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技術 近赤外線硬化型インク組成物、近赤外線硬化膜、およびそれらの製造方法、並びに光造形法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 岡田美香常松裕史長南武
出願日 2018年9月14日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2019-542305
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 WO2019-054478
状態 未査定
技術分野 インキ、鉛筆の芯、クレヨン プラスチック等のその他の成形、複合成形(変更なし)
主要キーワード 表面被覆膜 固体媒体中 シースガス流量 X線回折法 保存雰囲気 高周波熱 粉末供給ノズル クロスセクション
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図面 (1)

課題・解決手段

十分な近赤外線吸収能を有し、かつ基材への密着性に優れる複合タングステン酸化物微粒子を含有する近赤外線硬化型インク組成物近赤外線硬化膜、および当該近赤外線硬化型インク組成物を用いた光造形法を提供する。近赤外線吸収能を持つ複合タングステン酸化物と、未硬化熱硬化性樹脂とを含む近赤外線硬化型インク組成物であって、前記複合タングステン酸化物は六方晶結晶構造を含み、前記複合タングステン酸化物の格子定数は、a軸が7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5600Å以上7.6240Å以下であり、前記複合タングステン酸化物の平均粒子径が、100nm以下である近赤外線硬化膜、および当該近赤外線硬化型インク組成物を用いた光造形法を提供する。

概要

背景

紫外線を用いて硬化させる紫外線硬化型塗料は、加熱することなく印刷が可能である。この為、近年、環境対応型塗料として広く知られるようになり、例えば、特許文献1〜6に記載されるような提案や開示がされている。

しかしながら本発明者らの検討によると、紫外線硬化型インクや塗料として、紫外線照射によりラジカル重合が行われる組成物を用いた場合には、酸素が存在すると重合(硬化)が阻害される。他方、紫外線の照射によりカチオン重合が行われる組成物を用いた場合には、その重合中に強酸が発生する、という課題があった。
さらに、印刷面や塗布面の耐光性を高める為、一般的に、当該印刷面や塗布面へは紫外線吸収剤が添加される。しかし、紫外線硬化型のインクや塗料へ紫外線吸収剤を添加した場合には、紫外線照射による硬化が阻害されるという課題があった。

上述の課題を解決する為、特許文献7、8には、紫外線ではなく近赤外線の照射により硬化する近赤外線硬化型組成物が提案されている。
また、出願人は特許文献9において、複合タングステン酸化物を含む近赤外線硬化型インク組成物を開示している。

概要

十分な近赤外線吸収能を有し、かつ基材への密着性に優れる複合タングステン酸化物微粒子を含有する近赤外線硬化型インク組成物、近赤外線硬化膜、および当該近赤外線硬化型インク組成物を用いた光造形法を提供する。近赤外線吸収能を持つ複合タングステン酸化物と、未硬化の熱硬化性樹脂とを含む近赤外線硬化型インク組成物であって、前記複合タングステン酸化物は六方晶結晶構造を含み、前記複合タングステン酸化物の格子定数は、a軸が7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5600Å以上7.6240Å以下であり、前記複合タングステン酸化物の平均粒子径が、100nm以下である近赤外線硬化膜、および当該近赤外線硬化型インク組成物を用いた光造形法を提供する。

目的

本発明は上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、所定の基材上に設けられ、近赤外線を照射させて硬化した際、当該基材への密着性に優れた近赤外線硬化型インク組成物と、当該近赤外線硬化型インク組成物を硬化して得られた近赤外線硬化膜、およびそれらの製造方法、並びに当該近赤外線硬化型インク組成物を用いた光造形法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

近赤外線吸収能をもつ複合タングステン酸化物微粒子と、未硬化熱硬化性樹脂とを含む近赤外線硬化型インク組成物であって、前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶結晶構造を含む複合タングステン酸化物微粒子であり、前記複合タングステン酸化物微粒子の格子定数が、a軸は7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸は7.5600Å以上7.6240Å以下であり、前記複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする近赤外線硬化型インク組成物。

請求項2

前記複合タングステン酸化物微粒子の格子定数が、a軸は7.4031Å以上7.4111Å以下、c軸は7.5891Å以上7.6240Å以下であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線硬化型インク組成物。

請求項3

前記複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径が、10nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線硬化型インク組成物。

請求項4

前記複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径が、10nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物。

請求項5

さらに、分散剤を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物。

請求項6

さらに、溶媒を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物。

請求項7

前記複合タングステン酸化物が、一般式MxWyOz(M元素は、H、He、アルカリ金属アルカリ土類金属希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素で、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で記載されるものであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物。

請求項8

前記複合タングステン酸化物が、M元素がCs、Rbのうちから選択される1種類以上である複合タングステン酸化物からなることを特徴とする請求項7に記載の近赤外線硬化型インク組成物。

請求項9

前記複合タングステン酸化物微粒子の表面の少なくとも一部が、Si、Ti、Zr、Alから選択される少なくとも1種類以上の元素を含有する表面被覆膜により、被覆されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物。

請求項10

前記表面被覆膜が、酸素原子を含有することを特徴とする請求項9に記載の近赤外線硬化型インク組成物。

請求項11

さらに、有機顔料無機顔料染料から選択されるいずれか1種類以上を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物。

請求項12

請求項1から11のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物が近赤外線照射を受けて、硬化したものであることを特徴とする近赤外線硬化膜

請求項13

請求項1から11のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物を基材上へ塗布して塗布物とし、当該塗布物へ近赤外線を照射して硬化させることを特徴とする光造形法

請求項14

近赤外線吸収能をもつ複合タングステン酸化物微粒子と、未硬化の熱硬化性樹脂と、分散剤と、溶剤とを含む近赤外線硬化型インク組成物の製造方法であって、前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶の結晶構造を含む複合タングステン酸化物微粒子であり、前記複合タングステン酸化物微粒子を、その格子定数がa軸は7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸は7.5600Å以上7.6240Å以下の範囲となるように製造し、前記複合タングステン酸化物微粒子において前記格子定数の範囲を保ちながら、平均粒子径を100nm以下とする粉砕分散処理工程を行うことを特徴とする近赤外線硬化型インク組成物の製造方法。

請求項15

複合タングステン酸化物が、一般式MxWyOz(M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素で、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で記載されるものであることを特徴とする請求項14に記載の近赤外線硬化型インク組成物の製造方法。

請求項16

前記複合タングステン酸化物が、M元素がCs、Rbのうちから選択される1種類以上である複合タングステン酸化物からなることを特徴とする請求項14から15のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物の製造方法。

請求項17

前記複合タングステン酸化物微粒子の表面の少なくとも一部を、Si、Ti、Zr、Alのいずれか1種類以上の元素を含有する表面被覆膜により、被覆することを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物の製造方法。

請求項18

前記表面被覆膜が酸素原子を含有することを特徴とする請求項17に記載の近赤外線硬化型インク組成物の製造方法。

請求項19

さらに、有機顔料、無機顔料、染料から選択されるいずれか1種類以上を含ませることを特徴とする、請求項14から18のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、近赤外線硬化型インク組成物近赤外線硬化膜、およびそれらの製造方法、並びに光造形法に関する。

背景技術

0002

紫外線を用いて硬化させる紫外線硬化型塗料は、加熱することなく印刷が可能である。この為、近年、環境対応型塗料として広く知られるようになり、例えば、特許文献1〜6に記載されるような提案や開示がされている。

0003

しかしながら本発明者らの検討によると、紫外線硬化型インクや塗料として、紫外線照射によりラジカル重合が行われる組成物を用いた場合には、酸素が存在すると重合(硬化)が阻害される。他方、紫外線の照射によりカチオン重合が行われる組成物を用いた場合には、その重合中に強酸が発生する、という課題があった。
さらに、印刷面や塗布面の耐光性を高める為、一般的に、当該印刷面や塗布面へは紫外線吸収剤が添加される。しかし、紫外線硬化型のインクや塗料へ紫外線吸収剤を添加した場合には、紫外線照射による硬化が阻害されるという課題があった。

0004

上述の課題を解決する為、特許文献7、8には、紫外線ではなく近赤外線の照射により硬化する近赤外線硬化型組成物が提案されている。
また、出願人は特許文献9において、複合タングステン酸化物を含む近赤外線硬化型インク組成物を開示している。

先行技術

0005

特開平7−100433号公報
特許第3354122号公報
特許第5267854号公報
特許第5626648号公報
特許第3494399号公報
特開2004−18716号公報
特許第5044733号公報
特開2015−131928号公報
国際公開第2017/047736号

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら本発明者らの更なる検討によると、特許文献7、8に記載の近赤外線硬化型組成物は、いずれも近赤外線吸収特性が十分でないといった課題を有していた。
一方、近赤外線硬化型組成物に対する市場の要求は高まっている。例えば、特許文献9に記載の複合タングステン酸化物を含む近赤外線硬化型インク組成物や近赤外線硬化膜をもってしても、基材への密着性の向上を求めるという市場の要求を満足させ続けることは、困難になることが考えられた。

0007

本発明は上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、所定の基材上に設けられ、近赤外線を照射させて硬化した際、当該基材への密着性に優れた近赤外線硬化型インク組成物と、当該近赤外線硬化型インク組成物を硬化して得られた近赤外線硬化膜、およびそれらの製造方法、並びに当該近赤外線硬化型インク組成物を用いた光造形法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上述の課題を解決する為、本発明者らは研究を行った結果、複合タングステン酸化物微粒子近赤外線吸収能を高めて、近赤外線硬化型インク組成物に近赤外線が照射された際の発熱量を上昇させることが有効であることに想到した。そして当該発熱量の上昇により、当該インク組成物硬化度を上げ、基材への密着性を上げることを実現出来たものである。

0009

即ち、上述の課題を解決する為の第1の発明は、
近赤外線吸収能を持つ複合タングステン酸化物微粒子と、未硬化の熱硬化性樹脂とを含む近赤外線硬化型インク組成物であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶結晶構造を含む複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子の格子定数が、a軸は7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸は7.5600Å以上7.6240Å以下であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする近赤外線硬化型インク組成物である。
第2の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の格子定数が、a軸は7.4031Å以上7.4111Å以下、c軸は7.5891Å以上7.6240Å以下であることを特徴とする第1の発明に記載の近赤外線硬化型インク組成物である。
第3の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径が、10nm以上100nm以下であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の近赤外線硬化型インク組成物である。
第4の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径が、10nm以上100nm以下であることを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物である。
第5の発明は、
さらに、分散剤を含むことを特徴とする第1から第4の発明のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物である。
第6の発明は、
さらに、溶媒を含むことを特徴とする第1から第5の発明のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物である。
第7の発明は、
前記複合タングステン酸化物が、一般式MxWyOz(M元素は、H、He、アルカリ金属アルカリ土類金属希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素で、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で記載されるものであることを特徴とする第1から第6の発明のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物である。
第8の発明は、
前記複合タングステン酸化物が、M元素がCs、Rbのうちから選択される1種類以上である複合タングステン酸化物からなることを特徴とする第7の発明に記載の近赤外線硬化型インク組成物である。
第9の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の表面の少なくとも一部が、Si、Ti、Zr、Alから選択される少なくとも1種類以上の元素を含有する表面被覆膜により、被覆されていることを特徴とする第1から第8の発明のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物である。
第10の発明は、
前記表面被覆膜が、酸素原子を含有することを特徴とする第9の発明に記載の近赤外線硬化型インク組成物である。
第11の発明は、
さらに、有機顔料無機顔料染料から選択されるいずれか1種類以上を含むことを特徴とする第1から第10の発明のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物である。
第12の発明は、
第1から第11の発明のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物が近赤外線照射を受けて、硬化したものであることを特徴とする近赤外線硬化膜である。
第13の発明は、
第1から第11の発明のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物を基材上へ塗布して塗布物とし、当該塗布物へ近赤外線を照射して硬化させることを特徴とする光造形法である。
第14の発明は、
近赤外線吸収能をもつ複合タングステン酸化物微粒子と、未硬化の熱硬化性樹脂と、分散剤と、溶剤とを含む近赤外線硬化型インク組成物の製造方法であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、六方晶の結晶構造を含む複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記複合タングステン酸化物微粒子を、その格子定数がa軸は7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸は7.5600Å以上7.6240Å以下の範囲となるように製造し、
前記複合タングステン酸化物微粒子において前記格子定数の範囲を保ちながら、平均粒子径を100nm以下とする粉砕分散処理工程を行うことを特徴とする近赤外線硬化型インク組成物の製造方法である。
第15の発明は、
複合タングステン酸化物が、一般式MxWyOz(M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素で、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で記載されるものであることを特徴とする第14の発明に記載の近赤外線硬化型インク組成物の製造方法である。
第16の発明は、
前記複合タングステン酸化物が、M元素がCs、Rbのうちから選択される1種類以上である複合タングステン酸化物からなることを特徴とする第14から第15の発明のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物の製造方法である。
第17の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の表面の少なくとも一部を、Si、Ti、Zr、Alのいずれか1種類以上の元素を含有する表面被覆膜により、被覆することを特徴とする第14から第16の発明のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物の製造方法である。
第18の発明は、
前記表面被覆膜が酸素原子を含有することを特徴とする第17の発明に記載の近赤外線硬化型インク組成物の製造方法である。
第19の発明は、
さらに、有機顔料、無機顔料、染料から選択されるいずれか1種類以上を含ませることを特徴とする第14から第18の発明のいずれかに記載の近赤外線硬化型インク組成物の製造方法である。

発明の効果

0010

本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物は、基材への密着性に優れており工業的に有用である。

図面の簡単な説明

0011

本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の製造に用いられる高周波熱プラズマ反応装置の一実施態様の装置概念図である。

発明を実施するための最良の形態

0012

以下、本発明に係る近赤外線硬化型インクとそれを用いた光造形法について、[1]近赤外線硬化型インク組成物、[2]近赤外線硬化膜および光造形法、の順に詳細に説明する。

0013

[1]近赤外線硬化型インク組成物
本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物は、近赤外線吸収能をもつ複合タングステン酸化物微粒子と、未硬化の熱硬化性樹脂と、所望によりその他の成分とを含む。そこで以下、[a]複合タングステン酸化物微粒子、[b]複合タングステン酸化物微粒子の合成方法、[c]未硬化の熱硬化性樹脂、[d]その他の成分、[e]近赤外線硬化型インク組成物、の順に説明する。

0014

[a]複合タングステン酸化物微粒子
近赤外線硬化型インク組成物に用いる近赤外線吸収微粒子としては、複合タングステン酸化物微粒子を初めとして、カーボンブラック粉や錫添加酸化インジウム(本発明において「ITO」と記載する場合がある。)粉が考えられる。しかしながら、近赤外線吸収微粒子としてカーボンブラック粉を用いると、当該粉は黒色なので近赤外線硬化型インク組成物の色の選択の自由度が低くなる。一方、近赤外線吸収微粒子としてITO粉を用いた場合は、当該粉を多量に添加しないと近赤外線硬化型インク組成物の硬化性が発揮できない。そこで、当該ITO粉を多量に添加すると、今度は多量添加された当該粉により、近赤外線硬化型インク組成物の色調へ影響を与えるという問題が発生してしまう。

0015

近赤外線吸収微粒子を含む近赤外線硬化膜において、当該近赤外線吸収微粒子に起因する着色が好ましくないことから、本発明においては、近赤外線吸収微粒子として当該微粒子に起因する着色が発生しない複合タングステン酸化物微粒子を含有させることに想到した。
複合タングステン酸化物を近赤外線吸収微粒子とすることで、当該複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、近赤外線領域に自由電子由来吸収特性発現する。この結果、複合タングステン酸化物微粒子は、波長1000nm付近の近赤外線吸収微粒子として有効となる。

0016

本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、近赤外線吸収特性を有し、六方晶の結晶構造を含む複合タングステン酸化物微粒子であり、格子定数が、a軸は7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸は7.5600Å以上7.6240Å以下のものである。
さらに、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子においては、[c軸の格子定数/a軸の格子定数]の値が1.0221以上1.0289以下であることが好ましい。
以下、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子について、(1)結晶構造と格子定数、(2)粒子径および結晶子径、(3)複合タングステン酸化物微粒子の組成、(4)複合タングステン酸化物微粒子の表面被覆(5)まとめ、の順に説明する。

0017

(1)結晶構造と格子定数
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、六方晶以外に、正方晶立方晶タングステンブロンズの構造を取るが、いずれの構造をとるときも近赤外線吸収材料として有効である。しかしながら、当該複合タングステン酸化物微粒子がとる結晶構造によって、近赤外線領域における吸収位置が変化する傾向がある。即ち、近赤外線領域の吸収位置は、立方晶よりも正方晶のときが長波長側に移動し、六方晶のときは正方晶のときよりも、さらに長波長側へ移動する傾向がある。また、当該吸収位置の変動に付随して、可視光線領域の光の吸収は六方晶が最も少なく、次に正方晶であり、立方晶はこの中では最も大きい。

0018

以上の知見から、可視光領域の光をより透過させ、近赤外線領域の光をより吸収する用途には、六方晶のタングステンブロンズを用いることが最も好ましい。複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有する場合、当該微粒子の可視光領域の透過率が向上し、近赤外領域の吸収が向上する。この六方晶の結晶構造において、WO6単位にて形成される8面体が、6個集合して六角形の空隙(トンネル)が構成され、当該空隙中にM元素が配置して1箇の単位を構成し、この1箇の単位が多数集合して六方晶の結晶構造を構成する。

0019

本発明に係る、可視光領域の透過を向上させ、近赤外領域の吸収を向上させる効果を得るためには、複合タングステン酸化物微粒子中に、単位構造(WO6単位で形成される8面体が6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中にM元素が配置した構造)が含まれていれば良い。
この六角形の空隙にM元素の陽イオンが添加されて存在するとき、近赤外線領域の吸収が向上する。ここで、一般的には、イオン半径の大きなM元素を添加したとき当該六方晶が形成され、具体的には、Cs、Rb、K、Tl、Ba、Inから選択される1種類以上を添加したとき六方晶が形成され易く好ましい。
さらに、これらイオン半径の大きなM元素のうちでもCs、Rbから選択される1種類以上を添加した複合タングステン酸化物微粒子においては、近赤外線領域の吸収と可視光線領域の透過との両立が達成できる。
尚、M元素として2種類以上を選択し、その内の1つをCs、Rb、K、Tl、Ba、Inから選択し、残りを、M元素を構成する1以上の元素から選択した場合にも、六方晶となることがある。

0020

M元素としてCsを選択したCsタングステン酸化物微粒子の場合、その格子定数は、a軸が7.4031Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5750Å以上7.6240Å以下であることが好ましく、より好ましくはa軸が7.4031Å以上7.4111Å以下、c軸が7.5891Å以上7.6240Å以下である。
M元素としてRbを選択したRbタングステン酸化物微粒子の場合、その格子定数は、a軸が7.3850Å以上7.3950Å以下、c軸が7.5600Å以上7.5700Å以下であることが好ましい。
M元素としてCsとRbとを選択したCsRbタングステン酸化物微粒子の場合、その格子定数は、a軸が7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5600Å以上7.6240Å以下であることが好ましい。
尤も、M元素が上記CsやRbに限定される訳ではない。M元素がCsやRb以外の元素であっても、WO6単位で形成される六角形の空隙に添加M元素として存在すれば良い。

0021

本発明に係る六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子を一般式MxWyOzで表記したとき、当該複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、添加M元素の添加量は、0.001≦x/y≦1、好ましくは0.2≦x/y≦0.5、更に好ましくは0.20≦x/y≦0.37、最も好ましくはx/y=0.33である。これは、理論上z/y=3のとき、x/y=0.33となることで、添加M元素が六角形の空隙の全てに配置されると考えられた為である。典型的な例としてはCs0.33WO3、Cs0.03Rb0.30WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3などを挙げることができる。

0022

ここで、本発明者らは、複合タングステン酸化物微粒子の近赤外線吸収機能をより向上させる方策について研究を重ね、含有される自由電子の量をより増加させる構成に想到した。
即ち、当該自由電子量を増加させる方策として、当該複合タングステン酸化物微粒子へ機械的な処理を加え、含まれる六方晶へ適宜な歪みや変形を付与することに想到したものである。当該適宜な歪みや変形を付与された六方晶においては、結晶子構造を構成する原子における電子軌道の重なり状態が変化し、自由電子の量が増加するものと考えられる。

0023

上述した想到に基づき、本発明者らは後述する「[b]複合タングステン酸化物微粒子の合成方法」の焼成工程において生成した複合タングステン酸化物の粒子から、複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造する際の分散工程において、複合タングステン酸化物の粒子を所定条件下にて粉砕することにより結晶構造へ歪みや変形を付与し、自由電子量を増加させて、複合タングステン酸化物微粒子の近赤外線吸収機能をさらに向上させることを研究した。

0024

そして当該研究から、焼成工程を経て生成した複合タングステン酸化物の粒子について、各々の粒子に着目して検討した。すると、当該各々の粒子間において、格子定数も、構成元素組成も、各々ばらつきが生じていることを知見した。
さらなる研究の結果、当該各々の粒子間における格子定数や構成元素組成のばらつきにも拘わらず、最終的に得られる複合タングステン酸化物微粒子において、その格子定数が所定の範囲内にあれば、所望の光学特性を発揮することを知見した。

0025

上述した知見を得た本発明者らは、さらに、当該複合タングステン酸化物微粒子の結晶構造における格子定数であるa軸とc軸とを測定することによって、当該微粒子の結晶構造の歪みや変形の度合いを把握しつつ、当該微粒子が発揮する光学的特性について研究した。
そして当該研究の結果、六方晶の複合タングステン酸化物微粒子において、a軸が7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5600Å以上7.6240Å以下であるとき、当該微粒子は、波長350nm〜600nmの範囲に極大値を有し、波長800nm〜2100nmの範囲に極小値を有する光の透過率を示し、優れた近赤外線吸収効果を発揮する複合タングステン酸化物微粒子であるとの知見を得た。

0026

さらに、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子のa軸が7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5600Å以上7.6240Å以下を有する六方晶の複合タングステン酸化物微粒子において、M元素の添加量を示すx/yの値が0.001≦x/y≦1の範囲内にあるとき、好ましくは0.20≦x/y≦0.37の範囲内にあるとき、特に優れた近赤外線吸収効果を発揮することも知見した。

0027

また、複合タングステン酸化物微粒子においては、アモルファス相体積比率が50%以下の単結晶であることが好ましいことも知見した。
複合タングステン酸化物微粒子が、アモルファス相の体積比率50%以下の単結晶であると、格子定数を上述した所定の範囲内に維持しながら、結晶子径を10nm以上100nm以下とすることができ、優れた光学的特性を発揮することができるものと考えられる。

0028

尚、複合タングステン酸化物微粒子が単結晶であることは、透過型電子顕微鏡等による電子顕微鏡像において、各微粒子内部に結晶粒界が観察されず、一様な格子縞のみが観察されることから確認することができる。また、複合タングステン酸化物微粒子においてアモルファス相の体積比率が50%以下であることは、同じく透過型電子顕微鏡像において、微粒子全体に一様な格子縞が観察され、格子縞が不明瞭な箇所が殆ど観察されないことから確認することができる。
さらに、アモルファス相は各微粒子外周部に存在する場合が多いので、各微粒子外周部に着目することで、アモルファス相の体積比率を算出可能な場合が多い。例えば、真球状の複合タングステン酸化物微粒子において、格子縞が不明瞭なアモルファス相が当該微粒子外周部に層状に存在する場合、その平均粒子径の10%以下の厚さであれば、当該複合タングステン酸化物微粒子におけるアモルファス相の体積比率は、50%以下である。

0029

一方、複合タングステン酸化物微粒子が、複合タングステン酸化物微粒子分散体を構成する樹脂等の固体媒体マトリックス中で分散している場合、当該分散している複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径から結晶子径を引いた値が、当該平均粒子径の20%以下であれば、当該複合タングステン酸化物微粒子は、アモルファス相の体積比率50%以下の単結晶であると言える。

0030

以上のことから、複合タングステン酸化物微粒子分散体に分散された複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径から結晶子径を引いた値が、当該平均粒子径の値の20%以下になるように、複合タングステン酸化物微粒子の合成工程、粉砕工程、分散工程を、製造設備に応じて適宜調整することが好ましい。
なお、複合タングステン酸化物微粒子の結晶構造や格子定数の測定は、近赤外線吸収体形用分散液の溶媒を除去して得られる複合タングステン酸化物微粒子に対し、X線回折法により当該微粒子に含まれる結晶構造を特定し、リートベルト法を用いることにより格子定数としてa軸長およびc軸長を算出することが出来る。

0031

(2)粒子径および結晶子径
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、その平均粒子径が100nm以下のものである。そして、より優れた赤外線吸収特性を発揮させる観点から、当該平均粒子径は10nm以上100nm以下であるのが好ましく、より好ましくは10nm以上80nm以下、さらに好ましくは10nm以上60nm以下である。平均粒子径が10nm以上60nm以下の範囲であれば、最も優れた赤外線吸収特性が発揮される。
ここで、平均粒子径とは凝集していない個々の複合タングステン酸化物微粒子がもつ径の値であり、後述する複合タングステン酸化物微粒子分散体に含まれる複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径である。
一方、当該平均粒子径は、複合タングステン酸化物微粒子の凝集体の径を含むものではなく、分散粒子径とは異なるものである。

0032

尚、平均粒子径は複合タングステン酸化物微粒子の電子顕微鏡像から算出される。
複合タングステン酸化物微粒子分散体に含まれる複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径は、断面加工で取り出した複合タングステン酸化物微粒子分散体の薄片化試料の透過型電子顕微鏡像から、複合タングステン酸化物微粒子100個の粒子径を、画像処理装置を用いて測定し、その平均値を算出することで求めることが出来る。当該薄片化試料を取り出すための断面加工には、ミクロトームクロスセクションポリッシャ集束イオンビーム(FIB)装置等を用いることが出来る。尚、複合タングステン酸化物微粒子分散体に含まれる複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径とは、マトリックスである固体媒体中で分散している複合タングステン酸化物微粒子の粒子径の平均値である。

0033

また、優れた赤外線吸収特性を発揮させる観点から、複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径は10nm以上100nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以上80nm以下、さらに好ましくは10nm以上60nm以下である。結晶子径が10nm以上60nm以下の範囲であれば、最も優れた赤外線吸収特性が発揮されるからである。

0034

尚、後述する解砕処理粉砕処理または分散処理を経た後に得られる複合タングステン酸化物微粒子分散液中に含まれる複合タングステン酸化物微粒子の格子定数や結晶子径は、当該複合タングステン酸化物微粒子分散液から揮発成分を除去して得られた複合タングステン酸化物微粒子や、当該複合タングステン酸化物微粒子分散液から得られる複合タングステン酸化物微粒子分散体中に含まれる複合タングステン酸化物微粒子においても維持される。
この結果、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液や複合タングステン酸化物微粒子を含む複合タングステン酸化物微粒子分散体においても本発明の効果は発揮される。

0035

(3)複合タングステン酸化物微粒子の組成
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記される、複合タングステン酸化物微粒子であることが好ましい。

0036

当該一般式MxWyOzで示される複合タングステン酸化物微粒子について説明する。
一般式MxWyOz中のM元素、x、y、zおよびその結晶構造は、複合タングステン酸化物微粒子の自由電子密度と密接な関係があり、近赤外線吸収特性に大きな影響を及ぼす。

0037

一般に、三酸化タングステン(WO3)中には有効な自由電子が存在しないため近赤外線吸収特性が低い。
ここで本発明者らは、当該タングステン酸化物へ、M元素(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素)を添加して複合タングステン酸化物とすることで、当該複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、近赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現し、波長1000nm付近の近赤外線吸収材料として有効なものとなること、且つ、当該複合タングステン酸化物は化学的に安定な状態を保ち、耐候性に優れた近赤外線吸収材料として有効なものとなることを知見したものである。さらに、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、Ba、Inが好ましく、なかでも、M元素がCs、Rbであると、当該複合タングステン酸化物が六方晶構造を取り易くなる。この結果、可視光線を透過し、近赤外線を吸収して熱に変換することから、後述する理由により特に好ましいことも知見したものである。尚、M元素として2種類以上を選択し、その内の1つをCs、Rb、K、Tl、Ba、Inから選択し、残りを、M元素を構成する1以上の元素から選択した場合、六方晶となることがある。

0038

ここで、M元素の添加量を示すxの値についての本発明者らの知見を説明する。
x/yの値が0.001以上であれば、十分な量の自由電子が生成され目的とする近赤外線吸収特性を得ることが出来る。そして、M元素の添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、近赤外線吸収特性も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1以下であれば、複合タングステン微粒子不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。

0039

次に、酸素量の制御を示すzの値についての本発明者らの知見を説明する。
一般式MxWyOzで示される複合タングステン酸化物微粒子において、z/yの値は、2.0≦z/y≦3.0であることが好ましく、より好ましくは2.2≦z/y≦3.0であり、さらに好ましくは2.6≦z/y≦3.0、最も好ましくは2.7≦z/y≦3.0である。このz/yの値が2.0以上であれば、当該複合タングステン酸化物中に目的以外であるWO2の結晶相が現れるのを回避することが出来ると共に、材料としての化学的安定性を得ることが出来るので、有効な赤外線吸収材料として適用できるためである。一方、このz/yの値が3.0以下であれば、当該タングステン酸化物中に必要とされる量の自由電子が生成され、効率よい赤外線吸収材料となる。

0040

(4)複合タングステン酸化物微粒子の表面被覆膜
複合タングステン酸化物微粒子の耐候性を向上させるために、複合タングステン酸化物微粒子の表面の少なくとも一部をケイ素ジルコニウムチタンアルミニウムから選択される1種類以上の元素を含む表面被覆膜により、被覆することも好ましい。これらの表面被覆膜は基本的に透明であり、添加したことで可視光透過率を低下させることはない。被覆方法は特に限定されないが、当該複合タングステン酸化物微粒子を分散した溶液中へ上記元素を含む金属のアルコキシドを添加することで、当該複合タングステン酸化物微粒子の表面を被覆することが可能である。この場合、当該表面被覆膜は酸素原子を含有するが、当該表面被覆膜が酸化物で構成されていることがより好ましい。

0041

(5)まとめ
以上、詳細に説明した、複合タングステン酸化物微粒子の格子定数や平均粒子径、結晶子径は、所定の合成条件によって制御可能である。具体的には、後述する熱プラズマ法固相反応法などにおいて、当該微粒子が生成される際の温度(焼成温度)、生成時間(焼成時間)、生成雰囲気焼成雰囲気)、前駆体原料の形態、生成後のアニール処理不純物元素のドープなどの合成条件の適宜な設定によって制御可能である。一方、複合タングステン酸化物微粒子の揮発成分の含有率は、当該微粒子の保存方法保存雰囲気、当該微粒子分散液を乾燥させる際の温度、乾燥時間、乾燥方法などの製造条件の適宜な設定によって制御可能である。尚、複合タングステン酸化物微粒子の揮発成分の含有率は、複合タングステン酸化物微粒子の結晶構造や、後述する熱プラズマ法や固相反応等の合成方法に依存しない。

0042

[b]複合タングステン酸化物微粒子の合成方法
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の合成方法について説明する。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の合成方法としては、熱プラズマ中タングステン化合物出発原料投入する熱プラズマ法や、タングステン化合物出発原料還元性ガス雰囲気中で熱処理する固相反応法が挙げられる。熱プラズマ法や固相反応法で合成された複合タングステン酸化物微粒子は、分散処理または粉砕・分散処理される。
以下、(1)熱プラズマ法、(2)固相反応法、(3)合成された複合タングステン酸化物微粒子、の順に説明する。

0043

(1)熱プラズマ法
熱プラズマ法について(i)熱プラズマ法に用いる原料、(ii)熱プラズマ法とその条件、の順に説明する。

0044

(i)熱プラズマ法に用いる原料
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を熱プラズマ法で合成する際には、タングステン化合物と、M元素化合物との混合粉体を原料として用いることができる。
タングステン化合物としては、タングステン酸(H2WO4)、タングステン酸アンモニウム六塩化タングステンアルコールに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上であることが好ましい。

0045

また、M元素化合物としては、M元素の酸化物、水酸化物硝酸塩硫酸塩、塩化物炭酸塩、から選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
上述したタングステン化合物と上述したM元素化合物とを含む水溶液とを、M元素とW元素の比が、MxWyOz(但し、Mは前記M元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.0、2.0≦z/y≦3.0)のM元素とW元素の比となるように湿式混合する。そして、得られた混合液を乾燥することによって、M元素化合物とタングステン化合物との混合粉体が得られる。当該混合粉体は、熱プラズマ法の原料とすることが出来る。

0046

また、当該混合粉体を、不活性ガス単独または不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下にて、1段階目の焼成によって得られる複合タングステン酸化物を、熱プラズマ法の原料とすることもできる。他にも、1段階目で不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下で焼成し、当該1段階目の焼成物を、2段階目にて不活性ガス雰囲気下で焼成する、という2段階の焼成によって得られる複合タングステン酸化物を、熱プラズマ法の原料とすることも出来る。

0047

(ii)熱プラズマ法とその条件
本発明で用いる熱プラズマとして、例えば、直流アークプラズマ高周波プラズママイクロ波プラズマ低周波交流プラズマ、のいずれか、または、これらのプラズマの重畳したもの、または、直流プラズマに磁場を印加した電気的な方法により生成するプラズマ、大出力レーザーの照射により生成するプラズマ、大出力電子ビームイオンビームにより生成するプラズマ、が適用出来る。尤も、いずれの熱プラズマを用いるにしても、10000〜15000Kの高温部を有する熱プラズマであり、特に、微粒子の生成時間を制御できるプラズマであることが好ましい。

0048

当該高温部を有する熱プラズマ中に供給された原料は、当該高温部において瞬時に蒸発する。そして、当該蒸発した原料は、プラズマ尾炎部に至る過程凝縮し、プラズマ火炎外で急冷凝固されて、複合タングステン酸化物微粒子を生成する。

0049

高周波プラズマ反応装置を用いる場合を例として、図1を参照しながら合成方法について説明する。
先ず、真空排気装置により、水冷石英二重管内と反応容器6内とで構成される反応系内を、約0.1Pa(約0.001Torr)まで真空引きする。反応系内を真空引きした後、今度は、当該反応系内をアルゴンガスで満たし、1気圧アルゴンガス流通系とする。
その後、反応容器内にプラズマガスとして、アルゴンガス、アルゴンヘリウム混合ガス(Ar−He混合ガス)、またはアルゴンと窒素の混合ガス(Ar−N2混合ガス)から選択されるいずれかのガスを、プラズマガス供給ノズル4から30〜45L/minの流量で導入する。一方、プラズマ領域のすぐ外側に流すシースガスとしてAr−He混合ガスを、シースガス供給ノズル3から60〜70L/minの流量で導入する。
そして、高周波コイル2に交流電流をかけて、高周波電磁場周波数MHz)により熱プラズマ1を発生させる。このとき、高周波電力は30〜40kWとする。

0050

さらに、粉末供給ノズル5より、上記合成方法で得たM元素化合物とタングステン化合物との混合粉体、または、複合タングステン酸化物を、ガス供給装置から供給する6〜98L/minのアルゴンガスをキャリアガスとして、供給速度25〜50g/minの割合で、熱プラズマ中に導入して所定時間反応を行う。反応後、生成した複合タングステン酸化物微粒子は、吸引管7を通過してフィルター8に堆積するので、これを回収する。
キャリアガス流量原料供給速度は、微粒子の生成時間に大きく影響する。そこで、キャリアガス流量を6L/min以上9L/min以下とし、原料供給速度を25〜50g/minとするのが好ましい。

0051

また、プラズマガス流量を30L/min以上45L/min以下、シースガス流量を60L/min以上70L/min以下とすることが好ましい。プラズマガスは10000〜15000Kの高温部を有する熱プラズマ領域を保つ機能があり、シースガスは反応容器内における石英トーチ内壁面を冷やし、石英トーチの溶融を防止する機能がある。それと同時に、プラズマガスとシースガスはプラズマ領域の形状に影響を及ぼすため、それらのガスの流量はプラズマ領域の形状制御に重要なパラメータとなる。プラズマガスとシースガス流量を上げるほどプラズマ領域の形状がガスの流れ方向に延び、プラズマ尾炎部の温度勾配が緩やかなるので、生成される微粒子の生成時間を長くし、結晶性の良い微粒子を生成できるようになる。

0052

熱プラズマ法で合成し得られる複合タングステン酸化物が、その結晶子径が200nmを超える場合や、熱プラズマ法で合成し得られる複合タングステン酸化物から得られる複合タングステン酸化物微粒子分散液中の複合タングステン酸化物の分散粒子径が200nmを超える場合は、後述する、粉砕・分散処理を行うことができる。熱プラズマ法で複合タングステン酸化物を合成する場合は、そのプラズマ条件や、その後の粉砕・分散処理条件を適宜選択して、複合タングステン酸化物の平均粒子径、結晶子径、格子定数のa軸長やc軸長が付与できる、粉砕条件微粒子化条件)を定めることにより、本発明の効果が発揮される。

0053

(2)固相反応法
固相反応法について(i)固相反応法に用いる原料、(ii)固相反応法における焼成とその条件、の順に説明する。

0054

(i)固相反応法に用いる原料
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を固相反応法で合成する際には、原料としてタングステン化合物およびM元素化合物を用いる。
タングステン化合物は、タングステン酸(H2WO4)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステン、アルコールに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後、溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上であることが好ましい。
また、より好ましい実施形態である一般式MxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、Ba、Inから選択される1種類以上の元素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で示される複合タングステン酸化物微粒子の原料の製造に用いるM元素化合物には、M元素の酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、炭酸塩、から選ばれる1種以上であることが好ましい。

0055

また、Si、Al、Zrから選ばれる1種以上の不純物元素を含有する化合物(本発明において「不純物元素化合物」と記載する場合がある。)を、原料として含んでもよい。当該不純物元素化合物は、後の焼成工程において複合タングステン化合物と反応せず、複合タングステン酸化物の結晶成長を抑制して、結晶の粗大化を防ぐ働きをするものである。不純物元素を含む化合物は、酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、炭酸塩、から選ばれる1種以上であることが好ましく、粒径が500nm以下のコロイダルシリカコロイダルアルミナが特に好ましい。

0056

上記タングステン化合物と、上記M元素化合物を含む水溶液とを、M元素とW元素の比が、MxWyOz(但し、Mは前記M元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.0、2.0≦z/y≦3.0)のM元素とW元素の比となるように湿式混合する。不純物元素化合物を原料として含有させる場合は、不純物元素化合物が0.5質量%以下になるように湿式混合する。そして、得られた混合液を乾燥することによって、M元素化合物とタングステン化合物との混合粉体、もしくは不純物元素化合物を含むM元素化合物とタングステン化合物との混合粉体が得られる。

0057

(ii)固相反応法における焼成とその条件
当該湿式混合で製造したM元素化合物とタングステン化合物との混合粉体、もしくは不純物元素化合物を含むM元素化合物とタングステン化合物との混合粉体を、不活性ガス単独または不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下、1段階で焼成する。焼成温度は複合タングステン酸化物微粒子が結晶化し始める温度に近いことが好ましく、具体的には焼成温度が1000℃以下であることが好ましく、800℃以下であることがより好ましく、800℃以下500℃以上の温度範囲がさらに好ましい。

0058

還元性ガスは特に限定されないがH2が好ましい。また、還元性ガスとしてH2を用いる場合、その濃度は焼成温度と出発原料の物量に応じて適宜選択すれば良く特に限定されない。例えば、20容量%以下、好ましくは10容量%以下、より好ましくは7容量%以下である。還元性ガスの濃度が20容量%以下であれば、急速な還元により日射吸収機能を有しないWO2が生成するのを回避できるからである。このとき、この焼成条件の制御により、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径、結晶子径、格子定数のa軸長やc軸長を所定の値に設定することが出来る。
尤も、当該複合タングステン酸化物微粒子の合成において、前記タングステン化合物に替えて、三酸化タングステンを用いても良い。

0059

(3)合成された複合タングステン酸化物微粒子
熱プラズマ法や固相反応法による合成法で得られた複合タングステン酸化物微粒子を用いて、後述する複合タングステン酸化物微粒子分散液を作製した場合、当該分散液に含有されている微粒子の分散粒子径が200nmを超える場合は、後述する複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造する工程において、粉砕・分散処理すればよい。そして、粉砕・分散処理を経て得られた複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径、結晶子径、格子定数のa軸長やc軸長の値が本発明の範囲を実現できていれば、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子やその分散液から得られる複合タングステン酸化物微粒子分散体は、優れた近赤外線吸収特性を実現できるのである。

0060

上述したように、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、その平均粒子径が100nm以下のものである。
ここで、「[b]複合タングステン酸化物微粒子の合成方法」にて説明した方法で得られた複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径が100nmを超えた場合は、粉砕・分散処理して微粒化し、複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造する工程(粉砕・分散処理工程)と、製造された複合タングステン酸化物微粒子分散液を乾燥処理して揮発成分(ほとんどが溶媒)を除去することで、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を製造することができる。
以下、(i)粉砕・分散処理工程、(ii)乾燥工程、の順に説明する。

0061

(i)粉砕・分散処理工程、
複合タングステン酸化物微粒子の粉砕・分散の工程は、当該複合タングステン酸化物微粒子を、後述する分散剤と共に、適宜な未硬化の状態にある熱硬化性樹脂のモノマーや、後述する適宜な溶媒中へ凝集させることなく、均一に分散させる工程である。
当該粉砕・分散処理工程は、当該複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径を100nm以下、好ましくは10nm以上100nm以下に出来るものであること、結晶の格子定数において、好ましくはa軸が7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸が7.5600Å以上7.6240Å以下、さらに好ましくは[c軸の格子定数/a軸の格子定数]の値が、1.0221以上1.0289以下の範囲に担保出来ることである。

0062

具体的には、ビーズミルボールミルサンドミルペイントシェーカー超音波ホモジナイザー等の装置を用いた、所定時間の粉砕・分散処理方法が挙げられる。その中でも、ビーズボール、オタワサンドといった媒体メディアを用いる、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー等の媒体攪拌ミルで粉砕、分散させることは、所望とする平均粒子径や分散粒子径を得る為に要する時間が短いことから好ましい。

0063

媒体攪拌ミルを用いた粉砕・分散処理によって、複合タングステン酸化物微粒子の分散液中への分散と同時に、複合タングステン酸化物微粒子同士の衝突や媒体メディアの該微粒子への衝突などによる微粒子化も進行し、複合タングステン酸化物微粒子をより微粒子化して分散させることができる(即ち、粉砕・分散処理される)。
これらの器材を用いた機械的な分散処理工程によって、複合タングステン酸化物微粒子の溶媒中への分散と同時に複合タングステン酸化物粒子同士の衝突などにより微粒子化が進むとともに、当該複合タングステン酸化物粒子に含まれる六方晶の結晶構造へ歪みや変形を付与し、当該結晶子構造を構成する原子における電子軌道の重なり状態が変化して、自由電子量の増加が進行する。

0064

尚、当該複合タングステン酸化物粒子の微粒子化、および、六方晶の結晶構造における格子定数であるa軸長やc軸長の変動は、粉砕装置装置定数により異なる。従って、予め、試験的な粉砕を実施して、複合タングステン酸化物微粒子へ、上述した所定の平均粒子径、結晶子径、格子定数のa軸長やc軸長を付与できる粉砕装置、粉砕条件を求めておくことが肝要である。

0065

複合タングステン酸化物微粒子分散液の状態は、タングステン酸化物微粒子を溶媒中に分散した時の複合タングステン酸化物微粒子の分散状態を測定することで確認することができる。例えば、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子が、溶媒中において微粒子および微粒子の凝集状態として存在する液から試料サンプリングし、市販されている種々の粒度分布計で測定することで確認することができる。粒度分布計としては、例えば、動的光散乱法原理とした大塚電子(株)社製ELS−8000等の公知の測定装置を用いることができる。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径は、200nm以下であることが好ましく、さらに好ましい分散粒子径は10nm以上200nm以下である。

0066

本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を含有する近赤外線吸収成分は、近赤外線領域、特に、波長900〜2200nm付近の光を大きく吸収するため、その可視光線での透過色調青色系から緑色系となる場合ある。一方、赤外線線吸収層に含まれる複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径が1〜200nmであれば、幾何散乱またはミー散乱によって波長380nm〜780nmの可視光線領域の光を散乱することがないので、赤外線線吸収層は光の散乱による呈色が減少し、可視光透過率の増加を図ることが出来るからである。さらに、レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に比例して低減するため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上する。そこで、分散粒子径が200nm以下となると散乱光は非常に少なくなり、より透明性が増すことになり好ましい。

0067

上より、当該微粒子の分散粒子径を200nmよりも小さくすれば透明性を確保することができるため、近赤外線硬化型インク組成物を着色し易くなる。当該透明性を重視する場合には分散粒子径を150nm以下、さらに好ましくは100nm以下とすることが好ましい。一方、分散粒子径が10nm以上であれば、工業的な製造は容易である。

0068

ここで、複合タングステン酸化物微粒子分散液中における、当該複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径について簡単に説明する。複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径とは、溶媒中に分散している複合タングステン酸化物微粒子の単体粒子や、当該複合タングステン酸化物微粒子が凝集した粒子(凝集粒子)の粒子径を意味するものであり、市販されている種々の粒度分布計で測定することができる。例えば、当該複合タングステン酸化物微粒子分散液のサンプルを採取し、当該サンプルを、動的光散乱法を原理とした大塚電子(株)製ELS−8000を用いて測定することができる。

0069

また、上記の合成方法で得られる複合タングステン酸化物微粒子の含有量が0.01質量%以上80質量%以下である複合タングステン酸化物微粒子分散液は、液安定性に優れる。適切な液状媒体や、分散剤、カップリング剤界面活性剤を選択した場合は、温度40℃の恒温槽に入れたときでも6ヶ月以上分散液のゲル化や粒子の沈降が発生せず、分散粒子径を10〜200nmの範囲に維持できる。

0070

尚、複合タングステン酸化物微粒子分散液の分散粒子径と、複合タングステン酸化物微粒子分散体に分散された複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径が異なる場合がある。これは、複合タングステン酸化物微粒子分散液中では複合タングステン酸化物微粒子が凝集しても、複合タングステン酸化物微粒子分散液から複合タングステン酸化物微粒子分散体に加工される際に複合タングステン酸化物微粒子の凝集が解されるからである。

0071

(ii)乾燥工程
乾燥工程は、上述した粉砕・分散工程で得られる複合タングステン酸化物微粒子分散液を、乾燥処理して当該分散液中の揮発成分を除去し、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を得るものである。

0072

乾燥処理の設備としては、加熱および/または減圧が可能で、当該微粒子の混合や回収がし易いという観点から、大気乾燥機、万能混合機リボン混合機、真空流動乾燥機振動流動乾燥機、凍結乾燥機リボコーンロータリーキルン噴霧乾燥機パルコン乾燥機、等が好ましいが、これらに限定されない。

0073

[c]未硬化の熱硬化性樹脂
本発明に係る未硬化の熱硬化性樹脂は、近赤外線硬化型インク組成物の時点では未硬化の液体状であるが、近赤外線の照射を受けた際には、複合タングステン酸化物微粒子からの熱エネルギーを付与されて硬化する熱硬化性樹脂である。

0074

当該未硬化の熱硬化性樹脂の具体例としては、例えば、エポキシ樹脂ウレタン樹脂アクリル樹脂ユリア樹脂メラミン樹脂フェノール樹脂エステル樹脂ポリイミド樹脂シリコーン樹脂不飽和ポリエステル樹脂などの未硬化樹脂が挙げられる。
尚、当該未硬化の熱硬化性樹脂には、硬化反応によって熱硬化性樹脂を形成するモノマーやオリゴマー、および適宜添加される公知の硬化剤が含まれる場合がある。さらに硬化剤へは公知の硬化促進剤を加えてもよい。

0075

[d]その他の成分
本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物は、さらに所望により、顔料、溶媒、分散剤といったその他の成分を含むものである。
そこで以下、(1)顔料および染料、(2)分散剤、(3)溶媒、の順に説明する。

0076

(1)顔料および染料
本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物を着色する為に使用できる顔料としては、公知の顔料を特に制限なく使用出来る。具体的には、不溶性顔料レーキ顔料等の有機顔料およびカーボンブラック等の無機顔料を好ましく用いることができる。
これらの顔料は、本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物中に分散された状態で存在させることが好ましい。これらの顔料の分散方法としては、公知の方法を特に限定なく使用することが出来る。

0078

ここで、好ましく用いられる市販の顔料名を以下に挙げる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。

0079

レンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。

0080

グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。

0081

ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。

0083

本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物中に含有される分散状態の顔料の分散粒子径は、10nm以上、200nm以下であることが好ましい。顔料分散液の分散粒子径が10nm以上、200nm以下であれば、近赤外線硬化型インク組成物中の保存安定性が良好だからである。

0084

本発明において使用される染料としては、特に制限はなく、油溶性染料または水溶性染料のいずれでも使用することができ、イエロー染料マゼンタ染料シアン染料など等を好ましく用いることができる。

0085

イエロー染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類ナフトール類アニリン類ピラゾロン類ピリドン類開鎖活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料
例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料
例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料
例えばナフトキノン染料アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがある。これ以外の染料種としてはキノフタロン染料ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエローを呈するものであってもよい。その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機カチオンであっても良いし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよい。さらには、それらを部分構造に有するポリマーカチオンであっても良い。

0086

マゼンタ染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;
例えば、カップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;
例えば、アリーリデン染料、スチリル染料メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;
例えば、ジフェニルメタン染料トリフェニルメタン染料キサンテン染料のようなカルボニウム染料
例えば、ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料;
例えば、ジオキサジン染料等のような縮合多環系染料;等を挙げることができる。
これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてマゼンタを呈するものであってもよい。その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであっても良い。また、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであっても良い。さらには、それらを部分構造に有するポリマーカチオンであっても良い。

0087

シアン染料としては、例えばインドアニリン染料インドフェノール染料のようなアゾメチン染料;
シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料
ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;
フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてシアンを呈するものであっても良い。その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであっても良いし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであっても良い。さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであっても良い。また、ポリアゾ染料などのブラック染料も使用することができる。

0088

本発明において使用される水溶性染料としては、特に制限はなく、直接染料酸性染料食用染料塩基性染料反応性染料、等を好ましく用いることができる。

0089

水溶性染料として、好ましく用いられる具体的染料名を以下に挙げる。
C.I.ダイレクトレッド2、4、9、23、26、31、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、21、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247、
C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101、
C.I.ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、142、144、161、163、
C.I.ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291、
C.I.ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199、
C.I.アシッドレッド35、42、52、57、62、80、82、111、114、118、119、127、128、131、143、151、154、158、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397、
C.I.アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126、
C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227、
C.I.アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、205、207、220、221、230、232、247、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326、
C.I.アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172、
C.I.リアクティブレッド3、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55、
C.I.リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34、
C.I.リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42、
C.I.リアクティブブルー2、3、5、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38、
C.I.リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34、
C.I.ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46、
C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48、
C.I.ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40、
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71、
C.I.ベーシックブラック8、等が挙げられる。

0090

以上説明した、近赤外線硬化型インクに含まれる着色材の顔料や複合タングステン酸化物微粒子の粒径は、近赤外線硬化型インク組成物の塗布装置の特性を考慮して定めることが好ましい。
尚、本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物は、上述した顔料および染料を含有しない近赤外線硬化型インク組成物も含む概念である。

0091

(2)分散剤
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を適宜な分散剤と共に、適宜な未硬化の状態にある熱硬化性樹脂のモノマーや、後述する適宜な溶媒中へ分散させてもよい。適宜な分散剤の添加により、複合タングステン酸化物微粒子を容易に近赤外線硬化型インクに分散出来、近赤外線硬化型インクの塗布膜における硬化のバラつきの抑制が期待出来るからである。

0092

尚、当該分散剤としては、適宜市販の分散剤を用いることができるが、分散剤の分子構造として、ポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系、ポリプトラクトン系、ポリスチレン系の主鎖を有し、官能基に、アミノ基、エポキシ基カルボキシル基水酸基スルホ基等を有するものが好ましい。このような分子構造を有する分散剤は、本発明に係る近赤外線硬化型インクの塗布膜に近赤外線を数十秒間断続的に照射する際、変質し難い。従って、当該変質に起因する着色等の不具合が発生することが無いからである。

0093

このような分散剤には、
日本ルーブリゾール社製、SOLSPERSE(登録商標)(以下同じ)3000、5000、9000、11200、12000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000SC、24000GR、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、32600、33000、33500、34750、35100、35200、36600、37500、38500、39000、41000、41090、53095、55000、56000、71000、76500、J180、J200、M387等;
SOLPLUS(登録商標)(以下同じ)D510、D520、D530、D540、DP310、K500、L300、L400、R700等;
ビックケミー・ジャパン社製、Disperbyk(登録商標)(以下同じ)−101、102、103、106、107、108、109、110、111、112、116、130、140、142、145、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、191、192、2000、2001、2009、2020、2025、2050、2070、2095、2096、2150、2151、2152、2155、2163、2164;
Anti−Terra(登録商標)(以下同じ)−U、203、204等;
BYK(登録商標)(以下同じ)−P104、P104S、P105、P9050、P9051、P9060、P9065、P9080、051、052、053、054、055、057、063、065、066N、067A、077、088、141、220S、300、302、306、307、310、315、320、322、323、325、330、331、333、337、340、345、346、347、348、350、354、355、358N、361N、370、375、377、378、380N、381、392、410、425、430、1752、4510、6919、9076、9077、W909、W935、W940、W961、W966、W969、W972、W980、W985、W995、W996、W9010、Dynwet800、Siclean3700、UV3500、UV3510、UV3570等;
エフカアディデブズ社製、EFKA(登録商標)(以下同じ)2020、2025、3030、3031、3236、4008、4009、4010、4015、4046、4047、4060、4080、7462、4020、4050、4055、4300、4310、4320、4400、4401、4402、4403、4300、4320、4330、4340、5066、5220、6220、6225、6230、6700、6780、6782、8503;
BASFジャパン社製、JONCRYL(登録商標)(以下同じ)67、678、586、611、680、682、690、819、−JDX5050等;
大塚化学社製、TERPLUS(登録商標)(以下同じ) MD1000、D 1180、D 1130等;
味の素ファインテクノ社製、アジスパー(登録商標)(以下同じ)PB−711、PB−821、PB−822等;
化成社製、ディスパロン(登録商標)(以下同じ)1751N、1831、1850、1860、1934、DA−400N、DA−703−50、DA−325、DA−375、DA−550、DA−705、DA−725、DA−1401、DA−7301、DN−900、NS−5210、NVI−8514L等;
東亞合成社製、アルフォン(登録商標)(以下同じ)UC−3000、UF−5022、UG−4010、UG−4035、UG−4070等;が挙げられる。

0094

(3)溶媒
本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物において、未硬化の状態にある熱硬化性樹脂のモノマーと共に溶媒を用いることも好ましい構成である。
この場合、近赤外線硬化型インク組成物の溶媒として、後述する熱硬化性樹脂の硬化反応時に未硬化の状態にある樹脂に含まれる当該熱硬化性樹脂のモノマーやオリゴマーと反応する、エポキシ基などの官能基を備えた反応性有機溶媒を用いることも好ましい。
当該溶媒の添加により、近赤外線硬化型インク組成物の粘性を適宜に調整出来る。そして、この結果として塗布性や、塗布膜の平滑性を容易に確保出来るからである。

0096

[e]近赤外線硬化型インク組成物
上述したように、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を未硬化の熱硬化性樹脂へ添加する、または、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を適宜な溶媒中に分散した後、未硬化の熱硬化性樹脂を添加する、ことにより、本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物が得られる。本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物は、所定の基材上に設けられ、近赤外線を照射されて硬化した際、当該基材への密着性に優れたものである。
そして、本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物は、従来のインクとしての用途に加え、所定量を塗布し、ここへ近赤外線を照射して硬化させて積み上げ、後述する3次元物体造形する光造形法に最適な近赤外線硬化型インク組成物である。

0097

上述したように、複合タングステン酸化物微粒子を含み、溶媒と、分散剤と、未硬化の熱硬化性樹脂とを含む近赤外線硬化型インク組成物から溶媒を除去する、または、溶媒を使用しないで、複合タングステン酸化物微粒子を含み、分散剤と、未硬化の熱硬化性樹脂とを含む近赤外線硬化型インク組成物を得ることも好ましい構成である。
当該溶媒を使用せず、複合タングステン酸化物微粒子を含み、分散剤と、未硬化の熱硬化性樹脂とを含む近赤外線硬化型インク組成物は、後工程において、溶媒の揮発に係る工程を省くことができ、硬化反応の効率がよい。
一方、溶媒を除去する場合の方法としては、特に限定されるものではないが、減圧操作を加えた加熱蒸留法等を用いることが出来る。

0098

本発明に係る近赤外線硬化型インクに含まれる、複合タングステン酸化物微粒子の量は、硬化反応の際に未硬化の熱硬化性樹脂が、硬化を行える量を適宜添加すれば良い。従って、近赤外線硬化型インクの塗布厚みも考慮して、近赤外線硬化型インクの塗布面積当たりの複合タングステン酸化物微粒子量を定めれば良い。

0099

複合タングステン酸化物微粒子を溶媒中に分散させる方法については特に限定されないが、湿式媒体ミルを用いることが好ましい。但し、このときも、予め、試験的な分散を実施して、複合タングステン酸化物微粒子へ、平均粒子径が100nm以下、格子定数としてa軸は7.3850Å以上7.4186Å以下、c軸は7.5600Å以上7.6240Å以下であり、さらに好ましくは[c軸の格子定数/a軸の格子定数]の値として1.0221以上、1.0289以下を付与できる分散装置分散条件を求めておく。

0100

[2]近赤外線硬化物および光造形法
本発明に係る近赤外線硬化型インクは可視光透過性を有するため、当該近赤外線硬化型インク組成物の所定量を塗布して塗布膜を得、ここへ近赤外線を照射して硬化させることにより、所定の基材へ優れた密着性を発揮する本発明に係る近赤外線硬化膜が得られる。また、当該近赤外線硬化型インクへ各種顔料や染料を少なくとも1種類以上添加することで着色膜を容易に得ることができる。当該着色膜においては複合タングステン酸化物微粒子による色味への影響もほとんどない為、当該着色膜は液晶ディスプレイカラーフィルター等に用いることが可能となる。

0101

上述した優れた密着性が得られる要因は、複合タングステン酸化物微粒子が、照射された近赤外線を吸収して発熱し、当該発熱の熱エネルギーが、未硬化の熱硬化性樹脂に含まれるモノマーやオリゴマー等による重合反応縮合反応付加反応などの反応を促進して、熱硬化性樹脂の硬化反応が起こることによる。また、近赤外線の照射による複合タングステン酸化物微粒子の発熱により、溶媒の揮発も行われる。
一方、本発明に係る近赤外線硬化膜へ、さらに近赤外線を照射しても当該硬化膜が再融解することはない。本発明に係る近赤外線硬化膜は、未硬化の熱硬化性樹脂が硬化した熱硬化性樹脂が含まれるので、近赤外線の照射により複合タングステン酸化物微粒子が発熱しても、再融解はしないのである。

0102

この特性は、本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物の所定量を硬化させて積み上げ、近赤外線硬化型インクの塗布と近赤外線照射を繰り返し行う積層を繰り返して、3次元物体を造形する光造形法へ適用する際には、上述した基材への優れた密着性と相俟って、特に有効である。
勿論、本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物の所定量を基材上に塗布し、ここへ近赤外線を照射して硬化させることにより本発明に係る近赤外線硬化膜を得ることも好ましい。

0103

本発明に用いる基材の材料は特に限定されないが、例えば、紙、PET、アクリルウレタンポリカーボネートポリエチレンエチレン酢酸ビニル共重合体塩化ビニルフッ素樹脂ポリイミドポリアセタールポリプロピレンナイロン等が、各種目的に応じて好ましく使用可能である。また、紙、樹脂以外ではガラスを好ましく用いることができる。

0104

本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物の硬化方法としては、赤外線照射が好ましく、近赤外線照射がより好ましい。近赤外線はエネルギー密度が大きく、当該インク組成物中の樹脂が硬化するのに必要なエネルギーを効率的に付与することができる。
赤外線照射と、公知の方法から選ばれる任意の方法とを組み合わせて、本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物の硬化を行なうことも好ましい。例えば、加熱や送風電磁波の照射といった方法を、赤外線照射と組み合わせて使用しても良い。

0105

尚、本発明において、赤外線とは0.1μm〜1mmの範囲の波長を有する電磁波を指し、近赤外線とは波長0.75〜4μmの赤外線を指し、遠赤外線は波長4〜1000μmの赤外線を指す。一般的に遠赤外線、近赤外線と呼ばれるどちらの赤外線を照射した場合であっても、本発明の効果は得ることが出来る。尤も、近赤外線を照射した場合には、より短時間で効率良く前記熱硬化性樹脂を硬化できる。

0106

また、本発明において、マイクロ波とは1mm〜1mの範囲の波長を有する電磁波を指す。
照射するマイクロ波は200〜1000Wのパワーを有することが好ましい。パワーが200W以上あれば、インクに残留する有機溶剤気化が促進される、1000W以下であれば照射条件が穏和であり、基材や前記熱硬化性樹脂が変質する恐れが無い。

0107

本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物への好ましい赤外線照射時間は、照射するエネルギーや波長、近赤外線硬化型インクの組成、近赤外線硬化型インク塗布量によって異なるが、一般的には0.1秒間以上の照射が好ましい。照射時間が0.1秒間以上あることで、上述した好ましいパワーに収まる範囲での赤外線照射実施が可能となる。照射時間を長くすることで、当該インク組成物中の溶媒の十分な乾燥を行うことも可能であるが、高速での印刷や塗布を視野に入れると、照射時間は30秒間以内であることが好ましく、10秒間以内であることがより好ましい。

0108

赤外線の放射源としては、熱源から直接得ても良いし、熱媒体を介在させてそこから有効な赤外線放射を得ても良い。例えば、水銀、キセノンセシウムナトリウム等の放電灯や、炭酸ガスレーザー、さらに白金、タングステン、ニクロムカンタル等の電気抵抗体の加熱、等により赤外線を得ることが出来る。尚、好ましい放射源としてハロゲンランプが挙げられる。ハロゲンランプは熱効率も良く、立ち上がりが早い等の利点がある。

0109

本発明に係る近赤外線硬化型インク組成物への赤外線の照射は、近赤外線硬化型インク塗布面側から行っても、裏面側から行なっても良い。両面から同時に照射を行なうことも好ましく、昇温乾燥や送風乾燥と組み合わせることも好ましい。また、必要に応じて集光板を用いるのがより好ましい。これらの方法を組み合わせることで、短時間の赤外線照射で硬化させることが可能となる。

0110

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。

0111

(1)結晶構造の測定方法、格子定数および結晶子径の算出方法
複合タングステン酸化物微粒子の被測定試料としては、近赤外線吸収体形成用分散液から溶媒を除去して得られる複合タングステン酸化物微粒子を用いた。そして当該複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンを、粉末X線回折装置(スペクトリス(株)PANalytical製X’Pert−PRO/MPD)を用いて粉末X線回折法(θ—2θ法)により測定した。得られたX線回折パターンから当該微粒子に含まれる結晶構造を特定し、さらにリートベルト法を用いて格子定数と結晶子径とを算出した。

0112

(2)分散粒子径
複合タングステン酸化物微粒子分散液中における当該微粒子の分散粒子径は、大塚電子(株)製ELS−8000を用い、レーザーの散乱光の揺らぎ観測し、動的光散乱法(光子相関法)により自己相関関数を求め、キュムラント法で平均粒子径(流体力学的径)を算出した。

0113

(3)複合タングステン酸化物微粒子を含む硬化膜についての評価
厚さ3mmの青板ガラス板へ近赤外線硬化型インク組成物を塗布し、近赤外線を照射して複合タングステン酸化物微粒子を含む硬化膜を作製した。当該硬化膜の光学特性を、分光光度計U−4100(日立製作所(株)製)を用いて測定した。可視光透過率は、JIS R 3106:1998に従って測定を行った。

0114

(4)複合タングステン酸化物微粒子を含む硬化膜中の平均粒子径
近赤外線硬化型インク組成物中に分散された複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径は、上述した硬化膜の断面における透過型電子顕微鏡像を観察することによって測定した。透過型電子顕微鏡像は、透過型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 HF−2200)を用いて観察した。当該透過型電子顕微鏡像を画像処理装置にて処理し、複合タングステン酸化物微粒子100個の粒子径を測定して、その平均値を平均粒子径とした。

0115

[実施例1]
水6.70kgに、炭酸セシウム(Cs2CO3)7.43kgを溶解して溶液を得た。当該溶液を、タングステン酸(H2WO4)34.57kgへ添加して十分撹拌混合した後、撹拌しながら乾燥した(WとCsとのモル比が1:0.33相当である。)。当該乾燥物を、N2ガスをキャリアーとした5容量%H2ガスを供給しながら加熱し、800℃の温度で5.5時間焼成した、その後、当該供給ガスをN2ガスのみに切り替えて、室温まで降温して複合タングステン酸化物粒子(以下、粒子aと記載する)を得た。
粒子aを20質量部と、メチルイソブチルケトン65質量部と、アクリル系分散剤15質量部とを混合し混合物とした。当該混合物を、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカー(浅田鉄工社製)に装填し、7時間粉砕・分散処理して微粒子化した粒子a(以下、微粒子aと記載する)の微粒子分散液(以下、微粒子分散液aと記載する)を得た。このとき、当該混合物100質量部に対し、0.3mmφZrO2ビーズを300質量部用いて粉砕・分散処理を行った。

0116

ここで、微粒子分散液a内における微粒子aの分散粒子径を、動的光散乱法に基づく粒径測定装置(大塚電子(株)製ELS−8000)により測定したところ70nmであった。また、微粒子分散液aから溶媒を除去した後の微粒子aの格子定数を測定したところ、a軸は7.4008Å、c軸は7.6122Åであった。また、結晶子径は24nmであった。そして、六方晶の結晶構造が確認された。

0117

微粒子分散液a25質量部と、市販の一液タイプで未硬化の熱硬化性樹脂を含む熱硬化型インク(帝国インキ製造社製、MEGスクリーンインキメジウム))75質量部とを混合して、実施例1に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクAと記載する)を調製した。
インクAを、厚さ3mmの青板ガラス上にバーコーター(No.10)を用いて塗布し、近赤外線の照射源として(株)ハイベック社製ラインヒーターHYP−14N(出力980W)を塗布面から5cmの高さに設置し、10秒間、近赤外線を照射して実施例1に係る硬化膜(以下、硬化膜Aと記載する)を得た。

0118

硬化膜A中に分散された複合タングステン酸化物微粒子の平均粒子径を、透過型電子顕微鏡像を用いた画像処理装置によって算出したところ、25nmであった。

0119

硬化膜Aの密着性は、以下に示す方法で評価した。
100個の升目状の切り傷を、隙間間隔1mmのカッターガイドを用いて付け、18mm幅テープ(ニチバン(株)製セロテープ(登録商標)CT−18)を升目上の切り傷面に貼り付け、2.0kgのローラーを20往復して完全に付着させた後、180度の剥離角度で急激に剥がし、剥がれた升目の数を数えた。
剥がれた升目の数は0であった。

0120

硬化膜Aへ、上述した近赤外線硬化型インク硬化の際と同条件の近赤外線を20秒間照射しても、当該硬化膜が再融解することはなかった。
以上の結果を表1、2に示す。

0121

[実施例2]
タングステン酸と炭酸セシウムとを、WとCsとのモル比が1:0.31となるように所定量を量した以外は実施例1と同様に操作して、実施例2に係るCsタングステン酸化物微粒子(以下、微粒子bと記載する)を得た。
微粒子aに替えて、微粒子bを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、微粒子bの分散液(以下、微粒子分散液bと記載する)を得た。
次に、微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液bを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例2に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクBと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクBを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例2に係る硬化膜(以下、硬化膜Bと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液bおよび硬化膜Bを評価した。尚、複合タングステン酸化物微粒子試料には、六方晶の結晶構造が確認された。
以上の結果を表1、2に示す。

0122

[実施例3]
タングステン酸と炭酸セシウムとを、WとCsとのモル比が1:0.35となるように所定量を秤量した以外は実施例1と同様に操作して、実施例3に係るCsタングステン酸化物微粒子(以下、微粒子cと記載する)を得た。
微粒子aに替えて、微粒子cを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、微粒子cの分散液(以下、微粒子分散液cと記載する)を得た。
次に、微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液cを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例3に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクCと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクCを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例3に係る硬化膜(以下、硬化膜Cと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液cおよび硬化膜Cを評価した。尚、複合タングステン酸化物微粒子試料には、六方晶の結晶構造が確認された。
以上の結果を表1、2に示す。

0123

[実施例4]
タングステン酸と炭酸セシウムとを、WとCsとのモル比が1:0.37となるように所定量を秤量した以外は実施例1と同様に操作して、実施例3に係るCsタングステン酸化物微粒子(以下、微粒子dと記載する)を得た。
微粒子aに替えて、微粒子dを用いた点以外は実施例1と同様に操作して微粒子dの分散液(以下、粒子分散液dと記載する)を得た。
次に、微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液dを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例4に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクDと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクDを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例4に係る硬化膜(以下、硬化膜Dと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液dおよび硬化膜Dを評価した。尚、複合タングステン酸化物微粒子試料には、六方晶の結晶構造が確認された。
以上の結果を表1、2に示す。

0124

[実施例5]
タングステン酸と炭酸セシウムとを、WとCsのとモル比が1:0.21となるように所定量を秤量した以外は実施例1と同様に操作して、実施例5に係るCsタングステン酸化物微粒子(以下、微粒子eと記載する)を得た。
微粒子aに替えて、微粒子eを用いた点以外は実施例1と同様に操作して微粒子eの分散液(以下、微粒子分散液eと記載する)を得た。
次に、微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液eを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例5に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクEと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクEを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例5に係る硬化膜(以下、硬化膜Eと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液eおよび硬化膜Eを評価した。尚、複合タングステン酸化物微粒子試料には、六方晶の結晶構造が確認された。
以上の結果を表1、2に示す。

0125

[実施例6]
N2ガスをキャリアーとした5%H2ガスを供給しながら550℃の温度で9.0時間焼成した以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係るCsタングステン酸化物微粒子(以下、微粒子fと記載する)を得た。
微粒子aに替えて、微粒子fを用いた点以外は実施例1と同様に操作して微粒子fの分散液(以下、微粒子分散液fと記載する)を得た。
次に、微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液fを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例6に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクFと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクFを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例6に係る硬化膜(以下、硬化膜Fと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液fおよび硬化膜Fを評価した。尚、複合タングステン酸化物微粒子試料には、六方晶の結晶構造が確認された。
以上の結果を表1、2に示す。

0126

[実施例7]
微粒子分散液a30質量部と、市販の一液タイプの熱硬化型インク70質量部とを混合した以外は実施例1と同様に操作して、実施例7に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクGと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクGを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例7に係る硬化膜(以下、硬化膜Gと記載する)を得た。
実施例1と同様に、硬化膜Gを評価した。
以上の結果を表1、2に示す。

0127

[実施例8]
微粒子分散液a35質量部と、市販の一液タイプの熱硬化型インク65質量部とを混合した以外は、実施例1と同様に操作して、実施例8に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクGと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクHを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例8に係る硬化膜(以下、硬化膜Hと記載する)を得た。
実施例1と同様に、硬化膜Hを評価した。
以上の結果を表1、2に示す。

0128

[実施例9]
微粒子分散液a25質量部と、未硬化のビスフェノールA型エポキシ樹脂37.5質量部と、硬化促進剤を添加した硬化剤37.5質量部とを混合した以外は、実施例1と同様に操作して実施例9に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクIと記載する)を調製した。尚、前記硬化剤は、フェノール樹脂とイミダゾール(硬化促進剤)との混合物である。
インクAに替えて、インクIを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例9に係る硬化膜(以下、硬化膜Iと記載する)を得た。
実施例1と同様に、硬化膜Iを評価した。
以上の結果を表1、2に示す。

0129

[実施例10]
粒子aを20質量部と、メチルイソブチルケトン65重量部質量部と、アクリル系分散剤15重量部質量部とを混合し混合物とした。当該混合物を、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカー(浅田鉄工社製)に装填し、20分間粉砕・分散処理して微粒子aの微粒子分散液(以下、微粒子分散液pと記載する)を得た。このとき、当該混合物100質量部に対し、0.3mmφZrO2ビーズを300質量部用いて粉砕・分散処理を行った。
微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液pを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例10に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクPと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクPを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、実施例3に係る硬化膜(以下、硬化膜Pと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液pおよび硬化膜Pを評価した。尚、複合タングステン酸化物微粒子試料には、六方晶の結晶構造が確認された。
以上の結果を表1、2に示す。

0130

[比較例1]
タングステン酸と炭酸セシウムとを、WとCsとのモル比が1:0.15となるように所定量を秤量した以外は実施例1と同様に操作して、比較例1に係るCsタングステン酸化物微粒子(以下、微粒子jと記載する)を得た。
微粒子aに替えて、微粒子jを用いた点以外は実施例1と同様に操作して微粒子jの分散液(以下、微粒子分散液jと記載する)を得た。
次に、微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液jを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例1に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクJと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクJを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例1に係る硬化膜(以下、硬化膜Jと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液jおよび硬化膜Jを評価した。
以上の結果を表1、2に示す。

0131

[比較例2]
タングステン酸と炭酸セシウムとを、WとCsとのモル比が1:0.39となるように所定量を秤量した以外は実施例1と同様に操作して、比較例2に係るCsタングステン酸化物微粒子(以下、微粒子kと記載する)を得た。
微粒子aに替えて、微粒子kを用いた点以外は実施例1と同様に操作して微粒子kの分散液(以下、微粒子分散液kと記載する)を得た。
次に、微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液kを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例2に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクKと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクKを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例2に係る硬化膜(以下、硬化膜Kと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液kおよび硬化膜Kを評価した。
以上の結果を表1、2に示す。

0132

[比較例3]
タングステン酸と炭酸セシウムとを、WとCsとのモル比が1:0.23となるように所定量を秤量し、400℃の温度で5.5時間焼成した以外は実施例1と同様に操作して、比較例3に係るCsタングステン酸化物微粒子(以下、微粒子lと記載する)を得た。
次に、微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液lを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例3に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクLと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクLを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例3に係る硬化膜(以下、硬化膜Lと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液lおよび硬化膜Lを評価した。
以上の結果を表1、2に示す。

0133

[比較例4]
タングステン酸と炭酸セシウムとを、WとCsとのモル比が1:0.23となるように所定量を秤量し、600℃の温度で5.5時間焼成した以外は実施例1と同様に操作して、比較例4に係るCsタングステン酸化物微粒子(以下、微粒子mと記載する)を得た。
次に、微粒子mを20質量部と、メチルイソブチルケトン65質量部と、アクリル系分散剤15質量部とを混合して混合物とした。当該混合物を、ペイントシェーカー(浅田鉄工社製)に装填し10分間分散処理して、微粒子mの分散液(以下、微粒子分散液mと記載する)を得た。
微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液mを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例4に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクMと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクMを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例4に係る硬化膜(以下、硬化膜Mと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液mおよび硬化膜Mを評価した。
以上の結果を表1、2に示す。

0134

[比較例5]
微粒子aを20質量部と、メチルイソブチルケトン65質量部と、アクリル系分散剤15質量部とを混合して混合物とする。当該混合物を、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカー(浅田鉄工社製)に装填し50時間粉砕・分散処理して、微粒子aの分散液(以下、微粒子分散液nと記載する)を得た。このとき、当該混合物100質量部に対し、0.3mmφZrO2ビーズを300質量部用いて粉砕・分散処理を行った。
微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液nを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例5に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクNと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクNを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例5に係る硬化膜(以下、硬化膜Nと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液nおよび硬化膜Nを評価した。
以上の結果を表1、2に示す。

0135

[比較例6]
微粒子mを20質量部と、メチルイソブチルケトン65質量部と、アクリル系分散剤15質量部とを混合して混合物とした。当該混合物を、0.3mmφZrO2ビーズを入れたペイントシェーカーに装填し4時間粉砕・分散処理して、微粒子mの分散液(以下、微粒子分散液oと記載する)を得た。このとき、当該混合物100質量部に対し、0.3mmφZrO2ビーズを300質量部用いて粉砕・分散処理を行った。
微粒子分散液aに替えて、微粒子分散液oを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例6に係る近赤外線硬化型インク(以下、インクOと記載する)を調製した。
インクAに替えて、インクOを用いた点以外は実施例1と同様に操作して、比較例6に係る硬化膜(以下、硬化膜Oと記載する)を得た。
実施例1と同様に、微粒子分散液oおよび硬化膜Oを評価した。
以上の結果を表1、2に示す。

0136

[まとめ]
以上に示した実施例1〜10、比較例1〜6の結果によると、実施例1〜10に係る硬化膜はいずれも近赤外線領域の光を効率良く吸収し、基材への密着性が高いことが確認できた。
これに対して、比較例1〜6に係る硬化膜はいずれも近赤外線特性が十分でなく、基材への密着性は低かった。

0137

0138

1熱プラズマ
2高周波コイル
3シースガス供給ノズル
4プラズマガス供給ノズル
原料粉末供給ノズル
6反応容器
7吸引管
8 フィルター

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