図面 (/)

技術 魚介類の麻酔維持システム、麻酔維持方法および運搬方法

出願人 日建リース工業株式会社
発明者 関山正勝大森道生渡邊将介吉田優喜博
出願日 2017年6月15日 (2年3ヶ月経過) 出願番号 2017-533048
公開日 2019年6月27日 (2ヶ月経過) 公開番号 WO2018-229940
状態 特許登録済
技術分野 養殖 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 収容密度 長時間輸送 運搬用コンテナ 内部要因 平均酸素濃度 輸送トラック 長時間経過後 気泡粒径
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年6月27日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

水槽内の毒性成分を低減することで、魚介類頓死を防止すること。

解決手段

麻酔状態の魚介類を収容した水槽内において、アンモニア(NH3)からアンモニウムイオン(NH4+)への反応を促すように、水槽内の二酸化炭素濃度を調整する。二酸化炭素濃度の調整にはエアレーション手段を用いることができる。

概要

背景

活魚などの魚介類麻酔する方法には、以下の特許文献に記載の方法が知られている。
特許文献1は、麻酔効果を有する濃度の溶存二酸化炭素と、生存するために必要な濃度の溶存酸素とを含む麻酔用炭酸水水槽に供給することで、魚に麻酔をかける技術を開示している。
特許文献2は、特許文献1で開示する麻酔用炭酸水に対し、溶存酸素濃度飽和状態に維持しても、魚のから吸収される酸素量が不十分になることを指摘し、その対策として、気体酸素を水中で浮上することなく位置が保持される程度の大きさとした微細気泡を魚介類に供給することで、魚介類の頓死を防止した、とする技術を開示している。
特許文献3は、特許文献2と同様、特許文献1で開示する麻酔用炭酸水の不備を指摘しつつ、さらに特許文献2に対し、当該文献に係る方法の実施に、大掛かりな装置を要する点を指摘し、水中の溶存酸素を過飽和状態とすることを前提とした上で、溶存酸素量の適正値や、二酸化炭素や酸素を含有するガス噴出する散気管の気孔の直径の適正値を見出した点を主題としている。

概要

水槽内の毒性成分を低減することで、魚介類の頓死を防止すること。麻酔状態の魚介類を収容した水槽内において、アンモニア(NH3)からアンモニウムイオン(NH4+)への反応を促すように、水槽内の二酸化炭素濃度を調整する。二酸化炭素濃度の調整にはエアレーション手段を用いることができる。

目的

この維持工程の状態で、維持槽Bを輸送トラックなどの運搬手段Cでもって輸送し、輸送先で魚介類の覚醒を行うことで、魚介類を活かした状態を長時間維持することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

麻酔状態魚介類頓死を防止するための管理方法であって、水槽内のアンモニア(NH3)からアンモニウムイオン(NH4+)への反応を促すように、麻酔状態の魚介類を収容した水槽内の二酸化炭素濃度および酸素濃度を所定の範囲に調整することを特徴とする、麻酔状態の魚介類の管理方法。

請求項2

少なくとも前記二酸化炭素濃度の調整を、水槽内のエアレーションでもって行うことを特徴とする、請求項1に記載の麻酔状態の魚介類の管理方法。

請求項3

魚介類の麻酔状態を維持するための維持装置であって麻酔状態の魚介類を投入する、本体部と、前記本体部内の酸素濃度を60%以上に保持する、酸素供給手段と、前記本体部内の二酸化炭素濃度を40PPM以下で保持するようにエアレーションを行う、エアレーション手段と、を少なくとも具備することを特徴とする、魚介類の麻酔維持装置。

請求項4

前記本体部内の不純物を取り除く、プロテインスキマーをさらに具備したことを特徴とする、請求項3に記載の魚介類の麻酔維持装置。

請求項5

前記エアレーション手段および前記酸素供給手段のうち一方が、他方を兼用していることを特徴とする、請求項3または4に記載の魚介類の麻酔維持装置。

請求項6

前記酸素供給手段は、前記本体部内の酸素濃度を60%以上100%未満に保持することを特徴とする、請求項3乃至5のうち何れか1項に記載の魚介類の麻酔維持装置。

請求項7

前記酸素供給手段または前記エアレーション手段から供給する気泡粒径最頻値が100μm以上であることを特徴とする、請求項3乃至6のうち何れか1項に記載の魚介類の麻酔維持装置。

請求項8

魚介類を密に収容した状態で前記本体部内に投入する、収容箱をさらに具備したことを特徴とする、請求項3乃至7のうち何れか1項に記載の魚介類の麻酔維持装置。

請求項9

魚介類の麻酔状態を維持するための麻酔維持システムであって、魚介類を麻酔状態へと遷移させる、麻酔槽と、前記麻酔槽で麻酔した魚介類の麻酔状態を維持しながら輸送対象となる、維持槽と、を少なくとも具備したことを特徴とする、魚介類の麻酔維持システム。

請求項10

前記維持槽における二酸化炭素濃度が、前記麻酔槽における二酸化炭素濃度よりも低いことを特徴とする、請求項9に記載の魚介類の麻酔維持システム。

請求項11

前記維持槽は、二酸化炭素濃度を40PPM以下、および酸素濃度を60%以上で保持することを特徴とする、請求項10に記載の魚介類の麻酔維持システム。

請求項12

前記維持槽は、二酸化炭素濃度を30PPM以下で保持することを特徴とする、請求項11に記載の魚介類の麻酔維持システム。

請求項13

前記維持槽は、酸素濃度を80%以上で保持することを特徴とする、請求項11または12に記載の魚介類の麻酔維持システム。

請求項14

魚介類の麻酔状態を維持するための方法であって、二酸化炭素濃度を65PPM以上85PPM以下、および酸素濃度を60%以上に保持した水槽内で魚介類を麻酔させる、麻酔工程と、前記麻酔工程で麻酔状態に遷移した魚介類を、二酸化炭素濃度を40PPM以下、および酸素濃度を60%以上に保持した水槽内で維持する、維持工程と、を少なくとも有することを特徴とする、魚介類の麻酔維持方法

請求項15

前記維持槽内の水の一部または全部について、前記麻酔槽内の水を流用することを特徴とする、請求項8に記載の麻酔維持方法。

請求項16

魚介類の麻酔状態を維持した状態で運搬を行うための方法であって、二酸化炭素濃度を65PPM以上85PPM以下、および酸素濃度を60%以上100%未満に保持した水槽内で魚介類を麻酔させる、麻酔工程と、前記水槽内の二酸化炭素濃度を40PPM以下、および酸素濃度を60%以上100%未満に保持して、魚介類の麻酔状態を維持しながら運搬を行う、運搬工程と、運搬先で前記水槽内の二酸化炭素濃度を下げて魚介類を覚醒させる、覚醒工程と、を少なくとも有することを特徴とする、魚介類の運搬方法

技術分野

0001

本発明は、活魚などの魚介類麻酔維持に関する各種方法等に関する。

背景技術

0002

活魚などの魚介類を麻酔する方法には、以下の特許文献に記載の方法が知られている。
特許文献1は、麻酔効果を有する濃度の溶存二酸化炭素と、生存するために必要な濃度の溶存酸素とを含む麻酔用炭酸水水槽に供給することで、魚に麻酔をかける技術を開示している。
特許文献2は、特許文献1で開示する麻酔用炭酸水に対し、溶存酸素濃度飽和状態に維持しても、魚のから吸収される酸素量が不十分になることを指摘し、その対策として、気体酸素を水中で浮上することなく位置が保持される程度の大きさとした微細気泡を魚介類に供給することで、魚介類の頓死を防止した、とする技術を開示している。
特許文献3は、特許文献2と同様、特許文献1で開示する麻酔用炭酸水の不備を指摘しつつ、さらに特許文献2に対し、当該文献に係る方法の実施に、大掛かりな装置を要する点を指摘し、水中の溶存酸素を過飽和状態とすることを前提とした上で、溶存酸素量の適正値や、二酸化炭素や酸素を含有するガス噴出する散気管の気孔の直径の適正値を見出した点を主題としている。

先行技術

0003

特許4951736号公報
特許5897133号公報
特開2017−23023号公報

発明が解決しようとする課題

0004

出願人は、これらの先行技術から更に利便性に優れる技術の研究を進める中で、以下の点に改善の余地を見出した。
(1)水槽内の毒性成分を低減することで、魚介類の頓死を防止すること。
(2)魚介類の麻酔状態を維持しつつ、頓死を防止できる態様で長時間輸送を可能とすること。
(3)水槽内の溶存酸素濃度を飽和状態にせずとも、麻酔状態の魚介類の頓死を防止可能とすること。
(4)麻酔状態の魚介類に供給する気体酸素を微細気泡にせずとも、麻酔状態の魚介類の頓死を防止可能とすること。

課題を解決するための手段

0005

上記課題を解決すべく、本願発明では、以下の点のうち、少なくとも何れか1つの点を技術的特徴とするものである。
(1)麻酔状態の魚介類を収容した水槽内において、アンモニア(NH3)からアンモニウムイオン(NH4+)への反応を促すように、水槽内の二酸化炭素濃度を調整する。二酸化炭素濃度の調整にはエアレーション手段を用いることができる。
(2)プロテインスキマーでもって魚介類のや食べ残しのなどからなる蛋白質を除去してアンモニア(NH3)の発生を抑制する。
(3)魚介類を麻酔する工程と、麻酔状態を維持する工程とで、水中環境を分ける。
(4)などに常置した麻酔槽で魚介類を麻酔させ、麻酔状態を維持する維持槽そのものを輸送対象として、魚介類を麻酔状態のまま輸送し、輸送先で魚介類の覚醒を行う。

発明の効果

0006

本願発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの効果を奏する。
(1)発生したアンモニアの減少を促すことができる。
水槽内の二酸化炭素濃度の調整によってアンモニアから毒性の低いアンモニウムイオンへの反応を促すことで、水中内アンモニア濃度の増加を抑制して、魚介類のアンモニア中毒を軽減することができる。
(2)蛋白質に起因するアンモニアの発生を抑制できる。
維持槽にプロテインスキマーを設けることで、魚介類の糞や食べ残しの餌などからなる蛋白質を除去し、バクテリアによる蛋白質の分解仮定で生じるアンモニアの発生を抑制して、魚介類のアンモニア中毒を軽減することができる。
(3)麻酔状態の長期維持に寄与する。
魚介類を麻酔させるための工程と、麻酔された魚介類の麻酔状態を維持するための工程とにおいて、水中環境を各工程に適したものに設定することで、魚介類のガス病を防止し、魚介類の覚醒が可能な麻酔状態をより長く維持することができる。
(4)各槽の環境維持管理が容易となる。
魚介類を麻酔させるための水槽(麻酔槽)と、麻酔された魚介類の麻酔状態を維持するための水槽(維持槽)とを物理的に分けることによって、各槽で必要とする酸素濃度や二酸化炭素濃度の維持管理が容易となる。
(5)輸送の長距離化に寄与する。
輸送に用いる維持槽を、魚介類の麻酔状態を長期間維持可能な環境に特化させることで、麻酔状態の魚介類を輸送先で覚醒可能な状態を維持しつつ長距離輸送することができる。
(6)輸送効率の向上に寄与する。
維持槽に、魚介類を収容した状態の収容箱投入する態様とすることにより、魚介類の収容密度を高くすることができ、輸送効率が高い。

図面の簡単な説明

0007

本発明に係る麻酔維持方法の概略図。
本発明に係る維持槽の概略図。
本発明に係る麻酔維持方法での実験結果をまとめた表。

0008

<1>魚介類の頓死要因
水槽内の水中環境(酸素濃度や二酸化炭素濃度など)を変えて、麻酔開始から24時間経過後の魚介類の頓死の有無を調査する実験を進めていく中で、水中の酸素濃度の過飽和状態の如何を問わず、魚介類の頓死の発生には、水槽内のアンモニア(NH3)の濃度と関連性があることがわかった。
水中のアンモニア濃度が高いと、魚介類の呼吸に支障をきたし、呼吸困難による死亡に陥っているものと思われる。
アンモニアは、魚介類の尿だけでなく、魚介類の糞や食べ残しの餌に含まれる蛋白質が水中のバクテリアによって分解される過程で発生していることが考えられる。
よって、水槽内に魚介類を過密に収容すればするほど、アンモニア濃度は増加しやすくなり、魚介類にとって過酷な環境となることが推測される。

0009

<2>アンモニアの無害化方法
ところで、アンモニア(NH3)は、水に溶かして水素イオン(H+)と結合させてアンモニウムイオン(NH4+)へと変化させることで、無害化することができる。
よって、水槽内において、水素イオン(H+)を任意に加減できれば、アンモニア(NH3)からアンモニウムイオン(NH4+)への反応を制御することができる。

0010

<2.1>水素イオンとphの関係
上記した水素イオン(H+)の濃度は、水中のphとして表すことができ、phが小さいほど水素イオン濃度が高いことを示す。
また、このphの値によって、アンモニア(NH3)からアンモニウムイオン(NH4+)の変化割合増減することが知られている。
例えば、ph6(弱酸性)では、アンモニア(NH3)の99.9%がアンモニウムイオン(NH4+)に変化する。
また、ph7の状態(中性)では、アンモニア(NH3)の99.4%がアンモニウムイオンに変化する。

0011

<2.2>phとアンモニア濃度の関係
このように、水中内のphが高くなる(水素イオンの濃度が低い)と、アンモニア(NH3)のアンモニウム(NH4+)への変化割合が減少し、水中にアンモニアが残存しやすくなり、水中のアンモニア濃度の増加につながって魚介類の頓死を引き起こしているものと考えられる。

0012

<3>アンモニア濃度の増加抑制方法
そこで、水中内のphの増加を抑制する方法の一例として、水中内の二酸化炭素の濃度を制御する方法を検討した。
その理由および原理は以下の通りである。

0013

<3.1>二酸化炭素に起因する水素イオンの発生原理

このように、水中内の二酸化炭素の量を所定の範囲に調整することで、水中内の水素イオンの数を調整し、有毒性のあるアンモニアをアンモニウムイオンに無害化することが期待できる。

0014

<3.2>二酸化炭素濃度の要因
なお、水槽内での二酸化炭素の濃度は、以下の内部要因によって変動する。
(内部要因1)魚介類の呼吸から生じるもの。
(内部要因2)麻酔状態の魚介類の血中から溶出するもの。
よって、この内部要因1,2によって変動する水槽内での二酸化炭素の濃度を計算して、適宜エアレーションなどの外部要因で制御すれば、適切な二酸化炭素の濃度を維持することができる。

0015

このように、水槽内の二酸化炭素濃度を適切な範囲に制御することによって水中内のphを低く保持すると、アンモニア(NH3)のアンモニウム(NH4+)への変化割合を高く維持することができ、引いては毒性の高いアンモニアの残存量を減らして、魚介類の頓死を防止することができる。

0016

<4>その他の変形例
なお、本発明において、上記した手法はあくまで一例であり、水槽内のアンモニア(NH3)の増加を抑制するように環境制御するための方法として考えられる自明の方法があれば当該方法を採用してもよい。

0017

上記した原理に基づく、本発明の実施形態の一例について、図面を参照しながら、以下に説明する。
なお、後述する「二酸化炭素濃度」「酸素濃度」とは、測定時の濃度に限らず、複数の測定箇所で同時に測定した値の平均値や、経時的に測定した複数の測定値の平均値を含む。
また、二酸化炭素濃度はPPM表記とし、酸素濃度は、溶存酸素の飽和度を基準とする%表記としている。

0018

<1>全体構成
本実施例に係る麻酔維持方法では、図1に示すように、麻酔工程と維持工程とを少なくとも含み、各工程で異なる水槽(麻酔槽A、維持槽B)を用いる。
麻酔工程では、港などに常置してある麻酔槽Aに麻酔水A1を満たしておき、この麻酔槽Aの中に陸揚げされた覚醒状態の魚介類Xを投入して、魚介類Xを麻酔状態の魚介類Yとする。
維持工程では麻酔槽A内の麻酔状態の魚介類Yを、輸送対象となる維持槽Bに適宜移し変えて、維持槽Bに満たされた維持水B1の中で麻酔状態を維持する。
麻酔状態の魚介類Yを維持槽Bに移し変える際には、収容箱B2などを用いて高密度収容を行ってもよい。
この維持工程の状態で、維持槽Bを輸送トラックなどの運搬手段Cでもって輸送し、輸送先で魚介類の覚醒を行うことで、魚介類を活かした状態を長時間維持することを目的とする。
各工程で水槽を分けた理由は、以下に記載した理由のうち、少なくとも何れか1つの理由にもとづく
理由1:魚介類を麻酔状態に遷移する際の水中環境と、麻酔状態の魚介類を維持する際の水中環境とが異なることが判明したため。
理由2:魚介類の運搬元である港などに麻酔槽Aを常置しておきつつ、麻酔槽Aで麻酔した魚介類を維持槽Bに移し変えて、車両等で維持槽Bごと長距離輸送を行えば、作業効率性に優れるため。
以下、各槽での工程の詳細について説明する。

0019

<2>麻酔工程
麻酔工程は、魚介類を麻酔状態に遷移させるための工程である。
魚介類を麻酔する方法は、種々の方法が知られているが、本発明では、二酸化炭素濃度を一定値以上に構成した麻酔水A1で満たした麻酔槽Aの中に魚介類を投入して所定時間経過後に麻酔させる方法を採用することができる。
よって、本実施例で使用する麻酔槽Aは、二酸化炭素の濃度を調整可能な手段を必須とし、その他必要に応じて水槽内の酸素濃度を調整可能な手段などを設けた構成とすればよい。

0020

<2.1>麻酔水の条件設定
本発明では、麻酔槽A内の麻酔水A1について、二酸化炭素濃度を65〜85PPMの範囲、および酸素濃度を60%以上の範囲で保持することを想定する。
この際、麻酔水A1の酸素濃度を過飽和(100%以上)にすることは必須ではなく、酸素濃度を60%以上100%未満としてもよい。

0021

<3>維持工程
維持工程は、麻酔状態の魚介類について、当該麻酔状態を長時間にわたって維持するための工程である。
本実施例では、麻酔槽Aとは別体の維持槽Bを用い、維持槽Bの二酸化炭素濃度を少なくとも麻酔槽Aの二酸化炭素濃度よりも低い濃度で保持して魚介類の麻酔状態を維持する。
図2に、維持槽Bの構造の詳細を示す。
維持槽Bは、主として、本体部10と、酸素供給手段20と、エアレーション手段30と、を少なくとも具備し、必要に応じてプロテインスキマー40をさらに具備して構成する。
以下、各構成要素の詳細について説明する。

0022

<3.1>本体部
本体部10は、麻酔状態の魚介類を投入して収容するための要素である。
本体部10は、フォークリフトなどを用いた運搬や、公知の輸送態様に適するよう、公知の運搬用コンテナなどの規格や形状に合わせておくことが好ましい。
本体部10への魚介類の収容例としては、麻酔槽Aにて麻酔状態の魚介類を網ですくってそのまま本体部10に投入する方法や、鯛かごのような収容箱B2に魚介類を高密度に収容してから収容箱B2ごと本体部10に投入する方法など、種々の方法がある。
本実施例では、本体部10を、上部を開口してある箱体11と、箱体11の上部を閉塞する蓋体12と、箱体11の側方に設ける収納部13と、を具備するように構成している。

0023

<3.1.1>箱体
箱体11は、内部に水を満たして魚を投入するための要素である。
箱体11の底部には、適宜間隔を設けて受け台111を配置し、フォークリフトのフォークを導入するための隙間(フォーク導入部112)を確保する。

0024

<3.1.2>蓋体
蓋体12は、箱体11を閉塞するための部材である。
本発明において、蓋体12の形状、構造は特段限定しない。
本実施例では、蓋体12の上部に、吊り上げ用の係止部121を設け、上下に貫通する貫通孔122を設ける。
この貫通孔122は、後述するプロテインスキマー40の吸引ホース41を通すために使用する。

0025

<3.1.3>収納部
収納部13は、維持槽Bに設ける各種装置を収納しておくための要素である。
収納部13は、箱体11の底部を一側方に延伸して設けた載置台131と、載置部を覆うように配置するカバー132とからなる。
収納部13には、後述する酸素ボンベ21やエアレーション用のポンプ31のほかに、制御盤50やバッテリー60、酸素濃度、二酸化炭素濃度を測定するためのセンサ(図示せず)などの装置を収納しておく。
この収納部13に各種装置を収納しておくことで、維持槽B単体で水中環境の制御を実現する。

0026

<3.2>酸素供給手段
酸素供給手段20は、本体部10内に酸素を供給して、酸素濃度を任意の範囲に維持するための要素である。
酸素供給手段20は、水中内に酸素を供給可能な公知の装置を用いることができる。
本実施例では、酸素供給手段20を、本体部10の外側に設けておいた酸素ボンベ21と、酸素ボンベ21からの気体酸素を送るポンプ22と、ポンプ22から送られる気体酸素を槽内の水とを混合するための混合弁23と、本体部10内から酸素気泡吐き出すための第1のノズル24から構成している。
第1のノズル24から供給する気体酸素の気泡粒径は特に限定しないが、直径1μm以下のいわゆるファインバブルを要するものでは無い。
本実施例では、第1のノズル24の径や圧力などを調整して、直径100μm以上の気泡からなる気体酸素を吐き出すように構成している。

0027

<3.3>エアレーション手段
エアレーション手段30は、本体部10内のエアレーションを行うための要素である。
通常、エアレーションとは、熱帯魚の飼育などで本体部10内の酸素濃度を高めるために空気を本体部10内に送り込むことを想定するものであるが、本発明では、維持槽B内において、魚介類の呼吸や魚介類から溶出した二酸化炭素を飛ばすための手段として使用する。
エアレーション手段30は、公知のエアレーション装置を用いることができる。
本実施例では、エアレーション手段30を、収納部13に収納してあるポンプ31と、該ポンプ31からの空気を本体部10内から吐き出すための第2のノズル32から構成している。
第2のノズル32から供給する空気の気泡粒径についても、第1のノズル24と同様特に限定するものではなく、ファインバブルを必須とするものでは無い。

0028

<3.3.1>両者の兼用
なお、本発明では、エアレーション手段30および酸素供給手段20のうち一方が、他方を兼用するように構成してもよい。

0029

<3.4>プロテインスキマー
プロテインスキマー40は、本体部10内の不純物濾過して取り除くための要素である。
プロテインスキマー40は、タンパク質や脂質などバクテリアに分解される前の不純物を除去する手段として海水魚育に使用される装置であり、エアーポンプ31で発生させた泡の表面に不純物を吸着させ、この泡が水面まで浮き上がる動作を利用して不純物を上部に溜めるように作用する装置である。
本発明では、プロテインスキマー40少なくとも箱体11内の水に含まれるタンパク質を除去できる効果の得られる範囲で公知の装置を用いればよく、構成を特段限定するものではない。
本実施例では、プロテインスキマー40を、一端を箱体11の内部に配置する吸引ホース41と、該吸引ホース41の他端を接続して、吸引した汚水や泡を貯めておく貯留部42とで構成している。

0030

<3.5>維持水の条件設定
箱体11に収容する水は、汲み上げた海水を、前述した酸素供給手段20や、エアレーション手段30でもって所定の水中環境下に調整する。
箱体11に収容する水は、麻酔槽Aでの麻酔水A1よりも二酸化炭素濃度が低くなるように調整する。このとき、二酸化炭素濃度の調整のために、維持水B1の一部に麻酔槽A内の麻酔水A1を用いて省力化してもよい。
維持水B1の酸素濃度は、麻酔水A1と同様の設定を目安とする。

0031

<4>覚醒工程
図1で図示しない輸送先では、維持槽B内のエアレーション手段30によるエアレーション量をさらに増やして、水中内の二酸化炭素濃度を適宜下げることで、魚介類の麻酔状態が自然に解かれることになる。
このとき、酸素供給手段20による酸素の供給は継続して進めておく。

0032

<5>実験例
以下、維持工程において維持槽B内の水中環境(酸素濃度や二酸化炭素濃度など)を変えて、麻酔開始から24時間経過後の魚介類の生存の有無を調査する実験のデータを示す。

0033

<5.1>実験条件
実験条件は以下の通りである。
・1モデルに付き5匹のマダイを使用。
・酸素濃度を99%の状態とし、二酸化炭素濃度を75ppm前後で保持した水中環境の麻酔槽A内に、覚醒している状態の魚介類を投入して、所定時間経過させて魚介類を麻酔状態へと遷移させてから維持槽Bに投入する。
・維持槽B内は、海水100リットルを投入している。
・維持槽B内では、酸素供給手段20でもって直径100μm以上の酸素気泡を水中に供給して、所定の濃度に調整する。
・維持槽B内では、エアレーション手段30でもって空気を水中に供給することにより、二酸化炭素濃度を所定の濃度に調整する。
・1時間おきに、維持槽B内の酸素濃度および二酸化炭素を測定。
・水中の酸素濃度を99%〜80%、80%〜60%、60%〜30%の範囲で保持した3パターンを用意し、さらに各パターンにおいて、水中の二酸化炭素濃度を0〜20ppm、10〜30ppm、20〜40ppm、30〜50ppm、40〜60ppmの範囲保持した5種類、計15モデルで生存実験を行う。

0034

<5.2>実験結果
図3に、各モデルの実験結果を示す。
まず、酸素濃度を60%〜30%の範囲で保持したモデル11〜15については、全てのモデルでマダイは死亡している結果となった。
また、酸素濃度を80%〜60%の範囲で保持したモデル6〜10については、二酸化炭素濃度を0〜20ppm、10〜30ppmの範囲で保持するモモデル6,7について5匹中4匹のマダイが生存する結果となった。
また、酸素濃度を99%〜80%の範囲で保持したモデル1〜5については、二酸化炭素濃度を0〜20ppm、10〜30ppm、20〜40ppmの範囲で保持するモデル1〜3について全てのマダイが生存し、30〜50ppmの範囲で保持するモデル4について5匹中3匹のマダイが生存する結果が得られた。

0035

<5.3>実験結果から導き出される傾向
上記の実験結果から、以下の傾向を導くことができた。
(1)全てのマダイが生存できた環境下(モデル1〜3)においては、生存しているマダイの呼吸によって二酸化炭素が増加しやすい状況であっても、当該二酸化炭素はアンモニアの無毒化(アンモニウムイオンの生成)に用いられ、結果的にphも弱酸性状態を維持できている。
(2)マダイの死亡が確認された環境下では、24時間後のphやアンモニア濃度に上昇が予想されたが、データ上大きな変化は無かった。これはマダイの死亡によって、マダイの呼吸による二酸化炭素の発生量や、マダイの糞尿などに含まれる蛋白質の発生量が、もともと少なくなったことが要因と思われる。
(3)二酸化炭素の濃度が40ppmより大きい値で維持されると、酸素濃度の如何に問わずマダイの死亡を招いており、二酸化炭素の供給量が多すぎてはならない。
よって、維持槽B内での二酸化炭素濃度は、0〜40ppmの範囲内、より好ましくは0〜30ppmの範囲で保持する態様が適切である。
(4)酸素濃度が60%未満の値で維持されると、二酸化炭素濃度の如何に問わずマダイの死亡を招いている。よって、酸素の供給量が低すぎてはならない。一方で、長期間麻酔状態で維持したマダイを生存させておくために、酸素濃度を過飽和状態にまで高めることは必須ではない。
よって、維持槽B内での酸素濃度は、60%以上、より好ましくは80%以上で保持する態様が適切である。この際、過飽和(100%以上)にする必要はない。
(5)今回の実験では実験開始から1時間おきに、水中の酸素濃度および二酸化炭素を測定し、測定値が所定条件の範囲の中に収まっていることを条件としたが、全ての測定値の平均値(平均酸素濃度、平均二酸化炭素濃度)が、前記した所定条件の範囲の中に収まるような態様であっても同様の結果を得られる可能性が高いものと思われる。
(6)また、水槽内に投入する魚介類の種類や、水温などの諸条件によって、酸素濃度や二酸化炭素濃度は変化し得るため、当業者はこれらの条件を踏まえて、適宜数値設定を調整して実施すればよい。
ただし、本実施で特定した数値範囲で調整を行う態様であれば、概ね良好な結果を得られる可能性が高いものと思われる。

0036

<6>まとめ
このように、麻酔工程と維持工程とで酸素濃度や二酸化炭素濃度を異なる環境下に制御して麻酔状態の魚介類を収容することにより、長時間経過後であっても魚介類が死亡することの無い態様で、魚介類の麻酔状態の維持が可能となった。

実施例

0037

前記した実施例1では、麻酔工程と維持工程とで別の水槽(麻酔槽A、維持槽B)を用いていたが、本発明では、1つの水槽で、麻酔工程および維持工程の両方を実施しても良い。
例えば、実施例1で示す維持槽Bを麻酔槽Aとして使用する際には、二酸化炭素濃度を高い状態で保持した麻酔水A1を満たした状態で魚介類を麻酔させ、その後維持槽Bとして所定の二酸化炭素濃度及び酸素濃度に調整しながら維持を行えば良い。

0038

A麻酔槽
A1 麻酔水
B 維持槽
B1 維持水
B2収容箱
C運搬手段
X魚介類
Y麻酔状態の魚介類
10 本体部
11箱体
111受け台
112フォーク導入部
121係止部
122貫通孔
12蓋体
13収納部
131 載置台
132カバー
20酸素供給手段
21酸素ボンベ
22ポンプ
23混合弁
24 第1のノズル
30エアレーション手段
31 ポンプ
32 第2のノズル
40プロテインスキマー
41吸引ホース
42貯留部
50制御盤
60 バッテリー

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ