図面 (/)
※この項目の情報は公開日時点(2020年10月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります
図面 (0)
図面はありません
概要
背景
従来から、トランジスタ、IC(IntegratedCircuit)等の電子部品装置の素子封止の分野では生産性、コスト等の面から樹脂封止が主流となっている。また近年、電子部品のプリント配線板への高密度実装化が進んでいる。これに伴い、半導体装置は従来のピン挿入型のパッケージから、表面実装型のパッケージが主流になっている。表面実装型のIC、LSI(Large−Scale Integration)等は、実装密度を高くし且つ実装高さを低くするために、薄型且つ小型のパッケージになっており、素子のパッケージに対する占有体積が大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなっている。
また、素子の多機能化及び大容量化によって、チップ面積の増大及び多ピン化が進み、さらにはパッド(電極)数の増大によって、パッドピッチの縮小化とパッド寸法の縮小化、いわゆる狭パッドピッチ化も進んでいる。また、さらなる小型軽量化に対応すべく、パッケージの形態もQFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)等から、より多ピン化に対応しやすく、より高密度実装が可能なCSP(Chip Size Package)、BGA(Ball Grid Array)等へ移行しつつある。
電子部品装置の樹脂封止の方法としては、通常用いられているトランスファー成形法の他、圧縮成形法等が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。圧縮成形法は、金型内に保持された被封止物(半導体チップ等の電子素子が設けられた基板等)に対向させるようにして粉粒状樹脂組成物を供給し、被封止物と粉粒状樹脂組成物とを圧縮することで樹脂封止を行う方法である。
パッケージの多機能化に伴い、内蔵するワイヤが細線化しているため、封止方法として通常用いられているトランスファー成形においては、ワイヤ流れの発生等を抑えることが課題となっている。一方、圧縮成形法によっても充填性等の観点から、粘度を抑えることが望まれている。
また、電子部品装置の小型化及び高密度化に伴って発熱量が増大する傾向にあり、いかに熱を放散させるかが重要な課題となっている。そこで、封止材に熱伝導率の高い無機充填材を混合して熱伝導性を高めることが行われている。
封止材に無機充填材を混合する場合、その量が増加するに従って封止材の粘度が上昇し、流動性が低下して、充填不良、ワイヤ流れ等の問題を生じるおそれがある。そこで、特定のリン化合物を硬化促進剤として用いることで、封止材の流動性を高める方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
概要
目的
一方、圧縮成形法によっても充填性等の観点から、粘度を抑えることが望まれている
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
背景技術
0002
従来から、トランジスタ、IC(IntegratedCircuit)等の電子部品装置の素子封止の分野では生産性、コスト等の面から樹脂封止が主流となっている。また近年、電子部品のプリント配線板への高密度実装化が進んでいる。これに伴い、半導体装置は従来のピン挿入型のパッケージから、表面実装型のパッケージが主流になっている。表面実装型のIC、LSI(Large−Scale Integration)等は、実装密度を高くし且つ実装高さを低くするために、薄型且つ小型のパッケージになっており、素子のパッケージに対する占有体積が大きくなり、パッケージの肉厚は非常に薄くなっている。
0003
また、素子の多機能化及び大容量化によって、チップ面積の増大及び多ピン化が進み、さらにはパッド(電極)数の増大によって、パッドピッチの縮小化とパッド寸法の縮小化、いわゆる狭パッドピッチ化も進んでいる。また、さらなる小型軽量化に対応すべく、パッケージの形態もQFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)等から、より多ピン化に対応しやすく、より高密度実装が可能なCSP(Chip Size Package)、BGA(Ball Grid Array)等へ移行しつつある。
0004
電子部品装置の樹脂封止の方法としては、通常用いられているトランスファー成形法の他、圧縮成形法等が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。圧縮成形法は、金型内に保持された被封止物(半導体チップ等の電子素子が設けられた基板等)に対向させるようにして粉粒状樹脂組成物を供給し、被封止物と粉粒状樹脂組成物とを圧縮することで樹脂封止を行う方法である。
0005
パッケージの多機能化に伴い、内蔵するワイヤが細線化しているため、封止方法として通常用いられているトランスファー成形においては、ワイヤ流れの発生等を抑えることが課題となっている。一方、圧縮成形法によっても充填性等の観点から、粘度を抑えることが望まれている。
0006
また、電子部品装置の小型化及び高密度化に伴って発熱量が増大する傾向にあり、いかに熱を放散させるかが重要な課題となっている。そこで、封止材に熱伝導率の高い無機充填材を混合して熱伝導性を高めることが行われている。
0007
封止材に無機充填材を混合する場合、その量が増加するに従って封止材の粘度が上昇し、流動性が低下して、充填不良、ワイヤ流れ等の問題を生じるおそれがある。そこで、特定のリン化合物を硬化促進剤として用いることで、封止材の流動性を高める方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
先行技術
0008
特開2008−279599号公報
特開平9−157497号公報
発明が解決しようとする課題
0009
しかしながら、従来の方法では、封止材として使用される樹脂組成物の粘度の抑制には改善の余地があった。
0011
上記事情に鑑み、本開示の第1の実施形態は、低粘度のエポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物によって封止された素子を備える電子部品装置を提供することを課題とする。
0012
本開示の第2の実施形態は、高い熱伝導性を有し、粘度の上昇が抑制されたエポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて封止された素子を備える電子部品装置を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
0013
本開示の実施形態には以下の態様が含まれる。
<1>エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、炭素数6以上の鎖状炭化水素基がケイ素原子に結合した構造を有するシラン化合物とを含有する、エポキシ樹脂組成物。
<2> 前記鎖状炭化水素基が、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの官能基を有する、<1>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<3> 前記鎖状炭化水素基が、(メタ)アクリロイル基を有する、<1>又は<2>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<4> 前記無機充填材の含有率が30体積%〜99体積%である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<5> 前記無機充填材の熱伝導率が20W/(m・K)以上である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<6> 熱伝導率が20W/(m・K)以上の前記無機充填材が、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、及び炭化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つを含む、<5>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<7> <1>〜<6>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物によって封止された素子を備える電子部品装置。
発明の効果
0014
本開示の第1の実施形態によれば、低粘度のエポキシ樹脂組成物、及びエポキシ樹脂組成物によって封止された素子を備える電子部品装置が提供される。
0015
本開示の第2の実施形態によれば、高い熱伝導性を有し、粘度の上昇が抑制されたエポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて封止された素子を備える電子部品装置が提供される。
0016
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味する。
0017
<第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物>
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、炭素数6以上の鎖状炭化水素基がケイ素原子に結合した構造を有するシラン化合物とを含有する。なお、本開示において、炭素数6以上の鎖状炭化水素基がケイ素原子に結合した構造を有するシラン化合物を、「特定シラン化合物」ともいう。第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
0018
エポキシ樹脂組成物が上記構成を有すると、低粘度のエポキシ樹脂組成物を得ることができる。エポキシ樹脂組成物が上記構成を有すると低粘度となる詳細な理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。通常、封止用樹脂組成物には無機充填材の分散性向上のため、プロピル基を有するシラン化合物等の低分子量のカップリング剤が使用される。これに対して、より長鎖の炭化水素基を有するシラン化合物を用いると、無機充填材の樹脂に対する相溶性が向上し、無機充填材同士の摩擦抵抗が低減されると考えられる。この結果、特定シラン化合物を使用せずに低分子量のカップリング剤を使用する場合と比べて、溶融粘度が低下すると推測される。また、低粘度のエポキシ樹脂組成物を用いることで、ワイヤ流れが抑制された素子及びこれを備える電子部品装置が得られると推測される。
以下、第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物の各成分について詳述する。
0019
(エポキシ樹脂)
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂は、分子中にエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。
エポキシ樹脂として具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはシリコーン樹脂のエポキシ化物、アクリル樹脂のエポキシ化物等もエポキシ樹脂として挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0020
エポキシ樹脂のエポキシ当量(分子量/エポキシ基数)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性及び電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、100g/eq〜1000g/eqであることが好ましく、150g/eq〜500g/eqであることがより好ましい。
0021
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236:2009に準じた方法で測定される値とする。
0022
エポキシ樹脂が固体である場合、その軟化点又は融点は特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは40℃〜180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃〜130℃であることがより好ましい。
0024
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点から0.5質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜30質量%であることがより好ましく、2質量%〜20質量%であることがさらに好ましい。
0025
(硬化剤)
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤の種類は特に制限されず、樹脂の種類、エポキシ樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
硬化剤としては、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。耐熱性向上の観点からは、硬化剤は、フェノール性水酸基を分子中に有するもの(フェノール硬化剤)が好ましい。
0026
フェノール硬化剤として具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0027
硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、70g/eq〜1000g/eqであることが好ましく、80g/eq〜500g/eqであることがより好ましい。
0028
硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量)は、JIS K 0070:1992に準じた方法により測定される値とする。
0029
硬化剤が固体である場合、その軟化点又は融点は、特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは、40℃〜180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃〜130℃であることがより好ましい。
0030
硬化剤の融点又は軟化点は、エポキシ樹脂の融点又は軟化点と同様にして測定される値とする。
0031
エポキシ樹脂と硬化剤との当量比、すなわちエポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する硬化剤中の官能基数の比(硬化剤中の官能基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限されない。それぞれの未反応分を少なく抑える関連からは、0.5〜2.0の範囲に設定されることが好ましく、0.6〜1.3の範囲に設定されることがより好ましい。成形性と耐リフロー性の観点からは、0.8〜1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
0032
(無機充填材)
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、無機充填材を含有する。無機充填材の材質は特に制限されない。
無機充填材の材質として具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機充填材を用いてもよい。難燃効果を有する無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。
無機充填材の中でも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカ等のシリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。
0033
無機充填材の形状は特に制限されず、充填性及び金型摩耗性の点からは、球形が好ましい。
0034
無機充填材は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、「無機充填材を2種以上併用する」とは、例えば、同じ成分で平均粒子径が異なる無機充填材を2種類以上用いる場合、平均粒子径が同じで成分の異なる無機充填材を2種類以上用いる場合並びに平均粒子径及び種類の異なる無機充填材を2種類以上用いる場合が挙げられる。
0035
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物における無機充填材の含有率は、特に制限されない。硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性をより向上させる観点からは、無機充填材の含有率はエポキシ樹脂組成物全体の30体積%以上であることが好ましく、35体積%以上であることがより好ましく、40体積%以上であることがさらに好ましく、45体積%以上であることが特に好ましく、50体積%以上であることが極めて好ましい。流動性の向上、粘度の低下等の観点からは、無機充填材の含有率はエポキシ樹脂組成物全体の99体積%以下であることが好ましく、98体積%以下であることが好ましく、97体積%以下であることがより好ましい。
また、例えば、エポキシ樹脂組成物を圧縮成形用に用いる場合には、無機充填材の含有率はエポキシ樹脂組成物全体の70体積%〜99体積%としてもよく、80体積%〜99体積%としてもよく、83体積%〜99体積%としてもよく、85体積%〜99体積%としてもよい。
0036
エポキシ樹脂組成物中の無機充填材の含有率は、次のようにして測定される。まず、エポキシ樹脂組成物の硬化物(エポキシ樹脂成形物)の総質量を測定し、該エポキシ樹脂成形物を400℃で2時間、次いで700℃で3時間焼成し、樹脂成分を蒸発させ、残存した無機充填材の質量を測定する。得られた各質量及びそれぞれの比重から体積を算出し、エポキシ樹脂成形物の総体積に対する無機充填材の体積の割合を得て、無機充填材の含有率とする。
0037
無機充填材が粒子状である場合、その平均粒子径は、特に制限されない。例えば、無機充填材全体の体積平均粒子径は80μm以下であることが好ましく、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよく、15μmであってもよい。また、無機充填材全体の体積平均粒子径が、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることがさらに好ましい。無機充填材の体積平均粒子径が0.1μm以上であると、エポキシ樹脂組成物の粘度の上昇がより抑制される傾向がある。体積平均粒子径が80μm以下であると、狭い隙間への充填性がより向上する傾向にある。無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布において、小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)として測定することができる。
0038
無機充填材は、エポキシ樹脂組成物をモールドアンダーフィル用に使用する場合等における、狭い隙間への充填性の向上の観点から、最大粒子径(カットポイント)が制御されていることが好ましい。無機充填材の最大粒子径は適宜調整してよく、充填性の観点からは、105μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、60μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。最大粒子径はレーザー回折粒度分布計(株式会社堀場製作所製、商品名:LA920)により測定することができる。
0039
(特定シラン化合物)
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、特定シラン化合物を含有する。特定シラン化合物は、炭素数6以上の鎖状炭化水素基(以下、炭素数6以上の鎖状炭化水素基を、単に鎖状炭化水素基ともいう)がケイ素原子に結合した構造を有する。鎖状炭化水素基は分岐していてもよく、置換基を有していてもよい。なお、本開示において、鎖状炭化水素基の炭素数とは、分岐又は置換基の炭素を含まない炭素数を意味する。鎖状炭化水素基は、不飽和結合を含んでいても含んでいなくてもよく、不飽和結合を含まないことが好ましい。
特定シラン化合物は、エポキシ樹脂組成物において、無機充填材のカップリング剤として機能すると考えられる。
0040
特定シラン化合物における、ケイ素原子に結合する鎖状炭化水素基の数は、1〜4であればよく、1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
0041
特定シラン化合物中におけるケイ素原子に結合する鎖状炭化水素基の数が1〜3である場合、ケイ素原子に結合する、鎖状炭化水素基以外の原子又は原子団は特に制限されず、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基等であってもよい。なかでも、鎖状炭化水素基以外に1又は複数のアルコキシが結合していることが好ましく、1個の鎖状炭化水素基と、3個のアルコキシ基とがケイ素原子に結合していることがより好ましい。
0042
特定シラン化合物の鎖状炭化水素基の炭素数は、6以上であり、粘度を抑える観点から、7以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。特定シラン化合物の鎖状炭化水素基の炭素数の上限に特に制限はなく、樹脂への分散性、硬化物の物性バランス等の観点から、12以下であることが好ましく、11以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。
0043
鎖状炭化水素基が置換基を有する場合、置換基は特に限定されない。置換基は、鎖状炭化水素基の末端に存在していてもよく、鎖状炭化水素基の側鎖に存在していてもよい。
0044
鎖状炭化水素基は、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの官能基(以下、特定官能基ともいう)を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基から選択される少なくとも1つの官能基を有することがより好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがさらに好ましい。特定官能基は、鎖状炭化水素基の末端に存在していてもよく、鎖状炭化水素基の側鎖に存在していてもよい。粘度を抑える観点からは、特定官能基は鎖状炭化水素基の末端に存在していることが好ましい。
特定シラン化合物中の鎖状炭化水素基が特定官能基を有すると、エポキシ樹脂組成物の粘度がさらに低下する傾向にある。この理由は必ずしも明らかではないが、特定シラン化合物の鎖状炭化水素基が特定官能基を有すると、特定官能基とエポキシ樹脂との相溶性が高まり、エポキシ樹脂と無機充填材の分散性が向上するためであると推測される。
0045
鎖状炭化水素基が(メタ)アクリロイル基を有する場合、(メタ)アクリロイル基は鎖状炭化水素基に直接結合していてもよく、他の原子又は原子団を介して結合していてもよい。例えば、鎖状炭化水素基は(メタ)アクリロイルオキシ基を有していてもよい。なかでも、鎖状炭化水素基はメタクリロイルオキシ基を有することが好ましい。
0046
鎖状炭化水素基がエポキシ基を有する場合、エポキシ基は鎖状炭化水素基に直接結合していてもよく、他の原子又は原子団を介して結合していてもよい。例えば、鎖状炭化水素基はグリシジルオキシ基、脂環式エポキシ基等を有していてもよい。なかでも、鎖状炭化水素基はグリシジルオキシ基を有することが好ましい。
0047
鎖状炭化水素基がアルコキシ基を有する場合、アルコキシ基は鎖状炭化水素基に直接結合していてもよく、他の原子又は原子団を介して結合していてもよく、鎖状炭化水素基に直接結合していることが好ましい。アルコキシ基は特に限定されず、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等であってよい。なかでも、入手容易性の観点からは、鎖状炭化水素基はメトキシ基を有することが好ましい。
0048
特定シラン化合物における、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの官能基の当量(分子量/官能基数)は特に制限されない。エポキシ樹脂組成物の低粘度化の観点から、200g/eq〜420g/eqであることが好ましく、210g/eq〜405g/eqであることがより好ましく、230g/eq〜390g/eqであることがさらに好ましい。
0049
特定シラン化合物としては、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、6−グリシドキシヘキシルトリメトキシシラン、7−グリシドキシヘプチルトリメトキシシラン、8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、7−(メタ)アクリロキシへプチルトリメトキシシラン、8−(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂組成物の低粘度化の観点から、8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、及び8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランが好ましい。特定シラン化合物は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0050
特定シラン化合物は合成しても、市販されているものを用いてもよい。市販されている特定シラン化合物としては、信越化学工業株式会社製KBM−3063(ヘキシルトリメトキシシラン)、KBE−3063(ヘキシルトリエトキシシラン)、KBE−3083(オクチルトリエトキシシラン)、KBM−4803(8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン)、KBM−5803(8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン)、KBM−3103C(デシルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
0051
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物中の特定シラン化合物の含有量は特に制限されない。特定シラン化合物の含有量は無機充填材100質量部に対して0.01質量部以上であってもよく、0.02質量部以上であってもよい。また、特定シラン化合物の含有量は無機充填材100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、2.5質量部以下であることがより好ましい。特定シラン化合物の含有量が無機充填材100質量部に対して0.01質量部以上であると、低粘度の組成物が得られる傾向にある。特定シラン化合物の含有量が無機充填材100質量部に対して5質量部以下であると、パッケージの成形性がより向上する傾向にある。
0052
(他のカップリング剤)
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、特定シラン化合物に加えて、他のカップリング剤をさらに含有してもよい。他のカップリング剤としては、エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はない。他のカップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシラン系化合物(特定シラン化合物を除く)、チタン系化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などの公知のカップリング剤が挙げられる。他のカップリング剤は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0053
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物が特定シラン化合物以外の他のカップリング剤を含有する場合、特定シラン化合物及び他のカップリング剤の合計含有量は、無機充填材100質量部に対して0.01質量部以上であってもよく、0.02質量部以上であってもよい。また、特定シラン化合物及び他のカップリング剤の合計含有量は無機充填材100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、2.5質量部以下であることがより好ましい。特定シラン化合物及び他のカップリング剤の合計含有量が無機充填材100質量部に対して0.01質量部以上であると、低粘度の組成物が得られる傾向にある。特定シラン化合物及び他のカップリング剤の合計含有量が無機充填材100質量部に対して5質量部以下であると、パッケージの成形性がより向上する傾向にある。
0054
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物が特定シラン化合物以外の他のカップリング剤を含有する場合、特定シラン化合物の作用を良好に発揮する観点から、特定シラン化合物及び他のカップリング剤の合計量に対する他のカップリング剤の含有率は90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。
0055
(硬化促進剤)
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂の種類、エポキシ樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
硬化促進剤としては、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)等のジアザビシクロアルケン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;前記環状アミジン化合物の誘導体;前記環状アミジン化合物又はその誘導体のフェノールノボラック塩;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2−エチル−4−メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N−メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;前記三級アミン化合物の誘導体;酢酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、リン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ−n−ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物;トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p−トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の三級ホスフィン;前記三級ホスフィンと有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物;前記三級ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;前記三級ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と4−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、2−ブロモフェノール、4−クロロフェノール、3−クロロフェノール、2−クロロフェノール、4−ヨウ化フェノール、3−ヨウ化フェノール、2−ヨウ化フェノール、4−ブロモ−2−メチルフェノール、4−ブロモ−3−メチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジメチルフェノール、4−ブロモ−3,5−ジメチルフェノール、4−ブロモ−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4−クロロ−1−ナフトール、1−ブロモ−2−ナフトール、6−ブロモ−2−ナフトール、4−ブロモ−4’−ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物;テトラフェニルホスホニウム等のテトラ置換ホスホニウム、テトラ−p−トリルボレート等のホウ素原子に結合したフェニル基がないテトラ置換ホスホニウム及びテトラ置換ボレート;テトラフェニルホスホニウムとフェノール化合物との塩などが挙げられる。硬化促進剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0056
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、その量は、樹脂成分(すなわち、樹脂と硬化剤の合計)100質量部に対して0.1質量部〜30質量部であることが好ましく、1質量部〜15質量部であることがより好ましい。硬化促進剤の量が樹脂成分100質量部に対して0.1質量部以上であると、短時間で良好に硬化する傾向にある。硬化促進剤の量が樹脂成分100質量部に対して30質量部以下であると、硬化速度が速すぎず良好な成形品が得られる傾向にある。
0057
[各種添加剤]
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、上述の成分に加えて、以下に例示するイオン交換体、離型剤、難燃剤、着色剤、応力緩和剤等の各種添加剤を含有してもよい。第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、以下に例示する添加剤以外にも必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を含有してもよい。
0058
(イオン交換体)
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、イオン交換体を含有してもよい。特に、第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、イオン交換体を含有することが好ましい。イオン交換体は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハイドロタルサイト化合物、並びにマグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含水酸化物等が挙げられる。イオン交換体は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、下記一般式(A)で表されるハイドロタルサイトが好ましい。
0059
Mg(1−X)AlX(OH)2(CO3)X/2・mH2O ……(A)
(0<X≦0.5、mは正の数)
0060
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物がイオン交換体を含有する場合、その含有量は、ハロゲンイオン等のイオンを捕捉するのに充分な量であれば特に制限はない。例えば、樹脂成分100質量部に対して0.1質量部〜30質量部であることが好ましく、1質量部〜10質量部であることがより好ましい。
0061
(離型剤)
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、成形時における金型との良好な離型性を得る観点から、離型剤を含有してもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0062
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物が離型剤を含有する場合、その量は樹脂成分100質量部に対して0.01質量部〜10質量部が好ましく、0.1質量部〜5質量部がより好ましい。離型剤の量が樹脂成分100質量部に対して0.01質量部以上であると、離型性が充分に得られる傾向にある。10質量部以下であると、より良好な接着性及び硬化性が得られる傾向にある。
0063
(難燃剤)
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、難燃剤を含有してもよい。難燃剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む有機又は無機の化合物、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0064
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、その量は、所望の難燃効果を得るのに充分な量であれば特に制限されない。例えば、樹脂成分100質量部に対して1質量部〜30質量部であることが好ましく、2質量部〜20質量部であることがより好ましい。
0065
(着色剤)
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、着色剤をさらに含有してもよい。着色剤としてはカーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0066
(応力緩和剤)
第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粒子等の応力緩和剤を含有してもよい。応力緩和剤を含有することにより、パッケージの反り変形及びパッケージクラックの発生をより低減させることができる。応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の応力緩和剤(可とう剤)が挙げられる。具体的には、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル−シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸ブチル共重合体等のコア−シェル構造を有するゴム粒子などが挙げられる。応力緩和剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0067
<第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物>
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、熱伝導率が20W/(m・K)以上の無機充填材と、炭素数6以上の鎖状炭化水素基がケイ素原子に結合した構造を有するシラン化合物(特定シラン化合物)とを含有する。なお、本開示における無機充填材の熱伝導率は、室温(25℃)での熱伝導率とする。第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
0068
上記構成により、高い熱伝導性を有し、粘度の上昇が抑制されたエポキシ樹脂組成物を得ることができる。第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物が上記効果を奏する詳細な理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。
通常、封止用樹脂組成物には無機充填材の分散性向上のため、プロピル基を有するシラン化合物等の低分子量のカップリング剤が使用される。これに対して、より長鎖の炭化水素基を有するシラン化合物を用いると、無機充填材の樹脂に対する相溶性が向上し、無機充填材同士の摩擦抵抗が低減されると考えられる。この結果、特定シラン化合物を使用せずに低分子量のカップリング剤を使用する場合と比べて、溶融粘度が低下すると推測される。これにより、粘度の上昇を抑えながら高熱伝導性の無機充填材の配合量を増やすことが可能となり、従来と比較して高い熱伝導率を達成できると推測される。
以下、第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物の各成分について詳述する。
0069
(エポキシ樹脂)
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂の詳細は、第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂の詳細と同様である。
0070
(硬化剤)
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤の詳細は、第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物に用いられる硬化剤の詳細と同様である。
0071
(無機充填材)
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、熱伝導率が20W/(m・K)以上の無機充填材を含有する。上記熱伝導率を有するものであれば、無機充填材の材質は特に制限されない。
0072
本開示において、熱伝導率が20W/(m・K)以上の無機充填材とは、室温(25℃)での熱伝導率が20W/(m・K)以上の材料から構成されてなる無機充填材をいう。無機充填材の熱伝導率は、キセノンフラッシュ(Xe−flash)法又は熱線法によって、無機充填材を構成する材料の熱伝導率を測定することによって得ることができる。
0073
無機充填材の熱伝導率は、20W/(m・K)以上であり、硬化物としたときの放熱性の観点から、25W/(m・K)以上であることが好ましい。無機充填材の熱伝導率の上限は特に制限されず、500W/(m・K)以下であってよく、300W/(m・K)以下であってもよい。
0074
上記熱伝導率を有する無機充填材の材質として具体的には、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭化ケイ素等が挙げられる。なかでも、真球度の高さ、耐湿性の高さ等の観点から、アルミナが好ましい。
0075
無機充填材の形状は特に制限されず、充填性及び金型摩耗性の点からは、球形が好ましい。
0076
無機充填材は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、「無機充填材を2種以上併用する」とは、例えば、同じ成分で平均粒子径が異なる無機充填材を2種類以上用いる場合、平均粒子径が同じで成分の異なる無機充填材を2種類以上用いる場合並びに平均粒子径及び種類の異なる無機充填材を2種類以上用いる場合が挙げられる。
0077
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物における無機充填材の含有率は、特に制限されない。硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性をより向上させる観点からは、無機充填材の含有率はエポキシ樹脂組成物全体の30体積%以上であることが好ましく、35体積%以上であることがより好ましく、40体積%以上であることがさらに好ましく、45体積%以上であることが特に好ましく、50体積%以上であることが極めて好ましい。流動性の向上、粘度の低下等の観点からは、無機充填材の含有率はエポキシ樹脂組成物全体の99体積%以下であることが好ましく、98体積%以下であることが好ましく、97体積%以下であることがより好ましい。
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物における無機充填材の含有率は、30体積%〜99体積%であることが好ましく、35体積%〜99体積%であることがより好ましく、40体積%〜98体積%であることがさらに好ましく、45体積%〜97体積%であることが特に好ましく、50体積%〜97体積%であることが極めて好ましい。
0078
エポキシ樹脂組成物中の無機充填材の含有率は、次のようにして測定される。まず、エポキシ樹脂組成物の硬化物(エポキシ樹脂成形物)の総質量を測定し、該エポキシ樹脂成形物を400℃で2時間、次いで700℃で3時間焼成し、樹脂成分を蒸発させ、残存した無機充填材の質量を測定する。得られた各質量及び、それぞれの比重から体積を算出し、エポキシ樹脂成形物の総体積に対する無機充填材の体積の割合を得て、無機充填材の含有率とする。
0079
無機充填材が粒子状である場合、その平均粒子径は、特に制限されない。例えば、無機充填材全体の体積平均粒子径は80μm以下であることが好ましく、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよく、15μmであってもよい。また、無機充填材全体の体積平均粒子径が、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることがさらに好ましい。無機充填材の体積平均粒子径が0.1μm以上であると、エポキシ樹脂組成物の粘度の上昇がより抑制される傾向がある。体積平均粒子径が80μm以下であると、狭い隙間への充填性がより向上する傾向にある。無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布において、小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)として測定することができる。
0080
無機充填材は、エポキシ樹脂組成物をモールドアンダーフィル用に使用する場合等における、狭い隙間への充填性の向上の観点から、最大粒子径(カットポイント)が制御されていることが好ましい。無機充填材の最大粒子径は適宜調整してよく、充填性の観点からは、105μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、60μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。最大粒子径はレーザー回折粒度分布計(株式会社堀場製作所製、商品名:LA920)により測定することができる。
0081
(特定シラン化合物)
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、特定シラン化合物を含有する。特定シラン化合物は、炭素数6以上の鎖状炭化水素基(以下、炭素数6以上の鎖状炭化水素基を、単に鎖状炭化水素基ともいう)がケイ素原子に結合した構造を有する。鎖状炭化水素基は分岐していてもよく、置換基を有していてもよい。なお、本開示において、鎖状炭化水素基の炭素数とは、分岐又は置換基の炭素を含まない炭素数を意味する。鎖状炭化水素基は、不飽和結合を含んでいても含んでいなくてもよく、不飽和結合を含まないことが好ましい。
特定シラン化合物は、エポキシ樹脂組成物において、無機充填材のカップリング剤として機能すると考えられる。
0082
ケイ素原子に結合する、鎖状炭化水素基以外の原子又は原子団は特に制限されず、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基等であってもよい。なかでも、鎖状炭化水素基以外に1又は複数のアルコキシ基が結合していることが好ましく、1個の鎖状炭化水素基と、3個のアルコキシ基とがケイ素原子に結合していることがより好ましい。
0083
特定シラン化合物の鎖状炭化水素基の炭素数は、6以上であり、粘度を抑える観点から、7以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。特定シラン化合物の鎖状炭化水素基の炭素数の上限に特に制限はなく、樹脂への分散性、硬化物の物性バランス等の観点から、12以下であることが好ましく、11以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。
0084
鎖状炭化水素基が置換基を有する場合、置換基は特に限定されない。置換基は、鎖状炭化水素基の末端に存在していてもよく、鎖状炭化水素基の側鎖に存在していてもよい。
0085
鎖状炭化水素基は、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの官能基(以下、特定官能基ともいう)を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基から選択される少なくとも1つの官能基を有することがより好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがさらに好ましい。特定官能基は、鎖状炭化水素基の末端に存在していてもよく、鎖状炭化水素基の側鎖に存在していてもよい。粘度を抑える観点からは、特定官能基は鎖状炭化水素基の末端に存在していることが好ましい。
特定シラン化合物中の鎖状炭化水素基が特定官能基を有すると、エポキシ樹脂組成物の粘度がさらに低下する傾向にある。この理由は必ずしも明らかではないが、特定シラン化合物の鎖状炭化水素基が特定官能基を有すると、特定官能基とエポキシ樹脂との相溶性が高まり、エポキシ樹脂と無機充填材の分散性が向上するためであると推測される。
0086
鎖状炭化水素基が(メタ)アクリロイル基を有する場合、(メタ)アクリロイル基は鎖状炭化水素基に直接結合していてもよく、他の原子又は原子団を介して結合していてもよい。例えば、鎖状炭化水素基は(メタ)アクリロイルオキシ基を有していてもよい。なかでも、鎖状炭化水素基はメタクリロイルオキシ基を有することが好ましい。
0087
鎖状炭化水素基がエポキシ基を有する場合、エポキシ基は鎖状炭化水素基に直接結合していてもよく、他の原子又は原子団を介して結合していてもよい。例えば、鎖状炭化水素基はグリシジルオキシ基、脂環式エポキシ基等を有していてもよい。なかでも、鎖状炭化水素基はグリシジルオキシ基を有することが好ましい。
0088
鎖状炭化水素基がアルコキシ基を有する場合、アルコキシ基は鎖状炭化水素基に直接結合していてもよく、他の原子又は原子団を介して結合していてもよく、鎖状炭化水素基に直接結合していることが好ましい。アルコキシ基は特に限定されず、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等であってよい。なかでも、入手容易性の観点からは、鎖状炭化水素基はメトキシ基を有することが好ましい。
0089
特定シラン化合物における、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、及びアルコキシ基から選択される少なくとも1つの官能基の当量(分子量/官能基数)は特に制限されない。エポキシ樹脂組成物の低粘度化の観点から、200g/eq〜420g/eqであることが好ましく、210g/eq〜405g/eqであることがより好ましく、230g/eq〜390g/eqであることがさらに好ましい。
0090
特定シラン化合物としては、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、6−グリシドキシヘキシルトリメトキシシラン、7−グリシドキシヘプチルトリメトキシシラン、8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、7−(メタ)アクリロキシへプチルトリメトキシシラン、8−(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂組成物の低粘度化の観点から、8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、及び8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランが好ましい。特定シラン化合物は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0091
特定シラン化合物は合成しても、市販されているものを用いてもよい。市販されている特定シラン化合物としては、信越化学工業株式会社製KBM−3063(ヘキシルトリメトキシシラン)、KBE−3063(ヘキシルトリエトキシシラン)、KBE−3083(オクチルトリエトキシシラン)、KBM−4803(8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン)、KBM−5803(8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン)、KBM−3103C(デシルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
0092
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物中の特定シラン化合物の含有量は特に制限されない。特定シラン化合物の含有量は無機充填材100質量部に対して0.01質量部以上であってもよく、0.02質量部以上であってもよい。また、特定シラン化合物の含有量は無機充填材100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、2.5質量部以下であることがより好ましい。特定シラン化合物の含有量が無機充填材100質量部に対して0.01質量部以上であると、低粘度の組成物が得られる傾向にある。特定シラン化合物の含有量が無機充填材100質量部に対して5質量部以下であると、パッケージの成形性がより向上する傾向にある。
0093
(他のカップリング剤)
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、特定シラン化合物に加えて、他のカップリング剤をさらに含有してもよい。他のカップリング剤としては、エポキシ樹脂組成物に一般に使用されているものであれば特に制限はない。他のカップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシラン系化合物(特定シラン化合物を除く)、チタン系化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などの公知のカップリング剤が挙げられる。他のカップリング剤は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
0094
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物が特定シラン化合物以外の他のカップリング剤を含有する場合、特定シラン化合物及び他のカップリング剤の合計含有量は、無機充填材100質量部に対して0.01質量部以上であってもよく、0.02質量部以上であってもよい。また、特定シラン化合物及び他のカップリング剤の合計含有量は無機充填材100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、2.5質量部以下であることがより好ましい。特定シラン化合物及び他のカップリング剤の合計含有量が無機充填材100質量部に対して0.01質量部以上であると、低粘度の組成物が得られる傾向にある。特定シラン化合物及び他のカップリング剤の合計含有量が無機充填材100質量部に対して5質量部以下であると、パッケージの成形性がより向上する傾向にある。
0095
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物が特定シラン化合物以外の他のカップリング剤を含有する場合、特定シラン化合物の作用を良好に発揮する観点から、特定シラン化合物及び他のカップリング剤の合計量に対する他のカップリング剤の含有率は90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。
0096
(硬化促進剤)
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤の詳細は、第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物に用いられる硬化促進剤の詳細と同様である。
0097
[各種添加剤]
第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物は、上述の成分に加えて、イオン交換体、離型剤、難燃剤、着色剤、応力緩和剤等の各種添加剤を含有してもよい。各種添加剤の詳細は、第1の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物に用いられる各種添加剤の詳細と同様である。
0098
[エポキシ樹脂組成物の物性]
以下、本開示の第1の実施形態及び第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物の物性について説明する。
0099
(エポキシ樹脂組成物の粘度)
エポキシ樹脂組成物の粘度は、特に制限されない。成形方法、エポキシ樹脂組成物の組成等によって、成形時のワイヤ流れの起こりやすさが異なるため、成形方法、エポキシ樹脂組成物の組成等に応じて所望の粘度となるよう調整することが好ましい。
例えば、圧縮成形法によりエポキシ樹脂組成物を成形する場合、ワイヤ流れの低減の観点から、175℃で200Pa・s以下であることが好ましく、150Pa・s以下であることがより好ましく、100Pa・s以下であることがさらに好ましく、50Pa・s以下であることが特に好ましく、16Pa・s以下であってもよく、10Pa・s以下であってもよい。粘度の下限値は特に限定されず、例えば、5Pa・s以上であってもよい。
また、例えば、トランスファー成形法によりエポキシ樹脂組成物を成形する場合、ワイヤ流れの低減の観点から、175℃で200Pa・s以下であることが好ましく、150Pa・s以下であることがより好ましく、100Pa・s以下であることがさらに好ましく、68Pa・s以下であってもよく、54Pa・s以下であってもよい。粘度の下限値は特に限定されず、例えば、5Pa・s以上であってもよい。
エポキシ樹脂組成物の粘度は、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製)によって測定することができる。
0100
(硬化物としたときの熱伝導率)
エポキシ樹脂組成物を硬化物としたときの熱伝導率は、特に制限されない。所望の放熱性を得る観点からは、室温(25℃)で、3.0W/(m・K)以上であってもよく、4.0W/(m・K)以上であってもよく、5.0W/(m・K)以上であってもよく、6.0W/(m・K)以上であってもよく、7.0W/(m・K)以上であってもよく、8.0W/(m・K)以上であってもよい。熱伝導率の上限は特に制限されず、9.0W/(m・K)であってもよい。
硬化物の熱伝導率は、キセノンフラッシュ(Xe−flash)法(NETZSCH製、商品名LFA467型 Hyper Flash装置)によって測定することができる。
0101
[エポキシ樹脂組成物の調製方法]
第1の実施形態及び第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。一般的な手法としては、各成分をミキサー等によって充分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分を撹拌及び混合し、予め70℃〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
0102
エポキシ樹脂組成物は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)において固体であっても液状であってもよく、固体であることが好ましい。エポキシ樹脂組成物が固体である場合の形状は特に制限されず、粉状、粒状、タブレット状等が挙げられる。エポキシ樹脂組成物がタブレット状である場合の寸法及び質量は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び質量となるようにすることが取り扱い性の観点から好ましい。
0103
<電子部品装置>
本開示の一態様である電子部品装置は、上述の第1の実施形態及び第2の実施形態に係るエポキシ樹脂組成物によって封止された素子を備える。
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ、有機基板等の支持部材に、素子(半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子など)を搭載して得られた素子部をエポキシ樹脂組成物で封止したものが挙げられる。
より具体的には、リードフレーム上に素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部とをワイヤボンディング、バンプ等で接続した後、エポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形等によって封止した構造を有するDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した素子をエポキシ樹脂組成物で封止した構造を有するTCP(Tape Carrier Package);支持部材上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した素子を、エポキシ樹脂組成物で封止した構造を有するCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等;裏面に配線板接続用の端子を形成した支持部材の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と支持部材に形成された配線とを接続した後、エポキシ樹脂組成物で素子を封止した構造を有するBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、プリント配線板においてもエポキシ樹脂組成物を好適に使用することができる。
0104
エポキシ樹脂組成物を用いて電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファー成形法、インジェクション成形法、圧縮成形法等が挙げられる。
0105
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
0106
≪第1の実施形態に係る実施例≫
<樹脂組成物の作製>
まず、下記に示す各成分を準備した。
0107
〔エポキシ樹脂1(E1)〕三菱ケミカル株式会社製 jERYX−4000H(商品名)
〔エポキシ樹脂2(E2)〕新日鉄住金化学株式会社製エポトートYSLV−80XY(商品名)
〔エポキシ樹脂3(E3)〕新日鉄住金化学株式会社製 エポトート YSLV−70XY(商品名)
0108
〔硬化剤1(H1)〕明和化成株式会社製 H−4(商品名)
〔硬化剤2(H2)〕新日鉄住金化学株式会社製 SN−485(商品名)
〔硬化剤3(H3)〕明和化成株式会社製 MEH−7851SS(商品名)
0110
〔無機充填材1(A1)〕平均粒径0.2μmの超微細アルミナ
〔無機充填材2(A2)〕平均粒径1μm、カットポイント25μmの微細アルミナ
〔無機充填材3(A3)〕メジアン径20μm、カットポイント35μmのアルミナ
〔無機充填材4(A4)〕メジアン径13μm、カットポイント55μmのアルミナ
〔無機充填材5(A5)〕平均粒径11μm、カットポイント75μmのアルミナ
〔無機充填材6(A6)〕平均粒径3μm、カットポイント10μmのシリカ
〔無機充填材7(A7)〕メジアン径4μm、カットポイント20μmのシリカ
0111
〔シラン化合物1〕N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン;KBM−573(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物2〕メチルトリメトキシシラン;KBM−13(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物3〕n−プロピルトリメトキシシラン;KBM−3033(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物4〕ヘキシルトリメトキシシラン;KBM−3063(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物5〕オクチルトリエトキシシラン;KBE−3083(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物6〕8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン;KBM−4803(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物7〕8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン;KBM−5803(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物8〕デシルトリメトキシシラン;KBM−3103C(商品名、信越化学工業株式会社製)
0112
表1及び表2に示す各成分を同表に示す量で配合し(単位は質量部)ミキサーに
て充分混合した後、2軸混練機を用い100℃にて2分間溶融混練した。つぎに、この溶融物を冷却した後、固体状になったものを粉末状に粉砕することにより目的とする粉末状エポキシ樹脂組成物を調製した。表中、空欄は成分が配合されていないことを表し、「−」は評価が実施されていないことを表す。
0113
作製されたエポキシ樹脂組成物を、以下に示す各種試験によって評価した。評価結果を表1及び表2に示す。なお、実施例A−1〜A−7及び比較例A−1〜A−3記載のエポキシ樹脂組成物の成形は、圧縮成形機を用い、実施例A−8〜A−17及び比較例A−4〜A−5の成形は、トランスファー成形機を用いた。
0114
<粘度の評価>
実施例A−1〜A−17及び比較例A−1〜A−5に記載のエポキシ樹脂組成物を用いて、175℃における最低溶融粘度を測定した。この結果を下記の表1及び表2に併せて示す。最低溶融粘度は高化式フローテスター(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
0115
<ワイヤ流れの評価>
実施例A−1〜A−7及び比較例A−1〜A−3に記載のエポキシ樹脂組成物を用いて圧縮成形機(TOWA社製、PMC−1040S)にて成形温度175℃、成形時間120秒の成形条件でパッケージを封止し、175℃、5時間で後硬化することにより半導体装置を得た。この半導体装置は、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ(樹脂封止部分サイズ:228mm×67mm×厚み1mm)であり、チップサイズは7.5mm×7.5mmである。また、ワイヤは、金線ワイヤ径が18μm、平均金線ワイヤ長さが5mmである。そして、作製したこのパッケージを軟X線解析装置を用いて、金線ワイヤの変形状態を観察し、変形の有無を調べた。
また、実施例A−8〜A−17及び比較例A−4〜A−5記載のエポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形機(TOWA社製、マニュアルプレスY−1)にて成形温度175℃、成形時間120秒の成形条件でパッケージを封止し、175℃、5時間で後硬化することにより半導体装置を得た。この半導体装置は、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ(樹脂封止部分サイズ:50mm×50mm×厚み0.7mm)であり、チップサイズは7.5mm×7.5mmである。また、ワイヤは、金線ワイヤ径が22μm、平均金線ワイヤ長さが3mmである。そして、作製したこのパッケージを軟X線解析装置を用いて、金線ワイヤの変形状態を観察し、変形の有無を調べた。
0116
評価は以下の基準で行った。
AA:ワイヤ流れの発生率が3%未満
A:ワイヤ流れの発生率が3%以上5%未満
B:ワイヤ流れの発生率が5%以上7%未満
C:ワイヤ流れの発生率が7%以上
0117
<モールドアンダーフィル(MUF)充填性の評価>
実施例A−1〜A−7及び比較例A−1〜A−3記載のエポキシ樹脂組成物を用い、半導体素子の成形を、圧縮成形機(TOWA社製、PMC−1040S)にて成形温度175℃、上下金型ギャップ2mm、真空保持時間6秒、成形時間120秒間の条件にて行い、フリップチップ充填性の評価を行った。この半導体装置は、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ(樹脂封止部分サイズ:228mm×67mm×厚み1mm)であり、チップサイズは7.5mm×7.5mmである。フリップチップバンプサイズはCuピラー45μm及びハンダバンプ15μmを合計した60μmである。充填性を評価するために、超音波探査装置を用いて、チップ下ギャップのボイドの有無を調べた。
充填性が良好なものをAとして、ボイド等の充填されていない部分があるものをCとした。
0118
<熱伝導率の評価>
実施例A−1〜A−17及び比較例A−1〜A−5記載のエポキシ樹脂組成物を、高温真空成形機にて、175℃、600秒、圧力7MPaの条件下で成形し、1mm厚み、10mm四方の上記試験片を、NETZSCH製LFA467型 Hyper Flash装置を用いて室温条件で測定し、キセノンフラッシュ法により算出した値を熱伝導率とした。
0119
0120
0121
表1及び表2の結果より、炭素数6以上の鎖状炭化水素基がケイ素原子に結合した構造を有するシラン化合物を含有する実施例のエポキシ樹脂組成物は、比較例に比べて粘度が低く、ワイヤ流れの発生率が低減していることがわかった。また、炭素数6以上の鎖状炭化水素基がケイ素原子に結合した構造を有するシラン化合物を含有する実施例のエポキシ樹脂組成物は、圧縮成形法でモールドアンダーフィルに使用する場合の充填性に優れることがわかった。また、特に、鎖状炭化水素基の炭素数が8以上であると、硬化物としたときの熱伝導率にも優れる傾向にあった。
0122
≪第2の実施形態に係る実施例≫
<樹脂組成物の作製>
まず、下記に示す各成分を準備した。なお、無機充填材1〜3の熱伝導率はいずれも20W/(m・K)以上である。
0123
〔エポキシ樹脂1(E1)〕三菱ケミカル株式会社製、jERYX−4000H(商品名)
〔エポキシ樹脂2(E2)〕新日鉄住金化学株式会社製、エポトートYSLV−80XY(商品名)
0124
〔硬化剤1(H1)〕明和化成株式会社製、H−4(商品名)
〔硬化剤2(H2)〕新日鉄住金化学株式会社製 SN−485(商品名)
0125
〔硬化促進剤1(C1)〕トリ−p−トリルホスフィンと1,4−ベンゾキノンの付加物
0126
〔無機充填材1(A1)〕平均粒径0.2μmの超微細アルミナ
〔無機充填材2(A2)〕メジアン径13μm、カットポイント55μmのアルミナ
〔無機充填材3(A3)〕平均粒径11μm、カットポイント75μmのアルミナ
0127
〔シラン化合物1〕N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン;KBM−573(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物2〕ヘキシルトリメトキシシラン;KBM−3063(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物3〕オクチルトリエトキシシラン;KBE−3083(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物4〕8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン;KBM−4803(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物5〕8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン;KBM−5803(商品名、信越化学工業株式会社製)
〔シラン化合物6〕デシルトリメトキシシラン;KBM−3103C(商品名、信越化学工業株式会社製)
0128
表3及び表4に示す各成分を同表に示す量で配合し(単位は質量部)、ミキサーにて充分混合した後、2軸混練機を用い100℃にて2分間溶融混練した。つぎに、この溶融物を冷却した後、固体状になったものを粉末状に粉砕することにより目的とする粉末状エポキシ樹脂組成物を調製した。表中、空欄は成分が配合されていないことを表し、「−」は評価が実施されていないことを表す。
0129
作製されたエポキシ樹脂組成物を、以下に示す各種試験によって評価した。評価結果を表3、表4に示す。なお、実施例B−1〜B−10及び比較例B−1〜B−2の成形は、トランスファー成形機を用いた。
0130
<粘度の評価>
実施例及び比較例のエポキシ樹脂組成物を用いて、175℃における最低溶融粘度を測定した。この結果を下記の表3及び表4に併せて示す。最低溶融粘度は高化式フローテスター(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。
0131
<ワイヤ流れの評価>
実施例及び比較例のエポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形機(TOWA社製、マニュアルプレスY−1)にて成形温度175℃、成形時間120秒の成形条件でパッケージを封止し、175℃、5時間で後硬化することにより半導体装置を得た。この半導体装置は、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ(樹脂封止部分サイズ:50mm×50mm×厚み0.7mm)であり、チップサイズは7.5mm×7.5mmである。また、ワイヤは、金線ワイヤ径が22μm、平均金線ワイヤ長さが3mmである。そして、作製したこのパッケージを軟X線解析装置を用いて、金線ワイヤの変形状態を観察し、変形の有無を調べた。
0132
評価は以下の基準で行った。
AA:ワイヤ流れの発生率が3%未満
A:ワイヤ流れの発生率が3%以上5%未満
B:ワイヤ流れの発生率が5%以上7%未満
C:ワイヤ流れの発生率が7%以上
0133
<熱伝導率の評価>
実施例及び比較例のエポキシ樹脂組成物を、高温真空成形機にて、175℃、600秒、圧力7MPaの条件下で成形し、1mm厚み、10mm四方の上記試験片を、NETZSCH製LFA467型 Hyper Flash装置を用いて室温条件で測定し、キセノンフラッシュ法により算出した値を熱伝導率とした。
0134
0135
0136
実施例の結果より、アルミナと、炭素数6以上の鎖状炭化水素基がケイ素原子に結合した構造を有するシラン化合物とを含有する実施例のエポキシ樹脂組成物は、粘度が低く、かつ硬化物としたときに熱伝導率に優れることがわかった。特に、鎖状炭化水素基の炭素数が8以上であると、硬化物としたときの熱伝導率が向上していた。