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技術 カバー部材および携帯情報端末

出願人 AGC株式会社
発明者 波田野麻耶金杉諭尾関正雄
出願日 2018年9月6日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2019-541011
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 WO2019-049958
状態 未査定
技術分野 電話機の構造 ガラスの表面処理
主要キーワード 材料係数 マーク片 側面膜 非定常計算 切断場所 クルトシス レーザー刻印 タコ印刷
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月29日)のものです。
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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、保護対象を保護する化学強化ガラスからなるカバー部材(1)であって、カバー部材(1)の第1の主面(3)または第2の主面(5)の少なくとも一方には、少なくとも一つの凹部(7)が設けられ、カバー部材(1)は、凹部により形成された薄肉部(13)と、薄肉部(13)に接続する厚肉部(17)と、を一体に備え、引張応力を正、圧縮応力を負とした場合、薄肉部重心位置における薄肉部(13)の板厚方向における主応力差積分値Sが、0MPa未満となることを特徴とするカバー部材(1)に関する。

概要

背景

近年、電子機器類における高度なセキュリティ対策として、指紋個人の認証に用いる方法が盛んに用いられている。指紋認証の方法には、光学方式感熱方式、圧力方式、静電容量方式超音波方式などの方法がある。これらの方式のなかでは、センシング感度消費電力の観点から静電容量方式、超音波方式のセンサが優れているとされている。

静電容量方式センサは、被検出物が接近、または、接触した部位の局所的な静電容量の変化を検出する。一般的な静電容量方式センサは、該センサ内に配置された電極と被検出物との距離を静電容量の大きさから測定する。超音波方式センサは、超音波を用いることで被検出物を三次元で検出できる。これらのセンサは、液体などの異物を透過して検出できるため、セキュリティを向上した生体認証センサとして期待されている。このようなセンサを用いた指紋認証機能は、小型軽量で消費電力が低いことから、特にスマートフォン携帯電話タブレットパーソナルコンピューターなどの携帯情報端末(Personal Data Assistance:PDA)に搭載されている。通常、指紋認証用センサ(以下、単にセンサと記載する場合がある)を保護するため、該センサの上部にはカバー部材が配置される。

特許文献1には、携帯機器用カバー部材として、文字または図形を利用者に認識させるための凹部がカバー部材の主表面に形成された構造が記載されている。
特許文献1には、カバー部材を化学強化することにより、所望の表面圧縮応力CS、内部引張応力CT、圧縮応力層深さDOLを得ることも記載されている。

特許文献2には、携帯機器用カバー部材として、凹部がカバー部材の表面および裏面に形成され、この部分が薄肉部となっている構造が記載されている。
特許文献2には、カバー部材を化学強化することにより、所望の表面圧縮応力CS、内部引張応力CT、圧縮応力層深さDOLを得ることも記載されている。

概要

本発明は、保護対象を保護する化学強化ガラスからなるカバー部材(1)であって、カバー部材(1)の第1の主面(3)または第2の主面(5)の少なくとも一方には、少なくとも一つの凹部(7)が設けられ、カバー部材(1)は、凹部により形成された薄肉部(13)と、薄肉部(13)に接続する厚肉部(17)と、を一体に備え、引張応力を正、圧縮応力を負とした場合、薄肉部重心位置における薄肉部(13)の板厚方向における主応力差積分値Sが、0MPa未満となることを特徴とするカバー部材(1)に関する。

目的

本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、薄肉部または厚肉部、もしくはその両方が必要な強度を備えたカバー部材および携帯情報端末を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

保護対象を保護する化学強化ガラスからなるカバー部材であって、第1の主面および第2の主面と、前記第1の主面または前記第2の主面の少なくとも一方に設けられた、少なくとも一つの凹部と、前記凹部により形成された薄肉部と、前記薄肉部に接続する厚肉部と、を一体に備え、引張応力を正、圧縮応力を負とした場合、薄肉部重心位置における前記薄肉部の板厚方向における主応力差積分値Sが、0MPa未満となることを特徴とするカバー部材。

請求項2

前記薄肉部の板厚方向における主応力差の積分値Sが−10MPa未満となる請求項1に記載のカバー部材。

請求項3

前記厚肉部の表面圧縮応力CSが、前記薄肉部の表面圧縮応力CSよりも大きく、前記薄肉部の板厚が、前記厚肉部の板厚の1/2以下である請求項1に記載のカバー部材。

請求項4

前記薄肉部の表面圧縮応力CSおよび前記厚肉部の表面圧縮応力CSが、それぞれ300MPa以上である、請求項3に記載のカバー部材。

請求項5

前記薄肉部の内部引張応力CTが、前記厚肉部の内部引張応力CTよりも大きい、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカバー部材。

請求項6

前記薄肉部の内部引張応力CTが50MPa以上、前記厚肉部の内部引張応力CTが50MPa以下である、請求項5に記載のカバー部材。

請求項7

前記厚肉部の内部引張応力CTが、前記薄肉部の内部引張応力CTよりも大きい、請求項1〜4のいずれか一項に記載のカバー部材。

請求項8

前記厚肉部の内部引張応力CTが50MPa以上、前記薄肉部の内部引張応力CTが50MPa以下である請求項7に記載のカバー部材。

請求項9

前記薄肉部の断面における任意の点での内部引張応力CTが0MPa未満である請求項1〜8のいずれか一項に記載のカバー部材。

請求項10

前記厚肉部の少なくとも一部に屈曲部を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のカバー部材。

請求項11

前記厚肉部の少なくとも一部に貫通孔を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のカバー部材。

請求項12

前記保護対象は携帯情報端末である請求項11に記載のカバー部材。

請求項13

請求項1〜12のいずれか一項に記載のカバー部材を有する携帯情報端末。

技術分野

0001

本発明は、カバー部材および携帯情報端末に関する。

背景技術

0002

近年、電子機器類における高度なセキュリティ対策として、指紋個人の認証に用いる方法が盛んに用いられている。指紋認証の方法には、光学方式感熱方式、圧力方式、静電容量方式超音波方式などの方法がある。これらの方式のなかでは、センシング感度消費電力の観点から静電容量方式、超音波方式のセンサが優れているとされている。

0003

静電容量方式センサは、被検出物が接近、または、接触した部位の局所的な静電容量の変化を検出する。一般的な静電容量方式センサは、該センサ内に配置された電極と被検出物との距離を静電容量の大きさから測定する。超音波方式センサは、超音波を用いることで被検出物を三次元で検出できる。これらのセンサは、液体などの異物を透過して検出できるため、セキュリティを向上した生体認証センサとして期待されている。このようなセンサを用いた指紋認証機能は、小型軽量で消費電力が低いことから、特にスマートフォン携帯電話タブレットパーソナルコンピューターなどの携帯情報端末(Personal Data Assistance:PDA)に搭載されている。通常、指紋認証用センサ(以下、単にセンサと記載する場合がある)を保護するため、該センサの上部にはカバー部材が配置される。

0004

特許文献1には、携帯機器用カバー部材として、文字または図形を利用者に認識させるための凹部がカバー部材の主表面に形成された構造が記載されている。
特許文献1には、カバー部材を化学強化することにより、所望の表面圧縮応力CS、内部引張応力CT、圧縮応力層深さDOLを得ることも記載されている。

0005

特許文献2には、携帯機器用カバー部材として、凹部がカバー部材の表面および裏面に形成され、この部分が薄肉部となっている構造が記載されている。
特許文献2には、カバー部材を化学強化することにより、所望の表面圧縮応力CS、内部引張応力CT、圧縮応力層深さDOLを得ることも記載されている。

先行技術

0006

日本国特開2017−1940号公報
日本国特開2017−48090号公報

発明が解決しようとする課題

0007

薄肉部と厚肉部を有するカバー部材では、薄肉部と厚肉部で求められる強度が異なる場合がある。そのため、特許文献1、2では、薄肉部と厚肉部の表面圧縮応力CS、内部引張応力CT、圧縮応力層深さDOLを異なった値とすることで、所望の強度を得ている。
板厚が一定の場合は、表面圧縮応力CS、内部引張応力CT、圧縮応力層深さDOLはガラス強化度合を表すため、ガラスの強度を表す一指標として有効であった。
しかしながら、ガラスの破砕特性に大きく寄与するCTは、CS・DOL・板厚によって計算されるため、板厚に分布がある場合、一様に表現することが困難である。
特に、薄肉部は厚肉部よりも板厚が薄く、より厳密に強度設計を行う必要があるため、不十分な指標に基づく強度設計では、厚肉部よりも割れ等の強度不足に起因する問題が生じる可能性が高い。

0008

本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、薄肉部または厚肉部、もしくはその両方が必要な強度を備えたカバー部材および携帯情報端末を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明のカバー部材は、保護対象を保護する化学強化ガラスからなるカバー部材であって、第1の主面および第2の主面と、前記第1の主面または前記第2の主面の少なくとも一方に設けられた、少なくとも一つの凹部と、前記凹部により形成された薄肉部と、前記薄肉部に接続する厚肉部と、を一体に備え、引張応力を正、圧縮応力を負とした場合、薄肉部重心位置における前記薄肉部の板厚方向における主応力差積分値Sが、0MPa未満となることを特徴とする。
本発明によれば、薄肉部の板厚方向における主応力差の積分値Sが、0MPa未満となるため、薄肉部に圧縮応力が生じる。
そのため、薄肉部の板厚が薄くても、衝撃に対して割れにくくなり、薄肉部が必要な強度を備える。また、板厚方向における主応力差の積分値Sは、板厚方向における薄肉部全体の応力を反映した強度であるため、薄肉部全体の強度を1つの指標で評価できる。

0010

本発明の一態様では、前記薄肉部の板厚方向における主応力差の積分値Sが−10MPa未満となるのが好ましい。
本態様によれば、薄肉部の板厚方向における主応力差の積分値Sが、−10MPa未満となるため、薄肉部にさらに強い圧縮応力が生じる。
そのため、薄肉部の板厚が薄くても、さらに衝撃に対して割れにくくなり、薄肉部が必要な強度を備える。

0011

本発明の一態様では、前記厚肉部の表面圧縮応力CSが、前記薄肉部の表面圧縮応力CSよりも大きく、前記薄肉部の板厚が、前記厚肉部の板厚の1/2以下であるのが好ましい。
本態様によれば、厚肉部の表面圧縮応力CSが、薄肉部の表面圧縮応力CSよりも大きいため、カバー部材が落下等で衝撃を受けた場合に厚肉部が割れにくい。薄肉部の板厚が、厚肉部の板厚の1/2以下であるため、板厚方向における主応力差の積分値Sを小さくしやすい。

0012

本発明の一態様では、前記薄肉部の表面圧縮応力CSおよび前記厚肉部の表面圧縮応力CSが、それぞれ300MPa以上であるのが好ましい。
本態様によれば、薄肉部の表面圧縮応力CSおよび厚肉部の表面圧縮応力CSが、それぞれ300MPa以上であるため、カバー部材が落下等で衝撃を受けた場合に薄肉部および厚肉部の両方が割れにくい。

0013

本発明の一態様では、前記薄肉部の内部引張応力CTが、前記厚肉部の内部引張応力CTよりも大きいのが好ましい。
本態様によれば、薄肉部の内部引張応力CTが、厚肉部の内部引張応力CTよりも大きいので、カバー部材に想定外の大きな衝撃が加えられた場合に薄肉部が先に割れることにより、衝撃を吸収して厚肉部の割れを防ぐ。
そのため、厚肉部を薄肉部よりも優先して保護したい場合に有利である。

0014

本発明の一態様では、前記薄肉部の内部引張応力CTが、前記厚肉部の内部引張応力CTよりも大きい場合、前記薄肉部の内部引張応力CTが50MPa以上、前記厚肉部の内部引張応力CTが50MPa以下であるのが好ましい。
本態様によれば、薄肉部の内部引張応力CTが50MPa以上、厚肉部の内部引張応力CTが50MPa以下であるため、厚肉部の割れの抑制が期待されるスマートフォンのカバーガラス等に、より好適である。

0015

本発明の一態様では、前記厚肉部の内部引張応力CTが、前記薄肉部の内部引張応力CTよりも大きいのが好ましい。
本態様によれば、厚肉部の内部引張応力CTが、薄肉部の内部引張応力CTよりも大きいので、カバー部材に想定外の大きな衝撃が加えられた場合に厚肉部が先に割れることにより、衝撃を吸収して薄肉部の割れを防ぐ。
そのため、薄肉部を厚肉部よりも優先して保護したい場合に有利である。

0016

本発明の一態様では、前記厚肉部の内部引張応力CTが、前記薄肉部の内部引張応力CTよりも大きい場合、前記厚肉部の内部引張応力CTが50MPa以上、前記薄肉部の内部引張応力CTが50MPa以下であるのが好ましい。
本態様によれば、厚肉部の内部引張応力CTが50MPa以上、薄肉部の内部引張応力CTが50MPa以下であるため、指紋認証を用いた、公知の入退出管理システムのカバーガラス等に、より好適である。

0017

本発明の一態様では、前記薄肉部の断面における任意の点での内部引張応力CTが0MPa未満であるのが好ましい。
本態様によれば、薄肉部の任意の点での応力が0MPa未満であるため、薄肉部の板厚方向任意の位置に圧縮応力が生じる状態となる。
そのため、薄肉部の板厚が薄くてもさらに衝撃に対して割れにくくなり、薄肉部が必要な強度を備える。

0018

本発明の一態様では、前記厚肉部の少なくとも一部に屈曲部を有してもよい。
本態様によれば、厚肉部の少なくとも一部に屈曲部を有するため、三次元ガラス等にも本発明を適用できる。

0019

本発明の一態様では、前記厚肉部の少なくとも一部に貫通孔を有してもよい。
本態様によれば、厚肉部の少なくとも一部に貫通孔を有するため、カバー部材を取り付ける保護対象の面に、イヤホンジャックのような、外部との接続用コネクタ露出している場合でも、カバー部材がコネクタを覆うことなく取り付けができる。

0020

本発明の一態様では、前記保護対象は携帯情報端末であってもよい。
本態様によれば、カバー部材の薄肉部が必要な強度を備えるため、携帯情報端末の入力部または表示部に薄肉部が位置する場合でも、携帯情報端末を保護できる。

0021

本発明の携帯情報端末は、上記のいずれかのカバー部材を有することを特徴とする。
本発明によれば、カバー部材で保護された携帯情報端末を得られる。

図面の簡単な説明

0022

図1(A)及び1(B)はカバー部材を示す図であって、図1(A)は断面図、図1(B)は図1(A)におけるII−II断面矢視図である。
図2(A)は図1(B)におけるIII−III断面図、図2(B)は凹部をZ方向から見た平面図である。
図3は、センサーを配置したカバー部材の断面図である。
図4(A)は第1の主面に凹部が設けられた場合のカバー部材の断面図、図4(B)は凹部をZ方向から見た平面図である。
図5は、センサーを配置したカバー部材の断面図である。
図6は、凹部に突出部が設けられた場合のカバー部材の断面図である。
図7は、ガラス基板の平面図である。
図8(A)は図7におけるIX部分の拡大図、図8(B)は図7におけるX部分の拡大図である。
図9(A)はガラス部材の平面図、図9(B)は凹部が設けられたガラス部材の平面図である。
図10(A)は第1マスク部材の平面図、図10(B)は第2マスク部材の平面図である。
図11(A)は変形例に係る第1マスク部材の平面図、図11(B)は変形例に係るガラス基板の平面図である。
図12は、変形例に係るガラス基板の平面図である。
図13(A)は、筐体に組み込まれたカバー部材の断面図、図13(B)は筐体に組み込まれたカバー部材の断面図であって、カバー部材1に凹部7Aを設けた構造を示す図である。
図14は、防眩処理層を施したカバー部材の平面図である。
図15(A)及び15(B)は、図14のXXI−XXI断面図である。
図16は、変形例に係る防眩処理層を施したカバー部材の平面図である。
図17(A)及び17(B)は、図16のXXIII−XXIII断面図である。
図18(A)〜18(D)は、防汚層を施したカバー部材の断面図である。
図19(A)〜19(D)は、変形例に係る防汚層を施したカバー部材の断面図である。
図20(A)及び20(B)は、変形例に係る防汚層を施したカバー部材の断面図である。
図21は、印刷層が設けられたカバー部材の断面図である。
図22は、印刷層が設けられたカバー部材の断面図である。
図23は、印刷層が設けられたカバー部材の断面図である。
図24(A)及び24(B)は、実施例における化学強化時間と板厚方向における主応力差の積分値Sの関係を示す図であって、図24(A)は例1、図24(B)は例2に対応する。
図25(A)及び25(B)は、実施例における化学強化時間と板厚方向における主応力差の積分値Sの関係を示す図であって、図25(A)は例3、図25(B)は例4に対応する。
図26(A)及び26(B)は、実施例における化学強化時間と表面圧縮応力CSの関係を示す図であって、図26(A)は例1、図26(B)は例2に対応する。
図27(A)及び27(B)は、実施例における化学強化時間と表面圧縮応力CSの関係を示す図であって、図27(A)は例3、図27(B)は例4に対応する。
図28(A)及び28(B)は、実施例における化学強化時間と内部引張応力CTの関係を示す図であって、図28(A)は例1、図28(B)は例2に対応する。
図29(A)及び29(B)は、実施例における化学強化時間と内部引張応力CTの関係を示す図であって、図29(A)は例3、図29(B)は例4に対応する。
図30は、屈曲部を有するカバー部材の断面図である。
図31は、貫通孔を有するカバー部材の断面図である。
図32は、両面に凹部が設けられたカバー部材の断面図である。

0023

以下、本発明の一実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることはない。また、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形および置換等を加えられる。

0024

(カバー部材の構成)
本実施形態に係るカバー部材は、化学強化ガラスからなり、任意の保護対象を保護するために用いられる。以下、カバー部材の保護対象はスマートフォン等の携帯情報端末であるとして説明するが、保護対象としては任意の対象が適用可能である。例えば液晶パネルELパネル等の表示パネルと組み合わせた表示装置に適用できる。特に車載用ディスプレイ用の大型カバー部材として優れている。

0025

図1(A)および図1(B)に示すように、本実施形態のカバー部材1は、全体として平板状であり、図1上側の第1の主面3と、第1の主面3に対向する図1下側の第2の主面5と、を有する。本明細書において、第1の主面3とは、カバー部材1を含む組立体アセンブリ)の外側の面、すなわち通常の使用状態において使用者が触れられる面をいう。また、第2の主面5とは、組立体の内側の面、すなわち通常の使用状態において使用者が触れられない面をいう。また、以下の説明において、カバー部材1の長手方向をX方向とし、短手方向をY方向とし、厚み方向をZ方向とする。ただし、第1の主面3が使用者に触れられない面で、第2の主面5が使用者に触れられる面であってもよい。

0026

カバー部材1の第1の主面3または第2の主面5の少なくとも一方には、少なくとも一つの凹部7が形成される。図1(A)および図1(B)には、カバー部材1の第2の主面5に、一つの凹部7が形成された例が示されている。凹部7は、カバー部材1のX方向端部近傍で且つY方向中央部に形成される。凹部7が形成される位置は、カバー部材1の第1の主面3または第2の主面5であれば、任意の位置に設定して構わない。凹部7の数も任意である。

0027

このように凹部7が設けられることにより、凹部7が設けられた部分に薄肉部13が形成されると共に、当該薄肉部13の周縁部に接続し、薄肉部13よりもZ方向厚みが大きい厚肉部17が形成される。

0028

図2(A)および図2(B)には、凹部7の形状がより詳細に示されている。図2(B)に示すように、凹部7は、Z方向から見たとき、X方向に延びる短辺とY方向に延びる長辺とを有する略矩形形状である。また、凹部7は、略平坦な底面8と、底面8の周縁部に接続する側面9と、を有する。側面9は、底面8と滑らかに接続する曲面形状(R形状)とされる。この側面9とは、底面8を囲む領域である。具体的には、底面8近傍における曲率半径が2mmを超える領域と、曲率半径が2mm以下となる領域との境界から、凹部7の周縁部までの領域を側面9とする。この場合、側面9の曲率半径は、凹部7の中央部から周縁部に向かうにしたがって小さくなる。この構成により、底面8と側面9との接続部における応力集中が緩和され、強度が向上する。特に、凹部7に指紋認証用のセンサ40が配置される場合(図3参照)には、認証のたびに薄肉部13に指を押し当てることになるため、上記接続部には繰り返し力がかかるので、形状的にその部分の応力集中を避ける効果がある。

0029

また、図3に示す側面9の曲率半径は、凹部7の中央部から周縁部に向かうにしたがって大きくなる。すなわち、側面9は、X方向外側およびY方向外側に向かうにしたがって、なだらかになる曲面である。
凹部7がカバー部材1の第1の主面3に設けられる場合であって、対応する第2の主面5側に指紋認証用のセンサ40が配置される場合(図5参照)、側面9の曲率半径を図3と同様にすると、凹部7への指入れ性が向上し、凹部7の底面8に自然に指先の中心部分を導ける。
側面9の曲率半径は位置によって異なるが、当該曲率半径は全ての位置において底面8の深さd以上に設定される。この構成により、凹部7への指入れ性が向上し、凹部7の底面8に自然に指先の中心部分を導ける。より具体的に、側面9の曲率半径は、0.1mm以上2mm以下が好ましく、0.2mm以上1mm以下がより好ましい。側面9の曲率半径が0.1mm以上の場合、応力集中の緩和による強度向上効果発現する。側面9の曲率半径が2mm以下であることにより、後述するエッチング工程での加工が容易となる。後述する1回のエッチング工程での加工性を考慮すると、凹部7の深さdに対し、側面9の曲率半径は3倍以内が好ましく、2倍以内がより好ましい。

0030

なお、図3に示すように、側面9と第2の主面5との接続部分も滑らかに連続する曲面形状が好ましい。当該接続部分をエッジの無い曲面形状とすることにより、落下や外部の部材との接触による欠けや破損を生じにくくできる。側面9と第2の主面5との接続部分を滑らかに連続する曲面形状とするには、凹部7形成後に接続部分をバフ研磨等により仕上げる。しかし、凹部7がウェットエッチングによって設けられる場合には、エッチング工程後、ガラス基板をエッチャントから抜き出し、マスク剥離洗浄するまでの時間を、通常より長く保持することによっても、上記接続部分を滑らかに連続する曲面形状とできる。凹部7の側面9とマスクとの境界部分に、エッチャントが表面張力で残存すると、残存したエッチャントに接する側面9と第2の主面5との接続部分で、僅かにエッチングが進行するため、接続部分のエッジが滑らかな連続曲面となる。そのための保持時間は、エッチャントとガラス基板のエッチング耐性とにより、数秒から数十分の間で調整する。

0031

このようなカバー部材1は、携帯情報端末や表示装置の任意の面(例えば前面や側面)を保護するために筐体等に組み込まれる際、薄肉部13の裏面に、指紋認証用などのセンサや、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示パネル、照明カメラ等の各種装置を配置できる。そのため、スペース効率を向上させられる。センサとしては、指紋、虹彩静脈などの生体認証センサが挙げられ、センシング方式として静電容量式光学式赤外線式超音波式などのセンサが知られており、その他に照度センサ温度センサ等が挙げられる。ここで、薄肉部13の裏面に組み込んだ装置は、Z方向に対向する薄肉部13によって保護されるので、センサカバー等の異種材料を併用することなく、材料的に一様で統一感のある意匠性に優れたカバー部材1を実現できる。また、部材点数が少なく済み、組立工程を簡略化できるので、コスト削減にも多大な効果がある。さらに別部材を組み込むためのカバー部材開口が減らせるため、防水防滴性の付与が容易になる。

0032

薄肉部13は、引張応力を正、圧縮応力を負とした場合、薄肉部重心位置における板厚方向における主応力差の積分値Sが、0MPa未満である。なお、以下の説明では、板厚方向における主応力差の積分値Sを、単に「積分値S」と略記することがある。
薄肉部13の板厚方向における主応力差の積分値Sが、0MPa未満となると、薄肉部13に圧縮応力が生じる。そのため、薄肉部13の板厚が薄くても衝撃に対して割れにくくなり、薄肉部13が必要な強度を備える。
そのため薄肉部13の板厚が薄くても、さらに衝撃に対して割れにくくなり、薄肉部13が必要な強度を備える。また板厚方向における主応力差の積分値Sは、板厚方向における薄肉部13全体の応力を反映した強度であるため、薄肉部13全体の強度を1つの指標で評価できる。
薄肉部13の板厚方向における主応力差の積分値Sは−10MPa未満であるのがより好ましい。−10MPa未満であることにより、薄肉部13にさらに強い圧縮応力が生じるので、さらに好ましい。薄肉部13の板厚方向における主応力差の積分値Sは−20MPa未満がさらに好ましい。
ここでいう板厚方向における主応力差の積分値Sは、フォトニックラティス社のWPA100等の位相差評価装置により位相差Rを求め、以下の式によりS値に変換した値である。
S=位相差R÷ガラスの光弾性定数
また、測定位置は、薄肉部13の薄肉部重心位置とする。なお、位相差Rと光弾性定数Cの関係は、内部応力(正確には主応力の差)をσ、板厚をtとすると、R/C=σtで表されるため、本願でいう積分値Sは内部応力の積分値相当であるσtに相当する。
積分値Sを0MPa未満にするための具体的な方法としては、薄肉部13の板厚をなるべく薄くしたうえで化学強化する方法がある。化学強化時間は長くする方が好ましい。また、薄肉部13を選択的に化学強化する方法もある。

0033

カバー部材1は、薄肉部13の積分値Sが、0MPa未満であるのに加え、薄肉部13の断面における任意の点での内部引張応力CTが0MPa未満であるのが好ましい。
薄肉部13の断面における任意の点での内部引張応力CTが0MPa未満であると、薄肉部13の板厚方向任意の位置に圧縮応力が生じる状態となる。
そのため、薄肉部13の板厚が薄くてもさらに衝撃に対して割れにくくなり、薄肉部13が必要な強度を備える。
薄肉部13の任意の点での内部引張応力CTが0MPa未満とする具体的な方法としては、薄肉部13の板厚をさらに薄くしたうえで化学強化する方法がある。化学強化時間は長くする方が好ましい。また、薄肉部を選択的に化学強化する方法もある。

0034

凹部7は、研削加工等の機械加工熱プレス真空成形等の成形工程によっても設けられるが、エッチングにより設けられることが好ましい。エッチングによれば、微細な傷や欠点が取り除かれ、カバー部材1の強度が向上する。また、エッチングによれば、薄肉部13のZ方向厚さの制御が容易であり、しかも一工程で完了する。

0035

本実施形態のように、凹部7がカバー部材1の第2の主面5に設けられる場合、薄肉部13の平坦部側表面14Aの算術平均粗さRaは、50nm以下が好ましく、45nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。凹部7が第2の主面5に設けられる場合、センサ40は、図3に示すように、接着層41を介して凹部7(薄肉部13の凹部側表面15A)に配置され、薄肉部13の平坦部側表面14Aに当接した指等の被検出物を検出する。したがって、薄肉部13の平坦部側表面14Aの算術平均粗さRaが50nm以下であると、指の指紋の凹凸の程度と比べて十分に小さくなるため、センシング感度が高くなる点で好ましい。また、このような構成においては、カバー部材1の第1の主面3が全面に亘って平坦となるので、美観が非常に優れる。また、薄肉部13の平坦部側表面14Aの算術平均粗さRaの下限は、特に限定されないが、好ましくは2nm以上であり、より好ましくは4nm以上である。なお、薄肉部13の平坦部側表面14Aの算術平均粗さRaは、研磨砥粒研磨方法等の選択により調整できる。
算術平均粗さRaは、日本工業規格JIS B0601:2013に基づいて測定できる。

0036

凹部7は、図4に示すように、カバー部材1の第1の主面3に設けても構わない。この場合も、薄肉部13の凹部側表面14B、特に凹部7の底面8の算術平均粗さRaは、50nm以下が好ましく、45nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。凹部7が第1の主面3に設けられる構成においては、センサ40は、図5に示すように、カバー部材1の第2の主面5において凹部7とZ方向に対向する位置、すなわち薄肉部13の平坦部側表面15Bに配置される。センサ40は、接着層41を介して、カバー部材1の第2の主面5に配置される。なお、センサ40が筐体等に固定される場合には、接着層41を設けなくても良い。図3と異なりセンサ40は凹部7に配置されないので、X、Y、Z方向のうち少なくとも一方向において、センサ40の寸法を凹部7の寸法よりも大きくできる。したがって、寸法が比較的大きいセンサを薄肉部13の平坦部側表面15Bに配置することで、薄肉部13を補強できる。センサ40は、薄肉部13の凹部側表面14B、特に凹部7の底面8に当接した被検出物を検出する。凹部7の底面8の算術平均粗さRaが50nm以下であると、指の指紋の凹凸の程度と比べて十分に小さくなるため、センサ40が静電容量方式である場合、センシング感度が高くなる点で好ましい。また、このような構成においては、携帯情報端末の使用者は、凹部7によって、薄肉部13の位置および薄肉部13の平坦部側表面15Bに配置されたセンサの位置を、視覚触覚等により容易に認識できる。また、凹部7の底面8の算術平均粗さRaの下限は、特に限定されないが、2nm以上が好ましく、4nm以上がより好ましい。なお、凹部7の底面8の算術平均粗さRaは、凹部7を設ける際のエッチング条件等により調整できる。

0037

以下、カバー部材1の好ましい形態について、図1および図2に示す構成を例示して説明するが、図3〜4の構成にも同様に適用できる。
薄肉部13のヘイズ値は、8%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましい。薄肉部13のヘイズ値を8%以下とすることで、薄肉部13の平坦性とカバー部材1の美観性を両立できる。具体的には、薄肉部13のヘイズ値が8%以下であり、平坦性が高いので、凹部7と対応する位置に指紋認証用センサが配置された場合であっても、所望のセンシング能力を実現できる。

0038

また、薄肉部13の平坦性は、薄肉部13の凹部側表面15Aに印刷した場合に印刷層の平坦性に影響を及ぼす。薄肉部13のヘイズ値を8%以下とすることで、センサ感度に影響の出ない平坦性を確保でき、印刷層の美観を優れたものにできる。一方、薄肉部13のヘイズ値が8%より大きい場合には、薄肉部13の最表面にできた凹凸に、印刷に用いたインク入りきらず、カバー部材1を保護対象に実装した後に外観が悪くなる。

0039

薄肉部13のヘイズ値を8%以下とし、当該薄肉部13の透過率を高めることで、薄肉部13と厚肉部17との間に統一感があり、全体として美観性に優れたカバー部材が実現できる。

0040

厚肉部17のヘイズ値は好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下である。
薄肉部13のヘイズ値は、凹部7を設ける際のエッチング条件等により調整できる。ヘイズ値は、日本工業規格JIS K7136:2000に基づいて測定できる。

0041

図6に示すように、凹部7の底面8は、中心部に向かうにしたがってZ方向に(凹部7の外側に向かって)突出する形状としても良い。これにより、突出した部位の指触り感が良くなる。底面8の突出部の中心部(最も突出している部分)のZ方向厚みt1は5μm以上20μm以下が好ましい。底面8の突出部のZ方向厚みt1が20μmを超える場合、センサが誤認識する可能性が高くなり、5μm未満である場合指触りの感覚で変化を確認できなくなる。なお、底面8の突出部の有無、および突出部のZ方向厚みは、凹部7を設ける際のエッチング条件等により調整できる。底面8の突出部のZ方向厚みt1は、例えば株式会社キーエンス製のレーザー変位計LT−9000で測定できる。

0042

カバー部材1は化学強化ガラスからなる。化学強化されたカバー部材1は、薄肉部13の表面、すなわち第1の主面3および第2の主面5の全体に圧縮応力層が形成されているため、高い機械的強度を得られる。

0043

カバー部材1は、厚肉部17の表面圧縮応力CSが、薄肉部13の表面圧縮応力CSよりも大きいのが好ましい。このような構成にすることにより、カバー部材1が落下等で衝撃を受けた場合に厚肉部17が割れにくい。
厚肉部17の表面圧縮応力CSを、薄肉部13の表面圧縮応力CSよりも大きくするための具体的な方法としては、化学強化時間を通常よりも長くする方法が挙げられる。厚肉部17を選択的に化学強化する方法も挙げられる。

0044

薄肉部13の内部引張応力CTと厚肉部17の内部引張応力CTは、カバー部材1の用途に応じて、適宜設定する。
例えば、薄肉部13の内部引張応力CTを、厚肉部17の内部引張応力CTよりも大きくすると、カバー部材1に想定外の大きな衝撃が加えられた場合に、薄肉部13が先に割れることにより、衝撃を吸収して厚肉部17の割れを防ぐ。
このような構造は、厚肉部17を薄肉部13よりも優先して保護したい場合に有利である。具体的には、カバー部材1がスマートフォンのカバーガラスである場合が挙げられる。これは、スマートフォンでは厚肉部17に設けられた表示部が視認できるか否かが、機能を果たすために大きく影響するのに対し、薄肉部13に設けられた指紋認証等は付随的な機能、あるいは暗証番号等他の認証手段で代替可能な場合があるためである。
具体的な内部引張応力CTの値としては、薄肉部13の内部引張応力CTが50MPa以上、厚肉部17の内部引張応力CTが50MPa以下であるのが好ましい。
薄肉部13の内部引張応力CTを、厚肉部17の内部引張応力CTよりも大きくする方法としては、薄肉部13の板厚を薄くして、化学強化時間を通常よりも長くする方法がある。薄肉部13を選択的に化学強化する方法も挙げられる。

0045

逆に、厚肉部17の内部引張応力CTを、薄肉部13の内部引張応力CTよりも大きくすると、カバー部材1に想定外の大きな衝撃が加えられた場合に、厚肉部17が先に割れることにより、衝撃を吸収して厚肉部17の割れを防ぐ。
このような構造は、薄肉部13を厚肉部17よりも優先して保護したい場合に有利である。具体的には、カバー部材1が、指紋認証を用いた入退出管理を行うセキュリティ機器の、カバーガラスである場合が挙げられる。これは、入退出管理では、薄肉部13に設けられたセンサ等で個人の認証ができるか否かが、機能を果たすために大きく影響するのに対し、厚肉部17に設けられた表示部の表示内容は単純なものであり、かつ音声等で代替可能であるためである。
具体的な値としては、厚肉部17の内部引張応力CTが50MPa以上、薄肉部13の内部引張応力CTが50MPa以下であるのが好ましい。
厚肉部17の内部引張応力CTを、薄肉部13の内部引張応力CTよりも大きくする方法としては、薄肉部13の板厚をなるべく薄くして、化学強化時間を通常よりも長くする方法がある。また、厚肉部17を選択的に化学強化する方法もある。薄肉部13が選択的により強化されるように、厚肉部17および薄肉部13どちらも強化する方法もある。

0046

化学強化されたガラスの内部引張応力CTは一般に、板厚tと、圧縮応力層の表面圧縮応力CSと、圧縮応力層深さDOLと、によって、関係式CT=(CS×DOL)/(t−2×DOL)により近似的に求められる。したがって、同じ表面圧縮応力CSで、且つ同じ圧縮応力層深さDOLの場合、板厚が小さいほど内部引張応力CTが大きくなる。カバー部材1のように、板厚の異なる部分があるガラスに対し、一般的なアルカリ金属溶融塩に浸漬する化学強化を行うと、第1の主面3および第2の主面5から等方的にイオン交換される。そのため、部分的な板厚差に関わらず同じ表面圧縮応力CS、同じ圧縮応力層深さDOLとなる。このとき、通常の平坦なカバー部材に行われるような条件で化学強化を行うと、薄肉部13のCTが過剰に大きくなり自爆破壊のおそれが高くなる。一方、薄肉部13が破壊しない程度の表面圧縮応力CS、圧縮応力層深さDOLに合せた条件で全体を化学強化すると、強化としては弱い化学強化とならざるを得ず、厚肉部17の強度が、薄肉部13を持たない平坦なカバー部材に較べて弱くなる。したがって、厚肉部17には通常の平坦なカバー部材と同等の表面圧縮応力CS、圧縮応力層深さDOLを与えつつ、薄肉部13には、当該薄肉部13が破壊しない程度の表面圧縮応力CS、圧縮応力層深さDOLを与えることが好ましい。すなわち、厚肉部17に形成された圧縮応力層の深さよりも、薄肉部13に形成された圧縮応力層の深さの方が小さいことが好ましい。

0047

カバー部材1は、平滑性を高めるため、第1の主面3および第2の主面5が研磨加工されることが好ましい。例えば、スエードパッドで、酸化セリウムまたはコロイダルシリカ含む研磨スラリー研磨剤として研磨加工を行うと、第1の主面3および第2の主面5に存在する、傷(クラック)やカバー部材1の撓みや凹みを除去できる。これにより、カバー部材1の強度が向上する。当該研磨は、カバー部材1の化学強化前後どちらで行っても良いが、化学強化後に行うことが好ましい。なぜならば、イオン交換による化学強化を施したガラス板は、第1の主面3および第2の主面5に欠陥が発生する。また、最大で1μm程度の微細な凹凸が残留することがある。ガラス板に力が作用する場合、前述の欠陥や微細な凹凸が存在する箇所に応力が集中し、理論強度よりも小さな力でも割れることがある。そのため、化学強化後のガラス板の最表面に存在する、欠陥および微細な凹凸を有する層(欠陥層)を研磨により除去する。なお、欠陥が存在する欠陥層の厚さは、化学強化の条件にもよるが、通常、0.01〜0.5μmである。

0048

研磨は厚肉部17のみ実施してもよい。この場合、第2主面側表面19にセンサや表示パネルを配置した場合のセンシング感度の向上、視認性の向上などの効果が得られる。また厚肉部17がカバー部材1全体の強度に関わるため、欠陥を研磨加工により除くことでカバー部材1の強度を向上できる。化学強化後のカバー部材1の厚肉部17を研磨する場合、凹部7の圧縮応力層深さDOLが厚肉部17に比べ深くなる。すなわち薄肉部13の強度を維持したカバー部材1が得られる。

0049

研磨を凹部7の底面8や側面9に実施してもよい。この場合、凹部7にセンサや表示パネルを配置した場合のセンシング感度の向上、視認性の向上などの効果が得られる。化学強化後のカバー部材1の凹部7を研磨する場合、厚肉部17の圧縮応力層の深さ(DOL)が凹部7に比べ深くなる。凹部7形成時にできた異質層を研磨により除去することで、後述する防汚層を形成しやすくなる。

0050

カバー部材1が携帯情報端末、表示パネルなどの表示装置の保護のために用いられる場合、厚肉部17のZ方向厚みは、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.5mm以下さらに好ましく、0.8mm以下が特に好ましい。5mm以下であれば、加工性に問題ない。また、厚肉部17のZ方向厚みは、その剛性を高めるため、0.1mm以上であり、0.15mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。

0051

また、薄肉部13のZ方向最大厚みは、1mm以下が好ましく、0.4mm以下がより好ましく、0.35mm以下がさらに好ましく、0.3mm以下が、よりさらに好ましく、0.25mm以下が特に好ましく、0.2mm以下がとりわけ好ましく、0.1mm以下が最も好ましい。特に、薄肉部13の凹部7の裏側に静電容量式センサが配置された場合、薄肉部13が薄いほど、検出される静電容量が大きくなり、センシング感度が向上する。例えば、指先の指紋の微細な凹凸を検出する指紋認証の場合にも、指先の指紋の微細な凹凸に応じた静電容量の差が大きくなるため、高いセンシング感度で検出できる。一方、薄肉部13のZ方向厚みの下限は、特に限定されないが、薄肉部13が過度に薄くなると、センサ等の保護部としての強度を確保するためには、Z方向厚みが0.01mm以上であるのが好ましく、0.05mm以上が、より好ましい。

0052

薄肉部13の板厚(Z方向厚み)は、厚肉部17の板厚(Z方向厚み)の1/2以下が好ましく、より好ましくは1/3以下、さらに好ましくは1/4以下である。一方で、薄肉部13の板厚がある程度厚い方が、座屈を抑制できるため、厚肉部17の板厚の1/5以上が好ましい。なお、座屈とは、材料にかかる荷重を増加させた際に、急に変形の模様が変化し、大きなたわみを生ずることをいう。
厚肉部17のZ方向厚みの面積比率は特に下限値はなく、用途に応じて設定できる。携帯情報端末の保護用途では、典型的に1.5倍以上である。厚肉部17に対する薄肉部13の面積比率は、1/2以下であり、1/3以下が好ましく、1/4以下がより好ましい。厚肉部17に対する薄肉部13の面積の比率が1/2より大きいと、強度が著しく損なわれる恐れがある。なお、薄肉部13のZ方向厚みは、例えば株式会社キーエンス製のレーザー変位計LT−9000で測定できる。

0053

薄肉部13のヤング率は60GPa以上が好ましく、65GPa以上がより好ましく、70GPa以上がさらに好ましい。薄肉部13のヤング率が60GPa以上であると、外部からの衝突物との衝突に起因する薄肉部13の破損を十分に防止できる。また、指紋認証用センサが凹部7に配置される場合には、スマートフォン等の落下や衝突に起因する薄肉部13の破損を十分に防止できる。さらに、薄肉部13により保護されるセンサの破損等を、十分に防止できる。また、薄肉部13のヤング率の上限は特に限定されないが、生産性の観点から、薄肉部13のヤング率は、200GPa以下が好ましく、150GPa以下がより好ましい。

0054

薄肉部13のビッカース硬度Hvは、400以上が好ましく、500以上がより好ましい。薄肉部13のビッカース硬度が400以上であると、外部からの衝突物との衝突に起因する薄肉部13の擦傷を十分に防止できる。また、指紋認証用センサが凹部7に配置される場合には、スマートフォン等の落下や衝突に起因する薄肉部13の擦傷を十分に防止できる。さらに、薄肉部13により保護されるセンサの破損等を、十分に防止できる。また、薄肉部13のビッカース硬度の上限に制限はないが、研磨や加工の容易さから、1200以下が好ましく、1000以下がより好ましい。ビッカース硬度は、例えば日本工業規格JIS Z 2244:2009に記載された、ビッカース硬さ試験により測定できる。

0055

薄肉部13の周波数MHzでの比誘電率は、7以上が好ましく、7.2以上がより好ましく、7.5以上がさらに好ましい。静電容量方式センサが薄肉部13の凹部側表面15Aに配置される場合、薄肉部13の比誘電率を高くすることにより、検出される静電容量を大きくでき、優れたセンシング感度を実現できる。特に、薄肉部13の周波数1MHzでの比誘電率が7以上であると、指先の指紋の微細な凹凸を検出する指紋認証の場合にも、指先の指紋の微細な凹凸に応じた静電容量の差が大きくなるため、高いセンシング感度で検出できる。また、薄肉部13の比誘電率の上限については、特に限定されないが、過度に高すぎると誘電損失が大きくなり、消費電力が増加し、また、反応が遅くなる場合がある。したがって、薄肉部13の周波数1MHzでの比誘電率は、例えば20以下が好ましく、15以下がより好ましい。比誘電率は、カバー部材1の両面に電極を作製した、キャパシタンスの静電容量を測定することによって得られる。

0056

カバー部材1の第2の主面5に、印刷層が設けられることが好ましい。特に、図2のように、凹部7がカバー部材1の裏面(第2の主面5)に設けられる場合には、凹部7(凹部側表面15A)にも印刷層を設けることが好ましい。このような印刷層を設けることにより、カバー部材1の保護対象である携帯情報端末の内部や、薄肉部13の凹部側表面15に配置された指紋認証用センサが、カバー部材1を介して視認されることを効果的に防止できる。また、所望の色を付与でき、優れた外観性を得られる。印刷層の厚みは、カバー部材1(薄肉部13)の静電容量を高く維持するためには、印刷層の厚みは薄ければ薄い程良い。印刷層の厚みは、30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましく、10μm以下が特に好ましい。但し、比誘電率が高い化合物を含むインク(例えばTiO2を含むインク)を使用した白印刷では、印刷層の比誘電率が高いので、印刷層の厚みは100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、25μm以下が特に好ましい。

0057

カバー部材1の第2の主面5に印刷層が設けられる場合には、当該印刷層の裏面において凹部7とZ方向に対向する位置(薄肉部13の裏側)にセンサが配置される。したがって、印刷層の最表面の算術平均粗さRaは、50nm以下が好ましく、45nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。さらに裏面の算術平均粗さRaも、50nm以下が好ましく、45nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。印刷層の最表面面および裏面の算術平均粗さRaが50nm以下であると、指の指紋の凹凸の程度と比べて十分に小さくなるため、センシング感度が高くなる点で好ましい。また、印刷層の最表面および裏面の算術平均粗さRaの下限は、特に限定されないが、好ましくは2nm以上であり、より好ましくは4nm以上である。

0058

このようなカバー部材1によれば、携帯情報端末や表示装置の任意の面(例えば前面や側面)を保護するために筐体等に組み込まれる際、薄肉部13の凹部側表面15Aに指紋認証用などのセンサや、液晶パネルや有機ELパネルなどの表示パネルを配置できる。ここで、薄肉部13の凹部側表面15Aに組み込んだセンサは、Z方向に対向する薄肉部13によって保護されるので、センサカバー等の異種材料を併用することなく、材料的に一様で統一感のある意匠性に優れたカバー部材1を実現できる。また、部材点数が少なく済み、組立工程を簡略化できるので、コスト削減にも多大な効果がある。さらに別部材を組み込むための開口部の数が減らせるため、防水・防滴性の付与が容易になる。

0059

(カバー部材の製造方法)
上述したカバー部材1は、図7に示すような、複数の凹部107が設けられたガラス基板101から、凹部107を少なくとも一つ含むように抜き出すことによって得られる。
先ず、ガラス基板101の構成を説明し、当該ガラス基板101の製造方法を説明した後、カバー部材1の製造方法について詳述する。

0060

(ガラス基板)
図7には、カバー部材1を複数抜き出すための、ガラス基板101が示されている。図7中、抜き出されるカバー部材1の外形破線で示されており、当該破線に沿うようにガラス基板101を切断することによって、複数のカバー部材1が得られる。なお、切断線は図中破線のように直線であるが、直線である必要はなく曲線でもよい。

0061

ガラス基板101の第1の主面103(図7中、手前側の面)または第2の主面105のうち一方の面には、複数の凹部107が設けられる。図7には、複数の凹部107が第1の主面103に設けられた例が示されている。なお、後述するように、複数の凹部107は、エッチング処理研削加工処理加熱変形などによって設けられる。

0062

ガラス基板101は、複数の凹部107が設けられることにより形成された複数の薄肉部113と、複数の薄肉部113に接続する厚肉部117と、を備える。複数の凹部107は、X方向およびY方向においてそれぞれ一定間隔毎に設けられる。したがって、薄肉部113もX方向およびY方向においてそれぞれ一定間隔毎に設けられる。なお、複数の凹部107は必ずしも一定間隔毎に設ける必要はない。複数種の間隔で配置されていてもよく、一部がランダムな間隔で配置されていてもよい。しかし、複数のカバー部材1を抜き出す際のスペース効率を向上させるためには、図7に示すように、複数の凹部107を一定間隔毎に設け、各カバー部材1を隙間なく敷き詰めることが好ましい。

0063

ここで、ガラス基板101の凹部107および薄肉部113の構成(形状、寸法等)は、上述したカバー部材1の凹部7および薄肉部13と同一の構成を有する。すなわち、薄肉部113の第1の主面103側の面の算術平均粗さRaは、50nm以下が好ましく、45nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。薄肉部113のヘイズ値は、8%以下が好ましく、7%以下がさらに好ましい。ガラス基板101の凹部107の底面は、カバー部材1の凹部7と同様(図6参照)、中心部に向かうにしたがって突出する形状としてもよい。

0064

ガラス基板101の凹部107の側面は、カバー部材1の凹部7の側面9と同様(図2(A)〜図6参照)、該凹部107の底面と滑らかに接続する曲面形状が好ましい。凹部107の側面の曲率半径は、凹部107の中央部から周縁部に向かうにしたがって大きくなることが好ましい。凹部107の側面の曲率半径は、該凹部107の底面の深さ以上に設定されることが好ましい。凹部107の側面の曲率半径は、0.1mm以上2mm以下が好ましい。凹部107の側面と第1の主面103または第2の主面105との接続部分は、カバー部材1の凹部7の側面9と第1の主面3または第2の主面5との接続部分と同様(図3および図5参照)、滑らかに連続する曲面形状であることが好ましい。

0065

図8(A)および図8(B)に示すように、ガラス基板101の第1の主面103または第2の主面105の少なくとも一方には、複数のカバー部材1を抜き出す際に位置合わせを行うための、複数の第1マーク121および第2マーク122が設けられている。図8(A)および図8(B)には、各カバー部材1の外形(図8および図9の破線)のX方向の延長線がAで表され、Y方向の延長線がBで表されている。第1マーク121は、カバー部材1の近傍において、X方向延長線Aを挟むように一対ずつ配置されると共に、Y方向延長線Bを挟むように一対ずつ配置される。それぞれの第1マーク121は、一対の第1マーク片121Aからなる。第1マーク片121Aは、垂直な二辺から構成される略L字形状である。互いに隣り合う第1マーク片121Aの一辺は、僅かな隙間を空けて対向する。第2マーク122は、ガラス基板101の四隅にそれぞれ配置される。第2マーク122は、垂直の二辺から構成される略十字形状である。第2マーク122を構成する二辺のうち、X方向延長線Aと平行な辺は、その一部がY方向延長線Bと交わり、Y方向延長線Bと平行な辺は、その一部がX方向延長線Aと交わる。

0066

ガラス基板101からカバー部材1を切断して抜き出す際に、第2マーク122の位置を読み取り切断場所を選択し、第1マーク121の中間部(X方向延長線AまたはY方向延長線B)に切断線が来ていることを確認し、正確に切断されていることが確認できる。

0067

(ガラス基板の製造方法)
次に、ガラス基板101の製造方法について説明する。先ず、各成分の原料を後述する組成となるように調合し、ガラス溶融窯加熱溶融する。バブリング撹拌清澄剤の添加等によりガラスを均質化し、公知の成形法により所定の厚さのガラス板に成形し、徐冷する。ガラスの成形法としては、例えば、フロート法プレス法、フュージョン法ダウンドロー法およびロールアウト法が挙げられる。特に、大量生産に適したフロート法が好適である。また、フロート法以外の連続成形法、すなわち、フュージョン法およびダウンドロー法も好適である。任意の成形法により平板状に成形されたガラス部材は、徐冷された後、所望のサイズ(ガラス部材201のサイズ)に切断される。なお、より正確な寸法精度が必要な場合等には、切断後のガラス部材に研磨加工を施してもよい。これにより、図9(A)に示すような、平面状の第1の主面203および第2の主面205を有し、全体として平板状であるガラス部材201が得られる。

0068

続いて、ガラス部材201の第1の主面203、または第2の主面205のうち、一方の面に凹部207を設けるための凹部形成工程に移行する。以下に説明する例では、図9(B)に示すように、凹部207はガラス部材201の第1の主面203に設けられる。凹部形成工程では、第1の主面203に、図10(A)に示す第1マスク部材301を配置し、第2の主面205に、図10(B)に示す第2マスク部材401を配置した上で、ガラス部材201にエッチング処理が施される。

0069

第1マスク部材301のX方向寸法およびY方向寸法は、ガラス部材201の第1の主面203全体を覆えるように設定されている。図10(A)の例では、第1マスク部材301のX方向寸法およびY方向寸法は、ガラス部材201のX方向寸法およびY方向寸法とほぼ等しい。さらに、第1マスク部材301には、ガラス部材201に複数の凹部207を形成するための凹部形成用孔307が、X方向およびY方向においてそれぞれ一定間隔毎に複数設けられている。したがって、複数の凹部形成用孔307を介して、エッチャントが、ガラス部材201の第1の主面203に到達し、複数の凹部207を形成する。

0070

第2マスク部材401のX方向寸法およびY方向寸法は、ガラス部材201の第2の主面205全体を覆えるように設定されている。図10(B)の例では、第2マスク部材401のX方向寸法およびY方向寸法は、ガラス部材201のX方向寸法およびY方向寸法とほぼ等しい。第2マスク部材401は、ガラス部材201の第2の主面205全面を覆い、当該裏面がエッチングされることを防止する。

0071

第1マスク部材301および第2マスク部材401の材料は、例えば感光性有機材料、特に感光性樹脂材料であるレジスト樹脂金属膜セラミックスなど耐エッチャント性材料からなる。凹部形成用孔307は、レジストの場合には所定の露光現像を行うことにより形成される。

0072

エッチング処理は、ウェットエッチングおよびドライエッチングのどちらでもよいが、コストの観点からウェットエッチングが好ましい。エッチャントとしては、ウェットエッチングの場合には、フッ酸を主成分とする溶液が挙げられ、ドライエッチングの場合には、フッ素系ガス等が挙げられる。エッチング処理を施すことにより、複数の凹部207を有するガラス基板が簡便に得られる。

0073

また、エッチング処理は、ガラス部材201とエッチャントとを、ガラス部材201の第1の主面203または第2の主面205に平行な方向(XY方向)に、相対的に移動させながら行うことが好ましい。このようなエッチングは、ガラス部材201をXY方向に揺動させながら行ってもよく、エッチャントにXY方向の流れを生じさせることにより行ってもよく、両者を組み合わせて行ってもよい。基本的にエッチング処理はガラス部材201に対して等方的に進行する。そのため、第1マスク部材301の凹部形成用孔307の開口辺直下では、エッチングされる深さと同等の半径で側面方向にもエッチングが進行する。これにより、ガラス部材201の凹部207の側面を、カバー部材1の凹部7と同様(図2(A)〜図6参照)、該凹部207の底面と滑らかに接続する曲面形状とできる。ガラス部材201とエッチャントとを、XY方向に、相対的に移動させながらエッチングを行うことにより、第1マスク部材301の凹部形成用孔307の開口辺から、ガラス部材201の凹部207側に巻き込む流れが生じ、凹部207中央部よりも凹部207周辺部から側面への流速が早まる。そのため、相対的に凹部207周縁から側面側にかけてのエッチングレートが高くなり、凹部207の側面の曲率半径を、凹部207の中央部から周縁部に向かうにしたがって大きくできる。また、凹部207の側面の曲率半径を該凹部207の底面の深さ以上とできる。また、エッチング処理時間およびガラス部材201と、エッチャントとの相対移動速度を調整することにより、凹部207の側面の曲率半径を0.1mm以上2mm以下に調整できる。さらに、ガラス部材201とエッチャントとを、ガラス部材201の第1の主面203または第2の主面205に平行な方向(XY方向)に、相対移動させながらエッチングを行うと、凹部207の底面を、中心部に向かうに従い突出する形状とできる。

0074

また、凹部207の底面の算術平均粗さRaを50nm以下とするには、ガラス部材201表面のエッチング液流動性を上げるように、エッチング処理を行えばよい。また、上記のヘイズ値を8%以下とするためには、ガラス部材201表面のエッチング液の流動性を上げるように、エッチング処理を行えばよい。また、凹部207の底面を中心部に向かうにしたがって突出する形状とするには、エッチング液が凹部207の角部にぶつかるような流れをつくるように、エッチング処理を行えばよい。

0075

ガラス部材201の第1の主面203または第2の主面205のうち、一方の面に凹部207を設ける方法は、上述したようなエッチング処理による方法に限定されず、機械加工による方法でも構わない。当該機械加工による方法では、マシニングセンターやその他数値制御工作機械を用いて、ガラス部材201の第1の主面203または第2の主面205に、砥石を接触させた上で回転変位させ、所定の寸法の凹部207を研削加工して、研磨面を得る。例えば、ダイヤモンド砥粒CBN砥粒等を電着またはメタルボンドで固定した砥石を用いて、主軸回転数が100〜30,000rpm、切削速度は1〜10,000mm/minで研削する。

0076

これにより凹部207の側面の曲率半径を、凹部207の中央部から周縁部に向かて小さくできる。また凹部207の側面の曲率半径を、該凹部207の底面の深さ未満に設定できる。これらにより、カバー部材1に加工した後に、凹部7にセンサや表示パネルを配置した際の余分な隙間ができず、美観に優れる装置が得られる。凹部207の側面と第1の主面203または第2の主面205との接続部分は、カバー部材1の凹部7の側面9と第1の主面3または第2の主面5との接続部分と同様(図3および図5参照)、滑らかに連続する曲面形状が好ましい。これは接続部分の研磨などで曲面形状とできる。

0077

続いて、凹部207の底面および側面を研磨加工してもよい。研磨加工工程では、回転研磨ツールの研磨加工部を、凹部207の底面および側面にそれぞれ別個に独立した一定圧力で接触させて、一定速度で相対的に移動させて行う。一定圧力、一定速度の条件で研磨を行うことにより、一定の研磨レートで研削面を均一に研磨できる。回転研磨ツールの研磨加工部の接触時の圧力としては、経済性および制御のし易さ等の点で1〜1,000,000Paが好ましい。速度は、経済性および制御のし易さなどの点で1〜10,000mm/minが好ましい。移動量はガラス部材201の形状、大きさに応じて適宜決められる。回転研磨ツールは、その研磨加工部が研磨可能な回転体であれば特に限定されないが、ツールチャッキング部を有するスピンドルリューターに研磨ツールを装着させる方式等が挙げられる。回転研磨ツールの材質としては、少なくともその研磨加工部がセリウムパッド、ゴム砥石フェルトバフポリウレタン等、被加工物加工除去でき、且つヤング率が好ましくは7GPa以下、さらに好ましくは5GPa以下のものであれば種類は限定されない。回転研磨ツールの材質をヤング率7GPa以下の部材を用いることにより、圧力により研磨加工部を凹部207の形状に沿うように変形させて、底面および側面を上述した所定の表面粗さに加工できる。回転研磨ツールの研磨加工部の形状は円またはドーナツ型平盤円柱型砲弾型、ディスク型、たる型等が挙げられる。

0078

凹部207の底面および側面に回転研磨ツールの研磨加工部を接触させて研磨を行う場合、研磨砥粒スラリーを介在させた状態で加工を行うことが好ましい。この場合、研磨砥粒としてはシリカセリアアランダム登録商標)、ホワイトアランダム(WA,登録商標)、エメリージルコニア、SiC、ダイヤモンドチタニアゲルマニア等が挙げられ、その粒度は10nm〜10μmが好ましい。回転研磨ツールの相対移動速度は、上述したように、1〜10,000mm/minの範囲で選定できる。回転研磨ツールの研磨加工部の回転数は100〜10,000rpmである。回転数が小さいと加工レートが遅くなり、所望の表面粗さにするのに時間がかかりすぎる場合があり、回転数が大きいと加工レートが速くなったり、ツールの磨耗が激しくなったりするため、研磨の制御が難しくなる場合がある。

0079

上述したように凹部207の底面および側面を、それぞれ独立の圧力で回転研磨ツールを接触させて研磨加工する場合、圧力の調節は、空気圧ピストンロードセル等を使用できる。例えば、回転研磨ツールを凹部207の底面に向かって進退させる空気圧ピストンと、回転研磨ツールを凹部207の側面に向かって進退させる他の空気圧ピストンと、を設ければ、凹部207の底面および側面に対する研磨加工部の圧力を調整できる。このように、凹部207の底面と側面への圧力を独立させ、単独の回転研磨ツールを、それぞれの面に独立した一定圧力で、回転研磨ツールを接触させながら、一定速度で相対的に移動させることにより、それぞれの面を同時に独立の研磨レートで均一に研磨できる。

0080

なお、凹部207の形状に沿うように、回転研磨ツールとガラス部材201とを相対的に移動させて研磨加工してもよい。移動させる方式は移動量、方向、速度を一定に制御できる方式であれば制限はない。例えば、多軸ロボット等を用いる方式等が挙げられる。

0081

以上のように複数の凹部207が形成されたガラス部材201(図9(B)参照)には、レーザー刻印または印刷等の方法で第1マーク121および第2マーク122が付され、図7に示すようなガラス基板101が得られる。そして、第2マーク122の場所を読み取り切断位置を特定し、ダイヤモンドカッター等の切断工具でガラス基板101を切断することで、複数のカバー部材1が抜き出される。その後、一対の第1マーク121の中間部(X方向延長線AまたはY方向延長線B)に切断線が通過していることをもって、所望の形状にカバー部材1が抜き出されたことが確認される。

0082

なお、図11(A)に示すように、第1マスク部材301は、複数のカバー部材1の外形に対応する溝部形成用孔320を有してもよい。このような第1マスク部材301を用いてエッチングを行った場合、図11(B)に示すように、ガラス基板101の第1の主面103に、複数のカバー部材1の外形に対応する溝部120が設けられる。そして、溝部120に沿ってガラス基板101を切断することで、複数のカバー部材1を抜き出せる。このように、ガラス基板101にカバー部材1の外形に対応する溝部120を予め設けることによって、より正確にカバー部材1を抜き出せる。また、従来技術のようにカバー部材の外形形状を有するマスクを用意する必要がない。

0083

また、図12に示すように、それぞれ複数の凹部107を含むように、ガラス基板101から複数のカバー部材1を抜き出しても構わない。例えば、図13(A)に示すように、カバー部材1裏に、配置すべきセンサ40やカメラモジュール42等の各種装置の数が、複数である場合、当該センサ40やカメラモジュール42等の個数同数の凹部107を設ければよい。

0084

図13(A)には、センサ40、カメラモジュール42、および液晶パネル44(表示パネル)をスマートフォン等の筐体43に収納した状態が示されている。液晶パネル44は、接着層45を介してカバー部材1の第2の主面5(厚肉部17の第2主面側表面19)に固定される。また、カメラモジュール42はレンズ側の先端部が筐体43に固定される。このような構成において、カメラモジュール42の先端部が、筐体43よりも外側に延在してしまうことがある。しかしながら、図示の例のように、カメラモジュール42と対向する位置において、カバー部材1の第2の主面5に凹部7を設けることで、当該凹部7にカメラモジュール42の基部を収納し、当該カメラモジュール42の厚みを吸収できる。これにより、薄肉化の進む機器のカメラ部を含むフラッシュサーフェイス化に貢献できる。また、カメラモジュール42の先端部と基部を逆にして、カメラモジュール42のレンズをカバー部材1の凹部7に固定してもよい。これにより、カバー部材1の凹部7が、一眼レフカメラのレンズでよく用いられている「レンズプロテクター」のように機能し、カメラレンズの保護や埃の侵入を防ぐ効果がある。なお、この場合、凹部7の底面(凹部側表面15A)は光学研磨が必要になり、凹部7の側面は遮光される必要がある。指紋を付着しにくくする防汚層やMgF2等の反射防止層等を、凹部7や、薄肉部13の平坦部側表面14Aに形成してもよい。

0085

図13(B)には、図13(A)に示すカバー部材1に凹部7Aを設け、この凹部7Aに接着層45Aを介して液晶パネル44を配置した状態が示されている。この構成によれば、カバー部材1において、液晶パネル44が凹部7A内に収容されるため、液晶パネル44の保護や埃の侵入を防ぐ効果が得られる。

0086

また、凹部107の形状は特に限定されず、任意の形状を適用して構わない。例えば、凹部107のZ方向から見た断面形状は、矩形形状に限定されず、例えば円形状や小判形状楕円形状、三角形形状等が適用可能である。

0087

(カバー部材の製造方法)
次に、カバー部材1の製造方法について説明する。上述したように、ガラス基板101から、それぞれ凹部107を少なくとも一つ含むように、複数のカバー部材1を抜き出すことによって、図1(A)〜図6に示したようなカバー部材1を得られる。

0088

ここで、ガラス基板101を化学強化した後、複数のカバー部材1を抜き出してもよく、複数のカバー部材1を抜き出した後、それぞれのカバー部材1を化学強化してもよい。前者の場合、研磨や化学強化の工程を大板の状態で実施でき、これら工程が効率化できる。後者の場合、研磨装置イオン交換浴などの設備が小型のものでも対応でき、またカバー部材1端面まで化学強化されるので端面強度を向上しやすい。

0089

化学強化とは、ガラスの表層イオン半径が小さいアルカリイオン(例えば、ナトリウムイオン)を、イオン半径の大きなアルカリイオン(例えば、カリウムイオン)に置換(イオン交換)することをいう。化学強化の方法は、ガラスの表層のアルカリイオンを、よりイオン半径の大きなアルカリイオンとイオン交換できるものであれば、特に限定されない。例えば、ナトリウムイオンを含有するガラスを、カリウムイオンを含む溶融塩で処理する方法がある。イオン交換処理が行われることにより、ガラス表層の圧縮応力層の組成はイオン交換処理前の組成と若干異なるが、基板厚み中央部の組成はイオン交換処理前の組成とほぼ同じである。

0090

化学強化が施されるガラスとして、ナトリウムイオンを含有するガラスを用いる場合、化学強化処理を行うための溶融塩は、少なくともカリウムイオンを含む溶融塩とすることが好ましい。このような溶融塩としては、例えば、硝酸カリウムが好適に挙げられる。溶融塩としては純度が高いものを用いることが好ましい。化学強化処理は1回以上であればよく、異なる条件で2回以上実施してもよい。

0091

溶融塩は、その他の成分を含有する混合溶融塩でもよい。その他の成分としては、例えば、硫酸ナトリウム硫酸カリウム等のアルカリ硫酸塩塩化ナトリウム塩化カリウム等のアルカリ塩化塩、炭酸ナトリウム炭酸カリウム等の炭酸塩重炭酸ナトリウム重炭酸カリウム等の重炭酸塩が挙げられる。

0092

溶融塩の加熱温度は、350℃以上が好ましく、380℃以上がより好ましく、400℃以上がさらに好ましい。また、溶融塩の加熱温度は、500℃以下が好ましく、480℃以下がより好ましく、450℃以下がより好ましい。溶融塩の加熱温度を350℃以上とすることにより、イオン交換速度の低下により化学強化が入りにくくなることが防止される。また、溶融塩の加熱温度を500℃以下とすることにより、溶融塩の分解・劣化を抑制できる。

0093

ガラスを溶融塩に接触させる時間は、十分な圧縮応力を付与するためには、1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。また、長時間のイオン交換では、生産性が落ちると共に、緩和により圧縮応力値が低下するため、24時間以下が好ましく、20時間以下がより好ましい。例えば、例えば、400〜450℃の硝酸カリウム溶融塩にガラスを2〜24時間浸漬させる。

0094

化学強化されたカバー部材1には、表層に圧縮応力層が形成される。圧縮応力層の表面圧縮応力CSは300MPa以上が好ましく、400MPa以上がより好ましい。表面圧縮応力CSは300MPa以上であることにより、カバー部材が落下等で衝撃を受けた場合に薄肉部13および厚肉部17の両方が割れにくくなる。表面圧縮応力CSは、表面応力計(例えば、折原製作所製FSM−6000)等を用いて測定できる。

0095

化学強化により、ガラス表層のナトリウムイオンと、溶融塩中のカリウムイオンとをイオン交換する場合、化学強化によって生じる圧縮応力層深さDOLは、任意の方法により測定できる。例えばEPMA(electron probe micro analyzer、電子線マイクロアナライザー)にてガラスの深さ方向のアルカリイオン濃度分析(この例の場合はカリウムイオン濃度分析)を行い、測定で得られたイオン拡散深さを圧縮応力層深さDOLとみなせる。つまり、ガラス基板101やカバー部材1を化学強化すると、これらの主表面は、厚さ方向断面視で厚肉部中央部に比べカリウムイオン濃度が高くなる。また圧縮応力層深さDOLは表面応力計(例えば、折原製作所製FSM−6000)等を用いても測定できる。またガラス表層のリチウムイオンと溶融塩中のナトリウムイオンとをイオン交換する場合、EPMAにてガラスの深さ方向のナトリウムイオン濃度分析を行い、測定により得られたイオン拡散深さを圧縮応力層深さDOLとみなす

0096

化学強化を施す前のガラス基板101またはカバー部材1の歪点は、530℃以上が好ましい。化学強化前のガラス基板101またはカバー部材1の歪点を、530℃以上とすることにより、表面圧縮応力CSの緩和が生じにくくなるからである。

0097

薄肉部13の平坦部側表面14A(凹部側表面14B)および凹部側表面15A(平坦部側表面15B)のうち少なくとも一方には、薄肉部13の強化時に生じることがある反りを低減するため、膜が形成されていてもよい。不図示であるが、このような膜としては、薄肉部13の平坦部側表面14Aに形成される第1主面側膜や、凹部側表面15Aに形成される第2主面側膜や、凹部7のX方向側面9AおよびY方向側面9B(図2(B)参照)に形成される側面膜等が挙げられる。

0098

これらの膜は、それぞれ膜が形成された部分が化学強化されることを抑制する。化学強化抑制効果を発揮するためには、膜は酸化物や窒化物炭化物ホウ化物ケイ化物、金属等を含むことが好ましい。なぜなら、前記のような物質を含む膜は、膜中でのナトリウムイオンやカリウムイオンの拡散係数が、ガラス中のそれより小さくなるからである。

0099

上記酸化物としては、例えば、無アルカリ酸化物、アルカリ元素またはアルカリ土類元素を含む複合酸化物が挙げられるが、SiO2が好ましい。主成分としてSiO2を適用することにより、膜中でナトリウムイオンやカリウムイオンの拡散が適度に抑制される。また膜の透過率が高く、屈折率がガラスと近いため、コーティングによる外観変化を最小限に抑えられる。またSiO2を主成分とする膜は、物理的耐久性化学的耐久性も高い。

0100

膜の膜厚は10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。膜厚が10nm以上であると、イオン交換阻害の効果により膜が形成された部分の化学強化が抑制できる。膜の膜厚が厚くなるほど化学強化抑制効果が高くなる。

0101

膜の膜厚は1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、200nm以下がさらに好ましい。膜厚が1000nmを超えると、薄肉部13の反りが逆に大きくなるおそれがある。また膜がある部位とない部位の外観の差が大きくなるおそれがある。

0102

化学強化は溶融塩に浸漬する方法には限定されない。ガラスの表層のアルカリイオンとイオン交換可能で、よりイオン半径の大きなアルカリイオンを含む、粉体ペースト状の無機塩を塗布する方法でもよい。この方法によれば、塗布した部分のみを化学強化できるため、薄肉部13または厚肉部17のみを選択的に化学強化したい場合に好適である。

0103

カバー部材1の第1の主面3または第2の主面5には、防眩処理(anti−glare)による防眩処理層を形成してもよく、その他、反射防止層、防汚層、防曇層等の機能層を形成してよい。機能層はカバー部材1の第1の主面3に形成されることが好ましい。
防眩処理としては、フッ酸等によるエッチングによる処理や、コーティングによる処理等が挙げられる。エッチング処理の場合は、エッチング後に化学強化してもよく、化学強化後にエッチングしてもよいが、化学強化を行う前にエッチングが行われるのが好ましい。コーティング処理の場合は、コーティング後に化学強化してもよく、化学強化後にコーティングしてもよい。コーティング処理による防眩処理層の場合、カバー部材1の厚さ方向断面視で、厚肉部中央部の組成と、防眩処理層の組成とを異なるようにできる。これによりカバー部材1より防眩処理層の屈折率を低くなるように組成変更でき、反射防止効果も得られるようになる。防眩処理層の成分が無機系材料の場合は、エッチング処理またはコーティング処理のどちらでもよく、防眩処理層の成分が有機系材料の場合は、コーティング処理を行えばよい。またカバー部材1や防眩処理層の最表面に、フッ素または塩素などが存在する層が配されるように、例えば無機フッ化物無機塩化物を形成してもよい。これにより親水性が向上するため、水により汚れを洗浄しやすくなる。

0104

凹部7がカバー部材1の第2の主面5に設けられているときは、図14および図15(A)、15(B)に示すように、凹部7に対向する第1の主面3上に、防眩処理領域11が施されることが考えられる。カバー部材1の第1の主面3は凹部7が無く平坦であるため、使用者が組立体(アセンブリ)を使用したときにセンサ位置を瞬時に判断できない。そこで凹部7に対向する第1の主面3上に防眩処理を施すことで、使用者が組立体を視認しセンサ位置を判断できるようになる。また、防眩処理条件によっては、使用者が視認せずとも触感でセンサの位置を瞬時に判断できる効果が得られる。さらに防眩処理領域11は、図16および図17(A)、17(B)に示すような、カバー部材1の第1の主面3上であって、凹部7と対向する部位周縁部の少なくとも一部に施されていることが好ましい。凹部7に前述したセンサが配置され、凹部7と対向する部位に触れた指の指紋などを検出する。凹部7と対向する部位周縁部に防眩処理領域11を設けることで、検出感度を維持できるようになる。

0105

なお、防眩処理層の上には、例えば図18(A)〜18(D)および図19(A)〜19(D)に示すように防汚層(Anti‐Fingerprint)12を形成してもよい。防汚層12をカバー部材1の第1の主面3全面に形成してもよい。これによりカバー部材1を指で触れても指紋が付きにくくなり、汚れても拭き取りやすくなる。また指紋認証を実施する際に指で頻繁に触れる、薄肉部13の平坦部側表面14Aのみに防汚層12を形成してよい。防汚層12の材料が静電気を生じやすい場合、センサの種類により静電気が検出感度を低下させてしまう恐れがある。この場合は、図19(A)〜19(D)に示すように、カバー部材1の第1の主面3上であって、凹部7と対向する部位以外の厚肉部17の、第1主面側表面18のみに施されていてよい。なお、防汚層12は図20(A)、20(B)に示すように、防眩処理を施していないカバー部材1の第1の主面3上に形成してよい。
なお、前記した機能層形成は、ガラス基板101に予め形成してもよい。

0106

また、カバー部材1の第1の主面3および第2の主面5は、研磨されることが好ましい。イオン交換による化学強化を施した強化ガラス板は、その最表面に最大で1μm程度の微細な凹凸や欠陥が発生することがある。カバー部材1に力が作用する場合、欠陥や微細な凹凸が存在する箇所に応力が集中し、理論強度よりも小さな力でも割れることがある。そのため、化学強化後のカバー部材1の第1の主面3および第2の主面5に存在する、欠陥および微細な凹凸を有する層(化学強化層の一部の欠陥層)を研磨により除去する。なお、欠陥が存在する欠陥層の厚さは化学強化の条件にもよるが、通常、0.01〜0.5μmである。研磨は、例えば両面研磨装置によって行われる。両面研磨装置は、それぞれ所定の回転比率回転駆動されるリングギヤおよびサンギヤを有するキャリア装着部と、キャリア装着部を挟んで互いに逆回転駆動される金属製の上定盤および下定盤と、を有して構成される。キャリア装着部には、リングギヤおよびサンギヤと噛合する複数のキャリアが装着される。キャリアは自らの中心を軸に自転し、且つサンギヤを軸に公転するように遊星歯車運動し、遊星歯車運動によりキャリアに装着された、複数のカバー部材1の両面(第1の主面3および第2の主面5)が、上定盤および下定盤との摩擦で研磨される。

0107

さらに、カバー部材1の第2の主面5には印刷層が設けられうる。印刷層は、例えば、所定の色材を含むインク組成物により形成できる。当該インク組成物は、色材の他、必要に応じてバインダー分散剤溶剤などを含むものである。色材は、顔料染料などいずれの色材(着色剤)であってもよく、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。なお、色材は所望される色によって適宜選択できるが、例えば、遮光性が求められる場合には、黒系色材等が好ましく用いられる。また、バインダーは、例えば、ポリウレタン系樹脂フェノール系樹脂エポキシ系樹脂尿素メラミン系樹脂シリコーン系樹脂フェノキシ樹脂メタクリル系樹脂アクリル系樹脂ポリアリレート樹脂ポリエステル系樹脂ポリオレフィン系樹脂ポリスチレン系樹脂ポリ塩化ビニル塩化ビニル酢酸ビニル共重合体ポリ酢酸ビニルポリ塩化ビニリデンポリカーボネートセルロース類ポリアセタール等の公知の樹脂(熱可塑性樹脂熱硬化性樹脂光硬化性樹脂など)等が挙げられる。バインダーは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。

0108

印刷層を形成するための印刷法は特に限定されるものではなく、グラビア印刷法フレキソ印刷法オフセット印刷法凸版印刷法スクリーン印刷法パッド印刷法スプレー印刷法、フィルム転写法インクジェット法などの適宜な印刷法を適用できる。

0109

ここで、凹部7がカバー部材1の第1の主面3に設けられる場合(図4(A)〜図5参照)、図21に示すように、平面形状である第2の主面5に印刷層30を形成することは容易である。凹部7の底面8または側面9に対応する場所に色彩を付すことで、視覚的に場所を解り易くできる。また、側面9に対応する場所を鏡面反射印刷(例えばシルバー印刷)にすると、側面9の曲率を持った形状がレンズ効果を示し、側面9に対応する反射がカバー部材1の角度を変えても広い角度で反射するため、キラキラして高級感を演出できる。

0110

一方、凹部7がカバー部材1の第2の主面5に設けられる場合(図1(A)〜図3参照)、印刷は、当該凹部7と、カバー部材1の第2の主面5において凹部7が形成されない平坦部分と、で個別に実施されることが好ましい。なぜなら、スクリーン印刷法等の印刷方向では、形状追従性がそれ程高くないため、凹部7と、凹部7が形成されない平坦部分と、を一度に印刷することが難しいからである。したがって、これらの部分の印刷を個別に実施することにより高精度な印刷を実現できる。また、凹部7と、凹部7が形成されない平坦部分とで、印刷の色彩またはテクスチャを変えることにより、センサ40の位置を視覚的に分かり易く表示でき、デザイン上のアクセントとできる。

0111

より具体的には図22に示すように、第2の主面5において凹部7が形成されない平坦部分には、スクリーン印刷法等によって第1印刷層31が設けられる。なお、スクリーン印刷とは、開口部を有するスクリーン上に印刷材料を載置した後、スクリーン上でスキージ押圧摺動させ、スクリーンの開口部から印刷材料を押し出して、開口部のパターンを印刷する方法をいう。また、凹部7は曲面形状である側面9を有するので、当該凹部7に対してはパッド印刷法が好適である。これにより、凹部7の底面8および側面9には第2印刷層32が形成される。ここで、パッド印刷法とは、表面にインクパターンを設けたやわらかいパッド(例えば、シリコーン製パッド)を、目的基材押付けてインクパターンを基材表面に転写する印刷方法である。パッド印刷は、タコ印刷またはタンポ印刷とも呼ばれる。このように、パッド印刷法では、やわらかく形状追従性のよいパッドが用いられるので、凹部7の側面9に対する印刷は、パッド印刷法が好ましい。なお、第1印刷層31および第2印刷層32に対する印刷の順序は特に限定されない。

0112

また、図23に示すように、第2の主面5において凹部7が形成されない平坦部分と、凹部7の平坦形状の底面8と、曲面形状の側面9と、で個別に印刷しても構わない。この場合、第2の主面5において凹部7が形成されない平坦部分には、スクリーン印刷法等によって第1印刷層31が設けられる。凹部7の底面8には、スクリーン印刷法等によって第2印刷層32が設けられる。凹部7の側面9には、パッド印刷法によって第3印刷層33が設けられる。底面8にパッド印刷がされないように、パッドは底面8に対応する部分を有さない筒形状とされる。このように、凹部7の底面8および側面9を別に印刷することで、底面8に形成される第2印刷層32の膜厚や平坦性の制御が正確になる。したがって、凹部7の底面8に指紋認証用センサを配置した場合のセンサ感度を向上できる。なお、第1印刷層31〜第3印刷層33に対する印刷の順番は限定されない。また第1印刷層31と第2印刷層32と第3印刷層33とで、印刷の色彩やテクスチャを変えることにより、センサ40の位置を視覚的に分かり易く表示でき、デザイン上のアクセントとできる。例えば、第1印刷層31と第2印刷層32を同色にし、第3印刷層33を異なる色の印刷とした場合、第3印刷層33が環状のパターンとして認識されるデザインにできる。

0113

なお、第2の主面5において凹部7が形成されない部分や、凹部7の底面8等、平坦部分に対する印刷法は、スクリーン印刷法によるものに限らず、印刷層の膜厚等を正確に制御できるものであればよい。例えば、ロータリースクリーン印刷法、凸版印刷法、オフセット印刷法、スプレー印刷法、フィルム転写法等によるものでも構わない。また、静電複写法や熱転写法、インクジェット法等によるプリントでも構わない。

0114

また、図6に示すように、凹部7の底面8が中心部に向かうにしたがってZ方向に突出する形状である場合のように、凹部7の底面8が曲面形状である場合には、底面8に対する印刷もパッド印刷法が好ましい。

0115

なお、曲面形状に対する印刷法は、当該曲面形状への追従性が良好であればパッド印刷法に限定されず、例えばスプレー印刷法を採用してもよい。

0116

凹部7がカバー部材1の裏面(第2の主面5)にあり、凹部7に表示パネルを配置する場合には、凹部7には印刷層を形成せず、厚肉部17の第2主面側表面19のみに印刷を実施してもよい。これにより、表示パネルの配線等をカバー部材1の第1主面側表面18から視認できず、美観が良好となる。

0117

ガラス組成
カバー部材1およびガラス基板101としては、例えば、以下の(i)〜(vii)のいずれか一つのガラスが挙げられる。なお、以下の(i)〜(v)のガラス組成は、酸化物基準モル%で表示した組成であり、(vi)〜(vii)のガラス組成は、酸化物基準の質量%で表示した組成である。
(i)SiO2を50〜80%、Al2O3を2〜25%、Li2Oを0〜10%、Na2Oを0〜18%、K2Oを0〜10%、MgOを0〜15%、CaOを0〜5%およびZrO2を0〜5%を含むガラス。
(ii)SiO2を50〜74%、Al2O3を1〜10%、Na2Oを6〜14%、K2Oを3〜11%、MgOを2〜15%、CaOを0〜6%およびZrO2を0〜5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が75%以下、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7〜15%であるガラス。
(iii)SiO2を68〜80%、Al2O3を4〜10%、Na2Oを5〜15%、K2Oを0〜1%、MgOを4〜15%およびZrO2を0〜1%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が80%以下であるガラス。
(iv)SiO2を67〜75%、Al2O3を0〜4%、Na2Oを7〜15%、K2Oを1〜9%、MgOを6〜14%、CaOを0〜1%およびZrO2を0〜1.5%含有し、SiO2およびAl2O3の含有量の合計が71〜75%、Na2OおよびK2Oの含有量の合計が12〜20%であるガラス。
(v)SiO2を60〜75%、Al2O3を0.5〜8%、Na2Oを10〜18%、K2Oを0〜5%、MgOを6〜15%、CaOを0〜8%含むガラス。
(vi)SiO2を63〜75%、Al2O3を3〜12%、MgOを3〜10%、CaOを0.5〜10%、SrOを0〜3%、BaOを0〜3%、Na2Oを10〜18%、K2Oを0〜8%、ZrO2を0〜3%、Fe2O3を0.005〜0.25%含有し、R2O/Al2O3(式中、R2OはNa2O+K2Oである)が2.0以上4.6以下であるガラス。
(vii)SiO2を66〜75%、Al2O3を0〜3%、MgOを1〜9%、CaOを1〜12%、Na2Oを10〜16%、K2Oを0〜5%含有するガラス。

0118

種々の条件で化学強化のシミュレーションを行い、薄肉部13と厚肉部17の強度を比較した。具体的な手順は以下の通りである。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0119

[カバー部材]
(例1)
ガラス基材として、Z方向厚さ(板厚)が0.7mm、主面が縦横70mm×150mmの長方形板状部材を想定した。このガラス基材に、薄肉部13のZ方向厚さが0.3mm(厚肉部17の板厚の1/2以下、1/4以上)となるように(厚肉部17の厚さが0.7mmとなるように)、凹部7を形成したカバー部材1を想定した。図2(B)に示す底面8のY方向の幅Byは17mm、X方向の幅Bxは6mm、側面9のX方向の幅Sxは0mm、Y方向の幅Syは0mm、ガラスの組成は旭硝子株式会社製ドラゴントレイル(登録商標)に対応する組成とした。

0120

(例2)
例1において、厚肉部17の厚さを0.7mm、薄肉部13のZ方向厚さを0.15mm(厚肉部17の板厚の1/4以下、1/5以上)としたこと以外は、例1と同じガラスを想定した。

0121

(例3)
例2において、厚肉部17と薄肉部の板厚比を同程度とし、厚さを変えたガラスを想定した。具体的には、厚肉部17のZ方向厚さを2.1mm、薄肉部13のZ方向厚さを0.45mm(厚肉部17の板厚の1/4以下、1/5以上)としたこと以外は、例1と同じガラスを想定した。

0122

(例4)
例1において、厚肉部17のZ方向厚さを2.1mm、薄肉部13のZ方向厚さを0.15mm(厚肉部17の板厚の1/5未満)としたこと以外は、例1と同じガラスを想定した。

0123

例1、2のカバー部材1について以下に示す化学強化シミュレーションモデルにより、化学強化を行った。

0124

[化学強化シミュレーション]
化学強化のシミュレーションには、汎用構造解析「Abaqus」(Ver6.13−2)を用いた。Abaqusの熱伝導解析を用いて、「カリウムイオン濃度分布」を「温度分布」とみなして、非定常計算した。なお、本シミュレーションに式(1)および式(2)を用い、表1に示す、425℃における硝酸カリウム100mol%溶融塩での材料係数を使用して計算した。

0125

0126

ここで、式(1)におけるCxはカリウムイオン濃度[mol%]、C0は初期カリウムイオン濃度[mol%]、Ceqは平衡カリウムイオン濃度[mol%]、Dはカリウムイオンの拡散係数[m2/s]、Hはカリウムイオンの物質移動係数[m/s]、t:時間[s]、x:ガラス表面からの深さ[m]である。

0127

0128

ここで、式(2)におけるσxは応力[Pa]、Bは膨張係数、Eはヤング率[Pa]、νはポアソン比、Cavgは平均カリウム濃度[mol%]であり、式(3)で求められる。

0129

0130

ここで、式(3)におけるLは半厚さ[m]、xはガラス表面からの深さ[m]である。

0131

0132

化学強化時間は最大100時間程度とし、化学強化時間が30、70、150、260、420、900、1740分での積分値S、表面圧縮応力CS、内部引張応力の最大値CTmaxを式(1)〜(3)に基づき求めた。測定位置は、薄肉部13は薄肉部重心位置、厚肉部17はガラス全体の重心位置とした。初期値は以下の通りとした。
S=0(MPa・mm)
CS=0(MPa)
CTmax=0(MPa)
ある時刻t1におけるCSは、(1)式においてx=0,t=t1としてAbaqusで算出される。
CTmaxは、板厚方向各節点における応力算出値の最大値と定義した。
Sは、板厚方向各節点における主応力差の積分値を台形近似で算出した。
例1、例2の化学強化時間と積分値Sの関係を図24(A)および図24(B)に示す。例3、例4の化学強化時間と積分値Sの関係を図25(A)および図25(B)に示す。例1、例2の化学強化時間と表面圧縮応力CSの関係を図26(A)および図26(B)に示す。例3、例4の化学強化時間と表面圧縮応力CSの関係を図27(A)および図27(B)に示す。例1、例2の化学強化時間と内部引張応力CTの関係を図28(A)および図28(B)に示す。例3、例4の化学強化時間と内部引張応力CTの関係を図29(A)および図29(B)に示す。
図24(A)、図24(B)、図25(A)および図25(B)に示すように、厚肉部17の積分値Sは正で、化学強化時間による変動が、あまり生じなかった。薄肉部13の厚さによる違いもあまりなかった。
一方で、薄肉部13の積分値Sは、例1、例2、および例3では、化学強化開始直後に負になり、化学強化時間が長くなると大きく負の値になった。薄肉部13が薄い方が、積分値Sの絶対値は大きくなった。例4では、化学強化開始直後に負になり、化学強化時間が長くなると、化学強化時に発生した圧縮応力による荷重で座屈したことにより、積分値Sは逆に正に近い値になった。ただし、例1〜例4のいずれも積分値Sの絶対値は0MPa未満であり、化学強化時間を長くする等の制御により、−10MPa未満、さらには−20MPa未満にもできた。
この結果から、化学強化により、薄肉部13の積分値Sを0MPa未満に制御できることが分かった。例1〜例3(薄肉部13が厚肉部17の板厚の1/2以下、1/5以上)では、化学強化時間が長くなると、積分値Sが常に減少するため、例4と比べると、積分値Sの厳密な制御がしやすいことが示唆された。

0133

図26(A)、図26(B)、および図27(A)に示すように、例1、例2、および例3では、厚肉部17、薄肉部13のいずれも、化学強化直後にCSが上昇したが、その後、緩やかに減少した。この間、常に厚肉部17のCSが薄肉部13のCSよりも大きかった。一方で、図27(B)に示すように、例4では、厚肉部17の傾向は例1、例2および例3と同様であったが、薄肉部13は、化学強化開始後に一旦、CSが減少した後に、座屈により逆に上昇して、厚肉部17の値を超え、その後、再び減少した。
薄肉部13、厚肉部17ともに、CSは常に300MPa以上であった。
この結果から、化学強化により、少なくとも、薄肉部13の板厚が、厚肉部17の板厚の1/2以下の条件で、厚肉部17の表面圧縮応力CSが、薄肉部13の表面圧縮応力CSよりも大きく制御できることが分かった。
また、厚肉部17の表面圧縮応力CSを、薄肉部13の表面圧縮応力CSよりも常に大きくするためには、例1〜例3(薄肉部13が厚肉部17の板厚の1/2以下、1/5以上)が好ましいことも分かった。

0134

図28(A)に示すように、例1では厚肉部17、薄肉部13のいずれも、化学強化直後に内部引張応力CTが上昇したが、薄肉部13の内部引張応力CTが厚肉部17の内部引張応力CTよりも大きかった。
一方で、図28(B)に示すように、例2では、化学強化時間が23時間以下の場合は、薄肉部13の内部引張応力CTが厚肉部17の内部引張応力CTよりも大きかったが、23時間では薄肉部13の内部引張応力CTが厚肉部17の内部引張応力CTと同じ値になった。23時間超では薄肉部13の内部引張応力CTが厚肉部17の内部引張応力CTより小さくなった。薄肉部13の内部引張応力CTは、化学強化時間が30時間未満では50MPa以上であった。厚肉部17の内部引張応力CTは、化学強化時間5時間超で50MPa以上となった。
また、図28(B)に示すように、例2では、化学強化時間が5時間超では、薄肉部13の内部引張応力CTが単調減少していたため、化学強化時間が38時間程度で内部引張応力CTが任意の点で負の値になる(応力が0MPa未満になる)と予測された(点線参照)。

0135

図29(A)に示すように、例3の化学強化時間と内部引張応力CTの関係は、例2と同様であった。具体的には、厚肉部17が時間経過に伴い増加したのに対し、薄肉部13は、化学強化直後に内部引張応力CTが上昇後、減少した。そのため、厚肉部17、薄肉部13の板厚比が同じであれば、板厚が異なっても、同様の傾向を示すことが示唆された。
図29(B)に示すように、例4の化学強化時間と内部引張応力CTの関係は例1から例3とは異なっていた。具体的には、厚肉部17は内部引張応力CTがほとんど上昇せず、薄肉部13の内部引張応力CTは、化学強化時間が長くなっても減少することなく、上昇した。
この結果から、薄肉部13の厚さや化学強化時間を調整することにより、薄肉部13の内部引張応力CTを、厚肉部17の内部引張応力CTよりも大きくすることも、小さくすることも可能なことが分かった。
また、例2、例3の結果から、薄肉部13が厚肉部17の板厚の1/4以下、1/5以上であれば、薄肉部13の内部引張応力CTを厚肉部17よりも小さくできる場合があることが分かった。

0136

以上の結果から、薄肉部13の厚さや化学強化時間を調整することにより、薄肉部13の断面における任意の点での応力を0MPa未満に制御できることが分かった。また、厚肉部17の表面圧縮応力CSを、薄肉部13の表面圧縮応力CSよりも大きくできることもわかった。さらに、薄肉部13、厚肉部17ともに、化学強化時間を制御することにより、内部引張応力CTを50MPa以上にも、以下にも制御できることも分かった。
また、薄肉部13の厚肉部17に対する板厚比を変えることによって、化学強化時間と表面圧縮応力CS、内部引張応力CT、および積分値Sの関係が変わることが分かった。

0137

[変形例]
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更などでき、その他、本発明の実施の際の具体的な手順、および構造等は本発明の目的を達成できる範囲で変更してもよい。

0138

(屈曲部を有するカバー部材)
図30に示すように、カバー部材1は、少なくとも1つ以上の屈曲部20を備えてもよい。屈曲部20と平坦部を組み合わせた形状、全体が屈曲部20となる形状などが挙げられるが、屈曲部20を有すれば特に形状は限定されない。最近では、屈曲部20を有するカバー部材を表示装置に使用する場合、各種機器(テレビ、パーソナルコンピューター、スマートフォン、カーナビゲーション等)において、表示パネルの表示面が曲面となったものが登場している。屈曲部20は、表示パネルの形状や表示パネルの筐体の形状などに合わせて作製できる。なお、「平坦部」とは、平均曲率半径が1000mm超である部分を意味し、「屈曲部」とは、平均曲率半径が1000mm以下である部分を意味する。

0139

(貫通孔を有するカバー部材)
図31に示すように、カバー部材1は、少なくとも1つ以上の貫通孔22を、厚肉部17に有してもよい。
貫通孔22の数や形状等は任意である。
貫通孔22を有することにより、カバー部材1を取り付ける保護対象の面に、イヤホンジャックのような、外部との接続用のコネクタが露出している場合でも、カバー部材がコネクタを覆うことなく取り付けができる。

0140

(両面に凹部を有するカバー部材)
図32に示すように、カバー部材1は両面に凹部を有してもよい。具体的には、カバー部材1の第1の主面3および第2の主面5に、それぞれ一つずつの凹部7、10が設けられてもよい。凹部7、10は、カバー部材1のX方向端部近傍で且つY方向中央部近傍に形成される。凹部7、10は、−Z方向、+Z方向からそれぞれ見たとき、Y方向の長さがX方向よりも長い長円状に形成されている。
凹部7、7Aが形成される位置は、両者がZ方向に対向して(XY平面において重なって、すなわち平面視において凹部7と凹部10が重なって)いる限り、任意の位置に設定して構わない。カバー部材1の平面視における凹部7の重心位置と凹部10の重心位置との距離は、凹部7、10の位置ずれを目立たなくするために、100μm以下であることが好ましい。凹部7、10の数や形状等は任意である。

0141

(表面粗さなど)
カバー部材1の薄肉部13における第1の底面部、第2の底面部や、印刷層の第1の主面、第2の主面の粗さは前述のような算術平均粗さRaに限らない。例えば、二乗平均平方根粗さRqである場合、0.3nm以上100nm以下が好ましい。Rqが100nm以下であるとざらつきを感じにくくなり、Rqが0.3nm以上であるとガラス表面の摩擦係数が適度となり、指などのすべり性が向上する。最大高さ粗さRzである場合、0.5nm以上300nm以下が好ましい。Rzが300nm以下であるとざらつきを感じにくくなり、Rzが0.5nm以上であるとガラス表面の摩擦係数が適度となり、指などのすべり性が向上する。

0142

最大断面高さ粗さRtである場合、1nm以上500nm以下が好ましい。Rtが500nm以下であるとざらつきを感じにくくなり、Rtが1nm以上であるとガラス表面の摩擦係数が適度となり、指などのすべり性が向上する。最大山高さRpである場合、0.3nm以上500nm以下が好ましい。Rpが500nm以下であるとざらつきを感じにくくなり、Rpが0.3nm以上であるとガラス表面の摩擦係数が適度となり、指などのすべり性が向上する。最大谷深さ粗さRvである場合、0.3nm以上500nm以下が好ましい。Rvが500nm以下であるとざらつきを感じにくくなり、Rvが0.3nm以上であるとガラス表面の摩擦係数が適度となり、指などのすべり性が向上する。

0143

平均長さ粗さRsmである場合、0.3nm以上1000nm以下が好ましい。Rsmが1000nm以下であるとざらつきを感じにくくなり、Rsmが0.3nm以上であるとガラス表面の摩擦係数が適度となり、指などのすべり性が向上する。クルトシス粗さRkuである場合、1以上3以下が好ましい。Rkuが3以下であるとざらつきを感じにくくなり、Rkuが1以上であるとガラス表面の摩擦係数が適度となり、指などのすべり性が向上する。その他、Waなどのうねりでも表せ、粗さを表現するパラメータについては特に制限はない。スキューネス粗さRskが視認性、触感などの均一性の観点から−1以上1以下が好ましい。

0144

<用途>
本発明のカバー部材の用途としては、特に限定されない。具体例としては、車両用透明部品(ヘッドライトカバーサイドミラーフロント透明基板サイド透明基板、リア透明基板、インスツルメントパネル表面等。)、メータ建築窓、ショーウインドウ建築用内装部材建築用外装部材ディスプレイノート型パソコンモニタ、LCD、PDP、ELD、CRT、PDA等)、LCDカラーフィルタタッチパネル用基板ピックアップレンズ光学レンズ眼鏡レンズカメラ部品ビデオ部品、CCD用カバー基板光ファイバ端面プロジェクタ部品複写機部品太陽電池用透明基板(カバー部材等。)、携帯電話窓、バックライトユニット部品(導光板冷陰極管等。)、バックライトユニット部品液晶輝度向上フィルムプリズム半透過フィルム等。)、液晶輝度向上フィルム、有機EL発光素子部品、無機EL発光素子部品、蛍光体発光素子部品、光学フィルタ光学部品の端面、照明ランプ照明器具カバー増幅レーザ光源反射防止フィルム偏光フィルム農業用フィルム等が挙げられる。

0145

物品
本発明の物品は、カバー部材1を備える。
本発明の物品は、カバー部材1からなるものでもよく、カバー部材1以外の他の部材をさらに備えるものでもよい。
本発明の物品の例としては、でカバー部材1の用途として挙げたもの、それらのいずれか1種以上を備える装置、等が挙げられる。
装置としては、例えば携帯情報端末、表示装置、照明装置太陽電池モジュール等が挙げられる。
本発明の物品は、凹部7が得られセンシング感度や視認性が良好であり、携帯情報端末や表示装置に適している。また車載用として使用されるカバー部材1には複数かつサイズの大きな凹部7が求められ、センサを配置した場合には高いセンシング感度が求められる。さらに屈曲形状であるカバー部材1に凹部7が求められることもある。本発明はこれらの要求を満足できるカバー部材1を提供できる。以上より本発明のカバー部材1は車載用のカバー部材1として適している。

0146

本発明の物品が表示装置の場合、本発明の物品は、画像を表示する表示パネルと、表示装置本体の視認側に設けられた本発明のカバー部材1とを具備する。
表示パネルとしては、液晶パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンスパネルプラズマディスプレイパネル等が挙げられる。カバー部材1は、表示装置の保護板として、表示パネルに一体に設けられてもよく、表示パネルの第2の主面5にタッチパネルセンサのようなセンサを配置、すなわちカバー部材1とセンサとの間に表示パネルがある構造としてもよい。またカバー部材1はセンサを介して表示パネルの視認側に配置してもよい。

0147

本発明によれば、指紋認証用センサを組み込んだ場合に所望のセンシング能力を発揮可能なカバー部材、およびカバー部材を有する携帯情報端末を提供できる。

実施例

0148

本出願は、2017年9月11日出願の日本特許出願2017−173852に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

0149

1…カバー部材、3…第1の主面、5…第2の主面、7…凹部、13…薄肉部、17…厚肉部、20…屈曲部、22…貫通孔。

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