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技術 核酸の検出方法

出願人 東レ株式会社
発明者 関口翔太中川舞伊藤正照澤田慎二郎
出願日 2017年11月10日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-503808
公開日 2019年10月3日 (6ヶ月経過) 公開番号 WO2018-088502
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 両性酸化物 アニーリング操作 温度調節ユニット 吸着溶液 スクシンイミド化 検出配列 べき指数 水酸化物沈殿
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年10月3日)のものです。
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課題・解決手段

核酸を検出する方法であって、以下の工程:工程a)、カルボン酸および/またはその塩を含む溶液酸化セリウム担体および核酸を含む試料を混合し、酸化セリウムの担体に当該核酸を吸着させる工程、工程b)、工程a)において混合した混合物から、前記核酸が吸着した酸化セリウムの担体を分離する工程、工程c)、工程b)において分離した核酸が吸着した酸化セリウムの担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程、工程d)、工程c)において回収した核酸をハイブリダイゼーション反応または核酸の増幅反応によって検出する工程、を含む核酸の検出方法

概要

背景

核酸を用いた実験技術発展により、新規遺伝子探索や解析が行われるようになり、塩基配列情報と機能の関係が明らかになってきている。その結果、がんなどの疾患の特定や、外来病原体の感染の特定など、医療現場においても核酸検出によるスクリーニング検査臨床検査などが行われている。近年、様々な核酸の検出方法が検討され、核酸の検出感度は向上しているが、より高度な遺伝子の解析のために、更なる核酸の検出感度の向上が求められている。

核酸の検出方法には、マイクロアレイPCRなどを用いて目的とする配列を検出する方法が挙げられる。このような核酸の検出方法は、プローブプライマーを最適化させたり、反応条件を最適化させたりすることによって検出感度が向上することが知られているが、同時に検出対象となる核酸の純度や量によっても感度が変化することが知られている。つまり、核酸の回収から検出に至るまでの多くの工程が遺伝子の解析結果に影響することになる。

ここで、代表的な核酸の回収方法としては、フェノールクロロホルム抽出エタノール沈殿及びシリカへの核酸吸着などが挙げられる。中でも最も汎用的な方法は、特許文献1に記載されている、シリカを含む金属酸化物へ核酸を吸着溶出させて回収するBoom法である。この方法は、遠心操作により核酸の吸着したシリカから核酸を回収すると同時に核酸の濃縮ができる特徴がある。しかしながら、このような方法は煩雑な操作や有機溶媒を使用する必要がある。核酸検出は医療現場においても利用されていることから、煩雑な操作や有機溶媒を使用せずに核酸を回収でき、核酸を効率よく検出する方法が好ましい。

有機溶媒を使用せずに核酸回収から検出まで行える方法として、特許文献2には、酸化鉄などの磁性を有する無機成分を担体として用い、核酸を吸着させて回収する方法が記載されている。この方法では、核酸の回収液に無機成分が溶出してしまい、回収した核酸の純度が低下する課題があったため、無機成分の担体にポリマー、シリカ、チタニアセリアなどの金属酸化物でコーティングする方法があわせて記載されている。この方法によって得られた核酸はそのままPCRなどの酵素反応に直接用いることができると記載されている。

また、有機溶媒を使用しない別の方法としてシリカゲルイオン交換カラムを用いた方法がある。特許文献3では、イオン交換カラムに用いるシリカゲルの担体に、チタニア、セリア、ジルコニアハフニアなどの比重の大きい粒子を含有させて、カラム密度を高め、核酸の回収量を向上させる方法が記載されている。しかしながら、特許文献3には、どの程度の感度で核酸を検出できるのか記載されていない。

概要

核酸を検出する方法であって、以下の工程:工程a)、カルボン酸および/またはその塩を含む溶液酸化セリウムの担体および核酸を含む試料を混合し、酸化セリウムの担体に当該核酸を吸着させる工程、工程b)、工程a)において混合した混合物から、前記核酸が吸着した酸化セリウムの担体を分離する工程、工程c)、工程b)において分離した核酸が吸着した酸化セリウムの担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程、工程d)、工程c)において回収した核酸をハイブリダイゼーション反応または核酸の増幅反応によって検出する工程、を含む核酸の検出方法。なし

目的

核酸の検出方法には、マイクロアレイやPCRなどを用いて目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

核酸を検出する方法であって、以下の工程:工程a)、カルボン酸および/またはその塩を含む溶液酸化セリウム担体および核酸を含む試料を混合し、酸化セリウムの担体に当該核酸を吸着させる工程、工程b)、工程a)において混合した混合物から、前記核酸が吸着した酸化セリウムの担体を分離する工程、工程c)、工程b)において分離した核酸が吸着した酸化セリウムの担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程、工程d)、工程c)において回収した核酸をハイブリダイゼーション反応または核酸の増幅反応によって検出する工程、を含む核酸の検出方法

請求項2

高次構造を有する核酸を検出する方法であって、以下の工程:工程a)、カルボン酸および/またはその塩を含む溶液、酸化セリウムの担体および高次構造を有する核酸を含む試料を混合し、酸化セリウムの担体に前記核酸を吸着させる工程、工程b)、工程a)において混合した混合物から、前記核酸が吸着した酸化セリウムの担体を分離する工程、工程c)、工程b)において分離した前記核酸が吸着した酸化セリウムの担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程、工程d)、工程c)において回収した核酸をハイブリダイゼーション反応または核酸の増幅反応によって検出する工程、を含む核酸の検出方法。

請求項3

前記高次構造を有する核酸が、AとT(U)とが対をなし、GとCとが対をなす塩基対形成以外の塩基対形成を基本構造とする高次構造、AとT(U)、GとCとの塩基対非形成を基本構造とする高次構造、AとT(U)、GとCとの塩基対形成を基本構造とする2重らせん構造にひずみが生じた結果形成される高次構造のうちいずれかの構造を有することを特徴とする請求項2に記載の核酸の検出方法。

請求項4

前記高次構造を有する核酸が、ミスマッチ構造、バルジ構造ループ構造ヘアピン構造ダングリングエンド構造、シューノット構造、ブランチ構造、四重らせん構造、八重らせん構造、三重らせん構造環状構造のうちいずれかの構造を有することを特徴とする請求項2または3に記載の核酸の検出方法。

請求項5

前記カルボン酸が、酢酸シュウ酸クエン酸エチレンジアミン四酢酸EDTA)である、請求項1から4のいずれかに記載の核酸の検出方法。

請求項6

前記溶出液が緩衝液であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の核酸の検出方法。

技術分野

0001

本発明は、核酸を検出する方法に関する。

背景技術

0002

核酸を用いた実験技術発展により、新規遺伝子探索や解析が行われるようになり、塩基配列情報と機能の関係が明らかになってきている。その結果、がんなどの疾患の特定や、外来病原体の感染の特定など、医療現場においても核酸検出によるスクリーニング検査臨床検査などが行われている。近年、様々な核酸の検出方法が検討され、核酸の検出感度は向上しているが、より高度な遺伝子の解析のために、更なる核酸の検出感度の向上が求められている。

0003

核酸の検出方法には、マイクロアレイPCRなどを用いて目的とする配列を検出する方法が挙げられる。このような核酸の検出方法は、プローブプライマーを最適化させたり、反応条件を最適化させたりすることによって検出感度が向上することが知られているが、同時に検出対象となる核酸の純度や量によっても感度が変化することが知られている。つまり、核酸の回収から検出に至るまでの多くの工程が遺伝子の解析結果に影響することになる。

0004

ここで、代表的な核酸の回収方法としては、フェノールクロロホルム抽出エタノール沈殿及びシリカへの核酸吸着などが挙げられる。中でも最も汎用的な方法は、特許文献1に記載されている、シリカを含む金属酸化物へ核酸を吸着溶出させて回収するBoom法である。この方法は、遠心操作により核酸の吸着したシリカから核酸を回収すると同時に核酸の濃縮ができる特徴がある。しかしながら、このような方法は煩雑な操作や有機溶媒を使用する必要がある。核酸検出は医療現場においても利用されていることから、煩雑な操作や有機溶媒を使用せずに核酸を回収でき、核酸を効率よく検出する方法が好ましい。

0005

有機溶媒を使用せずに核酸回収から検出まで行える方法として、特許文献2には、酸化鉄などの磁性を有する無機成分を担体として用い、核酸を吸着させて回収する方法が記載されている。この方法では、核酸の回収液に無機成分が溶出してしまい、回収した核酸の純度が低下する課題があったため、無機成分の担体にポリマー、シリカ、チタニアセリアなどの金属酸化物でコーティングする方法があわせて記載されている。この方法によって得られた核酸はそのままPCRなどの酵素反応に直接用いることができると記載されている。

0006

また、有機溶媒を使用しない別の方法としてシリカゲルイオン交換カラムを用いた方法がある。特許文献3では、イオン交換カラムに用いるシリカゲルの担体に、チタニア、セリア、ジルコニアハフニアなどの比重の大きい粒子を含有させて、カラム密度を高め、核酸の回収量を向上させる方法が記載されている。しかしながら、特許文献3には、どの程度の感度で核酸を検出できるのか記載されていない。

先行技術

0007

米国特許第5234809号明細書
特開2007−6728号公報
特表2002−510787号公報

発明が解決しようとする課題

0008

上記のように、核酸の回収方法とその後の検出方法が検討されている。しかし、特許文献2には実際にどのような様態の核酸を回収できるかは開示されていない。また、どの程度の感度で核酸が検出できるのかも記載されていない。そこで、後述する比較例1で特許文献2に記載される条件をできる限り再現し、PCR法によって核酸の検出感度を評価した。しかしながら、特許文献2の方法では、PCRで核酸がほとんど検出できなかった。

0009

本発明者らは、特許文献2に記載の酸化セリウムの担体を利用して、核酸の検出感度を向上させることを目的として、鋭意検討し、本発明を完成させた。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、核酸の検出感度を向上させるために、酸化セリウムを担体として用いる核酸の回収方法に着目した。酸化セリウムを担体とし、カルボン酸を含む条件で核酸を回収することによって、回収した核酸、特に高次構造を有する核酸の検出感度を向上させることができる。

0011

本発明は以下の通りである。
(1)核酸を検出する方法であって、以下の工程:
工程a)、カルボン酸および/またはその塩を含む溶液、酸化セリウムの担体および核酸を含む試料を混合し、酸化セリウムの担体に当該核酸を吸着させる工程、
工程b)、工程a)において混合した混合物から、前記核酸が吸着した酸化セリウムの担体を分離する工程、
工程c)、工程b)において分離した核酸が吸着した酸化セリウムの担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程、
工程d)、工程c)において回収した核酸をハイブリダイゼーション反応または核酸の増幅反応によって、検出する工程、
を含む核酸の検出方法。
(2)高次構造を有する核酸を検出する方法であって、以下の工程:
工程a)、カルボン酸および/またはその塩を含む溶液、酸化セリウムの担体および高次構造を有する核酸を含む試料を混合し、酸化セリウムの担体に当該核酸を吸着させる工程、
工程b)、工程a)において混合した混合物から、前記核酸が吸着した酸化セリウムの担体を分離する工程、
工程c)、工程b)において分離した核酸が吸着した酸化セリウムの担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程、
工程d)、工程c)において回収した核酸をハイブリダイゼーション反応または核酸の増幅反応によって、検出する工程、
を含む核酸の検出方法。
(3)前記高次構造を有する核酸が、AとT(U)とが対をなし、GとCとが対をなす塩基対形成以外の塩基対形成を基本構造とする高次構造、AとT(U)、GとCとの塩基対非形成を基本構造とする高次構造、AとT(U)、GとCとの塩基対形成を基本構造とする2重らせん構造にひずみが生じた結果形成される高次構造のうちいずれかの構造を有することを特徴とする(2)に記載の核酸の検出方法。
(4)前記高次構造を有する核酸が、ミスマッチ構造、バルジ構造ループ構造ヘアピン構造ダングリングエンド構造、シューノット構造、ブランチ構造、四重らせん構造、八重らせん構造、三重らせん構造環状構造のうちいずれかの構造を有することを特徴とする(2)または(3)に記載の核酸の検出方法。
(5)前記カルボン酸が、酢酸シュウ酸クエン酸エチレンジアミン四酢酸EDTA)である(1)から(4)のいずれかに記載の核酸の検出方法。
(6)前記溶出液が緩衝液であることを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の核酸の検出方法。

発明の効果

0012

本発明により、生体試料などの試料に含まれる核酸、特に高次構造を有する核酸をハイブリダイゼーション反応または核酸の増幅反応によって検出する工程を含む核酸の検出方法において、その検出感度を向上させることが可能となる。

0013

本発明では、数十塩基程度のフラグメントから数万bp程度の長さの核酸、特に高次構造を有する核酸を回収し、高感度に検出することができる。

0014

核酸は、溶媒に溶解させて、核酸の溶液として用いてもよい。核酸を溶解させる溶媒や、希釈する溶液は特に限定されないが、水やTris−HCl緩衝液などの核酸を含む溶液に汎用される溶液を使用することが好ましい。

0015

本発明で用いる核酸には、RNA、DNA、RNA/DNA(キメラ)及び人工核酸などが挙げられる。DNAには、cDNA、cfDNA、mtDNAマイクロDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAなどの核酸を用いることができる。また、RNAには、totalRNA、mRNAtRNArRNA、miRNA、siRNA、snoRNA、snRNAもしくはnon−coding RNA、それらの前駆体又は合成RNAなどが挙げられる。合成DNA及び合成RNAは、所定の塩基配列天然型配列又は非天然型配列のいずれでもよい)に基づいて、例えば自動核酸合成機を用いて人工的に作製できる。

0016

本発明では、核酸を含む任意の試料から核酸を回収し、検出することができる。核酸を含む任意の試料は、人工的に合成された核酸を含む試料を用いてもよいし、河川、海、土壌などに由来する核酸や環境DNAを含む試料を用いてもよいし、生体試料を用いてもよい。生体試料には、例えば、培養細胞、培養細胞の培養液組織試料標本などの細胞由来試料、細菌やウイルスなどの微生物由来試料、体液や便などのヒトを含む動物由来試料、核酸の他に、タンパク質、糖や脂質などの生物学的機能を有する化合物を含む溶液などを利用することができる。これらの生体試料が体液等の液体試料である場合には、採取後そのまま本発明を適用してもよいし、採取後に溶液を加えて希釈してもよい。生体試料が細胞ペレット組織片等の固体試料である場合には、採取後に水や緩衝液で希釈してから本発明に用いてもよい。

0017

また、生体試料を用いる場合には、以下のような処理をしてもよい。これは、核酸が細胞膜細胞壁小胞リポソームミセルリボソームヒストン核膜ミトコンドリア、ウイルスのキャプシドエンベロープエンドソームまたはエキソソームのような化合物に内包されていたり、これらが相互作用していたりすることが多いためである。より収率よく核酸を回収するために、これらから核酸を遊離させることを目的とした処理を行ってもよい。

0018

例えば、大腸菌が含まれている生体試料から核酸の回収効率を高めるために以下のような処理を行うことができる。大腸菌が含まれる生体試料に対して0.2Mの水酸化ナトリウムと1%のSDSの混合液を加えることができ(アルカリ変性法)、また、10%のサルコシル溶液を加えることもできる(サルコシルによる非変性法)。また、これらの溶液にリゾチームを添加しておいてもよい。また、プロテイナーゼKにより37℃で1時間処理を行うこともできる。他の方法として超音波処理を行うこともできる。

0019

生体試料に対して、酵母が含まれている生体試料から核酸の回収効率を高めるために以下のような処理を行うことができる。例えば、生化学工業株式会社から市販されているザイモリエースで処理した後に10%のSDSを加えることもできる。

0020

生体試料に対して、細胞が含まれている生体試料から核酸の回収効率を高めるために以下のような処理を行うことができる。例えば、1%のSDSを加えることができる。他の方法として、4M以上の塩化グアニジニウムグアニジンチオシアン酸塩、及び尿素などを加えることができる。この溶液に対して、サルコシルを0.5%以上になるよう加えてもよい。また、メルカプトエタノールを50mM以上の濃度になるよう加えてもよい。

0021

上記の操作において、生体試料に含まれる核酸の分解を抑制するために、核酸の分解酵素阻害剤を添加してもよい。DNA分解酵素の阻害剤として、EDTAを1mM以下の濃度で添加することができる。また、RNA分解酵素の阻害剤として市販されているRNasin Plus Ribonuclease Inhibitor(プロメガ株式会社)、Ribonuclease Inhibitor(タカラバイオ株式会社)、RNaseinhibitor(東洋紡株式会社)などを使用することができる。

0022

また、生体試料にDNAとRNAが混在しており、両者を分離したい場合には、フェノール・クロロホルム抽出によって分離することもできる。例えば、フェノール・クロロホルム抽出を酸性条件で行えばRNAは水相、DNAはクロロホルム相に分離され、中性条件で行えばRNAとDNAは水相に分配される。この性質を利用して、取得したい核酸の種類に応じて条件を選択できる。上記のクロロホルムはp−ブロモアニソール置換することもできる。

0023

フェノール・クロロホルム抽出は、市販試薬であるISOGEN(登録商標:株式会社ニッポンジーン)、TRIzol(登録商標:ライフテクノロジージャパン株式会社)、RNAiso(タカラバイオ株式会社)、3D−Gene(登録商標:東レ株式会社) RNA extraction reagent from liquid sample kit(東レ株式会社)を利用することもできる。以上の処理は、その一工程のみを行ってもよく、他の操作における工程と組み合わせることもできる。また、それに用いる溶液の濃度は、必要に応じて変えることもできる。

0024

本発明では、核酸、特に高次構造を有する核酸を高い感度で検出することができる。

0025

核酸の高次構造は、一般に、核酸の塩基配列に起因して形成される高次構造と、核酸とタンパク質との複合体が形成する高次構造に分類される。本発明では、どちらの高次構造を有する核酸も好ましく用いることができるが、核酸の塩基配列に起因して形成される高次構造を有する核酸をより好ましく用いることができる。

0026

核酸の塩基配列に起因して形成される高次構造は、塩基対の形成において、AとT(U)とが対をなし、GとCとが対をなす塩基対形成以外の塩基対形成を基本構造とする構造、AとT(U)、GとCとの塩基対非形成を基本構造とする構造、AとT(U)、GとCとの塩基対形成による2重らせん構造にひずみが生じた結果形成される構造に分類されるが、本発明では、いずれの構造を有する核酸であっても、好ましく用いることができる。

0027

AとT(U)とが対をなし、GとCとが対をなす塩基対形成以外の塩基対形成を基本構造とする高次構造としては、一塩基多型(SNP)を含むミスマッチ構造(ターミナルミスマッチ構造、G・Tミスマッチ構造、G・Aミスマッチ構造、G・Gミスマッチ構造、タンデムミスマッチ構造)が挙げられる。例えば、ミスマッチ構造は、miRNA、tRNA、mRNA、rRNA、miRNAの前駆体、ゲノムRNA、ゲノムDNA、セルフリーDNAに含まれている。

0028

AとT(U)、GとCとの塩基対非形成を基本構造とする高次構造には、バルジ構造、ヘアピン構造、ループ構造、ダングリングエンド構造、シュードノット構造、ブランチ構造、四重らせん構造(グアニン四重鎖、iモチーフ)などが挙げられる。

0029

バルジ構造は、塩基対を形成している配列鎖中に結合しうる塩基がなく、塩基対を形成していない構造である。例えば、バルジ構造は、miRNA、tRNA、mRNA、rRNA、miRNAの前駆体、ゲノムRNA、ゲノムDNA、セルフリーDNAなどに含まれている。

0030

ヘアピン構造は、一本鎖RNA、DNAなどから成る塩基配列が一点を軸として対称相補的な配列になるように並んでおり、これらのRNA、DNAが相補的な塩基同士結合した構造である。例えば、ヘアピン構造は、miRNA、tRNA、mRNA、rRNA、miRNAの前駆体、ゲノムRNA、ゲノムDNA、セルフリーDNAなどに含まれている。

0031

ループ構造は、前記ヘアピン構造のうち、RNA、DNAの一部の塩基配列が相補的になっておらず、その部分が塩基対を形成せずたるんだ構造である。例えば、ループ構造は、miRNA、tRNA、mRNA、rRNA、miRNAの前駆体、ゲノムRNA、ゲノムDNA、セルフリーDNAなどに含まれている。ダングリングエンド構造は、塩基対を形成した状態で3’末端もしくは5’末端のどちらか一方の末端が突出している構造である。例えば、ダングリングエンド構造は、miRNA、tRNA、mRNA、rRNA、miRNAの前駆体、ゲノムRNA、ゲノムDNA、セルフリーDNAなどに含まれている。

0032

シュードノット構造は、上記ループ構造が塩基対形成部分を介して二つ以上の連続したループ構造である。例えば、シュードノット構造は、ウイルスのゲノムDNA、ウイルスのゲノムRNA、リボザイムなどに含まれている。

0033

ブランチ構造は、一または複数の核酸鎖が部分的に上述の高次構造を形成した分岐鎖部分に生じる構造である。例えば、mRNA、rRNAなどに含まれている。

0034

四重らせん構造(グアニン四重鎖、iモチーフ)および八重らせん構造は、一つの核酸配列鎖の中にGまたはCのどちらか一つの塩基が部分的に偏った配列を一つまたは複数箇所にもつ、1または複数の鎖から形成される構造である。例えば、四重らせん構造(グアニン四重鎖、iモチーフ)は、ゲノムDNAに含まれており、特にポリグルタミン病リピート病などを引き起こす原因遺伝子テロメア領域に含まれている。

0035

AとT(U)、GとCとの塩基対形成を基本構造とする2重らせん構造にひずみが生じた結果形成される高次構造には、三重らせん構造、環状構造(クローズドサーキュラーオープンサーキュラー、スーパーコイル)などが挙げられる。例えば、環状構造は、ミトコンドリアDNAプラスミド、大腸菌または酵母などの微生物が有する環状ゲノム、HPVなどのウイルスゲノムなどに含まれている。

0036

核酸とタンパク質との複合体が形成する高次構造は、例えば、修飾因子DNAメチルトランスフェラーゼ、RNAメチルトランスフェラーゼ、T4ポリヌクレオチドカイネース、ヒストンなど)、転写因子RNAポリメラーゼに分類させるものなど)、複製因子DNAポリメラーゼに分類されるものなど)、逆転写因子リバーストランスクリプターゼ、)、転移因子トランスポダーゼ)、翻訳因子(リボソームの構成ユニットなど)、切断酵素制限酵素など)、シグナル伝達因子、免疫応答に関わる因子などの高次構造が挙げられる。本発明では、これらタンパク質を含む核酸の高次構造も、高次構造を有する核酸として好ましく用いることができる。

0037

上記の高次構造を有する核酸は、天然に存在する核酸でもよいし、人工的に合成された核酸や、遺伝子工学的に合成された核酸でもよい。また、メチル化や、リン酸化された核酸でもよい。

0038

本発明で用いるカルボン酸は、少なくとも一つのカルボキシル基を有する有機酸を指す。一つのカルボキシル基を有するカルボン酸として、酢酸、ギ酸プロピオン酸酪酸吉草酸カプロン酸エナント酸カプリル酸ペラルゴン酸カプリン酸ラウリン酸ミリスチン酸パルミチン酸マルガリン酸ステアリン酸オレイン酸リノール酸リノレン酸アラキドン酸エイコサペンタエン酸ドコサヘキサエン酸ソルビン酸安息香酸サリチル酸没食子酸桂皮酸乳酸などが挙げられる。二つのカルボキシル基を有するカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸コハク酸グルタル酸アジピン酸フマル酸マレイン酸フタル酸イソフタル酸テレフタル酸リンゴ酸ピメリン酸スベリン酸アゼライン酸タルトロン酸酒石酸シトラコン酸メサコン酸イタコン酸シクロプロパンジカルボン酸シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸イミノ二酢酸、αケトグルタル酸グルタミン酸アスパラギン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸などが挙げられる。三つのカルボキシル基を有するカルボン酸としては、アコニット酸、クエン酸、イソクエン酸プロパン−1,2,3−トリカルボン酸ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸トリエチル−1,1,2−エタントリカルボン酸、シクロブタントリカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸ヘミメリト酸トリメリト酸トリメシン酸ニトリロ三酢酸などが挙げられる。四つのカルボキシル基を有するカルボン酸としては、シクロヘキサンテトラカルボン酸、メロファン酸、プレニト酸、ピロメリト酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、(18−クラウン−6)−2,3,11,12−テトラカルボン酸、trans−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸、O,O’−ビス(2−アミノエチルエチレングリコール−N,N,N’,N’−四酢酸が挙げられる。5つ以上のカルボキシル基を有するカルボン酸としては、ベンゼンペンタカルボン酸、ジエチレントリアミン五酢酸ジエチレントリアミン−N,N,N’,N”,N”−五酢酸、シクロヘキサンヘキサカルボン酸、メリト酸、ジエリスリトールのヘキサカルボン酸、トリエチレンテトラミン−N,N,N’,N”,N”’,N”’−六酢酸、シクロオクタンジカルボン酸、トリエリスリトールの八酢酸などが挙げられる。これら中で特に好ましいカルボン酸は、酢酸、シュウ酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)である。

0039

本発明で用いるカルボン酸として、上記で挙げたカルボン酸の塩を用いてもよい。カルボン酸の塩は、Li塩Na塩、K塩、Rb塩、Cs塩等を用いることができる。具体的には、酢酸の塩として、Li塩、Na塩、K塩、Rb塩、Cs塩などが挙げられる。シュウ酸の塩としてLi塩、2Li塩、Na塩、2Na塩、K塩、2K塩、Rb塩、2Rb塩、Cs塩、2Cs塩などが挙げられる。クエン酸の塩として、Li塩、2Li塩、3Li塩、Na塩、2Na塩、3Na塩、K塩、2K塩、3K塩、Rb塩、2Rb塩、3Rb塩、Cs塩、2Cs塩、3Cs塩などが挙げられる。EDTAの塩として、Li塩、2Li塩、3Li塩、4Li塩、Na塩、2Na塩、3Na塩、4Na塩、K塩、2K塩、3K塩、4K塩、Rb塩、2Rb塩、3Rb塩、4Rb塩、Cs塩、2Cs塩、3Cs塩、4Cs塩ななどが挙げられる。また、アンモニウム塩エチルアミン塩ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩エタノールアミン塩などのアミンを持つ有機塩なども挙げられる。これらの塩の中でも酢酸ナトリウム酢酸カリウム、シュウ酸二ナトリウム、シュウ酸二カリウムクエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウムクエン酸カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、EDTA二ナトリウム、EDTA三ナトリウム、EDTA四ナトリウム、EDTA二カリウム、EDTA三カリウム、EDTA四カリウムが好ましい。

0040

また、カルボン酸とカルボン酸の塩を混合して用いてもよいし、異なる種類のカルボン酸やカルボン酸の塩を混合して用いてもよい。

0041

本発明におけるハイブリダイゼーション反応は、検出対象となる核酸とプローブとがお互いに水素結合を介して対を成す反応を指す。ハイブリダイゼーション反応は、互いに相補的な塩基配列または当該相補的な塩基配列に対して相同性の高い配列を有する核酸の分子間または分子内で起こり得る。

0042

ハイブリダイゼーション反応で用いるプローブとは、検出対象となるDNAまたはRNAの塩基配列に対して、相補的な塩基配列または当該相補的な配列に対して相同性の高い塩基配列を有する核酸分子を指す。検出対象となる核酸の塩基配列は、センス鎖アンチセンス鎖または両者でもよい。ハイブリダイゼーション反応を行うにあたって、プローブは1つだけ使用してもよく、複数個使用してもよい。プローブの長さは、特異的に検出するために、16塩基以上の長さを有するものが好ましい。核酸分子には、DNA、RNA、修飾核酸、LNA、BNA、PNA、モルフォリノ核酸、光応答性核酸、ヌクレオチドなどを利用できる。また、これらの核酸分子のうち、1種類だけを用いてもよいし、複数種類用いてもよい。またプローブの末端の核酸分子を蛍光色素化学官能基で修飾してもよく、核酸分子の塩基を欠損させてもよい。

0043

本発明で用いるハイブリダイゼーション反応は、例えば、核酸を含む溶液と、プローブを含む溶液を混合してハイブリダイゼーション反応を行うことにより核酸を検出する方法や、核酸またはプローブのどちらか一方を基板となる固体ゲルなどに固定して行うハイブリダイゼーション反応を行うことにより核酸を検出する方法が挙げられる。このような方法の具体例として、マイクロアレイ法ノーザンブロティング法、サザンブロッティング法、サンドイッチハイブリダイゼーションスロットブロットハイブリダイゼーションプラークハイブリダイゼーションコロニーハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション、FISH法などが挙げられる。

0044

本発明で用いる核酸の増幅反応は、ポリメラーゼを用い、核酸を鋳型として、特定の配列を選択的に増幅する反応である。具体的にはPCR法や、LCR法、LAMP法などが挙げられる。PCR法には、さらに、リアルタイムPCR、RT—PCR、競合的PCR、アンカードPCR、TaqManPCR、ランダムPCR、マルチプレックスPCR、シャトルPCR、PCR/GC-clamp法、ストレッチPCR、Alu PCR、メガプライマーPCR、Immuno—PCR、AP−PCR、SHARP法、コンセンサスPCR、RNA—primed PCR、LA—PCR、RACE法、Hot Start PCR、インバースPCR、リコンビネーションPCR、degenerate PCR、サイクリングプローブPCR、定量PCR、SDA法、コロニーPCR、DNAシーケンシング、in Situ PCR、単一細胞PCR、環境DNAのPCR、環境DNAのシーケンシング、DNAバーコーディングDNAシャフリングなどの種類があるが、いずれのPCR法も好ましく用いることができる。

0045

核酸を検出する工程における核酸の検出感度は、ハイブリダイゼーション反応の効率またはPCR効率を求めることにより、判断することができる。

0046

ハイブリダイゼーション反応の効率は、電気泳動やTm測定などによって判断できる。検出配列とプローブそれぞれの塩基長が十分に短いときには電気泳動、十分に長い場合にはTm測定によって判断することが好ましい。

0047

ハイブリダイゼーション反応の効率は、下記のとおり電気泳動によって求めることができる。まずは、検出配列を有する核酸溶液同一濃度で3つ準備する。1つ目はそのまま電気泳動に用い、2つ目は検出に用いるプローブを1等量以上加え、1時間程度以上静置してから電気泳動に用いる。3つ目は、本発明の方法を用い、工程(c)で回収された核酸に2つ目のサンプルと同等量のプローブを加え、2つ目のサンプルと同じ時間静置してから電気泳動に用いる。電気泳動により、1つ目のサンプルで検出されるバンドに加え、2つ目と3つ目のサンプルでは検出配列へプローブがハイブリダイゼーションしたことで新たなバンドが確認される。画像解析等のソフトウェアでバンドが見られないゲルの一部をバックグランドとし、バンドの強度からこの値と差を取ってバンドのシグナル強度とする。バンドのシグナル強度比を、2つ目のサンプルに対する3つ目のサンプルの比として算出し、1より大きい値であれば、ハイブリダイゼーション反応の効率が向上したと判断できる。

0048

ハイブリダイゼーション反応の効率は、下記のとおりTm測定によって求めることができる。Tm測定は、二重鎖の核酸の温度を上昇させて一本鎖解離する過程にともなう260nmにおける吸光度変化を測定する。横軸に温度、縦軸吸光度プロットした融解曲線を測定する。融解曲線において変曲点観測され、これが50%の二重鎖の核酸が融解する温度(Tm)となる。本測定をする上で、理論値または実測値のプローブのTmを予め測定しておく必要がある。

0049

Tm測定の方法は、まず検出配列を有する核酸溶液を同一濃度で4つ準備する。1つ目はそのままTm測定に用い、2つ目は検出に用いるプローブを1等量以上加え、1時間程度以上静置してからTm測定に用いる。3つ目は、本発明の方法を用い、工程(c)で回収された核酸をTm測定に用いる。4つ目は、本発明における酸化セリウムの担体への吸着・溶出処理を行い、溶出液に2つ目のサンプルと同等量のプローブを加え、2つ目のサンプルと同じ時間静置してからTm測定に用いる。続いて、ハイブリダイゼーション反応の効率を求めるにあたっては、融解曲線を使用する。プローブのTmでの吸光度を融解曲線から全てのサンプルに関して求める。2つ目のサンプルから1つ目のサンプルの差を、4つ目のサンプルから3つ目のサンプルの差をそれぞれ取り、前者を1として後者の比を算出し、ハイブリダイゼーション反応の効率が得られる。1より大きい値が得られると、ハイブリダイゼーション反応の効率が向上したと判断できる。高いハイブリダイゼーション反応の効率とは、この比率が1.1以上であればよく、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上である。Tm測定には紫外可視吸光光度計温度調節ユニットを接続した装置を使用することができる。

0050

PCR効率は、下記のとおりリアルタイムPCR法によって求めることができる。リアルタイムPCR法によるPCR効率は、まず、検出配列を有する核酸溶液を同一つ濃度で2つ準備する。1つ目はそのままフォワードプライマーリバースプライマーをプローブとして加え、2つ目は、本発明の方法を用いて、工程(c)で回収された核酸に1つ目のサンプルと同等量のフォワードプライマーとリバースプライマーを加えてからリアルタイムPCR法に用いる。

0051

リアルタイムPCR法では、横軸にサイクル数、縦軸に蛍光強度をプロットした増幅曲線が得られる。この増幅曲線において一定のシグナル強度に達したときのサイクル数(Cq値Ct値)をそれぞれ求める。1つ目のサンプルのCq値から2つ目のサンプルのCq値の差をとる。この差について、2を底とした累乗指数べき指数)として値を算出し、PCR効率とする。PCR効率は、この値が1.4以上であればPCR効率が向上していると判断できる。この値は1.6以上がより好ましく、さらに好ましくは1.8以上である。

0052

本発明で用いる酸化セリウムは、CeO2を基本骨格に持つ両性酸化物であり、セリアとも呼ばれ、水に対して溶解性を有さない。酸化セリウムは、天然に産出するものを用いてもよいし、工業的に作製したものを用いてもよい。酸化セリウムを作製する方法としては、例えば、シュウ酸塩炭酸塩熱分解法や、硝酸塩などの溶液の中和によって得られる水酸化物沈殿焼成することで酸化物を得る方法(中和法)、気相法などが挙げられる。工業的に作製した酸化セリウムは、試薬メーカーや、触媒化学メーカー、一般社団法人触媒学会の参照触媒部会などから入手することができる。

0053

本発明で用いる酸化セリウムの担体は粒状のものがよい。粒径はそろっていても、異なる粒径を混合して担体に利用してもよい。粒径は、例えば、100μm以下の酸化セリウム粒子を好ましく用いることができ、好ましくは50μm以下の酸化セリウム粒子を用いることができ、より好ましくは10μm以下の酸化セリウム粒子を用いることができる。

0054

本発明においては、レーザー回折散乱法に基づく粒度分布測定装置により求められる球相当径頻度分布から算出される50%径(D50、メディアン径)を使用している。

0055

本発明で用いる溶出液には、水や緩衝液を用いることができ、緩衝液が好ましい。

0056

緩衝液は、リン酸リン酸ナトリウムを含むリン酸緩衝液や、クエン酸とクエン酸ナトリウムを含むクエン酸緩衝液、トリスヒロキシアミノメタン塩酸を含むTris−塩酸緩衝液にEDTAを添加したTris−EDTA緩衝液などを好ましく用いることができる。これらのうち、クエン酸とクエン酸ナトリウムを含むクエン酸緩衝液、トリスヒドロキシアミノメタンと塩酸を含むTris−塩酸緩衝液にEDTAを添加したTris−EDTA緩衝液は、キレート作用を有する緩衝液であるため特に好ましい。緩衝液のpHはpH4以上pH9以下が好ましく、pH5以上pH8以下がより好ましい。

0057

緩衝液には、キレート剤を添加して、緩衝液にキレート作用を付与しても良い。キレート剤は、複数の配位座を持つ配位子を持っており、金属イオンへ結合し、錯体を形成する物質を用いることができる物質であり、キレート剤が含まれる緩衝液は、キレート作用を有する。

0058

緩衝液に添加する具体的なキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)、ポリリン酸メタリン酸及び/又はそれらの塩などが挙げられる。キレート剤の終濃度は、50mM以上が好ましく、より好ましくは100mM以上、さらに好ましくは500mM以上である。

0059

また、上記以外のキレート剤となる化合物として、陰イオン性のポリマーを挙げることができる。カルボン酸を側鎖に持つポリマーは金属イオンを配位するため、これらが緩衝液に含まれていてもよい。このような機能を有するポリマーとして、ポリビニルスルホン酸および/またはそれらの塩が挙げられる。その終濃度は特に限定されないが、1wt%以上であればよく、好ましくは10wt%以上である。 本発明は、核酸、特に高次構造を有する核酸を検出するための方法であって、
工程a)カルボン酸を含む溶液、酸化セリウムの担体および核酸を含む試料を混合し、酸化セリウムの担体に前記核酸を吸着させる工程、
工程b)工程a)において混合した混合物から、前記核酸が吸着した酸化セリウムの担体を分離する工程、
工程c)工程b)において分離した前記核酸が吸着した酸化セリウムの担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程、
工程d)工程c)において回収した核酸ハイブリダイゼーション反応または核酸の増幅反応によって検出する工程、
を含む。以下、それぞれの工程について詳細に説明する。

0060

工程a)は、カルボン酸および/またはその塩を含む溶液、酸化セリウムの担体および核酸を含む試料を混合し、酸化セリウムの担体に前記核酸を吸着させる工程である。カルボン酸と核酸を含む試料を予め混合しておき、酸化セリウムの担体と混合してもよいし、カルボン酸と酸化セリウムの担体を予め混合しておき、核酸を含む試料と混合してもよい。また、核酸を吸着させる前段階として、予め酸化セリウムの担体を水やエタノールなどの溶液で洗浄し、表面に吸着している不純物を除いておいてもよく、本洗浄操作を省略してもよい。

0061

カルボン酸の濃度は、特に限定されないが、工程a)において混合した混合物の終濃度として、カルボキシル基を1〜2個有するカルボン酸を用いる場合は0.01mM以上100mM以下であればよく、カルボキシル基を3個以上有するカルボン酸を用いる場合は、0.01mM以上1mM以下であればよい。酸化セリウムの担体と核酸を含む試料の混合方法は特に限定されないが、例えばピペッティング転倒混合により行ってもよく、ミキサーボルテックスなどの装置を使用してもよい。混合時間は、特に限定されないが1分程度であればよく、それ以上の時間混合してもよい。また、本発明の担体をカラムに充填し、核酸を含む試料を通過させてもよい。

0062

また、工程a)においてはカルボン酸および/またはその塩を含む溶液に、当該カルボン酸やカルボン酸の塩以外の化合物を添加してもよい。例えば、核酸回収の際に汎用されるような、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジン塩酸塩などのタンパク質変性剤塩化ナトリウム塩化リチウムなどの塩、メルカプトエタノールなどの還元剤を添加することができる。

0063

工程b)は、工程a)において混合した混合物から、前記核酸が吸着した酸化セリウムの担体を分離する工程である。分離の方法としては、工程a)で得られる混合物を遠心分離し、核酸が吸着した酸化セリウムの担体を沈殿させ、上清を除く方法が挙げられる。核酸が吸着した酸化セリウムの担体の比重は水より重いため、遠心操作により容易に沈殿させることができる。遠心分離の条件は、例えば6000G以上20000G以下で1分間処理することが好ましく、10000G以上20000G以下で1分間処理することがより好ましい。他の分離方法としては、限外ろ過膜を用いる方法が挙げられる。核酸が吸着した酸化セリウムの担体の粒径より小さな孔径を持つ限外ろ過膜に対し、工程a)で得られた混合物を通過させ、核酸が吸着した酸化セリウムの担体を分離する。このような限外ろ過膜はキット化されており、メルク株式会社の「ウルトラフリー」(登録商標)やPall Corporationの「ナノセップ」(登録商標)に代表される遠心ろ過キットを入手して利用することができる。

0064

また、工程b)の操作の後に、必要に応じて以下のような処理をしてもよい。これは、工程a)の後に、酸化セリウムの担体の表面に目的となる核酸以外の生体試料由来物が吸着している可能性があるためである。例えば、より高純度に核酸を単離するため、洗浄や分解の処理を行うことができる。具体的には、非特異的に吸着した化合物を除去するために水で洗浄する、非特異的に吸着したタンパク質を除去するために界面活性剤で洗浄する、イオン低分子化合物を除去するために界面活性剤を含む溶液で洗浄する、非特異的に吸着した疎水性化合物を除去するために有機溶媒で洗浄する、非特異的に吸着したタンパク質を分解するためにタンパク質分解酵素を添加する、DNAのみを単離するためにRNA分解酵素を添加する及びRNAのみを単離するためにDNA分解酵素を添加する、などの様々な処理をすることができる。

0065

工程c)は、工程b)において分離した前記核酸が吸着した酸化セリウムの担体に溶出液を加えて核酸を回収する工程である。核酸が吸着した酸化セリウムの担体に溶出液を加えて、吸着している核酸を溶出液中に溶出させ、核酸を回収する工程である。

0066

上記溶出液を加えて核酸を回収するにあたって、酸化セリウムの担体と核酸を溶出させた溶液とを分離する方法としては、工程c)において、核酸が吸着した担体に溶出液を加えて得られた混合物を遠心分離し、本発明の担体を沈殿させ、核酸が溶出している上清を取得する方法が挙げられる。本発明の担体の比重は水より重いため、遠心操作により容易に沈殿させることができる。遠心分離の条件は、例えば6000G以上20000G以下で1分間処理することが好ましく、10000G以上20000G以下で1分間処理することがより好ましい。

0067

酸化セリウムの担体と核酸を溶出させた溶液とを分離する他の方法としては、限外ろ過膜を用いる方法が挙げられる。上記酸化セリウムの担体の粒径より小さな孔径を持つ限外ろ過膜に対し、工程c)において得られた混合物を通過させ、酸化セリウムの担体を分離する。このような限外ろ過膜はキット化されており、メルク株式会社の「ウルトラフリー」(登録商標)やPall Corporationの「ナノセップ」(登録商標)に代表される遠心ろ過キットを入手して利用することができる。

0068

回収された核酸は、必要に応じて、化学修飾を行うことができる。化学修飾には、核酸の末端に対する蛍光色素修飾、消光剤修飾、ビオチン修飾、アミノ化カルボキシル化マレインイミド化、スクシンイミド化、リン酸化及び脱リン酸化などが挙げられ、他にはインターカレーターグルーブバインダーによる染色が挙げられる。これらの修飾は化学反応により導入されてもよく、酵素反応により導入されてもよい。これらの修飾基を導入し、回収された核酸自身を定量するのではなく、化学修飾を経て導入された修飾基を定量することで、間接的に核酸を定量することもできる。

0069

工程d)は、工程c)において回収した核酸をハイブリダイゼーション反応または核酸の増幅反応によって検出する工程である。具体的には、ハイブリダイゼーション反応または核酸の増幅反応と同時に、または、ハイブリダイゼーション反応または核酸の増幅反応の後に、酵素反応、電気泳動、吸光度測定または蛍光検出などの通常の検出手段を用いて核酸を検出する。

0070

上記ハイブリダイゼーション反応にあたって、ハイブリダイゼーション反応を促進する処理をすることもできる。例えば、加熱処理によってアニーリングする、マグネシウム亜鉛等の金属イオンを添加する、光を照射して共有結合を形成させる、ホルマリン等の化学架橋剤を添加して共有結合を形成させることが挙げられる。

0071

本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明する。

0072

<材料と方法>
担体に利用する酸化セリウム粒子は第一稀元素化学工業株式会社より入手し、そのまま実験に用いた。また、SYBR Premix Ex TaqIIはタカラバイオ株式会社より、ゲル染色用のSYBR Goldはインビトロジェン株式会社より購入し、特に精製することなくそのまま用いた。その他の試薬については、和光純薬株式会社、ナカライテスク株式会社、シグマアルドリッチジャパン合同会社から購入し、特に精製することなくそのまま用いた。

0073

ミキサーは東京理化器械株式会社のCUTMIERCM−1000を、PCRはバイオラッド株式会社のCFX96を、Tm測定は島津製作所のUV1650とTMSPC−8を、アクリルアミドゲル電気泳動はアトー株式会社のWSE−1100を用いた。染色したアクリルアミドゲルはGEヘルスケア・ジャパン株式会社のFLA 9500で画像取得し、その画像解析はGEヘルスケア・ジャパン株式会社のImageQuantTLを用いた。

0074

列番号1から10で示される核酸は、ユーロフィンジェノミクス株式会社より購入し、特に精製することなくそのまま用いた。

0075

<スーパーコイル構造を有する核酸:「pUC19」>
スーパーコイル構造を有する核酸として、pUC19を以下のように調製して用いた。環状構造を有する核酸であるプラスミドDNA(2.7kbp, pUC19)をタカラバイオ社の大腸菌DH5α(TKR9057)でクローニングし、プロメガ社のWizard PlusSVMinipreps DNA Purification System(A1460)で精製した。精製したpUC19をアガロースゲルで電気泳動し、クローズドサーキュラー、オープンサーキュラー、リニア構造の3つの分画に分離して、クローズドサーキュラー構造を有する分画のみを、マッハライナーゲル社のNucleoSpin Gel andPCRClean−up (740609)で単離し、スーパーコイル構造を有する核酸(以下「pUC19」という。)として、以下の実験に用いた。

0076

pUC19をPCRで検出するためのプライマーには、配列番号1で示される核酸(フォワードプライマー)、配列番号2で示される核酸(リバーズプライマー)を用いた。

0077

グアニン重鎖構造を有する核酸:「G4」>
高次構造を有する核酸として、グアニン4重鎖構造を有する核酸を、以下のように調製した。グアニン4重鎖構造を形成する配列が記載されている文献(P. Agrawal et. al., Nucl. AcidsRes. 2013,41, 10584−10592.)のPu22−T12T13の配列情報を元に、配列番号3と配列番号4の塩基配列で示される核酸を設計した。配列番号3で示される核酸のうち、5’末端より23〜44番目の塩基がグアニン4重鎖構造形成部位である。グアニン4重鎖構造は、グアニン4重鎖構造を形成する既知の配列に対し、カリウムを添加してアニールすることで作製できる。上記文献にしたがって、グアニン4重鎖構造を形成させた。簡潔には、終濃度が10mM Tris−HCl、1mMEDTA、75mMKCl緩衝液(pH7)で1μMになるよう配列番号3の核酸を溶解し、これを0.5℃/minの昇温速度で20℃から95℃まで加熱し、室温まで空冷するアニーリング操作を2回行い、実験に用いた。本処理を行った核酸を「G4」と記載する。

0078

G4を検出するための、ハイブリダイゼーション用プローブとして、配列番号4の塩基配列で示されるプローブ1を用いた。プローブ1は、5’−Cy5標識されており、配列番号3の塩基配列の5’末端より1〜22番目の塩基とハイブリダイゼーションすることができる。

0079

<バルジ構造、ループ構造、ヘアピン構造、ダングリングエンド構造、シュードノット構造の部分構造を有する核酸:「ループ1」>
バルジ構造、ループ構造、ヘアピン構造、ダングリングエンド構造、シュードノット構造の部分構造を構成する核酸のモデルとして、配列番号5で示される塩基配列を有する核酸を設計した。配列番号5の塩基配列は5’末端より20番目の塩基がバルジ構造、ループ構造、ヘアピン構造、シュードノット構造を構成する部位に相当し、5’末端より40〜45番目の塩基がダングリングエンド構造を構成する部位に相当する。配列番号5で示される核酸を、終濃度が10mM Tris−HCl、1mMEDTA緩衝液(pH7)で1μMになるよう溶解し、これを0.5℃/minの昇温速度で20℃から95℃まで加熱し、室温まで空冷するアニーリング操作を2回行い、実験に用いた。本処理を行った核酸を「ループ1」と記載する。

0080

<バルジ構造、ループ構造、ヘアピン構造、ダングリングエンド構造、シュードノット構造の部分構造を有する核酸:「ループ4)>
バルジ構造、ループ構造、ヘアピン構造、ダングリングエンド構造、シュードノット構造の部分構造を構成する核酸のモデルとして、配列番号6で示される塩基配列を有する核酸を設計した。配列番号6の塩基配列は、5’末端より20〜23番目の塩基がバルジ構造、ループ構造、ヘアピン構造、ブランチ構造を構成する部位に相当し、5’末端より43〜48番目の塩基がダングリングエンド部位に相当する。配列番号6で示される核酸を、終濃度が10mM Tris−HCl、1mMEDTA緩衝液(pH7)で1μMになるよう溶解し、これを0.5℃/minの昇温速度で20℃から95℃まで加熱し、室温まで空冷するアニーリング操作を2回行い、実験に用いた。本処理を行った核酸を「ループ4」と記載する。

0081

<バルジ構造、ループ構造、ヘアピン構造、ダングリングエンド構造、シュードノット構造の部分構造を有する核酸:「ループ8」>
バルジ構造、ループ構造、ヘアピン構造、ダングリングエンド構造、シュードノット構造の部分構造を構成する核酸のモデルとして、配列番号7で示される塩基配列を有する核酸を設計した。配列番号7の塩基配列は、5’末端より20〜27番目の塩基までがバルジ構造、ループ構造、ヘアピン構造、ブランチ構造を構成する部位に相当し、5’末端より47〜52番目の塩基がダングリングエンド部位に相当する。配列番号7で示される核酸を、終濃度が10mM Tris−HCl、1mMEDTA緩衝液(pH7)で1μMになるよう溶解し、これを0.5℃/minの昇温速度で20℃から95℃まで加熱し、室温まで空冷するアニーリング操作を2回行い、実験に用いた。本処理を行った核酸を「ループ8」と記載する。

0082

<高次構造を有さない核酸:配列番号9、10で示される核酸>
高次構造を有さない核酸として、ミスマッチ構造、バルジ構造、ループ構造、ヘアピン構造、ダングリングエンド構造、シュードノット構造、ブランチ構造、四重らせん構造、八重らせん構造、環状構造のいずれの構造も有さない配列番号9、10で示される塩基配列を有する核酸を設計した。配列番号9,10で示される核酸は、5’末端より1〜25番目の塩基同士でハイブリダイゼーションする。配列番号9、10で示される核酸は、それぞれ終濃度が10mM Tris−HCl、1mMEDTA緩衝液(pH7)で1μMになるよう溶解し、両者を等量ずつ混合して調製した。これを0.5℃/minの昇温速度で20℃から95℃まで加熱し、室温まで空冷するアニーリング操作を2回行った。次に電気泳動をおこない、バンドが単一であることを確認して以降の実験に用いた。

0083

<ループ1、ループ4、ループ8、高次構造を有さない核酸を検出するプローブ>
ループ1、ループ4、ループ8、高次構造を有さない核酸として配列番号8,9で示される核酸を基に、上記で調製した核酸を検出するハイブリダイゼーション用プローブとして配列番号8で示されるプローブ2を用いた。プローブ2は、5’−Cy5標識されている。プローブ2は、ループ1(配列番号5)の5’末端より21〜45番目の塩基、ループ4(配列番号6)の5’末端より24〜48番目の塩基、ループ8(配列番号7)の5’末端より28〜52番目の塩基、配列番号9の5’末端より1〜25番目の塩基とそれぞれハイブリダイゼーションすることができる。

0084

<比較例1>pUC19をカルボン酸および/またはカルボン酸の塩を含まない条件で回収し検出する方法
カルボン酸またはカルボン酸塩を含まない条件で、高次構造を有する核酸であるpUC19を回収し、PCR効率を求めた。

0085

特許文献2の実施例に記載の酸化セリウムを担体として用いた核酸の回収方法を検討した。その他、特許文献2に記載の内容と同様の条件にするため、核酸吸着液を水とpH5〜9の間で緩衝作用を有する10mMのTris−HCl緩衝液(pH7)とし、溶出液を水と0.5Mリン酸緩衝液とした。実験は以下のとおりである。

0086

最初に1.5mlチューブ4本に、2.0mgの酸化セリウム粒子を量り取った。それぞれに200μlのエタノールを加え、ボルテックスした後、遠心機で1分間遠心して上清を除いた。この操作を更に2回行って酸化セリウム粒子を洗浄し、酸化セリウムの担体として用いた。

0087

続いて、洗浄した酸化セリウムの担体に対し、100ngのpUC19が溶解した水100μlまたは10mM Tris−HCl(pH7)100μlを加え、5分間ミキサーで攪拌し、遠心(10000G, 1min)して上清を捨てた。残った担体に対し水を200μl加え、ボルテックスした。この操作を更に2回行った。その後、10μlの水またはリン酸緩衝液(0.5M, pH7)を加えて15分間ミキサーで攪拌した。遠心機で遠心(10000G, 1min)して、上清を核酸溶液として回収した。

0088

PCR効率は下記のように算出した。まず、100ng/10ulとしたpUC19をさらに水で50倍希釈してテンプレートとして1μlとり、プローブとして10μMのフォワードプライマーと10μMのリバースプライマーをそれぞれ1μlずつ加えた。さらに水を9.5μl加えて、最後にSYBR Premix Ex TaqIIを12.5μl加えて混合し、25μlのPCR反応液を調製した。同様に、上記酸化セリウムの担体を使って回収した核酸を含む溶出液を水で50倍に希釈し、同様の組成で25μlのPCR反応液を調製した。両者を2stepのシャトルプロトコル(step1: 95℃,30sec,step2:95℃,5sec,56℃,30sec,step2を40cycle)にしたがってリアルタイムPCRで検出し、Cq値を比較した。前者の酸化セリウムの担体による核酸回収工程を行わないサンプルのCq値から、後者の特許文献2に従って酸化セリウムの担体による核酸回収工程を行ったサンプルのCq値の差をとった。この差について、2を底とした累乗の指数(べき指数)としてPCR効率を算出した。結果を表1に示した。

0089

これらの結果は、後述のカルボン酸および/またはカルボン酸の塩を含む条件で回収した核酸を用いてPCR反応を行った実施例1、4〜7の結果と比べて低いPCR効率であった。

0090

0091

<実施例1>pUC19をEDTA二ナトリウム塩を含む条件で回収し、検出する方法
カルボン酸の塩としてEDTA二ナトリウム塩を使用して、高次構造を有する核酸であるpUC19を回収し、PCR効率を求めた。

0092

終濃度が10mM Tris−HCl(pH7)、1mM、0.5mM、0.2mM、0.1mM、0.01mMEDTAとなるよう、EDTA二ナトリウムをTris−HCl溶液に加え、この溶液100μlに100ngのpUC19をそれぞれ溶解し、酸化セリウムの担体と混合して吸着させた。また溶出液は0.5Mのリン酸緩衝液(pH7)にした。その他の条件、操作は比較例1と同様に行い、リアルタイムPCRによりPCR効率を算出した。結果を表1に示した。

0093

これらの結果から、カルボン酸の塩としてEDTA二ナトリウム塩を用いて回収したpUC19を検出することにより、PCR効率が3.7倍以上となり、スーパーコイル構造を有する核酸をPCRにより高感度に検出できることがわかった。

0094

<実施例2>pUC19をEDTA二ナトリウムを含む条件で回収し、検出する方法
カルボン酸塩としてEDTA二ナトリウムを使用して、高次構造を有する核酸であるpUC19を回収し、ハイブリダイゼーション効率を求めた。

0095

終濃度が10mM Tris−HCl(pH7)、1mMEDTAとなるよう、EDTA二ナトリウムをTris−HCl溶液に加え、この溶液100μlに500ngのpUC19をそれぞれ溶解し、酸化セリウムの担体と混合して吸着させた。また溶出液は15μlの0.5Mのリン酸緩衝液(pH7)にした。その他の条件、操作は比較例1と同様に行い、酸化セリウムの担体による回収工程を行った。

0096

ハイブリダイゼーション反応の効率はサンプルを4つ用意し、Tm測定により下記のように算出した。1つ目のサンプルは、500ng/15ulとしたpUC19を7.5μl(250ng)とり、0.5Mリン酸緩衝液7.5μl、ホルムアミドを4μl加えて水で100μlにメスアップした。2つ目のサンプルは、1つ目のサンプルにさらにプローブとして10μMのフォワードプライマーと10μMのリバースプライマーをそれぞれ5μl加え、100μlにメスアップした。3つ目のサンプルは、上記酸化セリウムの担体による回収操作を行い、回収した核酸を含む溶出液を7.5μlとり、ホルムアミドを4μl加えて水で100μlにメスアップした。4つ目のサンプルは、3つ目のサンプルにさらにプローブとして10μMのフォワードプライマーと10μMのリバースプライマーをそれぞれ5μl加え、100μlにメスアップした。それぞれのサンプルを使ってTm測定を行い、融解曲線を取得した。使用したプローブのTm(理論値)が60℃であることから、60℃における吸光度を融解曲線から全てのサンプルに関して求めた。2つ目のサンプルから1つ目のサンプルの差を、4つ目のサンプルから3つ目のサンプルの差をそれぞれ取り、前者を1として後者の比を算出し、ハイブリダイゼーション反応の効率を求めた。結果を表2に示した。

0097

これらの結果から、カルボン酸の塩としてEDTA二ナトリムを用いて、回収したpUC19を検出することにより、pUC19とプローブとのハイブリダイゼーション反応の効率が1.6倍向上した。

0098

0099

<実施例3>G4をEDTAを含む条件で回収し、検出する方法
カルボン酸としてEDTAを使用して、高次構造を有する核酸であるG4を回収し、ハイブリダイゼーション効率を求めた。

0100

G4を含む溶液10μlに、10mM Tris−HCl、1mMEDTA、75mMKCl緩衝液(pH7)を90μl加え、酸化セリウムの担体と混合して吸着させた。また溶出液には10μlの0.5Mのリン酸緩衝液(pH7)に75mM KClを添加したものを用いた。その他の条件、操作は比較例1と同様に行い、酸化セリウムの担体による回収工程を行った。

0101

ハイブリダイゼーション反応の効率は、サンプルを3つ用意し、電気泳動により下記のように算出した。1つ目のサンプルは、アニール後のG4(0.1μM、1μl)にローディング色素1μlと水4μlを加えた溶液である。2つ目のサンプルは、アニール後のG4(0.1μM、1μl)に検出用プローブ1(0.2μM、1μl)を加えて1時間静置し、その後ローディング色素1μlと水3μlを加えた溶液である。3つ目のサンプルは、上記酸化セリウムの担体による回収操作を行い、回収した核酸を含む溶出液を1μlとり、検出用プローブ(0.2μM、1μl)加えて1時間静置し、その後ローディング色素1μlと水3μlを加えた溶液である。それぞれ10wt%濃度のアクリルアミドゲル電気泳動を行い、検出用プローブの5’末端に修飾されたCy5色素と、SYBR Goldで二重染色を行った。電気泳動により、1つ目のサンプルで検出されるバンドに加え、2つ目と3つ目のサンプルではG4へ検出用プローブ1がハイブリダイゼーションしたことで新たなバンドが確認された。このバンドの濃度比を、2つ目のサンプルに対する3つ目のサンプルの比として画像解析等で算出し、ハイブリダイゼーション反応の効率を求めた。結果を表2に示した。

0102

これらの結果から、カルボン酸としてEDTAを用いて回収したG4を検出することにより、プローブとのハイブリダイゼーション反応の効率が2.3倍向上した。

0103

<実施例4>pUC19をクエン酸三ナトリウムを含む条件で回収し、検出する方法
カルボン酸の塩としてクエン酸三ナトリウムを使用して、高次構造を有する核酸であるpUC19を回収し、PCR効率を求めた。

0104

終濃度が10mM Tris−HCl(pH7)、1mM、0.5mM、0.2mM、0.1mM、0.01mMクエン酸となるようクエン酸三ナトリウムをTris−HCl溶液に加え、この溶液100μlに100ngのpUC19をそれぞれ溶解し、酸化セリウムの担体と混合して吸着させた。また溶出液は0.5Mのリン酸緩衝液(pH7)にした。その他の条件、操作は比較例1と同様に行い、リアルタイムPCRによりPCR効率を算出した。結果を表3に示した。

0105

これらの結果から、カルボン酸の塩としてクエン酸三ナトリウムを用いて回収したpUC19を検出することにより、PCR効率が3.4倍以上となり、高次構造をPCRにより高感度に検出できることがわかった。

0106

0107

<実施例5>pUC19をシュウ酸二ナトリウムを含む条件で回収し、検出する方法
カルボン酸の塩としてシュウ酸二ナトリウムを使用して、高次構造を有する核酸であるpUC19を回収し、PCR効率を求めた。

0108

終濃度が10mM Tris−HCl(pH7)、50mM、20mM、1mM、0.5mM、0.2mM、0.1mM、0.01mMシュウ酸となるようシュウ酸二ナトリウムをTris−HCl溶液に加え、この溶液100μlに100ngのpUC19をそれぞれ溶解し、酸化セリウムの担体と混合して吸着させた。また溶出液は0.5Mのリン酸緩衝液(pH7)にした。その他の条件、操作は比較例1と同様に行い、リアルタイムPCRによりPCR効率を算出した。結果を表4に示した。

0109

これらの結果から、カルボン酸の塩としてシュウ酸二ナトリウムを用いて回収したpUC19を検出することにより、PCR効率が2.8倍以上となり、高次構造をPCRにより高感度に検出できることがわかった。

0110

0111

<実施例6>pUC19を酢酸ナトリウムを含む条件で回収し、検出する方法
カルボン酸の塩として酢酸ナトリウムを使用して、高次構造を有する核酸であるpUC19を回収し、PCR効率を求めた。

0112

終濃度が10mM Tris−HCl(pH7)、100mM、50mM、20mM、10mM、5mM、2mM、1mM、0.5mM、0.2mM、0.1mM、0.01mM酢酸となるよう酢酸ナトリウムをTris−HCl溶液に加え、この溶液100μlに100ngのpUC19をそれぞれ溶解し、酸化セリウムの担体と混合して吸着させた。また溶出液を0.5Mのリン酸緩衝液(pH7)にした。その他の条件、操作は比較例1と同様に行い、リアルタイムPCRによりPCR効率を算出した。結果を表5に示した。

0113

これらの結果から、これらの結果から、カルボン酸の塩と酢酸ナトリウムを用いて回収したpUC19を検出することにより、PCR効率が3.2倍以上となり、高次構造を有する核酸をPCRにより高感度に検出できることがわかった。

0114

0115

<実施例7>EDTAと添加剤を含む条件でpUC19を回収し、検出する方法
核酸回収の際に汎用されるタンパク質変性剤および還元剤を添加した条件で、核酸を回収し、核酸を検出した。タンパク質変性剤として、グアニジンチオシアン酸塩、グアニジン塩酸塩を用いた。還元剤として塩化ナトリウム、塩化リチウム、メルカプトエタノールを用いた。カルボン酸としてEDTAを使用して、高次構造を有する核酸であるpUC19を回収し、PCR効率を求めた。

0116

グアニジンチオシアン酸塩、グアニジン塩酸塩、塩化ナトリウム、塩化リチウム、メルカプトエタノールを、カルボン酸を含む吸着溶液(10mM Tris−HCl、1mMEDTA(pH7))にそれぞれ溶解し(終濃度:グアニジンチオシアン酸塩6M、グアニジン塩酸塩 6M、塩化ナトリウム 5M、塩化リチウム 8M、メルカプトエタノール 100mM、10mM、1mM)、この溶液100μlに100ngのpUC19をそれぞれ加えて、酸化セリウムの担体と混合して吸着させた。また溶出液を0.5Mのリン酸緩衝液(pH7)にした。その他の条件、操作は比較例1と同様に行い、リアルタイムPCRによりPCR効率を算出した。結果を表6に示した。

0117

これらの結果から、カルボン酸を含む溶液に上記の添加剤を加えても、PCR効率が5.8倍以上となり、高次構造を有する核酸をPCRにより高感度に検出できることがわかった。

0118

0119

<実施例8〜10>ループ1、ループ4、ループ8をEDTAを含む条件で回収し、検出する方法
カルボン酸としてEDTAを使用して、高次構造を有する核酸であるループ1、ループ4、ループ8をそれぞれ回収し、ハイブリダイゼーション効率を求めた。ループ1についての結果を実施例8、ループ4についての結果を実施例9、ループ8についての結果を実施例10とする。

0120

ループ1、ループ4、ループ8をそれぞれ含む溶液3μlに、10mM Tris−HCl、1mMEDTA緩衝液(pH7)を97μl加え、酸化セリウムの担体と混合して吸着させた。また溶出液には10μlの0.5Mのリン酸緩衝液(pH7)を用いた。その他の条件、操作は比較例1と同様に行い、酸化セリウムの担体による核酸の回収を行った。

0121

ハイブリダイゼーション反応は、ループ1(0.3μM、1μl)、ループ4(0.3μM、1μl)、ループ8(0.3μM、1μl)と検出用プローブ2(1μM、1μl)を用いた以外は実施例3と同様に行い、ハイブリダイゼーション効率を算出した。結果を表7に示した。

0122

これらの結果から、カルボン酸としてEDTAを用いて回収したループ1、ループ4、ループ8を検出することにより、ハイブリダイゼーション反応の効率が、ループ1では3.7倍(実施例8)、ループ4では4.7倍(実施例9)、ループ8(実施例10)では3.8倍にそれぞれ向上した。

0123

本結果から各種の高次構造を有する核酸を高感度に検出できることがわかった。

0124

0125

<実施例11>高次構造を有さない核酸をEDTAを含む条件で回収し、検出する方法
カルボン酸としてEDTAを使用して、高次構造を有さない核酸である配列番号9、10で示される核酸を回収し、ハイブリダイゼーション効率を求めた。

0126

配列番号9、10で示される核酸を含む溶液3μlに、10mM Tris−HCl、1mMEDTA、6Mグアニジンチオシアン酸塩を含む緩衝液(pH7)を97μl加え、酸化セリウムの担体と混合して吸着させた。また溶出液には10μlの0.5Mのリン酸緩衝液(pH7)を用いた。その他の条件、操作は比較例1と同様に行い、酸化セリウムの担体による核酸の回収を行った。

0127

ハイブリダイゼーション反応は、高次構造を有さない核酸と検出用プローブ2(1μM、1μl)を用いた以外は実施例3と同様に行い、ハイブリダイゼーション効率を算出した。結果を表8に示した。

0128

これらの結果から、カルボン酸としてEDTAを用いて回収した核酸を検出することにより、高次構造を有さない核酸であってもハイブリダイゼーション反応の効率が1.4倍に向上した。

実施例

0129

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