図面 (/)

技術 透明物品

出願人 日本電気硝子株式会社
発明者 梶岡利之
出願日 2018年8月30日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2019-539627
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 WO2019-044994
状態 未査定
技術分野 光学要素の表面処理 積層体(2) ガラスの表面処理
主要キーワード センサーサイズ レーザ測定器 バレー値 粗面層 霧化エア圧 スプレーコーティング装置 粗面状 白色干渉顕微鏡
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題・解決手段

本発明は、解像度の低下を抑制しつつ、指の滑りを良くすることのできる透明物品を提供することを課題とする。透明物品(10)は、透明基材(11)を備えている。透明基材(11)の主面には、粗面状をなす粗面部としての粗面層(12)が設けられている。粗面層(12)の表面(12a)は、二乗平均平方根高さSqが0.08μm以下であり、粗さ曲線要素の平均長さRSmが20μm以下である。

概要

背景

従来、表示装置の表示面に配置される透明物品に関して、その表面を粗面化することによって機能や特性を付与することが行われている。例えば、タッチパネル機能を有する表示装置に用いられる透明物品の場合、指の滑りを良くするために表面を粗面化することがある。また、特許文献1に開示される透明物品では、主面に設けられた防汚膜の表面形状を、表面粗さSq(RMS表面粗さ)が0.25μm以下、粗さ曲線要素の平均長さRSmが40μm以下となる表面形状とすることにより、防汚膜の耐久性を向上させている。

概要

本発明は、解像度の低下を抑制しつつ、指の滑りを良くすることのできる透明物品を提供することを課題とする。透明物品(10)は、透明基材(11)を備えている。透明基材(11)の主面には、粗面状をなす粗面部としての粗面層(12)が設けられている。粗面層(12)の表面(12a)は、二乗平均平方根高さSqが0.08μm以下であり、粗さ曲線要素の平均長さRSmが20μm以下である。

目的

この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、解像度の低下を抑制しつつ、指の滑りを良くすることにある

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

透明基材を備える透明物品であって、前記透明基材の主面には、粗面状をなす粗面部が設けられ、前記粗面部は、二乗平均平方根高さSqが0.08μm以下であり、粗さ曲線要素の平均長さRSmが20μm以下であることを特徴とする透明物品。

請求項2

前記粗面部は、二乗平均平方根高さSqと粗さ曲線要素の平均長さRSmとの比(Sq/RSm)が0.004以下であることを特徴とする請求項1に記載の透明物品。

請求項3

前記粗面部は、粗さ曲線要素の平均長さRSmが15μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の透明物品。

技術分野

0001

本発明は、粗面化された主面を有する透明基材を備える透明物品に関する。

背景技術

0002

従来、表示装置の表示面に配置される透明物品に関して、その表面を粗面化することによって機能や特性を付与することが行われている。例えば、タッチパネル機能を有する表示装置に用いられる透明物品の場合、指の滑りを良くするために表面を粗面化することがある。また、特許文献1に開示される透明物品では、主面に設けられた防汚膜の表面形状を、表面粗さSq(RMS表面粗さ)が0.25μm以下、粗さ曲線要素の平均長さRSmが40μm以下となる表面形状とすることにより、防汚膜の耐久性を向上させている。

先行技術

0003

特許第5839134号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、表示装置の表示面に配置される透明物品について、指の滑りを良くすること等を目的として、その表面を粗面化した場合には、当該透明物品を透過して見える像の解像度が低下する。近年、表示装置の高精細化にともなって、表面の粗面化に起因する解像度の低下の影響が大きくなってきている。

0005

本発明者は、表面の粗さに関する特定のパラメータが特定の範囲となるように透明物品の表面を粗面化した場合に、指の滑りが良くなるとともに、解像度の低下が抑制されることを見出した。この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、解像度の低下を抑制しつつ、指の滑りを良くすることにある。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決する透明物品は、透明基材を備え、前記透明基材の主面には、粗面状をなす粗面部が設けられ、前記粗面部は、二乗平均平方根高さSqが0.08μm以下であり、粗さ曲線要素の平均長さRSmが20μm以下である。

0007

上記透明物品において、前記粗面部は、二乗平均平方根高さSqと粗さ曲線要素の平均長さRSmとの比(Sq/RSm)が0.004以下であることが好ましい。
上記透明物品において、前記粗面部は、粗さ曲線要素の平均長さRSmが15μm以下であることが好ましい。

発明の効果

0008

本発明の透明物品によれば、解像度の低下を抑制しつつ、指の滑りを良くすることができる。

図面の簡単な説明

0009

透明物品の説明図。
DOI値の測定方法の説明図。
パターンマスクの説明図。

0010

以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1に示すように、透明物品10は、板状をなす透光性の透明基材11を備えている。透明基材11の厚さは、例えば、0.1〜5mmである。透明基材11の材質の例としては、例えば、ガラス樹脂が挙げられる。透明基材11の材質は、ガラスであることが好ましく、ガラスとしては、例えば、無アルカリガラスアルミノシリケートガラスソーダライムガラス等の公知のガラスを用いることができる。また、化学強化ガラス等の強化ガラスやLAS系結晶化ガラス等の結晶化ガラスを用いることができる。これらのなかでも、アルミノシリケートガラスを用いること、特に、SiO2:50〜80質量%、Al2O3:5〜25質量%、B2O3:0〜15質量%、Na2O:1〜20質量%、K2O:0〜10質量%を含有する化学強化ガラスを用いることが好ましい。また、樹脂の例としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルポリカーボネートエポキシ樹脂が挙げられる。

0011

透明基材11の一方の主面には、粗面部として、凹凸構造の表面12aを有する粗面層12が設けられている。粗面層12は、例えば、SiO2、Al2O3、ZrO2、TiO2等の無機酸化物からなるマトリックスにより構成される。この場合、粗面層12は、無機酸化物のみにより構成されるか、又は有機化合物を含まないことが好ましい。

0012

粗面層12は、例えば、マトリックス前駆体、及びマトリックス前駆体を溶解する液状媒体を含むコーティング剤を透明基材11の表面に塗布し、加熱することにより形成できる。コーティング剤に含まれるマトリックス前駆体の例としては、例えば、シリカ前駆体アルミナ前駆体ジルコニア前駆体チタニア前駆体等の無機前駆体が挙げられる。粗面層12の屈折率を低くする点、反応性を制御しやすい点から、シリカ前駆体が好ましい。

0013

シリカ前駆体の例としては、ケイ素原子に結合した炭化水素基及び加水分解性基を有するシラン化合物、シラン化合物の加水分解縮合物シラザン化合物等が挙げられる。粗面層12を厚く形成した場合にも粗面層12のクラックが充分に抑えられる点から、シラン化合物及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方を含むことが好ましい。

0014

シラン化合物は、ケイ素原子に結合した炭化水素基、及び加水分解性基を有する。炭化水素基は、炭素原子間に−O−、−S−、−CO−、及び−NR’−(R’は水素原子または1価の炭化水素基である。)から選ばれる1つ又は2つ以上を組み合わせた基を有していてもよい。

0015

炭化水素基は、1つのケイ素原子に結合した1価の炭化水素基であってもよく、2つのケイ素原子に結合した2価の炭化水素基であってもよい。1価の炭化水素基の例としては、アルキル基アルケニル基アリール基等が挙げられる。2価の炭化水素基の例としては、アルキレン基アルケニレン基アリーレン基等が挙げられる。

0016

加水分解性基の例としては、アルコキシ基アシロキシ基ケトオキシム基、アルケニルオキシ基アミノ基、アミノキシ基アミド基イソシアネート基ハロゲン原子等が挙げられ、シラン化合物の安定性加水分解のしやすさとのバランスの点から、アルコキシ基、イソシアネート基、及びハロゲン原子(特に塩素原子)が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、又はエトキシ基がより好ましい。

0017

シラン化合物の例としては、アルコキシシランテトラメトキシシランテトラエトキシシランテトライソプロポキシシラン等)、アルキル基を有するアルコキシシラン(メチルトリメトキシシランエチルトリエトキシシラン等)、ビニル基を有するアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシラン等)、エポキシ基を有するアルコキシシラン(2−(3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)、アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)等が挙げられる。これらのシラン化合物のなかでも、アルコキシシラン及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方を用いることが好ましく、アルコキシシランの加水分解縮合物を用いることがより好ましい。

0018

シラザン化合物は、その構造内にケイ素窒素の結合(−SiN−)をもった化合物である。シラザン化合物としては、低分子化合物でも高分子化合物(所定の繰り返し単位を有するポリマー)であってもよい。低分子系のシラザン化合物の例としては、ヘキサメチルジシラザンヘキサフェニルジシラザンジメチルアミノトリメチルシラントリシラザンシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン等が挙げられる。

0019

アルミナ前駆体の例としては、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシドの加水分解縮合物、水溶性アルミニウム塩アルミニウムキレート等が挙げられる。ジルコニア前駆体の例としては、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドの加水分解縮合物等が挙げられる。チタニア前駆体の例としては、チタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解縮合物等が挙げられる。

0020

コーティング剤に含まれる液状媒体は、マトリックス前駆体を溶解する溶媒であり、マトリックス前駆体の種類に応じて適宜、選択される。液状媒体の例としては、例えば、水、アルコール類ケトン類エーテル類セロソルブ類、エステル類グリコールエーテル類含窒素化合物含硫黄化合物等が挙げられる。

0021

アルコール類の例としては、メタノールエタノールイソプロパノールブタノールジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン類の例としては、アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル類の例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。セロソルブ類の例としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等が挙げられる。エステル類の例としては、酢酸メチル酢酸エチル等が挙げられる。グリコールエーテル類の例としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。含窒素化合物の例としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。含硫黄化合物の例としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。液状媒体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0022

なお、液状媒体は、水を含む液状媒体、すなわち、水、又は水と他の液状媒体の混合液であることが好ましい。他の液状媒体としては、アルコール類が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールが特に好ましい。

0023

また、コーティング剤は、マトリックス前駆体の加水分解及び縮合を促進する酸触媒を含むものであってもよい。酸触媒は、マトリックス前駆体の加水分解及び縮合を促進し、粗面層12を短時間で形成させる成分である。酸触媒は、コーティング剤の調製に先立って、マトリックス前駆体の溶液の調製の際に、原料(アルコキシシラン等)の加水分解、縮合のために添加されたものであってもよく、必須成分を調製した後にさらに添加されたものであってもよい。酸触媒の例としては、無機酸(硝酸硫酸塩酸等)、有機酸ギ酸シュウ酸酢酸モノクロル酢酸ジクロル酢酸トリクロル酢酸等)が挙げられる。

0024

コーティング剤の塗布方法の例としては、公知のウェットコート法スプレーコート法スピンコート法ディップコート法ダイコート法カーテンコート法スクリーンコート法、インクジェット法フローコート法、グラビアコート法バーコート法フレキソコート法、スリットコート法ロールコート法等)等が挙げられる。塗布方法としては、凹凸を形成しやすい点から、スプレーコート法が好ましい。

0025

スプレーコート法に用いるノズルの例としては、2流体ノズル、1流体ノズル等が挙げられる。ノズルから吐出されるコーティング剤の液滴の粒径は、通常0.1〜100μmであり、1〜50μmが好ましい。コーティング剤の液滴の粒径は、ノズルの種類、霧化エア圧、液量等により適宜、調整できる。例えば、2流体ノズルでは、霧化エア圧が高くなるほど液滴は小さくなり、また、液量が多くなるほど液滴は大きくなる。なお、液滴の粒径は、レーザ測定器によって測定されるザウタ平均粒子径である。

0026

コーティング剤を塗布する際の塗布対象(例えば、透明基材11)の表面温度は、例えば、20〜75℃であり、30℃以上であることが好ましく、60℃以上であることが更に好ましい。塗布対象を加熱する方法としては、例えば、温水循環式の加熱装置を用いることが好ましい。また、コーティング剤を塗布する際の湿度は、例えば、20〜80%であることが好ましい。

0027

以下、透明基材11の一方の主面の面形状について具体的に説明する。
透明基材11の一方の主面は、粗面層12の表面12aにより構成されている。粗面層12の表面12aは、二乗平均平方根高さSqが0.08μm以下であり、粗さ曲線要素の平均長さRSmが20μm以下となる面形状である。上記範囲を満たす面形状とすることにより、表面12aにおける指の滑り(さらさら滑る感触)を良くすることができるとともに、解像度の低下を抑制することができる。

0028

二乗平均平方根高さSqは、ISO25178に準拠して測定される数値であり、粗さ曲線要素の平均長さRSmは、JIS B 0601(2001)に準拠して測定される数値である。JIS B 0601はISO4287と対応し、両者の技術的内容は同等である。以下では、「二乗平均平方根高さSq」を「高さSq」と、「粗さ曲線要素の平均長さRSm」を「平均長さRSm」と省略して記載する場合がある。

0029

粗面層12の表面12aの高さSqは、0.08μm以下であり、0.06μm以下であることが好ましい。また、粗面層12の表面12aの高さSqは、0.02μm以上であることが好ましい。

0030

粗面層12の表面12aの平均長さRSmは、20μm以下であり、15μm以下であることが好ましい。平均長さRSmが15μm以下である場合には、指の滑りを良くする効果が更に向上する。また、粗面層12の表面12aの平均長さRSmは、5μm以上であることが好ましい。

0031

粗面層12の表面12aは、高さSqと平均長さRSmの比(Sq/RSm)が0.004以下であることが好ましい。この場合には、解像度の低下を抑制する効果が更に向上する。また、粗面層12の表面12aにおける高さSqと平均長さRSmの比(Sq/RSm)は、0.001以上であることがより好ましい。

0032

粗面層12の表面12aの面形状は、粗面層12の形成条件を変化させることにより制御することができる。例えば、スプレーコート法により粗面層12を形成する場合において、コーティング剤の塗布量を減少させると、高さSqが減少する。コーティング剤を塗布する際の湿度を下げるか、またはスプレーの液滴の粒径を小さくすると、平均長さRSmを小さくすることができる。

0033

また、高さSqが0.08μm以下であり、平均長さRSmが20μm以下となる面形状の表面12aを有する粗面層12は、コーティング剤を塗布する際に透明基材11の表面温度を高くするか、或いは湿度を低くする等して、塗布されたコーティング剤の液滴が素早く乾燥する形成条件とした場合に特に形成されやすい。

0034

上記のように構成された透明物品10は、例えば、タッチパネル機能を有する表示装置等、指が触れることが想定される表示装置の表示面に配置されて使用される。この場合、透明物品10は、表示装置の表示面の上に取り付けられる部材であってもよい。すなわち、透明物品10は、表示装置に事後的に取り付けられる部材であってもよい。また、透明物品10は、ピクセル密度が160〜600ppiの表示装置に適用することが好ましい。

0035

次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)透明物品10は、透明基材11を備えている。透明基材11の主面には、粗面状をなす粗面部としての粗面層12が設けられている。粗面層12の表面12aは、高さSqが0.08μm以下であり、平均長さRSmが20μm以下である。

0036

上記構成によれば、指の滑り(さらさら滑る感触)を良くすることができるとともに、解像度の低下を抑制することができる。
(2)粗面層12の表面12aは、高さSqと平均長さRSmとの比(Sq/RSm)が0.004以下であることが好ましい。

0037

上記構成によれば、解像度の低下を抑制する効果が更に向上する。
(3)粗面層12の表面12aは、平均長さRSmが15μm以下であることが好ましい。

0038

上記構成によれば、指の滑りを良くする効果が更に向上する。
(4)粗面層12の表面12aは、高さSqと平均長さRSmとの比(Sq/RSm)が0.004以下であり、平均長さRSmが15μm以下であることが好ましい。

0039

上記構成によれば、解像度の低下を抑制する効果と、指の滑りを良くする効果とを高いレベル両立させることができる。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。

0040

・粗面層12は、表面12aの高さSq及び平均長さRSmが上記の特定範囲となる形状であれば、複数の層からなるものであってもよい。例えば、凹凸面を有する第1層と、第1層の凹凸面に沿って第1層の上に設けられる第2層とからなる粗面層12としてもよいし、凹凸面を有さない第1層と、第1層の上に設けられた凹凸面を有する第2層とからなる粗面層12としてもよい。なお、複数の層からなる粗面層12の場合には、最も外側に位置する層の表面が表面12aとなる。

0041

・粗面層12は、所定の機能を有する機能層を兼ねるものであってもよい。機能層の例としては、例えば、アンチグレア層反射防止層、防汚層が挙げられる。また、粗面層12が複数の層からなる場合には、各層が異なる機能を有するものであってもよい。例えば、透明基材11の上に順に設けられたアンチグレア層と反射防止層とにより粗面層12は構成されてもよい。

0042

・上記実施形態では、透明基材11の主面に設けた粗面層12を粗面部としたが、粗面部の構成は粗面層12に限定されるものではない。例えば、透明基材11の表面に対して、ブラスト処理エッチング処理等を施すことにより形成される凹凸形状の表面部分を粗面部としてもよいし、上記凹凸形状の表面部分の上に更に粗面層12を設けた粗面部としてもよい。

0043

・粗面部は、透明基材11の主面の全体に設けられていてもよいし、主面の一部に部分的に設けられていてもよい。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。

0044

(イ)前記粗面部は、前記透明基材の主面に設けられた粗面層である前記透明物品。
(ロ)前記粗面層は、SiO2、Al2O3、ZrO2、TiO2から選ばれる少なくとも一種を含有する層である前記透明物品。

0045

以下に試験例を挙げ、上記実施形態をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
(試験例1〜16)
透明基材の主面に粗面層を設けた透明物品であって、粗面層の表面形状の異なる試験例1〜16の透明物品を作製した。

0046

試験例1〜14では、厚さ1.3mmの板状の化学強化ガラスからなる透明基材(日本電気硝子株式会社製:T2X−1)の一方の表面に対して、スプレーコーティング装置により、コーティング剤を塗布することにより粗面層を形成した。スプレーコーティング装置のノズルは、2流体ノズルであり、コーティング剤は、水を含む液状媒体に粗面層の前駆体(オルトケイ酸テトラエチル)を溶解することで調製した溶液であり、当該コーティング剤を、霧化エア圧0.2MPaにて、流量0.3kg/時で透明基材に塗布し、180℃で30分加熱し乾燥させた。

0047

試験例15,16では、試験例1〜14と同様の方法で透明基材の上に粗面層(アンチグレア層)を形成した後、反応性スパッタリング法により粗面層の上に反射防止層を形成した。反射防止層は誘電体多層膜よりなり、透明基材側から順に高屈折率膜酸化ニオブ、厚さ15nm)、低屈折率膜酸化ケイ素、30nm)、高屈折率膜(酸化ニオブ、厚さ110nm)、及び低屈折率膜(酸化ケイ素、80nm)の4層で構成した。

0048

試験例1〜16の透明物品は、表1に示すように、粗面層を形成する際における、2流体ノズルのノズル径、透明基材周辺雰囲気湿度、透明基材の表面温度、及び塗布される単位表面積あたりコーティング液量を変化させることによって、粗面層の表面形状を変化させている。

0049

(試験例17)
試験例17では、厚さ1.3mmの板状の化学強化ガラスからなる透明基材(日本電気硝子株式会社製:T2X−1)の一方の表面に、反応性スパッタリング法により反射防止層を形成した。反射防止層は誘電体多層膜よりなり、基材側から順に高屈折率膜(酸化ニオブ、厚さ15nm)、低屈折率膜(酸化ケイ素、30nm)、高屈折率膜(酸化ニオブ、厚さ110nm)、及び低屈折率膜(酸化ケイ素、80nm)の4層で構成した。こうして粗面層を有さない透明物品を作製した。

0050

(粗面層の表面形状の解析
粗面層の表面形状は、走査型白色干渉顕微鏡(株式会社菱化システム製:VertScan)を用いて、WAVEモードにより、530whiteフィルタ及び×20倍の対物レンズを用いて、測定領域316.77μm×237.72μmを解像度640ピクセル×480ピクセルで測定した。測定した粗さデータを解析ソフトVS-Viewerにて1次面補正し、各試験例の二乗平均平方根高さSqを求めた。各試験例の粗さ曲線要素の平均長さRSmについては、測定領域の中で長辺に平行に領域の端から端までの10本のラインをとり、それぞれのラインのRSmを求め、平均した値である。また、測定された高さSq及び平均長さRSmの数値から、平均長さRSmと高さSqとの比(Sq/RSm)を求めた。これらの結果を表2に示す。なお、試験例15〜17の透明物品の表面形状は、走査型白色干渉顕微鏡による測定の前にスパッタリング法により各透明物品の表面の反射防止層の上に金薄膜を形成することで表面の光反射率を高めてから行った。反射防止層の上に設けた金薄膜の厚さが数nm程度であれば、金薄膜は下地の凹凸の形状をそのままトレースするため、高さSq及び平均長さRSmの測定値に与える影響は無視することができる。

0051

(指の滑りの評価)
10人のパネラーに、各試験例の透明物品における粗面層の表面に対して、エタノールで拭いた指で擦る操作を行わせ、指の滑り(さらさら滑る感触)が良いと感じるか否かを評価させた。その結果を表2の「指の滑り」欄に示す。なお、「指の滑り」欄においては、指の滑りが良いと評価した人数が8人以上のものを「◎」、指の滑りが良いと評価した人数が5人以上7人以下のものを「○」、指の滑りが良いと評価した人数が4人以下のものを「×」で示している。

0052

(解像度の評価)
図2に示すように、面光源20の上に、パターンマスク21を配置するとともに、パターンマスク21の上に透明物品10を配置した。このとき、透明物品10は、表面12aとは反対側の面がパターンマスク21側を向くように配置した。そして、透明物品10の表面12aと対向する位置に、許容錯乱円径を53μmに設定した光検出器22を配置した。

0053

パターンマスク21としては、図3に示すように、ピクセルピッチ50μm、ピクセルサイズ10μm×40μmの500ppiのパターンマスクを用いた。光検出器22としては、SMS−1000(Display−Messtechnik&Systeme社製)を用いた。

0054

光検出器22のセンサーサイズは1/3型であり、ピクセルサイズは3.75μm×3.75μmである。光検出器22のレンズ焦点距離は100mmであり、レンズ絞り径は4.5mmである。また、許容錯乱円径を53μmに設定した光検出器22の前方被写界深度内に透明物品10の表面12a及びパターンマスク21のトップ面21aが含まれるようにパターンマスク21及び透明物品10を配置した。具体的には、トップ面21aが光検出器22の焦点位置に位置するようにパターンマスク21を配置し、パターンマスク21のトップ面21aから表面12aまでの距離が1.8mmとなる位置に透明物品10を配置した。

0055

次に、透明物品10に対して、パターンマスク21を介して面光源20からの光を照射した状態として、光検出器22により、透明物品10を撮像し、透明物品10の画像データを取得した。得られた画像データを、SMS−1000のDOI測定モード(ソフトウェアSparkle measurement system)により解析して、パターンマスク21の各ピクセルのピクセル輝度を求めた。そして、ピクセル輝度のピーク値(Ip)及びバレー値(Iv)を求めた。

0056

また、透明物品10を除いた状態として、光検出器22により、パターンマスク21を撮像した。得られた画像データを、SMS−1000のDOI測定モードにより解析して、パターンマスク21の各ピクセルのピクセル輝度を求めた。そして、ピクセル輝度のピーク値(Ip0)及びバレー値(Iv0)を求めた。

0057

下記式(1)に基づいてDOI値を算出した。DOI値は、解像度の低下の度合を示す値であり、解像度の低下が抑えられているほど、「1」に近い数値になる。
DOI値=[(Ip−Iv)/(Ip+Iv)]/[(Ip0−Iv0)/(Ip0+I
v0)] ・・・(1)
各試験例のDOI値を表2の「解像度」欄に示す。なお、「解像度」欄においては、DOI値が0.86以上のものを「◎」、DOI値が0.80以上0.86未満のものを「○」、DOI値が0.80未満のものを「×」として、DOI値の評価を併せて示している。

0058

表2に示すように、「二乗平均平方根高さSqが0.08以下、粗さ曲線要素の平均長さRSmが20μm以下」という第1要件を満たさない表面形状である試験例5,6,10,11,16は、第1要件を満たす表面形状である試験例1〜4,7〜9,12〜15と比較して、指の滑りの評価又は解像度の評価が低くなる結果となった。この結果から、解像度の低下を抑制しつつ、指の滑りを良くするためには、第1要件を満たす表面形状とすることが有効であることが分かる。

0059

さらに、試験例1〜3,5,6,8,9,12,14,15の結果から、第1要件に加えて、「二乗平均平方根高さSqと粗さ曲線要素の平均長さRSmとの比(Sq/RSm)が0.004以下」という第2要件を満たす表面形状とした場合には、解像度の低下を抑制する効果が高くなる傾向が確認できた。また、試験例4,7〜9,12,14,15の結果から、第1要件に加えて、「粗さ曲線要素の平均長さRSmが15μm以下」という第3要件を満たす表面形状とした場合には、指の滑りを良くする効果が高くなる傾向が確認できた。そして、試験例8,9,12,14,15の結果から、第1要件、第2要件、第3要件を同時に満たす表面形状とした場合には、解像度の低下を抑制する効果と、指の滑りを良くする効果とを高いレベルで両立させることができることが確認できた。

実施例

0060

試験例17は、粗面層を有していないため、指の滑りの評価が低くなる結果となった。この結果から、指の滑りを良くするためには粗面層を有することが有効であることが分かる。

0061

10…透明物品、11…透明基材、12…粗面層、12a…表面。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社クラレの「 加飾成形用シート、プリフォーム成形体、及び加飾成形体」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】平均繊度0.001〜1dtexの極細繊維を含む不織布と不織布に付与された高分子弾性体とを含み、皮革様仕上面を有する人工皮革基体と、人工皮革基体の皮革様仕上面に対する裏面に形成された塩... 詳細

  • 東レ株式会社の「 積層不織布」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】本発明は、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維で構成された不織布であって、耐水性と柔軟性を兼ね備えており、かつ優れた加工性を有する不織布を提供する。本発明は、ポリオレフィン系樹脂(A)か... 詳細

  • 東レ株式会社の「 フィルム、及びその製造方法」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】本発明は、フィルムとして用いるために必要な機械特性を有しつつ、柔軟性、透湿性、及び防水性を兼ね備えるフィルムを提供することを課題とするものであり、ポリエステル系エラストマーを主成分と... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ