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技術 溶銑の脱燐方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 藤井勇輔中井由枝菊池直樹森幹洋前田孝彦西口範孝安藤拓矢
出願日 2018年1月10日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2018-563282
公開日 2019年11月7日 (1年1ヶ月経過) 公開番号 WO2018-135351
状態 特許登録済
技術分野 銑鉄の精製;鋳鉄の製造;転炉法以外の製鋼 炭素鋼又は鋳鋼の製造
主要キーワード 投入領域 ガス抜き効果 質量濃度比 焼成度 各製鉄所 ランス孔 工業用純酸素 燐酸化物
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課題・解決手段

溶銑脱燐効率を向上できる溶銑の脱燐方法を提供する。脱燐精錬剤を溶銑に添加して行なう溶銑の脱燐方法であって、脱燐精錬剤は、細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和が0.1mL/g以上であって、R−CO2が1質量%以上の範囲内の石灰系脱燐剤を含む。

概要

背景

近年、鋼材に対する要求品質は益々厳格化しており、燐や硫黄に代表される不純物元素の低減が求められている。このような要求に対応するために、製鋼工程では、溶銑段階において脱燐処理を行うことが一般的になっている。この脱燐処理は、気体酸素或いは固体酸化鉄などの酸素源脱燐剤として溶銑に添加し、脱燐剤中の酸素溶銑中の燐を酸化して酸化物(P2O5)とし、生成された燐酸スラグ脱燐精錬用スラグ)に吸収させることで行われている。

脱燐精錬用スラグを形成させる脱燐精錬剤としては、一般的に石灰系脱燐精錬剤が使用されている。近年環境保護対策の観点から製鋼工程において発生するスラグを削減することが求められている。溶銑の脱燐処理は、脱燐反応に有利な低温処理であるので、比較的少ないスラグ量で処理が可能である。こうした溶銑の脱燐処理には、転炉内の溶銑に脱燐精錬剤を添加するとともに気体酸素を上吹きして行う方法や、混銑車溶銑鍋内の溶銑に脱燐剤または脱燐剤と脱燐精錬剤とを吹き込む方法などがあり、各製鉄所設備や環境に応じた脱燐処理が実施されている。

特許文献1には、ホタル石などのCaF2系媒溶剤を脱燐精錬剤の滓化促進剤として使用することにより、脱燐精錬用スラグの融体性を向上させて、脱燐効率を向上させる溶銑脱燐方法が開示されている。しかしながら、近年、環境保護の観点からスラグからのフッ素溶出量規制基準強化される状況にあり、脱燐精錬用スラグにおいても、フッ素濃度極限まで低下させる必要が生じている。このため、ホタル石などのCaF2系媒溶剤を使用しなくても高効率に溶銑を脱燐処理できる方法の開発が強く望まれている。

ホタル石などのCaF2系媒溶剤を使用しない脱燐方法として、例えば、特許文献2には、転炉形式の炉を用いて、実質的にフッ素を含有しない脱燐用媒溶剤を使用しつつ、以下のように脱燐処理後のスラグを形成させることで、当該スラグの融点を低下させて、脱燐処理後のスラグの排滓性を向上させる方法が開示されている。
1.溶銑を脱燐処理する際に、脱燐処理後のスラグ中のCaOとSiO2との質量濃度比で定義されるスラグ塩基度を2.5以上3.5以下にする。
2.脱燐処理後の溶銑温度を1320℃以上1380℃以下にする。
3.全吹錬時間の60%が経過する前から吹錬終了まで、底吹きガス流量を溶銑1トンあたり0.18Nm3/min以下に保つことで、脱燐処理後のスラグ中T.Fe濃度を5質量%以上にする。

特許文献3には、脱燐用媒溶剤の添加と酸素ガスの上吹きおよび底吹き撹拌とを行って溶銑を脱燐処理する際に、以下のように脱燐処理を行う脱燐方法が開示されている。
1.底吹き撹拌動力を1.0kW/t以上にする。
2.処理後のスラグの塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))を0.6以上2.5以下にする。
3.処理終点温度が1250℃以上1400℃以下になるように脱燐用媒溶剤投入量および/または底吹きガス吹き込み量を調整する。

特許文献4には、転炉内の溶銑に対してCaO源主体とする脱燐用媒溶剤を添加し、上吹きランスから溶銑浴面に酸素ガスの吹きつけを行う脱燐処理方法において、以下のように脱燐処理する方法が開示されている。
1.上吹きランスからの酸素ガスの供給速度を1.5〜5.0Nm3/(min・溶銑−ton)にする。
2.脱燐用媒溶剤のうちの少なくとも一部が、酸素ガスの吹きつけによって溶銑浴面に生じる火点に吹きつけられるように、上吹きランスから粉粒状の脱燐用媒溶剤を溶銑浴面に吹きつける。
3.処理後のスラグの塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が1.0以上2.5未満となるように調整する。

特許文献5には、以下のように脱燐処理する方法が開示されている。
1.溶銑保持容器内に保持された溶銑に、その浴面上方から酸化鉄を添加するとともに、浴面下に脱燐精錬剤を吹き込んで溶銑を脱燐処理する。
2.酸化鉄の浴面における投入領域が、面積率で脱燐精錬剤の浴面での吹き出し領域の40%以上とラップするように、酸化鉄を添加する。

概要

溶銑の脱燐効率を向上できる溶銑の脱燐方法を提供する。脱燐精錬剤を溶銑に添加して行なう溶銑の脱燐方法であって、脱燐精錬剤は、細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和が0.1mL/g以上であって、R−CO2が1質量%以上の範囲内の石灰系脱燐剤を含む。

目的

本発明は、このような現状を鑑みてなされたものであり、その目的は、溶銑の脱燐効率を向上できる溶銑の脱燐方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

脱燐精錬剤溶銑に添加して行なう溶銑の脱燐方法であって、前記脱燐精錬剤は、細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和が0.1mL/g以上であって、R−CO2が1質量%以上の石灰系脱燐剤を含む、溶銑の脱燐方法。

請求項2

前記脱燐精錬剤は、前記石灰系脱燐剤を50質量%以上含む、請求項1に記載の溶銑の脱燐方法。

請求項3

前記脱燐精錬剤の全ては、前記石灰系脱燐剤である、請求項1に記載の溶銑の脱燐方法。

技術分野

0001

本発明は、脱燐効率を向上できる溶銑脱燐方法に関する。

背景技術

0002

近年、鋼材に対する要求品質は益々厳格化しており、燐や硫黄に代表される不純物元素の低減が求められている。このような要求に対応するために、製鋼工程では、溶銑段階において脱燐処理を行うことが一般的になっている。この脱燐処理は、気体酸素或いは固体酸化鉄などの酸素源脱燐剤として溶銑に添加し、脱燐剤中の酸素溶銑中の燐を酸化して酸化物(P2O5)とし、生成された燐酸スラグ脱燐精錬用スラグ)に吸収させることで行われている。

0003

脱燐精錬用スラグを形成させる脱燐精錬剤としては、一般的に石灰系脱燐精錬剤が使用されている。近年環境保護対策の観点から製鋼工程において発生するスラグを削減することが求められている。溶銑の脱燐処理は、脱燐反応に有利な低温処理であるので、比較的少ないスラグ量で処理が可能である。こうした溶銑の脱燐処理には、転炉内の溶銑に脱燐精錬剤を添加するとともに気体酸素を上吹きして行う方法や、混銑車溶銑鍋内の溶銑に脱燐剤または脱燐剤と脱燐精錬剤とを吹き込む方法などがあり、各製鉄所設備や環境に応じた脱燐処理が実施されている。

0004

特許文献1には、ホタル石などのCaF2系媒溶剤を脱燐精錬剤の滓化促進剤として使用することにより、脱燐精錬用スラグの融体性を向上させて、脱燐効率を向上させる溶銑脱燐方法が開示されている。しかしながら、近年、環境保護の観点からスラグからのフッ素溶出量規制基準強化される状況にあり、脱燐精錬用スラグにおいても、フッ素濃度極限まで低下させる必要が生じている。このため、ホタル石などのCaF2系媒溶剤を使用しなくても高効率に溶銑を脱燐処理できる方法の開発が強く望まれている。

0005

ホタル石などのCaF2系媒溶剤を使用しない脱燐方法として、例えば、特許文献2には、転炉形式の炉を用いて、実質的にフッ素を含有しない脱燐用媒溶剤を使用しつつ、以下のように脱燐処理後のスラグを形成させることで、当該スラグの融点を低下させて、脱燐処理後のスラグの排滓性を向上させる方法が開示されている。
1.溶銑を脱燐処理する際に、脱燐処理後のスラグ中のCaOとSiO2との質量濃度比で定義されるスラグ塩基度を2.5以上3.5以下にする。
2.脱燐処理後の溶銑温度を1320℃以上1380℃以下にする。
3.全吹錬時間の60%が経過する前から吹錬終了まで、底吹きガス流量を溶銑1トンあたり0.18Nm3/min以下に保つことで、脱燐処理後のスラグ中T.Fe濃度を5質量%以上にする。

0006

特許文献3には、脱燐用媒溶剤の添加と酸素ガスの上吹きおよび底吹き撹拌とを行って溶銑を脱燐処理する際に、以下のように脱燐処理を行う脱燐方法が開示されている。
1.底吹き撹拌動力を1.0kW/t以上にする。
2.処理後のスラグの塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))を0.6以上2.5以下にする。
3.処理終点温度が1250℃以上1400℃以下になるように脱燐用媒溶剤投入量および/または底吹きガス吹き込み量を調整する。

0007

特許文献4には、転炉内の溶銑に対してCaO源主体とする脱燐用媒溶剤を添加し、上吹きランスから溶銑浴面に酸素ガスの吹きつけを行う脱燐処理方法において、以下のように脱燐処理する方法が開示されている。
1.上吹きランスからの酸素ガスの供給速度を1.5〜5.0Nm3/(min・溶銑−ton)にする。
2.脱燐用媒溶剤のうちの少なくとも一部が、酸素ガスの吹きつけによって溶銑浴面に生じる火点に吹きつけられるように、上吹きランスから粉粒状の脱燐用媒溶剤を溶銑浴面に吹きつける。
3.処理後のスラグの塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が1.0以上2.5未満となるように調整する。

0008

特許文献5には、以下のように脱燐処理する方法が開示されている。
1.溶銑保持容器内に保持された溶銑に、その浴面上方から酸化鉄を添加するとともに、浴面下に脱燐精錬剤を吹き込んで溶銑を脱燐処理する。
2.酸化鉄の浴面における投入領域が、面積率で脱燐精錬剤の浴面での吹き出し領域の40%以上とラップするように、酸化鉄を添加する。

先行技術

0009

特開平8−3611号公報
特開2008−106296号公報
特開平7−70626号公報
特開2008−266666号公報
特開2001−288507号公報

発明が解決しようとする課題

0010

このように、特許文献2〜5に開示された方法により、CaF2系媒溶剤の使用量を大幅に低減することはできるが、脱燐速度は、CaF2系媒溶剤を使用した場合に比べて低下する。すなわち、効率的に溶銑の脱燐を実施するという点において、特許文献2〜5に開示された方法には改善すべき点がある。本発明は、このような現状を鑑みてなされたものであり、その目的は、溶銑の脱燐効率を向上できる溶銑の脱燐方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

このような課題を解決する本発明の特徴は、以下の通りである。
(1)脱燐精錬剤を溶銑に添加して行なう溶銑の脱燐方法であって、前記脱燐精錬剤は、細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和が0.1mL/g以上であって、R−CO2が1質量%以上の石灰系脱燐剤を含む、溶銑の脱燐方法。
(2)前記脱燐精錬剤は、前記石灰系脱燐剤を50質量%以上含む、(1)に記載の溶銑の脱燐方法。
(3)前記脱燐精錬剤の全ては、前記石灰系脱燐剤である、(1)に記載の溶銑の脱燐方法。

発明の効果

0012

本発明の溶銑の脱燐方法では、所定の範囲内の全細孔容積の和と、R−CO2の含有量を特定の範囲内にした石灰系脱燐剤を用いる。このような石灰系脱燐剤を用いることで、火点の冷却効果とCaOのスラグへの滓化促進効果が得られ、これにより、溶銑の脱燐効率を向上できる。

図面の簡単な説明

0013

図1は、転炉を用いて溶銑を脱燐処理する状態を示す断面模式図である。

0014

発明者らは、細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和を0.1mL/g以上にし、R−CO2を1質量%以上にした石灰系脱燐剤を用いることで、溶銑の脱燐効率を向上できることを見出して本発明を完成させた。以下、本発明に係る溶銑の脱燐方法を、底吹き羽口を有する転炉型反応容器を用いて実施した実施形態を用いて説明する。しかしながら、本発明に係る溶銑の脱燐方法は、転炉等の反応容器に限らず、トーピードカーや溶銑鍋等の溶銑搬送容器であっても適用できる。

0015

図1は、転炉を用いて溶銑を脱燐処理する状態を示す断面模式図である。反応容器10は、転炉型の反応容器である。反応容器10は、溶銑20を収容する容器本体12と、溶銑20に酸素ガスなどの気体酸素源24、酸化鉄などの固体酸素源26および脱燐精錬剤28を添加する上吹きランス14とを備える。容器本体12の側面には、脱燐処理後の溶銑20を出銑する出銑口16が設けられている。容器本体12の底部には、不活性ガス30を溶銑20に吹き込む底吹き羽口18が複数設けられている。容器本体12に収容される溶銑20は、高炉から出銑された溶銑であってもよく、高炉から出銑された後に、高炉鋳床、溶銑搬送容器または転炉において酸素を吹きつけることで脱珪処理が行われた溶銑であってもよい。

0016

高炉から出銑されて反応容器10に収容された溶銑20には、上吹きランス14から酸素ガスなどの気体酸素源24と、酸化鉄などの固体酸素源26(以後、気体酸素源24と固体酸素源26とをまとめて「酸素源」と記載する場合がある)と、脱燐精錬剤28が添加される。上吹きランス14から酸素源が溶銑20に添加されることで、溶銑20中の燐が酸化されて燐酸化物が生成する。

0017

燐酸化物は、同じく、上吹きランス14から添加された脱燐精錬剤28等からなる脱燐精錬用スラグ22(以後、脱燐精錬用スラグ22を「スラグ22」と記載する場合がある)に取り込まれることで、溶銑20の脱燐処理が実施される。そして、高炉から出銑した溶銑20の燐濃度測定値と、経験的に得られている酸素源の脱燐酸素効率と、目標とする脱燐処理後の溶銑20の燐濃度とから算出される添加量の酸素源を上吹きランス14から添加して、溶銑20を目標とする燐濃度の範囲内まで脱燐させた後、上吹きランス14からの酸素源の添加を停止して脱燐処理が終了する。

0018

本実施形態の溶銑の脱燐方法では、石灰系脱燐剤が有する細孔のうち直径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内にある全細孔容積の和が0.1mL/g以上であり、かつ、R−CO2が1質量%以上である石灰系脱燐剤を含む脱燐精錬剤28を用いている。脱燐精錬剤28のうち、細孔のうち直径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内にある全細孔容積の和が0.1mL/g以上であり、かつ、R−CO2が1質量%以上である石灰系脱燐剤でない脱燐精錬剤は、例えば、カルシウムフェライトや、カルシウムアルミネートである。

0019

細孔径が上記範囲内である石灰は、物理的に溶銑と精錬剤との濡れ性が改善され、精錬剤の表面の細孔への溶銑の侵入が促進される。これにより、溶銑と接触する精錬剤の表面積が増大し、後述するCaOの崩壊がより促進されるので脱燐効率が向上する。また、0.1μm以上2.0μm以下の範囲内にある石灰の量が多いほどスラグの滓化が促進される。全細孔容積の和が大きいほどスラグの滓化が促進されて脱燐効率が向上するので、全細孔容積の和の上限値は定めなくてよい。このような脱燐精錬剤28を溶銑20に添加すると、脱燐精錬剤28に含まれる石灰系脱燐剤は、下記(1)式に示すCO2ガスの発生によりCaOが崩壊し、これにより、CaOのスラグ22への滓化が促進される。

0020

CaCO3→CaO+CO2・・・(1)
石灰系脱燐剤の細孔径分布は、以下の方法にて測定した。前処理として石灰を120℃で4時間恒温乾燥を行った後、Micromerities社製のオートポアIV9520を用いて、水銀圧入法により細孔直径約0.0036〜200μmの細孔分布を求め、累積細孔容積曲線を算出する。この累積細孔容積曲線から直径0.1μm以上2.0μm以下の範囲内となる細孔の全細孔容積を算出した。細孔径は、Washburnの式である下記(2)式を用いて算出した。

0021

P×D=−4×σ×cosθ・・・(2)
上記(2)式において、Pは圧力(Pa)、Dは細孔直径(μm)、σは水銀の表面張力(=480dynes/cm)、θは水銀と試料との接触角(=140°)である。

0022

R−CO2は、生石灰残留するCaCO3に起因するCO2の含有割合(質量%)を示す値であり、焼成度が高いとCaCO3が減少し、R−CO2の割合は低下する。R−CO2は、固体中炭素硫黄分析装置(CS分析装置)にて、石灰中のC濃度を測定し、CO2量換算することで算出した。
脱燐精錬剤28を溶銑20に添加するにあたり、脱燐精錬剤28は、気体酸素源24の添加位置と同一の溶銑浴面に添加することが好ましい。すなわち、上記(1)式は、吸熱反応であるので火点の冷却効果がある。脱燐反応は、熱力学的に低温であるほど反応が促進されるので、石灰系脱燐剤の火点の冷却効果と、CaOのスラグ22への滓化促進効果により脱燐反応が促進される。石灰系脱燐剤の表面積を広げ、石灰系脱燐剤の反応活性を高めることを目的として、上吹きランス14からキャリアガスとともに溶銑浴面に添加する際は、平均粒径1mm以下の石灰系脱燐剤を用いることが好ましい。平均粒径の測定方法は以下の通りである。石灰系脱燐剤を1kg採取し、0.100mm以下、0.100mm超〜0.150mm以下、0.150mm超〜0.212mm以下、0.212mm超〜0.250mm以下、0.250mm超〜0.300mm以下、0.300mm超〜0.355mm以下、0.355mm超〜0.425mm以下、0.425mm超〜0.500mm以下、0.500mm超〜0.600mm以下、0.600mm超〜0.710mm以下、0.710mm超〜0.850mm以下、0.850mm超〜1.000mm以下、1.000mm超、の13段階に篩分けし、下記(3)式を用いて平均粒径を質量比率で計算した。

0023

0024

上記(3)式において、Wiは粒径diの質量比率であり、粒径diは各篩目の中間径である。

0025

転炉などの炉上から添加する場合は、平均粒径が小さいと添加歩留が著しく悪化するので、炉上から添加する際は、平均粒径5〜30μm程度の石灰系脱燐剤を用いることが好ましい。

0026

細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内にある全細孔容積の和が0.1mL/g以上であり、かつ、R−CO2が1質量%以上である石灰系脱燐剤に、適宜、R−CO2が2質量%以下である生石灰を混合した脱燐精錬剤28を用いてよい。但し、石灰系脱燐剤の火点の冷却効果と、CaOのスラグ22への滓化促進効果を高めることを目的として、脱燐精錬剤28に対する石灰系脱燐剤の含有割合を50質量%以上とすることが好ましく、脱燐精錬剤28に対する石灰系脱燐剤の含有割合を100質量%とすることがさらに好ましい。

0027

従来、溶銑20のSi濃度が0.4質量%以上である場合においては、スラグフォーミングによって炉口部からスラグ22が噴出するおそれがあることから、溶銑20に酸素源を添加する送酸速度を低下させなければならず、生産性を低下させる要因になっていた。しかしながら、本実施形態の溶銑の脱燐方法では、上記(1)式の反応で生じるCO2によるガス抜き効果によって、スラグフォーミングが抑制されるので、送酸速度を低下させる必要がない。このため、本実施形態の溶銑の脱燐方法では、Si濃度が0.4質量%以上である溶銑を脱燐する場合においても、生産性を低下させることなく脱燐処理できる。

0028

脱燐処理後のスラグ22の塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))を1.8〜3.5程度にすることが好ましい。脱燐処理後のスラグ22の塩基度が1.8よりも低くなると、溶銑の脱燐反応が進行しにくくなるので好ましくない。脱燐処理後のスラグ22の塩基度を3.5よりも高くしても脱燐速度は向上せず、石灰コストの増加を招くので好ましくない。

0029

底吹き羽口18からは不活性ガス30を溶銑20に吹き込んで、溶銑20を撹拌する。これにより、溶銑20の脱燐効率をさらに向上できる。溶銑20の撹拌効果を得るためには、不活性ガス30の吹き込み量を0.02Nm3/(min・溶銑−ton)以上とすることが好ましい。一方、溶銑20の撹拌を強くし過ぎると、溶銑中のCがスラグ22中のFeOを還元する速度が早くなり、脱燐反応に寄与するFeO濃度が低下してしまうので好ましくない。このため、不活性ガス30の吹き込み量は0.5Nm3/(min・溶銑−ton)以下にすることが好ましい。本実施形態の溶銑の脱燐方法では、底吹き羽口18から不活性ガス30を吹き込む例を示したが、これに限られず、不活性ガス30に代えて、または、不活性ガス30とともに酸素ガスを吹き込んでもよい。不活性ガス30の吹込み量の単位のうち「溶銑−ton」とは、反応容器10に収容された溶銑1t当たりの不活性ガス30の吹込み量であることを意味する。

0030

上吹きランス14から添加する気体酸素源24としては、酸素ガス(工業用純酸素を含む)、空気、酸素富化空気、酸素ガスと不活性ガスの混合ガスを用いてよい。溶銑20の脱燐を行う場合においては、酸素ガスを用いることが好ましい。酸素ガスを用いることで、他のガスを用いた場合と比較して、脱燐反応速度を速めることができる。混合ガスを用いる場合には、脱燐反応速度を速めるために、空気よりも酸素濃度を高めることが好ましい。

0031

上吹きランス14から添加する固体酸素源26としては、鉄鉱石ミルスケール砂鉄集塵ダスト(高炉、転炉、焼結工程等において、排出ガスから回収される鉄分含有ダスト)等の酸化鉄源を用いてよい。本実施形態の溶銑の脱燐方法においては、これらの固体酸素源26を上吹きランス14から溶銑20の浴面に吹きつけて添加する。これにより、スラグ22の酸素ポテンシャルを向上できるとともに、火点冷却による脱燐促進効果が得られる。

0032

上吹きランス14から固体酸素源26を添加するにあたり、固体酸素源26は、気体酸素源24の供給系統とは異なる供給系統から、気体酸素源24が吹きつけられる溶銑20の浴面近傍位置に添加することが好ましい。

0033

気体酸素源24が添加される溶銑20の浴面位置である火点は、気体酸素源24による脱炭反応優勢であり、当該脱炭反応などの発熱によって2000℃を超える高温になっている。一方、脱燐反応は、熱力学的に低温であるほど反応が促進されるので、実質的に脱燐反応が起こるのは、火点からわずかに離れた概ね1800℃以下の火点周辺部になる。

0034

このため、上吹きランス14から固体酸素源26を添加する場合に、気体酸素源24の供給系統とは異なる供給系統から酸素濃度の低いキヤリアガスを用いて、気体酸素源24が吹きつけられる火点周辺部に固体酸素源26を添加することが好ましい。酸素濃度の低いキャリアガスを用いて1800℃以下の火点周辺部に固体酸素源26を添加することで、その部分の温度を過度に上昇させることなく固体酸素源26の良好な脱燐反応性によって溶銑の脱燐がさらに促進される。1550℃における脱燐能力を示す指標である燐分配比(スラグ中の燐濃度と、溶鋼中の燐濃度の比)は、熱力学的概算で1600℃における燐分配比の概ね2倍にもなる。

0035

気体酸素源24の供給系統とは異なる供給系統を有する上吹きランス14の構成としては、少なくとも二重管構造を有していればよく、当該二重管構造の一方を気体酸素源24の流路として、二重管構造の他方を固体酸素源26の流路とすればよい。さらに、上吹きランス14の中心軸を中心とした仮想円に沿った複数のランス孔と、上吹きランス14の中心軸上に配されたランス孔とを設け、仮想円に沿って設けられた複数のランス孔から気体酸素源24を添加し、中心軸上に設けられたランス孔から固体酸素源26を添加してもよい。このように固体酸素源26および気体酸素源24を添加することで、気体酸素源24の添加により形成される複数の火点に囲まれる浴面位置に固体酸素源26を添加でき、固体酸素源26の添加位置の温度を火点よりも低い高温状態に維持できるのでより好ましい。上吹きランス14の中心軸を中心とする仮想円に沿って複数のランス孔を設け、複数のランス孔から気体酸素源24と固体酸素源26とを時間を変えて交互に添加してもよい。

0036

溶銑20に添加される固体酸素源26の全てを気体酸素源24が添加される溶銑浴面の近傍に添加しなくてもよい。しかしながら、気体酸素源24が添加される溶銑浴面の近傍に添加される固体酸素源26が少ないと、スラグ22中のFeO濃度が低くなる。スラグ22中のFeOは脱燐反応に寄与するので、スラグ22中のFeO濃度が低くなると脱燐効率が低下する。スラグ22中のFeO濃度が低くなるのを避けるために、スラグ22中に所定のFeO濃度が確保できる量の固体酸素源26を、気体酸素源24が添加される溶銑浴面の近傍に添加することが好ましい。

0037

一方、気体酸素源24が添加される溶銑浴面の近傍に添加される固体酸素源26の添加量の上限は、設備仕様に応じて溶銑20からの抜熱量が過大にならない添加量に設定すればよい。例えば、100〜350トンの転炉型の反応容器で脱燐処理する場合においては、溶銑浴面に添加される1Nm3の気体酸素源24(標準状態での酸素ガス純分)に対し、0.1kg以上2.0kg以下の範囲内となる添加量の固体酸素源26を、気体酸素源24が添加される溶銑浴面の近傍に添加することが好ましく、0.3kg以上2.0kg以下の範囲内となる添加量の固体酸素源26を気体酸素源24が添加される溶銑浴面の近傍に添加することがより好ましい。

0038

気体酸素源24が添加される溶銑浴面の近傍に添加される固体酸素源26の添加量を1Nm3の気体酸素源24に対して0.1kg未満とした場合には、スラグ22のFeO濃度が低くなるので好ましくない。固体酸素源26の添加量を1Nm3の気体酸素源24に対して2.0kgより多くすると、固体酸素源26を添加する溶銑浴面における抜熱量が大きくなり、スラグ22の滓化が不十分になって脱燐効率が低下するので好ましくない。気体酸素源24が添加される溶銑浴面の近傍の浴面位置以外の位置に添加される固体酸素源については、上置き添加、インジェクション添加などの方法で溶銑20に添加されてよい。

0039

気体酸素源24を使用した場合には、酸化反応熱によって溶銑温度は上昇し、固体酸素源26を使用した場合には、固体酸素源26自体の顕熱潜熱および分解熱が酸化反応熱よりも大きいので、溶銑温度は低下する。したがって、気体酸素源24と固体酸素源26との使用比率は、気体酸素源24の添加量と、気体酸素源24が添加される溶銑浴面の近傍に添加される固体酸素源26の添加量の範囲を維持しつつ、溶銑20の脱燐処理後における目標温度に応じて設定すればよい。

0040

スラグ22中のFeO濃度が10質量%以上50質量%以下の範囲内になるように、気体酸素源24が添加される溶銑浴面の近傍位置に添加する固体酸素源26の添加量を調整することが好ましい。これにより、溶銑20の脱燐効率を向上できる。スラグ22中のFeO濃度を10質量%以上30質量%以下の範囲内にすることで、溶銑20の脱燐効率をさらに向上できるのでより好ましい。

0041

本実施形態の溶銑の脱燐方法においては、底吹き羽口18から不活性ガス30を吹き込んで溶銑20を撹拌する例を示したが、これに限られない。例えば、トーピードカーや溶銑鍋の溶銑搬送容器を用いて溶銑の脱燐を行う場合には、溶銑20に浸漬させたインジェクションランスから不活性ガス30を吹き込んで溶銑20を撹拌してもよい。

0042

高炉から出銑した溶銑を高炉鋳床で脱珪した後、容量250トンの溶銑鍋で搬送し、機械式撹拌法によって脱硫した後、転炉で上吹きランスを用いて脱燐処理を実施した。

0043

固体酸素源として平均粒径500μmの砂鉄を10kg/(溶銑−ton)添加した。この砂鉄の添加は、搬送用ガスによる上吹きランスからの添加と、炉上ホッパーからの上置き添加とを併用した。気体酸素源として上吹きランスから酸素を25000Nm3/hの送酸速度で添加した。脱燐精錬剤としては、気体酸素源の供給系統から平均粒径2mm以下の脱燐精錬剤を10kg/(溶銑−ton)添加した。

0044

脱燐精錬剤の平均粒径の測定方法は、以下の通りである。脱燐精錬剤を1kg採取し、0.100mm以下、0.100mm超〜0.150mm以下、0.150mm超〜0.212mm以下、0.212mm超〜0.250mm以下、0.250超〜0.300mm以下、0.300mm超〜0.355mm以下、0.355mm超〜0.425mm以下、0.425mm超〜0.500mm以下、0.500mm超〜0.600mm以下、0.600mm超〜0.710mm以下、0.710mm超〜0.850mm以下、0.850mm超〜1.000mm以下、1.000mm超、の13段階に篩分けし、上記(3)式を用いて平均粒径を質量比率で計算した。脱燐開始前の溶銑のSi濃度は0.15質量%、C濃度は4.5質量%であり、スラグの塩基度は2.0、CaOと酸素の比率CaO/O=1.5(kg/Nm3)となるように調整した。

0045

表1は、比較例1〜6および実施例1〜28に用いた脱燐精錬剤に含まれる石灰系脱燐剤の含有割合(質量%)と、石灰系脱燐剤の細孔径0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和(mL/g)と、R−CO2の含有割合(質量%)と、脱燐処理前の溶銑の燐濃度(質量%)と、脱燐処理後の溶銑の燐濃度(質量%)と、脱燐率(%)と、終点温度(℃)を示す。上記石灰系脱燐剤でない脱燐精錬剤としてカルシウムフェライトを用いた。脱燐率は、脱燐処理前の溶銑の燐濃度と、脱燐処理後の溶銑の燐濃度と、下記(4)式とを用いて算出される値である。

0046

0047

0048

比較例1〜6は、石灰系脱燐剤の細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和が0.1mL/g未満、または、R−CO2の値が1質量%以上にならない石灰系脱燐剤を含む脱燐精錬剤を用いて脱燐処理した比較例である。実施例1〜28は、石灰系脱燐剤の細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和が0.1mL/g以上およびR−CO2が1質量%以上である石灰系脱燐剤を含む脱燐精錬剤を用いて脱燐処理した実施例である。比較例1〜6の脱燐率は、実施例1〜28の脱燐率よりも低かった。このことから、細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和が0.1mL/g以上およびR−CO2が1質量%以上である石灰系脱燐剤を50質量%以上含む脱燐精錬剤を用いることで、溶銑の脱燐効率を向上できることが確認された。

0049

実施例17〜28は、細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和が0.1mL/g以上およびR−CO2が1質量%以上である石灰系脱燐剤から構成される脱燐精錬剤を用いた実施例である。実施例17〜28の脱燐率は、比較例1〜6および実施例1〜16の脱燐率よりも高かった。このことから、脱燐精錬剤の全てが、細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和が0.1mL/g以上およびR−CO2が1質量%以上である石灰系脱燐剤である場合に、溶銑の脱燐効率をさらに向上できることが確認された。

実施例

0050

石灰系脱燐剤の細孔径が0.1μm以上2.0μm以下の範囲内の全細孔容積の和が0.1mL/g以上およびR−CO2が1質量%以上である石灰系脱燐剤は、上述したように火点の冷却効果と、CaOのスラグへの滓化促進効果により溶銑の脱燐効率を向上できる。このため、溶銑の脱燐効率を向上できる石灰系脱燐剤を含む脱燐精錬剤を用いて溶銑の脱燐を実施することで、当該石灰系脱燐剤を含まない脱燐精錬剤を用いて溶銑の脱燐を実施した場合よりも脱燐効率を向上できるといえる。

0051

10反応容器
12容器本体
14 上吹きランス
16出銑口
18 底吹き羽口
20溶銑
22スラグ
24気体酸素源
26固体酸素源
28脱燐精錬剤
30 不活性ガス

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