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技術 プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料

出願人 東レ株式会社
発明者 新井厚仁古川浩司杉本篤希三野真弘三原真由美
出願日 2018年3月16日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2018-515901
公開日 2019年3月28日 (9ヶ月経過) 公開番号 WO2018-173953
状態 特許登録済
技術分野 強化プラスチック材料 エポキシ樹脂
主要キーワード 肉厚部材 曲面部材 シート状炭素繊維 ガラス繊維強化プラスチック製 均一材料 フッ素樹脂製フィルム 開口モード 耐熱耐水性
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年3月28日)のものです。
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図面 (1)

課題・解決手段

本発明は、優れたモードI層間靱性とモードII層間靱性、引張強度を有する炭素繊維強化複合材料が得られるプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料を提供すること。下記構成要素[A]〜[C]を含むプリプレグであって、構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物は、硬化後にX線回折によって観測される回折角度2θ=1.0°〜6.0°に由来する高次構造を有するプリプレグ。[A]:炭素繊維[B]:エポキシ樹脂[C]:[B]の硬化剤

概要

背景

従来、炭素繊維ガラス繊維などの強化繊維と、エポキシ樹脂フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度や剛性などの力学特性耐熱性、また耐食性に優れているため、航空・宇宙自動車鉄道車両船舶土木建築およびスポーツ用品などの数多くの分野に応用されてきた。特に、高性能が要求される用途では、連続した強化繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、強化繊維としては比強度比弾性率に優れた炭素繊維が、そしてマトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂、中でも特に炭素繊維との接着性に優れたエポキシ樹脂が多く用いられている。

炭素繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂を必須の構成要素とする不均一材料であり、そのため強化繊維の配列方向の物性とそれ以外の方向の物性に大きな差が存在する。例えば、強化繊維層間破壊の進行し難さを示す層間靱性は、強化繊維の強度を向上させるのみでは、抜本的な改良に結びつかないことが知られている。特に、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする炭素繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂の低い靭性を反映し、強化繊維の配列方向以外からの応力に対し、破壊され易い性質を持っている。そのため、航空機構造材のように高い強度と信頼性を必要とする用途に向けては、繊維方向強度を確保しつつ、層間靭性を始めとする強化繊維の配列方向以外からの応力に対応することができる複合材料物性の改良を目的に、種々の技術が提案されている。

近年、航空機構造材への炭素繊維強化複合材料の適用部位が拡大していることに加えて、発電効率エネルギー変換効率の向上を目指した風車ブレードや各種タービンへの炭素繊維強化複合材料の適用も進んでおり、肉厚な部材、また3次元的な曲面形状を有する部材への適用検討が進められている。このような肉厚部材、あるいは曲面部材に引っ張り圧縮の応力が負荷された場合、プリプレグ繊維層間への面外方向への引き剥がし応力が発生し、層間に開口モードによる亀裂が生じ、その亀裂の進展により部材全体の強度、剛性が低下し、全体破壊に到る場合がある。この応力に対抗するための、開口モード、すなわちモードIでの層間靱性が必要になる。高いモードI層間靱性を有する炭素繊維強化複合材料を得るには、強化繊維とマトリックス樹脂の高い接着性に加えて、マトリックス樹脂には高い靱性が必要となる。

マトリックス樹脂の靱性を改良するため、マトリックス樹脂にゴム成分を配合する方法(特許文献1参照)、熱可塑性樹脂を配合する方法(特許文献2参照)があるが、十分な効果が得られるものではなかった。また、インターリーフと呼ばれる一種接着層ないしは衝撃吸収層を層間に挿入する方法(特許文献3参照)、および粒子により層間を強化(特許文献4参照)する方法が提案されているが、モードII層間靱性に対しては効果があるものの、モードI層間靱性に対しては、十分な効果が得られるものではなかった。

概要

本発明は、優れたモードI層間靱性とモードII層間靱性、引張強度を有する炭素繊維強化複合材料が得られるプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料を提供すること。下記構成要素[A]〜[C]を含むプリプレグであって、構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物は、硬化後にX線回折によって観測される回折角度2θ=1.0°〜6.0°に由来する高次構造を有するプリプレグ。[A]:炭素繊維[B]:エポキシ樹脂[C]:[B]の硬化剤

目的

本発明の目的は、モードI層間靱性とモードII層間靱性、引張強度に優れた炭素繊維強化複合材料が得られるプリプレグ、および炭素繊維強化複合材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記構成要素[A]〜[C]を含むプリプレグであって、前記構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物は、硬化後にX線回折によって観測される回折角度2θ=1.0°〜6.0°に由来する高次構造を有するプリプレグ。[A]:炭素繊維[B]:エポキシ樹脂[C]:[B]の硬化剤

請求項2

下記構成要素[A]〜[C]を含むプリプレグであって、前記構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物を硬化して得られる樹脂硬化物が、窒素雰囲気下での示差走査熱量分析において昇温速度を5℃/分として50℃から400℃まで昇温した際に、250℃以上の範囲に吸熱ピークを有するプリプレグ。[A]:炭素繊維[B]:エポキシ樹脂[C]:[B]の硬化剤

請求項3

前記構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物が、硬化後に分子方性を示す樹脂領域を含む、請求項1または2に記載のプリプレグ。

請求項4

請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグを硬化させてなる炭素繊維強化複合材料

請求項5

下記構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物と、下記構成要素[A]を含む炭素繊維強化複合材料であって、前記樹脂硬化物がX線回折によって観測される回折角度2θ=1.0°〜6.0°に由来する高次構造を有する炭素繊維強化複合材料。[A]:炭素繊維[B]:エポキシ樹脂[C]:[B]の硬化剤

請求項6

下記構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物と、下記構成要素[A]を含む炭素繊維強化複合材料であって、前記樹脂硬化物が、窒素雰囲気下での示差走査熱量分析において昇温速度を5℃/分として50℃から400℃まで昇温した際に、250℃以上の範囲に吸熱ピークを有する炭素繊維強化複合材料。[A]:炭素繊維[B]:エポキシ樹脂[C]:[B]の硬化剤

請求項7

前記樹脂硬化物が分子異方性を示す樹脂領域を含む、請求項5または6に記載の炭素繊維強化複合材料。

請求項8

構成要素[B]が下記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ。(一般式(1)中、Q1、Q2、Q3はそれぞれ群(I)より選択される1種の構造を含む。一般式(1)中のR1、R2はそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。群(I)中のZは、各々独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜8の脂肪族アルコキシ基フッ素原子塩素原子臭素原子ヨウ素原子シアノ基ニトロ基、又はアセチル基を示す。nは各々独立に0〜4の整数を示す。一般式(1)および群(I)中のY1、Y2、Y3は、それぞれ群(II)より選択される少なくとも1種の2価の基または単結合からなる連結基を示す。)

請求項9

前記構成要素[B]中の全エポキシ樹脂100質量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂の割合が50〜100質量部である、請求項8に記載のプリプレグ。

請求項10

前記構成要素[B]はエポキシ樹脂のプレポリマーを含む、請求項1〜3、8〜9のいずれかに記載のプリプレグ。

請求項11

前記プレポリマーの分子量は15000以下である、請求項10に記載のプリプレグ。

請求項12

前記プレポリマーは、前記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂の重合体、または、前記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂とプレポリマー化剤との反応体である、請求項10または11に記載のプリプレグ。

請求項13

プレポリマー化剤は、フェノール化合物アミン化合物アミド化合物スルフィド化合物および酸無水物からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項12に記載のプリプレグ。

請求項14

プレポリマー化剤は、1分子内に2〜4個の水酸基を有するフェノール化合物である、請求項12または13に記載のプリプレグ。

請求項15

請求項8〜14のいずれかに記載のプリプレグを硬化させてなる炭素繊維強化複合材料。

請求項16

請求項5〜7のいずれかに記載の炭素繊維強化複合材料であって、構成要素[B]が下記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂を含む、炭素繊維強化複合材料。(一般式(1)中、Q1、Q2、Q3はそれぞれ群(I)より選択される1種の構造を含む。一般式(1)中のR1、R2はそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。群(I)中のZは各々独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜8の脂肪族アルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、又はアセチル基を示す。nは各々独立に0〜4の整数を示す。一般式(1)および群(I)中のY1、Y2、Y3はそれぞれ群(II)より選択される少なくとも1種の2価の基または単結合からなる連結基を示す。)

請求項17

前記構成要素[B]中の全エポキシ樹脂100質量部に対して、前記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂の割合が50〜100質量部である、請求項16に記載の炭素繊維強化複合材料。

請求項18

前記構成要素[B]はエポキシ樹脂のプレポリマーを含む、請求項17に記載の炭素繊維強化複合材料。

請求項19

前記プレポリマーの分子量は15000以下である、請求項18に記載の炭素繊維強化複合材料。

請求項20

前記プレポリマーは、前記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂の重合体、または、前記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂とプレポリマー化剤との反応体である、請求項18または19に記載の炭素繊維強化複合材料。

請求項21

プレポリマー化剤は、フェノール化合物、アミン化合物、アミド化合物、スルフィド化合物および酸無水物からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項20に記載の炭素繊維強化複合材料。

請求項22

プレポリマー化剤は、1分子内に2〜4個の水酸基を有するフェノール化合物である、請求項20または21に記載の炭素繊維強化複合材料。

技術分野

0001

本発明は、優れた層間靱性引張強度を兼ね備えた炭素繊維強化複合材料が得られるプリプレグ、および炭素繊維強化複合材料に関するものである。

背景技術

0002

従来、炭素繊維ガラス繊維などの強化繊維と、エポキシ樹脂フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度や剛性などの力学特性耐熱性、また耐食性に優れているため、航空・宇宙自動車鉄道車両船舶土木建築およびスポーツ用品などの数多くの分野に応用されてきた。特に、高性能が要求される用途では、連続した強化繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、強化繊維としては比強度比弾性率に優れた炭素繊維が、そしてマトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂、中でも特に炭素繊維との接着性に優れたエポキシ樹脂が多く用いられている。

0003

炭素繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂を必須の構成要素とする不均一材料であり、そのため強化繊維の配列方向の物性とそれ以外の方向の物性に大きな差が存在する。例えば、強化繊維層間破壊の進行し難さを示す層間靱性は、強化繊維の強度を向上させるのみでは、抜本的な改良に結びつかないことが知られている。特に、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする炭素繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂の低い靭性を反映し、強化繊維の配列方向以外からの応力に対し、破壊され易い性質を持っている。そのため、航空機構造材のように高い強度と信頼性を必要とする用途に向けては、繊維方向強度を確保しつつ、層間靭性を始めとする強化繊維の配列方向以外からの応力に対応することができる複合材料物性の改良を目的に、種々の技術が提案されている。

0004

近年、航空機構造材への炭素繊維強化複合材料の適用部位が拡大していることに加えて、発電効率エネルギー変換効率の向上を目指した風車ブレードや各種タービンへの炭素繊維強化複合材料の適用も進んでおり、肉厚な部材、また3次元的な曲面形状を有する部材への適用検討が進められている。このような肉厚部材、あるいは曲面部材に引っ張り圧縮の応力が負荷された場合、プリプレグ繊維層間への面外方向への引き剥がし応力が発生し、層間に開口モードによる亀裂が生じ、その亀裂の進展により部材全体の強度、剛性が低下し、全体破壊に到る場合がある。この応力に対抗するための、開口モード、すなわちモードIでの層間靱性が必要になる。高いモードI層間靱性を有する炭素繊維強化複合材料を得るには、強化繊維とマトリックス樹脂の高い接着性に加えて、マトリックス樹脂には高い靱性が必要となる。

0005

マトリックス樹脂の靱性を改良するため、マトリックス樹脂にゴム成分を配合する方法(特許文献1参照)、熱可塑性樹脂を配合する方法(特許文献2参照)があるが、十分な効果が得られるものではなかった。また、インターリーフと呼ばれる一種接着層ないしは衝撃吸収層を層間に挿入する方法(特許文献3参照)、および粒子により層間を強化(特許文献4参照)する方法が提案されているが、モードII層間靱性に対しては効果があるものの、モードI層間靱性に対しては、十分な効果が得られるものではなかった。

先行技術

0006

特開2001−139662号公報
特開平7−278412号公報
特開昭60−231738号公報
特公平6−94515号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明の目的は、モードI層間靱性とモードII層間靱性、引張強度に優れた炭素繊維強化複合材料が得られるプリプレグ、および炭素繊維強化複合材料を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のプリプレグは、下記構成要素[A]〜[C]を含むプリプレグであって、前記構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物は、硬化後にX線回折によって観測される回折角度2θ=1.0°〜6.0°に由来する高次構造を有する。
[A]:炭素繊維
[B]:エポキシ樹脂
[C]:[B]の硬化剤

0009

また、本発明のプリプレグは、上記構成要素[A]〜[C]を含むプリプレグであって、上記構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物を硬化して得られる樹脂硬化物が、示差走査熱量分析において、250℃以上の範囲に吸熱ピークを有する。

0010

また、本発明の炭素繊維強化複合材料は、下記構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物と、構成要素[A]を含み、樹脂硬化物がX線回折によって観測される回折角度2θ=1.0°〜6.0°に由来する高次構造を有する炭素繊維強化複合材料である。
[A]:炭素繊維
[B]:エポキシ樹脂
[C]:[B]の硬化剤

0011

また、本発明の炭素繊維強化複合材料は、上記構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物を硬化させてなる樹脂硬化物と、上記構成要素[A]を含み、前記樹脂硬化物が、示差走査熱量分析において、250℃以上の範囲に吸熱ピークを有する炭素繊維強化複合材料である。

発明の効果

0012

本発明によれば、モードI層間靱性とモードII層間靱性、引張強度に優れた炭素繊維強化複合材料が得られる。

図面の簡単な説明

0013

図1は、モードI層間靭性(GIC)の測定を示す図である。

0014

本発明の構成要素[A]である炭素繊維としては、繊維の形態や配列については限定されず、例えば、一方向に引き揃えられた長繊維、単一のトウ織物ニット、不織布、マットおよび組紐などの繊維構造物が用いられる。構成要素[A]の炭素繊維は、2種類以上の炭素繊維の使用や、ガラス繊維、アラミド繊維ボロン繊維PBO繊維、高強力ポリエチレン繊維アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維などの他の強化繊維と組み合わせて用いても構わない。

0015

炭素繊維としては、具体的にはアクリル系、ピッチ系およびレーヨン系等の炭素繊維が挙げられ、特に引張強度の高いアクリル系の炭素繊維が好ましく用いられる。
かかるアクリル系の炭素繊維は、例えば、次に述べる工程を経て製造することができる。アクリロニトリルを主成分とするモノマーから得られるポリアクリロニトリルを含む紡糸原液を、湿式紡糸法乾湿式紡糸法乾式紡糸法、または溶融紡糸法により紡糸する。紡糸後凝固糸は、製糸工程を経て、プリカーサーとし、続いて耐炎化および炭化などの工程を経て炭素繊維を得ることができる。

0016

炭素繊維の形態としては、有撚糸解撚糸および無撚糸等を使用することができるが、有撚糸の場合は炭素繊維を構成するフィラメント配向が平行ではないため、得られる炭素繊維強化複合材料の力学特性の低下の原因となることから、炭素繊維強化複合材料の成形性と強度特性バランスが良い解撚糸または無撚糸が好ましく用いられる。

0017

本発明で用いる炭素繊維は、引張弾性率が200〜440GPaの範囲であることが好ましい。炭素繊維の引張弾性率は、炭素繊維を構成する黒鉛構造結晶度に影響され、結晶度が高いほど弾性率は向上する。この範囲であると炭素繊維強化複合材料に剛性、強度のすべてが高いレベルでバランスするために好ましい。より好ましい弾性率は、230〜400GPaの範囲内であり、さらに好ましくは260〜370GPaの範囲内である。
炭素繊維の引張伸度は、0.8〜3.0%の範囲であることが好ましい。炭素繊維の引張伸度が0.8%より低いと繊維強化複合材料としたときに十分な引張強度や耐衝撃性発現できない場合がある。また、引張伸度が3%を超えると炭素繊維の引張弾性率は低下する傾向にある。より好ましい炭素繊維の引張伸度は、1.0〜2.5%であり、さらに好ましくは1.2〜2.3%の範囲である。ここで、炭素繊維の引張弾性率、引張伸度は、JIS R7601−2006に従い測定された値である。
炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800S−24K、“トレカ(登録商標)”T300−3K、“トレカ(登録商標)”T700S−12K、および“トレカ(登録商標)”T1100G−24K(以上東レ(株)製)などが挙げられる。

0018

本発明において用いられる炭素繊維は、単繊維繊度が0.2〜2.0dtexであることが好ましく、より好ましくは0.4〜1.8dtexである。単繊維繊度が0.2dtex未満では、撚糸時においてガイドローラーとの接触による炭素繊維の損傷が起こり易くなることがあり、また樹脂組成物の含浸処理工程においても同様の損傷が起こることがある。単繊維繊度が2.0dtexを超えると炭素繊維に樹脂組成物が充分に含浸されないことがあり、結果として耐疲労性が低下することがある。

0019

本発明において用いられる炭素繊維は、一つの繊維束中のフィラメント数が2500〜50000本の範囲であることが好ましい。フィラメント数が2500本を下回ると繊維配列蛇行しやすく強度低下の原因となりやすい。また、フィラメント数が50000本を上回るとプリプレグ作製時あるいは成形時に樹脂含浸が難しいことがある。フィラメント数は、より好ましくは2800〜40000本の範囲である。

0020

炭素繊維は、繊維束として集束させるため、サイジング剤が用いられることがある。炭素繊維のサイジング剤としては、エポキシ基水酸基アクリレート基メタクリレート基カルボキシル基およびカルボン酸無水物基からなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有するサイジング剤が好ましく用いられる。炭素繊維表面に存在するサイジング剤の官能基と、樹脂硬化物のポリマーネットワーク中の官能基との間で化学結合、あるいは水素結合などの相互作用を生じ、炭素繊維と樹脂硬化物との接着性を高めるからである。
サイジング剤の炭素繊維への付着量は、組み合わせるマトリックス樹脂により異なるが、炭素繊維に対して0.01〜5.00質量%が好ましく用いられる。付着量が0.01質量%よりも少ないと、サイジング剤としての機能が得られないことが多く、また付着量が5.00質量%を超えると、マトリックス樹脂の耐熱性などの機械物性を損なうことがある。

0021

本発明の炭素繊維強化複合材料は、樹脂組成物が硬化した樹脂硬化物が高次構造を有することで、驚くべきことに優れたモードI層間靱性とモードII層間靱性、引張強度を発現する。これは、炭素繊維強化複合材料内にクラックが進展する際、樹脂硬化物の高次構造を崩すのにエネルギーを多く必要とするためと考えられる。
ここでいう高次構造とは、樹脂組成物の硬化後又は半硬化後に分子が配向配列している状態を意味し、例えば、樹脂硬化物中に結晶構造又は液晶構造が存在する状態を意味する。このような結晶構造又は液晶構造は、例えば、クロスニコル下での偏光顕微鏡による観察やX線散乱法による測定により、その存在を直接確認することができる。また、結晶構造又は液晶構造が存在するとエポキシ樹脂硬化物貯蔵弾性率の温度に対する変化が小さくなるので、この貯蔵弾性率の変化を測定することにより、結晶構造又は液晶構造の存在を間接的に確認できる。

0022

樹脂硬化物の高次構造は、X線回折においては一般的には回折角度2θ≦10°の領域に現れる。本発明では、構成要素[B]あるいは[C]中、または[B]および[C]両方中に存在するメソゲン構造ビフェニル基ターフェニル基ターフェニル類縁基、アントラセン基、およびこれらがアゾメチン基、又はエステル基で接続された基等)に基づく周期構造(高次構造)にあたり、回折角度2θが1.0〜6.0°の範囲にあることで樹脂硬化物は周期構造を取りやすくなり、樹脂靱性の向上する傾向がある。X線回折によって観測されるピークの回折角度2θの範囲は、1.0〜6.0°であることが重要であり、好ましくは2.0〜4.0°である。また、周期構造からなる結晶子サイズが大きいほど、樹脂硬化物は分子が配向配列した大きな構造を有することを示すため好ましい。最大結晶子サイズは、好ましくは25nm以上、より好ましくは50nm以上、さらに好ましくは100nm以上である。

0023

本発明の炭素繊維強化複合材料において、回折角度と最大結晶子サイズは以下の条件により測定した数値である。厚さ1mmで成形した炭素繊維強化複合材料を用いて、長さ40mm、幅10mmの測定試料を用意する。用意された測定試料について、広角X線回折装置を用いて、次の条件により測定を行う。
X線源CuKα線管電圧45kV、管電流40mA)
検出器ゴニオメーターモノクロメーターシンチレーションカウンター
走査範囲:2θ=1〜90°
走査モード:ステップスキャンステップ単位0.1°、計数時間40秒。

0024

結晶子サイズとは、X線回折によって得られた回折パターンにおいて、2θ=1〜10°の範囲に現れるピークについて、半値幅を求め、この値から、次のシェラー(Scherrer)の式により算出する。ここでいう最大結晶子サイズは、1サンプル毎に10点測定した中の最大の結晶子サイズを示す。
結晶サイズ(nm)=Kλ/β0cosθB
但し、
・K:1.0
・λ:0.15418nm(X線の波長
・β0:(βE2−β12)1/2
・βE:見かけの半値幅(測定値)rad
・β1:1.046×10−2rad
・θB:Braggの回析
X線回折の測定は、炭素繊維強化複合材料内の炭素繊維軸に対して平行(0°)、垂直(90°)、45°に対して行った。

0025

樹脂硬化物の高次構造は構成要素[A]の炭素繊維に対していずれの方向を向いても良いが、樹脂硬化物の高次構造が炭素繊維軸に対して垂直な方向のみ周期構造を有する場合、炭素繊維のグラファイト構造由来の強いピークにより、X線回折では樹脂硬化物由来のピークが観測できないことがある。その場合、炭素繊維を除いた樹脂組成物の硬化板にてX線回折により測定を行うことで、周期構造の有無の確認できる。

0026

本発明のプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料は、構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物を硬化して得られる樹脂硬化物が、窒素雰囲気下での示差走査熱量分析において昇温速度を5℃/分として50℃から400℃まで昇温した際に、250℃以上に吸熱ピークを有し、好ましくは280℃以上、より好ましくは300℃以上の範囲に吸熱ピークを有する。ここでいう吸熱ピークは、樹脂硬化物中に形成された液晶構造が相転移する際の吸熱ピークであると考えられる。吸熱ピークがかかる温度になることで、樹脂硬化物が液晶相を維持する温度域が広くなり、高温でも優れた力学特性が発現する樹脂硬化物が得られる。また、液晶相転移温度が高いほどより強固な高次構造を形成しているため、樹脂硬化物および炭素繊維強化複合材料は優れた力学特性を発現する傾向がある。構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物の硬化条件は特に限定されず、配合する樹脂成分や硬化剤に応じて適宜調整することができる。示差走査熱量分析による液晶性の確認には、樹脂硬化物を用いてもよいし、炭素繊維強化複合材料を用いてもよい。

0027

また、本発明の炭素繊維強化複合材料の樹脂硬化物中に存在する周期構造は、偏光顕微鏡による観察によってもその存在を確認することができる。すなわち、クロスニコル状態での観察において、偏光解消による干渉模様が見られる場合は周期構造が存在していると判断できる。

0028

本発明のプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料は、樹脂組成物が、硬化後に分子異方性を示す樹脂領域を含むことが好ましい。ここでいう分子異方性を有する樹脂領域とは、1μm径以上の大きさで分子が配向配列した配向ドメインを示す。樹脂硬化物中に含まれる高次構造が大きくなることで、配向ドメインが大きくなる傾向がある。確認方法としては、例えば、炭素繊維強化複合材料中の樹脂領域の5〜10箇所について、任意の方位を0°とし、偏光方位を0°〜150まで30°間隔で変化させて偏光IRあるいは偏光ラマン分光を測定し、偏光方位に対して信号強度の変化の有無をみることで確認することができる。分子異方性を持たない樹脂硬化物では、偏光方位に対して強度変化は見られない。

0029

本発明の炭素繊維強化複合材料の成形条件は特に限定されないが、成形温度が高すぎると、使用する装置や副資材に高い耐熱性が必要となり、炭素繊維強化複合材料の製造コストが高額となる。また、成形温度が低すぎると、構成要素[B]および[C]の反応に長時間を要し、これも製造コストの増加をまねく恐れがある。成形に用いる最高温度は、100〜220℃が好ましく、120〜200℃がさらに好ましい。

0030

構成要素[B]のエポキシ樹脂は、本発明中の炭素繊維強化複合材料中の樹脂硬化物が高次構造を有するために、メソゲン構造を有して液晶性を示す、いわゆる液晶性エポキシ樹脂が好ましい。液晶性は、[B]単独で示しても良いし、構成要素[C]や他の成分と合わせることで示しても良い。構成要素[B]および[C]がメソゲン構造(ビフェニル基、ターフェニル基、ターフェニル類縁基、アントラセン基、およびこれらがアゾメチン基、又はエステル基で接続された基等)を有することで、その構造に由来する高次構造(周期構造ともいう)が形成される。

0031

構成要素[B]がメソゲン構造を有する場合、下記一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。



一般式(1)中Q1、Q2、Q3はそれぞれ群(I)より選択される1種の構造を含む。一般式(1)中のR1、R2はそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。群(I)中のZは各々独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜8の脂肪族アルコキシ基フッ素原子塩素原子臭素原子ヨウ素原子シアノ基ニトロ基、又はアセチル基を示す。nは各々独立に0〜4の整数を示す。一般式(1)および群(I)中のY1、Y2、Y3はそれぞれ群(II)より選択される少なくとも1種の2価の基又は単結合からなる連結基を示す。

0032

群(I)におけるZは、各々独立に、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜4の脂肪族アルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、又はアセチル基であることが好ましく、メチル基エチル基メトキシ基エトキシ基、又は塩素原子であることがより好ましく、メチル基又はエチル基であることが更に好ましい。群(I)におけるnは、各々独立に、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。

0033

構成要素[B]中のメソゲン構造は、多い方が硬化後に樹脂は高次構造を形成し易いが、多過ぎると軟化点が高くなり、ハンドリング性が低下する。そのため、一般式(1)中のメソゲン構造の数は2つが特に好ましい。メソゲン構造の数が2つとは、ベンゼン環シクロヘキサン環などの環構造を3つ含み、各環構造が化3に記載の構造で結合された状態のことをいう。ここで、本発明における軟化点とは、JIS−K7234(1986)規定の環球法により、リング注型した試料浴槽中にて昇温し、試料にセットした球が光センサーを横切ったときの温度を示す。

0034

一般式(1)中のQ1、Q2、Q3がベンゼン環を含むと、構成要素[B]の構造が剛直になるため高次構造形成し易くなり、靱性向上に有利となるため好ましい。また、一般式(1)中のQ1、Q2、Q3が脂環式炭化水素を含むと、軟化点が低くなりハンドリング性が向上するため、これも好ましい態様となる。構成要素[B]のエポキシ樹脂は、1種類単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。

0035

構成要素[B]は公知の方法により製造することができ、特許第4619770号公報、特開2010−241797号公報、特開2011−98952号公報、特開2011−74366号公報、Journal of Polymer Science: Part A:Polymer Chemistry,Vol.42,3631(2004)等に記載の製造方法を参照することができる。

0036

構成要素[B]の具体例としては、1,4−ビス{4−(オキシラニルメトキシフェニルシクロヘキサン、1−{3−メチル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,4−ビス{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1−{3−メチル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1−{2−メチル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1−{3−エチル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1−{2−エチル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1−{3−n−プロピル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1−{3−イソプロピル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1,4−ビス{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−2−シクロヘキセン、1−{3−メチル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−2−シクロヘキセン、1,4−ビス{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−2,5−シクロヘキサジエン、1−{3−メチル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−2,5−シクロヘキサジエン、1,4−ビス{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1,5−シクロヘキサジエン、1−{3−メチル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1,5−シクロヘキサジエン、1,4−ビス{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1,4−シクロヘキサジエン、1−{3−メチル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1,4−シクロヘキサジエン、1,4−ビス{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1,3−シクロヘキサジエン、1−{3−メチル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−1,3−シクロヘキサジエン、1,4−ビス{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}ベンゼン、1−{3−メチル−4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}−4−{4−(オキシラニルメトキシ)フェニル}ベンゼン、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシベンゾエート}、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンゾエート}、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,6−ジメチルベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,6−ジメチルベンゾエート}、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンゾエート}、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,6−ジメチルベンゾエート}、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)ベンゾエート}、1−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート、1−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート、1−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート、1−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−エチルベンゾエート、1−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−イソプロピルベンゾエート、1−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンゾエート、1,4−ビス{4−(3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1−{4−(3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)−3−メチルフェニル}−4−{4−(3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1,4−ビス{4−(5−メチル−3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1−{4−(5−メチル−3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)−3−メチルフェニル}−4−{4−(5−メチル−3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1,4−ビス{4−(4−メチル−4,5−エポキシペンチルオキシ)フェニル}−1−シクロヘキセン、1,4−ビス{4−(3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}ベンゼン、1−{4−(3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)−3−メチルフェニル}−4−{4−(3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}ベンゼン、1,4−ビス{4−(5−メチル−3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}ベンゼン、1−{4−(5−メチル−3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)−3−メチルフェニル}−4−{4−(5−メチル−3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}ベンゼン、1,4−ビス{4−(4−メチル−4,5−エポキシペンチルオキシ)フェニル}ベンゼン、1,4−ビス{4−(3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}シクロヘキサン、1−{4−(3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)−3−メチルフェニル}−4−{4−(3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,4−ビス{4−(5−メチル−3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}シクロヘキサン、1−{4−(5−メチル−3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)−3−メチルフェニル}−4−{4−(5−メチル−3−オキサ−5,6−エポキシヘキシルオキシ)フェニル}シクロヘキサン、1,4−ビス{4−(4−メチル−4,5−エポキシペンチルオキシ)フェニル}シクロヘキサンなどが挙げられ、中でも、硬化後の高次構造の形成、ハンドリング性、原料入手容易性から、1−(3−メチル−4−オキシラニルメトキシフェニル)−4−(4−オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、1−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート、1−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエートが特に好ましい。

0037

構成要素[B]のエポキシ樹脂は、その一部が硬化剤等により部分的に重合したプレポリマーを含んでもよい。構成要素[B]のエポキシ樹脂は一般に結晶化し易く、炭素繊維に含浸させるためには高温を必要とするものが多い。構成要素[B]エポキシ樹脂の少なくとも一部を重合させたプレポリマーを含むことは、結晶化が抑制される傾向にあるためハンドリング性が良くなり、好ましい態様である。

0038

構成要素[B]のエポキシ樹脂を部分的に重合する方法としては、三級アミン類やイミダゾール類といったアニオン重合触媒や、三フッ化ホウ素アミン錯体等のルイス酸といったカチオン重合触媒により重合させても良いし、エポキシ樹脂と反応可能な官能基を有するプレポリマー化剤を用いてもよい。構成要素[B]のエポキシ樹脂を部分的に重合する場合、製造するプレポリマーの分子量を制御し易いことから、プレポリマー化剤を用いた方法が好ましい。プレポリマーの分子量が大き過ぎると、炭素繊維強化複合材料内の樹脂の架橋密度下がり、耐熱性や力学特性を損なう恐れがある。

0039

構成要素[B]のエポキシ樹脂を部分的に重合するプレポリマー化剤としては、エポキシ樹脂と反応可能な活性水素を2〜4個有する化合物であれば特に限定されない。例えば、フェノール化合物アミン化合物アミド化合物スルフィド化合物酸無水物が挙げられる。ここで、活性水素とは有機化合物において窒素酸素硫黄と結合していて、反応性の高い水素原子をいう。活性水素が1個の場合、プレポリマーを用いたエポキシ樹脂硬化物の架橋密度が低下するため、耐熱性や力学特性が低くなる恐れがある。活性水素基が5個以上になると、構成要素[B]のエポキシ樹脂をプレポリマー化する際に反応の制御が困難となり、ゲル化する恐れがある。プレポリマー化剤として、2〜3個の活性水素を有するフェノール化合物は、プレポリマー化反応中のゲル化抑制と、プレポリマーの貯蔵安定性から特に好適である。

0040

2〜4個の活性水素を有するフェノール化合物の中でも、ベンゼン環を1〜2個有するフェノール化合物は、構成要素[B]のエポキシ樹脂のプレポリマーの構造が剛直になるため高次構造形成し易くなり、靱性向上する傾向があることに加えて、構成要素[B]のエポキシ樹脂のプレポリマー、構成要素[B]のエポキシ樹脂、構成要素[C]の硬化剤を含む樹脂組成物の粘度を低く抑えることができ、ハンドリング性が良くなるため好適である。

0041

2〜3個の活性水素を有するフェノール化合物としては、例えば、カテコールレゾルシノールヒドロキノンビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールG、ビスフェノールZ、トリス(4−ヒドロキシフェニルメタン及びこれらの誘導体が挙げられる。誘導体としては、ベンゼン環に炭素数1〜8のアルキル基等が置換した化合物が挙げられる。これらのフェノール化合物は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。

0042

構成要素[B]に含まれるプレポリマーの分子量は特に制限されない。樹脂組成物の流動性の観点から、数平均分子量は15000以下であることが好ましく、10000以下であることが好ましく、350−5000であることがさらに好ましい。本発明の数平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、SEC:Size exclusion chromatographyともいう)により、標準ポリスチレンを用いた換算分子量を示す。また、本願のプリプレグ、炭素繊維複合材料に含まれる構成要素[B]全体の数平均分子量は、10000以下であることが好ましく、5000以下であることが好ましく、250−3500であることがさらに好ましい。ここでいう数平均分子量は、[B]のモノマーとプレポリマーの分子量差が大きく、GPCでのピークが2本以上に分かれる場合は、[B]に由来するすべてのピークから測定された値をいう。

0043

構成要素[B]のエポキシ樹脂を部分的に重合してプレポリマー化する方法としては、特に制限はないが、例えば、合成溶媒中に構成要素[B]、上記プレポリマー化剤を溶解し、熱をかけながら撹持して合成することができる。プレポリマー化反応時にゲル化をしない範囲において、触媒を用いても良い。溶媒を使用せずに合成することは可能であるが、構成要素[B]は融点が高く、無溶媒ではプレポリマー化反応に高温を必要とするため、安全性の観点から合成溶媒を使用した合成法が好ましい。

0044

構成要素[B]がプレポリマーを含むと結晶化が抑制させる傾向にあるためハンドリング性が良くなるが、含有量が多すぎると、構成要素[B]と構成要素[C]の硬化剤を含む樹脂組成物の溶融粘度が高くなり過ぎてしまい、炭素繊維への含浸が難しくなる恐れがある。構成要素[B]がプレポリマーを含む場合、その含有量は、構成要素[B]中のエポキシ樹脂とプレポリマーの合計100質量部に対して、好ましくは80質量部以下、より好ましくは5〜60質量部の範囲である。前述のGPCあるいはHPLC(High performance liquid chromatography)測定における樹脂組成物中の全エポキシ樹脂由来ピークの面積に占めるプレポリマー由来のピーク面積の割合(プレポリマー由来のピーク面積/樹脂組成物中の全エポキシ樹脂由来のピーク面積)では、好ましくは0.80以下であり、より好ましくは0.05〜0.60の範囲である。本発明のプリプレグのうち、少なくとも構成要素[B]と構成要素[C]を含み、構成要素[A]を除く他の全ての成分を、以下では「樹脂組成物」と呼称する。また、樹脂組成物は、特に区別して説明する場合、「構成要素[A]を除く他の全ての成分からなる樹脂組成物」と呼称することもある。本発明の樹脂組成物は、後述するとおり、例えば構成要素[B]に分散可能な熱可塑性樹脂やフィラーを含む場合もある。

0045

構成要素[B]と構成要素[C]を含む本発明の樹脂組成物としては、180℃未満の温度で結晶相から液晶相あるいは等方性液体転移するものが好ましい。結晶相から液晶相あるいは等方性液体に転移する温度が180℃未満であることにより、炭素繊維強化複合材料を成形する際に樹脂組成物の流動性が向上し、炭素繊維への含浸性が向上するため、ボイド等の欠陥が少ない炭素繊維強化複合材料を得やすくなる。

0046

本発明のプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料においては、構成要素[B]のエポキシ樹脂に加え、熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂と熱硬化性樹脂の共重合体等を含んでも良い。上記の熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂メラミン樹脂およびポリイミド樹脂等が挙げられる。上記の熱硬化性樹脂や共重合体は、単独で用いてもよいし適宜配合して用いてもよい。構成要素[B]のエポキシ樹脂に上記した熱硬化性樹脂等を配合することは、樹脂組成物の流動性と樹脂硬化物の耐熱性を向上することができる。

0047

一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂以外の構成要素[B]として用いられるエポキシ樹脂のうち、2官能のエポキシ樹脂としては、フェノールを前駆体とするグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく用いられる。このようなエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂ビフェニル型エポキシ樹脂ウレタン変性エポキシ樹脂ヒダントイン型およびレゾルシノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。

0048

液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびレゾルシノール型エポキシ樹脂は、低粘度であるために、他のエポキシ樹脂と組み合わせて使うことが好ましい。
また、固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂に比較し架橋密度の低い構造を与えるため耐熱性は低くなるが、より靭性の高い構造が得られるため、グリシジルアミン型エポキシ樹脂や液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂と組み合わせて用いられる。

0049

ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂は、低吸水率かつ高耐熱性硬化樹脂を与える。また、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂も、低吸水率の硬化樹脂を与えるため好適に用いられる。ウレタン変性エポキシ樹脂およびイソシアネート変性エポキシ樹脂は、破壊靱性と伸度の高い硬化樹脂を与える。

0050

ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”825(三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”850(DIC(株)製)、“エポトート(登録商標)”YD−128(東都化成(株)製)、およびDER−331やDER−332(以上、ダウケミカル社製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”806、“jER(登録商標)”807および“jER(登録商標)”1750(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”830(DIC(株)製)および“エポトート(登録商標)”YD−170(東都化成(株)製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デコナール(登録商標)”EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
グリシジルアニリン型のエポキシ樹脂市販品としては、GANやGOT(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。

0051

ビフェニル型エポキシ樹脂の市販品としては、NC−3000(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ウレタン変性エポキシ樹脂の市販品としては、AER4152(旭化成エポキシ(株)製)などが挙げられる。
ヒダントイン型のエポキシ樹脂市販品としては、AY238(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)が挙げられる。

0052

一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂以外の構成要素[B]として用いられるエポキシ樹脂のうち、3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン型、ジアミノジフェニルスルホン型、アミノフェノール型、メタキシレンジアミン型、1,3−ビスアミメチルシクロヘキサン型、イソシアヌレート型等のエポキシ樹脂が挙げられる。中でも物性のバランスが良いことから、ジアミノジフェニルメタン型とアミノフェノール型のエポキシ樹脂が特に好ましく用いられる。

0053

また、3官能以上のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒロキシフェニルメタン型およびテトラフェニロールエタン型等のエポキシ樹脂が挙げられる。
3官能以上のエポキシ樹脂の市販品としてジアミノジフェニルメタン型のエポキシ樹脂は、ELM434(住友化学(株)製)、“jER(登録商標)”604(三菱化学(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY720、“アラルダイト(登録商標)”MY721、“アラルダイト(登録商標)”MY9512、“アラルダイト(登録商標)”MY9663(以上ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、および“エポトート(登録商標)”YH−434(東都化成(株)製)などが挙げられる。

0054

メタキシレンジアミン型のエポキシ樹脂の市販品としては、TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製)が挙げられる。
1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型のエポキシ樹脂の市販品としては、TETRAD−C(三菱ガス化学(株)社製)が挙げられる。
イソシアヌレート型のエポキシ樹脂の市販品としては、TEPIC−P(日産化学工業(株)製)が挙げられる。
トリスヒドロキシフェニルメタン型のエポキシ樹脂市販品としては、Tactix742(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)が挙げられる。
テトラフェニロールエタン型のエポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”1031S(ジャパンエポキシレジン(株)製)が挙げられる。

0055

アミノフェノール型のエポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”630(ジャパンエポキシレジン(株)製)、および“アラルダイト(登録商標)”MY0510(ハンツマン(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY0600(ハンツマン(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY0610(ハンツマン(株)製)、などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、DEN431やDEN438(以上、ダウケミカル社製)および“jER(登録商標)”152(ジャパンエポキシレジン(株)製)などが挙げられる。
オルソクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂の市販品としては、EOCN−1020(日本化薬(株)製)や“エピクロン(登録商標)”N−660(DIC(株)製)などが挙げられる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”HP7200(DIC(株)製)などが挙げられる。

0056

構成要素[B]および[C]を含む本発明の樹脂組成物が、一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂や熱硬化性樹脂を含有する場合、その配合量は、構成要素[B]の全エポキシ樹脂(一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、それ以外のエポキシ樹脂を含む)、エポキシ樹脂のプレポリマー、熱硬化性樹脂の合計100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましい。

0057

本発明の構成要素[C]の硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤であり、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物である。硬化剤としては、具体的には、例えば、ジシアンジアミド芳香族ポリアミンアミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂クレゾールノボラック樹脂ポリフェノール化合物イミダゾール誘導体脂肪族アミンテトラメチルグアニジンチオ尿素付加アミンメチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物カルボン酸アミド有機酸ヒドラジドポリメルカプタンおよび三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。これらの硬化剤は、単独で使用しても複数を併用してもよい。

0058

芳香族ポリアミンを硬化剤として用いることにより、耐熱性の良好なエポキシ樹脂硬化物が得られるため好ましい。芳香族ポリアミンの中でも、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な繊維強複合材料を得るため特に好ましい硬化剤である。
また、ジシアンジアミドと尿素化合物、例えば、3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルウレアとの組合せ、あるいはイミダゾール類を硬化剤として用いることにより、比較的低温で硬化しながら高い耐熱耐水性が得られる。酸無水物を用いてエポキシ樹脂を硬化することは、アミン化合物硬化に比べ吸水率の低い硬化物を与える。その他、これらの硬化剤を潜在化したもの、例えば、マイクロカプセル化したものを用いることにより、プリプレグの保存安定性、特にタック性ドレープ性が室温放置しても変化しにくい

0059

硬化剤の添加量最適値は、エポキシ樹脂と硬化剤の種類により異なる。例えば、芳香族ポリアミン硬化剤では、化学量論的に当量となるように添加することが好ましいが、エポキシ樹脂のエポキシ基量に対する芳香族アミン硬化剤活性水素量の比を0.7〜1.0とすることにより、当量で用いた場合より高弾性率樹脂が得られることがあり、好ましい態様である。一方、エポキシ樹脂のエポキシ基量に対する芳香族ポリアミン硬化剤の活性水素量の比を1.0〜1.6とすると、硬化速度の向上に加えて、高伸度樹脂が得られることがあり、これも好ましい態様である。したがって、エポキシ樹脂のエポキシ基量に対する硬化剤の活性水素量の比は、0.7〜1.6の範囲が好ましい。

0060

芳香族ポリアミン硬化剤の市販品としては、セイカキュアS(和山精化工業(株)製)、MDA−220(三井化学(株)製)、“jERキュア(登録商標)”W(ジャパンエポキシレジン(株)製)、および3,3’−DAS(三井化学(株)製)、“Lonzacure(登録商標)”M−DEA(Lonza(株)製)、“Lonzacure(登録商標)”M−DIPA(Lonza(株)製)、“Lonzacure(登録商標)”M−MIPA(Lonza(株)製)および“Lonzacure(登録商標)”DETDA80(Lonza(株)製)などが挙げられる。
ジシアンジアミドの市販品としては、DICY−7、DICY−15(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。ジシアンジアミドの誘導体は、ジシアンジアミドに各種化合物を結合させたものであり、エポキシ樹脂との反応物ビニル化合物アクリル化合物との反応物などが挙げられる。

0061

各硬化剤は、硬化促進剤や、その他のエポキシ樹脂の硬化剤と組み合わせて用いても良い。組み合わせる硬化促進剤としては、ウレア類、イミダゾール類、ルイス酸触媒などが挙げられる。
かかるウレア化合物としては、例えば、N,N−ジメチル−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、トルエンビス(ジメチルウレア)、4,4’−メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、3−フェニル−1,1−ジメチルウレアなどを使用することができる。かかるウレア化合物の市販品としては、DCMU99(保土ヶ谷化学(株)製)、“Omicure(登録商標)”24、52、94(以上CVC SpecialtyChemicals,Inc.製)などが挙げられる。

0062

イミダゾール類の市販品としては、2MZ、2PZ、2E4MZ(以上、四国化成(株)製)などが挙げられる。ルイス酸触媒としては、三フッ化ホウ素・ピペリジン錯体、三フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素・トリエタノールアミン錯体、三塩化ホウ素オクチルアミン錯体などの、ハロゲン化ホウ素塩基の錯体が挙げられる。

0063

有機酸ヒドラジド化合物としては、硬化促進性と保存安定性から3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸ヒドラジド、2,6−ナフタレンカルボジヒドラジドサリチル酸ヒドラジドテレフタル酸ジヒドラジド、および、イソフタル酸ジヒドラジド等を好ましく挙げることができる。これらの有機酸ヒドラジド化合物は、必要に応じて2種類以上を混合して配合して使用してもよい。有機酸ヒドラジド化合物の市販品としては、2,6−ナフタレンジカルボジヒドラジド((株)日本ファインケム製)、イソフタル酸ジヒドラジド(大塚化学(株)製)などが挙げられる。

0064

また、これらエポキシ樹脂と硬化剤、あるいはそれらの一部を予備反応させた物を樹脂組成物中に配合することもできる。この方法は、粘度調節や保存安定性向上に有効な場合がある。

0065

本発明においては、上記の構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物に、熱可塑性樹脂を混合または溶解させて用いることもできる。熱可塑性樹脂を用いることで、得られるプリプレグのタック性の制御、炭素繊維強化複合材料を成形する時の樹脂組成物の流動性の制御することができるため、好ましく用いられる。このような熱可塑性樹脂としては、一般に、主鎖に、炭素−炭素結合アミド結合イミド結合エステル結合エーテル結合カーボネート結合ウレタン結合チオエーテル結合スルホン結合およびカルボニル結合からなる群から選ばれた結合を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、この熱可塑性樹脂は、部分的に架橋構造を有していても差し支えなく、結晶性を有していても非晶性であってもよい。特に、ポリアミドポリカーボナートポリアセタールポリフェニレンオキシドポリフェニレンスルフィドポリアリレートポリエステルポリアミドイミドポリイミドポリエーテルイミド、フェニルトリメチルインダン構造を有するポリイミド、ポリスルホンポリエーテルスルホンポリエーテルケトンポリエーテルエーテルケトンポリアラミドポリエーテルニトリルおよびポリベンズイミダゾールからなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂が、上記の樹脂組成物に含まれるいずれかのエポキシ樹脂に混合または溶解していることが好適である。

0066

中でも、良好な耐熱性を得るためには、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)が少なくとも150℃以上であり、170℃以上であることが好ましい。配合する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、150℃未満であると、成形体として用いた時に熱による変形を起こしやすくなる場合がある。さらに、この熱可塑性樹脂の末端官能基としては、水酸基、カルボキシル基、チオール基、酸無水物などのものがカチオン重合性化合物と反応することができ、好ましく用いられる。具体的には、ポリエーテルスルホンの市販品である“スミエクセル(登録商標)”PES3600P、“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、“スミカエクセル(登録商標)”PES5200P、“スミカエクセル(登録商標)”PES7600P(以上、住友化学工業(株)製)、Virantage(登録商標)”VW−10200RFP、“Virantage(登録商標)”VW−10700RFP(以上、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製)などを使用することができ、また、特表2004-506789号公報に記載されるようなポリエーテルスルホンとポリエーテルエーテルスルホンの共重合体オリゴマー、さらにポリエーテルイミドの市販品である“ウルテム(登録商標)”1000、“ウルテム(登録商標)”1010、“ウルテム(登録商標)”1040(以上、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製)などが挙げられる。オリゴマーとは10個から100個程度の有限個のモノマーが結合した比較的分子量が低い重合体を指す。

0067

また、本発明においては、上記の構成要素[B]および[C]を含む樹脂組成物に、さらにエラストマーを配合してもよい。かかるエラストマーは、硬化後のエポキシマトリックス相内に微細エラストマー相を形成させる目的で配合される。これにより、樹脂硬化物への応力負荷時に生じる平面歪みを、エラストマー相の破壊空隙化(キャビテーション)により解消することができ、エポキシマトリックス相の塑性変形が誘発される結果、大きなエネルギー吸収を引き起こし、炭素繊維強化複合材料としての更なる層間靭性の向上に繋がる。

0068

エラストマーとは、ガラス転移温度が20℃より低いドメインを有するポリマー材料のことであり、液状ゴム固形ゴム架橋ゴム粒子コアシェルゴム粒子熱可塑性エラストマー、ガラス転移温度が20℃より低いブロックを有するブロック共重合体などが挙げられる。中でも、エラストマーとしては、ガラス転移温度が20℃以下のブロックを含むブロック共重合体およびゴム粒子から選ばれたものが好ましい。これにより、エポキシ樹脂へのエラストマーの相溶を最小限に抑えつつ、微細なエラストマー相を導入できることから、耐熱性や弾性率の低下を抑えつつ、炭素繊維強化複合材料としての層間靭性を大きく向上させることができる。

0069

ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、および架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーグラフト重合したコアシェルゴム粒子が、取り扱い性等の観点から好ましく用いられる。かかるゴム粒子の一次粒子径は、50〜300μmの範囲にあることが好ましく、特に80〜200μmの範囲にあることが好ましい。また、かかるゴム粒子は使用するエポキシ樹脂との親和性が良好であり、樹脂調製や成形硬化の際に二次凝集を生じないものであることが好ましい。

0070

架橋ゴム粒子の市販品としては、カルボキシル変性ブタジエンアクリロニトリル共重合体架橋物からなるFX501P(日本合成ゴム工業(株)製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシリーズ(日本触媒(株)製)、YR−500シリーズ(新日鐵住金化学(株)製)等を使用することができる。
コアシェルゴム粒子の市販品としては、例えば、ブタジエン・メタクリル酸アルキルスチレン共重合物からなる“パライド(登録商標)”EXL−2655((株)クレハ製)、アクリル酸エステルメタクリル酸エステル共重合体からなる“スタフィロイド(登録商標)”AC−3355、TR−2122(武田薬品工業(株)製)、アクリル酸ブチルメタクリル酸メチル共重合物からなる“PARALOID(登録商標)”EXL−2611、EXL−3387(Rohm&Haas社製)、“カネエース(登録商標)”MXシリーズ(カネカ(株)製)等を使用することができる。

0071

本発明においては、本発明の樹脂組成物に熱可塑性樹脂粒子を配合することも好適である。熱可塑性樹脂粒子を配合することにより、炭素繊維強化複合材料としたときに、樹脂硬化物の靱性が向上し耐衝撃性が向上する。

0072

本発明で用いられる熱可塑性樹脂粒子の素材としては、樹脂組成物に混合または溶解して用い得る熱可塑性樹脂として、先に例示した各種の熱可塑性樹脂と同様のものを用いることができる。炭素繊維強化複合材料とした時に安定した接着強度や耐衝撃性を与える観点から、粒子中で形態を保持するものであることが好ましい。中でも、ポリアミドは最も好ましく、ポリアミドの中でも、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、ポリアミド66やポリアミド6/12共重合体、特開2009−221460号公報の実施例1〜7に記載のエポキシ化合物においてセミIPN高分子相侵入網目構造)化されたポリアミド(セミIPNポリアミド)などを好適に用いることができる。この熱可塑性樹脂粒子の形状としては、球状粒子でも非球状粒子でも、また多孔質粒子でもよいが、球状が、樹脂の流動特性を低下させないため粘弾性に優れ、また応力集中の起点がなく、高い耐衝撃性を与えるという点で好ましい態様である。
ポリアミド粒子の市販品としては、SP−500、SP−10、TR−1、TR−2、842P−48、842P−80(以上、東レ(株)製)、“オルソール(登録商標)”1002D、2001UD、2001EXD、2002D、3202D、3501D,3502D、(以上、アルケマ(株)製)、“グリルアミド(登録商標)”TR90(エムザベルケ(株)社製)、“TROGAMID(登録商標)”CX7323、CX9701、CX9704、(デグサ(株)社製)等を使用することができる。これらのポリアミド粒子は、単独で使用しても複数を併用してもよい。

0073

本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、カップリング剤や、熱硬化性樹脂粒子、あるいはシリカゲルカーボンブラッククレーカーボンナノチューブ金属粉体といった無機フィラー等を配合することができる。

0074

本発明のプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料は、強化繊維として炭素繊維が主として使用され、その炭素繊維質量分率は好ましくは40〜90質量%であり、より好ましくは50〜80質量%である。炭素繊維質量分率が低すぎると、得られる炭素繊維強化複合材料の質量が過大となり、比強度および比弾性率に優れる炭素繊維強化複合材料の利点が損なわれることがある。炭素繊維質量分率が高すぎると、樹脂組成物の含浸不良が生じ、得られる炭素繊維強化複合材料がボイドの多いものとなり易く、その力学特性が大きく低下することがある。

0075

本発明のプリプレグは、樹脂組成物を、メチルエチルケトンメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、炭素繊維に含浸させるウェット法と、樹脂組成物を加熱により低粘度化し、炭素繊維に含浸させるホットメルト法等によって好適に製造することができる。
ウェット法は、炭素繊維を樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げオーブン等を用いて溶媒を蒸発せしめ、プリプレグを得る方法である。
ホットメルト法は、加熱により低粘度化した樹脂組成物を直接炭素繊維に含浸させる方法、または樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングした樹脂フィルムを作製しておき、次に炭素繊維の両側または片側からその樹脂フィルムを重ね、加熱加圧することにより樹脂組成物を転写含浸せしめ、プリプレグを得る方法である。このホットメルト法では、プリプレグ中残留する溶媒が実質的に皆無となるため好ましい態様である。

0076

ホットメルト法でプリプレグを作製する場合、樹脂組成物の粘度としては、後述する方法で測定される最低粘度で0.01〜30Pa・sとすることが好ましい。ここでいう樹脂組成物の最低粘度とは、パラレルプレートを使用した動的粘弾性測定装置(ARES,TA Instruments製)を使用し、温度を2℃/分の速度で昇温させながら周波数0.5Hz、およびプレート間隔1mmの条件で測定した複素粘度η*について、40−180℃の温度範囲での最も低い値を示す。

0077

本発明のプリプレグは、単位面積あたりの炭素繊維量が50〜1000g/m2であることが好ましい。かかる炭素繊維量が50g/m2未満では、炭素繊維強化複合材料を成形する際に所定の厚みを得るために積層枚数を多くする必要があり、作業が繁雑となることがある。一方で、炭素繊維量が1000g/m2を超えると、プリプレグのドレープ性が悪くなる傾向にある。

0078

本発明の炭素繊維強化複合材料は、上述した本発明のプリプレグを所定の形態で積層し、加圧・加熱して成形する方法を一例として製造することができる。熱および圧力を付与する方法としては、プレス成形法オートクレーブ成形法、バッギング成形法ラッピングテープ法および内圧成形法等が使用される。特にスポーツ用品の成形には、ラッピングテープ法と内圧成形法が好ましく用いられる。

0079

ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、炭素繊維強化複合材料製の管状体を成形する方法であり、ゴルフシャフト釣り竿等の棒状体を作製する際に好適な方法である。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定および圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブン中で樹脂組成物を加熱硬化させた後、芯金を抜き去って管状体を得る方法である。

0080

また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製チューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォーム金型中にセットし、次いでその内圧付与体に高圧気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、管状体を成形する方法である。この内圧成形法は、ゴルフシャフト、バット、およびテニスバトミントン等のラケットのような複雑な形状物を成形する際に、特に好ましく用いられる。

0081

本発明の炭素繊維強化複合材料は、前記した樹脂組成物を用いて、プリプレグを経由しない方法によっても製造することができる。
このような方法としては、例えば、構成要素[B]および[C]を含む本発明の樹脂組成物を直接炭素繊維に含浸させた後加熱硬化する方法、即ち、ハンドレイアップ法、フィラメント・ワインディング法プルトルージョン法や、あらかじめ部材形状賦形した連続炭素繊維基材に樹脂組成物を含浸および硬化させるレジンフィルムインフュージョン法、レジン・インジェクションモールディング法およびレジン・トランスファー・モールディング(RTM)法等が用いられる。

0082

本発明による樹脂組成物は、RTM法に関する総説(SAMPE Journal,Vol.34,No.6,pp7−19)に挙げられている、VARTM(Vaccum−assisted ResinTransfer Molding)、VIMP(Variable Infusion Molding Process)、TERTM(Thermal ExpansionRTM)、RARTM(Rubber−Assisted RTM)、RIRM(Resin Injection Recirculation Molding)、CRTM(Continuous RTM)、CIRTM(Co−injection Resin Transfer Molding)、RLI(Resin Liquid Infusion)、SCRIMP(Seeman‘s Composite Resin Infusion Molding Process)等の成形法にも好適に用いられる。

0083

以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものでは無い。なお、組成比の単位「部」は、特に注釈のない限り質量部を意味する。また、各種特性(物性)の測定は、特に注釈のない限り温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。

0084

<実施例および比較例で用いられた原材料
(1)構成要素[A]
・強化繊維1
“トレカ(登録商標)”T700G−12K−31E(フィラメント数12,000本、引張強度4.9GPa、引張弾性率230GPa、引張伸度2.1%の炭素繊維、東レ(株)製)
・強化繊維2
“トレカ(登録商標)”T1100G−24K−31E(フィラメント数24,000本、引張強度6.6GPa、引張弾性率324GPa、引張伸度2.0%の炭素繊維、東レ(株)製)

0085

・強化繊維3
以下の手順で作製した炭素繊維からなる繊維基材。炭素繊維“トレカ”(登録商標)T800G−24K−31E(東レ(株)製、PAN系炭素繊維、フィラメント数:24,000本、繊度:1,033tex、引張弾性率:294GPa)を経糸として1.8本/cmの密度で引き揃え、これに平行、かつ交互に配列された補助経糸としてガラス繊維束ECDE−75−1/0−1.0Z(日東紡(株)製、フィラメント数:800本、繊度:67.5tex)を1.8本/cmの密度で引き揃えて一方向性シート状強化繊維束群を形成した。緯糸としてガラス繊維束E−glassヤーンECE−225−1/0−1.0Z(日東紡(株)製、フィラメント数:200本、繊度:22.5tex)を用い、前記一方向性シート状炭素繊維群に直交する方向に3本/cmの密度で配列し、織機を用いて補助経糸と緯糸が互いに交差するように織り込み、実質的に炭素繊維が一方向に配列されクリンプがない、一方向性ノンクリンプ織物を作製した。なお、得られた炭素繊維織物の炭素繊維繊度に対する緯糸の繊度割合は2.2%、補助経糸の繊度割合は6.5%であり、炭素繊維の目付は192g/m2であった。

0086

・強化繊維4
“トレカ(登録商標)”T800G−24K−10E(フィラメント数24,000本、引張強度5.9GPa、引張弾性率294GPa、引張伸度2.0%の炭素繊維、東レ(株)製)
・強化繊維5
“トレカ(登録商標)”T300B−12K−50A(フィラメント数12,000本、引張強度3.5GPa、引張弾性率230GPa、引張伸度1.5%の炭素繊維、東レ(株)製)
・強化繊維6
“トレカ(登録商標)”M46JB−12K−50A(フィラメント数12,000本、引張強度4.0GPa、引張弾性率436GPa、引張伸度0.9%の炭素繊維、東レ(株)製)

0087

・強化繊維7
以下の手順でサイジング剤を除去した炭素繊維。“トレカ(登録商標)”T800G−24K−10E(フィラメント数24,000本、引張強度5.9GPa、引張弾性率294GPa、引張伸度2.0%の炭素繊維、東レ(株)製)を、アセトン中に浸漬させて、超音波洗浄30分間を3回実施した。続いてメタノールに浸漬させて超音波洗浄30分間を1回行った後、乾燥して、炭素繊維7を得た。
・強化繊維8
以下の手順でサイジング剤を除去した炭素繊維。“トレカ(登録商標)”T1100G−24K−31E(フィラメント数24,000本、引張強度6.6GPa、引張弾性率324GPa、引張伸度2.0%の炭素繊維、東レ(株)製)を、アセトン中に浸漬させて、超音波洗浄30分間を3回実施した。続いてメタノールに浸漬させて超音波洗浄30分間を1回行った後、乾燥して、炭素繊維8を得た。

0088

(2)構成要素[B]
一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂
・エポキシ樹脂1
N,N’−ビス{[4−(9,10−エポキシ−7−オキサデシルオキシベンジリデン]−ビフェニレン−4,4’−ジアミン}、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol.42, 3631(2004)参照、エポキシ当量:360g/eq

0089

・エポキシ樹脂2
4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート(特許第5471975号公報参照)を200℃に加熱融解し、そこへプレポリマー化剤としてレゾルシノール(水酸基当量:55g/eq)をエポキシ当量数水酸基当量数が100:15になるように加え、窒素雰囲気下、200℃で3時間加熱することでエポキシ樹脂2を得た。プレポリマーの含有量は、4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエートとそのプレポリマーの合計100質量部に対して33質量部であり、JIS K7236に従いエポキシ当量を測定したところ282g/eqであった。

0090

・エポキシ樹脂3
エポキシ樹脂を1−(3−メチル−4−オキシラニルメトキシフェニル)−4−(オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン(特開2005−206814号公報参照)に変更した以外は、上記エポキシ樹脂2と同様にしてエポキシ樹脂3を得た。プレポリマーの含有量は、1−(3−メチル−4−オキシラニルメトキシフェニル)−4−(オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセンとそのプレポリマーの合計100質量部に対して53質量部であり、JIS K7236に従いエポキシ当量を測定したところ298g/eqであった。

0091

・エポキシ樹脂4
化合物名:2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、特開2010−241797号公報参照、エポキシ当量:245g/eq)
・エポキシ樹脂5
1−(3−メチル−4−オキシラニルメトキシフェニル)−4−(オキシラニルメトキシフェニル)−1−シクロヘキセン、特開2005−206814号公報参照、エポキシ当量:202g/eq)

0092

・エポキシ樹脂6
化合物名:4−{4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル}シクロヘキシル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート、特許第5471975号公報参照、エポキシ当量:213g/eq)
・エポキシ樹脂7
上記エポキシ樹脂7を200℃に加熱融解し、そこへプレポリマー化剤としてレゾルシノール(水酸基当量:55g/eq)をエポキシ当量数:水酸基当量数が100:25になるように加え、窒素雰囲気下、200℃で3時間加熱することでエポキシ樹脂7を得た。プレポリマーの含有量は、エポキシ樹脂6とそのプレポリマーの合計100質量部に対して53質量部であり、JIS K7236に従いエポキシ当量を測定したところ320g/eqであった。

0093

・エポキシ樹脂8
エポキシ樹脂7をエポキシ樹脂4に変更した以外は、上記エポキシ樹脂7と同様にしてエポキシ樹脂8を得た。プレポリマーの含有量は、エポキシ樹脂4とそのプレポリマーの合計100質量部に対して53質量部であり、JIS K7236に従いエポキシ当量を測定したところ353g/eqであった。
・エポキシ樹脂9
エポキシ樹脂6をエポキシ樹脂5に変更した以外は、上記エポキシ樹脂7と同様にしてエポキシ樹脂9を得た。プレポリマーの含有量は、エポキシ樹脂5とそのプレポリマーの合計100質量部に対して53質量部であり、JIS K7236に従いエポキシ当量を測定したところ298g/eqであった。

0094

・エポキシ樹脂10
プレポリマー化剤のレゾルシノールの添加量をエポキシ当量数:水酸基当量数が100:30になるように変更した以外は、上記エポキシ樹脂8と同様にしてエポキシ樹脂10を得た。プレポリマーの含有量は、エポキシ樹脂4とそのプレポリマーの合計100質量部に対して63質量部であり、JIS K7236に従いエポキシ当量を測定したところ378g/eqであった。
・エポキシ樹脂11
プレポリマー化剤のレゾルシノールの添加量をエポキシ当量数:水酸基当量数が100:15になるように変更した以外は、上記エポキシ樹脂10と同様にしてエポキシ樹脂11を得た。プレポリマーの含有量は、エポキシ樹脂4とそのプレポリマーの合計100質量部に対して32質量部であり、JIS K7236に従いエポキシ当量を測定したところ311g/eqであった。

0095

・エポキシ樹脂12
プレポリマー化剤のレゾルシノールの添加量をエポキシ当量数:水酸基当量数が100:30になるように変更した以外は、上記エポキシ樹脂7と同様にしてエポキシ樹脂12を得た。プレポリマーの含有量は、エポキシ樹脂6とそのプレポリマーの合計100質量部に対して63質量部であり、JIS K7236に従いエポキシ当量を測定したところ343g/eqであった。
・エポキシ樹脂13
プレポリマー化剤をレゾルシノールからビスフェノールF(水酸基当量:100g/eq)を変更して、エポキシ当量数:水酸基当量数が100:15になるように添加した以外は、上記エポキシ樹脂8と同様にしてエポキシ樹脂13を得た。プレポリマーの含有量は、エポキシ樹脂4とそのプレポリマーの合計100質量部に対して38質量部であり、JIS K7236に従いエポキシ当量を測定したところ338g/eqであった。
・エポキシ樹脂14
プレポリマー化剤をレゾルシノールからビスフェノールF(水酸基当量:100g/eq)を変更して、エポキシ当量数:水酸基当量数が100:15になるように添加した以外は、上記エポキシ樹脂7と同様にしてエポキシ樹脂14を得た。プレポリマーの含有量は、エポキシ樹脂6とそのプレポリマーの合計100質量部に対して39質量部であり、JIS K7236に従いエポキシ当量を測定したところ309g/eqであった。

0096

一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂
・“エピクロン(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC(株)製)
・“jER(登録商標)”YX4000H(ビフェニル型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製))
・“jER(登録商標)”604(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、三菱化学(株)製)
・“アラルダイト(登録商標)”MY0610(トリグリシジル−m−アミノフェノール、ハンツマン・ジャパン(株)製)
・“jER”(登録商標)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学(株)製))。

0097

(3)構成要素[C]
・“セイカキュア”(登録商標)−S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、和歌山精化(株)製)
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、三井化学ファイン(株)製)。
・DICY7(ジシアンジアミド、三菱化学(株))
・DCMU99{3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア、硬化促進剤、保土ヶ谷化工業(株)製}。

0098

(4)その他の成分
・“Virantage(登録商標)”VW−10700RFP(ポリエーテルスルホン、ソルベイアドバンストポリマーズ(株)製)

0099

<各種評価法
(5)樹脂組成物の調製
ニーダー中に、表1〜7に示す各配合比で、硬化剤、硬化促進剤以外の樹脂成分を所定量加え、混練しつつ、160℃まで昇温し、160℃1時間混練することで、透明な粘調液を得た。混練しつつ80℃まで降温させた後、硬化剤、硬化促進剤を所定量添加え、さらに混練し、樹脂組成物を得た。
(6)プリプレグの作製
(5)で調製した樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に一方向に配列させた構成要素[A]の強化繊維に、樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を炭素繊維に含浸させ、炭素繊維の目付が190g/m2、樹脂組成物の重量分率が35%の一方向プリプレグを得た。

0100

(7)モードI層間靭性(GIC)試験用複合材料製平板の作製とGIC測定
JIS K7086(1993)に準じ、次の(a)〜(e)の操作によりGIC試験用複合材料製平板を作製した。
(a)(6)で作製した一方向プリプレグを、繊維方向を揃えて20ply積層した。ただし、積層中央面(10ply目と11ply目の間)に、繊維配列方向と直角に、幅40mm、厚み50μmのフッ素樹脂製フィルムをはさんだ。
(b)積層したプリプレグをナイロンフィルムで隙間のないように覆い、オートクレーブ中で150℃4時間、180℃2時間、内圧0.59MPaで加熱加圧して硬化し、一方向炭素繊維強化複合材料を成形した。
(c)(b)で得た一方向炭素繊維強化複合材料を、幅20mm、長さ195mmにカットした。繊維方向は、試験片の長さ側と平行になるようにカットした。
(d)JIS K7086(1993)に記載のピン負荷用ブロック(長さ25mm、アルミ製)では試験時に接着部が剥がれてしまったため、代わりにトライアングル状グリップを使用した(図1)。試験片端(フッ素樹脂製フィルムを挟んだ側)から4mmの位置に幅方向両端に1mm長さのノッチを入れ、トライアングル状グリップを引っかけた。試験はトライアングル状グリップをインストロン万能試験機(インストロン社製)のクロスヘッドで引っ張ることで試験片に荷重を与えた。
(e)亀裂進展を観察しやすくするため、試験片の両側面に白色塗料を塗った。
作製した複合材料製平板を用いて、以下の手順により、GIC測定を行った。JIS K7086(1993)附属書1に従い、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いて試験を行った。クロスヘッドスピードは、亀裂進展が20mmに到達するまでは0.5mm/分、20mm到達後は1mm/分とした。試験は亀裂が100mm進展するまで行い、試験中に取得した荷重−変位線図の面積からGICを算出した。
(8)モードII層間靱性(GIIC)の測定
(7)のGIC試験の(a)から(c)と同様に試験片を作製し、幅20mm、長さ195mmの試験片を得た。この試験片をJIS K7086(1993)附属書2に従って、GIIC試験を行った。

0101

(9)0°引張強度試験用複合材料製平板の作製と測定
(6)で作製した一方向プリプレグを所定の大きさにカットし、一方向に6枚積層した後、真空バッグを行い、オートクレーブを用いて、150℃4時間、180℃2時間、内圧0.59MPaで加熱加圧して硬化し、一方向炭素繊維強化複合材料を得た。この一方向炭素繊維強化複合材料を幅12.7mm、長さ230mmでカットし、両端に1.2mm、長さ50mmのガラス繊維強化プラスチック製タブを接着し試験片を得た。この試験片はインストロン万能試験機を用いて、JIS K7073−1988の規格に準じて0゜引張試験を行った。

0102

(10)繊維基材を用いたプリプレグの作製
構成要素[B]および[C]を含む樹脂原料を表1,2に示す配合比で混練し、樹脂組成物を作製した。強化繊維3の繊維基材上に、作製した樹脂組成物を目付104g/m2となるように均一に塗布した。樹脂塗布面をFEPフィルム“トヨフロン(登録商標)”(東レ(株)製)でカバーして150℃で加温した後、600mmHg以上の真空圧力コンパクションすることで、樹脂組成物の質量分率が35%である繊維基材を用いたプリプレグを作製した。

0103

(11)プレス成形によるモードI層間靭性(GIC)およびモードII層間靱性(GIIC)試験用複合材料製平板成形方法と測定
(a)(10)で作製した繊維基材を用いたプリプレグを、繊維方向を揃えて20ply積層した。ただし、積層中央面(10ply目と11ply目の間)に、繊維配列方向と直角に、幅40mm、厚み50μmのフッ素樹脂製フィルムをはさんだ。
(b)積層したプリプレグを金型上に配置した後、加熱型プレス成形機により、1.0MPaの加圧下、180℃4時間で流動・成形せしめ、一方向炭素繊維強化複合材料を成形した。
(c)(7)のGIC試験の(c)〜(e)と同様にしてGIC測定を、(8)のGIIC試験と同様にしてGIIC測定を行った。

0104

(12)プレス成形による0°引張強度試験用複合材料製平板の作製と測定
(10)で作製した繊維基材を用いたプリプレグを所定の大きさにカットし、一方向に6枚積層した後、真空バッグを行い、オートクレーブを用いて、150℃4時間、180℃2時間、内圧0.59MPaで加熱加圧して硬化し、一方向炭素繊維強化複合材料を得た。この一方向炭素繊維強化複合材料を幅12.7mm、長さ230mmでカットし、両端に1.2mm、長さ50mmのガラス繊維強化プラスチック製のタブを接着し試験片を得た。この試験片はインストロン万能試験機を用いて、JISK7073−1988の規格に準じて0゜引張試験を行った。

0105

(13)偏光光学顕微鏡による観察
(6)または(10)で作製した一方向プリプレグを幅50mm、長さ50mmにカットし、プリプレグが幅80mm以上となるように繊維間隔を手で広げた後、オーブンにて150℃4時間、180℃2時間の条件で硬化し、観察用の炭素繊維強化複合材料の試験体を得た。試験体の樹脂領域を偏光光学顕微鏡(キーエンス(株)製;VHX−5000、偏光フィルター付き)により観察を行った。ファンシェイプ組織フォーカルコニック組織といった高次構造形成が観察された場合を「○」、高次構造が観察されなかった場合を「×」とした。

0106

(14)X線回折による回折角度2θの測定
(6)または(10)で作製した一方向プリプレグを厚さ約1mmとなるように積層した後、積層したプリプレグをナイロンフィルムで隙間のないように覆い、オートクレーブ中で150℃4時間、180℃2時間、内圧0.59MPaで加熱加圧して硬化し、一方向炭素繊維強化複合材料を成形した。成形した炭素繊維強化複合材料を用いて、長さ40mm、幅10mmにカットし、試験片を得た。測定は以下の条件により、炭素繊維強化複合材料内の炭素繊維軸に対して平行(0°)、垂直(90°)、45°に対して行った。
・装置:X’ PertPro(スペクトリス(株)PANalytical事業部製)
・X線源:CuKα線(管電圧45kV、管電流40mA)
・検出器:ゴニオメーター+モノクロメーター+シンチレーションカウンター
・走査範囲:2θ=1〜90°
・走査モード:ステップスキャン、ステップ単位0.1°、計数時間40秒
1〜10°範囲における回折角度2θのピークを表1,2に記載した。また、ピークを有さない場合は「×」と記載した。

0107

(15)偏光ラマン分光による樹脂硬化物中の分子異方性の測定
(7)または(11)で作製した炭素繊維強化複合材料から2cm角を切り出すことで、試験片を得た。測定は、炭素繊維強化複合材料内の樹脂部分について任意の5箇所に対して、以下の条件により行った。
・装置:PDP320((株)PHOTO Design製)
ビーム径:1μm
光源YAGレーザー/1064nm
回折格子:Single 300gr/mm
スリット:100μm
・検出器:CCD:Jobin Yvon 1024x256
対物レンズ:x100
測定した試験片の任意の方向を0°とし、偏光方向を0°〜150まで30°間隔で変化させて偏光ラマン分光を測定。芳香環のC=C伸縮振動に由来する1600cm−1付近ラマンバンド強度について、測定した5箇所について変動幅が20%以上の偏光方位を有する場合は異方性あり(○)、変動幅が20%未満だった場合は異方性なし(×)とした。

0108

(16)示差走査熱量分析による樹脂硬化物中の液晶相の測定
(5)の方法で調製した樹脂組成物を、オーブンにて昇温速度1.5℃/分で180℃まで加温し、180℃で2時間保持後に2.5/分で室温まで降温させ、樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物5mgをサンプルパンに量り取り、示差走査熱量分析計(Q−2000:TAインスツルメント社製)を用い、窒素雰囲気下で昇温速度5℃/分として50℃から400℃まで昇温した。熱流量の変化を記録し、250℃以上の温度域の吸熱ピークの有無を確認した。

0109

(実施例1、7、比較例2)
表1,2の配合比に従って上記(5)樹脂組成物の調製の手順で炭素繊維強化複合材料用の樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物を用いて、上記(10)繊維基材を用いたプリプレグの作製の手順でプリプレグを得た。得られたプリプレグを用いて、上記の(11)プレス成形によるモードI層間靭性(GIC)およびモードII層間靱性(GIIC)試験用複合材料製平板成形方法と測定、(12)プレス成形による0°引張強度試験用複合材料製平板の作製と測定、(13)偏光光学顕微鏡による観察、(14)X線回折による回折角度2θの測定、(15)偏光ラマン分光による樹脂組成物中の異方性の測定を行った。結果を表1,2に示す。

0110

(実施例2〜6、8、比較例1、3〜5)
表1,2の配合比に従って上記(5)樹脂組成物の調製の手順で炭素繊維強化複合材料用樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物を用いて、上記(6)プリプレグの作製の手順でプリプレグを得た。得られたプリプレグを用いて、上記の(7)モードI層間靭性(GIC)試験用複合材料製平板の作製とGIC測定、(8)モードII層間靱性(GIIC)、(9)0°引張強度試験用複合材料製平板の作製と測定、(13)偏光光学顕微鏡による観察、(14)X線回折による回折角度2θの測定、(15)偏光ラマン分光による樹脂組成物中の異方性の測定を行った。結果を表1,2に示す。
実施例の各種測定結果は表1,2に示す通りであり、実施例1〜8のように高次構造を有する樹脂硬化物と炭素繊維の組合せにより、優れたモードI層間靱性GIC、モードII層間靱性GIIC、および引張強度を有する炭素繊維強化複合材料が得られた。
比較例1〜5はいずれも、樹脂硬化物は高次構造を持たず、分子が異方性を持つ樹脂領域を持たない。比較例1、4〜5と実施例8との比較、比較例2と実施例1、7との比較、比較例3と実施例2〜7との比較により、同じ構成要素[A]を用いた各実施例と比較して、モードI層間靱性GIC、モードII層間靱性GIIC、および引張強度はいずれも低く、本発明により特にモードI層間靱性GICとモードII層間靱性GIICが飛躍的に向上していることがわかる。上記(16)の方法で実施例2の樹脂硬化物の示差走査熱量分析による樹脂硬化物中の液晶相の測定を行った結果、335℃と358℃に吸熱ピークが観察され、液晶相を形成していること確認した。同様に比較例1の樹脂硬化物の差走査熱量分析による樹脂硬化物中の液晶相の測定を行った結果、250℃以上の温度範囲に吸熱ピークは観察されず、液晶相を形成していなかった。

0111

(実施例9〜11、34、比較例7)
表3、6の配合比に従って上記(5)樹脂組成物の調製の手順で炭素繊維強化複合材料用樹脂組成物を作製した。
また、(10)繊維基材を用いたプリプレグの作製の手順でプリプレグを作製した。得られたプリプレグを用いて、上記の(11)プレス成形によるモードI層間靭性(GIC)およびモードII層間靱性(GIIC)試験用複合材料製平板成形方法と測定、(12)0°引張強度試験用複合材料製平板の作製と測定の手順で、GIC、GIIC、引張強度を測定した。結果を表3、6に示す。

0112

(実施例12〜33、比較例6、8〜10)
表3〜6の配合比に従って上記(5)樹脂組成物の調製の手順で炭素繊維強化複合材料用樹脂組成物を作製した。
また、得られた樹脂組成物を用いて、上記(6)プリプレグの作製の手順でプリプレグを得た。得られたプリプレグを用いて、上記の(7)モードI層間靭性(GIC)試験用複合材料製平板の作成とGIC測定、(8)モードII層間靱性(GIIC)の測定、(9)0°引張強度試験用複合材料製平板の作製と測定、GIC、GIIC、引張強度を測定した。結果を表3〜6に示す。

0113

実施例の各種測定結果は表3〜6に示す通りであり、実施例9〜34のように構成要素[A]、構成要素[B]および構成要素[C]を含む樹脂組成物の材料や配合比を変動させても、樹脂硬化物が、X線回折によって観測される回折角度2θ=1.0°〜6.0°に由来する高次構造を有する炭素繊維強化複合材料、または、樹脂硬化物が、窒素雰囲気下での示差走査熱量分析において昇温速度を5℃/分として50℃から400℃まで昇温した際に、250℃以上の範囲に吸熱ピークを有する炭素繊維強化複合材料は、高い樹脂靱性を有し、優れたモードI層間靱性GIC、モードII層間靱性GIICおよび引張強度を示す。
一方、比較例1〜5は、一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂を使用せず、樹脂硬化物が、X線回折によって観測される回折角度2θ=1.0°〜6.0°に由来する高次構造を有さず、また、樹脂硬化物が、窒素雰囲気下での示差走査熱量分析において昇温速度を5℃/分として50℃から400℃まで昇温した際に、250℃以上の範囲に吸熱ピークを有しない。比較例1、4〜5と実施例4〜23との比較、比較例2と実施例1〜3、26との比較、比較例3と実施例25との比較により、同じ構成要素[A]を用いた各実施例と比較してモードI層間靱性GIC、モードII層間靱性GIICおよび引張強度はいずれも低く、一般式(1)で表される構造を有するエポキシ樹脂により特にモードI層間靱性GICは飛躍的に向上していることがわかる。

0114

(実施例35〜38、比較例11〜14)
表7の配合比に従って上記(5)樹脂組成物の調製の手順で炭素繊維強化複合材料用樹脂組成物を作製した。得られた樹脂組成物を用いて、上記(6)プリプレグの作製の手順でプリプレグを得た。得られたプリプレグを用いて、上記の(7)モードI層間靭性(GIC)試験用複合材料製平板の作製とGIC測定、(8)モードII層間靱性(GIIC)、(9)0°引張強度試験用複合材料製平板の作製と測定、(13)偏光光学顕微鏡による観察、(14)X線回折による回折角度2θの測定、(15)偏光ラマン分光による樹脂組成物中の異方性の測定を行った。結果を表7に示す。
実施例の各種測定結果は表7に示す通りであり、実施例35〜38のように高次構造を有する樹脂硬化物と炭素繊維の組合せにより、優れたモードI層間靱性GIC、モードII層間靱性GIIC、および引張強度が得られた。
比較例11〜14はいずれも、樹脂硬化物は高次構造を持たず、分子が異方性を持つ樹脂領域を持たない。
同一の炭素繊維を用いた実施例35と比較例11、実施例36と比較例12、実施例37と比較例13、実施例38と比較例14の比較により、モードI層間靱性GIC、モードII層間靱性GIIC、引張強度はいずれも本発明により飛躍的に向上していることがわかる。

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実施例

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