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技術 シリンダ装置

出願人 日立オートモティブシステムズ株式会社
発明者 青木康浩
出願日 2018年3月13日 (2年8ヶ月経過) 出願番号 2019-509188
公開日 2019年11月7日 (1年0ヶ月経過) 公開番号 WO2018-180433
状態 特許登録済
技術分野 流体減衰装置
主要キーワード 環状板体 電極筒 合計本数 傾斜流路 螺旋部材 湾曲加工 縮小行程 内筒電極
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図面 (9)

課題・解決手段

緩衝器1内には、作動流体2として電気粘性流体充填する。緩衝器1は、電極通路19内に電位差を発生させ、電極通路19を流通する電気粘性流体の粘度を変化させることで、発生減衰力が制御される。内筒3と電極筒18との間に形成された電極通路19には、複数の隔壁20を設ける。これにより、電極通路19に複数の螺旋状の流路24を形成する。この場合、流路24には、少なくとも伸び側の流路24の入口24A1側(流入領域E)と比して、入口24A1側から離間する側(中間領域F)の方の流路24の断面積が大きくなる流路断面積変更部が設けられている。

概要

背景

一般に、自動車等の車両には、車体(ばね上)側と各車輪(ばね下)側との間に油圧緩衝器に代表されるシリンダ装置が設けられている。ここで、特許文献1には、作動流体として電気粘性流体を用いたダンパ緩衝器)において、内筒電極筒中間筒)との間に螺旋部材を設け、螺旋部材間を流路とした構成が開示されている。

概要

緩衝器1内には、作動流体2として電気粘性流体を充填する。緩衝器1は、電極通路19内に電位差を発生させ、電極通路19を流通する電気粘性流体の粘度を変化させることで、発生減衰力が制御される。内筒3と電極筒18との間に形成された電極通路19には、複数の隔壁20を設ける。これにより、電極通路19に複数の螺旋状の流路24を形成する。この場合、流路24には、少なくとも伸び側の流路24の入口24A1側(流入領域E)と比して、入口24A1側から離間する側(中間領域F)の方の流路24の断面積が大きくなる流路断面積変更部が設けられている。

目的

本発明の目的は、安定した減衰力特性を得ることができると共に、減衰力可変幅を維持することができるシリンダ装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

シリンダ装置であって、該シリンダ装置には、電界により流体性状が変化する機能性流体封入されており、前記シリンダ装置は、該シリンダ装置の内部に挿入されたロッドと、内筒電極と、外筒電極とを備えており、前記内筒電極と前記外筒電極は、互いに異なる電位電極となっており、前記外筒電極は、前記内筒電極の外側に設けられており、前記シリンダ装置は、また、前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、軸方向の一端側から他端側に向けて前記ロッドの少なくとも伸び側の移動により前記機能性流体が流動する流路を有しており、前記流路には、少なくとも伸び側の流路の入口側と比して、入口側から離間する側の方の前記流路の断面積が大きくなる流路断面積変更部が設けられることを特徴とするシリンダ装置。

請求項2

請求項1に記載のシリンダ装置において、前記流路には、複数本シール部が設けられ、前記流路断面積変更部は、少なくとも伸び側の流路の入口側に設けられた前記シール部の本数と比して、入口側から離間する側の方に設けられた前記シール部の本数を少なくすることによって構成されていることを特徴とするシリンダ装置。

請求項3

請求項2に記載のシリンダ装置において、前記シール部は、軸方向に直交する交線に対する傾斜角度が一定ではなく、少なくとも伸び側の流路の入口側には傾斜角度が大きい急傾斜部を有することを特徴とするシリンダ装置。

請求項4

請求項3に記載のシリンダ装置において、前記急傾斜部は、前記外筒電極の軸線方向に対して斜めに延びる部位を有することを特徴とするシリンダ装置。

請求項5

請求項3または4に記載のシリンダ装置において、前記急傾斜部は、前記外筒電極の軸線方向に対して平行に延びる部位を有することを特徴とするシリンダ装置。

技術分野

0001

本発明は、例えば自動車鉄道車両等の車両の振動緩衝するのに好適に用いられるシリンダ装置に関する。

背景技術

0002

一般に、自動車等の車両には、車体(ばね上)側と各車輪(ばね下)側との間に油圧緩衝器に代表されるシリンダ装置が設けられている。ここで、特許文献1には、作動流体として電気粘性流体を用いたダンパ緩衝器)において、内筒電極筒中間筒)との間に螺旋部材を設け、螺旋部材間を流路とした構成が開示されている。

先行技術

0003

国際公開第2014/135183号

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、特許文献1に開示されたシリンダ装置では、螺旋部材間の角度を小さく設定して流路長さを確保することにより、より最大減衰力を大きくすることができる。しかし、螺旋部材の角度を小さく設定すると、電気粘性流体の流れ方向が流路の入口で大きく変化するので、電気粘性流体の流れに乱れが発生して減衰力特性が不安定になる虞がある。また、螺旋部材の角度を小さくすると、螺旋部材間のピッチが小さくなり、流路の開口面積が減少するため、最小減衰力が大きくなってしまい所望の値に対して過大になる虞がある。

0005

本発明の目的は、安定した減衰力特性を得ることができると共に、減衰力可変幅を維持することができるシリンダ装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

本発明の一実施形態に係るシリンダ装置は、電界により流体性状が変化する機能性流体封入され、内部にロッドが挿入されるシリンダ装置であって、互いに異なる電位電極となる内筒電極と、該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、軸方向の一端側から他端側に向けて前記ロッドの少なくとも伸び側の移動により前記機能性流体が流動する流路と、を有し、前記流路には、少なくとも伸び側の流路の入口側と比して、入口側から離間する側の方の前記流路の断面積が大きくなる流路断面積変更部が設けられている。

0007

本発明の一実施形態に係るシリンダ装置によれば、安定した減衰力特性を得ることができると共に、減衰力可変幅を維持しながらソフト減衰力の増加を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0008

実施形態によるシリンダ装置としての緩衝器を示す縦断面図。
内筒とシール部(隔壁)とを示す正面図。
内筒とシール部とを展開して示す説明図。
第1の変形例による内筒とシール部とを示す正面図。
内筒とシール部とを展開して示す説明図。
第2の変形例による内筒とシール部とを展開して示す説明図。
緩衝器をバイフロー構造とした場合の説明図。
緩衝器をバイフロー構造とした場合の説明図。

実施例

0009

以下、実施形態によるシリンダ装置について、4輪自動車等の車両に設けられる緩衝器に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って説明する。

0010

図1ないし図3は、本発明の実施形態を示している。図1において、シリンダ装置としての緩衝器1は、内部に封入する作動油等の作動流体2として機能性流体(即ち、電気粘性流体)を用いた減衰力調整式の油圧緩衝器(セミアクティブダンパ)として構成されている。緩衝器1は、例えば、コイルばねからなる懸架ばね(図示せず)と共に、車両用サスペンション装置を構成する。なお、以下の説明では、緩衝器1の軸方向の一端側を「上端」側とし、軸方向の他端側を「下端」側として記載するが、緩衝器1の軸方向の一端側を「下端」側とし、軸方向の他端側を「上端」側としてもよい。

0011

緩衝器1は、内筒3、外筒4、ピストン6、ピストンロッド9、ボトムバルブ13、および電極筒18等を含んで構成されている。内筒3は、軸方向に延びる円筒状の筒体として形成され、内部に機能性流体である作動流体2が封入されている。また、内筒3の内部には、ピストンロッド9が挿入され、内筒3の外側には、外筒4および電極筒18が同軸となるように設けられている。なお、本実施の形態では、内筒3を内筒電極としており、電極筒18を外筒電極としている。

0012

内筒3は、下端側がボトムバルブ13のバルブボディ14に嵌合して取付けられており、上端側は、ロッドガイド10に嵌合して取付けられている。内筒3には、電極通路19に常時連通する油穴3Aが、径方向横孔として周方向に離間して複数(例えば、4個)形成されている。即ち、内筒3内のロッド側油室Bは、油穴3Aによって電極通路19と連通している。また、内筒3の外周側には、後述の隔壁20が螺旋状に巻回して設けられている。

0013

外筒4は、緩衝器1の外殻をなすもので、円筒体として形成されている。外筒4は、内筒3および電極筒18の外周に設けられており、該電極筒18との間に電極通路19と連通するリザーバ室Aを形成している。この場合、外筒4は、その下端側がボトムキャップ5により溶接装置等を用いて閉塞された閉塞端となっている。ボトムキャップ5は、ボトムバルブ13のバルブボディ14と共にベース部材を構成している。

0014

外筒4の上端側は、開口端となっている。外筒4の開口端側には、例えば、かしめ部4Aが径方向内側に屈曲して形成されている。かしめ部4Aは、シール部材12の環状板体12Aの外周側を抜け止め状態で保持している。

0015

ここで、内筒3と外筒4はシリンダを構成し、該シリンダ内には、作動流体2が封入されている。実施形態では、シリンダ内に充填(封入)される流体、即ち、作動油となる作動流体2として、機能性流体の一種である電気粘性流体(ERF:Electro Rheological Fluid)を用いている。なお、図1および図2では、封入されている作動流体2を無色透明で表している。

0016

電気粘性流体は、電界(電圧)により性状が変化する流体(機能性流体)である。即ち、電気粘性流体は、印加される電圧に応じて粘度が変化し、流通抵抗(減衰力)が変化するものである。電気粘性流体は、例えば、シリコンオイル等からなる基油ベースオイル)と、該基油に混ぜ込まれ(分散され)電界の変化に応じて粘性可変にする粒子微粒子)とにより構成されている。

0017

後述するように、緩衝器1は、内筒3と電極筒18との間の電極通路19内に電界を発生させ、該電極通路19を通過する電気粘性流体の粘度を制御することで、発生減衰力を制御(調整)する構成となっている。なお、実施形態では機能性流体として電気粘性流体(ER流体)を例に挙げて説明するが、例えば、機能性流体として、磁界により流体の性状が変化する磁性流体MR流体)を用いてもよい。

0018

内筒3と外筒4との間、より具体的には、電極筒18と外筒4との間には、リザーバとなる環状のリザーバ室Aが形成されている。リザーバ室A内には、作動流体2と共に作動気体となるガスが封入されている。このガスは、大気圧状態の空気であってもよく、また圧縮された窒素ガス等の気体を用いてもよい。リザーバ室A内のガスは、ピストンロッド9の縮小縮み行程)時に、当該ピストンロッド9の進入体積分を補償すべく圧縮される。

0019

ピストン6は、内筒3内に摺動可能に設けられている。ピストン6は、内筒3内を第1室となるロッド側油室Bと第2室となるボトム側油室Cとに分けている。ピストン6には、ロッド側油室Bとボトム側油室Cとを連通可能とする油路6A,6Bがそれぞれ複数個、周方向に離間して形成されている。

0020

ここで、実施形態による緩衝器1は、ユニフロー構造となっている。このため、内筒3内の作動流体2は、ピストンロッド9の縮み行程と伸び行程との両行程で、ロッド側油室B(即ち、内筒3の油穴3A)から電極通路19に向けて常に一方向(即ち、図1中に二点鎖線で示す矢印Dの方向)に流通する。

0021

このようなユニフロー構造を実現するため、ピストン6の上端面には、例えば、ピストンロッド9の縮小行程(縮み行程)でピストン6が内筒3内を下向きに摺動変位するときに開弁し、これ以外のときには閉弁する縮み側逆止弁7が設けられている。縮み側逆止弁7は、ボトム側油室C内の油液(作動流体2)がロッド側油室Bに向けて各油路6A内を流通するのを許し、これとは逆向きに油液が流れるのを阻止する。即ち、縮み側逆止弁7は、ボトム側油室Cからロッド側油室Bへの作動流体2の流通のみを許容する。

0022

ピストン6の下端面には、例えば、伸長側ディスクバルブ8が設けられている。伸長側のディスクバルブ8は、ピストンロッド9の伸長行程(伸び行程)でピストン6が内筒3内を上向きに摺動変位するときに、ロッド側油室B内の圧力がリリーフ設定圧を越えると開弁し、このときの圧力を、各油路6Bを介してボトム側油室C側にリリーフする。

0023

ロッドとしてのピストンロッド9は、内筒3内を軸方向(内筒3および外筒4の軸方向、即ち緩衝器1の中心軸線と同方向であり、図1および図2の上下方向)に延びている。即ち、ピストンロッド9は、その下端が内筒3内でピストン6に連結(固定)され、その上端がロッド側油室Bを通って内筒3および外筒4の外部へ延出されている。この場合、ピストンロッド9の下端側には、ナット9A等を用いてピストン6が固定(固着)されている。一方、ピストンロッド9の上端側は、ロッドガイド10を介して外部に突出している。なお、ピストンロッド9の下端をさらに延ばしてボトム部(例えば、ボトムキャップ5)側から外向きに突出させた両ロッド形式の緩衝器としてもよい。

0024

内筒3と外筒4の上端側には、これら内筒3と外筒4の上端側を閉塞するように段付円筒状のロッドガイド10が嵌合して設けられている。ロッドガイド10は、ピストンロッド9を支持するもので、例えば金属材料硬質樹脂材料等に成形加工切削加工等を施すことにより所定形状の筒体として形成されている。ロッドガイド10は、内筒3の上側部分および電極筒18の上側部分を、外筒4の中央に位置決めする。これと共に、ロッドガイド10は、その内周側でピストンロッド9を軸方向に摺動可能に案内(ガイド)する。

0025

ここで、ロッドガイド10は、上側に位置して外筒4の内周側に挿嵌される環状の大径部10Aと、該大径部10Aの下端側に位置して内筒3の内周側に挿嵌される短尺筒状の小径部10Bとにより段付円筒状に形成されている。ロッドガイド10の小径部10Bの内周側には、ピストンロッド9を軸方向に摺動可能にガイドするガイド部10Cが設けられている。ガイド部10Cは、例えば金属筒内周面に4フッ化エチレンコーティングを施すことにより形成されている。

0026

一方、ロッドガイド10の外周側で大径部10Aと小径部10Bとの間には、環状の保持部材11が嵌合して取付けられている。保持部材11は、電極筒18の上端側を軸方向に位置決めした状態で保持している。保持部材11は、例えば電気絶縁性材料アイソレータ)により形成され、内筒3およびロッドガイド10と電極筒18との間を電気的に絶縁した状態に保っている。

0027

ロッドガイド10の大径部10Aと外筒4のかしめ部4Aとの間には、環状のシール部材12が設けられている。シール部材12は、中心にピストンロッド9が挿通される孔が設けられた金属性の環状板体12Aと、該環状板体12Aに焼き付等の手段で固着されたゴム等の弾性材料からなる弾性体12Bとを含んで構成されている。シール部材12は、弾性体12Bの内周がピストンロッド9の外周側に摺接することにより、ピストンロッド9との間を液密、気密に封止(シール)する。

0028

内筒3の下端側には、該内筒3とボトムキャップ5との間に位置してボトムバルブ13が設けられている。ボトムバルブ13は、ボトム側油室Cとリザーバ室Aとを連通・遮断するものである。このために、ボトムバルブ13は、バルブボディ14と、伸び側逆止弁15と、ディスクバルブ16とを含んで構成されている。バルブボディ14は、ボトムキャップ5と内筒3との間でリザーバ室Aとボトム側油室Cとを画成する。

0029

バルブボディ14には、リザーバ室Aとボトム側油室Cとを連通可能とする油路14A,14Bがそれぞれ周方向に間隔をあけて形成されている。バルブボディ14の外周側には、段差部14Cが形成され、該段差部14Cには、内筒3の下端内周側が嵌合して固定されている。また、段差部14Cには、環状の保持部材17が内筒3の外周側に嵌合して取付けられている。

0030

伸び側逆止弁15は、例えば、バルブボディ14の上面側に設けられている。伸び側逆止弁15は、ピストンロッド9の伸長行程でピストン6が上向きに摺動変位するときに開弁し、これ以外のときには閉弁する。伸び側逆止弁15は、リザーバ室A内の油液(作動流体2)がボトム側油室Cに向けて各油路14A内を流通するのを許し、これとは逆向きに油液が流れるのを阻止する。即ち、伸び側逆止弁15は、リザーバ室A側からボトム側油室C側への作動流体2の流通のみを許容する。

0031

縮小側のディスクバルブ16は、例えば、バルブボディ14の下面側に設けられている。縮小側のディスクバルブ16は、ピストンロッド9の縮小行程でピストン6が下向きに摺動変位するときに、ボトム側油室C内の圧力がリリーフ設定圧を越えると開弁し、このときの圧力を、各油路14Bを介してリザーバ室A側にリリーフする。

0032

保持部材17は、電極筒18の下端側を軸方向に位置決めした状態で保持している。保持部材17は、例えば電気絶縁性材料(アイソレータ)により形成され、内筒3およびバルブボディ14と電極筒18との間を電気的に絶縁した状態に保っている。また、保持部材17には、電極通路19をリザーバ室Aに対して連通させる複数の油路17Aが形成されている。

0033

内筒3の外側、即ち、内筒3と外筒4との間には、軸方向に延びる圧力管からなる電極筒18が設けられている。電極筒18は、内筒3と外筒4との間の中間筒となるもので、筒状の外筒電極に相当する。電極筒18は、導電性材料を用いて形成され、筒状の電極を構成するものである。電極筒18は、内筒3との間にロッド側油室Bと連通する電極通路19を形成している。

0034

即ち、電極筒18は、内筒3の外周側に軸方向(上下方向)に離間して設けられた保持部材11,17を介して取付けられている。電極筒18は、内筒3の外周側を全周にわたって取囲むことにより、電極筒18の内部(電極筒18の内周側と内筒3の外周側との間)に環状の通路、即ち、作動流体2が流通する中間通路としての電極通路19を形成している。電極通路19内(即ち、内筒3の外周面と電極筒18の内周面との間)は、複数の隔壁20によって複数の流路24が形成されている。

0035

電極通路19は、内筒3に径方向の横孔として形成した油穴3Aによりロッド側油室Bと常時連通している。即ち、図1で作動流体2の流れの方向を矢印Dで示すように、緩衝器1は、ピストン6の圧縮行程および伸び行程の両方で、ロッド側油室Bから油穴3Aを通じて電極通路19内に作動流体2が流入する。電極通路19内に流入した作動流体2は、ピストンロッド9が内筒3内を進退動するとき(即ち、縮み行程と伸び行程を繰返す間)に、この進退動により電極通路19の軸方向の上端側から下端側に向けて流動する。

0036

このとき、電極通路19内の作動流体2は、各隔壁20によって案内されつつ各隔壁20間の流路24を流動する。即ち、ピストンロッド9の伸び側の移動と縮み側の移動とにより、作動流体2が内筒3内から電極通路19に流入し、流路24内を軸方向の一端側から他端側に向けて流動する。そして、電極通路19内に流入した作動流体2は、電極筒18の下端側から保持部材17の油路17Aを介してリザーバ室Aへと流出する。

0037

電極通路19は、外筒4および内筒3内でピストン6の摺動によって流通する流体、即ち、作動流体2となる電気粘性流体に抵抗を付与する。このために、電極筒18は、電源となるバッテリ25の正極に、例えば、高電圧を発生する高電圧ドライバ(図示せず)を介して接続されている。バッテリ25(および高電圧ドライバ)は、電圧供給部(電界供給部)となり、電極筒18は、電極通路19内の流体である作動流体2、即ち、機能性流体としての電気粘性流体に電界(電圧)をかける電極(エレクトロード)となる。この場合、電極筒18の両端側は、電気絶縁性の保持部材11,17によって電気的に絶縁されている。一方、内筒3は、ロッドガイド10、ボトムバルブ13、ボトムキャップ5、外筒4、高電圧ドライバ等を介して負極(グランド)に接続されている。

0038

高電圧ドライバは、緩衝器1の減衰力を可変に調整するためのコントローラ(図示せず)から出力される指令(高電圧指令)に基づいて、バッテリ25から出力される直流電圧を昇圧して電極筒18に供給(出力)する。これにより、電極筒18と内筒3との間、即ち電極通路19内には、電極筒18に印加される電圧に応じた電位差が発生し、電気粘性流体である作動流体2の粘度が変化する。この場合、緩衝器1は、電極筒18に印加される電圧に応じて、発生減衰力の特性(減衰力特性)をソフト(Soft)な特性(軟特性)とハード(Hard)な特性(硬特性)との間で連続的に調整することができる。なお、緩衝器1は、減衰力特性を連続的でなくとも、2段階または複数段階に調整可能なものであってもよい。

0039

ここで、緩衝器の減衰力可変幅は、主に外筒と内筒との間で螺旋部材によって形成される流路の長さによって決まる。従って、より大きな減衰力可変幅を得たい場合には、螺旋部材の角度(ピッチ)を小さくし(傾斜角度を小さくし)、流路長を長くする必要がある。しかし、螺旋部材のピッチを小さく設定すると、作動流体(電気粘性流体)の流れ方向が流路の入口で大きく変化するので、作動流体の流れに乱れが発生して減衰力特性が不安定になる虞がある。また、螺旋部材の角度を小さくすると、流路の開口面積が減少するため、ソフト減衰力(最小減衰力)が所望の値に対して過大になる虞がある。

0040

これに対し、本実施形態では、流路24には、少なくとも伸び側の流路の入口側(油穴3A側)と比して、入口側から離間する側の方の流路24の断面積が大きくなる流路断面積変更部が設けられている。この場合、流路断面積変更部は、螺旋部材に対応する隔壁20を、次のように構成している。以下、本実施形態の隔壁20について、図1ないし図3を参照しつつ説明する。

0041

シール部(シール部材)としての複数本の隔壁20は、内筒3の外周側に位置して上下方向に延びる螺旋状に設けられている。各隔壁20は、内筒3と電極筒18との間に後述の複数本の流路24を形成するものである。各隔壁20は、エラストマ等の弾性を有し、かつ電気的絶縁性を有する高分子材料、例えば合成ゴムにより形成されている。各隔壁20は、例えば接着剤等を用いて内筒3に対して固着(接着)されている。

0042

各隔壁20よりも上側の位置でかつ、各隔壁20の上端部と軸方向に対向(対面)する位置には、内筒3の油穴3Aが設けられている。即ち、内筒3の油穴3Aと各隔壁20の上端部(後述する急傾斜部21Aと上短隔壁22の上端部)は、軸方向に一致するように配置されている。なお、油穴3Aの位置は、これに限らず、例えば各隔壁20よりも上側の位置でかつ、各隔壁20間に設けられていてもよい。なお、緩衝器1をバイフロー構造とした場合には、油穴3Aに加えて各隔壁20よりも下側の位置にも油穴を設けることになる。

0043

そして、隔壁20は、内筒3の上端側(流入側)から下端側(流出側)に向けて螺旋状に連続して延びる複数本(例えば、2本)の長隔壁21と、内筒3の上端側に設けられ長隔壁21よりも短い複数本(例えば、2本)の上短隔壁22と、内筒3の下端側に設けられ長隔壁21よりも短い複数本(例えば、2本)の下短隔壁23とを含んで構成されている。

0044

図2図3に示すように、各長隔壁21は、内筒3の上端側(油穴3A側)に位置する作動流体2の流入領域Eに設けられた急傾斜部21Aと、内筒3の上下方向の中間領域Fと下端側に位置する作動流体2の流出領域Gとに設けられた緩傾斜部21Bとをそれぞれ含んで構成されている。この場合、流入領域Eは、伸び側の流路24の入口側を構成し、長隔壁21が設けられている内筒3の上下方向のうちの上側4分の1ないし一部(例えば、25%〜2.5%)に設定されている。

0045

一方、中間領域Fは、入口側から離間する側を構成し、長隔壁21が設けられている内筒3の上下方向のうちの中間部半分ないし一部(例えば、50%〜95%)に設定されている。また、流出領域Gは、長隔壁21が設けられている内筒3の上下方向のうちの下側4分の1ないし一部(例えば、25%〜2.5%)に設定されている。流入領域E、中間領域F、および流出領域Gの割合は、緩衝器1の仕様、寸法等に応じて、所望の性能(減衰性能応答性能)が得られるように、例えば実験、計算、シミュレーション等により設定することができる。

0046

即ち、長隔壁21は、傾斜角度が一定ではなく、少なくともピストンロッド9の伸び側(内筒3の上端側)の流路24の入口側(流入領域E)には傾斜角度が大きい急傾斜部21Aを有している。具体的には、各長隔壁21の一端側には、他の部分(緩傾斜部21B)と比較して傾斜角度が大きい急傾斜部21Aが設けられている。

0047

次に、長隔壁21の急傾斜部21Aと緩傾斜部21Bとの傾斜角度について説明する。

0048

図2に示すように、急傾斜部21Aと緩傾斜部21Bとは、電極筒18の軸線K−K方向に対して斜めに延びている。そして、図3に示すように、電極筒18の軸線K−Kと平行な仮想線をL−Lとし、この仮想線L−Lと直交する仮想線(直交線)をM−Mとした場合に、急傾斜部21Aと仮想線M−Mとの成す角度αは、緩傾斜部21Bと仮想線M−Mとの成す角度βよりも大きくなっている。即ち、成す角度αと成す角度βは、下記の数1式の関係となっている。

0049

0050

即ち、急傾斜部21Aは、緩傾斜部21Bよりも仮想線L−Lに近い位置に設けられ、緩傾斜部21Bは、急傾斜部21Aよりも仮想線M−Mに近い位置に設けられている。従って、長隔壁21は、仮想線M−Mに対する傾斜角度が一定ではなく、少なくとも伸び側の流路24の入口側には仮想線M−Mに対する傾斜角度が大きい急傾斜部21Aを有している。

0051

流入領域Eと中間領域Fとの境界部は、急傾斜部21Aと緩傾斜部21Bとが接続される折曲部21Cとなっている。折曲部21Cは、急傾斜部21Aと緩傾斜部21Bとを滑らかに連続(接続)させるために湾曲した接続部とすることができる。これにより、急傾斜流路24Aから緩傾斜流路24Bに流入するときの作動流体2の流れを円滑にすることができるので、減衰力特性の乱れをさらに抑制できる。

0052

次に、上短隔壁22と下短隔壁23とについて説明する。

0053

各上短隔壁22は、各長隔壁21の急傾斜部21A間に位置して流入領域Eにのみ設けられている。この場合、各上短隔壁22は、急傾斜部21Aと平行となっている。即ち、上短隔壁22は、仮想線M−Mとの成す角度がαであり、流入領域Eと中間領域Fとの境界部が下端となっている。上短隔壁22は、長隔壁21の急傾斜部21Aと共に本発明の急傾斜部を構成している。図3に示すように、流入領域Eに設けられた隔壁20の本数は4本となり、中間領域Fに設けられた隔壁20の本数は2本となっている。即ち、隔壁20の本数は、少なくとも伸び側の流路24の入口側(流入領域E)と比して、入口側から離間する側(中間領域F)の方の本数が少なくなっている。これにより、流入領域Eにおける急傾斜流路24Aの流路断面積に比して、中間領域Fにおける緩傾斜流路24Bの流路断面積を大きくしている。即ち、流路24には、小さな断面積となった急傾斜流路24Aと急傾斜流路24Aの断面積よりも大きな断面積となった緩傾斜流路24Bとによる流路断面積変更部が設けられている。

0054

また、各下短隔壁23は、各長隔壁21の緩傾斜部21B間に位置して流出領域Gにのみ設けられている。この場合、各下短隔壁23は、緩傾斜部21Bと平行となっている。即ち、各下短隔壁23は、仮想線M−Mとの成す角度がβであり、中間領域Fと流出領域Gとの境界部が上端となっている。上短隔壁22と下短隔壁23とは、上,下方向(内筒3の軸方向)で対応した位置に設けられている。従って、流出領域Gに設けられた隔壁20の本数は、流入領域Eと同様の4本となっている。

0055

従って、流入領域Eにおける隔壁20の本数をX、中間領域Fにおける隔壁20の本数をY、および流出領域Gにおける隔壁20の本数をZとすると、下記数2式の関係となっている。

0056

0057

流入領域E、中間領域F、および流出領域Gでの隔壁20の本数(即ち、流路24の本数)は、内筒3の外径寸法、仮想線M−Mとの成す角度αおよびβ、および緩衝器1の仕様、寸法等に応じて、所望の性能(減衰性能、応答性能)が得られるように、例えば実験、計算、シミュレーション等により設定することができる。

0058

次に、各隔壁20により形成される作動流体2の流路24について説明する。

0059

各流路24は、隣り合う隔壁20間に形成されている。各流路24には、ピストンロッド9の進退動に伴って、軸方向の上端側から下端側に向けて作動流体2が流動する。図2に示すように、各隔壁20は、周方向に延びる螺旋状に形成されている。これにより、隣り合う隔壁20間に形成される流路24も、周方向に延びる螺旋状となっている。

0060

各流路24は、内筒3の軸方向の上側(油穴3A側)から下側に見て時計回りの方向に作動流体2が流動する流路となっている。これにより、軸方向に直線的に延びる流路と比較して、油穴3Aから保持部材の油路17Aまでの流路の長さを長くできる。そして、流路24は、流入領域Eに形成された急傾斜流路24Aと中間領域Fと流出領域Gとに形成された緩傾斜流路24Bとを含んで構成されている。

0061

急傾斜流路24Aは、長隔壁21の急傾斜部21Aと上短隔壁22との間に形成されている。即ち、急傾斜流路24Aは、長隔壁21の急傾斜部21Aと上短隔壁22との合計本数(例えば、4本)と同じ本数となっている。急傾斜流路24Aは、緩傾斜流路24Bと比較して仮想線M−Mに対する傾斜角度が大きくなっている。そして、内筒3の油穴3Aから流出した作動流体2は、急傾斜流路24Aの入口24A1から急傾斜流路24Aへと導かれる。

0062

この場合、仮想線M−Mに対する急傾斜部21Aと上短隔壁22との傾斜角度αが大きくなっているので、急傾斜流路24Aの入口24A1で作動流体2の流れ方向が急変するのを抑制することができる。また、上短隔壁22により流入領域Eでの急傾斜流路24Aの本数を増加させているので、急傾斜流路24Aの入口24A1付近での作動流体2の流速を均一にすることができる。

0063

これにより、急傾斜流路24Aに流入する作動流体2を整流させることができるので、安定した減衰力特性を得ることができる。なお、本実施の形態では、急傾斜流路24Aの本数を4本としているが、内筒3の外径寸法が大きいほど、また仮想線M−Mに対する急傾斜部21Aと上短隔壁22との傾斜角度αが小さくなるほど作動流体2の流速を均一にするために必要な急傾斜流路24Aの本数は増加することになる。

0064

急傾斜流路24Aを流通する作動流体2は、緩傾斜流路24Bへと導かれる。緩傾斜流路24Bは、急傾斜流路24Aと比較して仮想線M−Mに対する傾斜角度βが小さくなっている。これにより、作動流体2の流路長さを確保して所望の減衰力を得ることができる。そして、緩傾斜流路24Bは、中間領域Fに位置して隣り合う長隔壁21の緩傾斜部21B間に形成された大流路部24B1と、流出領域Gに位置して緩傾斜部21Bと下短隔壁23との間に形成された小流路部24B2とを含んで構成されている。

0065

図3に示すように、大流路部24B1は、上端側が急傾斜流路24Aに接続され、長隔壁21の緩傾斜部21Bの合計本数(例えば、2本)と同じ本数となっている。即ち、中間領域Fでは、隔壁20の本数が流入領域Eよりも少なくなっており、これにより流路24の断面積を変更する流路断面積変更部となっている。緩傾斜流路24Bの大流路部24B1は、その流路断面積が急傾斜流路24Aの流路断面積よりも大きくなっている。その結果、大流路部24B1の入口24B3での開口面積を増加させることができるので、ソフト減衰力の増加を抑制(緩和)させることができる。

0066

小流路部24B2は、上端側が大流路部24B1に接続され、長隔壁21の緩傾斜部21Bと下短隔壁23との合計本数(例えば、4本)と同じ本数となっている。即ち、流出領域Gでは、隔壁20の本数が中間領域Fよりも多くなっている。従って、流出領域Gでは、作動流体2の流路長さが延長されるので、減衰力可変幅を増加させることができる。

0067

バッテリ25は、正極が図示しない高電圧ドライバを介して電極筒18に接続されている。このバッテリ25は、電極筒18への電圧供給部(電界供給部)となっている。これにより、バッテリ25は、電極通路19内を流通する作動流体2(電気粘性流体)に印加される電圧(電界)の大きさに応じて、発生減衰力の特性(減衰力特性)をソフト(Soft)な特性(軟特性)とハード(Hard)な特性(硬特性)との間で連続的に調整している。

0068

本実施形態による緩衝器1は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。

0069

緩衝器1を自動車等の車両に実装するときは、例えば、ピストンロッド9の上端側を車両の車体側に取付け、外筒4の下端側(ボトムキャップ5側)を車輪側車軸側)に取付ける。車両の走行時には、路面の凹凸等により、上,下方向の振動が発生すると、ピストンロッド9が外筒4から伸長、縮小するように変位する。このとき、コントローラからの指令によりバッテリ25を用いて電極通路19内に電位差を発生させ、電極通路19内の各流路24を通過する作動流体2、即ち電気粘性流体の粘度を制御することにより、緩衝器1の発生減衰力を可変に調整する。

0070

ピストンロッド9の伸び行程時には、内筒3内のピストン6の移動によってピストン6の縮み側逆止弁7が閉じる。ピストン6のディスクバルブ8の開弁前には、ロッド側油室Bの油液(作動流体2)が加圧され、内筒3の油穴3Aを通じて電極通路19内に流入する。このとき、ピストン6が移動した分の油液は、リザーバ室Aからボトムバルブ13の伸び側逆止弁15を開いてボトム側油室Cに流入する。

0071

一方、ピストンロッド9の縮み行程時には、内筒3内のピストン6の移動によってピストン6の縮み側逆止弁7が開き、ボトムバルブ13の伸び側逆止弁15が閉じる。ボトムバルブ13(ディスクバルブ16)の開弁前には、ボトム側油室Cの油液がロッド側油室Bに流入する。これと共に、ピストンロッド9が内筒3内に進入した分に相当する油液が、ロッド側油室Bから内筒3の油穴3Aを通じて電極通路19内に流入する。

0072

従って、いずれの場合も(伸び行程時も縮み行程時も)、電極通路19内に流入した作動流体2は、電極通路19の電位差(電極筒18と内筒3との間の電位差)に応じた粘度で電極通路19内を出口側(下側)に向けて通過し、電極通路19から保持部材17の油路17Aを通じてリザーバ室Aに流れる。このとき、緩衝器1は、電極通路19内の各流路24を通過する作動流体2の粘度に応じた減衰力が発生し、車両の上下振動を緩衝(減衰)することができる。

0073

ところで、上述した従来技術では、電極通路内に隔壁(螺旋部材)を設けることにより作動流体の流路の長さを延長させて大きな減衰力可変幅を得ている。この場合、隔壁間の角度(ピッチ)を小さくすることで、より流路の長さを延長させてより大きな減衰力可変幅を得ることができる。しかし、隔壁の角度を小さくすると、作動流体の流れ方向が流路の入口で大きく変化するので、作動流体の流れに乱れが発生して減衰力特性が不安定になる虞がある。また、隔壁のピッチを小さくすると、流路の開口面積が減少するため、ソフト減衰力が所望の値に対して過大になる虞がある。

0074

そこで、本実施形態では、流路24は、螺旋状に延びる複数本の隔壁20によって形成される螺旋状の流路であり、隔壁20の本数は、少なくとも伸び側の流路24の入口側(流入領域E)と比して、入口側から離間する側(中間領域F)の方の本数が少なくなっている。即ち、図3に示すように、流入領域Eに設けられた隔壁20の本数Xは、中間領域Fに設けられた隔壁20の本数Yよりも多くなっている(X>Y)。

0075

具体的には、流入領域Eには、隣り合う長隔壁21の急傾斜部21A間に上短隔壁22が設けられている。急傾斜部21Aと上短隔壁22との間は、作動流体2が流れる急傾斜流路24Aとなっている。一方、中間領域Fには、長隔壁21の緩傾斜部21Bのみが設けられている。隣り合う緩傾斜部21B間は、隣り合う急傾斜流路24Aが合流する緩傾斜流路24Bの大流路部24B1となっている。従って、流入領域Eでの隔壁20の本数は、中間領域Fでの隔壁20の本数よりも上短隔壁22分だけ多くなっている。

0076

これにより、内筒3の油穴3Aから流出した作動流体2が電極通路19を流下して急傾斜流路24Aに流入するときの入口24A1付近での流速を均一にすることができる。従って、急傾斜流路24Aに流入する作動流体2を整流させることができるので、安定した減衰力特性を得ることができる。

0077

さらに、隔壁20の傾斜角度は、一定ではなく、ピストンロッド9の伸び側の流路24の入口側(流入領域E)には、傾斜角度が大きい急傾斜部21Aと上短隔壁22とが設けられている。即ち、流入領域Eに設けられた急傾斜部21Aと上短隔壁22との仮想線M−Mに対する傾斜角度αは、中間領域Fに設けられた緩傾斜部21Bの仮想線M−Mに対する傾斜角度βよりも大きくなっている。

0078

従って、内筒3の油穴3Aから流出した作動流体2が電極通路19を流下して急傾斜流路24Aに流入するときに、急傾斜流路24Aの入口24A1で作動流体2の流れの向きが急変するのを抑制することができる。また、作動流体2は、長隔壁21の急傾斜部21Aから長隔壁21の緩傾斜部21Bに沿って滑らかに流れる。これにより、緩衝器1は、減衰力特性の乱れ、つまりばらつきを抑制することができ、安定した減衰力を発生させることができる。

0079

即ち、ピストンロッド9の伸び行程時および縮み行程時に、内筒3の油穴3Aから流路24内に流入した作動流体2は、本数が多く、かつ作動流体2の流れの向きが小さく変化する急傾斜流路24Aによって整流される。そして、急傾斜流路24Aよりも角度が小さい緩傾斜流路24Bによって流路24の長さを確保している。また、流路24には、流路断面積変更部が設けられている。即ち、流路断面積変更部は、隔壁20の本数を流入領域Eよりも中間領域Fで少なくすることにより、中間領域Fにおける緩傾斜流路24Bの大流路部24B1の流路断面積を流入領域Eにおける急傾斜流路24Aの流路断面積よりも大きくしている。従って、大流路部24B1の入口24B3での開口面積を増加させることができる。これにより、緩衝器1の減衰力可変幅を維持しながら最小(ソフト)減衰力の増加を抑制させることができる。言い換えると、流入領域Eの範囲と比べて、中間領域Fの範囲は、隔壁20の本数が半分である。中間領域Fの範囲で隣り合う緩傾斜部21Bの間でなる流路断面積は、流入領域Eの範囲で急傾斜部21Aと上短隔壁22との間の流路断面積よりも大きいので、ソフトが低減できる。

0080

また、流出領域Gでは、隣り合う長隔壁21の緩傾斜部21B間に下短隔壁23が設けられている。従って、流出領域Gは、緩傾斜部21Bと下短隔壁23との間に大流路部24B1の流路断面積よりも小さな流路断面積となった小流路部24B2が設けられている。これにより、作動流体2の流路長さが延長されるので、減衰力可変幅を増加させることができる。

0081

なお、実施形態では、流入領域Eに設けられた急傾斜部21Aと上短隔壁22とが仮想線L−Lから斜め方向に一直線上に延びた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図4図5に示す第1の変形例のように、流入領域Eに設けられた長隔壁31の急傾斜部32と上短隔壁34とを、屈曲させて複数段状としてもよい。この場合、急傾斜部32は、仮想線M−Mとの成す角度が90°から緩傾斜部33と仮想線M−Mとの成す角度βに向けて複数段状に屈曲させてもよい。同様に、上短隔壁34は、隣り合う急傾斜部32間に急傾斜部32と平行に設けてもよい。なお、上短隔壁34は、流入領域Eにのみ設けられている。

0082

即ち、急傾斜部32は、電極筒18の軸線K−Kに対して平行に延びる平行部32Aと、平行部32Aの下端から緩傾斜部33に向けて延びる斜め部32Bとを含んで構成してもよい。同様に、上短隔壁34は、電極筒18の軸線K−Kに対して平行に延びる平行部34Aと、平行部34Aの下端から急傾斜部32の斜め部32Bに対して平行に延びる斜め部34Bとを含んで構成してもよい。これにより、作動流体2を整流させることができるので、安定した減衰力特性を得ることができる。

0083

実施形態では、中間領域Fでは、2本の長隔壁21の緩傾斜部21Bが設けられている場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図6に示す第2の変形例のように、長隔壁41は、流入領域Eから流出領域Gに亘って延びる全長隔壁41Aと、中間部位Bの途中部位で切断された切断長隔壁41Bとを含んで構成してもよい。即ち、中間領域Fの途中で長隔壁41の本数を1本に減少させてもよい。これに限らず、中間領域Fでの長隔壁41の本数は、緩衝器1の仕様、寸法等に応じて任意に設定することができる。このことは、第1の変形例についても同様である。

0084

実施形態では、流出領域Gにおける長隔壁21の緩傾斜部21Bと下短隔壁23の仮想線M−Mに対する成す角度を中間領域Fにおける緩傾斜部21Bの仮想線M−Mに対する成す角度と同じ(角度β)とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば流出領域Gにおける隔壁20の仮想線M−Mに対する成す角度をβよりも大きく設定してもよいし、小さく設定してもよい。このことは、第1,第2の変形例についても同様である。

0085

実施形態では、中間領域Fでは、緩傾斜部21Bと仮想線M−Mとの成す角度をβで一様に内筒3の外周側に巻回させた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば中間領域Fの途中で緩傾斜部と仮想線M−Mとの成す角度を変化させてもよい。このことは、第1,第2の変形例についても同様である。

0086

実施形態では、流路24を螺旋状の流路とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば流路を蛇行させてもよい。即ち、実施形態では、隔壁20は、螺旋状であり、内筒3の上端側から下端側にわたり一様に同方向に周回している。これに対して、例えば隔壁を途中で折り返す(周回方向が途中から逆転する、途中で時計方向から反時計方向にまたは反時計方向から時計方向に変化する)ように構成してもよい。このことは、第1,第2の変形例についても同様である。

0087

実施形態では、隔壁20を合成ゴムにより形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば合成樹脂等の合成ゴム以外の高分子材料を用いて形成してもよい。さらには、高分子材料以外にも、流路を形成することができる各種の材料を用いることができる。いずれの場合も、隔壁となるシール部は、電気的絶縁性を有する絶縁材料により形成する。このことは、第1,第2の変形例についても同様である。

0088

実施形態では、隔壁20は、内筒3の外周側に固着して設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば隔壁を中間筒(電極筒)の内周側に固着して設ける構成としてもよい。このことは、第1,第2の変形例についても同様である。

0089

実施形態では、隔壁20を内筒3と電極筒18との間に設ける構成、即ち、流路24を内筒3と電極筒18との間に形成する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば流路を中間筒(電極筒)と外筒との間に設けてもよい。即ち、隔壁を中間筒(電極筒)と外筒との間に設けてもよい。この場合、隔壁は、中間筒(電極筒)の外周面または外筒の内周面に固着して設けることができる。このことは、第1,第2の変形例についても同様である。

0090

実施形態では、緩衝器1をユニフロー構造とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、緩衝器を図7図8に示すように、ピストンロッドの伸縮に応じて作動流体が流路内を往復動するようなバイフロー構造としてもよい。このことは、第1,第2の変形例についても同様である。

0091

実施形態では、緩衝器1を上下方向に配置する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばエアレーションを起こさない範囲で傾けて配置する等、取付対象に応じて所望の方向に配置することができる。このことは、第1,第2の変形例についても同様である。

0092

実施形態では、内筒3を内筒電極としており、電極筒18を外筒電極とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、電極筒を内筒電極としてもよく、外筒を外筒電極としてもよい。つまり、径方向に隣り合う筒が互いに異なる電位の電極となるようにすればよい。例えば、内筒と外筒との2つの筒によりシリンダ装置を構成し、これら内筒と外筒とをそれぞれ内筒電極と外筒電極としてもよい。このことは、第1,第2の変形例についても同様である。

0093

実施形態では、作動流体2は、軸方向の上端側(一端側)から下端側(他端側)に向けて流動する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、緩衝器1の配設方向に応じて、例えば下端側から上端側に向けて流動する構成、左端側(または右端側)から右端側(または左端側)に向けて流動する構成、前端側(または後端側)から後端側(または前端側)に向けて流動する構成等、軸方向の他端側から一端側に向けて流動する構成とすることができる。このことは、第1,第2の変形例についても同様である。

0094

実施形態では、機能性流体としての作動流体2を、電気粘性流体(ER流体)により構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば磁界により流体の性状が変化する磁性流体(MR流体)を用いて機能性流体としての作動流体を構成してもよい。磁性流体を用いる場合には、中間筒である電極筒18を電極に相当する磁極とする(即ち、磁界供給部からの磁界を中間筒である磁極筒に付与する)構成とすることができる。この場合は、例えば磁界供給部により、内筒(内筒電極)と磁極筒(外筒電極)との間(の磁極通路)に磁界を発生させ、発生減衰力を可変に調整するときには、磁界を可変に制御する。また、絶縁用の保持部材11,17等は、例えば、非磁性材料により形成することができる。このことは、第1,第2の変形例についても同様である。

0095

実施形態では、シリンダ装置としての緩衝器1を4輪自動車に用いる場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば2輪車に用いる緩衝器、鉄道車両に用いる緩衝器、一般産業機器を含む各種の機械機器に用いる緩衝器、建築物に用いる緩衝器等、緩衝すべき対象を緩衝する各種の緩衝器(シリンダ装置)として広く用いることができる。さらに、実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。即ち、シリンダ装置(緩衝器)は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更が可能である。

0096

本実施形態では、流路断面積変更部は、流路24を区画するシール部としての隔壁20の本数を少なくした場合を用いたが、それに限らず、伸び側の流路の入口側と比して、入口側から離間する側の方の流路断面積を広くすればよい。例えば、流路断面積変更部は、隔壁を湾曲加工することにより、中間領域Fで隣り合う隔壁間の寸法を大きくして流路断面積の差を持たせるようにしてもよい。

0097

以上説明した実施形態に基づくシリンダ装置として、例えば以下に述べる態様のものが考えられる。

0098

第1の態様としては、電界により流体の性状が変化する機能性流体が封入され、内部にロッドが挿入されるシリンダ装置であって、互いに異なる電位の電極となる内筒電極と、該内筒電極の外側に設けられる外筒電極と、前記内筒電極と前記外筒電極との間に形成され、軸方向の一端側から他端側に向けて前記ロッドの少なくとも伸び側の移動により前記機能性流体が流動する流路と、を有し、前記流路には、少なくとも伸び側の流路の入口側と比して、入口側から離間する側の方の前記流路の断面積が大きくなる流路断面積変更部が設けられていることを特徴としている。

0099

第2の態様としては、第1の態様において、前記流路には、複数本のシール部が設けられ、前記流路断面積変更部は、少なくとも伸び側の流路の入口側に設けられた前記シール部の本数と比して、入口側から離間する側の方に設けられた前記シール部の本数が少ないことを特徴としている。

0100

第3の態様としては、第2の態様において、前記シール部は、軸方向に直交する交線に対する傾斜角度が一定ではなく、少なくとも伸び側の流路の入口側には傾斜角度が大きい急傾斜部を有することを特徴としている。

0101

第4の態様としては、第3の態様において、前記急傾斜部は、前記外筒電極の軸線方向に対して斜めに延びる部位を有することを特徴としている。

0102

第5の態様としては、第3または第4の態様において、前記急傾斜部は、前記外筒電極の軸線方向に対して平行に延びる部位を有することを特徴としている。

0103

尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。

0104

本願は、2017年3月30日付出願の日本国特許出願第2017−068009号に基づく優先権を主張する。2017年3月30日付出願の日本国特許出願第2017−068009号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書を含む全開示内容は、参照により本願に全体として組み込まれる。

0105

1緩衝器(シリンダ装置) 2作動流体(機能性流体) 3内筒(内筒電極) 4外筒9ピストンロッド(ロッド) 18電極筒(外筒電極) 20隔壁(シール部) 21 長隔壁 21A,32急傾斜部 22 上短隔壁(急傾斜部) 24流路32A,34A 平行部

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