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技術 ポリアミド系樹脂、成形体、積層体、医療機器、及びポリアミド系樹脂の製造方法

出願人 株式会社カネカ
発明者 加藤隆之
出願日 2017年11月9日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-550267
公開日 2019年10月3日 (7ヶ月経過) 公開番号 WO2018-088495
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 温調計 カルボニル末端基 脂肪族単位 拡張率 打抜き刃 医療機器用 医療用部材 ポリアミド形成性モノマー
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課題・解決手段

固体状態において、破断強度破断伸び等の機械的特性バランスに優れるポリアミド系樹脂と、当該ポリアミド系樹脂を含む成形体と、当該ポリアミド系樹脂を含むフィルム又はシートを備える積層体と、前述の成形体、及び前述の積層体の少なくとも1つを備える医療機器と、前述のポリアミド系樹脂の製造方法とを提供すること。 ポリアミド系樹脂として、単位(a)として炭素原子数10以上20以下の直鎖状脂肪族ジカルボニル単位と、単位(b)として炭素原子数10以上20以下の直鎖状脂肪族ジアミノ単位と、単位(a)及び単位(b)以外の所定の構造の脂肪族単位と、を含む樹脂を用いる。

概要

背景

ポリアミドエラストマー等のポリアミド系樹脂は、食品等の包装材料医療機器用部材、電気機械精密機器用部材、自動車用部材等の様々な分野で幅広く用いられている樹脂化合物である。これらのうち、医療機器用部材としては、例えば医療用チューブカテーテル用バルーン等の構成材料として用いられている。医療機器用部材に用いる場合は、ポリアミドエラストマーには、所望の形状に精密に成形できる押出成形性ブロー成形性等の成形性や使用時の圧力や屈曲等による破壊に耐えうる柔軟性、破断伸度破断強度等の力学的特性が求められている。

特許文献1には、所定の両末端カルボキシ基を有するポリアミド炭素数が3以上のアルキレン基を持つ両末端アミポリオキシアルキレン及び所定のジアミン縮重合させて得られるブロックポリエーテルアミドが開示されている。また、特許文献2には、ポリアミド形成性モノマー、炭素数が3以上のアルキレン基を持つ両末端アミノポリオキシアルキレン、所定のジアミン及び特定量ジカルボン酸重縮合させて得られるポリエーテルアミドが開示されている。特許文献1及び特許文献2に記載のポリエーテルアミドは、ある程度の柔軟性や耐衝撃性を有すると考えらえる。
しかしながら、特許文献1及び2に記載の成分構成ポリテルアミドでは、炭素数が3以上のアルキレン基を持つポリエーテルを用いても、柔軟性、破断伸度や破断強度等の機械的強度が不十分であり、更なる向上が求められていた。

特許文献3には、(A)所定のアミノカルボン酸化合物及び所定のラクタム化合物から選ばれるポリアミド形成性モノマー、(B)PTMO(ポリテトラメチレンオキサイド骨格を有するポリエーテルジアミン並びに分岐型ジアミン、分岐脂環式ジアミンノルボルナンジアミンから選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物、(C)所定のジカルボン酸化合物重合して得られるポリアミドエラストマーが開示されている。しかしながら、特許文献3に記載の発明で用いられるこれらのジアミン化合物は反応性に乏しく、長い重合時間を要する。そのため、重合中に重合物の一部が熱分解し、得られるエラストマーが着色したり、十分に反応しない等により得られたエラストマーの破断伸び、破断強度等の強度が十分ではないという問題がある。

特許文献4には、破断伸度が1000%以上、弾性率が15MPa以下の柔軟な織編物へのコーティングもしくは含浸共重合ポリエーテルポリアミド樹脂が開示されている。また、具体的な構成として、炭素数2〜3のアルキレン基を有するポリエーテルジアミン化合物と所定のジカルボン酸化合物とから構成されたポリエーテルポリアミドからなるソフトセグメント、並びに、所定のアミノカルボン酸及び/又は所定のラクタム化合物から構成されたポリアミドからなるハードセグメントが結合されてなるポリエーテルポリアミド樹脂が開示されている。しかしながら、特許文献4に記載のポリエーテルポリアミド樹脂は、ポリエーテル成分の反応性が低く、樹脂の破断強度が十分ではないという問題がある。

概要

固体状態において、破断強度や破断伸び等の機械的特性バランスに優れるポリアミド系樹脂と、当該ポリアミド系樹脂を含む成形体と、当該ポリアミド系樹脂を含むフィルム又はシートを備える積層体と、前述の成形体、及び前述の積層体の少なくとも1つを備える医療機器と、前述のポリアミド系樹脂の製造方法とを提供すること。 ポリアミド系樹脂として、単位(a)として炭素原子数10以上20以下の直鎖状脂肪族ジカルボニル単位と、単位(b)として炭素原子数10以上20以下の直鎖状脂肪族ジアミノ単位と、単位(a)及び単位(b)以外の所定の構造の脂肪族単位と、を含む樹脂を用いる。

目的

本発明の目的は、固体状態において、破断強度や破断伸び等の機械的特性のバランスに優れるポリアミド系樹脂と、当該ポリアミド系樹脂を含む成形体と、当該ポリアミド系樹脂を含むフィルム又はシートを備える積層体と、前述の成形体、及び前述の積層体の少なくとも1つを備える医療機器と、前述のポリアミド系樹脂の製造方法とを提供する

効果

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請求項1

単位(a)と、単位(b)を含み、さらに単位(c−I)、単位(c—II)、単位(d−I)、及び単位(d−II)からなる群より選択される少なくとも1種を含むポリアミド系樹脂であって、前記単位(a)が、下記式(A):−CO−R1−CO−・・・(A)(式(A)中、R1は、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基である。)で表される単位であり、前記単位(b)が、下記式(B):−NH−R2−NH−・・・(B)(式(B)中、R2は、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族である。)で表される単位(b)と、前記単位(c−I)が下記式(C−I):−CO−R3(−O−R4)m−CO−・・・(C−I)(式(C−I)中、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上6以下の鎖状脂肪族基であり、mは1以上30以下の整数である。)で表される単位であり、前記単位(c−II)が、下記式(C−II):−NH−R5(−O−R6)n−NH−・・・(C−II)(式(C−II)中、R5、及びR6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上3以下の鎖状脂肪族基であり、nは1以上30以下の整数である。)で表される単位であり、前記単位(d−I)が、下記式(D−I):−CO−R7−CO−・・・(D−I)(式(D−I)中、R7は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)で表される単位であり、前記単位(d−II)が、下記式(D−II):−NH−R8−NH−・・・(D−II)(式(D−II)中、R8は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)で表される単位であり、前記ポリアミド系樹脂中の、前記単位(a)の含有量と、前記単位(b)の含有量とが、それぞれ1質量%以上50質量%以下であり、前記ポリアミド系樹脂が前記単位(c−I)及び前記単位(c−II)から選択される少なくとも1種を含む場合、前記ポリアミド系樹脂中の前記単位(c−I)の含有量と、前記単位(c−II)の含有量との合計が1質量%以上50質量%以下であり、前記ポリアミド系樹脂が前記単位(d1−I)及び前記単位(d−II)から選択される少なくとも1種を含む場合、前記ポリアミド系樹脂中の前記単位(d−I)の含有量と、前記単位(d−II)の含有量との合計が1質量%以上50質量%以下であり、前記ポリアミド系樹脂中の、前記単位(a)、前記単位(b)、前記単位(c1)、前記単位(c2)、前記単位(d1)、及び前記単位(d2)の含有量の合計が、90質量%以上であり、前記ポリアミド系樹脂を構成する全単位における、カルボニル末端基モル量(Ac)と、アミノ(Aa)末端基モル量との比率が、Ac/Aaとして80/100〜100/80である、ポリアミド系樹脂。

請求項2

前記単位(a)と、前記単位(b)と、前記単位(c−I)及び前記単位(c−II)から選択される少なくとも1種と、を含む、請求項1に記載のポリアミド系樹脂。

請求項3

前記単位(c−II)が、下記一般式(1)で表される単位である、請求項1又は2に記載のポリアミド系樹脂。−NH−(CH(CH3)CH2O−)x−(CH2CH2O−)y−(CH(CH3)CH2O−)z−CH2CH(CH3)−NH−・・・(1)(式(1)中、x、y及びzは、x+zは1以上6以下の実数で、yは1以上20以下の実数である。)

請求項4

前記単位(a)と前記単位(b)と前記単位(c−II)と前記単位(d−II)とを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂。

請求項5

前記単位(a)がドデカンジオイル単位であり、前記単位(b)が1,12−ジアミノドデカン単位であり、前記単位(c−II)がトリブロックポリエーテルの両末端にアミノ基(−NH−)を有するジアミノ単位である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂。

請求項6

前記単位(a)の含有量が、1質量%以上50質量%未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂。

請求項7

前記単位(b)の含有量が、1質量%以上50質量%未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリアミド系樹脂を含む材料からなる成形体

請求項9

フィルムシートチューブ粉末、繊維、織布、不織布、又はカテーテル用バルーンである、請求項8に記載の成形体。

請求項10

請求項9に記載の前記フィルム、又は前記シートを含む、積層体

請求項11

請求項9に記載の成形体、及び請求項10に記載の積層体からなる群より選択される少なくとも1種を備える医療機器

請求項12

下記式(C−1):HOOC−R3(−O−R4)m−COOH・・・(C−1)(式(C−1)中、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上6以下の鎖状脂肪族基であり、mは1以上30以下の整数である。)で表されるジカルボン酸(c−1)、又はそのアミド形成性誘導体、下記式(C−2):H2N−R5(−O−R6)n−NH2・・・(C−2)(式(C−2)中、R5、及びR6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上3以下の鎖状脂肪族基であり、nは1以上30以下の整数である。)で表されるジアミン(c−2)、下記式(D−1):HOOC−R7−COOH・・・(D−1)(式(D−1)中、R7は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)で表されるジカルボン酸(d−1)、又はそのアミド形成性誘導体、及び、下記式(D−2):H2N−R8−NH2・・・(D−2)(式(D−2)中、R8は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)で表されるジアミン(d−2)、からなる群より選択される1種以上と、下記式(A1):HOOC−R1−COOH・・・(A1)(式(A)中、R1は、炭素原子数8以上の直鎖脂肪族基である。)で表されるジカルボン酸(a1)、又はそのアミド形成性誘導体と、下記式(B1):H2N−R2−NH2・・・(B1)(式(B)中、R2は、炭素原子数10以上の直鎖脂肪族である。)で表されるジアミン(b1)と、を反応させてポリアミド系樹脂を生成させることと、を含む請求項1に記載のポリアミド系樹脂を製造する方法。

請求項13

前記ジカルボン酸(a1)、又はそのアミド形成性誘導体と、前記ジアミン(b1)とを反応させてプレポリマーを得ることと、前記プレポリマーを、ジカルボン酸(c−1)、又はそのアミド形成性誘導体と、前記ジアミン(c−2)と、前記ジカルボン酸(d−1)、又はそのアミド形成性誘導体と、前記ジアミン(d−2)とからなる群より選択される1以上と反応させることと、を含む、請求項12に記載の方法。

請求項14

前記プレポリマーを生成させる反応と、前記ポリアミド系樹脂を生成させる反応とが、溶融混練法で行われる、請求項13に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、ポリアミド系樹脂と、当該ポリアミド系樹脂を含む成形体と、当該ポリアミド系樹脂を含むフィルム又はシートを備える積層体と、前述の成形体、及び前述の積層体の少なくとも1つを備える医療機器と、前述のポリアミド系樹脂の製造方法とに関する。

背景技術

0002

ポリアミドエラストマー等のポリアミド系樹脂は、食品等の包装材料医療機器用部材、電気機械精密機器用部材、自動車用部材等の様々な分野で幅広く用いられている樹脂化合物である。これらのうち、医療機器用部材としては、例えば医療用チューブカテーテル用バルーン等の構成材料として用いられている。医療機器用部材に用いる場合は、ポリアミドエラストマーには、所望の形状に精密に成形できる押出成形性ブロー成形性等の成形性や使用時の圧力や屈曲等による破壊に耐えうる柔軟性、破断伸度破断強度等の力学的特性が求められている。

0003

特許文献1には、所定の両末端カルボキシ基を有するポリアミド炭素数が3以上のアルキレン基を持つ両末端アミポリオキシアルキレン及び所定のジアミン縮重合させて得られるブロックポリエーテルアミドが開示されている。また、特許文献2には、ポリアミド形成性モノマー、炭素数が3以上のアルキレン基を持つ両末端アミノポリオキシアルキレン、所定のジアミン及び特定量ジカルボン酸重縮合させて得られるポリエーテルアミドが開示されている。特許文献1及び特許文献2に記載のポリエーテルアミドは、ある程度の柔軟性や耐衝撃性を有すると考えらえる。
しかしながら、特許文献1及び2に記載の成分構成ポリテルアミドでは、炭素数が3以上のアルキレン基を持つポリエーテルを用いても、柔軟性、破断伸度や破断強度等の機械的強度が不十分であり、更なる向上が求められていた。

0004

特許文献3には、(A)所定のアミノカルボン酸化合物及び所定のラクタム化合物から選ばれるポリアミド形成性モノマー、(B)PTMO(ポリテトラメチレンオキサイド骨格を有するポリエーテルジアミン並びに分岐型ジアミン、分岐脂環式ジアミンノルボルナンジアミンから選ばれる少なくとも1種のジアミン化合物、(C)所定のジカルボン酸化合物重合して得られるポリアミドエラストマーが開示されている。しかしながら、特許文献3に記載の発明で用いられるこれらのジアミン化合物は反応性に乏しく、長い重合時間を要する。そのため、重合中に重合物の一部が熱分解し、得られるエラストマーが着色したり、十分に反応しない等により得られたエラストマーの破断伸び、破断強度等の強度が十分ではないという問題がある。

0005

特許文献4には、破断伸度が1000%以上、弾性率が15MPa以下の柔軟な織編物へのコーティングもしくは含浸共重合ポリエーテルポリアミド樹脂が開示されている。また、具体的な構成として、炭素数2〜3のアルキレン基を有するポリエーテルジアミン化合物と所定のジカルボン酸化合物とから構成されたポリエーテルポリアミドからなるソフトセグメント、並びに、所定のアミノカルボン酸及び/又は所定のラクタム化合物から構成されたポリアミドからなるハードセグメントが結合されてなるポリエーテルポリアミド樹脂が開示されている。しかしながら、特許文献4に記載のポリエーテルポリアミド樹脂は、ポリエーテル成分の反応性が低く、樹脂の破断強度が十分ではないという問題がある。

先行技術

0006

特開昭59−193923号公報
特開昭59−131628号公報
国際公開第2007/145324号
国際公開第2009/139087号

発明が解決しようとする課題

0007

上記の問題点に鑑みて、本発明の目的は、固体状態において、破断強度や破断伸び等の機械的特性バランスに優れるポリアミド系樹脂と、当該ポリアミド系樹脂を含む成形体と、当該ポリアミド系樹脂を含むフィルム又はシートを備える積層体と、前述の成形体、及び前述の積層体の少なくとも1つを備える医療機器と、前述のポリアミド系樹脂の製造方法とを提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、前述の課題解決のために鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記[1]〜[7]のポリアミド系樹脂、[8]〜[9]の成形体、[10]の積層体、[11]の医療機器、[12]〜[14]のポリアミド系樹脂を製造する方法に関する。

0009

[1]単位(a)と、単位(b)を含み、さらに単位(c−I)、単位(c—II)、単位(d−I)、及び単位(d−II)からなる群より選択される少なくとも1種を含むポリアミド系樹脂であって、
単位(a)が、下記式(A):
−CO−R1−CO−・・・(A)
(式(A)中、R1は、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基である。)
で表される単位であり、
単位(b)が、下記式(B):
−NH−R2−NH−・・・(B)
(式(B)中、R2は、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族である。)
で表される単位(b)と、
単位(c−I)が下記式(C−I):
−CO−R3(−O−R4)m−CO−・・・(C−I)
(式(C−I)中、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上6以下の鎖状脂肪族基であり、mは1以上30以下の整数である。)
で表される単位であり、
単位(c−II)が、下記式(C−II):
−NH−R5(−O−R6)n−NH−・・・(C−II)
(式(C−II)中、R5、及びR6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上3以下の鎖状脂肪族基であり、nは1以上30以下の整数である。)
で表される単位であり、
単位(d−I)が、下記式(D−I):
−CO−R7−CO−・・・(D−I)
(式(D−I)中、R7は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)
で表される単位であり、
単位(d−II)が、下記式(D−II):
−NH−R8−NH−・・・(D−II)
(式(D−II)中、R8は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)
で表される単位であり、
ポリアミド系樹脂中の、単位(a)の含有量と、単位(b)の含有量とが、それぞれ1質量%以上50質量%以下であり、
ポリアミド系樹脂が単位(c−I)及び単位(c−II)から選択される少なくとも1種を含む場合、ポリアミド系樹脂中の単位(c−I)の含有量と、単位(c−II)の含有量との合計が1質量%以上50質量%以下であり、
ポリアミド系樹脂が単位(d−I)及び単位(d−II)から選択される少なくとも1種を含む場合、ポリアミド系樹脂中の単位(d−I)の含有量と、単位(d−II)の含有量との合計が1質量%以上50質量%以下であり、
ポリアミド系樹脂中の、単位(a)、単位(b)、単位(c1)、単位(c2)、単位(d1)、及び単位(d2)の含有量の合計が、90質量%以上であり、
ポリアミド系樹脂を構成する全単位における、カルボニル末端基モル量(Ac)と、アミノ(Aa)末端基モル量との比率が、Ac/Aaとして80/100〜100/80である、ポリアミド系樹脂。

0010

[2]単位(a)と、単位(b)と、単位(c−I)及び単位(c−II)から選択される少なくとも1種と、を含む、[1]に記載のポリアミド系樹脂。

0011

[3]単位(c−II)が、下記一般式(1)で表される単位である、[1]又は[2]に記載のポリアミド系樹脂。
−NH−(CH(CH3)CH2O−)x−(CH2CH2O−)y−(CH(CH3)CH2O−)z−CH2CH(CH3)−NH−・・・(1)
(式(1)中、x、y及びzは、x+zは1以上6以下の実数で、yは1以上20以下の実数である。)

0012

[4]単位(a)と単位(b)と単位(c−II)と単位(d−II)とを含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のポリアミド系樹脂。

0013

[5]単位(a)がドデカンジオイル単位であり、単位(b)が1,12−ジアミノドデカン単位であり、単位(c−II)がトリブロックポリエーテルの両末端にアミノ基(−NH−)を有するジアミノ単位である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のポリアミド系樹脂。

0014

[6]単位(a)の含有量が、1質量%以上50質量%未満である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のポリアミド系樹脂。

0015

[7]単位(b)の含有量が、1質量%以上50質量%未満である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載のポリアミド系樹脂。

0016

[8][1]〜[7]のいずれか1つに記載のポリアミド系樹脂を含む材料からなる成形体。

0017

[9]フィルム、シート、チューブ粉末、繊維、織布、不織布、又はカテーテル用バルーンである、[8]に記載の成形体。

0018

[10][9]に記載のフィルム、又はシートを含む、積層体。

0019

[11][9]に記載の成形体、及び[10]に記載の積層体からなる群より選択される少なくとも1種を備える医療機器。

0020

[12]
下記式(C−1):
HOOC−R3(−O−R4)m−COOH・・・(C−1)
(式(C−1)中、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上6以下の鎖状脂肪族基であり、mは1以上30以下の整数である。)
で表されるジカルボン酸(c−1)、又はそのアミド形成性誘導体
下記式(C−2):
H2N−R5(−O−R6)n−NH2・・・(C−2)
(式(C−2)中、R5、及びR6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上3以下の鎖状脂肪族基であり、nは1以上30以下の整数である。)
で表されるジアミン(c−2)、
下記式(D−1):
HOOC−R7−COOH・・・(D−1)
(式(D−1)中、R7は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)
で表されるジカルボン酸(d−1)、又はそのアミド形成性誘導体、及び、
下記式(D−2):
H2N−R8−NH2・・・(D−2)
(式(D−2)中、R8は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)
で表されるジアミン(d−2)、からなる群より選択される1種以上と、
下記式(A1):
HOOC−R1−COOH・・・(A1)
(式(A)中、R1は、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基である。)
で表されるジカルボン酸(a1)、又はそのアミド形成性誘導体と、
下記式(B1):
H2N−R2−NH2・・・(B1)
(式(B)中、R2は、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族である。)
で表されるジアミン(b1)と、
を反応させてポリアミド系樹脂を生成させることと、を含む[1]に記載のポリアミド系樹脂を製造する方法。

0021

[13]ジカルボン酸(a1)、又はそのアミド形成性誘導体と、ジアミン(b1)とを反応させてプレポリマーを得ることと、
プレポリマーを、ジカルボン酸(c−1)、又はそのアミド形成性誘導体と、ジアミン(c−2)と、ジカルボン酸(d−1)、又はそのアミド形成性誘導体と、ジアミン(d−2)とからなる群より選択される1以上と反応させることと、を含む、[12]に記載の方法。

0022

[14]プレポリマーを生成させる反応と、ポリアミド系樹脂を生成させる反応とが、溶融混練法で行われる、[13]に記載の方法。

発明の効果

0023

本発明によれば、固体状態において、破断強度や破断伸び等の機械的特性のバランスに優れるポリアミド系樹脂と、当該ポリアミド系樹脂を含む成形体と、当該ポリアミド系樹脂を含むフィルム又はシートを備える積層体と、前述の成形体、及び前述の積層体の少なくとも1つを備える医療機器と、前述のポリアミド系樹脂の製造方法とを提供することができる。

0024

≪ポリアミド系樹脂≫
ポリアミド系樹脂は、単位(a)と、単位(b)を含み、さらに単位(c−I)、単位(c—II)、単位(d−I)、及び単位(d−II)からなる群より選択される少なくとも1種を含む。各単位については詳細に後述する。
ポリアミド系樹脂中の、単位(a)の含有量と、単位(b)の含有量とは、それぞれ1質量%以上50質量%以下である。
ポリアミド系樹脂が単位(c−I)及び単位(c−II)から選択される少なくとも1種を含む場合、ポリアミド系樹脂中の単位(c−I)の含有量と、単位(c−II)の含有量との合計は1質量%以上50質量%以下である。
ポリアミド系樹脂が単位(d1−I)及び単位(d−II)から選択される少なくとも1種を含む場合、ポリアミド系樹脂中の単位(d−I)の含有量と、単位(d−II)の含有量との合計は1質量%以上50質量%以下である。

0025

ポリアミド系樹脂中の、単位(a)、単位(b)、単位(c−I)、単位(c−II)、単位(d−I)、及び単位(d−II)の含有量の合計は、90質量%以上であり、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
ポリアミド系樹脂は、所定の種類の単位(a)を所定量含んでいれば、エステル結合(−CO−O−)、ウレタン結合(−NH−CO−O−)、及びカーボネート結合(−O−O−CO−等の結合を少量含んでいてもよい。

0026

ポリアミド系樹脂は、種々の機械的特性が良好であることから、上記の単位(a)と、単位(b)と、単位(c−II)と、単位(d−II)とを含むのが好ましく、単位(a)と、単位(b)と、単位(c−II)と、単位(d−II)とからなるのが好ましい。

0027

ポリアミド系樹脂を構成する全単位における、カルボニル末端基モル量(Ac)と、アミノ(Aa)末端基モル量との比率は、Ac/Aaとして80/100〜100/80であり、90/100〜100/90が好ましく、95/100〜100/95がより好ましく、100/100が特に好ましい。

0028

ポリアミド系樹脂が、それぞれ所定の構造を有する、単位(a)と、単位(b)と、単位(c−I)、単位(c—II)、単位(d−I)、及び単位(d−II)から選択される少なくとも1種と、を所定の比率で含むことにより、ポリアミド系樹脂は、破断強度や破断伸び等の機械的特性のバランスに優れる。

0029

上記の所定の要件を満たすポリアミド系樹脂は、エラストマー的な特性を示し、ポリアミドエラストマーとして好適に用いられる。

0030

以下、ポリアミド系樹脂に含まれる各単位について説明する。

0031

<単位(a)>
単位(a)は、下記式(A):
−CO−R1−CO−・・・(A)
(式(A)中、R1は、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基である。)
で表される単位である。

0032

R1は炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基である。単位(a)を与える単量体入手容易性や、ポリアミド系樹脂の機械的特性の点で、R1の炭素原子数の上限は、20であり、18が好ましく、16がより好ましく、14がさらに好ましく、12が特に好ましい。
R1は、飽和脂肪族基であっても、不飽和脂肪族基であってもよいが、飽和脂肪族基であるのが好ましい。

0033

R1は、具体的には、オクタン−1,8−ジイル基ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、オクタデカン−1,18−ジイル基、ノナデカン−1,19−ジイル基、及びエイコサン−1,20−ジイル基である。

0034

単位(a)は、両末端にカルボニル基を有する。単位(a)をポリアミド系樹脂中に導入する方法は特に限定されないが、通常、単位(a)は、アルカンジカルボン酸、アルカンジカルボン酸ジハライド等の単量体を用いてポリアミド系樹脂中に導入される。
単位(a)中のカルボニル基は、単量体の有するカルボキシ基や、ハロカルボニル基中のカルボニル基に由来する。

0035

単位(a)としては、オクタンジオイル単位、ノナンジオイル単位、デカンジオイル単位、ウンデカンジオイル単位、及びドデカンジオイル単位が好ましく、デカンジオイル単位、ウンデカンジオイル単位、及びドデカンジオイル単位がより好ましく、ドデカンジオイル単位が特に好ましい。

0036

単位(a)がドデカンジオイル単位である場合、後述する単位(b)は、1,12−ジアミノドデカン単位であるのが好ましい。また、この場合、ポリアミド系樹脂が、後述する単位(c−II)として、トリブロックポリエーテルの両末端にアミノ基(−NH−)を有するジアミノ単位を含むのが好ましい。
以上の構成単位を組み合わせて含むポリアミド系樹脂は、破断強度や破断伸び等の機械的特性のバランスに特に優れる。

0037

以上説明した単位(a)は、後述する単位(b)とともに、ポリアミド系樹脂中にハードセグメントを構成する。かかるハードセグメントは、ポリアミド系樹脂の、破断強度や破断伸び等の機械的特性の良好なバランスに寄与する。

0038

単位(a)を与える単量体の具体例としては、デカン二酸セバシン酸)、ウンデカン二酸ドデカン二酸デカン、トリデカン二酸テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸ヘンイコシル二酸、及びドコサン二酸である。これらの酸ハライド、例えば、酸塩化物、又は酸臭化物を単量体として用いることもできる。

0039

ポリアミド系樹脂中の単位(a)の含有量は、1質量%以上50質量%未満であり、10質量%以上50質量%未満が好ましく、20質量%以上50質量%未満がより好ましく、30質量%以上50質量%未満が特に好ましい。

0040

<単位(b)>
単位(b)は、下記式(B):
−NH−R2−NH−・・・(B)
(式(B)中、R2は、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族である。)
で表される単位である。

0041

R2は炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族基である。単位(b)を与える単量体の入手の容易性や、ポリアミド系樹脂の機械的特性の点で、R2の炭素原子数の上限は、20であり、18が好ましく、16がより好ましく、14がさらに好ましく、12が特に好ましい。
R2は、飽和脂肪族基であっても、不飽和脂肪族基であってもよいが、飽和脂肪族基であるのが好ましい。

0042

R2は、具体的には、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、オクタデカン−1,18−ジイル基、ノナデカン−1,19−ジイル基、及びエイコサン−1,20−ジイル基である。

0043

単位(b)は、両末端にアミノ基(−NH−)を有する。単位(b)をポリアミド系樹脂中に導入する方法は特に限定されないが、通常、単位(b)は、直鎖脂肪族ジアミン等の単量体を用いてポリアミド系樹脂中に導入される。
単位(b)中のアミノ基(−NH−)は、単量体の有するアミノ基(−NH2−)に由来する。

0044

単位(b)としては、1,10−ジアミノデカン単位、1,11−ジアミノウンデカン単位、1,12−ジアミノドデカン単位、1,13−ジアミノトリデカン単位、及び1,14−ジアミノテトラデカン単位が好ましく、1,10−ジアミノデカン単位、及び1,12−ジアミノドデカン単位がより好ましく、1,12−ジアミノドデカン単位が特に好ましい。

0045

単位(a)及び単位(b)の組み合わせとしては、単位(a)としてのドデカンジオイル単位と、単位(b)としての1,12−ジアミノドデカン単位との組み合わせが好ましい。
ポリアミド系樹脂が、単位(a)としてのドデカンジオイル単位と、単位(b)としての1,12−ジアミノドデカン単位とを組み合わせて含む場合、ポリアミド系樹脂が、後述する単位(c−II)として、トリブロックポリエーテルの両末端にアミノ基(−NH−)を有するジアミノ単位を含むのが好ましい。
以上の構成単位を組み合わせて含むポリアミド系樹脂は、破断強度や破断伸び等の機械的特性のバランスに特に優れる。

0046

以上説明した単位(b)は、後述する単位(a)とともに、ポリアミド系樹脂中にハードセグメントを構成する。かかるハードセグメントは、ポリアミド系樹脂の、破断強度や破断伸び等の機械的特性の良好なバランスに寄与する。

0047

単位(b)を与える単量体の具体例としては、デカン−1,10−ジアミン、ウンデカン−1,11−ジアミン、ドデカン−1,12−ジアミン、トリデカン−1,13−ジアミン、テトラデカン−1,14−ジアミン、ペンタデカン−1,15−ジアミン、ヘキサデカン−1,16−ジアミン、ヘプタデカン−1,17−ジアミン、オクタデカン−1,18−ジアミン、ノナデカン−1,19−ジアミン、及びエイコサン−1,20−ジアミンである。

0048

ポリアミド系樹脂中の単位(b)の含有量は、1質量%以上50質量%未満であり、10質量%以上50質量%未満が好ましく、20質量%以上50質量%未満がより好ましく、30質量%以上50質量%未満が特に好ましい。

0049

<単位(c−I)、単位(c−II)、単位(d−I)、及び単位(d−II)>
ポリアミド系樹脂は、単位(c−I)、単位(c−II)、単位(d−I)、及び単位(d−II)からなる群より選択される1種以上の単位を必須に含有する。
単位(c−I)、単位(c−II)、単位(d−I)、及び単位(d−II)の種類や、含有量を調整することにより、ポリアミド系樹脂の種々の物性が調整される。
以下、単位(c−I)、単位(c−II)、単位(d−I)、及び単位(d−II)について説明する。

0050

〔単位(c−I)〕
単位(c−I)は下記式(C−I):
−CO−R3(−O−R4)m−CO−・・・(C−I)
(式(C−I)中、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上6以下の鎖状脂肪族基であり、mは1以上30以下の整数であり、mが2以上の整数である場合、複数のR4は同一であっても異なっていてもよい。)
で表される単位である。

0051

R3、及びR4は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、飽和脂肪族炭化水素基であるのが好ましい。
R3、及びR4は、直鎖脂肪族基であっても、分岐鎖脂肪族基であってもよい。

0052

R3、及びR4の好適な具体例としては、メチレン基エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、及びヘキサン−1,6−ジイル基が挙げられる。
これらの中では、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、及びブタン−1,4−ジイル基が好ましく、エタン−1,2−ジイル基、及びプロパン−1,2−ジイル基がより好ましい。

0053

式(C−I)中、mの上限は、例えば、30であり、20が好ましい。

0054

〔単位(c−II)〕
単位(c−II)は、下記式(C−II):
−NH−R5(−O−R6)n−NH−・・・(C−II)
(式(C−II)中、R5、及びR6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上3以下の鎖状脂肪族基であり、nは1以上30以下の整数であり、nが2以上の整数である場合、複数のR6は同一であっても異なっていてもよい。)
で表される単位である。

0055

R5、及びR6の好適な具体例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、及びプロパン−2,2−ジイル基が挙げられる。
これらの中では、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、及びプロパン−1,2−ジイル基が好ましく、エタン−1,2−ジイル基、及びプロパン−1,2−ジイル基がより好ましい。

0056

単位(c−II)としては、トリブロックポリエーテルの両末端にアミノ基(−NH−)を有するジアミノ単位が好ましい。かかるジアミノ単位としては、下記一般式(1)で表されるジアミノ単位であるのが好ましい。
−NH−(CH(CH3)CH2O−)x−(CH2CH2O−)y−(CH(CH3)CH2O−)z−CH2CH(CH3)−NH−・・・(1)

0057

式(1)中、x、y及びzは、x+zは1以上6以下の実数で、yは1以上20以下の実数である。これにより、重合反応性と柔軟性の好適なバランスを取ることができる。x+zは、好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上3.8以下である。また、yは、好ましくは1以上15以下、より好ましくは1以上9.2以下である。さらに、x+zは1以上6以下の実数で、yは1以上15以下の実数であるのが好ましい。ここで、x、y、zは、例えば後述の実施例のようにしてGPC測定により決定することができる。

0058

式(1)で表されるジアミノ単位を与える単量体化合物としては、例えば、ポリオキシエチレン、1,2−ポリオキシプロピレン、1,3−ポリオキシプロピレンあるいはそれらの共重合物であるポリオキシアルキレンのアミノ変性体等のポリエーテルジアミン化合物が挙げられる。具体的には、米国HUNTSMAN社製のジェファーミンEDシリーズ等を好ましく用いることができる。このジェファーミンEDシリーズは、式(1)中、x+zは1以上6以下で、yは1以上20以下を示すものとしては、ED600とED900である。このうち、x+zが1以上6以下のものとしては、ED900、x+zが1以上3.8以下のものとしては、ED600、yが1以上15以下のものとしてはED900、yが1以上9.2以下のものとしては、ED600である。また、x+z及びyがこのような範囲のうち、ED600の数平均分子量は500〜700が好ましく、ED900の数平均分子量は800〜1,000が好ましい。この場合の数平均分子量は、重クロロホルム溶媒を用いた核磁気共鳴法によるプロトン比により算出した数値である。

0059

ポリアミド系樹脂中の単位(c−I)の含有量と、単位(c−II)の含有量との合計は、1質量%以上50質量%未満であり、1質量%以上40質量%未満が好ましく、1質量%以上30質量%未満がより好ましく、1質量%以上20質量%未満が特に好ましい。

0060

〔単位(d−1)〕
単位(d−I)が、下記式(D−I):
−CO−R7−CO−・・・(D−I)
(式(D−I)中、R7は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)
で表される単位である。

0061

R7は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基である。ただし、R7は、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。つまり、R7は、炭素原子8以上20以下の分岐鎖状の脂肪族基、又は炭素原子数7以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基である。
R7の炭素原子数の上限は、単位(d−I)を与える単量体の入手の容易性や、ポリアミド系樹脂の機械的特性の点で、20であり、18が好ましく、16がより好ましく、14がさらに好ましく、12が特に好ましい。
R7は、飽和脂肪族基であっても、不飽和脂肪族基であってもよいが、飽和脂肪族基であるのが好ましい。

0062

R7としては、炭素原子数7以下の、直鎖状、又は分岐鎖状の脂肪族基が好ましい。かかる脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、及びヘプタン−1,7−ジイル基が挙げられる。

0063

単位(d−I)を与える単量体の好適な具体例としては、マロン酸コハク酸グルタル酸アジピン酸ピメリン酸スベリン酸、及びアゼライン酸が挙げられる。

0064

〔単位(d−II)〕
単位(d−II)が、下記式(D−II):
−NH−R8−NH−・・・(D−II)
(式(D−II)中、R8は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)
で表される単位である。

0065

R8は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基である。ただし、R8は、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。つまり、R8は、炭素原子10以上20以下の分岐鎖状の脂肪族基、又は炭素原子数9以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基である。
R8の炭素原子数の上限は、単位(d−II)を与える単量体の入手の容易性や、ポリアミド系樹脂の機械的特性の点で、20であり、18が好ましく、16がより好ましく、14がさらに好ましく、12が特に好ましい。
R8は、飽和脂肪族基であっても、不飽和脂肪族基であってもよいが、飽和脂肪族基であるのが好ましい。

0066

R8としては、炭素原子数9以下の、直鎖状、又は分岐鎖状の脂肪族基が好ましい。かかる脂肪族基の具体例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、及びノナン−1,9−ジイル基が挙げられる。

0067

単位(d−I)を与える単量体の好適な具体例としては、ジアミノメタンエチレンジアミントリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンペンタメチレンジアミンヘキサメチレンジアミンヘプタメチレンジアミンオクタメチレンジアミン、及びノナメチレンジアミンが挙げられる。

0068

ポリアミド系樹脂中の単位(d−I)の含有量と、単位(d−II)の含有量との合計は、1質量%以上50質量%未満であり、1質量%以上40質量%未満が好ましく、1質量%以上30質量%未満がより好ましく、1質量%以上20質量%未満が特に好ましい。

0069

<その他の成分>
以上説明したポリアミド系樹脂に、リン化合物を含有させてもよい。これにより、ポリアミド系樹脂を含む成形体の破断伸びや破断応力をより向上させることができる。そのため、リン化合物を含むポリアミド系樹脂組成物は、例えば医療用バルーンに好適である。
また、後述するように、ポリアミド系樹脂の製造工程においては、重合反応の安定化や酸化に起因する着色を防止することができる。
このようなリン化合物としては、リン酸ピロリン酸ポリリン酸亜リン酸次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらのうち、重合反応の安定性の向上、ポリアミド系樹脂に対する耐熱安定性の付与、成形体の力学的特性の向上の観点からは、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好ましい。
リン化合物の含有量は、ポリアミド系樹脂の質量に対してリン元素として5質量ppm以上5000質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以上4000質量ppm以下がより好ましく、30質量ppm以上3000質量ppm以下がさらに好ましい。

0070

ポリアミド系樹脂には、前述のリン化合物以外に、特性を損なわない範囲で、目的に応じて種々の添加剤を配合することができる。具体的には、耐熱剤紫外線吸収剤光安定剤酸化防止剤帯電防止剤滑材スリップ剤結晶核剤粘着性付与剤離型剤可塑剤顔料染料難燃剤補強材無機フィラー微小繊維X線不透過剤等を添加することができる。

0071

ポリアミド系樹脂は、上記の単位を与える単量体を、所望する比率で、公知の方法に従って重縮合させることによって調製できる。

0072

ポリアミド系樹脂の溶融粘度メルトフローレートMFR)は、230℃、2.16kgf(21.2N)において0.1〜20(g/10min)であることが好ましい。これにより、押出し成形性が良好となる。溶融粘度をこの様な範囲とするためには、重合時の反応温度、反応時間、溶液濃度等を適宜調整すればよい。

0073

ポリアミド系樹脂のショアD硬度は、50〜100が好ましく、60〜80がより好ましい。これにより、成形体の柔軟性が得られる。例えば、各単位を与える単量体の組成比を適宜変更することにより、ショアD硬度を調整できる。

0074

ポリアミド系樹脂の数平均分子量は10000以上150000以下が好ましく、20000以上100000以下がより好ましい。数平均分子量をこのような範囲にすることで、加工性や機械的特性に優れる。

0075

ポリアミド系樹脂において、成形体の引張試験における破断伸びは100%以上600%以下が好ましく、200%以上600%以下がより好ましい。また破断応力は20MPa以上100MPa以下が好ましく、30MPa以上90MPa以下がより好ましい。尚、引張試験は、例えば、後述の方法により行う。

0076

以上説明したポリアミド系樹脂は、破断強度や破断伸び等の機械的特性のバランスに優れるため、種々の用途において好適に用いられる。

0077

≪ポリアミド系樹脂の製造方法≫
以上説明したポリアミド系樹脂は、
下記式(C−1):
HOOC−R3(−O−R4)m−COOH・・・(C−1)
(式(C−1)中、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上6以下の鎖状脂肪族基であり、mは1以上30以下の整数であり、mが2以上の整数である場合、複数のR4は同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるジカルボン酸(c−1)、又はそのアミド形成性誘導体、
下記式(C−2):
H2N−R5(−O−R6)n−NH2・・・(C−2)
(式(C−2)中、R5、及びR6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上3以下の鎖状脂肪族基であり、nは1以上30以下の整数であり、nが2以上の整数である場合、複数のR6は同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるジアミン(c−2)、
下記式(D−1):
HOOC−R7−COOH・・・(D−1)
(式(D−1)中、R7は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)
で表されるジカルボン酸(d−1)、又はそのアミド形成性誘導体、及び、
下記式(D−2):
H2N−R8−NH2・・・(D−2)
(式(D−2)中、R8は、炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基であるが、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族基ではない。)
で表されるジアミン(d−2)、からなる群より選択される1種以上と、
下記式(A1):
HOOC−R1−COOH・・・(A1)
(式(A)中、R1は、炭素原子数8以上20以下の直鎖脂肪族基である。)
で表されるジカルボン酸(a1)、又はそのアミド形成性誘導体と、
下記式(B1):
H2N−R2−NH2・・・(B1)
(式(B)中、R2は、炭素原子数10以上20以下の直鎖脂肪族である。)
で表されるジアミン(b1)と、を反応させることにより製造される。

0078

ジカルボン酸(a1)、又はそのアミド形成性誘導体は、前述の単位(a)を与える単量体である。
ジアミン(b1)は、前述の単位(b)を与える単量体である。
ジカルボン酸(c−1)、又はそのアミド形成性誘導体は、前述の単位(c−I)を与える単量体である。
ジアミン(c−2)は、前述の単位(c−II)を与える単量体である。
ジカルボン酸(d−1)、又はそのアミド形成性誘導体は、前述の単位(d−I)を与える単量体である。
ジアミン(d−2)は、前述の単位(d−II)を与える単量体である。
なお、ジカルボン酸について、アミド形成性誘導体は、例えば、酸ハライドが挙げられる。酸ハライドとしては、例えば、酸塩化物や酸臭化物であり、酸塩化物が好ましい。

0079

ポリアミド系樹脂は、ジカルボン酸(a1)、又はそのアミド形成性誘導体と、ジアミン(b1)とを反応させてプレポリマーを得た後、
得られたプレポリマーを、ジカルボン酸(c−1)、又はそのアミド形成性誘導体と、ジアミン(c−2)と、ジカルボン酸(d−1)、又はそのアミド形成性誘導体と、ジアミン(d−2)、からなる群より選択される1種以上と反応させることにより製造するのも好ましい。

0080

ポリアミド系樹脂を合成するに当たって、各単量体の使用量は、各単位の含有量がそれぞれ所望する値であるように適宜調整される。
ポリアミド系樹脂を製造するに際して、アミノ基とカルボン酸基等モル性を崩す要因となり得る単量体の添加は、所望の物性を低下させない程度にすることが望ましい。

0081

ポリアミド系樹脂の製造方法においては、単量体の重縮合反応は、溶媒中で、あるいは溶媒を用いずに無溶媒の状態で行うことが出来る。精製等が必要なく、簡便に目的のポリアミド系樹脂が得られやすい点で、溶媒を用いずに無溶媒で反応させることが好ましい。このような無溶媒での反応は、溶融混練法により行うことができる。
従って、プレポリマーを合成する際、又はポリアミド系樹脂を合成する際に、単量体を溶融混練法で反応させるのが好ましい。

0082

ポリアミド系樹脂の製造方法において、重縮合反応としては、常圧溶融重縮合反応又は減圧溶融重縮合反応、あるいはその組み合わせを採用することができる。減圧溶融重縮合の場合は、重合反応性の点で、窒素ガス雰囲気で、反応容器内の圧力を0.1〜0.01(MPa)とするのが好ましい。これらの溶融重縮合反応は、無溶媒の状態で溶融混練法により行うことができる。

0083

ポリアミド系樹脂の製造方法において単量体を反応させる温度は、重縮合反応が起これば特に制限されないが、反応速度と熱分解の抑制のバランスから160〜300℃が好ましく、200〜280℃で行うことがより好ましい。

0084

ポリアミド系樹脂の製造方法における重縮合反応時間は、分子量の高分子量化や着色の抑制等の観点から、3〜10時間であることが好ましい。プレポリマーを製造する場合の、プレポリマーを生成させる反応時間と、プレポリマーと、他の単量体とを反応させてポリアミド系樹脂を生成させる反応時間も、上記と同様3〜10時間であることが好ましい。

0085

ポリアミド系樹脂の製造方法は、回分式でも、連続式であってもよい。例えば、バッチ式反応釜等を用いた回分式でもよいし、一槽式又は多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置等を単独又は組み合わせて用いた連続式でもよい。

0086

ポリアミド系樹脂の製造において、必要に応じて触媒として、リン化合物を用いることができる。このようなリン化合物としては、例えば、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。このうち、重合反応の安定性の向上、ポリアミド系樹脂に対する耐熱安定性の付与、成形体の力学的特性の向上の観点からは、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機リン化合物を用いるのが好ましい。
このようなリン化合物の仕込み時の重量は、単量体の合計重量に対して、好ましくは10質量ppm以上10000質量ppm以下であり、より好ましくは100質量ppm以上5000質量ppm以下である。
なお、反応で発生する副生成物によって、リン化合物が反応系外へ排出されることがあるため、仕込み重量とポリアミド系樹脂中のリン元素含有量は同じでなくてもよい。得られるポリアミド系樹脂中のリン元素量が、5質量ppm以上5000質量ppm以下となるように含有させるのが好ましく、20質量ppm以上4000質量ppm以下がより好ましく、30質量ppm以上3000質量ppm以下がさらに好ましい。

0087

各単量体を反応させるか、プレポリマーと他の単量体とを反応させた後は、例えば溶融状態のポリアミド系樹脂をひも状に引き出して冷却し、必要に応じて、ペレット等として得ることができる。

0088

≪成形体≫
前述の通り、上述のポリアミド系樹脂は、破断強度や破断伸び等の機械的特性のバランスに優れる。このため、ポリアミド系樹脂、又はポリアミド系樹脂に種々の添加剤が配合されたポリアミド系樹脂からなる成形体は、種々の用途において好適に用いられる。

0089

成形体他の形状は特に限定されない。ポリアミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂組成物は。公知の種々の成形方法紡糸法、布帛製造方法等によって、種々の形態の成形品に加工される。成形方法としては、例えば、押出成形ブロー成形射出成形等を適用可能である。
好適な成形体の形状としては、フィルム、シート、チューブ、粉末、繊維、織布、不織布、又はカテーテル用バルーン等が挙げられる。

0090

ポリアミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂組成物は、破断強度や破断伸びに優れることから、ポリアミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂組成物からなる成形体としては、例えば、フィルム、シート、又はチューブであるのが好ましい。
ポリアミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂組成物からなるフィルム、又はシートを、積層体に含める場合、積層体にも、良好な破断強度や破断伸びが付与される。
このため、ポリアミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂組成物からなるフィルム、又はシートを含む積層体も好ましい。

0091

前述のポリアミド系樹脂は、樹脂の溶融特性により押出し成形性及び引取り成形性に優れ、ブロー成形性に優れ、強靭性に優れている。そのため、様々な分野の成形品の製造に用いることが出来る。例えば、ポリアミド系樹脂を用いて押出成形し、チューブ、ホース、医療用チューブ等の部材を製造することができる。また、ポリアミド系樹脂をブロー成形し、ボトル容器、カテーテル用バルーン等の部材を製造することが出来る。
特に、ポリアミド系樹脂は、医療機器に用いられる医療用部材の構成材料として好適である。医療用部材としては、例えば、カテーテル用バルーン、医療用チューブ、積層体等が挙げられる。

0092

以下では、ポリアミド系樹脂を用いて作製された医療用部材について、医療用部材がカテーテル用バルーンである場合を例に説明するが、医療用部材として用いられる成形体はこれに限定されない。

0093

カテーテル用バルーン(以下、単に「バルーン」と称する。)は、まず、ポリアミド系樹脂を用いてチューブ(以下、「パリソン」と称することがある。)を製造し、次いで、得られたパリソンをさらに加工することにより製造することが出来る。
ポリアミド系樹脂を用いてパリソンを製造する方法としては、一般的な公知の成型方法を用いることができる。例えば、押出成形、射出成形、溶融紡糸成形等が挙げられる。パリソンの形状は、一般的には、径が長軸方向に一定の円筒形状を有する。
パリソンからバルーンを製造する方法としては、一般的な公知の成形方法を用いることができる。例えば、宙吹法や型吹法等のブロー成形、真空成形等により二軸延伸成形して所望の形状のバルーンを作製することができる。成形温度は、一般的には、95〜165℃である。
パリソンからバルーンの内径拡張率は400%以上900%以下が好ましく、500%以上800%以下がより好ましい。尚、本発明における内径拡張率とは、下記式で算出される値である。
内径拡張率(%)=(成形時バルーン拡張時の内径/パリソン内径)×100
以上のようにして得られたバルーンに対して外観検査等を行い、検査合格したもののみがバルーンカテーテル等の医療機器の医療用部材として用いることができる。外観検査により、バルーンの表面に、菱型の傷やフィッシュアイクラックが観察されたものは不良とみなされる。

0094

以上のように、ポリアミド系樹脂は、破断伸度、破断強度等の力学的特性のバランスに優れているため、医療機器用部材の他にも、食品等の包装材料、電気・機械精密機器用部材、自動車用部材等様々な用途に用いることが出来ることは勿論のことである。

0095

以下、本発明をより一層明らかにするために具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0096

以下、実施例、及び比較例のポリアミド系樹脂の評価について、引張試験の方法と、ショアD硬度の測定方法とについて説明する。

0097

(引張試験)
引張試験は、ASTM−D638(TYPE5)に準拠した試験片を使用した。試験片は、実施例及び比較例で得られたポリアミド系樹脂のペレットを小型プレス機(東洋精機製作所社製、製品名MP−2FH)を用いて190℃にてプレスし、冷却させた厚み1(mm)のフィルムを用意し、上記規格打抜き刃により打ち抜いて作製した。そして、試験片の乾燥処理は80℃、4時間とした。引張試験は速度200(mm/min)で行った。

0098

(ショアD硬度の測定)
ショアD硬度の測定は、ASTM−D2240に準拠し、厚み6mmのシートを用いて、23℃恒温室で実施した。厚み6mmのシートは、実施例及び比較例のポリアミド系樹脂のペレットを用いて、前述のプレス機により作製した。測定装置として、高分子計器社製、ゴム硬度計荷重検査器D型を用いた。

0099

〔実施例1〕
撹拌機温調計圧力計窒素ガス導入口縮合水出口を備えた容積3Lの反応容器に、ジカルボン酸(a1)としてドデカン二酸(炭素数12)を749g(3.26mol)、ジアミン(b1)としてドデカメチレンジアミン(炭素数12)を600g(3mol)、及び次亜リン酸0.6gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、反応物溶融させるために、280℃まで1時間で昇温し、その後260℃で重合を行った。約1時間後に分子量約5000であるジカルボン酸化ポリアミド(プレポリマー)を得た。
そこへ、ジアミン(c−2)としてポリエーテルジアミン(下記式(2)で表されるジアミン。式(4)中y=9であり、x+z=3.6である。HUNTSMAN社製のジェファーミンED600(ED600))を78g(0.13mol)、ジアミン(d−2)としてヘキサメチレンジアミン(HMD)を15g(0.13mol)追加し、さらに同温度で約4時間重合を行ってポリアミド系樹脂を得た。

0100

H2N−(CH(CH3)CH2O−)x−(CH2CH2O−)y−(CH(CH3)CH2O−)z−CH2CH(CH3)−NH2・・・(2)

0101

重合終了後、撹拌を停止し、取り出し口から溶融状態の無色透明のポリアミド系樹脂をひも状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1kgのペレットを得た。得られたペレットについて、数平均分子量Mnを測定した。Mnを表2に示した。
また、得られたペレットを用いて、前述の方法に従って引張試験と、ショアD硬度の測定とを行った。これらの評価結果を表2に示した。

0102

〔実施例2〕
撹拌機、温調計、圧力計、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積3Lの反応容器に、ジカルボン酸(a1)としてセバシン酸(炭素数10)を655g(3.24mol)、ジアミン(b1)としてドデカメチレンジアミン(炭素数12)を600g(3mol)、及び次亜リン酸0.6gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、反応物を溶融させるために、280℃まで1時間で昇温し、その後260℃で重合を行った。約1時間後に分子量約5000であるジカルボン酸化ポリアミド(プレポリマー)を得た。
そこへ、ジアミン(c−2)としてポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製のジェファーミンED600(ED600))を75g(0.125mol)、ジアミン(d−2)としてヘキサメチレンジアミン(HMD)を14.5g(0.125mol)追加し、さらに同温度で約4時間重合を行ってポリアミド系樹脂を得た。

0103

重合終了後、実施例1と同様にして約1kgのペレットを得た。得られたペレットについて、数平均分子量Mnを測定した。Mnを表2に示した。
また、得られたペレットを用いて、前述の方法に従って引張試験と、ショアD硬度の測定とを行った。これらの評価結果を表2に示した。

0104

〔実施例3〕
撹拌機、温調計、圧力計、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積3Lの反応容器に、ジカルボン酸(a1)としてドデカン二酸(炭素数12)を869g(3.78mol)、ジアミン(b1)としてデカメチレンジアミン(炭素数10)を600g(3.5mol)、及び次亜リン酸0.6gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、反応物を溶融させるために、280℃まで1時間で昇温し、その後260℃で重合を行った。約1時間後に分子量約5000であるジカルボン酸化ポリアミド(プレポリマー)を得た。
そこへ、ジアミン(c−2)としてポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製のジェファーミンED600(ED600))を87g(0.145mol)、ジアミン(d−2)としてヘキサメチレンジアミン(HMD)を16.8g(0.145mol)追加し、さらに同温度で約4時間重合を行ってポリアミド系樹脂を得た。

0105

重合終了後、撹拌を停止し、取り出し口から溶融状態の無色透明のポリアミド系樹脂をひも状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1kgのペレットを得た。得られたペレットについて、数平均分子量Mnを測定した。Mnを表2に示した。
また、得られたペレットを用いて、前述の方法に従って引張試験と、ショアD硬度の測定とを行った。これらの評価結果を表2に示した。

0106

〔実施例4〕
撹拌機、温調計、圧力計、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積3Lの反応容器に、ジカルボン酸(a1)としてセバシン酸(炭素数10)を760g(3.76mol)、ジアミン(b1)としてデカメチレンジアミン(炭素数10)を600g(3.5mol)、及び次亜リン酸0.6gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、反応物を溶融させるために、280℃まで1時間で昇温し、その後260℃で重合を行った。約1時間後に分子量約5000であるジカルボン酸化ポリアミド(プレポリマー)を得た。
そこへ、ジアミン(c−2)としてポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製のジェファーミンED600(ED600))を81g(0.135mol)、ジアミン(d−2)としてヘキサメチレンジアミン(HMD)を15.7g(0.135mol)追加し、さらに同温度で約4時間重合を行ってポリアミド系樹脂を得た。

0107

重合終了後、撹拌を停止し、取り出し口から溶融状態の無色透明のポリアミド系樹脂をひも状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1kgのペレットを得た。得られたペレットについて、数平均分子量Mnを測定した。Mnを表2に示した。
また、得られたペレットを用いて、前述の方法に従って引張試験と、ショアD硬度の測定とを行った。これらの評価結果を表2に示した。

0108

〔実施例5〕
撹拌機、温調計、圧力計、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積3Lの反応容器に、ジカルボン酸(a1)としてドデカン二酸(炭素数12)を749g(3.26mol)、ジアミン(b1)としてドデカメチレンジアミン(炭素数12)を600g(3mol)、及び次亜リン酸0.6gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、反応物を溶融させるために、280℃まで1時間で昇温し、その後260℃で重合を行った。約1時間後に分子量約5000であるジカルボン酸化ポリアミド(プレポリマー)を得た。
そこへ、ジアミン(c−2)としてポリエーテルジアミン(下記式(3)で表されるジアミン。式(3)中y=12.5であり、x+z=6である。HUNTSMAN社製のジェファーミンED900(ED900))を117g(0.13mol)、ジアミン(d−2)としてヘキサメチレンジアミン(HMD)を15g(0.13mol)追加し、さらに同温度で約5時間重合を行ってポリアミド系樹脂を得た。

0109

H2N−(CH(CH3)CH2O−)x−(CH2CH2O−)y−(CH(CH3)CH2O−)z−CH2CH(CH3)−NH2・・・(3)

0110

重合終了後、撹拌を停止し、取り出し口から溶融状態の無色透明のポリアミド系樹脂をひも状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1kgのペレットを得た。得られたペレットについて、数平均分子量Mnを測定した。Mnを表2に示した。
また、得られたペレットを用いて、前述の方法に従って引張試験と、ショアD硬度の測定とを行った。これらの評価結果を表2に示した。

0111

〔比較例1〕
撹拌機、温調計、圧力計、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積3Lの反応容器に、12アミノドデカン酸(炭素数12)1200g、及び次亜リン酸0.6gを仕込み、容器内を十分窒素置換し、溶融させるために280℃で1時間昇温し、数平均分子量が5000となるまで重合しハードセグメントを得た。
そして、ハードセグメントの末端アミン基のモル量と等モルのアジピン酸(AA、炭素数8)35g(0.24mol)を添加し、220℃で1時間反応させハードセグメントのジカルボン酸化を行った(工程(i))。
得られたジカルボン酸化ハードセグメントの両末端カルボン酸基と等モルになるように、ヘキサメチレンジアミン(HMD、炭素数6)13.9g(0.12mol)とポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製のジェファーミンED600(ED600))を72g(0.12mol)仕込み、260℃まで昇温し、さらに4時間重合を行ってポリマーを得た(工程(ii))。

0112

重合終了後、撹拌を停止し、取り出し口から溶融状態の無色透明のポリアミド系樹脂をひも状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1kgのペレットを得た。得られたペレットについて、数平均分子量Mnを測定した。Mnを表2に示した。
また、得られたペレットを用いて、前述の方法に従って引張試験と、ショアD硬度の測定とを行った。これらの評価結果を表2に示した。

0113

〔比較例2〕
撹拌機、温調計、圧力計、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積3Lの反応容器に、10アミノデカン酸(炭素数10)1200g、及び次亜リン酸0.6gを仕込み、容器内を十分窒素置換し、溶融させるために280℃で1時間昇温し、数平均分子量が5000となるまで重合しハードセグメントを得た。
そして、ハードセグメントの末端アミン基のモル量と等モルのアジピン酸(AA、炭素数8)35g(0.24mol)を添加し、220℃で1時間反応させハードセグメントのジカルボン酸化を行った(工程(i))。
得られたジカルボン酸化ハードセグメントの両末端カルボン酸基と等モルになるように、ヘキサメチレンジアミン(HMD、炭素数6)13.9g(0.12mol)とポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製のジェファーミンED600(ED600)を72g(0.12mol)仕込み、260℃まで昇温し、さらに4時間重合を行ってポリマーを得た(工程(ii))。

0114

重合終了後、撹拌を停止し、取り出し口から溶融状態の無色透明のポリアミド系樹脂をひも状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1kgのペレットを得た。得られたペレットについて、数平均分子量Mnを測定した。Mnを表2に示した。
また、得られたペレットを用いて、前述の方法に従って引張試験と、ショアD硬度の測定とを行った。これらの評価結果を表2に示した。

0115

〔比較例3〕
撹拌機、温調計、圧力計、窒素ガス導入口、縮合水排出口を備えた容積3Lの反応容器に、ジカルボン酸(a1)としてドデカン二酸(炭素数12)を749g(3.26mol)、ジアミン(b1)としてドデカメチレンジアミン(炭素数12)を600g(3mol)、及び次亜リン酸0.6gを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、反応物を溶融させるために、280℃まで1時間で昇温し、その後260℃で重合を行った。約1時間後に分子量約5000であるジカルボン酸化ポリアミド(プレポリマー)を得た。
そこへ、ジアミン(c−2)としてポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製のジェファーミンTHF100、PTMEG[poly(tetramethylene ether glycol)]とPPG(polypropylene glycol)によるジアミンコポリマー、分子量約1000)を130g(0.13mol)、ジアミン(d−2)としてヘキサメチレンジアミン(HMD)を15g(0.13mol)追加し、さらに同温度で約6時間重合を行ってポリアミド系樹脂を得た。

0116

重合終了後、撹拌を停止し、取り出し口から溶融状態の無色透明のポリアミド系樹脂をひも状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約1kgのペレットを得た。得られたペレットについて、数平均分子量Mnを測定した。Mnを表2に示した。
また、得られたペレットを用いて、前述の方法に従って引張試験と、ショアD硬度の測定とを行った。これらの評価結果を表2に示した。
前述の方法に従って引張試験と、ショアD硬度の測定とを行った。これらの評価結果を表2に示した。

0117

0118

実施例

0119

表1及び表2によれば、それぞれ所定の構造のジカルボン酸(a1)、ジアミン(b1)、ジアミン(c−2)、及びジアミン(d−2)を重縮合して得られた、それぞれ所定の構造の単位(a)、単位(b)、単位(c−II)、及び単位(d−II)を含むポリアミド系樹脂は、同程度のショアD硬度を有するが、単位(a)と、単位(b)と、単位(c−I)、単位(c—II)、単位(d−I)、及び単位(d−II)から選択される少なくとも1種とを含まないポリアミド系樹脂と比較して、破断伸びや破断強度が優れていることが分かる。
かかる実施例のポリアミド系樹脂は、医療用のチューブやバルーンの製造に特に好適に用いることができる。

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