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技術 遠心圧縮機及びこの遠心圧縮機を備えたターボチャージャ

出願人 三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
発明者 岩切健一郎
出願日 2017年11月6日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2019-550120
公開日 2020年4月23日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 WO2019-087385
状態 特許登録済
技術分野 過給機 非容積形ポンプの構造
主要キーワード 凸状円弧 凹状円弧 失速状態 CFD解析 低速度領域 中心角θ 旋回流れ 作動点
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年4月23日)のものです。
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図面 (10)

課題・解決手段

少なくとも1つの凹状円弧部分のうちインペラ半径方向において最も外側の凹状円弧部分のインペラの半径方向外側の端縁の接線方向と、回転軸線と垂直な方向とのなす傾斜角度は、スクロール流路周方向に沿って分布を有し、スクロール部の舌部からスクロール流路の出口に向かうスクロール流路内の周方向位置を舌部を基準として回転軸線を中心とする中心角で表すと、傾斜角度の分布は、30°から210°までの中心角の範囲内に極小値又は最小値を有する。

概要

背景

近年、遠心圧縮機作動領域の拡大が求められている。例えば、自動車エンジンでは、低速度領域における燃費改善加速度性能向上が求められており、これに伴い、ターボチャージャにも低速・小流量作動点の効率向上が求められている。このような作動領域は、ターボチャージャの遠心圧縮機が失速状態で作動する領域であり、この領域では、スクロール流路内における大規模剥離の発生が確認される。特許文献1には、スクロール流路において巻き終わりから巻き始めへの再循環流要因とする剥離の発生が記載されている。

概要

少なくとも1つの凹状円弧部分のうちインペラ半径方向において最も外側の凹状円弧部分のインペラの半径方向外側の端縁の接線方向と、回転軸線と垂直な方向とのなす傾斜角度は、スクロール流路の周方向に沿って分布を有し、スクロール部の舌部からスクロール流路の出口に向かうスクロール流路内の周方向位置を舌部を基準として回転軸線を中心とする中心角で表すと、傾斜角度の分布は、30°から210°までの中心角の範囲内に極小値又は最小値を有する。

目的

上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、小流量作動点における効率を向上した遠心圧縮機及びこの遠心圧縮機を備えたターボチャージャを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

インペラ及びハウジングを備える遠心圧縮機であって、前記ハウジングは、前記インペラの外周側に渦巻き状のスクロール流路が形成されたスクロール部と、前記インペラの回転軸線の延びる方向に間隔をあけて設けられた一対の流路壁を含み、前記インペラの半径方向内側で前記スクロール流路の周方向に沿って前記スクロール流路と連通するディフューザ流路を前記一対の流路壁間に形成するディフューザ部とを含み、前記一対の流路壁は、第1流路壁と、前記回転軸線の延びる方向において前記第1流路壁に対して前記スクロール流路のスクロール中心側に位置する第2流路壁とを有し、前記第2流路壁は、前記スクロール流路の内壁面のうち前記半径方向内側に位置する内壁面の一部を含み、前記第2流路壁が含む前記内壁面は、前記回転軸線を含む平面による前記ハウジングの断面において、前記スクロール流路内に曲率半径を有する少なくとも1つの凹状円弧部分を構成し、前記少なくとも1つの凹状円弧部分のうち前記インペラの半径方向において最も外側の凹状円弧部分の前記インペラの半径方向外側の端縁の接線方向と、前記回転軸線と垂直な方向とのなす傾斜角度は、前記スクロール流路の周方向に沿って分布を有し、前記スクロール部の舌部から前記スクロール流路の出口に向かう前記スクロール流路内の周方向位置を前記舌部を基準として前記回転軸線を中心とする中心角で表すと、前記傾斜角度の前記分布は、30°から210°までの前記中心角の範囲内に極小値又は最小値を有する遠心圧縮機。

請求項2

前記傾斜角度の前記分布は、30°から120°までの前記中心角の範囲内に極小値又は最小値を有する、請求項1に記載の遠心圧縮機。

請求項3

前記第2流路壁は、前記ディフューザ流路を画定するとともに前記回転軸線と垂直かつ平坦な平坦内壁面と、前記スクロール流路を画定するとともに前記スクロール流路に対して凸状に湾曲した凸状内壁面と、前記スクロール流路を画定するとともに前記回転軸線を含む平面による前記ハウジングの断面において前記少なくとも1つの凹状円弧部分を構成する少なくとも1つの凹状内壁面であって、該少なくとも1つの凹状内壁面のうち前記インペラの半径方向において最も外側の凹状内壁面が前記凸状円弧部分に接続される少なくとも1つの凹状内壁面と、前記インペラの半径方向において前記平坦内壁面の最も外側で前記平坦内壁面と前記凸状内壁面とを接続する端面とを含む、請求項1または2に記載の遠心圧縮機。

請求項4

前記回転軸線を中心とする前記ディフューザ流路の外径は前記ディフューザ流路の周方向に分布を有し、前記ディフューザ流路の外径の前記分布は、30°から210°までの前記中心角の範囲内に極大値又は最大値を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。

請求項5

前記回転軸線から前記スクロール流路のスクロール中心までの距離は前記スクロール流路の周方向に分布を有し、前記距離の前記分布は、30°から210°までの前記中心角の範囲内に極小値又は最小値を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。

請求項6

請求項1〜5のいずれか一項に記載の遠心圧縮機を備えたターボチャージャ

技術分野

0001

本開示は、遠心圧縮機及びこの遠心圧縮機を備えたターボチャージャに関する。

背景技術

0002

近年、遠心圧縮機の作動領域の拡大が求められている。例えば、自動車エンジンでは、低速度領域における燃費改善加速度性能向上が求められており、これに伴い、ターボチャージャにも低速・小流量作動点の効率向上が求められている。このような作動領域は、ターボチャージャの遠心圧縮機が失速状態で作動する領域であり、この領域では、スクロール流路内における大規模剥離の発生が確認される。特許文献1には、スクロール流路において巻き終わりから巻き始めへの再循環流要因とする剥離の発生が記載されている。

先行技術

0003

国際公開第2017/109949号

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、本発明者らの鋭意検討の結果、特許文献1に記載された再循環流とは別の要因による剥離の発生が明らかになった。すなわち、スクロール流路が形成されたスクロール部の舌部付近ディフューザ流路から排出される圧縮空気は、スクロール流路の内壁面に沿って旋回しながらスクロール流路を流通し、このような旋回流れがスクロール流路の内壁面に沿ってちょうど一周したあたりで、ディフューザ流路から排出される圧縮空気と干渉する。これがスクロール流路内の剥離の要因の1つとなる。

0005

上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、小流量作動点における効率を向上した遠心圧縮機及びこの遠心圧縮機を備えたターボチャージャを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

(1)本開示の少なくとも1つの実施形態に係る遠心圧縮機は、
インペラ及びハウジングを備える遠心圧縮機であって、
前記ハウジングは、
前記インペラの外周側に渦巻き状のスクロール流路が形成されたスクロール部と、
前記インペラの回転軸線の延びる方向に間隔をあけて設けられた一対の流路壁を含み、前記インペラの半径方向内側で前記スクロール流路の周方向に沿って前記スクロール流路と連通するディフューザ流路を前記一対の流路壁間に形成するディフューザ部と
を含み、
前記一対の流路壁は、
第1流路壁と、
前記回転軸線の延びる方向において前記第1流路壁に対して前記スクロール流路のスクロール中心側に位置する第2流路壁と
を有し、
前記第2流路壁は、前記スクロール流路の内壁面のうち前記半径方向内側に位置する内壁面の一部を含み、前記第2流路壁が含む前記内壁面は、前記回転軸線を含む平面による前記ハウジングの断面において、前記スクロール流路内に曲率半径を有する少なくとも1つの凹状円弧部分を構成し、
前記少なくとも1つの凹状円弧部分のうち前記インペラの半径方向において最も外側の凹状円弧部分の前記インペラの半径方向外側の端縁の接線方向と、前記回転軸線と垂直な方向とのなす傾斜角度は、前記スクロール流路の周方向に沿って分布を有し、
前記スクロール部の舌部から前記スクロール流路の出口に向かう前記スクロール流路内の周方向位置を前記舌部を基準として前記回転軸線を中心とする中心角で表すと、前記傾斜角度の前記分布は、30°から210°までの前記中心角の範囲内に極小値又は最小値を有する。

0007

上記(1)の構成によると、スクロール流路内をスクロール流路の内壁面に沿って旋回しながら流通する旋回流れがスクロール流路の内壁面に沿ってちょうど一周したあたりで、旋回流れの方向と、ディフューザ流路から排出される圧縮流体の流れ方向とのなす角度が小さくなるので、旋回流れとディフューザ流路から排出される圧縮流体の流れとの干渉が抑制されて、スクロール流路内における剥離の発生が低減される。その結果、小流量作動点における遠心圧縮機の効率を向上することができる。

0008

(2)いくつかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記傾斜角度の前記分布は、30°から120°までの前記中心角の範囲内に極小値又は最小値を有する。

0009

スクロール流路の流路面積は、出口側から舌部に向かって小さくなる。このようなスクロール流路の形状のために、舌部に近いほど凹状円弧部分の傾斜角度が大きくなる傾向がある。上記(2)の構成によると、この傾斜角度の大きさを意識せずにスクロール流路を形成するとこの傾斜角度が大きくなる傾向のある30°から120°までの中心角の範囲でこの傾斜角度が極小値又は最小値を有するようにスクロール流路を形成することで、30°から210°までの中心角の範囲でこの傾斜角度を小さくすることができるので、旋回流れとディフューザ流路から排出される圧縮流体の流れとの干渉がより抑制されて、スクロール流路内における剥離の発生がより低減される。その結果、小流量作動点における遠心圧縮機の効率を向上することができる。

0010

(3)いくつかの実施形態では、上記(1)または(2)の構成において、
前記第2流路壁は、
前記ディフューザ流路を画定するとともに前記回転軸線と垂直かつ平坦な平坦内壁面と、
前記スクロール流路を画定するとともに前記スクロール流路に対して凸状に湾曲した凸状内壁面と、
前記スクロール流路を画定するとともに前記回転軸線を含む平面による前記ハウジングの断面において前記少なくとも1つの凹状円弧部分を構成する少なくとも1つの凹状内壁面であって、該少なくとも1つの凹状内壁面のうち前記インペラの半径方向において最も外側の凹状内壁面が前記凸状円弧部分に接続される少なくとも1つの凹状内壁面と、
前記インペラの半径方向において前記平坦内壁面の最も外側で前記平坦内壁面と前記凸状内壁面とを接続する端面と
を含む。

0011

上記(3)の構成によると、旋回流れとディフューザ流路から排出される圧縮流体の流れとの干渉を抑制して、スクロール流路内における剥離の発生を低減できるとともに、ディフューザ流路を画定する内壁が回転軸線と垂直かつ平坦であることにより、ディフューザ流路の加工を容易にすることもできる。

0012

(4)いくつかの実施形態では、上記(1)〜(3)のいずれかの構成において、
前記回転軸線を中心とする前記ディフューザ流路の外径は前記ディフューザ流路の周方向に分布を有し、前記ディフューザ流路の外径の前記分布は、30°から210°までの前記中心角の範囲内に極大値又は最大値を有する。

0013

上記(4)の構成によると、30°から210°までの中心角の範囲で、凹状円弧部分の傾斜角度を極小又は最小にすることができるので、旋回流れとディフューザ流路から排出される圧縮流体の流れとの干渉が抑制されて、スクロール流路内における剥離の発生が低減される。その結果、小流量作動点における遠心圧縮機の効率を向上することができる。

0014

(5)いくつかの実施形態では、上記(1)〜(4)のいずれかの構成において、
前記回転軸線から前記スクロール流路のスクロール中心までの距離は前記スクロール流路の周方向に分布を有し、前記距離の前記分布は、30°から210°までの前記中心角の範囲内に極小値又は最小値を有する。

0015

上記(5)の構成によると、30°から210°までの中心角の範囲で、凹状円弧部分の傾斜角度を極小又は最小にすることができるので、旋回流れとディフューザ流路から排出される圧縮流体の流れとの干渉が抑制されて、スクロール流路内における剥離の発生が低減される。その結果、小流量作動点における遠心圧縮機の効率を向上することができる。

0016

(6)本開示の少なくとも1つの実施形態に係るターボチャージャは、
上記(1)〜(5)のいずれかの遠心圧縮機を備える。

0017

上記(6)の構成によると、スクロール流路内における剥離の発生が低減されるので、低速・小流量作動点におけるターボチャージャの効率を向上することができる。

発明の効果

0018

本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、スクロール流路内をスクロール流路の内壁面に沿って旋回しながら流通する旋回流れがスクロール流路の内壁面に沿ってちょうど一周したあたりで、旋回流れの方向と、ディフューザ流路から排出される圧縮流体の流れ方向とのなす角度が小さくなるので、旋回流れとディフューザ流路から排出される圧縮流体の流れとの干渉が抑制されて、スクロール流路内における剥離の発生が低減される。その結果、小流量作動点における遠心圧縮機の効率を向上することができる。

図面の簡単な説明

0019

本開示の一実施形態に係る遠心圧縮機の回転軸線に垂直な断面の一例を模式的に示す図である。
本開示の一実施形態に係る遠心圧縮機の回転軸線を含む平面による遠心圧縮機のハウジングの部分断面図である。
本開示の一実施形態に係る遠心圧縮機においてディフューザ流路から排出された圧縮空気がスクロール流路の内壁面に沿って旋回する様子を示す流線図である。
スクロール流路内で旋回流とディフューザ流路から排出される圧縮空気の流れとが干渉する原理を説明するための模式図である。
本開示の一実施形態に係る遠心圧縮機のスクロール流路の断面形状を示す断面模式図である。
本開示の一実施形態に係る遠心圧縮機において、傾斜角度αの分布を表すグラフである。
本開示の一実施形態に係る遠心圧縮機において、ディフューザ流路の外径の分布及び傾斜角度αの分布を表すグラフである。
本開示の一実施形態に係る遠心圧縮機において、回転軸線とスクロール中心との間の距離の分布及び傾斜角度αの分布を表すグラフである。
本開示の一実施形態に係る遠心圧縮機の第2流路壁の拡大部分断面図である。

実施例

0020

以下、添付図面を参照して本発明のいくつかの実施形態について説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、本発明の範囲をそれにのみ限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。

0021

本開示の一実施形態に係る遠心圧縮機を、ターボチャージャの遠心圧縮機を例にして説明する。ただし、本開示における遠心圧縮機は、ターボチャージャの遠心圧縮機に限定するものではなく、単独で動作する任意の遠心圧縮機であってもよい。以下の説明において、この圧縮機によって圧縮される流体は空気であるが、任意の流体に置き換えることが可能である。

0022

図1に示されるように、遠心圧縮機1は、ハウジング2と、ハウジング2内で回転軸線Lを中心に回転可能に設けられたインペラ3とを備えている。図2に示されるように、ハウジング2は、インペラ3の外周側に渦巻き状のスクロール流路5が形成されたスクロール部4と、回転軸線Lの延びる方向に間隔をあけて設けられた一対の流路壁7、すなわち第1流路壁7a及び第2流路壁7bを含むディフューザ部6と、円筒形状の空気入口部9とを有している。第2流路壁7bは、回転軸線Lの延びる方向において第1流路壁7aに対してスクロール流路5のスクロール中心OS側に位置している。第1流路壁7a及び第2流路壁7b間には、インペラ3の半径方向内側でスクロール流路5の周方向に沿ってスクロール流路5と連通するディフューザ流路8が形成されている。

0023

空気入口部9を介して遠心圧縮機1内に流入した空気は、インペラ3によって圧縮されて圧縮空気となる。圧縮空気は、ディフューザ流路8を流通してスクロール流路5内に流入し、次いで、スクロール流路5を流通して遠心圧縮機1から排出される。

0024

ターボチャージャが低速で作動するときのように、遠心圧縮機1に流入する空気量が小さい場合、遠心圧縮機1は失速状態で作動することになり効率が低下する。このような作動領域では、スクロール流路5内において大規模な剥離の発生が確認される。本発明者らは鋭意検討の結果、このような剥離が発生する要因の1つを見出した。その要因による剥離の発生原理を以下に説明する。

0025

図1に示されるように、スクロール部4(図2参照)の舌部4aからスクロール流路5の出口に向かうスクロール流路5内の周方向位置を、舌部4aを基準として回転軸線Lを中心とする中心角θで表す。したがって、舌部4aの周方向位置を表す中心角θは0°となる。

0026

図3に示されるように、舌部4a付近でディフューザ流路8から排出された圧縮空気の流れf1は、スクロール流路5の内壁面に沿って旋回しながらスクロール流路5を流通する。このような圧縮空気の旋回流れf2がスクロール流路5の内壁面に沿ってちょうど一周したあたり(図3では中心角θ=30°付近)で、ディフューザ流路8から排出される圧縮空気f3と干渉する。この干渉がスクロール流路5内の剥離の要因の1つとなる。

0027

図4(a)に示されるように、回転軸線Lを含むハウジング2(図2参照)の断面において、スクロール流路5の内壁面5aのうち第2流路壁7bと接続する部分5a1の接線方向Aと、回転軸線Lと垂直な方向Bとのなす傾斜角度αが大きいほど、すなわち90°に近いほど、図4(b)に示されるように、スクロール流路5の内壁面5aに沿って流通する圧縮空気の旋回流れf2と、ディフューザ流路8から排出される圧縮空気の流れf3とのなす角度βが大きくなる。そうすると、ディフューザ流路8からスクロール流路5内に流入しようとする圧縮空気の流れf3を旋回流れf2が塞ぐように干渉するので、この干渉が発生する部分で剥離が生じるようになる。

0028

そこで、このような干渉の発生を抑制するためには、傾斜角度αが小さくなるようなスクロール流路5の断面形状が必要になる。傾斜角度αを小さくしたスクロール流路5の断面形状の例を図5に示す。第2流路壁7bは、ディフューザ流路8を画定するとともに回転軸線Lと垂直かつ平坦な平坦内壁面21と、平坦内壁面21の最も半径方向外側で平坦内壁面21と垂直に接続される平坦な端面22と、端面22に接続されるとともにスクロール流路5に対して凸状に湾曲した凸状内壁面23と、凸状内壁面23に接続されるとともにスクロール流路5に対して凹状に湾曲した凹状内壁面24とを有している。ここで、スクロール中心OSを通り回転軸線Lに平行な仮想線L’を想定し、スクロール流路5の内壁面5aを、仮想線L’に対して半径方向内側の部分5a2と半径方向外側の部分5a3とに区別する。端面22と凸状内壁面23と凹状内壁面24とは、内壁面5aの部分5a2の一部である。

0029

尚、スクロール流路5に対して凸状に湾曲することは、回転軸線Lを含むハウジング2(図2参照)の断面において凸状内壁面23が構成する凸状円弧部分23aの曲率中心がスクロール流路5の外部に位置することを意味し、スクロール流路5に対して凹状に湾曲することは、回転軸線Lを含むハウジング2の断面において凹状内壁面24が構成する凹状円弧部分24aの曲率中心がスクロール流路5の内部に位置することを意味する。

0030

回転軸線Lを含むハウジング2の断面において、凹状円弧部分24aの半径方向外側の端縁24a1の接線方向Aと、回転軸線Lと垂直な方向Bとのなす傾斜角度αが小さくなると、旋回流れf2と、ディフューザ流路8からスクロール流路5内に流入しようとする圧縮空気の流れf3とのなす角度βが小さくなる。そうすると、旋回流れf2と圧縮空気の流れf3との干渉が抑制されるので、剥離の発生が低減される。したがって、スクロール流路5の断面形状を、このような干渉が発生する部分において傾斜角度αが小さくなるような形状にすることによって、剥離の発生を低減することができる。

0031

また、本発明者らは、CFD解析を行うことによって、30°から210°までの中心角θの範囲内で剥離が発生しやすいという結果を得た。これは、スクロール流路5内で安定した旋回流れが形成されると、スクロール流路5内の旋回流れと、ディフューザ流路8から排出される圧縮空気の流れとは徐々に干渉しなくなることから、このような干渉はスクロール流路5において上流側ほど発生しやすいためである。したがって、スクロール流路5の断面形状を、上流側において傾斜角度αが小さくなるような形状とすることにより、剥離の発生を有効に低減することができる。

0032

図5に示されるスクロール流路5の断面形状は、ハウジング2(図2参照)の一断面における形状である。スクロール流路5の断面形状は、実際は周方向に従って変化する。したがって、周方向に従って傾斜角度αは変化する。すなわち、傾斜角度αは、スクロール流路5の周方向に沿って分布を有する。そこで、本発明者が得た上記知見から、図6に示されるように、中心角θが30°から210°までの範囲となるスクロール流路5の周方向位置の範囲において、傾斜角度αの分布が最小値を有することにより、剥離の発生を有効に低減することができる。尚、傾斜角度αの分布が上記範囲内で最小値を有するのではなく、30°から210°までの中心角θの範囲内での最小値、すなわち極小値を有するような分布であってもよい。言い換えると、210°以降の中心角θの範囲内で、傾斜角度αの分布は、極小値よりも小さい値を有してもよい。

0033

次に、傾斜角度αの分布が、30°から210°までの中心角θの範囲内で極小値又は最小値をとるようにするための、ハウジング2(図2参照)の構成のいくつかの実施形態を説明する。

0034

一実施形態では、ディフューザ流路8(図1参照)の外径を周方向に局所的に大きくする。すなわち、ディフューザ流路8の外径の周方向の分布を、30°から210°までの中心角θの範囲内で極大値又は最大値をとるようにする。図5を参照すると、ディフューザ流路8の外径が局所的に大きい部分では、第2流路壁7bの端面22の位置が他の部分に比べて、より半径方向外側に位置するようになっている。そうすると、凹状内壁面24の半径方向の幅を大きくすることができるので、部分5a1の接線方向Aの傾きがより水平方向に近くなり、傾斜角度αが小さくなる。

0035

図7に、ディフューザ流路8の外径の周方向の分布を表すグラフと、その場合の傾斜角度αの分布を表すグラフとを示す。30°から210°までの中心角θの範囲内でディフューザ流路8の外径が最大になるような構成にすると、30°から210°までの中心角θの範囲内で傾斜角度αが最小値をとるようになる。この範囲内で傾斜角度αが最小値ではなく極小値をとる場合には、30°から210°までの中心角θの範囲内でディフューザ流路8の外径が極大になるような構成にすればよい。

0036

また、他の実施形態では、回転軸線Lからスクロール流路5のスクロール中心OSまでの距離R(図2参照)を周方向に局所的に小さくする。すなわち、距離Rの周方向の分布を、30°から210°までの中心角θの範囲内で極小値又は最小値をとるようにする。図5を参照すると、距離Rが局所的に小さい部分では、他の部分に比べて、ディフューザ流路8の出口の位置が同じあるにも関わらずスクロール流路5の断面が半径方向内側に位置するようになっている。そうすると、部分5a1の接線方向Aの傾きがより水平方向に近くなるので、傾斜角度αが小さくなる。

0037

図8に、距離Rの周方向の分布を表すグラフと、その場合の傾斜角度αの分布を表すグラフとを示す。30°から210°までの中心角θの範囲内で距離Rが最小になるような構成にすると、30°から210°までの中心角θの範囲内で傾斜角度αが最小値をとるようになる。この範囲内で傾斜角度αが最小値ではなく極小値をとる場合には、30°から210°までの中心角θの範囲内で距離Rが極小になるような構成にすればよい。

0038

さらに、他の実施形態では、ディフューザ流路8(図1参照)の外径を周方向に局所的に大きくすることと、回転軸線Lからスクロール流路5のスクロール中心OSまでの距離R(図2参照)を周方向に局所的に小さくすることとを組み合わせる。それぞれを単独で行うと、ディフューザ流路8の外径が局所的に大きくなりすぎたり、距離Rが局所的に小さくなりすぎたりすることにより、製造が難しくなったり、圧縮空気の流れに悪影響を与える可能性がある。しかし、両者を組み合わせることにより、ディフューザ流路8の外径及び距離Rの局所的な変化を緩やかにすることができる。

0039

このように、スクロール流路5内をスクロール流路5の内壁面5aに沿って旋回しながら流通する旋回流れf2がスクロール流路5の内壁面5aに沿ってちょうど一周したあたりで、旋回流れf2の方向と、ディフューザ流路8から排出される圧縮流体の流れf3の方向とのなす角度βが小さくなるので、旋回流れf2とディフューザ流路から排出される圧縮流体の流れf3との干渉が抑制されて、スクロール流路5内における剥離の発生が低減される。その結果、小流量作動点における遠心圧縮機1の効率を向上することができる。

0040

上記実施形態では、第2流路壁7bは、平坦内壁面21と垂直に接続される平坦な端面22と、端面22に接続されるとともにスクロール流路5に対して凸状に湾曲した凸状内壁面23と、凸状内壁面23に接続されるとともにスクロール流路5に対して凹状に湾曲した凹状内壁面24とを有しているが、この形態に限定するものではない。端面22が平坦内壁面21と垂直ではなかったり、平坦ではなく湾曲していたりしてもよい。また、凸状内壁面23がなく、凹状内壁面24と端面22とが接続されていてもよい。

0041

また、凹状内壁面24が2つ以上あってもよい。図9に、凹状内壁面24が、2つの凹状内壁面を含む場合を例示的に示す。回転軸線Lを含むハウジング2(図2参照)の断面において、2つの凹状内壁面がそれぞれ、第1凹状円弧部分241と第2凹状円弧部分242とを構成している。第2凹状円弧部分242は、半径方向内側の端縁242a及び半径方向外側の端縁242bを有し、端縁242aは第1凹状円弧部分241に接続され、端縁242bは凸状円弧部分23aに接続されている。このような形態の場合、傾斜角度αは、最も半径方向外側に位置する凹状円弧部分、すなわち第2凹状円弧部分242の半径方向外側の端縁242bの接線方向Aと、回転軸線Lと垂直な方向Bとのなす角度となる。

0042

上記実施形態では、傾斜角度αの分布は、30°から210°までの中心角θの範囲内に極小値又は最小値を有していたが、30°から120°までの中心角θの範囲内に極小値又は最小値を有していてもよい(図6参照)。図1に示されるように、スクロール流路5の流路面積は、出口側から舌部4aに向かって小さくなる。このようなスクロール流路5の形状のために、舌部4aに近いほど凹状円弧部分24a(図5参照)の傾斜角度α(図5参照)が大きくなる傾向がある。この傾斜角度αの大きさを意識せずにスクロール流路5を形成するとこの傾斜角度αが大きくなる傾向のある30°から120°までの中心角の範囲でこの傾斜角度αが極小値又は最小値を有するようにスクロール流路5を形成することで、30°から210°までの中心角の範囲でこの傾斜角度αを小さくすることができるので、旋回流れf2とディフューザ流路8から排出される圧縮流体の流れf3との干渉がより抑制されて、スクロール流路8内における剥離の発生がより低減される。その結果、小流量作動点における遠心圧縮機1の効率を向上することができる。

0043

また、ディフューザ流路8は通常、切削加工により形成されるが、上記実施形態では、ディフューザ流路8を画定する平坦内壁面21が回転軸線Lと垂直かつ平坦であることより、ディフューザ流路8を容易に加工することができるようになる。

0044

1遠心圧縮機
2ハウジング
3インペラ
4スクロール部
4a舌部
5スクロール流路
5a (スクロール流路の)内壁面
5a1 (内壁面の)部分
5a2 (内壁面の)半径方向内側の部分
5a3 (内壁面の)半径方向外側の部分
6ディフューザ部
7流路壁
7a 第1流路壁
7b 第2流路壁
8ディフューザ流路
9空気入口部
21平坦内壁面
22 端面
23 凸状内壁面
23a凸状円弧部分
24 凹状内壁面
24a凹状円弧部分
24a1 (凹状円弧部分の)端縁
241 第1凹状円弧部分
242 第2凹状円弧部分
242a (第2凹状円弧部分の)端縁
242b (第2凹状円弧部分の)端縁
A 接線方向
B回転軸線と垂直な方向
L (インペラの)回転軸線
L’仮想線
Osスクロール中心
α傾斜角度
β 角度
θ中心角
f1 舌部付近でディフューザ流路から排出される圧縮空気の流れ
f2旋回流れ
f3 ディフューザ流路から排出される圧縮空気の流れ

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