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技術 半導体発光素子およびその製造方法

出願人 東芝マテリアル株式会社学校法人名城大学
発明者 平松亮介佐々木敦也平林英明上山智
出願日 2018年7月6日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2019-539022
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 WO2019-044173
状態 未査定
技術分野 物理蒸着 気相成長(金属層を除く)
主要キーワード Vf値 Ti積層構造 酸素分布 半導体構造中 酸化アルミニウム基板 多角錐形状 効率値 スキャン測定
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題・解決手段

実施形態に係る半導体発光素子は、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下である。前記半導体発光素子は、反射層と、前記反射層の上に設けられた基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、を含む積層構造具備する。前記基板の前記半導体層側の表面には、凹凸構造が設けられる。前記半導体層は、厚さ10nm以上100nm以下の窒化アルミニウムからなるバッファ層を有する。前記バッファ層は酸素を含有し、前記バッファ層の深さ3nmにおける酸素濃度をO3nm(at%)とし、深さ8nmにおける酸素濃度をO8nm(at%)としたとき、0.01≦O8nm/O3nm≦0.5であることを特徴とする。

概要

背景

環境問題省エネルギーの観点から、新たな光源として、発光ダイオードLED)等の半導体発光素子の開発が積極的に行われている。このような半導体発光素子に使用される半導体としては、GaN、InGaN、AlGaN、InAlGaNなどの窒化ガリウム系のものが注目されている。また、窒化ガリウム系の半導体を用いた半導体発光素子においては、発光強度発光効率の向上、長寿命化などの特性の改善を目的とした開発が進められている。例えば、特許文献1では、窒化ガリウム系の半導体層結晶品質を向上させるために、半導体層を、均一な酸素濃度分布を有するAlNバッファ緩衝層の上に形成することが開示されている。

一方、より自然な白色を実現するために、青紫色の光を発する半導体発光素子が着目されている。この半導体発光素子は、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下であり、従来の青色の光を発する半導体発光素子に比べて、発光ピーク波長が短い。発光ピーク波長が380nm以上425nm以下の半導体発光素子においては、従来の半導体発光素子に比べ、発光強度等の特性を改善できる技術の開発が未だ十分では無い。このため、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下の半導体発光素子について、発光強度等の特性を改善できる技術の開発が望まれている。

概要

実施形態に係る半導体発光素子は、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下である。前記半導体発光素子は、反射層と、前記反射層の上に設けられた基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、を含む積層構造具備する。前記基板の前記半導体層側の表面には、凹凸構造が設けられる。前記半導体層は、厚さ10nm以上100nm以下の窒化アルミニウムからなるバッファ層を有する。前記バッファ層は酸素を含有し、前記バッファ層の深さ3nmにおける酸素濃度をO3nm(at%)とし、深さ8nmにおける酸素濃度をO8nm(at%)としたとき、0.01≦O8nm/O3nm≦0.5であることを特徴とする。

目的

また、窒化ガリウム系の半導体を用いた半導体発光素子においては、発光強度や発光効率の向上、長寿命化などの特性の改善を目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

発光ピーク波長が380nm以上425nm以下の半導体発光素子において、前記半導体発光素子は、反射層と、前記反射層の上に設けられた基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、を含む積層構造具備し、前記基板の前記半導体層側の表面には、凹凸構造が設けられ、前記半導体層は、厚さ10nm以上100nm以下の窒化アルミニウムからなるバッファ層を有し、前記バッファ層は酸素を含有し、前記バッファ層の深さ3nmにおける酸素濃度をO3nm(at%)とし、深さ8nmにおける酸素濃度をO8nm(at%)としたとき、0.01≦O8nm/O3nm≦0.5であることを特徴とする半導体発光素子。

請求項2

前記基板は、サファイア基板であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。

請求項3

前記半導体層は、前記バッファ層の上に位置するn形半導体層を有し、前記n形半導体層の少なくとも一部は、AlGaN層であることを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれか1項に記載の半導体発光素子。

請求項4

前記半導体層は、前記バッファ層の上に位置する活性層を有し、前記活性層の少なくとも一部は、InAlGaN層とAlGaN層の積層構造であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。

請求項5

前記半導体層は、前記バッファ層と前記活性層との間に設けられた緩和層をさらに有し、前記緩和層は、InおよびAlの少なくともいずれかを含有することを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子。

請求項6

前記緩和層は、InAlGaN層、またはInAlGaN層とAlGaN層とが交互に設けられた超格子構造、を有することを特徴とする請求項5に記載の半導体発光素子。

請求項7

前記バッファ層のX線回折測定における(0002)面の半値幅が350arcsec以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。

請求項8

前記発光ピーク波長は、400nm以上420nm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の半導体発光素子。

請求項9

請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造法方法において、前記バッファ層を、スパッタリング法で形成することを特徴とする半導体発光素子の製造方法。

請求項10

前記スパッタリング法は、前記基板の温度を400℃以上800℃以下とし、1×10−4Pa以下の真空中で行うことを特徴とする請求項9記載の半導体発光素子の製造方法。

請求項11

前記バッファ層を形成後に、不活性ガス雰囲気中かつ1200℃以上1800℃以下で前記バッファ層を熱処理することを特徴とする請求項9ないし請求項10のいずれか1項に記載の半導体発光素子の製造方法。

技術分野

0001

後述する実施形態は、半導体発光素子およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

環境問題省エネルギーの観点から、新たな光源として、発光ダイオードLED)等の半導体発光素子の開発が積極的に行われている。このような半導体発光素子に使用される半導体としては、GaN、InGaN、AlGaN、InAlGaNなどの窒化ガリウム系のものが注目されている。また、窒化ガリウム系の半導体を用いた半導体発光素子においては、発光強度発光効率の向上、長寿命化などの特性の改善を目的とした開発が進められている。例えば、特許文献1では、窒化ガリウム系の半導体層結晶品質を向上させるために、半導体層を、均一な酸素濃度分布を有するAlNバッファ緩衝層の上に形成することが開示されている。

0003

一方、より自然な白色を実現するために、青紫色の光を発する半導体発光素子が着目されている。この半導体発光素子は、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下であり、従来の青色の光を発する半導体発光素子に比べて、発光ピーク波長が短い。発光ピーク波長が380nm以上425nm以下の半導体発光素子においては、従来の半導体発光素子に比べ、発光強度等の特性を改善できる技術の開発が未だ十分では無い。このため、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下の半導体発光素子について、発光強度等の特性を改善できる技術の開発が望まれている。

先行技術

0004

特表2016−518697号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明が解決しようとする課題は、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下であり、発光強度を向上できる半導体発光素子およびその製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

実施形態に係る半導体発光素子は、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下である。前記半導体発光素子は、反射層と、前記反射層の上に設けられた基板と、前記基板の上に設けられた半導体層と、を含む積層構造具備する。前記基板の前記半導体層側の表面には、凹凸構造が設けられる。前記半導体層は、厚さ10nm以上100nm以下の窒化アルミニウムからなるバッファ層を有する。前記バッファ層は酸素を含有し、前記バッファ層の深さ3nmにおける酸素濃度をO3nm(at%)とし、深さ8nmにおける酸素濃度をO8nm(at%)としたとき、0.01≦O8nm/O3nm≦0.5であることを特徴とする。

図面の簡単な説明

0007

図1は、実施形態に係る半導体発光素子を模式的に表す断面図である。
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る半導体発光素子の一部を拡大した断面図である。

実施例

0008

以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明では、上下の方向を用いて実施形態を説明するが、これらの方向は相対的なものであり、鉛直方向に限定されるものではない。また、本明細書では、A層とB層の積層構造をA/Bと表すが、これはA層がB層の上に設けられることを示す。

0009

図1は、実施形態に係る半導体発光素子1を模式的に表す断面図である。
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る半導体発光素子1の一部を拡大した断面図である。
実施形態に係る半導体発光素子1は、図1に表したように、基板2、半導体層3、反射層4、電極5、および電極6を具備する。図1に表した例では、半導体発光素子1は、透光電極7をさらに具備し、実装基板8の上に実装されている。

0010

(基板2)
基板2の主成分は、例えば、Al2O3、GaN、Si(シリコン)、SiC、Siオンダイヤモンド、ZnO、LiAlO2、MgO、GaAs、Cu(銅)、およびW(タングステン)からなる群より選択された少なくとも1つである。コスト及び特性の観点から、基板2は、サファイア基板であることが望ましい。サファイア基板は、酸化アルミニウム(Al2O3)基板の一種である。基板2の表面側または裏面側の少なくとも一方には、微細な凹凸構造が設けられる。図2(a)に、この凹凸構造の一例を示す。図2(a)に表した例では、基板2の表面側(半導体層3を形成した側)に凹凸構造が設けられている。凹凸構造を設けることにより、この凹凸構造でより多くの光が反射されるようになる。活性層34(後述する)から放射された光は、半導体発光素子1の外に出る光と、半導体発光素子1の内部に向かう光と、がある。半導体発光素子1の内部に向かう光を凹凸構造で反射させ、より多くの光が半導体発光素子1の外に出るようにすることで、半導体発光素子1の発光強度および発光効率を向上させることができる。
凹凸構造の一例として、基板2の表面に凸部が設けられているが好ましい。凸部は、例えば、円錐形状や多角錐形状である。凸部は、上下方向と交差する断面における形状が、三角形台形などの多角形であることが好ましい。なお、上下方向とは、基板2と電極5または電極6とを結ぶ方向のことである。また、凸部が斜面を有することにより反射効果を向上させることができる。凸部は、上下方向に対して垂直な方向(以下では、面内方向という)に沿って、周期的に設けられることが好ましい。表面および裏面の少なくとも一方に凹凸構造が周期的に設けられたサファイア基板は、Patterned Sapphire Substrate(PSS)と呼ばれている。凹凸構造としては、凸部の直径が0.5μm以上5μm以下、凸部の高さが0.5μm以上5μm以下、ピッチが0.5μm以上5μm以下の範囲内であることが好ましい。ピッチとは、隣り合う凸部の頂点間の距離である。凸部の先端が平面形状(凸部の断面が台形)の場合、先端の平面の中心間の距離をピッチとする。凸部のサイズを上記範囲内とすることで、凹凸構造における反射の効果や光取出し効果を十分に向上させることができる。

0011

(半導体層3)
半導体層3は、基板2の表面側に設けられる。半導体層3は、例えば図1に表したように、バッファ層31、n形半導体層32、緩和層33、活性層(発光層)34、およびp形半導体層35を有することが好ましい。

0012

バッファ層31は、その上に設ける活性層34等の半導体層の結晶性を向上させるために設けられる。バッファ層31は、窒化アルミニウム(AlN)系の材料を含むことが好ましい。図2(a)に表したように、バッファ層31は、例えば、基板2の表面の凹凸構造に沿って設けられる。すなわちこの例では、バッファ層31は、面内方向に沿う平坦部31Aと、凹凸構造の傾斜面に設けられた傾斜部31Bと、を有する。バッファ層31の厚さは、例えば、10nm以上100nm以下である。図2(b)は、図2(a)の領域Rを拡大したものである。バッファ層31の厚さTは、図2(b)に表したように、平坦部31Aの上下方向における寸法を測定することで求めることができる。または、バッファ層31の厚さは、凹凸構造の傾斜面の法線方向における傾斜部31Bの寸法を測定することで求めても良い。

0013

n形半導体層32としては、例えば、n形クラッド層などが挙げられる。n形クラッド層としては、SiがドープされたGaN層などが挙げられる。
発明者らは、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下であり、光を高効率で放射でき、かつ発光面が均一な半導体発光素子を得るために、n形クラッド層の少なくとも一部にAlを含有させることが有効であることを見出した。特に、n形クラッド層全体にAlを含有させることにより、高濃度のSiをn形クラッド層にドープさせることが可能となり、ドーパント濃度の増加によりn形クラッド層を低抵抗化することができる。なお、高濃度のSiとしては、8×1018atm/cm3以上5×1019atm/cm3以下が挙げられる。また、Si濃度は、SIMS分析により検出できる。
その他に、n形クラッド層の一部にGaNより高抵抗のAlxGa1−xN(0.05≦x≦0.15)層を挿入することにより、n形クラッド層全体の電流広がりを均一化させることができる。なお、AlxGa1−xN層中の成分比は、TEM−EDXの分析結果から確認することができる。
このように、n形クラッド層にAlを含有させることで、高効率かつ発光面が均一な半導体発光素子が実現できる。
n形クラッド層中のAlの濃度は、1at%以上15at%が好ましい。より好ましくは、n形クラッド層中のAlの濃度は、1at%以上6at%以下である。また、n形半導体層32が高抵抗のAlGaN層を有する場合、n形半導体層32におけるAlの濃度は5at%以上15at%以下が好ましい。AlGaN層の厚さは、20nm以上80nm以下が好ましい。
また、バッファ層31とn形半導体層32の間に、不純物が添加されていないGaN層を設けても良いものとする。

0014

活性層34は、発光層として機能する。活性層34としては、例えば、InGaN層、GaN層、InAlGaN層、AlGaN層、またはそれらを重ね合わせた積層構造などが挙げられる。例えば、活性層34の少なくとも一部は、Inx1Aly1Ga1−x1−y1N(0<x1≦0.15、0≦y1≦0.2)層と、Aly2Ga1−y2N(0≦y2≦0.2)層と、の積層構造である。青色半導体発光素子よりも発光波長の短い、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下の半導体発光素子を得るためには、活性層34に、Alを含有させることが好ましい。活性層34におけるAlの濃度は、5at%以上10at%以下が好ましい。
「活性層34におけるAl濃度」とは、単一層におけるAl濃度を意味する。活性層34が積層構造を有する場合、「活性層34におけるAl濃度」とは、当該積層構造に含まれ、Alを含有している単一層中のAl濃度を指す。Alを含有した単一層としては、InGaN層、GaN層、InAlGaN層、AlGaN層などが挙げられる。また、「単一層」とは、同一組成結晶相である層を指す。
活性層34におけるAl濃度の確認は、例えば以下の方法により行われる。活性層34を含む領域に対して、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析を実施する。これにより、各層の組成や位置を把握する。単一層の組成や位置を把握した後に、(S)TEM[(走査透過電子顕微鏡((Scanning) Transmission Electron Microscope)]−EDX[エネルギー分散X線分析(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)]で線分析を実施する。線分析は半導体構造の上下方向について実施する。EDXで検出されたAlの検出値から、Alの濃度を算出する。積層構造の場合、複数のAlのピーク値平均値をAl濃度とする。平均値は、Alの最大検出値から70%強度以内の平均値をAlの含有量(濃度)とする。例えば、InxAlyGazN単一層の場合、x+y+z=1(x≧0、y≧0、z≧0)と表現され、Al濃度はyの値である。
SIMS分析は、例えば、アメテック株式会社製、CAMECAIMS-7fを用いて実施することができる。測定条件は、例えば以下の通りである。
一次イオン種:Cs+
一次加速電圧:3.0kV
検出領域:30(μmφ)
STEM−EDXによる分析は、例えば、日本電子製JEM-ARM200Fを用いて行うことができる。分析を行う際の条件は、例えば以下の通りである。
加速電圧:200kV
ビーム径:約0.1nmφ
X線取出角:21.9°
立体角:0.98sr
総合倍率:16,000〜1,600,000倍
取込点数:300点
STEMの走査速度:1測定点/sec

0015

緩和層33は、n形半導体層32と活性層34との間に設けることができる。緩和層33を設けることにより、活性層34における結晶のひずみを緩和させ、活性層34の結晶性を向上させることができる。緩和層33としては、InGaN層、GaN層、InAlGaN層、AlGaN層、またはそれらを積層させた超格子層、などが挙げられる。緩和層33は、例えば、Inx3Aly3Ga1−x3−y3N(0<x3≦0.05、0≦y3≦0.08)層である。または、緩和層33は、Inx4Aly4Ga1−x4−y4N(0<x4≦0.08、0≦y4≦0.08)とAly5Ga1−y5N(0≦y5≦0.08)とを交互に積層させた超格子構造を有する。活性層34にAlを含有させた場合は、緩和層33と活性層34との間の格子マッチングを向上させるために、緩和層33にもAlを含有させることが好ましい。

0016

p形半導体層35としては、p形コンタクト層、p形クラッド層、またはp形コンタクト層とp形クラッド層を組み合わせた層、などが挙げられる。p形コンタクト層としては、不純物元素をドープしたGaN層、などが挙げられる。この不純物元素としては、Mg(マグネシウム)などが挙げられる。p形クラッド層としては、不純物元素をドープしたGaN層またはAlGaN層などが挙げられる。

0017

上記のように半導体層3は、多層構造を有している。n形半導体層32では、キャリア電子、p形半導体層35では、キャリアが正孔である。pn接合部で電子と正孔がぶつかって消滅することにより再結合が起きる。再結合の際に、電子が有するエネルギーと正孔が有するエネルギーの差に相当するエネルギーが光として放出される。半導体層3では、p形半導体層35とn形半導体層32を直接接合せずに間に別の層を設けた多層構造とすることにより、電子と正孔を効率よく溜めることができる。これにより発光効率を向上させることができる。

0018

(反射層4)
反射層4は、基板2の裏面側に設けられる。基板2の裏面側とは、基板2に対して半導体層3が設けられている側の面と反対側の面である。反射層4としては、第1誘電体層と第2誘電体層を交互に積層した構造を有する多層反射層金属反射層、またはその両方が用いられることが好ましい。両方を用いる場合には、多層反射層が金属反射層の上に設けられ、基板2が多層反射層の上に設けられる。多層半反射層の第1誘電体層は、酸化チタン酸化ジルコニウム窒化珪素酸化ニオブ、または酸化タンタルなどからなる。第2誘電体層は、酸化珪素、フッ化マグネシウム、またはフッ化カルシウムなどからなる。これらの層は、スパッタリングなどの薄膜形成技術により成膜することができる。金属反射層は、Au、Ag、およびAlからなる群より選ばれる少なくとも一つを主成分として含むことが好ましい。例えば、金属反射層は、Au単体、Au合金、Ag単体、Ag合金、Al単体、またはAl合金を主成分として含む。Ag合金としては、例えば、AgPdCu合金が挙げられる。380〜425nmの波長を有する光に対する反射率は、Ag単体、Ag合金、Al単体、およびAl合金が、Au単体およびAu合金に比べて高いため、好ましい。また、AgおよびAlは、Auに比べて安いため、好ましい。

0019

(電極5、電極6)
電極5および電極6は、半導体層3の上に設けられる。図1では、電極5はpパッド電極、電極6はnパッド電極として機能する。
電極5および電極6は、ワイヤボンディング等により他の構成要素と電気的に接続することができる。電極5および電極6としては、Au層、Au合金層、Au/Ti積層構造、Au/Pd積層構造、Au/Al積層構造、Ni/Pd積層構造、Au/Ni積層構造、などが挙げられる。これらは、ボンディングワイヤとの密着性が良いため、電極5および電極6として好適である。

0020

(透光電極7)
透光電極7は、半導体層3と電極5との間および半導体層3と電極6との間の少なくとも一方に設けることができる。図1に表した例では、半導体層3と電極5の間に透光電極7が設けられている。透光電極7は、半導体層3と電極6の間に設けられても良い。透光電極7は、光を透過する。透光電極7としては、インジウム−錫−酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)層、インジウム−亜鉛−酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)層、酸化亜鉛層酸化錫層、などが挙げられる。

0021

(実装基板8)
実装基板8は、半導体発光素子1を実装するための基板である。実装基板8は、半導体層3を成長させるための基板2とは区別される。半導体層3から放射される光を効率よく反射するために、実装基板8の反射率が高いことが好ましい。また、半導体発光素子1を使用した発光装置輝度をより高めることが要求されている。そのため、高出力型の発光装置は、投入電力が大きいことやジャンクション温度が高くなるといった特徴を有しており、実装基板8の放熱性が高いことが要求される。これらの観点から、実装基板8としては、金属基板が挙げられる。金属基板としては、Al板が好ましい。銀(Ag)、アルミニウム(Al)、または酸化アルミニウム(Al2O3)で被覆されたセラミックス基板も有効である。セラミックス基板としては、窒化珪素基板窒化アルミニウム基板酸化アルミニウム基板が好ましい。実装基板8上に半導体発光素子1を実装する際は、直接実装しても良いし、接着剤層などを介して実装しても良い。

0022

本実施形態の効果を説明する。
上述したように実施形態に係る半導体発光素子1の発光ピーク波長は、380nm以上425nm以下であり、従来の青色半導体発光素子よりも短波長である。このような半導体発光素子1において、半導体層3は、AlNからなるバッファ層31を有する。半導体層3がバッファ層31を有することで、n形半導体層32や、活性層34、p形半導体層35の結晶性が向上し、半導体発光素子1の発光強度を向上させることができる。また、半導体層3が、PSSなどの表面に凹凸構造を有する基板2の上に設けられることで、半導体発光素子1の発光効率をさらに向上させることが可能である。
さらに、発明者らは、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下の半導体発光素子1において、n形半導体層32にAlを含有させることで、n形半導体層32を低抵抗化し、面内方向における発光の均一性を向上させ、半導体発光素子1の寿命を延ばせることを見出した。
一方で、n形半導体層32にAlを含有させる場合、n形半導体層32、活性層34、およびp形半導体層35の結晶性が低下し、半導体発光素子の発光強度および発光効率が低下することが分かった。

0023

発明者らは、この課題を解決するべく実験を行った結果、n形半導体層32、活性層34、およびp形半導体層35の結晶性を向上でき、半導体発光素子の発光強度を向上できるバッファ層31を見出した。このバッファ層31は、窒化アルミニウムからなり、n形半導体層32側における酸素濃度と内部側における酸素濃度とが異なることを特徴とする。具体的には、このバッファ層31は、深さ3nmにおける酸素濃度をO3nm(at%)、深さ8nmにおける酸素濃度をO8nm(at%)としたとき、0.01≦O8nm/O3nm≦0.5である。

0024

バッファ層31を用いることにより、n形半導体層32、活性層34、およびp形半導体層35の結晶性を向上できる。この理由は、以下のように考えられる。
GaN系の半導体層の格子定数は3.189〜3.545程度であり、AlNからなるバッファ層の格子定数は3.111程度である。基板2にPSSを用いた場合、その格子定数は4.758程度である。GaN系の半導体層にAlを含有させると、格子定数が小さくなり、基板2との間の格子ミスマッチが大きくなる。この結果、n形半導体層32、活性層34、およびp形半導体層35の結晶性が低下し、半導体発光素子の特性も低下する。
しかしながら、実施形態に係る半導体発光素子1では、窒化アルミニウムからなるバッファ層31が酸素を含有する。バッファ層31が酸素を含有することで、バッファ層31の格子定数を大きくすることができる。例えば、バッファ層31に酸素を20at%以下含有させると、バッファ層31の格子定数は3.111〜3.440程度になる。この結果、バッファ層31とn形半導体層32との間の格子ミスマッチを低減し、n形半導体層32、活性層34、およびp形半導体層35の結晶性を向上させることができる。また、サファイア基板の格子定数は、4.758程度である。基板2がサファイア基板である場合、バッファ層31の格子定数を大きくすることで、基板2とバッファ層31との間の格子ミスマッチも低減し、n形半導体層32、活性層34、およびp形半導体層35の結晶性をさらに向上させることができる。これにより、半導体発光素子の発光特性を向上させることができると考えられる。
あるいは、PSSのような表面に微細な凹凸構造を有する基板2の上に、半導体層3を成長させる場合において、酸素濃度分布を有する窒化アルミニウムからなるバッファ層31が適していたことなどが考えられる。

0025

また、窒化アルミニウムからなるバッファ層31に酸素を含有させると、バッファ層31の放熱性が低下するが、本実施形態では、バッファ層31における酸素濃度が、0.01≦O8nm/O3nm≦0.5を満たす。すなわち、バッファ層31の表面(n形半導体層32側の面)から深い部分では、バッファ層31のより表面側の領域に比べて、酸素濃度が減少している。従って、本実施形態によれば、バッファ層31における放熱性の低下を抑制しつつ、n形半導体層32、活性層34、およびp形半導体層35の結晶性を向上させることができる。また、O8nmおよびO3nmが、それぞれ20at%以下であることで、バッファ層31における放熱性の低下をより抑制することができる。

0026

以上の通り、本実施形態によれば、バッファ層31による発光強度向上および放熱性改善、Alを含有したn形半導体層32による発光の均一性向上や半導体発光素子1の長寿命化、周辺回路の長寿命化を実現することが可能になる。

0027

本実施形態に係る半導体発光素子1においては、さらに、その他に緩和層33や活性層34にもAlが含有されていることが好ましい。緩和層33および活性層34にAlが含有されることで、緩和層33および活性層34の結晶性を向上させることができる。また、活性層34がAlを含有することで、活性層34から放射される光の波長を短くし、例えば、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下、さらには400nm以上420nm以下である半導体発光素子1を得ることができる。半導体発光素子1における発光ピーク波長を短くし、かつ活性層34の結晶性を向上させるためには、活性層34におけるAlの濃度が5at%以上10at%以下であることが好ましい。

0028

本実施形態の半導体発光素子1に用いられるバッファ層31の厚さは、10nm以上100nm以下が好ましい。より好ましくは、バッファ層31の厚さは、12nm以上40nm以下である。また、発明者らの鋭意検討の結果、バッファ層31の厚さをA、n形半導体層32と緩和層33の厚さの総和をB、としたとき、0.003≦A/B≦1.0、を満たすことが好ましい。また、活性層34の厚さをCとしたとき、0.09≦A/C≦2.9、を満たすことが好ましい。上記の条件を満たすことにより格子定数のマッチングが良好となり、結晶性の良好な活性層34を得られることが分かった。
なお、n形半導体層32の厚さは、GaN層中のSi分布をSIMS分析する。Siが検出される領域をn形半導体層32の厚さとする。

0029

また、バッファ層31のX線回折測定における(0002)面の半値幅が350arcsec以下であることが好ましい。半値幅が小さいということは結晶性の良いバッファ層31を示すものである。また、半値幅により、チルト結晶軸の傾き)分布を評価できる。
また、半導体発光素子1(半導体層3積層後のチップ)のX線回折測定における(0002)面の半値幅は200arcsec以下であることが好ましい。また、半導体発光素子1のX線回折測定における(10−12)面の半値幅は250arcsec以下であることが好ましい。これは、半導体発光素子1の半導体層3の結晶性が良いことを示している。半値幅により、半導体層(LED構造)のチルト(結晶軸の傾き)分布と、ツイスト(結晶軸の回転)分布を評価できる。
半値幅の最適化は半導体層3が最適化され、前述の格子ミスマッチが改善されていることを示している。また、arcsecとはarcsecondの略称である。

0030

半導体発光素子の分析方法の一例について説明する。
半導体発光素子は、例えば、(S)TEM−EDXを用いて分析を行うことができる。
まず、試料の前処理として、FIB(集束イオンビーム)法(μ-サンプリング法)などの手法により、薄片化を行う。具体的には、半導体発光素子を厚さ方向(上下方向)に沿って切断する。この処理は、半導体発光素子を樹脂包埋して行う。

0031

基板の上に形成されたバッファ層は、例えば図2(a)に表したように、基板表面の凹凸構造に沿って設けられる。この場合、STEMでバッファ層の平坦部を観察する。EDXにて、図2(b)に表したように、平坦部と他の半導体層(例えばn形半導体層)との界面(バッファ層の表面)から深さ3nmと8nmの部分の点分析を行う。または、点分析の変わりに、深さ3nmと8nmを含む線分析を行っても良い。分析の結果から、平坦部の表面から3nmの位置における酸素濃度O3nm(at%)と、8nmの位置における酸素濃度O8nm(at%)と、を求め、O8nm/O3nmを算出する。

0032

このSTEM−EDXによる分析は、例えば、日本電子製JEM-ARM200Fを用いて行うことができる。分析を行う際の条件は、例えば以下の通りである。
加速電圧:200kV
ビーム径:約0.1nmφ
X線取出角:21.9°
立体角:0.98sr
総合倍率:16,000〜1,600,000倍
取込点数:300点
STEMの走査速度:1測定点/sec

0033

活性層、緩和層、n形半導体層を構成しているGa、In、Al、Nなどの元素はSTEM−EDXで確認することができる。STEM−EDXで確認する前に、STEM観察によるコントラスト等から半導体構造中の各層の位置を把握する。この際に、あらかじめSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などを実施しておけば、より活性層の構造や位置の把握が容易となる。また、n形半導体層中に存在するSi元素は、SIMS分析により確認する。各層について、STEM−EDXで線分析を実施する。線分析は半導体構造の上下方向について実施する。

0034

活性層が複数の層からなる積層構造を有する場合、STEMで活性層と推測される箇所について線分析を実施する。検出された、複数のInのピーク値の平均値および複数のAlのピーク値の平均値を、それぞれ、活性層におけるInおよびAlの含有量とする。活性層が単層からなる場合、Inの最大検出値から80%強度以内の平均値を、活性層におけるInの含有量とし、Alの最大検出値から70%強度以内の平均値を、活性層におけるAlの含有量とする。
緩和層が複数の層を含む積層構造を有する場合、STEMで緩和層と推測される箇所から検出された、複数のInのピーク値の平均値および複数のAlのピーク値の平均値を、それぞれ、緩和層におけるInおよびAlの含有量とする。緩和層が単層からなる場合、Inの最大検出値から50%強度以内の平均値を、緩和層におけるInの含有量とし、Alの最大検出値から50%強度以内の平均値を、緩和層におけるAlの含有量とする。
n形半導体層については、STEMでn形半導体層と推測される箇所から検出されたAlの平均値を、n形半導体層におけるAlの含有量とする。n形半導体層全体にAlが含有されている場合は、最大検出値から35%強度以内の平均値を、n形半導体層におけるAlの含有量とする。n形半導体層の一部がAlGaN層である場合は、Alの最大検出値から60%強度以内の平均値を、AlGaN層におけるAlの含有量の組成比とする。また、上述した方法で求めたAl(アルミニウム)およびIn(インジウム)の含有量と、STEM−EDXで検出された各層における全元素の強度比Count数)と、を用いて、各層におけるそれぞれの元素の濃度(at%)を算出することができる。

0035

半導体発光素子の分析は、SIMS[二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry)]を用いて行っても良い。
SIMSを用いた場合、例えば、Inが含まれる層が2つ検出される。この場合、上の層が活性層であり、下の層が緩和層と判定できる。緩和層が設けられていない場合、Inが含まれる層が1つ検出される。その層は、活性層と判定できる。フェイスアップ型構造LEDの場合、p形半導体層は、活性層より上に設けられる。n形半導体層は、活性層よりも下に位置する。緩和層が設けられている場合、n形半導体層は、緩和層よりも下に位置する。p形半導体層からは、Mgなどのp形不純物が検出され、n形半導体層からは、Siなどのn形不純物が検出される。従って、活性層の位置と、これらの不純物の検出結果から、n形半導体層およびp形半導体層の位置をそれぞれ特定することができる。バッファ層は、n形半導体層よりも下に位置する。バッファ層の位置は、LED構造の断面STEM観察によるHADF(high-angle annular dark-field)象のコントラスト、及び、STEM−EDXによる元素分析結果から特定することができる。

0036

このSIMSは、例えば、アメテック株式会社製、CAMECAIMS-7fを用いて実施することができる。測定条件は、例えば、以下のものとすることができる。
一次イオン種:Cs+
一次加速電圧:3.0kV
検出領域:30(μmφ)

0037

また、X線回折(X‐ray diffraction:XRD)の測定方法は次の通りである。まず、バッファ層の半値幅の測定は、基板2上にバッファ層31を設けたウェーハまたは半導体発光素子(バッファ層31上に他の半導体層を積層した後のチップ)を用いて行うものとする。XRDは例えば株式会社リガク製、SmartLabを用いて実施することができる。測定条件は例えば以下のものとする。
管電圧:45kV
管電流:200mA
波長単色性:Kα1(Cuターゲット
入射受光スリット幅:1mm

0038

また、半導体発光素子(LED構造全体)のXRD測定は、LED構造まで積層した後のチップを用いて行うものとする。XRDは例えば株式会社リガク製、SmartLabを用いて実施することができる。測定条件は例えば以下のものとする。
管電圧:45kV
管電流:200mA
波長単色性:Kα1(Cuターゲット)
入射・受光スリット幅:0.1mm

0039

以下で、実施形態に係る半導体発光素子1の製造方法の一例を説明する。
まず、表面に微細な凹凸構造を有する基板2を用意する。基板2の表面上に、バッファ層31を形成する。バッファ層31は、例えば、酸素を含有するAlNターゲットを用いたスパッタリングにより形成することができる。AlNターゲットにおける酸素の含有量は、例えば、10wtppm以上100wtppm以下である。
例えば、初めに酸素含有量が相対的に少ないAlNターゲットを用いてAlNを成膜し、次に酸素含有量が相対的に多いAlNターゲットを用いてAlNを成膜することで、厚さ方向において酸素の濃度分布を有するバッファ層31が形成される。または、初めに酸素を含有するAlNターゲットを用いてAlNを成膜し、次にこのAlNターゲットをスパッタリングしつつ成膜空間に酸素を導入することで、厚さ方向において酸素の濃度分布を有するバッファ層31が形成される。
スパッタリングを行う際、基板2の温度は、400℃以上800℃以下が好ましい。また、スパッタリングは、1.0×10−4Pa以下の真空中で行われることが好ましい。1.0×10−4Pa以下の真空中でスパッタリングすることで、バッファ層31中に混入する酸素量を低減し、バッファ層31の厚さ方向における酸素の濃度分布を大きくすることができる。AlNターゲットをスパッタリングする際のスパッタリング装置の出力は、150W以上400W以下が好ましい。この他に、バッファ層31は、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法や物理蒸着(Physical Vapor Deposition:PVD)法などを用いて形成しても良い。
このバッファ層31は、窒素などの不活性ガス雰囲気中において、1200℃以上1800℃以下で熱処理されることが好ましい。熱処理により、バッファ層31の結晶性が向上する。また、バッファ層31の結晶性が向上することで、バッファ層31の内部に含有されていた酸素が、バッファ層31の外部に向けて移動し、バッファ層31の厚さ方向における酸素の濃度分布を大きくすることができる。

0040

続いて、バッファ層31の上に、n形半導体層32、緩和層33、活性層34、およびp形半導体層35を順次形成し、半導体層3を形成する。半導体層3の各層の形成方法は、有機金属気相成長(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)法であることが好ましい。MOVPE法は、複数の有機金属ガスを反応させて目的とする半導体層を形成する方法である。GaN、InGaN、AlGaN、InAlGaNなど様々な半導体層を形成することができる。Gaの原料となる有機金属ガスとしては、トリメチルガリウム(TMGa)またはトリエチルガリウムTEGa)が挙げられる。Alの原料となる有機金属ガスとしては、トリメチルアルミニウム(TMAl)が挙げられる。Inの原料となる有機金属ガスとしては、トリメチルインジウム(TMIn)が挙げられる。MOVPE装置内で加熱した基板2上に有機金属ガスを供給し、半導体層3の各層を順次成長させていくことができる。必要に応じて、成長中の層に不純物元素をドープしても良い。

0041

半導体層3を形成した後、電極5(pパット電極)および電極6(nパット電極)を形成する。必要に応じて、半導体層3とこれらの電極との間に透光電極7を形成しても良い。電極5および電極6は、例えばスパッタリングや電子ビーム(Electron Beam:EB)蒸着により形成することができる。透光電極7は、例えばスパッタリングにより形成することができる。

0042

反射層4は、例えば、基板2の裏面側に、前述した第1誘電体層と第2誘電体層を交互に積層することで形成される。これらの誘電体層は、例えば、物理蒸着法により形成することができる。物理蒸着法としては、真空蒸着分子線蒸着(MBE)、イオンプレーティングイオンビーム蒸着、スパッタリングなどが挙げられる。イオンビームアシスト蒸着(Ion-beam Assisted Deposition:IAD)も有用である。IAD法は、真空蒸着中にイオン銃ガスイオン照射し、緻密な膜を形成する方法である。ガスイオンを照射する際に、同量の電子を飛ばして中和することも有効である。IAD法を用いることにより、緻密で平坦多層膜を形成することができる。反射層4は、基板2側に第1誘電体層を設けて、以下、第2誘電体層と第1誘電体層を交互に成膜することにより形成される。
必要に応じて、反射層4の下に金属反射層をさらに形成しても良い。金属反射層は、例えばスパッタリング法電子ビーム蒸着により形成することができる。

0043

以上の工程で作製された半導体発光素子1に対し、必要に応じて、半導体層3または半導体発光素子1全体を覆う保護層を形成してもよい。
次に、実装基板8に、半導体発光素子1を実装する。実装工程では、反射層4と実装基板8との間の密着性が不十分な場合、これらの間に接着層を設けても良い。半導体発光素子1は、実装基板8の上にフリップチップ実装されても良い。

0044

(実施例)
本発明の実施例に係る半導体発光素子および比較例に係る半導体発光素子を説明する。
実施例および比較例に係る半導体発光素子は、以下のように作製した。
基板2として、PSSを用いる。すなわち、基板2は、表面に微細な凹凸構造を有するサファイア基板である。基板2を600℃に加熱し、基板2の表面側に、1×10−5Paの雰囲気中でスパッタリング法によりAlNバッファ層を設ける。このAlNバッファ層は、N2雰囲気中で、1550℃で1時間アニール処理を実施した。AlNバッファ層の酸素量および厚さに関しては、表1に示した値が得られるように、各工程の条件を制御した。また、スパッタリングには、AlNスパッタリングターゲット(酸素含有量30wtppm)を用いた。
AlNバッファ層の上に、MOCVD装置を用いて、発光ピーク波長が380nm以上425nm以下となるように、n形半導体層、緩和層、活性層、およびp形半導体層を設けた。n形半導体層、緩和層、および活性層のそれぞれの組成および厚さは、表1に示した通りである。p形半導体層は、全ての実施例および比較例において、p−GaN(Mg濃度:2.5×101cm−3)/p−Al0.17Ga0.83N(Mg濃度:3.0×1019cm−3)の積層構造とした。
なお、比較例1は、スパッタリング時に酸素含有雰囲気とすることにより、AlNバッファ層の深さ方向における酸素分布を変えたものである。また、比較例2は、Alスパッタリングターゲットを酸素含有雰囲気中でスパッタリングすることにより、AlNバッファ層の深さ方向における酸素分布を均一にしたものである。
また、緩和層と活性層においては、積層構造中の各単層の組成および膜厚の上限から下限の範囲を、「〜」を用いて示している。各層の組成および膜厚は、前述に記載した方法で測定した。また、実施例1および実施例2のn形半導体層は、Si濃度が8×1018〜5×1019atm/cm3の範囲内であった。

0045

実施例および比較例に係る半導体発光素子の作製において、n形半導体層、緩和層、活性層、およびp形半導体層を設ける前に、AlNバッファ層のX線回折(XRD)測定を実施し、半値幅を求めた。さらに、n形半導体層、緩和層、活性層、およびp形半導体層を設けた後に、XRD装置で(0002)面、(10−12)面に対してωスキャン測定を実施し、半値幅を求めた。それぞれの半値幅を表2に示す。

0046

表から分かる通り、実施例に係る半導体発光素子において、バッファ層の(0002)面の半値幅は350arcsec以下であった。また、実施例に係る半導体発光素子において、(0002)面の半値幅は200arcsec以下であった。また、実施例において、(10−12)面の半値幅は250arcsec以下であった。いずれも半値幅が小さくなっており、結晶性が改善されていることが分かる。
半導体層を形成した後、透光電極としてITO、電極としてのAu/Ti、および反射層としてのAgPdCu層を順次設けて半導体発光素子を作製した。作製した各半導体発光素子の発光効率を求めた。発光効率の測定方法は、以下の通りである。
作製した半導体発光素子をチップ化する。各半導体発光素子のチップサイズは、全て0.18mm2とした。銀ペースト半田、透明な接着剤などを使用して各半導体発光素子を実装基板上に固定する。金ワイヤーなどを用いて各半導体発光素子を実装基板と導通させる。実装した半導体発光素子を、積分球を有する全光束測定システム(大塚電子製MCPD9800)を用いて、全光束測定を実施した。得られた結果から、半導体発光素子の外部量子効率を算出した。その後、各半導体発光素子の発光強度の対比を行った。対比は比較例1の半導体発光素子の外部量子効率を100とした際の相対的な効率値として記載した。さらに発光素子のジャンクション温度TjをVf測定法にて測定した。具体的には、1mAを供給しながら、半導体発光素子の周囲の温度を変化させた時のそれぞれのVf値を測定し、Vfの温度依存性を把握した。これを用いて、半導体発光素子の周囲を一定温度(室温)にして35A/cm2の電流を供給し、半導体発光素子において発熱が起こる状態にした時のVf値から、Tjを算出した。その後、各半導体発光素子のTjの対比を行った。対比は比較例1の半導体発光素子のTjを100とした際の相対的な値として記載した。結果を以下の表3に示す。

0047

表3に示した結果から、実施例に係る半導体発光素子は、比較例に係る半導体発光素子に比べて、ピーク波長380〜425nmの範囲で相対効率が高く、相対ジャンクション温度も下げることができた。これは、実施例に係る半導体発光素子が、比較例に係る半導体発光素子に比べて、発光効率が高く、長時間の点灯により適していることを示している。
また、表2に示した結果から、実施例に係る半導体発光素子は、バッファ層における(0002)面の半値幅が350arc.sec.以下であり、比較例に係る半導体発光素子に比べて、半導体層3の結晶性が高いことが分かる。
また、実施例3と実施例5を比べると、実施例3の方が相対効率、相対ジャンクション温度が改善されていた。これは、実施例3の緩和層中にAlを含有したAlGaN層を用いているためである。
また、実施例1および実施例3において、相対効率および相対ジャンクション温度の良い結果が得られている。これは、実施例1および実施例3のAlNバッファ層の(0002)面の半値幅、半導体層積層後の(0002)面の半値幅、(10−12)面の半値幅が小さいためである。AlNバッファ層の酸素分布を制御した上で半値幅を制御することの効果が確認できた。

0048

以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。

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