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技術 高強度鋼板およびその製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 川崎由康山下孝子植野雅康田路勇樹小林崇船川義正
出願日 2017年11月15日 (3年1ヶ月経過) 出願番号 2018-513387
公開日 2018年11月15日 (2年1ヶ月経過) 公開番号 WO2018-092816
状態 特許登録済
技術分野 薄鋼板の熱処理 溶融金属による被覆
主要キーワード 途中止め 厚み領域 下地組 穴直径 オーステンパー処理 バーヒーター 合金炭窒化物 断面ミクロ組織
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

所定の成分組成とした上で、鋼組織を、面積率で、フェライト:15%以上55%以下、マルテンサイト:15%以上30%以下とし、体積率で、残留オーステナイト:12%以上とし、またフェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの平均結晶粒径をそれぞれ4.0μm以下、2.0μm以下、2.0μm以下にするとともに、フェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの結晶粒平均アスペクト比をそれぞれ2.0超15.0以下とし、さらに残留オーステナイト中のMn量(質量%)をフェライト中のMn量(質量%)で除した値を2.0以上とすることにより、延性と穴広げ性に優れるとともに、YR(降伏比)が68%未満で、かつ980MPa以上のTS(引張強さ)を有する高強度鋼板を提供する。

概要

背景

近年、地球環境保全見地から、自動車燃費向上が重要な課題となっている。このため、車体材料高強度化により薄肉化を図り、車体そのものを軽量化しようとする動き活発となってきている。
しかしながら、一般的に鋼板の高強度化は延性伸びフランジ性(穴広げ性)の低下を招くことから、高強度化を図ると鋼板の成形性が低下して、成形時の割れなどの問題を生じる。そのため、単純には鋼板の薄肉化が図れない。そこで、高い強度と優れた成形性(延性と穴広げ性)を併せ持つ材料の開発が望まれている。また、TS(引張強さ):980MPa以上の鋼板は、自動車の製造工程において、プレス加工後アーク溶接スポット溶接等により組み付けられて、モジュール化されるため、組付け時に高い寸法精度が求められる。
そのため、このような鋼板では、優れた延性と穴広げ性に加え、加工後にスプリングバック等を起こりにくくする必要があり、そのためには、加工前にYR(降伏比)が低いことが重要となる。

例えば、特許文献1には、引張強さが1000MPa以上で、全伸び(EL)が30%以上の残留オーステナイト加工誘起変態を利用した非常に高い延性を有する高強度鋼板が提案されている。

また、特許文献2には、高Mn鋼を用いて、フェライトオーステナイト2相域での熱処理を施すことにより、高い強度−延性バランスを得ようとする鋼板が提案されている。

さらに、特許文献3には、高Mn鋼で熱延後の組織ベイナイトマルテンサイトを含む組織とし、さらに焼鈍焼戻しを施すことによって微細な残留オーステナイトを形成させたのち、焼戻しベイナイトもしくは焼戻しマルテンサイトを含む組織とすることで、局部延性を改善しようとする鋼板が提案されている。

概要

所定の成分組成とした上で、鋼組織を、面積率で、フェライト:15%以上55%以下、マルテンサイト:15%以上30%以下とし、体積率で、残留オーステナイト:12%以上とし、またフェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの平均結晶粒径をそれぞれ4.0μm以下、2.0μm以下、2.0μm以下にするとともに、フェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの結晶粒平均アスペクト比をそれぞれ2.0超15.0以下とし、さらに残留オーステナイト中のMn量(質量%)をフェライト中のMn量(質量%)で除した値を2.0以上とすることにより、延性と穴広げ性に優れるとともに、YR(降伏比)が68%未満で、かつ980MPa以上のTS(引張強さ)を有する高強度鋼板を提供する。

目的

本発明は、かかる事情に鑑み開発されたものであって、延性および穴広げ性に優れるとともに、低い降伏比を有する高強度鋼板、具体的には、YR(降伏比)が68%未満で、かつTS(引張強さ)が980MPa以上の高強度鋼板を、その有利な製造方法とともに提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

成分組成が、質量%で、C:0.030%以上0.250%以下、Si:0.01%以上3.00%以下、Mn:4.20%超6.00%以下、P:0.001%以上0.100%以下、S:0.0001%以上0.0200%以下、N:0.0005%以上0.0100%以下およびTi:0.003%以上0.200%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、鋼組織が、面積率で、フェライトが15%以上55%以下、マルテンサイトが15%以上30%以下であって、体積率で、残留オーステナイトが12%以上であり、また、前記フェライトの平均結晶粒径が4.0μm以下、前記マルテンサイトの平均結晶粒径が2.0μm以下、前記残留オーステナイトの平均結晶粒径が2.0μm以下であるとともに、前記フェライト、前記マルテンサイトおよび前記残留オーステナイトの結晶粒平均アスペクト比がそれぞれ2.0超15.0以下であり、さらに、前記残留オーステナイト中のMn量(質量%)を前記フェライト中のMn量(質量%)で除した値が2.0以上であり、引張強さが980MPa以上、かつ降伏比が68%未満である、高強度鋼板

請求項2

前記成分組成が、さらに、質量%で、Al:0.01%以上2.00%以下を含有する、請求項1に記載の高強度鋼板。

請求項3

前記成分組成が、さらに、質量%で、Nb:0.005%以上0.200%以下、B:0.0003%以上0.0050%以下、Ni:0.005%以上1.000%以下、Cr:0.005%以上1.000%以下、V:0.005%以上0.500%以下、Mo:0.005%以上1.000%以下、Cu:0.005%以上1.000%以下、Sn:0.002%以上0.200%以下、Sb:0.002%以上0.200%以下、Ta:0.001%以上0.010%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下およびREM:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する、請求項1または2に記載の高強度鋼板。

請求項4

請求項1ないし3のいずれかに記載の高強度鋼板であって、表面に溶融亜鉛めっき層をそなえる、高強度鋼板。

請求項5

請求項1ないし3のいずれかに記載の高強度鋼板であって、表面に溶融アルミニウムめっき層をそなえる、高強度鋼板。

請求項6

請求項1ないし3のいずれかに記載の高強度鋼板であって、表面に電気亜鉛めっき層をそなえる、高強度鋼板。

請求項7

請求項1ないし3のいずれかに記載の高強度鋼板の製造方法であって、請求項1ないし3のいずれかに記載の成分組成を有する鋼スラブを、1100℃以上1300℃以下に加熱し、仕上げ圧延出側温度を750℃以上1000℃以下で熱間圧延し、平均巻き取り温度を300℃以上750℃以下で巻き取り熱延板とする、熱間圧延工程と、前記熱延板に、酸洗を施し、スケールを除去する、酸洗工程と、前記熱延板を、(Ac1変態点+20℃)以上(Ac1変態点+120℃)以下の温度域で600s以上21600s以下保持する、熱延板焼鈍工程と、前記熱延板を、圧下率:3%以上30%未満で冷間圧延して冷延板とする、冷間圧延工程と、前記冷延板を、(Ac1変態点+10℃)以上(Ac1変態点+100℃)以下の温度域で900s超21600s以下保持した後、冷却する、冷延板焼鈍工程、とをそなえる、高強度鋼板の製造方法。

請求項8

請求項4に記載の高強度鋼板の製造方法であって、請求項7の前記冷延板焼鈍工程後、前記冷延板に、溶融亜鉛めっき処理を施す工程、または溶融亜鉛めっき処理を施したのち、450℃以上600℃以下の温度域で合金化処理を施す工程をさらにそなえる、高強度鋼板の製造方法。

請求項9

請求項5に記載の高強度鋼板の製造方法であって、請求項7の前記冷延板焼鈍工程後、前記冷延板に溶融アルミニウムめっき処理を施す工程をさらにそなえる、高強度鋼板の製造方法。

請求項10

請求項6に記載の高強度鋼板の製造方法であって、請求項7の前記冷延板焼鈍工程後、前記冷延板に電気亜鉛めっき処理を施す工程をさらにそなえる、高強度鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、自動車電気等の産業分野で使用される部材として好適な、延性および伸びフランジ性(穴広げ性)に優れ、かつ低い降伏比を有する高強度鋼板およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

近年、地球環境保全見地から、自動車の燃費向上が重要な課題となっている。このため、車体材料高強度化により薄肉化を図り、車体そのものを軽量化しようとする動き活発となってきている。
しかしながら、一般的に鋼板の高強度化は延性と伸びフランジ性(穴広げ性)の低下を招くことから、高強度化を図ると鋼板の成形性が低下して、成形時の割れなどの問題を生じる。そのため、単純には鋼板の薄肉化が図れない。そこで、高い強度と優れた成形性(延性と穴広げ性)を併せ持つ材料の開発が望まれている。また、TS(引張強さ):980MPa以上の鋼板は、自動車の製造工程において、プレス加工後アーク溶接スポット溶接等により組み付けられて、モジュール化されるため、組付け時に高い寸法精度が求められる。
そのため、このような鋼板では、優れた延性と穴広げ性に加え、加工後にスプリングバック等を起こりにくくする必要があり、そのためには、加工前にYR(降伏比)が低いことが重要となる。

0003

例えば、特許文献1には、引張強さが1000MPa以上で、全伸び(EL)が30%以上の残留オーステナイト加工誘起変態を利用した非常に高い延性を有する高強度鋼板が提案されている。

0004

また、特許文献2には、高Mn鋼を用いて、フェライトオーステナイト2相域での熱処理を施すことにより、高い強度−延性バランスを得ようとする鋼板が提案されている。

0005

さらに、特許文献3には、高Mn鋼で熱延後の組織ベイナイトマルテンサイトを含む組織とし、さらに焼鈍焼戻しを施すことによって微細な残留オーステナイトを形成させたのち、焼戻しベイナイトもしくは焼戻しマルテンサイトを含む組織とすることで、局部延性を改善しようとする鋼板が提案されている。

先行技術

0006

特開昭61−157625号公報
特開平1−259120号公報
特開2003−138345号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ここで、特許文献1に記載された鋼板では、C、SiおよびMnを基本成分とする鋼板をオーステナイト化した後に、ベイナイト変態温度域焼入れ等温保持する、いわゆるオーステンパー処理を行うことにより製造される。そして、このオーステンパー処理を施す際に、オーステナイトへのCの濃化によって残留オーステナイトが生成される。
しかしながら、多量の残留オーステナイトを得るためには、0.3質量%を超える多量のCが必要となるが、0.3質量%を超えるようなC濃度では、スポット溶接性の低下が顕著であり、自動車用鋼板としては実用化が困難である。
加えて、特許文献1に記載された鋼板では、延性の向上を主目的としており、穴広げ性や降伏比については考慮が払われていない。

0008

また、特許文献2および3に記載された鋼板では、延性の向上について述べられているが、その降伏比については考慮が払われていない。

0009

本発明は、かかる事情に鑑み開発されたものであって、延性および穴広げ性に優れるとともに、低い降伏比を有する高強度鋼板、具体的には、YR(降伏比)が68%未満で、かつTS(引張強さ)が980MPa以上の高強度鋼板を、その有利な製造方法とともに提供することを目的とする。

0010

なお、本発明でいう高強度鋼板には、表面に溶融亜鉛めっき層をそなえる高強度鋼板(高強度溶融亜鉛めっき鋼板)や、表面に溶融アルミニウムめっき層をそなえる高強度鋼板(高強度溶融アルミニウムめっき鋼板)、表面に電気亜鉛めっき層をそなえる高強度鋼板(高強度電気亜鉛めっき鋼板)が含まれる。

課題を解決するための手段

0011

さて、発明者らは、成形性(延性と穴広げ性)に優れ、低い降伏比を有する高強度鋼板を開発すべく、鋭意検討を重ねたところ、以下の知見を得た。
(1)延性や穴広げ性に優れ、YRが68%未満でかつTSが980MPa以上の高強度鋼板を得るには、以下の点が重要である。
・Mnを4.20質量%超6.00質量%以下の範囲で含有させるとともに、その他の成分組成を所定の範囲に調整する。
鋼組織を、フェライト、マルテンサイト、残留オーステナイトを適正量含む組織とし、これらの構成相を微細化する。
冷間圧延圧下率を3%以上30%未満にすることによって、前記フェライトおよび前記マルテンサイトおよび前記残留オーステナイトの結晶粒平均アスペクト比がそれぞれ2.0超15.0以下になるように調整する。
・残留オーステナイト中のMn量(質量%)をフェライト中のMn量(質量%)で除した値を、適正化する。
(2)さらに、このような組織を造り込むには、成分組成を所定の範囲に調整するとともに、製造条件、特に熱間圧延後の熱処理(熱延板焼鈍)条件および冷間圧延後の熱処理(冷延板焼鈍)条件を適正に制御することが重要である。
本発明は、上記の知見に基づき、さらに検討を加えた末に完成されたものである。

0012

すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.成分組成が、質量%で、C:0.030%以上0.250%以下、Si:0.01%以上3.00%以下、Mn:4.20%超6.00%以下、P:0.001%以上0.100%以下、S:0.0001%以上0.0200%以下、N:0.0005%以上0.0100%以下およびTi:0.003%以上0.200%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
鋼組織が、面積率で、フェライトが15%以上55%以下、マルテンサイトが15%以上30%以下であって、体積率で、残留オーステナイトが12%以上であり、
また、前記フェライトの平均結晶粒径が4.0μm以下、前記マルテンサイトの平均結晶粒径が2.0μm以下、前記残留オーステナイトの平均結晶粒径が2.0μm以下であるとともに、前記フェライト、前記マルテンサイトおよび前記残留オーステナイトの結晶粒の平均アスペクト比がそれぞれ2.0超15.0以下であり、
さらに、前記残留オーステナイト中のMn量(質量%)を前記フェライト中のMn量(質量%)で除した値が2.0以上であり、
引張強さが980MPa以上、かつ降伏比が68%未満である、高強度鋼板。

0013

2.前記成分組成が、さらに、質量%で、Al:0.01%以上2.00%以下を含有する、前記1に記載の高強度鋼板。

0014

3.前記成分組成が、さらに、質量%で、Nb:0.005%以上0.200%以下、B:0.0003%以上0.0050%以下、Ni:0.005%以上1.000%以下、Cr:0.005%以上1.000%以下、V:0.005%以上0.500%以下、Mo:0.005%以上1.000%以下、Cu:0.005%以上1.000%以下、Sn:0.002%以上0.200%以下、Sb:0.002%以上0.200%以下、Ta:0.001%以上0.010%以下、Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下およびREM:0.0005%以上0.0050%以下のうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する、前記1または2に記載の高強度鋼板。

0015

4.前記1ないし3のいずれかに記載の高強度鋼板であって、表面に溶融亜鉛めっき層をそなえる、高強度鋼板。

0016

5.前記1ないし3のいずれかに記載の高強度鋼板であって、表面に溶融アルミニウムめっき層をそなえる、高強度鋼板。

0017

6.前記1ないし3のいずれかに記載の高強度鋼板であって、表面に電気亜鉛めっき層をそなえる、高強度鋼板。

0018

7.前記1ないし3のいずれかに記載の高強度鋼板の製造方法であって、
前記1ないし3のいずれかに記載の成分組成を有する鋼スラブを、1100℃以上1300℃以下に加熱し、仕上げ圧延出側温度を750℃以上1000℃以下で熱間圧延し、平均巻き取り温度を300℃以上750℃以下で巻き取り熱延板とする、熱間圧延工程と、
前記熱延板に、酸洗を施し、スケールを除去する、酸洗工程と、
前記熱延板を、(Ac1変態点+20℃)以上(Ac1変態点+120℃)以下の温度域で600s以上21600s以下保持する、熱延板焼鈍工程と、
前記熱延板を、圧下率:3%以上30%未満で冷間圧延して冷延板とする、冷間圧延工程と、
前記冷延板を、(Ac1変態点+10℃)以上(Ac1変態点+100℃)以下の温度域で900s超21600s以下保持した後、冷却する、冷延板焼鈍工程、
とをそなえる、高強度鋼板の製造方法。

0019

8.前記4に記載の高強度鋼板の製造方法であって、
前記7の前記冷延板焼鈍工程後、前記冷延板に、溶融亜鉛めっき処理を施す工程、または溶融亜鉛めっき処理を施したのち、450℃以上600℃以下の温度域で合金化処理を施す工程をさらにそなえる、高強度鋼板の製造方法。

0020

9.前記5に記載の高強度鋼板の製造方法であって、
前記7の前記冷延板焼鈍工程後、前記冷延板に溶融アルミニウムめっき処理を施す工程をさらにそなえる、高強度鋼板の製造方法。

0021

10.前記6に記載の高強度鋼板の製造方法であって、
前記7の前記冷延板焼鈍工程後、前記冷延板に電気亜鉛めっき処理を施す工程をさらにそなえる、高強度鋼板の製造方法。

発明の効果

0022

本発明によれば、延性と穴広げ性に優れるとともに、YR(降伏比)が68%未満で、980MPa以上のTS(引張強さ)を有する高強度鋼板を得ることができる。
また、本発明の高強度鋼板を、例えば、自動車構造部材に適用することにより、車体軽量化による燃費改善を図ることができ、産業的な利用価値は極めて大きい。

0023

以下、本発明を具体的に説明する。まず、本発明の高強度鋼板の成分組成について説明する。
なお、成分組成における「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.030%以上0.250%以下
Cは、マルテンサイトなどの低温変態相を生成させて、強度を上昇させるために必要な元素である。また、残留オーステナイトの安定性を向上させ、鋼の延性を向上させるのに有効な元素である。
ここで、C量が0.030%未満では所望のマルテンサイト量を確保することが難しく、所望の強度が得られない。また、十分な残留オーステナイト量を確保することが難しく、良好な延性が得られない。一方、Cを、0.250%を超えて過剰に添加すると、硬質なマルテンサイト量が過大となって、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加する。このため、穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなって、伸びフランジ性(穴広げ性)が低下する。また、溶接部および熱影響部硬化が著しくなって、溶接部の機械的特性が低下するため、スポット溶接性やアーク溶接性なども劣化する。
こうした観点から、C量は0.030%以上0.250%以下の範囲とする。好ましくは、0.080%以上0.200%以下の範囲である。

0024

Si:0.01%以上3.00%以下
Siは、フェライトの加工硬化能を向上させるため、良好な延性の確保に有効な元素である。しかしながら、Si量が0.01%に満たないとその添加効果が乏しくなるため、その下限は0.01%とする。一方、3.00%を超えるSiの過剰な添加は、鋼の脆化による延性や穴広げ性の低下を引き起こすばかりか、赤スケールなどの発生による表面性状の劣化を引き起こす。そのため、Si量は0.01%以上3.00%以下の範囲とする。好ましくは、0.20%以上2.00%以下の範囲である。

0025

Mn:4.20%超6.00%以下
Mnは、本発明において極めて重要な元素である。すなわち、Mnは、残留オーステナイトを安定化させる元素で、良好な延性の確保に有効であり、さらに固溶強化により鋼の強度を上昇させる元素でもある。また、残留オーステナイト中のMn濃化により、残留オーステナイトを体積率で12%以上と多量に確保することが可能となる。このような効果は、Mn量が4.20%超で認められる。一方、Mn量が6.00%を超える過剰な添加は、コストアップ要因になる。こうした観点から、Mn量は4.20%超6.00%以下の範囲とする。好ましくは4.80%以上である。

0026

P:0.001%以上0.100%以下
Pは、固溶強化の作用を有し、所望の強度に応じて添加できる元素である。また、フェライト変態を促進し、鋼板の複合組織化にも有効な元素である。こうした効果を得るためには、P量を0.001%以上にする必要がある。一方、P量が0.100%を超えると、スポット溶接性の著しい劣化を招く。また、溶融亜鉛めっきを合金化処理する場合には、合金化速度を低下させ、合金化溶融亜鉛めっき層品質を損なわせる。したがって、P量は0.001%以上0.100%以下の範囲とする。好ましくは0.001%以上0.050%以下の範囲である。

0027

S:0.0001%以上0.0200%以下
Sは、粒界偏析して熱間加工時に鋼を脆化させるだけでなく、硫化物として存在して鋼板の局部変形能を低下させる。また、S量が0.0200%を超えると、スポット溶接性の著しい劣化を招く。そのため、S量は0.0200%以下、好ましくは0.0100%以下、より好ましくは0.0050%以下にする必要がある。しかしながら、生産技術上の制約から、S量は0.0001%以上にする。したがって、S量は0.0001%以上0.0200%以下の範囲とする。好ましくは0.0001%以上0.0100%以下の範囲、より好ましくは0.0001%以上0.0050%以下の範囲である。

0028

N:0.0005%以上0.0100%以下
Nは、鋼の耐時効性を劣化させる元素である。特に、N量が0.0100%を超えると、耐時効性の劣化が顕著となる。N量は少ないほど好ましいが、生産技術上の制約から、N量は0.0005%以上にする。したがって、N量は0.0005%以上0.0100%以下の範囲とする。好ましくは0.0010%以上0.0070%以下の範囲である。

0029

Ti:0.003%以上0.200%以下
Tiは、本発明において極めて重要な元素である。すなわち、Tiは、鋼の結晶粒微細化強化や析出強化に有効であり、その効果はTiを0.003%以上添加することにより得られる。また、高温での延性が向上し、連続鋳造における鋳造性の改善にも有効に寄与する。しかし、Ti量が0.200%を超えると、硬質なマルテンサイト量が過大となり、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加する。このため、穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなって、穴広げ性が低下する。したがって、Ti量は0.003%以上0.200%以下の範囲とする。好ましくは0.010%以上0.100%以下の範囲とする。

0030

また、本発明では、上記の成分に加えて、Alを次の範囲で含有させることができる。
Al:0.01%以上2.00%以下
Alは、フェライトとオーステナイトの二相域を拡大させ、焼鈍温度依存性の低減、つまり、材質安定性に有効な元素である。また、Alは、脱酸剤として作用し、鋼の清浄化に有効な元素でもある。しかしながら、Al量が0.01%に満たないとその添加効果に乏しいので、その下限は0.01%とする。一方、Alの2.00%を超える多量の添加は、連続鋳造時鋼片割れ発生の危険性が高まり、製造性を低下させる。したがって、Alを添加する場合、その量は0.01%以上2.00%以下の範囲とする。好ましくは0.20%以上1.20%以下の範囲である。

0031

さらに、本発明では、上記の成分に加えて、Nb、B、Ni、Cr、V、Mo、Cu、Sn、Sb、Ta、Ca、MgおよびREMのうちから選ばれる少なくとも1種の元素を含有させることができる。
Nb:0.005%以上0.200%以下
Nbは、鋼の析出強化に有効で、その添加効果は0.005%以上で得られる。しかし、Nb量が0.200%を超えると、硬質なマルテンサイト量が過大となり、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加する。このため、穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなって、穴広げ性が低下する。また、コストアップの要因にもなる。したがって、Nbを添加する場合、その量は0.005%以上0.200%以下の範囲とする。好ましくは0.010%以上0.100%以下の範囲である。

0032

B:0.0003%以上0.0050%以下
Bは、オーステナイト粒界からのフェライトの生成および成長を抑制する作用を有し、臨機応変組織制御が可能なため、必要に応じて添加することができる。その添加効果は、0.0003%以上で得られる。一方、B量が0.0050%を超えると、成形性が低下する。したがって、Bを添加する場合、その量は0.0003%以上0.0050%以下の範囲とする。好ましくは0.0005%以上0.0030%以下の範囲である。

0033

Ni:0.005%以上1.000%以下
Niは、残留オーステナイトを安定化させる元素で、良好な延性の確保に有効であり、さらに、固溶強化により鋼の強度を上昇させる元素でもある。その添加効果は、0.005%以上で得られる。一方、Ni量が1.000%を超えると、硬質なマルテンサイト量が過大となり、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加する。このため、穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなって、穴広げ性が低下する。また、コストアップの要因にもなる。したがって、Niを添加する場合、その量は0.005%以上1.000%以下の範囲とする。

0034

Cr:0.005%以上1.000%以下、V:0.005%以上0.500%以下、Mo:0.005%以上1.000%以下
Cr、VおよびMoはいずれも、強度と延性のバランスを向上させる作用を有するので、必要に応じて添加することができる元素である。その添加効果は、Cr:0.005%以上、V:0.005%以上およびMo:0.005%以上で得られる。しかしながら、それぞれCr:1.000%、V:0.500%およびMo:1.000%を超えて過剰に添加すると、硬質なマルテンサイト量が過大となり、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加する。このため、穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなって、穴広げ性が低下する。また、コストアップの要因にもなる。したがって、これらの元素を添加する場合、その量はそれぞれCr:0.005%以上1.000%以下、V:0.005%以上0.500%以下およびMo:0.005%以上1.000%以下の範囲とする。

0035

Cu:0.005%以上1.000%以下
Cuは、鋼の強化に有効な元素であり、その添加効果は0.005%以上で得られる。一方、Cu量が1.000%を超えると、硬質なマルテンサイト量が過大となり、マルテンサイトの結晶粒界でのマイクロボイドが増加する。このため、穴広げ試験時に亀裂の伝播が進行しやすくなって、穴広げ性が低下する。したがって、Cuを添加する場合、その量は0.005%以上1.000%以下の範囲とする。

0036

Sn:0.002%以上0.200%以下、Sb:0.002%以上0.200%以下
SnおよびSbはそれぞれ、鋼板表面の窒化や酸化によって生じる鋼板表層の数十μm程度の厚み領域脱炭を抑制する観点から、必要に応じて添加することができる元素である。このような窒化や酸化を抑制することで、鋼板表面においてマルテンサイト量が減少するのを防止できるため、SnおよびSbは強度や材質安定性の確保に有効である。一方、SnおよびSbをそれぞれ0.200%を超えて過剰に添加すると、靭性の低下を招く。したがって、Sn、Sbを添加する場合、その量はそれぞれ0.002%以上0.200%以下の範囲とする。

0037

Ta:0.001%以上0.010%以下
Taは、TiやNbと同様に、合金炭化物合金炭窒化物を生成して高強度化に寄与する。加えて、Taは、Nb炭化物Nb炭窒化物に一部固溶し、(Nb,Ta)(C,N)のような複合析出物を生成することで析出物の粗大化を抑制し、析出強化による強度向上への寄与を安定化させる効果があると考えられる。このため、Taを含有させることが好ましい。ここで、前述の析出物安定化の効果は、Taの含有量を0.001%以上とすることで得られる。一方、Taを過剰に添加してもその添加効果が飽和する上、合金コストも増加する。したがって、Taを添加する場合、その量は0.001%以上0.010%以下の範囲とする。

0038

Ca:0.0005%以上0.0050%以下、Mg:0.0005%以上0.0050%以下およびREM:0.0005%以上0.0050%以下
Ca、MgおよびREMはいずれも、硫化物の形状を球状化し、穴広げ性(伸びフランジ性)への硫化物の悪影響を改善する上で有効な元素である。この効果を得るためには、それぞれ0.0005%以上の添加が必要である。一方、Ca、MgおよびREMそれぞれが0.0050%を超える過剰な添加は、介在物等の増加を引き起こし表面および内部欠陥などを引き起こす。したがって、Ca、MgおよびREMを添加する場合、その量はそれぞれ0.0005%以上0.0050%以下の範囲とする。
なお、上記以外の成分はFeおよび不可避的不純物である。

0039

次に、本発明の高強度鋼板のミクロ組織について説明する。
フェライトの面積率:15%以上55%以下
本発明の高強度鋼板では、十分な延性を確保するため、フェライト量を面積率で15%以上にする必要がある。一方、980MPa以上のTSを確保するため、軟質なフェライト量を面積率で55%以下にする必要がある。好ましくは、20%以上50%以下の範囲である。

0040

マルテンサイトの面積率:15%以上30%以下
また、980MPa以上のTSを達成するためには、マルテンサイト量を面積率で15%以上にする必要がある。一方、良好な延性の確保のためには、マルテンサイト量を面積率で30%以下にする必要がある。好ましくは17%以上25%以下の範囲である。

0041

ここで、フェライトとマルテンサイトの面積率は、以下のようにして求めることができる。
すなわち、鋼板の圧延方向に平行な板厚断面(L断面)を研磨後、3vol.%ナイタールで腐食し、板厚1/4位置(鋼板表面から深さ方向で板厚の1/4に相当する位置)について、SEM走査型電子顕微鏡)を用いて2000倍の倍率で、60μm×45μmの範囲の視野を10視野観察し、組織画像を得る。この得られた組織画像を用いて、Media Cybernetics社のImage−Proにより各組織(フェライト、マルテンサイト)の面積率を10視野分算出し、それらの値を平均して求めることができる。また、上記の組織画像において、フェライトは灰色の組織(下地組織)、マルテンサイトは白色の組織を呈していることで識別される。

0042

残留オーステナイトの体積率:12%以上
本発明の高強度鋼板では、十分な延性を確保するため、残留オーステナイト量を体積率で12%以上にする必要がある。好ましくは14%以上である。また、残留オーステナイトの体積率の上限は、特に限定はされないが、残留オーステナイト体積率の増大に伴って、延性向上の効果が小さい残留オーステナイト、すなわちCやMnなどの成分が希薄ないわゆる不安定な残留オーステナイトが増加することから、65%程度とすることが好ましい。より好ましくは55%以下である。

0043

残留オーステナイトの体積率は、鋼板を板厚方向の1/4面(鋼板表面から深さ方向で板厚の1/4に相当する面)まで研磨し、この板厚1/4面の回折X線強度を測定することにより求める。入射X線にはMoKα線を使用し、残留オーステナイトの{111}、{200}、{220}、{311}面のピーク積分強度の、フェライトの{110}、{200}、{211}面のピークの積分強度に対する、12通り全ての組み合わせの強度比を求め、これらの平均値を残留オーステナイトの体積率とする。

0044

フェライトの平均結晶粒径:4.0μm以下
フェライトの結晶粒の微細化は、TS(引張強さ)の向上や伸びフランジ性(穴広げ性)の向上に寄与する。ここに、所望のTSを確保し、高い穴広げ性を確保するためには、フェライトの平均結晶粒径を4.0μm以下にする必要がある。好ましくは3.0μm以下である。
なお、フェライトの平均結晶粒径の下限値は特に限定されるものではないが、工業的には0.2μm程度とすることが好ましい。

0045

マルテンサイトの平均結晶粒径:2.0μm以下
マルテンサイトの結晶粒の微細化は、穴広げ性の向上に寄与する。ここに、高い伸びフランジ性(高い穴広げ性)を確保するためには、マルテンサイトの平均結晶粒径を2.0μm以下にする必要がある。好ましくは、1.5μm以下である。
なお、マルテンサイトの平均結晶粒径の下限値は特に限定されるものではないが、工業的には0.05μm程度とすることが好ましい。

0046

残留オーステナイトの平均結晶粒径:2.0μm以下
残留オーステナイトの結晶粒の微細化は、延性の向上や穴広げ性の向上に寄与する。ここに、良好な延性および穴広げ性を確保するためには、残留オーステナイトの平均結晶粒径を2.0μm以下にする必要がある。好ましくは1.5μm以下である。
なお、残留オーステナイトの平均結晶粒径の下限値は特に限定されるものではないが、工業的には0.05μm程度とすることが好ましい。

0047

また、フェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの平均結晶粒径は、上述のImage−Proを用いて、面積率の測定と同様にして得られる組織画像から、フェライト粒、マルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の各々の面積を求め、円相当直径を算出し、それらの値を平均して求める。なお、マルテンサイトと残留オーステナイトは、EBSD(Electron BackScatter Diffraction;電子線後方散乱回折法)のPhase Mapにより識別できる。
なお、上記の平均結晶粒径を求める際には、いずれも、粒径が0.01μm以上の結晶粒を測定することとする。

0048

フェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの結晶粒の平均アスペクト比:2.0超15.0以下
フェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの結晶粒の平均アスペクト比を2.0超15.0以下とすることは、本発明において極めて重要である。
すなわち、結晶粒のアスペクト比が大きいということは、冷間圧延後の熱処理(冷延板焼鈍)における昇温および保持中に、再結晶を殆ど伴わずに、回復とともに粒成長し、伸長した微細な結晶粒が生成したことを意味している。このような微細で高いアスペクト比の結晶粒により構成される組織では、穴広げ試験前の打ち抜き時および穴広げ試験時にマイクロボイドが発生し難いため、穴広げ性の向上に大きく寄与する。さらに、平均アスペクト比が大きいフェライトは微細でも変形を担うため、降伏点伸びを抑制でき、プレス成形後ストレッチャーストレイン(降伏点伸びの大きい材料が塑性変形を受けるとき、状に現れるひずみ模様の不良現象)を抑制できる。しかしながら、アスペクト比が15.0を超えると材質の異方性が大きくなる懸念がある。
したがって、フェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの結晶粒の平均アスペクト比は2.0超15.0以下の範囲とする。

0049

なお、フェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトの結晶粒の平均アスペクト比が、2.2以上であることが好ましく、2.4以上とすることがより好ましい。
また、ここでいう結晶粒のアスペクト比とは、結晶粒の長軸長さを短軸長さで除した値のことであり、各結晶粒の平均アスペクト比は以下のようにして求めることができる。
すなわち、上述のImage−Proを用いて、面積率の測定と同様にして得られる組織画像から、フェライト粒、マルテンサイト粒および残留オーステナイト粒の各々において、30個の結晶粒の長軸長さと短軸長さを算出し、結晶粒ごとにその長軸長さを短軸長さで除し、それらの値を平均して求めることができる。

0050

残留オーステナイト中のMn量(質量%)をフェライト中のMn量(質量%)で除した値:2.0以上
残留オーステナイト中のMn量(質量%)をフェライト中のMn量(質量%)で除した値を2.0以上とすることは、本発明において極めて重要である。というのは、良好な延性を確保するためには、Mnが濃化した安定な残留オーステナイトを多くする必要があるからである。
なお、残留オーステナイト中のMn量(質量%)をフェライト中のMn量(質量%)で除した値の上限値は特に限定されるものではないが、伸びフランジ性の観点から、16.0程度とすることが好ましい。

0051

また、残留オーステナイトおよびフェライト中のMn量は、以下のようにして求めることができる。
すなわち、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer;電子プローブマイクロアナライザ)を用いて、板厚1/4位置における圧延方向断面の各相へのMnの分布状態定量化する。ついで、30個の残留オーステナイト粒および30個のフェライト粒のMn量を分析し、分析結果より得られる各残留オーステナイト粒およびフェライト粒のMn量をそれぞれ平均することにより、求めることができる。

0052

なお、本発明の高強度鋼板のミクロ組織には、フェライト、マルテンサイトおよび残留オーステナイト以外に、ベイニティックフェライト、焼戻しマルテンサイト、パーライトおよびセメンタイト等の炭化物(パーライト中のセメンタイトを除く)が含まれる場合がある。これらの組織は、合計で面積率:10%以下の範囲であれば、含まれていてもよく、本発明の効果が損なわれることはない。
また、hcp構造を有するε相が面積率で2%以上含まれることが好ましい。hcp構造を有するε相を多量に含む鋼には脆化の危険性があるが、面積率で2%以上程度のhcp構造を有するε相をフェライト粒界および粒内に微細分散させると良好な強度と延性のバランスを確保しつつ、優れた制振性能を示す。一方、上限については35%程度とすることが好ましい。
なお、hcp構造を有するε相とマルテンサイトおよび残留オーステナイトは、上述のEBSD(Electron BackScatter Diffraction;電子線後方散乱回折法)のPhase Mapにより識別できる。

0053

次に、本発明の高強度鋼板の製造方法について説明する。
本発明の高強度鋼板の製造方法は、上記の成分組成を有する鋼スラブを、1100℃以上1300℃以下に加熱し、仕上げ圧延出側温度を750℃以上1000℃以下で熱間圧延し、平均巻き取り温度を300℃以上750℃以下で巻き取り、熱延板とする、熱間圧延工程と、前記熱延板に、酸洗を施し、スケールを除去する、酸洗工程と、前記熱延板を、(Ac1変態点+20℃)以上(Ac1変態点+120℃)以下の温度域で600s以上21600s以下保持する、熱延板焼鈍工程と、前記熱延板を、圧下率:3%以上30%未満で冷間圧延して冷延板とする、冷間圧延工程と、前記冷延板を、(Ac1変態点+10℃)以上(Ac1変態点+100℃)以下の温度域で900s超21600s以下保持した後、冷却する、冷延板焼鈍工程、とをそなえるものである。
以下、これらの製造条件の限定理由について、説明する。

0054

鋼スラブの加熱温度:1100℃以上1300℃以下
鋼スラブの加熱段階で存在している析出物は、最終的に得られる鋼板内では粗大な析出物として存在し、強度に寄与しないため、鋳造時に析出したTi、Nb系析出物再溶解させる必要がある。
ここに、鋼スラブの加熱温度が1100℃未満では、炭化物の十分な溶解が困難であり、さらに、圧延荷重の増大による熱間圧延時のトラブル発生の危険が増大するなどの問題が生じる。そのため、鋼スラブの加熱温度は1100℃以上にする必要がある。
また、スラブ表層気泡、偏析などの欠陥スケールオフし、鋼板表面の亀裂や凹凸を減少し、平滑な鋼板表面を達成する観点からも、鋼スラブの加熱温度は1100℃以上にする必要がある。
一方、鋼スラブの加熱温度が1300℃超では、酸化量の増加に伴いスケールロスが増大してしまう。そのため、鋼スラブの加熱温度は1300℃以下にする必要がある。
したがって、鋼スラブの加熱温度は1100℃以上1300℃以下の範囲とする。好ましくは1150℃以上1250℃以下の範囲である。

0055

なお、鋼スラブは、マクロ偏析を防止するため、連続鋳造法で製造するのが好ましいが、造塊法や薄スラブ鋳造法などにより製造することも可能である。また、鋼スラブを製造した後、一旦室温まで冷却し、その後再度加熱する従来法を用いることができる。さらに、鋼スラブを製造した後、室温まで冷却しないで、温片のままで加熱炉装入する、あるいはわずかの保熱を行った後に直ちに圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギープロセスも問題なく適用できる。さらに、鋼スラブは通常の条件で粗圧延によりシートバーとされるが、加熱温度を低目にした場合は、熱間圧延時のトラブルを防止する観点から、仕上げ圧延前バーヒーターなどを用いてシートバーを加熱することが好ましい。

0056

熱間圧延の仕上げ圧延出側温度: 750℃以上1000℃以下
加熱後の鋼スラブは、粗圧延および仕上げ圧延により熱間圧延され熱延鋼板となる。このとき、仕上げ圧延出側温度が1000℃を超えると、酸化物(スケール)の生成量が急激に増大し、地鉄と酸化物の界面が荒れ、酸洗、冷間圧延後の鋼板の表面品質が劣化する傾向にある。また、酸洗後熱延スケールの取れ残りなどが一部に存在すると、延性や伸びフランジ性に悪影響を及ぼす。さらに、結晶粒径過度に粗大となり、加工時にプレス品表面荒れを生じる場合がある。
一方、仕上げ圧延出側温度が750℃未満では、圧延荷重が増大し、圧延負荷が大きくなることや、オーステナイトが未再結晶の状態での圧下率が高くなる。その結果、異常な集合組織発達し、最終製品における面内異方性が顕著となり、材質の均一性が損なわれるだけでなく、延性そのものも低下する。
したがって、熱間圧延の仕上げ圧延出側温度を750℃以上1000℃以下の範囲にする必要がある。好ましくは800℃以上950℃以下の範囲である。

0057

熱間圧延後の平均巻き取り温度:300℃以上750℃以下
平均巻き取り温度とは、熱間圧延コイル全長の巻き取り温度の平均値である。熱間圧延後の平均巻き取り温度が750℃を超えると、熱延板組織のフェライトの結晶粒径が大きくなり、所望の強度確保が困難となる。一方、熱間圧延後の平均巻き取り温度が300℃未満では、熱延板強度が上昇して、冷間圧延における圧延負荷が増大したり、板形状の不良が発生したりするため、生産性が低下する。したがって、熱間圧延後の平均巻き取り温度を300℃以上750℃以下の範囲にする必要がある。好ましくは400℃以上650℃以下の範囲である。

0058

なお、熱間圧延時に粗圧延板同士を接合して連続的に仕上げ圧延を行っても良い。また、粗圧延板を一旦巻き取っても構わない。また、熱間圧延時の圧延荷重を低減するために仕上げ圧延の一部または全部を潤滑圧延としてもよい。潤滑圧延を行うことは、鋼板形状の均一化、材質の均一化の観点からも有効である。なお、潤滑圧延時の摩擦係数は、0.10以上0.25以下の範囲とすることが好ましい。

0059

このようにして製造した熱延鋼板に、酸洗を行う。酸洗は鋼板表面の酸化物(スケール)の除去が可能であることから、最終製品の高強度鋼板の良好な化成処理性やめっき品質の確保のために重要である。また、一回の酸洗を行っても良いし、複数回に分けて酸洗を行っても良い。

0060

熱延板焼鈍(熱処理)条件:(Ac1変態点+20℃)以上(Ac1変態点+120℃)以下の温度域で600s以上21600s以下保持
熱延板焼鈍において、(Ac1変態点+20℃)以上(Ac1変態点+120℃)以下の温度域で600s以上21600s以下保持することは、本発明において極めて重要である。
すなわち、熱延板焼鈍の焼鈍温度(保持温度)が(Ac1変態点+20℃)未満または(Ac1変態点+120℃)超となる場合や、保持時間が600s未満となる場合、オーステナイト中へのMnの濃化が進行せず、最終焼鈍(冷延板焼鈍)後に十分な量の残留オーステナイトを確保することが困難となり、延性が低下する。一方、保持時間が21600sを超えると、オーステナイト中へのMnの濃化が飽和し、最終焼鈍後に得られる鋼板における延性への効き代が小さくなるだけでなく、コストアップの要因にもなる。
したがって、熱延板焼鈍では、(Ac1変態点+20℃)以上(Ac1変態点+120℃)以下、好ましくは(Ac1変態点+30℃)以上(Ac1変態点+100℃)以下の温度域で、600s以上21600s以下、好ましくは、1000s以上18000s以下の時間、保持するものとする。

0061

なお、熱処理方法連続焼鈍バッチ焼鈍のいずれの焼鈍方法でも構わない。また、前記の熱処理後、室温まで冷却するが、その冷却方法および冷却速度は特に規定せず、バッチ焼鈍における炉冷空冷および連続焼鈍におけるガスジェット冷却、ミスト冷却および水冷などのいずれの冷却でも構わない。また、酸洗は常法に従えばよい。

0062

冷間圧延の圧下率:3%以上30%未満
冷間圧延では、圧下率を3%以上30%未満とする。3%以上30%未満の圧下率で冷間圧延を施すことにより、冷間圧延後の熱処理(冷延板焼鈍)における昇温および保持中に、フェライトおよびオーステナイトが再結晶を殆ど伴わずに、回復とともに粒成長し、伸長した微細な結晶粒が生成する。すなわち、アスペクト比の高いフェライト、残留オーステナイトおよびマルテンサイトが得られ、強度−延性バランスが向上するだけでなく、伸びフランジ性(穴広げ性)も顕著に向上する。

0063

冷延板焼鈍(熱処理)条件:(Ac1変態点+10℃)以上(Ac1変態点+100℃)以下の温度域で900s超21600s以下保持
冷延板焼鈍において、(Ac1変態点+10℃)以上(Ac1変態点+100℃)以下の温度域で900s超21600s以下保持することは、本発明において、極めて重要である。
すなわち、冷延板焼鈍の焼鈍温度(保持温度)が、(Ac1変態点+10℃)未満または(Ac1変態点+100℃)超となる場合、オーステナイト中へのMnの濃化が進行せず、十分な量の残留オーステナイトを確保することが困難となり、延性が低下する。
加えて、保持時間が900s以下となる場合、逆変態が進行せず、所望の残留オーステナイト量の確保が困難となり、延性が低下する。その結果、YP(降伏強度)が上昇し、YR(降伏比)が高くなる。一方、保持時間が21600sを超えると、リードタイムコストが高くなり、生産性が低下する。
したがって、冷延板焼鈍では、(Ac1変態点+10℃)以上(Ac1変態点+100℃)以下、好ましくは(Ac1変態点+20℃)以上(Ac1変態点+80℃)以下の温度域で、900s超21600s以下、好ましくは1200s以上18000s以下の時間、保持するものとする。

0064

また、上記のようにして得た冷延板に、溶融亜鉛めっき処理や溶融アルミニウムめっき処理、電気亜鉛めっき処理といっためっき処理を施すことで、表面に溶融亜鉛めっき層や溶融アルミニウムめっき層、電気亜鉛めっき層をそなえる高強度鋼板を得ることができる。なお、「溶融亜鉛めっき」には、合金化溶融亜鉛めっきも含むものとする。

0065

例えば、溶融亜鉛めっき処理を施すときは、前記冷延板焼鈍を施して得た冷延板を440℃以上500℃以下の溶融亜鉛めっき浴中に浸漬し、溶融亜鉛めっき処理を施し、その後、ガスワイピング等によって、めっき付着量を調整する。なお、溶融亜鉛めっきはAl量が0.10質量%以上0.22質量%以下である亜鉛めっき浴を用いることが好ましい。また、溶融亜鉛めっきの合金化処理を施すときは、溶融亜鉛めっき処理後に、450℃以上600℃以下の温度域で溶融亜鉛めっきの合金化処理を施す。600℃を超える温度で合金化処理を行うと、未変態オーステナイトがパーライトへ変態し、所望の残留オーステナイトの体積率を確保できず、延性が低下する場合がある。一方、合金化処理温度が450℃に満たないと、合金化が進行せず、合金層の生成が困難となる。したがって、亜鉛めっきの合金化処理を行うときは、450℃以上600℃以下の温度域で溶融亜鉛めっきの合金化処理を施すことが好ましい。なお、溶融亜鉛めっき層および合金化溶融亜鉛めっき層の付着量は片面あたり10〜150g/m2の範囲にすることが好ましい。

0066

なお、その他の製造条件は、特に限定しないが、生産性の観点から、上記の焼鈍、溶融亜鉛めっき、溶融亜鉛めっきの合金化処理などの一連の処理は、溶融亜鉛めっきラインであるCGL(Continuous Galvanizing Line)で行うのが好ましい。

0067

また、溶融アルミニウムめっき処理を施すときは、前記冷延板焼鈍を施して得た冷延板を660〜730℃のアルミニウムめっき浴中に浸漬して、溶融アルミニウムめっき処理を施し、その後、ガスワイピング等によって、めっき付着量を調整する。また、アルミニウムめっき浴温度が(Ac1変態点+10℃)以上(Ac1変態点+100℃)以下の温度域に適合する鋼は、溶融アルミニウムめっき処理により、さらに微細で安定な残留オーステナイトが生成されるため、更なる延性の向上が可能となる。なお、溶融アルミニウムめっき層の付着量は片面あたり10〜150g/m2の範囲にすることが好ましい。

0068

さらに、電気亜鉛めっき処理を施して電気亜鉛めっき層を形成することもできる。この際、めっき層厚は片面あたり5μmから15μmの範囲にすることが好ましい。

0069

なお、上記のようにして製造した高強度鋼板に、形状矯正表面粗度の調整等を目的にスキンパス圧延を行うことができる。スキンパス圧延の圧下率は、0.1%以上2.0%以下の範囲が好ましい。0.1%未満では効果が小さく、制御も困難であることから、これが好適範囲の下限となる。また、2.0%を超えると、生産性が著しく低下するので、これを好適範囲の上限とする。
また、スキンパス圧延は、オンラインで行っても良いし、オフラインで行っても良い。さらに、一度に目的の圧下率のスキンパスを行っても良いし、数回に分けて行っても構わない。さらに、上記のようにして製造した高強度鋼板に、さらに樹脂油脂コーティングなどの各種塗装処理を施すこともできる。

0070

表1に示す成分組成を有し、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造法にて鋼スラブとした。得られた鋼スラブを、表2に示す条件で熱間圧延し、酸洗後、熱延板焼鈍を施し、ついで冷間圧延し、その後、冷延板焼鈍を施すことにより、冷延板(CR)を得た。また、一部のものについては、さらに溶融亜鉛めっき処理(溶融亜鉛めっき処理後に合金化処理を行うものも含む)、溶融アルミニウムめっき処理または電気亜鉛めっき処理を施して、溶融亜鉛めっき鋼板GI)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)、溶融アルミニウムめっき鋼板(Al)、電気亜鉛めっき鋼板(EG)とした。
なお、溶融亜鉛めっき浴は、GIでは、Al:0.19質量%含有亜鉛浴を使用し、GAでは、Al:0.14質量%含有亜鉛浴を使用し、浴温はいずれも465℃とした。なお、GAの合金化温度は表2に示したとおりである。また、めっき付着量は片面あたり45g/m2(両面めっき)とし、GAは、めっき層中のFe濃度を9質量%以上12質量%以下とした。さらに、溶融アルミニウムめっき鋼板用の溶融アルミニウムめっき浴の浴温は700℃とした。また、EGの膜厚は片面あたり8〜12μm(両面めっき)とした。

0071

なお、表1中のAc1変態点(℃)は、以下の式を用いて求めた。
Ac1変態点(℃)=751−16×(%C)+11×(%Si)−28×(%Mn)−5.5×(%Cu)−16×(%Ni)+13×(%Cr)+3.4×(%Mo)
ここで、(%C)、(%Si)、(%Mn)、(%Cu)、(%Ni)、(%Cr)、(%Mo)は、それぞれの元素の鋼中含有量(質量%)である。

0072

0073

0074

かくして得られた鋼板について、前述した方法により断面ミクロ組織調査した。これらの結果を表3に示す。

0075

0076

また、上記のようにして、得られた鋼板について、引張試験および穴広げ試験を行い、引張特性および穴広げ性を以下のようにして評価した。
引張試験は、引張方向が鋼板の圧延方向と直角方向となるようにサンプルを採取したJIS5号試験片を用いて、JIS Z 2241(2011年)に準拠して行い、YP(降伏応力)、YR(降伏比)、TS(引張強さ)およびEL(全伸び)を測定した。ここで、YRは、YPをTSで除して、百分率で表した値である。
なお、YR<68%、TS≧980MPa以上でかつ、TS×EL≧22000MPa・%であり、さらにTS980MPa級ではEL≧26%、TS1180MPa級ではEL≧22%、TS1470MPa級ではEL≧18%である場合を良好と判断した。
また、TS:980MPa級とは、TSが980MPa以上1180MPa未満の鋼板であり、TS:1180MPa級は、TSが1180MPa以上1470MPa未満の鋼板であり、TS:1470MPa級は、TSが1470MPa以上1760MPa未満の鋼板である。

0077

また、穴広げ試験は、JIS Z 2256(2010年)に準拠して行った。得られた各鋼板を100mm×100mmに切断後、クリアランス12%±1%で直径10mmの穴を打ち抜いた後、内径75mmのダイスを用いてしわ押さえ力9ton(88.26kN)で抑えた状態で、60°円錐ポンチを穴に押し込んで亀裂発生限界における穴直径を測定した。そして、下記の式から、限界穴広げ率λ(%)を求め、この限界穴広げ率の値から穴広げ性を評価した。
限界穴広げ率λ(%)={(Df−D0)/D0}×100
ただし、Dfは亀裂発生時の穴径(mm)、D0は初期穴径(mm)である。
なお、TS980MPa級ではλ≧20%、TS1180MPa級ではλ≧15%、TS1470MPa級ではλ≧10%の場合を良好と判断した。

0078

加えて、前記引張試験を伸び値10%で途中止めし、その試験片の表面粗さRaを測定した。Raの測定は、JIS B 0601(2013年)に準拠して行った。なお、ストレッチャーストレインが顕著な場合、Ra>2.00μmとなるため、Ra≦2.00μmの場合を良好と判断した。

0079

さらに、鋼板の製造に際し、生産性、さらには熱間圧延および冷間圧延時の通板性、最終焼鈍板冷延板焼鈍後の鋼板)の表面性状について評価を行った。
ここで、生産性については、
(1)熱延板の形状不良が発生し、
(2)次工程に進むために熱延板の形状矯正が必要であるときや、
(3)焼鈍処理の保持時間が長いとき、
などのリードタイムコストを評価した。そして、(1)〜(3)のいずれにも該当しない場合を「良好」、(1)〜(3)のいずれかに該当する場合を「不良」と判断した。

0080

また、熱間圧延の通板性は、圧延荷重の増大によって、圧延時のトラブル発生の危険が増大する場合を不良と判断した。
同様に、冷間圧延の通板性も、圧延荷重の増大によって、圧延時のトラブル発生の危険が増大する場合を不良と判断した。

0081

さらに、最終焼鈍板の表面性状については、スラブ表層の気泡、偏析などの欠陥をスケールオフできず、鋼板表面の亀裂、凹凸が増大し、平滑な鋼板表面が得られない場合を不良と判断した。また、酸化物(スケール)の生成量が急激に増大し、地鉄と酸化物の界面が荒れ、酸洗、冷間圧延後の表面品質が劣化する場合や酸洗後に熱延スケールの取れ残りなどが一部に存在する場合についても、不良と判断した。
これらの評価結果を表4に示す。

0082

実施例

0083

表4に示したとおり、本発明例はいずれも、引張強さ(TS)が980MPa以上で、かつ降伏比(YR)が68%未満であるとともに、良好な延性および強度−延性バランスを有し、さらには穴広げ性にも優れるものであることがわかる。また、本発明例はいずれも、生産性や熱間圧延および冷間圧延の通板性、さらには最終焼鈍板の表面性状にも優れていた。
一方、比較例では、引張強さ、降伏比、延性、強度−延性バランス、穴広げ性のいずれか一つ以上について、所望の特性が得られていない。

0084

本発明によれば、YR(降伏比)が68%未満で、かつ980MPa以上のTS(引張強さ)を有する延性と穴広げ性に優れ、かつ低い降伏比を有する高強度鋼板の製造が可能になる。
従って、本発明の高強度鋼板を、例えば、自動車構造部材に適用することで、車体軽量化による燃費改善を図ることができ、産業上の利用価値は非常に大きい。

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