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技術 多能性幹細胞から体細胞への分化誘導方法

出願人 国立大学法人大阪大学国立大学法人京都大学
発明者 関口清俊戎富美櫻井英俊趙明明齋藤潤
出願日 2017年11月9日 (2年4ヶ月経過) 出願番号 2018-550271
公開日 2019年10月3日 (5ヶ月経過) 公開番号 WO2018-088501
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 選択箇所 オールインワン 低下抑制剤 細胞剥離液 ラミニンフラグメント 膵前駆細胞 骨格筋幹細胞 ROCK阻害剤
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年10月3日)のものです。
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図面 (16)

課題・解決手段

多能性幹細胞を、ヘパリン結合性増殖因子を含む培地を用いて体細胞分化誘導する方法において、ラミニンE8フラグメントヘパラン硫酸プロテオグリカン増殖因子結合部位を含むフラグメントとが連結したコンジュゲート細胞に接触させることを特徴とする分化誘導方法を提供する。本発明により、多能性幹細胞から任意の体細胞へ高効率で分化誘導することができる。

概要

背景

ヒトES細胞ヒトiPS細胞などのヒト多能性幹細胞は、その再生医療への応用が世界的に注目されている。ヒト多能性幹細胞を再生医療に応用するためには、これら幹細胞を高効率で安定的に体細胞分化誘導する技術の開発が必要である。ヒト多能性幹細胞から任意の体細胞への選択的分化誘導においては、培地に添加する増殖因子とともに、足場となる細胞外マトリックスの選択が成否の鍵を握っていると考えられる。しかし、ヒト多能性幹細胞から任意の体細胞への選択的分化誘導の効率を高める細胞外マトリックスとして確立されたものは、未だ存在しない。

本発明者らは、ラミニンE8フラグメント増殖因子結合分子等の細胞増殖制御分子とが連結したコンジュゲート改変ラミニン)が、iPS細胞などの多能性幹細胞多分化能を保持したまま未分化状態維持培養する際の細胞外マトリックスとして適していること、および、体細胞からiPS細胞を樹立する際の細胞外マトリックスとして適していることを見出している(特許文献1)。しかし、特許文献1に記載の改変ラミニンを分化誘導時の細胞外マトリックスとして使用したことは報告されていない。

概要

多能性幹細胞を、ヘパリン結合性増殖因子を含む培地を用いて体細胞に分化誘導する方法において、ラミニンE8フラグメントとヘパラン硫酸プロテオグリカンの増殖因子結合部位を含むフラグメントとが連結したコンジュゲートを細胞に接触させることを特徴とする分化誘導方法を提供する。本発明により、多能性幹細胞から任意の体細胞へ高効率で分化誘導することができる。

目的

本発明は、多能性幹細胞から任意の体細胞への選択的分化誘導の効率を高める細胞外マトリックスを見出し、当該細胞外マトリックスを用いた高効率分化誘導方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

多能性幹細胞を、ヘパリン結合性増殖因子を含む培地を用いて体細胞分化誘導する方法において、ラミニンE8フラグメントヘパラン硫酸プロテオグリカン増殖因子結合部位を含むフラグメントとが連結したコンジュゲート細胞に接触させることを特徴とする分化誘導方法

請求項2

前記ヘパラン硫酸プロテオグリカンの増殖因子結合部位を含むフラグメントが、パールカンドメイン1を含むフラグメントである請求項1に記載の分化誘導方法。

請求項3

前記コンジュゲートが、ラミニンE8フラグメントのα鎖C末端にヘパラン硫酸プロテオグリカンの増殖因子結合部位を含むフラグメントが連結しているコンジュゲートである請求項1または2に記載の分化誘導方法。

請求項4

前記コンジュゲートがコーティングされた細胞培養容器を用いて多能性幹細胞を体細胞に分化誘導することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分化誘導方法。

請求項5

ヘパリン結合性増殖因子が、骨形成タンパク質2、骨形成タンパク質4、骨形成タンパク質7、塩基性線維芽細胞増殖因子線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子10、肝細胞増殖因子血小板由来増殖因子BB、Wnt3aタンパク質ソニックヘッジホッグ血管内皮細胞増殖因子トランスフォーミング増殖因子β、アクチビンA、オンコスタチンMケラチノサイト成長因子およびグリア細胞由来神経栄養因子から選択される1種以上である請求項1〜4のいずれかに記載の分化誘導方法。

請求項6

多能性幹細胞がヒトiPS細胞である請求項1〜5のいずれかに記載の分化誘導方法。

請求項7

前記体細胞が、中胚葉由来の体細胞である請求項1〜6のいずれかに記載の分化誘導方法。

請求項8

ヒトiPS細胞を、骨形成タンパク質4またはアクチビンAを含む培地を用いて心筋細胞に分化誘導する方法において、ヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントのα鎖のC末端またはヒトラミニンα5β1γ1E8フラグメントのα鎖のC末端にパールカンのドメイン1が連結しているコンジュゲートを細胞に接触させて分化誘導することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の分化誘導方法。

請求項9

ヒトiPS細胞を、塩基性線維芽細胞増殖因子および肝細胞増殖因子を含む培地を用いて骨格筋細胞に分化誘導する方法において、ヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントのα鎖のC末端、ヒトラミニンα5β1γ1E8フラグメントのα鎖のC末端、ヒトラミニンα4β1γ1E8フラグメントのα鎖のC末端またはヒトラミニンα5β2γ1E8フラグメントのα鎖のC末端にパールカンのドメイン1が連結しているコンジュゲートを細胞に接触させて分化誘導することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の分化誘導方法。

請求項10

ヒトiPS細胞を、血管内皮細胞増殖因子を含む培地を用いて血管内皮細胞に分化誘導する方法において、ヒトラミニンα4β1γ1E8フラグメントのα鎖のC末端にパールカンのドメイン1が連結しているコンジュゲートを細胞に接触させて分化誘導することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の分化誘導方法。

技術分野

0001

本発明は多能性幹細胞から体細胞への分化誘導方法に関するものであり、より詳細には、ラミニンフラグメントヘパラン硫酸プロテオグリカン増殖因子結合部位を含むフラグメントとのコンジュゲートを用いて多能性幹細胞を体細胞に分化誘導する方法に関するものである。

背景技術

0002

ヒトES細胞ヒトiPS細胞などのヒト多能性幹細胞は、その再生医療への応用が世界的に注目されている。ヒト多能性幹細胞を再生医療に応用するためには、これら幹細胞を高効率で安定的に体細胞に分化誘導する技術の開発が必要である。ヒト多能性幹細胞から任意の体細胞への選択的分化誘導においては、培地に添加する増殖因子とともに、足場となる細胞外マトリックスの選択が成否の鍵を握っていると考えられる。しかし、ヒト多能性幹細胞から任意の体細胞への選択的分化誘導の効率を高める細胞外マトリックスとして確立されたものは、未だ存在しない。

0003

本発明者らは、ラミニンE8フラグメントと増殖因子結合分子等の細胞増殖制御分子とが連結したコンジュゲート(改変ラミニン)が、iPS細胞などの多能性幹細胞の多分化能を保持したまま未分化状態維持培養する際の細胞外マトリックスとして適していること、および、体細胞からiPS細胞を樹立する際の細胞外マトリックスとして適していることを見出している(特許文献1)。しかし、特許文献1に記載の改変ラミニンを分化誘導時の細胞外マトリックスとして使用したことは報告されていない。

先行技術

0004

国際公開公報第2012/137970号

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、多能性幹細胞から任意の体細胞への選択的分化誘導の効率を高める細胞外マトリックスを見出し、当該細胞外マトリックスを用いた高効率分化誘導方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明は上記の課題を解決するために、以下の発明を包含する。
[1]多能性幹細胞を、ヘパリン結合性増殖因子を含む培地を用いて体細胞に分化誘導する方法において、ラミニンE8フラグメントとヘパラン硫酸プロテオグリカンの増殖因子結合部位を含むフラグメントとが連結したコンジュゲートを細胞に接触させることを特徴とする分化誘導方法。
[2]前記ヘパラン硫酸プロテオグリカンの増殖因子結合部位を含むフラグメントが、パールカンドメイン1を含むフラグメントである前記[1]に記載の分化誘導方法。
[3]前記コンジュゲートが、ラミニンE8フラグメントのα鎖C末端にヘパラン硫酸プロテオグリカンの増殖因子結合部位を含むフラグメントが連結しているコンジュゲートである前記[1]または[2]に記載の分化誘導方法。
[4]前記コンジュゲートがコーティングされた細胞培養容器を用いて多能性幹細胞を体細胞に分化誘導することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の分化誘導方法。
[5]ヘパリン結合性増殖因子が、骨形成タンパク質2、骨形成タンパク質4、骨形成タンパク質7、塩基性線維芽細胞増殖因子線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子10、肝細胞増殖因子血小板由来増殖因子BB、Wnt3aタンパク質ソニックヘッジホッグ血管内皮細胞増殖因子トランスフォーミング増殖因子β、アクチビンA、オンコスタチンMケラチノサイト成長因子およびグリア細胞由来神経栄養因子から選択される1種以上である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の分化誘導方法。
[6]多能性幹細胞がヒトiPS細胞である前記[1]〜[5]のいずれかに記載の分化誘導方法。
[7]前記体細胞が、中胚葉由来の体細胞である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の分化誘導方法。
[8]ヒトiPS細胞を、骨形成タンパク質4またはアクチビンAを含む培地を用いて心筋細胞に分化誘導する方法において、ヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントのα鎖のC末端またはヒトラミニンα5β1γ1E8フラグメントのα鎖のC末端にパールカンのドメイン1が連結しているコンジュゲートを細胞に接触させて分化誘導することを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれかに記載の分化誘導方法。
[9]ヒトiPS細胞を、塩基性線維芽細胞増殖因子および肝細胞増殖因子を含む培地を用いて骨格筋細胞に分化誘導する方法において、ヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントのα鎖のC末端、ヒトラミニンα5β1γ1E8フラグメントのα鎖のC末端、ヒトラミニンα4β1γ1E8フラグメントのα鎖のC末端またはヒトラミニンα5β2γ1E8フラグメントのα鎖のC末端にパールカンのドメイン1が連結しているコンジュゲートを細胞に接触させて分化誘導することを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれかに記載の分化誘導方法。
[10]ヒトiPS細胞を、血管内皮細胞増殖因子を含む培地を用いて血管内皮細胞に分化誘導する方法において、ヒトラミニンα4β1γ1E8フラグメントのα鎖のC末端にパールカンのドメイン1が連結しているコンジュゲートを細胞に接触させて分化誘導することを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれかに記載の分化誘導方法。

発明の効果

0007

本発明により、多能性幹細胞から任意の体細胞へ高効率で分化誘導する方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0008

ヒトiPS細胞(253G1株)から心筋細胞へ分化誘導した細胞における拍動細胞塊を10秒間動画撮影した1コマ静止画像であり、(A)はヒトラミニンα5β1γ1E8フラグメントをコーティングしたプレートを用いて分化誘導した細胞の結果、(B)はヒトラミニンα5β1γ1E8フラグメントのα5鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティングしたプレートを用いて分化誘導した細胞の結果である。
図1(A)の拍動細胞塊の10秒間の拍動回数移動距離グラフ化した図である。
図1(B)の12個の拍動細胞塊のそれぞれについて、10秒間の拍動回数と移動距離をグラフ化した図である。
ヒトiPS細胞(253G1株)から心筋細胞へ分化誘導した細胞におけるトロポニンT(cTnT)陽性細胞FACS解析の結果を示す図であり、(A)はヒトラミニンα5β1γ1E8フラグメントをコーティングしたプレートを用いた結果であり、(B)はヒトラミニンα5β1γ1E8フラグメントのα5鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティングしたプレートを用いた結果である。
ヒトiPS細胞(201B7株)から心筋細胞へ分化誘導した細胞におけるトロポニンT(cTnT)陽性細胞のFACS解析の結果を示す図であり、(A)はヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントをコーティングしたプレートを用いた結果であり、(B)はヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントのα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティングしたプレートを用いた結果である。
MYF5の発現連携してtdTomatoを発現するヒトiPS細胞(MYF5-tdTomato)から骨格筋細胞へ分化誘導した38日目の細胞におけるMyosin Heavy Chain(MHC)の発現およびMyoDの発現を免疫染色により観察した結果を示す図であり、上段マトリゲルをコーティングしたプレートを用いた結果、2段目がヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントをコーティングしたプレートを用いた結果、3段目がヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントのα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティングしたプレートを用いた結果、下段がヒトラミニンα5β1γ1E8フラグメントのα5鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティングしたプレートを用いた結果である。
MYF5の発現と連携してtdTomatoを発現するヒトiPS細胞(MYF5-tdTomato)から骨格筋細胞へ分化誘導した14日目の細胞におけるSIX1遺伝子およびSox1遺伝子の発現量を定量した結果を示す図であり、(A)はSIX1遺伝子の結果、(B)はSox1遺伝子の結果である。
MYF5の発現と連携してtdTomatoを発現するヒトiPS細胞(MYF5-tdTomato)から骨格筋細胞へ分化誘導した細胞におけるMyf5陽性細胞の出現率をFACSで解析した結果を示す図であり、左は18日目の結果、右は85日目の結果である。
ヒトiPS細胞(201B7株)から骨格筋細胞へ分化誘導した38日目の細胞におけるMyosin Heavy Chain(MHC)の発現およびMyoDの発現を免疫染色により観察した結果を示す図であり、上段がマトリゲルをコーティングしたプレートを用いた結果、下段がヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントのα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティングしたプレートを用いた結果である。
ヒトiPS細胞(201B7株)から骨格筋細胞へ分化誘導した38日目の細胞における骨格筋マーカー遺伝子(MyoD、Myosin Heavy Chain(MHC)、Myogenin、Pax7)の発現量を定量した結果を示す図であり、(A)はMyoD遺伝子の結果、(B)はMHC遺伝子の結果、(C)はMyogenin遺伝子の結果、(D)はPax7遺伝子の結果である。
ヒトiPS細胞(201B7株)から骨格筋細胞へ分化誘導した38日目の細胞におけるMyosin Heavy Chain(MHC)の発現を免疫染色により観察した結果を示す図であり、左1段目がマトリゲルをコーティングしたプレートを用いた結果、左2〜8段目が各ヒトラミニンE8フラグメントをコーティングしたプレートを用いた結果、右1〜7段目が各ヒトラミニンE8フラグメントのα鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティングしたプレートを用いた結果である。
ヒトiPS細胞(201B7株)から骨格筋細胞へ分化誘導した14日目の細胞におけるSIX1遺伝子およびDMRT2遺伝子の発現量を定量した結果を示す図であり、(A)はSIX1遺伝子の結果、(B)はDMRT2遺伝子の結果である。
ヒトiPS細胞(201B7株)から骨格筋細胞へ分化誘導した38日目の細胞におけるMyosin Heavy Chain(MHC)の発現およびMyoDの発現を免疫染色により観察した結果を示す図であり、左がヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントのα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティングしたプレートを用いた結果、中央がヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントのα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティング後にヘパリチナーゼ処理してヘパラン硫酸鎖を除去したプレートを用いた結果、右がヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントをコーティングしたプレートを用いた結果である。
ヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントのα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティングしたプレート、ヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントのα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティング後にヘパリチナーゼ処理してヘパラン硫酸鎖を除去したプレート、ヒトラミニンα4β2γ1E8フラグメントをコーティングしたプレートをそれぞれ用いて、ヒトiPS細胞(201B7株)から骨格筋細胞へ分化誘導した14日目の細胞におけるSIX1遺伝子の発現量を定量した結果を示す図である。
ヒトiPS細胞(201B7株)から血管内皮細胞へ分化誘導した4日目の細胞におけるVE-カドヘリン陽性/CD31陽性細胞数を、FACSを用いて解析した結果を示す図であり、左の2つがヒトラミニンα4β1γ1E8フラグメントをコーティングしたプレートを用いた結果、右の2つがヒトラミニンα4β1γ1E8フラグメントのα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティングしたプレートを用いた結果である。
ヒトiPS細胞(201B7株)から血管内皮細胞へ分化誘導した4日目の細胞におけるVE-カドヘリン陽性/CD31陽性細胞率を、FACSを用いて解析した結果を示す図であり、左の2つがヒトラミニンα4β1γ1E8フラグメントをコーティングしたプレートを用いた結果、右の2つがヒトラミニンα4β1γ1E8フラグメントのα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲートをコーティングしたプレートを用いた結果である。

0009

本発明は、高効率で多能性幹細胞から体細胞へ分化誘導する方法を提供する。本発明の分化誘導方法(以下、「本発明の方法」という。)は、ラミニンE8フラグメントとヘパラン硫酸プロテオグリカンの増殖因子結合部位を含むフラグメントとが連結したコンジュゲートを細胞に接触させることを特徴とするものであり、多能性幹細胞を、ヘパリン結合性増殖因子を含む培地を用いて体細胞に分化誘導する方法に適用することができる。

0010

ラミニンは、α鎖、β鎖およびγ鎖の3本のサブユニット鎖からなるヘテロ三量体分子である。α鎖はα1〜α5の5種類、β鎖はβ1〜β3の3種類、γ鎖はγ1〜γ3の3種類が知られており、それらの組み合わせで少なくとも12種類以上のアイソフォームが存在する(表1参照)。本明細書において、ラミニンの各アイソフォームを、例えばラミニン111のように表記する。

0011

0012

ラミニンE8フラグメント(以下「ラミニンE8」または「E8」と表記する)は、マウスラミニン111をエラスターゼ消化して得られたヘテロ三量体を形成しているフラグメントであり、強い細胞接着活性をもつフラグメントとして同定されたものである(Edgar D et al., J. Cell Biol., 105:589-598, 1987)。マウスラミニン111以外のラミニンについてもエラスターゼで消化した際にマウスラミニン111E8に相当するフラグメントの存在が推定されるが、マウスラミニン111以外のラミニンをエラスターゼで消化してE8を分離、同定した報告はない。したがって、本発明の方法に用いられるラミニンE8は、ラミニンのエラスターゼ消化産物であることを要するものではなく、マウスラミニン111E8と同様の細胞接着活性を有し、類似の構造を有するラミニンフラグメントであればよい。

0013

ラミニンE8は、α鎖のC末端フラグメントから球状ドメイン4および5が除かれたフラグメント(以下「α鎖E8」と表記する)、β鎖のC末端フラグメント(以下「β鎖E8」と表記する)およびγ鎖のC末端フラグメント(以下「γ鎖E8」と表記する)が三量体を形成したフラグメントである。三量体の分子量は特に限定されないが、通常約150〜約170kDaである。γ鎖E8のC末端部から3番目グルタミン酸残基はラミニンE8のインテグリン結合活性に必須である(Hiroyuki Ido et al., The Journal of Biological Chemistry, 282, 11144-11154, 2007)。

0014

ラミニンE8は、どのような生物のラミニンから得られるものでもよいが、哺乳動物のラミニンから得られるものが好ましい。哺乳動物としては、例えば、ヒト、マウス、ラットウシブタ等が挙げられるが、限定されない。通常、多能性幹細胞の動物種と同じ動物種のラミニンから得られるラミニンE8が使用される。本発明の方法は、ヒト多能性幹細胞およびヒトのラミニンから得られるE8を用いることが特に好ましい。ヒト多能性幹細胞からヒトの再生医療に使用する細胞を分化誘導する場合、製造工程において異種生物由来の成分の使用を排除することが求められるからである。

0015

ラミニンE8は、公知の遺伝子組換え技術を適宜用いることにより製造することができる。例えば、α鎖E8、β鎖E8およびγ鎖E8をコードするDNAをそれぞれ取得し、これをそれぞれ発現ベクターに挿入し、得られた3種類の発現ベクターを適切な宿主細胞に共導入して発現させ、三量体を形成しているタンパク質を公知の方法で精製することにより製造することができる。ラミニンE8の製造方法としては、例えば井戸ら(Hiroyuki Ido et al., The Journal of Biological Chemistry, 282, 11144-11154, 2007)の方法が挙げられるが、これに限定されない。ラミニンE8はその生物学的活性を維持したまま、1個またはそれ以上のアミノ酸残基が修飾された修飾型であってもよい。

0016

主要な哺乳動物のラミニンを構成するα鎖、β鎖、γ鎖をコードする遺伝子の塩基配列情報および各鎖のアミノ酸配列情報は、公知のデータベースGenBank等)から取得することができる。表2に、ヒトのラミニンを構成する各鎖のアクセッション番号を示す。これら以外の各種生物のラミニン構成鎖の塩基配列情報およびアミノ酸配列情報も同様に公知のデータベース(GenBank等)から取得することができる。

0017

0018

ラミニンE8に連結されるヘパラン硫酸プロテオグリカンとしては、例えば、パールカン、アグリン、XVIII型コラーゲンシンデカン1〜4、グリピカン1〜6などが挙げられる。ヘパラン硫酸プロテオグリカンの増殖因子結合部位を含むフラグメントとしては、パールカンのドメイン1(D1:Gly25-Pro196)、アグリンのフォリスタチンFS)ドメインの1番目から8番目までを含む領域(Winzen et al., The Journal of Biological Chemistry, 278, 30106-30114, 2003)などが挙げられる。好ましくはパールカンのドメイン1である。

0019

ヘパラン硫酸プロテオグリカンまたはその増殖因子結合部位を含むフラグメントの製造方法は特に限定されず、公知の遺伝子組換え技術を適宜用いることにより製造することができる。ヒトのパールカン、アグリン、XVIII型コラーゲン、シンデカン1〜4、グリピカン1〜6をそれぞれコードする遺伝子の塩基配列情報およびアミノ酸配列情報は、それぞれ表3に記載したアクセッション番号で公知のデータベース(GenBank等)から取得することができる。

0020

0021

ラミニンE8とヘパラン硫酸プロテオグリカンの増殖因子結合部位を含むフラグメントとが連結したコンジュゲートにおいて、ヘパラン硫酸プロテオグリカンの増殖因子結合部位を含むフラグメント(以下「増殖因子結合部位を含むフラグメント」と表記する)はラミニンE8のα鎖のN末端、α鎖のC末端、β鎖のN末端およびγ鎖のN末端の少なくとも1か所に連結していることが好ましい。増殖因子結合部位を含むフラグメントは2箇所に連結していてもよく、3箇所に連結していてもよく、4箇所に連結していてもよい。連結部位は特に限定されないが、α鎖のC末端であることが好ましい。なお、コンジュゲートは日本語連結体複合体、結合体等と称する場合がある。以下、ラミニンE8と増殖因子結合部位を含むフラグメントとが連結したコンジュゲートを単に「コンジュゲート」と表記する。

0022

コンジュゲートにおいて、ラミニンE8と増殖因子結合部位を含むフラグメントは直接連結してもよく、リンカーを介して連結してもよい。リンカーは、タンパク質の連結に使用可能な公知のリンカーを用いることができる。また、コンジュゲートはラミニンE8と増殖因子結合部位を含むフラグメントとの融合タンパク質として構成されていてもよい。例えば、α鎖のC末端に増殖因子結合部位を含むフラグメントが融合したコンジュゲートを製造する場合、α鎖E8をコードするDNAと増殖因子結合部位を含むフラグメントをコードするDNAが連結した融合遺伝子を挿入した発現ベクターを作製する。この融合遺伝子発現ベクターと、ヒトラミニンのβ鎖E8発現ベクターおよびγ鎖E8発現ベクターの3種類の発現ベクターを適切な宿主細胞に共導入して発現させ、三量体を形成しているタンパク質を公知の方法で精製することにより製造することができる。ラミニンE8のα鎖のC末端以外の末端に増殖因子結合部位を含むフラグメントが融合したコンジュゲートや、複数の末端に増殖因子結合部位を含むフラグメントが融合したコンジュゲートも、これに準じて製造することができる。

0023

本発明の方法において、コンジュゲートを細胞に接触させるために、コンジュゲートを添加した培地を用いて細胞を培養してもよく、コンジュゲートをコーティングした培養容器を用いて細胞を培養してもよい。コンジュゲートを添加した培地を用いる場合は、予めコンジュゲートを培地に添加しておいてもよく、用時にコンジュゲートを培地に添加してもよい。添加するコンジュゲートの量は特に限定されないが、培養容器の培養面積あたり約0.03〜約25μg/cm2になる濃度が好ましく、約0.06〜約10μg/cm2になる濃度がより好ましく、約0.1〜約2μg/cm2になる濃度がさらに好ましい。

0024

コンジュゲートを培養容器にコーティングする場合は、コンジュゲートを適当な溶媒、例えばPBS生理食塩水トリスヒドロキシメチルアミノメタンあるいは4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルフォン酸中性pHとした生理的食塩水などで希釈し、この溶液を適当な培養容器に添加して、室温〜37℃程度で約1〜約12時間程度静置してコーティングすることができる。コンジュゲートのコーティング濃度は特に限定されないが、培養容器の培養面積あたり約0.03〜約25μg/cm2が好ましく、約0.06〜約10μg/cm2がより好ましく、約0.1〜約2μg/cm2がさらに好ましい。また、ゼラチン血清アルブミン等の活性低下抑制剤を同時にコーティングすることにより、コーティングしたコンジュゲートの乾燥による活性低下を抑制することができる(WO2014/199754A1参照)。

0025

本発明の方法において、コンジュゲートを細胞に接触させる期間は特に限定されない。多能性幹細胞から体細胞への分化誘導期間の一部にコンジュゲートを細胞に接触させる期間が設けられていればよく、多能性幹細胞から体細胞への分化誘導期間の全期間においてコンジュゲートを細胞に接触させることを要しない。

0026

多能性幹細胞を体細胞に分化誘導する際に、培地に含まれるヘパリン結合性増殖因子は特に限定されないが、例えば、骨形成タンパク質2(BMP2: Bone Morphogenetic Protein-2)、骨形成タンパク質4(BMP4: Bone Morphogenetic Protein-4)、骨形成タンパク質7(BMP7)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF:basicFibroblast Growth Factor、線維芽細胞増殖因子2(FGF2)とも称する)、線維芽細胞増殖因子4(FGF4: Fibroblast Growth Factor 4)、線維芽細胞増殖因子8(FGF8)、線維芽細胞増殖因子10(FGF10)、肝細胞増殖因子(HGF: Hepatocyte Growth Factor)、血小板由来増殖因子BB(PDGF-BB: Platelet-Derived Growth Factor-BB)、Wnt3aタンパク質(Wnt3a)、ソニック・ヘッジホッグ(Shh: Sonic Hedgehog)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF: Vascular Endothelial Growth Factor)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β: Transforming Growth Factor-β)、アクチビンA(activin A)、オンコスタチンM(OSM: Oncostatin M)、ケラチノサイト成長因子(KGF: Keratinocyte Growth Factor、線維芽細胞増殖因子7(FGF7)とも称する)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF: Glial-Cell Derived Neurotrophic Factor)などが挙げられる。これらのヘパリン結合性増殖因子は、培地に添加したものでもよく、培養中の細胞から分泌されたものでもよい。培地に含まれるヘパリン結合性増殖因子は1種類でもよく、2種類以上でもよい。本発明の方法は、コンジュゲートを構成するラミニンE8が細胞表面のインテグリンと結合すると共に、ラミニンE8に連結した増殖因子結合部位を含むフラグメントの増殖因子結合部位に培地に含まれるヘパリン結合性増殖因子が結合することにより、細胞表面の増殖因子受容体が効率よく活性化するため、体細胞への分化誘導効率が向上すると考えられる。

0027

本発明の方法に使用可能な多能性幹細胞としては、生体に存在するすべての細胞に分化可能である多能性を有し、かつ、増殖能をも併せもつ幹細胞であればよい。例えば、胚性幹細胞ES細胞)、核移植により得られるクローン胚由来の胚性幹細胞(ntES細胞)、精子幹細胞(GS細胞)、胚性生殖細胞(EG細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、培養線維芽細胞骨髄幹細胞由来の多能性細胞(Muse細胞)などが挙げられる。好ましくは、ES細胞、ntES細胞およびiPS細胞であり、より好ましくはiPS細胞である。多能性幹細胞は、哺乳動物の多能性幹細胞であることが好ましい。哺乳動物は特に限定されず、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ等が挙げられる。なかでもヒトが好ましい。ヒト多能性幹細胞を用いることにより、ヒトの再生医療に利用可能な安全な体細胞を取得することができる。

0028

コンジュゲートを構成するラミニンE8のアイソフォームは、分化誘導過程にある細胞および最終分化した成熟細胞が発現するインテグリンの種類を考慮して、適宜選択することが好ましい。インテグリンα6β1に結合特異性を有するラミニンアイソフォームとしては、α5鎖を有するラミニン(ラミニン511、ラミニン521)、α3鎖を有するラミニン(ラミニン311,ラミニン321、ラミニン332)、α4鎖を有するラミニン(ラミニン411、ラミニン421)、α1鎖を有するラミニン(ラミニン111、ラミニン121)が挙げられる。インテグリンα6β4に結合特異性を有するラミニンアイソフォームとしては、α3鎖を有するラミニン(ラミニン332、ラミニン311、ラミニン321)、α5鎖を有するラミニン(ラミニン511、ラミニン521)が挙げられる。インテグリンα3β1に結合特異性を有するラミニンアイソフォームとしては、α3鎖を有するラミニン(ラミニン332、ラミニン311、ラミニン321)、α5鎖を有するラミニン(ラミニン511、ラミニン521)が挙げられる。インテグリンα7β1に結合特異性を有するラミニンアイソフォームとしては、α2鎖を有するラミニン(ラミニン211、ラミニン221)、α1鎖を有するラミニン(ラミニン111、ラミニン121)が挙げられる。

0029

ヘパリン結合性増殖因子を含む培地を用いて多能性幹細胞を任意の体細胞に分化誘導する方法における体細胞とヘパリン結合性増殖因子の組み合わせの一例を表4に示す。本発明の適用範囲はこれに限定されず、ヘパリン結合性増殖因子を含む培地を用いて多能性幹細胞を任意の体細胞に分化誘導する全ての方法に適用することができる。

0030

0031

表4の体細胞とヘパリン結合性増殖因子の組み合わせが記載された代表的な文献を以下に記載する。なお(1)は、本願明細書の実施例1である。
(2) Yang L et al., Nature, 2008 May 22;453(7194):524-8, doi: 10.1038/nature06894, Epub 2008 Apr 23.
(3) WO2016/108288A1
(4) Ohta R et al., Scientific Reports, 2016 Nov 02; 6:35680, doi: 10.1038/srep35680.
(5) Cameron K et al., Stem Cell Reports, 2015 Dec 8; 5:1250-1262. doi: 10.1016/j.stemcr.2015.10.016. Epub 2015 Nov 25.
(6) Hayashi et al., Nature. 2016 Mar 17;531(7594):376-80. doi: 10.1038/nature17000. Epub 2016 Mar 9.
(7) Toyoda T et al., Stem Cell Res. 2015 Mar;14(2):185-97. doi: 10.1016/j.scr.2015.01.007. Epub 2015 Jan 28.
(8) Thatava T et al., Gene Ther. 2011 Mar;18(3):283-93. doi: 10.1038/gt.2010.145. Epub 2010 Nov 4.
(9) Fukuta M et al.,PLoS One. 2014 Dec 2;9(12):e112291. doi: 10.1371/journal.pone.0112291. eCollection 2014.
(10) Kimura T et al., TISSUE ENGINEERING: Part A Volume 22, Numbers 23 and 24, 2016.DOI: 10.1089/ten.tea.2016.0189
(11) Doi D et al., Stem Cell Reports. 2014 Mar 6;2(3):337-50. doi: 10.1016/j.stemcr.2014.01.013. eCollection 2014.
(12) Mae S et al., Nat Commun. 2013;4:1367. doi: 10.1038/ncomms2378.
(13) Egawa N et al., Sci Transl Med. 2012 Aug 1;4(145):145ra104. doi: 10.1126/scitranslmed.3004052.
(14) Niwa A et al., PLoS One. 2011;6(7):e22261. doi: 10.1371/journal.pone.0022261. Epub 2011 Jul 27.

0032

本発明の方法において分化誘導の対象となる体細胞は特に限定されず、多能性幹細胞から分化誘導可能な全ての体細胞を対象とすることができる。具体的には、外胚葉由来の細胞としては、角膜細胞ドーパミン産生神経細胞、運動神経細胞末梢神経細胞色素上皮細胞、皮膚細胞内耳細胞などが挙げられる。内胚葉由来の細胞としては、肝細胞膵前駆細胞インスリン産生細胞胆管細胞、肺胞上皮細胞腸管上皮細胞などが挙げられる。中胚葉由来の細胞としては、心筋細胞、骨格筋細胞、血管内皮細胞、血液細胞骨細胞軟骨細胞前駆細胞、腎上皮細胞などが挙げられる。なお体細胞には最終分化した成熟細胞だけでなく、最終分化に至っていない分化途中の細胞も含まれる。

0033

本発明の方法において分化誘導の対象となる体細胞は、中胚葉由来の体細胞であってもよい。本発明の方法における体細胞は中胚葉由来の筋肉細胞であってもよく、心筋細胞または骨格筋細胞であってもよい。また、本発明の方法における体細胞は中胚葉由来の血管内皮細胞であってもよい。

0034

本発明の方法は、ヒトiPS細胞を、骨形成タンパク質4またはアクチビンAを含む培地を用いて心筋細胞に分化誘導する方法に適用することができる。この場合、コンジュゲートとして、ヒトラミニン421E8のα4鎖のC末端またはヒトラミニン511E8のα5鎖のC末端にパールカンのドメイン1が連結しているコンジュゲートを用いることが好ましい。

0035

本発明の方法によりヒトiPS細胞を心筋細胞に分化誘導する場合、分化誘導の全期間にわたって細胞をコンジュゲートに接触させることが好ましい。骨形成タンパク質4またはアクチビンAは、分化誘導開示時に培地に添加して約24時間培養し、その後は骨形成タンパク質4またはアクチビンAを含有しない培地に交換することが好ましい。

0036

本発明の方法は、ヒトiPS細胞を、塩基性線維芽細胞増殖因子および肝細胞増殖因子を含む培地を用いて骨格筋細胞に分化誘導する方法に適用することができる。この場合、コンジュゲートとして、ヒトラミニン421E8のα4鎖のC末端、ヒトラミニン511E8のα5鎖のC末端、ヒトラミニン411E8のα4鎖のC末端またはヒトラミニン521E8のα5鎖のC末端にパールカンのドメイン1が連結しているコンジュゲートを用いることが好ましい。より好ましくはヒトラミニン421E8のα4鎖のC末端にパールカンのドメイン1が連結しているコンジュゲートである。

0037

本発明の方法によりヒトiPS細胞を骨格筋細胞に分化誘導する場合、分化誘導の全期間にわたって細胞をコンジュゲートに接触させることが好ましい。塩基性線維芽細胞増殖因子および肝細胞増殖因子は、ヒトiPS細胞から皮筋節(dermomyotome)細胞に分化させた後に、培地に添加することが好ましい。

0038

本発明の方法は、ヒトiPS細胞を、血管内皮細胞増殖因子を含む培地を用いて血管内皮細胞に分化誘導する方法に適用することができる。この場合、コンジュゲートとして、ヒトラミニン411E8のα4鎖のC末端にパールカンのドメイン1が連結しているコンジュゲートを用いることが好ましい。

0039

本発明の方法によりヒトiPS細胞を血管内皮細胞に分化誘導する場合、ヒトiPS細胞から中胚葉前駆細胞へ分化誘導した後に、細胞をコンジュゲートに接触させることが好ましい。血管内皮細胞増殖因子は、細胞とコンジュゲートの接触開始の時点から培地に添加することが好ましい。

0040

以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0041

〔実施例1:ヒトiPS細胞から心筋細胞への分化誘導におけるラミニンE8とパールカンドメイン1が連結したコンジュゲートの有用性の検証〕
実験材料実験方法
(1)ラミニンE8およびラミニンE8とパールカンドメイン1が連結したコンジュゲート
ヒトラミニン511E8(以下「LN511E8」と表記する)、LN511E8のα5鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲート(以下「P-511E8(D1;a-C)」と表記する)、ヒトラミニン421E8(以下「LN421E8」と表記する)およびLN421E8のα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲート(以下「P-421E8(D1;a-C)」と表記する)を使用した。LN511E8は井戸らの方法(Hiroyuki Ido et al., J. Biol. Chem., 282, 11144-11154, 2007)に従って作製した(WO2014/199754A1の実施例参照)。P-511E8(D1;a-C)は、WO2014/199754A1の実施例の「Plus#5ラミニンE8」と同一分子であり、その作製方法はWO2014/199754A1に記載されている。LN421E8は、上記井戸らの方法において、α5鎖E8をα4鎖E8に、β1鎖E8をβ2鎖E8にそれぞれ変更して作製した。α4鎖E8発現ベクターおよびβ2鎖E8発現ベクターの作製方法はWO2014/103534A1に記載されている。P-421E8(D1;a-C)は、P-511E8(D1;a-C)の作製方法において、α5鎖E8をα4鎖E8に変更し、β1鎖E8をβ2鎖E8に変更して作製した。

0042

(2)ヒトiPS細胞
ヒトiPS細胞(以下「hiPS細胞」と表記する)として、253G1株および201B7株をRIKEN BRCから購入して使用した。hiPS細胞は、中川らの方法(Nakagawa et al., Sci. Rep. 4:3594, doi:10.1038/srep03594, 2014)を一部変更したプロトコールを用いて維持培養した。253G1株はLN511E8またはP-511E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートに播種して分化誘導させた。201B7株はLN421E8またはP-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートに播種して分化誘導させた。

0043

(3)hiPS細胞の前培養
維持培養中のhiPS細胞に細胞剥離液(TrypLESelect(Life Technologies)を0.5mMEDTA/PBS(-)で1:1に希釈した液)を添加し、37℃5分間インキュベートしてhiPS細胞を剥がし、hiPS細胞懸濁液を調製した。詳細には、インキュベート後に細胞剥離液を吸引除去し、PBS(-)で洗浄した後、10μMのROCK阻害剤(Y-27632、和光純薬)を含有するStemFitAK02N培地(味の素)を1ml/well加え、セルスクレーパーを用いてhiPS細胞を回収した。繰り返しのピペッティング単一細胞まで分散させた後、Countess自動セルカウンター(Life Technologies)を用いて細胞数を測定した。
前日に、培養用6穴プレート(BD biosciences)に22nM P-511E8(D1;a-C)コーティング液、22nM P-421E8(D1;a-C) コーティング液、22nM LN511E8 コーティング液または22nM LN421E8 コーティング液を1.5ml/well添加し、4℃で一夜静置してコーティングを行った。当日、コーティングされたラミニンE8の乾燥による失活を防止するために、PBS(-)で調製したリコンビナントヒト血清アルブミン(Novozymes)溶液(1mg/ml)を1.5ml/well添加した。
ウェルに残った溶液を吸引除去し、単一細胞に分散した253G1株hiPS細胞および201B7株hiPS細胞を、それぞれ5.0×105cells/wellで播種し、前培養を開始した。培地には、10μMのROCK阻害剤(Y-27632)を含有するStemFitAK02N培地を使用した。37℃、0.5%CO2条件下で3日間培養し、50〜60%コンフルエントに達した時点で分化誘導を開始した。

0044

(4)心筋細胞への分化誘導
hiPS細胞から心筋細胞への分化誘導方法として、Kadariらの方法(Kadari et al., Stem Cell Rev and Rep (2015) 11:560-569)を一部変更したプロトコールを用いた。分化誘導に使用した培地、および添加した因子を以下の表5に示した。

0045

0046

分化誘導初日(Day 0)には、B27 supplement(1:50, Life Technologies)、2mM L-glutamine(Life Technologies)、50μg/ml L-Ascorbic acid(Sigma-Aldrich)を含有するRPMI1640(Life Technologies)にBMP4(最終濃度25ng/ml、R&D Sytstems)およびCanonical Wntシグナル活性化剤であるCHIR99021(最終濃度5μM、Sigma-Aldrich)を添加した培地を用いた。24時間後(Day 1)、5μM CHIR99021(最終濃度)を含有するがBMP4を含有しない前記培地に交換した。さらに24時間後(Day 2)、B27 supplement (-)insulin (1:50, Life Technologies)、2mM L-glutamine を含有するRPMI1640に培地を交換した。さらに24時間後(Day 3)、Day 2で用いた培地にCanonical Wntシグナル阻害剤であるIWR1(和光純薬)を最終濃度10μMとなるよう添加した培地に交換した。Day 5にDay 3で用いた培地と同じ培地に交換し、Day 7にB27 supplement、2mM L-glutamineを含有するRPMI1640に交換した。以後、拍動細胞が観察されるまで(最長Day 12まで)1日おきに同じ培地で培地交換を行った。

0047

(5)拍動細胞の観察
253G1株hiPS細胞から分化誘導した細胞の拍動を観察した。PrimoVert倒立顕微鏡(ZEISS)の低倍レンズ(4倍)でウェル全体を観察し、拍動細胞塊の位置を確認した。次に、BZ-X700オールインワン蛍光顕微鏡(Keyence)のタイムラプスモジュールを用いて同倍率(4倍)で拍動細胞塊を10秒間にわたって動画撮影した。次いで、KeyenceのBZ-X700オールインワン蛍光顕微鏡のMotion Analyzerを用いて10秒間の動画を291枚の静止画像に変換し、個々の拍動細胞塊の伸縮している箇所を選択して拍動に伴う移動距離(振幅:μm)を定量測定した。そのデータをExcelにエクスポートしてグラフを作成した。

0048

(6)FACS解析
FACS解析は、山田らの方法 (Yamada et al., Biochem J. 2008 Nov 1;415(3):417-427)を一部変更した方法で実施した。253G1株hiPS細胞から分化誘導した細胞および201B7株hiPS細胞から分化誘導した細胞をFACS解析に供した。一次抗体には、マウス抗トロポニンT抗体(クローン1C11、Abcam)を使用し、二次抗体にはAlexa Fluor488標識ヤギ抗マウスIgG抗体を使用した。

0049

(6-1)253G1株hiPS細胞から分化誘導した細胞のFACS解析
12日間分化誘導した細胞を細胞剥離液(TrypLESelect(Life Technologies)を0.5mMEDTA/PBS(-)で1:1に希釈した液)で剥がし、繰り返しのピペッティングで単一細胞まで分散させた。PBS(-)で希釈したホルマリン(ホルマリン:PBS(-)=1:10)を用いて室温で10分間固定処理を行った。ホルマリンを除去し、PBS(-)で2回洗浄した後、800μlのPBS(-)に懸濁した。

0050

この細胞懸濁液200μlに0.1%Triton X-100を含むPBS(-)を200μl加えて15分間の透過処理を行った。上清を吸引除去した後、1.5%牛胎児血清(FBS, Life Technologies)を含むPBS(-)(ブロッキング液)を500μl添加し、15分間静置した。ブロッキング後、ブロッキング液で4μg/mlに希釈したマウス抗トロポニンT抗体1μlを添加して、室温で60分間インキュベートした。

0051

一次抗体反応終了後、PBS(-)で2回洗浄し、PBS(-)で500倍希釈した二次抗体(Alexa Fluor488標識ヤギ抗マウスIgG抗体)を添加して室温で60分間インキュベートした。その後、500μl PBS(-)で2回洗浄し、再び500μlのPBS(-)で再懸濁した後、FACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson)を用いてトロポニンT陽性細胞の解析を行った。

0052

(6-2)201B7株hiPS細胞から分化誘導した細胞のFACS解析
10日間分化誘導した細胞を用いた。上記(6-1)に記載のとおり、細胞を剥離、分散、固定、洗浄した後、400μlのPBS(-)に懸濁し、細胞懸濁液200μlを用いて(6-1)に記載のとおり一次抗体反応、二次抗体反応を行い、FACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson)を用いてトロポニンT陽性細胞の解析を行った。

0053

<結果>
(1)拍動細胞の観察
hiPS細胞(253G1株)から心筋細胞へ分化誘導した細胞の拍動を観察した結果を図1図2図3に示した。図1は拍動細胞塊を10秒間動画撮影した1コマの静止画像であり、(A)はLN511E8をコーティングしたプレートを用いて分化誘導した細胞、(B)はP-511E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いて分化誘導した細胞の結果である。破線で囲っている部分が1個の拍動細胞塊である。LN511E8をコーティングしたプレートを用いた場合は1視野内に1か所のみ拍動細胞塊が観察されたのに対し、P-511E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いた場合は1視野内に12か所の拍動細胞塊が観察された。

0054

図2図1(A)の拍動細胞塊の10秒間の拍動回数と移動距離をグラフ化した図であり、図3図1(B)の12個の拍動細胞塊のそれぞれについて、10秒間の拍動回数と移動距離をグラフ化した図である。図2、3のグラフのX軸は時間(秒)を示し、Y軸は拍動に伴う始点(選択箇所)からの移動距離(単位μm)を示す。LN511E8をコーティングしたプレートを用いた場合は拍動細胞塊の10秒間の拍動数が5回であったが、P-511E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いた場合は拍動細胞塊が10秒間に8-13回拍動し、よりヒト心筋細胞近似した拍動を示すことがわかった。

0055

(2)FACS解析
(2-1)hiPS細胞(253G1株)から分化誘導した細胞の結果
結果を図4に示した。(A)はLN511E8をコーティングしたプレートを用いた結果であり、(B)P-511E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いた結果である。(A)では15.1%のcTnT陽性細胞が認められた。一方、(B)では71.6%のcTnT陽性細胞が認められた。

0056

(2-2)hiPS細胞(201B7株)から分化誘導した細胞の結果
結果を図5に示した。(A)はLN421E8をコーティングしたプレートを用いた結果であり、(B)はP-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いた結果である。(A)では10.4%のcTnT陽性細胞が認められた。一方、(B)では33.9%のcTnT陽性細胞が認められた。

0057

以上の結果から、hiPS細胞から心筋細胞への分化誘導において、P-511E8(D1;a-C)またはP-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いることの有用性および優位性が明らかになった。

0058

〔実施例2:ヒトiPS細胞から骨格筋細胞への分化誘導におけるラミニンE8とパールカンドメイン1が連結したコンジュゲートの有用性の検証(その1)〕
<実験材料・実験方法>
(1)ラミニンE8およびラミニンE8とパールカンドメイン1が連結したコンジュゲート
LN421E8、P-421E8(D1;a-C)およびP-511E8(D1;a-C)を使用した。これらはいずれも実施例1で使用したものと同じである。

0059

(2)hiPS細胞
hiPS細胞201B7株を使用した。当該201B7株を常法に従ってCRISPR/CAS9システムを用いた相同組換えにより、MYF5遺伝子座開始コドンの5'側へtdTomato配列を連結させ、MYF5の発現と連携してtdTomatoを発現するiPS細胞株(MYF5-tdTomato C3 iPSCs、以下「MYF5-tdTomato」と表記する)を作製した。MYF5-tdTomatoは、片アレルのみに遺伝子組み換えが行われたことを確認している。

0060

(3)hiPS細胞の前培養
6穴プレートで維持培養中のhiPS細胞のウェルから培地を吸引除去し、PBS(-) 1mlを添加して洗浄し、Accutaseを500μl添加し、37℃10分間インキュベートした。ピペッティングにより細胞を剥離し、StemFitAK02N培地(味の素)を2ml添加してチューブに回収した。900rpmで5分間遠心分離し、上清を除去して10μMのY-27632を含有するStemFitAK02N培地を1〜2ml加えて再懸濁し、細胞数を測定した。
培養用6穴プレートに、22nM P-511E8(D1;a-C)コーティング液、22nM P-421E8(D1;a-C) コーティング液または22nM LN421E8 コーティング液を1.5ml/well添加し、37℃で1時間静置してコーティングを行った。マトリゲルはhiPS細胞維持培地KSR培地、bFGF不含)で100倍に希釈してウェルに添加し、37℃で一夜静置してコーティングを行った。ウェルに残ったコーティング溶液を吸引除去し、単一細胞に分散したhiPS細胞(MYF5-tdTomatoまたは201B7株)を、1×104cells/wellで播種し、前培養を開始した(Day -3)。翌日(Day -2)10μM Y-27632含有StemFitAK02Nで培地交換し、2日間培養を続けた。

0061

(4)骨格筋細胞への分化誘導
分化誘導開始日(Day 0)に、分化培地A(2ml/well)に培地交換した。分化培地Aは、5μMのSB431542、10μMのCHIR99021を含有するCDMi基本培地(Iscove's Modified Dulbecco's Medium (12440053, Invitrogen)とHam's F-12 Nutrient Mixture (11765054, Invitrogen) を1:1で混合した培地に1% Penicillin-Streptomycin Mixed Solution (ナカライテスク)、1% CD Lipid Concentrate (Invitrogen)、1% Insulin-Transferrin-Selenium (Invitrogen)、450μM 1-Thioglycerol (SIGMA)を添加したもの)である。その後、2日目(Day 2)および5日目(Day 5)に培地交換を行った。

0062

7日目(Day 7)に次の方法で継代を行った。培地を吸引し、PBS(-)で2回洗浄した後、500μL 0.25%Trypsin/1mMEDTAを添加して、37℃で5分間インキュベートした。続いて、2.5mlのCDMi基本培地を加えて、ピペッティングにより単一細胞まで分散させた。900rpm、4℃で5分間遠心分離した後、上清を除去し、CDMi基本培地で再懸濁した。その後、細胞数をカウントした。前日にマトリゲル、LN421E8、P-421E8(D1;a-C)またはP-511E8(D1;a-C)をコーティングした培養用6穴プレートに、分化培地A(2ml/well)を添加し、4×105cells/wellで播種した。8日目(Day 8)、10日目(Day 10)および12日目(Day 12)に培地交換を行った。

0063

14日目(Day 14)にDay 7と同じ方法で継代を行った。ただし、培地を10μMのY-27632を含有するCDMi基本培地に変更した。播種細胞数は、10cmディッシュの場合1枚あたり6×105個、6cmディッシュの場合1枚あたり2×105個、6wellプレートの場合1wellあたり1×105個とした。

0064

17日目(Day 17)に培地を筋分化培地に変更した。筋分化培地は、0.2%BSA、200μM 2-ME、10ng/ml IGF-1(Peprotech)、10ng/mlHGF(Peprotech)および10ng/ml bFGF(オリエンタ酵母)を含有するエスクロンSF-O3(ss1303, 三光純薬)である。38日目までは週2回、新鮮な筋分化培地で培地交換を行った。

0065

38日目(Day 38)以降も培養を続ける場合は、Day 38に培地を成熟化培地に変更し、週3回培地交換を行って培養を続けた。成熟化培地は、2% Horse Serum(HS)、5μM SB431542および10ng/ml IGF-1を添加したDMEM基本培地(0.5% Penicillin-Streptomycin Mixed Solution (ナカライテスク)、1mM L-gluthamine (ナカライテスク)、50μM 2-MEを含有するDMEM培地)である。

0066

(5)免疫染色
分化誘導38日目の細胞をプレート上に接着したまま、PBS(-)で希釈した2%パラホルムアルデヒド溶液を用いて4℃で10分間固定処理を行った。パラホルムアルデヒドを除去し接着細胞をPBS(-)で3回洗浄した後、ブロッキングワン液(ナカライテスク)にて1時間室温でブロッキングした。一次抗体にはマウス抗ミオシン重鎖(MHC)抗体(eBiosciense)およびウサギ抗MyoD抗体(Abcam)を使用した。当該抗体を0.1% Triton-X 100/PBS(-)で10倍に希釈したブロッキングワン液で400倍希釈し、ブロッキングワン液を除去した接着細胞に添加し、室温で60分間インキュベートした。0.1% Triton-X 100/PBS(-)で3回洗浄した後、0.1% Triton-X 100/PBS(-)で10倍に希釈したブロッキングワン液で500倍希釈したAlexa Fluor488標識抗ウサギIgG抗体およびAlexa Fluor568標識抗マウスIgG抗体を添加し、遮光下室温で60分間インキュベートした。0.1% Triton-X 100/PBS(-)で3回洗浄した後、PBS(-)で50000倍希釈したDAPI(Thermo Fisher)で、遮光下室温で5分間カウンター染色を行った。PBS(-)で3回洗浄した後、BZ-X700オールインワン蛍光顕微鏡を用いてMHCおよびMyoD陽性細胞を観察した。

0067

(6)遺伝子発現量の定量
分化14日目の細胞を回収し、SIX1およびSox1の遺伝子発現量を定量した。また、分化38日目の細胞を回収し、MyoD、Myosin Heavy Chain(MHC)、MyogeninおよびPax7の遺伝子発現量を定量した。具体的には、ReliaPrep RNA Cell Miniprep System(Promega)を用いて、回収した細胞からRNAを精製した。精製したRNA 1μgより、ReverTraAce-a-キット東洋紡)を用いてcDNAを合成した。得られたcDNAをテンプレートとして、PowerSYBR Green Master Mix(Thermo Fisher)を用いて、各遺伝子特異的プライマーとともに定量的PCRを実施した。PCR反応および解析は、StepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Thermo Fisher)を用いて標準プロトコールにて実施した。別途未分化hiPS細胞を免疫不全マウス移植して形成させた奇形腫からRNAを精製してcDNAを合成し、標準曲線作成用のポジティブコントロールとして使用した。奇形腫における各遺伝子の発現量を1とし、分化誘導後の細胞における各遺伝子の相対発現量を算出した。なお、total RNA量を内因性コントロールであるβアクチンの発現量で補正した。

0068

(7)FACS解析
分化18日目あるいは85日目の細胞を0.2% Collagenase I(Sigma)にて37℃、30分反応させ細胞をディッシュから剥離し、さらにAccutase(ナカライテスク)にて37℃、10分間反応させ、繰り返しのピペッティングで単一細胞まで分散させた。遠心後上清を除去し、細胞ペレットを1%BSA含有HBSS(-)(Thermo Fisher)1mlにて懸濁し、LSRFortessaセルアナライザー(BD Biosciences)を用いてtdTomatoの発現量を解析した。

0069

<結果1:MYF5-tdTomatoを用いた骨格筋細胞への分化誘導の評価>
hiPS細胞としてMYF5-tdTomatoを用い、マトリゲル、LN421E8、P-421E8(D1;a-C)またはP-511E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートで、上記の方法により骨格筋細胞への分化誘導を行った。14日目の細胞におけるSIX1遺伝子(骨格筋に発現)とSox1遺伝子(神経に発現)の発現量を定量した。18日目および85日目の細胞におけるMyf5(骨格筋幹細胞マーカー)陽性細胞の出現率をFACSで解析した。38日目の細胞におけるMHCとMyoDの発現を免疫染色により観察した。

0070

(1)免疫染色
38日目の細胞におけるMHCとMyoDの発現を免疫染色により観察した結果を図6に示した。マトリゲルをコーティングしたプレートを用いた場合は(上段:MG)、観察視野の中にMHC陽性細胞およびMyoD陽性細胞が存在する領域と存在しない領域(黒い部分)が観察された。LN421E8をコーティングしたプレートを用いた場合は(2段目:421)、観察視野の一部にMHC陽性細胞およびMyoD陽性細胞が存在したに過ぎず、マトリゲルより分化効率が劣ることが示された。一方、P-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いた場合は(3段目:p421)、観察視野の全体にMHC陽性細胞およびMyoD陽性細胞が観察され、分化効率はマトリゲルより顕著に優れていることが示された。P-511E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いた場合は(下段:p511)、マトリゲルと同様にMHC陽性細胞およびMyoD陽性細胞が存在する領域と存在しない領域(黒い部分)が混在したが、存在する領域はマトリゲルより多かった。

0071

(2)遺伝子発現
14日目の細胞におけるSIX1遺伝子およびSox1遺伝子の発現量を定量した結果を図7に示した。(A)はSIX1遺伝子の結果、(B)はSox1遺伝子の結果である。骨格筋に発現するSIX1遺伝子は、P-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いた場合(図中p421)、マトリゲルをコーティングしたプレートを用いた場合(図中MG)より2倍以上発現量が高かった。P-511E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いた場合は(図中p511)マトリゲルと同程度の発現量であり、LN421E8をコーティングしたプレートを用いた場合は(図中421)ほとんど発現していなかった。神経に発現するSox1遺伝子は、LN421E8をコーティングしたプレートを用いた場合(図中421)に発現量が高かったが、それ以外では、ほとんど発現していなかった。

0072

(3)FACS解析
18日目および85日目の細胞におけるMyf5(骨格筋幹細胞マーカー)陽性細胞の出現率をFACSで解析した結果を図8に示した。左は18日目の結果、右は85日目の結果である。P-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いた場合(図中p421)、18日目の時点でMyf5陽性細胞6.9%出現しており、マトリゲルをコーティングしたプレートを用いた場合(図中MG)の出現率(1.6%)より顕著に高かった。85日目では、マトリゲルをコーティングしたプレートを用いた場合が4.6%であるのに対して、P-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いた場合は22.8%であった。

0073

<結果2:201B7株を用いた骨格筋細胞への分化誘導の評価>
hiPS細胞として、未分化性が安定しており分化誘導が難しいことが知られている201B7株を用い、マトリゲルまたはP-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートで、上記の方法により骨格筋細胞への分化誘導を行った。38日目の細胞におけるMHCとMyoDの発現を免疫染色により観察した。また、38日目の細胞における骨格筋マーカー遺伝子(MyoD、MHC、Myogenin、Pax7)の発現量を定量した。

0074

38日目の細胞におけるMHCとMyoDの発現を免疫染色により観察した結果を図9に示した。マトリゲルをコーティングしたプレートを用いた場合は(上段:MG)観察視野の一部にMHC陽性細胞およびMyoD陽性細胞が観察され、分化誘導効率が低かった。一方、P-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを使用した場合は(下段:p421)観察視野の全体にMHC陽性細胞およびMyoD陽性細胞が観察され、分化誘導効率が顕著に優れていることが示された。

0075

38日目の細胞における骨格筋マーカー遺伝子(MyoD、MHC、Myogenin、Pax7)の発現量を定量した結果を図10に示した。(A)はMyoD遺伝子の結果、(B)はMHC遺伝子の結果、(C)はMyogenin遺伝子の結果、(D)はPax7遺伝子の結果である。いずれの遺伝子発現も、マトリゲルをコーティングしたプレートを用いた場合よりP-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを使用した場合の方が高かった。

0076

以上の結果から、hiPS細胞から骨格筋細胞への分化誘導において、P-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いることの有用性および優位性が明らかになった。また、P-511E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いた場合は、マトリゲルをコーティングしたプレートを用いた場合と同等の分化誘導効率が得られることが明らかになった。

0077

〔実施例3:ヒトiPS細胞から骨格筋細胞への分化誘導におけるラミニンE8とパールカンドメイン1が連結したコンジュゲートの有用性の検証(その2)〕
<実験材料・実験方法>
(1)ラミニンE8およびラミニンE8とパールカンドメイン1が連結したコンジュゲート
実施例2で用いたLN421E8、P-421E8(D1;a-C)およびP-511E8(D1;a-C)以外に、ヒトラミニン111E8(以下「LN111E8」)およびLN111E8のα1鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲート(以下「P-111E8(D1;a-C)」)、ヒトラミニン211E8(以下「LN211E8」)およびLN211E8のα2鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲート(以下「P-211E8(D1;a-C)」)、ヒトラミニン332E8(以下「LN332E8」)およびLN332E8のα3鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲート(以下「P-332E8(D1;a-C)」)、ヒトラミニン411E8(以下「LN411E8」)およびLN411E8のα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲート(以下「P-411E8(D1;a-C)」)、ヒトラミニン511E8(以下「LN511E8」)、ならびに、ヒトラミニン521E8(以下「LN521E8」)およびLN521E8のα5鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲート(以下「P-521E8(D1;a-C)」)を使用した。各ラミニンE8は、井戸らの方法(Hiroyuki Ido et al., J. Biol. Chem., 282, 11144-11154, 2007)を適宜変更して作製した。各ラミニンE8とパールカンドメイン1が連結したコンジュゲートは、WO2014/199754A1に記載の方法を適宜変更して作製した。

0078

(2)hiPS細胞
hiPS細胞201B7株を使用した。
(3)hiPS細胞の前培養
上記の各ラミニンE8、上記の各コンジュゲートおよびマトリゲルをコーティングしたプレートを用いて、実施例2(3)と同じ方法で行った。
(4)骨格筋細胞への分化誘導
上記の各ラミニンE8、上記の各コンジュゲートおよびマトリゲルをコーティングしたプレートを用いて、実施例2(4)と同じ方法で行った。

0079

(5)免疫染色
ウサギ抗MyoD抗体(Abcam)およびAlexa Fluor488標識抗ウサギIgG抗体を使用しなかったこと以外は、実施例2(5)と同じ方法で行った。
(6)遺伝子発現量の定量
分化14日目の細胞を回収し、皮筋節(dermomyotome)マーカーであるSIX1遺伝子およびDMRT2遺伝子の発現量を定量した。遺伝子発現量の定量は、実施例2(6)と同じ方法で行った。

0080

<結果>
(1)免疫染色
分化誘導38日目の細胞におけるMHCの発現を免疫染色により観察した結果を図11に示した。マトリゲルをコーティングしたプレートを用いた場合は(左1段目:MG)、観察視野の中にMHC陽性細胞が存在する領域と存在しない領域(黒い部分)が観察された。各ラミニンE8(左2〜8段目、111〜521)をコーティングしたプレートを用いた場合は、MHC陽性細胞がほとんど存在しなかった。各コンジュゲート(右1〜7段目、p111〜p521)をコーティングしたプレートを用いた場合はいずれもMHC陽性細胞が存在したが、実施例2の結果と同様に、P-421E8(D1;a-C)コーティングプレートを用いた場合(右5段目、p421)、観察視野の全体にMHC陽性細胞が観察され、分化効率はマトリゲルより顕著に優れていることが示された。P-411E8(D1;a-C)コーティングプレート、P-511E8(D1;a-C)コーティングプレートおよびP-521E8(D1;a-C)コーティングプレートを用いた場合(右4、6、7段目、p411、p511、p521)は、マトリゲルコーティングプレート(左1段目:MG)を用いた場合と同程度の領域にMHC陽性細胞が観察された。P-111E8(D1;a-C)コーティングプレート、P-211E8(D1;a-C)コーティングプレートおよびP-3321E8(D1;a-C)コーティングプレートを用いた場合(右1-3段目、p111、p211、p322)は、マトリゲルコーティングプレートを用いた場合より、MHC陽性細胞の領域は少なかった。

0081

(2)遺伝子発現
14日目の細胞におけるSIX1遺伝子およびDMRT2遺伝子の発現量を定量した結果を図12に示した。(A)はSIX1遺伝子の結果、(B)はDMRT2遺伝子の結果である。両遺伝子とも、各ラミニンE8(図中Perlecan -)、P-111E8(D1;a-C)(図中111+)およびP-332E8(D1;a-C)(図中332+)をそれぞれコーティングしたプレートを用いた場合は、マトリゲルコーティングプレートを用いた場合と同程度の発現量であった。両遺伝子とも、P-211E8(D1;a-C)(図中211+)、P-411E8(D1;a-C)(図中411+)、P-421E8(D1;a-C)(図中421+)、P-511E8(D1;a-C)(図中511+)およびP-521E8(D1;a-C)(図中521+)をそれぞれコーティングしたプレートを用いた場合は、マトリゲルコーティングプレートを用いた場合より顕著に発現量が高かった。なかでも、P-421E8(D1;a-C)コーティングプレートを用いた場合が、最も発現量が高かった。

0082

(3)小括
以上の結果から、hiPS細胞から骨格筋細胞への分化誘導において、P-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いることの有用性および優位性が明らかになった。また、P-411E8(D1;a-C)、P-511E8(D1;a-C)およびP-521E8(D1;a-C)をそれぞれコーティングしたプレートを用いた場合は、マトリゲルをコーティングしたプレートを用いた場合と同等の分化誘導効率が得られることが明らかになった。

0083

〔実施例4:ヒトiPS細胞から骨格筋細胞への分化誘導におけるラミニンE8とヘパラン硫酸鎖を除去したパールカンドメイン1のコンジュゲート効果検証〕
<実験材料・実験方法>
(1)ラミニンE8およびラミニンE8とパールカンドメイン1が連結したコンジュゲート
LN421E8およびP-421E8(D1;a-C)を使用した。
(2)hiPS細胞
hiPS細胞201B7株を使用した。

0084

(3)プレートのコーティング
培養用6穴プレートに、22nM P-421E8(D1;a-C)コーティング液または22nM LN421E8 コーティング液を1.5ml/well添加し、4℃で一夜静置してコーティングを行った。
(4)P-421E8(D1;a-C)コーティングプレートのヘパリチナーゼ処理
22nM P-421E8(D1;a-C)コーティング液を1.5ml/well添加して4℃で一夜静置したプレートを、0.1%リコンビナントヒト血清アルブミン(rHSA)を含むTris Buffered Saline(TBS)で3回洗浄した。続いて、1%スキムミルクを含むTBSを添加して室温で1時間静置し、ブロッキングを行った。0.1%rHSA/TBSで3回洗浄した後、ヘパリチナーゼ液(生化学工業製Heparitinase(Code#:100703)8 mU/ml;0.22μmフィルターでろ過滅菌したもの)を1.5ml添加し、37℃で6時間インキュベートした。0.1%rHSA/PBSで3回洗浄した。ヘパリチナーゼ処理後のプレートにおいてパールカンドメイン1からヘパラン硫酸鎖が除去されていることを、一次抗体として抗ヘパラン硫酸抗体(Ab Heparan Sulfate, purified (clone F58-10E4) MouseIgM,κ-chain;AMSBiotechnology)、二次抗体としてAlexa Fluor 488 Goat Anti-Mouse IgM μchain(Invitrogen)を用いた免疫染色により確認した。

0085

(5)hiPS細胞の前培養
LN421E8、P-421E8(D1;a-C)およびヘパリチナーゼ処理したP-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いて、実施例2(3)と同じ方法で行った。
(6)骨格筋細胞への分化誘導
LN421E8、P-421E8(D1;a-C)およびヘパリチナーゼ処理したP-421E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いて、実施例2(4)と同じ方法で行った。

0086

(7)免疫染色
実施例2(5)と同じ方法で行った。
(8)遺伝子発現量の定量
分化14日目の細胞を回収し、皮筋節(dermomyotome)マーカーであるSIX1遺伝子の発現量を定量した。遺伝子発現量の定量は、実施例2(6)と同じ方法で行った。

0087

<結果>
(1)免疫染色
38日目の細胞におけるMHCとMyoDの発現を免疫染色により観察した結果を図13に示した。P-421E8(D1;a-C)コーティングプレートを用いた場合(左:p421)は観察視野の全体にMHC陽性細胞およびMyoD陽性細胞が観察されたが、ヘパリチナーゼ処理P-421E8(D1;a-C)コーティングプレートを用いた場合(中央:p421+Hepa)は、LN421E8コーティングプレートを用いた場合(右:421)と同様に、MHC陽性細胞およびMyoD陽性細胞は観察されなかった。

0088

(2)遺伝子発現
14日目の細胞におけるSIX1遺伝子の発現量を定量した結果を図14に示した。ヘパリチナーゼ処理P-421E8(D1;a-C)コーティングプレートを用いた場合(p421+Hepa)の発現量は、LN421E8コーティングプレートを用いた場合(421)と同程度の低い発現量であったが、P-421E8(D1;a-C)コーティングプレートを用いた場合は、有意に高い発現量を示した。

0089

(3)小括
以上の結果から、ラミニンE8とパールカンドメイン1が連結したコンジュゲートを用いて多能性幹細胞を体細胞に分化誘導する方法において、パールカンドメイン1のヘパラン硫酸鎖が重要な役割を演じていることが明らかになった。

0090

〔実施例5:ヒトiPS細胞から血管内皮細胞への分化誘導におけるラミニンE8とパールカンドメイン1が連結したコンジュゲートの有用性の検証〕
<実験材料・実験方法>
(1)ラミニンE8およびラミニンE8とパールカンドメイン1が連結したコンジュゲート
ヒトラミニン411E8(以下「LN411E8」と表記する)、LN411E8のα4鎖のC末端にヒトパールカンのドメイン1を融合させたコンジュゲート(以下「P-411E8(D1;a-C)」と表記する)およびLN511E8を使用した。LN511E8は井戸らの方法(Hiroyuki Ido et al., J. Biol. Chem., 282, 11144-11154, 2007)に従って作製した(WO2014/199754A1の実施例参照)。LN411E8は、上記井戸らの方法において、α5鎖E8をα4鎖E8に変更して作製した。P-411E8(D1;a-C)は、WO2014/199754A1に記載のP-511E8(D1;a-C)の作製方法(実施例1参照)において、α5鎖E8をα4鎖E8に変更して作製した。

0091

(2)hiPS細胞
京都大学の山中伸弥教授より受領したhiPS細胞409B2株を使用した。
(3)プレートのコーティング
LN511E8、LN411E8およびP-411E8(D1;a-C)をそれぞれPBS(-)で溶解してコーティング溶液を調製し、コーティング濃度が0.4μg/cm2になるように培養用6穴プレート(BD Falcon)に分注し、37℃で2時間静置してコーティングを行った。

0092

(4)血管内皮細胞への分化誘導
維持培養中のhiPS細胞に細胞剥離液(TrypLESelect(Life Technologies)を0.5mMEDTA/PBS(-)で1:1に希釈した液)を添加し、37℃5分間インキュベートしてhiPS細胞を剥がした。hiPS細胞の細胞塊をLN511E8でコーティングした6穴プレートに5細胞塊/cm2の密度で播種し、mTeSR1培地で培養した。コロニーの直径が約750μmになったら、培地をCHIR99021(4μM)、BMP4(80ng/mL)およびVEGF(80ng/mL)を含むEssential8培地(Thermo Fisher)に交換し、中胚葉前駆細胞への分化を誘導した。
培地交換後51時間目に、TrypLE Expressを37℃の条件で20分間反応させて全ての細胞を剥がし、繰り返しのピペッティングで単一細胞まで分散させた。LN411E8またはP-411E8(D1;a-C)でコーティングした6ウェルプレートに、単一細胞に分散した中胚葉前駆細胞を2×105/wellの密度で播種した。その後、VEGF(20μg/mLまたは80μg/mL)を含むStemPro-34SFM培地(Thermo Fisher)で4日間培養した。

0093

(5)FACS解析
血管内皮細胞への分化誘導4日目におけるマーカーの発現をフローサイトメトリーで解析した。詳細には、細胞をTrypLEExpressで37℃で20分間処理し、StemPro-34SFM培地で抗体反応を行った。抗ヒトVE-カドヘリン抗体(eBioscience、1:100で希釈)および抗ヒトCD31抗体(R&D systems、1:10で希釈)を用いた。

0094

<結果>
(1)血管内皮細胞(VE-カドヘリン陽性/CD31陽性細胞)数
結果を図15に示した。いずれのVEGF濃度条件においても、VE-カドヘリン陽性/CD31陽性細胞数は、P-411E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いたほうがLN411E8をコーティングしたプレートを用いた場合より有意に増加していた。

0095

(2)血管内皮細胞(VE-カドヘリン陽性/CD31陽性細胞)率
結果を図16に示した。いずれのVEGF濃度条件においても、VE-カドヘリン陽性/CD31陽性細胞率は、P-411E8(D1;a-C)をコーティングしたプレートを用いたほうがLN411E8をコーティングしたプレートを用いた場合より高い傾向を示した。

実施例

0096

なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。

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