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技術 ディスクブレーキ用のブレーキパッドおよびその製造方法

出願人 住友ベークライト株式会社ヴィンコリットエヌヴィ
発明者 小泉浩二井口英明ヘンドリックデカイザー
出願日 2018年1月24日 (1年8ヶ月経過) 出願番号 2018-529078
公開日 2019年2月14日 (7ヶ月経過) 公開番号 WO2018-143027
状態 特許登録済
技術分野 ブレーキ装置 プラスチック等の注型成形、圧縮成形 プラスチック等の射出成形 抗スリップ物質
主要キーワード 見掛け表面積 金属製補強材 Eガラス 配置物 立体形 硝酸イオン源 Cガラス 塩素イオン源
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題・解決手段

樹脂裏板と、前記樹脂製裏板の一面側に接合された摩擦材とを備えるディスクブレーキ用ブレーキパッドであって、前記樹脂製裏板は、第1の熱硬化性樹脂組成物硬化物により構成され、前記樹脂製裏板の前記摩擦材と接合された面と反対側の面または前記樹脂製裏板の内部に、金属製補強材が設けられたブレーキパッド、および、当該ブレーキパッドの製造方法。

概要

背景

自動車等のディスクブレーキに用いられるブレーキパッドは、通常、図1に示すように、裏板と、当該裏板の一面側に接合された摩擦材とを備えている(図1参照)。
この裏板としては、従来、金属製のものが広く用いられている。一方で、裏板の材質として樹脂を用いることも試みられている(特許文献1)。

概要

樹脂製裏板と、前記樹脂製裏板の一面側に接合された摩擦材とを備えるディスクブレーキ用ブレーキパッドであって、前記樹脂製裏板は、第1の熱硬化性樹脂組成物硬化物により構成され、前記樹脂製裏板の前記摩擦材と接合された面と反対側の面または前記樹脂製裏板の内部に、金属製補強材が設けられたブレーキパッド、および、当該ブレーキパッドの製造方法。

目的

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、裏板の素材として樹脂を用いても反りを抑制できるディスクブレーキ用ブレーキパッド、およびその製造方法を提供する

効果

実績

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牽制数
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請求項1

樹脂裏板と、前記樹脂製裏板の一面側に接合された摩擦材とを備えるディスクブレーキ用ブレーキパッドであって、前記樹脂製裏板は、第1の熱硬化性樹脂組成物硬化物により構成され、前記樹脂製裏板の前記摩擦材と接合された面とは反対側の面または前記樹脂製裏板の内部に、金属製補強材が設けられた、ブレーキパッド

請求項2

請求項1に記載のブレーキパッドであって、前記金属製補強材が、板材メッシュ材および棒材からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属製補強材であるブレーキパッド。

請求項3

請求項1または2に記載のブレーキパッドであって、前記樹脂製裏板の前記摩擦材と接合された面とは反対側の面を上面とし、その上面の面積をSとしたとき、上面視したときの前記金属製補強材の面積がS/2以上であるブレーキパッド。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項に記載のブレーキパッドであって、前記金属製補強材を構成する金属のヤング率が、前記樹脂製裏板を構成する第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物のヤング率よりも大きいブレーキパッド。

請求項5

請求項2〜4のいずれか1項に記載のブレーキパッドであって、前記金属製補強材の一部が前記樹脂製裏板に埋設され、前記金属製補強材の表面の一部が露出しているブレーキパッド。

請求項6

請求項1〜4のいずれか1項に記載のブレーキパッドであって、前記金属製補強材は、前記樹脂製裏板の内部に埋設されてなるブレーキパッド。

請求項7

請求項6に記載のブレーキパッドであって、前記裏板の、前記摩擦材の接合された面の反対側の面上の任意の点において、その点の箇所の前記裏板の厚みをTとしたとき、その点の箇所において、前記摩擦材の接合された面の反対側の面からT/2以上の深さには前記金属製補強材が存在しないブレーキパッド。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載のブレーキパッドであって、前記金属製補強材が、前記摩擦材と接していないブレーキパッド。

請求項9

請求項1〜8のいずれか1項に記載のブレーキパッドであって、比重が0.8以上5.0以下であるブレーキパッド。

請求項10

請求項1〜9のいずれか1項に記載のブレーキパッドであって、前記摩擦材が、第2の熱硬化性樹脂組成物の硬化物であるブレーキパッド。

請求項11

請求項10に記載のブレーキパッドであって、前記第2の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、前記第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが、同一または同種の熱硬化性樹脂を含むブレーキパッド。

請求項12

請求項1〜11のいずれか1項に記載のブレーキパッドであって、前記第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物が、フェノール樹脂ポリイミド樹脂エポキシ樹脂およびビスマレイミド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むブレーキパッド。

請求項13

請求項10または11に記載のブレーキパッドであって、前記第2の熱硬化性樹脂組成物の硬化物が、フェノール樹脂を含むブレーキパッド。

請求項14

請求項1〜13のいずれか1項に記載のブレーキパッドであって、金型内に、前記摩擦材の形成材料を配置する工程、前記金型内に前記第1の熱硬化性樹脂組成物を配置する工程、前記金型内に前記金属製補強材を配置する工程、および金型内に配置された前記摩擦材の形成材料、前記第1の熱硬化性樹脂組成物および前記金属製補強材に一括して熱と圧力とを加える工程、により、前記摩擦材、前記樹脂製裏板、および前記金属製補強材が一体成型されたブレーキパッド。

請求項15

請求項1〜13のいずれか1項に記載のブレーキパッドの製造方法であって、金型内に、前記摩擦材の形成材料を配置する工程、前記金型内に前記第1の熱硬化性樹脂組成物を配置する工程、前記金型内に前記金属製補強材を配置する工程、および金型内に配置された前記摩擦材の形成材料、前記第1の熱硬化性樹脂組成物および前記金属製補強材に一括して熱と圧力とを加える工程、により、前記摩擦材、前記樹脂製裏板、および前記金属製補強材が一体成型されたブレーキパッドを得る、ブレーキパッドの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ディスクブレーキ用のブレーキパッドおよびその製造方法に関する。

背景技術

0002

自動車等のディスクブレーキに用いられるブレーキパッドは、通常、図1に示すように、裏板と、当該裏板の一面側に接合された摩擦材とを備えている(図1参照)。
この裏板としては、従来、金属製のものが広く用いられている。一方で、裏板の材質として樹脂を用いることも試みられている(特許文献1)。

先行技術

0003

特開2002−206578号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、裏板の素材を樹脂とした場合、本発明者らは次のような問題が生じることを見出した。

0005

ディスクブレーキは、使用される際には摩擦面側の温度は極めて高くなるが、その反対面側の温度は、摩擦面側に比べれば上昇しない。このような偏った温度上昇およびその後の冷却が繰り返されると、摩擦面側とその反対面側の寸法変化に差が生じる。このような寸法変化が起こった場合、樹脂製裏板は金属製裏板に比べて剛性が低いため、ブレーキパッド全体として「反り」が生じやすい。反りが生じたブレーキパッドを使用し続けた場合、偏摩耗が生じ、十分な制動性能を発揮できない等の不具合を生じる恐れがある。

0006

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、裏板の素材として樹脂を用いても反りを抑制できるディスクブレーキ用ブレーキパッド、およびその製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた。その結果、ディスクブレーキ用のブレーキパッドにおける熱硬化性樹脂組成物硬化物により構成された樹脂製裏板の、摩擦材と接合された面と反対側の面、または、樹脂製裏板の内部に、金属製補強材を設けることにより、上記課題を達成できることを見出した。

0008

すなわち、本発明者らは、ディスクブレーキ用のブレーキパッドにおいて、熱硬化性樹脂組成物の硬化物により裏板を形成しつつ、前述の「反り」の問題に対処するために金属製補強材で補強することを見出し、本発明を完成させた。

0009

本発明によれば、
樹脂製裏板と、前記樹脂製裏板の一面側に接合された摩擦材とを備えるディスクブレーキ用ブレーキパッドであって、
前記樹脂製裏板は、第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により構成され、
前記樹脂製裏板の前記摩擦材と接合された面とは反対側の面または前記樹脂製裏板の内部に、金属製補強材が設けられた、ブレーキパッドが提供される。

0010

また、本発明によれば、
上記ブレーキパッドの製造方法であって、
金型内に、前記摩擦材の形成材料を配置する工程、
前記金型内に前記第1の熱硬化性樹脂組成物を配置する工程、
前記金型内に前記金属製補強材を配置する工程、および
金型内に配置された前記摩擦材の形成材料、前記第1の熱硬化性樹脂組成物および前記金属製補強材に一括して熱と圧力とを加える工程、
により、前記摩擦材、前記樹脂製裏板、および前記金属製補強材が一体成型されたブレーキパッドを得る、ブレーキパッドの製造方法が提供される。

発明の効果

0011

本発明によれば、樹脂製の裏板を用いた場合であっても、反りが抑制できるディスクブレーキ用ブレーキパッドを得ることができる。

図面の簡単な説明

0012

上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。

0013

一般的なブレーキパッドの構造の模式図である。(a)はブレーキパッドを摩擦材の側から見たときの模式図、(b)は(a)の一点鎖線部分の断面の模式図である。
本発明の実施形態に係るブレーキパッドの種々の態様を表す模式図である。(a)、(b)、(c)、(d)および(g)はブレーキパッドを樹脂製裏板の側から見たときの模式図、(e)および(f)はブレーキパッド断面の模式図である。
本発明の実施形態に係るブレーキパッドの種々の態様を表す模式図である。(a)、(b)、(c)、(f)および(g)はブレーキパッドを樹脂製裏板の側から見たときの模式図、(d)および(e)はブレーキパッド断面の模式図である。
本発明の実施形態に係るブレーキパッドの種々の態様を表す模式図である。(a)、(b)、(c)および(d)はブレーキパッド断面の模式図、(e)および(f)はブレーキパッドを樹脂製裏板の側から見たときの模式図である。
本発明の実施形態に係るブレーキパッドの製造方法を表す模式図である。

0014

<ディスクブレーキ用ブレーキパッド>
本発明は、樹脂製裏板と、前記樹脂製裏板の一面側に接合された摩擦材とを備えるディスクブレーキ用ブレーキパッドであって、前記樹脂製裏板は、第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により構成され、前記樹脂製裏板の前記摩擦材と接合された面と反対側の面または前記樹脂製裏板の内部に、金属製補強材が設けられた、ブレーキパッドに関する。

0015

以下、本発明のディスクブレーキ用ブレーキパッドの実施形態について説明する。なお、本発明は以下に説明された態様に限定されるものではない。また、一部、図面を用いて本発明を説明するが、図面はあくまで説明用の模式的なものであり、実際の物品と寸法比や厚み等が必ずしも一致するわけではない。なお、数値範囲の「〜」は、特に断りがない限り、以上から以下を表す。

0016

[樹脂製裏板]
ブレーキパッドは、樹脂製裏板を備える。樹脂製裏板は、第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物により構成される。すなわち、以下に説明する第1の熱硬化性樹脂組成物に対し、適当な硬化処理(典型的には加熱処理)をすることで得られる。硬化処理の方法や条件等については後述する。

0017

第1の熱硬化性樹脂組成物は、どのような性状であってもよい。典型的には、ペレット顆粒タブレットまたは細粒などである。

0018

第1の熱硬化性樹脂組成物の性状が、ペレット、顆粒、タブレットまたは細粒であるとき、組成物を構成する1個または1粒ごとの形状は任意の形状であってよく、1個または1粒ごとの大きさも特に限定されるものではない。第1の熱硬化性樹脂組成物の性状がペレットの場合、その大きさは、ペレットが板状であれば、例えば縦および横が1mm〜30mmで厚みが0.05mm〜5mm、ペレットが団子状であれば、平均粒径が例えば3mm〜50mmである。また、第1の熱硬化性樹脂組成物の性状が顆粒なら、平均粒径は例えば0.5mm〜5mm、細粒なら平均粒径は例えば0.1mm〜2mmである。ここで、「平均粒径」は、JIS Z8815のふるい分け試験方法によって求めることができる。また、平均粒径は、粒度分布における積算値50%での粒径累積分布におけるメジアン径)となる。

0019

以下、第1の熱硬化性樹脂組成物が含みうる成分について説明する。

0020

(a)熱硬化性樹脂
第1の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。なお、本明細書における熱硬化性樹脂とは、特に断らない限り、熱硬化性樹脂のプレポリマーや前駆体をも含む概念である。

0021

熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂ポリイミド樹脂ビスマレイミド樹脂エポキシ樹脂ユリア尿素)樹脂、メラミン樹脂ポリウレタン樹脂シアネートエステル樹脂シリコーン樹脂オキセタン樹脂、(メタアクリレート樹脂不飽和ポリエステル樹脂ジアリルフタレート樹脂ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。特に、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂およびビスマレイミド樹脂が好ましく、フェノール樹脂がより好ましい。これにより、樹脂製裏板はブレーキパッドとして好ましい耐熱性を発揮することができる。

0022

熱硬化性樹脂は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合、同種の樹脂同士を組み合わせてもよく、例えば、第1のフェノール樹脂と、第1のフェノール樹脂と構造等が異なる第2のフェノール樹脂を組み合わせてもよい。また、異種の樹脂同士を組み合わせてもよい。

0023

フェノール樹脂としては、フェノール由来する構成単位を含んでいれば特に限定されないが、例えば、フェノールノボラック樹脂クレゾールノボラック樹脂ビスフェノールノボラック樹脂アリールアルキレン型ノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂未変性レゾールフェノール樹脂桐油アマニ油クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、フェノール樹脂としては、特に、フェノールノボラック樹脂が好ましい。これにより、成形品低コストかつ高い寸法精度で製造することができるとともに、最終的に得られる裏板が、特に優れた耐熱性を発揮することができる。

0024

ポリイミド樹脂としては、繰り返し単位中にイミド結合を持つ樹脂であれば特に限定されず、例えば、ジアミン酸二無水物を反応させ、得られたポリアミド酸を加熱、脱水閉環することにより得られるものが挙げられる。

0025

上記ジアミンとしては、特に限定されず、例えば、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジフェニル、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等のシロキサンジアミンが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。

0026

また、上記酸二無水物としては、例えば、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸ピロメリット酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸二無水物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。

0027

エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂フェノールノボラック型エポキシ樹脂クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などの臭素化型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂ナフタレン型エポキシ樹脂トリス(ヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、エポキシ樹脂としては、特に、比較的分子量の低いビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、ペレットの溶融物または軟化物の流動性を高めることができるため、成形品の製造時におけるペレットの溶融物または軟化物の取り扱い性成形性(成形のし易さ)をさらに良好にすることができる。また、成形品の耐熱性をさらに向上させる観点から、エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、特にトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂が好ましい。

0028

ビスマレイミド樹脂としては、分子鎖の両末端にそれぞれマレイミド基を有する樹脂であれば、特に限定されないが、さらにフェニル基を有する樹脂が好ましい。具体的には、例えば、下記式(1)で表わされる樹脂を用いることができる。ただし、ビスマレイミド樹脂は、その分子鎖の両末端以外の位置に結合するマレイミド基を有していてもよい。

0029

0030

式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素または炭化水素基である。炭化水素基は無置換でも置換されていてもよい。炭化水素基の炭素数は好ましくは1〜4である。

0031

R5は、2価の有機基である。ここで、有機基とは、異種原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、異種原子としては、O、S、N等が挙げられる。有機基は無置換でも置換されていてもよい。

0032

R5は、炭化水素基である。好ましくは、メチレン基芳香環およびエーテル結合(−O−)が任意の順序で結合した主鎖を有する炭化水素基であり、より好ましくは、主鎖中において任意の順序で結合するメチレン基、芳香環およびエーテル結合の合計数が15個以下の炭化水素基である。なお、主鎖の途中には、置換基および/または側鎖が結合していてもよく、その具体例としては、例えば、炭素数3個以下の炭化水素基、マレイミド基、フェニル基等が挙げられる。

0033

ビスマレイミド樹脂として具体的には、例えば、N,N'−(4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N'−エチレンジマレイミド、N,N'−ヘキサメチレンジマレイミド等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。

0034

熱硬化性樹脂の質量平均分子量は、特に限定されないが、例えばフェノール樹脂において、フェノールノボラック樹脂では1,000〜15,000程度、レゾール型フェノール樹脂では1,000〜100,000程度が好ましい。この数値範囲とすることで、適切な成形性(成形のし易さ)を得ることができる。熱硬化性樹脂の質量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレン換算質量分子量として規定することができる。

0035

第1の熱硬化性樹脂組成物中の熱硬化性樹脂の含有量は、第1の熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として、通常10〜98質量%、好ましくは15〜80質量%、より好ましくは20〜60質量%である。特に、第1の熱硬化性樹脂組成物が後述の(b)繊維を含む場合、熱硬化性樹脂をこの量とすることで、繊維との相乗効果による強度の向上が得やすくなる。

0036

(b)繊維
第1の熱硬化性樹脂組成物は、繊維を含むことが好ましい。繊維を含むことにより、樹脂製裏板の機械的強度を高めることができる。

0037

繊維としては、例えば、アラミド繊維アクリル繊維ナイロン繊維脂肪族ポリアミド繊維)およびフェノール繊維等の有機繊維ガラス繊維炭素繊維セラミック繊維ロックウールチタン酸カリウム繊維およびバサルト繊維等の無機繊維ステンレス繊維スチール繊維アルミニウム繊維銅繊維黄銅繊維および青銅繊維等の金属繊維等が挙げられる。これらの中でも、アラミド繊維、炭素繊維およびガラス繊維が好ましい。

0038

ガラス繊維を構成するガラスの具体例としては、例えば、EガラスCガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラスが挙げられる。これらの中でも、ガラス繊維を構成するガラスとしては、特に、Eガラス、Tガラス、または、Sガラスが好ましい。

0039

炭素繊維の具体例としては、例えば、引張り強度3500MPa以上の高強度の炭素繊維や、弾性率230GPa以上の高弾性率の炭素繊維が挙げられる。炭素繊維は、ポリアクリロニトリル(PAN)系の炭素繊維、ピッチ系の炭素繊維のいずれであってもよいが、引張り強度の高さの点でポリアクリロニトリル系の炭素繊維が好ましい。アラミド繊維を構成するアラミド樹脂は、メタ型構造およびパラ型構造のいずれの構造を有していてもよい。

0040

繊維は、表面処理が施されているのが好ましい。これにより、分散性の向上や、熱硬化性樹脂との密着力の向上が期待できる。

0041

表面処理の方法としては、例えば、カップリング剤処理酸化処理オゾン処理プラズマ処理コロナ処理、および、ブラスト処理が挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、カップリング剤処理が好ましい。

0042

カップリング剤処理に用いるカップリング剤は、特に限定されず、適宜選択することができる。具体的には、シラン系カップリング剤チタン系カップリング剤アルミニウム系カップリング剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、特に、シラン系カップリング剤が好ましい。これにより、熱硬化性樹脂との密着性が特に向上する。

0044

繊維の断面形状は、特に限定されないが、円形および楕円形等の略円形等、三角形四角形および六角形等の多角形、扁平形星形等の異形等のいかなる形状であってもよい。これらの中でも、特に、略円形または扁平形が好ましい。これにより、樹脂製裏板の表面の平滑性が向上する。また、成形時の取扱性がより向上し、その成形性がさらに良好となる。

0045

繊維の平均太さは、5μm以上20μm以下が好ましく、6μm以上19μm以下がより好ましく、7μm以上18μm以下がさらに好ましい。繊維の平均太さをこの下限値以上とすることで、樹脂製裏板の成形時の繊維の破損を十分に抑えられる。また、繊維の平均太さをこの上限値以下とすることで、優れた成形性を得ることができる。

0046

繊維の平均繊維長は特に限定されず、第1の熱硬化性樹脂組成物の成形性、用いる繊維の材質、樹脂製裏板に求める物性、などの観点から適宜選択される。繊維の平均繊維長は、最終的な樹脂製裏板中において、通常50μm以上20mm以下である。この平均繊維長は、一態様として50μm以上1.5mm以下、別の態様として2mm以上19mm以下、さらに別の態様として1mm以上9mm以下であることが好ましい。これら数値範囲とすることにより、最終的に得られる成形品の機械的強度をさらに優れたものとすることができる。

0047

なお、繊維の平均繊維長は、例えば以下のようにして求められる。
(1)電気炉を用いて、第1の熱硬化性樹脂組成物または樹脂製裏板を高温(例えば550℃)で加熱し、熱硬化性樹脂を気化させる。そして繊維を無作為に500本取り出す。
(2)顕微鏡を用いて、上記500本の各繊維の繊維長を測定する。
(3)各繊維の質量を測定する。または、繊維の単位長さあたりの質量等から、各繊維の質量を算出する。
(4)上記の各値から、質量平均の繊維長を求め、繊維の平均繊維長とする。

0048

繊維には、開繊処理が施されていてもよい。開繊処理については、例えば、特開2015−163816号公報の0038段落以降に説明されている。

0049

繊維は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。例えば、ある平均繊維長の繊維を単独で用いてもよいし、平均繊維長が異なる2種以上の繊維(繊維群)を併用してもよい。2種の繊維を併用する場合は、その併用比率は、質量比で5:95〜95:5の範囲内とすることが好ましい。これにより、各繊維の特徴を十分に発揮することができる。なお、2種以上の繊維を併用する場合、最終的に得られる樹脂製裏板が2種以上の繊維を含む限りにおいて、当該2種以上の繊維をどのように準備、混合、調製等して樹脂製裏板を得るかについては特に限定されない。例えば以下の方法1および方法2のような方法があり得るが、これら以外の方法であってもよい。
方法1:2種以上の繊維が実質上均一に混合された第1の熱硬化性樹脂組成物を準備し、これを用いて樹脂製裏板およびブレーキパッドを作成する。
方法2:ある繊維を含む第1の熱硬化性樹脂組成物(x)と、別の繊維を含む第1の熱硬化性樹脂組成物(y)とを別々に準備する。そして、樹脂製裏板の成形前または成形時に、これら2つの組成物を所望の割合で混合して用い、樹脂製裏板およびブレーキパッドを作成する。例えば、平均繊維長が比較的長い繊維を含む第1の熱硬化性樹脂組成物と、これとは別の、平均繊維長が比較的短い繊維を含む第1の熱硬化性樹脂組成物とを準備し、樹脂製裏板の成形前または成形時に、これら2つの組成物を併用ないし混合して用いる。

0050

繊維は、樹脂製裏板を形成するまでの工程において、圧力等でその一部が折れて短くなる可能性がある。よって、第1の熱硬化性樹脂組成物中に含まれる繊維は、最終的に所望する平均繊維長よりもやや長い(具体的には、1%〜100%長い)平均繊維長を有する繊維であることが好ましい。例えば、樹脂製裏板中の繊維の平均繊維長を50μm以上1.5mm以下とする場合には、第1の熱硬化性樹脂組成物中に含まれる繊維の平均繊維長を100μm以上1.5mm以下とすることが好ましい。同様に、樹脂製裏板中の繊維の平均繊維長を2mm以上19mm以下とする場合には、第1の熱硬化性樹脂組成物中に含まれる繊維の平均繊維長を3mm以上20mm以下とすることが好ましく、樹脂製裏板中の繊維の平均繊維長を1mm以上9mm以下とする場合には、第1の熱硬化性樹脂組成物中に含まれる繊維の平均繊維長を1mm以上10mm以下とすることが好ましい。

0051

第1の熱硬化性組成物中の繊維の含有量(複数種の繊維を含む場合はその合計量)は、第1の熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として、20〜90質量%であり、好ましくは30〜80質量%である。この範囲とすることで、(a)熱硬化性樹脂との相乗効果により樹脂製裏板の強度を向上させることができる一方、良好な成形性も得られる。

0052

(c)その他の成分
第一の熱硬化性樹脂組成物は、さらに、必要に応じて、硬化剤硬化助剤充填剤離型剤顔料増感剤酸増殖剤可塑剤難燃剤、安定剤、酸化防止剤帯電防止剤等を含んでいてもよい。

0053

硬化剤は、前述の熱硬化性樹脂の種類等に応じて、適宜選択して用いることができ、特定の化合物に限定されない。熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を用いる場合、硬化剤としては、2官能以上のエポキシ系化合物イソシアネート類、および、ヘキサメチレンテトラミン等を用いることができる。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、硬化剤としては、脂肪族ポリアミン芳香族ポリアミンジシアミンジアミドなどのアミン化合物脂環族酸無水物、芳香族酸無水物などの酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂などのポリフェノール化合物イミダゾール化合物等を用いることができる。これらの中でも、取り扱い作業性や環境面から、ノボラック型フェノール樹脂を選択することが好ましい。

0054

特に、エポキシ樹脂として、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂を用いる場合には、硬化剤としては、ノボラック型フェノール樹脂を選択して用いることが好ましい。これにより、成形品の耐熱性を向上させることができる。

0055

硬化剤を用いる場合、その含有量は、第1の熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として0.1質量%以上30質量%以下が好ましい。これにより、樹脂製裏板を任意の形状に容易に形成することができる。

0056

硬化助剤は、特に限定されないが、例えば、イミダゾール化合物、三級アミン化合物有機リン化合物などが挙げられる。硬化助剤を用いる場合、その含有率は、第1の熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として0.001質量%以上10質量%以下が好ましい。これにより、第1の熱硬化性樹脂組成物をより容易に硬化させることができ、樹脂製裏板をより容易に成形することができる。

0057

充填材としては、特に限定されないが、無機充填材有機充填材等が挙げられる。無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウムクレーシリカマイカタルクワラストナイトガラスビーズミルドカボングラファイト等が挙げられる。無機充填剤は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、有機充填材としては、例えば、ポリビニールブチラールアクリロニトリルブタジエンゴムパルプ木粉等が挙げられる。有機充填剤は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。充填材を用いる場合、その含有率は、第1の熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として1質量%以上30質量%以下が好ましい。これにより、樹脂製裏板の機械的強度をさらに向上することができる。

0058

離型剤としては、特に限定されないが、ステアリン酸亜鉛ステアリン酸カルシウム等を用いることができる。離型剤を用いる場合、その含有率は、第1の熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として0.01質量%以上5.0質量%以下が好ましい。これにより、樹脂製裏板を任意の形状により容易に形成することができ、また、十分な離型性を得ることができる。

0059

以上、第1の熱硬化性樹脂組成物が含みうる成分について説明した。第1の熱硬化性樹脂組成物を用いた樹脂製裏板の製造方法およびブレーキパッドの製造方法については後述する。

0060

樹脂製裏板の性質・形態等について補足する。
曲げ弾性率
ブレーキパッドは、樹脂製裏板を金属製補強材で補強したものであるが、樹脂製裏板自体がある程度かたい(曲げにくい)ものであることが好ましい。これにより、反りの問題が一層低減されるともに、金属製補強材を減らすことができ、ブレーキパッド全体としての軽量化に寄与しうる。具体的には、樹脂製裏板を構成する第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物の曲げ弾性率が、5GPa以上100GPa以下であることが好ましく、10GPa以上80GPa以下であることがより好ましい。

0061

なお、曲げ弾性率は、ISO 178に従って測定される。具体的には、樹脂製裏板の中央部から、ディスクブレーキの進行方向(ブレーキパッドが実際に使用される際に摩擦力が加わる方向)に対して長さ80mm×幅10mm×厚み6mmのサイズを有する部分を切り出して、曲げ強さを測定するための試験片を作成して、室温で測定される。

0062

・樹脂製裏板の厚み
樹脂製裏板の厚みは、通常1mm〜30mm、好ましくは2mm〜20mm、より好ましくは3〜15mmである。

0063

[摩擦材]
ブレーキパッドは、樹脂製裏板の一面側に接合された摩擦材を備える。摩擦材は、制動時にディスクと当接し、この当接による摩擦によって、ディスクの回転を抑制する機能を有している。摩擦材は、制動時の摩擦熱に対応できるように、耐熱性に優れることが好ましい。

0064

摩擦材の一態様としては、第2の熱硬化性樹脂組成物の硬化物である。この第2の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂、繊維材、充填剤等を含むことが好ましい。

0065

第2の熱硬化性樹脂組成物が含む熱硬化性樹脂の例および好ましい態様としては、第1の熱硬化性樹脂組成物で説明した(a)熱硬化性樹脂が挙げられる。中でもフェノール樹脂が樹脂製裏板との接合性の観点から好ましい。

0066

また、第1の熱硬化性樹脂組成物が含む熱硬化性樹脂と、第2の熱硬化性樹脂組成物が含む熱硬化性樹脂とが、同一または同種の熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。すなわち、製造されたブレーキパッドにおいて、第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、第2の熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが、同一または同種の熱硬化性樹脂を含むように、組成物が選択されることが好ましい。換言すれば、(i)第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、第2の熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが、同一の熱硬化性樹脂を含むか、または(ii)第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、第2の熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが、それぞれ、同種の樹脂を含むことが好ましい。ここで「同種の樹脂を含む」とは、原料モノマーの構造や基本骨格等で分類される樹脂の分類が同種の樹脂を含むことを意図する。例えば、第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物がフェノール樹脂1を含み、第2の熱硬化性樹脂組成物の硬化物が、フェノール樹脂1と構造・分子量等において異なるものの一般にはフェノール樹脂に分類されるフェノール樹脂2を含む態様は、上記(ii)に該当する。

0067

第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物が含む熱硬化性樹脂と、第2の熱硬化性樹脂組成物の硬化物が含む熱硬化性樹脂とを上記のように選択することで、樹脂製裏板と摩擦材との接合性(接合強度)が向上することが期待される。特に、後述の一体成型によりブレーキパッドを製造する場合、一体成型が容易であり、かつ、樹脂製裏板と摩擦材とがより堅固に結合すると考えられる。

0068

摩擦材に用いられる繊維材の例としては、例えば、ロックウール、アラミド繊維(ケブラー登録商標))、銅繊維、チタン酸カリウム繊維等が挙げられる。充填剤の例としては、硫酸バリウムケイ酸ジルコニウムカシューダスト黒鉛、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)粉末等が挙げられる。

0069

摩擦材の平均厚みは、特に限定されないが、3mm〜30mmであるのが好ましく、5mm〜20mmであるのがより好ましい。

0070

[金属製補強材]
ブレーキパッドは、樹脂製裏板の前記摩擦材と接合された面とは反対側の面または前記樹脂製裏板の内部に設けられた金属製補強材を備える。この金属製補強材の剛性により、ブレーキパッドの反り抑制の効果が得られる。

0071

反りを抑制するための強度を担保する観点から、金属製補強材は、それ自体がある程度の剛性を有することが好ましい。金属製補強材は、例えばスチールウールのような、それ自体の剛性が小さい部材でないことが好ましい。

0072

・形状
金属製補強材は、板材メッシュ材および棒材からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属製補強材であることが好ましい。なお、「板材」「棒材」および「メッシュ材」とは、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が通常用いる意味に解されるものであるが、例えば以下のものをいう。

0073

板材:樹脂製裏板の摩擦板と接合された面とは反対側の面を上面とし、その上面の面積をSとしたとき、上面視したときの面積がS/6以上である金属製補強材のことをいう。なお、ここでの面積とは、1つのブレーキパッドに複数の金属製補強材が用いられる場合は、その合計の面積ではなく、それぞれの金属製補強材の面積のことである。
棒材:樹脂製裏板の摩擦板と接合された面とは反対側の面を上面として、金属製補強材を上面視したとき、金属製補強材の長手方向の長さL、金属製補強材の短手方向の長さ(幅)をDとしたときのL/Dの値(アスペクト比)が10以上200以下である金属製補強材のことをいう。なお、1つのブレーキパッドに、互いに固定されていない複数の金属製補強材が用いられる場合は、それぞれの金属製補強材について上記アスペクト比を求める。
メッシュ材:複数の細長い金属が織られたもの、編まれたものもしくは井桁状記号の♯状)に並べられて接着溶接等により互いに固定されたもの、または、面全体に規則的(周期的)な貫通穴がある平面状の金属製補強材のことをいう。

0074

板材(金属製補強材20)は、一態様として、樹脂製裏板10と略同じ形状で作成される(図2(a))が、樹脂製裏板の反り防止の機能を奏する限りにおいて、様々な形態であってよい。板材(金属製補強材20)は、例えば、略長方形の形態(図2(b))、湾曲屈曲した形態(図2(c)、図2(d))、波打った形態(図2(e))、板材の表面に凹凸突起などが設けられた形態(図2(f))、板材の一部に穴が開いた形態(図2(g))などであってもよい。また、板材の厚みや幅等は一定でなくてもよく、例えば反りの力が集中的にかかると考えられる部分の厚みを厚くしてもよい。もちろん、本発明がこれらの形態のみに限定されるものではない。

0075

棒材(金属製補強材20)は、まっすぐで一様な棒材の態様(図3(a))に限られず、樹脂製裏板の反り防止の機能を奏する限りにおいて様々な形態であってよい。例えば、曲がったり波打ったりした形態((図3(b)、図3(c)、図3(d))、棒材の表面に凹凸や突起などが設けられた形態(図3(e))などであってもよい。また、棒材(金属製補強材20)の太さが一定でなくてもよい(図3(f))。さらに、棒材は中空であってもよい。加えて、棒材としては、複数の棒材(金属製補強材20)を縦横に並べた形態のものも含む(図3(g))。

0076

メッシュ材も、板材と同様、様々な形態であってよい。すなわち、樹脂製裏板と略同じ形状、略長方形の形態、湾曲・屈曲した形態、波打った形態、表面の追加の凹凸や突起などが設けられた形態、一部に穴が開いた形態(ここでいう「穴」は、メッシュが元々有する穴のことではなく、メッシュに意図的に空けられた大きな穴のことをいう)などであってもよい。また、メッシュ材の厚みや幅等は一定でなくてもよく、例えば反りの力が集中的にかかると考えられる部分の厚みを厚くしてもよい。もちろん、本発明がこれらの形態のみに限定されるものではない。

0077

金属製補強材が板材またはメッシュ材である場合、これらの厚み(厚みが不均一な場合は平均厚み。以下同様。)は、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、2mm以上がさらに好ましく、3mm以上が特に好ましい。これにより十分な反り防止効果を得ることができる。また、板材またはメッシュ材の厚みは、8mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましく、6mm以下がさらに好ましい。更に別の観点として、板材またはメッシュ材の厚みは、裏板の厚みに対して50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。反り防止の効果が得られる範囲内で補強材を薄くすることで、ブレーキパッド全体としての軽量化を実現できる。

0078

金属製補強材が棒材である場合、棒材の太さは、2mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましい。また、棒材の太さは、8mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましい。ここで、棒材の「太さ」とは、太さが不均一な棒の場合は平均太さのことをいう。断面形状が円ではない場合は、断面の面積と同一面積となる円の直径に基づき太さを求める。棒材の太さをある程度太くすることで、十分な反り防止効果を得ることができる。また、反り防止の効果が得られる範囲内で棒材を細くすることで、ブレーキパッド全体としての軽量化を実現できる。

0079

更に別の観点として、棒材は、樹脂製裏板の厚み方向に少なくとも2mm以上の寸法があることが好ましく、少なくとも4mm以上の寸法があることがより好ましい。これにより十分な反り防止効果を得ることができる。棒材の、樹脂製裏板の厚み方向の寸法は、8mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましい。当該寸法をある程度大きくすることで、十分な反り防止効果を得ることができる。また、反り防止の効果が得られる範囲内で当該寸法を小さくすることで、ブレーキパッド全体としての軽量化を実現できる。

0080

・面積
金属製補強材は、一態様として、樹脂製裏板の摩擦板と接合された面とは反対側の面を上面とし、その上面の面積をSとしたとき、上面視したときの金属製補強材の面積がS/2以上であることが好ましい。この面積は、さらに好ましくは2S/3以上、より好ましくは3S/4以上である。この値以上とすることで、反り抑制の効果が大きくなる。この金属製補強材の面積の上限は、典型的にはS(即ち樹脂製裏板の面積と同面積)であるが、Sより大きくてもよい(例えば1.5Sでもよい)。このことは、例えば、金属製補強材が、樹脂製裏板の摩擦板と接合された面の全面を覆い、かつ、金属製補強材の一部が樹脂製裏板からはみ出すような態様であってもよいことを意味する。なお、金属製補強材が複数用いられているときは、その合計の面積が、上記数値範囲であることが好ましい。

0081

・金属製補強材の位置・配置
金属製補強材は、樹脂製裏板の、摩擦材と接合された面とは反対側の面、または、樹脂製裏板の内部に設けられている。より具体的には、例えば以下のような態様がある。
態様1:金属製補強材20の一つの面のみが樹脂製裏板10と接し、その他の面は樹脂製裏板10とは接していない態様(図4(a))
態様2:金属製補強材20の一部が樹脂製裏板10に埋設され、金属製補強材20の表面の一部が露出している態様(図4(b)、図4(c))
態様3:金属製補強材20が、樹脂製裏板10の内部に埋設されてなる態様(図4(d))

0082

態様2は、金属製補強材が樹脂製裏板に食い込んだ形態となっている。別の表現をすると、金属製補強材と樹脂製裏板に「引っ掛かり」がある。このような構造は、態様1に比べて横方向の力に強く、金属製補強材が樹脂製裏板からはがれることを効果的に防げると期待される。また、態様3は、金属製補強材が空気等と触れないため、金属製補強材の腐食防止の効果が期待できる。

0083

金属製補強材は、摩擦材と接していないことが好ましい。また、金属製補強材は、摩擦材からできるだけ離れて配置されることが好ましい。このような配置とすることで、金属製補強材の補強による剛性の向上に加え、樹脂による断熱ブレーキフルードの温度上昇を抑える効果も期待できる。このことをより定量的に述べるならば以下の通りとなる。なお、以下で「裏板」とは、樹脂製裏板と金属製補強材とを合わせた部分のことをいう。

0084

(i)一般的なケース(裏板に凹凸などがあり、その厚みが一定ではない場合)
裏板の、摩擦材の接合された面の反対側の面上の任意の点において、その点の箇所の裏板の厚み(局所的な厚み)をTとしたとき、その点の箇所において、摩擦材の接合された面の反対側の面からT/2以上の深さには金属製補強材が存在しないことが好ましい。
(ii)上記(i)の特別なケース(裏板が、一定の厚みを有する平板状である場合)
裏板の一定の厚みをT1としたとき、金属製補強材は、摩擦材の接合された面の反対側の面からT1/2より深い領域に存在することはなく、摩擦材の接合された面の反対側の面から深さT1/2までの領域にその全てが存在することが好ましい。

0085

例えば、図4(a)及び図4(c)の態様は上記(ii)の特別なケースに該当する。また、図4(b)の態様は、裏板の厚みが一様ではないが、上記(i)の一般的なケースに該当する。一方、図3(d)及び図3(e)や図4(d)の態様は、金属製補強材20の少なくとも一部が、裏板の厚みの半分より摩擦材30の側に近い領域に存在しているため、金属製補強材が摩擦板と離れているという観点からは好ましい態様ではない。ただし、前述のように、これらは金属製補強材の腐食防止等の観点では好ましい態様であり、決して本発明から除外されるものではない。

0086

なお、前述の態様1または態様2は、金属製補強材を摩擦材から離して配置しやすいという観点でも好ましいといえる。

0087

金属製補強材は、複数を用いてもよい。例えば、2枚以上の板材を用いてもよいし(図4(e))、板材と棒材を組み合わせて用いてもよい(図4(f))。

0088

・金属の種類
金属の種類(素材、材質)は、特に限定されない。例えば鉄、ステンレスアルミニウムチタン、銅、各種合金などから、ブレーキパッドとしての耐久性信頼性なども踏まえて適宜選択される。これら中でも、入手性やコスト等の観点からは鉄やステンレス等が好ましい。また、軽量化の観点からはアルミニウムやチタン等の軽金属が好ましい。

0089

ヤング率
金属製補強材を構成する金属のヤング率は、樹脂製裏板を構成する第1の熱硬化性樹脂組成物の硬化物のヤング率よりも大きいことが好ましい。これにより、反り抑制の効果がより大きくなることが期待できる。また、金属製補強材を構成する金属のヤング率は、好ましくは30〜250GPa、より好ましくは50〜220GPaである。なお、金属材料のヤング率は、例えばJIS Z 2241に規定される金属材料引張試験方法に基づき、適当な試験片を作成のうえ、室温で測定される。また、樹脂のヤング率は、例えばJIS 7162で規定された方法に基づき、適当な試験片を作成のうえ、室温で測定される。

0090

・金属製補強材の表面処理
金属製補強材は、樹脂製裏板との接合力を高めるため、表面処理がされていることが好ましい。表面処理としては、粗面化処理接着剤による処理、プライマーによる処理等が好ましく挙げられる。これらの処理のうち2以上を行ってもよい。

0091

粗面化処理、すなわち金属製補強材の表面に微細な凹凸を形成する処理を行うと、当該凹凸に熱硬化性樹脂組成物が侵入することで樹脂製裏板との接合強度を高めることができる。粗面化処理の方法としては、例えば、物理的・機械的に表面を粗く削る方法や、化学的表面処理方法等がある。微細な凹凸を形成するためには、化学的な表面処理を行うことが好ましい。これについては、例えば国際公開第2014−061521号等で説明されている。

0092

化学的な表面処理について説明する。
表面処理剤
表面処理剤は、金属製補強材の材質により、適宜選択される。金属製補強材の材質が鉄やステンレスの場合は、無機酸、塩素イオン源、第二銅イオン源チオール系化合物を必要に応じて組合せた水溶液が好ましい。金属製補強材の材質がアルミニウムやアルミニウム合金の場合は、アルカリ源両性金属イオン源、硝酸イオン源チオール化合物を必要に応じて組合せた水溶液が好ましい。マグネシウムマグネシウム合金の場合は、アルカリ源が用いられ、特に水酸化ナトリウムの水溶液が好ましい。

0093

金属製補強材の材質が銅や銅合金の場合は、硝酸硫酸などの無機酸、不飽和カルボン酸などの有機酸過硫酸塩過酸化水素イミダゾールおよびその誘導体テトラゾールおよびその誘導体、アミノテトラゾールおよびその誘導体、アミノトリアゾールおよびその誘導体などのアゾール類ピリジン誘導体トリアジントリアジン誘導体アルカノールアミンアルキルアミン誘導体ポリアルキレングリコール糖アルコール、第二銅イオン源、塩素イオン源、ホスホン酸系キレート剤酸化剤、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N−シクロヘキシルアミンから選ばれる少なくとも1種を用いた水溶液が好ましい。

0094

・表面処理の方法
金属製補強材を表面処理剤に浸漬させ、金属表面に化学的処理をおこなう。このとき、処理温度は、例えば、30℃である。また、処理時間は選定する金属製補強材の材質や表面状態、表面処理剤の種類や濃度、処理温度などにより適宜決定されるが、例えば、30〜300秒である。このとき、金属製補強材の深さ方向のエッチング量を、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上にする。金属部材の深さ方向のエッチング量は、溶解した金属製補強材の質量、比重および表面積から算出して、評価することができる。この深さ方向のエッチング量は、表面処理剤の種類や濃度、処理温度、処理時間などにより調整することができる。
上記の後、金属製補強材に後処理をおこなう。まず、金属製補強材の表面を水洗、乾燥する。次いで、金属製補強材の表面を硝酸水溶液などで処理する。

0095

比表面積
金属製補強材が粗面化処理される場合、少なくとも樹脂製裏板と接合する面の比表面積は、典型的には100以上、好ましくは150以上である。また、比表面積の上限は典型的には400以下であり、好ましくは380以下であり、より好ましくは300以下である。これらの数値条件を満たすことで、接合強度を向上させることができる。

0096

なお、比表面積とは、少なくとも樹脂製裏板と接合する接合面の見掛け表面積に対する窒素吸着BET法による実表面積の比のことをいう。見掛け表面積は、金属製補強材の表面が凹凸のない平滑状であると仮定した場合の表面積を意味する。一方、窒素吸着BET法による実表面積は、窒素ガス吸着量により求めたBET表面積を意味する。例えば、真空乾燥した測定対象試料について、自動比表面積/細孔分布測定装置(BELSORPminiII、日本ベル社製)を用いて、液体窒素温度における窒素吸脱着量を測定し、その窒素吸脱着量に基づいて算出することができる。

0097

比表面積が上記範囲内であると接合強度に優れる理由は必ずしも明らかではないが、金属表面の凹凸が、熱硬化性樹脂組成物が侵入してアンカー効果を発揮するのにちょうどよい構造となるものと考えられる。

0098

・表面粗さ
金属製補強材の樹脂製裏板との接合面の表面粗さRaは、好ましくは1.0μm以上40.0μm以下であり、より好ましくは1.0μm以上20.0μm以下であり、特に好ましくは1.0μm以上10.0μm以下である。この数値範囲内であると、接合強度をより一層向上させることができる。また、金属製補強材の樹脂製裏板との接合面の10点平均粗さRzは、好ましくは1.0μm以上40.0μm以下であり、より好ましくは5.0μm以上30.0μm以下である。この数値範囲内であると、接合強度をより一層向上させることができる。なお、RaおよびRzは、JIS−B0601に準拠して測定することができる。

0099

接着剤による処理およびプライマーによる処理については、金属と樹脂の接合性を高める公知の接着剤やプライマーを用いた処理が挙げられる。接着剤およびプライマーとしては、好ましくはエポキシ樹脂系のものが用いられる。

0100

[ブレーキパッド]
ブレーキパッドは、反りが抑制される結果、偏摩耗を抑えることができ、結果として十分な制動性能を発揮することができる。また、偏摩耗の低減は、いわゆるブレーキの「鳴き」の低減にも寄与しうる。

0101

ブレーキパッドは、ブレーキパッド全体としての比重が0.8以上5.0以下であることが好ましく、0.9以上4.0以下であることがより好ましく、1.0以上3.0以下であることがさらに好ましい。この範囲となるように金属製補強材の材質や使用量などを調整することで、反り防止の効果に加え、ブレーキパッドの軽量化、ひいては自動車の燃費向上が期待できる。

0102

ブレーキパッドは、上述の樹脂製裏板、摩擦材、および金属製補強材を備えるが、これら以外の層や付属物が備わっていてもよい。例えば、ブレーキパッドを固定するための追加の構造や、各部材の接合性を高めるための補助的な層等があってもよい。また、樹脂製裏板や摩擦材が複数層からなるものであってもよい。

0103

<ディスクブレーキ用ブレーキパッドの製造方法>
ブレーキパッドの製造方法は、特に限定されないが、例えば以下(1)〜(3)で説明されるような方法で製造される。

0104

(1)一体成型による製造方法
例えば、以下の工程により、樹脂製裏板、摩擦材および金属製補強材を備えるブレーキパッドを得ることができる。
(i)金型100内に、摩擦材の形成材料200を配置する工程、
(ii)金型100内に第1の熱硬化性樹脂組成物300を配置する工程、
(iii)金型100内に金属製補強材400を配置する工程、および
(iv)金型100内に配置された上記配置物(摩擦材の形成材料200、第1の熱硬化性樹脂組成物300および金属製補強材400)に一括して熱と圧力とを加える工程。
なお、上記(i)〜(iv)は、それぞれ、図5の(a)〜(d)に対応する。

0105

これら工程は、(i)〜(iv)の番号順に行われることが好ましい。なお、工程(i)において、摩擦材の形成材料は、典型的には、前述の第2の熱硬化性樹脂組成物である。

0106

摩擦材の形成材料や第1の熱硬化性樹脂組成物の性状がペレット、顆粒、タブレットまたは細粒である場合、工程(i)と(ii)の間、および/または工程(ii)と(iii)との間には、配置物の上面を整える工程を設けてもよい。この整え方は、典型的には平らに整えるが、一定の立体形状(例えば凹凸形状)としてもよい。こうすることで接合面積が増加し、接合力が高まることが期待できる。

0107

工程(i)では、摩擦材の形成材料は、金型内に配置する前に予備成形されたものであってもよい。すなわち、摩擦材の形成材料(典型的には第2の熱硬化性樹脂組成物)を、例えば、常温(15〜30℃)、圧力1〜100MPa、時間1〜120秒の条件で圧縮して予備成形し、その後金型内に配置してもよい。同様に、工程(ii)においては、第1の熱硬化性樹脂組成物を、金型内に配置する前に予備成形してもよい。予備成形の条件としては上記と同様である。

0108

工程(iii)では、最終的に得られるブレーキパッドにおいて金属製補強材が所望の位置となるように、金属製補強材を配置する。この際、金属製補強材は、前述の表面処理(粗面化処理、接着剤による処理、プライマーによる処理等)がなされていることが好ましい。この表面処理は、少なくとも金属製補強材が第1の熱硬化性樹脂組成物と接する部分に対してなされていることが好ましい。

0109

また、金属製補強材が、樹脂製裏板に埋設されてなるブレーキパッドを製造する際には、工程(iii)と(iv)の間に、さらに第1の熱硬化性樹脂組成物を配置する工程を行うことも好ましい。こうすれば、前述の図4(d)に示したような、金属製補強材が樹脂製裏板に埋設されてなるブレーキパッドを一体成型により得ることができる。

0110

工程(iv)の温度、圧力、時間等は特に限定されないが、温度は典型的には140℃〜200℃、好ましくは150℃〜190℃である。圧力も特に限定されないが、典型的には5〜100MPa、好ましくは10〜80MPaである。時間も特に限定されないが、典型的には1〜10分である。これら条件は、第1/第2の熱硬化性樹脂組成物の硬化性等に基づき適宜設定される。

0111

(2)各部材を別々に形成し、その後接合する製造方法
この方法では、まず、所望の形状の樹脂製裏板、摩擦材、および金属製補強材を形成する。その方法としては、圧縮成形トランスファー成形射出成形等が挙げられる。圧縮成形することにより、特に、第1および/または第2の熱硬化性樹脂組成物が繊維を含む場合、繊維の配向度を小さくでき、異方性を低減可能である。圧縮成形の条件については、上記(1)の工程(iv)とほぼ同様である。一方、トランスファー成形することにより、寸法をより高い精度で制御することができる。このため、トランスファー成形は、複雑な形状の製造に適している。また、射出成形することにより、量産性を向上させることができる。このようにして得られた樹脂製裏板、摩擦材、および金属製補強材を、適当な接着剤(例えば、エポキシ系接着剤)で接合することでブレーキパッドを得ることができる。

0112

(3)一部の部材を一体成型により接合し、その後、残りの部材と接合する製造方法
例えば、上記(1)一体成型による製造方法において、工程(iii)を行わず、工程(i)(ii)および(iv)を行って、摩擦材と樹脂製裏板が接合された構造を得、その後、金属製補強材を接着剤で接着するなどしてブレーキパッドを得てもよい。

0113

また、上記(1)一体成型による製造方法において、工程(i)を行わず、工程(ii)〜(iv)を行って、樹脂製裏板と金属製補強材とが接合された構造を得、その後、摩擦材を接着剤で接着するなどしてブレーキパッドを得てもよい。

0114

ブレーキパッドは、上記(1)一体成型により製造されることが好ましい。これは、全体的な製造工程の簡略化が図れることによる。また、詳細は不明であるが、一体成型により得られたブレーキパッドは、各部材間の界面が分子レベルで複雑に絡み合って硬化するため、部材間の接合力がより強くなると考えられる。とりわけ、前述したように、(iii)金型内に金属製補強材を配置する工程において、金属製補強材として表面処理を施したものを用いることが好ましい。こうすることで、樹脂製裏板と金属製補強材がより強く接合すると考えられるため、一体成型ではない通常の貼りあわせの場合に比べて、樹脂製裏板−金属製補強材の「剥がれ」の低減が期待できる。

0115

以下、実施例により本発明を説明する。なお、本発明は実施例の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
[実施例1]
(1)第1の熱硬化性樹脂組成物の準備
まず、繊維の原繊維として、シランカップリング剤により表面処理が施されたガラス繊維(PPG社製ガラス繊維ロービング1084、平均径:15μm)を用意した。
次いで、熱硬化性樹脂としてのフェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製スミライトレジンPR−51470、重量平均分子量:2800)を36.0質量%、硬化剤としてのヘキサメチレンテトラミンを6.0質量%、硬化助剤としての酸化マグネシウムを1.0質量%、離型剤としてのステアリン酸カルシウム1.0質量%および顔料としてのカーボンブラックを1.0質量%とを混合して、樹脂混合物を得た。
そして、流動床技術を使用して、表面処理が施されたガラス繊維が55質量%となるように、得られた樹脂混合物をコーティングし、400℃に加熱されたヒータにより溶融・固着させ、その後冷却した。
その後、ストランドカッターにより、樹脂混合物がコーティングされたガラス繊維を、平均長さ20mmの繊維が得られるように切断した。これにより、ペレット状の第1の熱硬化性樹脂組成物を得た。

0116

(2)第2の熱硬化性樹脂組成物(摩擦材の形成材料)の準備
上記の第1の熱硬化性樹脂組成物と同一のフェノール樹脂、及び、その他適宜公知の繊維材、充填剤等を混合し、第2の熱硬化性樹脂組成物を得た。

0117

(3)金属製補強材の準備
材質がステンレス、厚さが2mm、形状が最終的に形成される樹脂製裏板の形状と略同様で、表面が国際公開第2014−061521号に記載の方法を参考にして化学処理(粗面化)された金属製補強材を準備した。

0118

(4)一体成型
図5に示す手順に沿ってブレーキパッドを製造した。すなわち、まず適当な金型を準備し、その金型内に、上記(2)の第2の熱硬化性樹脂組成物(摩擦材の形成材料)を配置した(図5(a))。その上から上記(1)の第1の熱硬化性樹脂組成物を配置した(図5(b))。そしてその上に上記(3)の金属製補強材を配置した(図5(c))。その後、金型内に配置した上記配置物に対し、温度160℃、圧力20MPa、5分間の加熱・加圧処理を行った(図5(d))。この一連の工程により、ブレーキパッドを得た。

0119

(5)性能評価
模擬的な評価として、以下の評価を行った。
まず、3次元測定器を用い、上記(4)一体成型で得られたブレーキパッドの反り量を測定した。
その後、500℃に熱した熱盤上に、ブレーキパッドを摩擦板側が熱盤に接するようにセットした。そして、ブレーキパッドに1kgのをのせて90分間静置した後、冷却した。
冷却後、3次元測定器を用い、ブレーキパッドの反り量を再度計測した。計測結果から、偏摩耗を生じうる反りの発生が十分に抑えられていることを確認した。

0120

[実施例2]
実施例1において、第1の熱硬化性樹脂組成物が含むガラス繊維を炭素繊維(東レ株式会社製 炭素繊維ロービングT300−12000)に替えた以外は、実施例1と同様にしてブレーキパッドを作成し、性能評価を行った。このブレーキパッドについても、反りが十分に抑えられていることを確認した。

実施例

0121

この出願は、2017年2月3日に出願された日本出願特願2017−018286号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

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