理を行って金属多孔体を得る工程と、を含む金属多孔体の製造方法であって、前記電気めっき処理では、回転する電極ローラの回転軸に対して、カーボンを主成分とする材料により構成された給電ブラシを滑り接触させて給電する、金属多孔体の製造方法。

目的

そこで、このような事情に鑑み、金属多孔体の品質及び生産性を向上させることができる金属多孔体の製造方法、及びめっき処理装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

三次元網目状構造骨格を有するシート状の樹脂多孔体の前記骨格の表面に導電化処理を施して、導電層を有する導電化樹脂多孔体を得る工程と、前記導電化樹脂多孔体の骨格の表面に電気めっき処理を施して、金属めっき層を有するめっき樹脂多孔体を得る工程と、前記めっき樹脂多孔体から少なくとも前記樹脂多孔体の除去処理を行って金属多孔体を得る工程と、を含む金属多孔体の製造方法であって、前記電気めっき処理では、回転する電極ローラ回転軸に対して、カーボンを主成分とする材料により構成された給電ブラシ滑り接触させて給電する、金属多孔体の製造方法。

請求項2

前記電気めっき処理において、前記給電ブラシで発生した熱を、当該給電ブラシに接続された放熱部材により外部に放熱する、請求項1に記載の金属多孔体の製造方法。

請求項3

前記電極ローラの回転軸は、前記給電ブラシよりも摩耗しにくい材料からなる、請求項1又は請求項2に記載の金属多孔体の製造方法。

請求項4

前記電極ローラの回転軸は、表面にめっき処理が施された金属製の焼結体からなる、請求項3に記載の金属多孔体の製造方法。

請求項5

前記電気めっき処理において、前記給電ブラシにおける前記電極ローラの回転軸との接触面で発生した摩耗粉を、当該接触面に形成された溝部により外部に排出案内する、請求項3又は請求項4に記載の金属多孔体の製造方法。

請求項6

前記給電ブラシの動摩擦係数が、0.01〜0.40である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の金属多孔体の製造方法。

請求項7

前記給電ブラシから前記電極ローラに給電するときの電流密度が、5A/cm2〜15A/cm2である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の金属多孔体の製造方法。

請求項8

三次元網目状構造の骨格を有するシート状の樹脂多孔体の前記骨格の表面に導電層が形成されてなる導電化樹脂多孔体の骨格の表面に、電気めっき処理を施して金属めっき層を形成するためのめっき処理装置であって、めっき槽と、回転可能な回転軸を有し、当該回転軸を回転させることで前記導電化樹脂多孔体を前記めっき槽に送る電極ローラと、前記電極ローラの回転軸に対して滑り接触する給電ブラシと、を備え、前記給電ブラシは、カーボンを主成分とする材料により構成されている、めっき処理装置。

技術分野

0001

本発明は、金属多孔体の製造方法、及びめっき処理装置に関する。
本出願は、2017年12月15日出願の日本出願第2017−240116号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。

背景技術

0002

従来、三次元網目状構造骨格を有するシート状の金属多孔体は、耐熱性を必要とするフィルターや、電池用極板触媒担持体、及び金属複合材など様々な用途に利用されている。前記金属多孔体の製造方法としては、樹脂多孔体の骨格の表面を導電化処理した後、電気めっき処理により金属めっきを施し、樹脂多孔体の除去処理によって金属多孔体を得る方法が知られている(例えば特許文献1参照)。

0003

特許文献1に記載された金属多孔体の製造方法では、電気めっき処理を行う際、骨格の表面が導電化されたシート状の樹脂多孔体の片面側または両面側より金属めっき層を形成するために、送りローラと、めっき槽外の給電陰極を兼ねた電極ローラとにより樹脂多孔体を順次送りながら、複数のめっき槽で繰り返し電気めっき処理を施している。電極ローラには、電極ローラの回転軸給電ブラシ滑り接触させることで電流伝送される(例えば特許文献2参照)。

先行技術

0004

特開2015−153648号公報
実開平5−97082号公報
実用新案登録3075438号公報
特開2001−157413号公報
特開2011−205816号公報
特開2001−346363号公報
特開平6−84775号公報

0005

本開示の金属多孔体の製造方法は、三次元網目状構造の骨格を有するシート状の樹脂多孔体の前記骨格の表面に導電化処理を施して、導電層を有する導電化樹脂多孔体を得る工程と、前記導電化樹脂多孔体の骨格の表面に電気めっき処理を施して、金属めっき層を有するめっき樹脂多孔体を得る工程と、前記めっき樹脂多孔体から少なくとも前記樹脂多孔体の除去処理を行って金属多孔体を得る工程と、を含む金属多孔体の製造方法であって、前記電気めっき処理では、回転する電極ローラの回転軸に対して、カーボンを主成分とする材料により構成された給電ブラシを滑り接触させて給電する、金属多孔体の製造方法である。

0006

本開示のめっき処理装置は、三次元網目状構造の骨格を有するシート状の樹脂多孔体の前記骨格の表面に導電層が形成されてなる導電化樹脂多孔体の骨格の表面に、電気めっき処理を施して金属めっき層を形成するためのめっき処理装置であって、めっき槽と、回転可能な回転軸を有し、当該回転軸を回転させることで前記導電化樹脂多孔体を前記めっき槽に送る電極ローラと、前記電極ローラの回転軸に対して滑り接触する給電ブラシと、を備え、前記給電ブラシは、カーボンを主成分とする材料により構成されている、めっき処理装置である。

図面の簡単な説明

0007

金属多孔体を示す模式図である。
金属多孔体を正極板として用いた電池を示す模式図である。
本発明の一実施形態に係る金属多孔体の製造方法を示すフロー図である。
樹脂多孔体の表面を拡大視した拡大模式図である。
導電化樹脂多孔体の表面を拡大視した拡大模式図である。
めっき樹脂多孔体の表面を拡大視した拡大模式図である。
金属多孔体の表面を拡大視した拡大模式図である。
めっき処理装置の一例を示す側断面図である。
電極ローラへの給電構造を示す平面図である。
給電装置を示す断面図である。
給電ブラシを示す側面図である。
給電ブラシを図8Aの下側から見た図である。
めっき処理装置の変形例を示す模式図である。
複数の実施例の評価結果を示す表である。
複数の比較例の評価結果を示す表である。

実施例

0008

[本開示が解決しようとする課題]
上記従来のようにシート状の樹脂多孔体に電気めっき処理を施す場合、樹脂多孔体の表面積が大きいので、電極ローラに大電流を流す必要がある。このため、一般的に、電極ローラに給電する給電ブラシには、銅を主成分とする焼結体が用いられている。
しかし、銅製の給電ブラシは、電気めっき雰囲気下において腐食性フュームの影響で腐食しやすい。特に、給電ブラシが摺動特性を改善するために焼結体で作られている場合、給電ブラシの表面が多孔質になるので腐食がさらに促進される。このため、給電ブラシを頻繁に交換する必要があり、金属多孔体の生産性が低下するという問題があった。

0009

また、給電ブラシに腐食が発生すると、低速回転する電極ローラでしゃくり(回転不良)が発生し易くなる。このようなしゃくりが発生した場合、電気めっき処理で樹脂多孔体へのめっき量が少なければ、製作された金属多孔体のめっき厚が薄くなるので、金属多孔体の骨格にひびが生じることによって強度が低下し、金属多孔体の品質が低下するおそれがある。
さらに、銅製の給電ブラシを用いた場合、電極ローラの回転軸と給電ブラシとの接触部に、炭化水素化合物を主成分とする潤滑剤を塗布する必要があり、金属多孔体の生産性がさらに低下するという問題が生じる。

0010

そこで、このような事情に鑑み、金属多孔体の品質及び生産性を向上させることができる金属多孔体の製造方法、及びめっき処理装置を提供することを目的とする。

0011

[本開示の効果]
本開示によれば、金属多孔体の品質及び生産性を向上させることができる。

0012

[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施形態に係る金属多孔体の製造方法は、三次元網目状構造の骨格を有するシート状の樹脂多孔体の前記骨格の表面に導電化処理を施して、導電層を有する導電化樹脂多孔体を得る工程と、前記導電化樹脂多孔体の骨格の表面に電気めっき処理を施して、金属めっき層を有するめっき樹脂多孔体を得る工程と、前記めっき樹脂多孔体から少なくとも前記樹脂多孔体の除去処理を行って金属多孔体を得る工程と、を含む金属多孔体の製造方法であって、前記電気めっき処理では、回転する電極ローラの回転軸に対して、カーボンを主成分とする材料により構成された給電ブラシを滑り接触させて給電する。

0013

前記金属多孔体の製造方法によれば、電気めっき処理において、電極ローラの回転軸に滑り接触して給電する給電ブラシは、耐食性に優れたカーボンを主成分とする材料により構成されているため、従来の銅製の給電ブラシに比べて腐食しにくい。したがって、給電ブラシを頻繁に交換する必要がないので、金属多孔体の生産性を向上させることができる。

0014

また、給電ブラシの耐食性が向上することで、電気めっき処理でのめっき量を少なくしても、電極ローラの回転軸におけるしゃくりの発生を抑制することができる。これにより、金属多孔体にひびが生じて強度が低下するのを抑制できるので、金属多孔体の品質を向上させることができる。
さらに、カーボンは、銅に比べて動摩擦係数が小さく、摺動性に優れているので、電極ローラと給電ブラシとの接触部に潤滑剤を塗布する必要がない。したがって、定期的に潤滑剤を塗布する作業が不要になるので、金属多孔体の生産性をさらに向上させることができる。

0015

(2)前記電気めっき処理において、前記給電ブラシで発生した熱を、当該給電ブラシに接続された放熱部材により外部に放熱するのが好ましい。
この場合、放熱部材により給電ブラシの温度が上昇するのを効果的に抑制することができる。これにより、給電ブラシの周辺部材の耐熱性を確保する必要がないため、冷却機能を追加する必要がない。その結果、コスト安価となる。

0016

(3)前記電極ローラの回転軸は、前記給電ブラシよりも摩耗しにくい材料からなるのが好ましい。
この場合、給電ブラシは電極ローラの回転軸よりも先に摩耗するので、定期的に給電ブラシのみを交換すればよく、電極ローラの交換作業が不要になる。その結果、金属多孔体の生産性をさらに向上させることができる。

0017

(4)前記電極ローラの回転軸は、表面にめっき処理が施された金属製の焼結体からなるのが好ましい。
この場合、前記めっき処理により、前記電極ローラの回転軸が腐食するのを防止することができる。

0018

(5)前記電気めっき処理において、前記給電ブラシにおける前記電極ローラの回転軸との接触面で発生した摩耗粉を、当該接触面に形成された溝部により外部に排出案内するのが好ましい。
この場合、給電ブラシと電極ローラの回転軸との間に、前記摩耗粉が凝集した塊となって蓄積するのを防止することができるので、電極ローラの回転軸と給電ブラシとの接触部に潤滑剤を塗布する必要がない。したがって、定期的に潤滑剤を塗布する作業が不要になるので、金属多孔体の生産性をさらに向上させることができる。

0019

(6)前記給電ブラシの動摩擦係数が、0.01〜0.40であるのが好ましい。
この場合、製造コストを抑えつつ、給電ブラシの摺動性を向上させることができる。

0020

(7)前記給電ブラシから前記電極ローラに給電するときの電流密度が、5A/cm2〜15A/cm2であるのが好ましい。
この場合、給電ブラシを含む給電装置全体が大型化するのを抑制することができる。また、給電ブラシの温度が上昇するのを抑制することができる。これにより、給電ブラシの周辺部材の耐熱性を確保する必要がないため、冷却機能を追加する必要がない。その結果、コスト安価となる。

0021

(8)本発明の実施形態に係るめっき処理装置は、三次元網目状構造の骨格を有するシート状の樹脂多孔体の前記骨格の表面に導電層が形成されてなる導電化樹脂多孔体の骨格の表面に、電気めっき処理を施して金属めっき層を形成するためのめっき処理装置であって、めっき槽と、回転可能な回転軸を有し、当該回転軸を回転させることで前記導電化樹脂多孔体を前記めっき槽に送る電極ローラと、前記電極ローラの回転軸に対して滑り接触する給電ブラシと、を備え、前記給電ブラシは、カーボンを主成分とする材料により構成されている。

0022

前記めっき処理装置によれば、電極ローラの回転軸に滑り接触して給電する給電ブラシは、耐食性に優れたカーボンを主成分とする材料により構成されているため、従来の銅製の給電ブラシに比べて腐食しにくい。したがって、給電ブラシを頻繁に交換する必要がないので、電気めっき処理後に得られる金属多孔体の生産性を向上させることができる。

0023

また、給電ブラシの耐食性が向上することで、電気めっき処理でのめっき量を少なくしても、電極ローラにおけるしゃくりの発生を抑制することができる。これにより、金属多孔体にひびが生じて強度が低下するのを抑制できるので、電気めっき処理後に得られる金属多孔体の品質を向上させることができる。
さらに、カーボンは、銅に比べて動摩擦係数が小さく、摺動性に優れているので、電極ローラと給電ブラシとの接触部に潤滑剤を塗布する必要がない。したがって、定期的に潤滑剤を塗布する作業が不要になるので、電気めっき処理後に得られる金属多孔体の生産性をさらに向上させることができる。

0024

[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<金属多孔体>
図1は、金属多孔体を示す模式図である。金属多孔体10は、シート状の外観を有し、三次元網目構造を構成する骨格11を有している。この三次元網目構造により規定される多数の気孔が、金属多孔体10の表面から内部まで連なるように形成されている。

0025

金属多孔体10は、例えば図2に示すように、電池20の正極板21として利用できる。すなわち、図2に示すように、本実施形態に係る金属多孔体10を利用した電池20は、筐体24の内部に配置された正極板21と、セパレータ22と、負極板23とを主に備える。これらの正極板21、セパレータ22および負極板23は積層した状態で筐体24の内部に配置される。正極板21、セパレータ22および負極板23の積層体は、巻回された状態で保持されている。正極板21は、本実施形態による金属多孔体10と、当該金属多孔体10に充填された活物質(図示省略)とを含む。

0026

<金属多孔体の製造工程>
図3は、本発明の一実施形態に係る金属多孔体10の製造方法を示すフロー図である。以下、図3を参照して金属多孔体10の製造方法全体の流れを説明する。
まず、基体となる三次元網目状構造を有するシート状の樹脂多孔体の準備を行う(ステップST1)。図4Aは、基体となる樹脂多孔体1の表面を拡大視した拡大模式図である。樹脂多孔体1には、三次元網目構造により規定される多数の気孔が、表面から内部まで連なるように形成されている。

0027

次に、樹脂多孔体1の骨格の表面に導電化処理を施す(ステップST2)。この工程により、図4Bに示すように、樹脂多孔体1の骨格の表面に薄く導電体による導電層2を形成してなる導電化樹脂多孔体3を得ることができる。
続いて、導電化樹脂多孔体3の骨格の表面に電気めっき処理を施す(ステップST3)。この工程により、図4Cに示すように、導電化樹脂多孔体3の骨格の表面に金属めっき層4を形成してなるめっき樹脂多孔体5を得ることができる。

0028

次に、めっき樹脂多孔体5から、基体である樹脂多孔体1の除去処理を行う(ステップST4)。この除去処理では、樹脂多孔体1を焼却等により消失させることにより、金属めっき層4のみが残った金属多孔体10を得ることができる(図4D参照)。以下各工程の詳細について順を追って説明する。

0029

<樹脂多孔体の準備>
三次元網目構造の骨格を有するシート状の樹脂多孔体1を準備する。樹脂多孔体1の素材としては樹脂発泡体、不織布、フェルト、織布などが挙げられるが、必要に応じてこれらを組み合わせてもよい。また、樹脂多孔体1の素材は、特に限定されるものではないが、電気めっき処理により骨格の表面に金属めっき層4を形成した後、焼却処理により除去できるものが好ましい。

0030

また、樹脂多孔体1の素材は、その取り扱い上、特にシート状のものにおいては剛性が高いと折れ易くなるので、柔軟性のある素材であることが好ましい。本実施形態では、樹脂多孔体1の素材として樹脂発泡体を用いることが好ましい。樹脂発泡体は、多孔性のものであればよく、公知又は市販のものを使用できる。例えば、発泡ウレタン発泡スチレン等が挙げられる。これらの中でも、特に発泡ウレタンは、多孔度が大きいという観点で好ましい。樹脂発泡体の厚み、多孔度、平均孔径は、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜設定することができる。

0031

<導電化処理>
次に、電解めっき処理を施すために、樹脂多孔体1の骨格の表面を予め導電化処理する。導電化処理の方法は、樹脂多孔体1の骨格の表面に導電層2を形成することができるものであれば特に限定されない。導電層2を構成する材料としては、例えば、ニッケルチタンステンレススチール等の金属の他、カーボンブラック等の非晶質炭素黒鉛等のカーボン粉末が挙げられる。これらの中でも特にカーボン粉末が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。導電層2は、樹脂多孔体1の骨格の表面に連続的に形成されていればよい。導電層2の目付量は、特に限定されるものではなく、通常5g/m2〜15g/m2程度、好ましくは7g/m2〜10g/m2程度とすればよい。

0032

導電化処理の具体例としては、例えば、ニッケルを用いる場合は、無電解めっき処理スパッタリング処理等が好ましい。また、チタン、ステンレススチール等の金属、カーボンブラック、黒鉛などの材料を用いる場合は、これら材料の微粉末バインダを加えて得られる混合物を、樹脂多孔体1の骨格の表面に塗着する処理が好ましい。

0033

ニッケルを用いた無電解めっき処理としては、例えば、還元剤として次亜リンナトリウムを含有した硫酸ニッケル水溶液等の公知の無電解ニッケルめっき浴に樹脂多孔体1を浸漬すればよい。必要に応じて、めっき浴の浸漬前に、樹脂多孔体1を微量のパラジウムイオンを含む活性化液カニゼン社製の洗浄液)等に浸漬してもよい。
ニッケルを用いたスパッタリング処理としては、例えば、基板ホルダに樹脂多孔体1を取り付けた後、不活性ガスを導入しながら、基板ホルダとターゲット(ニッケル)との間に直流電圧印加することにより、イオン化した不活性ガスをニッケルに衝突させて、吹き飛ばしたニッケル粒子を樹脂多孔体1の骨格の表面に堆積させればよい。

0034

<電気めっき処理>
上記の無電解めっき処理及びスパッタリング処理の少なくとも一方の処理により金属めっき層の厚みを増していけば、電気めっき処理の必要性はないが、生産性及びコストの観点から、上記したように、まず樹脂多孔体1を導電化処理し、次いで導電化樹脂多孔体3に電気めっき処理により金属めっき層4を形成する方法を採用することが好ましい。

0035

電気めっき処理は、常法に従って行えばよい。例えばニッケルめっきの場合には、めっき浴としては、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、ワット浴塩化浴スルファミン酸浴等が挙げられる。上記の無電解めっき処理やスパッタリング処理により導電化樹脂多孔体3をめっき浴に浸し、導電化樹脂多孔体3を陰極に、めっき金属の対極板陽極に接続して、直流或いはパルス断続電流通電させることにより、導電化樹脂多孔体3の導電層2上に、さらに金属めっき層4を形成することができる。金属めっき層4は、導電層2が露出しない程度に当該導電層2上に形成されていればよい(図4C参照)。

0036

図5は、シート状の導電化樹脂多孔体3に対して電気めっき処理を連続的に行うめっき処理装置30の一例を示す側断面図である。本実施形態のめっき処理装置30は、シート状の導電化樹脂多孔体3を図5の左側から右側に送る構成となっており、第1めっき槽31と、この第1めっき槽31の下流側に配置された第2めっき槽32と、給電装置50(図7参照)とを備えている。

0037

第1めっき槽31は、めっき浴33と、円筒状電極34(円筒状陰極)と容器内壁に設けられた陽極35(円筒状陽極)とを備えている。導電化樹脂多孔体3が円筒状電極34に沿ってめっき浴33の中を通過することにより、導電化樹脂多孔体3の一面側(図5の下面側)に金属めっき層4が形成される。

0038

第2めっき槽32は、導電化樹脂多孔体3の他面側(図5の上面側)に金属めっき層4を形成するための複数の槽36を備えている。導電化樹脂多孔体3は、各槽36に隣接して配置された複数の送りローラ37、及び電極ローラ38により挟まれた状態で順次送られ、めっき浴39を通過することで金属めっきが行われる。複数の槽36内には、導電化樹脂多孔体3の前記他面側にめっき浴39を介して陽極40が設けられおり、この陽極40及び電極ローラ38(槽外給電陰極)の回転軸38aに給電することで、導電化樹脂多孔体3の前記他面側に金属めっき層4が形成される。

0039

図6は、電極ローラ38の回転軸38aへの給電構造を示す平面図である。電極ローラ38の回転軸38aは、シート状の導電化樹脂多孔体3に接触しながら回転する電極ローラ38の軸方向両端部にそれぞれ設けられている。各電極ローラ38の回転軸38aは、その外周面に滑り接触する複数の給電ブラシ51によって給電される。給電ブラシ51は、カーボンを主成分とする材料により構成されている。ここで、「主成分」とは、質量含有量が最も多い成分をいい、本実施形態の効果を奏する範囲で、不純物が含まれていてもよい。
カーボンは、層状結晶構造により、自己潤滑性があり、動摩耗係数が小さい性質を持つため、耐摩耗性に優れ、且つ電気伝導性があり、さらに用途に応じて使用原料、製造工程を選択することによって、最適な電気抵抗特性を安定して得ることができる。

0040

給電ブラシ51は、電流値や動摩擦係数から、電気黒鉛炭素黒鉛、天然黒鉛、又は人口黒鉛を主成分とし、それらを組み合わせたものでも良い。電極ローラ38の回転軸38aは、給電ブラシ51よりも摩耗しにくい材料からなる。例えば、本実施形態の回転軸38aは、金属製の焼結体からなり、当該焼結体の表面には、腐食を防止するために、めっき処理が施されている。これにより、給電ブラシ51は、電極ローラ38の回転軸38aに対して摩耗するようになっている。

0041

給電ブラシ51の動摩擦係数は、0.01〜0.40程度、好ましくは0.10〜0.30である。これらの範囲を下回ると、製造コストが増大して不利となり、これらの範囲を上回ると、給電ブラシ51の摺動性が悪くなり、摩耗量が大きくなるという問題が生じるからである。

0042

図7は、複数の給電ブラシ51を備えた給電装置50を示す断面図である。給電装置50は、電極ローラ38の軸方向両端部にそれぞれ設けられている。本実施形態の給電装置50は、複数(ここでは3個)の給電ブラシ51と、各給電ブラシ51を電極ローラ38の回転軸38aの外周面に押圧付勢する複数の付勢部材52と、筐体53とを備えている。

0043

筐体53は、例えば導電性を有する金属部材によって構成されている。本実施形態の筐体53は、電極ローラ38の回転軸38aを囲むように断面矩形状に形成されており、4つの内側面のうち、上側、下側及び左側の3面には、前記付勢部材52が取り付けられている。

0044

付勢部材52は、給電ブラシ51を電極ローラ38の回転軸38aの外周面に押圧付勢するものであれば、特に限定されないが、本実施形態の付勢部材52は、例えば断面S字形状に折り曲げられた板バネによって構成されている。各付勢部材52の一端部は、対応する筐体53の内面に、例えば固定板56A及びボルト57Aにより取り付けられており、各付勢部材52の他端部には、給電ブラシ51が例えば固定板56B及びボルト57Bにより接続されている。これにより、3個の給電ブラシ51の接触面51a(後述)は、対応する付勢部材52の付勢力によって、図7の上側、下側及び左側から、電極ローラ38の回転軸38aの外周面に押し付けられている。

0045

付勢部材52は、導電性及び放熱性にも優れた金属部材によって構成されているのが好ましい。本実施形態の付勢部材52は、導電性を有し、且つ放熱性に優れた銅に錫めっきした金属部材によって構成されている。また、本実施形態では、固定板56A,56Bも放熱性を有している。これにより、付勢部材52及び固定板56A,56Bは、当該付勢部材52に接続されている給電ブラシ51で発生した熱を外部に放熱する放熱部材として機能する。なお、給電ブラシ51に接続される放熱部材は、付勢部材52及び固定板56A,56B以外の部材で構成されていてもよいし、付勢部材52及び固定板56A,56Bと筐体53とにより構成されていてもよい。

0046

各給電ブラシ51において、電極ローラ38の回転軸38aの外周面に対向する面は、当該外周面に滑り接触する接触面51aとされている。接触面51aは、電極ローラ38の回転軸38aの外周面に沿って円弧状に形成されており、当該外周面に面接触している。

0047

図8Aは、給電ブラシ51を示す側面図である。また、図8Bは、給電ブラシ51を図8Aの下側から見た図である。図8A及び図8Bに示すように、給電ブラシ51の接触面51aには、複数(ここでは3個)のスリット形状の溝部55が形成されている。これらの溝部55は、接触面51aにおいて、その長手方向(図8A及び図8の左右方向)に等間隔をあけて形成されている。

0048

また、各溝部55は、給電ブラシ51の接触面51aが電極ローラ38の回転軸38aの接線方向T(図8B参照)に対して交差する方向に延びて形成されている。本実施形態では、各溝部55は、接触面51aにおいて、その短手方向図8A及び図8の上下方向)に対して所定角度(例えば30°)傾斜した状態で、当該短手方向の全体にわたって直線状に延びて形成されている。これにより、給電ブラシ51の接触面51aにおいて電極ローラ38の回転軸38aとの滑り接触により発生した摩耗粉を、複数の溝部55によって外部に排出案内することができる。

0049

給電ブラシ51から電極ローラ38の回転軸38aに給電するときの電流密度(電流と給電ブラシ51の総断面積比)は、5A/cm2〜15A/cm2程度、好ましくは8A/cm2〜13A/cm2である。これらの範囲を下回ると、給電装置50全体が大きくなり、給電装置50から対応する槽36までの距離が長くなるため、電圧ロスが大きくなる。一方、これらの範囲を超えると、給電ブラシ51の温度が上昇するため、給電ブラシ51の周辺部材の耐熱性を確保する必要があるため、コスト的に不利となる。

0050

金属めっき層4の目付量は、特に限定されるものではないが、通常150g/m2〜400g/m2程度であり、導電層2の目付量及び金属めっき層4の目付量の合計量としては、好ましくは200g/m2以上350g/m2以下である。前記合計量がこの範囲を下回ると、金属多孔体の強度が低下するおそれがあり、前記合計量がこの範囲を上回ると、カーボン製の給電ブラシでは発熱性が高くなることや、めっき量が増加することでコスト的に不利となるからである。

0051

電気めっき処理は、本実施形態の電気めっき処理に限定されるものではなく、例えば、予備めっき槽を用いためっき処理方式や、予備めっき槽と引き上げ式の本めっき槽とを用いためっき処理方式を採用してもよい。
図9は、めっき処理装置30の変形例を示す模式図である。本変形例のめっき処理装置30は、予備めっき槽61と、この予備めっき槽61の下流側に配置された引き上げ式の本めっき槽62とを備えている。

0052

予備めっき槽61は、めっき浴63、陽極64(円筒状陽極)、押えローラ65、及び回転軸66a(給電陰極)を端部に有する電極ローラ66を備えている。導電化樹脂多孔体3は、押えローラ65と電極ローラ66とにより挟まれた状態で順次送られ、めっき浴63の中を通過することにより、導電化樹脂多孔体3の一面側(図9の上面側)に予備的にめっきが行われる。
本めっき槽62は、めっき浴67、第1押えローラ68、回転軸69a(給電陰極)を端部に有する第1電極ローラ69、一対の第1陽極70(円筒状陽極)、第1送りローラ71、第2送りローラ72、一対の第2陽極73(円筒状陽極)、第2押えローラ74、及び回転軸75a(給電陰極)を端部に有する第2電極ローラ75を備えている。

0053

本めっき槽62において、導電化樹脂多孔体3は、第1押えローラ68と第1電極ローラ69とにより挟まれた状態で、めっき浴67内の一対の第1陽極70同士の間に順次引き込まれる。その際、第1電極ローラ69の回転軸69a及び一対の第1陽極70に給電することで、導電化樹脂多孔体3の両面側にめっきが行われる。
次いで、導電化樹脂多孔体3は、めっき浴67内において第1及び第2送りローラ71,72により、一対の第2陽極73同士の間に順次送られる。そして、導電化樹脂多孔体3は、第2押えローラ74と第2電極ローラ75とにより挟まれた状態で、めっき浴67内から順次引き上げられる。その際、一対の第2陽極73及び第2電極ローラ75の回転軸75aに給電することで、導電化樹脂多孔体3の両面側にめっきが行われる。

0054

予備めっき槽61の電極ローラ66の回転軸66aは、これに滑り接触する給電ブラシ(図示省略)によって給電される。同様に、本めっき槽62の第1及び第2電極ローラ69,75の回転軸69a,75aは、これらに滑り接触する給電ブラシ(図示省略)によって給電される。
各電極ローラ66,69,75の回転軸66a,69a,75aに給電する給電ブラシは、上記実施形態と同様に構成されているため、説明を省略する。

0055

<樹脂多孔体の除去処理>
電気めっき処理により得られためっき樹脂多孔体5(図4C参照)から樹脂多孔体1の除去処理を行う。この除去処理では、例えば、600℃程度以上800℃以下、好ましくは600℃以上700℃以下の大気等の酸化性雰囲気で、めっき樹脂多孔体5から樹脂多孔体1を除去した後、還元性雰囲気中750℃以上(好ましくは高い温度が望ましいが、コスト的に不利となることや還元炉炉体材質の面から1000℃)で加熱する。還元性ガスとしては、水素ガス、又は水素二酸化炭素や不活性ガスとの混合ガスを用いたり、必要に応じてこれらを組み合わせて用いたりすることもできる。特に、水素ガスを還元性ガスに必ず加えるようにすれば、酸化還元性の効率が良くなる点で好ましい。

0056

評価試験について]
次に、本発明者が行った、上記実施形態の製造方法により製造された金属多孔体の評価試験について説明する。
まず、本発明者は、複数の実施例及び複数の比較例を比較評価するために、これらの実施例及び比較例を以下に示す製造方法により製造した。

0057

<実施例の製造方法>
シート状の樹脂多孔体として1.5mm厚のポリウレタンシートを用いて、粒径0.01μm〜0.2μmの非晶性炭素であるカーボンブラック100gを0.5Lの10wt%アクリル酸エステル系樹脂水溶液に分散し、この比率粘着塗料を作製した。次にシート状の樹脂多孔体を前記粘着塗料に連続的に漬けロールで絞った後、乾燥させて導電化処理を施した。そして、導電化処理を施したシート状の樹脂多孔体に対して、電気めっき処理により、複数の実施例それぞれに対して、ニッケルの金属めっきを所定の目付量で付着させた。

0058

電気めっき処理では、回転する電極ローラの回転軸に対して、カーボンを主成分とする材料により構成された給電ブラシを、潤滑剤を用いずに滑り接触させて給電した。また、電流密度(電流と給電ブラシの総断面積比)を8A/cm2とし、電極ローラの回転速度(摺動速度)を10mm/s〜30mm/sとした条件で電気めっき処理を実施した。電極ローラは銅製の焼結体とした。また、給電ブラシにおける電極ローラの回転軸との接触面には、給電ブラシと電極ローラの回転軸との滑り接触により発生した摩耗粉を外部に排出案内する複数の溝部を形成した。

0059

なお、複数の実施例の全てにおいて、給電ブラシは電極ローラの回転軸に対して摩耗するように設計し、比較評価のために、一部の実施例では電極ローラの回転軸にめっきを施し、他の実施例では電極ローラの回転軸にめっきを施さなかった。また、比較評価のために、一部の実施例では給電ブラシで発生した熱を放熱する放熱部材(給電ブラシを押圧付勢する付勢部材等)を設け、他の実施例では前記放熱部材を設けなかった。
次いで、上記により得られた導電層及び金属めっき層が形成された樹脂多孔体から樹脂成分を除去するため、700℃の大気の酸化性雰囲気下と1000℃のH2とN2の混合気体を用いた還元性雰囲気中にてシート状の金属多孔体を得た。

0060

<比較例の製造方法>
比較例として、上記実施例と同様に導電化処理を施したシート状の樹脂多孔体に対して、電気めっき処理により、複数の比較例それぞれに対して、ニッケルの金属めっきを所定の目付量で付着させた。比較例の電気めっき処理では、回転する電極ローラの回転軸に対して、銅を主成分とする材料により構成された給電ブラシを滑り接触させて給電した。電極ローラは銅製の焼結体とした。給電ブラシは電極ローラの回転軸に対して摩耗するように設計し、当該電極ローラの回転軸にはめっきを施した。

0061

なお、複数の比較例同士を比較評価するために、一部の比較例では電極ローラの回転軸と給電ブラシとの接触部に炭化水素化合物を主成分とする潤滑油(潤滑剤)を塗布し、他の比較例では電極ローラの回転軸と給電ブラシとの接触部には前記潤滑油を塗布しなかった。また、比較評価のために、一部の比較例では、給電ブラシにおける電極ローラの回転軸との接触面に、給電ブラシと電極ローラの回転軸との滑り接触により発生した摩耗粉を外部に排出案内する複数の溝部を形成し、他の比較例では、前記接触面に前記溝部を形成しなかった。
次いで、上記により得られた導電層及び金属めっき層が形成された樹脂多孔体から樹脂成分を除去するため、上記実施例と同様に、700℃の大気の酸化性雰囲気下と1000℃のH2とN2の混合気体を用いた還元性雰囲気中にてシート状の金属多孔体を得た。

0062

<電池の作製>
上記で得た各実施例及び各比較例のシート状の金属多孔体を正極として用いた電池を作製した。具体的には、金属多孔体に主たる成分として水酸化ニッケル水酸化コバルトを含むニッケル水素電池用正極活物質合剤を充填し、電極表面を平滑化して乾燥させ、その後ローラープレスを用いて厚さ約0.5mmのニッケル水素電池用の正極を作製した。集電用のリード部は、接続する部分を予め潰してペーストが入らないようにし超音波溶接にて行った。次に、負極として公知の水素吸蔵合金負極、セパレータとして親水化処理したPP不織布、電解液として30wt%の水酸化カリウム水溶液に30g/Lの水酸化リチウムを溶解したものを用いて密閉型円筒電池を作成した。

0063

<金属多孔体の評価方法
上記のように実施例及び比較例を製造する際に、以下に示す測定、観察及び試験等を行った。
動摩擦抵抗の測定
JIS K7125(1999)に準拠し、電極ローラの回転軸の材質と給電ブラシの材質との間の動摩擦係数を測定した。
電極ローラの回転軸と給電ブラシとの接触部の観察と潤滑油の補給
500時間の電気めっき処理中において、24時間毎に電極ローラの回転軸でしゃくりが発生しているか否かを目視で観察し、しゃくりが発生した場合には、電極ローラの回転軸に潤滑油を補給した。また、電極ローラの回転軸と給電ブラシとの接触部の温度を測定した。
給電ブラシの交換
5000時間の電気めっき処理中において、給電ブラシが腐食している場合には給電ブラシを交換した。
金属多孔体の外観観察
電子顕微鏡倍率40倍)を用いて金属多孔体の骨格部に生じた亀裂数を確認した。

0064

金属多孔体の超音波振動試験
製造された実施例及び比較例のシート状の金属多孔体を厚み0.3mmに圧延した後、10mm×7mm角超音波ホーンにて超音波溶接機を使用し、リード部の溶接はせず、シート状の金属多孔体に超音波振動を与え溶接性代用強度とした。超音波ホーンと台座クリアランスを0.2mm、超音波ホーンの寸法10mm×7mmに対し格子状に1.5mm角の24個の穴が空いた台座を使用し、圧力0.2MPa、周波数20kHzの条件とした。各条件に対し9点の超音波試験を実施し、各10mm×7mm角内にある金属多孔体の貫通穴数を目視で数え、前記9点の平均値を計算した。

0065

<電池の評価方法>
上記で得られた電池内での金属多孔体(正極)とリード溶接部亀裂発生状態を調べるために、電池作製後に正極を取り出し、超音波洗浄機を用いて、活物質を取り除いて、実体顕微鏡により前記亀裂発生状態を確認した。上記で得られた電池について、初期に低電流で数サイクル充放電した後、放電特性サイクル特性を調べた。放電特性は、充電を1Cで電池容量の120%まで行った後、放電を1C及び10Cの各放電率で行って、そのときの作動電圧容量利用率を調べた。サイクル特性は、充電を1Cで電池容量の120%まで行い、放電を1Cで放電終止電圧が0.8Vとした充放電を繰り返し、600サイクル後の容量維持率を調べた。容量維持率は、放電特性の試験で得た1Cの利用率を基準として計算した。

0066

<評価結果>
図10は、上記複数の実施例(実施例1〜8)の金属多孔体及び電池の評価方法による評価結果を示す表である。また、図11は、上記比較例(実施例1〜5)の金属多孔体及び電池の評価方法による評価結果を示す表である。
比較例1〜5では、いずれも銅製の給電ブラシに腐食が見られたため、給電ブラシを交換した。これに対して、実施例1〜8では、いずれもカーボン製の給電ブラシに腐食が見られず、給電ブラシを交換することはなかった。

0067

比較例2〜4において、電極ローラでしゃくりが発生したのに対し、実施例1〜8では、いずれも電極ローラでしゃくりは発生せず、電極ローラの回転軸に潤滑油を補給することはなかった。特に、実施例1〜5では、金属多孔体の目付量(導電層の目付量及び金属めっき層の目付量の合計量)が200g/m2以上350g/m2以下となるように、電気めっき処理でのめっき量を少なくしても、電極ローラでしゃくりが発生しないことを確認できた。

0068

なお、実施例6〜8のように、金属多孔体の目付量が350g/m2を超える450g/m2となるように前記めっき量を増加させた場合、実施例1〜5に比べて、電極ローラの回転軸と給電ブラシとの接触部の温度が高くなって電極ローラの回転軸の摺動速度が低下するため、コスト的に不利になるだけでなく生産性が低下することも確認できた。

0069

比較例2及び4において、金属多孔体の骨格及び電池のリード溶接部に亀裂が生じたのに対し、実施例1〜5では、いずれも前記骨格及びリード溶接部に亀裂は生じなかった。これに伴い、実施例1〜5では、比較例2及び4に比べて、電池の放電特性及び容量維持率が向上していることを確認できた。

0070

比較例2及び4では、銅製の給電ブラシと電極ローラの回転軸との接触部に潤滑油を塗布しない場合の動摩擦係数は、前記接触部に潤滑油を塗布した比較例1、3及び5よりも高い値であった。これにより、銅製の給電ブラシを用いる場合は、前記接触部に潤滑油を塗布する必要があることが分かる。
これに対して、実施例1〜8において、カーボン製の給電ブラシと電極ローラの回転軸との接触部に潤滑油を塗布していない場合の動摩擦係数は、比較例1、3及び5のように銅製の給電ブラシと電極ローラの回転軸との接触部に潤滑油を塗布した場合の動摩擦係数とほとんど変わらない結果となった。これにより、カーボン製の給電ブラシを用いた場合は、前記接触部に潤滑油を塗布する必要がないことを確認できた。

0071

比較例2及び4では、銅製の給電ブラシと電極ローラの回転軸との接触部に潤滑油を塗布しない場合の動摩擦係数は、前記接触部に潤滑油を塗布した比較例1、3及び5よりも高い値であった。これにより、銅製の給電ブラシを用いる場合は、前記接触部に潤滑油を塗布する必要があることが分かる。
これに対して、実施例1〜8において、カーボン製の給電ブラシと電極ローラの回転軸との接触部に潤滑油を塗布していない場合の動摩擦係数は、比較例1、3及び5のように銅製の給電ブラシと電極ローラの回転軸との接触部に潤滑油を塗布した場合の動摩擦係数とほとんど変わらない結果となった。これにより、カーボン製の給電ブラシを用いた場合は、前記接触部に潤滑油を塗布する必要がないことを確認できた。

0072

実施例6と実施例8とを比較すると、電極ローラの摺動速度は互いに同じ速度(20mm/s)であるが、放熱部材を設けている実施例8のほうが、放熱部材を設けていない実施例6よりも、電極ローラの回転軸と給電ブラシとの接触部の温度が低くなった。これにより、放熱部材を設けた場合は、給電ブラシの周辺部材の耐熱性を確保する必要がないことを確認できた。

0073

比較例1と比較例5とを比較すると、給電ブラシにおける電極ローラの回転軸との接触面に溝部を形成している比較例5のほうが、前記接触面に溝部を形成していない比較例1よりも、電極ローラの回転軸への潤滑油の補給頻度が少なかった。また、前記接触面に溝部を形成している実施例1〜8では、電極ローラの回転軸に潤滑油を補給することはなかった。これにより、前記接触面に溝部を形成した場合は、金属多孔体の生産性が向上することを確認できた。

0074

以上の評価結果より、本実施形態における金属多孔体の製造方法、及びめっき処理装置50によれば、電気めっき処理において、電極ローラに滑り接触して給電する給電ブラシは、耐食性に優れたカーボンを主成分とする材料により構成されているため、従来の銅製の給電ブラシに比べて腐食しにくい。したがって、給電ブラシを頻繁に交換する必要がないので、金属多孔体の生産性を向上させることができる。

0075

また、給電ブラシの耐食性が向上することで、電気めっき処理でのめっき量を少なくしても、電極ローラにおけるしゃくりの発生を抑制することができる。これにより、金属多孔体にひびが生じて強度が低下するのを抑制できるので、金属多孔体の品質を向上させることができる。
さらに、カーボンは、銅に比べて動摩擦係数が小さく、摺動性に優れているので、電極ローラと給電ブラシとの接触部に潤滑剤を塗布する必要がない。したがって、定期的に潤滑剤を塗布する作業が不要になるので、金属多孔体の生産性をさらに向上させることができる。

0076

また、給電ブラシで発生した熱を、当該給電ブラシに接続された放熱部材により外部に放熱するので、給電ブラシの温度が上昇するのを効果的に抑制することができる。これにより、給電ブラシの周辺部材の耐熱性を確保する必要がないため、冷却機能を追加する必要がない。その結果、コスト安価となる。
また、給電ブラシは電極ローラよりも先に摩耗するので、定期的に給電ブラシのみを交換すればよく、電極ローラの交換作業が不要になる。その結果、金属多孔体の生産性をさらに向上させることができる。

0077

また、電極ローラの回転軸は、金属製の焼結体からなり、その焼結体の表面にめっき処理を施されているため、電極ローラの回転軸が腐食するのを防止することができる。
また、給電ブラシにおける電極ローラの回転軸との接触面に形成した溝部により、給電ブラシと電極ローラの回転軸との滑り接触により発生した摩耗粉を外部に排出案内するので、給電ブラシと電極ローラの回転軸との隙間に、前記摩耗粉が凝集した塊となって蓄積するのを防止することができる。これにより、電極ローラの回転軸と給電ブラシとの接触部に潤滑剤を塗布する必要がない。したがって、定期的に潤滑剤を塗布する作業が不要になるので、金属多孔体の生産性をさらに向上させることができる。

0078

また、給電ブラシの動摩擦係数が0.01〜0.40であるため、製造コストを抑えつつ、給電ブラシの摺動性を向上させることができる。
また、給電ブラシから前記電極ローラに給電するときの電流密度が5A/cm2〜15A/cm2であるため、給電ブラシを含む給電装置全体が大型化するのを抑制することができる。また、給電ブラシの温度が上昇するのを抑制することができる。これにより、給電ブラシの周辺部材の耐熱性を確保する必要がないため、冷却機能を追加する必要がない。その結果、コスト安価となる。

0079

[その他]
上記実施形態における金属多孔体の製造方法は、電池の電極として用いられる金属多孔体の製造方法に適用する場合について説明したが、必ずしも電池の電極に限定されるものではなく、耐熱性を必要とするフィルター、触媒担持体又は金属複合材等に用いられる金属多孔体の製造方法に適用してもよい。但し、上記実施形態における金属多孔体の製造方法は、電池の電極として用いられる金属多孔体の製造方法に適用することが特に有効である。

0080

なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0081

1樹脂多孔体
2導電層
3導電化樹脂多孔体
4金属めっき層
5 めっき樹脂多孔体
10金属多孔体
11骨格
20電池
21正極板
22セパレータ
23 負極板
24筐体
30 めっき処理装置
31 第1めっき槽
32 第2めっき槽
33めっき浴
34円筒状電極
35陽極
36 槽
37送りローラ
38電極ローラ
38a回転軸
39 めっき浴
40 陽極
50給電装置
51給電ブラシ
51a 接触面
52付勢部材(放熱部材)
53 筐体
55 溝部
56A,56B固定板(放熱部材)
57A,57Bボルト
61予備めっき槽
62 本めっき槽
63 めっき浴
64 陽極
65押えローラ
66 電極ローラ
66a 回転軸
67 めっき浴
68 第1押えローラ
69 第1電極ローラ
69a 回転軸
70 第1陽極
71 第1送りローラ
72 第2送りローラ
73 第2陽極
74 第2押えローラ
75 第2電極ローラ
75a 回転軸
T 接線方向

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