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技術 苗栽培装置及び苗栽培方法

出願人 三菱ケミカルアグリドリーム株式会社
発明者 布施順也
出願日 2018年1月23日 (3年1ヶ月経過) 出願番号 2019-504367
公開日 2020年1月9日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 WO2018-163629
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 湾曲板状体 ボックス底板 箱形構造体 ボックス天板 略楕円弧 天板パネル 長手方向壁 多段棚
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題・解決手段

多段棚植物育成装置3〜8で栽培する、照明装置13を備えた栽培装置であって、前記照明装置13は、半導体光源と、該半導体光源からの光を拡散する樹脂製のカバー13bとを備えており、前記照明装置13は、各の栽培面1m2あたりの照明装置から出力される光束が17000ルーメン以上であることを特徴とする苗栽培装置。

概要

背景

各種植物の生産は、従来は、園芸作物農家では自家生産が主流であった。しかしながら、俗に「苗半作」と呼ばれるように、各種植物の苗の生産に要する技術が高度であり、手間がかかり繁雑であることから、購入苗を利用するように変化してきた。これは、近年の農家の高齢化労働力不足の進行、園芸作物農家の企業化や規模の拡大化の進行に起因しており、購入苗の利用による省力化や、園芸作物の生産のみに専念する専業化の傾向が同時に進んでいるからである。このようなことから、近年、購入苗に対する需要が増加しており、苗の生産のみに専念する農家や苗の生産を業とする企業も増加してきている。

生産者専業農家や大規模な企業であっても、苗の生産は、(A)屋外自然光を利用して生産する方法、(B)温室内で自然光を利用して生産する方法、および、(C)閉鎖型環境下で人工光を利用して生産する方法などによって行われている。

(A)および(B)の方法で苗を生産する際には、天候気候、特に日射量の多寡気温によって大きな影響を受けている。例えば、夏季の強い日射と高温は苗生産そのものを困難とし、それを避けるために高冷地育苗しなければならない植物もある。また、苗質は温室外部の影響を受け夏季の強い日射で温室内が高温となり、苗の順調な生産が困難となり、苗の商品化率、温室の稼働率などを低下させ、ひいては苗の生産コストを高める原因になっている。このように、苗の生産・出荷は、天候や気候の影響を受け易く、均質で良質な苗の安定生産は容易ではない。

上記(C)の苗生産方法は、自然光を透過しない断熱壁で覆われた閉鎖構造物の中で、空調装置人工光源炭酸ガス施肥装置灌水装置を用いた人工的な環境下で、高品質な苗を安定生産する方法である。閉鎖型環境下では、苗への照射光質、光照射強度光照射時間、温度、湿度炭酸ガス濃度灌水量施肥濃度などの種々の環境条件を、苗の生育に最適な状態に調節することが可能である。

近年、上記(C)の苗生産方法の普及が進みつつあるなかで、人工光としてLEDを使用する栽培報告され始めている(特許文献1、2および3)。しかしながら、このような栽培方法で育てた苗は、その後、太陽光を利用した圃場移植すると、急激な環境変化順応することができず、萎れて苗質が低下したり、生育が遅れたり、枯れてしまったりするなどの問題があった。

特開2013−062438号公報
特開2014−061004号公報
国際公開2014/125714号公報

概要

多段棚植物育成装置3〜8で苗を栽培する、照明装置13を備えた栽培装置であって、前記照明装置13は、半導体光源と、該半導体光源からの光を拡散する樹脂製のカバー13bとを備えており、前記照明装置13は、各の栽培面1m2あたりの照明装置から出力される光束が17000ルーメン以上であることを特徴とする苗栽培装置。

目的

本発明は、上記の問題を解決し、太陽光を利用した圃場に移植しても、安定的かつ品質が良い栽培が可能な苗を生産することができる苗栽培装置及び苗栽培方法を提供する

効果

実績

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請求項1

多段棚植物育成装置栽培する、照明装置を備えた栽培装置であって、前記照明装置は、半導体光源と、該半導体光源からの光を拡散する樹脂製のカバーとを備えており、前記照明装置は、各の栽培面1m2あたりの照明装置から出力される光束が17000ルーメン以上であることを特徴とする苗栽培装置。

請求項2

前記照明装置は、前記カバーの外表面から20cmの位置で測定した平均光合成有効光量子束が150μmol/m2/sec以上であることを特徴とする請求項1に記載の苗栽培装置。

請求項3

前記カバーは、高さが40mm以下であることを特徴する請求項1又は2に記載の苗栽培装置。

請求項4

前記半導体光源は、400〜480nmの範囲に第1発光ピーク波長を有し、かつ、500〜620nmに第2発光ピーク波長を有し、前記第2発光ピーク波長は、半値幅が100nm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の苗栽培装置。

請求項5

前記栽培装置は、閉鎖型構造物の中に配置され、前記閉鎖型構造物内に空調装置を備え、前記苗に灌水する灌水装置を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の苗栽培装置。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の苗栽培装置を用いる苗栽培方法

技術分野

0001

本発明は、栽培するための栽培装置及び栽培方法に関し、より詳しくは、太陽光を利用する圃場移植しても、活着しやすく良い生育をする苗を栽培する苗栽培装置及び苗栽培方法に関する。本発明において、苗とは、例えば、温室や圃場など他の栽培場所に移植するために使用される幼い植物のことをいう。

背景技術

0002

各種植物の苗の生産は、従来は、園芸作物農家では自家生産が主流であった。しかしながら、俗に「苗半作」と呼ばれるように、各種植物の苗の生産に要する技術が高度であり、手間がかかり繁雑であることから、購入苗を利用するように変化してきた。これは、近年の農家の高齢化労働力不足の進行、園芸作物農家の企業化や規模の拡大化の進行に起因しており、購入苗の利用による省力化や、園芸作物の生産のみに専念する専業化の傾向が同時に進んでいるからである。このようなことから、近年、購入苗に対する需要が増加しており、苗の生産のみに専念する農家や苗の生産を業とする企業も増加してきている。

0003

生産者専業農家や大規模な企業であっても、苗の生産は、(A)屋外自然光を利用して生産する方法、(B)温室内で自然光を利用して生産する方法、および、(C)閉鎖型環境下で人工光を利用して生産する方法などによって行われている。

0004

(A)および(B)の方法で苗を生産する際には、天候気候、特に日射量の多寡気温によって大きな影響を受けている。例えば、夏季の強い日射と高温は苗生産そのものを困難とし、それを避けるために高冷地育苗しなければならない植物もある。また、苗質は温室外部の影響を受け夏季の強い日射で温室内が高温となり、苗の順調な生産が困難となり、苗の商品化率、温室の稼働率などを低下させ、ひいては苗の生産コストを高める原因になっている。このように、苗の生産・出荷は、天候や気候の影響を受け易く、均質で良質な苗の安定生産は容易ではない。

0005

上記(C)の苗生産方法は、自然光を透過しない断熱壁で覆われた閉鎖構造物の中で、空調装置人工光源炭酸ガス施肥装置灌水装置を用いた人工的な環境下で、高品質な苗を安定生産する方法である。閉鎖型環境下では、苗への照射光質、光照射強度光照射時間、温度、湿度炭酸ガス濃度灌水量施肥濃度などの種々の環境条件を、苗の生育に最適な状態に調節することが可能である。

0006

近年、上記(C)の苗生産方法の普及が進みつつあるなかで、人工光としてLEDを使用する栽培が報告され始めている(特許文献1、2および3)。しかしながら、このような栽培方法で育てた苗は、その後、太陽光を利用した圃場に移植すると、急激な環境変化順応することができず、萎れて苗質が低下したり、生育が遅れたり、枯れてしまったりするなどの問題があった。

0007

特開2013−062438号公報
特開2014−061004号公報
国際公開2014/125714号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、上記の問題を解決し、太陽光を利用した圃場に移植しても、安定的かつ品質が良い栽培が可能な苗を生産することができる苗栽培装置及び苗栽培方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明は、下記を要旨とする。
[1]多段棚植物育成装置で苗を栽培する、照明装置を備えた栽培装置であって、前記照明装置は、半導体光源と、該半導体光源からの光を拡散する樹脂製のカバーとを備えており、前記照明装置は、各の栽培面1m2あたりの照明装置から出力される光束が17000ルーメン以上であることを特徴とする苗栽培装置。
[2] 前記照明装置は、前記カバーの外表面から20cmの位置で測定した平均光合成有効光量子束が150μmol/m2/sec以上であることを特徴とする[1]に記載の苗栽培装置。
[3] 前記カバーは、高さが40mm以下であることを特徴する[1]又は[2]に記載の苗栽培装置。
[4] 前記半導体光源は、400〜480nmの範囲に第1発光ピーク波長を有し、かつ、500〜620nmに第2発光ピーク波長を有し、前記第2発光ピーク波長は、半値幅が100nm以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の苗栽培装置。
[5] 前記栽培装置は、閉鎖型構造物の中に配置され、前記閉鎖型構造物内に空調装置を備え、前記苗に灌水する灌水装置を備えることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の苗栽培装置。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の苗栽培装置を用いる苗栽培方法。

発明の効果

0010

本発明によると、太陽光を利用した圃場に移植しても、安定的かつ品質が良い栽培が可能な苗を生産することができる。

図面の簡単な説明

0011

図1a及び1bは実施の形態に係る栽培装置の水平断面図である。
図2aは図1aのIIa−IIa線断面図、図2bは図1aのIIb−IIb線断面図、である。
実施の形態に係る多段棚式植物育成装置の正面図である。
図3のIV−IV線断面図である。
実施の形態に係る多段棚式植物育成装置のトレイの平面図である。
図5のトレイの斜視図である。
図5のVII−VII線断面図である。
照明装置を備えたボックスの底面図である。
図8のIX−IX線断面図である。
別の実施の形態に係る多段棚式植物育成装置のトレイの断面図である。

0012

本発明の苗栽培装置は、多段棚式植物育成装置で苗を栽培する、照明装置を備えた栽培装置であって、前記照明装置は、本体下面に光を拡散する樹脂製のカバーで覆われた半導体光源を備えており、前記照明装置は、各棚の栽培面1m2あたりの照明装置から出力される光束が17000ルーメン以上であることを特徴とするものである。

0013

前記照明装置は、各棚の栽培面1m2あたりの照明装置から出力される光束が17000ルーメン以上であることが重要であり、20,000ルーメン以上であることが好ましく、22,000ルーメン以上であることがより好ましく、24,000ルーメン以上であることが更に好ましく、27,000ルーメン以上であることが特に好ましい。

0014

各棚の栽培面1m2あたりの照明装置から出力される光束の上限は特に限定することは無いが、110,000ルーメン以下とすることが好ましく、90,000ルーメン以下とすることがより好ましく、70,000ルーメン以下とすることが更に好ましい。各棚の栽培面1m2あたりの照明装置から出力される光束を上記の範囲とすることで、育苗終了後に太陽光を利用した圃場や温室に移植しても安定して生育する苗が生産できる。

0015

本発明の照明装置の形状は特に限定することは無いが、栽培装置への照明取り付け方法の簡略化や交換などのメンテナンス性を考慮すると、栽培棚の長辺方向に沿って長尺の照明装置を設置することが好ましい。

0016

長尺の照明装置を複数個複数本)設置する場合は、1本当たりの全光束は、5000ルーメン以上であることが好ましく、5500ルーメン以上であることがより好ましく、6000ルーメン以上であることが更に好ましく、6500ルーメン以上であることが特に好ましい。

0017

前記照明装置は、カバー外表面(光出射面)から20cmの位置で測定する平均の光合成有効光量子束が150μmol/m2/sec以上であることが好ましく、170μmol/m2/sec以上であることがより好ましく、200μmol/m2/sec以上であることが更に好ましい。カバー外表面(光出射面)から20cmの位置で測定する平均の光合成有効光量子束を上記とすることで、苗の光合成をより効率よくすることができ、徒長や軟弱成長の発生をより抑制することができ好ましい。

0018

前記照明装置の樹脂製のカバーは、カバー高さ(図9のH)を40mm以下とすることが好ましく、35mm以下とすることがより好ましく、30mm以下とすることが更に好ましく、25mm以下とすることが特に好ましい。カバーの高さを上記の範囲とすることで、多段式の栽培棚の各段の高さを広く確保することが可能となったり、また、同じ高さでより多くの段数の棚を設置することも可能となる。

0019

前記照明装置の半導体光源は、400〜480nmの範囲に第1発光ピーク波長を有していることが好ましい。400〜480nmの範囲に第1の発光ピーク波長を有することで、苗の節間伸長を抑制し、胚軸が短くしっかりした苗を栽培することが可能となる。

0020

500〜620nmに第2発光ピーク波長を有することが好ましく、より好ましくは500〜610nmの範囲、更に好ましくは500〜600nmの範囲に第2の発光ピーク波長を有し、かつ第2の発光ピーク波長は、半値幅が100nm以上であることが好ましく、120nm以上であることがより好ましく、140nm以上であることが更に好ましい。照明装置の半導体光源の波長を上記の範囲とすることで、苗の形態形成に異常をきたすことを抑制し、正常な苗を栽培することが可能となる。

0021

本発明の照明装置の半導体光源は、特に限定されるものではなく有機EL、レーザー、LEDなどを使用することができる。電力消費量を考慮すると、LEDを使用することが好ましい。

0022

本発明の苗栽培装置は、各栽培棚の栽培面おける平均光合成有効光量子束の20%均整度(平均光合成有効光量子束の±20%以内に入る栽培面の面積の割合)が70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。各栽培棚における平均光合成有効光量子束の20%均整度を上記の範囲とすることで、各棚で栽培される苗の育成速度バラつきが抑制され、より均質な苗を生産することが可能となる。

0023

平均光合成有効光量子束の20%均整度(平均光合成有効光量子束の±20%以内に入る栽培面の面積の割合)は、光源から20cmの位置における測定において、測定面を5cmメッシュ毎に区切って測定した結果である。平均光合成有効光量子束の測定は、測定床面の反射率を5%以下の黒体とした時のデータである。

0024

本発明の苗栽培装置は、閉鎖型構造物の中に配置され、前記閉鎖型構造物内に空調装置を備え、前記苗に灌水する灌水装置を備えることが好ましい。

0025

本発明の一つの態様では、栽培装置は、前面が解放している育成モジュールを有し、該育成モジュールは、育苗棚を上下方向に多段に配置して育苗空間を形成する。

0026

図1a〜9及び図10を参照して、かかる苗栽培装置の好ましい形態を説明する。図1a〜2bの通り、断熱性壁面で囲まれた完全遮光性とされた閉鎖型建物構造物1の部屋内に、箱形の複数個(図示の例では6個)の多段棚式植物育成装置(育成モジュール)3〜8が設置されている。部屋1は平面視形状が長方形であり、一方の短手方向壁面1iにドア2が設けられている。

0027

この形態では、3個の多段棚式植物育成装置3〜5をそれらの開放前面が同方向を向くように配列して1列とし、3個の多段棚式植物育成装置6〜8もそれらの開放前面が同方向を向くように配列して1列とし、開放前面が互いに対向するように二つの列を部屋内に配置している。なお、以下、多段棚式植物育成装置3〜5及び6〜8の列の延在方向(部屋の長手方向)をY方向といい、部屋の短手方向(多段棚式植物育成装置3〜5と多段棚式植物育成装置6〜8とが対面する方向)をX方向と言うことがある。これら二つの列の多段棚式植物育成装置3〜5及び6〜8間に、一人または複数の作業者が作業できる程度のスペースAを設けてある。部屋の長手方向壁面1j,1kと各多段棚式植物育成装置3〜8の背面との間に、50〜500mm程度の幅のスペースBを設けて、多段棚式植物育成装置3〜8を通過した空気の通路を形成する。

0028

多段棚式植物育成装置3〜5,6〜8の列の一端側は、ドア2と反対側の建物壁面1hに当接している。多段棚式植物育成装置3〜5,6〜8の列の他端側は、ドア2側の壁面1iから若干離反している。

0029

前述するドア2側の壁面1iの離反スペースから、温められた空気がスペースAに流れてくる場合は、この流れを抑制するための制御板を適切な場所に設けることもできる。

0030

部屋に出入りするためのドア2の内側にエアーカーテンを設置すると、作業者が出入りする際に外気が入らないようにできるので好ましい。

0031

この実施の形態では、植物育成装置は育苗装置である。多段棚式植物育成装置3〜8は、図3,4に示すように、それぞれ台座3c、左右の側面パネル3a、背面の背面パネル3b及び天頂部のトップパネル3eを有し、前面は開放した箱形構造体を備えている。この箱形構造体の内部に、複数の育苗棚12が上下方向に一定間隔で多段に配置されている。

0032

各多段棚式植物育成装置3〜8の高さは、作業者が作業できる程度の高さである2000mm程度とし、育苗棚12の幅は、数十から数百個のセル小鉢)を格子状に配列させた樹脂製のセルトレイ複数枚並べて載置できるとともに、各棚12の上側スペースの温度・湿度を一定に調節できる幅、例えば1000mm〜2000mm程度とし、育苗棚12の奥行きは500mm〜1000mmとするのが好ましい。各育苗棚12には複数枚のセルトレイ40(図7参照)がほぼ水平に載置されている。セルトレイ1枚の寸法は、一般的には幅が300mm、奥行きが600mm程度である。

0033

最下段の育苗棚12は、台座3cに載置されている。台座3cに設けたアジャスター(図示略)によって育苗棚12の水平度を調整できるよう構成されている。

0034

各育苗棚12には、後述する潅水装置30が設けられている。

0035

下から2段目以上の各育苗棚12及びトップパネル3eの下面には、ボックス14が設置され、該ボックス14に複数個(この実施の形態は3本)の照明装置13が設置されている。この照明装置13により、育苗棚12のセルトレイ40で生育する植物に光を照射するよう構成されている。この実施の形態では、最上部以外のボックス14は後述の潅水トレイ31の下面に取り付けられている。

0036

照明装置13の光源としては、LED等の半導体光源が好ましい。

0037

この照明装置13の構成の詳細を図8,9に示す。なお、図8は照明装置13を備えたボックス14の底面図、図9図8のIX−IX線断面図である。

0038

ボックス14の底板14bに細長い開口14aが設けられており、該開口14aに嵌合するようにして照明装置13が設置されている。照明装置13は、開口14aに臨むように該ボックス14内に設置されたケース13cと、該ケース13c内に設置された半導体光源13aと、該ケース13cの下面を覆う合成樹脂製のカバー13b等を有する。カバー13bはケース13cに着脱可能に取り付けられている。ボックス14の下面にスイッチ13sが設置されている。

0039

ボックス14は、長方形の天板14t及び底板14bを有した箱状体である。

0040

長方形の底板14bの長辺と平行方向に複数個(この実施の形態では3個)の前記開口14aが設けられている、ケース13cは、下面が開放した細長い長尺の箱状体であり、下端は開口14aに嵌合している。

0041

このケース13c内に設置された半導体光源13aは、図示は省略するが、基板と、該基板に設置された、半導体光源としての複数個のLEDと、該LEDを駆動する回路とを有する。基板はケース13cの長手方向に延在しており、LEDは該長手方向に間隔をおいて設置されている。

0042

ケース13cとボックス14の天板14tとの間には3〜30mm程度の隙間があいている。この照明装置13で発生する熱は、底板14bに伝わり、該底板14bから放散される。即ち、照明装置13の下側の育苗スペースを流れる空気に伝達される。

0043

このようにケース13cとボックス天板14tとの間に隙間があいているため、光源やその駆動回路から天板14tに伝わる熱は著しく少ない。そのため、潅水トレイ31上を流れる養液、およびセルトレイ40に植えられた植物の根圏部が照明装置13の熱で温められることが防止される。

0044

カバー13bは、縦断面が円弧形ないし略楕円弧形であり、開口14aに沿って延在する長尺の湾曲板状体である。このカバー13bは、LEDからの光を拡散させて下方に出射させる。この実施の形態では、カバー13bの下面が光出射面である。カバー13bは、下方に向って凸となるように設置されている。カバー13bの底板14bからの突出高さHは40mm以下である。

0045

図4の通り、各育苗棚12同士の間、及び最上段の育苗棚12と天板パネル3eとの間のスペース(育苗スペース)の後方の背面パネル3bに通気口が設けられ、各通気口にそれぞれ空気ファン15が取り付けられている。

0046

なお、このように各育苗スペースの背面側にそれぞれ空気ファン15を設けることにより、育苗スペースにおける気流が均一になり好ましい。

0047

部屋の上部には、部屋内の空気を調温調湿し、設定条件に調温調湿した空気を循環させる機能を備えた空調装置9が設置されている。この空調装置9は、熱交換器を有した空調装置本体(エアコン)9Aと、この空調装置本体9Aの下面に取付けられた風向制御板10とを有する。空調装置本体9Aのコンプレッサは建物構造物1外に設置されている。

0048

この実施の形態では、空調装置本体9Aは、部屋の平面視において、部屋の中心の上部に位置している。空調装置本体9Aの取込口9aは空調装置本体9Aの下面に設けられており、風向制御板10には、取込口9aと重なる位置に開口10aが設けられている。

0049

前記空調装置本体9Aは、建物構造物の天井1tに取り付けられ、その側面が部屋内に露呈した構造となっている。空調装置本体9Aの4個の側面にそれぞれ空気の吐出口9bが設けられている。

0050

前記風向制御板10は、開口10aの周囲部分が空調装置本体9Aの取込口9aの周囲に重なっている。開口10aは取込口9aと同一大きさか、又はそれよりも大きい。

0051

風向制御板10は、吊具(図示略)によって天井1tに支持されている。

0052

風向制御板10のY方向の一端側は壁面1hに当接している。風向制御板10のY方向の他端側は、多段棚式植物育成装置3〜5及び6〜8よりも壁面1i側にまで延在しているが、壁面1iから若干離反している。風向制御板10の該他端側の辺部の全長にわたって、起立板10rが立設されており、この起立板10rの上端が天井1tに当接している。

0053

風向制御板10は、天井1tと多段棚式植物育成装置3〜8の上面との間にまでX方向に延在している。

0054

図2aの通り、風向制御板10のX方向の両端は、多段棚式植物育成装置3〜5、多段棚式植物育成装置6〜8のスペースA側の前面の鉛直上方又はそれよりも後方すなわちスペースB側に位置している。風向制御板10のX方向の両端と各多段棚式植物育成装置3〜5,6〜8の前面との水平方向距離Lは0mmであってもよいが、好ましくは30mm以上、さらに好ましくは40mm以上、さらに好ましくは90mm以上、さらに好ましくは140mm以上である。

0055

この実施の形態では、この風向制御板10のX方向の両端と天井1tとの間が空調装置9の吹出口9fとなっている。吹出口9fは、栽培装置の平面視において、多段棚式植物育成装置3〜8の前面と重なってもよいが、好ましくはそれよりも前記距離Lだけ後方に位置している。

0056

この実施の形態では、空調装置本体9Aの取込口9aが空調装置9の吸気口となっている。この吸気口は、栽培装置の平面視において、多段棚式植物育成装置3〜8の前面よりも前方すなわちスペースA側に位置する。

0057

空気ファン15を稼働させることにより、部屋内に図2aの矢印で示したような空気の循環流が生じる。すなわち、空調装置9によって調温調湿された空気は、多段棚式植物育成装置3〜8の開放前面側のスペースAより育苗棚12各段の育苗スペース内に吸引され、空気ファン15から背面パネル3bの後方へ排出され、背面パネル3bの後方と建物壁面との間のスペースBを通って上昇し、多段棚式植物育成装置3〜8の上側スペースCを通過し、空調装置9から吹出された空気と混合され調温調湿されたのち、風向制御板10と多段棚式植物育成装置3〜8との間を通って再び多段棚式植物育成装置3〜8の開放前面側のスペースAに吹き出される。

0058

また、風向制御板10と多段棚式植物育成装置3〜8との間を通ってスペースAに流れ込もうとする空気の一部は、開口10aを通り、空調装置本体9Aの取込口9aから吸い込まれ、調温調湿された後、吐出口9bを経て吹出口9fから吹き出される。

0059

図1a−2bのように、2列の多段棚式植物育成装置3〜5と多段棚式植物育成装置6〜8をそれらの間に作業空間が形成されるように配列した場合には、この作業空間が空気の循環用のスペースAとしても機能し、効果的な循環流が形成される。

0060

循環流が多段棚式植物育成装置3〜8の各育苗スペースを通過する際に、潅水装置、培地、植物などから蒸発した水蒸気や照明装置13から放出される熱が循環流に同伴され、この循環流を空調装置9によって調温調湿して絶えず循環させることによって、部屋内を植物体生育に最適な温度湿度環境に保つことができる。育苗スペースを流れる空気の流速は、0.1m/sec以上であることが好ましく、0.2m/sec以上であることがより好ましく、0.3m/sec以上が更に好ましい。気流の速度が速すぎると、植物の育成に問題が生じるおそれがあるため、一般的には2.0m/sec以下であることが好ましい。

0061

この実施の形態では、気流を育苗スペースの前面からファン15を経て棚背面側のスペースBへ負圧の状態で流しているが、逆に棚背面側から前面側へ正圧の状態で流してもよい。ただし、前面側から負圧の状態で棚背面側へ流す方が、育苗スペースにおける気流が均一になる。

0062

この実施の形態では、潅水装置(底面潅水装置)30の潅水トレイ31によって各育苗棚12の棚板が構成され、該潅水トレイ31に載置されたセルトレイ40の底面から潅水を行うよう構成されている。この潅水装置30の構成例を図5〜7を参照して説明する。

0063

この潅水装置30は、後辺及び左右両側辺側壁31a、31b、31cが立設された底版31dを有する四角形の潅水トレイ31を備えている。潅水トレイ31の側壁のない前辺には底版31dに連接して排水溝32が設けられており、排水溝32の一端には排水口32aが形成されている。排水溝32と底版31dとは34により仕切られ、堰34の両端部の切欠部34aから養液が排水溝32に流出するよう構成されている。また、潅水トレイ31の後辺の側壁31aに沿って、養液を潅水トレイ31内に供給する給水管33が設けられており、給水管33に設けた複数の小孔33aから養液がトレイ31上に供給されるようになっている。

0064

潅水トレイ底版31dの上面に高さ約7mm程度の複数のリブ35が、排水溝32に向って互いに平行に延設されており、これらリブ35の上にセルトレイ40が載置されるようになっている。

0065

この潅水装置30は、図4の通り、潅水トレイ31を多段棚式植物育成装置3〜8の育苗棚12に載置したときに、排水溝32が育成装置3〜8の開放前面から突出する寸法とされている。排水溝32を育成装置の開放前面から突出させることにより、育苗棚12各段に載置した潅水トレイ31の排水溝32の排水口32aから排出される養液を集めて建物構造物1外部へ排出しやすくなる。

0066

潅水装置30の給水管33に設けた小孔33aから養液を連続的に供給すると、養液は堰34によって堰き止められて所定水位まで溜まりプール状態となる。給水管33から養液を供給している間、切欠部34aから養液が少しずつ排水溝32へ流出する。養液供給量と切欠部34aからの流出量を調節することによって、潅水トレイ31内に例えば10〜12mm程度の水位のプール状態が維持されるようにするのが好ましい。リブ35の上に載置されているセルトレイ40の各セル41底面に形成されたセル穴42からセル内の培地へ毛管作用により水が吸い上げられ、短時間ですべてのセル41内の培地が水分飽和状態になる。

0067

この潅水トレイ31の底版31dの下面にボックス14が取り付けられている。この実施の形態では、ボックス14の天板14tが潅水トレイ31の下面に直接に当接しているが、スペーサ断熱材を介在させてもよい。

0068

なお、この潅水装置30では、図7の通り、潅水トレイ31の底版31dの上面を排水溝32の方向へ傾斜させている。これにより、潅水停止時に養液を排水溝32へ短時間で排出させることができる。また、底版31dの上面に傾斜をもたせた場合には、リブ35の高さを変化させてリブの頂部35aが水平となるようにすることにより、リブ35の上に載置したセルトレイ40を水平に保持できる。

0069

図10は、本発明で用いる潅水装置の別例を示すものであり、図5図7における部材と同じ部材には、同じ符号を付してある。この潅水装置30’においては、潅水トレイ底版31dにセルトレイ40を載置する際に、潅水トレイ底版31dとセルトレイ40との間にアンダートレイ50を介在させる。このアンダートレイ50は各セル41内に培地を入れたセルトレイ40を支持し得る程度の剛性を備えており、その底壁面には複数の小孔51が形成されているとともに、その裏面には複数の突起52が形成されている。これらの突起52は、セルトレイ40をアンダートレイ50とともに潅水トレイ内に収容するときに、潅水トレイ底版31dとセルトレイ40底面との間に間隙を保持する間隙保持手段として機能する。

0070

図10の潅水装置30’においても、給水管33から養液を供給して所定水位のプール状態となった場合には、アンダートレイ50の小孔51からアンダートレイ50内に養液が導かれ、セルトレイ40の各セル41底面に形成されたセル穴42からセル内の培地へ毛管作用により水が吸い上げられる。

0071

図10においても、潅水トレイ底版31dの下面に、照明装置13を備えたボックス14が取り付けられている。

0072

潅水トレイ31に載置されるセルトレイ40は、前述したように、数十から数百のセル41を格子状に配列させてトレイ形状一体化したものであり、セルトレイ1枚の寸法は幅が300mm、奥行きが600mm前後とされているが、これに限定されない。

0073

苗が光合成で消費する炭酸ガスを人為的に供給するために、図1に示すように、建物構造物1の外部に液化炭酸ガスボンベ16を設置し、炭酸ガス濃度計測装置により計測した部屋内の炭酸ガス濃度が一定濃度となるように、炭酸ガスボンベ16から炭酸ガスを供給する。

0074

この育苗装置を使用して苗を育成することによって、苗の生育に好適な光量、温度、湿度、炭酸ガス、水分などの環境条件を自動的に調節することが可能である。また、各育苗棚の苗は全て同一環境下で生育することができるので、得られた苗質の均一性を高めることができる。

0075

この実施の形態では、空調装置9の吹出口9fは、多段棚式植物育成装置3〜8の前面よりも30mm以上後側にあるので、多段棚式植物育成装置3〜8(育成モジュール)を通過して温められた空気と空調装置9で冷やされた空気が混合された状態で、スペースAに流れ込む。これにより、スペースAに流れ込む空気は、均一な温度の空気となり、各多段棚式植物育成装置3〜8内に取り込まれることとなる。

0076

空調装置9で冷やされた空気が直接スペースAに流れると、部分的に冷たい空気が多段棚式植物育成装置3〜8の前面から取り込まれるため、多段棚式植物育成装置3〜8間で温度のムラが発生してしまい、植物の成長が均一とならない。

0077

この実施の形態では、空調装置本体9と風向制御板10とが一体となっているので、ダクト配管等を多く設置する必要がなく好ましい。

0078

この多段棚式植物育成装置では、照明装置13の熱が反射板を兼ねるボックス底板14bに伝達され、該底板14bから育苗スペースを流れる空気に伝わる。照明装置13から上側の潅水トレイ31に伝わる熱は著しく少ない。そのため、潅水トレイ31上の養液の温度が所定範囲コントロールされる。

0079

本発明では、すべての空調装置9の合計の冷房能力(Wb)とすべての照明装置13の合計の消費電力(Wa)との比Wb/Waが1以上5以下であることが好ましく、1以上4以下であることがより好ましく、1以上3以下であることが更に好ましく、1以上2以下であることが特に好ましい。Wb/Waを上記の範囲とすることで、閉鎖空間内の環境を適正かつ一定に保つことが可能となり、さらに、空調のオンオフによる環境変化もより少なくすることが可能となる。照明装置1本当りの消費電力をWsとし、照明装置の本数をnとし、1基の空調装置の冷房能力をWkとし、空調装置の設置台数をmとした場合、Wb/Waは下記式のAで表わされる。

0080

A=Wb/Wa
=(Wk×m)/(Ws×n)
m:空調装置の台数(基)
n:照明装置の本数(本)

0081

上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、部屋の大きさや、多段棚式植物育成装置の設置数は前記以外であってもよい。また、空調装置本体は、中心部以外に設置されてもよい。空調装置本体は2台以上設置されてもよいが、なるべく少数であることが好ましい。

0082

[実施例1]
図1〜9に示す構造を有した栽培装置を用いて、装置内の気温を16〜25℃となるように制御し、ホウレンソウの苗を栽培した。

0083

照明装置13の設置態様は次の通りである。

0084

棚(栽培面)のサイズ:幅1.2m、奥行0.6m
棚1段当たりの照明装置13の数:3本(図示の通り)
1本の照明装置13の全光束:6900ルーメン
各棚の栽培面1m2あたりの照明装置から出力される光束:28750ルーメン
LED発光器の第1発光ピーク波長:450nm
LED発光器の第2発光ピーク波長:590nm(半値幅:150nm)
カバー13bの高さH:20mm
栽培面の平均光合成有効光量子束:205μmol/m2/sec
栽培面の光合成有効光量子束の20%均整度:84%
空調装置の合計の冷房能力(Wb):5.6kW
照明装置の合計の消費電力(Wa):3.2kW

0085

その結果、太陽光を使用した圃場に移植しても、安定的かつ品質が良い栽培が可能な苗を生産することができることが認められた。

実施例

0086

本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
本出願は、2017年3月7日付で出願された日本特許出願2017−042967に基づいており、その全体が引用により援用される。

0087

1閉鎖型建物構造物
3〜8多段棚式植物育成装置
3a側面パネル
3b背面パネル
3c台座
3eトップパネル
9空調装置
9A 空調装置本体
9a 取込口
9b吐出口
9f吹出口
10風向制御板
10a 開口
12育苗棚
13照明装置
13a半導体光源
13bカバー
13cケース
13s スイッチ
14ボックス
14a 開口
15空気ファン
16炭酸ガスボンベ
30,30’潅水装置
31潅水トレイ
31d底版
32排水溝
32a 排水口
33給水管
33a小孔
34堰
34a切欠部
35リブ
40セルトレイ
41セル
42セル穴
50アンダートレイ
51 小孔
52 突起

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