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技術 固体電解コンデンサ素子、固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサ素子の製造方法

出願人 株式会社村田製作所
発明者 小原大佑荒川建夫古川剛史横山裕史藤田吉宏松尾正弘伊藤英雄
出願日 2017年11月14日 (3年1ヶ月経過) 出願番号 2018-550307
公開日 2019年6月24日 (1年6ヶ月経過) 公開番号 WO2018-088574
状態 特許登録済
技術分野 電解コンデンサの端子・電極等
主要キーワード 面接触構造 ICP発光分析法 多孔質体側 図計算 共融組成 近似円 ギブスエネルギー 熱力学データ
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重要な関連分野

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図面 (7)

課題・解決手段

本発明の固体電解コンデンサ素子は、多孔質体と、上記多孔質体の表面に設けられた誘電体層と、上記誘電体層の表面に設けられた固体電解質層とを備える固体電解コンデンサ素子であって、上記多孔質体は、表面にTi−Zr−X多元合金を有するTi合金含有粒子焼結体からなり、上記Xが、Si、Hf、Y、Al、Mo、W、Ta、Nb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の弁金属元素であり、上記Ti−Zr−X多元合金の組成が、Ti:50atm%以上、80atm%以下、Zr:8atm%以上、32atm%以下、X:1atm%以上、20atm%以下であることを特徴とする。

概要

背景

固体電解コンデンサは、例えば、エッチングにより表面を粗面化した弁作用金属からなる電極体化成処理して表面に誘電体酸化皮膜層を形成した後、ポリイミド等の絶縁性粘着テープ表裏面側から貼り付けることにより陽極部と陰極部とに分離し、この陰極部に導電性高分子からなる固体電解質層を形成した後、カーボン層及び銀ペースト層陰極層を形成する等の方法により作製される。

固体電解コンデンサの静電容量は、誘電体酸化皮膜層の厚さと誘電体酸化皮膜比誘電率に依存する。酸化アルミニウムの比誘電率の値は他の弁作用金属の酸化物の比誘電率の値と比較してそれほど高くないため、アルミニウムを他の弁作用金属で置き換えることにより固体電解コンデンサの静電容量を向上させる試みがなされている。例えば、特許文献1には、酸化物の比誘電率がアルミニウムの10倍以上であるチタンを弁作用金属として用いた固体電解コンデンサが開示されている。

概要

本発明の固体電解コンデンサ素子は、多孔質体と、上記多孔質体の表面に設けられた誘電体層と、上記誘電体層の表面に設けられた固体電解質層とを備える固体電解コンデンサ素子であって、上記多孔質体は、表面にTi−Zr−X多元合金を有するTi合金含有粒子焼結体からなり、上記Xが、Si、Hf、Y、Al、Mo、W、Ta、Nb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の弁金属元素であり、上記Ti−Zr−X多元合金の組成が、Ti:50atm%以上、80atm%以下、Zr:8atm%以上、32atm%以下、X:1atm%以上、20atm%以下であることを特徴とする。

目的

本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、漏れ電流を抑制しつつ、静電容量の大きな固体電解コンデンサ素子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

多孔質体と、前記多孔質体の表面に設けられた誘電体層と、前記誘電体層の表面に設けられた固体電解質層とを備える固体電解コンデンサ素子であって、前記多孔質体は、表面にTi−Zr−X多元合金を有するTi合金含有粒子焼結体からなり、前記Xが、Si、Hf、Y、Al、Mo、W、Ta、Nb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の弁金属元素であり、前記Ti−Zr−X多元合金の組成が、Ti:50atm%以上、80atm%以下、Zr:8atm%以上、32atm%以下、X:1atm%以上、20atm%以下であることを特徴とする固体電解コンデンサ素子。

請求項2

前記XがAlであり、前記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、1atm%以上、20atm%以下である請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項3

前記XがAlであり、前記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、1atm%以上、15atm%以下である請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項4

前記XがAlであり、前記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、4atm%以上、12atm%以下である請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項5

前記XがAlであり、前記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、10atm%以上、15atm%以下である請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項6

前記XがAlであり、前記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、10atm%以上、12atm%以下である請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項7

前記Tiと前記Zrの合計に占める前記Zrの含有量[(Zr)/(Ti+Zr)]が、9atm%以上、38atm%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項8

前記Tiと前記Zrの合計に占める前記Zrの含有量[(Zr)/(Ti+Zr)]が、9atm%以上、35atm%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項9

前記Tiと前記Zrの合計に占める前記Zrの含有量[(Zr)/(Ti+Zr)]が、17atm%以上、26atm%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項10

前記XがSiであり、前記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、5atm%以上、20atm%以下である請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項11

前記XがWであり、前記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、5atm%以上、20atm%以下である請求項1に記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項12

前記Ti合金含有粒子の平均粒子径が10nm以上、1μm以下である請求項1〜11のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項13

前記Ti合金含有粒子は、基材粒子の表面が前記Ti−Zr−X多元合金からなるコート層によって被覆されてなる被覆粒子である請求項1〜12のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項14

前記基材粒子は、Zr、Ti、Si、Hf、Y、Al、Mo、W、Ta、Nb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の弁金属元素からなる請求項13に記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項15

前記Ti合金含有粒子は、前記Ti−Zr−X多元合金からなる合金粒子である請求項1〜12のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項16

前記多孔質体は、Al、Ti、Ta又はTi−Zr−X多元合金を含有する金属基体上に設けられている請求項1〜15のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項17

前記誘電体層は、前記Ti−Zr−X多元合金の酸化物で構成されている請求項1〜16のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子。

請求項18

請求項1〜17のいずれかに記載の固体電解コンデンサ素子と、前記固体電解コンデンサ素子を封止する封止樹脂と、前記固体電解コンデンサ素子と電気的に接続された一対の外部電極とを備えることを特徴とする固体電解コンデンサ

請求項19

多孔質体を得る工程と、前記多孔質体の表面に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層上に固体電解質層を形成する工程とを備える固体電解コンデンサ素子の製造方法であって、前記多孔質体を得る工程では、表面にTi−Zr−X多元合金(XはTi、Zrと共に多元合金を構成する元素である。)を有するTi合金含有粒子を焼結して、前記Ti合金含有粒子からなる多孔質体とすることを特徴とする固体電解コンデンサ素子の製造方法。

請求項20

前記多孔質体を得る工程では、前記Ti合金含有粒子を圧縮した後に焼結する、又は、圧縮しながら焼結して、前記Ti合金含有粒子からなる多孔質体とする請求項19に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。

請求項21

前記多孔質体を得る工程では、前記Ti合金含有粒子として、スパッタ蒸着又は無電解めっきのいずれかの方法により基材粒子の表面にTi−Zr−X多元合金からなるコート層を形成した被覆粒子を用いる請求項19又は20に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。

請求項22

前記多孔質体を得る工程では、前記Ti合金含有粒子として、Ti−Zr−X多元合金を粉砕してなる合金粒子を用いる請求項19又は20に記載の固体電解コンデンサ素子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、固体電解コンデンサ素子固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサ素子の製造方法に関する。

背景技術

0002

固体電解コンデンサは、例えば、エッチングにより表面を粗面化した弁作用金属からなる電極体化成処理して表面に誘電体酸化皮膜層を形成した後、ポリイミド等の絶縁性粘着テープ表裏面側から貼り付けることにより陽極部と陰極部とに分離し、この陰極部に導電性高分子からなる固体電解質層を形成した後、カーボン層及び銀ペースト層陰極層を形成する等の方法により作製される。

0003

固体電解コンデンサの静電容量は、誘電体酸化皮膜層の厚さと誘電体酸化皮膜比誘電率に依存する。酸化アルミニウムの比誘電率の値は他の弁作用金属の酸化物の比誘電率の値と比較してそれほど高くないため、アルミニウムを他の弁作用金属で置き換えることにより固体電解コンデンサの静電容量を向上させる試みがなされている。例えば、特許文献1には、酸化物の比誘電率がアルミニウムの10倍以上であるチタンを弁作用金属として用いた固体電解コンデンサが開示されている。

先行技術

0004

特開2003−224036号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1に記載されたような、チタンを弁作用金属として用いた固体電解コンデンサでは、漏れ電流の値が大きくなってしまうという問題があった。また、Ti−Zr合金を弁作用金属として用いた固体電解コンデンサでは漏れ電流の値を小さくすることはできるが、比誘電率の値が大きく低下してしまうという問題があった。

0006

本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、漏れ電流を抑制しつつ、静電容量の大きな固体電解コンデンサ素子を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の固体電解コンデンサ素子は、多孔質体と、上記多孔質体の表面に設けられた誘電体層と、上記誘電体層の表面に設けられた固体電解質層とを備える固体電解コンデンサ素子であって、
上記多孔質体は、表面にTi−Zr−X多元合金を有するTi合金含有粒子焼結体からなり、上記Xが、Si、Hf、Y、Al、Mo、W、Ta、Nb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の弁金属元素であり、上記Ti−Zr−X多元合金の組成が、Ti:50atm%以上、80atm%以下、Zr:8atm%以上、32atm%以下、X:1atm%以上、20atm%以下であることを特徴とする。

0008

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記XがAlであり、上記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、1atm%以上、20atm%以下であることが好ましい。

0009

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記XがAlであり、上記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、1atm%以上、15atm%以下であることが好ましい。

0010

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記XがAlであり、上記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、4atm%以上、12atm%以下であることが好ましい。

0011

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記XがAlであり、上記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、10atm%以上、15atm%以下であることが好ましい。

0012

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記XがAlであり、上記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、10atm%以上、12atm%以下であることが好ましい。

0013

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記Tiと上記Zrの合計に占める上記Zrの含有量[(Zr)/(Ti+Zr)]が、9atm%以上、38atm%以下であることが好ましい。

0014

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記Tiと上記Zrの合計に占める上記Zrの含有量[(Zr)/(Ti+Zr)]が、9atm%以上、35atm%以下であることが好ましい。

0015

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記Tiと上記Zrの合計に占める上記Zrの含有量[(Zr)/(Ti+Zr)]が、17atm%以上、26atm%以下であることが好ましい。

0016

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記XがSiであり、上記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、5atm%以上、20atm%以下であることが好ましい。

0017

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記XがWであり、上記Ti−Zr−X多元合金におけるXの含有量が、5atm%以上、20atm%以下であることが好ましい。

0018

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記Ti合金含有粒子の平均粒子径が10nm以上、1μm以下であることが好ましい。

0019

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記Ti合金含有粒子は、基材粒子の表面が上記Ti−Zr−X多元合金からなるコート層によって被覆されてなる被覆粒子であることが好ましい。

0020

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記基材粒子は、Zr、Ti、Si、Hf、Y、Al、Mo、W、Ta、Nb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の弁金属元素からなることが好ましい。

0021

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記Ti合金含有粒子は、上記Ti−Zr−X多元合金からなる合金粒子であることが好ましい。

0022

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記多孔質体は、Al、Ti、Ta又はTi−Zr−X多元合金を含有する金属基体上に設けられていることが好ましい。

0023

本発明の固体電解コンデンサ素子では、上記誘電体層は、上記Ti−Zr−X多元合金の酸化物で構成されていることが好ましい。

0024

本発明の固体電解コンデンサは、本発明の固体電解コンデンサ素子と、上記固体電解コンデンサ素子を封止する封止樹脂と、上記固体電解コンデンサ素子と電気的に接続された一対の外部電極とを備えることを特徴とする。

0025

本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法は、多孔質体を得る工程と、上記多孔質体の表面に誘電体層を形成する工程と、上記誘電体層上に固体電解質層を形成する工程とを備える固体電解コンデンサ素子の製造方法であって、上記多孔質体を得る工程では、表面にTi−Zr−X多元合金(XはTi、Zrと共に多元合金を構成する元素である。)を有するTi合金含有粒子を焼結して、上記Ti合金含有粒子からなる多孔質体とすることを特徴とする。

0026

本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法において、上記多孔質体を得る工程では、上記Ti合金含有粒子を圧縮した後に焼結する、又は、圧縮しながら焼結して、上記Ti合金含有粒子からなる多孔質体とすることが好ましい。

0027

本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法において、上記多孔質体を得る工程では、上記Ti合金含有粒子として、スパッタ蒸着又は無電解めっきのいずれかの方法により基材粒子の表面にTi−Zr−X多元合金からなるコート層を形成した被覆粒子を用いることが好ましい。

0028

本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法において、上記多孔質体を得る工程では、上記Ti合金含有粒子として、Ti−Zr−X多元合金を粉砕してなる合金粒子を用いることが好ましい。

発明の効果

0029

本発明によれば、漏れ電流を抑制しつつ、静電容量の大きな固体電解コンデンサ素子を提供することができる。

図面の簡単な説明

0030

図1は、本発明の固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す断面図である。
図2は、図1に示す容量層20の破線部の拡大断面図である。
図3は、本発明の固体電解コンデンサ素子の別の一例を模式的に示す断面図である。
図4は、図3に示す破線部の拡大断面図である。
図5は、本発明の固体電解コンデンサ素子を構成する多孔質体及び誘電体層が陽極部上に形成されている場合の一例を模式的に示す斜視断面図である。
図6は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図である。

0031

[固体電解コンデンサ素子]
以下、本発明の固体電解コンデンサ素子について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。

0032

本発明の固体電解コンデンサ素子の構成を説明する。
図1及び図2を用いて、本発明の固体電解コンデンサ素子の構成の例を説明する。
図1は、本発明の固体電解コンデンサ素子の一例を模式的に示す断面図であり、図2は、図1に示す容量層20の破線部の拡大断面図である。
図1に示すように、固体電解コンデンサ素子1は、陽極部10と、対極となる陰極部40と、該陰極部40側に配置された導電体層30と、導電体層30と陽極部10との間に配置された容量層20からなる。そして図2に示すように、容量層20は、多孔質体21と、多孔質体21の表面に設けられた誘電体層23と、誘電体層23の表面に設けられた固体電解質層25とを備えている。

0033

陽極部10は、例えば金属基体である。図1及び図2では示していないが、多孔質体21は陽極部10と電気的に接続されており、固体電解質層25は導電体層30と電気的に接続されている。具体的には、固体電解質層25のうち、誘電体層23と接触しておらず、かつ、多孔質体20から露出している面(固体電解質層25の表面ともいう)が導電体層30と接触することにより、固体電解質層25と導電体層30とが電気的に接続されている。

0034

多孔質体21は、Ti合金含有粒子の焼結体からなる。多孔質体21を構成するTi合金含有粒子は、Ti合金含有粒子そのものが相互に複数個連なった構造(部分的な面接触構造)を有している。粒子が部分的な面接触を起こして連なることをネッキングともいい、図2に示すようにTi合金含有粒子そのものが相互に複数個連なった構造をネッキング構造ともいう。固体電解質層25は、誘電体層23の表面に設けられている。

0035

陰極部40は、例えば、導電体層30と電気的に接続される金属箔等の導体である。導電体層の外側に金属箔が設けられていると、等価直列抵抗ESR)を低減することができる。ただし、本発明の固体電解コンデンサ素子において、陰極部40は形成されていなくてもよい。

0036

なお、図1に示す固体電解コンデンサ素子1では、陽極部10の一方の面だけに容量層20、導電体層30及び陰極部40が形成されているが、陽極部10の他方の面にも、容量層20、導電体層30及び陰極部40が形成されていてもよい。

0037

本発明の固体電解コンデンサ素子は、多孔質体として、表面にTi−Zr−X多元合金を有するTi合金含有粒子の焼結体からなる多孔質体を備える。そのため、従来のアルミニウムを用いた固体電解コンデンサ素子と同様に多孔質体の比表面積を大きくすることができる。さらに、誘電体層がTi−Zr−X多元合金の酸化物からなる場合には、アルミニウムによる誘電体層(アルミナ)よりも誘電体層の比誘電率を大きくすることができる。一方で、従来のチタンを用いた固体電解コンデンサのように漏れ電流が大きくなることがない。従って、高い静電容量を確保しつつ、安定して作動する固体電解コンデンサを提供することができる。

0038

図3は、本発明の固体電解コンデンサ素子の別の一例を模式的に示す断面図である。
図3に示す固体電解コンデンサ素子1Aは、陽極部10と、陽極部10上に設けられた容量層20と、容量層20上に設けられた導電体層30とからなる。さらに、導電体層30と陽極部10とを絶縁するために、陽極部10の表面には絶縁マスク部17が形成されている。
図1に説明した固体電解コンデンサ素子1とは異なり、図3に示す固体電解コンデンサ素子1Aでは、陰極部40は設けられていない。

0039

図4は、図3に示す破線部の拡大断面図である。
図4に示すように、容量層20は、多孔質体21と、誘電体層23と、固体電解質層25とを含む。多孔質体21は、Ti合金含有粒子22が相互に複数個連なったネッキング構造を有し、多孔質となっている。誘電体層23は、多孔質体21を構成するTi合金含有粒子22の表面に設けられている。誘電体層23は、Ti合金含有粒子22の表面状態を反映して、微細凹凸状の表面形状を有している。
誘電体層23の表面には、固体電解質層25が配置されている。固体電解質層25は、誘電体層23を覆っている場合もあれば、細孔(凹部)を充填している場合もある。
導電体層30は、固体電解質層25の表面に設けられている。

0040

図4に示すように、多孔質体21を構成するTi合金含有粒子22は、陽極部10とも接合されている。そのため、多孔質体21は、陽極部10と電気的に接続されている。また、陽極部10の表面のうち多孔質体21が接合されていない箇所にも誘電体層24が形成されている。

0041

本発明の固体電解コンデンサ素子を構成する多孔質体及び誘電体層について、図5を参照しながら説明する。
図5は、本発明の固体電解コンデンサ素子を構成する多孔質体及び誘電体層が陽極部上に形成されている場合の一例を模式的に示す斜視断面図である。
図5に示すように、多孔質体21は、Ti合金含有粒子22の焼結体からなり、多孔質体21を構成するTi合金含有粒子22の表面に誘電体層23が設けられている。
また、多孔質体21を構成するTi合金含有粒子22は陽極部10とも接合して強固に接合されている。

0042

本発明の固体電解コンデンサ素子において、多孔質体は、表面にTi−Zr−X多元合金を有するTi合金含有粒子の焼結体からなる。
Xは、Ti及びZrと共にTi−Zr−X多元合金を構成する元素(第三成分)であり、Si、Hf、Y、Al、Mo、W、Ta、Nb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Si、W又はAlであることが好ましい。
第三成分が上記元素であると、Ti−Zr合金と比較して、比誘電率を向上させたり、漏れ電流を抑制したりすることができる。
Si及びAlは、Zrと同様に酸素親和性が高いが、元素のバンドギャップが大きいため、TiにZrのみを添加した2元系の場合と比較して、酸化物である陽極酸化皮膜耐電圧を向上させ、比誘電率を大きくすることができると考えられる。
Wは熱的安定性が高く、電子を放出し易いため、高温中での陽極酸化膜のTiの酸化数が変動することを抑制し、安定的な陽極酸化膜の形成に寄与すると考えられる。

0043

本発明の固体電解コンデンサ素子において、Ti−Zr−X多元合金の組成は、Ti:50atm%以上、80atm%以下、Zr:8atm%以上、32atm%以下、X:1atm%以上、20atm%以下である。Ti:50atm%以上、80atm%以下、Zr:14atm%以上、30atm%以下、X:1atm%以上、20atm%以下であってもよい。
Ti−Zr−X多元合金の組成が上記範囲内であると、比誘電率を向上させつつ、漏れ電流を抑制することができる。
XがAlである場合、Xの含有量は1atm%以上、20atm%以下であることが好ましく、比誘電率を向上させる観点から、1atm%以上、15atm%以下であることがより好ましく、漏れ電流を抑制する観点からは4atm%以上、20atm%以下であることがより好ましく、比誘電率の向上及び漏れ電流の抑制を両立する観点からは、4atm%以上、12atm%以下がさらに好ましい。さらに、XがAlである場合、Xの含有量は、10atm%以上、15atm%以下であることも好ましく、10atm%以上、12atm%以下であることもより好ましい。
XがSiである場合、Xの含有量は5atm%以上、20atm%以下であることが好ましく、比誘電率を向上させる観点から、5atm%以上、6atm%以下であることがより好ましい。
XがWである場合、Xの含有量は5atm%以上、20atm%以下であることが好ましく、比誘電率を向上させる観点から、5atm%以上、12atm%以下であることがより好ましく、5atm%以上10atm%以下であることがさらに好ましい。

0044

Ti含有量が50atm%未満の場合、比誘電率の大幅な低下が見られることがある。一方、Ti含有量が80atm%を超える場合、及び、Zr含有量が8atm%未満の場合には、漏れ電流特性が悪化することがある。
なお、Ti−Zr−X多元合金を構成する成分及び合金組成は、Ti−Zr−X多元合金またはその酸化物である陽極酸化皮膜に対して、X線光電子分光法(XPS)を行う方法や、Ti−Zr−X多元合金を含む多孔質体を酸性水溶液中に溶解させ、ICP発光分析法を行う方法により測定することができる。

0045

本発明の固体電解コンデンサ素子において、Ti−Zr−X多元合金に占めるTiとZrとの割合(以下、Ti:Zr原子比ともいう)は特に限定されないが、比誘電率の向上及び漏れ電流の抑制を両立する観点からは、[Zr/(Ti+Zr)]で表されるTiとZrの合計に占めるZrの含有量が、9atm%以上、38atm%以下であることが好ましく、9atm%以上、35atm%以下であることがより好ましく、17atm%以上、26atm%以下であることがさらに好ましい。

0046

Ti合金含有粒子の形状は特に限定されないが、略真球形状(真球を含む)又は楕円体形状であることが好ましい。

0047

Ti合金含有粒子の平均粒子径は特に限定されないが、10nm以上、1μm以下であることが好ましく、10nm以上、300nm以下であることがより好ましい。
Ti合金含有粒子の平均粒子径が上記範囲内であると、多孔質体の表面積を大きくすることができるため、高い静電容量を得ることができる。
Ti合金含有粒子の平均粒子径が10nm未満の場合、多孔質体を構成するTi合金含有粒子が小さいため、多孔質体上に充分な厚さの誘電体層を形成することが難しくなることがある。また、Ti合金含有粒子同士の接点が減少して固体電解コンデンサ素子の内部抵抗が増加してしまうことがある。一方、Ti合金含有粒子の平均粒子径が1μmを超える場合、多孔質体の比表面積が低下してしまうため、既存の電解コンデンサ用電極材料であるアルミニウム箔タンタルペレットニオブペレット等と比べて優位な静電容量を発揮できないことがある。

0048

多孔質体を構成しているTi合金含有粒子の平均粒子径は、以下の方法で測定することができる。
多孔質体の切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に選択された5箇所の領域(10μm×10μm)において、多孔質体を構成するすべてのTi合金含有粒子について、近似円及びその近似円の投影面積円相当径を求め、これらの平均値をTi合金含有粒子の平均粒子径とする。

0049

Ti合金含有粒子は、表面にTi−Zr−X多元合金を有している限りその構成は特に限定されないが、例えば、Ti−Zr−X多元合金からなる合金粒子や、基材粒子の表面がTi−Zr−X多元合金からなるコート層によって被覆されてなる被覆粒子が挙げられる。

0050

上記基材粒子を構成する材料は特に限定されないが、Zr、Ti、Si、Hf、Y、Al、Mo、W、Ta、Nb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の弁金属元素からなることが好ましく、Zr、Ti、Al、Si又はTaからなることがより好ましい。
基材粒子が上記元素から構成されていると、Ti−Zr−X多元合金からなるコート層との接触性が良好であり、基材粒子とコート層との界面における電気抵抗を小さくすることができる。なお、基材粒子は異なる材料からなる2種以上の粒子を併用してもよい。

0051

本発明の固体電解コンデンサ素子を構成する多孔質体の平均気孔率は特に限定されないが、15%以上、60%以下であることが好ましい。なお、多孔質体の気孔率とは、細孔径開口部の面積率を表す。細孔径開口部の面積率とは、多孔質体の切断面をSEMで観察し、無作為に選択した5箇所の領域(10μm×10μm)における細孔が占める領域の割合を平均化することにより算出される。

0052

本発明の固体電解コンデンサ素子を構成する多孔質体の平均細孔径は特に限定されないが、10nm以上、1000nm以下であることが好ましい。多孔質体の平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定されるメジアン径D50である。

0053

本発明の固体電解コンデンサ素子において、多孔質体の厚さは特に限定されないが、50μm以上、100μm以下であることが好ましい。

0054

本発明の固体電解コンデンサ素子において、誘電体層を構成する材料は、Ti合金含有粒子に含まれるTi−Zr−X多元合金の酸化物であることが好ましい。
誘電体層が、Ti合金含有粒子に含まれるTi−Zr−X多元合金の酸化物で構成されていると、多孔質体と誘電体層との密着性が向上する。

0055

誘電体層の厚さは、特に限定されないが、5nm以上、100nm以下であることが好ましい。

0056

多孔質体を構成するTi合金含有粒子の表面に誘電体層を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、化成処理等の陽極酸化処理によって、多孔質体を構成するTi−Zr−X多元合金の表面を酸化させる方法が挙げられる。
このとき、陽極部となる金属基材等に対しても同時に化成処理を行うことで、陽極部の表面にも誘電体層を形成することができ、陽極部が固体電解質層と直接接触することを防止できる。

0057

本発明の固体電解コンデンサ素子において、固体電解質層を構成する材料は特に限定されないが、例えば、ピロール類チオフェン類アニリン類等を骨格とした材料等が挙げられる。チオフェン類を骨格とする材料としては、例えば、PEDOT[ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)]が挙げられ、ドーパントとなるポリスチレンスルホン酸(PSS)と複合化させたPEDOT:PSSであってもよい。なお、固体電解質層は、誘電体層の細孔(凹部)を充填する内層と、誘電体層を被覆する外層とを含むことが好ましい。

0058

本発明の固体電解コンデンサ素子において、固体電解質層の表面には、導電性を有する導電体層が設けられていることが好ましい。
固体電解質層の表面に導電体層が設けられていると、該導電体層を通じてコンデンサ素子から電流を引き出すことができる。
導電体層は、下地であるカーボン層と、その上の銀層からなることが好ましいが、カーボン層のみでもよく、銀層のみでもよい。

0059

導電体層の表面には、導電体層と電気的に接続される陰極部が設けられていてもよい。

0060

本発明の固体電解コンデンサ素子において、多孔質体は、Al、Ti、Ta又はTi−Zr−X多元合金を含有する金属基体上に設けられているか、又は、多孔質体に、Al、Ti、Ta又はTi−Zr−X多元合金を含有する引き出しリードが接続されていることが好ましい。上記金属基体及び上記引き出しリードはいずれも、多孔質体側から外部に電流を取り出すための端子(陽極部)となる。
上記金属基体及び上記引き出しリードはさらに、Nbを含んでいてもよい。さらに、上記金属基体に上記引き出しリードが接続されていてもよい。
金属基体又は引き出しリードがAl、Ti、Ta又はTi−Zr−X多元合金を含有することで、多孔質体を構成するTi−Zr−X多元合金との接着性が向上する。

0061

本発明の固体電解コンデンサ素子を構成する多孔質体に接続される金属基体(陽極部)の形状は、多孔質体と面で接する形状であることが好ましく、箔状であることがより好ましい。
本発明の固体電解コンデンサ素子を構成する多孔質体に接続される引き出しリード(陽極部)の形状は、多孔質体と点又は線で接する形状であることが好ましく、線状であることがより好ましい。

0062

上記金属基体及び上記引き出しリードはいずれも、固体電解質層と接触しないよう構成されていることが好ましい。上記金属基体及び上記引き出しリードが固体電解質層と接触していると、漏れ電流が増加してしまうことがある。

0063

金属基体又は引き出しリードと固体電解質層とを接触させないため、金属基体又は引き出しリード上に、絶縁部(絶縁マスク部ともいう)を設けてもよい。
陽極部に絶縁部を設けることにより、漏れ電流が増加する不良モード(LC不良ともいう)を抑制することができる。
絶縁部を構成する材料は特に限定されないが、例えば、ポリフェニルスルホン(PPS)樹脂ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、シアン酸エステル樹脂フッ素樹脂テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)、可溶性ポリイミドシロキサンエポキシ樹脂からなる組成物ポリイミド樹脂ポリアミドイミド樹脂、及び、それらの誘導体又は前駆体等の絶縁性樹脂が挙げられる。

0064

本発明の固体電解コンデンサ素子における漏れ電流の値は、容量と定格電圧の積(CV)の70倍(70CV)未満であることが好ましく、45倍(45CV)未満であることがより好ましく、10倍(10CV)未満であることがさらに好ましく、1倍(1CV)以下であることが特に好ましい。

0065

本発明の固体電解コンデンサ素子における、誘電体層の比誘電率は、10を超えることが好ましく、30を超えることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましい。
最も好ましくは、漏れ電流が1CV以下、かつ、誘電体層の比誘電率が40以上である。

0066

[固体電解コンデンサ]
続いて、本発明の固体電解コンデンサについて説明する。
本発明の固体電解コンデンサは、本発明の固体電解コンデンサ素子と、上記固体電解コンデンサ素子を封止する封止樹脂と、上記固体電解コンデンサ素子と電気的に接続された一対の外部電極とを備えることを特徴とする。
本発明の固体電解コンデンサは本発明の固体電解コンデンサ素子を備えるため、漏れ電流を抑制しつつ、高い静電容量を発揮することができる。

0067

本発明の固体電解コンデンサを構成する一対の外部電極は、陽極部側に電気的に接続される陽極電極と、陰極部側に電気的に接続される陰極電極とで構成される。
本発明の固体電解コンデンサを構成する固体電解コンデンサ素子において、多孔質体に陽極部となる引き出しリードが接続されている場合、該引き出しリードを陽極電極としてそのまま用いてもよい。

0068

本発明の固体電解コンデンサの構成について、図6を参照しながら説明する。
図6は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す断面図である。
図6には、図3に示す固体電解コンデンサ素子1Aを複数個積層した固体電解コンデンサ2の構造を模式的に示している。図6に示す固体電解コンデンサ2は、それぞれ3つの固体電解コンデンサ素子1Aを積層した第1の固体電解コンデンサ素子積層体41a及び第2の固体電解コンデンサ素子積層体41bと、封止樹脂44とを備えており、さらに、外部電極としての陽極電極42及び陰極電極43を備えている。封止樹脂44は、固体電解コンデンサ素子1Aの全体と、陽極電極42の一部と陰極電極43の一部とを覆っている。
第1の固体電解コンデンサ素子積層体41aを構成する3つの固体電解コンデンサ素子1A、及び、第2の固体電解コンデンサ素子積層体41bを構成する3つの固体電解コンデンサ素子1Aは、それぞれ、互いに導電体層30で接触している。そして第1の固体電解コンデンサ素子積層体41aと第2の固体電解コンデンサ素子積層体41bは、それぞれ導電体層30で陰極電極43と接続されている。
ただし、本発明の固体電解コンデンサにおける固体電解コンデンサ素子の数は特に限定されず、単一の固体電解コンデンサ素子を用いたものであってもよい。

0069

固体電解コンデンサ素子1Aは、陽極部10と、陽極部10上に設けられた容量層20と、容量層20上に設けられた導電体層30とからなる。さらに、導電体層30と陽極部10とを絶縁するために、陽極部10の表面には絶縁マスク部17が形成されている。

0070

陽極電極42は、金属材料からなり、陽極部10側のリードフレームとして形成されている。固体電解コンデンサ素子1Aの陽極部10同士、及び、固体電解コンデンサ素子1Aの陽極部10と陽極電極42とは、例えば、抵抗溶接等の溶接圧着によって一体的に接合されている。

0071

陰極電極43は、金属材料からなり、導電体層30側のリードフレームとして形成されている。固体電解コンデンサ素子1Aの導電体層30と陰極電極43とは、例えば、銀ペースト等の導電性ペースト(図示せず)によって一体的に接合されている。

0072

[固体電解コンデンサ素子の製造方法]
以下、本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法について説明する。
本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法は、多孔質体を得る工程と、上記多孔質体の表面に誘電体層を形成する工程と、上記誘電体層上に固体電解質層を形成する工程とを備える固体電解コンデンサ素子の製造方法であって、上記多孔質体を得る工程では、表面にTi−Zr−X多元合金(XはTi、Zrと共に多元合金を構成する元素である。)を有するTi合金含有粒子を焼結して、上記Ti合金含有粒子からなる多孔質体とすることを特徴とする。

0073

多孔質体を得る工程では、表面にTi−Zr−X多元合金を有するTi合金含有粒子を焼結することにより多孔質体を得る。

0074

Ti−Zr−X多元合金及びこれを有するTi合金含有粒子としては、本発明の固体電解コンデンサ素子で説明したものを好適に用いることができる。
具体的には、基材粒子の表面にTi−Zr−X多元合金からなるコート層を形成した被覆粒子や、Ti−Zr−X多元合金を粉砕してなる合金粒子を用いることができる。

0075

なお、Ti合金含有粒子をSAXS(X線小角散乱法)で測定することにより求めた平均粒子径(D50)を、Ti合金含有粒子の平均粒子径とすることができる。

0076

基材粒子を構成する材料は特に限定されないが、Zr、Ti、Si、Hf、Y、Al、Mo、W、Ta、Nb及びVからなる群から選択される少なくとも1種の弁金属元素からなることが好ましく、Zr、Ti、Al、Si又はTaからなることがより好ましい。

0077

基材粒子の表面にTi−Zr−X多元合金からなるコート層を形成する方法は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、スパッタ、蒸着、無電解めっき等の方法が挙げられる。
特にスパッタは、コート層の組成を所望の合金組成に調整しやすいため好ましい。

0078

Ti−Zr−X多元合金を粉砕してなる合金粒子は、例えば、Ti−Zr−X多元合金の各元素の単体(形状は問わない)を、アーク溶解法高周波溶解法(誘導加熱法)といった溶解方法を用いて所望の溶解温度で溶解させる。その後、所望の冷却速度で冷却することで、均質な合金のインゴットを得る。そしてこの合金のインゴットを粉砕することで、所望の合金粒子が得られる。

0079

多孔質体を得る方法としては、Ti合金含有粒子の焼結が挙げられるが、圧縮(加圧)した後に焼結してもよいし、圧縮しながら焼結してもよい。例えば、Ti合金含有粒子を有機バインダー及び有機溶剤と混錬してペースト化し、ペーストを陽極部上にスクリーン印刷し、印刷したペーストを焼結する方法、Ti合金含有粒子を陽極部上で加圧成形し、この加圧成形体(ペレットともいう)を焼結する方法、及び、Ti合金含有粒子を陽極部上で加圧すると同時に焼結する方法等が挙げられる。

0080

焼結条件としては、非酸化雰囲気下、500℃以上、800℃以下で加熱することが好ましい。なお、非酸化雰囲気とは、酸素分圧が1.0×10−4Pa以下の雰囲気を指す。
加圧条件としては、0.1MPa以上が好ましい。

0081

陽極部となる金属基体又は引き出しリードを固体電解質層と接触させないため、多孔質体に金属基体又は引き出しリードを接続するタイミングは、固体電解質層を形成する前であることが好ましい。そして、金属基体又は引き出しリードを多孔質体に接続した後には、多孔質体並びに金属基体又は引き出しリードに対して化成処理等の表面酸化処理を行うか、又は、金属基体又は引き出しリードのうち固体電解質層と接触し得る箇所に絶縁部を形成することがより好ましい。

0082

続いて、多孔質体の表面に誘電体層を形成する。
誘電体層は、例えば、多孔質体の表面を、ホウ酸リン酸アジピン酸、又は、それらのナトリウム塩アンモニウム塩等を含む水溶液中で陽極酸化することにより形成することができる。上記陽極酸化によって、Ti合金含有粒子からなる多孔質体の表面にTi−Zr−X多元合金の酸化皮膜を形成することができ、Ti−Zr−X多元合金の酸化皮膜が誘電体層となる。
このとき、多孔質体が陽極部と接合されていると、陽極部の表面にも誘電体層となる酸化皮膜が形成される。

0083

上記の方法により形成される誘電体層は、アルミニウム箔の多孔質体をエッチングして陽極酸化することにより誘電体層を形成する従来の方法と同様に多孔質体の比表面積を大きくすることができる。さらに、Ti合金含有粒子による誘電体層の比誘電率が、アルミニウムによる誘電体層(アルミナ)の比誘電率よりも大きいため、静電容量を向上させることができる。

0084

続いて、誘電体層上に固体電解質層を形成する。
固体電解質層は、例えば、導電性高分子を含む導電性ポリマー配合液を誘電体層上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。導電性高分子としては、本発明の固体電解コンデンサ素子で説明したものを好適に用いることができる。

0085

本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法は、固体電解質層上に導電体層を形成する工程をさらに含むことが好ましい。
導電体層は、例えば、固体電解質層の表面にカーボンペースト及び銀ペーストを塗布し、乾燥することにより形成することができる。

0086

本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法は、導電体層上に陰極部を形成する工程をさらに含んでいてもよい。

0087

[固体電解コンデンサの製造方法]
固体電解コンデンサは、例えば、本発明の固体電解コンデンサ素子の製造方法によって固体電解コンデンサ素子を作製する工程と、上記固体電解コンデンサ素子と一対の外部電極とを電気的に接続する工程と、上記固体電解コンデンサ素子を封止樹脂によって封止する工程とによって製造することができる。

0088

固体電解コンデンサ素子と一対の外部電極とを電気的に接続する工程では、1個の固体電解コンデンサ素子、又は、積層された複数個の固体電解コンデンサ素子に一対の外部電極を電気的に接続する。

0089

1個の又は複数個の固体電解コンデンサ素子に一対の外部電極を電気的に接続する方法は特に限定されない。
複数個の固体電解コンデンサ素子を用いる場合、例えば以下の方法が挙げられる。
まず、固体電解コンデンサ素子の陽極部を互いに対向させて積層する。この時、陽極部を互いに接合するとともに、陽極部に陽極電極としての陽極端子を接合する。接合方法としては、溶接や圧着等が挙げられる。また、導電体層に対応する部分同士もそれぞれ接するように積層し、導電体層に陰極電極としての陰極端子を接合する。このとき、導電体層の外側に陰極部が形成されている場合は、陰極部同士が接するように積層してもよいし、一方の固体電解コンデンサ素子の導電体層と他方の固体電解コンデンサ素子の陰極部とが接するように積層してもよい。これにより、導電体層又は陰極部は互いに電気的に接続されることになる。
なお、固体電解コンデンサ素子を構成する多孔質体に金属基体又は引き出しリードが接続されている場合には、該金属基体又は該引き出しリードを陽極端子として用いてもよく、該金属基体又は該引き出しリードに外部電極としての陽極端子を接続してもよい。

0090

固体電解コンデンサ素子を複数個積層させる場合、積層される固体電解コンデンサ素子の数は、特に限定されないが、要求されるESRに応じて、2個以上、8個以下であることが好ましい。

0091

1個又は複数個の固体電解コンデンサ素子に一対の外部電極を電気的に接続した後、封止樹脂によって封止する。この時、固体電解コンデンサ素子の全体と、一対の外部電極の一部とを覆うように封止樹脂で封止する。
封止樹脂で封止する方法としては、例えば、エポキシ樹脂を用いて、トランスファーモールドにより封止する方法が挙げられる。

0092

なお、外部電極の形態は引き出しリードに限定されず、任意の形態の外部電極を採用することができる。

0093

以下、本発明の固体電解コンデンサ素子をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。

0094

(実施例A1)
[Ti合金含有粒子の作製]
まず、以下の手順でTi合金含有粒子を製造した。
平均粒子径が200nmのSi含有金属粉末(基材粒子)100gに対して、スパッタにより60分間成膜処理を行い、表面に厚さ50nmのTi−Zr−X多元合金(XはSi)からなるコート層を形成して被覆粒子を得た。被覆粒子を酸性水溶液中にて溶解し、得られた酸性水溶液をICP発光分析法により分析したところ、Ti−Zr−X多元合金の組成は、Ti:80atm%、Zr:14atm%、X(Si):6atm%であった。

0095

[多孔質体の作製]
この被覆粒子を高粘度溶媒と混合してペースト化し、厚さ50μmのアルミニウム箔の一面に、厚さ100μmとなるように塗布し、600℃の真空中で焼成することにより、Ti合金含有粒子の焼結体からなる多孔質体をアルミニウム箔上に形成した。

0096

[誘電体層の形成]
アルミニウム箔上に形成された多孔質体を、液温65℃の0.1wt%リン酸水溶液中において5Vの電圧をかけて60分間陽極酸化処理をすることにより、多孔質体の表面にTi−Zr−Si合金の酸化物からなる誘電体層を形成した。

0097

[固体電解質層の形成]
陽極酸化処理を施した多孔質体の表面に、導電性ポリマー配合液を塗布し、乾燥させることによって、誘電体層の表面に固体電解質層を形成した。
導電性ポリマー配合液としては、PEDOT:PSSの分散液(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸とが混合された分散液)を用いた。

0098

[導電体層の形成]
固体電解質層の表面(多孔質体の表面から露出している領域)にカーボンペーストを塗布し乾燥させることによりカーボン層を形成した。続いて、カーボン層の表面に銀ペーストを塗布し乾燥させることにより銀層を形成した。

0099

(実施例A2〜A27及び比較例A1〜A3)
Ti−Zr−X多元合金の組成を表1に示す組成に変更したほかは、実施例A1と同様の手順で実施例A2〜A27及び比較例A1〜A3に係る固体電解コンデンサ素子を製造した。
なお、比較例A1はTi−Zr−X多元合金ではなく純Tiによるコート層を形成し、比較例A2はTi−Zr合金粒子によるコート層を形成した。比較例A3はTi合金含有粒子を用いず、厚さ150μmのアルミニウム箔の表面に対して陽極酸化処理を行い、続いて固体電解質層を形成した。

0100

(実施例B1)
実施例A1の被覆粒子の代わりに、Ti−Zr−X多元合金(Ti:80atm%、Zr:14atm%、X(Si):6atm%)からなる合金粒子を用いたほかは、実施例A1と同様の手順で、実施例B1に係る固体電解コンデンサ素子を作製した。

0101

(実施例B2〜B27及び比較例B1〜B2)
Ti−Zr−X多元合金からなる合金粒子の組成を表1に示す組成に変更したほかは、実施例B1と同様の手順で実施例B2〜B27及び比較例B1〜B2に係る固体電解コンデンサ素子を製造した。

0102

ここで、Ti−Zr−Al合金においては、ギブスエネルギー熱力学データベースによる状態図計算シミュレーション)を行い、Alの固溶限界を考慮して組成比を決定した。実際のTi−Zr−Al合金の製造方法では、大きく溶解法焼結法との2つの方法がある。溶解法においては、共融組成からのズレによる冷却時の過剰成分の析出や、溶解の方法(アーク溶解法、真空溶解法、雰囲気溶解法など)による固溶状態の違いを考慮する必要がある。また、焼結法においては、単体粉の粒径粒度分布、焼結の方法(ホットプレス焼成法、真空焼成法など)による焼結状態の違いを考慮する必要がある。したがって、必ずしも出発原料からの量組成が合金粒子の組成とはならないため、Alを所望の組成比よりも過剰に添加したり(例えば固溶限界よりも多い10atm%以上、20atm%以下)、あるいは、所望の組成比よりも少なく添加したりして(例えば固溶限界よりも少ない1atm%以上、7atm%以下)、所望の電気特性を得ることが好ましい。

0103

[漏れ電流の測定]
実施例A1〜A27、比較例A1〜A3、実施例B1〜B27及び比較例B1〜B2に係る固体電解コンデンサ素子をデジタルマルチメーター(Agilent製 34410A)に接続し、定格2Vの電流を印加した際の漏れ電流の値を測定した。漏れ電流の値は、静電容量と定格電圧の積(CV)と比較して、以下の基準で評価した。結果を表1及び表2に示す。
◎:1.3CV以下であり、漏れ電流が充分小さい。
○:1.3CVを超えるが45CV以下であり、漏れ電流が小さい。
△:45CVを超えるが70CV以下であり、漏れ電流は使用可能な範囲である。
×:70CVを超えており、陰極として使用できないほど漏れ電流が大きく、問題がある。

0104

[比誘電率の測定]
実施例A1〜A27、比較例A1〜A2、実施例B1〜B27及び比較例B1〜B2に係る固体電解コンデンサ素子を構成するTi−Zr−X多元合金を厚さ50μmの箔状に加工したもの、並びに、比較例A3で用いたアルミニウム箔を準備し、液温65℃の0.1wt%リン酸水溶液中において5Vの電圧をかけて陽極酸化処理することにより皮膜を作製した。この皮膜の比誘電率を測定し、以下の基準で評価した。結果を表1及び表2に示す。
◎:55以上であり、比誘電率が充分に大きい。
○:32以上、55未満であり、比誘電率が大きい。
△:10以上、32未満であり、比誘電率は問題ない。
×:10未満であり、比誘電率が充分ではない。

0105

総合評価
上記基準に基づいて評価した漏れ電流及び比誘電率から、固体電解コンデンサ素子としての総合評価を行った。
漏れ電流又は比誘電率のいずれかの評価が「×」であったものは、他方の評価に関係なく総合評価を「×」とした。漏れ電流及び比誘電率のいずれの評価も「△」であったものは、総合評価を「×」とした。漏れ電流及び比誘電率の評価が「△」と「○」のものは総合評価を「△」とした。漏れ電流及び比誘電率の評価が「△」と「◎」又は2つとも「○」であるものは、総合評価を「○」とした。漏れ電流及び比誘電率の評価が「○」及び「◎」又は2つとも「◎」であったものは、総合評価を「◎」とした。結果を表1及び表2に示す。

0106

0107

0108

表1、2の結果から、本発明の固体電解コンデンサ素子は、漏れ電流が小さく、比誘電率が大きいことがわかった。従って、本発明の固体電解コンデンサ素子は、漏れ電流を抑制しつつ、大きな静電容量を得ることができるといえる。

0109

[Ti合金含有粒子の平均粒子径と電極特性の関係の測定]
さらに、多孔質体を構成するTi合金含有粒子の平均粒子径と得られる多孔質体の電極特性について調査した。
Ti合金含有粒子の平均粒子径は、Ti合金含有粒子をSAXS(X線小角散乱法)で測定することにより求めた平均粒子径(D50)である。

0110

[実施例C1〜C2]
Ti合金含有粒子の平均粒子径を8nm、1.2μmにそれぞれ変更したほかは実施例B1と同様の手順で、実施例C1〜C2に係る固体電解コンデンサ素子を作製した。
実施例C1では、平均粒子径が10nm以下のものの代表として、平均粒子径が8nmのTi合金含有粒子を採用した。また実施例C2では、平均粒子径が1μmを超えるものの代表として、平均粒子径が1.2μm(1200nm)のTi合金含有粒子を採用した。なお、実施例B1(平均粒子径200nm)は平均粒子径が10nm以上、1000nm以下のTi合金含有粒子の代表として採用した。
各実施例の化成処理で形成された陽極酸化皮膜(以下、化成膜ともいう)について、以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
化成性
◎:充分な厚みを有する極めて緻密な化成膜が形成されており、耐電圧性に優れる。
○:充分な厚みを有する緻密な化成膜が形成されており、耐電圧性が充分である。

0111

さらに、実施例B1、C1〜C2に係る固体電解コンデンサ素子のESR特性及び電極容量LCRメーター(KEYSIGHT TECHNOLOGIES製 E4980A)を用いて測定し、以下の基準で評価した。結果を表3に示す。
[ESR特性]
◎:ESRの値に特に優れる。
○:ESRの値に優れる。
[電極容量]
◎:電極容量が非常に大きい。
○:電極容量が大きい。

0112

実施例

0113

表3の結果から、平均粒子径が10nm以上1000nm以下のTi合金含有粒子の多孔質体からなる固体電解コンデンサ素子は化成性、ESR特性及び電極容量に優れ、平均粒子径が1000nmを超えるTi合金含有粒子の多孔質体からなる固体電解コンデンサ素子は化成性及びESR特性に優れる。

0114

1、1A固体電解コンデンサ素子
2固体電解コンデンサ
10陽極部
17絶縁マスク部
20容量層
21多孔質体
22Ti合金含有粒子
23、24誘電体層
25固体電解質層
30導電体層
40陰極部
41a 第1の固体電解コンデンサ素子積層体
41b 第2の固体電解コンデンサ素子積層体
42陽極電極
43陰極電極
44 封止樹脂

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