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技術 レーザビームプロファイル測定装置

出願人 カナレ電気株式会社
発明者 常包正樹
出願日 2017年4月17日 (2年2ヶ月経過) 出願番号 2017-546262
公開日 2019年4月25日 (2ヶ月経過) 公開番号 WO2018-193491
状態 特許登録済
技術分野 測光及び光パルスの特性測定
主要キーワード 許容光量 熱膨張歪 発生媒 二次元プロファイル 排熱性能 傾斜曲面 傾斜加工 イメージ素子
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図面 (17)

課題・解決手段

高出力レーザビームプロファイルを高精度に測定することを可能とする測定装置を提供する。レーザビームプロファイル測定装置は、レーザ光入射する入射面と前記レーザ光が出射する出射面とを有する、板状またはブロック状の蛍光発生素子と、蛍光発生素子内で発生し出射面から出射する蛍光を、レーザ光から分離する光分離素子と、蛍光を受けるイメージ素子と、を含み、板状またはブロック状の蛍光発生素子は、当該蛍光発生素子の入射面及び出射面と斜め方向に交わる、閉じられた傾斜面を有する。蛍光発生素子は、少なくとも蛍光が透過する支持体をさらに有し、支持体の一の面が、蛍光発生素子の出射面に光学的に接合されていると良い。閉じられた傾斜面は、入射面を上底下底とし出射面を下底/上底とする円錐台または角錐台の側面を成すと良い。傾斜面は、蛍光発生素子の厚みを超えて支持体に達する溝により形成されていると良い。

概要

背景

従来の100mWを超える高出力レーザビームプロファイル二次元強度分布)を測定する方法としては、フィルタミラー減光してレーザビームをCCDやCMOS等のイメージセンサカメラ観測する方法、スリットナイフエッジビームの一部を遮光しながら透過光強度測定し、それから計算により求める方法、特殊な板にレーザビームを焼き付けてその跡(バーンパターン)を測定する方法、先端に小さな穴の開いた導光棒を二次元スキャンして強度分布を測定する方法、散乱板に当ててその散乱光後方からカメラで測定する方法等が知られていた。

一方、レーザビームを板状の蛍光体蛍光板)に当てて、そこから発せられる蛍光の二次元強度分布をカメラで測定する方法も知られていた(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1)。特許文献1及び2には、レーザビームを蛍光板の前方から照射し、照射された領域からの蛍光を、レーザビームを照射した蛍光板の前面、あるいは蛍光板の裏面からカメラで観測する方法が提案されている。また、特許文献3と非特許文献1には、蛍光板としてNd:YAGを用いる方法が提案、実験の結果が報告されている。なお、非特許文献1は本発明者が共同執筆者の一人となっている過去の実験結果の報告である。

図14を参照して、従来提案されている蛍光を利用したビームプロファイル測定法について説明する。測定したいレーザビーム(波長808nm)1103を板状のNd:YAG1101に照射する。Nd:YAGに吸収されなかったレーザは、ミラー1102を透過し外部に放出される。一方、Nd:YAGで発生した蛍光(1064nm)1104は、ミラー1102で反射され、さらにフィルタ1105で1064nm以外の光が取り除かれ、カメラ1106に入射結像される。非特許文献1もレーザビームの透過と反射の方向が異なるだけで基本的な構成は同じである。

蛍光を用いた方法が、それ以外の測定方法に比べ優れている点を以下に説明する。まず一番目として、測定したいビームの光軸方向(Z軸方向)の測定位置を蛍光板の位置で厳密に特定できる点が優れている。二番目として、発生する蛍光は一般にレーザ光の波長と離れているため、ダイクロイックミラー等でレーザ光と容易に分離することができ、高い信号対ノイズ比(S/N)で観測できる。ここで蛍光の強度は元のレーザに比べ非常に弱いために、一種線形減光フィルタとして機能し、イメージセンサを用いて信号の飽和破壊を起こすことなく観測できる点も優れている。また、過去の文献では触れられていない優れた点として、蛍光はレーザ光と違いインコヒーレント光であるため、開口(NA)の小さな光学系を用いてもイメージセンサ上に正確に結像できるために、光学系の自由度が高い。また、レンズの組み合わせにより結像の倍率も自由に設定できるので、微小なビームプロファイルも容易に高精度に拡大して測定できる。一方、測定したいレーザ光を直接測定する従来の方式では、ビームサンプラーやフィルタで減光してイメージセンサに導入するまで、空間的にすべてのレーザ光を導く必要があり、NAの大きなレンズを使う必要がある。また、ビームに収差があった場合、レンズを通すごとにビームプロファイルが変化し、結果的に正しいビームプロファイルが測定できない場合があった。

概要

高出力レーザのビームプロファイルを高精度に測定することを可能とする測定装置を提供する。レーザビームプロファイル測定装置は、レーザ光が入射する入射面と前記レーザ光が出射する出射面とを有する、板状またはブロック状の蛍光発生素子と、蛍光発生素子内で発生し出射面から出射する蛍光を、レーザ光から分離する光分離素子と、蛍光を受けるイメージ素子と、を含み、板状またはブロック状の蛍光発生素子は、当該蛍光発生素子の入射面及び出射面と斜め方向に交わる、閉じられた傾斜面を有する。蛍光発生素子は、少なくとも蛍光が透過する支持体をさらに有し、支持体の一の面が、蛍光発生素子の出射面に光学的に接合されていると良い。閉じられた傾斜面は、入射面を上底下底とし出射面を下底/上底とする円錐台または角錐台の側面を成すと良い。傾斜面は、蛍光発生素子の厚みを超えて支持体に達する溝により形成されていると良い。

目的

本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、高出力レーザのビームプロファイルを高精度に測定することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

レーザビーム二次元プロファイルを測定するレーザビームプロファイル測定装置であって、レーザ光入射する入射面と前記レーザ光が出射する出射面とを有する、板状またはブロック状の蛍光発生素子と、前記蛍光発生素子内で発生し前記出射面から出射する蛍光を、前記レーザ光から分離する光分離素子と、前記蛍光を受けるイメージ素子と、を含み、前記板状またはブロック状の蛍光発生素子は、当該蛍光発生素子の前記入射面及び前記出射面と斜め方向に交わる、閉じられた傾斜面を有する、レーザビームプロファイル測定装置。

請求項2

前記蛍光発生素子は、少なくとも前記蛍光が透過する支持体をさらに有し、前記支持体の一の面が、前記蛍光発生素子の前記出射面に光学的に接合されている、請求項1に記載のレーザビームプロファイル測定装置。

請求項3

前記閉じられた傾斜面は、前記入射面を上底下底とし前記出射面を下底/上底とする円錐台または角錐台の側面を成す、請求項1に記載のレーザビームプロファイル測定装置。

請求項4

前記閉じられた傾斜面は、前記蛍光発生素子の厚みを超えて前記支持体に達する溝により形成されている、請求項2に記載のレーザビームプロファイル測定装置。

請求項5

前記蛍光発生素子の前記閉じられた傾斜面が前記入射面及び前記出射面と交わる角度をθ、前記蛍光発生素子の入射面の幅をa、厚みをbとするとき、角度θが以下の関係を満たす、請求項1に記載のレーザビームプロファイル測定装置。tan2θ≧2b/aただし、角度θの単位はradである。

請求項6

前記蛍光発生素子の前記閉じられた傾斜面が前記入射面及び前記出射面と交わる角度をθ、前記蛍光発生素子の入射面の幅をa、厚みをb(ただし、b≪aである)とするとき、角度θが以下の関係を満たす、請求項1に記載のレーザビームプロファイル測定装置。θ≧b/aただし、角度θの単位はradである。

請求項7

前記イメージ素子に向かう光の一部を受ける受光素子と、光シャッターと、開閉制御部とをさらに含み、前記開閉制御部は、前記受光素子が受ける光の強度が所定のしきい値より小さいときに前記光シャッターが開くよう、前記光シャッターの動作を制御する、請求項1に記載のレーザビームプロファイル測定装置。

請求項8

前記蛍光発生素子は、Ndを原子組成百分率で2%(2at.%)以上含有する、Nd:YAG蛍光板である、請求項1に記載のレーザビームプロファイル測定装置。

請求項9

前記蛍光発生素子は、Cr4+イオンが添加された、Cr,Yb:YAG蛍光板である、請求項1に記載のレーザビームプロファイル測定装置。

請求項10

前記蛍光発生素子は、Nd:YAG蛍光板とYb:YAG蛍光板との重ね合わせを含む、請求項1に記載のレーザビームプロファイル測定装置。

技術分野

0001

本発明は、レーザビームプロファイル測定装置に関し、特に、高光強度レーザビーム二次元プロファイルを高精度に測定できる測定装置に関するものである。

背景技術

0002

従来の100mWを超える高出力レーザビームプロファイル二次元強度分布)を測定する方法としては、フィルタミラー減光してレーザビームをCCDやCMOS等のイメージセンサカメラ観測する方法、スリットナイフエッジビームの一部を遮光しながら透過光強度測定し、それから計算により求める方法、特殊な板にレーザビームを焼き付けてその跡(バーンパターン)を測定する方法、先端に小さな穴の開いた導光棒を二次元スキャンして強度分布を測定する方法、散乱板に当ててその散乱光後方からカメラで測定する方法等が知られていた。

0003

一方、レーザビームを板状の蛍光体蛍光板)に当てて、そこから発せられる蛍光の二次元強度分布をカメラで測定する方法も知られていた(例えば、特許文献1〜3、非特許文献1)。特許文献1及び2には、レーザビームを蛍光板の前方から照射し、照射された領域からの蛍光を、レーザビームを照射した蛍光板の前面、あるいは蛍光板の裏面からカメラで観測する方法が提案されている。また、特許文献3と非特許文献1には、蛍光板としてNd:YAGを用いる方法が提案、実験の結果が報告されている。なお、非特許文献1は本発明者が共同執筆者の一人となっている過去の実験結果の報告である。

0004

図14を参照して、従来提案されている蛍光を利用したビームプロファイル測定法について説明する。測定したいレーザビーム(波長808nm)1103を板状のNd:YAG1101に照射する。Nd:YAGに吸収されなかったレーザは、ミラー1102を透過し外部に放出される。一方、Nd:YAGで発生した蛍光(1064nm)1104は、ミラー1102で反射され、さらにフィルタ1105で1064nm以外の光が取り除かれ、カメラ1106に入射結像される。非特許文献1もレーザビームの透過と反射の方向が異なるだけで基本的な構成は同じである。

0005

蛍光を用いた方法が、それ以外の測定方法に比べ優れている点を以下に説明する。まず一番目として、測定したいビームの光軸方向(Z軸方向)の測定位置を蛍光板の位置で厳密に特定できる点が優れている。二番目として、発生する蛍光は一般にレーザ光の波長と離れているため、ダイクロイックミラー等でレーザ光と容易に分離することができ、高い信号対ノイズ比(S/N)で観測できる。ここで蛍光の強度は元のレーザに比べ非常に弱いために、一種線形減光フィルタとして機能し、イメージセンサを用いて信号の飽和破壊を起こすことなく観測できる点も優れている。また、過去の文献では触れられていない優れた点として、蛍光はレーザ光と違いインコヒーレント光であるため、開口(NA)の小さな光学系を用いてもイメージセンサ上に正確に結像できるために、光学系の自由度が高い。また、レンズの組み合わせにより結像の倍率も自由に設定できるので、微小なビームプロファイルも容易に高精度に拡大して測定できる。一方、測定したいレーザ光を直接測定する従来の方式では、ビームサンプラーやフィルタで減光してイメージセンサに導入するまで、空間的にすべてのレーザ光を導く必要があり、NAの大きなレンズを使う必要がある。また、ビームに収差があった場合、レンズを通すごとにビームプロファイルが変化し、結果的に正しいビームプロファイルが測定できない場合があった。

0006

特開平6−221917号公報
特開2004−245778号公報
特開2008−519263号公報

先行技術

0007

常包正樹ほか、「新しい高精度2Dビーム形計測法の提案」、2015年1月11日〜12日、レーザー学会学術講演会第35回年次大会、講演予稿集12pIX03、一般社団法人レーザー学会

発明が解決しようとする課題

0008

特許文献1には、具体的な蛍光板の組成、材料の記述はないが、一般のよく知られた蛍光板では高出力のレーザ光を照射すると、発光が飽和したり、分解したり、発熱焼損したりすることが知られている。特許文献2には蛍光体の具体例として蛍光ガラス板やアクリル板製蛍光体の記述があるが、これらは母材熱伝導が悪いので、高出力のレーザ光を照射した場合、割れたり融けたりするおそれがあった。

0009

特許文献3並びに非特許文献1では、蛍光板としてNd:YAGを蛍光媒質として用いた例が記述されている。Nd:YAGは高出力のレーザ光発生媒質としても用いられているため、高出力のレーザ光を入射しても発熱や焼損の起こる可能性は少ない。しかし開示された方法では高出力のレーザ光を測定する場合に測定ができなくなる問題が発生するおそれがあった。

0010

具体的には、図15に示す構造では、測定するレーザビーム2が入射する面に設けられた蛍光板(Nd:YAG)の側面が入射面に垂直で、対向する側面が平行に近い。このため、図15中に符号3で示すように、蛍光板1の蛍光発生領域4で発生した蛍光が側面で反射し、対向する面で往復して共振誘導放出を起こし、その結果、本来指向性なく360度の方向に発生する蛍光が、蛍光板1の側面方向(図の上下方向)のみに放出されイメージセンサの方向(図の右方向)に向かわないため蛍光像が観測できない可能性があった。

0011

図16は、その問題の様子を実際の測定例で具体的に示したものである。入射するレーザ光の強度が低い場合は、(a)のように正常に測定されるが、強度を1W以上に上げていくと、図(b)に示すようにビーム強度の最も強い部分を通るように線状に蛍光像が観測されない領域が発生した。本発明者は、この原因が蛍光板の側面の間で共振が起こり、通常指向性のない蛍光が、誘導放出という現象により側面方向に揃うようになり、イメージセンサのある後方に向かわないため、このような蛍光像の欠けを生じることを突き止めた。

0012

また、特許文献3及び非特許文献1の構成において、蛍光の波長に近い波長のレーザを入射させた場合、高出力のレーザ光が、レーザ光と蛍光を分離するミラーやバンドパスフィルタを透過してカメラやイメージセンサの方向に向かうため、カメラやイメージセンサが焼損する可能性があった。

0013

加えて、従来例では、10kW/cm2を超える高い光密度のレーザ光を入射した時に、蛍光板内の蛍光体(Nd:YAG)の吸収が飽和して吸収係数が低下し、発生する蛍光も光強度に比例しなくなるため、測定結果が実際のレーザビームプロファイルを正確に反映しない可能性があった。

0014

また、従来例では、Nd:YAGを蛍光媒質として用いた場合には、Nd:YAGが吸収しない波長の光のビームプロファイルは測定することはできないため、測定できるレーザ光の波長に制限があった。

0015

したがって、本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、高出力レーザのビームプロファイルを高精度に測定することを目的とする。

0016

また、本発明は、蛍光の波長に近い波長のレーザを入射させた場合に、カメラやイメージセンサが焼損することを未然に防ぐことを目的とする。

0017

さらに、本発明は、レーザ光の入射光強度が高いときにおいても吸収を飽和させず、入射したレーザビームプロファイル強度に比例した蛍光強度分布を得て、高い測定精度を維持することを目的とする。

0018

また、本発明は、蛍光媒体であるNd:YAGが吸収しない波長の光のビームプロファイルをも同時に測定することを可能とすることを目的とする。

課題を解決するための手段

0019

上記した課題の一つ目を解決するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明は、レーザビームの二次元プロファイルを測定するレーザビームプロファイル測定装置であって、レーザ光が入射する入射面と前記レーザ光が出射する出射面とを有する、板状またはブロック状の蛍光発生素子と、前記蛍光発生素子内で発生し前記出射面から出射する蛍光を、前記レーザ光から分離する光分離素子と、前記蛍光を受けるイメージ素子と、を含み、前記板状またはブロック状の蛍光発生素子は、当該蛍光発生素子の前記入射面及び前記出射面と斜め方向に交わる、閉じられた傾斜面を有する。

0020

本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記蛍光発生素子は、少なくとも前記蛍光が透過する支持体をさらに有し、前記支持体の一の面が、前記蛍光発生素子の前記出射面に光学的に接合されていると良い。

0021

また、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記閉じられた傾斜面は、前記入射面を上底下底とし前記出射面を下底/上底とする円錐台または角錐台の側面を成すと良い。

0022

さらに、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記閉じられた傾斜面は、前記蛍光発生素子の厚みを超えて前記支持体に達する溝により形成されていると良い。

0023

また、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記蛍光発生素子の前記閉じられた傾斜面が前記入射面及び前記出射面と交わる角度をθ、前記蛍光発生素子の入射面の幅をa、厚みをbとするとき、角度θが以下の関係を満たすと良い。
tan2θ≧2b/a
ただし、角度θの単位はradである。

0024

さらに、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記蛍光発生素子の前記閉じられた傾斜面が前記入射面及び前記出射面と交わる角度をθ、前記蛍光発生素子の入射面の幅をa、厚みをb(ただし、b≪aである)とするとき、角度θが以下の関係を満たすと良い。
θ≧b/a
ただし、角度θの単位はradである。

0025

また、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記イメージ素子に向かう光の一部を受ける受光素子と、光シャッターと、開閉制御部とをさらに含み、前記開閉制御部は、前記受光素子が受ける光の強度が所定のしきい値より小さいときに前記光シャッターが開くよう、前記光シャッターの動作を制御すると良い。

0026

さらに、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記蛍光発生素子は、Ndを原子組成百分率で2%(2at.%)以上含有する、Nd:YAG蛍光板であると良い。

0027

また、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記蛍光発生素子は、Cr4+イオンが添加された、Cr,Yb:YAG蛍光板であると良い。

0028

さらに、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、前記蛍光発生素子は、Nd:YAG蛍光板とYb:YAG蛍光板との重ね合わせを含むと良い。

0029

本発明によるレーザビームプロファイル測定装置に好適に使用される、板状またはブロック状の蛍光発生素子は、当該蛍光発生素子の入射面及び出射面と斜め方向に交わる、閉じられた傾斜面を有する。ここで、閉じられた傾斜面は、例えば円錐台の側面のように環状に閉じた傾斜曲面と、例えば角錐台の側面のように、環状に閉じた、複数の傾斜する平面の組み合わせを含む。

0030

図1及び図2を参照して、本発明において、板状またはブロック状の蛍光発生素子が、当該蛍光発生素子の入射面及び出射面と斜め方向に交わる、閉じられた傾斜面を有することの技術的意義を説明すると次の通りである。なお、図1及び図2は、板状の蛍光発生素子として蛍光板を用いた例を示し、図2は、図1に示す蛍光板の出射面に支持体を接合している点で違いがあるが、これらの詳細は、図3以降の図面を参照して後述する。

0031

既に述べたように、本発明者は、蛍光像の欠けが生じる原因が、蛍光板11の側面の間で起こる共振であることを突き止めた。この蛍光による共振を避けるためには、レーザ光を吸収した励起領域から発生した蛍光が、蛍光板11の側面で反射しても、再び励起領域に戻らなければ良い。通常、蛍光板11の入射面11aの中心付近に最も強いレーザ光が入射するので、蛍光板11の中心Aで発生した蛍光の光路について考えると、蛍光は360°あらゆる方向に放射されるが、そのうち図中の破線に示すように中心Aから蛍光板11の入射面11aに沿って進む蛍光は、側面上のBで反射されるが、その時側面が入射面11aに垂直な面に対しθだけ傾いていたとすると、蛍光は図中に示すように2θの角度で蛍光板11内に反射される。この蛍光がちょうど蛍光板11の中央の励起領域の相対する右端C(図示のとおり、右端Cは出射面11bの中心付近に位置する)に達する角度は、蛍光板11の入射面11aの幅(円形の場合外径)をa、蛍光板11の厚みをbとすると、幾何学的に、
tan2θ=2b/a (1)
と求められる。ただし、角度θの単位はradである。

0032

さらに蛍光板11の厚みbが、入射面11aの幅に比べ十分薄い場合には、近似的に、
θ=b/a (2)
と表わされる。ただし、角度θの単位はradである。

0033

蛍光板11の側面以外での蛍光の反射を無視すれば、上記(1)式または(2)式により求められる角度よりも側面の傾きが大きければ、蛍光板11の中心部Aから発生した蛍光はその発生位置や進行方向によらず、側面で反射されて再び中心部Aに戻ることはない。従って、蛍光板11の側面を、この角度θまたはそれより大きい角度の傾斜面11cとすれば共振を防止することができる。例えば、蛍光板11の入射面11aの幅が5mm、厚みが1mmの場合には、(1)式より、θは約11°と求められる。また、蛍光板11の入射面11aの幅が10mm、厚みが0.1mmの場合には、(1)式あるいは(2)式より、θは約0.57°と求められる。ただし、上記したθの算出例は、円形の蛍光板についての一例であり、本発明の課題解決に不可欠の特徴ではない。

0034

要するに、板状またはブロック状の蛍光発生素子内で発生した蛍光がその側面で反射しても、蛍光発生素子内を通過して、入射面と相対する出射面に達しないことにより、共振(発振)による蛍光像の欠けを防止することが、本発明の本質的作用である。よって、傾斜面を形成する方法はいかなる方法によっても良く、例えば、蛍光発生素子の側面を研磨エッチングにより形成しても良く、蛍光発生素子の厚みを超えて支持体に達する溝により形成しても良い。

0035

次に、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、蛍光発生素子がNd:YAG蛍光板である場合において、Ndを原子組成百分率で2%(2at.%)以上含有することの意義について説明する。

0036

Nd:YAGにおいては、濃度消光と呼ばれ、媒質中のNdの添加量を高くするにつれNd同士の相互作用により、励起されたNd3+イオンから発生する蛍光の寿命が急激に低下することが知られている。例えば、Ndの添加濃度が原子組成百分率で1%(1at.%)では蛍光寿命は260μsであるが、濃度2at.%に上げると218μs、4at.%では半分以下の125μs、8at.%では約1/5の59μsに低下する(Optics Express Vol.14, No.9 pp.3893-3905 (2006))。一方、Nd3+イオンがレーザ光を吸収する際に吸収が飽和する(吸収係数が半分になる)目安となる吸収飽和強度Ipsは、次式により表される。

式1

0037

ここでhはプランク定数(6.62×10−34J・s)、

式2

0038

はレーザ光の周波数

式3

0039

吸収断面積(808〜810nmの平均値で5×10−20cm2)、τは蛍光寿命である。

0040

吸収断面積はNd濃度にあまり依存しないことが分かっており、したがって(3)式より、吸収飽和強度は蛍光寿命τにより左右されることが分かる。この(3)式よりNdの添加濃度1at.%での蛍光寿命260μsでは、吸収飽和強度は19kW/cm2と計算されるが、Nd濃度を2at.%に上げると22kW/cm2、Nd濃度を4at.%に上げると2倍以上の39kW/cm2に、さらに添加濃度を8at.%に上げると、83kW/cm2まで増加する。Ipsが増加すれば高いレーザ光の入射光強度においても吸収が飽和せず、入射したレーザビームプロファイル強度に比例した蛍光強度分布が得られ、高い測定精度が維持できる。ここで、Nd濃度2at.%以上のNd:YAGは蛍光寿命が短くなるため、通常レーザ媒質としては性能が劣化するため、使われることはない。しかしながら、本発明を適用するビームプロファイル測定装置においては、レーザ発振を利用するものではなく蛍光体として利用するため、蛍光寿命のより短い、高いNd濃度のNd:YAGは、高強度のレーザ光に対しても蛍光発生の線形性が高く有用である。また、高濃度で吸収が良いため、蛍光板の厚みをより薄くしても十分な蛍光を発生させることができ、装置のレーザ光軸方向の分解能をより向上させることができる。このような用途、機能を実現するために高いNd濃度のNd:YAGを利用した装置は過去に例がなく、この点に本発明の実施形態の一つとして独自性があると考えられる。

0041

次に、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、蛍光発生素子が、Cr4+イオンが添加された、Cr,Yb:YAG蛍光板であることの技術的意義について説明する。

0042

Yb:YAGにCr4+イオンを添加するとYb3+イオンからCr4+にエネルギー遷移し、蛍光寿命が低下することが知られている。例えば、Yb濃度が10at.%のYb:YAGにCr4+イオンを0.025at.%添加すると蛍光寿命は951μsから584μsまで低下する(Journal of Luminescence Vol.104, Issue 1-2, pp.151-158 (2003))。さらにCr4+イオンを0.1at.%添加すると360μsまで約1/3に低下する。一方、Cr,Yb:YAG吸収断面積はCr4+イオンの添加でほとんど変化なく、940nmにおいて0.7〜0.8×10−20cm2であるため、上記(3)式より吸収飽和強度を計算すると、Cr4+イオンを添加しない場合28kW/cm2であり、0.025at.%添加時に45kW/cm2、0.1at.%添加時には73kW/cm2と約3倍に改善することができる。Cr,Yb:YAGは一般に受動Qスイッチレーザの媒質として使用されているが、レーザ媒質として用いるのではなく蛍光板として用い、Yb:YAGの蛍光寿命を下げる目的でCr4+イオンを添加する点は過去に例がなく、この点に本発明の実施形態の一つとしての独自性があると考えられる。

0043

次に、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、蛍光発生素子が、Nd:YAG蛍光板とYb:YAG蛍光板との重ね合わせを含むことの技術的意義について説明する。Nd:YAGの代表的な吸収波長である808nm、885nmだけでなく、Yb:YAGの吸収波長である940nm、970nm帯のレーザ光も吸収され、それぞれからほぼ同じ1050nm近傍の蛍光が出るため、1つの装置により4つの波長のビームプロファイルが観測できる。ここで、重ね合わせるNd:YAG蛍光板とYb:YAG蛍光板の厚さをそれぞれ薄くすることで、測定の上ではほぼ一体の薄い蛍光板とみなすことができる。

発明の効果

0044

本発明に係るレーザビームプロファイル測定装置は、板状またはブロック状の蛍光発生素子が、当該蛍光発生素子の入射面及び出射面と斜め方向に交わる、閉じられた傾斜面を有するので、蛍光像の欠けが発生するのを有効に防止して、高出力レーザのビームプロファイルを高精度に測定することが可能となる。

0045

本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、レーザビームプロファイル測定装置は、イメージ素子に向かう光の一部を受ける受光素子と、光シャッターと、開閉制御部とをさらに含み、開閉制御部は、受光素子が受ける光の強度が所定のしきい値より小さいときに光シャッターが開くよう、光シャッターの動作を制御するよう構成されているので、蛍光の波長に近い波長のレーザを入射させた場合に、イメージ素子が焼損することを未然に防ぐことが可能となる。

0046

さらに、本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、蛍光発生素子が、Ndを原子組成百分率で2%(2at.%)以上含有する、Nd:YAG蛍光板である、あるいは、蛍光発生素子が、Cr4+イオンが添加された、Cr,Yb:YAG蛍光板であると、レーザ光の入射光強度が高いときにおいても吸収を飽和させず、入射したレーザビームプロファイル強度に比例した蛍光強度分布を得て、高い測定精度を維持することが可能となる。

0047

本発明の好ましい実施形態の一つにおいて、蛍光発生素子は、Nd:YAG蛍光板とYb:YAG蛍光板との重ね合わせを含むと、蛍光媒体であるNd:YAGが吸収しない波長の光のビームプロファイルをも同時に測定することが可能となる。

0048

上記した本発明の目的及び利点並びに他の目的及び利点は、以下の実施の形態の説明を通じてより明確に理解される。もっとも、以下に記述する実施の形態は例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。

図面の簡単な説明

0049

本発明に好適に使用される蛍光発生素子の一例の動作原理を説明する模式図である。
本発明に好適に使用される蛍光発生素子のもう一つの例の動作原理を説明する模式図である。
本発明に好適に使用される蛍光発生素子の一例を示す模式図である。
本発明に好適に使用される蛍光発生素子のもう一つの例を示す模式図である。
本発明に好適に使用される蛍光発生素子のさらにもう一つの例を示す模式図である。
本発明に好適に使用される蛍光発生素子のさらにもう一つの例を示す模式図である。
本発明を適用したレーザビームプロファイル測定装置の光学系の一例を示す模式図である。
本発明を適用したレーザビームプロファイル測定装置の光学系のもう1つの例を示す模式図である。
本発明を適用したレーザビームプロファイル測定装置の光学系のさらにもう1つの例を示す模式図である。
本発明を適用したレーザビームプロファイル測定装置の光学系のさらにもう1つの例を示す模式図である。
本発明を適用したレーザビームプロファイル測定装置の光学系のさらにもう1つの例を示す模式図である。
本発明に好適に使用される蛍光発生素子のさらにもう一つの例を示す模式図である。
本発明に好適に使用される蛍光発生素子のさらにもう一つの例を示す模式図である。
従来のレーザビームプロファイル測定装置に搭載される蛍光発生素子の一例を示す模式図である。
従来の蛍光発生素子における蛍光の側面反射を説明する模式図である。
蛍光像に生じる問題の様子を説明する図である。

実施例

0050

以下、発明に係るレーザビームプロファイル測定装置の好ましい実施の形態を、本発明に好適に使用される蛍光発生素子の複数の例、及びレーザビームプロファイル測定装置の複数の例に言及しながら、図面に基づいて詳細に説明する。

0051

図3は、本発明によるレーザビームプロファイル測定装置に好適に使用される蛍光発生素子の一例を示す。蛍光発生素子10において、蛍光板11の材質はNd:YAG単結晶で、厚みは1mm、外周は5mm角、Nd添加濃度は0.3at.%とした。相対する外周側面(傾斜面11c)には、(1)式よりθを計算して入射面11aに垂直な面に対し11°の傾斜を設けた。側面の傾斜は、切削等の機械加工溶剤によるエッチング加工で施して良い。入射面11a及び出射面11b表面には、レーザビーム12及び蛍光発生領域14で発生した蛍光13が反射しないように800nmから1100nmに亘る広帯域反射防止のための誘電体膜を形成した。測定装置内では、この側面外側インジウムを挟み、アルミニウム製のホルダに固定した。

0052

図4は、本発明によるレーザビームプロファイル測定装置に好適に使用される蛍光発生素子の、より好ましい他の例を示す。蛍光発生素子20において、円形の蛍光板21の材質はNd:YAGセラミックでNd濃度は0.7at.%、厚みは0.1mmである。支持体26の材質は、Ndを含まないYAGセラミックで、厚み(奥行き)は2mmである。蛍光板21の出射面21bと支持体26の一の面は、低温融着法により接着剤を使わず接合した。後述する傾斜面加工を施す前の蛍光板21及び支持体26の外形円筒形で、直径は10mmである。本発明による課題の解決手段として、図示のように蛍光板21の露出している円形の側面周囲(傾斜面21c)には、(1)式あるいは(2)式よりθを計算し、入射面21aに垂直な面に対し0.6°の傾斜を設けた。蛍光板21の入射面21aの表面、及び蛍光板21の出射面21bと接する支持体26の一の面の反対側の他の面の表面には、レーザビーム22及び蛍光発生領域24で発生した蛍光23が反射しないように800nmから1100nmに亘る広帯域の反射防止のための誘電体膜を形成した。図3の例と比べ、蛍光板21の後方に密着して支持体26を設けることで、蛍光板21を薄くしても装置内での蛍光発生素子20の保持が容易になり、しかも蛍光板21で発生する熱を支持体26で吸収し、その広い側面から高効率に放熱できるため高出力のレーザビームを蛍光板21に照射しても、熱で変形したり破壊されたりすることが少ない。支持体26に同じYAGを用いることで、接合した両境界での屈折率の差を小さくして光の反射を防ぐとともに、発熱時の熱膨張歪を抑えることができる。測定装置内では、この側面外側にインジウムを挟み、アルミニウム製のホルダに固定した。

0053

図5は、本発明によるレーザビームプロファイル測定装置に好適に使用される蛍光発生素子の、より好ましいさらなる他の例を示す。蛍光発生素子30において、円形の蛍光板31の材質はNd:YAGセラミックでNd濃度は0.7at.%、厚みは0.1mmである。支持体36の材質は、Ndを含まないYAGセラミックで、厚み(奥行き)は2mmである。蛍光板31の出射面31bと支持体36の一の面は、低温融着法により接着剤を使わず接合した。後述する傾斜面加工を施す前の蛍光板31及び支持体36の外形は円筒形で、直径は10mmである。本発明による課題の解決手段として、図示のように蛍光板31の露出している円形の側面周囲(傾斜面31c)には、入射面31aに垂直な面に対し0.6°の傾斜を設けた。蛍光板31の入射面31aの表面、及び蛍光板31の出射面31bと接する支持体36の一の面の反対側の他の面の表面には、レーザビーム32及び蛍光発生領域34で発生した蛍光33が反射しないように800nmから1100nmに亘る広帯域の反射防止のための誘電体膜を形成した。図4の例と比べ、傾斜面31cの傾斜の方向が逆である。この方向に傾斜を付けることで、傾斜面31cで反射した蛍光33が入射面31aの方向に排出され、出射面31b方向のイメージ素子に蛍光の迷光侵入することがないため、測定のS/Nを向上させることができる。測定装置内では、この側面外側にインジウムを挟み、アルミニウム製のホルダに固定した。

0054

図6は、本発明によるレーザビームプロファイル測定装置に好適に使用される蛍光発生素子の、より好ましいさらなる他の例を示す。蛍光発生素子40において、円形の蛍光板41の材質はNd:YAGセラミックでNd濃度は0.7at.%、厚みは0.1mmである。支持体46の材質はNdを含まないYAGセラミックで、厚み(奥行き)は2mmである。蛍光板41の出射面41bと支持体46の一の面は、低温融着法により接着剤を使わず接合した。後述する傾斜面加工を施す前の蛍光板41及び支持体46の外形は円筒形で、直径は10mmである。蛍光板41の中央からφ8mmの形状で、切削加工により支持体まで至るV溝47を設けた。溝内の蛍光板41の側面周囲は、溝を設けたφ8mmが実効的な側面と考え、(1)式あるいは(2)式よりθを計算し、入射面41aに垂直な面に対し0.8°の傾斜を設けた。蛍光板41のNd添加濃度は0.5at.%とした。図3から図5の例に比べ、1つ1つの蛍光発生素子の傾斜加工が不要で、切削装置レーザ加工機で並べて複数個加工できるので量産性に優れる。蛍光板41の入射面41aの表面、及び蛍光板41の出射面41bと接する支持体46の一の面の反対側の他の面の表面には、レーザビーム42及び蛍光発生領域44で発生した蛍光が反射しないように800nmから1100nmに亘る広帯域の反射防止のための誘電体膜を形成した。測定装置内では、この側面外側にインジウムを挟み、アルミニウム製のホルダに固定した。

0055

なお、以上の蛍光発生素子の例において、蛍光板側面外周(傾斜面)の角度は(1)式あるいは(2)式にて計算されるθ以上であれば良い。蛍光板及び支持体の外形も四角や円に限定されるものではなく、それ以外の形状であっても良い。蛍光板のNd添加濃度は、上記例の0.3at.%や0.7at.%に限るものではない。例えば測定したいレーザビームのパワーが弱ければ、吸収の良いもっと高いNd濃度を、ビームが強ければ発熱の少ないもっと低いNd濃度を選定することが望ましい。図3から図5の例において、傾斜を付ける側面は、図のように対向する両側面に設けることが望ましいが、片面だけでも共振抑制効果が得られるので、片面だけ傾斜を付けても良い。図6の例において、溝は切削等の機械加工で形成しても良く、溶剤によるエッチングや超短パルス光を用いたレーザ加工で形成しても良い。

0056

図7は、本発明によるレーザビームプロファイル測定装置の好ましい一例として、図4に示すのと同様の蛍光発生素子を用いたレーザビームプロファイル測定装置の光学系の構成を示す。本例のレーザビームプロファイル測定装置500において、45度ミラー505(光分離素子に相当する)には波長900nm以下の光を全反射反射率>99.7%)、1μmの光を透過(反射率<5%)する誘電体膜が形成されている。プロファイルを測定したい波長808nmのレーザビーム503は蛍光板501、支持体502を透過し、45度ミラー505にて反射され、装置外に排出される。レーザ光の一部は蛍光板501のNd:YAGに吸収され、波長1μmを中心とする蛍光を発生するが、そのうちの1064nmの蛍光504は45度ミラー505を透過して、対物レンズ506、バンドパスフィルタ508、結像レンズ509を透過後、CMOSイメージセンサ510に到達する。この例では2枚の凸レンズ(対物レンズ506、結像レンズ509)で蛍光板501上の蛍光強度イメージがCMOSイメージセンサ510上に結像される光学系が形成される。2枚の凸レンズの焦点距離は共に40mmで、1064nmにおいて無反射コートがなされている。対物レンズ506の焦点位置にNd:YAG蛍光板501、結像レンズ509の焦点位置にCMOSイメージセンサ510が位置しており、この構成で蛍光板501の蛍光イメージは1:1でCMOSイメージセンサ510に結像される。減光フィルタ507でCMOSイメージセンサ510が飽和しないように蛍光を減衰させ、バンドパスフィルタ508は1064nm以外の光が透過しない仕様透過波長幅は2nmである。

0057

図8は、本発明によるレーザビームプロファイル測定装置のより好ましい他の例として、図4に示すのと同様の蛍光発生素子を用いたレーザビームプロファイル測定装置の光学系の構成を示す。本例のレーザビームプロファイル測定装置600において、レーザビームと蛍光を分離する光分離素子に45度プリズム605を用いている。45度プリズム605内の45度傾いた面には900nm以下の光を全反射(反射率>99.7%)、1μmの光を透過(反射率<5%)する誘電体膜が形成されている。凸レンズその他の光学素子及びイメージセンサの仕様は図7に示す光学素子と同じである。図7平板の45度ミラーの代わりに、プリズムを用いることで、蛍光が45度ミラーを透過する際に生じる空間的な収差を小さくできるので結像イメージがより鮮明になり、測定精度が高いという利点がある。

0058

図9は、本発明によるレーザビームプロファイル測定装置のより好ましいさらなる他の例として、図4に示すのと同様の蛍光発生素子を用いたレーザビームプロファイル測定装置の光学系の構成を示す。本例のレーザビームプロファイル測定装置700において、45度ミラー705には波長1μm以上の光を全反射(反射率>99.7%)、900nm以下の光を透過(反射率<0.5%)する誘電体膜が形成されている。プロファイルを測定したい波長808nmのレーザビーム703は蛍光板701、支持体702を透過し、さらに45度ミラー705も透過して、装置外に排出される。一方、蛍光板で発生した蛍光は45度ミラー705で反射されて、対物レンズ706、バンドパスフィルタ708、結像レンズ709を透過し、CMOSイメージセンサ710に到達する。この例では2枚の凸レンズ(対物レンズ706、結像レンズ709)で蛍光板701上の蛍光強度イメージがCMOSイメージセンサ710上に結像される光学系が形成される。2枚の凸レンズの焦点距離は共に60mmで、1064nmにおいて無反射コートがなされている。対物レンズ706の焦点位置にNd:YAG蛍光板701、結像レンズ709の焦点位置にCMOSイメージセンサ710が位置しており、この構成で蛍光板701の蛍光イメージは1:1でCOMSイメージセンサ710に結像される。減光フィルタ707でCMOSイメージセンサ710が飽和しないように蛍光を減衰させ、バンドパスフィルタ708は1064nm以外の光が透過しない仕様で透過波長幅は2nmである。この例では、図7及び図8とは逆に、レーザ光は蛍光板を透過した後45度ミラーをまっすぐ透過し、発生した蛍光は同じ45度ミラーで45度の角度で反射されて、CMOSイメージセンサ710に結像される。レーザ光と蛍光の分離で蛍光の反射光を用いることで、図7で45度ミラーを透過する際に発生した収差がなくなり、結像イメージがより鮮明になり精度がより高いという利点がある。

0059

図10は、本発明によるレーザビームプロファイル測定装置のより好ましいさらなる他の例として、図4に示すのと同様の蛍光発生素子を用いたレーザビームプロファイル測定装置の光学系の構成を示す。本例のレーザビームプロファイル測定装置800において、45度ミラー805には波長900nm以下の光を全反射(反射率>99.7%)、1μmの光を透過(反射率<0.5%)する誘電体膜が形成されている。プロファイルを測定したい波長808nmのレーザビーム803は蛍光板801、支持体802を透過し、45度ミラー805にて反射され、装置外に排出される。レーザ光の一部は蛍光板801のNd:YAGに吸収され、波長1μmを中心とする蛍光を発生するが、そのうちの1064nmの蛍光804は45度ミラー805を透過して、対物レンズ806、バンドパスフィルタ808、結像レンズ809を透過する。本例では結像レンズ809の後にさらに第2の45度ミラー811を加えて第1の45度ミラー805で分離、透過した蛍光804を含む透過光の約半分を45度の角度で反射させて、フォトディテクタ812(受光素子に相当する)で光量を検出すると同時に、第2の45度ミラー811を透過した残りの光は光シャッター813を透過後CMOSイメージセンサ810で蛍光像を観測する構成になっている。この第2の45度ミラー811には波長800nmから1100nmに亘り反射率が約50%になるような誘電体多層膜が形成されている。図示のように、CMOSイメージセンサの手前には機械式の光シャッター813が挿入されている。この光シャッター813において、シャッタースタンバイ状態では閉じており、フォトディテクタ812で検出される光量があるしきい値以下の場合にのみ、測定状態でシャッターが開くよう、開閉制御部814による制御がなされている。この図の構成により波長の不明なレーザ光あるいは波長が蛍光に近いレーザ光を誤って入射させた場合でも、事前にフォトディテクタ812でCMOSイメージセンサ810への光量が分かり、それがCMOSイメージセンサ810の許容光量よりも高ければシャッターは閉じたままなので、高価なCMOSイメージセンサ810を焼損させることがない。

0060

図11は、本発明によるレーザビームプロファイル測定装置のより好ましいさらなる他の例として、図4に示すのと同様の蛍光発生素子を用いたレーザビームプロファイル測定装置の光学系の構成を示す。本例のレーザビームプロファイル測定装置900において、45度ミラー905には波長1μm以上の光を全反射(反射率>99.7%)、900nm以下の光を透過(反射率<0.5%)する誘電体膜が形成されている。プロファイルを測定したい波長808nmのレーザビーム903は蛍光板901、支持体902を透過し、さらに45度ミラー905も透過して、装置外に排出される。一方、蛍光板901で発生した蛍光904は45度ミラー905で45度に反射されて、対物レンズ906、バンドパスフィルタ908、結像レンズ909を透過する。本例では結像レンズ909の後にさらに第2の45度ミラー911を加えて第1のミラー905で分離、透過した蛍光904を含む透過光の約半分を45度の角度で反射させる。透過した光の光量をフォトディテクタ912で検出すると同時に、第2の45度ミラー911を反射した光は光シャッター913を透過後CMOSイメージセンサ910で蛍光像を観測する構成になっている。この第2の45度ミラー911には波長800nmから1100nmに亘り反射率が約50%になるような誘電体多層膜が形成されている。CMOSイメージセンサ910の手前には機械式の光シャッター913が挿入されている。この光シャッター913において、シャッターはスタンバイ状態では閉じており、フォトディテクタ912で検出される光量があるしきい値以下の場合にのみ、測定状態でシャッターが開くよう、開閉制御部914による制御がなされている。この図の構成により波長の不明なレーザ光あるいは波長が蛍光に近いレーザ光を誤って入射させた場合でも、事前にフォトディテクタ912でCMOSイメージセンサ910への光量が分かり、それがCMOSイメージセンサ910の許容光量よりも高ければシャッターは閉じたままなので、高価なCMOSイメージセンサを焼損させることがない。図9の例の構成においては、第1の45度ミラー705で入射したレーザビーム703の反射を完全にゼロにすることは実際のミラーの製作上難しいので、図7及び図8の例の構成に比べ、入射したレーザ光が迷光として、CMOSイメージセンサ側に漏れる光量が多くなり、CMOSイメージセンサを焼損させる可能性がある。そこで、本例によるフォトディテクタ、光シャッター及び開閉制御部が提供するシャッター機能が、CMOSイメージセンサの破損防止の観点からより重要になる。

0061

図12は、本発明によるレーザビームプロファイル測定装置に好適に使用される蛍光発生素子の、より好ましいさらなる他の例を示す。蛍光発生素子100において、蛍光板101の材質はNd:YAGでNd添加濃度は8at.%、厚みは0.05mm、支持体106の材質はNdを含まないYAGセラミックで、厚み(奥行き)は2mmである。蛍光板101の出射面101bと支持体106の一の面は、低温融着法により接着剤を使わず接合した。傾斜面加工を施す前の蛍光板101及び支持体106の外形は円筒形で、直径は10mmである。Nd濃度を上げたため吸収係数が高くなり、蛍光板101を薄くしても十分な光量の蛍光が発生できる。このように蛍光板101を薄くすることにより、入射ビームの光軸方向(Z方向)の分解能が向上するとともに、発熱も減るため排熱性能も改善する。本発明による課題の解決手段として、図示のように蛍光板101の露出している円形の側面周囲(傾斜面101c)には、(1)式あるいは(2)式よりθを計算し、入射面に垂直な面に対し0.3°の傾斜を設けた。蛍光板101の入射面101aの表面、及び蛍光板101の出射面101bと接する支持体106の一の面の反対側の他の面の表面には、レーザ光及び発生した蛍光が反射しないように800nmから1100nmに亘る広帯域の反射防止のための誘電体膜を形成した。この構成により、波長808nm、100Wを超えるレーザビームを入射、集光しても飽和のない精度の高いビームプロファイルが測定できる。

0062

なお、レーザビームプロファイル測定装置に搭載する蛍光発生素子のさらに別の構成として、図12に示す蛍光板101の媒質として、Cr4+イオンが添加された、Cr,Yb:YAGを用いても良く、これにより図12に示す例と同様の効果を得ることができる。

0063

図13は、本発明によるレーザビームプロファイル測定装置に好適に使用される蛍光発生素子の、より好ましいさらなる他の例を示す。蛍光発生素子200において、蛍光板211aの材質はYb:YAG(Yb:10at.%)セラミック、蛍光板211bの材質はNd:YAG(Nd:4at.%)セラミックで、厚みは共に0.05mm、支持体206の材質はNdを含まないYAGセラミックで、厚み(奥行き)は2mmである。2枚の蛍光板211a、211bの対向する面同士、蛍光板211bの出射面201bと支持体206の一の面は、低温融着法により接着剤を使わず接合した。2枚の蛍光板211a、211bを重ね合わせた(傾斜面加工を施す前の)蛍光板201及び支持体206の外形は円筒形で直径は10mmである。本発明による課題の解決手段として、図示のように蛍光板201の露出している円形の側面周囲(傾斜面201c)には、(1)式あるいは(2)式よりθを計算し、入射面に垂直な面に対し0.6°の傾斜を設けた。蛍光板201(蛍光板211a)の入射面201aの表面、及び蛍光板201(蛍光板211b)の出射面201bと接する支持体206の一の面の反対側の他の面の表面には、レーザ光及び発生した蛍光が反射しないように800nmから1100nmに亘る広帯域の反射防止のための誘電体膜を形成した。Nd:YAGとYb:YAGの薄膜を重ね合わせて蛍光板201として用いることにより、Nd:YAGの代表的な吸収波長である808nm、885nmだけでなく、Yb:YAGの代表的な吸収波長である940nm、970nm帯のレーザ光も吸収され、それぞれからほぼ同じ1050nm近傍の蛍光が出るため、同一の光学系により蛍光像が観測できる。Nd:YAGの薄膜とYb:YAGの薄膜の厚さを薄くすることでビームの軸方向の測定分解能が高くなり、また、発生した蛍光をイメージセンサ上に結像した場合の誤差も小さくできる。なお本例ではNd:YAGとYb:YAGを重ね合わせて蛍光板としたが、これらの蛍光媒質の重ね合わせる順番は逆にしても良い。また、これ以外の蛍光媒質の組み合わせでも良く、3種類以上の蛍光媒質を重ね合わせて、3層以上の多層の蛍光板としても良い。

0064

以上の例においては蛍光板の例としてNd:YAGやYb:YAG、Cr,Yb:YAGを媒質として挙げたが、本発明の範囲は、蛍光板の材質としてこれに限定されるものではなく、この他に785nmや1.5μm近傍の光を吸収して1.6μmや2.9μmの蛍光を発するEr:YAGでも良く、780nm、785nmの光を吸収して2.01μmの蛍光を発するTm:YAGでも良く、1.9μm近傍の光を吸収して、2.01μmの蛍光を発するHo:YAGでも良く、780nm近傍の光を吸収して、2.08μmの蛍光を発するCr,Tm,Ho:YAGでも良く、350nm、450nm近傍の光を吸収して550nmの蛍光を発するCe:YAGでも良い。また、可視光領域を吸収して1μmの蛍光を発するCr3+イオンを添加したCr,Nd:YAGでも良い。以上記述した吸収波長や蛍光の波長は代表的な例であって、その媒質固有吸収波長帯蛍光波長の中から、個々の目的、仕様に応じて選択すれば良い。検出する蛍光波長も必ずしもその媒質の蛍光ピーク波長に設定する必要はなく、蛍光ピーク波長に近い波長のレーザ光の迷光を避けるために、蛍光ピーク波長から離れた波長で検出するようにバンドパスフィルタを設定しても良い。また、以上の例では蛍光板、支持体の母材としてYAGを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、YAGより熱伝導の高いY2O3やLu2O3、LuAG、YAP、Sc2O3、GGG、GSGG、YSGG、YSOでも良い。また、母材の材質としては単結晶でも良いし、透光性セラミックでも良い。測定したいレーザ光の波長を吸収する媒質を選べば良い。蛍光板と支持体との接合は、透明な接着剤を用いても良いし、接着剤を用いず、合わせる面を互いに高精度に研磨して押し付け光学接着オプティカルコンタクト)でも良いが、接着強度の点では温度を上げて接着する拡散接合高温融着)や低温融着がより好ましい。蛍光板の発熱による変形を避けるためには、蛍光板と支持体は膨張係数が近い、同じ母材であることがより好ましいが、発熱が小さければ支持体には蛍光板とは別の母材、例えば蛍光板の母材がYAGで支持体が熱伝導の良いサファイアであても良い。さらに減光フィルタやバンドパスフィルタの位置について、光強度が最も低くなる対物レンズと結像レンズの間にこれらを置く構成を上記例では示したが、かかる位置とは異なる位置に配置しても良く、必要に応じてそれぞれ複数枚のフィルタを用いても良い。減光フィルタの種類や減衰率、バンドパスフィルタの透過波長、透過波長幅、透過率等は、測定したいレーザビームや蛍光板の仕様等で最適に選択されると良い。さらに、イメージ素子として用いるCMOSあるいはCCDイメージセンサとしては、その蛍光板が発する蛍光の波長で適切な感度がある、例えばSiやGe、GaAs、InGaAs、InP等の材料が選択されると良い。

0065

本発明は、レーザビームプロファイルを計測する機能を有する種々の装置に広く適用することができる。

0066

10蛍光発生素子
11蛍光板
11a入射面
11b出射面
11c 傾斜面
12レーザビーム
13 蛍光

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