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図面 (20)

課題・解決手段

優れたCDK4/6阻害活性を有する新規ピリド[3,4−d]ピリミジン誘導体結晶を提供する。 式(I)で表される化合物の結晶。 式中、R1は水素原子またはC1−3アルキル基を表し、R2は水素原子またはオキソ基を表し、Lは単結合またはC1−3アルキレン基を表し、XはCHまたはNを表す。

概要

背景

CDK4/6阻害剤は、癌、心血管障害腎臓病、特定の感染症及び自己免疫疾患を含む異常細胞増殖が原因である様々な疾患を治療するために用いることができる。例えば関節リウマチ動脈硬化症肺線維症脳梗塞症、癌の治療に有効であることが期待される。このような症例において、CDK阻害を介した細胞周期細胞増殖抑制が有効であることは以下のような技術的知見に基づく。

関節リウマチにおいては滑膜細胞過増殖によるパンヌスの形成が知られており、CDK4/6阻害剤を動物投与することによって、改善されることが報告されている(非特許文献1)。また、関節リウマチ患者由来滑膜細胞においてはCDK4−サイクリン複合体により、MMP3産生も制御されており、CDK4/6の活性を負に制御することにより、増殖だけではなく、MMP3産生が抑制されることも報告されている(非特許文献2)。

以上の点より、CDK4/6阻害剤は、関節リウマチに対して滑膜細胞増殖抑制効果とともに軟骨保護効果も期待できる。
マウスの肺線維症のモデルにおいては、アデノウイルスベクタ−による細胞周期阻害蛋白質p21の発現誘導が有効であることが報告されている(非特許文献3)。
ラットの脳梗塞モデルにおいては、局所虚血による神経細胞死に伴いサイクリンD1/CDK4レベルが向上することが知られており、非選択的CDK阻害剤であるフラピリド−ルの投与により神経細胞死が抑制されることが報告されている(非特許文献4)。

サイクリンD−CDK4/6−INK4a−Rb経路は、癌の細胞増殖に有利となるようにいずれかの因子の異常、例えば機能的p16INK4aの欠失やサイクリンD1高発現、CDK4高発現、機能的Rbの欠失などがヒトの癌において高頻度に検出されている(非特許文献5)。これらは、いずれもG1期からS期への進行を促進する方向への異常であり、この経路が癌化又は癌細胞異常増殖において重要な役割を担っていることは明らかである。

CDK4/6阻害剤は、特にCDK4/6キナーゼ活性を活性化する遺伝子に異常がある腫瘍、例えばサイクリンDの転座がある癌、サイクリンDの増幅がある癌、CDK4やCDK6の増幅又は過剰発現がある癌、p16不活性化がある癌に対して有効となり得る。また、その欠陥がサイクリンDの存在量の増加をもたらすサイクリンDの上流調節因子において遺伝子異常がある癌の治療に有用となり得、治療効果を期待することもできる。
実際、CDK4/6活性を阻害する化合物を合成する試みがなされ、当分野で多くの化合物が開示されており、乳癌をはじめとした複数の癌において臨床試験が実施されている(非特許文献6)。

大部分の急性及び重篤放射線療法化学療法の毒性は、幹細胞及び前駆細胞への効果を通してである。CDK4/6阻害剤により休止状態になった造血幹細胞及び前駆細胞は、放射線療法や化学療法による細胞毒性から防護される。阻害剤処理が止まった後、造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)は、一時的休止期間から回復し、その後正常に機能するため、CDK4/6阻害剤を用いた化学療法抵抗性は、著しい骨髄防護を提供すると期待される(非特許文献7)。

以上から、CDK4/6阻害剤は、例えば関節リウマチ、動脈硬化症、肺線維症、脳梗塞症、癌の治療、骨髄防護に有用であり、特に関節リウマチ、癌の治療、骨髄防護に有効であることが期待される。
CDK4/6を含むCDK阻害剤としては特許文献1及び2が知られている。

概要

優れたCDK4/6阻害活性を有する新規のピリド[3,4−d]ピリミジン誘導体結晶を提供する。 式(I)で表される化合物の結晶。 式中、R1は水素原子またはC1−3アルキル基を表し、R2は水素原子またはオキソ基を表し、Lは単結合またはC1−3アルキレン基を表し、XはCHまたはNを表す。

目的

阻害剤処理が止まった後、造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)は、一時的休止期間から回復し、その後正常に機能するため、CDK4/6阻害剤を用いた化学療法抵抗性は、著しい骨髄防護を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

式(I)で表される化合物結晶又は式(I)で表される化合物の溶媒和物の結晶。式中、R1は水素原子またはC1−3アルキル基を表し、R2は水素原子またはオキソ基を表し、Lは単結合またはC1−3アルキレン基を表し、XはCHまたはNを表す。

請求項2

式(I)で表される化合物の結晶であり前記化合物が1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イルアミノ)−3−ピリジルピペラジン−2−オンである、請求項1に記載の結晶。

請求項3

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角6.3°、6.6°、11.6°、16.9°及び20.0°にピークを有する、請求項2に記載の結晶。

請求項4

示差走査熱量分析における吸熱ピーク補外開始点温度が277℃である、請求項3に記載の結晶。

請求項5

赤外吸収スペクトルKBr法)において、波数703cm−1、896cm−1及び3418cm−1に特徴的な吸収ピークを有する、請求項3に記載の結晶。

請求項6

固体NMRスペクトル(13C)において、136.0ppm、111.2ppm、105.1ppm、101.8ppm、52.7ppm、49.6ppm、42.9ppm、23.8ppm、及び18.5ppmに特徴的なピークを有する、請求項3に記載の結晶。

請求項7

固体NMRスペクトル(15N)において、248.6ppm、245.7ppm、229.2ppm、214.5ppm、174.3ppm、86.5ppm、54.7ppm及び-12.4ppmに特徴的なピークを有する、請求項3に記載の結晶。

請求項8

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.3°、7.3°、10.3°、15.1°及び17.4°にピークを有する、請求項2に記載の結晶。

請求項9

示差走査熱量分析における吸熱ピークの補外開始点温度が277℃である、請求項8に記載の結晶。

請求項10

赤外吸収スペクトル(KBr法)において、波数874cm−1、1330cm−1、及び3314cm−1に特徴的な吸収ピークを有する、請求項8に記載の結晶。

請求項11

固体NMRスペクトル(13C)において、154.7ppm、138.8ppm、133.6ppm、113.2ppm、101.6ppm、100.4ppm、67.4ppm、51.8ppm、26.6ppm及び23.3ppmに特徴的なピークを有する、請求項8に記載の結晶。

請求項12

固体NMRスペクトル(15N)において、243.6ppm、86.7ppm、56.7ppm及び−12.4ppmに特徴的なピークを有する、請求項8に記載の結晶。

請求項13

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.3°、6.0°、6.7°、 10.4°及び20.8 °にピークを有する、請求項2に記載の結晶。

請求項14

示差走査熱量分析における吸熱ピークの補外開始点温度が271℃である、請求項13に記載の結晶。

請求項15

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=6.0 °、10.0°、13.7°、20.3°及び23.0°にピークを有する、請求項2に記載の結晶。

請求項16

示差走査熱量分析における吸熱ピークの補外開始点温度が100℃及び278℃である、請求項15に記載の結晶。

請求項17

赤外吸収スペクトル(KBr法)において、波数840cm−1、904cm−1、955cm−1、1490cm−1、及び3281cm−1に特徴的な吸収ピークを有する、請求項15に記載の結晶。

請求項18

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.2°、7.2°、9.5°、14.5°、16.5°、20.9°、25.0°及び27.9°にピークを有する、請求項2に記載の結晶。

請求項19

示差走査熱量分析における吸熱ピークの補外開始点温度が272℃である、請求項18に記載の結晶。

請求項20

赤外吸収スペクトル(KBr法)において、波数1081cm−1及び1260cm−1に特徴的な吸収ピークを有する、請求項18に記載の結晶。

請求項21

式(I)で表される化合物の結晶であり前記化合物が1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジンである請求項1に記載の結晶。

請求項22

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.2°、7.6°、8.4°、10.5°、15.2°、16.9°、20.1°、21.0°、23.3°及び26.6°にピークを有する、請求項21に記載の結晶。

請求項23

示差走査熱量分析における吸熱ピークの補外開始点温度が225℃である、請求項22に記載の結晶。

請求項24

赤外吸収スペクトル(KBr法)において、波数1369cm−1、1424cm−1、1508cm−1、1545cm−1及び1566cm−1に特徴的な吸収ピークを有する、請求項22に記載の結晶。

請求項25

固体NMRスペクトル(13C)において、163.4ppm、157.6ppm、155.5ppm、117.8ppm、82.2ppm、56.1ppm及び42.3ppmに特徴的なピークを有する、請求項22に記載の結晶。

請求項26

固体NMRスペクトル(15N)において、311.7ppm、232.4ppm、168.5ppm、79.5ppm、53.3ppm、32.9ppm及び-4.3ppmに特徴的なピークを有する、請求項22に記載の結晶。

請求項27

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.2°、6.6°、8.1°、15.2°、15.9°、16.2°、18.8°、20.5°、20.8°及び21.7°ピークを有する、請求項21に記載の結晶。

請求項28

示差走査熱量分析における吸熱ピークの補外開始点温度が221℃である、請求項27に記載の結晶。

請求項29

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.2°、7.6°、8.4°、10.0°、10.5°、11.9°、15.2°、17.0°、20.9°及び21.2°にピークを有する、請求項21に記載の結晶。

請求項30

示差走査熱量分析における吸熱ピークの補外開始点温度が223℃である、請求項29に記載の結晶。

請求項31

赤外吸収スペクトル(KBr法)において、波数1369cm−1、1424cm−1、1507cm−1、1546cm−1及び1566 cm−1 に特徴的な吸収ピークを有する、請求項29に記載の結晶。

請求項32

式(I)で表される化合物の結晶であって前記化合物が(R)−N8−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−N2−(5−(ピペラジン−1−イルメチルピリジン−2−イル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2,8−ジアミンの結晶である請求項1に記載の結晶。

請求項33

粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=4.8、7.6、8.2、9.7、15.3、16.6、19.1、19.8、22.4及び26.2°にピークを有する、請求項32に記載の結晶。

請求項34

示差走査熱量分析における吸熱ピークの補外開始点温度が182℃である、請求項33に記載の結晶。

請求項35

赤外吸収スペクトル(KBr法)において、1115cm−1、1446cm−1、1508cm−1、1560cm−1及び1601cm−1に特徴的な吸収ピークを有する、請求項33に記載の結晶。

請求項36

固体NMRスペクトル(13C)において、161.3ppm、150.8ppm、138.9ppm、128.1ppm、109.8ppm、82.7ppm、47.6ppm、41.5ppm、42.5ppm、24.5ppm及び21.7ppmに特徴的なピークを有する、請求項33に記載の結晶。

請求項37

固体NMRスペクトル(15N)において、242.8ppm、233.8ppm、219.0ppm、171.7ppm、86.9ppm、54.9ppm、11.3ppm及び-5.5ppm に特徴的なピークを有する、請求項33に記載の結晶。

請求項38

請求項1〜37のいずれかに記載の結晶および製薬学的許容される担体を含む医薬組成物

請求項39

1〜37のいずれかに記載の結晶を有効成分として含有する、CDK4/6阻害活性を有する医薬組成物。

請求項40

請求項1〜37のいずれかに記載の結晶を有効成分として含有する、関節リウマチ動脈硬化症肺線維症脳梗塞症及び/若しくは癌の予防薬又は治療薬

技術分野

0001

本発明は、サイクリン依存性キナーゼ4及び/又はサイクリン依存性キナーゼ6(以下、「CDK4/6」ともいう。)に対する阻害活性を有し、例えば関節リウマチ動脈硬化症肺線維症脳梗塞症及び/若しくは癌の予防又は治療に有用なピリド[3,4−d]ピリミジン誘導体又はその溶媒和物結晶に関する。

背景技術

0002

CDK4/6阻害剤は、癌、心血管障害腎臓病、特定の感染症及び自己免疫疾患を含む異常細胞増殖が原因である様々な疾患を治療するために用いることができる。例えば関節リウマチ、動脈硬化症、肺線維症、脳梗塞症、癌の治療に有効であることが期待される。このような症例において、CDK阻害を介した細胞周期細胞増殖抑制が有効であることは以下のような技術的知見に基づく。

0003

関節リウマチにおいては滑膜細胞過増殖によるパンヌスの形成が知られており、CDK4/6阻害剤を動物投与することによって、改善されることが報告されている(非特許文献1)。また、関節リウマチ患者由来滑膜細胞においてはCDK4−サイクリン複合体により、MMP3産生も制御されており、CDK4/6の活性を負に制御することにより、増殖だけではなく、MMP3産生が抑制されることも報告されている(非特許文献2)。

0004

以上の点より、CDK4/6阻害剤は、関節リウマチに対して滑膜細胞増殖抑制効果とともに軟骨保護効果も期待できる。
マウスの肺線維症のモデルにおいては、アデノウイルスベクタ−による細胞周期阻害蛋白質p21の発現誘導が有効であることが報告されている(非特許文献3)。
ラットの脳梗塞モデルにおいては、局所虚血による神経細胞死に伴いサイクリンD1/CDK4レベルが向上することが知られており、非選択的CDK阻害剤であるフラボピリド−ルの投与により神経細胞死が抑制されることが報告されている(非特許文献4)。

0005

サイクリンD−CDK4/6−INK4a−Rb経路は、癌の細胞増殖に有利となるようにいずれかの因子の異常、例えば機能的p16INK4aの欠失やサイクリンD1高発現、CDK4高発現、機能的Rbの欠失などがヒトの癌において高頻度に検出されている(非特許文献5)。これらは、いずれもG1期からS期への進行を促進する方向への異常であり、この経路が癌化又は癌細胞異常増殖において重要な役割を担っていることは明らかである。

0006

CDK4/6阻害剤は、特にCDK4/6キナーゼ活性を活性化する遺伝子に異常がある腫瘍、例えばサイクリンDの転座がある癌、サイクリンDの増幅がある癌、CDK4やCDK6の増幅又は過剰発現がある癌、p16不活性化がある癌に対して有効となり得る。また、その欠陥がサイクリンDの存在量の増加をもたらすサイクリンDの上流調節因子において遺伝子異常がある癌の治療に有用となり得、治療効果を期待することもできる。
実際、CDK4/6活性を阻害する化合物を合成する試みがなされ、当分野で多くの化合物が開示されており、乳癌をはじめとした複数の癌において臨床試験が実施されている(非特許文献6)。

0007

大部分の急性及び重篤放射線療法化学療法の毒性は、幹細胞及び前駆細胞への効果を通してである。CDK4/6阻害剤により休止状態になった造血幹細胞及び前駆細胞は、放射線療法や化学療法による細胞毒性から防護される。阻害剤処理が止まった後、造血幹細胞及び前駆細胞(HSPC)は、一時的休止期間から回復し、その後正常に機能するため、CDK4/6阻害剤を用いた化学療法抵抗性は、著しい骨髄防護を提供すると期待される(非特許文献7)。

0008

以上から、CDK4/6阻害剤は、例えば関節リウマチ、動脈硬化症、肺線維症、脳梗塞症、癌の治療、骨髄防護に有用であり、特に関節リウマチ、癌の治療、骨髄防護に有効であることが期待される。
CDK4/6を含むCDK阻害剤としては特許文献1及び2が知られている。

0009

国際公開第2003/062236号
国際公開第2010/020675号

先行技術

0010

Taniguchi, K等, Nature Medicine, 1999年, 第5巻, 760-767頁
Nonomura, Y 等, Arthritis & Rheumatology, 2006年7月, 第54巻, 第7号, 2074-83頁
Inoshima, I等, American Journal Physiology: Lung Cellular and Molecular Physiology, 2004年, 第286巻, L727-L733頁
Osuga, H等, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 2000年, 第97巻, 10254-10259頁
Weinberg, R, Science, 1991年, 第254巻, 1138-1146頁
Guha, M, Nature Biotechnology, 2013年3月, 第31巻, 第3号, 187頁
Johnson, S等, Journal of Clinical Investigation, 2010年, 第120巻, 第7号, 2528-2536頁

発明が解決しようとする課題

0011

本発明の目的は、優れたCDK4/6阻害活性を有する新規のピリド[3,4−d]ピリミジン誘導体又はその溶媒和物の結晶を提供することである。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは上記目的で鋭意研究した結果、特定構造のピリド[3,4−d]ピリミジン誘導体が、特に優れたCDK4/6阻害活性を有することを見出した。
さらに本発明者らは、それらの化合物の一部に、化学的に安定であり、かつ医薬原薬として適した構造の結晶が存在することを見出した。

0013

すなわち本発明は、式(I)で表される化合物又はその溶媒和物の結晶である。

0014

式中、R1は水素原子またはC1−3アルキル基を表し、R2は水素原子またはオキソ基を表し(オキソ基の場合、R2は二重結合ピペラジン環に結合している。)、Lは単結合またはC1−3アルキレン基を表し、XはCHまたはNを表す。

発明の効果

0015

本発明により、優れたCDK4/6阻害活性を有し、例えば関節リウマチ、動脈硬化症、肺線維症、脳梗塞症及び/若しくは癌の予防薬又は治療薬として有用なピリド[3,4−d]ピリミジン誘導体又はその溶媒和物の結晶が提供される。
本発明の結晶は、医薬製造用原体として用いることができる。

図面の簡単な説明

0016

図1は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イルアミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのD晶の粉末X線回折スペクトルである。
図2は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのA晶の粉末X線回折スペクトルである。
図3は、1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジンのA晶の粉末X線回折スペクトルである。
図4は、1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジンのB晶の粉末X線回折スペクトルである。
図5は、(R)−N8−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−N2−(5−(ピペラジン−1−イルメチルピリジン−2−イル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2,8−ジアミンのA晶の粉末X線回折スペクトルである。
図6は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのB晶の粉末X線回折スペクトルである。
図7は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのジメチルスルホキシド和物の結晶(C晶)の粉末X線回折スペクトルである。
図8は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのI晶の粉末X線回折スペクトルである。
図9は、1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジンのC晶の粉末X線回折スペクトルである。
図10は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのD晶の赤外吸収スペクトルである。
図11は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのA晶の赤外吸収スペクトルである。
図12は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのジメチルスルホキシド和物の結晶(C晶)の赤外吸収スペクトルである。
図13は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのI晶の赤外吸収スペクトルである。
図14は、1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジンのA晶の赤外吸収スペクトルである。
図15は、1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジンのC晶の赤外吸収スペクトルである。
図16は、(R)−N8−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−N2−(5−(ピペラジン−1−イルメチル)ピリジン−2−イル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2,8−ジアミンのA晶の赤外吸収スペクトルである。
図17は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのD晶の固体NMRスペクトル(13C)であり、図17−1は6500Hzモード、図17−2は14000Hzモードを示す。
同上。
図18は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのD晶の固体NMRスペクトル(15N)である。
図19は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのA晶の固体NMRスペクトル(13C)であり、図19−1は6500Hzモード、図19−2は14000Hzモードを示す。
同上。
図20は、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンのA晶の固体NMRスペクトル(15N)である。
図21は、1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジンのA晶の固体NMRスペクトル(13C)であり、図21−1は6500Hzモード、図21−2は14000Hzモードを示す。
同上。
図22は、1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジンのA晶の固体NMRスペクトル(15N)である。
図23は、(R)−N8−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−N2−(5−(ピペラジン−1−イルメチル)ピリジン−2−イル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2,8−ジアミンのA晶の固体NMRスペクトル(13C)であり、図23−1は6500Hzモード、図23−2は14000Hzモードを示す。
同上。
図24は、(R)−N8−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−N2−(5−(ピペラジン−1−イルメチル)ピリジン−2−イル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2,8−ジアミンのA晶の固体NMRスペクトル(15N)である。

0017

本発明の結晶は、粉末X線回折スペクトル(XRD)、示差走査熱量分析DSC)、フーリエ変換赤外吸収スペクトル(以下「赤外吸収スペクトル」という。)及び/又は固体NMRスペクトル等によって特徴付けられる。これらの結晶の粉末X線回折(XRD)スペクトルは特徴的なパターンを示し、それぞれの結晶は特異的な回折角2θの値を有する。これらの結晶は示差走査熱量分析(DSC)においても、それぞれに特徴的な熱挙動を示す。これら結晶の赤外吸収スペクトルは、特徴的なパターンを示し、それぞれの結晶は特異的な波数の赤外吸収スペクトルを示す。これら結晶の13C固体NMRスペクトルは特徴的なパターンを示し、それぞれの結晶は特異的な化学シフト(ppm)を有する。また、これら結晶の15N固体NMRスペクトルは特徴的なパターンを示し、それぞれの結晶は特異的な化学シフト(ppm)を有する。

0018

本発明は、前記式(I)で表される化合物の結晶であるが、以下、その好適な実施形態として、次の3化合物の9結晶について記載する。
1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オン(以下、「化合物(a)」と表すこともある。)
1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジン−(以下、「化合物(b)」と表すこともある。)
(R)−N8−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−N2−(5−(ピペラジン−1−イルメチル)ピリジン−2−イル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2,8−ジアミン(以下、「化合物(c)」と表すこともある。)

0019

化合物(a)のD晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=6.3°、6.6°、11.6°、16.9°及び20.0°に特徴的なピークを有する。また、化合物(a)のD晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、図1に示すパターンを有する。
化合物(a)のD晶は、示差走査熱量分析(DSC)において、補外開始点温度が277℃の吸熱ピークを有する。
化合物(a)のD晶は、KB錠剤法による赤外吸収スペクトルにおいて、703cm−1、896cm−1及び3418cm−1の波数で特徴的な吸収ピークを有する。また、化合物(a)のD晶は、図10に示す赤外吸収スペクトルチャートを示す。
化合物(a)のD晶は、13C固体NMRスペクトルにおいて、136.0ppm、111.2ppm、105.1ppm、101.8ppm、52.7ppm、49.6ppm、42.9ppm、23.8ppm、及び18.5ppmの化学シフトを有する。また、化合物(a)のD晶は、図17−1(6500Hz)及び図17−2(14000Hz)に示す13C固体NMRスペクトルチャートを示す。
化合物(a)のD晶は、15N固体NMRスペクトルにおいて248.6ppm、245.7ppm、229.2ppm、214.5ppm、174.3ppm、86.5ppm、54.7ppm及び-12.4ppmの化学シフトを有する。また、化合物(a)のD晶は、図18に示す15N固体NMRスペクトルチャートを示す。

0020

化合物(a)のA晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.3°、7.3°、10.3°、15.1°及び17.4°に特徴的なピークを有する。また、化合物(a)のA晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、図2に示すパターンを有する。
化合物(a)のA晶は、示差走査熱量分析(DSC)において、補外開始点温度が277℃の吸熱ピークを有する。
化合物(a)のA晶は、KBr錠剤法による赤外吸収スペクトルにおいて、874cm−1、1330cm−1、及び3314cm−1の波数で吸収ピークを有する。また、化合物(a)のA晶は、図11に示す赤外吸収スペクトルチャートを示す。
化合物(a)のA晶は、13C固体NMRスペクトルにおいて、154.7ppm、138.8ppm、133.6ppm、113.2pm、101.6ppm、100.4ppm、67.4ppm、51.8ppm、26.6ppm及び23.3ppmの化学シフトを有する。また、化合物(a)のA晶は、図19−1(6500Hz)及び図19−2(14000Hz)に示す13C固体NMRスペクトルチャートを示す。
化合物(a)のA晶は、15N固体NMRスペクトルにおいて、243.6ppm、86.7ppm、56.7ppm及び−12.4ppmの化学シフトを有する。また、化合物(a)のA晶は、図20に示す15N固体NMRスペクトルチャートを示す。

0021

化合物(a)のB晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.3°、6.0°、6.7°、10.4°及び20.8°に特徴的なピークを有する。また、化合物(a)のB晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、図6に示すパターンを有する。
化合物(a)のB晶は、示差走査熱量分析(DSC)において、補外開始点温度が271℃の吸熱ピークを有する。

0022

化合物(a)のC晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=6.0 °、10.0°、13.7°、20.3°及び23.0° に特徴的なピークを有する。また、化合物(a)のC晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、図7に示すパターンを有する。
化合物(a)のC晶は、示差走査熱量分析(DSC)において、補外開始点温度が100℃及び278℃の吸熱ピークを有する。
化合物(a)のC晶は、KBr錠剤法による赤外吸収スペクトルにおいて、840cm−1、904cm−1、955cm−1、1490cm−1、及び3281cm−1の波数で吸収ピークを有する。また、化合物(a)のC晶は、図12に示す赤外吸収スペクトルチャートを示す。

0023

化合物(a)のI晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.2°、7.2°、9.5°、14.5°、16.5°、20.9°、25.0°及び27.9°に特徴的なピークを有する。また、化合物(a)のI晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、図8に示すパターンを有する。
化合物(a)のI晶は、示差走査熱量分析(DSC)において、補外開始点温度が272℃の吸熱ピークを有する。
化合物(a)のI晶は、KBr錠剤法による赤外吸収スペクトルにおいて、1081cm−1及び1260cm−1の波数で吸収ピークを有する。また、化合物(a)のI晶は、図13に示す赤外吸収スペクトルチャートを示す。

0024

化合物(b)のA晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.2°、7.6°、8.4°、10.5°、15.2°、16.9°、20.1°、21.0°、23.3°及び26.6°に特徴的なピークを有する。また、化合物(b)のA晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、図3に示すパターンを有する。
化合物(b)のA晶は、示差走査熱量分析(DSC)において、補外開始点温度が225℃の吸熱ピークを有する。
化合物(b)のA晶は、赤外吸収スペクトルにおいて、1369cm-1、1424cm-1、1508cm-1、1545cm-1及び 1566cm-1の波数で吸収ピークを有する。また、化合物(b)のA晶は、図14に示す赤外吸収スペクトルチャートを示す。
化合物(b)のA晶は、13C固体NMRスペクトルにおいて、163.4ppm、157.6ppm、155.5ppm、117.8ppm、82.2ppm、56.1ppm及び42.3ppmの化学シフトを有する。また、化合物(b)のA晶は、図21−1(6500Hz)及び図21−2(14000Hz)に示す13C固体NMRスペクトルチャートを示す。
化合物(b)のA晶は、15N固体NMRスペクトルにおいて、311.7ppm、232.4ppm、168.5ppm、79.5ppm、53.3ppm、32.9ppm及び−4.3ppmの化学シフトを有する。また、化合物(b)のA晶は、図22に示す15N固体NMRスペクトルチャートを示す。

0025

化合物(b)のB晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.2°、6.6°、8.1°、15.2°、15.9°、16.2°、18.8°、20.5°、20.8°及び21.7°に特徴的なピークを有する。また、化合物(b)のB晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、図4に示すパターンを有する。
化合物(b)のB晶は、示差走査熱量分析(DSC)において、補外開始点温度が221℃の吸熱ピークを有する。

0026

化合物(b)のC晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角2θ=5.2°、7.6°、8.4°、10.0°、10.5°、11.9°、15.2°、17.0°、 20.9°及び 21.2°に特徴的なピークを有する。また、化合物(b)のC晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、図9に示すパターンを有する。
化合物(b)のC晶は、示差走査熱量分析(DSC)において、補外開始点温度が223℃の吸熱ピークを有する。

0027

化合物(b)のC晶は、KBr錠剤法による赤外吸収スペクトルにおいて、1369cm−1、1424cm−1、1507cm−1、1546cm−1及び1566cm−1の波数で吸収ピークを有する。また、化合物(b)のC晶は、図15に示す赤外吸収スペクトルチャートを示す。

0028

化合物(c)のA晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、2θ=4.8、7.6、8.2、9.7、15.3、16.6、19.1、19.8、22.4及び26.2°に特徴的なピークを有する。また、化合物(c)のA晶は、粉末X線回折スペクトルにおいて、図5に示すパターンを有する。
化合物(c)のA晶は、示差走査熱量分析(DSC)において、補外開始点温度が182℃の吸熱ピークを有する。

0029

化合物(c)のA晶は、KBr錠剤法による赤外吸収スペクトルにおいて、1115cm−1、1446cm−1、1508cm−1、1560cm−1及び1601cm−1の波数で吸収ピークを有する。また、化合物(c)のA晶は、図16に示す赤外吸収スペクトルチャートを示す。
化合物(c)のA晶は、13C固体NMRスペクトルにおいて、161.3ppm、150.8ppm、138.9ppm、128.1ppm、109.8ppm、82.7ppm、47.6ppm、42.5ppm、41.5ppm、24.5ppm、及び21.7ppmの化学シフトを有する。また、化合物(c)のA晶は、図23−1(6500Hz)及び図23−2(14000Hz)に示す13C固体NMRスペクトルチャートを示す。

0030

化合物(c)のA晶は、15N固体NMRスペクトルにおいて、242.8ppm、233.8ppm、219.0ppm、171.7ppm、86.9ppm、54.9ppm、11.3ppm及び-5.5ppm の化学シフトを有する。また、化合物(c)のA晶は、図24に示す15N固体NMRスペクトルチャートを示す。

0031

ここで「特徴的なピーク」とは各々の結晶多形の粉末X線回折スペクトルにおいて主に認められるピーク及び固有のピークを意味する。本発明の回折角で特定される結晶には、上記の特徴的なピーク以外のピークを認めるものも含まれる。

0032

粉末X線回折スペクトルにおける回折角2θの位置および相対強度測定条件によって多少変動しうるものであるため、2θがわずかに異なる場合であっても、適宜スペクトル全体のパターンを参照して結晶形同一性認定されるべきであり、かかる誤差の範囲の結晶も本発明に含まれる。2θの誤差としては、例えば、±0.5°、±0.2°が考えられる。すなわち、上記回折角で特定される結晶には、±0.2°から±0.5°の範囲で一致するものも含まれる。
また、粉末X線回折スペクトルの測定条件(例えば、装置)に由来する誤差の範囲の結晶も本発明に含まれる。

0033

示差走査熱分析(DSC)において、ピークの補外開始点温度とは、発熱または吸熱ピークの開始点の温度であり、外挿により求めた発熱または吸熱開始温度をいう。示差走査熱分析(DSC)における発熱および吸熱ピークも測定条件によって多少変動しうる。誤差としては、例えば、±5℃、±2℃の範囲が考えられる。すなわち、上記ピークで特定される結晶は、±2℃から±5℃の範囲で一致するものも含まれる。

0034

一般に、固体NMRスペクトルにおける化学シフトも、誤差が生じ得るものである。かかる誤差としては、例えば、±0.25ppm、典型的には、±0.5ppmの範囲である。すなわち、上記化学シフトで特定される結晶形は、±0.25ppmから±0.5ppmの範囲で一致するものも含まれる。また、回転周波数測定機器相違により、ピーク強度が変化したり、ピークが出現又は消滅することがある。

0035

一般に、赤外吸収スペクトルにおける吸収ピークも、誤差が生じ得るものである。かかる誤差としては、例えば、±2cm−1、典型的には、±5cm−1の範囲である。すなわち、上記波数で特定される結晶形は、±2cm−1から±5cm−1の範囲で一致するものも含まれる。

0036

さらに、粉末X線回折スペクトル、示差走査熱分析(DSC)、赤外吸収スペクトル、13C固体NMRスペクトル及び15N固体NMRスペクトルのいずれについても、結晶の標準品、例えば本願実施例記載の方法により得られた各結晶の実測値と、本願記載数値との差も、測定誤差として許容されうる。すなわち、かかる方法により算出された誤差範囲内で、回折角、吸熱および発熱ピーク、赤外吸収スペクトルまたは13C固体NMRスペクトルおよび15N固体NMRスペクトルが一致する結晶も本発明の結晶に含まれる。

0037

以下、本開示に係る実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を限定するものではない。例えば、以下の実施例で例示する化合物の合成方法精製方法及び結晶化方法は、本発明の結晶を得るための方法の例示であり、本発明の結晶が以下に開示する合成方法、精製方法及び結晶化方法によってのみ得られた結晶に限定されるものではない。

0038

実施例の結晶に係る化合物及び合成の際に単離された新規化合物の構造は、1H−NMR又はLC/MS(液体クロマトグラフ質量分析計)を用いる質量分析法により確認した。

0039

1H−NMRについては、JEOL JNM−ECZ400S(400MHz)を用いた。溶媒がCDCl3の場合はテトラメチルシラン(0.0ppm)を、DMSO−d6の場合はジメチルスルホキシドのピーク(2.49ppm)を標準ピークとして用いた。1H−NMRスペクトル(400MHz、DMSO−d6、CD3OD、またはCDCl3)については、その化学シフト(δ:ppm)およびカップリング定数(J:Hz)を示す。なお、以下の略号はそれぞれ次のものを表す。s=singlet、d=doublet、t=triplet、q=quartet、brs=broad singlet、m=multiplet。

0040

LC/MSの結果については、各化合物の[M+H]+の値(分子量実測値(Obs. MS):すなわち化合物の分子質量[M]にプロトン[H]+が付加した実測値)を示す。

0041

実施例に係る結晶の粉末X線回折スペクトルは、以下の条件で測定した。
装置:ブルカー・エイエックスエス製 D8 DISCOVER With GADDS CS、線源:Cu・Kα、波長:1.541838(10−10m)、管電圧管電流:40kv−40mA、入射側平板グラファイトモノクロメータコリメータφ300μm、2次元PSP検出器スキャン3〜40°

0042

実施例に係る視差走査熱量は、以下の条件で測定した。
装置:パーキンエルマー製DSC8000、昇温速度:毎分10℃、雰囲気窒素サンプパンアルミニウムサンプリング:0.1秒、測定温度範囲:25〜300℃

0043

実施例に係る赤外吸収スペクトル(KBr法)は、日本薬局方一般試験法に記載された赤外吸収スペクトル測定法臭化カリウム錠剤法に従い、以下の条件で測定した。
装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック製 AVATAR320 Nicolet iS5、測定範囲:4000〜400cm−1、分解能:4cm−1、積算回数:16

0044

実施例に係る固体NMRスペクトルは、以下の条件で測定した。
装置:ブルカー製 DSX300WB、測定核:13C及び15N、パルス繰り返し時間:5秒、パルスモード:CP/MAS測定

0045

[実施例1]
本実施例では、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オン(化合物(a))のD晶について説明する。
まず、化合物(a)の合成方法について説明する。

0046

<化合物(a)−1の合成>
以下の化合物(a)−1で示されるメチル5−ブロモ−2−メチルチオピリミジン−4−カルボキシレートの合成を行った。

0047

0048

5−ブロモ−2−(メチルチオ)ピリミジン−4−カルボン酸(110g、0.44mol)のメタノール溶液(1.1L)を撹拌しながら0℃に冷却し、塩化チオニル(50mL、0.66mol)を滴下した。反応溶液をゆっくりと加熱し、加熱還流下で4時間反応させた。反応の完結をLC/MSとTLCで確認し、反応溶液を室温で冷却した。揮発成分を減圧下で留去し、残渣を酢酸エチル(1L)に溶解させ、10%炭酸ナトリウム水溶液(200mL)で3回、飽和食塩水(200mL)で2回洗浄し、得られた有機相無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体濾別した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗体シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(88g、75%)を得た。

0049

<化合物(a)−2の合成>
以下の化合物(a)−2で示される5−ブロモ−2−メチルチオピリミジン−4−カルバルデヒドの合成を行った。

0050

0051

化合物(a)−1(25g、95mmol)のTHF(テトラヒドロフラン溶液(375mL)を窒素雰囲気下で−78℃に冷却し、撹拌した。この溶液に水素化ジイソブチルアルミニウム(84mL、143mmol、1.7Mトルエン溶液)を滴下し、−78℃で4時間撹拌し、反応の完結をTLCで確認後、−78℃でメタノールを滴下して反応を停止させ、反応溶液をゆっくりと0℃まで昇温させた。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、セライトを通して吸引濾過した。濾液を飽和食塩水(200mL)で2回洗浄し、得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体を濾別した。濾液を濃縮することで、表題化合物(25g、粗体)を得た。この粗体は更に精製することなく次の反応に用いた。

0052

<化合物(a)−3の合成>
以下の化合物(a)−3で示される(R)−3−(4−ホルミル−2−メチルチオピリミジン−5−イル)−1−メチル−2−プロピニルベンゾエートの合成を行った。

0053

0054

PdCl2(PPh3)2Cl2(7.832g、11.2mmol)、ヨウ化銅(2.12g、11.2mmol)との1,4−ジオキサン溶液(60ml)を脱気およびアルゴン置換し、ジイソプロピルエチルアミン(25.29mL、145.1mmol)を室温で添加した。この反応溶液を室温で5分間撹拌し、化合物(a)−2と(5−ブロモ−2−メチルチオピリミジン−4−イル)メトキシメタノールの混合物(26.0g、粗体)の1,4−ジオキサン溶液(50mL)を室温にて添加した後、(R)−1−メチループロパルギルベンゾエート(23.3g、133.9mmol)の1,4−ジオキサン溶液(55mL)をゆっくりと滴下し、反応溶液を室温で16時間撹拌した。反応の進行をLC/MSで追跡し、反応が完結したら、反応混合物を酢酸エチル(400mL)で希釈し、セライトを通して吸引濾過し、セライトを酢酸エチルで洗浄した。得られた濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗体をそのまま次の反応に使用した。
なお、化合物(a)−2と(5−ブロモ−2−メチルチオピリミジン−4−イル)メトキシメタノールの混合物の合成については、参考例1に記載する。

0055

(参考例1)
化合物(a)−2と(5−ブロモ−2−メチルチオピリミジン−4−イル)メトキシメタノールの混合物の合成

0056

0057

化合物(a)−2(25g、95mmol)のTHF溶液(375mL)を窒素雰囲気下で−78℃に冷却し、撹拌した。この溶液にジイソブチルアルミニウムヒドリド(84mL、143mmol、1.7Mトルエン溶液)を滴下し、−78℃で4時間撹拌し、反応の完結をTLCで確認後、−78℃でメタノールを滴下して反応を停止させ、反応溶液をゆっくりと0℃まで昇温させた。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、セライトを通して吸引濾過した。濾液を飽和食塩水(200mL)で2回洗浄し、得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体を濾別した。濾液を濃縮することで、表題化合物の混合物(25g、粗体)を得た。この粗体は更に精製することなく次の反応に用いた。

0058

<化合物(a)−4の合成>
以下の化合物(a)−4で示される(R)−6−(1−(ベンゾイルオキシエチル)−2−(メチルチオ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−7−オキシドの合成を行った。

0059

0060

化合物(a)−3(26.0g、79.8mmol)のエタノール溶液(260ml)にヒドロキシアミン一塩酸塩(8.31g、119.6mmol)および酢酸ナトリウム(9.81g、119.6mmol)を室温にて加え、室温にて16時間撹拌した。この反応溶液にエタノール(250ml)を追加し、さらに室温にて炭酸カリウム(27.5g、199.4mmol)を室温にて加えた後、50℃で3時間撹拌した。反応の進行をLC/MSで追跡し、反応が完結したら、反応混合物をセライトを通して吸引濾過し、セライトを酢酸エチル(1.0L)および少量のメタノールで洗浄した。得られた濾液を減圧下で濃縮し、得られた有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体を濾別した。得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題の化合物(a)−4(13.0g、48%)を得た。

0061

化合物(a)−4の1H−NMRスペクトルは次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3)δ:9.04(1H,s),8.79(1H,s),8.14(2H,d,J=7.5Hz),7.77−7.40(4H,m),6.66(1H,q,J=6.3Hz),2.65(3H,s),1.79(3H,d,J=6.6Hz)

0062

<化合物(a)−5の合成>
以下の化合物(a)−5で示される(R)−1−(8−クロロ−2−(メチルチオ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−6−イル)エチルベンゾエートの合成を行った。

0063

0064

化合物(a)−4(8.0g、23.5mmol)のジクロロメタン溶液(130ml)に塩化チオニル(51ml、704mmol)を窒素雰囲気下で0℃にて滴下し、反応溶液を室温にて16時間撹拌した。反応の進行をTLC(薄層クロマトグラフィー)で追跡し、反応が完結したら反応溶液を減圧下で濃縮し、得られた有機相をアルミナカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(a)−5(3.2g、37%)を得た。

0065

化合物(a)−5の1H−NMRの結果は次の通りであった。
1H−NMR(CDCl3)δ:9.19(1H,s),8.16−8.12(2H,m),7.68(1H,s),7.64−7.58(1H,m),7.53−7.46(2H,m), 6.27(1H,q,J=6.8Hz),2.74(3H,s),1.81(3H,d,J=6.4Hz)

0066

<化合物(a)−6>
以下の化合物(a)−6で示される(R)−1−(8−(イソプロピルアミノ)−2−(メチルチオ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−6−イル)エチルベンゾエートの合成

0067

0068

化合物(a)−5(3.06g、8.5mmol)とイソプロピルアミン(18mL)の混合物を80℃で1時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。反応溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機相を食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、表題の化合物(a)−6(1.78g、収率55%)を得た。

0069

得られた化合物(a)−6の1H−NMRの結果は次の通りであった。
1H−NMR(DMSO−d6) δ:9.28(1H,s),8.08(2H,d,J=7.4Hz),7.70(1H,t,J=7.4Hz),7.57(2H,t,J=7.7Hz),7.05(1H,d,J=8.0Hz),6.99(1H,s),5.34(2H,s),4.32(1H,m),2.66(3H,s),1.25(6H,d,J=6.5Hz)

0070

<化合物(a)−7の合成>
以下の化合物(a)−7で示される(R)−1−(8−(イソプロピルアミノ)−2−(メチルスルホニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−6−イル)エチルベンゾエートの合成を行った。

0071

0072

化合物(a)−6(1.78g、4.7mmol)のテトラヒドロフラン(47ml)と水(47ml)の混合溶液に0℃でオキソンペルオキシ一硫酸カリウム)(5.72g、9.3mmol)を加え、室温にて18時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで抽出し、得られた有機相を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、表題の化合物(a)−7(1.61g、収率87%)を得た。
LC/MS:(M+H)+=415.0

0073

<化合物(a)−8の合成>
以下の化合物(a)−8で示されるtert−ブチル4−(6−ニトロピリジン−3−イル)−3−オキソピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。

0074

0075

2−ニトロ−5−ブロモピリジン(1.01g、5.0mmol)、tert−ブチル2−オキソ−4−ピペラジン−カルボキシレート(1.00g、5.0mmol)と炭酸セシウム(3.26g、10.0mmol)を1,4−ジオキサンに懸濁させ、30分間窒素ガスバブリングさせた。この懸濁液に、Xantphos(4,5’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9’−ジメチルキサンテン)(246mg、0.43mmol)とトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(229mg、0.25mmol)を添加し、加熱還流下で2時間撹拌した。反応溶液を室温で冷却した後、水と酢酸エチルを加え、セライトを通してろ過した。濾液の有機相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出した。得られた有機相を混合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させたのち、固体を濾別し、減圧下で濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題の化合物(a)−8(1.08g、67%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:8.67(1H,d,J=2.4Hz),8.32(1H,d,J=8.8Hz),8.15(1H,dd,J=8.8,2.4Hz),4.33(2H,s),3.93−3.83(4H,m),1.51(9H,s)

0076

<化合物(a)−9の合成>
以下の化合物(a)−9で示されるtert−ブチル4−(6−アミノピリジン−3−イル)−3−オキソピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。

0077

0078

化合物(a)−8(1.08g、3.34mmol)をエタノール(45mL)とTHF(22mL)に溶解させた。この溶液にパラジウム炭素(108mg)を加え、水素雰囲気下で24時間撹拌した。反応溶液をセライトを通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して表題の化合物(a)−9(0.928g、95%)を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:7.99(1H,d,J=2.4Hz),7.38(1H,dd,J=8.8,2.4Hz),6.53(1H,d,J=8.8Hz),4.50(2H,brs),4.24(2H,s),3.78(2H,t,J=5.1Hz),3.67(2H,t,J=5.4Hz),1.50(9H,s)

0079

<化合物(a)−10の合成>
以下の化合物(a)−10で示されるtert−ブチル(R)−4−(6−((6−(1−(ベンゾイロキシ)エチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)ピリジン−3−イル)−3−オキソピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。

0080

0081

化合物(a)−7(62mg、0.15mmol)と化合物(a)−9(88mg、0.30mmol)をトルエン(0.375ml)中で6日間、100℃にて撹拌した。反応溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して表題化合物(0.0092g、10%)を得た。
1H−NMR(DMSO)δ:10.27(1H,s),9.27(1H,s),8.33(2H,m),8.07(2H,m),7.86(1H,m),7.70(1H,m),7.58(3H,m),7.00(1H,s),6.55(1H,d),5.98(1H,q),4.27(1H,m),4.11(2H,s),3.74(4H,m),1.68(3H,d),1.45(9H,s),1.30(6H,m)

0082

<化合物(a)の合成及び精製>
化合物(a)で示される1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オンの合成を行った。

0083

0084

化合物(a)−10(9.2mg、0.15mmol)のジクロロメタン溶液(0.35ml)にとりフルオロ酢酸(0.15ml)を室温にて加え、1時間撹拌した。反応溶液を濃縮乾固した後、テトラヒドロフラン(0.15ml)とメタノール(0.15ml)を加え、4M水酸化リチウム水溶液(0.018ml)加えた。反応溶液をギ酸にて中和した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して表題化合物を得た。
1H−NMR(DMSO)δ:10.16(1H,s),9.26(1H,s),8.31(1H,m),8.29(1H,s),7.81(1H,m),7.00(1H,s),6.42(1H,m),5.18(1H,d),4.63(1H,m),4.27(1H,m),3.65(2H,m),3.41(2H,s),3.05(2H,m),1.39(3H,d),1.30(6H,m)

0085

<化合物(a)のD晶の製造>
前述のシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製された化合物(a)の溶液を濃縮して飽和化し、結晶を析出させた。これにより、化合物(a)のD晶を得た。

0086

<化合物(a)のD晶の評価>
得られた結晶のXRDを図1に示す。回折角2θ=6.3°、6.6°、11.6°、16.9°及び20.0°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは277℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図10に示す。波数703cm−1、896cm−1及び3418cm−1にピークが観測された。

0087

得られた結晶の固体NMRスペクトル(13C)を図17−1(6500Hz)及び図17−2(14000Hz)に示す。化学シフト136.0ppm、111.2ppm、105.1ppm、101.8ppm、52.7ppm、49.6ppm、42.9ppm、23.8ppm及び18.5ppmにピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(15N)を図18に示す。化学シフト248.6ppm、245.7ppm、229.2ppm、214.5ppm、174.3ppm、86.5ppm、54.7ppm及び−12.4ppmにピークが観測された。

0088

[実施例2]
本実施例では、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オン(化合物(a))のA晶について説明する。

0089

<化合物(a)のA晶の製造>
化合物(a)のA晶は、実施例1で得られた化合物(a)のD晶を変換させて製造した。
具体的には、D晶をD晶の5〜50倍量のエタノールに懸濁させた後、反応溶液を6時間加熱撹拌し、次いで反応溶液を0℃で撹拌した後、析出物を濾取、乾燥して結晶を得た。
なお、溶媒量、加熱時間、撹拌条件、濾別までの時間は特に限定されないが、それらの条件が結晶の収率、化学純度粒子径粒度分布などに影響することがあるので、目的に応じて組み合わせて設定することが好ましい。濾取は通常の方法、例えば自然濾過、加圧濾過減圧濾過加熱乾燥減圧加熱乾燥を用いることができる。

0090

<化合物(a)のA晶の評価>
得られた結晶のXRDを図2に示す。回折角2θ=5.3°、7.3°、10.3°、15.1°及び17.4°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは277℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図11に示す。874cm−1、1330cm−1、及び3314cm−1にピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(13C)を図19−1(6500Hz)及び図19−2(14000Hz)に示す。化学シフト154.7ppm、138.8ppm、133.6ppm、113.2pm、101.6ppm、100.4ppm、67.4ppm、51.8ppm、26.6ppm及び23.3ppmにピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(15N)を図20に示す。化学シフト243.6ppm、86.7ppm、56.7ppm及び−12.4ppmにピークが観測された。

0091

[実施例3]
本実施例では、1−(6−((6−((1R)−1−ヒドロキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリジル)ピペラジン−2−オン(化合物(a))のB晶について説明する。

0092

<化合物(a)のB晶の製造>
実施例1におけるカラムクロマトグラフィーで使用した溶媒をジクロロメタン/メタノール=20/1に変えて精製された化合物(a)の溶液を濃縮して飽和化し、結晶を析出させた。これにより化合物(a)のB晶を得た。

0093

<化合物(a)のB晶の評価>
得られた結晶のXRDを図6に示す。回折角2θ=5.3°、6.0°、6.7°、10.4°及び20.8°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは271℃であった。

0094

[実施例4]
<化合物(a)のC晶の製造>
化合物(a)のD晶(900mg)にジメチルスルホキシド(5.4mL)を加え、70℃に加熱した。得られた溶液を40℃に冷却した後、アセトニトリル(6.75mL)を加え15℃に冷却し、2時間撹拌した。得られた固体を濾過し、アセニトニトリル(2.5mL)で洗浄した後、40℃で減圧乾燥し、ジメチルスルホキシド和物である表題化合物(986mg、92%)を得た。

0095

<化合物(a)のC晶の評価>
得られた結晶のXRDを図7に示す。回折角2θ=6.0 °、10.0°、13.7°、20.3°及び23.0°にピークが観測された。
示差走査熱量分析における吸熱ピークの補外開始点温度が100℃及び278℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図12に示す。波数840cm−1、904cm−1、955cm−1、1490cm−1、及び3281cm−1にピークが観測された。

0096

[実施例5]
<化合物(a)のI晶の製造>
化合物(a)のA晶(500mg)に水(10mL)を加え、室温で4日間撹拌した。得られた固体を濾過し、30℃で減圧乾燥し、表題化合物(432mg、86%)を得た。

0097

<化合物(a)のI晶の評価>
得られた結晶のXRDを図8に示す。回折角2θ=5.2°、7.2°、9.5°、14.5°、16.5°、20.9°、25.0°及び27.9°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは272℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図13に示す。波数1081cm−1及び1260cm−1にピークが観測された。

0098

[実施例6]
本実施例では、1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジン(化合物(b))のA晶について説明する。
まず、化合物(b)の合成方法について説明する。

0099

<化合物(b)−1の合成>
以下の化合物(b)−1で示される(R)−N−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−2−(メチルチオ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−8−アミンの合成を行った。

0100

0101

化合物(b)−1は、前述した化合物(a)−3、化合物(a)−4、化合物(a)−5及び化合物(a)−6と同様の手順によって合成した。
1H−NMR(DMSO−d6)δ:9.27(7H,s),6.94(1H,brs),6.92(1H,s),4.30−4.23(1H,m),3.29(3H,s),2.66(3H,s),1.38(3H,d,J=6.4Hz),1.32−1.25(6H,m)

0102

<化合物(b)−2の合成>
以下の化合物(b)−2で示される(R)−N−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−2−(メチルスルホニル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−8−アミンの合成

0103

0104

化合物(b)−1のテトラヒドロフラン(THF)と水の混合溶液に0℃でオキソンを加え、室温にて18時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで抽出し、得られた有機相を水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去して得られた粗体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで、表題の化合物(b)−2を得た。
LC/MS:(M+H)+=325.10

0105

<化合物(b)−3の合成>
以下の化合物(b)−3で示されるtert−ブチル4−(6−クロロピリダジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。

0106

0107

3,6−ジクロロピリダジン−(5.01g、33.6mmol)とtert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート(6.88g、37.0mmol)をDMF(50mL)に溶解させ、トリエチルアミン(11.7mL、50.4mmol)を添加して、80℃で終夜撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、水を加えた後、ジクロロメタンとメタノールの95:5混合溶液(50mL)で3回抽出した。混合した有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗体をジエチルエーテルで洗浄することで、表題の化合物(b)−3(7.0g、70%)を得た。

0108

<化合物(b)−4の合成>
以下の化合物(b)−4で示されるtert−ブチル4−(6−((ジフェニルメチレン)アミノ)ピリダジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を実施した。

0109

0110

化合物(b)−3(59.8mg、0.20mmol)、ベンゾフェノンイミン(43.5mg、0.24mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(9.2mg、0.010mmol)、BINAP(2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル)(12.5mg、0.020mmol)と炭酸セシウム(130.3mg、0.40mmol)をトルエン(1.0mL)に懸濁させ、100℃で終夜撹拌した。室温で冷却した後、反応溶液をセライトを通して濾過し、セライトを酢酸エチルで洗浄した。得られた濾液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、固体を濾別し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題の化合物(b)−4(67mg、76%)を得た。

0111

<化合物(b)−5の合成>
以下の化合物(b)−5で示されるtert−ブチル4−(6−アミノピリダジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。

0112

0113

化合物(b)−4(67mg、0.151mmol)をTHF(0.76mL)に溶解させ、クエン酸水溶液(0.378mL、0.755mmol、2mol/L)を加えて室温で終夜撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)を加えて中和し、酢酸エチル(5mL)で2回抽出した。有機相を混合し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた粗体をtert−ブチルメチルエーテル(5mL)で洗浄することで、表題の化合物(b)−5(0.30g、71%)を得た。
その他、本実施例に関連する化合物として、6−アミノピリジン−3−カルバルデヒドと、tert−ブチル 4−[(6−アミノピリジン−3−イル)メチル]ピペラジン−1−カルボキシレートの合成方法を参考例として以下に示す。

0114

<化合物(b)−6の合成>
化合物(b)−6で示されるtert−ブチル(R)−4−(6−((8−(イソプロピルアミノ)−6−(1−メトキシエチル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)ピリダジン−3−イル)ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。

0115

0116

実施例1で合成した化合物(a)−5(708mg、2.2mmol)と化合物(b)−5(732mg、2.6mmol)のトルエン溶液(5.5ml)を100℃にて3日間撹拌した。室温に戻した後、酢酸エチル(20ml)とジクロロメタン(100ml)で希釈し、飽和食塩水(90ml)および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10ml)で洗浄した後、分離した有機相を濃縮乾固し、シリカゲルカラムにて精製し、表題の化合物(b)−6(510mg、45%)を得た。

0117

<化合物(b)の合成>
以下の化合物(b)で表される1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジンの合成を行った。

0118

0119

化合物(b)−6(33.2mg、0.063mmol)のジクロロメタン溶液(0.44ml)に室温でトリフルオロ酢酸(0.2ml)を加え、室温にて1時間撹拌した。得られた溶液を濃縮乾固し、さらにHPLCを用いて分取精製し、表題化合物(23.8mg、88%)を得た。
1H−NMR(DMSO)δ:10.24(1H,s),9.20(1H,s),8.16(1H,d),7.36(1H,d),6.86(1H,s),6.35(1H,d),6.42(1H,m),4.22(2H,m),3.43(4H,m),3.26(4H,m),2.81(3H,m),1.37(3H,d),1.26(6H,m)

0120

<化合物(b)のA晶の製造>
HPLCによって分取精製された化合物(b)のTFA塩(トリフルオロ酢酸塩)を得た。次に得られたTFA塩を、水−ジクロロメタン中で撹拌した。次に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で水相をpH8〜9の弱アルカリ性に調整し、有機相を分離した。その後、飽和食塩水で洗浄、Na2SO4で乾燥させて溶媒を留去し、結晶を得た。

0121

<化合物(b)のA晶の評価>
得られた結晶のXRDを図3に示す。回折角2θ=5.2°、7.6°、8.4°、10.5°、15.2°、16.9°、20.1°、21.0°、23.3°及び26.6°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは225℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図14に示す。波数1369cm−1、1424cm−1、1508cm−1、1545cm−1及び1566cm−1にピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(13C)を図21−1(6500Hz)及び図21−2(14000Hz)に示す。化学シフト163.4ppm、157.6ppm、155.5ppm、117.8ppm、82.2ppm、56.1ppm及び42.3ppmピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(15N)を図22に示す。化学シフト311.7ppm、232.4ppm、168.5ppm、79.5ppm、53.3ppm、32.9ppm及び-4.3ppmにピークが観測された。

0122

[実施例7]
本実施例では、1−(6−((6−((1R)−1−メトキシエチル)−8−(イソプロピルアミノ)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)−3−ピリダジル)ピペラジン(化合物(b))のB晶について説明する。

0123

<化合物(b)のB晶の製造>
本実施例は、A晶の製造の過程で析出したTFA塩に、テトラヒドロフラン(0.15ml)とメタノール(0.15ml)加え、4M水酸化リチウム水溶液(0.018ml)加えた。反応溶液をギ酸にて中和した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。これにより得られた化合物(b)の溶液を濃縮して飽和化し、結晶を析出させた。これにより、化合物(b)のB晶を得た。

0124

<化合物(b)のB晶の評価>
得られた結晶のXRDを図4に示す。回折角2θ=5.2°、6.6°、8.1°、15.2°、15.9°、16.2°、18.8°、20.5°、20.8°及び21.7°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは、221℃であった。

0125

[実施例8]
<化合物(b)のC晶の製造>
化合物(b)のC晶(1.1g)にエタノール(11mL)を加え、室温で終夜撹拌した。得られた固体を濾過し、40℃で減圧乾燥し、表題化合物(945mg、86%)を得た。

0126

<化合物(b)のC晶の評価>
得られた結晶のXRDを図9に示す。回折角2θ=5.2°、7.6°、8.4°、10.0°、10.5°、11.9°、15.2°、17.0°、 20.9°及び 21.2°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは223℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図15に示す。波数1369cm−1、1424cm−1、1507cm−1、1546cm−1及び1566cm−1にピークが観測された。

0127

[実施例9]
本実施例では、(R)−N8−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−N2−(5−(ピペラジン−1−イルメチル)ピリジン−2−イル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2,8−ジアミン(化合物(c))のA晶について説明する。
まず、化合物(c)の合成方法について説明する。

0128

<化合物(c)−1の合成>
以下の化合物(c)−1に示される6−アミノピリジン−3−カルバルデヒドの合成の合成を行った。

0129

0130

6−アミノピリジン−3−カルボニトリル(1.9g、16mmol)をTHF(160mL)に溶解させ、撹拌しながら−78℃に冷却した。この溶液に−78℃で水素化ジイソブチルアルミニウム(106.5mL、1.5Mトルエン溶液)をゆっくりと滴下し、撹拌しながら20℃まで昇温した後、2時間撹拌を継続した。反応溶液に氷水(100mL)を加えて反応を停止させ、ジクロロメタン(50mL)で3回抽出した。得られた有機相を混合した後、食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーで粗精製し、表題化合物の粗体(1.7g)を得た。この粗体はこれ以上精製せずに次の反応に用いた。

0131

<化合物(c)−2の合成>
以下の化合物(c)−2に示されるtert−ブチル4−[(6−アミノピリジン−3−イル)メチル]ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。

0132

0133

6−アミノピリジン−3−カルボニトリル(1.9g、16mmol)をTHF(160mL)に溶解させ、撹拌しながら−78℃に冷却した。この溶液に−78℃で水素化ジイソブチルアルミニウム(106.5mL、1.5Mトルエン溶液)をゆっくりと滴下し、撹拌しながら20℃まで昇温した後、2時間撹拌を継続した。反応溶液に氷水(100mL)を加えて反応を停止させ、ジクロロメタン(50mL)で3回抽出した。得られた有機相を混合した後、食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで粗精製し、表題化合物の粗体(1.7g)を得た。

0134

次いで、得られた粗体(1.7g、13.9mmol)とtert−ブチルピペラジン−1−カルボキシレート(3.2g、17.2mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶解させ、室温で8時間撹拌した。この反応溶液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(8.84g、40.9mmol)を添加し、室温で2時間撹拌した。反応の進行はLC/MSで追跡し、反応終了後、飽和炭酸ナトリウム水溶液(50mL)を加えて反応を停止させ、酢酸エチル(50mL)で3回抽出した。得られた有機相を混合し、食塩水(100mL)で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。固体を濾別した後、濾液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで粗精製し、表題化合物(3.3g、81%)を得た。

0135

<化合物(c)−3の合成>
以下の化合物(c)−3で示される、tert−ブチル(R)−4−((6−((8−(イソプロピルアミノ)−6−(1−メトキシエチル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2−イル)アミノ)ピリジン−3−イル)メチル)ピペラジン−1−カルボキシレートの合成を行った。

0136

0137

実施例2で合成した化合物(b)−2と化合物(c)−2を化合物(b)−6と同様の方法で合成し、表題の化合物(c)−3の合成を行った。

0138

<化合物(c)の合成>
以下の化合物(c)で示される(R)−N8−イソプロピル−6−(1−メトキシエチル)−N2−(5−(ピペラジン−1−イルメチル)ピリジン−2−イル)ピリド[3,4−d]ピリミジン−2,8−ジアミンの合成

0139

0140

化合物(c)−3を用いて実施例1の化合物(a)と同様にして表題化合物を得た。
1H−NMR(CDCl3)δ:9.04(1H,s),8.34(1H,d),8.26(1H,s),7.74(1H,dd),6.84(1H,s),6.14(1H,d),4.41(1H,m),4.33(1H,q),3.49 (2H,s),3.41(3H,s),2.91(4H,m),2.46(4H,br),1.50(3H,d),1.36(6H,m)

0141

<化合物(c)のA晶の製造>
HPLCによって分取精製された化合物(c)の溶液を濃縮して飽和化し、結晶を析出させた。これにより、化合物(c)のA晶を得た。

0142

<化合物(c)のA晶の評価>
得られた結晶のXRDを図5に示す。回折角2θ=4.8°、7.6°、8.2°、9.7°、15.3°、16.6°、19.1°、19.8°、22.4°及び26.2°にピークが観測された。
示差走査熱量分析(DSC)における吸熱ピークは、182℃であった。
得られた結晶の赤外吸収スペクトル(KBr法)を図16に示す。波数1115cm−1、1446cm−1、1508cm−1、1560cm−1及び1601cm−1にピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(13C)を図23−1(6500Hz)及び図23−2(14000Hz)に示す。化学シフト161.3ppm、150.8ppm、138.9ppm、128.1ppm、109.8ppm、82.7ppm、47.6ppm、42.5ppm、41.5ppm、24.5ppm、及び21.7ppmにピークが観測された。
得られた結晶の固体NMRスペクトル(15N)を図24に示す。化学シフト242.8ppm、233.8ppm、219.0ppm、171.7ppm、86.9ppm、54.9ppm、11.3ppm及び-5.5ppm にピークが観測された。

0143

[実施例10]ヒトCDK4/サイクリンD3阻害活性評価
化合物(a)、化合物(b)および化合物(c)について、ヒトCDK4/サイクリン D3阻害活性の評価を行った。
評価は、カルバイオサイエンス株式会社から購入したアッセイキット(QS S Assist CDK4/Cyclin D3_FPキット)を用いて、化合物のCDK4/サイクリン D3阻害活性を測定した。本アッセイキットはモレキュラーデバイス社のIMAPテクノロジーに基づき、キナーゼによってリン酸化された蛍光基質がIMAP結合試薬に結合することで引き起こされる蛍光偏光の変化を定量することにより、キナーゼ活性を測定するものである。

0144

キット添付の10×アッセイバッファー又はキット添付と同組成自家調製アッセイバッファーを各溶液調製に用いた。キット添付の10×アッセイバッファーを精製水で10倍希釈してアッセイバッファーを調製した。アッセイバッファーは、20mMHEES(pH7.4)、0.01% Tween20及び2mMジチオトレイトールからなる。試験化合物溶液は、試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で終濃度の100倍に調製したのちに、アッセイバッファーで25倍希釈して終濃度の4倍に調製した。ATP基質/Metal溶液は、キット添付の5×ATP/基質/Metal溶液をアッセイバッファーで5倍希釈して調製した。酵素溶液は、キット添付のCDK4/サイクリンD3を終濃度の2倍になるようアッセイバッファーで希釈して調製した(CDK4/サイクリン D3終濃度は、12.5〜25ng/ウェル)。検出試薬は、5×IMAP結合バッファーA及び5×IMAP結合バッファーBを各々精製水で5倍希釈したのち、IMAP結合バッファーA:IMAP結合バッファーB=85:15となるよう混合し、ここにIMAP結合試薬を400倍希釈になるよう添加して調製した。

0145

384ウェルプレートに試験化合物溶液を5μL、ATP/基質/Metal溶液を5μL添加し、さらに酵素溶液又はアッセイバッファー10μLを添加後、混合して酵素反応を開始した。総反応液量は20μL/ウェルであり、反応液組成は20mMHEPES(pH7.4)、0.01% Tween20、2mMジチオトレイトール、100nMFITC標識ペプチド基質(カルナバイオサイエンス)、100μM ATP、1mM塩化マグネシウム、1%DMSO、12.5〜25ng/ウェル CDK4/サイクリンD3とした。室温にて45分間反応させたのちに、各ウェルに検出試薬を60μL添加し、室温・遮光条件にてさらに30分間反応させた。次いで、マイクロプレートリーダーを使用し、励起波長:485nm、測定波長:535nmでの蛍光偏光を測定した。

0146

酵素溶液を添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を100%、酵素溶液の代わりにアッセイバッファーを添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を0%として試験化合物の酵素活性阻害率を計算し、用量反応曲線フィットさせてCDK4/サイクリンD3に対する50%阻害濃度を計算した。
その結果、各化合物のCDK4/サイクリン D3活性に対する阻害活性は、いずれもIC50値<10nMであった。

0147

[実施例11]ヒトCDK2/サイクリンA2阻害活性の評価
化合物(a)、化合物(b)および化合物(c)について、ヒトCDK2/サイクリン A2阻害活性の評価を行った。カルナバイオサイエンス株式会社から購入したアッセイキット(QS S Assist CDK2/Cyclin A2_FPキット)を用いて、化合物のCDK2/サイクリン A2阻害活性を測定した。本アッセイキットはモレキュラーデバイス社のIMAPテクノロジーに基づき、キナーゼによってリン酸化された蛍光基質がIMAP結合試薬に結合することで引き起こされる蛍光偏光の変化を定量することにより、キナーゼ活性を測定するものである。

0148

キット添付の10×アッセイバッファーを精製水で10倍希釈してアッセイバッファーを調製し、各溶液調製に用いた。アッセイバッファーは、20mMHEPES(pH7.4)、0.01% Tween20及び2mMジチオトレイトールからなる。試験化合物溶液は、試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で終濃度の100倍に調製したのち、アッセイバッファーで25倍希釈して終濃度の4倍に調製した。ATP/基質/Metal溶液は、キット添付の5×ATP/基質/Metal溶液をアッセイバッファーで5倍希釈して調製した。酵素溶液は、キット添付のCDK2/サイクリンA2を終濃度の2倍になるようアッセイバッファーで希釈して調製した(CDK2/サイクリン A2終濃度は、2.5ng/ウェル)。検出試薬は、5×IMAP結合バッファーAを精製水で5倍希釈したものに、IMAP結合試薬を400倍希釈になるよう添加して調製した。

0149

384ウェルプレートに試験化合物溶液を5μL、ATP/基質/Metal溶液を5μL添加し、さらに酵素溶液又はアッセイバッファー10μLを添加し、混合して酵素反応を開始した。総反応液量は20μL/ウェルであり、反応液組成は20mMHEPES(pH7.4)、0.01% Tween20、2mMジチオトレイトール、100nMFITC標識ペプチド基質(カルナバイオサイエンス)、30μM ATP、5mM塩化マグネシウム、1%DMSO、2.5ng/ウェル CDK2/サイクリンA2とした。室温にて60分間反応させたのちに、各ウェルに検出試薬を60μL添加し、室温・遮光条件にてさらに30分間反応させた。次いで、マイクロプレートリーダーを使用し、励起波長:485nm、測定波長:535nmでの蛍光偏光を測定した。

0150

酵素溶液を添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を100%、酵素溶液の代わりにアッセイバッファーを添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を0%として試験化合物の酵素活性阻害率を計算し、用量反応曲線にフィットさせてCDK2/サイクリンA2に対する50%阻害濃度を計算した。
その結果、各化合物のCDK2/サイクリンA2活性に対する阻害活性は、100nM≦IC50値であった。

0151

[実施例12]ヒトCDK6/サイクリンD3阻害活性の評価
CDK6/サイクリン D3阻害活性の測定は、Off−chip Mobility Shift Assay(MSA)法により行った。 MSA法は、タンパク質の分子量や電荷の違いによって電気泳動時移動度が異なることを利用して、分離する方法である。キナーゼ活性測定においては、キナーゼによりリン酸化された基質電荷の陰性への変化を電気泳動原理で分離してリン酸化の程度を定量することにより、キナーゼ活性を測定するものである。

0152

20mMHEPES(pH7.5)、0.01% Triton X−100、2mMジチオトレイトールからなるアッセイバッファーを各溶液調製に用いた。試験化合物溶液は、試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)で終濃度の100倍に調製したのち、アッセイバッファーで25倍希釈して終濃度の4倍に調製した。ATP/基質/Metal溶液は、終濃度の4倍のものを調製した。酵素溶液は、終濃度の2倍のものを調製した。酵素濃度は、酵素活性によるシグナル陽性対照化合物の阻害活性値をもとに、適切な終濃度を設定した。

0153

384ウェルプレートに試験化合物溶液を5μL、ATP/基質/Metal溶液を5μL添加し、さらに酵素溶液又はアッセイバッファー10μLを添加、混合して酵素反応を開始した。総反応液量は20μL/ウェルであり、反応液組成は20mMHEPES(pH7.5)、0.01% Triton X−100、2mMジチオトレイトール、1000nMペプチド基質(DYRKtide−F)、300μM ATP、5mM塩化マグネシウム、1%DMSO、設定した濃度のCDK6/サイクリンD3とした。室温にて5時間反応させたのち、各ウェルにターミネーションバッファー(QuickScout Screening Assist MSA;カルナバイオサイエンス社製)を60μL添加し、反応を停止させた。次いで、キャリパーライフサイエンス社のLabChip3000を使用し、反応溶液中の基質ペプチドリン酸化ペプチドを分離、定量した。キナーゼ反応は基質ペプチドピーク高さ(S)とリン酸化ペプチドピーク高さ(P)から計算される生成物比(P/(P+S))にて評価した。

実施例

0154

酵素溶液を添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を100%、酵素溶液の代わりにアッセイバッファーを添加し、試験化合物溶液の代わりにDMSOを添加したときの酵素活性を0%として、試験化合物の酵素活性阻害率を計算し、用量反応曲線にフィットさせてCDK6/サイクリンD3に対する50%阻害濃度を計算した。
その結果、各化合物のCDK6/サイクリン D3活性に対する阻害活性は、IC50値<10nMであった。

0155

本発明の化合物(I)の結晶は、医薬品製造用原体として用いることができる。

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