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課題・解決手段

ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドを、シクロデキストリンの存在下、ラムノシダーゼ活性を有する酵素で処理してラムノースを脱離する脱離工程を含む、フラボノイド包接化合物の製造方法。本発明の製造方法によれば、水への溶解性に優れるフラボノイド包接化合物やフラボノイド配糖体組成物を効率よく生産することができ、医薬品、飲食品、健康食品特定保健用食品、及び化粧品などの分野において好適に利用することができる。

概要

背景

フラボノイドには、酸化防止効果があることから、食品香味劣化防止、色素退色防止等に使用されており、日本の食品添加物既存添加物酸化防止剤リストには、フラボノイドを有効成分としているカテキン酵素処理ルチンルチン抽出物茶抽出物ヤマモモ抽出物等が数多く報告されている。また生理作用として、フラボノイドは、抗腫瘍コレステロール低下降圧血糖下降体脂肪減少等が報告されており、医薬品、飲食品、健康食品、特定保健用食品、及び化粧品などにも多く使用されている。

フラボノイドは、野菜果実、お等に含まれ約3000種類以上が知られているが、水難溶解性のものが多いため、清涼飲料水水剤等、水易溶性が必要となる食品、飲料、医薬品及び化粧品に使用することが難しい。例えば、フラボノイドで代表的なヘスペリジンや、ルチンの水への溶解度は、0.01%以下のため、清涼飲料水、化粧水等への使用は困難である。

難溶解性フラボノイドはラムノシド構造をもつものとラムノシド構造をもたないものに分けることができるが、ラムノシド構造をもつルチン、ヘスペリジン、ナリンジンよりも、ラムノースが脱離したイソクエルシトリンヘスペレチン−7−グルコシドナリンゲニン、ナリンゲニン−7−グルコシドのほうがラットでの体内吸収性が高くなることが報告されている(非特許文献1〜3)。

また、難溶性フラボノイドをシクロデキストリン包接させることや、難溶性フラボノイドを配糖体化させることで体内吸収性が向上し、生理活性を効果的に示すことが知られている。包接化合物については、例えば、イソクエルシトリン(1M)・γ−シクロデキストリン(5M)包接化合物が、イソクエルシトリンよりもヒトでの体内吸収率が高くなることや(特許文献1)、マウス実験で、ヘスペレチン・β-シクロデキストリン包接化合物等が、ヘスペレチンよりも体内吸収性(AUC0−9時間)が高くなり、アレルギー反応抑制作用血流改善作用冷え性改善作用の効果が高くなることや(特許文献2)、ナリンゲニン・ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン包接化合物が、ナリンゲニンに比較して体内吸収性(ラット)が上昇し、VLDL(very low lipoprotein)を減少させ、グルコースクリアランスの割合を増加させることなどが報告されている(非特許文献4)。配糖体化については、例えば、マウスの抗アレルギー効果が、「酵素処理ルチン<イソクエルシトリン<酵素処理イソクエルシトリン」の順になり、ラムノースを除去し、かつ水溶性の酵素処理イソクエルシトリンが最も効果を示すことが報告されている(非特許文献5)。

記文献の他、ラムノシド構造を有する難溶性フラボノイドからラムノースを脱離する方法としては、例えば、特許文献3〜6に開示されている。難溶性フラボノイドをシクロデキストリンで包接する方法としては、例えば、特許文献2、7、8に開示されている。難溶性フラボノイドを配糖体化する方法としては、例えば、特許文献9、10に開示されている。その他、特許文献11には、難溶性フラボノイドを水易溶性にする方法として、水性媒体中に難溶性フラボノイドと大豆サポニン及び/又はマロニルイソフラボン配糖体組成物共存させることにより可溶化する方法が開示されている。

また難溶性フラボノイドの溶解性を改善する方法として、難溶性フラボノイドと水易溶性フラボノイド配糖体を組み合わせることを特徴とする水溶性改善方法(特許文献3〜4、特許文献12)、難溶性フラボノイド−β−シクロデキストリンと、グリコシルヘスペリジンを含有することを特徴とする水溶性フラボノイドが開示されている(特許文献8)。

概要

ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドを、シクロデキストリンの存在下、ラムノシダーゼ活性を有する酵素で処理してラムノースを脱離する脱離工程を含む、フラボノイド包接化合物の製造方法。本発明の製造方法によれば、水への溶解性に優れるフラボノイド包接化合物やフラボノイド配糖体組成物を効率よく生産することができ、医薬品、飲食品、健康食品、特定保健用食品、及び化粧品などの分野において好適に利用することができる。

目的

本発明の課題は、水への溶解性に優れるフラボノイド包接化合物及びフラボノイド配糖体組成物の簡便で効率的な製造方法を新たに提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドを、シクロデキストリンの存在下、ラムノシダーゼ活性を有する酵素で処理してラムノースを脱離する脱離工程を含む、フラボノイド包接化合物の製造方法。

請求項2

前記ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドが、ルチンヘスペリジンナリルチンナリンジンジオスミンエリオシトリンミリシトリンネオヘスペリジンルテオリン−7−ルチノシドデルフィニジン−3−ルチノシド、シアニジン−3−ルチノシド、イソラムネチン−3−ルチノシド、ケンペロール−3−ルチノシド、アピゲニン−7−ルチノシド、及びアカセチン−7−ルチノシドからなる群より選択される1種以上である、請求項1記載の製造方法。

請求項3

前記シクロデキストリンが、β−シクロデキストリン、分枝β−シクロデキストリン、及びγ−シクロデキストリンからなる群より選択される1種以上である、請求項1又は2記載の製造方法。

請求項4

前記ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイド1モルに対し、前記シクロデキストリンを0.01モル以上の割合で存在させる、請求項1〜3いずれか記載の製造方法。

請求項5

前記脱離工程がpH3〜7の水媒体において行われる、請求項1〜4いずれか記載の製造方法。

請求項6

前記フラボノイド包接化合物が、前記ラムノシド構造をもたない難溶性フラボノイドがシクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であり、前記ラムノシド構造をもたない難溶性フラボノイドと前記シクロデキストリンとのモル比(シクロデキストリン/フラボノイド)が1.0〜3.0である、請求項1〜5いずれか記載の製造方法。

請求項7

前記フラボノイド包接化合物が、イソクエルシトリンがγ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であり、前記イソクエルシトリンと前記γ−シクロデキストリンとのモル比(γ−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が0.9〜4.0である、請求項1〜6いずれか記載の製造方法。

請求項8

前記フラボノイド包接化合物が、イソクエルシトリンがγ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であり、前記イソクエルシトリンと前記γ−シクロデキストリンとのモル比(γ−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が0.9〜1.8である、請求項1〜7いずれか記載の製造方法。

請求項9

前記フラボノイド包接化合物が、イソクエルシトリンがβ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であり、前記イソクエルシトリンと前記β−シクロデキストリンとのモル比(β−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が1.0〜3.0である、請求項1〜6いずれか記載の製造方法。

請求項10

前記フラボノイド包接化合物が、ヘスペレチン−7−グルコシドがシクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であり、前記ヘスペレチン−7−グルコシドと前記シクロデキストリンとのモル比(シクロデキストリン/ヘスペレチン−7−グルコシド)が1.0〜3.0である、請求項1〜6いずれか記載の製造方法。

請求項11

前記フラボノイド包接化合物が、ナリンゲニン−7−グルコシドがβ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であり、前記ナリンゲニン−7−グルコシドと前記β−シクロデキストリンとのモル比(β−シクロデキストリン/ナリンゲニン−7−グルコシド)が1.0〜3.0である、請求項1〜6いずれか記載の製造方法。

請求項12

得られるイソクエルシトリン包接化合物は体内吸収性が向上したものである、請求項7〜9いずれか記載の製造方法。

請求項13

得られるヘスペレチン−7−グルコシド包接化合物は体内吸収性が向上したものである、請求項10記載の製造方法。

請求項14

請求項1〜13いずれか記載の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物を糖転移酵素で処理して配糖体化する配糖体化工程を含む、フラボノイド配糖体組成物の製造方法。

請求項15

前記配糖体化工程がpH3〜7の水媒体において行われる、請求項14記載の製造方法。

請求項16

ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドを、シクロデキストリンの存在下、ラムノシダーゼ活性を有する酵素で処理してラムノースを脱離する脱離工程、及び前記脱離工程を経て得られたフラボノイド包接化合物を糖転移酵素で処理して配糖体化する配糖体化工程を含む、フラボノイド配糖体組成物の製造方法。

請求項17

イソクエルシトリンがγ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記イソクエルシトリンと前記γ−シクロデキストリンとのモル比(γ−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が0.9〜1.8であり、前記イソクエルシトリンの水への溶解度が2%以上である、フラボノイド包接化合物。

請求項18

イソクエルシトリンがγ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記イソクエルシトリンと前記γ−シクロデキストリンとのモル比(γ−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が0.9〜4.0であり、前記イソクエルシトリンの水への溶解度が2.5%以上である、フラボノイド包接化合物。

請求項19

前記イソクエルシトリンと前記γ−シクロデキストリンとのモル比(γ−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が1.0〜1.8であり、甘味が低減されている、請求項17又は18記載のフラボノイド包接化合物。

請求項20

イソクエルシトリンがβ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記イソクエルシトリンと前記β−シクロデキストリンとのモル比(β−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が1.0〜3.0であり、前記イソクエルシトリンの水への溶解度が0.1%以上である、フラボノイド包接化合物。

請求項21

ヘスペレチン−7−グルコシドがシクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記ヘスペレチン−7−グルコシドと前記シクロデキストリンとのモル比(シクロデキストリン/ヘスペレチン−7−グルコシド)が1.0〜3.0であり、前記ヘスペレチン−7−グルコシドの水への溶解度が0.01%以上である、フラボノイド包接化合物。

請求項22

前記ヘスペレチン−7−グルコシドと前記シクロデキストリンとのモル比(シクロデキストリン/ヘスペレチン−7−グルコシド)が1.0〜1.9であり、甘味が低減されている、請求項21記載のフラボノイド包接化合物。

請求項23

ナリンゲニン−7−グルコシドがβ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記ナリンゲニン−7−グルコシドと前記β−シクロデキストリンとのモル比(β−シクロデキストリン/ナリンゲニン−7−グルコシド)が1.0〜3.0であり、前記ナリンゲニン−7−グルコシドの水への溶解度が0.01%以上である、フラボノイド包接化合物。

請求項24

請求項17〜23いずれか記載のフラボノイド包接化合物とラムノースとを含み、前記フラボノイド包接化合物中のフラボノイドと前記ラムノースとのモル比(ラムノース/フラボノイド)が0.8〜1.2である、フラボノイド包接化合物含有組成物

請求項25

請求項17〜23いずれか記載のフラボノイド包接化合物と、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドとを含み、前記フラボノイド包接化合物中のフラボノイドと前記難溶性フラボノイドとのモル比(難溶性フラボノイド/包接化合物中のフラボノイド)が0.001〜0.1である、フラボノイド包接化合物含有組成物。

請求項26

下記一般式(1)で示される化合物を含むイソクエルシトリン配糖体組成物であって、前記配糖体組成物中、n=0の配糖体含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上である、イソクエルシトリン配糖体組成物。(一般式(1)中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を意味する)

請求項27

苦味が低減された、請求項26記載のイソクエルシトリン配糖体組成物。

請求項28

下記一般式(2)で示される化合物を含むヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物であって、前記配糖体組成物中、n=0の配糖体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上である、ヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物。(一般式(2)中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を意味する)

請求項29

苦味が低減された、請求項28記載のヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物。

請求項30

下記一般式(3)で示される化合物を含むナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物であって、前記配糖体組成物中、n=0の配糖体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上である、ナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物。(一般式(3)中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を意味する)

請求項31

請求項1〜13いずれか記載の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物、請求項14〜16いずれか記載の製造方法により得られたフラボノイド配糖体組成物、請求項17〜23いずれか記載のフラボノイド包接化合物、請求項24又は25記載のフラボノイド包接化合物含有組成物、請求項26又は27記載のイソクエルシトリン配糖体組成物、請求項28又は29記載のヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物、及び請求項30記載のナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物からなる群より選択される1種以上の化合物又は組成物を含む、飲食品

請求項32

請求項1〜13いずれか記載の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物、請求項14〜16いずれか記載の製造方法により得られたフラボノイド配糖体組成物、請求項17〜23いずれか記載のフラボノイド包接化合物、請求項24又は25記載のフラボノイド包接化合物含有組成物、請求項26又は27記載のイソクエルシトリン配糖体組成物、請求項28又は29記載のヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物、及び請求項30記載のナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物からなる群より選択される1種以上の化合物又は組成物を含む、医薬品。

請求項33

請求項1〜13いずれか記載の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物、請求項14〜16いずれか記載の製造方法により得られたフラボノイド配糖体組成物、請求項17〜23いずれか記載のフラボノイド包接化合物、請求項24又は25記載のフラボノイド包接化合物含有組成物、請求項26又は27記載のイソクエルシトリン配糖体組成物、請求項28又は29記載のヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物、及び請求項30記載のナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物からなる群より選択される1種以上の化合物又は組成物を含む、化粧品

請求項34

ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドと、請求項1〜13いずれか記載の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物あるいは請求項17〜23いずれか記載のフラボノイド包接化合物とを、前記フラボノイド包接化合物中のフラボノイドと前記難溶性フラボノイドとのモル比(包接化合物中のフラボノイド/難溶性フラボノイド)が0.1〜0.9となるように媒体中で混合する、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドの溶解性を向上させる方法。

技術分野

0001

本発明は、フラボノイド包接化合物の製造方法、フラボノイド配糖体組成物の製造方法、フラボノイド包接化合物、フラボノイド包接化合物含有組成物イソクエルシトリン配糖体組成物ヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物、ナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物、これらの化合物又は組成物を含む飲食品医療品、又は化粧品、及びラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドの溶解性を向上させる方法に関する。

背景技術

0002

フラボノイドには、酸化防止効果があることから、食品香味劣化防止、色素退色防止等に使用されており、日本の食品添加物既存添加物酸化防止剤リストには、フラボノイドを有効成分としているカテキン酵素処理ルチンルチン抽出物茶抽出物ヤマモモ抽出物等が数多く報告されている。また生理作用として、フラボノイドは、抗腫瘍コレステロール低下降圧血糖下降体脂肪減少等が報告されており、医薬品、飲食品、健康食品、特定保健用食品、及び化粧品などにも多く使用されている。

0003

フラボノイドは、野菜果実、お等に含まれ約3000種類以上が知られているが、水難溶解性のものが多いため、清涼飲料水水剤等、水易溶性が必要となる食品、飲料、医薬品及び化粧品に使用することが難しい。例えば、フラボノイドで代表的なヘスペリジンや、ルチンの水への溶解度は、0.01%以下のため、清涼飲料水、化粧水等への使用は困難である。

0004

難溶解性フラボノイドはラムノシド構造をもつものとラムノシド構造をもたないものに分けることができるが、ラムノシド構造をもつルチン、ヘスペリジン、ナリンジンよりも、ラムノースが脱離したイソクエルシトリン、ヘスペレチン−7−グルコシド、ナリンゲニン、ナリンゲニン−7−グルコシドのほうがラットでの体内吸収性が高くなることが報告されている(非特許文献1〜3)。

0005

また、難溶性フラボノイドをシクロデキストリン包接させることや、難溶性フラボノイドを配糖体化させることで体内吸収性が向上し、生理活性を効果的に示すことが知られている。包接化合物については、例えば、イソクエルシトリン(1M)・γ−シクロデキストリン(5M)包接化合物が、イソクエルシトリンよりもヒトでの体内吸収率が高くなることや(特許文献1)、マウス実験で、ヘスペレチン・β-シクロデキストリン包接化合物等が、ヘスペレチンよりも体内吸収性(AUC0−9時間)が高くなり、アレルギー反応抑制作用血流改善作用冷え性改善作用の効果が高くなることや(特許文献2)、ナリンゲニン・ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン包接化合物が、ナリンゲニンに比較して体内吸収性(ラット)が上昇し、VLDL(very low lipoprotein)を減少させ、グルコースクリアランスの割合を増加させることなどが報告されている(非特許文献4)。配糖体化については、例えば、マウスの抗アレルギー効果が、「酵素処理ルチン<イソクエルシトリン<酵素処理イソクエルシトリン」の順になり、ラムノースを除去し、かつ水溶性の酵素処理イソクエルシトリンが最も効果を示すことが報告されている(非特許文献5)。

0006

記文献の他、ラムノシド構造を有する難溶性フラボノイドからラムノースを脱離する方法としては、例えば、特許文献3〜6に開示されている。難溶性フラボノイドをシクロデキストリンで包接する方法としては、例えば、特許文献2、7、8に開示されている。難溶性フラボノイドを配糖体化する方法としては、例えば、特許文献9、10に開示されている。その他、特許文献11には、難溶性フラボノイドを水易溶性にする方法として、水性媒体中に難溶性フラボノイドと大豆サポニン及び/又はマロニルイソフラボン配糖体組成物を共存させることにより可溶化する方法が開示されている。

0007

また難溶性フラボノイドの溶解性を改善する方法として、難溶性フラボノイドと水易溶性フラボノイド配糖体を組み合わせることを特徴とする水溶性改善方法(特許文献3〜4、特許文献12)、難溶性フラボノイド−β−シクロデキストリンと、グリコシルヘスペリジンを含有することを特徴とする水溶性フラボノイドが開示されている(特許文献8)。

0008

特許第5002072号公報
特許第5000884号公報
特許第4902151号公報
特許第3833775号公報
特許第4498277号公報
特許第5985229号公報
特許第3135912号公報
特許第5000373号公報
特許第4202439号公報
特許第3989561号公報
特開2011−225586号公報
特開平7−10898号公報

先行技術

0009

British Journal of Nutrition,102,976-984, 2009
Biological & Pharmaceutical Bulletin,32(12),2034-2040, 2009
American Journal of Physiology: Gastrointestinal and Liver Physiology,279,1148-1154, 2000
PL0S ONE(4),e18033, 2011
Journal ofnatural Medicines, Oct,67(4), 881-6,2013

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、前記先行技術文献に開示される製造方法は生産効率が良いものとは言えず、また、得られるフラボノイドの水への溶解性を十分に満足するものではなく、さらなる改良が望まれるところである。

0011

本発明の課題は、水への溶解性に優れるフラボノイド包接化合物及びフラボノイド配糖体組成物の簡便で効率的な製造方法を新たに提供することである。また、水への溶解性に優れるフラボノイド包接化合物、フラボノイド包接化合物含有組成物、イソクエルシトリン配糖体組成物、ヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物、ナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物、これらの化合物又は組成物を含む飲食品、医療品、又は化粧品、及びラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドの溶解性を向上させる方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0012

本発明は、
[1]ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドを、シクロデキストリンの存在下、ラムノシダーゼ活性を有する酵素で処理してラムノースを脱離する脱離工程を含む、フラボノイド包接化合物の製造方法、
[2][1]記載の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物を糖転移酵素で処理して配糖体化する配糖体化工程を含む、フラボノイド配糖体組成物の製造方法、
[3]ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドを、シクロデキストリンの存在下、ラムノシダーゼ活性を有する酵素で処理してラムノースを脱離する脱離工程、及び前記脱離工程を経て得られたフラボノイド包接化合物を糖転移酵素で処理して配糖体化する配糖体化工程を含む、フラボノイド配糖体組成物の製造方法、
[4]イソクエルシトリンがγ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記イソクエルシトリンと前記γ−シクロデキストリンとのモル比(γ−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が0.9〜1.8であり、前記イソクエルシトリンの水への溶解度が2%以上である、フラボノイド包接化合物、
[5]イソクエルシトリンがγ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記イソクエルシトリンと前記γ−シクロデキストリンとのモル比(γ−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が0.9〜4.0であり、前記イソクエルシトリンの水への溶解度が2.5%以上である、フラボノイド包接化合物、
[6]イソクエルシトリンがβ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記イソクエルシトリンと前記β−シクロデキストリンとのモル比(β−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が1.0〜3.0であり、前記イソクエルシトリンの水への溶解度が0.1%以上である、フラボノイド包接化合物、
[7]ヘスペレチン−7−グルコシドがシクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記ヘスペレチン−7−グルコシドと前記シクロデキストリンとのモル比(シクロデキストリン/ヘスペレチン−7−グルコシド)が1.0〜3.0であり、前記ヘスペレチン−7−グルコシドの水への溶解度が0.01%以上である、フラボノイド包接化合物、
[8]ナリンゲニン−7−グルコシドがβ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記ナリンゲニン−7−グルコシドと前記β−シクロデキストリンとのモル比(β−シクロデキストリン/ナリンゲニン−7−グルコシド)が1.0〜3.0であり、前記ナリンゲニン−7−グルコシドの水への溶解度が0.01%以上である、フラボノイド包接化合物、
[9][4]〜[8]いずれか記載のフラボノイド包接化合物とラムノースとを含み、前記フラボノイド包接化合物と前記ラムノースとのモル比(ラムノース/フラボノイド包接化合物)が0.8〜1.2である、フラボノイド包接化合物含有組成物、
[10][4]〜[8]いずれか記載のフラボノイド包接化合物と、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドとを含み、前記フラボノイド包接化合物中のフラボノイドと前記難溶性フラボノイドとのモル比(難溶性フラボノイド/包接化合物中のフラボノイド)が0.001〜0.1である、フラボノイド包接化合物含有組成物、
[11]下記一般式(1)で示される化合物を含むイソクエルシトリン配糖体組成物であって、前記配糖体組成物中、n=0の配糖体含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上である、イソクエルシトリン配糖体組成物、



(一般式(1)中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を意味する)
[12]下記一般式(2)で示される化合物を含むヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物であって、前記配糖体組成物中、n=0の配糖体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上である、ヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物、



(一般式(2)中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を意味する)
[13]
下記一般式(3)で示される化合物を含むナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物であって、前記配糖体組成物中、n=0の配糖体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上である、ナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物、



(一般式(3)中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を意味する)
[14][1]記載の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物、[2]又は[3]記載の製造方法により得られたフラボノイド配糖体組成物、[4]〜[8]いずれか記載のフラボノイド包接化合物、[9]又は[10]記載のフラボノイド包接化合物含有組成物、[11]記載のイソクエルシトリン配糖体組成物、[12]記載のヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物、及び[13]記載のナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物からなる群より選択される1種以上の化合物又は組成物を含む、飲食品、
[15][1]記載の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物、[2]又は[3]記載の製造方法により得られたフラボノイド配糖体組成物、[4]〜[8]いずれか記載のフラボノイド包接化合物、[9]又は[10]記載のフラボノイド包接化合物含有組成物、[11]記載のイソクエルシトリン配糖体組成物、[12]記載のヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物、及び[13]記載のナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物からなる群より選択される1種以上の化合物又は組成物を含む、医薬品、
[16][1]記載の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物、[2]又は[3]記載の製造方法により得られたフラボノイド配糖体組成物、[4]〜[8]いずれか記載のフラボノイド包接化合物、[9]又は[10]記載のフラボノイド包接化合物含有組成物、[11]記載のイソクエルシトリン配糖体組成物、[12]記載のヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物、及び[13]記載のナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物からなる群より選択される1種以上の化合物又は組成物を含む、化粧品、並びに
[17]ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドと、[1]記載の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物あるいは[4]〜[8]いずれか記載のフラボノイド包接化合物とを、前記フラボノイド包接化合物中のフラボノイドと前記難溶性フラボノイドとのモル比(包接化合物中のフラボノイド/難溶性フラボノイド)が0.1〜0.9となるように媒体中で混合する、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドの溶解性を向上させる方法に関する。

発明の効果

0013

本発明によれば、水への溶解性に優れるフラボノイド包接化合物及びフラボノイド配糖体組成物の、簡便で効率的な製造方法が新たに提供される。また、水への溶解性に優れるフラボノイド包接化合物、フラボノイド包接化合物含有組成物、イソクエルシトリン配糖体組成物、ヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物、ナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物、これらの化合物又は組成物を含む飲食品、医療品、又は化粧品、及びラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドの溶解性を向上させる方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0014

実施例39のHPLCクロマトグラムを示す。
実施例40のHPLCクロマトグラムを示す。

0015

本発明者らが前記課題を検討したところ、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドをシクロデキストリンの存在下でラムノースを脱離することで、ラムノース脱離と同時にフラボノイド包接化合物を製造することができ、脱離工程と包接工程を別々に行っていた従来法よりも効率的に製造できることを見出した。さらに意外なことに、かかる製造方法で得られたフラボノイド包接化合物が、従来法で製造したフラボノイド包接化合物よりも水への溶解性に優れていることを見出した。本発明においては、シクロデキストリンの他に各種の環状オリゴ糖を同様に使用できる。ここで、環状オリゴ糖とは、単糖が環状につながった化合物を示し、より具体的には、シクロデキストリン、サイクロデキストランサイクロフルクタン、サイクロアルタナン、クラスターデキストリンなどが例示される。以下の説明では、シクロデキストリンを用いた態様を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の環状オリゴ糖も同様に用いることができる。

0016

本発明のフラボノイド包接化合物の製造方法は、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドを、シクロデキストリンの存在下、ラムノシダーゼ活性を有する酵素で処理してラムノースを脱離する脱離工程を含む。

0017

脱離工程は、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドからラムノースを脱離して、ラムノシド構造をもたないフラボノイドとシクロデキストリンとの包接化合物(「フラボノイド包接化合物」とも称す)を得る工程である。脱離工程は、水などの溶媒中で静置、又は攪拌しながら行うことができ、反応中の酸化、又は褐変を防止するために、反応系のヘッドスペースの空気を窒素等の不活性ガス置換してもよく、またアスコルビン酸等の酸化防止剤を反応系に添加することも可能である。脱離工程は、反応液を加熱により酵素失活させる方法など公知の方法により終了することができる。

0018

ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドとしては、フラボノール類フラバノン類フラボン類イソフラボン類から選ばれるものが挙げられ、フラボノイド骨格ベンゼン環ヒドロキシ基が1個以上、好ましくは、2個以上結合し、かつラムノースを保有する構造を有するものを使用することができる。ここで「難溶性」とは、25℃での水への溶解度が1.0質量%以下、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01質量%以下であることをいう。具体的には、ルチン、ヘスペリジン、ナリルチン、ナリンジン、ジオスミンエリオシトリンミリシトリンネオヘスペリジンルテオリン−7−ルチノシドデルフィニジン−3−ルチノシド、シアニジン−3−ルチノシド、イソラムネチン−3−ルチノシド、ケンペロール−3−ルチノシド、アピゲニン−7−ルチノシド、アカセチン−7−ルチノシド及びこれらの誘導体などが挙げられる。誘導体としては、アセチル化物マロニル化物メチル化物などが挙げられる。

0019

ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドの使用量は、特に限定されるものではないが、反応系中、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは2〜14質量%とすることができる。ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドを2種以上使用する場合の使用量は、その合計量を指す。

0020

本発明の製造方法に使用されるラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドを含有する原料は、特に精製される必要はないが、精製されることが好ましい。前記原料中のラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドの含量に関しては、特に制限がなく、好ましくは5%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上のものを使用することができる。

0021

脱離工程において存在させるシクロデキストリン(CD)としては、特に制限はされないが、より好ましくは、β−シクロデキストリン(β−CD)、分枝β−シクロデキストリン(分岐β−CD)、及びγ−シクロデキストリン(γ−CD)からなる群より選択される1種以上を使用することができる。シクロデキストリンは、D−グルコースが、α−1,4グリコシド結合によって結合し環状構造をとった環状オリゴ糖の一種で、7個結合しているものがβ−シクロデキストリン、8個結合しているものがγ−シクロデキストリンとなる。分枝β−CDは、β−CDに1個以上のグルコ-ス残基、ガラクトシル基、又はヒドロキシプロピル基が側鎖として連結したもので、マルトシルβ−CD(G2−β−CD)、ヒドロキシプロピル−β−CD(HP−β−CD)等がある。なお、「シクロデキストリンの存在下」とは、脱離反応系中にシクロデキストリンが含まれた状態であることを指す。

0022

存在させるシクロデキストリンの量は、特に限定されるものではないが、反応系中、好ましくは0.01〜60質量%、より好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは3〜40質量%とすることができる。シクロデキストリンを2種以上使用する場合の量は、その合計量を指す。

0023

ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドに対する、シクロデキストリンのモル比(シクロデキストリン/フラボノイド)は、効率性の観点から、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.1以上であり、さらに好ましくは0.9以上であり、さらに好ましくは1.0以上であり、経済性の観点から、好ましくは10.0以下であり、より好ましくは6.0以下であり、さらに好ましくは4.0以下であり、さらに好ましくは3.0以下である。

0024

ラムノシダーゼ活性を有する酵素としては、その起源に限定はなく、動物由来植物由来微生物由来等のすべての由来のもので使用できる。さらに、遺伝子組み換え酵素であってもよい。また当該酵素の形態は特に限定されない。

0025

ラムノシダーゼ活性を有する酵素の具体例としては、ヘスペリジナーゼ、ナリンギナーゼ、及びβ−グルコシダーゼペクチナーゼなどが挙げられる。

0026

ラムノシダーゼ活性を有する酵素の使用量は、用いる酵素の種類、反応条件、原料のラムノシド構造をもつ難溶解性フラボノイド類の種類などによって異なるが、例えば、ヘスペリジナーゼ、ナリンギナーゼ、及びβ−グルコシダーゼの場合、ラムノシド構造をもつ難溶解性フラボノイド類1gに対し0.01〜1000Uであることが好ましい。反応条件は、使用する酵素の特性に合わせ反応温度や反応液のpHを選択できるが、pH3〜7とすることが好ましく、pH3.5〜6.5とすることがさらに好ましい。また、ラムノシド構造をもつ難溶解性フラボノイド類をアルカリ域で溶解後にpH7以下で酵素反応することもできる。反応系に使用される溶媒としては水媒体が挙げられる。本明細書において水媒体とは、水、又は有機溶媒水溶液を云う。水としては、水道水蒸留水イオン交換水精製水が例示される。有機溶媒としては、水と均一に混合するものであれば特に限定されない。有機溶媒としては食品に適用可能であるという観点よりエタノールが好ましい。また反応温度は好ましくは10〜80℃であり、より好ましくは40〜75℃である。また、反応時間は、酵素の種類等によって異なるが、例えば、1〜100時間とすることができ、2〜24時間が好ましい。

0027

ラムノシダーゼ活性を有する酵素は、グルコシダーゼ活性を有することもあり、グルコシダーゼ活性により、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイド(ヘスペリジン、ルチン、ナリンジン、ミリシトリン等)から、アグリコン包接化合物(ケルセチン包接化合物、ヘスペレチン包接化合物、ナリンゲニン包接化合物、ミリセチン包接化合物等)を得ることも制限はなく、これらも本発明に係るフラボノイド包接化合物に含まれる。

0028

生成したフラボノイド包接化合物は、前記のとおりラムノシド構造をもたないフラボノイドとシクロデキストリンとの包接化合物である。ここで、包接化合物とは、一方の化学種が、分子規模の空間をつくり、その空間に形状と寸法が適合することで、他方の化学種を包接することによって生じる化合物のことを示す。

0029

ラムノシド構造をもたないフラボノイドとしては、イソクエルシトリン、ケルセチン、ヘスペレチン−7−グルコシド、ヘスペレチン、ナリンゲニン−7−グルコシド(プルニン)、ナリンゲニン、ルテオリン−7−グルコシド、ジオスメチン−7−グルコシド、ミリセチン、エリオジクチオ−ル−7−グルコシド、デルフィニジン−3−グルコシド、シアニジン−3−グルコシド、イソラムネチン−3−グルコシド、ケンペロ−ル−3−グルコシド、アピゲニン−7−ルチノシド、及びアカセチン−7−グルコシドなどが挙げられる。

0030

ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドと、ラムノシド構造をもたないフラボノイドの構造式の具体例を以下に示す。ラムノシド構造をもつルチン(RTN)、ヘスペリジン(HSP)、ナリンジン(NRG)、及びラムノシド構造をもたないイソクエルシトリン(IQC)、ケルセチン(QCT)、ヘスペレチン−7−グルコシド(HPT−7G)、ヘスペレチン(HPT)、ナリンゲニン−7−グルコシド(プルニン)(NGN−7G,prunin)、ナリンゲニン(NGN)の構造式は下記式となる。

0031

0032

ラムノシド構造をもたないフラボノイドに対する、シクロデキストリンの包接体でのモル比(シクロデキストリン/フラボノイド)は、効率性の観点から、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.1以上であり、さらに好ましくは0.9以上であり、さらに好ましくは1.0以上であり、経済性の観点から、好ましくは10.0以下であり、より好ましくは6.0以下であり、さらに好ましくは4.0以下であり、さらに好ましくは3.0以下である。

0033

生成したフラボノイド包接化合物の収率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは40〜100%であり、より好ましくは70〜100%であり、さらに好ましくは90〜100%である。収率は、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドからラムノシド構造をもたないフラボノイドへの転化率であり、後述の実施例に記載する方法により算出することができる。なお、生成したフラボノイド包接化合物は、使用原料フラボノイド含量や転化率により、原料であるラムノシド構造をもつフラボノイド(例えばルチン、ヘスペリジン、ナリンジン等)や、原料に含有することがあるフラボノイド(例えば、ケルセチン、ケンペロール−3−ルチノシド、ケンペロール−3−グルコシド、ヘスペレチン、ナリンゲニン等)との混合物になる場合であっても、その割合に制限はない。

0034

生成したフラボノイド包接化合物又は後述するフラボノイド包接化合物含有組成物(両者を「フラボノイド包接化合物等」と称す場合がある)において、フラボノイド部分の水への溶解度は、使用するラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイド及びシクロデキストリンの種類や量にもよるが、好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.015%以上であり、さらに好ましくは0.02%以上であり、さらに好ましくは1.0%以上であり、さらに好ましくは2.0%以上であり、さらに好ましくは2.5%以上であり、さらに好ましくは3%以上である。上限は特に限定されるものではないが、例えば20%以下とすることができる。本明細書においてフラボノイド部分の水への溶解度は、25℃における質量パーセント濃度であり、後述の実施例に記載する方法で測定することができる。

0035

具体的な態様を以下に示す。

0036

態様1−1
イソクエルシトリンがγ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記イソクエルシトリンと前記γ−シクロデキストリンとの包接体でのモル比(γ−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が、生産コストを抑える観点から、好ましくは0.9〜4.0である場合、より好ましくは0.9〜1.8である場合には、前記イソクエルシトリンの水への溶解度が好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは2%以上であり、さらに好ましくは2.5%以上であり、さらに好ましくは3%以上である。

0037

態様1−2
イソクエルシトリンがβ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記イソクエルシトリンと前記β−シクロデキストリンとの包接体でのモル比(β−シクロデキストリン/イソクエルシトリン)が1.0〜3.0である場合には、前記イソクエルシトリンの水への溶解度が好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.02%以上であり、さらに好ましくは0.03%以上であり、さらに好ましくは0.05%以上である。

0038

態様1−3
ヘスペレチン−7−グルコシドがシクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記ヘスペレチン−7−グルコシドと前記シクロデキストリンとの包接体でのモル比(シクロデキストリン/ヘスペレチン−7−グルコシド)が1.0〜3.0である場合には、前記ヘスペレチン−7−グルコシドの水への溶解度が好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.02%以上であり、さらに好ましくは0.03%以上である。

0039

態様1−4
ナリンゲニン−7−グルコシドがβ−シクロデキストリンに包接されたフラボノイド包接化合物であって、前記ナリンゲニン−7−グルコシドと前記β−シクロデキストリンとの包接体でのモル比(シクロデキストリン/ナリンゲニン−7−グルコシド)が1.0〜3.0である場合には、前記ナリンゲニン−7−グルコシドの水への溶解度が好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.02%以上であり、さらに好ましくは0.03%以上である。

0040

本発明のフラボノイド包接化合物の製造方法によれば、未精製の場合、フラボノイド包接化合物とラムノースとを含むフラボノイド包接化合物含有組成物が得られる。この場合において前記フラボノイド包接化合物中のフラボノイドと脱離したラムノースとのモル比(ラムノース/フラボノイド)は0.8〜1.2となる。

0041

本発明のフラボノイド包接化合物の製造方法によれば、前記の収率が100%でない場合には、未反応物としてラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドを含有することとなる。このような未反応物を含む、フラボノイド包接化合物含有組成物における前記フラボノイド包接化合物中のフラボノイドと前記難溶性フラボノイドとのモル比(難溶性フラボノイド/包接化合物中のフラボノイド)は、長期安定性の観点から、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.08以下であり、さらに好ましくは0.05以下である。下限値は特に限定されるものではないが、0.001以上、0.003以上、0.004以上、0.01以上であってもよい。

0042

また、驚くべきことに、本発明の製造方法で得られるフラボノイド包接化合物により、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドの溶解性を改善することができることも分かった。より具体的には、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドと、本発明の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物とを、前記フラボノイド包接化合物中のフラボノイドと前記難溶性フラボノイドとのモル比(包接化合物中のフラボノイド/難溶性フラボノイド)が好ましくは0.1〜0.9、より好ましくは0.1〜0.7、さらに好ましくは0.1〜0.3となるように媒体中で混合することで、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドの溶解性を向上させることができる。ここで、媒体中とは、水媒体中、あるいは糖類、塩類酸味料甘味料香料グリセリンプロピレングリコール等、食品添加物や、レモンエキス漢方エキス等、食品や漢方を含有する水溶液中のことをいう。この溶解性向上方法は、未反応物を含むフラボノイド包接化合物含有組成物をそのまま使用することにより実施してもよいし、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドにフラボノイド包接化合物等を添加することにより実施してもよい。ここで、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドや、本発明の製造方法で得られるフラボノイド包接化合物については前記したとおりであり、例えば、ルチンとイソクエルシトリン−γ−シクロデキストリン包接化合物、ヘスペリジンとヘスペレチン−7−グルコシド−β−シクロデキストリン包接化合物、ナリンギンナリゲニン−7−グルコシド−β−シクロデキストリン包接化合物、ルチンとナリゲニン−7−グルコシド−β−シクロデキストリン包接化合物とを組み合わせることが挙げられる。

0043

本発明のフラボノイド包接化合物の製造方法は、脱離工程以外に、必要に応じて精製をすることには特に制限がなく、樹脂処理工程(吸着法、イオン交換法等)、膜処理工程(限外濾過膜処理法逆浸透膜処理法、ゼータ電位膜処理法等)、及び電気透析法塩析酸析再結晶、溶媒分画法等で精製することができる。例えば、脱離工程で得られたフラボノイド包接化合物含有組成物を、多孔性合成吸着剤により、吸着させ、水洗により、ラムノース等を除去後、アルコール溶出し、噴霧乾燥することで精製された粉末を得ることができ、またアルコール溶出後、当該組成物以外の成分として、希釈素材、またはその他の添加剤を含有しても良い。なお、ラムノース等を分画し、食品分野、医薬品、医薬部外品分野、及び香粧品分野などで利用することもできる。また製造されたフラボノイド包接化合物より、フラボノイドのみを精製することもできる。

0044

希釈素材としては、本発明の効果を妨げないものであれば特に制限されず、例えば、砂糖、グルコース、デキストリン澱粉類トレハロース乳糖マルトース水飴液糖などの糖類;エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類ソルビトールマンニトールキシリトールエリスリトールマルチトール還元水あめ、マンニット等の糖アルコール;または水を挙げることができる。また添加剤としては、リン酸塩類有機酸類キレ-ト剤等の助剤、アスコルビン酸等の酸化防止剤などを挙げることができる。

0045

次に、本発明のフラボノイド配糖体組成物の製造方法について説明する。

0046

本発明のフラボノイド配糖体組成物の製造方法は、本発明のフラボノイド包接化合物の製造方法により得られたフラボノイド包接化合物を糖転移酵素で処理して配糖体化する配糖体化工程を含む。即ち、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイドを、シクロデキストリンの存在下、ラムノシダーゼ活性を有する酵素で処理してラムノースを脱離する脱離工程、及び前記脱離工程を経て得られたフラボノイド包接化合物を糖転移酵素で処理して配糖体化する配糖体化工程を含むものである。

0047

脱離工程及び脱離工程を経て得られたフラボノイド包接化合物については前記のとおりである。なお、脱離工程を経て得られたとは、脱離工程以外の工程を含むものを排除する趣旨ではなく、任意に精製工程等を経て得られたものについても含むものである。

0048

配糖体化工程は、脱離工程を経て得られたフラボノイド包接化合物に糖転移酵素を作用させて配糖体化し、フラボノイド配糖体組成物を得る工程である。また、配糖体化工程は、脱離工程と同様、水などの溶媒中で静置、又は攪拌しながら行うことができ、反応中の酸化、又は褐変を防止するために、反応系のヘッドスペースの空気を窒素等の不活性ガスで置換してもよく、またアスコルビン酸等の酸化防止剤を反応系に添加することも可能である。配糖化工程は、反応液を加熱により酵素失活させる方法など公知の方法により終了することができる。

0049

配糖体化工程では、フラボノイド包接化合物のシクロデキストリンが糖供与体となり、フラボノイド配糖体組成物を製造できるが、糖供与体を追加供与することに制限はない。追加供与される糖供与体の具体例としては、澱粉、デキストリン、マルトオリゴ糖等の澱粉部分加水分解物キシロオリゴ糖、及びこれらの含有物等が挙げられる。

0050

糖転移酵素としては、脱離工程を経て得られたフラボノイド包接化合物に対して糖の転移活性を有する酵素であれば特に制限はない。糖転移酵素は、その起源に限定はなく、動物由来、植物由来、微生物由来等のすべての由来のものを使用することができる。さらに、遺伝子組み換え技術部分加水分解等による人工酵素であってもよい。また、糖転移酵素の形態は特に限定されず、酵素蛋白質乾燥物不溶性担体固定化された酵素、及び酵素蛋白質を含む液体等を用いることができる。

0052

糖転移酵素の使用量は、用いる酵素の種類、糖転移反応の条件、糖の種類等によって異なるが、例えば、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの場合、フラボノイド包接化合物1gに対し1〜10000Uが好ましい。難溶性フラボノイドを配糖化する場合、難溶性フラボノイドを可溶化させるため、アルカリ側にして酵素反応をさせるのが一般的ではあるが、pH7を超えるアルカリ域では、フラボノイドの安定性が悪くなり、分解・褐色化されやすい上に、褐色物の除去工程が必要となり、かつアルカリ中和による脱塩工程も必要となる。しかし、本発明の製造方法で得られるフラボノイド包接化合物は、難溶性フラボノイドがpH7以下でも高濃度で可溶化しているため、酵素反応はpH7以下でも効率良く配糖体化する。従って、生産効率や品質の観点から、pH3〜7とすることが好ましく、pH6〜6.8とすることがさらに好ましい。但し、アルカリ域で糖転移することや、アルカリ域に調整した後にpH7以下に調整して糖転移することもできる。反応系に使用される溶媒としては水媒体が挙げられる。また反応温度は好ましくは40〜70℃であり、より好ましくは50〜65℃である。また、反応時間は、酵素の種類等によって異なるが、例えば、0.5〜120時間とすることができ、1〜30時間が好ましい。また、生産効率の観点から、脱離工程後、連続して、温度、pHを至適に変更し、糖転移酵素を添加して配糖体化工程を行うことが好ましい。

0053

フラボノイドに結合する糖の結合様式はα−結合又はβ−結合のいずれであってもよい。結合する糖の種類は、特に制限されないが、グルコース、ガラクトースフルクトース等の5〜6単糖から選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。また、糖の結合数は、好ましくは1〜30個であり、より好ましくは1〜25個であり、さらに好ましくは1〜20個であり、さらに好ましくは1〜15個であり、さらに好ましくは1〜10個である。フラボノイド配糖体組成物は、フラボノイドに上記糖類が結合した配糖体の混合物を含むものをいい、各配糖体の結合数割合に制限はないが、飲食品等香味を損なわない観点から、以下の態様が好ましい。

0054

態様2−1
下記一般式(1)で示される化合物を含むイソクエルシトリン配糖体組成物であって、前記配糖体組成物中、n=0の配糖体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上である、イソクエルシトリン配糖体組成物。好ましくは、n=0の配糖体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が35モル%以上45モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上50モル%以下である。



(一般式(1)中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を意味する)

0055

態様2−2
下記一般式(2)で示される化合物を含むヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物であって、前記配糖体組成物中、n=0の配糖体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上である、ヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物。好ましくは、n=0の配糖体の含有量が10モル%以上25モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が35モル%以上50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上50モル%以下である。



(一般式(2)中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を意味する)

0056

態様2−3
下記一般式(3)で示される化合物を含むナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物であって、前記配糖体組成物中、n=0の配糖体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上である、ナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物。



(一般式(3)中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を意味する)

0057

なお、グルコース基の結合数(n数)は、任意に調整することができる。例えば、フラボノイド配糖体組成物生成後に、各種のアミラ-ゼ(α−アミラーゼ、β−アミラーゼグルコアミラーゼ、α−グルコシダーゼ等)を単独もしくは複数組み合わせて処理することにより、フラボノイド配糖体組成物分子中のグルコース糖鎖数を減少させて、任意のグルコース糖鎖長を持つフラボノイド配糖体組成物を得ることもできる。

0058

本発明のフラボノイド配糖体組成物の製造方法は、脱離工程、配糖体化工程以外に、必要に応じて精製をすることには特に制限がなく、樹脂処理工程(吸着法、イオン交換法等)、膜処理工程(限外濾過膜処理法、逆浸透膜処理法、ゼータ電位膜処理法等)、及び電気透析法、塩析、酸析、再結晶、溶媒分画法等で精製することができる。例えば、配糖体化工程で得られたフラボノイド配糖体組成物を、多孔性合成吸着剤により、配糖体組成物を吸着、水洗、アルコール溶出後、噴霧乾燥することで精製された粉末を得ることができる。またアルコール溶出後、当該組成物以外の成分として、希釈素材、またはその他の添加剤を含有しても良い。

0059

希釈素材の具体例としては、フラボノイド包接化合物の製造方法で記載したものと同様である。

0060

本発明の製造方法で得られるフラボノイド配糖体組成物における水への溶解度は、フラボノイド換算値で、好ましくは0.01%以上であり、より好ましくは0.015%以上であり、さらに好ましくは0.02%以上であり、さらに好ましくは0.1%以上であり、さらに好ましくは0.5%以上である。上限は特に限定されるものではないが、例えば20%以下とすることができる。

0061

本発明の製造方法で得られるフラボノイド包接化合物、フラボノイド配糖体組成物は、体内吸収性が遅いと言われているラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイド、あるいはラムノシド構造をもつフラボノイド配糖体組成物と組み合わせることで、体内吸収率が持続的に向上した食品の形態とすることができる。例えば、イソクエルシトリン包接化合物とルチンとの組み合せ、イソクエルシトリン配糖体組成物とルチン配糖体組成物(例えばαGルチン、東洋製糖(株))との組み合せ、ヘスペレチン−7−グルコシド包接化合物とヘスペリジン配糖体組成物(例えばαGヘスペリジン、東洋製糖(株))との組み合せ、ヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物とヘスペリジン配糖体組成物(例えばモノグルコシルヘスペリジン、(株)林原)との組み合せなどが挙げられる。

0062

また、本発明の製造方法で得られるフラボノイド配糖体組成物は、他の難溶性フラボノイドと組み合わせることで、他の難溶性フラボノイドの溶解性を改善することができる。例えば、イソクエルシトリン配糖体組成物とルチン、ヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物とヘスペリジン、ヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物とミリシトリンを組み合わせることが挙げられる。またそのモル比率(配糖体組成物/他の難溶性フラボノイド)は、好ましくは0.1〜0.5であり、より好ましくは0.1〜0.3であり、さらに好ましくは0.1〜0.15である。

0063

本発明の製造方法で得られたフラボノイド包接化合物、及び/又はフラボノイド配糖体組成物は、前記のとおり体吸収率に優れる他、退色防止、香味劣化防止、保存安定性にも優れるため、食品用組成物医薬用組成物化粧用組成物、及び食品添加物用組成物として好適に用いることができる。より詳細には、抗アレルギー抗酸化抗癌抗炎症、腸内フローラ改善、消臭、血漿コレステロール上昇抑制、血圧上昇抑制血糖上昇抑制血小板凝集抑制痴呆予防、体脂肪燃焼体脂肪蓄積抑制、持久力向上、抗疲労、冷え症改善、肌状態改善、育毛、筋委縮抑制、睡眠のための素材として、また、食品添加物の酸化防止剤、退色防止剤香味劣化防止剤として使用できる。食品添加物組成物は、甘味料、着色料保存料、増粘安定剤、発色剤漂白剤防カビ剤ガムベース苦味料光沢剤、酸味料、調味料乳化剤強化剤製造用剤、香料の劣化防止などのために添加し、混合製剤とすることができる。即ち、本発明においては、本発明の製造方法で得られたフラボノイド包接化合物、及び/又はフラボノイド配糖体組成物を含む、飲食品、医薬品、化粧品などを提供することができる。

0064

飲食品は、食品と飲料を含むものであり、例えば、栄養補助食品、健康食品、特定保健用食品、機能性表示食品、食事療法用食品総合健康食品、サプリメント茶飲料コーヒー飲料ジュース清涼飲料ドリンク剤などが挙げられる。

0065

医薬品は、医薬品又は医薬部外品を含むものであり、経口製剤、又は皮膚用外用剤であることが好ましく、液剤錠剤顆粒剤丸剤シロップ剤、又はローション剤スプレー剤軟膏剤の形態とすることができる。

0066

化粧品としては、クリーム、液状ローション乳液状ローション、スプレーの形態とすることができる。

0067

本発明の飲食品、医薬品、又は化粧品中におけるフラボノイド包接化合物及び/又はフラボノイド配糖体組成物の配合量は、特に限定されないが、フラボノイド類の好ましい一日摂取量を参考に、溶解性、呈昧等を考慮して、適宜設計することができる。例えば、食品用組成物中における本発明の製造方法で得られたフラボノイド包接化合物及び/又はフラボノイド配糖体組成物のフラボノイド部分としての配合量を好ましくは0.001〜30質量%、より好ましくは0.01〜20質量%、さらに好ましくは0.02〜10質量%とすることができ、フラボノイド包接化合物及び/又はフラボノイド配糖体組成物を一日当たり好ましくは10mg〜20g、より好ましくは30mg〜10g、さらに好ましくは100mg〜5gを1〜数回(例えば3回)に分けて摂取することができるように、食品用組成物中の配合量を決定することもできる。また、食品添加物製剤へのフラボノイド包接化合物及び/又はフラボノイド配糖体組成物の配合量は、フラボノイド類が効果を示す容量として好ましくは0.001〜50質量%、より好ましくは0.01〜40質量%、さらに好ましくは0.1〜30質量%で使用することができる。

0068

以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、特に記載のない限り、「%」は「質量%」を意味するものとする。

0069

フラボノイド包接化合物含有組成物の調製
実施例1〜31
1000m1容量のビーカーに、ラムノシド構造をもつ難溶性フラボノイド(ルチン又はヘスペリジン)とシクロデキストリンを表1、2に示すように添加し、水を加えて1000gにし、70℃、pH4.5に調整した。その後撹拌しながら、ナリンギナーゼ(天野エンザイム(株)155u/g)を3〜30g添加し、24時間反応させた後、室温に戻して、ろ紙濾過後、ラムノシド構造をもたないフラボノイド(イソクエルシトリン又はヘスペレチン−7−グルコシド)とシクロデキストリンとの包接化合物、及び脱離したラムノースを含むフラボノイド包接化合物含有組成物を得た。

0070

比較例1〜3
シクロデキストリンを添加しない以外は実施例16、17と同様にしてそれぞれ比較例1、3の組成物を調製した。また、シクロデキストリンに代えて、デキストリンを添加した以外は実施例16と同様にして比較例2の組成物を調製した。

0071

比較例101
100m1容量のビ−カ−に、下記で調製したイソクエルシトリンとγ−シクロデキストリンを表1−2に示すように添加し、水を加えて100gとし、70℃、pH4.5で24時間攪拌後、室温に戻して、ろ紙濾過し、イソクエルシトリンとγ−シクロデキストリンとの包接化合物を含有する組成物を調製した。

0072

イソクエルシトリンの調製
表1で使用したルチン10gを100L水溶液に添加し、70℃、pH4.5に調整した。その後撹拌しながら、ナリンギナーゼ(天野エンザイム(株)155u/g)を1g添加し、回収・乾燥することで、含量96%以上のイソクエルシトリンを7.2g得た。試薬イソクエルシトリン(Wako)を用いてHPLCにて同一であることを確認した。

0073

実施例101〜109
表2−2に示す原料を使用した以外は実施例1〜31と同様にしてナリンゲニン−7−グルコシドとβ−シクロデキストリンとの包接化合物を含有する組成物を調製した。

0074

比較例102
シクロデキストリンを添加しない以外は実施例104と同様にして比較例102の組成物を調製した。

0075

表1、1−2、2、2−2で使用した詳細を以下に示す。
RTN:下記で調製したルチン
マメ科植物であるエンジュつぼみ50kgを500Lの熱水に3時間浸漬した後、濾別した濾液を取得した。その後、室温まで冷却して沈殿した成分を濾別し、沈殿部を水洗、再結晶、及び乾燥することにより、含量96%以上のルチン3190gを得た。試薬ルチン(Wako)を用いてHPLCにて同一ピークであることを確認した。
HSP:ヘスペリジン(含量97%以上、薬品工業株式会社製)
NRG:ナリンジン(含量95%以上 SIGMA社製)
β−CD:β−シクロデキストリン(パールエース社製)
γ−CD:γ−シクロデキストリン(パールエース社製)
デキストリン:サンデック#70(三和澱粉工業株式会社製)

0076

ルチンからイソクエルシトリンへの転化率
実施例1〜16、及び比較例1〜2の未濾過の反応終了混合液を測定サンプルとし、HPLC(SHIMADZU)の面積比(イソクエルシトリンのピーク面積/ルチンのピーク面積)<HPLC条件カラム:CAPCLLPAK C18 SIZE 4.6mm×250mm(SHISEIDO)、溶離液:20%(v/v)アセトニトリル/0.1%リン酸水溶液、検出:351nm、流速:0.4ml/min、カラム温度:70℃>より、転化率(%)=イソクエルシトリンのピ−ク面積×100/(ルチンのピ−ク面積+イソクエルシトリンのピ−ク面積)として算出した。イソクエルシトリンは、試薬イソクエルシトリン(Wako)を用いてHPLCにて同一のピークであることで確認した。実施例1〜16における転化率はいずれも96%以上であった。一方、実施例16と同酵素量で比較した比較例1における転化率は56%、比較例2における転化率は57%と低いものであった。

0077

ヘスペリジンからヘスペレチン−7−グルコシドへの転化率
実施例17〜31、及び比較例3の未濾過の反応終了混合液を測定サンプルとし、HPLC(SHIMADZU)の面積比(ヘスペレチン−7−グルコシドのピーク面積/ヘスペリジンのピーク面積)<HPLC条件;カラム:CAPCELLPAK C18 SIZE 4.6mm×250mm(SHISEIDO)、溶離液:40%(v/v)アセトニトリル/0.1%リン酸水溶液、検出:280nm、流速:0.4ml/min、カラム温度:70℃>より、転化率(%)=ヘスペレチン−7−グルコシドのピ−ク面積×100/(ルチンのピ−ク面積+ヘスペレチン−7−グルコシドのピ−ク面積)として算出した。ヘスペレチン−7−グルコシドは、NMRによりヘスペレチン−7−グルコシドであることを確認した乾燥品を用いて、HPLCにて同一のピークであることで確認した。実施例17〜31における転化率はいずれも96%以上であった。一方、比較例3における転化率は57%と低いものであった。

0078

ナリンジンからナリンゲニン−7−グルコシドへの転化率
実施例101〜109、及び比較例102の未濾過の反応終了混合液を測定サンプルとし、HPLC(SHIMADZU)の面積比(ナリンゲニン−7−グルコシドのピ−ク面積/ナリンジンのピ−ク面積)<HPLC条件;カラム:CAPCELLPAK C18 SIZE 4.6mm×250mm(SHISEIDO)、溶離液:25%(v/v)アセトニトリル/0.1%リン酸水溶液、検出:280nm、流速:0.4ml/min、カラム温度:70℃>より算出した。すなわち転化率(%)=ナリンゲニン−7−グルコシドのピ−ク面積×100/(ナリンジンのピ−ク面積+ナリンゲニン−7−グルコシドのピ−ク面積)として算出した。ナリンゲニン−7−グルコシドは、試薬ナリンゲニン−7−グルコシド(Wako)を用いてHPLCにて同一のピ−クであることで確認した。実施例101〜109、及び比較例102の転化率は95%以上であった。

0079

イソクエルシトリン(IQC)濃度(吸光度分析法
実施例1〜16、比較例1、2、101の反応終了液を、室温静置後に、上清液1mlをフィルター濾過し、測定サンプルとした。試薬ルチン(Wako)を使用し吸光度351nm(0.1%リン酸溶液)で検量線を作成後、測定サンプルの吸光度よりルチン濃度を算出し、転化率で補正後0.761(イソクエルシトリン/ルチンの分子量比(464.38/610.52=0.761))を乗じたものをイソクエルシトリン濃度として算出した。結果を表1、1−2に示す。なお、濃度算出時の転化率は、濃度分析と同サンプルをHPLC測定後算出した。

0080

ヘスペレチン−7−グルコシド(HPT−7G)濃度(吸光度分析法)
実施例17〜31、比較例3の反応終了液を、室温静置後に、上清液1mlをフィルター濾過し、測定サンプルとした。試薬ヘスペリジン(Wako)を使用した吸光度280nm(0.1%リン酸溶液)で検量線を作成後、測定サンプルの吸光度よりヘスペリジン濃度を算出し、HPLC分析の転化率で補正後、0.761(ヘスペレチン−7−グルコシド/ヘスペリジンの分子量比(464.42/610.56=0.761))を乗じたものをヘスペレチン−7−グルコシド濃度として算出した。結果を表2に示す。なお、濃度算出時の転化率は、濃度分析と同サンプルをHPLC測定後算出した。

0081

ナリンゲニン−7−ゲルコシド(NGN−7G)濃度(吸光度分析法)
実施例101〜109、及び比較例102の反応終了液を、室温静置後に、上清液1mlをフィルター濾過し、測定サンプルとした。試薬ナリンジン(SIGMA社製、以下NRG)を使用した吸光度280nm(0.1%リン酸溶液)で検量線を作成後、測定サンプルの吸光度よりナリンジン濃度を算出し、HPLC分析の転化率で補正後、0.748(ナリンジン/ナリンゲニン−7−グルコシドの分子量比(434.39/580.54=0.748))を乗じたものをナリンゲニン−7−グルコシド濃度として算出した。結果を表2−2に示す。なお、濃度算出時の転化率は、濃度分析と同サンプルでHPLC測定後算出した。

0082

モル比(CD/IQC(モル比)、CD/HPT−7G(モル比)、CD/NGN−7G(モル比))(HPLC糖分析法)
実施例1〜31、101〜109及び比較例101の反応終了液を、室温静置後、上清液1mlをフィルターろ過し、測定サンプルとした。HPLC(SHIMADZU)分析<HPLC条件:カラム:Inertsil NH2(4.6×150mm(ジーエルサイエンス)、溶離液:65%アセトニトリル/水(v/v)、検出:示唆屈折計RID−10A(SHIMADZU)、流速:1ml/min、カラム温度:40℃>より、β−シクロデキストリン(Wako)、γ−シクロデキストリン(Wako)の検量線を作成後、サンプルのシクロデキストリンのモル濃度を算出し、又イソクエルシトリン、ヘスペレチン−7−グルコシド、及びナリンゲニン−7−グルコシドのモル濃度とで、シクロデキストリン/イソクエルシトリン、シクロデキストリン/ヘスペレチン−7−グルコシド、シクロデキストリン/ナリンゲニン−7−グルコシドのモル比を算出した。結果を表1、1−2、2、2−2に示す。なお、反応終了後濾過液のモル比は、凍結乾燥物でも同じであった。

0083

溶解度(IQC溶解度、HPT−7G溶解度、NGN−7G溶解度)
実施例1〜31、101〜109及び比較例1〜3、101、102の反応終了液を、室温静置後、ろ紙濾過し、凍結乾燥により乾燥物を得た。水を50ml入れた100ml容量のビーカーの中に、上記で調製した乾燥物を、50℃で、撹拌しながら、溶解しきれず析出するまで添加した。室温(25℃)静置後、上清液1mlをフィルター濾過し、吸光度分析法にてイソクエルシトリン濃度、ヘスペレチン−7−グルコシド濃度、ナリンゲニン−7−グルコシド濃度を算出し、溶解度とした。但し、溶解度測定の際、乾燥物量が不充分である場合、同実施例実験を繰り返すことで必要量を取得し、溶解度を測定した。また、実施例1〜31、101〜109及び比較例101でフラボノイドがシクロデキストリンと包接されていることを、示差走査熱量計DSC)、核磁気共鳴(NMR)、及びフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)より確認した。溶解度の結果を表1、1−2、2、2−2に示す。なお、実施例1〜31、101〜109の反応終了後、室温ろ過液を、透析によりラムノースを除去したフラボノイド包接化合物の凍結乾燥物もほぼ同様の溶解度を示した。

0084

0085

表1の注釈
(1)反応開始時のルチン濃度(質量%)
(2)反応開始時のβ−シクロデキストリン濃度(質量%)
(3)反応開始時のγ−シクロデキストリン濃度(質量%)
(4)反応開始時のデキストリン濃度(質量%)
(5)反応開始時のシクロデキストリン/ルチン(モル比)
(6)反応終了後濾過液のイソクエルシトリン濃度(質量%)
(7)反応終了後濾過液のシクロデキストリン/イソクエルシトリン(モル比)
(8)反応終了後濾過液凍結乾燥物のイソクエルシトリン溶解度(質量%)

0086

0087

表1−2の注釈
(11)加熱撹拌開始時のイソクエルシトリン濃度(質量%)
(12)加熱撹拌開始時のγ−シクロデキストリン濃度(質量%)
(13)加熱撹拌開始時のシクロデキストリン/イソクエルシトリン(モル比)
(14)加熱撹拌後濾過液のイソクエルシトリン濃度(質量%)
(15)加熱撹拌後濾過液のシクロデキストリン/イソクエルシトリン(モル比)
(16)加熱撹拌後濾過液凍結乾燥物のイソクエルシトリン溶解度(質量%)

0088

表1から明らかなように、本発明の製造方法によれば、ルチンからラムノース脱離反応とともに、イソクエルシトリンとシクロデキストリンとの包接体が効率よく得られることがわかった。他方、比較例1及び2では、転化率が低く、また溶解度も低かった。なお、実施例7、8、及び比較例1〜3の反応液及び反応終了液は懸濁状態であった。しかし実施例1〜6、及び実施例9〜16は、反応初期、反応中期には、反応液は懸濁状態であったが、反応終了時、及びその後の室温静置時は溶解しており、イソクエルシトリン−シクロデキストリン包接化合物の包接化率(包接化合物中のイソクエルシトリン濃度(反応終了後、室温静置濾過液の濃度)×100/反応終了液(未濾過の混合液)中のイソクエルシトリン濃度)は、ほぼ100%であった。しかし、表1−2の比較例101のように、実施例10と同組成のイソクエルシトリンとγ−シクロデキストリンを混合加熱するだけでは、終始懸濁状態で、包接化率(包接化合物中のイソクエルシトリン濃度(反応終了後、室温静置後濾過液の濃度)×100/反応終了液(未濾過の混合液)中のイソクエルシトリン濃度)も12%と低く、また濾液の凍結乾燥物の溶解度も低かった。

0089

0090

表2の注釈
(21)反応開始時のヘスペリジン濃度(質量%)
(22)反応開始時のβ−シクロデキストリン濃度(質量%)
(23)反応開始時のγ−シクロデキストリン濃度(質量%)
(24)反応開始時のシクロデキストリン/ヘスペリジン(モル比)
(25)反応終了後濾過液のヘスペレチン−7−グルコシド濃度(質量%)
(26)反応終了後濾過液のシクロデキストリン/ヘスペレチン−7−グルコシド(モル比)
(27)反応終了後濾過液凍結乾燥物のヘスペレチン−7−グルコシド溶解度(質量%)

0091

表2から明らかなように、本発明の製造方法によれば、ヘスペリジンからラムノース脱離反応とともに、ヘスペレチン−7−グルコシドとシクロデキストリンとの包接体が効率よく得られることがわかった。他方、比較例3では、転化率が低く、また溶解度も低かった。なお、実施例17、26、及び比較例3は、反応液及び反応終了液は懸濁状態であった。しかし実施例18〜25、及び実施例27〜31は、反応初期及び反応中期には、反応液は懸濁状態であったが、反応終了時、及び室温静置時は溶解しており、ヘスペレチン−7−グルコシド−シクロデキストリン包接化合物となる包接化率(包接化合物中のヘスペレチン−7−グルコシド濃度(反応終了後、室温静置濾過液の濃度)×100/反応終了液(未濾過の混合液)のヘスペレチン−7−グルコシド濃度)はほぼ100%であった。

0092

0093

表2−2の注釈
(31)反応開始時のナリンジン濃度(質量%)
(32)反応開始時のβ−シクロデキストリン濃度(質量%)
(33)反応開始時のシクロデキストリン/ナリンジン(モル比)
(34)反応終了後濾過液のナリンゲニン−7−グルコシド濃度(質量%)
(35)反応終了後濾過液のシクロデキストリン/ナリンゲニン−7−グルコシド(モル比)
(36)反応終了後濾過液凍結乾燥物のナリンゲニン−7−グルコシド溶解度(質量%)

0094

表2−2から明らかなように、本発明の製造方法によれば、ナリンジンからラムノ−ス脱離反応とともに、ナリンゲニン−7−グルコシドとβシクロデキストリンとの包接体が効率よく得られ、溶解性も改善された。比較例102は、転化率は95%以上であったが、反応終了後、室温静置ですぐに沈殿が生じた為、低い溶解度となった。しかし実施例101〜109の反応終了後、室温静置濾過液は溶解しており、ナリンゲニン−7−グルコシド−シクロデキストリン包接化合物となる包接化率(包接化合物中のナリンゲニン−7−グルコシド濃度(反応終了後、室温静置濾過液の濃度)×100/反応終了液(未濾過の混合液)のナリンゲニン−7−グルコシド濃度)はほぼ100%であった。

0095

フラボノイド包接化合物含有組成物中のモル比(ラムノース/フラボノイド)
また実施例18〜25、27〜31、101〜109の反応終了後濾過液のラムノース含量を測定(HPLC糖分析法と同条件、ラムノース(Wako)で検量線作成)後、ラムノースのモル濃度を算出したところ、包接化合物のフラボノイドとのモル比(ラムノース/フラボノイド)は、0.8〜1.2であった。

0096

フラボノイド包接化合物の風味評価
実施例10〜15の反応終了液の各100mlを、透析膜スペクトラ/ポアCE透析用チューブ,MWCO 500−1000, funakoshi社製)に入れ、水10L中で透析(5回水交換、10℃)を行うことでラムノースを除去し、その後各液を凍結乾燥して10g〜30gの乾燥物を得た。得られた乾燥物を、市販の炭酸飲料(無糖)(「アルプスの天然水スパークリング」、サントリー社製)、コーヒー飲料(無糖)(「ワンダゴールドブラック」、アサヒ飲料社製)、及びお茶(「おーいお茶」、伊園社製)にイソクエルシトリン換算濃度として0.1質量%添加し、5名のパネラーにより、無添加品対照に、官能評価(異味甘味)を実施した。下記の評価基準に従い、それぞれの平均点を算出した。結果を表3に示す。

0097

異味の評価基準
1:異味を強く感じ
2:異味をやや強く感じる
3:異味を感じる
4:異味をかすかに感じる
5:異味を感じない

0098

甘味の評価基準
1:甘味を強く感じる
2:甘味をやや強く感じる
3:甘味を感じる
4:甘味をかすかに感じる
5:甘味を感じない

0099

0100

表3から明らかなように、モル比(γCD/IQC)が1.0〜1.8であると、モル比が2.0〜4.0のものと比較して異味や甘味が少なく、飲料等の食品の風味に対する影響を小さくする観点から好ましいことが分かる。また、表には示さないが、ヘスペレチン−7−グルコシド包接化合物については、モル比(CD/HPT−7G)が1.0〜1.9であると、モル比が2.0〜3.0のものと比較して異味(無添加と異なる風味)や甘味が少なく、飲食品に好適に使用できる。

0101

フラボノイド配糖体組成物の調製
実施例32〜39
実施例4で調製した反応液(70℃、pH4.5、イソクエルシトリン濃度2.3質量%)に、少量のアルカリを加えて60℃、pH6.5に調整後、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase :天野エンザイム(株)、商品名「コンチザイム」、600U/ml)20gを添加して反応を開始し、24時間保持した。得られた反応液を、加熱殺菌、濾過後、凍結乾燥して、一般式(1)で示される化合物を含むイソクエルシトリン配糖体組成物158g(試料1)を得た。得られたイソクエルシトリン配糖体組成物(試料1)における水への溶解度は、イソクエルシトリン換算値で2.7%であった。得られたイソクエルシトリン配糖体組成物(試料1)を水に溶解後、ダイヤイオンHP−20(多孔性合成吸着樹脂、三菱ケミカル社製)を充填したカラムに通液しイソクエルシトリン配糖体組成物を吸着させ、樹脂容量の2倍の水で洗浄することでラムノース等の糖類を除去した。その後、樹脂容量の2倍の65%(v/v)エタノールにより吸着成分溶離させた溶出液濃縮後、凍結乾燥して、実施例39の配糖体組成物を調製した。実施例39のHPLCクロマトグラムを図1に示す。この結果は、試料1のHPLCクロマトグラムと同等であった。また、実施例39と同様の方法で、イソクエルシトリン配糖体組成物 (試料1)を吸着、水洗浄後、溶出させるエタノール濃度を10〜60%(v/v)で溶出させた。それら溶出液(10、20、30、40、50、60%(v/v)溶出液)を組み合わせてモル比調整した溶液を、濃縮後凍結乾燥して、実施例32〜38の配糖体組成物を調製した。実施例32〜39の配糖体組成物の水への溶解度は、イソクエルシトリン換算値で10%以上であった。なお、糖転移反応時、同酵素量で、pH7.5、pH8.5での反応液を調製したところ、ほぼ同量のイソクエルシトリン配糖体組成物が産生したが、フラボノイドの一部分解により、溶液の色目褐黒色化したため、pH6.5で反応させたものを使用した。なお、実施例1〜3、10〜16で調製した反応液も、同条件で試料1と同じHPLCクロマトグラム(図1)のイソクエルシトリン配糖体組成物が作製された。

0102

(一般式(1)中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を意味する)

0103

実施例40〜46
実施例22で調製した反応液(70℃、pH4.5、ヘスペレチン−7−グルコシド濃度2.9質量%)に、少量のアルカリを加えて60℃、pH6.5に調整後、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ(CGTase :天野エンザイム(株)、商品名「コンチザイム」、600U/ml)5gを添加して反応を開始し、24時間保持した。得られた反応液を、加熱殺菌、濾過後、噴霧乾燥して、一般式(2)で示される化合物を含むヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物136g(試料2)を得た。得られたヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物(試料2)における水への溶解度は、ヘスペレチン−7−グルコシド換算値で5.1%であった。得られたヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物(試料2)を水に溶解後、ダイヤイオンHP−20(多孔性合成吸着樹脂、三菱ケミカル社製)を充填したカラムに通液しヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物を吸着させ、樹脂容量の2倍の水で洗浄することでラムノース等の糖類を除去した。その後、樹脂容量の2倍の65%(v/v)エタノールにより吸着成分を溶離させた溶出液を濃縮後、凍結乾燥して、実施例40の配糖体組成物を調製した。実施例40のHPLCクロマトグラムを図2に示す。この結果は、試料2のHPLCクロマトグラムと同等であった。また、実施例40と同様の方法で、ヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物 (試料2)を吸着、水洗浄後、溶出させるエタノール濃度を10〜60%(v/v)で溶出させた。それら溶出液(10、20、30、40、50、60%(v/v)溶出液)を組み合わせてモル比調整した溶液を、濃縮後凍結乾燥して、実施例41〜46の配糖体組成物を調製した。実施例40〜46の配糖体組成物の水への溶解度は、ヘスペレチン−7−グルコシド換算値で10%以上であった。なお、糖転移反応時、同酵素量で、pH7.5、pH8.5での反応液を調製したところ、ほぼ同量のヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物が産生したが、フラボノイドの一部分解により、溶液の色目が褐黒色化したため、pH6.5で反応させたものを使用した。なお、実施例21、23、27〜31で調製した反応液も、同条件で試料2と同じHPLCクロマトグラム(図2)のイソクエルシトリン配糖体組成物が作製された。

0104

(一般式(2)中、Glcはグルコース残基を、nは0または1以上の整数を意味する)

0105

溶解度(IQC換算値、HPT−7G換算値)
試料1、2、及び実施例32〜46のフラボノイド配糖体組成物の溶解度は、前記IQC溶解度、HPT−7G溶解度と同法で、イソクエルシトリン濃度、ヘスペレチン−7−グルコシド濃度を算出し、イソクエルシトリン換算値、ヘスペレチン−7−グルコシド換算値とした。なお、各換算値が10%以上で析出が観察されないものは、溶解度を10%以上として記述した。

0106

実施例32〜46のフラボノイド配糖体組成物におけるモル比(%)は以下のHPLC(SIMADZU)条件での分析結果から次式より算出した。結果を表4に示す。なお、図1図2のn=0〜n=7の各ピークは、LC/MS(液体クロマトグラフィー質量分析、SHIMADZU)により分析し、配糖体数を確認した。
モル比(%)=フラボノイド配糖体組成物の各ピーク面積×100/フラボノイド配糖体組成物の総ピーク面積

0107

<HPLC条件:実施例32〜39>
カラム:CAPCELLPAK C18 SIZE 4.6mm×250mm(SHISEIDO)
溶離液:水/アセトニトリル/リン酸=799/200/1(体積比
検出:波長351nmにおける吸光度測定
流速:0.4ml/min
カラム温度:70℃

0108

<HPLC条件:実施例40〜46>
カラム:CAPCELLPAK C18 SIZE 4.6mm×250mm(SHISEIDO)
溶離液:水/アセトニトリル/リン酸=849/150/1(体積比)
検出:波長280nmにおける吸光度測定
流速:0.4ml/min
カラム温度:70℃

0109

フラボノイド配糖体組成物の風味評価
実施例32〜46のフラボノイド配糖体組成物の凍結乾燥物を、酸糖液(pH3.1、Brix10°)に、イソクエルシトリン換算濃度が0.05%(実施例32〜39)、あるいはヘスペレチン−7−グルコシド換算濃度が0.05%(実施例40〜46)になるように添加し、7名のパネラーにより官能評価(苦味エグ味収斂味)を実施した。下記の評価基準に従い、それぞれの平均点を算出した。なお、比較例101で調製したイソクエルシトリン0.05%含有酸糖液(調製直後溶解液)における苦味、エグ味、及び収斂味の評価点を最も強い1として比較した。またイソクエルシトリン0.05%含有酸糖液は、調製後室温にて30分は沈殿が観察されなかったため、その間に官能評価を実施した。結果を表4に示す。

0110

苦味の評価基準
1:苦味を強く感じる
2:苦味をやや強く感じる
3:苦味を感じる
4:苦味をかすかに感じる
5:苦味を感じない

0111

エグ味の評価基準
1:エグ味を強く感じる
2:エグ味をやや強く感じる
3:エグ味を感じる
4:エグ味をかすかに感じる
5:エグ味を感じない

0112

収斂味の評価基準
1:収斂味を強く感じる
2:収斂味をやや強く感じる
3:収斂味を感じる
4:収斂味をかすかに感じる
5:収斂味を感じない

0113

0114

表4から明らかなように、一般式(1)(2)におけるn=0の配糖体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上である実施例36、38、39、40、41の配糖体組成物では、酸糖液による官能評価で、有意に苦味、エグ味、及び収斂味が減少しており、飲食品用途において好適に使用することができる。なお、実施例32〜46の配糖体組成物は、いずれも溶解性に優れることから、味覚と関係のない用途、例えば、化粧品などの用途に好適に使用することができる。また、表には示していないが、実施例104〜106で調製した反応液を用いて得られたナリンゲニン−7−グルコシド配糖体組成物についても、n=0の配糖体の含有量が10モル%以上30モル%以下であり、n=1〜3の配糖体の含有量が50モル%以下であり、n=4以上の配糖体の含有量が30モル%以上であると、酸糖液下、ナリンゲニン−7−グルコシド換算濃度0.05%による官能評価で、有意に苦味、エグ味、及び収斂味が減少していた。

0115

フラボノイド配糖体組成物中のモル比(ラムノース/フラボノイド)
試料1、及び試料2のラムノース含量測定(HPLC糖分析法と同条件、ラムノース(Wako)で検量線を作成)後に算出されたモル濃度とイソクエルシトリン換算値、ヘスペレチン−7−グルコシド換算値から算出したモル濃度とのモル比(ラムノース/フラボノイド)は、0.8〜1.2であった。

0116

退色防止効果の評価
実施例16のフラボノイド包接化合物含有組成物および実施例39のフラボノイド配糖体組成物を、赤キャベツ色素製剤0.05%含有酸糖液(pH3.0)に、イソクエルシトリン換算濃度が0.005%になるよう添加し、紫外線フェードメーター処理4時間後の色素残存率を比較したところ、無添加品と比べて退色防止効果が観察された。結果を表5に示す。

0117

0118

表5から明らかなように、イソクエルシトリン・γ−シクロデキストリン包接化合物含有組成物、及びイソクエルシトリン配糖体組成物で、赤キャベツ色素に対する退色防止効果が観察された。

0119

香味劣化防止効果の評価(牛乳
実施例16の反応終了液100mlを、透析膜(スペクトラ/ポアCE透析用チューブ,MWCO 500−1000, funakoshi社製)に入れ、水10L中で透析(5回水交換、10℃)を行うことでラムノースを除去し、その溶液を凍結乾燥して22gの乾燥物を得た。得られた乾燥物および実施例39のフラボノイド配糖体組成物を、市販の牛乳(乳脂肪3.5%、「明治乳業」、明治社製)に、イソクエルシトリン換算濃度が0.005%になるよう100ml透明ガラス瓶に添加し、蛍光灯照射(20000ルクス、5時間、10℃)後の香味について、下記評価基準によりパネラー10名の平均点で比較したところ、香味劣化防止効果が観察された。結果を表6に示す。

0120

<評価基準>
1:未照射品より著しく変化している
2:未照射品よりかなり変化している
3:未照射品より少し変化している
4:未照射品と僅かに変化している
5:未照射品と変化なし

0121

0122

表6から明らかなように、イソクエルシトリン・γ−シクロデキストリン包接化合物、及びイソクエルシトリン配糖体組成物で、牛乳における香味劣化防止効果が観察された。

0123

香味劣化防止効果の評価(ゼリー
グレープフルーツ果汁(1/6)0.5%、ゼラチン3%、グレープフルーツさのう1%、マルチトール6%、ベニバナ黄色製剤0.025%を原料とする無添加品のグレーフルーツゼリーを調製した。実施例22、28の反応終了液100mlを、透析膜(スペクトラ/ポアCE透析用チューブ,MWCO 500−1000, funakoshi社製)に入れ、水10L中で透析(5回水交換、10℃)を行うことでラムノースを除去し、その溶液を凍結乾燥して実施例22より12g、実施例28より16gの乾燥物を得た。得られた各乾燥物および実施例40のフラボノイド配糖体組成物を、ヘスペレチン−7−グルコシド換算濃度が0.005%になるように無添加品のグレープフルーツゼリーに添加し、添加品のグレープフルーツゼリーをそれぞれ調製した。その後93℃に加熱し、これらを透明ガラス瓶に密封後、冷却し、室温下、通常の蛍光灯の当たる部屋で、1か月保存した後の香味について、下記評価基準によりパネラー10名の平均点で比較したところ、各添加品に香味劣化防止効果が観察された。結果を表7に示す。

0124

<評価基準>
1:未照射品より著しく変化している
2:未照射品よりかなり変化している
3:未照射品より少し変化している
4:未照射品と僅かに変化している
5:未照射品と変化なし

0125

0126

表7から明らかなように、ヘスペレチン−7−グルコシド・β−シクロデキストリン包接化合物、ヘスペレチン−7−グルコシド・γ−シクロデキストリン包接化合物、及びヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物で、グレープフルーツゼリーにおける香味劣化防止効果が観察された。

0127

保存安定性の評価(酸糖液)
比較例101で調製したイソクエルシトリン、実施例16のフラボノイド包接化合物含有組成物、および実施例39のフラボノイド配糖体組成物を、イソクエルシトリン換算濃度が0.03%となるように、下記組成からなるpH3の酸糖液に溶解し、100m1容のガラス瓶にホットパック充填(93℃)した。調製した溶液は放冷後、それぞれ4℃、25℃、40℃の条件下で4ヶ月間静置し、析出の有無を目視で観察した。透明で沈殿が観察されなかったものを○、沈殿が観察されたものを×とした。結果を表8に示す。

0128

酸糖液処方
(質量%)
1.砂糖10
2.クエン酸結晶) 0.08
3.クエン酸3ナトリウムpHを調整(pH3)
4.水 残部

0129

0130

表8に示すように、酸糖液にイソクエルシトリンを添加した場合、冷蔵(4℃)、室温(25℃)、40℃のいずれにおいても保存直後に沈殿が観察されたが、イソクエルシトリン・γ−シクロデキストリン包接化合物、及びイソクエルシトリン配糖体組成物を添加した場合には、4ヶ月間静置しても沈殿がなく、さらに5ヶ月の長期保存をしても沈殿が観察されなかった。

0131

保存安定性の評価(お茶)
ヘスペリジン(浜理薬品工業株式会社製)、ヘスペレチン−7−グルコシド(下記で調製したもの)、実施例22のフラボノイド包接化合物、及び実施例40のフラボノイド配糖体組成物のヘスペレチン−7−グルコシド換算濃度が0.03%となるように、市販のお茶(「お〜いお茶」、伊藤園社製)に添加し、4℃、25℃に7日間静置後、沈殿の有無を目視で観察した。透明で沈殿が観察されなかったものを○、沈殿が観察されたものを×とした。結果を表9に示す。

0132

ヘスペリジン(浜理薬品工業株式会社製)7gを100L水溶液に添加し、70℃、pH4.5に調整した。その後撹拌しながら、ナリンギナーゼ(天野エンザイム(株)155u/g)を0.5g添加し、回収・乾燥することで、含量96%以上のヘスペレチン−7−グルコシドを4.2g得た。ヘスペレチン−7−グルコシドであること及び含量は、前記と同様にNMR、及びHPLCより分析した。

0133

0134

表9に示すように、お茶にヘスペリジン、ヘスペレチン−7−グルコシドを添加した場合、冷蔵(4℃)、室温(25℃)のいずれにおいても保存直後に沈殿が観察されたが、ヘスペレチン−7−グルコシド包接化合物含有組成物、及びヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物を添加した場合には、7日静置しても沈殿が観察されなかった。

0135

保存安定性の評価(レモン飲料)
ナリンジン(SIGMA社製)、ナリンゲニン−7−グルコシド(下記で調製したもの)、実施例109のフラボノイド包接化合物含有組成物のナリンゲニン−7−グルコシド換算濃度が0.3%となるように、市販のレモン飲料(C1000レモンウォーターハウスウェルネスフーズ社製)に添加し、4℃、25℃に1ヶ月間静置後、沈殿の有無を目視で観察した。透明で沈殿が観察されなかったものを○、沈殿が観察されたものを×とした。結果を表9−2に示す。

0136

比較例102による反応終了後、室温静置後の沈殿物を回収後、水洗、再結晶、乾燥することで、含量95%以上のナリンゲニン−7−グルコシドを13g得た。試薬ナリンゲニン−7−グルコシド(Wako)を用いてHPLCにて同一であること及び含量を分析した。

0137

0138

表9−2に示すように、レモン飲料にナリンジン、ナリンゲニン−7−グルコシドを添加した場合、冷蔵(4℃)、室温(25℃)のいずれにおいても沈殿が観察されたが、ナリンゲニン−7−グルコシド包接化合物含有組成物を添加した場合には、1ケ月静置しても沈殿が観察されなかった。

0139

体内吸収性の評価
週齢のWisterラット(雄)に飼料として、MF(オリエンタ酵母(株))を与えて7日間飼育した後、試験物質投与前日より絶食下においた。その後、香味劣化防止効果の評価において調製した実施例16の乾燥物100μmol/kg(IQC換算値)、ルチン懸濁液(アルプス薬品工業、100μmol/kg(IQC換算値))、香味劣化防止効果の評価において調製した実施例22の乾燥物1000μmol/kg(HPT−7G換算値)、ヘスペリジン懸濁液(浜理薬品工業株式会社、1000μmol/kg(HPT−7G換算値))を単回経口投与ゾンデ強制経口投与、n=2)し、30分後、1時間後、3時間後において、ラット尾静脈よりヘパリン採血し、遠心分離血漿を得た。採取した血清試料中のケルセチン誘導体量は牧野らの方法(Biol.pharm.Bull.32(12) 2034,2009)、ヘスペレチン誘導体量は、山田らの方法(Biosci. Biotechnol. Biochem, 70(6),1386,2006)に準じ、高速液体クロマトグラフィー(SHIMADZU)にかけ、フォトダイオードアレイ検出器(SPD−M30A,SHIMADZU)を使用して分析した。結果を表10、11に示す。表10には、0〜3時間のケルセチン及びケルセチン誘導体(イソラムネチン、タマリキセチン)の濃度(μM)、及びそれらの総和の血中濃度時間曲線下面積(AUC)(μM・h)を示した。また、表11には、ヘスペレチン誘導体は検出されなかったため、0〜3時間のヘスペレチン濃度(μM)、及びその血中濃度時間曲線下面積(AUC)(μM・h)を示した。

0140

0141

0142

表10、11に示すように、AUC1〜3時間比較では、ルチンやヘスペリジンに比較して、イソクエルシトリン・γ−シクロデキストリン包接化合物やヘスペレチン−7−グルコシド・β−シクロデキストリン包接化合物がラットに効率よく吸収されることがわかった。また表には記載していないが、実施例39のイソクエルシトリン配糖体組成物100μmol/kg(IQC換算値)は実施例16の体内吸収率とほぼ同様であり、実施例40のヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物1000μmol/kg(HPT−7G換算値)は実施例22の体内吸収率とほぼ同様であった。

0143

難溶性フラボノイドの溶解性改善効果
実施例110〜113
表12に示す成分用量でルチン(RTN)及びイソクエルシトリンとγ−シクロデキストリンとの包接化合物(IQC−rCD)を酸糖液(pH3.1、Brix10°)に溶解し、100mlのガラス瓶にホットパック充填した。調製した溶液を放冷し、冷蔵保存(4℃、6ヶ月)後、沈殿の有無を目視観察した。結果を表12に示す。

0144

比較例103〜106、参考例
表13に示す成分用量でルチン(RTN)及びイソクエルシトリン(IQC)を酸糖液に溶解した以外は実施例110〜113と同様にして調製、放冷、冷蔵保存し、沈殿の有無を目視観察した。結果を表13に示す。

0145

表12、13において、IQC/RTN(モル比)は、調製成分溶解直後の酸糖液1mlを測定サンプルとし、HPLC(SHIMADZU、転化率と同条件)分析後、面積比(イソクエルシトリンのピーク面積/ルチンのピーク面積)をモル比として示した。

0146

0147

0148

表12、13の注釈
(41)酸糖液中のルチン濃度(質量%)
(42)酸糖液中のイソクエルシトリン−γ−シクロデキストリン包接化合物濃度(質量%)
(43)酸糖液中のイソクエルシトリン濃度(質量%)
(44)酸糖液中のγ−シクロデキストリン濃度(質量%)
(45)溶解性:
沈殿が観察されない :−
沈殿の量が少ない :+
沈殿の量がやや多い :++
沈殿の量が多い :+++
(46)酸糖液中のイソクエルシトリン/ルチン(モル比)

0149

表12、13に示すように、イソクエルシトリン−γ−シクロデキストリン包接化合物を添加した実施例110〜113ではルチンの溶解性が向上しており、特にイソクエルシトリンとルチンとのモル比(イソクエルシトリン/ルチン)が0.1〜0.7の範囲では、沈殿が観察されなかった。これら結果は、実施例10、13、14のフラボノイド包接化合物凍結乾燥物(ラムノースを透析により除去したもの)、及びラムノースを含有するフラボノイド包接化合物含有組成物凍結乾燥物でも同様の結果を示した。一方、表13に示すように、イソクエルシトリンのみを添加したものでは、すべて沈殿が観察された。

0150

また、表12、13において、イソクエルシトリンとイソクエルシトリン−β−シクロデキストリン(実施例1〜7の凍結乾燥物)、又ルチンに代えてヘスペリジンとヘスペレチン−7−グルコシド−β−シクロデキストリン(実施例18〜23の凍結乾燥物)、あるいはヘスペレチン−7−グルコシド−γ−シクロデキストリン(実施例27〜31の凍結乾燥物)においても同様の結果が得られた。

0151

イソクエルシトリン−γ−シクロデキストリン包接化合物の長期安定性及び収斂味の評価
実施例114〜117
表14に示す成分用量とした以外は実施例110〜113と同様に溶液を調製し、放冷直後に収斂味について官能評価を行った。また同成分用量のものを別調製し、冷蔵保存(4℃、12ヶ月)後、沈殿の有無を目視観察した。結果を表14に示す。

0152

比較例107〜110
表15に示す成分用量とした以外は比較例103〜106と同様に溶液を調製し、放冷直後に収斂味について官能評価を行った。また同成分用量のものを別調製し、冷蔵保存(4℃、12ヶ月)後、沈殿の有無を目視観察した。結果を表15に示す。

0153

表14、15において、RTN/IQC(モル比)は、調製成分溶解直後の酸糖液1mlを測定サンプルとし、HPLC(SHIMADZU、転化率と同条件)分析後、面積比(ルチンのピーク面積/イソクエルシトリンのピーク面積)をモル比として示した。

0154

0155

0156

表14、15の注釈
(51)酸糖液中のイソクエルシトリン−γ−シクロデキストリン包接化合物濃度(質量%)
(52)酸糖液中のイソクエルシトリン濃度(質量%)
(53)酸糖液中のγ−シクロデキストリン濃度(質量%)
(54)酸糖液中のルチン濃度(質量%)
(55)溶解性:
沈殿が観察されない :−
沈殿の量が少ない :+
沈殿の量がやや多い :++
沈殿の量が多い :+++
(56)酸糖液中のルチン/イソクエルシトリン(モル比)
(57)酸糖液調製放冷直後、10名のパネラーにより、無添加の酸糖液と比較し、最も強く収斂味を感じたサンプルを3点とし、以下、2点、1点とし、その平均を示した。
尚、比較例107〜110は調製放冷後、室温にて30分間は沈殿が観察されなかった為、その間に官能評価を実施した。

0157

表14に示すように、本発明の製造方法で得られたイソクエルシトリンとγ−シクロデキストリンとの包接化合物を含む組成物中に、ルチンを特定量含有しても包接化合物の長期安定性に問題がないことを確認した。また、収斂味についても弱く、飲食品に添加した際における風味に及ぼす影響が少なくなることを確認した。RTN/IQC(モル比)が0.08以下の範囲(実施例114〜117)では、特に収斂味が弱かった。これら結果は、実施例10、13、14のフラボノイド包接化合物凍結乾燥物(ラムノースを透析により除去したもの)、及びラムノースを含有するフラボノイド包接化合物含有組成物凍結乾燥物でも同様の結果を示した。一方、表15に示すように、イソクエルシトリンを含む組成物においては、ルチンを含有するとすべて沈殿が観察され、収斂味についても強いものであった。

0158

また、表14、15において、イソクエルシトリンとイソクエルシトリン−β−シクロデキストリン(実施例1〜7の凍結乾燥物)、又ルチンに代えてヘスペリジンとヘスペレチン−7−グルコシド−β−シクロデキストリン(実施例18〜23の凍結乾燥物)、あるいはヘスペレチン−7−グルコシド−γ−シクロデキストリン(実施例27〜31の凍結乾燥物)においても同様の結果が得られた。

0159

実施例110〜117、比較例103〜110、参考例で使用した成分の詳細を下記に示す。
RTN:99.5%容量エタノール90gとルチン(調製品:イソクエルシトリン/ルチンのモル比が0.3/99.7)10gとの加熱溶解
IQC−rCD:実施例16の凍結乾燥品(透析によるラムノース除去品、(ルチン/イソクエルシトリンのモル比が0.3/99.7))
IQC:99.5%容量エタノール18gとイソクエルシトリン(調製品:ルチン/イソクエルシトリンのモル比が0.3/99.7)2gとの加熱溶解品

0160

フラボノイド包接化合物含有組成物、及びフラボノイド配糖体組成物の処方例
処方例1:グレープフルーツ飲料
香味劣化防止の為、実施例16のイソクエルシトリン・γ−シクロデキストリン包接化合物含有組成物の乾燥物を含有する飲料を調製した。本品は、飲料として、好適に利用できる。

0161

成分 質量%
グレープフルーツ濃縮果汁5.0
ブドウ糖果糖混合液糖 0.9
マルチトール2.0
酸味料0.3
ビタミンC0.02
香料0.1
実施例16の乾燥物0.02
水 残部
合計 100

0162

処方例2:ゼリー
香味劣化防止の為、実施例22のヘスペレチン−7−グルコシド・β−シクロデキストリン包接化合物含有組成物の乾燥物を含有するゼリーを調製した。本品は、食品(ゼリー)として、好適に利用できる。

0163

成分 質量%
砂糖10.0
レモン濃縮果汁8.5
クチナシ黄色製剤 0.004
酸味料1.0
ゲル化剤1.5
ビタミンC0.02
香料0.2
実施例22の乾燥物0.04
水 残部
合計 100

0164

処方例3:化粧品
くすみやむくみの肌改善の為、実施例40のヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物の乾燥物を含有する化粧品を調製した。本品は、スキンケア化粧品として、好適に利用できる。

0165

成分 質量%
グリセリン5.0
プロピレングリコール4.0
オレイルアルコール0.1
界面活性剤2.0
エチルアルコール10.0
香料0.1
実施例40の乾燥物0.26
精製水残部
合計 100

0166

処方例4:錠剤
体温緩和の為、実施例22のヘスペレチン−7−グルコシド・β−シクロデキストリン包接化合物含有組成物の乾燥物を含有する錠剤を調製した。本品は、健康食品として、好適に使用できる。

0167

成分 質量%
マルチトール69.0
トレハロース12.9
酸味料2.5
ステアリン酸Ca 0.5
ビタミンC0.02
香料0.08
実施例22の乾燥物15.0
合計 100

0168

処方例5:コーヒー飲料
体脂肪減小の為、実施例39のイソクエルシトリン配糖体組成物の乾燥物を含有するコーヒー飲料を調製した。本品は、特定保健用食品として好適に利用できる。

0169

成分 質量%
コーヒー抽出物32.6
砂糖6.0
香料0.06
実施例39の乾燥物0.06
水 残部
合計 100

0170

処方例6:紅茶飲料
中性脂肪減小の為、実施例40のヘスペレチン−7−グルコシド配糖体組成物の乾燥物を含有する紅茶飲料を調製した。本品は、機能性表示食品として好適に利用できる。

0171

成分 質量%
紅茶抽出液18.6
炭酸水素ナトリウム0.002
スクラロース0.003
ビタミンC0.03
香料0.1
実施例40の乾燥物0.06
水 残部
合計 100

0172

処方例7:育毛剤
頭皮改善のため、実施例22のヘスペレチン−7−グルコシド・β-シクロデキストリン包接化合物含有組成物の乾燥物を含有する育毛剤を調製した。

0173

成分 質量%
エチルアルコール60.0
センブリエキス5.0
酢酸トコフェロール0.2
パントテニルエチルエーテル0.2
プロピレングリコール5.0
防腐剤0.1
香料0.2
実施例22の乾燥物0.03
精製水残部
合計 100

0174

処方例8:ヘアシャンプー
炎症予防のため、実施例27のヘスペレチン−7−グルコシド・γ-シクロデキストリン包接化合物含有組成物の乾燥物を含有するヘアシャンプーを調製した。

0175

成分 質量%
ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル
硫酸ナトリウム9.0
ラウリル硫酸ナトリウム4.0
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン3.0
高重合メチルポリシロキサン2.0
メチルポリシロキサン1.0
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド1.0
プロピレングリコール2.0
ジステアリン酸エチレングリコール2.0
防腐剤0.1
香料0.1
実施例27の乾燥物0.03
水 残部
合計 100

0176

処方例9:ダイエット用錠剤
ダイエットの為、実施例109のナリンゲニン−7−グルコシド−β−シクロデキストリン包接化合物含有組成物の乾燥物を含有する錠剤を調製した。本品は、健康食品として、好的に利用できる。

実施例

0177

成分 質量%
マルチトール64.0
トレハロース12.9
酸味料2.5
ステアリン酸Ca 0.5
ビタミンC0.02
香料0.08
実施例109の乾燥物20.0
合計 100

0178

本発明の製造方法によれば、水への溶解性に優れるフラボノイド包接化合物やフラボノイド配糖体組成物を効率よく生産することができ、医薬品、飲食品、健康食品、特定保健用食品、及び化粧品などの分野において好適に利用することができる。

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