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技術 3次元外科治療研修モデル用組成物及びその製造方法

出願人 ユシロ化学工業株式会社
発明者 高橋宏明細川真幸小野肇高橋和也白川瑛規
出願日 2018年8月28日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2019-539544
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 WO2019-044848
状態 未査定
技術分野 電気的に作動する教習具 教示用装置 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード 技量向上 模擬血液 ゲスト相 臓器モデル スプリング荷重 ABS樹脂 形状記憶性 研修医
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図面 (2)

課題・解決手段

切断されたとしても繰り返し使用可能な3次元外科治療研修モデル組成物を提供することを課題とし、3次元外科治療研修モデル用組成物は自己修復性を有するポリマーゲルを含む。

概要

背景

従来から皮膚や血管、心臓肝臓等の治療練習するために用いられる外科治療研修モデルが開発されている。外科治療研修モデルとは、人体器官の形状や質感を模したものであり、近年では3Dプリンタによる造形技術の発達により、3次元的に精巧な外科治療研修モデルの開発が進められている。

現在、3次元外科治療研修モデルとして様々な製品が開発され、上市されている。3次元外科治療研修モデルは、特に医学部学生看護学部学生、研修医医療現場医師等の医療従事者が使用するものであり、例えば、縫合切開を練習する皮膚のモデルや、採血や注射を練習する血管のモデル、外科手術を練習する心臓及び肝臓等の臓器モデル等がある。
このように、3次元外科治療研修モデルは医療従事者の技量向上に大きく貢献している。

これまで、3次元外科治療研修モデルに用いられる材料としては、ポリビニルアルコールシリコンウレタンポリ乳酸ABS樹脂などが知られている。
例えば、特許文献1、2にはポリビニルアルコールを用いた臓器モデルが開示されている。ポリビニルアルコールを用いることにより、水分を含有するヒドロゲルを作成可能であるため、本物の臓器感触が類似するモデルが作製可能となる。つまり、手技トレーニングをする上でリアリティーを有するモデルが作製可能となる。また、ポリビニルアルコール以外の材料を用いた3次元外科治療研修モデルの例としては特許文献3、4が挙げられる。

概要

切断されたとしても繰り返し使用可能な3次元外科治療研修モデル用組成物を提供することを課題とし、3次元外科治療研修モデル用組成物は自己修復性を有するポリマーゲルを含む。

目的

そこで本願は、切断された場合や針穴が生じた場合でも繰り返し使用可能な3次元外科治療研修モデル用組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

前記ポリマーゲルがホスト−ゲスト相互作用の原理を利用して自己修復する重合体を備えることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。

請求項3

前記重合体がホスト基含有アクリルアミド系モノマー由来構造単位を1モル%以上8モル%以下、ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー由来の構造単位を1モル%以上8モル%以下、アクリルアミド系モノマー由来の構造単位を84モル%以上98モル%以下含有し、前記ポリマーゲルは前記重合体の網目構造間隙水系溶媒を含み、前記組成物の硬さが換算値で931mN以上4264mN以下である、請求項2に記載の組成物。

請求項4

前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー由来の構造単位が下記一般式(1)であり、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー由来の構造単位が下記一般式(2)であり、前記アクリルアミド系モノマー由来の構造単位が下記一般式(3)である、請求項3に記載の組成物。(R1〜R7は水素又はメチル基を表している。RHはホスト基を表しており、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、又はγ−シクロデキストリンのいずれかである。RGはゲスト基を表しており、n−ブチル基、n−ドデシル基、t−ブチル基、イソボルニル基又はアダマンチル基のいずれかである。)

請求項5

前記水系溶媒が水からなる、或いは水及び水よりも沸点の高い親水性溶媒を含む、請求項3又は4に記載の組成物。

請求項6

請求項7

前記水系溶媒の含有量が前記ポリマーゲルを基準として49.45重量%以上85.45重量%以下であり、前記水系溶媒中の水の含有量が前記ポリマーゲルを基準として15.40重量%以上である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の組成物。

請求項8

前記ポリマーゲルがフィラーを含む、請求項3〜6のいずれか1項に記載の組成物。

請求項9

前記フィラーは有機系フィラーである、請求項8に記載の組成物。

請求項10

前記水系溶媒の含有量が前記ポリマーゲルを基準として45.85重量%以上69.21重量%以下であり、前記水系溶媒中の水の含有量が前記ポリマーゲルを基準として14.50重量%以上であり、前記フィラーの含有量が前記ポリマーゲルを基準として15.00重量%以上26.00重量%以下である、請求項8又は9に記載の組成物。

請求項11

請求項3〜7のいずれか1項に記載の組成物を製造する方法であって、前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記アクリルアミド系モノマー、及び前記水系溶媒を混合する工程と、前記混合する工程により得られる溶液重合開始剤を添加する工程と、前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、及び前記アクリルアミド系モノマーを重合させる工程と、を備え、前記重合させる工程における溶液中の前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記アクリルアミド系モノマー、及び前記水系溶媒の含有量を調整することで、前記組成物の硬さを調整する、3次元外科治療研修モデル用組成物の製造方法。

請求項12

請求項8〜10のいずれか1項に記載の組成物を製造する方法であって、前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記アクリルアミド系モノマー、前記水系溶媒、及び前記フィラーを混合する工程と、前記混合する工程により得られる溶液に重合開始剤を添加する工程と、前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、及び前記アクリルアミド系モノマーを重合させる工程と、を備え、前記重合させる工程における溶液中の前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記アクリルアミド系モノマー、前記水系溶媒、及び前記フィラーの含有量を調整することで、前記組成物の硬さを調整する、3次元外科治療研修モデル用組成物の製造方法。

請求項13

前記混合する工程及び添加する工程のうち少なくとも一方において重合促進剤を添加し、前記重合させる工程における溶液中の前記重合促進剤の含有量を調整することにより前記組成物の硬さを調整する、請求項11又は12に記載の製造方法。

請求項14

前記重合させる工程により得られるゲルを浸漬用溶媒に浸漬させる工程をさらに備え、前記浸漬用溶媒は前記親水性溶媒からなり、或いは前記親水性溶媒及び水を含み、前記ゲルの浸漬時間及び前記浸漬用溶媒における前記親水性溶媒の濃度のうち少なくとも一方を調整することにより前記組成物の硬さを調整する、請求項11〜13のいずれか1項に記載の製造方法。

技術分野

0001

本願は3次元外科治療研修モデル組成物及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

従来から皮膚や血管、心臓肝臓等の治療練習するために用いられる外科治療研修モデルが開発されている。外科治療研修モデルとは、人体器官の形状や質感を模したものであり、近年では3Dプリンタによる造形技術の発達により、3次元的に精巧な外科治療研修モデルの開発が進められている。

0003

現在、3次元外科治療研修モデルとして様々な製品が開発され、上市されている。3次元外科治療研修モデルは、特に医学部学生看護学部学生、研修医医療現場医師等の医療従事者が使用するものであり、例えば、縫合切開を練習する皮膚のモデルや、採血や注射を練習する血管のモデル、外科手術を練習する心臓及び肝臓等の臓器モデル等がある。
このように、3次元外科治療研修モデルは医療従事者の技量向上に大きく貢献している。

0004

これまで、3次元外科治療研修モデルに用いられる材料としては、ポリビニルアルコールシリコンウレタンポリ乳酸ABS樹脂などが知られている。
例えば、特許文献1、2にはポリビニルアルコールを用いた臓器モデルが開示されている。ポリビニルアルコールを用いることにより、水分を含有するヒドロゲルを作成可能であるため、本物の臓器感触が類似するモデルが作製可能となる。つまり、手技トレーニングをする上でリアリティーを有するモデルが作製可能となる。また、ポリビニルアルコール以外の材料を用いた3次元外科治療研修モデルの例としては特許文献3、4が挙げられる。

先行技術

0005

特開2015−41020号公報
特開2010−277003号公報
特開2015−138192号公報
特開2017−21137号公報

発明が解決しようとする課題

0006

従来の3次元外科治療研修モデルは、外科治療の研修として切断を伴う執刀トレーニング等に供されると、繰り返しの使用ができず、1度の使用で廃棄されるのが現状である。繰り返し使用ができない従来のモデルでは、例えば以下の問題が挙げられる。

0007

(i)実際の治療現場においては、患者容態により術前シミュレーション掛けられる時間が制限される場合もあり、繰り返し使用ができない従来のモデルでは、短時間で多角的な(様々な執刀イメージシミュレーションが困難である。また、採血研修モデルにおいては、模擬血管内部に圧力を加えた模擬血液留置しているため、採血のトレーニングで生じた針穴から模擬血液が溢れ出る虞がある。そのため、トレーニングの際に作業環境が劣悪になるだけでなく、模擬血液や採血モデルの消耗が著しい問題がある。
(ii)3次元外科治療研修モデルは比較的高価なものであるため、1度の使用で廃棄される従来のモデルでは練習に必要な数が用意できない場合があり、医療従事者が十分に練習できない虞が生じる。
(iii)形状や質感等に個体差が出るものであるため、練習の再現性が悪く、治療技量の向上の妨げとなる虞がある。
(iv)1回の使用で廃棄されるため廃棄物量も増加する。

0008

そこで本願は、切断された場合や針穴が生じた場合でも繰り返し使用可能な3次元外科治療研修モデル用組成物を提供することにより、上記課題を解決するものである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、自己修復性を有するポリマーゲルを用いることにより、繰り返し使用可能な3次元外科治療研修モデル用組成物を作製できることを見出し、本発明を完成させた。

0010

すなわち、本願は上記課題を解決するための一つの手段として、
自己修復性を有するポリマーゲルを含む3次元外科治療研修モデル用組成物、を開示する。

0011

ここで、「3次元外科治療研修モデル」とは皮膚や血管、臓器等の人体の器官を3次元的に模した構造物であり、単一の器官だけでなく、複数の器官を備えたものも含まれる。なお、「器官」とはいくつかの組織が集まって固有の形態を作り、一定の生理作用を営むものである。

0012

前記組成物において、前記ポリマーゲルがホスト−ゲスト相互作用の原理を利用して自己修復する重合体を備えることが好ましい。

0013

また、前記重合体がホスト基含有アクリルアミド系モノマー由来構造単位を1モル%以上8モル%以下、ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー由来の構造単位を1モル%以上8モル%以下、アクリルアミド系モノマー由来の構造単位を84モル%以上98モル%以下含有し、前記ポリマーゲルは前記重合体の網目構造間隙水系溶媒を含み、前記組成物の硬さが換算値で931mN以上4264mN以下であることが好ましい。

0014

ここで「換算値」とは、組成物の硬さを測定する機器測定値から算出される換算値であり、例えばゴム硬度計スプリング荷重の測定値から換算値を算出することができる。

0015

さらに、前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー由来の構造単位が下記一般式(1)であり、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー由来の構造単位が下記一般式(2)であり、前記アクリルアミド系モノマー由来の構造単位が下記一般式(3)であることが好ましい。

0016

0017

0018

0019

ここで、R1〜R7は水素又はメチル基を表している。RHはホスト基を表しており、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、又はγ−シクロデキストリンのいずれかである。RGはゲスト基を表しており、n−ブチル基、n−ドデシル基、t−ブチル基、イソボルニル基又はアダマンチル基のいずれかである。

0020

また、前記水系溶媒が水からなる、或いは水及び水よりも沸点の高い親水性溶媒を含むことが好ましい。前記親水性溶媒としては特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジエチレングリコールプロピレングリコールジプロピレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコールグリセリン及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。

0021

前記組成物における前記水系溶媒の含有量が前記ポリマーゲルを基準として49.45重量%以上85.45重量%以下であり、前記水系溶媒中の水の含有量が前記ポリマーゲルを基準として15.40重量%以上であることが好ましい。

0022

また、前記組成物において、前記ポリマーゲルがフィラーを含むことが好ましい。また、前記フィラーは有機系フィラーであることが好ましい。さらに、前記ポリマーゲルがフィラーを含む場合、前記水系溶媒の含有量が前記ポリマーゲルを基準として45.85重量%以上69.21重量%以下であり、前記水系溶媒中の水の含有量が前記ポリマーゲルを基準として14.50重量%以上であり、前記フィラーの含有量が前記ポリマーゲルを基準として15.00重量%以上26.00重量%以下であることが好ましい。

0023

さらに、本願は上記課題を解決するための一つの手段として、
上記組成物を製造する方法であって、前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記アクリルアミド系モノマー、及び前記水系溶媒を混合する工程と、前記混合する工程により得られる溶液重合開始剤を添加する工程と、前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、及び前記アクリルアミド系モノマーを重合させる工程と、を備え、前記重合させる工程における溶液中の前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記アクリルアミド系モノマー、及び前記水系溶媒の含有量を調整することで、前記組成物の硬さを調整する、3次元外科治療研修モデル用組成物の製造方法、を開示する。

0024

上記組成物がフィラーを含む場合は、本願は上記課題を解決するための一つの手段として、
フィラーを含む上記組成物を製造する方法であって、前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記アクリルアミド系モノマー、前記水系溶媒、及び前記フィラーを混合する工程と、前記混合する工程により得られる溶液に重合開始剤を添加する工程と、前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、及び前記アクリルアミド系モノマーを重合させる工程と、を備え、前記重合させる工程における溶液中の前記ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、前記アクリルアミド系モノマー、前記水系溶媒、及び前記フィラーの含有量を調整することで、前記組成物の硬さを調整する、3次元外科治療研修モデル用組成物の製造方法を開示する。

0025

これらの製造方法において、前記混合する工程及び添加する工程のうち少なくとも一方において重合促進剤を添加し、前記重合させる工程における溶液中の前記重合促進剤の含有量を調整することにより前記組成物の硬さを調整することができる。

0026

また、前記重合させる工程により得られるゲルを浸漬用溶媒に浸漬させる工程をさらに備え、前記浸漬用溶媒は前記親水性溶媒からなり、或いは前記親水性溶媒及び水を含み、前記ゲルの浸漬時間及び前記浸漬用溶媒における前記親水性溶媒の濃度のうち少なくとも一方を調整することにより前記組成物の硬さを調整することができる。

発明の効果

0027

本開示の3次元外科治療研修モデル用組成物は自己修復性を有するため、切断されたとしても切断界面を自己修復可能であり、繰り返し使用することができる。よって本開示の組成物によれば、十分に治療の練習をする機会を医療従事者に与えることができる。また、繰り返し使用することができるため、治療練習の再現性が高い。さらに、モデルの廃棄量も低減できる。

図面の簡単な説明

0028

組成物の製造方法の1つの態様(製造方法10)を説明する図である。

0029

以下、本開示の3次元外科治療研修モデル用組成物及びその製造方法の実施形態を説明する。

0030

<3次元外科治療研修モデル用組成物>
本開示の3次元外科治療研修モデル用組成物は自己修復性を有するポリマーゲルを含む。

0031

ここで、「3次元外科治療研修モデル」とは皮膚や血管、臓器等の人体の器官を3次元的に模した構造物であり、単一の器官だけでなく、複数の器官を備えたものも含まれる。なお、「器官」とはいくつかの組織が集まって固有の形態を作り、一定の生理作用を営むものである。

0032

(ポリマーゲル)
上記ポリマーゲルの好ましい形態としては、ホスト−ゲスト相互作用の原理を利用して自己修復する重合体を備えるものである。
ホスト−ゲスト相互作用とは、ゲスト基がホスト基に包接され包接錯体を形成する際に生じる非共有結合性相互作用である。

0033

(重合体)
ホスト−ゲスト相互作用の原理を利用する重合体は、ホスト基及びゲスト基が包接錯体を形成し、それにより分子中に架橋された部位が形成されるため、全体として3次元の網目構造を有する。そして、この網目構造の間隙に後述する水系溶媒が含有される。なお、非共有結合とは、共有結合以外の結合形式を意味し、疎水性相互作用や、水素結合分子間力静電相互作用配位結合π電子相互作用等を含む概念である。
ホスト−ゲスト相互作用の原理を利用して重合体を構成することにより、ポリマーゲルに自己修復性の機能を付与することができ、加えて、従来の素材(例えば、シリコンやウレタン等)では為しえなかった高伸縮性形状記憶性、強靭性を付与することができる。特に強靭性が付与されることにより、例えば皮膚モデルを作製した場合に、針や糸で縫合したとしてもモデルに亀裂が生じ難くなる。

0034

上記重合体は、アクリルアミド系モノマー由来の構造単位により構成されることが好ましい。具体的には、ホスト基含有アクリルアミド系モノマー(以下において、「ホスト基含有AAモノマー」と表記することがある。)由来の構造単位、ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー(以下において、「ゲスト基含有AAモノマー」と表記することがある。)由来の構造単位、及びアクリルアミド系モノマー(以下において、「AAモノマー」と表記することがある。)由来の構造単位を含む重合体を備えるポリマーゲルである。
これらのAAモノマーを使用して重合体を合成することにより、組成物に防腐性を付与することもできる。なお、従来用いられるポリビニルアルコールを用いたヒドロゲルでは、防腐性がなく劣化しやすい課題がある。

0035

ここで、重合体を構成するこれらAAモノマー由来の構造単位の好ましい含有量は以下のとおりである。
重合体において、ホスト基含有AAモノマー由来の構造単位が0.5モル%以上10モル%以下、ゲスト基含有AA由来の構造単位が0.5モル%以上10モル%以下であることが好ましい。これにより、ホスト基とゲスト基との相互作用が生じやすくなり、重合体中に架橋構造が形成され、安定した構造体が得られやすく、かつ、自己修復性にも優れた重合体となる。より好ましくは、重合体におけるホスト基含有AAモノマー由来の構造単位が1モル%以上8モル%以下、ゲスト基含有AAモノマー由来の構造単位が1モル%以上8モル%以下である。これにより、自己修復性が向上する。特に好ましくは、重合体におけるホスト基含有AAモノマー由来の構造単位が2モル%以上4モル%以下、ゲスト基含有AAモノマー由来の構造単位が2モル%以上4モル%以下である。これにより、さらに自己修復性が向上するとともに、伸縮性も向上する。
なお、重合体中におけるAAモノマー由来の構造単位は80モル%以上99モル%以下含有することが好ましく、84モル%以上98モル%以下であることがより好ましく、92モル%以上96モル%以下であることが特に好ましい。

0036

重合体の重合形態は自己修復性を有することができれば特に限定されず、ランダム共重合であってもよくブロック共重合であってもよく、グラフト共重合であってもよい。

0037

具体的なホスト基含有AAモノマー由来の構造単位としては下記式(1)の構造が挙げられる。下記式(1)で表されるホスト基含有AAモノマー由来の構造単位は重合体中に1種類のみであってもよく、2種類以上あってもよい。

0038

0039

ここで、R1、R2は水素又はメチル基を表している。RHはホスト基を表している。

0040

具体的なゲスト基含有AAモノマー由来の構造単位としては下記式(2)の構造が挙げられる。下記式(2)で表されるゲスト基含有AAモノマー由来の構造単位は重合体中に1種類のみであってもよく、2種類以上あってもよい。

0041

0042

ここで、R3、R4は水素又はメチル基を表している。RGはゲスト基を表している。

0043

具体的なAAモノマー由来の構造単位としては下記式(3)の構造が挙げられる。下記式(3)で表されるAAモノマー由来の構造単位は重合体中に1種類のみであってもよく、2種類以上あってもよい。

0044

0045

ここで、R5、R6、R7は水素又はメチル基を表している。

0046

包接錯体を形成するホスト基及びゲスト基の好ましい組み合わせとしては、例えば、ホスト基としてα−シクロデキストリン(空洞サイズ:4.7〜5.2Å)を用いる場合、ゲスト基としては、炭素数4〜18のアルキル基及びそのアルコール誘導体カルボン酸誘導体アミノ誘導体環状アルキル基又はフェニル基を有するアゾベンゼン誘導体桂皮酸誘導体等が挙げられる。上記炭素数4〜18のアルキル基としては、n−ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基、ノニル基、デシル基ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基が挙げられる。

0047

ホスト基としてβ−シクロデキストリン(空洞サイズ:6.0〜6.5Å)を用いる場合、ゲスト基としては、t−ブチル基、アダマンチル基、イソボルニル基、芳香族化合物及びそのアルコール誘導体、カルボン酸誘導体、アミノ誘導体、フェロセン誘導体アゾベンゼンナフタレン誘導体ダンシル基等が挙げられる。

0048

ホスト基としてγ−シクロデキストリン(空洞サイズ:7.5〜8.5Å)を用いる場合、ゲスト基としては、炭素数18までのアルキル基及びそのアルコール誘導体、カルボン酸誘導体、アミノ誘導体、アダマンチル基、フラーレン等の炭素原子で構成されるクラスター類、及び芳香族系ダンシル基、フェロセン誘導体、アントラセン誘導体等が挙げられる。

0049

上記のほかに、ホスト基としてはカリックス[6]アレーンスルホン酸、カリックス[8]アレーンスルホン酸、12−クラウン−4エーテル、18−クラウン−6エーテル、[6]パラシクロファン、[2,2]パラシクロファン、ククルビット[6]ウリル及びククルビット[8]ウリルを挙げることができる。これに組み合わせるゲスト基としては、上記に例示したゲスト基のいずれかを用いることができる。

0050

ホスト−ゲスト相互作用が起こりやすく、自己修復性をより向上させる観点から、ホスト基としてα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、又はγ−シクロデキストリンのいずれかあることが好ましい。同様の理由により、ゲスト基としてn−ブチル基、n−ドデシル基、t−ブチル基、イソボルニル基又はアダマンチル基のいずれかであることが好ましい。ホスト基とゲスト基の組み合わせとしては、α−シクロデキストリン及びn−ドデシル基、又はβ−シクロデキストリン及びアダマンチル基が特に好ましい。

0051

(水系溶媒)
ポリマーゲルは重合体の網目構造の間隙に水系溶媒を含むことが好ましい。水系溶媒は水を含む溶媒であれば特に限定されないが、水からなる、或いは水及び水よりも沸点の高い親水性溶媒を含むことが好ましい。
水を含むことにより、実際の器官に近い質感や感触を組成物に与えることができる。また、水よりも沸点が高い親水性溶媒を含むことにより、組成物が乾燥され難くなり、乾燥による劣化、例えば、自己修復性の低下や質感及び感触等の劣化が抑制される。すなわち、研修モデルとして長期間の使用に適する形態になる。

0052

水としては、純水、イオン交換水水道水等を用いることができる。

0053

水よりも沸点が高い親水性溶媒は、常圧で100℃を超える沸点を有するものである。沸点の上限は特に限定されないが、常圧で300℃以下であれば、ポリマーゲルの膨潤性が優れ、物性の悪化も引き起こしにくい。また、ポリマーゲルに対して親和性の高い水酸基を有する溶媒が好ましい。
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン及びジエチレングリコールモノエチルエーテルを挙げることができ、これらは1種類でもよく2種類混合されていてもよい。より好ましくはグリセリンを含む溶媒である。

0054

ポリマーゲル中の水系溶媒の含有量はポリマーゲル全体を基準として、49.45重量%以上85.45重量%以下であることが好ましい。ポリマーゲル中の水系溶媒の含有量が85.45重量%を超えると、ポリマーゲルの形状が維持できない虞がある。一方で、ポリマーゲル中の水系溶媒の含有量が49.45重量%未満であると組成物の硬さが硬くなる傾向にあり、組成物の硬さの調整がし難くなる。
なお、水系溶媒中には水を、ポリマーゲル全体を基準として14.50重量%以上含むことが好ましく、15.40重量%以上含むことがより好ましい。これにより、実際の器官に近い質感や感触を組成物に与えることができる。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、ポリマーゲル全体を基準として0重量%以上56.00重量%以下含むことができる。「0重量%以上」としているのは、水系溶媒に親水性溶媒を含むことが必須ではないからである。ただし、耐乾燥性を高めるためには、上記親水性溶媒の含有量が10.00重量%以上であることが好ましい。

0055

(その他の添加剤
ポリマーゲルは、自己修復性を損なわない範囲で、その他の添加剤を含有することができる。例えば、着色料酸化防止剤紫外線吸収剤光安定化剤、有機系フィラーや、無機化合物フィラー金属フィラー等のフィラー、電解質、イオン液体防腐剤抗菌剤等が挙げられる。

0056

(フィラー)
上記したとおり、ポリマーゲルはフィラーを含むことができる。ポリマーゲル中にフィラーが含まれることにより、組成物の硬さを所望の硬さに調整することができる。また、組成物のタック性を低減することができる。さらに組成物の加工性を向上させることができる。よって、ポリマーゲルにフィラーを含めることにより、組成物の取り扱いが容易になる。

0057

ここで、タック性とは組成物の粘着性を表している。組成物の粘着性は表面を指触した際に、組成物が指にくっつかない程度であることが好ましい。これにより、実際の臓器に近い感触を得られる。フィラーが含まれていないポリマーゲルでは、タック性が強く現れ、組成物の表面を指触すると組成物が指にくっつく場合がある。
また、加工性とは組成物の形状の加工し易さを表しており、例えば裁断性や切削性を挙げることができる。組成物の加工性を向上することにより、加工が必要な臓器モデルの作製が容易になる。例えば皮膚モデルの場合、現実の皮膚の質感に近付けるために硬さの異なる層を複数積層させて作製する場合がある。その場合、硬さの異なるシート状の組成物をそれぞれ裁断し、大きさを合わせた後に積層するため、組成物の加工性は良い方が好ましい。また、組成物の形状はポリマーゲルを作製する型(容器)に依存するため、加工性を向上させることにより、精密な臓器形状の型を用いなくともポリマーゲルを作製後に組成物の形状を加工することが容易となる。なお、組成物の加工性を向上させることにより、組成物の裁断時における感触も現実の臓器に近付く。

0058

ポリマーゲルに含むことができるフィラーの種類は特に限定されず、有機系フィラーや、無機化合物フィラー、金属フィラー等のフィラーを用いることができる。好ましくは、有機系フィラーである。有機系フィラーは人体への影響が少なく、臓器モデルに適している。有機系フィラーとしてはアクリル酸アミド重合物ゼラチン、及び寒天からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。組成物の透明性を高める観点から、組成物の屈折率と近いアクリル酸アミド重合物であることがより好ましい。

0059

ポリマーゲル中のフィラーの含有量は、ポリマーゲル全体を基準として15.00重量%以上26.00重量%以下であることが好ましい。これにより、臓器モデルとして適切なタック性(組成物の表面を指触した場合、指にくっつかない程度のタック性)を有する組成物を得ることができる。より好ましくは、21.00重量%以上26.00重量%以下である。これにより、より加工に適した組成物を得ることができる。
なお、ポリマーゲル中にフィラーを含める場合、水系溶媒の含有量はポリマーゲル全体を基準として45.85重量%以上69.21重量%以下であることが好ましい。また、このとき水系溶媒中の水の含有量は前記ポリマーゲルを基準として14.50重量%以上であることが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、ポリマーゲル全体を基準として0重量%以上50.61重量%以下含むことができる。

0060

(組成物の硬さ)
組成物の硬さは、実際の器官の質感、感触等を再現するために非常に重要な要因である。本願においては、組成物の硬さを換算値で931mN以上4264mN以下にすることが好ましい。これにより、所望の器官に近い質感や感触を組成物に付与することができる。

0061

ここで「換算値」とは、組成物の硬さを測定する機器の測定値から算出される換算値であり、例えばゴム硬度計のスプリング荷重の測定値から換算値を算出することができる。測定方法はJIS K6253‐3に倣って行うことができる。ゴム硬度計としてはアスカーゴム硬度計CSC2型高分子計器株式会社製)が挙げられる。

0062

(組成物の形状)
本開示の組成物はモデルとする器官を模した形状とすることができる。例えば、後述する製造方法をモデルとする器官に模した型内で行うことにより、望みの形状を形成することができる。上記型は、例えば3Dプリンタ等によって作製できる。また、モデルとする器官に似せるために、組成物に着色等を行うこともできる。

0063

(各モデルに適した組成物)
以下に各モデルに適した組成物の組成について説明する。

0064

3次元外科治療研修モデルとして肝臓モデルを作製する場合は、ポリマーゲルを構成する重合体において、ホスト基含有AAモノマー由来の構造単位が1モル%以上8モル%以下、ゲスト基含有AAモノマー由来の構造単位が1モル%以上8モル%以下、AAモノマー由来の構造単位が84モル%以上98モル%以下であることが好ましい。
ポリマーゲル中の水系溶媒の含有量はポリマーゲル全体を基準として、55.60重量%以上85.45重量%以下であることが好ましい。このとき、水系溶媒は水を、ポリマーゲル全体を基準として15.4重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、ポリマーゲル全体を基準として0重量%以上56.00重量%以下含むこともできる。
一方で、ポリマーゲル中にフィラーを含める場合は、ポリマーゲル中のフィラーの含有量はポリマーゲル全体を基準として、15.00重量%以上21.00重量%以下であることが好ましい。ポリマーゲル中の水系溶媒の含有量はポリマーゲル全体を基準として、64.41重量%以上69.21重量%以下であることが好ましい。このとき、水系溶媒は水を、ポリマーゲル全体を基準として17.30重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、ポリマーゲル全体を基準として0重量%以上50.61重量%以下含むこともできる。
組成物の硬さは931mN以上1911mN以下であることが好ましい。
上記した範囲を満たすことにより、実際の健康な肝臓に非常に近い質感や感触を再現できる。ただし、再現する患者の性別年齢により、肝臓の硬さは様々であるため、上記範囲に留まらず適宜変更してもよい。病変した肝臓(肝硬変肝臓がんなど)を再現する場合においても同様である。

0065

3次元外科治療研修モデルとして心臓モデルを作製する場合は、ポリマーゲルを構成する重合体において、ホスト基含有AAモノマー由来の構造単位が1モル%以上8モル%以下、ゲスト基含有AAモノマー由来の構造単位が1モル%以上8モル%以下、AAモノマー由来の構造単位が84モル%以上98モル%以下であることが好ましい。
ポリマーゲル中の水系溶媒の含有量はポリマーゲル全体を基準として、55.60重量%以上71.40重量%以下であることが好ましい。このとき、水系溶媒は水を、ポリマーゲル全体を基準として25.15重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、ポリマーゲル全体を基準として0重量%以上37.00重量%以下含むこともできる。
一方で、ポリマーゲル中にフィラーを含める場合は、ポリマーゲル中のフィラーの含有量はポリマーゲル全体を基準として、23.00重量%以上26.00重量%以下であることが好ましい。ポリマーゲル中の水系溶媒の含有量はポリマーゲル全体を基準として、55.00重量%以上62.00重量%以下であることが好ましく、58.00重量%以上61.00重量%以下であることが好ましい。このとき、水系溶媒は水を、ポリマーゲル全体を基準として16.20重量%以上含むことがより好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、ポリマーゲル全体を基準として0重量%以上44.11重量%以下含むこともできる。
組成物の硬さは2068mN以上2696mN以下であることが好ましい。
上記した範囲を満たすことにより、実際の健康な心臓に非常に近い質感や感触を再現できる。ただし、再現する患者の性別や年齢により、心臓の硬さは様々であるため、上記範囲に留まらず適宜変更してもよい。病変した心臓(心筋梗塞心臓肥大など)を再現する場合においても同様である。

0066

3次元外科治療研修モデルとして皮膚モデルを作製する場合は、ポリマーゲルを構成する重合体において、ホスト基含有AAモノマー由来の構造単位が1モル%以上8モル%以下、ゲスト基含有AAモノマー由来の構造単位が1モル%以上8モル%以下、AAモノマー由来の構造単位が84モル%以上98モル%以下であることが好ましい。
ポリマーゲル中の水系溶媒の含有量はポリマーゲル全体を基準として、49.45重量%以上71.89重量%以下であることが好ましい。このとき、水系溶媒は水を、ポリマーゲル全体を基準として19.55重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、ポリマーゲル全体を基準として0重量%以上52.00重量%以下含むこともできる。
一方で、ポリマーゲル中にフィラーを含める場合は、ポリマーゲル中のフィラーの含有量はポリマーゲル全体を基準として、15.00重量%以上26.00重量%以下であることが好ましい。ポリマーゲル中の水系溶媒の含有量はポリマーゲル全体を基準として、45.85重量%以上69.21重量%以下であることが好ましい。このとき、水系溶媒は水を、ポリマーゲル全体を基準として14.50重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、ポリマーゲル全体を基準として0重量%以上50.61%以下含むこともできる。
組成物の硬さは1166mN以上4264mN以下であることが好ましい。
上記した範囲を満たすことにより、実際の皮膚に非常に近い質感や感触を再現できる。ただし、再現する患者の性別や年齢により、皮膚の硬さは様々であるため、上記範囲に留まらず適宜変更してもよい。病変した皮膚(やけど皮膚がんケロイドなど)を再現する場合においても同様である。
なお、皮膚は表皮真皮など多層に渡る器官であるため、様々な硬さに調整したポリマーゲルを複数積層させて用いることで、より本物に近い質感を得ることができる。このような事情から、皮膚モデル用組成物の硬さは、肝臓モデル用組成物や心臓モデル用組成物よりも広い範囲に設定される。

0067

(ホスト−ゲスト相互作用の原理を利用した自己修復)
ここで、ホスト−ゲスト相互作用によりポリマーゲルが自己修復する機構について簡単に説明する。
上記組成物は、通常、ホスト基及びゲスト基の少なくとも一部が包接錯体を形成している状態で構成されている。この組成物が治療トレーニングに供され切断されると、切断界面においてホスト基及びゲスト基が解離した状態になる。そして、トレーニング等が終わった後、組成物を元に戻すために切断界面を再接触させると、解離したホスト基及びゲスト基が再度包接され、切断界面同士が接着融合する。

0068

本開示の組成物は上記のようなホスト−ゲスト相互作用の原理を利用して自己修復するため、特殊な用具の使用や複雑な構成要件を備えることなく、常温常圧下において切断界面を簡易に自己修復可能となっている。
一方、他の原理を用いた自己修復性を有するポリマーゲルでは加温や紫外線可視光照射を行ったり、ポリマーゲル中に内包させたマイクロカプセル破壊し、該マイクロカプセルから内容物(モノマー等)を放出させたりすることで、自己修復を可能にしている。このように、他の原理を用いた自己修復性を有するポリマーゲルでは、特殊な用具の使用や複雑な構成要件を備える必要がある。

0069

<3次元外科治療研修モデル用組成物の製造方法>
次に上記した3次元外科治療研修モデル用組成物の製造方法について説明する。

0070

上記組成物の製造方法の1つの態様(以下において、「製造方法10」と表記することがある。)について説明する。
製造方法10は、ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、アクリルアミド系モノマー、及び水系溶媒を混合する工程(以下において、「S11」と表記することがある。)と、S11により得られる溶液に重合開始剤を添加する工程(以下において、「S12」と表記することがある。)と、ホスト基含有アクリルアミド系モノマー、ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、及びアクリルアミド系モノマーを重合させる工程(以下において、「S13」と表記することがある。)と、を備える。
上記のS11、S12において、S13における溶液中のホスト基含有アクリルアミド系モノマー、ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー、アクリルアミド系モノマー、及び水系溶媒の含有量を調整することで、組成物の硬さを調整することができる。
図1に製造方法10のフローチャートを示した。

0071

(S11:混合する工程)
S11ではホスト基含有AAモノマー、ゲスト基含有AAモノマー、AAモノマー、及び水系溶媒を混合する。必要に応じてS11において重合促進剤を添加する。また、フィラーを添加して混合してもよい。フィラーを添加すると、製造される組成物のタック性の低減及び加工性の向上が可能となる。
なお、S11において混合後に加温や静置超音波分散処理等を行い、ホスト基とゲスト基とを包接させ、包接錯体を形成しておくことが好ましい。

0072

重合促進剤としては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンTEMED)、アスコルビン酸ナトリウム等を挙げることができる。

0073

(S12:添加する工程)
S12では、S11により得られる溶液に重合開始剤を添加する。また、必要に応じてS12においても上記重合促進剤を添加することができる。

0074

重合開始剤としては、過硫酸アンモニウムAPS)、アゾビスイソブチロニトリルAIBN)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イルプロパンジヒドロクロライド(VA−044)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ジ−tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド過酸化ベンゾイル過酸化水素光重合開始剤イルガキュア登録商標シリーズ等)等が挙げられる。好ましくは、APS、VA−044である。

0075

(S13:重合させる工程)
S13ではホスト基含有AAモノマー、ゲスト基含有AAモノマー、及びAAモノマーを重合させる。
このとき、S13における溶液中のホスト基含有AAモノマー、ゲスト基含有AAモノマー、AAモノマー、及び水系溶媒の含有量に応じて、製造される組成物の硬さが決定する。よって、組成物の硬さを目的の硬さに調整するために、S13における溶液中の成分の含有量を前工程(S11、S12)において調整することが好ましい。フィラーを添加した場合は、S13における溶液中のホスト基含有AAモノマー、ゲスト基含有AAモノマー、AAモノマー、水系溶媒、及びフィラーの含有量に応じて、製造される組成物の硬さが決定する。また、重合促進剤を添加した場合、S13における溶液中の重合促進剤の含有量に応じても組成物の硬さが変化する。よって、フィラーの含有量及び/又は重合促進剤の含有量もS11、S12において調整することが好ましい。

0076

具体的には、S13における溶液中のホスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として2.00重量%以上26.00重量%以下であり、ゲスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として0.35重量%以上3.90重量%以下であり、AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として9.00重量%以上29.60重量%以下であり、水系溶媒の含有量が溶液全体を基準として49.45重量%以上85.45重量%以下であることが好ましい。
水系溶媒は水を、溶液全体を基準として14.50重量%以上含むことが好ましく、15.40重量%以上含むことがより好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、溶液全体を基準として0重量%以上56.00重量%以下含むことができる。「0重量%以上」としているのは、水系溶媒に親水性溶媒を含むことが必須ではないからである。耐乾燥性を高めるためには、上記親水性溶媒の含有量が10.00重量%以上であることが好ましい。
これにより、組成物を所望の硬さに調整することができる。

0077

フィラーを添加した場合は、S13における溶液中のホスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として4.80重量%以上10.00重量%以下であり、ゲスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として0.70重量%以上1.50重量%以下であり、AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として8.00重量%以上16.30重量%以下であり、水系溶媒の含有量が溶液全体を基準として45.85重量%以上69.21重量%以下に調整であり、フィラーの含有量が溶液全体を基準として15.00重量%以上26.00重量%以下であることが好ましい。
水系溶媒は水を、溶液全体を基準として14.50重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、溶液全体を基準として0重量%以上50.61重量%以下含むことができる。
これにより、組成物を所望の硬さに調整することができる。また、臓器モデルとして適切なタック性を有する組成物も得ることができる。また、フィラーの含有量が溶液全体を基準として21.00重量%以上26.00重量%以下である場合、より加工に適した組成物を得ることができる。

0078

重合促進剤を添加する場合は、S13における溶液中の重合促進剤の含有量が溶液全体を基準として0.01重量%以上3.00重量%以下であることが好ましい。フィラーを添加した場合は、S13における溶液中の重合促進剤の含有量が溶液全体を基準として0.01重量%以上1.00重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以上0.50重量%以下であることがより好ましく、0.09重量%以上0.25重量%以下であることがさらに好ましい。
重合促進剤の含有量が0.01重量%未満であると、重合反応が速やかに進行しない場合がある。一方で、重合促進剤の含有量が3.00重量%を超えると、重合反応が過剰に進行し、得られるポリマーゲルが柔らかくなりすぎる傾向にあり、形状の維持が難しくなる。

0079

なお、水系溶媒が2種類以上の成分から構成されるときは、これらの成分の比率によっても組成物の硬さを調整することができる。
また、水系溶媒のうち水の含有量が溶液全体を基準として14.50重量%未満であると、モノマーの溶解性が悪くなる傾向にある。

0080

さらに各モデルに適した組成物を製造するための好ましい含有量を説明する。
肝臓モデルのための組成物を製造する際には、S13における溶液中のホスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として2.00重量%以上11.00重量%以下であり、ゲスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として0.35重量%以上1.80重量%以下であり、AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として9.00重量%以上18.50重量%以下であり、水系溶媒の含有量が溶液全体を基準として55.60重量%以上85.45重量%以下であることが好ましい。
水系溶媒は水を、溶液全体を基準として15.40重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、溶液全体を基準として0重量%以上56.00重量%以下含むこともできる。
重合促進剤を添加する場合は、S13における溶液中の重合促進剤の含有量が、溶液全体を基準として0.50重量%以上3.00重量%以下であることが好ましい。

0081

フィラーを添加した場合は、S13における溶液中のホスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として5.10重量%以上5.50重量%以下であり、ゲスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として0.80重量%以上0.90重量%以下であり、AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として8.50重量%以上9.20重量%以下であり、水系溶媒の含有量が溶液全体を基準として64.41重量%以上69.21重量%以下であり、フィラーの含有量が溶液全体を基準として15.00重量%以上21.00重量%以下であることが好ましい。
水系溶媒は水を、溶液全体を基準として17.30重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、溶液全体を基準として0重量%以上50.61重量%以下含むこともできる。
重合促進剤を添加する場合は、S13における溶液中の重合促進剤の含有量が、溶液全体を基準として0.01重量%以上1.00重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以上0.50重量%以下であることがより好ましく、0.09重量%以上0.25重量%以下であることがさらに好ましい。

0082

心臓モデルのための組成物を製造する際には、S13における溶液中のホスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として10.00重量%以上15.50重量%以下であり、ゲスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として1.50重量%以上2.50重量%以下であり、AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として16.50重量%以上26.00重量%以下であり、水系溶媒の含有量が溶液全体を基準として55.60重量%以上71.40重量%以下であることが好ましい。
水系溶媒は水を、溶液全体を基準として25.15重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、溶液全体を基準として0重量%以上37重量%以下含むこともできる。
重合促進剤を添加する場合は、S13における溶液中の重合促進剤の含有量が、溶液全体を基準として0.40重量以上0.60重量%以下であることが好ましく、0.45重量%以上0.55重量%以下であることがより好ましく、0.50重量%であることが特に好ましい。

0083

フィラーを添加した場合は、S13における溶液中のホスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として4.80重量%以上5.00重量%以下であり、ゲスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として0.70重量%以上0.75重量%以下であり、AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として8.00重量%以上8.30重量%以下であり、水系溶媒の含有量が溶液全体を基準として55.00重量%以上62.00重量%以下であり(より好ましくは、58.00重量%以上61.00重量%以下である。)、フィラーの含有量が溶液全体を基準として23.00重量%以上26.00重量%以下であることが好ましい。
水系溶媒は水を、溶液全体を基準として16.20重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、溶液全体を基準として0重量%以上44.11重量%以下含むこともできる。
重合促進剤を添加する場合は、S13における溶液中の重合促進剤の含有量が、溶液全体を基準として0.01重量%以上1.00重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以上0.50重量%以下であることがより好ましく、0.09重量%以上0.25重量%以下であることがさらに好ましい。

0084

皮膚モデルのための組成物を製造する際には、S13における溶液中のホスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として10重量%以上26重量%以下であり、ゲスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として1.50重量%以上3.90重量%以下であり、AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として13.90重量%以上29.60重量%以下であり、水系溶媒の含有量が溶液全体を基準として49.45重量%以上71.89重量%以下であることが好ましい。
水系溶媒は水を、溶液全体を基準として19.55重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、溶液全体を基準として0重量%以上52.00重量%以下含むこともできる。
重合促進剤を添加する場合は、S13における溶液中の重合促進剤の含有量が、溶液全体を基準として0.01重量%以上1.50重量%以下であることが好ましい。

0085

フィラーを添加した場合は、S13における溶液中のホスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として4.80重量%以上10.00重量%以下であり、ゲスト基含有AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として0.70重量%以上1.50重量%以下であり、AAモノマーの含有量が溶液全体を基準として8.00重量%以上16.30重量%以下であり、水系溶媒の含有量が溶液全体を基準として45.85重量%以上69.21重量%以下であり、フィラーの含有量が溶液全体を基準として15.00重量%以上26.00重量%以下であることが好ましい。
水系溶媒は水を、溶液全体を基準として14.50重量%以上含むことが好ましい。また、水系溶媒は水よりも沸点が高い親水性溶媒を、溶液全体を基準として0重量%以上50.61重量%以下含むこともできる。
重合促進剤を添加する場合は、S13における溶液中の重合促進剤の含有量が、溶液全体を基準として0.01重量%以上1.00重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以上0.50重量%以下であることがより好ましく、0.09重量%以上0.25重量%以下であることがさらに好ましい。

0086

また、S13における溶液中の重合開始剤の濃度は、上記モノマーを適切に重合させることができれば特に限定されないが、溶液全体を基準として0.03重量%以上0.10重量%以下であることが好ましい。
重合反応の条件は適宜設定することができるが、例えば、溶液を0〜80℃、好ましくは5〜25℃で撹拌することで行える。重合反応の反応時間は30秒〜24時間とすることができ、好ましくは30秒〜1時間とすることができる。なお、重合開始剤として、光重合開始剤を用いる場合は、例えば、溶液に波長200〜405nmのUV光照射することにより重合反応を行うことができる。

0087

なお、S13により得られたゲルは必要に応じて精製や乾燥、養生を行うことができる。

0088

以上S11〜S13の工程により本開示の組成物を製造することができるが、以下の浸漬させる工程(以下において、「S14」と表記することがある。)をさらに行ってもよい。

0089

(S14:浸漬させる工程)
S14では、S13により得られるゲルを浸漬用溶媒に浸漬させる。
浸漬用溶媒は上記親水性溶媒からなる、或いは上記親水性溶媒及び水を含むことが好ましい。
浸漬条件は室温下で行うことができる。また、浸漬する際には、ゲルが浸漬用溶媒に完全に浸漬するようにすることが好ましい。

0090

S14におけるゲルの浸漬時間は、製造される組成物を所望の硬さにするために適宜調節することができる。例えば、浸漬時間を0.1時間以上48時間以下とすることができる。これにより、ポリマーゲル中の水の少なくとも一部が上記親水性溶媒に置換され、ポリマーゲルは水及び親水性溶媒を含むようになる。
なお、肝臓モデルのための組成物を製造する際には浸漬時間を12時間以上48時間以下とし、心臓モデルのための組成物を製造する際には浸漬時間を6時間以上24時間以下とし、皮膚モデルのための組成物を製造する際には浸漬時間を1時間以上6時間以下とすることが好ましい。ただし、これらの好ましい浸漬時間は1つの例であり、造形物の大きさや表面積により適宜変更される。

0091

また、浸漬用溶媒における親水性溶媒の濃度によっても、組成物の硬さが調整される。例えば、浸漬用溶媒における親水性溶媒の好ましい濃度としては、20重量%以上100重量%以下の範囲を挙げることができる。

0092

以上、製造方法10により本開示の組成物が得られる。また、モデルとする器官を模した型内で製造方法10を行うことにより、複雑な形状であっても3次元的に精巧なモデルを容易に造形することができる。

0093

以下に実施例について説明するが、本開示の組成物及びその製造方法はこれに限定されない。

0094

実施例において用いたモノマーは次のとおりである。
・ホスト基含有アクリルアミド系モノマー(ホスト基含有AAモノマー):モノ‐6‐デオキシ‐6‐(アクリルアミド)‐β‐シクロデキストリン(国際公開2012/036069号に基づいて作製、純度88%)を用いた。これが重合されると、上記式(1)において、R1、R2が水素であり、RHがβ‐シクロデキストリン(6位のヒドロキシ基で結合)である構造単位になる。
・ゲスト基含有アクリルアミド系モノマー(ゲスト基含有AAモノマー):N‐(1‐アダマンチル)アクリルアミド(国際公開2012/036069号に基づいて作製、純度99%以上)を用いた。これが重合されると、上記式(2)において、R3、R4が水素であり、RGがアダマンチル基(1位で結合)である構造単位になる。
・アクリルアミド系モノマー(AAモノマー):アクリルアミド(製造元和光純薬工業株式会社、純度98%以上)を用いた。これが重合されると、上記式(3)において、R5、R6、R7が水素である構造単位になる。

0095

(実施例1〜4、8〜13、比較例1、2、5〜8)
サンプル管(3ml)に、ホスト基含有AAモノマー、ゲスト基含有AAモノマー、AAモノマー、及び水を入れ、混合した。そして、この混合液に超音波を照射しながら5分間撹拌し、モノマーを完全に溶解させた。次いで、溶液に重合開始剤であるAPS(和光純薬工業株式会社製)と重合促進剤であるTEMED(和光純薬工業株式会社製)を添加し、得られた溶液を重合反応条件(室温に1時間放置)に供した。この状態において室温下(25℃)、湿潤状態(Rh80±5%)で12時間静置した。これにより実施例1〜4、8〜13、比較例1、2、5〜8に係る組成物(ポリマーゲル)を得た。
なお、重合開始時の溶液の成分は表1、3〜5のとおりである。

0096

(実施例5)
サンプル管(3ml)に、ホスト基含有AAモノマー、ゲスト基含有AAモノマー、AAモノマー、及び水を入れ、混合した。そして、この混合液に超音波を照射しながら5分間撹拌し、モノマーを完全に溶解させた。次いで、溶液に重合開始剤であるAPS(和光純薬工業株式会社製)と重合促進剤であるTEMED(和光純薬工業株式会社製)を添加し、得られた溶液を重合反応条件(室温に1時間放置)に供した。そして、得られたゲルを100mlビーカに移し、ゲルが完全に浸漬するまでグリセリンを注いだ。この状態において室温下(25℃)、12時間静置した。これにより実施例5に係る組成物(ポリマーゲル)を得た。
なお、重合開始時の溶液の成分は表2のとおりである。

0097

(実施例6、7、14〜19、比較例3、4、9)
サンプル管(3ml)に、ホスト基含有AAモノマー、ゲスト基含有AAモノマー、AAモノマー、水、及びグリセリン(阪本薬品工業株式会社製)を入れ、混合した。そして、この混合液に超音波を照射しながら5分間撹拌し、モノマーを完全に溶解させた。次いで、溶液に重合開始剤であるAPS(和光純薬工業株式会社製)と重合促進剤であるTEMED(和光純薬工業株式会社製)を添加し、得られた溶液を重合反応条件(室温に1時間放置)に供した。これにより実施例6、7、14〜19、比較例3、4、9に係る組成物(ポリマーゲル)を得た。
なお、重合開始時の溶液の成分は表2、3、5、6のとおりである。

0098

(実施例20〜25、比較例10〜13)
まず、アクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)200mg、水3000mg、TEMED(和光純薬工業株式会社製)17mg、APS(和光純薬工業株式会社製)34mgを混合し、室温で1時間放置して、重合物を得た。次いで、得られた重合物を乳鉢すりつぶし、フィラー(アクリル酸アミド重合物)を調製した。
次に、サンプル管(3ml)に、ホスト基含有AAモノマー、ゲスト基含有AAモノマー、AAモノマー、水、グリセリン(阪本薬品工業株式会社製)、及び上記のフィラーを入れ、混合した。そして、この混合液に超音波を照射しながら5分間撹拌し、モノマーを完全に溶解させた。次いで、溶液に重合開始剤であるAPS(和光純薬工業株式会社製)と重合促進剤であるTEMED(和光純薬工業株式会社製)を添加し、得られた溶液を重合反応条件(室温に1時間放置)に供した。これにより実施例20〜25、比較例10〜13に係る組成物(ポリマーゲル)を得た。
なお、重合開始時の溶液の成分は表6のとおりである。

0099

状態評価
上記により作製された組成物の状態について目視及び指触(指でさわる)で評価した。組成物の形状が維持されており、かつ、3次元外科治療研修モデル用組成物として適した外観及び質感を有している組成物は「○」で、それ以外の組成物は「×」で評価した。なお、比較例6、11、12はゲル化しなかったため、指触評価を行わず、「×」とした。 また、評価が「○」の組成物に関しては括弧書きで組成物の色を記載した。評価が「×」の組成物に関しては括弧書きで組成物の状態を記載した。結果を表1〜6に示した。

0100

(自己修復性評価)
上記により作製された組成物の自己修復性について評価した。自己修復性を有している組成物は「○」で、自己修復性を有していない組成物は「×」で評価した。結果を表1〜6に示した。
評価方法は次のとおりである。
組成物を切断し、次いで切断界面同士を接触させ、温度23℃、湿度50%の環境下で10分間静置した後、上記切断界面同士が接着したか否かを確認した。接着した場合は、自己修復性を有していると判断した。

0101

(硬さの評価)
アスカーゴム硬度計CSC2型(高分子計器株式会社製)を用い、日本工業規格(JIS K6253−3)に倣い、上記により作製された組成物の硬さ(換算値)を測定した。換算値はゴム硬度計のスプリング荷重から算出した。表1〜6に結果を示した。

0102

(タック性)
上記により作製された組成物のタック性を指触(指でさわる)で評価した。組成物が指に付着しない場合を「○」で、付着する場合を「×」で評価した。

0103

(加工性)
上記により作製された組成物の加工性について、裁断機コクヨ株式会社製、PAPERUTTER DN−1)用いて組成物を裁断し、破断面を目視で評価した。評価方法は次のとおりである。
厚さ3mm、面積50mm×50mmのシート形状に成型した組成物(ポリマーゲル)を、一定の荷重で裁断した際に、抵抗なく切断でき、かつ、組成物の破断面が平滑な場合を「○」、裁断時に組成物が刃物に挟まり刃物が動かない、又は裁断時の抵抗が強く、組成物の破断面が荒い場合を「×」として評価した。

0104

ここで、表1〜6についてそれぞれ簡単に説明する。
表1:モノマーの配合量と組成物の硬さとの関係。
表2:浸漬させる工程の有無と組成物の硬さとの関係。
表3:水の含有量と組成物の硬さとの関係。
表4:TEMEDの含有量と組成物の硬さとの関係。
表5:水及びグリセリンの含有量と組成物の硬さとの関係。
表6:フィラーの有無と組成物の硬さ、タック性、及び加工性との関係。

0105

表1〜6において、「溶液中のモノマー濃度」とは重合開始時の溶液中のモノマー全体を基準としたときの各モノマーのモル濃度を表しており、「モノマー濃度(mol/kg)」とは、溶液全体の重量当たりの全モノマーの合計モル数を表しており、「溶液中の各成分の含有量(重量%)」とは重合開始時の溶液全体を基準としたときの各成分の含有量を表している。
また、表1〜6において空欄は、空欄に係る成分が含まれていないことや、空欄に係る方法及び評価を行えないことを表している。

0106

0107

0108

0109

0110

0111

0112

(結果)
実施例に係る製造方法により作製された全ての組成物は、人体のいずれかの器官、特に肝臓、心臓、皮膚の質感及び硬さを実現していた。下記の表7に組成物の硬さと各器官のモデルに適した実施例をまとめた。表中の数値実施例番号を表している。

0113

0114

表7より、肝臓モデルに適した組成物は実施例1、6〜8、12〜16、22〜24であり、フィラーを添加していない場合は特に実施例13の組成物が、フィラーを添加した場合はタック性や加工性を考慮して特に実施例24の組成物が肝臓に非常に近い質感であった。硬さについてはいずれも本物の肝臓に類似した範囲である。同様に、心臓モデルに適した組成物は実施例2、3、17、18、25であり、フィラーを添加していない場合は特に実施例17の組成物が、フィラーを添加した場合はタック性や加工性を考慮して特に実施例25の組成物が心臓に非常に近い質感を有していた。硬さについてはいずれも本物の心臓に類似した範囲である。皮膚モデルに適した組成物は実施例2〜6、9〜12、15〜25であり、これらを単一或いは複数組み合わせることにより皮膚に非常に近い質感及び硬さ再現できる。特に実施例16、18、19の組成物が皮膚に非常に近い質感、硬さを有していた。

実施例

0115

一方、比較例に係る製造方法では次の理由から3次元外科治療研修モデル用組成物の製造方法としては不適であった。
比較例1では、作製された組成物がスライム状となり、組成物の形状が維持できていなかった。比較例2では、作製された組成物が脆かった。また、自己修復性にも乏しかった。比較例3、4では、モノマーが溶液に溶解せず、組成物を作製することができなかった。比較例5では、作製された組成物がスライム状となり、組成物の形状が維持できていなかった。比較例6では、重合反応が進まず、ゲル化しなった。比較例7では、作製された組成物は所定の硬さよりも柔らかくポリマーゲルの形状を維持できなかった。比較例8では、作製された組成物がスライム状となり、組成物の形状が維持できていなかった。比較例9では、モノマー濃度(mol/kg)が高く、重合反応時反応熱により溶液が突沸し、組成物の内部に無数発泡が生じた。そのため、3次元外科治療研修モデル用組成物としては不適であった。比較例10、13では、作製された組成物の自己修復性が乏しかった。比較例11、12では、作製された組成物がゲル化しなかった。

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