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技術 ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体

出願人 出光興産株式会社
発明者 磯崎敏夫鳥居孝洋山崎康宣大久保直人
出願日 2018年3月30日 (2年10ヶ月経過) 出願番号 2019-509386
公開日 2020年2月13日 (1年0ヶ月経過) 公開番号 WO2018-181949
状態 未査定
技術分野 高分子組成物
主要キーワード 開示発明 芳香環含有基 導光部品 導光リング ランニングライト 照射性 測定波 初期色調
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年2月13日)のものです。
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図面 (1)

課題・解決手段

芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、脂環式エポキシ化合物(B)、所定の酸化防止剤(C)、並びに所定のリン化合物(D)を含有し、前記(A)成分100質量部に対し、前記(B)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、前記(C)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、及び前記(D)成分の含有量が0.01質量部以上0.05質量部以下であるポリカーボネート樹脂組成物である。

概要

背景

芳香族ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的性質熱的性質、及び電気的性質等に優れ、その特性を活かして、導光板等の導光部材や、レンズ光ファイバー等の各種光成形品に使用されている。近年、ポリカーボネート樹脂組成物を車両等のデイタイムランニングライト(Day TimeRunning LightsあるいはDaytime Running Lamps;以下「DRL」ともいう)の導光部を構成する導光部品に用いることも検討されている。DRLは厚肉構造であることから、280℃以下の低温成形されることが多い。
車両用のDRLに用いられるポリカーボネート樹脂組成物には、成形後の初期光学特性(色調)が良好であるとともに、長時間ライト照射しても色調変化が発生することなく、高温及び高温高湿環境下で長期に亘り良好な色調を維持できることが要求される。

特許文献1には、光学用途向けのアクリル系樹脂匹敵する透明性を有し、芳香族ポリカーボネート樹脂の特長である耐衝撃性耐熱性を低下させることのない成形品を得ることを目的としたポリカーボネート樹脂組成物として、芳香族ポリカーボネート樹脂及び所定の他の熱可塑性樹脂を含み、所定の光学特性を有するポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。該樹脂組成物には、熱安定性耐加水分解性を向上させることを目的として、リン系酸化防止剤官能基含有シリコーン化合物および/または脂環式エポキシ化合物を含有してもよいことが開示されている。
特許文献2には、優れた光学特性が付与されると共に、耐高温高湿性耐熱老化性、耐熱性、耐衝撃性等に優れる、車載用光半導体装置レンズ等の光学部品作製用として好適なポリカーボネート系樹脂組成物として、ポリカーボネート系樹脂、特定のアリールホスフィン、及び脂環式エポキシ化合物を所定量含む樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、300℃を超える高温成形での熱安定性に優れ、光線透過率及び輝度が良好でかつ耐湿熱試験後に変色やクラックが発生しない成形品を得ることを目的としたポリカーボネート樹脂組成物として、芳香族ポリカーボネート樹脂に特定のジホスファイト化合物及び脂環式エポキシ化合物を特定量配合した樹脂組成物が開示されている。
特許文献4には、ポリカーボネート樹脂、リン系酸化防止剤、脂肪酸エステルをそれぞれ所定量含有し、リン系酸化防止剤が特定構造を有する2種の化合物である、成形品の用途に応じて優れた特性を付与しうるポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。

概要

芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、脂環式エポキシ化合物(B)、所定の酸化防止剤(C)、並びに所定のリン化合物(D)を含有し、前記(A)成分100質量部に対し、前記(B)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、前記(C)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、及び前記(D)成分の含有量が0.01質量部以上0.05質量部以下であるポリカーボネート樹脂組成物である。

目的

特許文献1には、光学用途向けのアクリル系樹脂に匹敵する透明性を有し、芳香族ポリカーボネート樹脂の特長である耐衝撃性、耐熱性を低下させることのない成形品を得ることを目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
3件

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請求項1

芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、脂環式エポキシ化合物(B)、下記一般式(1)で示される化合物(C1)及び下記一般式(2)で示される化合物(C2)からなる群から選ばれる1種以上の酸化防止剤(C)、並びに、下記一般式(3)で示される化合物(D1)及び前記(C2)成分以外のアリールホスフィン(D2)からなる群から選ばれる1種以上のリン化合物(D)を含有し、前記(A)成分100質量部に対し、前記(B)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、前記(C)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、及び前記(D)成分の含有量が0.01質量部以上0.05質量部以下である、ポリカーボネート樹脂組成物。式(1)中、RC11〜RC16は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC16のすべてが水素原子になることはない。式(2)中、RC21〜RC25は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC25のすべてが水素原子になることはなく、RC21〜RC25のうち少なくとも2つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。式(3)中、RD11〜RD16は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RD11〜RD16のすべてが水素原子になることはない。

請求項2

前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて作製された厚さ5mmの成形体(1)の、C光源、2度視野の条件で分光光度計を用いて測定される初期YI値YI1が1.2未満である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項3

前記成形体(1)を85℃、湿度85%の環境下で1,000時間保存した後のYI値をYI2とした際のΔYI(YI2−YI1)が1.0以下であり、且つ、前記成形体(1)を140℃で1,000時間保存した後のYI値をYI3とした際のΔYI(YI3−YI1)が3.0以下である、請求項2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項4

前記(B)成分が3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項5

前記(C1)成分がビス(2,4−ジクミルフェニルペンタエリスリトールジホスファイトである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項6

前記(C2)成分がトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスファイトである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項7

前記(D1)成分がビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項8

前記(D2)成分がトリフェニルホスフィンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項9

前記(C)成分が(C1)成分であり、前記(D)成分が(D1)成分である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項10

前記(C1)成分がビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトであり、前記(D1)成分がビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである、請求項9に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項11

前記(C)成分と前記(D)成分との含有量比[(C)/(D)]が、質量比で0.2以上10以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項12

さらに脂肪酸エステル(E)を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項13

さらに紫外線吸収剤(F)を含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項14

さらにフェノール系酸化防止剤(G)を含有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

請求項15

芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、脂環式エポキシ化合物(B)、下記一般式(1)で示される化合物(C1)及び下記一般式(2)で示される化合物(C2)からなる群から選ばれる1種以上の酸化防止剤(C)、下記一般式(3)で示される化合物(D1)及び前記(C2)成分以外のアリールホスフィン(D2)からなる群から選ばれる1種以上のリン化合物(D)、並びにフェノール系酸化防止剤(G)を含有し、前記(A)成分100質量部に対し、前記(B)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、前記(C)成分の含有量が0.005質量部以上0.1質量部以下、及び前記(D)成分の含有量が0.005質量部以上0.05質量部以下である、ポリカーボネート樹脂組成物。式(1)中、RC11〜RC16は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC16のすべてが水素原子になることはない。式(2)中、RC21〜RC25は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC25のすべてが水素原子になることはなく、RC21〜RC25のうち少なくとも2つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。式(3)中、RD11〜RD16は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RD11〜RD16のすべてが水素原子になることはない。

請求項16

芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、脂環式エポキシ化合物(B)、下記一般式(1)で示される化合物(C1):(式(1)中、RC11〜RC16は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC16のすべてが水素原子になることはない。)及び下記一般式(2)で示される化合物(C2):(式(2)中、RC21〜RC25は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC25のすべてが水素原子になることはなく、RC21〜RC25のうち少なくとも2つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。)からなる群から選ばれる1種以上の酸化防止剤(C)、並びに、下記一般式(3)で示される化合物(D1):(式(3)中、RD11〜RD16は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RD11〜RD16のすべてが水素原子になることはない。)及び前記(C2)成分以外のアリールホスフィン(D2)からなる群から選ばれる1種以上のリン化合物(D)、を含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、下記方法(1)により求められる、FT−IR測定におけるピーク強度の比が9.5以下である、ポリカーボネート樹脂組成物。方法(1):前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて、50mm×90mm×厚さ5mmの平板試験片を作製する。下記LE照射条件のもと、100℃の恒温槽中で、該試験片に対しLEDを500時間照射する。LED照射後、該試験片表面のLED照射部のFT−IRを全反射法で測定する。縦軸をAbsorbance、横軸波数としたFT−IR測定チャートにおいて、波数1950cm−1におけるAbsorbanceをベースラインとした際の、波数1776cm−1のピーク強度に対する波数1686cm−1のピーク強度の比を求める。(LED照射条件)LED電力:10WLED照射強度:850lmLED照射距離:1mm

請求項17

請求項1〜16のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を含む成形体。

請求項18

導光部品である、請求項17に記載の成形体。

請求項19

車両用導光部品である、請求項18に記載の成形体。

技術分野

0001

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体に関する。

背景技術

0002

芳香族ポリカーボネート樹脂は、透明性、機械的性質熱的性質、及び電気的性質等に優れ、その特性を活かして、導光板等の導光部材や、レンズ光ファイバー等の各種光成形品に使用されている。近年、ポリカーボネート樹脂組成物を車両等のデイタイムランニングライト(Day TimeRunning LightsあるいはDaytime Running Lamps;以下「DRL」ともいう)の導光部を構成する導光部品に用いることも検討されている。DRLは厚肉構造であることから、280℃以下の低温成形されることが多い。
車両用のDRLに用いられるポリカーボネート樹脂組成物には、成形後の初期光学特性(色調)が良好であるとともに、長時間ライト照射しても色調変化が発生することなく、高温及び高温高湿環境下で長期に亘り良好な色調を維持できることが要求される。

0003

特許文献1には、光学用途向けのアクリル系樹脂匹敵する透明性を有し、芳香族ポリカーボネート樹脂の特長である耐衝撃性耐熱性を低下させることのない成形品を得ることを目的としたポリカーボネート樹脂組成物として、芳香族ポリカーボネート樹脂及び所定の他の熱可塑性樹脂を含み、所定の光学特性を有するポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。該樹脂組成物には、熱安定性耐加水分解性を向上させることを目的として、リン系酸化防止剤官能基含有シリコーン化合物および/または脂環式エポキシ化合物を含有してもよいことが開示されている。
特許文献2には、優れた光学特性が付与されると共に、耐高温高湿性耐熱老化性、耐熱性、耐衝撃性等に優れる、車載用光半導体装置レンズ等の光学部品作製用として好適なポリカーボネート系樹脂組成物として、ポリカーボネート系樹脂、特定のアリールホスフィン、及び脂環式エポキシ化合物を所定量含む樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、300℃を超える高温成形での熱安定性に優れ、光線透過率及び輝度が良好でかつ耐湿熱試験後に変色やクラックが発生しない成形品を得ることを目的としたポリカーボネート樹脂組成物として、芳香族ポリカーボネート樹脂に特定のジホスファイト化合物及び脂環式エポキシ化合物を特定量配合した樹脂組成物が開示されている。
特許文献4には、ポリカーボネート樹脂、リン系酸化防止剤、脂肪酸エステルをそれぞれ所定量含有し、リン系酸化防止剤が特定構造を有する2種の化合物である、成形品の用途に応じて優れた特性を付与しうるポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。

先行技術

0004

特開2002−60609号公報
特開2005−112963号公報
特許第5938419号公報
特許第6030814号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ポリカーボネート樹脂組成物を車両用のDRL等の導光部品に用いると、長時間ライトを照射した際に熱によって焦げが発生し、色調が低下するという問題が生じ得る。
しかしながら特許文献1に開示された樹脂組成物については、高温及び高温高湿環境下での長期耐久性は評価されていない。また特許文献1に開示された樹脂組成物はアクリル系樹脂を必須成分とするものである。
特許文献2に開示された樹脂組成物からなる成形体については、耐スチーム試験及び高温エージング性試験が行われているが、より長期の耐熱性を有するポリカーボネート樹脂組成物が望まれる。
特許文献3、4に開示された樹脂組成物については、ポリカーボネート樹脂組成物を成形時に高温条件滞留させた後に成形した成形体のYI値が評価されているが、成形後の成形体について、100℃を超える、ポリカーボネート樹脂のガラス転移点付近の温度での長期耐熱性は評価されていない。

0006

本発明が解決しようとする課題は、280℃以下の低温成形後の初期の色調が良好で、長期耐湿熱性及び長期耐熱性にも優れる成形体を製造しうるポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、芳香族ポリカーボネート樹脂に、脂環式エポキシ化合物、所定の酸化防止剤、及び所定のリン化合物をそれぞれ特定量配合した樹脂組成物により上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下のポリカーボネート樹脂組成物及び成形体に関する。
<1>芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、脂環式エポキシ化合物(B)、下記一般式(1)で示される化合物(C1)及び下記一般式(2)で示される化合物(C2)からなる群から選ばれる1種以上の酸化防止剤(C)、並びに、下記一般式(3)で示される化合物(D1)及び前記(C2)成分以外のアリールホスフィン(D2)からなる群から選ばれる1種以上のリン化合物(D)を含有し、前記(A)成分100質量部に対し、前記(B)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、前記(C)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、及び前記(D)成分の含有量が0.01質量部以上0.05質量部以下である、ポリカーボネート樹脂組成物。




式(1)中、RC11〜RC16は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC16のすべてが水素原子になることはない。




式(2)中、RC21〜RC25は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC25のすべてが水素原子になることはなく、RC21〜RC25のうち少なくとも2つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。




式(3)中、RD11〜RD16は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RD11〜RD16のすべてが水素原子になることはない。

0008

<2>前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて作製された厚さ5mmの成形体(1)の、C光源、2度視野の条件で分光光度計を用いて測定される初期YI値YI1が1.2未満である、上記<1>に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<3>前記成形体(1)を85℃、湿度85%の環境下で1,000時間保存した後のYI値をYI2とした際のΔYI(YI2−YI1)が1.0以下であり、且つ、前記成形体(1)を140℃で1,000時間保存した後のYI値をYI3とした際のΔYI(YI3−YI1)が3.0以下である、上記<2>に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<4>前記(B)成分が3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである、上記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<5>前記(C1)成分がビス(2,4−ジクミルフェニルペンタエリスリトールジホスファイトである、上記<1>〜<4>のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<6>前記(C2)成分がトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニルホスファイトである、上記<1>〜<5>のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<7>前記(D1)成分がビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである、上記<1>〜<6>のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<8>前記(D2)成分がトリフェニルホスフィンである、上記<1>〜<7>のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<9>前記(C)成分が(C1)成分であり、前記(D)成分が(D1)成分である、上記<1>〜<8>のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<10>前記(C1)成分がビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトであり、前記(D1)成分がビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである、上記<9>に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<11>前記(C)成分と前記(D)成分との含有量比[(C)/(D)]が、質量比で0.2以上10以下である、上記<1>〜<10>のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<12>さらに脂肪酸エステル(E)を含有する、上記<1>〜<11>のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<13>さらに紫外線吸収剤(F)を含有する、上記<1>〜<12>のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<14>さらにフェノール系酸化防止剤(G)を含有する、上記<1>〜<13>のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<15>芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、
脂環式エポキシ化合物(B)、
下記一般式(1)で示される化合物(C1)及び下記一般式(2)で示される化合物(C2)からなる群から選ばれる1種以上の酸化防止剤(C)、
下記一般式(3)で示される化合物(D1)及び前記(C2)成分以外のアリールホスフィン(D2)からなる群から選ばれる1種以上のリン化合物(D)、
並びにフェノール系酸化防止剤(G)を含有し、
前記(A)成分100質量部に対し、前記(B)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、前記(C)成分の含有量が0.005質量部以上0.1質量部以下、及び前記(D)成分の含有量が0.005質量部以上0.05質量部以下である、ポリカーボネート樹脂組成物。




式(1)中、RC11〜RC16は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC16のすべてが水素原子になることはない。




式(2)中、RC21〜RC25は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC25のすべてが水素原子になることはなく、RC21〜RC25のうち少なくとも2つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。




式(3)中、RD11〜RD16は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RD11〜RD16のすべてが水素原子になることはない。
<16>芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、
脂環式エポキシ化合物(B)、
下記一般式(1)で示される化合物(C1):




(式(1)中、RC11〜RC16は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC16のすべてが水素原子になることはない。)
及び下記一般式(2)で示される化合物(C2):




(式(2)中、RC21〜RC25は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC25のすべてが水素原子になることはなく、RC21〜RC25のうち少なくとも2つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。)
からなる群から選ばれる1種以上の酸化防止剤(C)、並びに、
下記一般式(3)で示される化合物(D1):




(式(3)中、RD11〜RD16は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RD11〜RD16のすべてが水素原子になることはない。)
及び前記(C2)成分以外のアリールホスフィン(D2)からなる群から選ばれる1種以上のリン化合物(D)、
を含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、
下記方法(1)により求められる、FT−IR測定におけるピーク強度の比が9.5以下である、ポリカーボネート樹脂組成物。
方法(1):
前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて、50mm×90mm×厚さ5mmの平板試験片を作製する。下記LE照射条件のもと、100℃の恒温槽中で、該試験片に対しLEDを500時間照射する。LED照射後、該試験片表面のLED照射部のFT−IRを全反射法で測定する。縦軸をAbsorbance、横軸波数としたFT−IR測定チャートにおいて、波数1950cm−1におけるAbsorbanceをベースラインとした際の、波数1776cm−1のピーク強度に対する波数1686cm−1のピーク強度の比を求める。
(LED照射条件)
LED電力:10W
LED照射強度:850lm
LED照射距離:1mm
<17>上記<1>〜<16>のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を含む成形体。
<18>導光部品である、上記<17>に記載の成形体。
<19>車両用導光部品である、上記<18>に記載の成形体。

発明の効果

0009

本発明のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体は、280℃以下の低温成形後の初期色調が良好であり、長期耐湿熱性に優れ、ポリカーボネート樹脂のガラス転移点付近の温度における長期耐熱性も良好である。当該成形体は車両用導光部品や、各種導光板として好適である。

図面の簡単な説明

0010

ポリカーボネート樹脂組成物について、方法(1)により求められる、FT−IR測定におけるピーク強度の比を説明するための参考図である。

0011

[ポリカーボネート樹脂組成物(I)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、脂環式エポキシ化合物(B)、下記一般式(1)で示される化合物(C1)及び下記一般式(2)で示される化合物(C2)からなる群から選ばれる1種以上の酸化防止剤(C)、並びに、下記一般式(3)で示される化合物(D1)及び前記(C2)成分以外のアリールホスフィン(D2)からなる群から選ばれる1種以上のリン化合物(D)を含有し、前記(A)成分100質量部に対し、前記(B)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、前記(C)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、及び前記(D)成分の含有量が0.01質量部以上0.05質量部以下である。




式(1)中、RC11〜RC16は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC16のすべてが水素原子になることはない。




式(2)中、RC21〜RC25は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC25のすべてが水素原子になることはなく、RC21〜RC25のうち少なくとも2つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。




式(3)中、RD11〜RD16は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RD11〜RD16のすべてが水素原子になることはない。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は上記構成を有することにより、280℃以下の低温成形後の初期色調が良好であり、長期耐湿熱性に優れ、ポリカーボネート樹脂のガラス転移点付近の温度における長期耐熱性も良好な成形体を製造することができる。なお本明細書において、色調の評価にはYI値を用いる。低YI値であれば初期色調が良好であり、光学特性に優れることを意味する。
当該樹脂組成物は、さらに後述する脂肪酸エステル(E)や紫外線吸収剤(F)を含有してもよい。
但し本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、以下の理由により、ポリエーテル化合物を含有しないことが好ましい。ポリエーテル化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール等の、分子内にポリオキシアルキレン構造を有する化合物が挙げられる。

0012

自動車ヘッドランプテールランプの外周等に付属され、Daytime Running LightsあるいはDaytime Running Lamps(DRL)と呼ばれる昼光ランプは、厚肉のレンズ構造導光リングである。このような厚肉構造のDRLは、280℃以下の低温で成形されることが多い。その理由は、厚肉構造のDRLは冷却時間を充分取らないと、製品面引けたり、収縮したりして歪が出てしまうため、成形サイクルを長く取る必要があることによる。成形サイクルが長くて成形温度が高いと、成形機内に残留している時間が長くなり、その結果溶融樹脂焼けるため、できるだけ成形温度を低くして滞留焼けしないようにする必要がある。
DRLには、厚肉構造のもののほかに、長尺構造のものもある。長尺構造のものも同様に、280℃以下の低温で成形されることが多い。長尺構造のDRL部品の場合は、金型が大きくなり、大型の成形機で成形せざるを得ない場合が多い。一般に大型の成形機はシリンダー径が大きく、またシリンダーの長さも長くなる。長尺構造のDRL部品の成形に必要な樹脂量は、大型の成形機での成形品としては少ないので、成形機内に滞留する時間が長くなり、成形機内での熱劣化が進行してしまう。したがって、できるだけ成形温度を低くして成形機内での熱劣化の影響を少なくする必要がある。
また、DRLのように車載用の導光部品に対しては、例えばポリカーボネート樹脂の融点付近の温度で1000時間程度の加熱を行うなど、厳しい環境下での耐熱性試験が行われる。しかしながら、例えば特許第4069364号公報,国際公開第2011/083635号、国際公開第2013/088796号に示されるようなポリエーテルポリオール類は、光学性能を上げる点では顕著な効果を示す一方、長期耐熱性が低い。したがって上記のような厳しい環境下での試験では、ポリエーテル化合物の添加のみではポリカーボネート樹脂組成物の光学性能の低下を抑制することが困難であるためである。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いる各成分について説明する。

0013

<芳香族ポリカーボネート樹脂(A)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に含有される芳香族ポリカーボネート樹脂(A)(以下「(A)成分」ともいう)は特に制限なく、公知の方法により製造したものを用いることができる。
例えば、二価フェノールカーボネート前駆体とを溶液法界面重縮合法)又は溶融法エステル交換法)により反応させて製造したもの、すなわち、末端停止剤の存在下に、二価フェノールとホスゲンとを反応させる界面重縮合法、又は末端停止剤の存在下に、二価フェノールとジフェニルカーボネート等とをエステル交換法等により反応させて製造したものを芳香族ポリカーボネート樹脂(A)として用いることができる。

0014

二価フェノールとしては様々なものを挙げることができるが、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニルプロパンビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、及びビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等を挙げることができる。この他、ハイドロキノンレゾルシン及びカテコール等を挙げることもできる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンからなる群から選ばれる1種以上のビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物が好ましく、特にビスフェノールAが好適である。

0015

カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カルボニルエステル、又はハロホルメート等であり、具体的にはホスゲン、二価フェノールのジハロホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等である。
なお、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は分岐構造を有していてもよい。分岐構造を導入するために用いられる分岐剤としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼンフロログルシントリメリット酸及び1,3−ビス(o−クレゾール)等がある。

0016

末端停止剤としては、一価カルボン酸とその誘導体や、一価のフェノールを用いることができる。例えば、p−tert−ブチル−フェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−パーフルオロノニルフェノール、p−(パーフルオロノニルフェニル)フェノール、p−(パーフルオロヘキシルフェニル)フェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、1−(p−ヒドロキシベンジル)パーフルオロデカン、p−〔2−(1H,1H−パーフルオロトリドデシルオキシ)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕フェノール、3,5−ビス(パーフルオロヘキシルオキシカルボニル)フェノール、p−ヒドロキシ安息香酸パーフルオロドデシル、p−(1H,1H−パーフルオロオクチルオキシ)フェノール、2H,2H,9H−パーフルオロノナン酸、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等を挙げることができる。

0017

芳香族ポリカーボネート樹脂(A)としては、主鎖が下記一般式(I)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂であることが好ましい。




(式中、RA1及びRA2は炭素数1以上6以下のアルキル基又はアルコキシ基であり、RA1とRA2とは同一でも異なっていてもよい。Xは単結合、炭素数1以上8以下のアルキレン基、炭素数2以上8以下のアルキリデン基、炭素数5以上15以下のシクロアルキレン基、炭素数5以上15以下のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−を示し、a及びbはそれぞれ独立に0以上4以下の整数を示す。aが2以上の場合にはRA1は同一でも異なっていてもよく、bが2以上の場合にはRA2は同一でも異なっていてもよい。)

0018

RA1及びRA2で示されるアルキル基としては、メチル基エチル基、n−プロピル基イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示し、以下、同様である。)、各種ペンチル基、各種ヘキシル基が挙げられる。RA1及びRA2で示されるアルコキシ基としては、アルキル基部位が前記アルキル基である場合が挙げられる。
RA1及びRA2は、いずれも、好ましくは炭素数1以上4以下のアルキル基又は炭素数1以上4以下のアルコキシ基である。

0019

Xで示されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基エチレン基トリメチレン基テトラメチレン基ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1以上5以下のアルキレン基が好ましい。Xで示されるアルキリデン基としては、エチリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。Xで示されるシクロアルキレン基としては、シクロペンタンジイル基シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられ、炭素数5以上10以下のシクロアルキレン基が好ましい。Xで示されるシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシリデン基、2−アダマチリデン基等が挙げられ、炭素数5以上10以下のシクロアルキリデン基が好ましく、炭素数5以上8以下のシクロアルキリデン基がより好ましい。
a及びbは、それぞれ独立に0以上4以下の整数を示し、好ましくは0以上2以下、より好ましくは0又は1である。

0020

本発明において、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)は、得られる成形体の透明性、機械的特性熱的特性等の観点から、ビスフェノールA構造を有するポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。ビスフェノールA構造を有するポリカーボネート樹脂としては、具体的には前記一般式(I)において、Xがイソプロピリデン基のものが挙げられる。芳香族ポリカーボネート樹脂(A)中のビスフェノールA構造を有するポリカーボネート樹脂の含有量は、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは75質量%以上100質量%以下、更に好ましくは85質量%以上100質量%以下である。

0021

本発明において、(A)成分の粘度平均分子量(Mv)は、流動性の観点から、好ましくは10,000以上30,000以下、より好ましくは11,000以上25,000以下である。特に、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を車両のDRL用導光部品に用いる場合には、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)のMvは13,000以上23,000以下であることが好ましく、14,000以上22,000以下であることがより好ましい。
本明細書において粘度平均分子量(Mv)とは、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10−5Mv0.83

0022

本発明のポリカーボネート樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、本発明の効果を得る観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは85質量%以上、より更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上である。また、上限は好ましくは99.9質量%以下である。

0023

<脂環式エポキシ化合物(B)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、得られる成形体の長期耐湿熱性及び長期耐熱性を共に向上させるために、脂環式エポキシ化合物(B)(以下「(B)成分」ともいう)を含有する。脂環式エポキシ化合物(B)を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形体は、高温高湿条件下及び高温条件下で長時間耐久試験を行っても黄変が少なく、良好な色調を維持することができる。さらに、例えば車両用のDRL用途において長時間LED等のライトを照射しても劣化し難く、耐LED照射性に優れる成形体が得られる。
脂環式エポキシ化合物とは、脂環式エポキシ基、すなわち脂肪族環内のエチレン結合酸素原子が付加したエポキシ基を有する環状脂肪族化合物をいい、具体的には下記式(B−1)〜(B−10)で表されるものが好適に用いられる。

0024

(式中、RはH又はCH3である。)




(式中、RはH又はCH3である。)




(式中、a+b=1又は2である。)




(式中、a+b+c+d=1以上3以下である。)




(式中、a+b+c=n(整数)であり、Rは炭化水素基である。)




(式中、nは整数である。)




(式中、Rは炭化水素基である。)




(式中、nは整数,Rは炭化水素基である。)

0025

上記脂環式エポキシ化合物の中でも、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)への相溶性に優れ、透明性を損なうことがない点で、式(B−1)、式(B−7)及び式(B−10)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、式(B−1)及び式(B−10)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、式(B−1)で表される化合物が更に好ましい。例えば、式(B−1)で表される化合物は、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート((株)ダイセル製「セロサイド2021P」)として入手することができる。また、式(B−10)で表される化合物として、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物((株)ダイセル製「EHPE3150」)として入手することができる。
また、セロキサイド2021PとEHPE3150との混合物として、(株)ダイセルから市販されている「EHPE3150CE」も好ましく用いることができる。

0026

ポリカーボネート樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し0.01質量部以上0.1質量部以下であり、好ましくは0.02質量部以上0.1質量部以下、より好ましくは0.02質量部以上0.05質量部以下である。ポリカーボネート樹脂組成物中の(B)成分の含有量が(A)成分100質量部に対し0.01質量部未満であると長期耐湿熱性及び長期耐熱性の向上効果が十分でなく、0.1質量部を超える量であると、長期耐湿熱性及び長期耐熱性の向上効果が飽和する。

0027

<酸化防止剤(C)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、下記一般式(1)で示される化合物(C1)(以下「化合物(C1)」又は「(C1)成分」ともいう)及び下記一般式(2)で示される化合物(C2)(以下「化合物(C2)」又は「(C2)成分」ともいう)からなる群から選ばれる1種以上の酸化防止剤(C)(以下「(C)成分」ともいう)を含有する。




式(1)中、RC11〜RC16は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC16のすべてが水素原子になることはない。




式(2)中、RC21〜RC25は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC25のすべてが水素原子になることはなく、RC21〜RC25のうち少なくとも2つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。

0028

上記所定の(C)成分を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形体は特に長期耐湿熱性及び長期耐熱性が良好になる。また、上記(B)成分、(C)成分、及び後述する所定のリン化合物(D)を共に含有することにより、本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形体は、低温成形後の初期色調、長期耐湿熱性、及び、ポリカーボネート樹脂のガラス転移点付近の温度における長期耐熱性がいずれも良好になる。(B)、(C)、(D)成分のいずれかを含有しないポリカーボネート樹脂組成物では、低温成形後の初期色調、長期耐湿熱性、及び長期耐熱性のすべてが良好である成形体が得られない。

0029

(化合物(C1))
化合物(C1)は下記一般式(1)で示される化合物である。




式(1)中、RC11〜RC16は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC16のすべてが水素原子になることはない。芳香環含有基の炭素数は好ましくは6以上13以下、より好ましくは6以上10以下である。芳香環としてはベンゼン環ナフタレン環フェナントレン環、アントラセン環等が挙げられ、ベンゼン環が好ましい。
炭素数6〜15の芳香環含有基としては、例えばフェニル基トリル基キシリル基ナフチル基ビフェニル基ベンジル基フェネチル基、フェニルプロピル基、クミル基等が挙げられる。これらの基は、さらに水酸基アミノ基等の置換基を有してもよい。

0030

中でも、炭素数6以上15以下の芳香環含有基は下記一般式(1a)で表される基が好ましい。




式(1a)中、RC17、RC18はアルキル基又はアルケニル基であり、同一であっても異なっていてもよい。あるいは、RC17とRC18は、互いに結合して環を形成してもよい。RC17、RC18は、好ましくは炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数2以上5以下のアルケニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。
式(1a)中、RC19は水素原子又はアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基、更に好ましくは水素原子である。mは0以上5以下の整数である。mが2以上である場合、複数のRC19は同一でも異なっていてもよい。
式(1a)中、Zは単結合又は炭素原子を示す。Zが単結合である場合、RC17、RC18は一般式(1a)から除外される。
化合物(C1)が一般式(1a)で表される基を2以上有する場合、複数の当該基は互いに同一でも異なっていてもよい。

0031

本発明の効果を得る観点から、化合物(C1)は、式(1)中、RC11及びRC14が水素原子であり、RC12〜RC13、RC15〜RC16が炭素数6以上15以下の芳香環含有基であることが好ましく、RC11及びRC14が水素原子であり、RC12〜RC13、RC15〜RC16が前記一般式(1a)で表される基であることがより好ましい。
すなわち本発明に用いられる(C1)成分は、好ましくは下記一般式(C1−1)で表されるペンタエリスリトールジホスファイト化合物である。




式中、RC17a〜RC17d、RC18a〜RC18dはアルキル基又はアルケニル基であり、同一であっても異なっていてもよい。あるいは、RC17aとRC18a、RC17bとRC18b、RC17cとRC18c、RC17dとRC18dは、互いに結合して環を形成してもよい。
RC19a〜RC19dは水素原子又はアルキル基であり、同一でも異なっていてもよい。
m1〜m4は0以上5以下の整数であり、同一であっても異なっていてもよい。m1〜m4が2以上である場合、複数のRC19a、RC19b、RC19c、RC19dは同一でも異なっていてもよい。
Z1〜Z4は単結合又は炭素原子を示し、同一でも異なっていてもよい。Z1〜Z4が単結合を示す場合、RC17a〜RC17d、RC18a〜RC18dは一般式(C1−1)から除外される。

0032

一般式(C1−1)中、RC17a〜RC17d、RC18a〜RC18dは、好ましくは炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数2以上5以下のアルケニル基であり、より好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。RC17a〜RC17d及びRC18a〜RC18dのすべてがメチル基であることがより更に好ましい。
RC19a〜RC19dは、好ましくは水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基、より好ましくは水素原子又は炭素数1以上3以下のアルキル基、更に好ましくは水素原子であり、RC19a〜RC19dのすべてが水素原子であることがより更に好ましい。
m1〜m4は、0以上3以下が好ましく、より好ましくは0以上1以下であり、更に好ましくは0である。Z1〜Z4は炭素原子であることが好ましい。

0033

上記一般式(C1−1)で表されるペンタエリスリトールジホスファイト化合物の中でも、ポリカーボネート樹脂組成物に対して長期耐湿熱性及び長期耐熱性を付与することができ、また入手容易であることから、下記式(C1−2)で表されるビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが特に好適である。この化合物は市販品として入手可能であり、例えばDover Chemical社製の「Doverphos S−9228PC」を使用することができる。

0034

(化合物(C2))
化合物(C2)は下記一般式(2)で示される化合物である。




式(2)中、RC21〜RC25は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、酸化防止剤としての効果の点から、RC21〜RC25のすべてが水素原子になることはなく、RC21〜RC25のうち少なくとも2つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。好ましくは、RC21〜RC25のうちいずれか2つが炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基で残りが水素原子である化合物であり、より好ましくは、RC21〜RC25のうちいずれか2つが炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基で残りが水素原子である化合物のうち、RC21又はRC25の少なくとも一方が炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である化合物である。
炭素数1以上12以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基等が挙げられる。中でも、長期耐湿熱性及び長期耐熱性を付与する観点からは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、及び各種オクチル基からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びtert−ブチル基からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、tert−ブチル基が更に好ましい。
炭素数6以上14以下のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。

0035

中でも、熱分解が起こりにくく長期耐湿熱性及び長期耐熱性の向上効果に優れるという観点から、RC21〜RC25は、水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、又はtert−ブチル基が更に好ましく、水素原子又はtert−ブチル基がより更に好ましい。
特に好ましい化合物(C2)は、前記一般式(2)においてRC21及びRC23がtert−ブチル基であり、RC22、RC24及びRC25が水素原子である化合物(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)である。

0036

(C)成分は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。例えば化合物(C1)と化合物(C2)とを併用してもよい。
本発明に用いる酸化防止剤(C)としては、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト及びトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。また化合物(C1)と(C2)とでは化合物(C1)が好ましく、前記一般式(C1−1)で表されるペンタエリスリトールジホスファイト化合物がより好ましく、前記式(C1−2)で表されるビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが更に好ましい。

0037

ポリカーボネート樹脂組成物中の(C)成分の含有量は、前記(A)成分100質量部に対し0.01質量部以上0.1質量部以下であり、好ましくは0.02質量部以上0.1質量部以下、より好ましくは0.02質量部以上0.06質量部以下、更に好ましくは0.02質量部以上0.05質量部以下である。(C)成分の含有量が前記(A)成分100質量部に対し0.01質量部未満であると、長期耐湿熱性及び長期耐熱性の向上効果が充分でない。また0.1質量部を超えると、初期のYI値が上昇する傾向がある。

0038

<リン化合物(D)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、下記一般式(3)で示される化合物(D1)(以下「化合物(D1)」又は「(D1)成分」ともいう)及び前記(C2)成分以外のアリールホスフィン(D2)(以下「化合物(D2)」又は「(D2)成分」ともいう)からなる群から選ばれる1種以上のリン化合物(D)を含有する。




式(3)中、RD11〜RD16は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RD11〜RD16のすべてが水素原子になることはない。
上記所定の(D)成分を含有することで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形体は初期色調が良好になる。特に上記(C)成分と(D)成分とを組み合わせて用いることで、本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形体における初期色調、長期耐湿熱性、及び、長期耐熱性に対する効果を補完し合い、これら全ての特性を満足する成形体を得ることができる。

0039

(化合物(D1))
化合物(D1)は下記一般式(3)で示される化合物である。




式(3)中、RD11〜RD16は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RD11〜RD16のすべてが水素原子になることはない。
炭素数1以上12以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基が挙げられる。
本発明の効果を得る観点から、式(3)中、RD11〜RD16はいずれも炭素数1以上12以下のアルキル基であることが好ましい。RD11〜RD16はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、及び各種オクチル基からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、及びtert−ブチル基からなる群から選ばれる1種以上が更に好ましい。
中でも化合物(D1)としては、RD11、RD13、RD14及びRD16がtert−ブチル基であり、RD12及びRD15がメチル基である化合物がより好ましい。すなわち本発明に用いられる(D1)成分は、好ましくはビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである。

0040

(化合物(D2))
化合物(D2)は前記(C2)成分以外のアリールホスフィンである。当該アリールホスフィンとしては、アリール基を1つ以上有するホスフィン化合物であればよく、例えば、下記一般式(4)で表される化合物が挙げられる。
P−(RD21)3 (4)
式(4)中、RD21は置換基を有していてもよい炭化水素基であり、少なくとも1つは炭素数6以上18以下のアリール基である。複数のRD21は同一でも異なっていてもよい。

0041

上記一般式(4)で表される化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、ジフェニルオクタデシルホスフィン、トリス(p−トリル)ホスフィン、トリス(p−ノニルフェニル)ホスフィン、トリス(ナフチル)ホスフィン、ジフェニル(ヒドロキシメチル)ホスフィン、ジフェニル(アセトキシメチル)ホスフィン、ジフェニル(β−エチルカルボキシエチル)ホスフィン、トリス(p−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(p−フルオロフェニル)ホスフィン、ジフェニルベンジルホスフィン、ジフェニル−β−シアノエチルホスフィン、ジフェニル(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル−1,4−ジヒドロキシフェニル−2−ホスフィン、フェニルナフチルベンジルホスフィン等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、本発明の効果を得る観点、耐熱性の観点からは、(D2)成分としては一般式(4)におけるRD21がいずれもアリール基である化合物が好ましく、トリフェニルホスフィンがより好ましい。

0042

(D)成分は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(D)成分として化合物(D1)と化合物(D2)とを併用してもよい。
本発明に用いるリン化合物(D)としては、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト及びトリフェニルホスフィンからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。また、化合物(D1)と(D2)とでは化合物(D1)がより好ましく、化合物(D1)の中でも、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが更に好ましい。

0043

ポリカーボネート樹脂組成物中の(D)成分の含有量は、前記(A)成分100質量部に対し0.01質量部以上0.05質量部以下であり、好ましくは0.01質量部以上0.04質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上0.03質量部以下である。(C)成分の含有量が前記(A)成分100質量部に対し0.01質量部未満であると、(D)成分の添加効果が充分でない。また0.05質量部を超えると、長期耐湿熱性及び長期耐熱性が低下する傾向がある。

0044

本発明のポリカーボネート樹脂組成物においては、低温成形後の初期色調、長期耐湿熱性、及び長期耐熱性のすべてが良好である成形体を得る観点から、前記(C)成分が(C1)成分であり、前記(D)成分が(D1)成分であることが好ましく、(C1)成分がビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトであり、(D1)成分がビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトであることがより好ましい。
さらに本発明のポリカーボネート樹脂組成物においては、前記(C)成分と前記(D)成分との合計含有量が、前記(A)成分100質量部に対し0.05質量部以下であることが好ましく、0.04質量部以下であることがより好ましく、0.035質量部以下であることが更に好ましく、0.03質量部以下であることがより更に好ましい。前記(C)成分と前記(D)成分との合計含有量が0.05質量部以下であると、特に長時間LED等のライトを照射しても劣化し難く、耐LED照射性に優れる成形体が得られる。また、さらに前記(C)成分と前記(D)成分との合計含有量が0.02質量部以上であれば、低温成形後の初期色調、長期耐湿熱性、及び長期耐熱性について優れた性能と耐LED照射性の両立が可能となるため、当該ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体は、例えば車両用のDRL用途において特に有用である。

0045

また、低温成形後の初期色調、長期耐湿熱性、及び長期耐熱性のすべてが良好である成形体を得る観点から、ポリカーボネート樹脂組成物中の(C)成分と(D)成分との含有量比[(C)/(D)]は、質量比で0.2以上10以下が好ましく、0.4以上9.0以下がより好ましく、0.5以上5.0以下が更に好ましく、0.8以上4.0以下がより更に好ましく、0.8以上2.5以下がより更に好ましい。

0046

<脂肪酸エステル(E)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらに脂肪酸エステル(E)(以下「(E)成分」ともいう)を含有してもよい。脂肪酸エステル(E)は、脂肪族カルボン酸アルコールとの縮合物である。
前記脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の、脂肪族モノカルボン酸脂肪族ジカルボン酸脂肪族トリカルボン酸脂肪族テトラカルボン酸等が挙げられ、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、脂肪族モノカルボン酸がより好ましい。脂肪族カルボン酸は、鎖状脂肪族カルボン酸、環状脂肪族カルボン酸のいずれでもよいが、鎖状脂肪族カルボン酸が好ましい。脂肪族カルボン酸の炭素数は、好ましくは6以上40以下、より好ましくは8以上32以下、更に好ましくは12以上24以下である。
飽和脂肪族カルボン酸としては、カプリン酸ネオデカン酸ラウリン酸ミリスチン酸パルミチン酸ステアリン酸アラキジン酸ベヘン酸及びリグノセリン酸等の飽和脂肪族モノカルボン酸アジピン酸アゼライン酸、及びセバシン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;等が挙げられる。不飽和脂肪族カルボン酸としては、ウンデシレン酸オレイン酸エライジン酸エルカ酸ネルボン酸リノール酸リシノール酸、γ−リノレン酸アラキドン酸、α−リノレン酸、ステアリドン酸エイコサペンタエン酸、及びドコサヘキサエン酸等が挙げられる。
上記の中でも、脂肪族カルボン酸としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びベヘン酸からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸、及びベヘン酸からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、ステアリン酸が更に好ましい。

0047

前記アルコールとしては、脂肪族アルコールが好ましく、飽和脂肪族アルコールがより好ましい。飽和脂肪族アルコールは飽和鎖状脂肪族アルコール、飽和環状脂肪族アルコールのいずれでもよいが、飽和鎖状脂肪族アルコールが好ましい。これらアルコールは一価アルコール及び多価アルコールのいずれでもよい。また、当該アルコールは、フッ素原子塩素原子臭素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。
アルコールの炭素数は、好ましくは1以上30以下、より好ましくは2以上24以下である。
アルコールの具体例としては、オクタノールデカノールドデカノールテトラデカノールステアリルアルコールベヘニルアルコールエチレングリコールジエチレングリコールグリセリンペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノールネオペンチレングリコールジトリメチロールプロパンジペンタエリスリトール等が挙げられる。

0048

脂肪酸エステル(E)としては、例えば、ベヘニルベヘネートオクチルドデシルベヘネート、ステアリルステアレートグリセリンモノパルミテートグリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、脂肪酸エステル(E)としてはステアリン酸エステルが好ましく、グリセリンモノステアレートがより好ましい。

0049

(E)成分を用いる場合、ポリカーボネート樹脂組成物中の(E)成分の含有量は、前記(A)成分100質量部に対し、好ましくは0.01質量部以上0.2質量部以下であり、より好ましくは0.02質量部以上0.1質量部以下である。(E)成分の含有量が(A)成分100質量部に対し0.01質量部以上であれば離型性向上効果が良好であり、0.2質量部以下であれば長期耐熱性が良好である。

0050

<紫外線吸収剤(F)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、耐候性向上のため、さらに紫外線吸収剤(F)(以下「(F)成分」ともいう)を含有してもよい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾオキサジノン系化合物ベンゾトリアゾール系化合物サリチレート系化合物、マロン酸エステル系化合物オキサリルアラニド系化合物、トリアジン系化合物ベンゾフェノン系化合物シアノアクリレート系化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独でも又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ベンゾオキサジノン系化合物としては、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。




式(5)中、RF1は分子中に1個又は2個の芳香族化合物からp個の水素原子を除いた残基を示す。RF2は水素原子、ハロゲン基原子、ニトロ基、炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシル基又は炭素数2以上8以下のアルケニルオキシ基を示す。pは2又は3であり、qは1以上4以下の整数を示す。

0051

一般式(5)中、RF1としてはフェニレン基ビフェニレン基ナフチレン基が挙げられ、フェニレン基が好ましい。
RF2において、炭素数1以上8以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基を挙げることできる。炭素数1以上8以下のアルコキシル基としては、メトキシ基エトキシ基プロポキシ基、ブトキシ基を挙げることができる。炭素数2以上8以下のアルケニルオキシ基としては、アリルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、2−メチル−3−プロペニルオキシ基等を挙げることができる。
上記一般式(5)で表される化合物の中でも、下記式で表される、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]が好ましい。

0052

ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕等が挙げられる。
サリチレート系化合物としては、フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等が挙げられる。マロン酸エステル系化合物としては、ベンジリデンビスジエチルマロネート、4−メトキシフェニルメチレンジメチルエステル等が挙げられる。オキサリルアラニド系化合物としては、炭素数1以上12以下の炭化水素基を有するオキサリルアラニド化合物等が挙げられる。
上記化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の中でも、紫外線吸収剤(F)としてはベンゾオキサジノン系化合物が好ましく、前記式で表される、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]がより好ましい。

0053

(F)成分を用いる場合、ポリカーボネート樹脂組成物中の(F)成分の含有量は、耐候性向上及び経済性の観点から、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上0.3質量部以下、より好ましくは0.05質量部以上0.1質量部以下である。

0054

<フェノール系酸化防止剤(G)>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、さらにフェノール系酸化防止剤(G)(以下「(G)成分」ともいう)を含有することが好ましい。(G)成分を含有することにより、低温成形後の初期色調、長期耐湿熱性、及び長期耐熱性のすべてが良好であり、さらに長時間LED等のライトを照射しても劣化し難く、耐LED照射性に優れる成形体が得られる。そのため当該ポリカーボネート樹脂組成物及び成形体は、例えば様々な環境(気温・湿度など)の下で使用され、長時間LED照射される車両用のDRL用途において特に有用である。
フェノール系酸化防止剤(G)を含有することにより優れた耐LED照射性が得られる理由は定かではないが、次のように考えられる。
ポリカーボネート樹脂を含む成形体に高温環境にて高強度のLED光を照射することによって、ポリカーボネート樹脂の従来の使用用途とは比較にならない急激な酸化光分解、及び光フリース転位反応が進行すると考えられる。急激な酸化、光分解反応においてラジカルが発生し、このラジカルにより分解反応が進行してポリカーボネート樹脂の分子量低下等が生じ、また、光フリース転位する際にもラジカルを経由して転移反応が進行すると考えられる。このように酸化の過程で生じるパーオキサイド由来のラジカルや、光分解反応等において生じるラジカルを捕捉することがポリカーボネート樹脂の構造変化を抑制し、成形体の寿命延ばす手段として有効であると推測している。
(G)成分を用いることでこれらのラジカルを捕捉し、LED照射によるさらなる劣化を抑制する効果があると考えられる。

0055

フェノール系酸化防止剤(G)としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox1076、BASFジャパン(株)製)、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox1010、BASFジャパン(株)製)、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](Irganox1098、BASFジャパン(株)製)、2,2−チオ−エチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox1035、BASFジャパン(株)製)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(Sumilizer GA−80、住友化学(株)製)等が挙げられる。
上記フェノール系酸化防止剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記の中でも、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox1076)及びペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox1010)からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。

0056

(G)成分を用いる場合、ポリカーボネート樹脂組成物中の(G)成分の含有量は、耐LED照射性向上の観点から、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上であり、経済性の観点から、好ましくは0.2質量部以下、より好ましくは0.15質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下である。

0057

<その他の添加剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上述の各成分の他に、ポリオルガノシロキサン等の任意の添加剤を適宜添加することができる。
ポリオルガノシロキサンとしては、アルコキシ基、アリールオキシ基ポリオキシアルキレン基カルボキシル基シラノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基及びビニル基等の官能基を1種以上有する化合物であることが好ましい。
ポリオルガノシロキサンの動粘度は、離型性としての滑性効果の観点から、25℃において、好ましくは10mm2/s以上であり、ポリカーボネート樹脂への分散性の観点から、好ましくは200mm2/s以下である。上記観点から、ポリオルガノシロキサンの粘度は、より好ましくは20mm2/s以上150mm2/s以下、さらに好ましくは40mm2/s以上120mm2/s以下の範囲である。
ポリオルガノシロキサンの屈折率は、ポリカーボネートに添加した際に透明性を低下させないために、ポリカーボネートとの屈折率の差を出来るだけ小さくすることが好ましい。ポリカーボネートの屈折率は1.58であることから、ポリオルガノシロキサンの屈折率は、好ましくは1.45以上、より好ましくは1.50以上である。

0058

ポリオルガノシロキサンの添加量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上0.15質量部以下、より好ましくは0.02質量部以上0.15質量部以下、更に好ましくは0.05質量部以上0.1質量部以下である。上記範囲内であれば離型性を向上させることができ、連続成形条件であっても金型付着物を大幅に低減することができる。

0059

<ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。例えば前記成分(A)〜(D)成分、及び必要に応じ(E)、(F)及び(G)成分、その他添加剤を混合し、溶融混練を行うことで製造できる。溶融混練は、通常用いられている方法、例えば、単軸スクリュー押出機二軸スクリュー押出機コニーダ多軸スクリュー押出機等を用いる方法により行うことができる。溶融混練時加熱温度は、通常220〜300℃の範囲で適宜選定される。

0060

<ポリカーボネート樹脂組成物の諸特性>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、該ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて作製された厚さ5mmの成形体(1)の、C光源、2度視野の条件で分光光度計を用いて測定される初期YI値YI1が1.2未満であることが好ましい。YI1が1.2未満であれば初期の色調が良好であり、車両用導光部品等に好適である。成形体(1)のYI1が1.1以下の場合と、1,2以上である場合とでは目視で観察される色調が大きく異なる。YI1が1.2以上であると黄色味が目立つが、1.1以下であれば目視では着色がほとんど観察されず、初期色調が良好であると判断される。
得られる成形体の初期色調の点から、YI1は好ましくは1.15以下、より好ましくは1.1以下、更に好ましくは1.0以下である。

0061

また本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、前記成形体(1)を85℃、湿度85%の環境下で1,000時間保存した後のYI値をYI2とした際のΔYI(YI2−YI1)が1.0以下であり、且つ、前記成形体(1)を140℃で1,000時間保存した後のYI値をYI3とした際のΔYI(YI3−YI1)が3.0以下であることがより好ましい。ΔYI(YI2−YI1)が1.0以下であれば、得られる成形体の長期耐湿熱性が良好であり、またΔYI(YI3−YI1)が3.0以下であれば長期耐熱性が良好であると判断される。
得られる成形体の長期耐湿熱性の観点から、ΔYI(YI2−YI1)は、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.5以下、より更に好ましくは0.4以下である。また得られる成形体の長期耐熱性の観点から、ΔYI(YI3−YI1)はより好ましくは2.5以下、更に好ましくは2.0以下である。
各YI値は、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。

0062

さらに本発明のポリカーボネート樹脂組成物(I)は、下記方法(1)により求められる、FT−IR測定におけるピーク強度の比が17.0以下であることが好ましく、13.0以下であることがより好ましく、9.5以下であることが更に好ましい。
方法(1):
前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて、50mm×90mm×厚さ5mmの平板状試験片を作製する。下記LED照射条件のもと、100℃の恒温槽中で、該試験片に対しLEDを500時間照射する。LED照射後、該試験片表面のLED照射部のFT−IRを全反射法で測定する。縦軸をAbsorbance、横軸を波数としたFT−IR測定チャートにおいて、波数1950cm−1におけるAbsorbanceをベースラインとした際の、波数1776cm−1のピーク強度に対する波数1686cm−1のピーク強度の比を求める。
(LED照射条件)
LED電力:10W
LED照射強度:850lm
LED照射距離:1mm

0063

方法(1)において、FT−IR測定は、顕微FT−IR装置を用いて行うことができる。LED照射に用いるLEDチップとしては、OptoSupply社製「OSW4XAHAE1E」が挙げられる。またLED照射距離とは、試験片表面からLED光源までの距離である。

0064

図1は、ポリカーボネート樹脂組成物について、上記方法(1)により求められる、FT−IR測定におけるピーク強度の比を説明するための参考図である。
図1はポリカーボネート樹脂組成物を用いて上記方法(1)に従って作製した平板状試験片について、顕微FT−IR装置を用いて全反射(ATR)法により測定を行って得られたFT−IR測定チャートの一例である。図1においては、縦軸をAbsorbance、横軸を波数とし、LED未照射の試験片及びLED500時間照射後の試験片それぞれについてのFT−IR測定チャートを示した。当該ポリカーボネート樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)として、主鎖が前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、Xがイソプロピリデン基であるポリカーボネート樹脂を用いた。
LED500時間照射後のFT−IR測定チャートにおいて、波数1776cm−1のピークはポリカーボネート樹脂の炭酸エステルのC=O伸縮振動に由来するピークであり、波数1686cm−1のピークはLED照射後に発生するピークである。前記ピーク強度の比(波数1686cm−1のピーク強度/波数1776cm−1のピーク強度)が小さいほうが、LED照射による変化が少なく耐LED照射性に優れる。LED照射後に前記波数1686cm−1のピークが発生する理由は定かではないが、発生したピークは芳香族カルボン酸エステル化合物または、芳香族ケトン化合物のC=O伸縮振動に由来するピークと考えられる。これら化合物は高温環境にて高強度のLED光を照射することによって、光フリース転位に加え、ビスフェノールAのイソプロピリデン基の酸化が起きることによって生成していると推定している。
前記ピーク強度の比の下限は、LED未照射部について同様にFT−IR測定を行った場合のピーク強度比である。例えばポリカーボネート樹脂組成物において、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)として主鎖が前記一般式(I)で表される繰り返し単位を有し、Xがイソプロピリデン基であるポリカーボネート樹脂を用いた場合、当該ピーク強度の比の下限は5.5である。
上記ピーク強度比は、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。

0065

[ポリカーボネート樹脂組成物(II)]
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、
脂環式エポキシ化合物(B)、
下記一般式(1)で示される化合物(C1)及び下記一般式(2)で示される化合物(C2)からなる群から選ばれる1種以上の酸化防止剤(C)、
下記一般式(3)で示される化合物(D1)及び前記(C2)成分以外のアリールホスフィン(D2)からなる群から選ばれる1種以上のリン化合物(D)、
並びにフェノール系酸化防止剤(G)を含有し、
前記(A)成分100質量部に対し、前記(B)成分の含有量が0.01質量部以上0.1質量部以下、前記(C)成分の含有量が0.005質量部以上0.1質量部以下、及び前記(D)成分の含有量が0.005質量部以上0.05質量部以下である、ポリカーボネート樹脂組成物。




式(1)中、RC11〜RC16は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC16のすべてが水素原子になることはない。




式(2)中、RC21〜RC25は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC25のすべてが水素原子になることはなく、RC21〜RC25のうち少なくとも2つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。




式(3)中、RD11〜RD16は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RD11〜RD16のすべてが水素原子になることはない。

0066

ポリカーボネート樹脂組成物(II)は上記構成を有することで、例えば車両用のDRL用途において長時間LED等のライトを照射しても劣化し難く、耐LED照射性に優れる成形体が得られる。

0067

ポリカーボネート樹脂組成物(II)中の(G)成分の含有量は、耐LED照射性向上の観点から、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上であり、経済性の観点から、好ましくは0.2質量部以下、より好ましくは0.15質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下である。

0068

ポリカーボネート樹脂組成物(II)に含有される芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、脂環式エポキシ化合物(B)、酸化防止剤(C)、リン化合物(D)、フェノール系酸化防止剤(G)及びその他の成分、並びにこれらの好適範囲については、以下の点を除き、前記ポリカーボネート樹脂組成物(I)と同じである。

0069

ポリカーボネート樹脂組成物(II)においては、前記(A)成分100質量部に対して、前記(C)成分の含有量が0.1質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以下であることがより好ましく、0.03質量部以下であることが更に好ましい。また、(A)成分100質量部に対する(C)成分の含有量は0.005質量部以上であることが好ましく、0.006質量部以上であることがより好ましく、0.01質量部以上であることが更に好ましい。(G)成分を用いる場合、(A)成分100質量部に対する(C)成分の含有量が0.1質量部以下であると、低温成形後の初期色調に優れ、0.005質量部以上であれば、長期耐湿熱性、長期耐熱性、及び耐LED照射性との両立が可能となる。
またポリカーボネート樹脂組成物(II)においては、前記(A)成分100質量部に対して、前記(D)成分の含有量が0.05質量部以下であることが好ましく、0.04質量部以下であることがより好ましく、0.03質量部以下であることが更に好ましい。前記(A)成分100質量部に対する(D)成分の含有量は0.005質量部以上であることが好ましく、0.006質量部以上であることがより好ましく、0.01質量部以上であることが更に好ましい。(G)成分を用いる場合、(A)成分100質量部に対する(D)成分の含有量が0.05質量部以下であると、長期耐湿熱性及び長期耐熱性に優れ、0.005質量部以上であれば、低温成形後の初期色調と耐LED照射性との両立が可能となる。

0070

[ポリカーボネート樹脂組成物(III)]
さらに本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物に関する。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、
脂環式エポキシ化合物(B)、
下記一般式(1)で示される化合物(C1):




(式(1)中、RC11〜RC16は水素原子、又は炭素数6以上15以下の芳香環含有基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC11〜RC16のすべてが水素原子になることはない。)
及び下記一般式(2)で示される化合物(C2):




(式(2)中、RC21〜RC25は水素原子、炭素数1以上12以下のアルキル基、又は炭素数6以上14以下のアリール基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RC21〜RC25のすべてが水素原子になることはなく、RC21〜RC25のうち少なくとも2つは炭素数1以上12以下のアルキル基又は炭素数6以上14以下のアリール基である。)
からなる群から選ばれる1種以上の酸化防止剤(C)、並びに、
下記一般式(3)で示される化合物(D1):




(式(3)中、RD11〜RD16は水素原子又は炭素数1以上12以下のアルキル基であり、同一であっても異なっていてもよい。但し、RD11〜RD16のすべてが水素原子になることはない。)
及び前記(C2)成分以外のアリールホスフィン(D2)からなる群から選ばれる1種以上のリン化合物(D)、
を含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、
下記方法(1)により求められる、FT−IR測定におけるピーク強度の比が9.5以下である。
方法(1):
前記ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、射出成形法により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて、50mm×90mm×厚さ5mmの平板状試験片を作製する。下記LED照射条件のもと、100℃の恒温槽中で、該試験片に対しLEDを500時間照射する。LED照射後、該試験片表面のLED照射部のFT−IRを全反射法で測定する。縦軸をAbsorbance、横軸を波数としたFT−IR測定チャートにおいて、波数1950cm−1におけるAbsorbanceをベースラインとした際の、波数1776cm−1のピーク強度に対する波数1686cm−1のピーク強度の比を求める。
(LED照射条件)
LED電力:10W
LED照射強度:850lm
LED照射距離:1mm

0071

ポリカーボネート樹脂組成物(III)は上記構成を有することで、例えば車両用のDRL用途において長時間LED等のライトを照射しても劣化し難く、耐LED照射性に優れる成形体が得られる。
ポリカーボネート樹脂組成物(III)に含有される芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、脂環式エポキシ化合物(B)、酸化防止剤(C)、リン化合物(D)及びその他の成分、並びにこれらの好適範囲については、前記ポリカーボネート樹脂組成物(I)と同じである。すなわちポリカーボネート樹脂組成物(II)は、(A)成分100質量部に対し、(B)成分の含有量が好ましくは0.01質量部以上0.1質量部以下、(C)成分の含有量が好ましくは0.01質量部以上0.1質量部以下、及び(D)成分の含有量が好ましくは0.01質量部以上0.05質量部以下である。

0072

但し、ポリカーボネート樹脂組成物(III)がフェノール系酸化防止剤(G)を含有する場合、(A)成分100質量部に対する(C)成分及び(D)成分の好ましい含有量範囲は前記ポリカーボネート樹脂組成物(II)と同じである。
すなわち、ポリカーボネート樹脂組成物(III)がフェノール系酸化防止剤(G)を含有する場合においては、前記(A)成分100質量部に対して、前記(C)成分の含有量が0.1質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以下であることがより好ましく、0.03質量部以下であることが更に好ましい。また、(A)成分100質量部に対する(C)成分の含有量は0.005質量部以上であることが好ましく、0.006質量部以上であることがより好ましく、0.01質量部以上であることが更に好ましい。(G)成分を用いる場合、(A)成分100質量部に対する(C)成分の含有量が0.1質量部以下であると、低温成形後の初期色調に優れ、0.005質量部以上であれば、長期耐湿熱性、長期耐熱性、及び耐LED照射性との両立が可能となる。
またポリカーボネート樹脂組成物(III)がフェノール系酸化防止剤(G)を含有する場合においては、前記(A)成分100質量部に対して、前記(D)成分の含有量が0.05質量部以下であることが好ましく、0.04質量部以下であることがより好ましく、0.03質量部以下であることが更に好ましい。前記(A)成分100質量部に対する(D)成分の含有量は0.005質量部以上であることが好ましく、0.006質量部以上であることがより好ましく、0.01質量部以上であることが更に好ましい。(G)成分を用いる場合、(A)成分100質量部に対する(D)成分の含有量が0.05質量部以下であると、長期耐湿熱性及び長期耐熱性に優れ、0.005質量部以上であれば、低温成形後の初期色調と耐LED照射性との両立が可能となる。

0073

(G)成分を用いる場合、ポリカーボネート樹脂組成物(III)中の(G)成分の含有量は、耐LED照射性向上の観点から、前記(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.02質量部以上、更に好ましくは0.03質量部以上であり、経済性の観点から、好ましくは0.2質量部以下、より好ましくは0.15質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下である。

0074

ポリカーボネート樹脂組成物(III)における、方法(1)によるピーク強度の比は、前記ポリカーボネート樹脂組成物(I)と同様の方法で求めることができ、具体的には実施例に記載の方法で測定できる。

0075

[成形体]
本発明の成形体は、上記本発明のポリカーボネート樹脂組成物を含むものである。当該成形品は、上記ポリカーボネート樹脂組成物の溶融混練物、又は、溶融混練を経て得られたペレット原料として、射出成形法、射出圧縮成形法押出成形法ブロー成形法プレス成形法真空成形法及び発泡成形法等により製造することができる。特に、得られたペレットを用いて、射出成形法又は射出圧縮成形法により成形品を製造することが好ましい。成形温度には特に制限はないが、例えば、240℃以上300℃以下の温度で成形することができる。

0076

本発明の成形品は初期色調が良好で長期耐湿熱性及び長期耐熱性にも優れることから、その特長を活かすため、導光部品であることが好ましい。
導光部品としては車両用導光部品を挙げることができ、特に車両のデイタイムランニングライト(DRL)用導光部品が好ましい。

0077

以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0078

[粘度平均分子量(Mv)の測定]
粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液(濃度:g/l)の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式(Schnell式)にて算出した。

0079

0080

実施例及び比較例で使用した各成分は以下のとおりである。
<芳香族ポリカーボネート樹脂(A)>
(A1):「タフロンFN1500」(FORMOSA IDEMITSU PETROCHEMICAL CORP.製、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量(Mv)=14,200)
(A2):「タフロン FN1700」(FORMOSA IDEMITSU PETROCHEMICAL CORP.製、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量(Mv)=17,700)

0081

<脂環式エポキシ化合物(B)>
(B1):「セロキサイド2021P」((株)ダイセル製、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)

0082

<酸化防止剤(C)>
(C1−1):「Doverphos S−9228PC」(Dover Chemical社製、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)
(C2−1):「IRGAFOS168」(BASF社製、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)

0083

<リン化合物(D)>
(D1−1):「アデカスタブPEP−36」((株)ADEKA製、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)
(D2−1):「JC−263」(化学工業(株)製、トリフェニルホスフィン)

0084

<脂肪酸エステル(E)>
(E1):「S−100A」(理研ビタミン(株)製、グリセリンモノステアレート)
<紫外線吸収剤(F)>
(F1):「CYASORB UV−3638F」(Cytec社製、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン])
<フェノール系酸化防止剤(G)>
(G1):「Irganox1076」(BASFジャパン(株)製、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)
(G2):「Irganox1010」(BASFジャパン(株)製、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])
<その他添加剤>
「KR−511」(信越化学工業(株)製、ポリオルガノシロキサン化合物、動粘度(25℃):90mm2/s、屈折率:1.518)
「PPG−PTMG」(日油(株)製「ポリセリンDCB−2000」、ポリオキシプロピレングリコールポリオキシテトラメチレングリコール、Mw=2,000)

0085

実施例1〜31及び比較例1〜15
各例において、表1〜4に示す量比で各成分を配合してポリカーボネート樹脂組成物を調製した。スクリュー径40mmのベント単軸押出機(田辺プラスチックス機械(株)製「VS−40」)を使用して、シリンダー温度250℃でポリカーボネート樹脂組成物を溶融混練し、ストランドカットによりペレットを得た。得られたペレットを110℃で5時間乾燥した後、下記方法で成形体の作製及び各種評価を行った。

0086

[成形体の初期YI値]
上記乾燥後のペレットを、射出成形機(日精樹脂工業(株)社製「ES1000」)を用いて、射出成形法により、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて、50mm×90mm×厚さ5mmの平板状試験片(成形体(1))を成形した。
得られた試験片について、分光光度計((株)日立ハイテクノロジーズ製「U−4100」)を用い、C光源、2度視野の条件でYI値(初期YI値:YI1)を測定した。結果を表に示す。合格基準は、YI1が1.2未満である。

0087

[成形体の耐湿熱試験
YI1測定後の上記平板状試験片を温度85℃、相対湿度85%に設定した恒温恒湿槽(ナガノサイエンス(株)社製「LH33−12P」)に1,000時間入れた。試験後の試験片について上記と同様にYI値(YI2)を測定し、ΔYI(YI2−YI1)を求めた。結果を表に示す。耐湿熱試験の合格基準は、ΔYI(YI2−YI1)が1.0以下である。

0088

[成形体の耐熱試験
また、YI1測定後の上記平板状試験片を、温度140℃に調整したギアーオーブンTABAI社製「GPS−222」)内に1,000時間入れた。試験後の試験片について上記と同様にYI値(YI3)を測定し、ΔYI(YI3−YI1)を求めた。結果を表に示す。耐熱試験の合格基準は、ΔYI(YI3−YI1)が3.0以下である。

0089

[成形体の耐LED照射性試験]
前記方法で作製した50mm×90mm×厚さ5mmの平板状試験片(成形体(1))に対し、下記LED照射条件のもと、100℃の恒温槽中で、該試験片に対しLEDを500時間照射した。LED照射には、LEDチップとしてOpto Supply社製の「OSW4XAHAE1E」を使用した。
(LED照射条件)
LED電力:10W(1A×10V)
LED照射強度:850lm
LED照射距離:1mm
LED照射後、平板状試験片表面のLED照射部のFT−IRを、以下の条件で測定した。
(FT−IR測定)
装置:顕微FT−IR装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、型式:Nicolet 8700(IR照射部)、CONTINUUM(顕微部))
測定方法:全反射法(ATR)
測定波数範囲:650〜4000cm−1
分解能:4cm−1
測定条件ゲルマニウムクリスタルを用い、入射角29°で照射
測定範囲:平板状試験片(成形体(1))のLED照射部中心の約100μm×100μmの範囲
積算回数:200回
得られたFT−IR測定チャートにおいて、縦軸をAbsorbance、横軸を波数とし、波数1950cm−1におけるAbsorbanceをベースラインとした際の、波数1776cm−1のピーク強度に対する波数1686cm−1のピーク強度の比(波数1686cm−1のピーク強度/波数1776cm−1のピーク強度)を求め、下記基準で評価した。
A+:上記ピーク強度比が9.5以下
A:上記ピーク強度比が9.5超、13.0以下
B:上記ピーク強度比が13.0超、17.0以下
C:上記ピーク強度比が17.0超

0090

0091

0092

0093

実施例

0094

表1に示すように、所定の(A)〜(D)成分を含有する本発明のポリカーボネート樹脂組成物は低温(280℃)成形後の初期YI値が低く、長期の耐湿熱性及び耐熱性にも優れる。また、耐LED照射性も優れるものとなる。
これに対し表2に示すように、(B)、(C)成分を含有しない比較例1は初期YI値は良好であるが、長期の耐湿熱性及び耐熱性が低かった。(C)成分を含有しない比較例2及び7は、いずれも初期YI値及び耐湿熱性は良好であるが、140℃での長期耐熱性試験後のYI値が上昇した。(B)、(D)成分を含有しない比較例3〜4では初期YI値が上昇し、長期耐熱性が低下した。
(B)成分を含有しない比較例5〜6は初期YI値は合格基準を満たしたが、(C)成分として(C1)を用いた比較例5は長期の耐湿熱性及び耐熱性が低く、(C)成分として(C2)を用いた比較例6は長期耐熱性が低下した。(D)成分を含有しない比較例8〜9はいずれも初期YI値が高く、合格基準を満たさなかった。
なお表2のポリカーボネート樹脂組成物のうち、比較例2はアクリル系樹脂を含まないことを除き特許文献1の開示発明相当の樹脂組成物である。また、比較例7は特許文献2、比較例8は特許文献3、比較例6は特許文献3の開示発明相当の樹脂組成物である。
また表3に示すように、さらに(G)成分を含有するポリカーボネート樹脂組成物は低温成形後の初期YI値が低く、長期の耐湿熱性及び耐熱性にも優れ、かつ耐LED照射性も良好であった。

0095

本発明のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体は、280℃以下の低温成形後の初期色調が良好であり、長期耐湿熱性に優れ、ポリカーボネート樹脂のガラス転移点付近の温度における長期耐熱性も良好である。当該成形体は車両用導光部品や、各種導光板として好適である。

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