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技術 船殻一体型脱硫装置、船舶および船殻一体型脱硫装置の船舶への組み付け方法

出願人 三菱日立パワーシステムズ株式会社三菱造船株式会社
発明者 佐々木良三牛久哲杉田覚長安立人香川晴治神山直行渡辺祐輔宮崎智阿部浩宗米田次郎
出願日 2018年3月28日 (1年3ヶ月経過) 出願番号 2018-544373
公開日 2019年4月11日 (3ヶ月経過) 公開番号 WO2018-181504
状態 特許登録済
技術分野 船舶の推進 排気の後処理 廃ガス処理 吸収による気体分離
主要キーワード 分割セクション 長手壁 組立て場所 円弧状壁面 稼働対象 外殻壁 下方セクション 上方セクション
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガス脱硫するための船舶用脱硫装置であって、長手方向を有する内部空間を画定するとともに、前記長手方向における一方側の端部に前記内部空間と連通する排ガス導入口が形成された吸収塔本体部、を含む吸収塔と、前記排ガス発生装置から排出される排ガスを前記吸収塔本体部に導くための排ガス導入装置と、を備えている。そして、前記吸収塔本体部の前記内部空間の長手方向の最大長さをL、前記吸収塔本体部の前記内部空間の長手方向に対して直交する短手方向最大幅をW、とした場合に、前記最大幅Wと前記最大長さLの比(W:L)が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲である。

概要

背景

近年の船舶に対する排ガス規制強化に伴い、排出規制海域(ECA海域)では、硫黄分が0.1%以下の燃料油の使用、又はこれと同等の効果を有する代替措置義務付けられている。さらに、2020年には、一般海域においても、硫黄分が0.5%以下の燃料油の使用、又はこれと同等の効果を有する代替措置が義務付けられる。従来、例えばULCS(Ultra Large Container Ship)などの超大型船舶においては、硫黄分の少ない低硫黄燃料油を用いることで対応していたが、今後はこれら超大型船舶においても脱硫装置の設置需要が高まることが予想される。

超大型船舶の主機関から排出される排ガス量(100%負荷時の排ガス量)は、例えば20万Nm3/h以上にも及ぶ。また、超大型船舶には、船内の様々な電力需要等に応えるため、複数の発電機関ボイラが設置される。このため、超大型船舶に搭載される脱硫装置には、これら主機関や複数の発電機関・ボイラから排出される大量の排ガスを脱硫するために、大きな通過面積を有する吸収塔が必要となる。これを例えばバルクキャリアなど比較的小さな船舶に搭載された主機関用の従来の脱硫装置で対応しようとすると、複数の吸収塔を配置する必要が生じ、船内に配置する上で積み荷の減少、あるいは船体寸法拡大等の設計上の制約や変更が生じてしまう。

また、従来の比較的小さな主機関用の脱硫装置は、丸型(円形)の吸収塔を使用しており、この丸型の吸収塔を超大型船舶向けに大型化することも考えられる。しかしながら、丸型の吸収塔は、方形の吸収塔等と比べて船内に配置した際にデッドスペースが生じ易いため、船内に配置する上で配置効率が悪化するとの問題が生じる。

そこで、上記の問題を解消するために、超大型船舶用の脱硫装置の吸収塔として、プラント設備工場等の上用の脱硫装置において実績のある方形の吸収塔を採用することが考えられる。例えば、特許文献1には、製造プロセス、工業プロセス、および商業プロセス等において発生する粒子状物質有害ガス酸性化合物、および悪臭等の汚染物質を除去するための湿式洗浄装置であって、方形の洗浄タンク(吸収塔)を有する洗浄装置の一例が開示されている。

概要

船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、長手方向を有する内部空間を画定するとともに、前記長手方向における一方側の端部に前記内部空間と連通する排ガス導入口が形成された吸収塔本体部、を含む吸収塔と、前記排ガス発生装置から排出される排ガスを前記吸収塔本体部に導くための排ガス導入装置と、を備えている。そして、前記吸収塔本体部の前記内部空間の長手方向の最大長さをL、前記吸収塔本体部の前記内部空間の長手方向に対して直交する短手方向最大幅をW、とした場合に、前記最大幅Wと前記最大長さLの比(W:L)が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲である。

目的

本発明は、上述したような背景技術の下において発明されたものであって、本発明の少なくとも一実施形態の目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガス脱硫するための船舶用脱硫装置であって、長手方向を有する内部空間を画定するとともに、前記長手方向における一方側の端部に前記内部空間と連通する排ガス導入口が形成された吸収塔本体部、を含む吸収塔と、前記排ガス発生装置から排出される排ガスを前記吸収塔本体部に導くための排ガス導入装置と、を備え、前記吸収塔本体部の前記内部空間の長手方向の最大長さをL、前記吸収塔本体部の前記内部空間の長手方向に対して直交する短手方向最大幅をW、とした場合に、前記最大幅Wと前記最大長さLの比(W:L)が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲である船舶用脱硫装置。

請求項2

船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、内部空間を画定する吸収塔本体部、を含む吸収塔と、前記内部空間を流れる前記排ガスに洗浄液散布可能な散布装置と、前記内部空間に設けられる充填層充填される充填物であって、前記充填層を通過する排ガスに前記洗浄液を気液接触させるように構成されている充填物と、を備える船舶用脱硫装置。

請求項3

前記吸収塔本体部の前記内部空間を画定する壁面のうちの、前記充填層を区画する壁面以外の壁面の少なくとも一部に防食層が形成され、前記吸収塔本体部の前記充填層を区画する壁面には防食層が形成されていない請求項2に記載の船舶用脱硫装置。

請求項4

前記充填物は、規則充填物である請求項2又は3に記載の船舶用脱硫装置。

請求項5

前記吸収塔本体部は、前記排ガスが鉛直方向における下方から上方に向かって流れるように構成されており、前記散布装置は、前記洗浄液を上向きに噴射するように構成される請求項2から4の何れか1項に記載の船舶用脱硫装置。

請求項6

船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、内部空間を画定するとともに前記排ガスが前記内部空間を流れるように構成されている吸収塔本体部、及び、前記吸収塔本体部の外部から前記内部空間を視認可能な光透過性視認窓、を含む吸収塔を備える船舶用脱硫装置。

請求項7

前記内部空間は長手方向を有し、前記吸収塔本体部は、前記長手方向における一方側の端部に前記内部空間と連通する排ガス導入口を有し、前記視認窓は、前記長手方向における他方側に設けられる請求項6に記載の船舶用脱硫装置。

請求項8

前記船舶用脱硫装置は、前記内部空間を流れる前記排ガスに洗浄液を散布可能な散布装置をさらに備え、前記散布装置は、前記洗浄液を前記内部空間に噴射可能な散水ノズルを有し、前記視認窓は、前記散水ノズルからの前記洗浄液の散布状況を視認可能な位置に配置された請求項6又は7に記載の船舶用脱硫装置。

請求項9

前記吸収塔本体部は、前記排ガスが鉛直方向における下方から上方に向かって流れるように構成されているとともに、前記内部空間において前記散水ノズルよりも上方に設けられるミストエリミネータを有し、前記視認窓は、前記散水ノズルよりも上方、且つ、前記ミストエリミネータよりも下方、に配置された請求項8に記載の船舶用脱硫装置。

請求項10

船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、内部空間を画定する吸収塔本体部、を含む吸収塔と、前記内部空間を流れる前記排ガスに洗浄液を散布可能な散布装置と、を備え、前記散布装置は、前記吸収塔本体部の前記内部空間に延在する散水管と、前記散水管に所定間隔を開けて配置された複数の散水ノズルと、を有する船舶用脱硫装置。

請求項11

船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、内部空間を画定するとともに前記内部空間と連通する排ガス導入口が形成された吸収塔本体部、及び、前記排ガス導入口に接続される排ガス導入部、を含む吸収塔と、前記排ガス導入部に導入され、前記内部空間に導入される前の前記排ガスに対して冷却水を散布可能な排ガス冷却装置と、を備え、前記排ガス冷却装置は、前記冷却水を前記排ガスの流れ方向の上流側に向かって噴出するように構成されている冷却水ノズルを有する船舶用脱硫装置。

請求項12

前記冷却水は、前記船舶の内部に導入された海水である請求項11に記載の船舶用脱硫装置。

請求項13

前記排ガス導入部は、前記排ガスが鉛直方向における上方から下方に向かって流れるように構成されており、前記冷却水ノズルは、前記冷却水を上向きに噴射するように構成される請求項11又は12に記載の船舶用脱硫装置。

請求項14

前記排ガス冷却装置は、前記冷却水を散布する前記冷却水ノズルと、前記冷却水ノズルに対して前記冷却水を供給するための冷却水管路と、前記冷却水管路に設けられる冷却水制御弁であって、前記冷却水ノズルから散布される前記冷却水の散布量を制御可能な冷却水制御弁と、を有する請求項11から13の何れか1項に記載の船舶用脱硫装置。

請求項15

前記冷却水管路の前記冷却水制御弁の後流側に設けられる圧力計を備え、前記冷却水制御弁は、前記圧力計により検出される冷却水の圧力が一定になるように開度を調整するよう構成されている請求項14に記載の船舶用脱硫装置。

請求項16

船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、内部空間を画定する吸収塔本体部、を含む吸収塔と、前記内部空間を流れる前記排ガスに洗浄液を散布可能な散布装置と、前記散布装置に対して前記洗浄液を供給可能な洗浄液供給装置と、を備え、前記洗浄液供給装置は、前記散布装置に前記洗浄液を供給するための洗浄液供給ラインと、前記洗浄液供給ラインから分岐するバイパスラインであって、前記内部空間に導かれた前記排ガスに対して散布された散布済みの洗浄液が貯留される貯留空間に前記洗浄液を供給するバイパスラインと、前記バイパスラインに設けられる制御弁であって、前記バイパスラインを流れる前記洗浄液の供給量を制御可能な制御弁と、を有する船舶用脱硫装置。

請求項17

請求項1乃至16の何れか1項に記載の船舶用脱硫装置を搭載した船舶。

請求項18

船舶の船殻構造の一部を形成するケーシングと、前記ケーシングによって支持され、前記船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための吸収塔と、を備える船殻一体型脱硫装置。

請求項19

前記吸収塔は、該吸収塔の外周を取り囲む前記ケーシングに溶接により接続され、前記ケーシングと一体に形成された請求項18に記載の船殻一体型脱硫装置。

請求項20

前記船殻一体型脱硫装置が前記船舶に搭載された状態において、前記吸収塔の下方に位置する前記船舶のエンジンケーシングとの間に隙間が形成され、前記吸収塔は前記ケーシングによって周囲から支持される請求項18又は19に記載の船殻一体型脱硫装置。

請求項21

前記ケーシングは、前記船舶の幅方向に沿った長さが、前記船舶の前後方向に沿った長さよりも大きい請求項18乃至20の何れか1項に記載の船殻一体型脱硫装置。

請求項22

前記船殻一体型脱硫装置が前記船舶に搭載された状態において、前記吸収塔は、前記排ガス発生装置の排ガス配管の上方に位置する請求項18乃至21の何れか1項に記載の船殻一体型脱硫装置。

請求項23

前記ケーシングによって支持され、前記排ガス発生装置の排ガス配管と前記吸収塔の排ガス導入口とを接続するガス配管、または、前記吸収塔で用いられる吸収液が流れる液配管の少なくとも一方を含む配管をさらに備える請求項18乃至22の何れか1項に記載の船殻一体型脱硫装置。

請求項24

請求項18乃至23の何れか1項に記載の船殻一体型脱硫装置を備え、前記船殻一体型脱硫装置によって船殻構造の一部が形成された船舶。

請求項25

前記船殻構造は、前記船殻一体型脱硫装置の前記ケーシングの下方に位置するエンジンケーシングを含み、前記ケーシングの外殻壁下端は、前記エンジンケーシングに溶接により接続された請求項24に記載の船舶。

請求項26

前記ケーシングの前記外殻壁の内側面に上下方向に設けられたリブ又は互いに対向配置される前記外殻壁間に架設されるスチフナにより形成される第1補強部材と、前記エンジンケーシングに設けられたリブ又はスチフナにより形成される第2補強部材との位置が一致している請求項25に記載の船舶。

請求項27

前記船舶の前記船殻構造は、前記ケーシングと、前記船舶の幅方向において前記ケーシングに隣接して、前記ケーシングに溶接される他の船殻構造と、を含む請求項24から26の何れか1項に記載の船舶。

請求項28

船舶の船殻構造の一部を形成するケーシング、および、前記ケーシングによって支持され、前記船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための吸収塔を備える船殻一体型脱硫装置を形成する形成ステップと、前記船殻一体型脱硫装置を前記船舶に取り付ける取付ステップと、を備え、前記取付ステップでは、前記船殻一体型脱硫装置の前記ケーシングと、前記船舶の前記ケーシング以外の前記船殻構造とを接合する船殻一体型脱硫装置の船舶への組み付け方法

請求項29

前記形成ステップでは、前記船殻一体型脱硫装置の下方セクションから上方セクションの順に、前記吸収塔及び前記ケーシングをともに組み立てる請求項28に記載の船殻一体型脱硫装置の船舶への組み付け方法。

請求項30

前記形成ステップでは、前記船殻一体型脱硫装置が上下方向に分割された複数の分割セクション集合体を形成し、前記取付ステップでは、前記船舶に前記分割セクションを順に積層することで、前記船殻一体型脱硫装置を前記船舶に取り付ける請求項28に記載の船殻一体型脱硫装置の船舶への組み付け方法。

技術分野

0001

本開示は、船舶用脱硫装置、該船舶用脱硫装置を搭載した船舶船殻一体型脱硫装置、該船殻一体型脱硫装置によって船殻構造の一部が形成された船舶、および船殻一体型脱硫装置の船舶への組み付け方法に関する。

背景技術

0002

近年の船舶に対する排ガス規制強化に伴い、排出規制海域(ECA海域)では、硫黄分が0.1%以下の燃料油の使用、又はこれと同等の効果を有する代替措置義務付けられている。さらに、2020年には、一般海域においても、硫黄分が0.5%以下の燃料油の使用、又はこれと同等の効果を有する代替措置が義務付けられる。従来、例えばULCS(Ultra Large Container Ship)などの超大型船舶においては、硫黄分の少ない低硫黄燃料油を用いることで対応していたが、今後はこれら超大型船舶においても脱硫装置の設置需要が高まることが予想される。

0003

超大型船舶の主機関から排出される排ガス量(100%負荷時の排ガス量)は、例えば20万Nm3/h以上にも及ぶ。また、超大型船舶には、船内の様々な電力需要等に応えるため、複数の発電機関ボイラが設置される。このため、超大型船舶に搭載される脱硫装置には、これら主機関や複数の発電機関・ボイラから排出される大量の排ガスを脱硫するために、大きな通過面積を有する吸収塔が必要となる。これを例えばバルクキャリアなど比較的小さな船舶に搭載された主機関用の従来の脱硫装置で対応しようとすると、複数の吸収塔を配置する必要が生じ、船内に配置する上で積み荷の減少、あるいは船体寸法拡大等の設計上の制約や変更が生じてしまう。

0004

また、従来の比較的小さな主機関用の脱硫装置は、丸型(円形)の吸収塔を使用しており、この丸型の吸収塔を超大型船舶向けに大型化することも考えられる。しかしながら、丸型の吸収塔は、方形の吸収塔等と比べて船内に配置した際にデッドスペースが生じ易いため、船内に配置する上で配置効率が悪化するとの問題が生じる。

0005

そこで、上記の問題を解消するために、超大型船舶用の脱硫装置の吸収塔として、プラント設備工場等の上用の脱硫装置において実績のある方形の吸収塔を採用することが考えられる。例えば、特許文献1には、製造プロセス、工業プロセス、および商業プロセス等において発生する粒子状物質有害ガス酸性化合物、および悪臭等の汚染物質を除去するための湿式洗浄装置であって、方形の洗浄タンク(吸収塔)を有する洗浄装置の一例が開示されている。

先行技術

0006

特許第5631985号公報
特開平9−239233号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、陸上用の脱硫装置において使用されている方形の吸収塔の多くは、吸収塔の内部空間における排ガス導入方向の長さをL、排ガス導入方向と直交する方向の長さをWとした場合に、そのWとLの比(W:L)が1:0.2〜1:1.0の範囲にある。すなわち、吸収塔の平面形状は、排ガス導入方向に沿って短手方向を有し、排ガス導入方向と直交する方向に沿って長手方向を有する長方形状に形成されている。これは、排ガス導入方向に沿って長手方向を有する形状に形成されていると、長手方向の手前側排ガス導入口側)と奥側(排ガス導入口と反対側)とでガス流速が大きく異なってしまい、吸収塔内において均一に排ガスを流すことが難しくなるからである。吸収塔内における排ガスの流れが不均一になると、吸収塔内における脱硫処理ムラが生じるなど、脱硫性能が低下する虞がある。

0008

このような問題に対応するため、上述した特許文献1の洗浄装置では、吸収塔の上端部に排ガス導入口を設け、この排ガス導入口から導入された排ガスを、吸収塔内を垂直に延在する排ガスダクトを介して、吸収塔の下部に設けられているガス分配室に導入することで、吸収塔内において均一に排ガスが流れるように構成されている。

0009

しかしながら、このような特許文献1に開示されている吸収塔を超大型船舶用の吸収塔に転用しようとした場合には、以下に示すような幾つかの配置制約上の問題が発生する。

0010

第1に、特許文献1に開示されている吸収塔の平面形状は略正方形(W:L=1:1)と認められるが、例えばULCSなどのある種類の超大型船舶においては、排ガス導入方向に沿って長手方向を有する平面形状を有する吸収塔の方が配置性に優れる場合がある。

0011

第2に、特許文献1に開示されている洗浄タンクには、上述したように、吸収塔内を垂直に延在する排ガスダクトと、洗浄タンクの下部に設けられるガス分配室とが形成されている。このため、これら排ガスダクトやガス分配室を設ける分だけ、吸収塔の容積が大きくなってしまうとの問題がある。

0012

第3に、船舶用の吸収塔は上甲板より上方に突出して設けられることが多い一方で、主な排ガス排出源である主機関は、船体内部の下方に位置する機関室に配置される。つまり吸収塔は、船内において主機関の上方に配置されることが多い。このため、特許文献1の吸収塔だと、主機関から排出される排ガスを、吸収塔の側端部ではなく、側端部を超えて上端部までわざわざ導く必要があるため、排ガス導入ライン延長が長くなってしまうとの問題がある。

0013

また、特許文献2には、船舶に搭載された方形の吸収塔を有する脱硫装置が図示されている(図3および図4)。しかしながら、この特許文献2の吸収塔は、タンカ本船)ではなく、本船に曳航されるバージ船に搭載されており、脱硫装置を船舶(本船)に配置する際における配置制約上の課題、及びこれを解決する手段については何ら開示されていない。

0014

本発明は、上述したような背景技術の下において発明されたものであって、本発明の少なくとも一実施形態の目的とするところは、超大型船舶などの船舶に配置する際の配置性に優れた船舶用脱硫装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

(1)本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、
船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、
長手方向を有する内部空間を画定するとともに、前記長手方向における一方側の側端部に前記内部空間と連通する排ガス導入口が形成された吸収塔本体部、を含む吸収塔と、
前記排ガス発生装置から排出される排ガスを前記吸収塔本体部に導くための排ガス導入装置と、を備え、
前記吸収塔本体部の前記内部空間の長手方向の最大長さをL、
前記吸収塔本体部の前記内部空間の長手方向に対して直交する短手方向の最大幅をW、とした場合に、
前記最大幅Wと前記最大長さLの比(W:L)が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲である。

0016

上記(1)に記載の実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、長手方向を有する内部空間を画定するとともに、長手方向における一方側の側端部に内部空間と連通する排ガス導入口が形成された吸収塔本体部を含む吸収塔を備えている。つまり、吸収塔本体部の内部空間は、排ガス導入方向に沿って長手方向を有するように構成されている。このため、従来の丸型(円形)の吸収塔と比べてデッドスペースが生じ難いため、船舶に配置する際の配置性に優れている。また、例えばULCSなどの(排ガス導入方向に沿って長手方向を有する平面形状を有する吸収塔の方が配置性に優れる)ある種類の超大型船舶に対して、配置性に優れた船舶用脱硫装置を提供することができる。また、吸収塔本体部の内部空間が、排ガス導入方向と直交する方向に沿って長手方向を有する場合と比べて、排ガスが未脱硫のまま吸収塔の外部に排出されてしまうリスクを低くすることができる。

0017

また、上記(1)の実施形態によれば、内部空間の最大幅Wと最大長さLの比(W:L)は1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲にある。このように、内部空間の最大幅Wと最大長さLの比(W:L)の上限を1:6.0に設定したことにより、吸収塔内における排ガス流れ不均一性を、本発明者が検討したところの実用上の許容範囲内に収めることができる。

0018

(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の船舶用脱硫装置において、上記最大幅Wと最大長さLの比(W:L)が1:1.5超、且つ、1:2.0以下の範囲である。

0019

本発明者が検討したところによれば、吸収塔内における排ガス流れの均一性を好ましい状態に保てる最大幅Wと最大長さLの比(W:L)の上限は、1:2.0である。一方、船内における脱硫装置の配置性を考慮すると、最大幅Wと最大長さLの比(W:L)はある程度大きい方がよく、最大幅Wと最大長さLの比(W:L)の下限は1:1.5とするのが良い。したがって、上記(2)の実施形態によれば、配置性および脱流性の両方において優れた、バランスの良い船舶用脱硫装置を提供することができる。

0020

(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の船舶用脱硫装置において、上記吸収塔は、吸収塔本体部の内部空間の長手方向が船舶の幅方向に沿うように、船舶に搭載される。

0021

例えばULCSなどのある種類の超大型船舶においては、船舶の船首船尾方向ではなく、それと直交する方向である船舶の右舷左舷方向(幅方向)に沿って長手方向を有する吸収塔の方が配置性に優れる場合がある。例えば、上述したULCSにあっては、その船体が船首−船尾方向において、40フィートコンテナをそのコンテナの長手方向に沿って収容可能な長さを基本単位とする複数の領域に区分されており、その1領域内に吸収塔を配置しなければならない場合がある。したがって、上記(3)の実施形態によれば、このような船舶に対する配置性に優れている。

0022

また、上記(3)の実施形態によれば、吸収塔本体部を船舶の幅方向に沿って長手方向を有するように構成することができるため、船舶の船首−船尾方向に沿って長手方向を有する吸収塔と比べて、船舶の横揺れローリング)時に吸収塔に作用する曲げ応力を小さくすることができるため、ローリングに対して高い抵抗性を有する吸収塔とすることができる。

0023

(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の船舶用脱硫装置において、上記船舶は、排ガス発生装置から排出される排ガスを外部に放出するための鋼板構造物であって、前記船舶の幅方向に沿って長手方向を有する長筒状に形成される鋼板構造物を備えている。そして、吸収塔は、前記鋼板構造物の内側に配置される。

0024

上記(4)の実施形態によれば、船舶の幅方向に沿って長手方向を有する長筒状の鋼板構造物の内側に吸収塔を配置することで、船舶に搭載されるその他の諸設備等の配置計画に対する影響を最小限に抑えることができる。したがって、既存の船舶に対するレトロフィットが容易となる。また、吸収塔を鋼板構造物の内側に配置することで、例えば機関室内などの船舶の内部に吸収塔を配置する場合と比べて、設置作業性メンテナンス性にも優れている。

0025

(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載の船舶用脱硫装置において、上記鋼板構造物の内側には、排ガス発生装置から排出される排ガスから熱エネルギ回収するための排熱回収装置が配置されている。そして、吸収塔は、排熱回収装置と船舶の幅方向に沿って並んで配置される。

0026

上記(5)の実施形態によれば、鋼板構造物の内側に吸収塔と排熱回収装置とを船舶の幅方向に沿って並べて配置することで、排熱回収装置と吸収塔とを互いに離れた場所に配置する場合と比べて、排ガス導入装置をシンプルに構成することが可能となる。

0027

(6)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載の船舶用脱硫装置において、上記吸収塔は、一端部が吸収塔本体部の排ガス導入口に接続されるとともに、一端部から他端部に向かって上向きに延在する排ガス導入部をさらに含んでいる。

0028

上記(6)の実施形態によれば、吸収塔が、吸収塔本体部の排ガス導入口から上向きに延在する排ガス導入部をさらに含んでいる。このため、この排ガス導入部の他端部に排ガス導入ラインを接続させることで、鋼板構造物の内側の狭小スペースに配置された吸収塔に対して排ガスを導入させることができる。

0029

(7)幾つかの実施形態では、上記(6)に記載の船舶用脱硫装置において、上記排ガス発生装置は、主機関及び補助機関を含んでいる。そして、排ガス導入装置は、排熱回収装置側から排ガス導入部の他端部に向かって、船舶の幅方向に沿って延在する排ガス導入管と、排ガス導入管に接続され、補助機関から排出される排ガスを、排ガス導入管を介して、吸収塔本体部に導くための補機用排ガス導入管と、を含んでいる。

0030

上記(7)の実施形態によれば、鋼板構造物の内側の狭小なスペースに配置された吸収塔に対して、主機関および補助機関から排出される排ガスを導入させることができる。

0031

(8)幾つかの実施形態では、上記(1)から(7)の何れか1項に記載の船舶用脱硫装置において、上記吸収塔本体部は、内部空間の長手方向に沿って互いに平行に延在する一対の長手壁面と、内部空間の短手方向に沿って互いに平行に延在する一対の短手壁面と、を含んでいる。

0032

上記(8)の実施形態によれば、吸収塔本体部の内部空間の平面形状は、一対の長手壁面と、一対の短手壁面とによって画定される長方形状に形成される。このような長方形状の内部空間を有する吸収塔本体部は、船内に配置した際にデッドスペースが生じ難いため、船内に配置する上での配置効率に優れている。

0033

(9)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の船舶用脱硫装置において、上記吸収塔本体部には、内部空間に導かれた排ガスに対して散布された散布済みの洗浄液貯留される貯留空間が形成される。そして、吸収塔本体部は、一対の長手壁面を接続するとともに、貯留空間を内部空間の短手方向に沿って横断する横断部材を有する。

0034

上記(9)の実施形態によれば、船舶の横揺れなどによって、貯留空間に貯留されている洗浄液の表面が大きくうねスロッシングが生じた場合に、横断部材によって、その液面の揺動を抑えることができる。また、このような一対の長手壁面を接続する横断部材を設けることで、長方形状の内部空間を有する吸収塔本体部の強度を向上させることもできる。

0035

(10)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載の船舶用脱硫装置において、上記横断部材が、長尺形状を有する横梁部材からなる。

0036

上記(10)の実施形態によれば、長尺形状を有する横梁部材によって、上述したスロッシングの抑制効果、及び吸収塔本体部の補強効果を実現することができる。

0037

(11)幾つかの実施形態では、上記(9)に記載の船舶用脱硫装置において、上記横断部材が、平板形状を有する堰板部材からなる。

0038

上記(11)の実施形態によれば、平板形状を有する堰板部材によって、上述したスロッシングの抑制効果、及び吸収塔本体部の補強効果を実現することができる。

0039

(12)幾つかの実施形態では、上記(8)から(11)の何れかに記載の船舶用脱硫装置において、上記船舶用脱硫装置は、吸収塔本体部の内部空間に導かれた排ガスに対して洗浄液を散布するための散布装置をさらに備える。そして、散布装置は、吸収塔本体部の内部空間において一対の長手壁面の各々に対して平行に延在する長手方向散水管と、長手方向散水管に設けられた複数の散水ノズルと、を有する。

0040

上記(12)の実施形態によれば、長手方向散水管に設けられた複数の散水ノズルの各々から長手壁面までの距離を一定にすることができる。これにより、内部空間において洗浄液を均一に散布することができるため、船舶の動揺(ローリング、ピッチングヨーイング等)に起因して洗浄液の散布が不均一になる不具合の影響を抑制することができる。

0041

(13)幾つかの実施形態では、上記(8)から(11)の何れかに記載の船舶用脱硫装置において、上記船舶用脱硫装置は、前記吸収塔本体部の前記内部空間に導かれた前記排ガスに対して前記洗浄液を散布するための散布装置をさらに備える。そして、散布装置は、吸収塔本体部の内部空間において一対の短手壁面の各々に対して平行に延在するとともに等間隔に配置される複数の短手方向散水管と、複数の短手方向散水管の各々に設けられた少なくとも一つの散水ノズルと、を有する。

0042

上記(13)の実施形態によれば、複数の短手方向散水管の各々に設けられた散水ノズルの散布エリアを等しく設定することができる。これにより、内部空間において洗浄液を均一に散布することができるため、船舶の動揺(ローリング、ピッチング、ヨーイング等)に起因して洗浄液の散布が不均一になる不具合の影響を抑制することができる。

0043

(14)幾つかの実施形態では、上記(1)から(13)の何れかに記載の船舶用脱硫装置において、上記排ガス発生装置は、主機関を含んでいる。そして、主機関の排ガス量(100%負荷時の排ガス量)が20万Nm3/h以上である。

0044

上記(1)から(13)に記載の船舶用脱硫装置は、主機関の排ガス量が20万Nm3/h以上のような超大型船舶用の脱硫装置として好適に用いられる。なお、主機関の排ガス量の上限については、特に限定されるものではないが、実用上、50万Nm3/h以下である。

0045

(15)幾つかの実施形態では、上記(1)から(14)の何れかに記載の船舶用脱硫装置において、上記船舶は、10、000TEU以上のコンテナ積載容積を有するコンテナ船からなる。

0046

上記(1)から(14)に記載の船舶用脱硫装置は、10、000TEU以上のコンテナ積載容積を有する超大型コンテナ(ULCS)用の脱硫装置として好適に用いられる。なお、コンテナ積載容積の上限については、特に限定されるものではないが、実用上、20、000TEU以下である。

0047

(16)また、本発明の一実施形態に係る船舶は、上記(1)から(15)の何れかに記載の船舶用脱硫装置を搭載している。

0048

(17)本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、
船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、
内部空間を画定する吸収塔本体部、を含む吸収塔と、
前記内部空間を流れる前記排ガスに洗浄液を散布可能な散布装置と、
前記内部空間に設けられる充填層充填される充填物であって、前記充填層を通過する排ガスに前記洗浄液を気液接触させるように構成されている充填物と、を備える。

0049

上記(17)に記載の実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、排ガスが充填層に充填された充填物の間を流れる際に、充填物の表面において接触面積が大きくなった洗浄液と、充填物により流れが乱れた排ガスと、を気液接触させることができる。このような船舶用脱硫装置によれば、充填物により洗浄液と排ガスとの気液接触効率を高めることができるので、充填物を備えない場合に比べて、排ガス中に含まれる硫黄分を効果的に除去することができる。

0050

(18)幾つかの実施形態では、上記(17)に記載の船舶用脱硫装置において、上記吸収塔本体部の上記内部空間を画定する壁面のうちの、上記充填層を区画する壁面以外の壁面の少なくとも一部に防食層が形成されている。そして、上記吸収塔本体部の上記充填層を区画する壁面には防食層が形成されていない。

0051

船舶用脱硫装置は、吸収塔本体部の内部を高温の排ガスが流れるので、吸収塔本体部の内部空間を画定する壁面(内壁面)などが、排ガス中に含まれる硫黄分などによって腐食する虞がある。また、洗浄液として海水を用いる場合には、海水により上述した壁面などが腐食する虞がある。通常、上述した壁面を保護するためには、上述した壁面の全面にわたって防食層を設けることが考えられる。しかし、船舶の揺れにより充填物が動いて、充填層を区画する壁面を保護する防食層に衝突して、該防食層を剥離や損傷させる虞がある。防食層の剥離や損傷は、防食層に保護された壁面の腐食を招く虞がある。

0052

上記(18)に記載の実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、吸収塔本体部の内部空間を画定する壁面(内壁面)の内、充填層を区画する壁面以外の壁面に防食層が形成されている。充填層を区画する壁面に防食層を形成すると、船舶の揺れにより充填物が動き、防食層に衝突して、該防食層を剥離や損傷させる虞があるため、充填層を区画する壁面に防食層を形成しないで、それに替えて、吸収塔本体部の内、充填層を囲む層状部分を、例えばステンレスなどの耐食性材料から構成することにより、壁面の腐食を抑制する。このような船舶用脱硫装置は、充填物による防食層の損傷を防止しつつ、内部空間を画定する壁面の腐食を抑制することができる。

0053

(19)幾つかの実施形態では、上記(17)又は(18)に記載の船舶用脱硫装置において、上記充填物は、規則充填物である。
上記(19)に記載の実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、充填物が規則充填物であるので、充填物が不規則充填物である場合に比べて、排ガスの圧力損失を少なくすることができるとともに、排ガスの処理量を大きくすることができる。このため、規則充填物を充填物とする船舶用脱硫装置は、不規則充填物を充填物とする船舶用脱硫装置に比べて、吸収塔の小型化が可能となる。また、規則充填物は、不規則充填物に比べて、船舶の揺れによって移動し難く、船舶の揺れにより不均一な配置になり難い。このため、規則充填物を充填物とする船舶用脱硫装置は、不規則充填物を充填物とする船舶用脱硫装置に比べて、排ガスが未脱硫のまま吸収塔の外部に排出されてしまうリスクを低くすることができる。

0054

(20)幾つかの実施形態では、上記(17)から(19)の何れかに記載の船舶用脱硫装置において、上記吸収塔本体部は、上記排ガスが鉛直方向における下方から上方に向かって流れるように構成されている。そして、上記散布装置は、上記洗浄液を上向きに噴射するように構成されている。
上記(20)に記載の実施形態における散布装置は、洗浄液を上向きに噴射するように構成されている。上向きに噴射された洗浄液は、上端(頂部)で分散した後に微細化して落下することで、内部空間の例えば充填物の表面に分散して存在する。排ガスは、内部空間を鉛直方向における下方から上方に向かって流れる際に、充填物の表面に付着した洗浄液や落下する洗浄液と気液接触することで、排ガス中に含まれる硫黄分が除去される。

0055

(21)本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、
船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、
内部空間を画定するとともに前記排ガスが前記内部空間を流れるように構成されている吸収塔本体部、及び、前記吸収塔本体部の外部から前記内部空間を視認可能な光透過性視認窓、を含む吸収塔を備える。

0056

上記(21)に記載の実施形態における吸収塔は、排ガスが内部空間を流れるように構成されている吸収塔本体部と、吸収塔本体部の外部から内部空間を視認可能な光透過性の視認窓と、を含む。このような吸収塔を備える船舶用脱硫装置において、作業者などは視認窓を介して、例えば内部空間を流れる排ガスの流れなどを確認することができる。

0057

(22)幾つかの実施形態では、上記(21)に記載の船舶用脱硫装置において、上記内部空間は長手方向を有している。そして、上記吸収塔本体部は、上記長手方向における一方側の端部に上記内部空間と連通する排ガス導入口を有している。さらに、上記視認窓は、上記長手方向における他方側に設けられる。

0058

内部空間が長手方向を有していると、排ガス導入口側と、排ガス導入口と反対側と、でガス流速が大きく異なってしまい、吸収塔内における排ガスの流れが不均一になる虞がある。上記(22)に記載の実施形態における吸収塔本体部は、内部空間の長手方向における一方側の端部に内部空間と連通する排ガス導入口を有する。そして、視認窓は、内部空間の長手方向における他方側に設けられる。作業者などは視認窓を介して、仮に排ガス導入口側に設けられる視認窓では確認が困難な、排ガス導入口と反対側における排ガスの流れを確認することができる。

0059

(23)幾つかの実施形態では、上記(21)又は(22)に記載の船舶用脱硫装置において、上記船舶用脱硫装置は、上記内部空間を流れる上記排ガスに洗浄液を散布可能な散布装置をさらに備えている。該散布装置は、上記洗浄液を上記内部空間に噴射可能な散水ノズルを有している。そして、上記視認窓は、上記散水ノズルからの前記洗浄液の散布状況を視認可能な位置に配置されている。

0060

上記(23)に記載の実施形態における視認窓は、散水ノズルからの洗浄液の散布状況を視認可能な位置に配置されているので、作業者などは視認窓を介して、散水ノズルによる洗浄液の噴射状況などの、散布装置による洗浄液の散布状況を確認することができる。そして、散布装置による洗浄液に散布状況が悪い場合には、散水ノズルの洗浄などを行うことで、散布装置による散布状況の改善を図ることができる。

0061

(24)幾つかの実施形態では、上記(23)に記載の船舶用脱硫装置において、上記吸収塔本体部は、上記排ガスが鉛直方向における下方から上方に向かって流れるように構成されているとともに、上記内部空間において上記散水ノズルよりも上方に設けられるミストエリミネータを有している。そして、上記視認窓は、上記散水ノズルよりも上方、且つ、上記ミストエリミネータよりも下方、に配置されている。

0062

上記(24)に記載の実施形態における吸収塔本体部は、排ガスが鉛直方向における下方から上方に向かって流れるように構成されている。そして、視認窓は、散水ノズルよりも上方、且つ、ミストエリミネータよりも下方、に配置されている。排ガスは、ミストエリミネータよりも下方において、洗浄液に気液接触するので、ミストエリミネータよりも上方に視認窓を設けても、散布装置による洗浄液の散布状況を確認することができない。視認窓を上述した配置にすることで、作業者は、視認窓を介して、散布装置による洗浄液の散布状況を確認することができる。特に、散水ノズルが洗浄液を上向きに噴射可能に構成されている場合には、作業者は上述した視認窓を介して、散布装置により散布される洗浄液の上端を確認することで、洗浄液の散布状況が適切なものであるかを確認することができる。

0063

(25)本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、
船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、
内部空間を画定する吸収塔本体部、を含む吸収塔と、
前記内部空間を流れる前記排ガスに洗浄液を散布可能な散布装置と、を備え、
前記散布装置は、前記吸収塔本体部の前記内部空間に延在する散水管と、前記散水管に所定間隔を開けて配置された複数の散水ノズルと、を有する。

0064

上記(25)に記載の実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、散水管を流れる洗浄液を、散水管に所定間隔を開けて配置された複数の散水ノズルの各々から噴射させることで、内部空間に洗浄液を均一に散布することができる。よって、船舶用脱硫装置は、船舶の動揺(ローリング、ピッチング、ヨーイング等)に起因して洗浄液の散布が不均一になる不具合の影響を抑制することができる。

0065

(26)本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、
船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、
内部空間を画定するとともに前記内部空間と連通する排ガス導入口が形成された吸収塔本体部、及び、前記排ガス導入口に接続される排ガス導入部、を含む吸収塔と、
前記排ガス導入部に導入され、前記内部空間に導入される前の前記排ガスに対して冷却水を散布可能な排ガス冷却装置と、を備え、
前記排ガス冷却装置は、前記冷却水を前記排ガスの流れ方向の上流側に向かって噴出するように構成されている冷却水ノズルを有する。

0066

上記(26)に記載の実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、排ガス導入部に導入され、内部空間に導入される前の排ガスに対して、排ガス冷却装置により冷却水を散布することで、排ガス導入部内に導かれた排ガスの温度を下げることができ、排ガス導入部内の温度の上昇を抑制可能である。また、排ガス冷却装置により冷却水を散布することで、排ガス導入部内に導かれた排ガスの体積を小さくできるので、吸収塔内で多量の排ガスを処理できるようになる。また、排ガス冷却装置の冷却水ノズルは、冷却水を排ガスの流れ方向の上流側に向かって噴出するので、冷却水ノズルに到達する前に排ガス導入部に導入された排ガスの温度を下げることができ、排ガスの熱により冷却水ノズルが損傷することを抑制可能である。

0067

(27)幾つかの実施形態では、上記(26)に記載の船舶用脱硫装置において、上記冷却水は、上記船舶の内部に導入された海水である
上記(27)に記載の実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、冷却水として船舶の内部に導入された海水を用いることで、船舶の航行中に必要となる工業用水などの水の消費量を抑えることができる。

0068

(28)幾つかの実施形態では、上記(26)又は(27)に記載の船舶用脱硫装置において、上記排ガス導入部は、排ガスが鉛直方向における上方から下方に向かって流れるように構成されている。そして、上記冷却水ノズルは、冷却水を上向きに噴射するように構成されている。

0069

排ガス導入部に導入された排ガスに対して、排ガス冷却装置により冷却水を散布して排ガスの温度を低下させると亜硫酸が発生することがある。また、冷却水として海水を用いた場合には、温度上昇により海水から塩が析出することがある。冷却水ノズルに亜硫酸や塩が付着すると散布性能が低下する虞がある。
上記(28)に記載の実施形態における冷却水ノズルは、排ガスの流れ方向と逆方向である上向きに冷却水を噴射するように構成されている。上向きに噴射された冷却水は、冷却水ノズルよりも上方において排ガスに接触し、排ガスの温度を低下させた後に、冷却水ノズルの上などに落下する。冷却水ノズルの上に落下した洗浄液は、冷却水ノズルに付着した亜硫酸や塩を洗い流すことができる。また、冷却水ノズルの上に落下した洗浄液により冷却水ノズルが濡れた状態を保持することで、冷却水ノズルに亜硫酸や塩が付着することを抑制可能であり、且つ、冷却水ノズルの温度上昇を抑制可能である。

0070

(29)幾つかの実施形態では、上記(26)〜(28)の何れかに記載の船舶用脱硫装置において、上記排ガス冷却装置は、上記冷却水を散布する冷却水ノズルと、該冷却水ノズルに対して前記冷却水を供給するための冷却水管路と、該冷却水管路に設けられる冷却水制御弁であって、上記冷却水ノズルから散布される上記冷却水の散布量を制御可能な冷却水制御弁と、を有している。

0071

冷却水管路の、冷却水制御弁よりも上流側である一次側における冷却水の圧力は、ポンプ運転台数などの変動要因によって大きく変動するものであり、仮に冷却水制御弁を設けないと上述した変動要因によって、冷却水ノズルから散布される冷却水の散布量が大きくばらつくので、排ガス導入部に導入される排ガスの冷却が不十分になる虞がある。これに対して、上記(29)の実施形態における排ガス冷却装置は、冷却水制御弁によって冷却水ノズルから散布される冷却水の散布量を制御することで、排ガス導入部に導入される排ガスを十分に冷却することができる。

0072

(30)幾つかの実施形態では、上記(29)に記載の船舶用脱硫装置において、上記冷却水管路の上記冷却水制御弁の後流側に設けられる圧力計を備え、上記冷却水制御弁は、上記圧力計により検出される冷却水の圧力が一定になるように開度を調整するよう構成されている。

0073

冷却水制御弁により冷却水制御弁よりも後流側における冷却水の圧力を一定にすることで、冷却水ノズルから噴出する際の冷却水の圧力も一定になるため、冷却水ノズルから常に一定量以上の冷却水が一定の高さに散布されることになる。上記(30)の実施形態における排ガス冷却装置は、冷却水ノズルから常に一定量以上の冷却水を散布できるので、排ガス導入部内に導かれた排ガスを継続的に冷やすことができる。

0074

(31)本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置は、
船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置であって、
内部空間を画定する吸収塔本体部、を含む吸収塔と、
前記内部空間を流れる前記排ガスに洗浄液を散布可能な散布装置と、
前記散布装置に対して前記洗浄液を供給可能な洗浄液供給装置と、を備え、
前記洗浄液供給装置は、
前記散布装置に前記洗浄液を供給するための洗浄液供給ラインと、
前記洗浄液供給ラインから分岐するバイパスラインであって、前記内部空間に導かれた前記排ガスに対して散布された散布済みの洗浄液が貯留される貯留空間に前記洗浄液を供給するバイパスラインと、
前記バイパスラインに設けられる制御弁であって、前記バイパスラインを流れる前記洗浄液の供給量を制御可能な制御弁と、を有する。

0075

例えば、排出規制海域と一般海域とでは要求される脱硫性能が異なるので、散布装置に供給される洗浄液の必要量も異なる。散布装置に供給される洗浄液の量が必要量よりも少ない場合には、必要な脱硫効果が得られない虞がある。また、散布装置に供給される洗浄液の量が必要量よりも多い場合には、排ガスの圧力損失が増大する虞がある。散布装置に供給される洗浄液の量を適量にするための方策として、散布装置に対して洗浄液を供給するための洗浄液供給ラインに制御弁を設け、該制御弁により洗浄液供給ラインを流れる洗浄液の供給量を制御することが考えられる。しかし、洗浄液供給ラインを構成する管路は径が大きいので、洗浄液供給ラインに設けられる制御弁の大型化、高額化を招く虞がある。また、管路の径が大きい洗浄液供給ラインにおいて、洗浄液の供給量を制御することは困難である。

0076

上記(31)に記載の実施形態における洗浄液供給装置は、バイパスラインに設けられる制御弁により、バイパスラインを流れる洗浄液の供給量を制御することで、洗浄液供給ラインを流れる洗浄液の供給量を間接的に制御することができる。この際、バイパスラインを構成する管路は、洗浄液供給ラインを構成する管路よりも径を小さくできるので、バイパスラインに設けられる制御弁は、仮に洗浄液供給ラインに設けられる制御弁に比べて、小型化、低額化が図れる。また、バイパスラインは洗浄液供給ラインに比べて、洗浄液の供給量の制御が容易である。

0077

(32)また、本発明の一実施形態に係る船舶は、上記(1)、(17)から(31)の何れかに記載の船舶用脱硫装置を搭載している。

0078

(33)一実施形態に係る船殻一体型脱硫装置は、船舶の船殻構造の一部を形成するケーシングと、前記ケーシングによって支持され、前記船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための吸収塔と、を備える。
「船殻構造」とは、艤装機関などを除いた、船の骨格外郭とを形成する構造主体を意味する。後述するエンジンケーシングも「船殻構造」に該当する。
従来の船舶用脱硫装置は、船舶に搭載されるマシナリの一つとして、船殻構造から独立したものであった。
上記(33)の構成を有する船殻一体型脱硫装置は、船舶への搭載前において、船殻構造の一部を形成するケーシングに吸収塔が既に支持された状態となっている。この船殻一体型脱硫装置は、船上でケーシングが船舶の他の船殻構造と接続される。

0079

上記(33)の構成によれば、吸収塔を支持するケーシングが船殻構造の一部を形成するため、吸収塔の周囲に余分なクリアランスや吸収塔の防振、動揺止めを目的とした補強部材が不要になる。そのため、吸収塔の取付け構造コンパクト化できると共に、船殻構造の重量も軽減できる。

0080

(34)一実施形態では、前記(33)の構成において、
前記吸収塔は、該吸収塔の外周を取り囲む前記ケーシングに溶接により接続され、前記ケーシングと一体に形成される。
上記(34)の構成によれば、吸収塔は、吸収塔の外周を取り囲むケーシングに溶接により接続されるため、吸収塔から該ケーシングに加わる力はケーシングの周囲に分散される。これによって、本来吸収塔の基部に集中する吸収塔の荷重がケーシングに分散されるので、吸収塔の支持構造をコンパクト化できる。

0081

(35)一実施形態では、前記(33)又は(34)の構成において、
前記船殻一体型脱硫装置が前記船舶に搭載された状態において、前記吸収塔の下方に位置する前記船舶のエンジンケーシングとの間に隙間が形成され、前記吸収塔は前記ケーシングによって周囲から支持される。
上記(35)の構成によれば、吸収塔はケーシングによって周囲から支持され、吸収塔を下方から支持する支持部が不要となるため、下方に位置するエンジンケーシングとの間に隙間を形成できる。そのため、吸収液が流れる液配管海水供給管、海水排出管)、主機関等の排ガス発生装置から排出される排ガスを吸収塔に導入する排ガス配管などの配管類を該隙間に配置できる。

0082

(36)一実施形態では、前記(33)〜(35)の何れかの構成において、前記ケーシングは、前記船舶の幅方向に沿った長さが、前記船舶の前後方向に沿った長さよりも大きく形成される。
上記(36)の構成によれば、上記ケーシングの長手方向が船舶の幅方向に沿って配置されるため、従い、上記ケーシングによって支持された吸収塔はその長手方向が船舶の幅方向に沿って配置され、船舶の船首−船尾方向に沿って長手方向を有する吸収塔と比べて、船舶の横揺れ(ローリング)時に吸収塔に作用する曲げ応力を小さくすることができる。そのため、ローリングに対して高い抵抗性を有する吸収塔とすることができる。

0083

(37)一実施形態では、前記(33)〜(36)の何れかの構成において、前記船殻一体型脱硫装置が前記船舶に搭載された状態において、前記吸収塔は、前記排ガス発生装置の排ガス配管の上方に位置する。
上記(37)の構成によれば、吸収塔は、排ガス発生装置の排ガス配管の上方に位置するので、排ガス発生装置から排出された排ガスを吸収塔に導入する排ガス配管の長さを短縮できる。
ここで「排ガス配管の上方位置」とは、「平面視において、排ガス配管と吸収塔の少なくとも一部とが重なる位置」であることを意味する。

0084

(38)一実施形態では、前記(33)〜(37)の何れかの構成において、前記ケーシングによって支持され、前記排ガス発生装置の排ガス配管と前記吸収塔の排ガス導入口とを接続するガス配管、または、前記吸収塔で用いられる吸収液が流れる液配管の少なくとも一方を含む配管をさらに備える。
上記(38)の構成によれば、上記配管類を船舶の船殻構造の一部を形成するケーシングで支持することで、これら配管を含めた吸収塔の支持構造をコンパクト化できる。

0085

(39)一実施形態に係る船舶は、前記(33)〜(38)の何れかの構成を有する船殻一体型脱硫装置を備え、前記船殻一体型脱硫装置によって船殻構造の一部が形成される。
上記(39)の構成によれば、上記船殻一体型脱硫装置が船殻構造の一部として形成されるので、吸収塔の周囲に余分なクリアランスや吸収塔の防振、動揺止めを目的とした補強部材が不要になる。そのため、吸収塔の取付け構造をコンパクト化できる。

0086

(40)一実施形態では、前記(39)の構成において、前記船殻構造は、前記船殻一体型脱硫装置の前記ケーシングの下方に位置するエンジンケーシングを含み、前記ケーシングの外殻壁下端は、前記エンジンケーシングに溶接により接続される。
上記(40)の構成によれば、吸収塔は、船舶の船殻構造の一部を形成するケーシングによって支持されるため、該ケーシングは同じ船殻構造であるエンジンケーシングの上方に容易に配置できる。また、吸収塔が支持される上記ケーシングとエンジンケーシングとの距離が短いために、エンジンケーシングに収容される主機関から排出される排ガスを吸収塔に導入する排ガス配管の長さを短縮できる。

0087

(41)一実施形態では、前記(40)の構成において、前記ケーシングの前記外殻壁の内側面に上下方向に設けられたリブ又は互いに対向配置される前記外殻壁間に架設されるスチフナにより形成される第1補強部材と、前記エンジンケーシングに設けられたリブ又はスチフナにより形成される第2補強部材との位置が一致している。
上記(41)の構成によれば、上記第1補強部材と上記第2補強部材との位置が一致しているため、吸収塔を支持するケーシングを支持するエンジンケーシングの支持強度を高めることができ、該ケーシングはエンジンケーシングによって安定して支持される。

0088

(42)一実施形態では、前記(39)〜(41)の何れかの構成において、前記船舶の前記船殻構造は、前記ケーシングと、前記船舶の幅方向において前記ケーシングに隣接して、前記ケーシングに溶接される他の船殻構造と、を含む。
上記(42)の構成によれば、船舶の幅方向に配置される船殻構造が吸収塔を支持するケーシングと他の船殻構造とで分割されているので、船殻一体型脱硫装置の重量が過大となり、クレーン能力不足する事態を回避できる。

0089

(43)一実施形態に係る船殻一体型脱硫装置の船舶への組み付け方法は、船舶の船殻構造の一部を形成するケーシング、および、前記ケーシングによって支持され、前記船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための吸収塔を備える船殻一体型脱硫装置を形成する形成ステップと、前記船殻一体型脱硫装置を前記船舶に取り付ける取付ステップと、を備え、前記取付ステップでは、前記船殻一体型脱硫装置の前記ケーシングと、前記船舶の前記ケーシング以外の前記船殻構造とを接合する。

0090

上記(43)の方法によれば、上記形成ステップにおいて、陸上などで事前に船殻一体型脱硫装置を形成しておき、船舶が入渠後、該船殻一体型脱硫装置を船舶に搭載する。これによって、船舶への吸収塔搭載の工期を短縮できる。また、吸収塔と船殻構造物とは、一体化する前に、同時に平行して製造することができ、これによって、船殻一体型脱硫装置の工期を短縮できる。

0091

(44)一実施形態では、前記(43)の構成において、前記形成ステップでは、前記船殻一体型脱硫装置の下方セクションから上方セクションの順に、前記吸収塔及び前記ケーシングをともに組み立てる。
上記(44)の方法によれば、船殻一体型脱硫装置の下方セクションから上方セクションの順に組み立てることで組立てが容易になり、吸収塔及びケーシングを同時に平行して組み立てることで、工期を短縮できる。

0092

(45)一実施形態では、前記(43)の方法において、前記形成ステップでは、前記船殻一体型脱硫装置が上下方向に分割された複数の分割セクション集合体を形成し、前記取付ステップでは、前記船舶に前記分割セクションを順に積層することで、前記船殻一体型脱硫装置を前記船舶に取り付ける。
上記(45)の方法によれば、船殻一体型脱硫装置が上下方向に分割された複数の分割セクションの集合体を形成することで、取付ステップにおいて、分割セクション毎にクレーンで船内に搬送できる。従って、クレーンの搬送能力が不足する事態を回避できる。

発明の効果

0093

本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、超大型船舶などの船舶に配置する際の配置性に優れた船舶用脱硫装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0094

本発明の一実施形態にかかる船舶を示した斜視図である。
(a)は40フィートコンテナの寸法を示した図であり、(b)は図1に示した船舶における鋼板構造物の周辺を拡大して示した図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置を示した斜視図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置を図3とは別の角度から示した斜視図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置において、吸収塔本体部の内部空間の平面形状についての検討結果を示した図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置において、吸収塔の貯留空間に設けられる横断部材について説明するための図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置における吸収塔本体部の内部空間の形状(アスペクト比)と脱硫性能パラメータとの関係を示したグラフである。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置における吸収塔本体部の内部空間の形状(アスペクト比)と脱硫性能パラメータとの関係を検討した結果を示した表である。
吸収塔本体部の内部空間における散水ノズルの配置条件を説明するための平面図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置における吸収塔本体部の内部空間の平面形状と形状(アスペクト比L/W)との関係を説明するための図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図であって、図5に示すA方向から見た図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図であって、充填層を備えない吸収塔(液柱スプレー塔及びトレー式の吸収塔等)の一例を示した図である。
本発明の一実施形態における充填物を説明するための斜視図(概念図)である。
本発明の一実施形態における防食層を説明するための概略図であり、船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図であって、壁面補強部材と間仕切り壁とを説明するための図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の排ガス冷却装置を説明するための図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の排ガス冷却装置を説明するための図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置における洗浄液供給ラインとバイパスラインを説明するための図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔と鋼板構造物との固定を説明するための図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔と鋼板構造物との船舶上への設置を説明するための図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔と排ガス導入管との接続を説明するための図である。
本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔と排ガス導入管との接続を説明するための図であって、(a)は概略上面図であり、(b)は概略正面図である。
一実施形態に係る船殻一体型脱硫装置を船殻構造に組み立てる場合を示す斜視図である。
一実施形態に係る船殻一体型脱硫装置を船殻構造に組み立てる場合を示す斜視図である。
一実施形態に係る船殻一体型脱硫装置を含むケーシングの平面図である。
一実施形態に係る船殻一体型脱硫装置を船殻構造に組み立てる場合を示す模式図である。
一実施形態に係る船殻一体型脱硫装置を船殻構造に組み立てる場合を示す模式図である。
一実施形態に係る船殻一体型脱硫装置を船殻構造に組み立てる場合を示す模式図である。
(A)、(B)及び(C)は幾つかの船殻一体型脱硫装置を示す模式図である。
一実施形態に係る船殻一体型脱硫装置の組み付け方法を示す工程図である。
一実施形態に係る船殻一体型脱硫装置の船殻構造への組み付け方法を示す模式図である。

実施例

0095

以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
また、以下の説明において、同じ構成には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する場合がある。

0096

図1は、本発明の一実施形態にかかる船舶を示した斜視図である。本発明の一実施形態にかかる船舶1は、例えば、主機関の排ガス量(100%負荷時の排ガス量)が、20万Nm3/hを超える超大型船舶である。図示した実施形態では、船舶1は、ULCS(Ultra Large Container Ship)と呼ばれる10、000TEU以上のコンテナ積載容積を有する超大型のコンテナ船である。

0097

図1に示したように、船舶1は、船舶本体2と、船首−船尾方向における中心よりやや前方よりの位置において上甲板3から突出して設けられる居住区4と、居住区4よりも船尾側の位置において上甲板3から突出して設けられる鋼板構造物6と、を備えている。ここで、鋼板構造物6は、煙突又はエンジンケーシングと呼称されるものである。また、船舶本体2の船倉内には、船首−船尾方向と直交する方向である右舷−左舷方向に延在する横隔壁8が、互いに間隔をあけて複数設けられている。これにより、船舶本体2は、船首−船尾方向において、40フィートコンテナ9をそのコンテナの長手方向に沿って収容可能な長さを基本単位とする複数の領域に区分されている。

0098

図2(a)は、40フィートコンテナ9の寸法を示している。図2(b)は、図1に示した船舶における鋼板構造物の周辺を拡大して示した図である。図2(b)に示したように、鋼板構造物6は、隣接する一対の横隔壁8A、8Bの間に設けられている。鋼板構造物6の鉛直下方に当たる船舶本体2の内部には、機関室10が形成されている。機関室10には、船舶1に対して推進力を付与するための舶用ディーゼルエンジン主機タービンを駆動させるための主機用ボイラなどからなる主機関12と、船舶1内の様々な温熱需要等に応えるための補助ボイラや電力需要等に応えるための補機用エンジンなどからなる複数の補助機関14が設置される。これら、主機関12および補助機関14は、本発明の一実施形態にかかる船舶1に搭載される排ガス発生装置に相当するものである。

0099

鋼板構造物6は、上述した主機関12や補助機関14などから排出される排ガスを船舶1の外部に放出するための構造物であり、船舶1の右舷−左舷方向(幅方向)に沿って長手方向を有する長筒状に形成されている。そして、鋼板構造物6の内側には、船舶1に搭載される主機関12および補助機関14から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置20が配置されている。幾つかの実施形態では、鋼板構造物6の内側の幅(長手方向と直交する方向の長さ)は、おおよそ3m〜8mの範囲である。一方、鋼板構造物6の長手方向の長さについては比較的制約が少なく、例えば5m〜20mの範囲に設定することもできる。

0100

図3は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置を示した斜視図である。図4は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置を、図3とは別の角度から示した斜視図である。
図3及び図4に示すように、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置20は、吸収塔本体部32を含む吸収塔30と、主機関12や補助機関14から排出される排ガスを吸収塔本体部32に導くための排ガス導入装置40と、を備えている。

0101

図5は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図である。図5に示したように、吸収塔30は、吸収塔本体部32と、排ガス導入部34と、排ガス導出部36と、を含んでいる。吸収塔本体部32は、その内部に長手方向を有する内部空間31を画定している。また、吸収塔本体部32の長手方向における一方側の側端部39aには、内部空間31(下方側内部空間31b)と連通する排ガス導入口33が形成されている。排ガス導入口33から内部空間31に導入された排ガスは、下方側内部空間31bを一方側の側端部39aから他方側の側端部39bに向かって流れた後、内部空間31を上昇しながら流れていく。

0102

図示した実施形態では、内部空間31には、下方側内部空間31bの上方の位置に、下方側内部空間31bと上方側内部空間31cとを隔てる充填層35が形成されている。充填層35では、例えば多数の規則充填物が何層にも積層されるようになっている。また、充填層35の上方の位置には、内部空間31に洗浄液(例えば海水や清水)を散布するための散布装置38が配置されている。そして、充填層35を通過する排ガスに対して洗浄液を散布し、排ガスと洗浄液とを気液接触させることで、排ガス中に含まれる硫黄分を除去するように構成されている。

0103

また、内部空間31には、上方側内部空間31cの上方の位置に、上方側内部空間31cと出口側内部空間31dとを隔てるミストエリミネータ37が配置されている。ミストエリミネータ37は、ミストエリミネータ37を通過する排ガスから水分を除去するように構成されている。そして、ミストエリミネータ37を通過した排ガスは、出口側内部空間31dを介して、吸収塔本体部32の最上部に接続されている排ガス導出部36から船舶1の外部に排出される。

0104

また、吸収塔本体部32には、内部空間31に導かれた排ガスに対して散布された散布済みの洗浄液が貯留される貯留空間31aが形成されている。図示した実施形態では、貯留空間31aは、下方側内部空間31bの下方、且つ、排ガス導入口33の下面よりも下方の位置に形成されている。

0105

また、図3及び図4に示したように、船舶用脱硫装置20は、上述した散布装置38に対して海水を供給するための海水供給装置50をさらに備えている。海水供給装置50は、排水希釈ポンプ52aと、海水供給ポンプ54aと、排水管56と、海水供給管58と、海水排出管59と、を含んでいる。そして、海水供給ポンプ54aによって船舶本体2の内部に導入された海水を、海水供給管58を介して散布装置38に供給するように構成されている。また、吸収塔30から排出されたスクラバ排水を排水希釈ポンプ52aによって希釈し、排水管56を介して船舶1の外部に排水するように構成されている。なお、図示した実施形態では、複数の排水希釈ポンプ52aの各々は、共通の第1海水吸入箱52に接続されている。同様に、複数の海水供給ポンプ54aの各々は、共通の第2海水吸入箱54に接続されている。

0106

上述したように、吸収塔本体部32の内部空間31は、排ガスの導入方向に沿って長手方向を有するような平面形状に形成されている。この吸収塔本体部32の内部空間31の平面形状について、図6に基づいて詳細に説明する。なお、図6において、符号Lは内部空間31の長さ(長手方向の長さ)を指し、符号Wは内部空間31の幅(長手方向と直交する方向の長さ)を指す。また、符号Dは、長さL、幅Wの断面積を有する長方形断面と同じ大きさの断面積を有する円形断面の換算直径である。
なお、図6に示した実施形態では、吸収塔本体部32の内部空間31の平面形状が、互いに平行に延在する一対の長手壁面と、互いに平行に延在する一対の短手壁面と、に画定される長方形状である場合を例にして説明するが、内部空間31の平面形状は長方形状には限定されず、本発明の効果を奏する限りにおいて、長手方向を有する矩形状、楕円形状、長円形状等に形成されていてもよいものである。

0107

図6は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置において、吸収塔本体部の内部空間の平面形状についての検討結果を示した図である。図6の(a)〜(c)に示した表では、各平面形状に対して、船舶1に対して吸収塔30を配置する際のレイアウト上の容易性を意味する「配置性」と、吸収塔30の内部空間31における排ガス流れの均一性を意味する「脱流性」の2項目で評価を行っている。

0108

「配置性」に関する評価では、以下の評価基準に基づいて、その配置性を高い方から順に◎、○、△、×の4段階で評価した。これは、短手方向の最大幅Wが換算直径Dに対して小さい程、例えば鋼板構造物6の内側のような細長い形状を有する敷地内に吸収塔30を配置しようとした場合に、その配置性に優れるとの考え方に基づくものである。
(評価基準)
◎… (W/D)<0.50
○…0.50≦(W/D)<0.75
△…0.75≦(W/D)<0.90
×…0.90≦(W/D)

0109

図9は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置における吸収塔内部空間の形状(アスペクト比L/W)と脱硫性能パラメータとの関係を示したグラフである。なお、データの変化を際立たせるため、両対数で表した。図10は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置における吸収塔本体部の内部空間の形状(アスペクト比)と脱硫性能パラメータとの関係を検討した結果を示した表である。図11は、吸収塔本体部の内部空間における散水ノズルの配置条件を説明するための平面図である。
吸収塔本体部32の内部空間31の形状と脱流性との関係について、以下に定義する脱硫性能パラメータを用いて検討した。
脱硫性能パラメータ =周長比率α×干渉ノズル本数比率β
α:周長に対して基準条件(L/W=1)との逆比
=基準条件での周長/検討対象のアスペクト比での周長
β:干渉ノズルの本数に対して基準条件との比
=検討対象のアスペクト比での干渉ノズル本数/基準条件での干渉ノズル本数

0110

周長とは、吸収塔本体部32の水平断面における外周長さを指す。洗浄液が壁面へ付着すると脱硫に寄与しないロスとなるので、同じ断面積の場合に周長が長いと脱硫性能を悪化させる阻害要因となる。このように阻害要因のため、基準条件(L/W=1)との逆比により周長比率αを定義した。

0111

干渉ノズルとは、四方に隣接する散水ノズルがある散水ノズルのことを指す。すなわち、図11に示したように、吸収塔本体部32の内部空間31に、長手方向および幅方向に沿ってそれぞれ複数列の散水ノズル71が配置され、全体として格子状に複数の散水ノズル71が配置される場合においては、最も外周側に配置される散水ノズル71aを除いた、範囲71Aの内側に位置する散水ノズル71bが、上述した干渉ノズルとなる。
同じ断面積の場合に干渉ノズルが多くなると、隣接する散水ノズルとの間で噴出する脱硫液が干渉する(重なり合う)場所が多くなり、脱硫性能を向上させる促進要因となる。このように促進要因のため、基準条件(L/W=1)との比により干渉ノズル本数比率βを定義した。なお、ノズル本数は所定のノズルピッチ(本実施例では0.5m)を用いて格子状に配置した場合を仮定し、端数が出た場合は整数に丸めて算出した。

0112

図9に示したように、同一断面積の条件で、アスペクト比L/Wが1より大きくなるほど、周長が増加し、かつ干渉ノズルの本数が減るため、脱硫性能パラメータは低下する。図9から、脱硫性能パラメータはL/Wが2.0以下ではほぼ一定、同2.0〜6.0の範囲では低下、同6.0以上は大幅に低下していることが分かる。よって、変曲点はL/W=2.0、6.0の2か所にあると判断した。

0113

「脱硫性」に関する評価では、以下の評価基準に基づいて、その脱硫性が高い方から順に◎、○、△、×の4段階で評価した。これは、吸収塔30内における排ガス流れの均一性が高いほど、脱硫性能に優れるとの考え方に基づくものである。なお、吸収塔30内における排ガス流れの均一性は、下記の検討条件に基づき、上述した検討結果から評価した。図9に示すように、アスペクト比が2以下であれば、脱硫性能パラメータをほぼ一定の高いレベルに維持することができ、吸収塔30内における排ガス流れの均一性を好ましい状態に保つことができる。また、アスペクト比が2超且つ3以下の場合は、アスペクト比が大きくなるにつれて脱硫性能パラメータは緩やかに減少していくものの、脱硫性能パラメータを高いレベルに維持することができる。また、アスペクト比が3超且つ6以下の場合も、アスペクト比が大きくなるにつれて脱硫性能パラメータは緩やかに減少していくものの、依然として脱硫性能パラメータを比較的高いレベルに維持することができる。一方、図9に示すように、アスペクト比が6を超えるものについては、脱硫性能パラメータが急激に減少しており、吸収塔30内における排ガス流れの均一性が、要求される脱硫性能を発揮する上での許容範囲を超えてしまうものと考えられる。したがって、アスペクト比の上限は6に設定した。
(評価基準)
◎…W:L=1:1.1超、且つ、1:2.0以下
○…W:L=1:2.0超、且つ、1:3.0以下
△…W:L=1:3.0超、且つ、1:6.0以下
×…W:L=1:6.0超
(検討条件)
入口ガス流速=2〜20m/s
吸収塔内流速=1〜5m/s
散水量=30〜200m3/m2・h

0114

そして、上述した「配置性」及び「脱流性」の2項目に対する評価結果に基づいて『総合評価』を行っている。『総合評価』では、以下の評価基準に基づいて、その総合評価が高い方から順に「優」、「良」、「可」の3段階で評価した。
優…◎が一項目以上、且つ、△および×がないもの
良…○が二項目のもの
可…△が一項目以上のもの、且つ、×がないもの
不可…×が一項目以上のもの

0115

図6(a)〜(c)に示すように、内部空間31の平面形状は、W:L=1:1.5超、且つ、1:2.0以下の範囲のものが総合評価で「優」と評価された。「配置性」及び「脱硫性」の評価は互いにトレードオフの関係を有するものであるが、W:Lをこの範囲に設定することにより、配置性および脱流性の両方において優れた、バランスの良い船舶用脱硫装置20を提供することが可能となる。

0116

次いで、W:L=1:2.0超、且つ、1:3.0以下の範囲のものが総合評価で「良」と評価された。それに次いで、W:L=1:3.0超、且つ、1:6.0以下の範囲のものが総合評価で「可」と評価された。
なお、W:L=1:1.1以下のものは、「脱硫性」には優れるものの、「配置性」に劣るため、「不可」と評価した。また、上述したように、W:L=1:6.0超のものは、吸収塔30内における排ガス流れの均一性を担保することができず、「脱硫性」に劣るため、「不可」と評価した。

0117

以上、上述した本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置20は、長手方向を有する内部空間31を画定するとともに、長手方向における一方側の側端部39aに内部空間31(下方側内部空間31b)と連通する排ガス導入口33が形成された吸収塔本体部32を含む吸収塔30を備えている。つまり、吸収塔本体部32の内部空間31は、排ガス導入方向に沿って長手方向を有するように構成されている。このため、従来の丸型(円形)の吸収塔と比べてデッドスペースが生じ難いため、船舶1に配置する際の配置性に優れている。また、排ガス導入方向に沿って長手方向を有する平面形状を有する吸収塔30の方が、上述した超大型のコンテナ船などの船舶1に対して、配置性に優れた船舶用脱硫装置20を提供することができる。また、吸収塔本体部の内部空間が、排ガス導入方向と直交する方向に沿って長手方向を有する場合と比べて、排ガスが未脱硫のまま吸収塔の外部に排出されてしまうリスクを低くすることができる。

0118

また、上述した本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置20によれば、内部空間31の最大幅Wと最大長さLの比(W:L)は1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲にある。このように、内部空間31の最大幅Wと最大長さLの比(W:L)の上限を1:6.0に設定したことにより、吸収塔30内における排ガス流れの不均一性を、本発明者が検討したところの実用上の許容範囲内に収めることができる。

0119

幾つかの実施形態では、上述した図6に示したように、船舶用脱硫装置20において、その内部空間31の最大幅Wと最大長さLの比(W:L)は1:1.5超、且つ、1:2.0以下の範囲である。
このような実施形態によれば、上述したように、配置性および脱流性に特に優れた、バランスの良い船舶用脱硫装置20を提供することができる。

0120

幾つかの実施形態では、上述した図1図4等に示したように、吸収塔30は、吸収塔本体部32の内部空間31の長手方向が船舶1の幅方向に沿うように、船舶1に搭載される。
このような実施形態によれば、船舶1の幅方向に沿って長手方向を有する吸収塔30の方が、上述した超大型のコンテナ船などの船舶1に対して、配置性に優れる船舶用脱硫装置20を提供することができる。

0121

また、このような実施形態によれば、吸収塔本体部32を船舶1の幅方向に沿って長手方向を有するように構成することができるため、船舶1の船首−船尾方向に沿って長手方向を有する吸収塔と比べて、船舶1の横揺れ(ローリング)時に吸収塔に作用する曲げ応力を小さくすることができるため、ローリングに対して高い抵抗性を有する吸収塔30とすることができる。

0122

幾つかの実施形態では、上述した図1図4等に示したように、上述した船舶1は、排ガス発生装置(主機関12、補助機関14)から排出される排ガスを船舶1の外部に放出するための鋼板構造物6であって、船舶1の幅方向に沿って長手方向を有する長筒状に形成される鋼板構造物6を備えている。そして、吸収塔30は、鋼板構造物6の内側に配置される。

0123

図示した実施形態では、鋼板構造物6の平面形状は、長方形状に形成されている。また、幾つかの実施形態では、鋼板構造物6の平面形状は、長手方向を有する矩形状、楕円形状、長円形状等に形成されていてもよい。

0124

このような実施形態によれば、船舶1の幅方向に沿って長手方向を有する長筒状の鋼板構造物6の内側に吸収塔30を配置することで、船舶1に搭載されるその他の諸設備等の配置計画に対する影響を最小限に抑えることができる。したがって、既存の船舶1に対するレトロフィットが容易となる。また、吸収塔30を鋼板構造物6の内側に配置することで、例えば機関室10内などの船舶1の内部に吸収塔30を配置する場合と比べて、設置作業性やメンテナンス性にも優れている。

0125

幾つかの実施形態では、図3及び図4に示したように、上述した鋼板構造物6の内側には、排ガス発生装置(主機関12)から排出される排ガスから熱エネルギを回収するための排熱回収装置60が配置されている。そして、吸収塔30は、排熱回収装置60と船舶1の幅方向に沿って並んで配置される。

0126

図示した実施形態では、排熱回収装置60は、排ガスから回収した熱エネルギによって蒸気を生成する排ガスエコノマイザーからなる。排熱回収装置60には、その下部に主機関12から排出される排ガスが流れる排ガス流入管45が接続されるとともに、その上部に排ガス排出管43が接続されている。そして、この排ガス排出管43から、後述する排ガス導入管42が分岐することで、吸収塔30に対して排ガスを導入するように構成されている。これら、排ガス流入管45、排ガス排出管43、及び排ガス導入管42は、上述した、主機関12や補助機関14から排出される排ガスを吸収塔本体部32に導くための排ガス導入装置40の一部を構成している。

0127

また、図示した実施形態では、排熱回収装置60は、吸収塔本体部32と同様に、船舶1の幅方向に沿って長手方向を有するように構成されている。また、その内部空間は、水平断面において長方形状に形成されている。

0128

このような実施形態によれば、鋼板構造物6の内側に吸収塔30と排熱回収装置60とを船舶1の幅方向に沿って並べて配置することで、排熱回収装置60と吸収塔30とを互いに離れた場所に配置する場合と比べて、排ガス導入装置40をシンプルに構成することが可能となる。しかも、排熱回収装置60が船舶1の幅方向に沿って長手方向を有する長方形状に形成されているため、船舶1の幅方向に沿って長手方向を有する鋼板構造物6の内部に配置する際にデッドスペースが生じにくく、効率的に配置することができる。

0129

幾つかの実施形態では、上述した図3図5に示したように、吸収塔30は、一端部34aが吸収塔本体部32の排ガス導入口33に接続されるとともに、一端部34aから他端部34bに向かって上向きに延在する排ガス導入部34をさらに含んでいる。

0130

図示した実施形態では、排ガス導入部34は、矩形状の断面を有しており、その排ガス導入口33も矩形状に形成されている。そして、排ガス導入部34は、吸収塔本体部32の排ガス導入口33から斜め上方に延在する斜部34Aと、斜部34Aの端部から垂直方向に沿って上方に延在する垂直部34Bと、を有している。そして、この垂直部34Bの端部(排ガス導入部34の他端部34b)に、後述する排ガス導入管42が接続している。

0131

このような実施形態によれば、排ガス導入部34の他端部34bに排ガス導入ライン(排ガス導入管42)を接続させることで、鋼板構造物6の内側の狭小なスペースに配置された吸収塔30に対して排ガスを導入させることができる。

0132

幾つかの実施形態では、上述した図3図5に示したように、上述した排ガス導入装置40は、排熱回収装置60側から排ガス導入部34の他端部34bに向かって、船舶1の幅方向に沿って延在する排ガス導入管42と、この排ガス導入管42に接続され、補助機関14から排出される排ガスを、排ガス導入管42を介して、吸収塔本体部32に導くための補機用排ガス導入管44a〜44dと、を含んでいる。

0133

図示した実施形態では、排ガス導入管42の一端側は上述した排ガス排出管43に接続し、その他端側が上述した排ガス導入部34の他端部34bに接続している。そして、排ガス導入管42は、鋼板構造物6の内側を水平方向に沿って延在している。

0134

また、図示した実施形態では、排ガス排出管43の下流側には、排ガスダンパー47を介して、鋼板構造物6の内側を上方に向かって延在する排ガス煙突部46と、排ガス導入管42とが接続されている。そして、例えば主機関12や補助機関14などの排ガス発生装置の停止時には、排ガスダンパー47によって、排ガス排出管43から排ガス煙突部46に通じる流路開放される一方で、排ガス排出管43から排ガス導入管42に通じる流路は閉止されるようになっている。また、例えば、主機関12や補助機関14などの排ガス発生装置の運転時には、排ガスダンパー47によって、排ガス排出管43から排ガス導入管42に通じる流路が開放される一方で、排ガス排出管43から排ガス煙突部46に通じる流路が閉止されるようになっている。

0135

また、図示した実施形態では、排ガス導入管42には、補助機関14から排出される排ガスが流れる複数の補機用排ガス導入管44a〜44dが接続されている。また、これら複数の補機用排ガス導入管44a〜44dの各々には、不図示の補機用排ガスダンパーを介して、複数の補機用排ガス排出管48a〜48dがそれぞれ接続している。そして、例えば補助機関14の停止時には、不図示の排ガスダンパーによって、複数の補機用排ガス導入管44a〜44dの各々から複数の補機用排ガス排出管48a〜48dにそれぞれ通じる流路が開放される一方で、複数の補機用排ガス導入管44a〜44dの各々から排ガス導入管42に通じる流路は閉止されるようになっている。また、例えば、補助機関14の運転時には、不図示の排ガスダンパーによって、複数の補機用排ガス導入管44a〜44dの各々から排ガス導入管42に通じる流路が開放される一方で、複数の補機用排ガス導入管44a〜44dの各々から複数の補機用排ガス排出管48a〜48dにそれぞれ通じる流路が閉止されるようになっている。

0136

このような実施形態によれば、鋼板構造物6の内側の狭小なスペースに配置された吸収塔30に対して、主機関12および補助機関14から排出される排ガスを導入させることができる。

0137

幾つかの実施形態では、上述した図11に示したように、吸収塔本体部32は、内部空間31の長手方向に沿って互いに平行に延在する一対の長手壁面32a、32bと、内部空間31の短手方向に沿って互いに平行に延在する一対の短手壁面32c、32dと、を含んでいる。

0138

このような実施形態によれば、吸収塔本体部32の内部空間31の平面形状は、一対の長手壁面32a、32bと、一対の短手壁面32c、32dと、によって画定される長方形状に形成される。この際、長方形の角部にR加工が施されているものや、ハンチ加工が施されているものも、本実施形態における長方形状に含まれる。このような長方形状の内部空間31を有する吸収塔本体部32は、船内に配置した際にデッドスペースが生じ難いため、船内に配置する上での配置効率に優れている。

0139

図7は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置において、吸収塔の貯留空間に設けられる横断部材について説明するための図である。
幾つかの実施形態では、上述した図5に示したように、吸収塔本体部32には、内部空間31に導かれた排ガスに対して散布された散布済みの洗浄液が貯留される貯留空間31aが形成されている。そして、図7に示したように、吸収塔本体部32は、一対の長手壁面32a、32b(図11を参照)を接続するとともに、貯留空間31aを内部空間31の短手方向に沿って横断する横断部材70を有している。

0140

このような実施形態によれば、船舶1の横揺れなどによって、貯留空間31aに貯留されている洗浄液の表面が大きくうねるスロッシングが生じた場合に、横断部材70によって、その液面の揺動を抑えることができる。また、このような一対の長手壁面32a、32bを接続する横断部材70を設けることで、長方形状の内部空間31を有する吸収塔本体部32の強度を向上させることもできる。

0141

幾つかの実施形態では、図7(a)に示したように、上述した横断部材70が、長尺形状を有する横梁部材70Aからなる。
図示した実施形態では、横梁部材70Aは、例えばH形状の断面を有するH形鋼からなるとともに、内部空間31の長手方向の略中心位置において、上下方向に間隔をあけて複数段(3段)設置されている。また、幾つかの実施形態では、横梁部材70Aは、I形状、L形状、T形状、及び筒状の断面を有する梁部材であってもよい。

0142

このような実施形態によれば、長尺形状を有する横梁部材70Aによって、上述したスロッシングの抑制効果、及び吸収塔本体部32の補強効果を実現することができる。また、このような実施形態によれば、吸収塔本体部32に対する補強効果に特に優れている。

0143

幾つかの実施形態では、図7(b)に示したように、上述した横断部材70が、平板形状を有する堰板部材70Bからなる。
図示した実施形態では、堰板部材70Bは、その板面に孔が形成されていない無孔板からなり、内部空間31の長手方向の略中心位置に設置されている。なお、堰板部材70Bは、その板面に複数の孔が形成されている多孔板であってもよい。

0144

このような実施形態によれば、平板形状を有する堰板部材70Bによって、上述したスロッシングの抑制効果、及び吸収塔本体部32の補強効果を実現することができる。また、このような実施形態によれば、スロッシングの抑制効果に特に優れている。

0145

また、特に図示しないが、上述した横断部材70は、横梁部材70Aと堰板部材70Bの両方を含んでいてもよいものである。

0146

幾つかの実施形態では、上述した図5に示したように、船舶用脱硫装置20は、吸収塔本体部32の内部空間31に導かれた排ガスに対して洗浄液を散布するための散布装置38(38A)をさらに備える。そして、散布装置38Aは、吸収塔本体部32の内部空間31において一対の長手壁面32a、32b(図11を参照)の各々に対して平行に延在する長手方向散水管38a1と、長手方向散水管38a1に設けられた複数の散水ノズル38a2と、を有する。

0147

幾つかの実施形態では、長手方向散水管38a1は、内部空間31の短手方向の略中心位置に1つ設けられていてもよい。また幾つかの実施形態では、長手方向散水管38a1は、内部空間31の短手方向に等間隔に複数設けられていてもよい。

0148

このような実施形態によれば、同一の長手方向散水管38a1に設けられた複数の散水ノズル38a2の各々から長手壁面32a、32bまでの距離を一定にすることができる。これにより、内部空間31において洗浄液を均一に散布することができるため、船舶1の動揺(ローリング、ピッチング、ヨーイング等)に起因して洗浄液の散布が不均一になる不具合の影響を抑制することができる。

0149

図8は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図である。図8に示した吸収塔30は、上述した図5に示した吸収塔30に対して、その散布装置38の構成のみが異なっている。よって、同一の構成には同一の符合を付し、その説明を省略する。

0150

幾つかの実施形態では、図8に示したように、船舶用脱硫装置20は、吸収塔本体部32の内部空間31に導かれた排ガスに対して洗浄液を散布するための散布装置38(38B)をさらに備える。そして、散布装置38Bは、吸収塔本体部32の内部空間31において一対の短手壁面32c、32d(図11を参照)の各々に対して平行に延在するとともに等間隔に配置される複数の短手方向散水管38b1と、複数の短手方向散水管38b1の各々に設けられた少なくとも一つの散水ノズル38b2と、を有する。

0151

幾つかの実施形態では、複数の短手方向散水管38b1の各々には、複数の散水ノズル38b2が等間隔に配置されていてもよい。また、幾つかの実施形態では、隣接する短手方向散水管38b1の各々に配置される散水ノズル38b2の設置位置は、短手方向に重ならないようにずらされて配置されてもよい。幾つかの実施形態では、複数の短手方向散水管38b1に配置される複数の散水ノズル38b2は、平面視において千鳥状に配置されてもよい。

0152

このような実施形態によれば、複数の短手方向散水管38b1の各々に設けられた散水ノズル38b2の散布エリアを等しく設定することができる。これにより、内部空間31において洗浄液を均一に散布することができるため、船舶1の動揺(ローリング、ピッチング、ヨーイング等)に起因して洗浄液の散布が不均一になる不具合の影響を抑制することができる。

0153

縦横比
上述したように、内部空間31の平面形状は長方形状には限定されず、本発明の効果を奏する限りにおいて、長手方向を有する矩形状、楕円形状、長円形状等に形成されていてもよいものである。
図12は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置における吸収塔本体部の内部空間の平面形状と形状(アスペクト比L/W)との関係を説明するための図である。図12(a)〜(c)に示したように、幾つかの実施形態では、吸収塔本体部32の内部空間31は、平面形状の少なくとも一部に円弧状を含んでいる。より詳細には、幾つかの実施形態では、図12(a)に示したように、互いに平行に延在する一対の短手壁面と、一対の短手壁面の端部同士を接続する一対の円弧状壁面と、に画定される略矩形状に形成されている。他の幾つかの実施形態では、図12(b)に示したように、吸収塔本体部32の内部空間31は、楕円形状に形成されている。他の幾つかの実施形態では、図12(c)に示したように、互いに平行に存在する一対の長手壁面と、一対の長手壁面の端部同士を接続する一対の円弧状壁面と、に画定される長円形状に形成されている。

0154

上記の構成によれば、上述した幾つかの実施形態における構成を備えることにより、上述した本発明の効果を奏するものである。例えば、吸収塔本体部の内部空間が、排ガス導入方向に沿って長手方向を有するように構成されていることにより、従来の丸型(円形)の吸収塔と比べてデッドスペースが生じ難いため、船舶に配置する際の配置性に優れている。また、例えばULCSなどの(排ガス導入方向に沿って長手方向を有する平面形状を有する吸収塔の方が配置性に優れる)ある種類の超大型船舶に対して、配置性に優れた船舶用脱硫装置を提供することができる。また、吸収塔本体部の内部空間が、排ガス導入方向と直交する方向に沿って長手方向を有する場合と比べて、排ガスが未脱硫のまま吸収塔の外部に排出されてしまうリスクを低くすることができる。

0155

そして、内部空間の最大幅Wと最大長さLの比(W:L)の上限を1:6.0に設定したことにより、吸収塔内における排ガス流れの不均一性を、本発明者が検討したところの実用上の許容範囲内に収めることができる。

0156

さらに、上記の構成によれば、吸収塔本体部32の内部空間31は、平面形状の少なくとも一部に円弧状を含むことにより、吸収塔本体部32は、内部空間31の円弧状を含む部分の外側に相当する部分に配管を通す等の利用が可能な空間を設けることができるので、レイアウト性を向上させることができる。

0157

(材質)
船舶用脱硫装置20は、屋外露出しているため、潮風や雨水等により外壁面が錆びたり腐食してしまう虞がある。また、上述したように洗浄液として海水を用いる場合には、吸収塔30の内部空間31などを画定する内壁面や散布装置38が錆びたり、腐食してしまう虞がある。また、船舶用脱硫装置20は、船舶1に取付けられるので、重量、加工性耐久性及びメンテナンス性を考慮する必要がある。

0158

幾つかの実施形態では、吸収塔30(吸収塔本体部32、排ガス導入部34及び排ガス導出部36を含む)の壁面(長手壁面32a、32b、短手壁面32c、32dを含む)、並びに、散布装置38の散水管38c1(長手方向散水管38a1、短手方向散水管38b1を含む)及び散水ノズル38c2(散水ノズル38a2、38b2を含む)の材質は、例えばSS400等の炭素鋼普通鋼)である。そして、吸収塔30の壁面、散布装置38の散水管及び散水ノズルの内外面には、防食性塗料による防食被膜が施されている。この場合には、吸収塔30及び散布装置38は、炭素鋼が用いられているので加工性に優れており、また、防食性塗料による防食被膜が施されているので耐食性に優れている。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0159

他の幾つかの実施形態では、吸収塔30の壁面、散布装置38の散水管及び散水ノズルの内外面には、樹脂ライニング又はフレークグラスライニングなどの防食ライニングが施されている。ここで、樹脂ライニングに用いられる樹脂には例えばFRPがある。この場合には、吸収塔30及び散布装置38は、防食ライニングが施されているので耐食性に優れている。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0160

他の幾つかの実施形態では、吸収塔30の壁面、並びに、散布装置38の散水管及び散水ノズルの材質は、例えばSUS316L等の高耐食性ステンレス鋼ステンレス鋼)である。この場合には、吸収塔30及び散布装置38は、高耐食性ステンレス鋼が用いられているので加工性及び耐食性に優れており、かつ、防食性塗料による防食被膜や防食ライニングが施される場合に比べて、製造時間を短縮でき、耐久性及びメンテナンス性に優れている。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0161

他の幾つかの実施形態では、吸収塔30の上方に位置する、吸収塔本体部32の少なくとも一部及び排ガス導出部36の材質は、FRP(繊維強化プラスチック)である。この場合には、吸収塔30の上方に位置する、吸収塔本体部32の少なくとも一部及び排ガス導出部36は、FRPが用いられているので加工性及び耐食性に優れており、かつ、防食性塗料による防食被膜や防食ライニングが施される場合に比べて、製造時間を短縮でき、耐久性及びメンテナンス性に優れている。そして、炭素鋼やステンレス鋼が用いられる場合に比べて、軽量にすることができる。また、吸収塔30の上方でかかる荷重が小さい部分を軽量にすることで、吸収塔30の重心を低い位置にすることができるので、ローリングに対して高い抵抗性を有する吸収塔30とすることができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0162

(塔上部)
上述したように、吸収塔の平面形状が、排ガス導入方向に沿って長手方向を有する形状に形成されていると、長手方向の手前側(排ガス導入口側)と奥側(排ガス導入口と反対側)とでガス流速が大きく異なってしまい、吸収塔内において均一に排ガスを流すことが難しくなり、吸収塔内における排ガスの流れが不均一になる虞がある。

0163

図13は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図であって、図5に示すA方向から見た図である。図13に示したように、幾つかの実施形態では、吸収塔30は、上述した散布装置38による洗浄液の散布状況や内部空間31の内部における排ガスの流れ等を確認するための内部空間確認装置80を含んでいる。

0164

内部空間確認装置80は、図13に示したように、吸収塔30(吸収塔本体部32)の外側から内部空間31の内部を視認可能とする光透過性の視認窓80Aを含んでいる。視認窓80Aは、例えばガラス面などの光透過性のある光透過性部材を有し、散布装置38により散布される洗浄液の上端(頂端)が確認可能な高さ位置に設けられている。より詳細には、視認窓80Aは、図13に示したように、他方側の側端部39bにおける、ミストエリミネータ37より下方かつ散布装置38より上方の高さ位置に設けられている。幾つかの実施形態では、視認窓80Aは、図13に示したように、他方側の側端部39bの幅方向の略中心位置に1つ設けられている。また、幾つかの実施形態では、視認窓80Aは、他方側の側端部39bの幅方向に等間隔に複数設けられている。

0165

なお、散布装置38により散布される洗浄液の上端(頂端)は、上述した充填層35を備える吸収塔30では、散布装置38の散水ノズル38c2(散水ノズル38a2、38b2を含む)から1m程度上方に位置している。また、後述する図15に示したような、充填層35を備えない吸収塔30では、散布装置38の散水ノズル38c2から最大10m程度上方に位置している。また、充填層35を備えない吸収塔には、散水ノズル38c2が下向きに設置され、スプレーするものやトレーを使って気液の分散を行うものもある。これらの充填層35を備えない吸収塔に対しても、上述した幾つかの実施形態及び後述する幾つかの実施形態に係る発明を適用可能である。幾つかの実施形態では、視認窓80Aは、洗浄液の上端(頂端)と略同一の高さ位置に配置されている。また、他の幾つかの実施形態では、視認窓80Aは、図15に示したように、吸収塔本体部32の短手方向における側端部39cの奥側(排ガス導入口と反対側)寄りの位置に設けられている。

0166

上記の構成によれば、吸収塔30は、内部空間確認装置80(視認窓80A)を含むことで、散布装置38による洗浄液の散布状況や内部空間31の内部における排ガスの流れ等を確認することができる。そして、散布装置38による散布状況が悪い場合には、散布装置38の散水ノズル38c2の洗浄などの処理を行うことで、散布装置38による散布状況の改善を図ることができる。また、内部空間確認装置80(視認窓80A)を長手方向他方側の側端部39bや短手方向の側端部39cの奥側(排ガス導入口と反対側)寄りの位置に設けることで、排ガス導入口側に設けられる内部空間確認装置80(視認窓80A)では確認が困難な、排ガス導入口と反対側における排ガスの流れを確認することができる。

0167

また、吸収塔30は、内部空間確認装置80(視認窓80A)を含むことで、散布装置38の散水ノズル38c2から散布される洗浄液の角度を確認することができ、洗浄液の角度からスロッシングの状況を把握することができる。また、他の幾つかの実施形態では、視認窓80Aの光透過性部材に鉛直方向や水平方向に沿って延在する直線等の目印を設けることで、洗浄液の角度を容易に確認することができる。また、上述した目印を金属線などにすることにより、視認窓80Aを補強することができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0168

なお、幾つかの実施形態では、内部空間確認装置80(視認窓80A)は、散布装置38の散布状況の確認以外の他の用途に用いてもよい。例えば、排ガス導入口側に視認窓80Aを設けて排ガス導入口側の排ガスの流れを確認するのに用いたり、洗浄液が貯留される貯留空間31aの液面近傍の高さ位置に視認窓80Aを設けて貯留空間31aを確認するのに用いたりしてもよい。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0169

図14は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図であって、充填層を備えない吸収塔(液柱塔、スプレー塔及びトレー式の吸収塔等)の一例を示した図である。幾つかの実施形態では、上述した船舶用脱硫装置20は、図13、14に示したように、上述した吸収塔本体部32及び上述した視認窓80Aを含む吸収塔30を備えている。この場合には、吸収塔30は、排ガスが内部空間31を流れるように構成されている吸収塔本体部32と、吸収塔本体部32の外部から内部空間31を視認可能な光透過性の視認窓80Aと、を含む。このような吸収塔30を備える船舶用脱硫装置20において、作業者などは視認窓80Aを介して、内部空間31を流れる排ガスの流れなどを確認することができる。

0170

幾つかの実施形態では、図13、14に示したように、上述した吸収塔本体部32及び視認窓80Aを含む吸収塔30を備える船舶用脱硫装置20において、吸収塔本体部32の内部空間31は長手方向を有している。そして、上述した吸収塔本体部32は、内部空間31の長手方向における一方側の端部に内部空間31と連通する上述した排ガス導入口33を有している。さらに上述した視認窓80Aは、内部空間31の長手方向における他方側に設けられる。ここで、「他方側」とは、内部空間31の長手方向における中央よりも一方側から離れた側をいう。
図13に示した実施形態では、視認窓80Aは、他方側の側端部39bの幅方向の略中心位置に1つ設けられている。他の幾つかの実施形態では、視認窓80Aは、他方側の側端部39bの幅方向に等間隔に複数設けられている。
図14に示した実施形態では、視認窓80Aは、吸収塔本体部32の短手方向における側端部39cの奥側(排ガス導入口と反対側)寄りの位置に設けられている。

0171

内部空間31が長手方向を有していると、排ガス導入口33側と、排ガス導入口33と反対側と、でガス流速が大きく異なってしまい、吸収塔30内における排ガスの流れが不均一になる虞がある。上記の構成によれば、吸収塔本体部32は、内部空間31の長手方向における一方側の端部に内部空間31と連通する排ガス導入口33を有する。そして、視認窓80Aは、内部空間31の長手方向における他方側の、例えば長手方向他方側の側端部39bや短手方向の側端部39cの奥側(排ガス導入口と反対側)寄りの位置に設けられる。作業者などは視認窓80Aを介して、仮に排ガス導入口33側に設けられる視認窓では確認が困難な、排ガス導入口33と反対側における排ガスの流れを確認することができる。

0172

幾つかの実施形態では、上述した吸収塔本体部32及び視認窓80Aを含む吸収塔30を備える船舶用脱硫装置20において、上述した散布装置38を備えている。該散布装置38は、洗浄液を内部空間31に噴射可能な上述した散水ノズル38c2(散水ノズル38a2、38b2を含む)を有している。そして、上述した視認窓80Aは、散水ノズル38c2を視認可能な位置に配置されている。この場合には、上述した視認窓80Aは、散水ノズル38c2を視認可能な位置に配置されているので、作業者などは視認窓80Aを介して、散水ノズル38c2による洗浄液の噴射状況などの、散布装置38による洗浄液の散布状況を確認することができる。そして、散布装置38による洗浄液に散布状況が悪い場合には、散水ノズル38c2の洗浄などの処理を行うことで、散布装置38による散布状況の改善を図ることができる。

0173

他の幾つかの実施形態では、上述した吸収塔本体部32及び視認窓80Aを含む吸収塔30を備える船舶用脱硫装置20において、上述した散布装置38を備えている。該散布装置38は、洗浄液を内部空間31に噴射可能な上述した散水ノズル38c2(散水ノズル38a2、38b2を含む)を有している。散水ノズル38c2は、洗浄液を上向きに噴射可能に構成されている。散水ノズル38c2から上向きに噴射された洗浄液は、内部空間31において上端(頂端)まで上昇した後に自然落下する。そして、上述した視認窓80Aは、散布装置38により散布される洗浄液の上端(頂端)が確認可能な高さ位置に設けられている。より詳細には、視認窓80Aは、設計上における洗浄液の上端(頂端)と略同一の高さ位置に配置されている。この場合には、上述した視認窓80Aは、散布装置38により散布される洗浄液の上端を確認可能な位置に配置されているので、作業者などは視認窓80Aを介して、散布装置38による洗浄液の散布状況が適切なものであるかを確認することができる。

0174

幾つかの実施形態では、図13に示したような、充填層35を備える吸収塔30において、視認窓80Aは、散布装置38の散水ノズル38c2よりも上方に0.5m以上1.5m以下、好ましくは0.7m以上1.3m以下、さらに好ましくは、0.8m以上1.2m以下だけ離れた高さ位置に設けられている。この場合には、作業者は視認窓80Aを介して、散布装置38により散布される洗浄液の上端(頂端)が確認可能である。

0175

幾つかの実施形態では、図14に示したような、充填層35を備えない吸収塔30において、視認窓80Aは、散布装置38の散水ノズル38c2よりも上方に5m以上15m以下、好ましくは7m以上13m以下、さらに好ましくは、8m以上12m以下だけ離れた高さ位置に設けられている。この場合には、作業者は視認窓80Aを介して、散布装置38により散布される洗浄液の上端(頂端)が確認可能である。

0176

幾つかの実施形態では、上述した吸収塔本体部32及び視認窓80Aを含む吸収塔30と、散水ノズル38c2を有する散布装置38と、を備える船舶用脱硫装置20において、上述した吸収塔本体部32は、排ガスが鉛直方向における下方から上方に向かって流れるように構成されているとともに、内部空間31において散水ノズル38c2よりも上方に設けられる上述したミストエリミネータ37を有している。そして、視認窓80Aは、図13、14に示したように、散水ノズル38c2よりも上方、且つ、上記ミストエリミネータ37よりも下方、に配置された。この場合には、吸収塔本体部32は、排ガスが鉛直方向における下方から上方に向かって流れるように構成されている。そして、視認窓80Aは、散水ノズル38c2よりも上方、且つ、ミストエリミネータ37よりも下方、に配置されている。排ガスは、ミストエリミネータ37よりも下方において、洗浄液に気液接触するので、仮にミストエリミネータ37よりも上方に視認窓80Aを設けても、散布装置38による洗浄液の散布状況を確認することができない。視認窓80Aを上述した配置にすることで、作業者は、視認窓80Aを介して、散布装置38による洗浄液の散布状況を確認することができる。特に、散水ノズル38c2が洗浄液を上向きに噴射可能に構成されている場合には、作業者は上述した視認窓80Aを介して、散布装置38により散布される洗浄液の上端を確認することで、洗浄液の散布状況が適切なものであるかを確認することができる。
上述した幾つかの実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0177

充填材
上述したように、充填層35では、例えば多数の規則充填物が何層にも積層されるようになっている。ここで、充填層35における充填物(充填材)は、吸収塔30の内部における排ガスと洗浄液との気液接触効率を高めるものである。吸収塔30は、船舶1の動揺(ローリング、ピッチング、ヨーイング等)に起因して、充填層35において積層されている充填物が移動して不均一な配置になると、排ガスが未脱硫のまま吸収塔の外部に排出されてしまう虞がある。

0178

図15は、本発明の一実施形態における充填物を説明するための斜視図(概念図)である。図15に示したように、幾つかの実施形態では、充填層35における充填物35Aは、縦横に複数並んで配置されている。充填物35Aは、図15に示したように、各々が略直方体状に形成されている。充填物35Aは、例えば、500mm、500mm及び100mmの外径寸法を有している。そして、充填物35Aは、内部空間31の充填層35を設ける位置において、各々が縦横に複数並んで配置されている。なお、充填層35では、充填物35Aが積層されずに1層の充填物35Aが横方向に複数並んで配置されていてもよい。

0179

上記の構成によれば、充填層35における充填物35Aは、互いに少なくとも横方向に並んで配置されているので、船舶1の動揺による移動が制限されて、不均一な配置になることが防止されるため、排ガスが未脱硫のまま吸収塔の外部に排出されてしまうリスクを低くすることができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。

0180

幾つかの実施形態では、充填物35Aは、少なくとも一部に規則充填物を含むものであり、他の幾つかの実施形態では、充填物35Aは、少なくとも一部に不規則充填物を含んでいる。ここで、「規則充填物」とは、規則的に積み重ねるのに適した充填物を表し、「不規則充填物」とは、充填する際に、不規則に積まれる充填物を表す。不規則充填物は、規則充填物より必要圧損が大きいが、洗浄液の分散性を向上させることができる。このため、充填物35Aは、必要圧損と洗浄液による処理性能により、規則充填物及び不規則充填物のいずれかにするか、又は、規則充填物及び不規則充填物の割合をどうするかが選定される。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。

0181

幾つかの実施形態では、上述した船舶用脱硫装置20は、上述した吸収塔本体部32を含む吸収塔30と、上述した散布装置38と、上述した内部空間31に設けられる充填層35に充填される充填物35Aであって、充填層35を通過する排ガスに洗浄液を気液接触させるように構成されている充填物35Aと、を備えている。この場合には、船舶用脱硫装置20は、排ガスが充填層35に充填された充填物35Aの間(隙間)を流れる際に、充填物35Aの表面において接触面積が大きくなった洗浄液と、充填物35Aにより流れが乱れた排ガスと、を気液接触させることができる。このような船舶用脱硫装置20によれば、充填物35Aにより洗浄液と排ガスとの気液接触効率を高めることができるので、充填物35Aを備えない場合に比べて、排ガス中に含まれる硫黄分を効果的に除去することができる。

0182

図16は、本発明の一実施形態における防食層を説明するための概略図であり、船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図である。図16に示したように、幾つかの実施形態では、吸収塔本体部32の内部空間31を画定する壁面(長手壁面32a、32b、短手壁面32c、32dを含む)のうちの、充填層35を区画する壁面以外の壁面の少なくとも一部に防食層84が形成されている。そして、吸収塔本体部32の充填層を区画する壁面には防食層84が形成されていない。防食層84は、上述した防食性塗料による防食被膜と、上述した防食ライニングと、を含む。

0183

吸収塔30(吸収塔本体部32)は、ブロック工法により組立てられる。すなわち、吸収塔30(吸収塔本体部32)は、輪切りなど幾つかの層状の部分ごとに製造されて、各々の層状の部分を積み重ねて部分同士を繋ぎ合わせることで完成する。

0184

吸収塔本体部32は、図16二点鎖線で各部分を区分けして示したように、充填層35を区画する壁面を有する第1層状部分32Aと、吸収塔本体部32における第1層状部分32Aよりも下方の部分である第2層状部分32Bであって、貯留空間31aや下方側内部空間31bを区画する壁面を有する第2層状部分32Bと、吸収塔本体部32における第1層状部分32Aよりも上方の部分である第3層状部分32Cであって、上方側内部空間31cを区画する壁面を有する第3層状部分32Cと、を積み重ねて部分同士を繋ぎ合わせることで完成する。

0185

第2層状部分32B、第3層状部分32Cおよび排ガス導入部34の材質は、例えばSS400等の炭素鋼(普通鋼)である。そして、図16に示したように、第2層状部分32B、第3層状部分32Cおよび排ガス導入部34の壁面(内壁面)には、防食層84が形成されている。これに対して、第1層状部分32Aの材質は、例えばSUS316L等の高耐食性ステンレス鋼(ステンレス鋼)である。そして、図16に示したように、第1層状部分32Aの壁面(内壁面)には、防食層84が形成されていない。

0186

船舶用脱硫装置20は、吸収塔本体部32の内部を高温の排ガスが流れるので、吸収塔本体部32の内部空間31を画定する壁面(内壁面)などが、排ガス中に含まれる硫黄分などによって腐食する虞がある。また、洗浄液として海水を用いる場合には、海水により上述した壁面などが腐食する虞がある。通常、上述した壁面を保護するためには、上述した壁面の全面にわたって防食層84を設けることが考えられる。しかし、船舶の揺れにより充填物35Aが動いて、充填層35を区画する壁面を保護する防食層84に衝突して、該防食層84を剥離や損傷させる虞がある。防食層84の剥離や損傷は、防食層84に保護された壁面の腐食を招く虞がある。

0187

上記の構成によれば、船舶用脱硫装置20は、吸収塔本体部32の内部空間31を画定する壁面(内壁面)の内、充填層35を区画する壁面以外の壁面に防食層84が形成されている。充填層35を区画する壁面に防食層84を形成すると、船舶の揺れにより充填物35Aが動き、防食層84に衝突して、該防食層84を剥離や損傷させる虞があるため、充填層35を区画する壁面に防食層84を形成しないで、それに替えて、吸収塔本体部32の内、充填層35を囲む層状部分(上記第1層状部分32A)を、例えばステンレスなどの耐食性材料から構成することにより、壁面の腐食を抑制する。このような船舶用脱硫装置20は、充填物35Aによる防食層84の損傷を防止しつつ、内部空間31を画定する壁面の腐食を抑制することができる。

0188

幾つかの実施形態では、上述した吸収塔本体部32を含む吸収塔30と、上述した散布装置38と、上述した充填物35Aと、を備える船舶用脱硫装置20において、充填物35Aは、規則充填物である。この場合には、船舶用脱硫装置20は、充填物35Aが規則充填物であるので、充填物35Aが不規則充填物である場合に比べて、排ガスの圧力損失を少なくすることができるとともに、排ガスの処理量を大きくすることができる。このため、規則充填物を充填物35Aとする船舶用脱硫装置20は、不規則充填物を充填物35Aとする船舶用脱硫装置20に比べて、吸収塔30の小型化が可能となる。また、規則充填物は、不規則充填物に比べて、船舶1の揺れによって移動し難く、船舶1の揺れにより不均一な配置になり難い。このため、規則充填物を充填物35Aとする船舶用脱硫装置20は、不規則充填物を充填物35Aとする船舶用脱硫装置20に比べて、排ガスが未脱硫のまま吸収塔30の外部に排出されてしまうリスクを低くすることができる。

0189

幾つかの実施形態では、上述した吸収塔本体部32を含む吸収塔30と、上述した散布装置38と、上述した充填物35Aと、を備える船舶用脱硫装置20において、吸収塔本体部32は、排ガスが鉛直方向における下方から上方に向かって流れるように構成されている。そして、散布装置38は、洗浄液を上向きに噴射するように構成されている。この場合には、散布装置38は、洗浄液を上向きに噴射するように構成されている。上向きに噴射された洗浄液は、上端(頂部)で分散した後に微細化して落下することで、内部空間31の例えば充填物35Aの表面に分散して存在する。排ガスは、内部空間31を鉛直方向における下方から上方に向かって流れる際に、充填物35Aの表面に付着した洗浄液や落下する洗浄液と気液接触することで、排ガス中に含まれる硫黄分が除去される。
上述した幾つかの実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。

0190

幾つかの実施形態では、充填物35Aは、少なくとも上面が人の荷重に対応できる強度を有している。この場合には、内部空間31内に部品を設置する場合やメンテナンス作業時における足場として利用することができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。

0191

幾つかの実施形態では、図13に示した充填層35と散布装置38との間の間隔Hnが2m以上である。この場合には、作業空間が確保されるので、散布装置38の据付け交換作業の効率化が図れる。また、作業空間の拡大に応じて内部空間31と外部とを繋ぐマンホールの大きさを大きくすることで、散布装置38の据付けや交換作業の効率化がさらに図れる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0192

幾つかの実施形態では、図14に示したように、貯留空間31a内の少なくとも一部にpH調整剤81が配置されている。より詳細には、pH調整剤81は、図14に示したように、網の内部に敷き詰められるとともに、貯留空間31aの底面の少なくとも一部に敷き詰められるロック状のアルカリ剤81Aを含んでいる。また、幾つかの実施形態では、ロック状のアルカリ剤81Aは、貯留空間31aの底一面に敷き詰められている。

0193

上記の構成によれば、貯留空間31a内の少なくとも一部にロック状のアルカリ剤81Aが配置されているので、ロック状のアルカリ剤81Aと、亜硫酸を含む低pH脱硫後の海水(洗浄液)と、を接触させることができるため、低pH脱硫後の海水を中和してpH値を上昇させることができる。また、貯留空間31aの底一面にロック状のアルカリ剤81Aを敷き詰めることで、スロッシング時の波跳ねを軽減させることができるため、スロッシング時に吸収塔本体部32にかかる力を軽減させることができる。また、スロッシング時の波跳ねを軽減させることは、図14に示したような、吸収塔30が貯留空間31a内に貯留される散布済みの洗浄液が一定量を超えた際に、下流側に位置する海水排出管59に流れるような仕切り82を備える場合に特に有用であり、スロッシング時の波跳ねにより散布済みの洗浄液が一定量に満たないのに下流側に流れるのを抑制することができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0194

また、幾つかの実施形態では、図14に示したように、吸収塔30は、貯留空間31aと海水排出管59の内部空間59aとの間に、上述した仕切り82と、長手方向他方側の側端部39bの下端部と、貯留空間31aの底面と、側端部39bから垂直方向に沿って海水排出管59側に延在する天井部83と、により画定される海水通水空間82aが形成されている。そして、海水通水空間82aの底一面に上述したロック状のアルカリ剤81Aが敷き詰められている。

0195

上記の構成によれば、海水通水空間82a内の少なくとも一部にロック状のアルカリ剤81Aが配置されているので、ロック状のアルカリ剤81Aと、亜硫酸を含む低pH脱硫後の海水(洗浄液)と、を接触させることができるため、低pH脱硫後の海水を中和してpH値を上昇させることができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0196

また、幾つかの実施形態では、海水通水空間82aの上方に位置する天井部83に開閉可能なハッチ83aが設けられている。この場合には、ハッチ83aを開くことで、海水通水空間82a内のロック状のアルカリ剤81Aを網ごと交換することができるので、ロック状のアルカリ剤81Aの交換作業の効率化が図れる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0197

図14に示したように、幾つかの実施形態では、吸収塔30は、下方側内部空間31bと上方側内部空間31cとを隔てる充填層35を備えない構成になっている。ここで、図14では、散布装置38より下方を下方側内部空間31bとし、散布装置38より上方を上方側内部空間31cとしている。散布装置38は、充填層35が備える場合に比べて吸収塔本体部32の下方寄りに配置されている。このため、上方側内部空間31cは、鉛直方向に沿って長さを有している。

0198

上記の構成によれば、上方側内部空間31cは、鉛直方向に沿って長さを有しているので、散布装置38から散布される洗浄液の上端(頂端)を高い位置にすることができる。このため、吸収塔30は、充填層35を備えなくても排ガスが未脱硫のまま吸収塔の外部に排出されてしまうリスクを低くすることができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0199

図17は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の吸収塔を示した概略図であって、壁面補強部材と間仕切り壁とを説明するための図である。図17に示したように、幾つかの実施形態では、吸収塔30は、吸収塔本体部32の内部に壁面補強部材92が設けられている。壁面補強部材92は、図17に示したように、一対の長手壁面32a、32b及び一対の短手壁面32c、32dの内の一つに固定されており、固定された壁面から内部空間31側に突出するよう設けられ、水平方向に固定された壁面に沿うような長手方向を有している。この場合には、壁面補強部材92により吸収塔30の構造強度を保つことができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。

0200

幾つかの実施形態では、吸収塔30は、図17に示したように、内部空間31内に配置されて長手方向に沿って延在して内部空間31を複数の空間に分割する少なくとも一つの間仕切り壁93を備える。この場合には、間仕切り壁93により吸収塔30の構造強度を保つことができるとともに、間仕切り壁93により排ガスを整流することができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。

0201

幾つかの実施形態では、吸収塔30は、一対の長手壁面32a、32bが一対の短手壁面32c、32dよりも厚肉に形成されている。この場合には、一対の長手壁面32a、32bを厚肉にすることで、吸収塔30の構造強度を保つことができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。

0202

(スプレー)
幾つかの実施形態では、図5、8、14に示したように、上述した船舶用脱硫装置20は、上述した吸収塔本体部32を含む吸収塔30と、上述した散布装置38と、を備えている。そして、散布装置38は、内部空間31に延在する散水管38c1(長手方向散水管38a1、短手方向散水管38b1を含む)と、散水管38c1に所定間隔を開けて配置された複数の散水ノズル38c2(散水ノズル38a2、38b2を含む)と、を有している。この場合には、船舶用脱硫装置20は、散水管38c1を流れる洗浄液を、散水管38c1に所定間隔を開けて配置された複数の散水ノズル38c2の各々から噴射させることで、内部空間31に洗浄液を均一に散布することができる。よって、船舶用脱硫装置20は、船舶1の動揺(ローリング、ピッチング、ヨーイング等)に起因して洗浄液の散布が不均一になる不具合の影響を抑制することができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。

0203

幾つかの実施形態では、吸収塔30は、長手方向を有する長尺状に形成されており、散布装置38の散水管38c1を下側から支持可能な少なくとも一つのサポートをさらに含む。サポートは、丸棒角棒であってもよく、平板状、L字型などであってもよい。そして、サポートは、長手方向が散水管の長手方向に対して交差するように配置されており、長手方向の両端部が吸収塔本体部32の壁面に固定されている。複数のサポートを備える場合には、複数のサポートは、互いの長手方向が沿うように互いに等間隔になるように配置されている。なお、散水管38c1は、サポートに固定されるようになっていてもよい。

0204

上記の構成によれば、散布装置38の散水管38c1は、サポートにより下側から支持されているので、散水管38c1自体が構造強度を有していなくても良く、散水管38c1の小型化や軽量化を行うことができる。また、散水管38c1の設置時及び交換時にはサポートの上に載せた状態で作業を行うことができるので、設置作業や交換作業の効率化が図れる。また、サポートが等間隔に配置される場合には、サポート同士の間に散水ノズル38c2を設けることで散水ノズル38c2を容易に均等に配置することができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。

0205

幾つかの実施形態では、吸収塔30は、複数の上述したサポートをさらに含む。複数のサポートは、吸収塔30の高さ方向の一定間隔ごとに配置されている。

0206

上記の構成によれば、複数のサポートは、吸収塔30の高さ方向の一定間隔ごとに配置されているので、散水管38c1の高さ位置を変更することができる。また、複数のサポートは、例えばライニングメンテナンスの際に作業足場の設置に用いることができるので、作業足場の手間を省き、設置作業の時間を短縮することができる。また、複数のサポートは、作業足場の設置以外の用途にも自由に活用することができるので、吸収塔30のメンテナンス性を向上させることができる。ここで、船舶1は、停泊費用などの問題からドッグでの作業期間、或いは岸壁に停泊することができる期間が限られるので、船舶1に備えられる吸収塔30のメンテナンス性、メンテナンス期間短縮は特に重要である。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。

0207

幾つかの実施形態では、散布装置38の散水管38c1は、サポートにより下側から支持されることが不要な程度の構造強度を有している。この場合には、吸収塔30にサポートを設置しなくてもよい。
また、幾つかの実施形態では、散布装置38の散水管38c1は、人の荷重に対応できる強度を有している。この場合には、散水管38c1を内部空間31内に部品を設置する場合やメンテナンス作業時における足場として利用することができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。

0208

幾つかの実施形態では、散布装置38の散水管38c1は、吸収塔本体部32に例えばボルト止めなどの締結手段により着脱可能に固定されている。この場合には、散水管38c1は吸収塔本体部32に着脱可能に固定されているので、散水管38c1の交換作業を容易に行うことができる。このため、吸収塔30のメンテナンス性を向上させることができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。また、本実施に係る発明は、サポートを含む吸収塔、及び、サポートを含まない吸収塔のいずれにも適用可能である。

0209

幾つかの実施形態では、散布装置38の散水ノズル38c2は、散水管38c1に例えばボルト止めやねじ止めなどの締結手段により着脱可能に固定されている。この場合には、散水ノズル38c2は散水管38c1に着脱可能に固定されているので、散水ノズル38c2の交換作業を容易に行うことができる。このため、吸収塔30のメンテナンス性を向上させることができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔にも適用可能である。また、本実施に係る発明は、サポートを含む吸収塔、及び、サポートを含まない吸収塔のいずれにも適用可能である。

0210

脱硫塔前段
図18は、本発明の一実施形態にかかる船舶用脱硫装置の排ガス冷却装置を説明するための図である。図18に示したように、幾つかの実施形態では、船舶用脱硫装置20は、排ガス導入部34の垂直部34B内に配置されて、排ガス導入部34内に導かれた排ガスに対して冷却水を散布するための排ガス冷却装置85をさらに備える。そして、排ガス冷却装置85は、排ガス導入部34の幅方向の両側に位置する一対の壁面に対して平行に又は垂直な方向に延在する散水管85aと、散水管85aに設けられた複数の冷却水ノズル85bと、を有する。ここで、散水管85a及び冷却水ノズル85bのそれぞれは、上述した散水管38c1(長手方向散水管38a1、短手方向散水管38b1を含む)及び散水ノズル38c2(散水ノズル38a2、38b2を含む)のそれぞれと同様の構成を有するので、共通する事項に関する説明は省略する。

0211

上記の構成によれば、冷却水を散布することで、排ガス導入部34内に導かれた排ガスの温度を下げることができる。このため、排ガス導入部34内の温度の上昇を抑制することができる。ここで、船舶用の吸収塔30は、上流側に排ガスの熱交換を行う熱交換器が配置される陸上用の吸収塔に比べて、排ガス導入部34内に導かれる排ガスの温度が高いものである。より詳細には、陸上用の吸収塔は、排ガス導入部34内に導かれる前に170℃程度まで冷却されているが、船舶用の吸収塔は、排ガス導入部34内に300℃程度の排ガスが直接導かれるようになっている。また、船舶用の吸収塔30の排ガス導入部34に防食ライニング(防食層84)が施されている場合には、排ガスの熱により防食ライニングが損傷する虞がある。また、吸収塔本体部32の散布装置38による散布では、排ガス導入部34の入口側の冷却を行うことはできない。したがって、排ガス冷却装置85は、船舶用の吸収塔30に備える場合に特に有用である。また、冷却水を散布することで、排ガス導入部34内に導かれた排ガスの体積を小さくできるので、吸収塔30内で多量の排ガスを処理できるようになる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0212

幾つかの実施形態では、排ガス冷却装置85は、図18に示したように、海水供給装置50の海水供給管58から分岐点TP1において分岐した冷却水供給管58a(冷却水管路)を介して、海水供給ポンプ54aによって船舶本体2の内部に導入された海水が供給されるように構成されている。この場合には、海水供給装置50を散布装置38と共用することができるので、船舶用脱硫装置20の大型化や構造の複雑化を防止することができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

0213

幾つかの実施形態では、船舶用脱硫装置20は、図18に示したように、非常時に排ガス冷却装置85に非常用冷却水を供給するための非常用冷却装置87をさらに備える。ここで、非常時とは、例えば給水塔30内で散布装置38による散布が行われずに排ガスが高温となるなどの場合をいう。非常用冷却装置87は、非常用冷却水を貯留する非常用タンク86と、排ガス冷却装置85の散水管85aと非常用タンク86とに接続されて散水管85aに非常用タンク86からの非常用冷却水を供給するための非常用冷却水管路88と、を含んでいる。そして、非常用冷却装置87は、電源が不要であり、電源喪失時においても動作可能に構成されている。例えば、非常用冷却装置87は、非常用タンク86として加圧タンクを含むものでも良く、また、非常用タンク86が高い位置に配置されて高低差により散水管85aに非常用冷却水が供給されるものであってもよい。また、図18に示したように、非常用冷却水管路88に非常用開閉弁90が設けられていてもよい。非常用開閉弁90は、電源から電気が供給されている間は閉止し、電源喪失時に開くように構成されている。この場合には、電源喪失時においても動作可能な非常用冷却装置87は、非常時に冷却水を散布することで、吸収塔30内に導かれた排ガスの温度を下げることができる。このため、吸収塔30内の温度の上昇を抑制することができるので、高温によって吸収塔30が故障するのを防止することができる。
本実施形態にかかる発明は、アスペクト比が1:1.1超、且つ、1:6.0以下の範囲外の方形の吸収塔や、丸形の吸収塔にも適用可能である。

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