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技術 波長変換部材、光源、照明装置及び波長変換部材の製造方法

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 濱田貴裕杉尾幸彦大林孝志長崎純久
出願日 2018年8月7日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2019-539129
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 WO2019-044409
状態 未査定
技術分野 LED素子のパッケージ 非携帯用の照明装置またはそのシステム 結晶、結晶のための後処理
主要キーワード 赤外線サーモグラフィ 反射型光源 走査型電子顕微鏡画像 表面ゼータ電位 ゼータ電位測定装置 メタルマスク版 研磨フィルム 高温試験
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課題・解決手段

本開示の波長変換部材は、基板と、酸化亜鉛を含むマトリクスとマトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子とを有し、基板によって支持された蛍光体層と、基板と蛍光体層との間に配置された誘電体層と、蛍光体層と誘電体層との間に配置され、等電点が7以上である保護層と、を備える。基板の主面は、例えば、第1領域と第2領域とを含む。蛍光体層は、例えば、第1領域及び第2領域のうち、第1領域のみを被覆している。

概要

背景

近年、発光素子及び波長変換部材を備えた光源が開発されている。波長変換部材は、マトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子を有する。発光素子の光が励起光として蛍光体粒子に照射され、励起光の波長よりも長い波長の光が蛍光体から放射される。このタイプの光源において、光の輝度及び出力を高めるための試みがなされている。

特許文献1は、マトリクスの材料として酸化亜鉛(ZnO)が使用された波長変換部材を開示している。ZnOは、多くの蛍光体の屈折率に近い屈折率を有する無機材料であるとともに、優れた透光性及び熱伝導性を有する。特許文献1の波長変換部材によれば、蛍光体粒子とZnOマトリクスとの界面での光散乱が抑制され、高い光出力が達成されうる。

図19は、特許文献2に開示されている従来の波長変換部材の概略断面図である。図19に示すように、特許文献2には、基板410、SiO2層414、ZnO層418及び蛍光体層420を備える波長変換部材400が記載されている。蛍光体層420は、ZnOでできたマトリクスを有する。ZnO層418は、蛍光体層420のマトリクスの結晶成長過程における種結晶として機能する。ZnO層418は、SiO2層414の上に配置されている。SiO2層414は、誘電体層として機能する。

概要

本開示の波長変換部材は、基板と、酸化亜鉛を含むマトリクスとマトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子とを有し、基板によって支持された蛍光体層と、基板と蛍光体層との間に配置された誘電体層と、蛍光体層と誘電体層との間に配置され、等電点が7以上である保護層と、を備える。基板の主面は、例えば、第1領域と第2領域とを含む。蛍光体層は、例えば、第1領域及び第2領域のうち、第1領域のみを被覆している。

目的

国際公開第2013/172025号
特開2016−58638号公報





本開示は、
基板と、
酸化亜鉛を含むマトリクスと前記マトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子とを有し、前記基板によって支持された蛍光体層と、
前記基板と前記蛍光体層との間に配置された誘電体層と、
前記蛍光体層と前記誘電体層との間に配置され、等電点が7以上である保護層と、
を備えた、波長変換部材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基板と、酸化亜鉛を含むマトリクスと前記マトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子とを有し、前記基板によって支持された蛍光体層と、前記基板と前記蛍光体層との間に配置された誘電体層と、前記蛍光体層と前記誘電体層との間に配置され、等電点が7以上である保護層と、を備えた、波長変換部材

請求項2

前記基板の主面は、第1領域と第2領域とを含み、前記誘電体層及び前記保護層のそれぞれは、前記第1領域及び前記第2領域を被覆し、前記蛍光体層は、前記第1領域及び前記第2領域のうち、前記第1領域のみを被覆している、請求項1に記載の波長変換部材。

請求項3

前記保護層は、Al2O3、Si3N4、Y2O3、NiO及びLa2O3からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の波長変換部材。

請求項4

前記保護層は、Al2O3を主成分として含む、請求項3に記載の波長変換部材。

請求項5

前記基板と前記誘電体層との間に配置された金属層をさらに備えた、請求項1〜4のいずれか1項に記載の波長変換部材。

請求項6

前記保護層の厚さは、5nm以上200nm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の波長変換部材。

請求項7

発光素子と、前記発光素子から照射された励起光を受けて蛍光放射する請求項1〜6のいずれか1項に記載の波長変換部材と、を備えた、光源

請求項8

請求項7に記載の光源と、前記光源から放射された光を外部に導く光学部品と、を備えた、照明装置

請求項9

複数の第1領域と第2領域とを含む上面である主面を備え、かつ、誘電体層によって前記複数の第1領域及び前記第2領域のそれぞれが被覆された基板を準備することと、前記複数の第1領域と前記第2領域とを被覆する保護層を形成することと、酸化亜鉛を含む複数のマトリクスと前記複数のマトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子とをそれぞれ有する複数の蛍光体層を前記複数の第1領域の上方にそれぞれ形成することと、前記複数の蛍光体層が互いに分離するように、前記第2領域に定められた複数の切断線に沿って、前記基板と前記誘電体層と前記保護層とを切断することと、を含む、波長変換部材の製造方法。

請求項10

前記複数の蛍光体層を形成することは、前記複数の第1領域をそれぞれ被覆するように前記保護層の上に酸化亜鉛を含む複数の種結晶層を形成することと、前記複数の種結晶層の上に前記複数の蛍光体粒子をそれぞれ配置することと、前記複数の種結晶層から前記複数のマトリクスを結晶成長させることと、を含む、請求項9に記載の波長変換部材の製造方法。

請求項11

前記種結晶層から前記マトリクスを結晶成長させることは、前記種結晶層から前記マトリクスを溶液成長法によって結晶成長させることを含む、請求項10に記載の波長変換部材の製造方法。

技術分野

0001

本開示は、波長変換部材光源照明装置及び波長変換部材の製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、発光素子及び波長変換部材を備えた光源が開発されている。波長変換部材は、マトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子を有する。発光素子の光が励起光として蛍光体粒子に照射され、励起光の波長よりも長い波長の光が蛍光体から放射される。このタイプの光源において、光の輝度及び出力を高めるための試みがなされている。

0003

特許文献1は、マトリクスの材料として酸化亜鉛(ZnO)が使用された波長変換部材を開示している。ZnOは、多くの蛍光体の屈折率に近い屈折率を有する無機材料であるとともに、優れた透光性及び熱伝導性を有する。特許文献1の波長変換部材によれば、蛍光体粒子とZnOマトリクスとの界面での光散乱が抑制され、高い光出力が達成されうる。

0004

図19は、特許文献2に開示されている従来の波長変換部材の概略断面図である。図19に示すように、特許文献2には、基板410、SiO2層414、ZnO層418及び蛍光体層420を備える波長変換部材400が記載されている。蛍光体層420は、ZnOでできたマトリクスを有する。ZnO層418は、蛍光体層420のマトリクスの結晶成長過程における種結晶として機能する。ZnO層418は、SiO2層414の上に配置されている。SiO2層414は、誘電体層として機能する。

先行技術

0005

国際公開第2013/172025号
特開2016−58638号公報

0006

本開示は、
基板と、
酸化亜鉛を含むマトリクスと前記マトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子とを有し、前記基板によって支持された蛍光体層と、
前記基板と前記蛍光体層との間に配置された誘電体層と、
前記蛍光体層と前記誘電体層との間に配置され、等電点が7以上である保護層と、
を備えた、波長変換部材を提供する。

0007

本開示の波長変換部材は、異物の付着を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0008

図1は、本開示の実施形態1にかかる波長変換部材の概略断面図である。
図2は、本開示の実施形態1にかかる波長変換部材の製造方法に用いられた基板の平面図である。
図3Aは、図2に示す基板のIIIA−IIIA線に沿った断面図である。
図3Bは、図3Aに示す基板の上に、金属層及び誘電体層が配置された状態を示す図である。
図3Cは、図3Bに示す誘電体層の上に、保護層が配置された状態を示す図である。
図3Dは、図3Cに示す保護層の上に、マスクが配置された状態を示す図である。
図3Eは、図3Dに示す保護層の上に、複数の種結晶層が配置された状態を示す図である。
図3Fは、図3Eに示す複数の種結晶層の上に、複数の蛍光体層の前駆体層が形成された状態を示す図である。
図3Gは、図3Fに示すマスクが取り除かれた状態を示す図である。
図3Hは、図3Gに示す複数の種結晶層の上に、マトリクスが形成された状態を示す図である。
図3Iは、図3Hに示す複数の切断線に沿って、基板、金属層、誘電体層及び保護層が切断された状態を示す図である。
図4Aは、図3Eに示すマスクが取り除かれた状態を示す図である。
図4Bは、図4Aに示す複数の種結晶層の上に、複数の蛍光体層の前駆体層が形成された状態を示す図である。
図5は、本開示の実施形態2にかかる波長変換部材の概略断面図である。
図6は、本開示の実施形態3にかかる波長変換部材の概略断面図である。
図7は、本開示の実施形態4にかかる波長変換部材の概略断面図である。
図8は、本開示の波長変換部材を用いた反射型光源の概略断面図である。
図9は、本開示の波長変換部材を用いた透過型光源の概略断面図である。
図10は、本開示の波長変換部材を用いた透過型光源の概略断面図である。
図11は、本開示の光源を用いた照明装置の概略構成図である。
図12は、本開示の光源を用いた照明装置の概略断面図である。
図13は、実施例1の波長変換部材の表面の顕微鏡画像を示す図である。
図14は、実施例2の波長変換部材の表面の顕微鏡画像を示す図である。
図15は、比較例1の波長変換部材の表面の顕微鏡画像を示す図である。
図16は、比較例2の波長変換部材の表面の顕微鏡画像を示す図である。
図17は、比較例1の波長変換部材の表面の走査型電子顕微鏡画像を示す図である。
図18は、比較例1の波長変換部材の表面に存在するZnO粒子の断面の走査型電子顕微鏡画像を示す図である。
図19は、従来の波長変換部材の概略断面図である。

0009

(本開示の基礎となった知見)
従来の波長変換部材には、波長変換部材を作製するときに生じた異物が容易に付着する。波長変換部材の蛍光体層に付着した異物は、波長変換部材の光学特性に悪影響を及ぼすことがある。波長変換部材の基板の裏面に異物が付着した場合、波長変換部材を光源に配置するときに基板と支持台との間に異物が入り込み、蛍光体層の表面が傾くこともある。蛍光体層の表面が傾いたとき、目的とする光学特性が得られないという問題がある。基板と支持台との間に異物が入り込んだとき、放熱阻害されることによって、蛍光体層の温度が上昇するという問題もある。また、特許文献2の波長変換部材には、波長変換部材を作製したときに生じた異物が付着していることがある。

0010

本開示の第1態様にかかる波長変換部材は、
基板と、
酸化亜鉛を含むマトリクスと前記マトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子とを有し、前記基板によって支持された蛍光体層と、
前記基板と前記蛍光体層との間に配置された誘電体層と、
前記蛍光体層と前記誘電体層との間に配置され、等電点が7以上である保護層と、
を備えたものである。

0011

第1態様によれば、保護層が蛍光体層と誘電体層との間に配置されている。保護層によれば、波長変換部材を作製するときに、異物の生成を抑制できる。そのため、波長変換部材において、異物の付着が抑制される。保護層によれば、蛍光体層が基板から剥離することを抑制できることがある。

0012

本開示の第2態様において、例えば、第1態様にかかる波長変換部材の前記基板の主面は、第1領域と第2領域とを含み、前記誘電体層及び前記保護層のそれぞれは、前記第1領域及び前記第2領域を被覆し、前記蛍光体層は、前記第1領域及び前記第2領域のうち、前記第1領域のみを被覆している。第2態様によれば、波長変換部材において、異物の付着が抑制される。

0013

本開示の第3態様において、例えば、第1又は第2態様にかかる波長変換部材の前記保護層は、Al2O3、Si3N4、Y2O3、NiO及びLa2O3からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。第3態様によれば、波長変換部材において、異物の付着が抑制される。

0014

本開示の第4態様において、例えば、第3態様にかかる波長変換部材の前記保護層は、Al2O3を主成分として含む。第4態様によれば、波長変換部材において、異物の付着が抑制される。保護層によれば、蛍光体層が基板から剥離することを十分に抑制できる。

0015

本開示の第5態様において、例えば、第1〜4態様のいずれか1つにかかる波長変換部材は、前記基板と前記誘電体層との間に配置された金属層をさらに備える。第5態様によれば、波長変換部材は、反射型光源に適している。

0016

本開示の第6態様において、例えば、第1〜5態様のいずれか1つにかかる波長変換部材の前記保護層の厚さは、5nm以上200nm以下である。第6態様によれば、保護層が十分に薄いため、高い発光効率を達成できる。

0017

本開示の第7態様にかかる光源は、
発光素子と、
前記発光素子から照射された励起光を受けて蛍光を放射する第1〜6態様のいずれか1つにかかる波長変換部材と、
を備えたものである。

0018

第7態様によれば、波長変換部材において、異物の付着が抑制されている。そのため、目的とする光学特性を有する光源を容易に提供できる。

0019

本開示の第8態様にかかる照明装置は、
第7態様にかかる光源と、
前記光源から放射された光を外部に導く光学部品と、
を備えたものである。

0020

第8態様によれば、目的とする光学特性を有する照明装置を容易に提供できる。

0021

本開示の第9態様にかかる波長変換部材の製造方法は、
複数の第1領域と第2領域とを含む上面である主面を備え、かつ、誘電体層によって前記複数の第1領域及び前記第2領域のそれぞれが被覆された基板を準備することと、
前記複数の第1領域と前記第2領域とを被覆する保護層を形成することと、
酸化亜鉛を含む複数のマトリクスと前記複数のマトリクスに埋め込まれた蛍光体粒子とをそれぞれ有する複数の蛍光体層を前記複数の第1領域の上方にそれぞれ形成することと、
前記複数の蛍光体層が互いに分離するように、前記第2領域に定められた複数の切断線に沿って、前記基板と前記誘電体層と前記保護層とを切断することと、
を含むものである。

0022

第9態様によれば、異物の生成を抑制できる。そのため、得られた波長変換部材において、異物の付着が抑制される。

0023

本開示の第10態様において、例えば、第9態様の製造方法の前記複数の蛍光体層を形成することは、前記複数の第1領域をそれぞれ被覆するように前記保護層の上に酸化亜鉛を含む複数の種結晶層を形成することと、前記複数の種結晶層の上に前記蛍光体粒子を配置することと、前記複数の種結晶層から前記複数のマトリクスを結晶成長させることとを含む。第10態様によれば、得られた波長変換部材において、異物の付着が抑制される。

0024

本開示の第11態様において、例えば、第10態様の製造方法の前記結晶成長が溶液成長法によって行われる。第11態様によれば、得られた波長変換部材において、異物の付着が抑制される。

0025

以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。

0026

(実施形態1)
図1は、本開示の実施形態1にかかる波長変換部材100の概略断面図である。図1に示すように、本実施形態1にかかる波長変換部材100は、基板10、誘電体層14、保護層16及び蛍光体層20を備えている。波長変換部材100は、金属層12及び種結晶層18をさらに備えていてもよい。基板10は、金属層12、誘電体層14、保護層16、種結晶層18及び蛍光体層20を支持している。基板10の厚さ方向において、基板10、金属層12、誘電体層14、保護層16、種結晶層18及び蛍光体層20がこの順番で並んでいる。誘電体層14は、基板10と蛍光体層20との間に配置されている。保護層16は、誘電体層14と蛍光体層20との間に配置されている。金属層12は、基板10と誘電体層14との間に配置されている。種結晶層18は、保護層16と蛍光体層20との間に配置されている。

0027

基板10は、例えば、平面視で矩形の形状を有する。基板10の主面11は、第1領域11a及び第2領域11bを含む。主面11は、基板10の最も広い面積を有する面である。第1領域11aは、例えば、平面視で円の形状を有する。第1領域11aは、他の形状を有していてもよい。第1領域11aは、平面視で楕円の形状を有していてもよく、多角形の形状を有していてもよい。多角形には、四角形六角形などが含まれる。第1領域11aは、平面視でリング又は扇の形状を有していてもよい。第2領域11bは、第1領域11aに隣接している領域である。第2領域11bは、例えば、第1領域11aを囲んでいる環状の領域である。この場合、第2領域11bは、基板10の主面11において、第1領域11aよりも外側に位置している。第1領域11aがリングの形状を有するとき、第2領域11bは、平面視で、第1領域11aの内側と外側とのそれぞれに形成される。

0028

金属層12、誘電体層14、保護層16、種結晶層18及び蛍光体層20は、それぞれ、基板10の主面11を被覆している。詳細には、金属層12、誘電体層14及び保護層16のそれぞれは、主面11の第1領域11a及び第2領域11bを被覆している。種結晶層18及び蛍光体層20のそれぞれは、第1領域11a及び第2領域11bのうち、第1領域11aのみを被覆している。

0029

金属層12は、基板10に直接接している。金属層12は、他の薄膜を介して、基板10に接していてもよい。他の薄膜は、例えば、酸化物又は金属でできている。金属層12は、誘電体層14に接している。誘電体層14は、金属層12及び保護層16のそれぞれに接している。保護層16は、誘電体層14及び種結晶層18のそれぞれに接している。蛍光体層20は、種結晶層18に接している。保護層16は、誘電体層14の表面全体を被覆している。種結晶層18は、保護層16の表面16pを部分的に被覆している。波長変換部材100の最表面は、保護層16の表面16pの一部及び蛍光体層20の表面20pによって構成されている。波長変換部材100を平面視したとき、保護層16の表面16pの一部及び蛍光体層20の表面20pが観察される。

0030

蛍光体層20は、マトリクス21及び蛍光体粒子22を有する。マトリクス21は、各粒子間に存在している。蛍光体粒子22は、マトリクス21に埋め込まれている。言い換えれば、蛍光体粒子22は、マトリクス21に分散されている。

0031

第1の波長帯域を有する励起光が波長変換部材100に照射されたとき、波長変換部材100は、励起光の一部を第2の波長帯域を有する光に変換して放射する。波長変換部材100は、励起光の波長よりも長い波長の光を放射する。第2の波長帯域は、第1の波長帯域と異なる帯域である。ただし、第2の波長帯域の一部が第1の波長帯域に重なっていてもよい。波長変換部材100から放射された光には、蛍光体粒子22から放射された光だけでなく、励起光そのものが含まれていてもよい。

0032

基板10の厚さは、例えば、蛍光体層20の厚さよりも大きい。基板10は、単結晶であるサファイア(Al2O3)、多結晶であるアルミナ(Al2O3)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、シリコンアルミニウムガラス石英(SiO2)、炭化ケイ素(SiC)及び酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1つの材料で作られている。基板10は、励起光及び蛍光体粒子22から放射された光に対して透光性を有していてもよい。基板10は、励起光及び蛍光体粒子22から放射された光に対して透光性を有していなくてもよい。基板10は、鏡面研磨された表面を有していてもよい。

0033

金属層12は、光を反射させるための層である。そのため、金属層12を備える波長変換部材100は、反射型光源に好適に使用されうる。金属層12の厚さは、例えば、蛍光体層20の厚さよりも小さい。金属層12は、金属材料を含む。金属材料は、例えば、銀及びアルミニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。

0034

誘電体層14は、誘電体を含む。誘電体は、一般的に、広いバンドギャップを有する材料である。誘電体による光吸収が小さいため、誘電体は、可視光領域において透明である。そのため、誘電体層14が薄膜の形状を有するとき、誘電体層14は、光学薄膜として好適に用いられる。可視光領域とは、電磁波のうちヒトの目によって識別できる光の波長の範囲を意味する。可視光領域において、光の波長は、例えば、360nm〜830nmの範囲にある。可視光領域だけでなく、励起光源から照射された励起光の波長帯域において、小さい光吸収を有している誘電体は、誘電体層14の材料として好適に用いられる。

0035

例えば、反射型光源に使用されうる波長変換部材100の誘電体層14は、金属層12の光の反射率を増加するための増反射膜として機能する。このとき、誘電体層14は、励起光と蛍光体粒子22から放射された光とを効率的に反射できる。

0036

誘電体は、例えば、酸化チタン酸化ジルコニウム酸化タンタル酸化セリウム酸化ニオブ酸化タングステン酸化ケイ素及びフッ化マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。誘電体層14は、酸化ケイ素でできていてもよい。誘電体層14は、複数の膜によって構成されてもよい。すなわち、誘電体層14において、複数の膜が積層されていてもよい。複数の膜は、互いに異なる組成を有する。複数の膜のそれぞれが誘電体を含む。複数の膜のうち、基板10から最も離れた膜(保護層16に最も近い膜)以外の膜が酸化アルミニウムを含んでいてもよい。複数の膜のそれぞれの組成及び厚さを適切に選択することによって、高い発光効率を達成できる。

0037

保護層16は、7以上の等電点を有している限り、特に限定されない。保護層16の材料は、広いバンドギャップを有する材料であってもよい。保護層16の材料は、光吸収が小さく、可視光領域において透明である材料であってもよい。このとき、高い発光効率を達成でき、波長変換部材100の発光特性が損なわれることを抑制できる。しかし、保護層16の材料が可視光領域に光吸収を有していても、保護層16を薄くすることによって、発光特性への影響を抑制できる。可視光領域だけでなく、励起光源から照射された励起光の波長帯域において、小さい光吸収を有している材料は、保護層16の材料として好適に用いられる。

0038

保護層16は、例えば、Al2O3、Si3N4、Y2O3、NiO及びLa2O3からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。保護層16は、MgO、CuO、PbO及びTl2Oからなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。保護層16は、Al2O3、Si3N4、Y2O3、NiO及びLa2O3からなる群より選ばれるいずれか1つを主成分として含んでいてもよい。「主成分」とは、保護層16に体積比で最も多く含まれた成分を意味する。保護層16は、例えば、SiO2及びZnOのそれぞれを主成分として含まない。保護層16は、Al2O3を主成分として含んでいてもよい。保護層16に含まれるAl2O3は、例えば、Al2O3多結晶又は非晶質のAl2O3である。保護層16に含まれるAl2O3は、Al2O3単結晶であってもよい。保護層16に含まれるAl2O3は、α−Al2O3、γ−Al2O3、θ−Al2O3、κ−Al2O3又はε−Al2O3であってもよい。保護層16におけるAl2O3の含有率が高ければ高いほど、保護層16と種結晶層18との接着性が向上する。すなわち、保護層16におけるAl2O3の含有率が高ければ高いほど、基板10から蛍光体層20が剥離することを抑制できる。保護層16は、実質的にAl2O3からなっていてもよい。「実質的に〜からなる」は、言及された化合物の本質的特徴を変更する他の成分を排除することを意味する。ただし、保護層16は、Al2O3の他に不純物を含んでいてもよい。

0039

さらに、保護層16の特性として、保護層16の等電点は、7〜14の範囲にあってもよい。保護層16の等電点は、次の方法で測定することができる。水を含んでいる液体と保護層16の表面とを接触させる。保護層16の表面ゼータ電位を測定する。ゼータ電位は、例えば、市販のゼータ電位測定装置により測定できる。保護層16の表面ゼータ電位がゼロになるときの液体のpHの値を保護層16の等電点とみなすことができる。保護層16の等電点は、保護層16の組成に応じて定まる。そのため、保護層16の等電点は、次の方法によって測定することもできる。まず、保護層16と同じ組成を有する粒子を準備する。水を含んでいる液体に粒子を分散させる。粒子のゼータ電位を測定する。粒子のゼータ電位がゼロになるときの液体のpHの値を保護層16の等電点とみなすことができる。

0040

一例として、α−Al2O3の等電点は、典型的には、8〜9の範囲にある。γ−Al2O3の等電点は、典型的には、7〜8の範囲にある。Si3N4の等電点は、典型的には、9である。Y2O3の等電点は、典型的には、7.15〜8.95の範囲にある。NiOの等電点は、典型的には、10〜11の範囲にある。La2O3の等電点は、典型的には、10である。MgOの等電点は、典型的には、12〜13である。CuOの等電点は、典型的には、9.5である。PbOの等電点は、典型的には、10.7〜11.6である。Tl2Oの等電点は、典型的には、8である。これらの材料は、保護層16の材料に適している。

0041

一例として、SiO2の等電点は、典型的には、1.7〜3.5の範囲にある。Ta2O5の等電点は、典型的には、2.7〜3.0の範囲にある。SiCの等電点は、典型的には、2〜3.5の範囲にある。WO3の等電点は、典型的には、0.2〜0.5の範囲にある。これらの材料は、保護層16の材料に適していない。ただし、保護層16の等電点が7以上である限り、これらの材料が保護層16に含まれていてもよい。SiO2及びTa2O5は、誘電体層の材料に用いられることが多い。

0042

保護層16の厚さは、5nm以上400nm以下であってもよく、5nm以上200nm以下であってもよく、5nm以上100nm以下であってもよい。保護層16が薄ければ薄いほど、高い発光効率を達成できる。保護層16が薄ければ薄いほど、蛍光体層20と基板10との間の距離が短いため、保護層16は、優れた熱伝導性を有する。保護層16の厚さは、50nm以下であってもよく、20nm以下であってもよい。

0043

種結晶層18は、蛍光体層20を形成するための下地層として機能する。すなわち、種結晶層18は、マトリクス21の結晶成長過程における種結晶として機能する。種結晶層18としては、例えば、結晶性のZnOが好適に用いられる。種結晶層18がZnOの多結晶によって構成されているとき、マトリクス21は、ZnOの多結晶でありうる。種結晶層18に含まれるZnOには、他の元素が添加されていてもよい。ZnOにGa、Al、Bなどの元素が添加されているとき、ZnOは、低い電気抵抗を有する。種結晶層18の材料は、種結晶層18がマトリクス21の種結晶として機能する限り、特に限定されない。種結晶層18は、亜鉛化合物などから形成されたアモルファスZn化合物又はアモルファスのZnOを含んでいてもよい。種結晶層18は、ZnO以外の材料を含んでいてもよい。種結晶層18の形状としては、薄膜の形状が好適である。種結晶層18の形状は、種結晶層18がマトリクス21の種結晶として機能する限り、特に限定されない。種結晶層18の形状は、粒子状などの不連続な形状であってもよい。種結晶層18の厚さは、5nm以上2000nm以下であってもよく、5nm以上200nm以下であってもよい。種結晶層18が薄ければ薄いほど、蛍光体層20と基板10との間の距離が短いため、優れた熱伝導性が得られる。

0044

蛍光体層20において、蛍光体粒子22は、マトリクス21に分散されている。図1において、蛍光体粒子22は、互いに離れている。ただし、蛍光体粒子22は、互いに接していてもよい。蛍光体粒子22は、石垣のように積まれていてもよい。

0045

蛍光体粒子22は、励起光を受けて蛍光を放射する。蛍光体粒子22の材料は、特に限定されない。種々の蛍光物質が蛍光体粒子22の材料として使用されうる。具体的には、Y3Al5O12:Ce(YAG)、Y3(Al,Ga)5O12:Ce(GYAG)、Lu3Al5O12:Ce(LuAG)、(Si,Al)6(O,N)8:Eu(β−SiAlON)、(La,Y)3Si6N11:Ce(LYSN)、Lu2CaMg2Si3O12:Ce(LCMS)などの蛍光物質が使用されうる。蛍光体粒子22は、互いに異なる組成を有する複数の種類の蛍光体粒子を含んでいてもよい。蛍光体粒子22の材料は、波長変換部材100から放射されるべき光の色度に応じて選択される。

0046

蛍光体粒子22の平均粒径は、例えば、0.1μm〜50μmの範囲にある。蛍光体粒子22の平均粒径は、例えば、次の方法によって特定することができる。まず、波長変換部材100の断面を走査電子顕微鏡で観察する。得られた電子顕微鏡像において、特定の蛍光体粒子22の面積を画像処理によって算出する。算出された面積と同じ面積を有する円の直径をその特定の蛍光体粒子22の粒径(粒子の直径)とみなす。任意の個数(例えば50個)の蛍光体粒子22の粒径をそれぞれ算出し、算出値平均値を蛍光体粒子22の平均粒径とみなす。本開示において、蛍光体粒子22の形状は限定されない。蛍光体粒子22の形状は、球状であってもよく、鱗片状であってもよく、繊維状であってもよい。本開示において、平均粒径の測定方法は、上記の方法に限定されない。

0047

マトリクス21は、ZnOを含む。ZnOは、透明性及び熱伝導性の観点から、マトリクス21の材料に適している。ZnOは、高い熱伝導性を有する。そのため、ZnOがマトリクス21の材料として使用されているとき、蛍光体層20の熱を外部に容易に逃がすことができる。マトリクス21は、ZnOを主成分として含んでいてもよい。マトリクス21は、実質的にZnOからなっていてもよい。ただし、マトリクス21は、ZnOの他に不純物を含んでいてもよい。

0048

マトリクス21の材料としてのZnOは、詳細には、ZnOの単結晶又はZnOの多結晶である。ZnOは、ウルツ鉱型結晶構造を有する。結晶成長によってマトリクス21を形成したとき、マトリクス21は、種結晶層18の結晶構造に応じた結晶構造を有する。すなわち、種結晶層18として、c軸配向したZnOの多結晶を用いたとき、マトリクス21は、c軸に配向したZnOの多結晶を有する。「c軸に配向したZnO」とは、基板10の主面11に平行な面がc面であることを意味する。マトリクス21がc軸に配向したZnO多結晶を含むとき、蛍光体層20の内部において光散乱が抑制され、高い光出力を達成できる。

0049

c軸に配向したZnO多結晶は、c軸に配向した複数の柱状の結晶粒を含む。c軸に配向したZnO多結晶において、c軸方向の結晶粒界が少ない。「柱状の結晶粒がc軸に配向している」とは、c軸方向のZnOの成長a軸方向のZnOの成長よりも速く、基板10の上に縦長のZnO結晶粒が形成されていることを意味する。ZnO結晶粒のc軸は、基板10の法線方向に平行である。ZnOがc軸配向の結晶であるかどうかは、XRD測定(2θ/ωスキャン)によって確認できる。XRD測定結果から得られたZnOの回折ピークにおいて、ZnOのc面に起因する回折ピークが、ZnOのc面以外に起因する回折ピークよりも大きい強度を有する場合、ZnOがc軸配向の結晶であると判断できる。特許文献1(国際公開第2013/172025号)は、c軸に配向したZnO多結晶によって構成されたマトリクスを詳しく開示している。

0050

蛍光体層20は、フィラー粒子をさらに有していてもよい。蛍光体層20において、フィラー粒子は、マトリクス21に分散されている。フィラー粒子に励起光が照射されたとき、フィラー粒子は、蛍光の光を放射しないか、無視できる強度の蛍光の光のみを放射する。フィラー粒子の材料、形状及び添加量は、必要とする色度に応じて適宜調節される。

0051

フィラー粒子は、例えば無機粒子であり、典型的には金属酸化物を含む。フィラー粒子は、実質的に金属酸化物からなっていてもよい。金属酸化物の多くは、化学的に安定であり、蛍光を殆ど放射しないので、フィラー粒子の材料として適している。一例において、フィラー粒子は、Al2O3粒子、SiO2粒子及びTiO2粒子から選ばれる少なくとも1つを含む。

0052

フィラー粒子の平均粒径は、例えば、0.1μm〜20μmの範囲にある。フィラー粒子の平均粒径は、例えば、蛍光体粒子22の平均粒径よりも小さい。蛍光体粒子22の平均粒径D1に対するフィラー粒子の平均粒径D2の比率(D2/D1)は、例えば、0.01〜0.90の範囲にある。フィラー粒子の平均粒径は、蛍光体粒子22の平均粒径と同じ方法によって測定されうる。フィラー粒子の形状は、球状であってもよく、鱗片状であってもよく、繊維状であってもよい。蛍光体粒子22の体積をV1と定義する。フィラー粒子の体積をV2と定義する。このとき、V2/(V1+V2)の値は、例えば、0.1〜0.9の範囲にある。

0053

次に、波長変換部材100の製造方法を説明する。図2図3Aから図3Iは波長変換部材100の製造方法を示す図である。

0054

まず、図2及び図3Aに示すように、基板30を準備する。図3Aは、図2に示す基板30のIIIA−IIIA線に沿った断面図である。基板30の材料は、上述した基板10の材料と同じである。図3Aにおいて、基板30の主面31である上面は、複数の第1領域31aと第2領域31bとを含む。第2領域31bは、複数の第1領域31aのそれぞれを囲んでいる。複数の第1領域31aのそれぞれは、例えば、平面視で円の形状を有する。

0055

次に、図3Bに示すように、複数の第1領域31a及び第2領域31bのそれぞれを金属層32によって被覆する。詳細には、基板30の上に金属層32を形成する。金属層32の材料は、上述した金属層12の材料と同じである。金属層32を形成する方法としては、蒸着法、電子ビーム蒸着法反応性プラズマ蒸着法、イオンアシスト蒸着法スパッタリング法パルスレーザ堆積法などの気相成膜法が用いられる。次に、複数の第1領域31a及び第2領域31bのそれぞれを誘電体層34によって被覆する。詳細には、金属層32の上に誘電体層34を形成する。誘電体層34の材料は、上述した誘電体層14の材料と同じである。誘電体層34を形成する方法としては、上述した気相成膜法を利用できる。誘電体層34は、例えば、次の方法によって形成することもできる。まず、誘電体の前駆体を含むゾルを調製する。金属層32の上に塗膜が形成されるように、金属層32にゾルを塗布する。塗膜をゲル化させ、焼成することによって、誘電体層34が得られる。基板30、金属層32及び誘電体層34を備えた積層体として、市販されているものを用いてもよい。

0056

次に、図3Cに示すように、複数の第1領域31a及び第2領域31bのそれぞれを保護層36によって被覆する。詳細には、誘電体層34の上に保護層36を形成する。保護層36の材料は、上述した保護層16の材料と同じである。保護層36を形成する方法としては、上述した気相成膜法を利用できる。あるいは、保護層36は、例えば、次の方法によって形成することもできる。まず、アルミニウムアルコキシドなどの前駆体を含むゾルを調製する。誘電体層34の上に塗膜が形成されるように、誘電体層34にゾルを塗布する。塗膜をゲル化させ、焼成することによって、保護層36が得られる。

0057

次に、図3Dに示すように、保護層36の上にマスク40を配置する。マスク40は、ステンレスなどの金属材料でできている。マスク40は、複数の開口部41を有している。開口部41は、マスク40をその厚さ方向に貫通している貫通孔である。複数の開口部41は、それぞれ、複数の第1領域31aに重なっている。すなわち、マスク40は、第2領域31bを被覆している。複数の開口部41を通じて、保護層36の表面が外部に露出している。マスク40の厚さは、例えば、作製されるべき種結晶層18及び蛍光体層20の厚さに応じて定められる。

0058

次に、図3Eに示すように、複数の開口部41内に、複数の種結晶層18を形成する。これにより、複数の種結晶層18を複数の第1領域31aの上方にそれぞれ形成できる。複数の種結晶層18のそれぞれは、例えば、結晶性のZnO薄膜である。複数の種結晶層18を形成する方法としては、上述した気相成膜法を利用できる。あるいは、複数の種結晶層18は、次の方法によって形成できる。まず、亜鉛アルコキシドなどの前駆体を含むゾルを調製する。印刷法によって、ゾルを複数の開口部41内に塗布し、複数の塗膜を形成する。次に、複数の塗膜を加熱処理する。これにより、複数の種結晶層18が得られる。加熱処理の温度は、200℃〜400℃の範囲にあってもよい。加熱処理の温度は、300℃以上であってもよい。加熱処理の温度に応じて、種結晶層18の結晶性が変化する。加熱処理の温度が低いとき、結晶性の低い種結晶が得られる。加熱処理の温度が高いとき、結晶性の高い種結晶が得られる。

0059

次に、図3Fに示すように、複数の開口部41内に、複数の蛍光体層20の前駆体層25を形成する。前駆体層25は、蛍光体粒子22を含む。複数の前駆体層25が複数の種結晶層18の上に配置される。言い換えると、蛍光体粒子22が複数の種結晶層18の上に配置される。複数の前駆体層25は、複数の第1領域31aを被覆している。

0060

複数の前駆体層25は、例えば、次の方法によって形成できる。蛍光体粒子22を含む分散液を調製する。基板30を分散液中に配置し、電気泳動法を用いて蛍光体粒子22を複数の種結晶層18の上に堆積させる。これにより、複数の前駆体層25を複数の種結晶層18の上に形成することができる。基板30を分散液中に配置し、蛍光体粒子22を沈降させることによって複数の種結晶層18の上に複数の前駆体層25を形成することもできる。蛍光体粒子22を含む塗布液を用い、印刷法などの厚膜形成方法によって複数の前駆体層25を複数の種結晶層18の上に形成することもできる。

0061

次に、図3Gに示すように、マスク40を取り除く。次に、図3Hに示すように、蛍光体粒子22の間にマトリクス21を形成する。マトリクス21を形成する方法としては、Znイオンを含有する溶液を使用した溶液成長法を利用できる。溶液成長法には、大気圧下で行われる化学溶液析出法(chemical bath deposition)、大気圧以上の圧力下で行う水熱合成法(hydrothermal synthesis)、電圧又は電流印加する電解析出法(electrochemical deposition)などが用いられる。結晶成長用の溶液として、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(Hexamethylenetetramine:C6H12N4)を含有する硝酸亜鉛(Zinc nitrate:Zn(NO3)2)の水溶液が用いられる。硝酸亜鉛の水溶液のpHは、例えば、5以上7以下である。溶液成長法の詳細は、例えば、特開2004−315342号公報に開示されている。溶液成長法によって、複数のマトリクス21が複数の種結晶層18の上に結晶成長できる。これにより、複数の蛍光体層20を複数の第1領域31aの上方に形成できる。複数の蛍光体層20は、複数の第1領域31aを被覆している。

0062

マスク40を取り除いた後に、マトリクス21を形成する理由を以下に説明する。マトリクス21を形成するために溶液を加熱した場合、溶液中で気泡が発生することがある。溶液中で発生した気泡は、マスク40の開口部41に付着することがある。開口部41に付着した気泡が前駆体層25に付着した場合、原料となる溶液中のZnイオンが前駆体層25に十分に供給されない。このとき、得られた蛍光体層に欠陥が生じる可能性がある。

0063

次に、余分な蛍光体粒子22を取り除く。余分な蛍光体粒子22とは、マトリクス21に埋め込まれていない蛍光体粒子22を意味する。余分な蛍光体粒子22は、例えば、蛍光体層20の表面をスポンジなどによって物理的に拭き取る方法、研磨フィルムなどを用いて研磨除去する方法、又は、洗浄操作を行う方法などにより取り除くことができる。洗浄操作では、余分な蛍光体粒子22を純水で洗い流してもよく、超音波を利用してもよい。

0064

次に、複数の切断線45に沿って、基板30、金属層32、誘電体層34及び保護層36を切断する。これにより、複数の蛍光体層20を互いに分離することができる。図3Iに示すように、基板30、金属層32、誘電体層34及び保護層36を切断することによって、波長変換部材100が得られる。複数の切断線45は、第2領域31bに定められている。複数の切断線45のそれぞれは、基板30の厚さ方向に延びている。複数の切断線45のそれぞれは、複数の第1領域31aと第2領域31bとの境界付近に定められていてもよい。このとき、得られた波長変換部材100の基板10は、第2領域11bを有さない。基板30、金属層32、誘電体層34及び保護層36の切断は、例えば、市販の切断機によって行うことができる。詳細には、ダイシングブレードを用いたダイシング装置、又は、レーザ光を用いたレーザ加工装置によって、基板30などを切断できる。

0065

従来の波長変換部材は、保護層を備えていない。そのため、溶液成長法を利用してマトリクスを形成するときに、結晶成長用の溶液が誘電体層の表面に接触する。このとき、誘電体層の上にZnO粒子が形成されることがある。平面視したときのZnO粒子の面積は、例えば、314μm2〜31400μm2の範囲にある。誘電体層とともにZnO粒子が切断されたとき、ZnO粒子の一部が飛散する。飛散したZnO粒子の一部は、異物として波長変換部材に付着する。波長変換部材の蛍光体層に付着した異物は、波長変換部材の光学特性に悪影響を及ぼすことがある。波長変換部材の基板に異物が付着した場合、波長変換部材を光源に配置するときに基板と支持台との間に異物が入り込み、蛍光体層の表面が傾くこともある。基板と支持台との間に異物が入り込んだとき、放熱が阻害されることによって、蛍光体層の温度が上昇することもある。

0066

ZnO粒子が形成されるメカニズムは、以下のように推察される。溶液成長法を実施するときに、結晶成長用の溶液中にZnOの結晶核が形成される。溶液中の結晶核が誘電体層の表面に付着する。誘電体層の表面において、結晶核から結晶が結晶成長することによって、ZnO粒子が形成される。

0067

複数の第1領域だけでなく第2領域もZnO薄膜によって被覆した場合、ZnO粒子の生成を抑制することができる。しかし、この場合、溶液成長法によって形成されたマトリクスは、複数の第1領域及び第2領域を被覆する。基板とともにマトリクスが切断されることによって、マトリクスの材料の一部が飛散する。飛散したマトリクスの材料の一部は、異物として波長変換部材に付着する。基板を切断するときに、蛍光体層にクラックが生じることもある。特許文献1及び2には、誘電体層又はマトリクスを切断することについて具体的な開示がない。

0068

本実施形態の製造方法では、結晶成長用の溶液が誘電体層34に接触しないため、ZnO粒子の形成が抑制される。詳細には、保護層36の等電点が7以上であるため、ZnO粒子の形成が抑制される。すなわち、ZnOの等電点は、典型的には、8.7〜10.3である。結晶成長用の溶液のpHは、典型的には、5〜7である。そのため、結晶成長用の溶液中で、保護層36及びZnOの結晶核のそれぞれは、正に帯電する。これにより、ZnOの結晶核が保護層36に付着することを抑制できる。そのため、ZnO粒子の形成が十分に抑制される。保護層36の表面のうち、外部に露出した部分に形成されたZnO粒子の個数は、その部分の面積1mm2あたり例えば、30個/mm2以下である。場合によっては、保護層36の表面のうち、外部に露出した部分に形成されたZnO粒子の個数は、その部分の面積1mm2あたり10個/mm2以下である。ZnO粒子の形成が抑制されるため、基板30、金属層32、誘電体層34及び保護層36を切断するときに、異物の生成を抑制できる。すなわち、得られた波長変換部材において、異物の付着が抑制される。

0069

(波長変換部材の製造方法の変形例)
図4A図4Bは、波長変換部材100の他の製造方法を示す図である。波長変換部材100の製造方法において、複数の前駆体層25は、マスク40を取り除いた後に形成されてもよい。例えば、図4Aに示すように、複数の種結晶層18を形成した後に、マスク40を取り除く。次に、図4Bに示すように、複数の前駆体層25を複数の種結晶層18の上に形成する。複数の前駆体層25を形成する方法としては、例えば、蛍光体粒子22をパターニングするためのスクリーン版メタルマスク版などの印刷版を用いた印刷法などの厚膜形成方法を利用できる。

0070

(波長変換部材の製造方法の別の変形例)
波長変換部材100の製造方法において、マスク40を用いずに、複数の種結晶層18を形成してもよい。例えば、保護層36の上に結晶性のZnO薄膜を形成する。ZnO薄膜は、複数の第1領域31a及び第2領域31bのそれぞれを被覆している。ZnO薄膜を形成する方法としては、上述した印刷法又は気相成膜法を利用できる。次に、ZnO薄膜をエッチングすることによって、複数の種結晶層18を形成することができる。エッチングとしては、例えば、ウェットエッチングが挙げられる。エッチング液としては、例えば、塩酸酢酸クエン酸などの水溶液を利用できる。

0071

(実施形態2)
図5は、本開示の実施形態2にかかる波長変換部材110の概略断面図である。図5に示すように、本実施形態2にかかる波長変換部材110の蛍光体粒子22は、マトリクス21に局所的に分散している。蛍光体層20に含まれた蛍光体粒子22のうち、一部の蛍光体粒子22の表面が蛍光体層20の上面から部分的に露出している。以上を除き、波長変換部材110の構造は、実施形態1の波長変換部材100の構造と同じである。したがって、実施形態1の波長変換部材100と本実施形態の波長変換部材110とで共通する要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略することがある。すなわち、以下の各実施形態に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、相互に適用されうる。さらに、技術的に矛盾しない限り、各実施形態は、相互に組み合わされてもよい。

0072

波長変換部材110は、次の方法によって作製できる。まず、波長変換部材100の製造方法と同じ方法によって、保護層36の上に種結晶層18を形成する。次に、前駆体層25の主面の面積が種結晶層18の主面の面積よりも小さくなるように、前駆体層25を種結晶層18の上に形成する。種結晶層18の主面の面積A1に対する前駆体層25の主面の面積A2の比率(A2/A1)は、例えば、0.7以上1.0未満である。次に、波長変換部材100の製造方法と同じ方法によって、マトリクス21を形成する。これにより、蛍光体粒子22がマトリクス21に局所的に分散している蛍光体層20を得ることができる。マトリクス21を形成する条件を適宜調整することによって、一部の蛍光体粒子22の表面が蛍光体層20の上面から部分的に露出している蛍光体層20を得ることができる。

0073

(実施形態3)
図6は、本開示の実施形態3にかかる波長変換部材120の概略断面図である。図6に示すように、本実施形態3にかかる波長変換部材120の蛍光体粒子22は、マトリクス21に全体的に分散している。蛍光体層20に含まれた蛍光体粒子22のうち、一部の蛍光体粒子22の表面が蛍光体層20の側面から部分的に露出している。以上を除き、波長変換部材120の構造は、実施形態2の波長変換部材110の構造と同じである。

0074

波長変換部材120は、次の方法によって作製できる。まず、波長変換部材100の製造方法と同じ方法によって、保護層36の上に種結晶層18を形成する。次に、前駆体層25の主面の面積が種結晶層18の主面の面積よりも大きくなるように、前駆体層25を種結晶層18の上に形成する。次に、波長変換部材100の製造方法と同じ方法によって、マトリクス21を形成する。これにより、一部の蛍光体粒子22の表面が蛍光体層20の側面から部分的に露出している蛍光体層20を得ることができる。

0075

(実施形態4)
図7は、本開示の実施形態4にかかる波長変換部材130の概略断面図である。実施形態1の波長変換部材100は、金属層12を備えていなくてもよい。図7に示すように、本実施形態4にかかる波長変換部材130は、金属層を備えていない。そのため、波長変換部材130は、透過型光源に好適に使用されうる。

0076

波長変換部材130は、反射防止層13をさらに備えていてもよい。基板10の厚さ方向において、反射防止層13、基板10、誘電体層14、保護層16、種結晶層18及び蛍光体層20がこの順番で並んでいる。基板10は、反射防止層13及び誘電体層14のそれぞれに接している。

0077

波長変換部材130の基板10は、例えば、励起光に対して透光性を有する。透過型光源に使用されうる波長変換部材130の誘電体層14は、例えば、基板10と蛍光体層20との間に配置されたダイクロイックミラーとして機能する。ダイクロイックミラーは、例えば、カットオフ波長である470nm未満の光を透過し、かつ、470nm以上の波長の光を反射できる。すなわち、ダイクロイックミラーは、励起光を透過し、かつ、蛍光体粒子22から放射された光を効率的に反射できる。

0078

反射防止層13は、例えば、470nm未満の光の反射を抑制できる。すなわち、反射防止層13は、励起光を効率よく透過できる。反射防止層13の材料としては、誘電体層14の材料として例示したものが挙げられる。反射防止層13は、複数の膜によって構成されてもよい。すなわち、反射防止層13において、複数の膜が積層されていてもよい。複数の膜は、互いに異なる組成を有する。

0079

(光源の実施形態)
図8は、本開示の波長変換部材を用いた光源200の概略断面図である。光源200は反射型光源である。図8に示すように、本実施形態の光源200は、波長変換部材100及び発光素子51を備えている。発光素子51と波長変換部材100の基板10との間に波長変換部材100の蛍光体層20が位置している。光源200は、反射型光源である。波長変換部材100に代えて、図5を参照して説明した波長変換部材110及び図6を参照して説明した波長変換部材120も使用可能である。これらの波長変換部材100,110及び120の組み合わせを光源200に使用することも可能である。

0080

発光素子51は、励起光を放射する。発光素子51は、典型的には、半導体発光素子である。半導体発光素子は、例えば、発光ダイオードLED)、スーパールミネッセントダイオードSLD)又はレーザーダイオード(LD)である。

0081

発光素子51は、1つのLDによって構成されていてもよく、複数のLDによって構成されていてもよい。複数のLDは、光学的に結合されていてもよい。発光素子51は、例えば、青色光を放射する。本開示において、青色光は、420nm〜470nmの範囲のピーク波長を有する光である。

0082

光源200は、光学系50をさらに備えている。発光素子51から放射された励起光の光路上に光学系50が位置していてもよい。光学系50は、レンズミラー光ファイバなどの光学部品を含む。

0083

図9は、本開示の波長変換部材を用いた光源210の概略断面図である。光源210は透過型光源である。図9に示すように、本実施形態の光源210は、波長変換部材130及び発光素子51を備えている。発光素子51は、波長変換部材130の反射防止層13に向かい合っている。発光素子51の光が基板10を透過して蛍光体層20に到達する。光源210は、透過型光源である。

0084

図10は、本開示の波長変換部材を用いた光源220の概略断面図である。光源220は透過型光源である。図10に示すように、本実施形態の光源220の光学系50は、レンズ52及び光ファイバ53を含む。光源220は、光源210の具体例である。レンズ52は、例えば、集光レンズである。光ファイバ53は、単一のファイバによって構成されていてもよく、複数のファイバによって構成されていてもよい。光ファイバ53は、レンズ52と波長変換部材130との間に配置されている。発光素子51から放射された励起光は、レンズ52によって集光する。集光した光が光ファイバ53の一端に入射する。光ファイバ53に入射した光は、光ファイバ53の他端から出射される。光ファイバ53から出射された光が波長変換部材130に到達する。

0085

(照明装置の実施形態)
図11は、本開示の光源を用いた照明装置300の概略構成図である。図11に示すように、本実施形態の照明装置300は、光源200及び光学部品55を備えている。光源200に代えて、図9を参照して説明した光源210も使用可能である。光学部品55は、光源200から放射された光を前方に導くための部品であり、具体的には、リフレクタである。光学部品55は、例えば、Al、Agなどの金属膜又は表面に誘電体層が形成されたAl膜を有する。光源200の前方には、フィルタ56が設けられていてもよい。フィルタ56は、光源200の発光素子からのコヒーレントな青色光が直接外部に出ないように、青色光を吸収又は散乱させる。照明装置300は、いわゆるリフレクタータイプであってもよく、プロジェクタータイプであってもよい。照明装置300は、例えば、車両用ヘッドランプである。

0086

図12は、本開示の光源を用いた照明装置310の概略断面図である。図12に示すように、本実施形態の照明装置310は、光源220及び光学部品57を備えている。光学部品57は、光源220から放射された光を外部に導くための部品であり、具体的には、光ファイバである。光学部品57は、単一のファイバによって構成されていてもよく、複数のファイバによって構成されていてもよい。光源220から放射された光は、光ファイバ(光学部品57)の一端に入射する。光ファイバに入射した光は、光ファイバの他端から出射される。照明装置310は、例えば、内視鏡用ライトである。

0087

本開示を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。

0088

(実施例1)
まず、基板、金属層及び誘電体層を備えた積層体を準備した。積層体としては、Agミラー(京光膜工業社製)を用いた。Agミラーにおいて、基板は、シリコンでできていた。金属層は、Agでできていた。誘電体層では、複数の膜が積層されていた。詳細には、誘電体層の厚さ方向において、Al2O3膜、SiO2膜、TiO2膜及びSiO2膜がこの順番で並んでいた。複数の膜のうち、基板から最も離れた膜(外部に露出した表面を有する膜)は、SiO2膜であった。基板の主面は、複数の第1領域と、複数の第1領域のそれぞれを囲んでいる第2領域とを含んでいた。誘電体層及び金属層のそれぞれは、複数の第1領域及び第2領域を被覆していた。

0089

次に、誘電体層の上に、保護層を形成した。保護層は、気相成膜法によって作製した。保護層は、Al2O3でできていた。保護層の厚さは、20nmであった。保護層は、複数の第1領域及び第2領域を被覆していた。

0090

次に、保護層の上に、金属製のマスクを配置した。マスクは、複数の開口部を有していた。複数の開口部は、それぞれ、基板の主面の複数の第1領域に重なっていた。次に、複数の開口部内に、複数の種結晶層であるZnO薄膜を形成した。複数の種結晶層は、気相成膜法によって作製した。複数のZnO薄膜を成膜するときの基板の温度は、300℃であった。種結晶層は、ZnOの多結晶膜であった。ZnOの多結晶は、c軸配向であった。種結晶層の厚さは、150nmであった。ZnO薄膜を形成した後、金属製のマスクを取り外した。

0091

次に、種結晶層まで配置した基板の上に、金属製のマスクを配置した。詳細には、保護層の上に、金属製のマスクを配置した。マスクは、複数の開口部を有していた。複数の開口部は、それぞれ、基板の主面の複数の第1領域に重なっていた。すなわち、複数の開口部は、複数の種結晶層に重なっていた。次に、蛍光体粒子を含む塗布液を準備した。蛍光体粒子の材料は、YAGであった。蛍光体粒子の平均粒径は、4.3μmであった。印刷法によって塗布液を複数の種結晶層の上に塗布した。これにより、複数の前駆体層を複数の種結晶層の上に形成した。複数の前駆体層を形成した後、金属製のマスクを取り外した。

0092

次に、基板からマスクが取り外された状態で、溶液成長法によって、複数のZnO薄膜の上に結晶質のマトリクスを作製した。マトリクスとなるZnOの溶液成長法として、化学浴析出法を用いた。ZnO成長溶液として、硝酸亜鉛(0.1mol/L)と、ヘキサメチレンテトラミン(0.1mol/L)とが溶解した水溶液を準備した。ZnO成長溶液にアンモニア水を添加することによって、ZnO成長溶液のpHの値を6.5に調整した。アンモニア水におけるアンモニアの濃度は、28質量%であった。容器に収容されたZnO成長溶液に、蛍光体粒子が配置された基板を浸漬させた。このとき、基板の主面は、容器の底面に対して垂直であった。ZnO成長溶液の温度を80℃に保持することによって、蛍光体粒子同士の間に、c軸配向のZnOマトリクスを結晶成長させた。次に、ZnO成長溶液から基板を取り出し、純水によって基板を洗浄した。次に、複数の蛍光体層の表面を研磨及び洗浄することによって、余分な蛍光体粒子を取り除いた。これにより、複数の蛍光体層が得られた。複数の蛍光体層は、複数の第1領域の上方に形成されていた。蛍光体層の厚さは、30μmであった。蛍光体層には、異物が付着していなかった。次に、複数の蛍光体層が互いに分離するように、第2領域に定められた複数の切断線に沿って、基板、金属層、誘電体層及び保護層を切断した。このようにして、実施例1の波長変換部材を得た。

0093

(実施例2)
保護層の厚さを50nmにしたことを除き、実施例1と同じ方法によって、実施例2の波長変換部材を得た。

0094

(比較例1)
保護層を形成しなかったことを除き、実施例1と同じ方法によって、比較例1の波長変換部材を得た。

0095

(比較例2)
マスクを用いずにZnO薄膜を形成したことを除き、比較例1と同じ方法によって、比較例2の波長変換部材を得た。比較例2の波長変換部材において、ZnO薄膜及びマトリクスは、それぞれ、第1領域及び第2領域を被覆していた。蛍光体粒子は、第1領域の上方に配置されていた。

0096

顕微鏡による観察)
実施例及び比較例の波長変換部材の表面を顕微鏡によって観察した。顕微鏡としては、KEYENCE社製のデジタルマイクスコープVH−5000を用いた。得られた顕微鏡画像を図13〜16に示す。図15からわかるとおり、比較例1の波長変換部材では、蛍光体層の周囲に、ZnO粒子が数多く生成していた。ZnO粒子は、誘電体層の上に位置していた。比較例1では、誘電体層とともにZnO粒子が切断されたため、得られた波長変換部材には、異物が付着していた。図16からわかるとおり、比較例2の波長変換部材では、ZnO粒子の生成が抑制されていた。しかし、第2領域の上方には、蛍光体層とほとんど同じ厚さを有するマトリクスが形成されていた。そのため、比較例2の波長変換部材では、誘電体層とともにマトリクスが切断されたことに伴い、蛍光体層にクラックが生じていた。比較例2では、マトリクスが切断されたときに、マトリクスの一部が飛散した。飛散したマトリクスの一部は、異物として波長変換部材に付着していた。これらに対して、図13及び図14からわかるとおり、実施例1及び2の波長変換部材では、ZnO粒子の生成が抑制されていた。

0097

次に、実施例1、2及び比較例1の波長変換部材について、ZnO粒子の個数を数えた。これらの波長変換部材において、複数のZnO粒子が互いに接することによって、複数のZnO粒子が一体化していることがあった。複数のZnO粒子が一体化した粒子については、その粒子を構成しているZnO粒子の個数を数えた。実施例1において、保護層の表面のうち、第2領域の上方に位置している部分に形成されたZnO粒子の個数は、その部分の面積1mm2あたり3.4個/mm2であった。実施例2において、保護層の表面のうち、第2領域の上方に位置している部分に形成されたZnO粒子の個数は、その部分の面積1mm2あたり3.1個/mm2であった。これに対して、比較例1において、誘電体層の表面のうち、第2領域の上方に位置している部分に形成されたZnO粒子の個数は、その部分の面積1mm2あたり109個/mm2であった。実施例1及び2では、ZnO粒子の生成が抑制され、ZnO粒子及びマトリクスが切断されないため、波長変換部材に対する異物の付着が抑制されていた。

0098

(ZnO粒子の観察結果
次に、比較例1の波長変換部材の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した。得られたSEM画像図17に示す。図17は、誘電体層514の上に形成された複数のZnO粒子501と、蛍光体層520の一部とを示している。図17からわかるとおり、複数のZnO粒子501のそれぞれは、半球状であった。

0099

次に、誘電体層514の表面付近において、当該表面に平行な断面が得られるように、ZnO粒子501を切断した。そのZnO粒子501の切断面をSEMによって観察した。得られたSEM画像を図18に示す。図18からわかるとおり、ZnO粒子501の断面の中心501C付近から放射状にZnOの結晶が成長していた。

0100

高温試験
波長変換部材のマトリクスを溶液成長法で形成した場合、マトリクスは、水などの不純物を含んでいることがある。そのため、波長変換部材が加熱された場合、不純物が揮発し、マトリクスが収縮することがある。これにより、保護層と種結晶層との境界、又は、誘電体層と種結晶層との境界に応力が生じる。この応力によって、基板から種結晶層及び蛍光体層が剥離することがある。そのため、高温試験によって、基板からの蛍光体層の剥離しやすさを評価することができる。以下では、実施例1、2及び比較例1の波長変換部材について高温試験を行った結果を示す。

0101

(測定例1)
まず、実施例1の波長変換部材を2つ焼成炉内に配置した。焼成炉内の温度は、20℃であった。次に、焼成炉内の温度を200℃/hの速度で設定温度まで上昇させた。設定温度は、220℃であった。焼成炉内の温度を設定温度に1時間維持した。次に、焼成炉内の温度を200℃/hの速度で20℃まで低下させた。

0102

次に、焼成炉から取り出した波長変換部材を用いて、反射型光源(図8参照)を作製した。反射型光源は、波長変換部材の基板を保持するための金属製の筐体を有していた。ファンによって筐体を空冷しながら、波長変換部材に励起光を照射した。励起光源として、LDを用いた。励起光の波長は、446nmであった。励起光の照射面積は、0.206mm2であった。LDの出力は、0.21Wであった。このときの蛍光体層の表面の温度を赤外線サーモグラフィによって測定した。次に、LDの出力を変更し、再度、蛍光体層の表面の温度を測定した。赤外線サーモグラフィとしては、FLIR T640(フリアーステムジャパン社製)を用いた。用いた波長変換部材をサンプル1及び2と定義する。LDの出力の値と、その値での蛍光体層の表面の温度(℃)とを表1に示す。

0103

(測定例2)
実施例1の波長変換部材の代わりに、実施例2の波長変換部材を用いたことを除き、測定例1と同じ方法によって、測定例2の高温試験を行った。用いた波長変換部材をサンプル3及び4と定義する。高温試験の後に、波長変換部材に対して励起光を照射した。得られた結果を表1に示す。

0104

(測定例3)
実施例1の波長変換部材の代わりに、比較例1の波長変換部材を用いたことを除き、測定例1と同じ方法によって、測定例3の高温試験を行った。用いた波長変換部材をサンプル5及び6と定義する。高温試験の後に、波長変換部材に対して励起光を照射した。得られた結果を表1に示す。

0105

0106

表1の結果からわかるとおり、実施例1、2及び比較例1の波長変換部材(サンプル1〜6)では、LDの出力を2.98Wに変更した場合であっても、蛍光体層の表面の温度が100℃を下回った。この結果から、サンプル1〜6では、蛍光体層の熱を基板に逃がすことができていると推察される。すなわち、サンプル1〜6において、蛍光体層は、基板から剥離しなかった。

0107

(測定例4)
設定温度を300℃に変更したことを除き、測定例1と同じ方法によって、測定例4の高温試験を行った。用いた波長変換部材をサンプル7及び8と定義する。高温試験の後に、波長変換部材に対して励起光を照射した。LDの出力の値と、その値での蛍光体層の表面の温度(℃)とを表2に示す。得られた結果を表2に併せて示す。

0108

(測定例5)
実施例1の波長変換部材の代わりに、実施例2の波長変換部材を用いたことを除き、測定例4と同じ方法によって、測定例5の高温試験を行った。用いた波長変換部材をサンプル9及び10と定義する。高温試験の後に、波長変換部材に対して励起光を照射した。得られた結果を表2に示す。

0109

(測定例6)
実施例1の波長変換部材の代わりに、比較例1の波長変換部材を用いたことを除き、測定例4と同じ方法によって、測定例6の高温試験を行った。用いた波長変換部材をサンプル11及び12と定義する。高温試験の後に、波長変換部材に対して励起光を照射した。得られた結果を表2に示す。

0110

0111

表2の結果からわかるとおり、実施例1及び2の波長変換部材(サンプル7〜10)では、LDの出力を2.98Wに変更した場合であっても、蛍光体層の表面の温度が100℃を下回った。すなわち、サンプル7〜10において、蛍光体層は、基板から剥離しなかった。これに対して、比較例1の波長変換部材(サンプル11及び12)では、LDの出力を1.46Wに変更したときに、蛍光体層の表面の温度が100℃を超えた。この結果から、サンプル11及び12では、蛍光体層の熱を基板に逃がすことができていないと推察される。すなわち、サンプル11及び12において、蛍光体層は、基板から剥離した。詳細には、種結晶層が誘電体層から剥離した。表2の結果からわかるように、実施例1及び2の波長変換部材では、比較例1の波長変換部材と比べて、基板からの蛍光体層の剥離が抑制されていた。すなわち、種結晶層と保護層との間の接着力は、種結晶層と誘電体層との間の接着力よりも大きいことがわかる。

0112

(測定例7)
設定温度を400℃に変更したことを除き、測定例1と同じ方法によって、測定例7の高温試験を行った。用いた波長変換部材をサンプル13及び14と定義する。高温試験の後に、波長変換部材に対して励起光を照射した。LDの出力の値と、その値での蛍光体層の表面の温度(℃)とを表3に示す。得られた結果を表3に併せて示す。

0113

(測定例8)
実施例1の波長変換部材の代わりに、実施例2の波長変換部材を用いたことを除き、測定例7と同じ方法によって、測定例8の高温試験を行った。用いた波長変換部材をサンプル15及び16と定義する。高温試験の後に、波長変換部材に対して励起光を照射した。得られた結果を表3に示す。

0114

(測定例9)
実施例1の波長変換部材の代わりに、比較例1の波長変換部材を用いたことを除き、測定例7と同じ方法によって、測定例9の高温試験を行った。用いた波長変換部材をサンプル17及び18と定義する。高温試験の後に、波長変換部材に対して励起光を照射した。得られた結果を表3に示す。

0115

0116

表3の結果からわかるとおり、実施例1及び2の波長変換部材(サンプル13〜16)において、LDの出力を2.98Wに変更した場合であっても、蛍光体層の表面の温度が100℃を下回った。すなわち、サンプル13〜16において、蛍光体層は、基板から剥離しなかった。このように、本開示の波長変換部材によれば、蛍光体層が基板から剥離することを十分に抑制できる。

実施例

0117

本開示において、「上面」「上方」等の方向を示す用語は波長変換部材の構成部材の相対的な位置関係でのみ決まる相対的な方向を示し、鉛直方向等の絶対的な方向を示すものではない。

0118

本開示の波長変換部材は、例えば、シーリングライトなどの一般照明装置;スポットライトスタジアム照明スタジオ用照明などの特殊照明装置;ヘッドランプなどの車両用照明装置プロジェクタヘッドアップディスプレイなどの投影装置医療用又は工業用の内視鏡用ライト;デジタルカメラ携帯電話機スマートフォンなどの撮像装置パーソナルコンピュータ(PC)用モニターノート型パーソナルコンピュータテレビ携帯情報端末(PDX)、スマートフォン、タブレットPC、携帯電話などの液晶ディスプレイ装置などにおける光源に利用することができる。

0119

10,30基板
11,31 主面
11a,31a 第1領域
11b,31b 第2領域
12,32金属層
14,34誘電体層
16,36 保護層
18種結晶層
20蛍光体層
21マトリクス
22蛍光体粒子
51発光素子
55,57光学部品
100,110,120,130波長変換部材
200,210,220光源
300,310 照明装置

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