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技術 Th1細胞を誘導する細菌

出願人 学校法人慶應義塾
発明者 本田賢也新幸二成島聖子須田亙服部正平
出願日 2017年11月1日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-549032
公開日 2019年9月19日 (7ヶ月経過) 公開番号 WO2018-084172
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード クオリティ値 階級分け キレート溶液 冷凍剤 ソフトウェアパイプライン 振幅比較 アセンブリシステム 宣伝物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月19日)のものです。
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図面 (20)

課題・解決手段

クローン病患者又は潰瘍性大腸炎患者由来唾液を、無菌マウス経口投与した結果、大腸においてTh1細胞が著増することを見出した。さらに、このTh1細胞の増加が見られたマウスの腸内細菌叢から、腸管定着すると大腸で強いTh1細胞の誘導を引き起こすことになる細菌を単離することに成功した。

概要

背景

消化管口腔等の粘膜には多様な常在細菌が存在し、全体としてフローラを形成している。常在菌フローラは、宿主生理や健康維持に対して非常に大きな役割を果たしている。常在菌フローラの構成異常はDysbiosisとよばれ、様々な疾患の原因となっていることが徐々に明らかになってきている。粘膜常在菌フローラの解明が進めば、様々な疾患に対する新たな疾病対策治療開発に結びつく可能性が高いものの、その複雑さから詳細なメカニズムは十分明らかになっていない。

ヒトは毎日1.5Lほどの唾液を作り出し、飲み込んでいる。通常、唾液に含まれる菌は(口腔内細菌)、腸管をただ単に通過するだけで、定着しない。しかし、ある状況では口腔内細菌が腸管に定着することがある。特にクローン病や、肝硬変大腸がんにおいて、疾患発症の早期から、口腔内細菌の腸管定着が観察されることが報告されている。そして、定着した口腔内細菌が、疾患の病態に影響を与えることが知られている(非特許文献1〜6)。

概要

クローン病患者又は潰瘍性大腸炎患者由来の唾液を、無菌マウス経口投与した結果、大腸においてTh1細胞が著増することを見出した。さらに、このTh1細胞の増加が見られたマウスの腸内細菌叢から、腸管に定着すると大腸で強いTh1細胞の誘導を引き起こすことになる細菌を単離することに成功した。

目的

本発明が解決しようとする課題は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を提供する

効果

実績

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請求項1

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌。

請求項2

更に、Klebsiellapneumoniae又はKlebsiellaaeromobilisに属することを特徴とする、請求項1に記載の細菌。

請求項3

更に、下記タンパク質群から選択される少なくとも5つのタンパク質をコードする遺伝子を保有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の細菌タンパク質群:マンノース−1−リン酸グアニルトランスフェラーゼ1、マルチホスホリル転移タンパク質、PTS系フルクトース特異的EIIABC構成タンパク質ホスホマンムターゼホスホグルコムターゼマンノシルフルクトース−リン酸合成酵素、3−オキソアシル[アシル輸送タンパク質レダクターゼFabG、ラムシルマンノシルトランスフェラーゼガラクチトール−1−リン酸5−デヒドロゲナーゼ、ガラクチトールパーミアーゼIIC構成タンパク質、ガラクチトール特異的ホスホトランスフェラーゼ酵素IIB構成タンパク質、D−タガトース−1,6−ビスリン酸アルドラーゼサブユニットGatZ、タガトース−6−リン酸キナーゼ、D−タガトース−1,6−ビスリン酸アルドラーゼサブユニットGatY、ガラクチトールパーミアーゼIIC構成タンパク質、GDPマンノース依存性α−(1−2)−ホスファチジルイノシトールマンノシルトランスフェラーゼ、L−キシルロース/3−ケトL−グロン酸キナーゼ、2−デヒドロ−3−デオキシグルコノキナーゼ、莢膜グルカン合成酵素、3−オクタプレニル−4−ヒドロキシベンゾエートカルボキシリアーゼパートナータンパク質、2−オクタプレニルフェノールヒドロキシラーゼフェノール酸デカルボキシラーゼサブユニットC、オキサロ酢酸デカルボキシラーゼβ鎖アコニット酸ヒドラターゼ2、推定アルドラーゼLsrF、推定アセチルトランスフェラーゼプロパンジオール利用タンパク質PduA、推定グリコシルトランスフェラーゼEpsF、へミン結合ペリプラズムタンパク質HmuT前駆体、タイコ酸排出ATP結合タンパク質TagH、タイコ酸移行透過タンパク質TagG、外膜タンパク質TolC前駆体、多剤輸送体EmrE、マグネシウム及びコバルト排出タンパク質CorC、内膜タンパク質YibH、アスパラギン酸アラニン交換輸送体、鉄エンテロバクチン受容体前駆体シグナル伝達ヒスチジンプロテインキナーゼBarA、ヘモリシン輸送タンパク質ShlB前駆体、オリゴペプチド輸送ATP結合タンパク質OppD、ヒ素ポンプ−駆動ATPアーゼ、推定抗シグマ因子アンタゴニスト、推定膜タンパク質YdfK、推定ヘモグロビン及びヘモグロビン−へパトグロビン結合タンパク質2前駆体、(2R)−3−スルホ乳酸デヒドロゲナーゼNADP(+))、ぺプチダーゼE、オリゴペプチダーゼA、ホスフィノトリシンN−アセチルトランスフェラーゼ、推定2−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼYoaD、mRNAインターフェラーゼRelE、一本鎖DNA特異的エクソヌクレアーゼRecJ、チロシンリコンビナーゼXerD_6、チロシンリコンビナーゼXerD、グルシトールオペロンリプレッサーギ酸塩ヒドロゲンリアーゼ転写活性因子HTH−タイプ転写制御因子TdfR、HTH−タイプ転写制御因子CatM、転写制御タンパク質tctD、HTH−タイプ転写抑制因子AseR、サイクリックdi−GMPホスホジエステラーゼYahA、セリン−プロテインキナーゼRsbW、繊維状赤血球凝集素ジヒドロプテロイン酸合成酵素、δ−アミノレブリン酸デヒドラターゼ好気呼吸制御タンパク質ArcA。

請求項4

更に、マンノース、フルクトース及びガラクトースのうちの少なくとも1の糖の代謝に関与する遺伝子を保有することを特徴とする、請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の細菌。

請求項5

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌又は該細菌に由来する生理活性物質を有効成分として含む、免疫を賦活させるための組成物

請求項6

更に、Th1細胞の増殖又は活性化を誘導するための組成物であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。

請求項7

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌又は該細菌に由来する生理活性物質を、対象に摂取させ、該対象におけるTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する方法。

請求項8

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌又は該細菌に由来する生理活性物質を、対象に摂取させ、該対象における免疫を賦活する方法。

請求項9

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌又は該細菌に特異的な抗原を有効成分として含む、ワクチン組成物

請求項10

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌又は該細菌に特異的な抗原を、対象に摂取させ、該対象における前記細菌に対する免疫応答を誘導する方法。

請求項11

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に対して抗菌活性を有する物質又は請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に由来する生理活性物質に結合する物質を、有効成分として含む、免疫を抑制するための組成物。

請求項12

更に、Th1細胞の増殖又は活性化を抑制するための組成物であることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。

請求項13

更に、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防するための組成物であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の組成物。

請求項14

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に対して抗菌活性を有する物質又は請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に由来する生理活性物質に結合する物質を、対象に摂取させ、該対象におけるTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する方法。

請求項15

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に対して抗菌活性を有する物質又は請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に由来する生理活性物質に結合する物質を、対象に摂取させ、該対象における免疫を抑制する方法。

請求項16

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に対して抗菌活性を有する物質又は請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に由来する生理活性物質に結合する物質を、対象に摂取させ、該対象におけるTh1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防する方法。

請求項17

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌が、腸管内に定着している、非ヒト動物

請求項18

更に、Th1細胞に起因する疾患の非ヒトモデル動物であることを特徴とする、請求項17に記載の非ヒト動物。

請求項19

請求項17又は18に記載の非ヒト動物の製造方法であって、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を、非ヒト動物に摂取させ、該細菌を該動物の腸管内に定着させる工程を含む、方法。

請求項20

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌と、腸管上皮細胞と、末梢血単核細胞とを含む、Th1細胞の増殖又は活性化を評価するためのキット

請求項21

腸管上皮細胞と、末梢血単核細胞とを含む、Th1細胞の増殖又は活性化を評価するためのキット。

請求項22

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌をスクリーニングする方法であって、被験試料非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化が検出された非ヒト無菌動物の腸管内試料から細菌を単離する工程とを、含む方法。

請求項23

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に由来する生理活性物質を、非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化が検出された場合に、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。

請求項24

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌をスクリーニングする方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に被験細菌を添加する工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化が検出された場合には、前記被験細菌を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌であると判定する工程とを、含む方法。

請求項25

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に由来する生理活性物質を添加させる工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化が検出された場合には、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。

請求項26

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質のスクリーニング方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌と、被験物質とを添加する工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験物質を添加しなかった場合におけるそれよりも増加している場合に、前記被験化合物は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質であると判定する工程とを、含む方法。

請求項27

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質のスクリーニング方法であって、請求項17に記載の非ヒト動物に、被験物質を摂取させる工程と、該非ヒト動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも増加している場合に、前記被験物質は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質であると判定する工程とを、含む方法。

請求項28

請求項22〜27のうちのいずれか一項に記載のスクリーニング方法によって得られる、細菌、生理活性物質又は物質を、有効成分として含む、免疫を賦活するための組成物。

請求項29

更に、Th1細胞の増殖又は活性化を誘導するための組成物であることを特徴とする、請求項28に記載の組成物。

請求項30

請求項22若しくは24に記載のスクリーニング方法によって得られる細菌又は該細菌に特異的な抗原を有効成分として含む、ワクチン組成物。

請求項31

Th1細胞に起因する疾患を誘発又は憎悪させる活性を有する物質を、スクリーニングするための方法であって、請求項18に記載の非ヒト動物に、被験物質を摂取させる工程と、該非ヒト動物におけるTh1細胞に起因する疾患の病変の程度を検出する工程と、前記工程にて検出された病変の程度が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも増加している場合に、前記被験物質は、Th1細胞に起因する疾患を誘発又は憎悪させる活性を有する物質であると判定する工程とを、含む方法。

請求項32

請求項31に記載のスクリーニング方法によって得られる物質を、有効成分として含む、Th1細胞に起因する疾患を誘発又は憎悪させるための組成物。

請求項33

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌をスクリーニングする方法であって、被験試料を非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された非ヒト無菌動物の腸管内試料から細菌を単離する工程とを、含む方法。

請求項34

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌に由来する生理活性物質を、非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された場合に、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。

請求項35

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌をスクリーニングする方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に被験細菌を添加する工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された場合には、前記被験細菌を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌であると判定する工程とを、含む方法。

請求項36

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌に由来する生理活性物質を添加する工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された場合には、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。

請求項37

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質のスクリーニング方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌と、被験物質とを添加する工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験化合物を添加しなかった場合におけるそれよりも低減している場合に、前記被験物質は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質であると判定する工程とを、含む方法。

請求項38

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質のスクリーニング方法であって、請求項17に記載の非ヒト動物に、被験物質を摂取させる工程と、該非ヒト動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも低減している場合に、前記被験物質は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質であると判定する工程とを、含む方法。

請求項39

請求項33〜38のうちのいずれか一項に記載のスクリーニング方法によって得られる、細菌、生理活性物質又は物質を、有効成分として含む、免疫を抑制するための組成物。

請求項40

更に、Th1細胞の増殖又は活性化を抑制するための組成物であることを特徴とする、請求項39に記載の組成物。

請求項41

更に、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防するための組成物であることを特徴とする、請求項39又は40に記載の組成物。

請求項42

Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防する活性を有する物質をスクリーニングするための方法であって、請求項18に記載の非ヒト動物に、被験物質を摂取させる工程と、該非ヒト動物におけるTh1細胞に起因する疾患の病変の程度を検出する工程と、前記工程にて検出された病変の程度が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも低減している場合に、前記被験物質は、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防する活性を有する物質であると判定する工程とを、含む方法。

請求項43

請求項42に記載のスクリーニング方法によって得られる物質を、有効成分として含む、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防するための組成物。

請求項44

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌を特異的に認識する抗体を含む、Th1細胞に起因する疾患を検査するための組成物。

請求項45

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に特異的なヌクレオチド配列を検出するためのポリヌクレオチドを含む、Th1細胞に起因する疾患を検査するための組成物。

請求項46

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に由来する生理活性物質。

請求項47

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に特異的な抗原。

請求項48

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌を特異的に認識する抗体。

請求項49

請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の細菌に特異的なヌクレオチド配列を検出するためのポリヌクレオチド。

技術分野

0001

本発明は、平成27年度、国立研究開発人日医療研究開発機構(AMED)、革新的先端研究開発支援事業ユニットタイプ生体恒常性維持・変容破綻機構のネットワーク的理解に基づく最適医療実現のための技術創出」研究領域(研究開発課題名:「腸内常在細菌特性理解に基づく難治性疾患新規治療法の開発」)委託事業に基づく研究成果として得られたものである。

0002

本発明は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌(以下、「Th1細胞誘導性細菌」とも称する)に関する。また、本発明は、該Th1細胞誘導性細菌若しくはそれに由来する生理活性物質を有効成分として含む、免疫を賦活させるための組成物又はTh1細胞の増殖若しくは活性化を誘導するための組成物に関する。さらに、本発明は、前記Th1細胞誘導性細菌若しくは該Th1細胞誘導性細菌に由来する生理活性物質を用いる、免疫を賦活させるための方法又はTh1細胞の増殖若しくは活性化を誘導するための方法に関する。

0003

さらに、本発明は、前記Th1細胞誘導性細菌若しくは該細菌に特異的な抗原を有効成分として含む、ワクチン組成物、又は前記Th1細胞誘導性細菌若しくは該Th1細胞誘導性細菌に特異的な抗原を、対象に摂取させ、該対象における前記Th1細胞誘導性細菌に対する免疫応答を誘導する方法に関する。

0004

また、本発明は、前記Th1細胞誘導性細菌に対して抗菌活性を有する物質等を有効成分として含む、免疫を抑制させるための組成物又はTh1細胞の増殖若しくは活性化を抑制するための組成物に関する。さらに、本発明は、当該物質等を用いる、免疫を抑制させるための方法又はTh1細胞の増殖若しくは活性化を抑制するための方法に関する。

0005

さらに、本発明は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制又は誘導するTh1細胞誘導性細菌等をスクリーニングする方法、及びかかるスクリーニング方法に用いられるキット又は非ヒト動物に関する。

0006

さらにまた、本発明は、前記Th1細胞誘導性細菌を特異的に検出するための物質を含む、Th1細胞に起因する疾患を検査するための組成物に関する。

背景技術

0007

消化管口腔等の粘膜には多様な常在細菌が存在し、全体としてフローラを形成している。常在菌フローラは、宿主生理や健康維持に対して非常に大きな役割を果たしている。常在菌フローラの構成異常はDysbiosisとよばれ、様々な疾患の原因となっていることが徐々に明らかになってきている。粘膜常在菌フローラの解明が進めば、様々な疾患に対する新たな疾病対策治療開発に結びつく可能性が高いものの、その複雑さから詳細なメカニズムは十分明らかになっていない。

0008

ヒトは毎日1.5Lほどの唾液を作り出し、飲み込んでいる。通常、唾液に含まれる菌は(口腔内細菌)、腸管をただ単に通過するだけで、定着しない。しかし、ある状況では口腔内細菌が腸管に定着することがある。特にクローン病や、肝硬変大腸がんにおいて、疾患発症の早期から、口腔内細菌の腸管定着が観察されることが報告されている。そして、定着した口腔内細菌が、疾患の病態に影響を与えることが知られている(非特許文献1〜6)。

先行技術

0009

Y.Chenet al.,Scientific reports 6,34055(2016)
D.Gevers et al.,Cell host&microbe 15,382−392(2014)
C.A.Lozupone et al.Cell host&microbe 14,329−339(2013)
I.Vujkovic−Cvijin et al.,Science translational medicine 5,193ra191(2013)
N.Qin et al.,Nature 513,59−64(2014)
C.L.Sears,W.S.Garrett,Cell host&microbe 15,317−328(2014)

発明が解決しようとする課題

0010

本発明が解決しようとする課題は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を提供することである。また、本発明において、腸管に定着することによってクローン病等を誘発する、口腔内細菌を同定することを目的とする。ひいては、同定した口腔内細菌を標的とする、クローン病等の疾患を治療、改善又は予防する組成物等を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、あるクローン病患者由来唾液を無菌マウス経口投与したところ、大腸においてインターフェロンガンマ(IFN−γ)産生性CD4陽性T細胞Th1細胞が著増することを見出した(図1及び2等 参照)。このTh1細胞の増加が見られたマウスの腸内細菌を培養し、8種類の細菌株の単離に成功した(図3等 参照)。次に、この8菌株混合液を無菌マウスに投与したところ、それらで十分にTh1細胞を誘導できることが明らかになった(図4等 参照)。さらに8菌株のうち、Klebsiella pneumoniaeに属すると考えられる2H7株単独でも、無菌マウスに投与すると十分にTh1細胞を誘導できることを明らかにした(図4等 参照)。一方、残りの7菌株混合液ではTh1細胞を誘導しなかった(図4等 参照)。このことから、クローン病患者の唾液中に存在していたK.pneumoniae 2H7株が腸管に定着すると大腸で強いTh1細胞の誘導を引き起こすことが明らかになった。

0012

さらに、8菌株のうちK.pneumoniae 2H7株又はE.coli 2B1株を無菌IL−10欠損マウスに定着させると、E.coli 2B1株定着と比較して、K.pneumoniae 2H7株定着によって、より激しい腸炎が発症することがわかった(図17等 参照)。このことからクローン病患者の唾液由来K.pneumoniae 2H7株は腸炎の発症に関与している可能性が強く示唆された。

0013

次に、K.pneumoniae 2H7株がどのような機序でTh1細胞を誘導しているのかを解析するため、無菌MyD88/Trif二重欠損マウスに投与したところ、野生型C57BL/6マウスと比較してTh1細胞の有意な増加は観察できなかった(図24等 参照)。このことからMyD88/Trifが関与するToll−like receptor、IL−1、IL−18のシグナル経路が関与している可能性が示唆された。

0014

さらに、K.pneumoniaeのその他の株でも同様に大腸Th1細胞を誘導するかを検討したところ、ATCCから購入したBAA−2552株、700721株ともに2H7株と比較して有意にTh1細胞の増加が低いことがわかった(図21等 参照)。このことから、K.pneumoniae 2H7株はBAA−2552株、700721株が保有していないTh1細胞誘導に関与する遺伝子、構造を有していると考えられる。

0015

また、ある潰瘍性大腸炎患者の唾液を無菌マウスに経口投与したところ、上述のクローン病患者同様に、大腸においてTh1細胞が顕著に誘導されることを見出した。さらに、Th1細胞を誘導する細菌を同定した結果、2H7株とは別の株ではあるが、K.pneumoniaeの近縁種であるKlebsiella aeromobilisに属する11E12株を見出した。

0016

また、大腸Th1細胞を誘導する細菌の同定を進めた結果、前記2H7株及び11E12株と同程度に大腸Th1細胞を強く誘導する細菌として、34E1株、BAA−1705株、700603株、40B3株を見出すことができた。

0017

さらに、上述のKlebsiellaに属する菌株間において、大腸Th1細胞の誘導レベル及びゲノム配列を比較した(図52及び23 参照)。その結果、表1〜10に示すとおり、大腸Th1細胞の誘導に関連する、機能が既に知られている64の遺伝子を見出すことができた。

0018

なお、表1は、前記大腸Th1細胞の誘導に関連する遺伝子において、炭水化物代謝に関連する遺伝子のアノテーション及び情報(KEGG又はUniProt)を示し、表2は、Klebsiellaに属する菌株における、大腸Th1細胞の誘導レベルの程度と、前記炭水化物代謝に関連する遺伝子の保有の程度とを示す。

0019

表3は、前記大腸Th1細胞の誘導に関連する遺伝子において、膜輸送に関連する遺伝子のアノテーション及び情報(KEGG又はUniProt)を示し、表4は、Klebsiellaに属する菌株における、大腸Th1細胞の誘導レベルの程度と、前記膜輸送に関連する遺伝子の保有の程度とを示す。

0020

表5は、前記大腸Th1細胞の誘導に関連する遺伝子において、アミノ酸代謝に関連する遺伝子のアノテーション及び情報(KEGG又はUniProt)を示し、表6は、Klebsiellaに属する菌株における、大腸Th1細胞の誘導レベルの程度と、前記アミノ酸代謝に関連する遺伝子の保有の程度とを示す。

0021

表7は、前記大腸Th1細胞の誘導に関連する遺伝子において、遺伝子制御に関連する遺伝子のアノテーション及び情報(KEGG又はUniProt)を示し、表8は、Klebsiellaに属する菌株における、大腸Th1細胞の誘導レベルの程度と、前記遺伝子制御に関連する遺伝子の保有の程度とを示す。

0022

表9は、前記大腸Th1細胞の誘導に関連する遺伝子において、表1〜8以外のその他の遺伝子のアノテーション及び情報(KEGG又はUniProt)を示し、表10は、Klebsiellaに属する菌株における、大腸Th1細胞の誘導レベルの程度と、前記その他の遺伝子の保有の程度とを示す。

0023

0024

0025

0026

0027

0028

0029

0030

0031

0032

0033

また、これら機能既知の遺伝子において、表1及び2に示すとおり、マンノースフルクトース又はガラクトースの代謝に関与する遺伝子が含まれていることも明らかにし、本発明を完成するに至った。

0034

すなわち、本発明は以下を提供するものである。
<1>腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌。
<2> 更に、Klebsiella pneumoniae又はKlebsiella aeromobilisに属することを特徴とする、<1>に記載の細菌。
<3> 更に、下記タンパク質群から選択される少なくとも5つのタンパク質をコードする遺伝子を保有することを特徴とする、<1>又は<2>に記載の細菌
タンパク質群:
マンノース−1−リン酸グアニルトランスフェラーゼ1、
マルチホスホリル転移タンパク質、
PTS系フルクトース特異的EIIABC構成タンパク質
ホスホマンムターゼホスホグルコムターゼ
マンノシルフルクトース−リン酸合成酵素
3−オキソアシル[アシル輸送タンパク質レダクターゼFabG、
ラムシルマンノシルトランスフェラーゼ
ガラクチトール−1−リン酸5−デヒドロゲナーゼ
ガラクチトールパーミアーゼIIC構成タンパク質、
ガラクチトール特異的ホスホトランスフェラーゼ酵素IIB構成タンパク質、
D−タガトース−1,6−ビスリン酸アルドラーゼサブユニットGatZ、
タガトース−6−リン酸キナーゼ
D−タガトース−1,6−ビスリン酸アルドラーゼサブユニット GatY、
ガラクチトールパーミアーゼIIC構成タンパク質、
GDP−マンノース−依存性α−(1−2)−ホスファチジルイノシトールマンノシルトランスフェラーゼ、
L−キシルロース/3−ケトL−グロン酸キナーゼ、
2−デヒドロ−3−デオキシグルコノキナーゼ、
莢膜グルカン合成酵素
3−オクタプレニル−4−ヒドロキシベンゾエートカルボキシリアーゼパートナータンパク質
2−オクタプレニルフェノールヒドロキシラーゼ
フェノール酸デカルボキシラーゼサブユニットC、
オキサロ酢酸デカルボキシラーゼβ鎖
アコニット酸ヒドラターゼ2、
推定アルドラーゼLsrF、
推定アセチルトランスフェラーゼ
プロパンジオール利用タンパク質 PduA、
推定グリコシルトランスフェラーゼEpsF、
へミン結合ペリプラズムタンパク質 HmuT前駆体、
タイコ酸排出ATP結合タンパク質TagH、
タイコ酸移行透過タンパク質 TagG
外膜タンパク質TolC前駆体
多剤輸送体EmrE
マグネシウム及びコバルト排出タンパク質 CorC
内膜タンパク質 YibH
アスパラギン酸アラニン交換輸送体
エンテロバクチン受容体前駆体
シグナル伝達ヒスチジンプロテインキナーゼBarA
ヘモリシン輸送タンパク質 ShlB前駆体
オリゴペプチド輸送ATP結合タンパク質 OppD
ヒ素ポンプ−駆動ATPアーゼ
推定抗シグマ因子アンタゴニスト
推定膜タンパク質YdfK
推定ヘモグロビン及びヘモグロビン−へパトグロビン結合タンパク質2前駆体
(2R)−3−スルホ乳酸デヒドロゲナーゼNADP(+))
プチダーゼE
オリゴペプチダーゼ
ホスフィノトリシンN−アセチルトランスフェラーゼ
推定2−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼ YoaD
mRNAインターフェラーゼ RelE
一本鎖DNA特異的エクソヌクレアーゼRecJ
チロシンリコンビナーゼXerD_6
チロシンリコンビナーゼ XerD
グルシトールオペロンリプレッサー
ギ酸塩ヒドロゲンリアーゼ転写活性因子
HTH−タイプ転写制御因子TdfR
HTH−タイプ転写制御因子 CatM
転写制御タンパク質 tctD
HTH−タイプ転写抑制因子AseR
サイクリックdi−GMPホスホジエステラーゼYahA
セリン−プロテインキナーゼ RsbW
繊維状赤血球凝集素
ジヒドロプテロイン酸合成酵素
δ−アミノレブリン酸デヒドラターゼ
好気呼吸制御タンパク質ArcA。
<4> 更に、マンノース、フルクトース及びガラクトースのうちの少なくとも1の糖の代謝に関与する遺伝子を保有することを特徴とする、<1>〜<3>のうちのいずれか一項に記載の細菌。
<5> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌又は該細菌に由来する生理活性物質を有効成分として含む、免疫を賦活させるための組成物。
<6> 更に、Th1細胞の増殖又は活性化を誘導するための組成物であることを特徴とする、<5>に記載の組成物。
<7> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌又は該細菌に由来する生理活性物質を、対象に摂取させ、該対象におけるTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する方法。
<8> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌又は該細菌に由来する生理活性物質を、対象に摂取させ、該対象における免疫を賦活する方法。
<9> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌又は該細菌に特異的な抗原を有効成分として含む、ワクチン組成物。
<10> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌又は該細菌に特異的な抗原を、対象に摂取させ、該対象における前記細菌に対する免疫応答を誘導する方法。
<11> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に対して抗菌活性を有する物質又は<1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に由来する生理活性物質に結合する物質を、有効成分として含む、免疫を抑制するための組成物。
<12> 更に、Th1細胞の増殖又は活性化を抑制するための組成物であることを特徴とする、<11>に記載の組成物。
<13> 更に、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防するための組成物であることを特徴とする、<11>又は<12>に記載の組成物。
<14> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に対して抗菌活性を有する物質又は<1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に由来する生理活性物質に結合する物質を、対象に摂取させ、該対象におけるTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する方法。
<15> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に対して抗菌活性を有する物質又は<1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に由来する生理活性物質に結合する物質を、対象に摂取させ、該対象における免疫を抑制する方法。
<16> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に対して抗菌活性を有する物質又は<1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に由来する生理活性物質に結合する物質を、対象に摂取させ、該対象におけるTh1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防する方法。
<17> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌が、腸管内に定着している、非ヒト動物。
<18> 更に、Th1細胞に起因する疾患の非ヒトモデル動物であることを特徴とする、<17>に記載の非ヒト動物。
<19> <17>又は<18>に記載の非ヒト動物の製造方法であって、
腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を、非ヒト動物に摂取させ、該細菌を該動物の腸管内に定着させる工程を含む、方法。
<20> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌と、腸管上皮細胞と、末梢血単核細胞とを含む、Th1細胞の増殖又は活性化を評価するためのキット。
<21> 腸管上皮細胞と、末梢血単核細胞とを含む、Th1細胞の増殖又は活性化を評価するためのキット。
<22> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌をスクリーニングする方法であって、
被験試料非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、
該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化が検出された非ヒト無菌動物の腸管内試料から細菌を単離する工程とを、含む方法。
<23> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、
腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に由来する生理活性物質を、非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、
該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化が検出された場合に、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。
<24> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌をスクリーニングする方法であって、
腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に被験細菌を添加する工程と、
該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化が検出された場合には、前記被験細菌を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌であると判定する工程とを、含む方法。
<25> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、
腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に由来する生理活性物質を添加させる工程と、
該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化が検出された場合には、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。
<26> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質のスクリーニング方法であって、
腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌と、被験物質とを添加する工程と、
該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験物質を添加しなかった場合におけるそれよりも増加している場合に、前記被験化合物は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質であると判定する工程とを、含む方法。
<27> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質のスクリーニング方法であって、
<17>に記載の非ヒト動物に、被験物質を摂取させる工程と、
該非ヒト動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも増加している場合に、前記被験物質は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質であると判定する工程とを、含む方法。
<28> <22>〜<27>のうちのいずれか一項に記載のスクリーニング方法によって得られる、細菌、生理活性物質又は物質を、有効成分として含む、免疫を賦活するための組成物。
<29> 更に、Th1細胞の増殖又は活性化を誘導するための組成物であることを特徴とする、<28>に記載の組成物。
<30> <22>若しくは<24>に記載のスクリーニング方法によって得られる細菌又は該細菌に特異的な抗原を有効成分として含む、ワクチン組成物。
<31> Th1細胞に起因する疾患を誘発又は憎悪させる活性を有する物質を、スクリーニングするための方法であって、
<18>に記載の非ヒト動物に、被験物質を摂取させる工程と、
該非ヒト動物におけるTh1細胞に起因する疾患の病変の程度を検出する工程と、
前記工程にて検出された病変の程度が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも増加している場合に、前記被験物質は、Th1細胞に起因する疾患を誘発又は憎悪させる活性を有する物質であると判定する工程とを、含む方法。
<32> <31>に記載のスクリーニング方法によって得られる物質を、有効成分として含む、Th1細胞に起因する疾患を誘発又は憎悪させるための組成物。
<33> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌をスクリーニングする方法であって、
被験試料を非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、
該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された非ヒト無菌動物の腸管内試料から細菌を単離する工程とを、含む方法。
<34> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、
腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌に由来する生理活性物質を、非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、
該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された場合に、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。
<35> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌をスクリーニングする方法であって、
腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に被験細菌を添加する工程と、
該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された場合には、前記被験細菌を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌であると判定する工程とを、含む方法。
<36> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、
腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌に由来する生理活性物質を添加する工程と、
該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された場合には、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。
<37> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質のスクリーニング方法であって、
腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌と、被験物質とを添加する工程と、
該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験化合物を添加しなかった場合におけるそれよりも低減している場合に、前記被験物質は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質であると判定する工程とを、含む方法。
<38> 腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質のスクリーニング方法であって、
<17>に記載の非ヒト動物に、被験物質を摂取させる工程と、
該非ヒト動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、
前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも低減している場合に、前記被験物質は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質であると判定する工程とを、含む方法。
<39> <33>〜<38>のうちのいずれか一項に記載のスクリーニング方法によって得られる、細菌、生理活性物質又は物質を、有効成分として含む、免疫を抑制するための組成物。
<40> 更に、Th1細胞の増殖又は活性化を抑制するための組成物であることを特徴とする、<39>に記載の組成物。
<41> 更に、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防するための組成物であることを特徴とする、<39>又は<40>に記載の組成物。
<42> Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防する活性を有する物質をスクリーニングするための方法であって、
<18>に記載の非ヒト動物に、被験物質を摂取させる工程と、
該非ヒト動物におけるTh1細胞に起因する疾患の病変の程度を検出する工程と、
前記工程にて検出された病変の程度が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも低減している場合に、前記被験物質は、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防する活性を有する物質であると判定する工程とを、含む方法。
<43> <42>に記載のスクリーニング方法によって得られる物質を、有効成分として含む、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防するための組成物。
<44> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌を特異的に認識する抗体を含む、Th1細胞に起因する疾患を検査するための組成物。
<45> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に特異的なヌクレオチド配列を検出するためのポリヌクレオチドを含む、Th1細胞に起因する疾患を検査するための組成物。
<46> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に由来する生理活性物質。
<47> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に特異的な抗原。
<48> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌を特異的に認識する抗体。
<49> <1>〜<4>のうちのいずれか一項に記載の細菌に特異的なヌクレオチド配列を検出するためのポリヌクレオチド。

発明の効果

0035

本発明によれば、Klebsiellaに属する2H7株、11E12株、34E1株、BAA−1705株、700603株、40B3株といった腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌(Th1細胞誘導性細菌)を標的とし、該細菌の増殖を抑制又は死滅等させることにより、Th1細胞の増殖又は活性化を抑制することが可能となる。また該Th1細胞誘導性細菌の増殖の抑制等によって、腸管内の免疫を抑制することも可能となり、ひいては、クローン病、潰瘍性大腸炎といったTh1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防することも可能となる。

0036

さらに、本発明によれば、前記口腔内細菌を検出することにより、Th1細胞に起因する疾患を検査することも可能となる。

0037

また、本発明によれば、このようなTh1細胞誘導性細菌又はその生理活性物質を用いることにより、Th1細胞の増殖又は活性化を誘導し、また免疫を賦活させ、ひいては、感染症の治療、抗がん作用の増強を行うことも可能である。

0038

さらにまた、本発明によれば、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制又は誘導する細菌等をスクリーニングすることも可能となる。

図面の簡単な説明

0039

クローン病患者2名(CD#1、CD#2)の唾液サンプルを各々接種したexGF B6マウスの大腸粘膜固有層LP)にて、CD4+TCRβ+T細胞におけるIFN−γ陽性細胞頻度を、フローサイトメトリーにて解析した代表的な結果を示す、プロット図である。なお、図中、「GF」は唾液サンプル非接種群のデータであることを示す。
クローン病患者2名(CD#1、CD#2)の唾液サンプルを各々接種したexGF B6マウスの大腸LPにて、CD4+TCRβ+T細胞におけるIFN−γ陽性細胞の頻度を、フローサイトメトリーにて解析した結果を示す、グラフである。図中、各点は個々のマウスについてのデータを示す。また「GF」は、唾液サンプル非接種群のデータであることを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析ANOVA)及びそれに続くテューキーポストホックテストに基づく)。
患者(CD#1、CD#2)の唾液微生物叢と、それを接種したexGFマウス糞便微生物叢とに関し、16SrRNAパイロシークエンシング解析した結果を示す、概略図である。なお、各グループにつき、n=3解析し、クオリティフィルターパスした配列を、配列類似性(96%同一性)に基づきOTUsに分類し、OTUsの比存在度及び各OTUに近縁の公知の細菌種を、当該図に示す。また、OTUsに対応する8つの単離した細菌株を緑色にてマークする。
8種混合物(8−mix)、Fu−21f+Ve−2E1混合物、Kp−2H7、7種混合物(7−mix)又はEc−2B1を定着させたexGFB6マウスの大腸LPにおけるTh1細胞の割合を示すグラフである。なお、図中、「GF」は細菌非接種群のデータであることを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
GFマウス又はKp−2H7のみを定着させたGFマウス(GF+Kp−2H7)から単離した、大腸LPのCD3ε+細胞又はCD3ε+TCRβ+細胞における、IFN−γ、IL−17A、TCRβ、TCRγδ及びCD8αの発現をフローサイトメトリーにて解析した代表的な結果を示す、プロット図である。
GFマウス又はGF+Kp−2H7マウスから単離した、大腸のCD3ε+TCRβ+CD4+細胞における、IFN−γ、IL−17、T−bet、RORγt、Foxp3及びCD44の発現をフローサイトメトリーにて解析した代表的な結果を示す、プロット図である。
GF+Kp−2H7マウス(n=5)の糞便、並びに小腸近位部から遠位部にかけて4つに分けた、SI_1、SI_2、SI_3及びSI_4)、盲腸及び大腸の管腔内容物における、Kp−2H7 DNA濃度を、q−PCRにより解析した結果を示す、グラフである。図中、各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。
Kp−2H7のみを定着させたGF B6マウスの大腸又は小腸のLPにて、CD4+T細胞におけるIFN−γ+細胞(Th1細胞)の比率(%)を、q−PCRにて解析した結果を示す、グラフである。図中、各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
Kp−2H7のみを定着させたGF B6マウスの口蓋にて、CD4+T細胞におけるIFN−γ+細胞(Th1細胞)の比率(%)を、q−PCRにて解析した結果を示す、グラフである。図中、各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。nsは有意差が認められなかったこと(P>0.05)を示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
Kp−2H7のみを定着させたGF ICIマウス又はGF BALB/cマウスの大腸LPにて、CD4+T細胞におけるIFN−γ+細胞(Th1細胞)の比率(%)を、q−PCRにて解析した結果を示す、グラフである。図中、各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。*はP<0.05であることを示し、nsは有意差が認められなかったこと(P>0.05)を示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
抗生物質存在下におけるKp−2H7の増殖を解析したグラフである。Kp−2H7は、96ウェルプレートにて、異なる濃度の各抗生物質存在下37℃で24時間培養した。細菌増殖は、波長630nmにおける吸光度を測定することに基づき決定した。各データは、また少なくとも3回の独立した実験結果に基づき平均値±標準偏差にて表す。「Amp」はアンピシリン存在下、「Tyl」はタイロシン(チロシン)存在下、「MNZ」はメトロニダゾール存在下、「VCM」はバンコマイシン存在下、「Spc」はスペクチノマイシン存在下、「MEPM」はメロぺネム存在下、「CAM」はクラリスロマイシン存在下、「TMP」はトリメトプリム存在下、「SM」はストレプトマイシン存在下、「GM」はゲンタマイシン存在下、「PL−B」はポリミキシンB存在下、「TC」はテトラサイクリン存在下での培養結果を示す。
非処理のSPFB6マウス(Cont,コントロール)又は2×108CFU Kp−2H7を投与する4日前から飲料水を介して抗生物質(Tyl:タイロシン又はAmp:アンピシリン)にて継続的に処理したSPF B6マウスにおいて、大腸LP CD4+T細胞におけるTh1細胞の割合を、Kp−2H7投与後21日目にフローサイトメトリーにて解析した結果を示すグラフである。図中、「−」及び「+Kp−2H7」は、各々Kp−2H7非投与群及び投与群を表す。各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。**はP<0.01であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
Kp−2H7を定着させたGF野生型又はGF Il10−/−マウスの近位結腸について、顕微鏡にて観察した結果を示す、写真である。図中「GF WT」及び「GF Il10−/−」はGF 野生型及びGF Il10−/−マウスの結果を各々示し、「GF WT+Kp−2H7」及び「GF Il10−/−+Kp−2H7」はGF 野生型及びGF Il10−/−マウスにKp−2H7のみを定着させた個体の結果を各々示す。また、上段は、H&E染色にて解析した結果の代表例を示し、下段は、走査型電子顕微鏡にて解析した結果の代表例を示す。スケールバーは200μmを示す
Kp−2H7又はEc−2B1のみを定着させたGF 野生型又はGF Il10−/−マウスの近位結腸について、組織学腸炎スコアを解析した結果を示すグラフである。図中、「GF」は細菌非投与群の結果を示す。各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
2×108CFU Kp−2H7を経口投与又は非投与する4日前から飲料水を介して抗生物質(Amp:200mg/L アンピシリン)にて継続的に処理した、SPF B6マウス(SPF WT)又はSPF Il10−/−マウスの近位結腸を、顕微鏡にて観察した結果を示す、写真である。図中、Kp−2H7接種後3週間後に、H&E染色にて解析した結果の代表例を示す。スケールバーは200μmを示す。
2×108CFU Kp−2H7を経口投与又は非投与する4日前から飲料水を介して抗生物質(Amp:200mg/L アンピシリン)にて継続的に処理した、SPF B6マウス又はSPF Il10−/−マウスの近位結腸について、組織学的腸炎スコアを解析した結果を示すグラフである。図中、「Cont]は、Kp−2H7非投与群であることを示す。各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。nsは有意差が認められなかったこと(P>0.05)を示し、***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
GF Il10−/−マウス、Kp−2H7のみを定着させたGF Il10−/−マウス及びEC−2B1のみを定着させたGF Il10−/−マウスの近位結腸を、顕微鏡にて観察した結果を示す、写真である。図中、H&E染色にて解析した結果の代表例を示し、スケールバーは200μmを示す
3週間飲料水を介してKp−2H7を投与したGFマウス(図中「生菌」)及び3週間飲料水を介して加熱殺菌したKp−2H7を投与したGFマウス(図中「死菌」)の各々の大腸における、Th1細胞の頻度を示すグラフである。図中、「GF]は、Kp−2H7非投与群であることを示す。各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。nsは有意差が認められなかったこと(P>0.05)を示し、***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
Kp−2H7のみを定着させたGFマウスの近位結腸を、DAPI(図中青色にて示す)、EUB338 FISHプローブ(図中緑色にて示す)及びヨーロッパハリエニシダアグルチニンI(UEA1、図中赤色にて示す)にて染色して観察した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。
K.pneumoniae株の全ゲノムにつき、近隣結合法を用いて解析し、Mash距離に基づき構築した、系統樹である。
GFマウスに各K.pneumoniae株のみを定着させ、その3週間後にTh1細胞を解析した結果を示すグラフである。図中、縦軸は、IFN−γ+大腸LP CD4+TCRβ+T細胞の頻度を示す。各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。**はP<0.01であることを示し、***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
各K.pneumoniae株を強制投与したGFマウスの糞便中における菌体量経時的変化を、コロニー形成単位(CFU)によって示したグラフである。
Klebsiellaに属する菌株間の比較ゲノムの結果に基づき選抜したTh1誘導関連遺伝子群(機能既知64遺伝子)と、Klebsiellaに属する各菌株における前記遺伝子保有の有無との相関を示す、図である(詳細は、表1〜10 参照)。なお、Klebsiellaに属する菌株間の比較ゲノムの結果に基づき、遺伝子保有の有無(0or1)及び前記相対誘導レベルを乗じ、その総和を指標として選択した上位100位の遺伝子から、更に機能が既知のもの(64遺伝子)を、Th1誘導関連遺伝子群として選抜した。
Kp−2H7のみを定着させた、WTマウス、Myd88−/−マウス、Tlr4−/−マウス及びMyd88−/−Trif−/−マウスの大腸におけうTh1細胞の割合を示すグラフである。図中、各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。**はP<0.01であることを示し、***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
1週間、Kp−2H7又はBAA−2552のみを定着させた野生型マウス大腸の上皮細胞(EC)及び樹状細胞(DC)における差次的遺伝子発現を示す、ヒートマップである。図中、ヒートマップカラーは、各遺伝子をFPKM値にて正規化したZスコアを表す。
1週間、Kp−2H7のみを定着させた野生型マウス大腸の上皮細胞及び樹状細胞にて発現亢進した遺伝子セットにおいて、有意に多かった遺伝子オントロジー(GO)で定義される用語を示す、グラフである。
3週間、Kp−2H7のみを定着させた、WTマウス、Myd88−/−マウス、Tlr4−/−マウス及びMyd88−/−Trif−/−マウスの大腸上皮細胞における差次的遺伝子発現を示す、ヒートマップである。図中、ヒートマップカラーは、各遺伝子をFPKM値にて正規化したZスコアを表す。
3週間、Kp−2H7のみを定着させた野生型マウス大腸の上皮細胞及び樹状細胞にて発現亢進した遺伝子セットにおいて、有意に多かった遺伝子オントロジー(GO)で定義される用語を示す、グラフである。
各細菌株のみを定着させたマウス大腸の上皮細胞又は樹状細胞における各遺伝子発現をqPCRにて解析した結果を示すグラフである。図中、縦軸は、Gapdhの発現で各遺伝子のそれらを各々正規化した値を示し。エラーバーは標準偏差を表す。また「1週間」又は「3週間」は、細胞株を接種してからの週数を示す。
Kp−2H7のみを定着させたマウスの大腸上皮細胞における各遺伝子発現をqPCRにて解析した結果を経時的に示すグラフである。図中、縦軸は、Gapdhの発現で各遺伝子のそれらを各々正規化した値を示し。エラーバーは標準偏差を表す。また横軸は、細胞株を接種してからの週数を示す。
Kp−2H7のみを定着させたマウス大腸粘膜固有層リンパ球(LPL)におけるTh1細胞の割合をフローサイトメトリーにて解析した結果を経時的に示すグラフである。図中、エラーバーは標準偏差を表す。また横軸は、細胞株を接種してからの週数を示す。
アンピシリン(Amp)にて処理し、Kp−2H7を強制投与した又は投与しなかったSPF WTマウス又はSPF Ifngr1−/−マウスの、大腸LPCD4+細胞におけるTh1細胞の割合を示す、グラフである。図中、各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。nsは有意差が認められなかったこと(P>0.05)を示し、**はP<0.01であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
健常ドナー(He#1、He#2)及び潰瘍性大腸炎患者(UC#1、UC#2)の唾液サンプルを接種したexGFマウスの大腸LP CD4+TCRβ+T細胞における、IFNγ+細胞の頻度を示すグラフである。図中、各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
コントロールの健常者及び潰瘍性大腸炎患者の唾液微生物叢と、それらを各々接種させたexGFマウスの糞便微生物叢とに関し、16SrRNAをパイロシークエンシング解析した結果を示す、図である(各グループにつき、n=3〜4)。図中、OTUsの比存在度及び各OTUに近縁の公知の細菌種を示す。OTUsに対応する13の単離した細菌株及びKp−40B3を、各々緑色及び黄色にてマークした。
13株の混合物(13−mix)、Ef−11A1、Ka−11E12又は11株の混合物(11−mix)を定着させたB6マウスの大腸LPにおけるTh1細胞の割合を示す、グラフである。図中、各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
各抗生物質存在下におけるKa−11E12の増殖を解析したグラフである。Ka−11E12は、96ウェルプレートにて、異なる濃度の各抗生物質存在下37℃で24時間培養した。細菌増殖は、波長630nmにおける吸光度を測定することに基づき決定した。各データは、また少なくとも3回の独立した実験結果に基づき。平均値±標準偏差にて表す。「Amp」はアンピシリン存在下、「Tylosin」はタイロシン(チロシン)存在下、「MNZ」はメトロニダゾール存在下、「VCM」はバンコマイシン存在下、「Spec」はスペクチノマイシン存在下、「MEPM」はメロぺネム存在下、「CAM」はクラリスロマイシン存在下、「TMP」はトリメトプリム存在下、「SM」はストレプトマイシン存在下、「GM」はゲンタマイシン存在下、「PL−B」はポリミキシンB存在下、「TC」はテトラサイクリン存在下での培養結果を示す。
Ka−11E12のみを定着させた又は定着させなかったGF 野生型又はGF Il10−/−マウスの近位結腸について、顕微鏡にて観察した結果を示す、写真である。図中、Ka−11E12を投与してから5週間後に、H&E染色にて解析した結果の代表例を示す。スケールバーは200μmを示す。
Ka−11E12のみを定着させた又は定着させなかったGF 野生型又はGF Il10−/−マウスの近位結腸について、組織学的腸炎スコアを解析した結果を示すグラフである。図中、「Cont」は細菌非投与群の結果を示す。各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。nsは有意差が認められなかったこと(P>0.05)を示し、***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
Ka−11E12のみを定着させた野生型マウス又はIl10−/−マウスの大腸を観察した結果を示す、代表的なSEM画像である。
Ka−11E12のみを定着させたマウスの大腸を、DAPI(図中青色にて示す)、EUB338 FISHプローブ(図中緑色にて示す)及びUEA1(図中赤色にて示す)にて染色した結果を示す、蛍光顕微鏡写真である。スケールバーは100μmを表す。
インビトロ培養したKa−11E12を透過型電子顕微鏡にて観察した結果を示す、写真である。
Ka−11E12等の運動性について分析した結果を示す、写真である。
HEK−BlueTLR5を、Ka−11E12等の培養上清にてインキュベーションし、TLR5の活性を、ルミネセンスアッセイにて解析した結果を示す、グラフである。図中、「培地」は細菌を添加せずにHEK−Blue TLR5のインキュベーションに供した結果を示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。nsは有意差が認められなかったこと(P>0.05)を示し、***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
Kp−2H7(Klebsiella 2H7)及びBAA2552(KlebsiellaATCC2552)を透過型電子顕微鏡にて観察した結果を示す写真である。
インビトロ培養したKp−2H7(Klebsiella 2H7)をネガティブ染色し、透過型電子顕微鏡にて観察した結果を示す写真である。図中の矢印は、Kp−2H7の周りに存在する又は当該菌から出芽している小胞構造(例えば、Kp−2H7が産生する外膜小胞(OMV)又はOMV様構造体)を示す。
Kp−40B3を定着させたB6マウスの大腸LPにおけるTh1細胞の割合を示す、グラフである。図中、各点は個々のマウスについてのデータを示す。エラーバーは、平均値±標準偏差を示す。***はP<0.001であることを示す(一元配置分散分析(ANOVA)及びそれに続くテューキーのポストホックテストに基づく)。
健常ドナー及び各疾患患者由来のサンプルにおいて、Klebsiella属に属する、集約凝集)されたOTUの比存在度を示す、グラフである。図中、「UC」は潰瘍性大腸炎患者を示し、「CD」はクローン病患者を示し、「PSC」は原発性硬化性胆管炎患者を示し、「GERD」は胃食道逆流症患者を示し、「Alc」はアルコール依存症患者を示す。また、*はP<0.05であることを示し、**はP<0.01であることを示す(ウィルコクソン順位和検定に基づく)。
RISM及びUPennコホートにおける各サンプルのリードを、Klebsiella種にマップした結果を示す、グラフである。
PRISMコホートにおける各サンプルのリードを、Th1誘導に関連する遺伝子配列にマップした結果を示す、ヒートマップ図である。当該図面は、Th1関連遺伝子に対する100万リードあたり・1kbpあたりのリード数(RPKM)値を示す。
UPennコホートにおける各サンプルのリードを、Th1誘導に関連する遺伝子配列にマップした結果を示す、ヒートマップ図である。当該図面は、Th1関連遺伝子に対するRPKM値を示す。
本発明の実施形態の例を示す概略図である。
図21、35及び46における閾値25%に対する差分を、相対誘導ベルと定義したことを示す、図である。

0040

<腸管内でTh1細胞を誘導する細菌>
上述の通り、本発明者らによって、Klebsiellaに属する2H7株、11E12株、34E1株、BAA−1705株、700603株又は40B3株が、腸管内に定着すると、Th1細胞の顕著な誘導が生じることが明らかになった。したがって、本発明は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を、提供する。

0041

なお、2H7株、11E12株、34E1株及び40B3株は、通常ヒトの口腔内に存在する細菌(口腔内細菌)である。また、BAA−1705株及び700603株も、通常ヒトの口腔内に存在する菌であるが、ヒトの尿において検出された細菌(尿中細菌)である。

0042

本発明において、「Th1細胞」とは、CD4陽性のヘルパーT細胞Th細胞)の亜群であり、細胞性免疫を増強させる細胞を意味する。また、「Th1細胞の活性」とは、該細胞によるTh1サイトカイン(IFN−γ等)の産生、該サイトカインによるマクロファージ細胞傷害性T細胞(CTL)等の細胞の活性化、該活性化による細胞性免疫の増強を含む意味である。さらに、「Th1細胞の増殖又は活性化の誘導」には、Th1細胞の増殖又は活性化に至る、ナイーブT細胞からTh1細胞への分化誘導も含む意味である。また、腸管内におけるTh1細胞を増殖又は活性化を誘導する作用は、Th1細胞特異的なマーカー(例えば、CD4及びIFN−γ)を定量的に検出することによって、評価することができる。かかる定量的な検出は、公知の手法によって行うことができ、例えば、フローサイトメトリー、イメージングサイトメトリー、ELISA法ラジオイムノアッセイ免疫組織化学染色法免疫沈降法、イムノブロッティング抗体アレイ解析法等の抗体を用いて検出する方法(免疫学的手法)によって行うことができる。また、任意の菌、物質等が、腸管内におけるTh1細胞を増殖又は活性化を誘導する作用を有しているか否かは、例えば、後述のスクリーニング方法を用いて、判定することができる。より具体的には、フローサイトメトリーによって検出された腸管内におけるCD4+TCRβ+T細胞における、IFN−γ+細胞の割合が、通常、10%以上であった場合に、前記菌、物質等が、腸管内におけるTh1細胞を増殖又は活性化を誘導する作用を有していると判定することができ、25%以上であった場合に、前記菌、物質等が、腸管内におけるTh1細胞を増殖又は活性化を誘導する作用を有していると判定することが好ましく、30%以上であった場合に、前記菌、物質等が、腸管内におけるTh1細胞を増殖又は活性化を誘導する作用を有していると判定することがより好ましい。

0043

本発明の「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」としては、通常ヒトの口腔内に存在しているが、腸管内に定着することにより、Th1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌である。

0044

本発明の「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」は、好ましくは、Klebsiellaに属し、より好ましくは、Klebsiella pneumoniae又はKlebsiella aeromobilisに属し、かつ腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌である。

0045

また、本発明の「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」は、好ましくは、抗菌剤投薬により健常状態と比較して多様性が変化した腸内環境において、定着しやすい細菌である。

0046

また。本発明の「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」は、大腸炎により健常状態と比較して多様性が変化した腸内環境において、定着しやすい細菌である。

0047

また、表1〜10に示すとおり、本発明者らによって、Th1細胞の増殖又は活性化の誘導の誘導に関連する、機能が既に知られている64の遺伝子が見出されている。

0048

したがって、本発明の「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」は、好ましくは、下記タンパク質群から選択される少なくとも5のタンパク質をコードする遺伝子を保有し、より好ましくは、下記タンパク質群から選択される少なくとも10のタンパク質をコードする遺伝子を保有し、さらに好ましくは、下記タンパク質群から選択される少なくとも20のタンパク質をコードする遺伝子を保有し、より好ましくは、下記タンパク質群から選択される少なくとも30のタンパク質をコードする遺伝子を保有し、さらに好ましくは、下記タンパク質群から選択される少なくとも50のタンパク質をコードする遺伝子を保有する。

0049

タンパク質群:
マンノース−1−リン酸グアニルトランスフェラーゼ1(Mannose−1−phosphate guanylyltransferase 1)、
マルチホスホリル転移タンパク質(Multiphosphoryl transfer protein)、
PTS系フルクトース特異的EIIABC構成タンパク質(PTS system fructose−specific EIIABC component)、
ホスホマンノムターゼ/ホスホグルコムターゼ(Phosphomannomutase/phosphoglucomutase)、
マンノシルフルクトース−リン酸合成酵素(Mannosylfructose−phosphate synthase)、
3−オキソアシル[アシル輸送タンパク質]レダクターゼFabG(3−oxoacyl−[acyl−carrier−protein] reductase FabG)、
ラムノシル/マンノシルトランスフェラーゼ(rhamnosyl/mannosyltransferase)、
ガラクチトール−1−リン酸5−デヒドロゲナーゼ(Galactitol−1−phosphate 5−dehydrogenase)、
ガラクチトールパーミアーゼIIC構成タンパク質(Galactitol permease IIC component)、
ガラクチトール特異的ホスホトランスフェラーゼ酵素IIB構成タンパク質(Galactitol−specific phosphotransferase enzyme IIB component)、
D−タガトース−1,6−ビスリン酸アルドラーゼサブユニットGatZ(D−tagatose−1,6−bisphosphate aldolase subunit GatZ)、
タガトース−6−リン酸キナーゼ(Tagatose−6−phosphate kinase)、
D−タガトース−1,6−ビスリン酸アルドラーゼサブユニット GatY(D−tagatose−1,6−bisphosphate aldolase subunit GatY)、
ガラクチトールパーミアーゼIIC構成タンパク質(Galactitol permease IIC component)、
GDP−マンノース−依存性α−(1−2)−ホスファチジルイノシトールマンノシルトランスフェラーゼ(GDP−mannose−dependent alpha−(1−2)−phosphatidylinositol mannosyltransferase)、
L−キシルロース/3−ケト−L−グロン酸キナーゼ(L−xylulose/3−keto−L−gulonate kinase)、
2−デヒドロ−3−デオキシグルコノキナーゼ(2−dehydro−3−deoxygluconokinase)、
莢膜グルカン合成酵素(Capsular glucan synthase)、
3−オクタプレニル−4−ヒドロキシベンゾエートカルボキシ−リアーゼパートナータンパク質(3−octaprenyl−4−hydroxybenzoate carboxy−lyase partner protein)、
2−オクタプレニルフェノールヒドロキシラーゼ(2−octaprenylphenol hydroxylase)、
フェノール酸デカルボキシラーゼサブユニットC(Phenolic acid decarboxylase subunit C)、
オキサロ酢酸デカルボキシラーゼβ鎖(Oxaloacetate decarboxylase beta chain)、
アコニット酸ヒドラターゼ2(Aconitate hydratase 2)、
推定アルドラーゼLsrF(Putative aldolase LsrF)、
推定アセチルトランスフェラーゼ(Putative acetyltransferase)、
プロパンジオール利用タンパク質 PduA(Propanediol utilization protein PduA)、
推定グリコシルトランスフェラーゼEpsF(Putative glycosyltransferase EpsF)、
へミン結合ペリプラズムタンパク質 HmuT前駆体(Hemin−binding periplasmic protein HmuT precursor)、
タイコ酸排出ATP結合タンパク質TagH(Teichoic acidsexport ATP−binding protein TagH)、
タイコ酸移行透過タンパク質 TagG(Teichoic acid translocation permease protein TagG)、
外膜タンパク質TolC前駆体(Outer membrane protein TolC precursor)、
多剤輸送体EmrE(Multidrug transporter EmrE)、
マグネシウム及びコバルト排出タンパク質 CorC(Magnesium and cobalt efflux protein CorC)、
内膜タンパク質 YibH(Inner membrane protein YibH)、
アスパラギン酸/アラニン交換輸送体(Aspartate/alanine antiporter)、
鉄エンテロバクチン受容体前駆体(Ferric enterobactin receptor precursor)、
シグナル伝達ヒスチジン−プロテインキナーゼBarA(Signal transduction histidine−protein kinase BarA)、
ヘモリシン輸送タンパク質 ShlB前駆体(Hemolysin transporter protein ShlB precursor)、
オリゴペプチド輸送ATP結合タンパク質 OppD(Oligopeptide transport ATP−binding protein OppD)、
ヒ素ポンプ−駆動ATPアーゼ(Arsenical pump−driving ATPase)、
推定抗シグマ因子アンタゴニスト(Putative anti−sigma factor antagonist)、
推定膜タンパク質YdfK(Putative membrane protein YdfK)、
推定ヘモグロビン及びヘモグロビン−へパトグロビン結合タンパク質2前駆体(Putative hemoglobin and hemoglobin−haptoglobin−binding protein 2 precursor)、
(2R)−3−スルホ乳酸デヒドロゲナーゼ(NADP(+))((2R)−3−sulfolactate dehydrogenase (NADP(+)))、
ぺプチダーゼE(Peptidase E)、
オリゴペプチダーゼA(Oligopeptidase A)、
ホスフィノトリシンN−アセチルトランスフェラーゼ(Phosphinothricin N−acetyltransferase)、
推定2−ヒドロキシ酸デヒドロゲナーゼ YoaD(Putative 2−hydroxyacid dehydrogenase YoaD)、
mRNAインターフェラーゼ RelE(mRNA interferase RelE)、
一本鎖DNA特異的エクソヌクレアーゼRecJ(Single−stranded−DNA−specific exonuclease RecJ)、
チロシンリコンビナーゼXerD_6(Tyrosine recombinase XerD_6)、
チロシンリコンビナーゼ XerD(Tyrosine recombinase XerD)、
グルシトールオペロンリプレッサー(Glucitol operon repressor)、
ギ酸塩ヒドロゲンリアーゼ転写活性因子(Formate hydrogenlyase transcriptional activator)、
HTH−タイプ転写制御因子TdfR(HTH−type transcriptional regulator TdfR)、
HTH−タイプ転写制御因子 CatM(HTH−type transcriptional regulator CatM)、
転写制御タンパク質 tctD(Transcriptional regulatory protein tctD)、
HTH−タイプ転写抑制因子AseR(HTH−type transcriptional repressor AseR)、
サイクリックdi−GMPホスホジエステラーゼYahA(Cyclic di−GMP phosphodiesterase YahA)、
セリン−プロテインキナーゼ RsbW(Serine−protein kinase RsbW)、
繊維状赤血球凝集素(Filamentous hemagglutinin)、
ジヒドロプテロイン酸合成酵素(Dihydropteroate synthase)、
δ−アミノレブリン酸デヒドラターゼ(Delta−aminolevulinic acid dehydratase)、
好気呼吸制御タンパク質ArcA(Aerobic respiration control protein ArcA)。

0050

また、表1〜10において、これらタンパク質は、特定のアミノ酸配列(KEGG又はUniProtのIDによって規定されるアミノ酸配列)をもって特定しているが、本発明にかかるタンパク質は、これら典型的なアミノ酸配列をもって特定されるタンパク質のみならず、機能的に活性なその誘導体、機能的に活性なそのフラグメント、その相同体、高ストリンジェンシー条件又は低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸ハイブリダイズする核酸にコードされる変異体も含まれる。また、このような誘導体、フラグメント、相同体又は変異体には、前記特定のアミノ酸配列に対して、少なくとも60%(好ましくは70%、より好ましくは80%、さらに好ましくは90%、より好ましくは95%、特に好ましくは99%)の相同性を有するタンパク質が含まれる。

0051

また、表1及び2に示すとおり、本発明にかかるタンパク質には、マンノース、フルクトース又はガラクトースの代謝に関与するタンパク質が含まれる。したがって、本発明の「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」は、マンノースあるいはフルクトースあるいはガラクトース代謝に関与する遺伝子を発現していることが好ましい。

0052

また、本発明の「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」は、好ましくは、Klebsiellaに属し、莢膜(capsule)を形成せず、かつ腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌であり、より好ましくは、Klebsiella pneumoniaeに属し、莢膜を形成せず、外膜小胞(OMV)又はOMV様構造体を産生し、かつ腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌である。

0053

また、本発明の「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」は、好ましくは、Klebsiellaに属し、鞭毛を有する細菌であり、また好ましくは、Klebsiellaに属し、TLR5への刺激性を有する細菌である。

0054

また、本発明の「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」として、典型的には、Klebsiellaに属する2H7株、11E12株、34E1株、BAA−1705株、700603株、40B3株が挙げられる。なお、これら細菌の詳細については、表11を参照のほど。

0055

0056

Klebsiellaに属する細菌、Klebsiella aeromobilisに属する細菌、Klebsiella pneumoniaeに属する細菌、2H7株、11E12株、34E1株、BAA−1705株、700603株、40B3株は、例えば、16SrRNAをコードするヌクレオチド配列を決定することによって同定することができる。また、後述の検査方法において説明する通り、これら細菌に特異的なヌクレオチド配列等を指標として同定することもできる。なお、2H7株又は11E12株に特異的なヌクレオチド配列として、特に制限はないが、好ましくは、2H7株又は11E12株は有するが、これら株と同じくKlebsiellaに属するBAA−2552株及び700721株においては認められないヌクレオチド配列(より好ましくは、BAA−2552株、KCTC2242株、KP−1、700721株及び13882株においては認められないヌクレオチド配列)が、挙げられる。

0057

また、本発明の「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」としては、2H7株、11E12株、34E1株、BAA−1705株、700603株又は40B3株の16SrRNAをコードするヌクレオチド配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上(96%以上、97%以上、98%以上、99%以上)の相同性又は同一性を有するヌクレオチド配列からなるDNAを含有する細菌が挙げられ、また、2H7株、11E12株、34E1株、BAA−1705株、700603株又は40B3株に特異的なヌクレオチド配列と70%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上(96%以上、97%以上、98%以上、99%以上)の相同性又は同一性を有するヌクレオチド配列からなるDNAを含有する細菌も挙げられる。

0058

<Th1細胞の増殖又は活性化を誘導する組成物等>
上述のTh1細胞誘導性細菌を、腸管内に定着させることによってTh1細胞の増殖又は活性化を誘導することができる。したがって、本発明は、Th1細胞の増殖又は活性化を誘導する組成物又はその方法を提供することができる。

0059

また、クローン病や潰瘍性大腸炎は、免疫作用の亢進に基づく疾患(自己免疫疾患)であることから、その病因となり得る上述のTh1細胞誘導性細菌は免疫賦活作用を有するものである。さらにまた、Th1細胞は、IFN−γを産生するCD4陽性ヘルパーT細胞であり、結核菌リステリア菌などの病原体感染防御に重要な役割を担っているとともに、がん化した細胞の監視、排除においても重要な働きをしている。近年では、BacteroidesやBifidobacterium等の腸管内における細菌の存在とかかる細菌によるTh1細胞の誘導とが、がんに対する免疫療法のひとつである免疫チェックポイント阻害剤(抗CTLA−4抗体や抗PD−L1抗体等)の抗腫瘍効果に影響を与えていることも明らかになっている。したがって、本発明は、免疫を賦活する組成物又はその方法を提供することができる。

0060

なお、本発明において賦活又は抑制される「免疫」には、粘膜免疫腸管免疫等)のみならず、全身免疫も含まれる。また、細胞性免疫のみならず、液性免疫も含まれる。

0061

本発明の組成物に有効成分として含まれる「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」としては、上述の通りであるが、生菌であってもよく、死菌体であってもよい。また、含まれる有効成分の用途に応じ、改変遺伝子改変等)が施されている細菌であってもよい。かかる改変としては特に制限はなく、本発明の組成物が後述のワクチンアジュバントである場合には、腸管内におけるTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する作用が増強されるような改変が挙げられる。また、本発明の組成物は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を1株含んでいればよいが、複数種の株を含むものであってもよい。または組成物を複合して用いることができ、結果として併用して摂取または吸収される場合(併用組成物の場合)、該複数の菌株は2種以上の組成物の中に存在することもできる(例えば、それぞれ別々の組成物中に存在することもできる)。

0062

本発明において、「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に由来する生理活性物質」としては、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に含まれる物質、該細菌の分泌産物、該細菌による代謝産物を含む意味であり、より具体的には、前記細菌又はその培養上清のポリペプチド画分、ポリヌクレオチド画分、糖鎖画分脂質画分、低分子代謝産物画分が挙げられる。さらに、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌が産生する、外膜小胞(OMV)又はOMV様構造体も挙げられる。本発明にかかる生理活性物質として、好ましくは、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質であり、より好ましくは、MyD88/Trifが関与するToll−like receptor(TLR)が認識し、そのリガンドとして機能する物質である。また、このような生理活性物質は、該細菌、その培養上清、該細菌が定着したマウスの腸管内試料(糞便等)、ヒトの口腔内試料(唾液等)、ヒトの膀胱内試料、ヒトの内試料及びヒトの尿管内試料(尿等)、ヒトの腸管内試料等から、例えば、後述のスクリーニング方法によって、活性成分を精製することにより同定することが可能である。

0063

本発明の組成物は、医薬組成物飲食品動物用飼料を含む)、あるいは研究目的(例えば、インビトロインビボの実験)に用いられる試薬の形態であり得る。

0064

上述の通り、本発明の組成物の有効成分である、Th1細胞誘導性細菌又は該細菌に由来する生理活性物質は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導し、また免疫を賦活するため、結核等の感染症の治療、予防又は改善のための医薬組成物、飲食品として、また抗がん剤又は免疫チェックポイント阻害剤との併用による抗がん作用を増強するための医薬組成物、飲食品として、さらに、ワクチンと併用することにより、その免疫応答作用を増強するための医薬組成物(ワクチンアジュバント)としても、好適に用いられる。なお、本発明において「治療」には、治療の補助も含まれる。

0065

本発明の組成物は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、カプセル剤錠剤丸剤液剤散剤顆粒剤細粒剤フィルムコーティング剤ペレット剤トローチ剤下剤咀嚼剤バッカル剤ペースト剤シロップ剤懸濁剤エリキシル剤乳剤塗布剤軟膏剤硬膏剤パップ剤経皮吸収型製剤ローション剤吸引剤エアゾール剤注射剤坐剤等として、経口的、非経口的(例えば、腸管内、筋肉内、静脈内、気管内、内、経皮、皮内、皮下、眼内、膣、腹腔内、直腸若しくは吸入)、又はこれらの複数の組み合わせからなる経路による投与用に使用することができる。

0066

これら製剤化においては、薬理学上若しくは飲食品として許容される担体、具体的には、滅菌水生理食塩水植物油溶剤基剤乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤芳香剤賦形剤ベヒクル防腐剤結合剤希釈剤等張化剤無痛化剤増量剤崩壊剤緩衝剤コーティング剤滑沢剤着色剤甘味剤粘稠剤、矯味矯臭剤溶解補助剤あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。

0067

また、これら製剤化においては、腸管内におけるTh1細胞の増殖又は活性化をより効率的に誘導する等の観点から、特に経口投与を目的とする製剤においては、本発明の組成物を腸管内に効率良く送達することを可能にする組成物と組み合わせてもよい。このような腸管内への送達を可能とする組成物については特に制限されることなく、公知の組成物を適宜採用することができ、例えば、pH感受性組成物、腸管までの放出を抑制する組成物(セルロース系ポリマーアクリル酸重合体及び共重合体ビニル酸重合体及び共重合体等)、腸管粘膜特異的に接着する生体接着性組成物(例えば、米国特許第6.368.586号明細書に記載のポリマー)、プロテアーゼ阻害剤含有組成物、腸管内酵素によって特異的に分解される組成物)が挙げられる。

0068

また、本発明のTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する組成物を医薬組成物として用いる場合には、感染症やがんの治療、予防又は改善に用いられる公知の物質(抗ウイルス剤、抗菌剤、抗がん剤、免疫チェックポイント阻害剤等)を更に含んでいてもよく、またかかる物質と併用してもよい。ワクチンアジュバントとして用いる場合には、ワクチンの有効成分である抗原(例えば、細菌又はウィルスに特異的な抗原、がん特異的な抗原)の他、他の公知のワクチンアジュバント、免疫増強剤を、本発明の組成物は含んでいてもよく、またそれら物質と併用してもよい。

0069

本発明の組成物を飲食品として用いる場合、当該飲食品は、例えば、健康食品機能性食品特定保健用食品栄養機能食品、機能性表示食品、栄養補助食品、病者用食品、あるいは動物用飼料であり得る。飲食品の具体例としては、発酵飲料、油分を含む製品スープ類乳飲料清涼飲料水茶飲料アルコール飲料ドリンク剤ゼリー状飲料等の液状食品炭水化物含有食品畜産加工食品水産加工食品野菜加工食品半固形状食品発酵食品菓子類レトルト製品電子レンジ対応食品等が挙げられる。さらには、粉末、穎粒、錠剤、カプセル剤、液状、ペースト状又はゼリー状に調製された健康飲食品も挙げられる。なお、本発明における飲食品の製造は、当該技術分野に公知の製造技術により実施することができる。当該飲食品においては、感染症やがんの改善又は予防に有効な成分(例えば、栄養素等)を添加してもよい。また、当該改善等以外の機能を発揮する他の成分あるいは他の機能性食品と組み合わせることによって、多機能性の飲食品としてもよい。

0070

本発明の組成物の製品(医薬品、飲食品、ワクチン、試薬)又はその説明書は、Th1細胞の増殖若しくは活性化を誘導する、又は感染症、がん等の疾患を治療、改善若しくは予防するために用いられる旨の表示を付したものであり得る。また、飲食品に関しては、形態及び対象者等において一般食品との区別がつくよう、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)として健康機能の表示を、本発明の組成物の製品等に付したものであり得る。ここで「製品又は説明書に表示を付した」とは、製品の本体、容器包装等に表示を付したこと、あるいは製品の情報を開示する説明書、添付文書宣伝物、その他の印刷物等に表示を付したことを意味する。

0071

また、本発明の組成物は、キットの態様であってもよい。かかるキットとしては、例えば、Th1細胞の増殖若しくは活性化を誘導する細菌又は該細菌に由来する生理活性物質、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗がん剤、免疫チェックポイント阻害剤、抗原、他のワクチンアジュバント等は、通常、2種以上の物質(組成物等)として存在しているが、対象に摂取させる前に、混合等して1の組成物に調製し得る態様が挙げられる。

0072

また、本発明は、Th1細胞の増殖若しくは活性化を誘導するための組成物、又はその有効成分であるTh1細胞誘導性細菌若しくは該細菌に由来する生理活性物質を対象に摂取させることを特徴とする、対象におけるTh1細胞の増殖若しくは活性化を誘導する方法、又は該対象における免疫を賦活する方法をも提供するものである。

0073

本発明の組成物又はその有効成分は、ヒトを含む動物を対象として使用することができるが、ヒト以外の動物としては特に制限はなく、種々の家畜家禽ペット実験用動物等を対象とすることができる。具体的には、ブタウシウマヒツジヤギニワトリカモダチョウ、アヒルイヌネコウサギハムスター、マウス、ラットサル等が挙げられるが、これらに制限されない。

0074

また、本発明のTh1細胞の増殖若しくは活性化を誘導するための組成物、又はその有効成分の摂取対象としては、その発症の如何を問わず、ウイルス、細菌等に感染している動物が挙げられる。また予防の観点からは、ウイルス、細菌等に感染していない又はその感染の疑いのある動物に、本発明の組成物等を摂取させてもよい。さらに、再発予防の観点からは、その症状がでていないウイルス、細菌等を保因する動物にも、本発明の組成物等は好適に用いることができる。また同様に、がんを罹患している動物のみならず、がんの罹患の疑いのある動物、抗がん療法後の動物にも、本発明の組成物等は好適に用いることができる。

0075

本発明の組成物等の摂取方法としては、特に制限はなく、経口投与であってもよく、また非経口投与(例えば、腸管内への投与)であってもよいが、経口投与である場合には、本発明の組成物等の効果をより向上させるという観点から、本発明の組成物等の摂取対象は、プロトンポンプ阻害剤PPI)等の摂取により胃酸の産生を減少させておくこと、または抗生物質(例えば、アンピシリン、タイロシン)を摂取しておくことが好ましい。

0076

また、本発明の組成物等を摂取させる場合、その摂取量は、対象の年齢、体重、疾患の症状、健康状態、組成物の種類(医薬品、飲食品等)、摂取方法等に応じて、当業者であれば適宜選択することができる。

0077

<ワクチン組成物等>
上述のTh1細胞誘導性細菌は、腸管内に定着し、Th1細胞の増殖又は活性化を誘導することによって、クローン病及び潰瘍性大腸炎等のTh1細胞に起因する疾患を誘発する。そのため、前記Th1細胞誘導性細菌を標的として免疫応答を誘導することによって、腸管内から当該菌を除去すれば、前記疾患を治療、改善又は予防することができる。したがって、本発明は、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防するための、ワクチン組成物又は前記細菌に対する免疫応答を誘導する方法を提供することができる。

0078

本発明において、「Th1細胞に起因する疾患」とは、Th1細胞の増殖又は活性化によって誘発された疾患を意味し、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患といった慢性炎症性腸疾患等)、1型糖尿病関節リウマチ、実験的免疫性脳炎(EAE)、多発性硬化症全身性エリテマトーデス等の自己免疫疾患、慢性炎症性疾患が挙げられる。

0079

本発明の組成物に有効成分として含まれる「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」としては、上述の通りであり、生菌であってもよく、死菌体であってもよい。また、含まれる有効成分の用途に応じ、改変(遺伝子改変等)が施されている細菌であってもよい。かかる改変としては特に制限はなく、本発明の組成物がワクチン組成物である場合には、腸管内におけるTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する作用が抑制され、炎症等を誘発しないような改変が挙げられる。また、本発明の組成物は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を1株含んでいればよいが、複数種の株を含むものであってもよい。または組成物を複合して用いることができ、結果として併用して摂取または吸収される場合(併用組成物の場合)、該複数の菌株は2種以上の組成物の中に存在することもできる。

0080

本発明において、「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に特異的な抗原」とは、該細菌に含まれる物質(ポリペプチド、ポリヌクレオチド、糖鎖、脂質等)であり、かつ抗原性又は免疫原性を有する物質を意味する。ここで、「免疫原性」とは、一次免疫応答又は記憶免疫応答を活性化することができることを意味する。「免疫応答」には、CD4陽性Tリンパ球、CD8陽性Tリンパ球及びBリンパ球応答が含まれる。Tリンパ球の場合、このような応答は、増殖型及び/又はサイトカイン(例えば、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−12、IL−13、IL−15、TNF−α、IFN−γ)産生型であってもよい。あるいはこれらの応答は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の産生をもたらすものであってもよい。Bリンパ球反応は、反応するBリンパ球による抗体産生をもたらすものであってもよい。また、「抗原性」とは、抗体分子又は活性化されたエフェクターT細胞(例えば、サイトカイン産生T細胞、CTL等)上の抗原特異的T細胞受容体(TCR)により認識され得ることを意味する。このように、「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に特異的な抗原」は、該細菌等を特異的に認識する抗体によって認識され、これに結合することができる物質、又は適当な抗原提示細胞APC)によるプロセッシング及び適当な主要組織適合遺伝子複合体MHC)分子への結合後に、前記細菌等に反応して誘導されるエフェクターT細胞上のTCRによって認識されこれに結合することができる物質を含む意味である。

0081

また、このような細菌特異的抗原は、当業者であれば、抗原特異的抗血清及び/又はTリンパ球との反応性を指標とした、公知のスクリーニング方法(例えば、Paul WE編集、Fundamental Immunology、1993年、第3版、243〜247ページ、Harlow及びLane、Antibodies、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、1998年)によって同定することができる。また、細菌特異的抗原(ポリペプチド)のアミノ酸配列は、コンピュータープログラムを利用した分析(例えば、MHC−THREAD、EpiPredict、HLA−DR4 binding、ProPred、BIMAS、SVMHC、NetMHC、PREDICT、LpPep、SYFPEITHI、RankPep)によって推測することもできる。

0082

本発明のワクチン組成物は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、吸引剤、エアゾール剤、注射剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤、カプセル剤、錠剤、丸剤、フィルムコーティング剤、ペレット剤、トローチ剤、舌下剤、咀嚼剤、バッカル剤、ペースト剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤、乳剤、塗布剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、経皮吸収型製剤、ローション剤、坐剤等として、経口的、非経口的(例えば、腸管内、筋肉内、静脈内、気管内、鼻内、経皮、皮内、皮下、眼内、膣、腹腔内、直腸若しくは吸入)、又はこれらの複数の組み合わせからなる経路による投与用に使用することができる。

0083

これら製剤化においては、薬理学上若しくは飲食品として許容される担体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。

0084

また、本発明のワクチン組成物は、公知のワクチンアジュバント、免疫増強剤を含むものであってもよい。ワクチンアジュバントとしては、水酸化アルミニウム、KLH、MPL、QS21、完全フロイントアジュバント不完全フロイントアジュバントリン酸アルミニウムBCGミョウバン、CpG DNA等のTLRのアゴニスト等、又はこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、必要に応じて、アルブミン湿潤剤、乳化剤等の補助剤が添加されている態様であってもよい。また、免疫増強剤としては、各種サイトカイン(例えば、IL−12、IL−18、GM−CSF、IFNγ、IFNα、IFNβ、IFNω、Flt3リガンド)が挙げられる。

0085

本発明の組成物の製品(医薬品、ワクチン)又はその説明書は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に対する免疫応答を誘導し、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善若しくは予防するために用いられる旨の表示を付したものであり得る。ここで「製品又は説明書に表示を付した」とは、製品の本体、容器、包装等に表示を付したこと、あるいは製品の情報を開示する説明書、添付文書、宣伝物、その他の印刷物等に表示を付したことを意味する。

0086

また、本発明の組成物は、キットの態様であってもよい。かかるキットとしては、例えば、Th1細胞の増殖若しくは活性化を誘導する細菌又は該細菌に特異的な抗原、ワクチンアジュバント、免疫増強剤等は、通常、2種以上の物質(組成物等)として存在しているが、対象に摂取させる前に、混合等して1の組成物に調製し得る態様が挙げられる。

0087

また、本発明は、ワクチン組成物、又はその有効成分である細菌若しくは該細菌に特異的な抗原を対象に摂取させることを特徴とする、対象における前記細菌に対する免疫応答を誘導する方法、又は該対象におけるTh1細胞に起因する疾患を治療、改善若しくは予防するため方法をも提供するものである。

0088

本発明の組成物又はその有効成分は、ヒトを含む動物を対象として使用することができるが、ヒト以外の動物としては特に制限はなく、種々の家畜、家禽、ペット、実験用動物等を対象とすることができる。

0089

また、本発明のワクチン組成物、又はその有効成分の摂取対象としては、Th1細胞に起因する疾患の発症の如何を問わず、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を保有する動物が挙げられる。また予防の観点からは、該細菌を保有していない又はその保有の疑いのある動物に、本発明の組成物等を摂取させてもよい。

0090

本発明の組成物等の摂取方法としては、特に制限はなく、経口投与であってもよく、また非経口投与であってもよい。また、本発明の組成物等を摂取させる場合、その摂取量は、対象の年齢、体重、疾患の症状、健康状態、組成物の剤型、摂取方法等に応じて、当業者であれば適宜選択することができる。

0091

<Th1細胞の増殖又は活性化を抑制するための組成物等>
上述のTh1細胞誘導性細菌は、腸管内に定着し、Th1細胞の増殖又は活性化を誘導し、また免疫作用を増強することによって、ひいてはクローン病及び潰瘍性大腸炎等のTh1細胞に起因する疾患を誘発する。そのため、前記細菌を腸管内より除去すれば、Th1細胞誘導が抑制され、また免疫作用が抑制されることによって、前記疾患の治療等に繋がる。また、図51に示す通り、Th1細胞の誘導及び免疫賦活化を誘導する前記細菌に由来する生理活性物質が、該生理活性物質に結合する物質(図中での「被験物質」に相当する物質)と結合することにより、その誘導作用が抑制されれば、Th1細胞誘導が抑制され、また免疫作用が抑制され、前記疾患の治療等に至れる。

0092

したがって、本発明は、腸管内においてTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に対して抗菌活性を有する物質又は該細菌に由来する生理活性物質に結合する物質を、有効成分として含む、Th1細胞の増殖若しくは活性化を抑制するための組成物、免疫を抑制するための組成物、又はTh1細胞に起因する疾患を治療、改善若しくは予防するための組成物を提供する。

0093

本発明の組成物に有効成分として含まれる「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に対して抗菌活性を有する物質」には、前述の活性を有する限り、特に制限はないが、例えば、抗生物質、溶菌物質(ファージ溶菌酵素等)、前記細菌を特異的に認識する抗体、上述の細菌特異的抗原、が挙げられる。また、前記抗生物質については、例えば、Kp−2H7等に関しては、メロぺネム、テトラサイクリン、ポリミキシン−B、トリメトプリム、ゲンタマイシン等が挙げられ、Ka−11E12等に関しては、メロぺネム、テトラサイクリン、トリメトプリム、アンピシリン、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、スペクチノマイシン等が挙げられる。また、他にも、表12及び14に示す、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌が感受性を示す抗生物質が挙げられる。

0094

「腸管内においてTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に由来する生理活性物質」は上述の通りである。また該生理活性に結合する物質については、前記生理活性物質によるTh1細胞の誘導及び免疫賦活化の誘導を抑制できるように該生理活性物質に結合する物質であればよく、例えば、前記生理活性物質に結合する抗体、前記生理活性物質に結合する低分子化合物が挙げられる。また、かかる物質としては、前記生理活性物質におけるMyD88/Trifが関与するTLRへの結合サイトに結合する物質が好適な一態様として挙げられる。

0095

さらに、本発明の組成物は、かかる抗菌活性を有する物質及び/又は前記生理活性物質に結合する抗体を複数種を含むものであってもよい。または組成物を複合して用いることができ、結果として併用して摂取又は吸収される場合(併用組成物の場合)、該複数の物質は2種以上の組成物の中に存在することもできる。

0096

本発明の組成物は、医薬組成物、飲食品(動物用飼料を含む)、あるいは研究目的(例えば、インビトロやインビボの実験)に用いられる試薬の形態であり得る。

0097

上述の通り、本発明の組成物は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌の腸管内におけるTh1誘導及び免疫を抑制するため、上述のTh1細胞に起因する疾患の治療、予防又は改善のための医薬組成物、飲食品として、好適に用いられる。

0098

本発明の組成物は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、液剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、フィルムコーティング剤、ペレット剤、トローチ剤、舌下剤、咀嚼剤、バッカル剤、ペースト剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤、乳剤、塗布剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、経皮吸収型製剤、ローション剤、吸引剤、エアゾール剤、注射剤、坐剤等として、経口的、非経口的(例えば、腸管内、筋肉内、静脈内、気管内、鼻内、経皮、皮内、皮下、眼内、膣、腹腔内、直腸若しくは吸入)、又はこれらの複数の組み合わせからなる経路による投与用に使用することができる。

0099

これら製剤化においては、薬理学上若しくは飲食品として許容される担体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。

0100

また、これら製剤化においては、腸管内におけるTh1細胞の増殖又は活性化及び免疫をより効率的に抑制する等の観点から、特に経口投与を目的とする製剤においては、本発明の組成物を腸管内に効率良く送達することを可能にする組成物と組み合わせてもよい。このような腸管内への送達を可能とする組成物については特に制限されることなく、公知の組成物を適宜採用することができ、例えば、pH感受性組成物、腸管までの放出を抑制する組成物(セルロース系ポリマー、アクリル酸重合体及び共重合体、ビニル酸重合体及び共重合体等)、腸管粘膜特異的に接着する生体接着性組成物(例えば、米国特許第6.368.586号明細書に記載のポリマー)、プロテアーゼ阻害剤含有組成物、腸管内酵素によって特異的に分解される組成物)が挙げられる。

0101

また、本発明のTh1細胞の増殖若しくは活性化又は免疫を抑制する組成物を医薬組成物として用いる場合には、Th1細胞に起因する疾患の治療、予防又は改善に用いられる公知の物質(例えば、抗炎症剤免疫抑制剤)を更に含んでいてもよく、またかかる物質と併用してもよい。

0102

本発明の組成物を飲食品として用いる場合、当該飲食品は、例えば、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、栄養補助食品、病者用食品、あるいは動物用飼料であり得る。飲食品の具体例としては、発酵飲料、油分を含む製品、スープ類、乳飲料、清涼飲料水、茶飲料、アルコール飲料、ドリンク剤、ゼリー状飲料等の液状食品;炭水化物含有食品;畜産加工食品;水産加工食品;野菜加工食品;半固形状食品;発酵食品;菓子類;レトルト製品;電子レンジ対応食品等が挙げられる。さらには、粉末、穎粒、錠剤、カプセル剤、液状、ペースト状又はゼリー状に調製された健康飲食品も挙げられる。なお、本発明における飲食品の製造は、当該技術分野に公知の製造技術により実施することができる。当該飲食品においては、Th1疾患に起因する疾患の改善又は予防に有効な成分(例えば、栄養素等)を添加してもよい。また、当該改善等以外の機能を発揮する他の成分あるいは他の機能性食品と組み合わせることによって、多機能性の飲食品としてもよい。

0103

本発明の組成物の製品(医薬品、飲食品、試薬)又はその説明書は、Th1細胞の増殖若しくは活性化を抑制する、免疫を抑制する、又はTh1疾患に起因する疾患を治療、改善若しくは予防するために用いられる旨の表示を付したものであり得る。また、飲食品に関しては、形態及び対象者等において一般食品との区別がつくよう、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)として健康機能の表示を、本発明の組成物の製品等に付したものであり得る。ここで「製品又は説明書に表示を付した」とは、製品の本体、容器、包装等に表示を付したこと、あるいは製品の情報を開示する説明書、添付文書、宣伝物、その他の印刷物等に表示を付したことを意味する。また、本発明の組成物は、キットの態様であってもよい。

0104

また、本発明は、Th1細胞の増殖若しくは活性化を抑制するための組成物、免疫を抑制するための組成物、又はそれらの有効成分であるTh1細胞誘導性細菌に対して抗菌活性を有する物質若しくは該細菌に由来する生理活性物質に結合する物質を対象に摂取させることを特徴とする、対象におけるTh1細胞の増殖若しくは活性化を抑制する方法、該対象における免疫を抑制する方法、又は該対象におけるTh1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防する方法をも提供するものである。

0105

本発明の組成物又はその有効成分は、ヒトを含む動物を対象として使用することができるが、ヒト以外の動物としては特に制限はなく、種々の家畜、家禽、ペット、実験用動物等を対象とすることができる。

0106

また、本発明のTh1細胞の増殖若しくは活性化を誘導するための組成物等、又はそれらの有効成分の摂取対象としては、Th1細胞に起因する疾患の発症の如何を問わず、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を保有する動物が挙げられる。また予防の観点からは、該細菌を保有していない又はその保有の疑いのある動物に、本発明の組成物等を摂取させてもよい。

0107

本発明の組成物等の摂取方法としては、特に制限はなく、経口投与であってもよく、また非経口投与(例えば、腸管内への投与)であってもよいが、経口投与である場合には、本発明の組成物等の効果をより向上させるという観点から、本発明の組成物等の摂取対象は、プロトンポンプ阻害剤(PPI)等の摂取により胃酸の産生を減少させておくことが好ましい。

0108

また、本発明の組成物等を摂取させる場合、その摂取量は、対象の年齢、体重、疾患の症状、健康状態、組成物の種類(医薬品、飲食品等)、摂取方法等に応じて、当業者であれば適宜選択することができる。

0109

<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する細菌をスクリーニングする方法 1>
本発明において、無菌マウスにヒトの唾液を摂取させることにより、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を同定することができた。したがって、本発明は以下のスクリーニング方法を提供する。

0110

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌をスクリーニングする方法であって、被験試料を非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化が検出された非ヒト無菌動物の腸管内試料から細菌を単離する工程とを、含む方法。

0111

本発明において、「被験試料」は、ヒト由来の試料であればよく、例えば、ヒトの口腔内試料(唾液等)、ヒトの膀胱内試料、ヒトの膣内試料及びヒトの尿管内試料(尿等)、ヒトの腸管内試料、又はそれらの培養物が挙げられる。また、スクリーニングの効率を向上させるという観点から、Th1細胞に起因する疾患を罹患しているヒト由来の口腔内試料が好適に用いられる。

0112

本発明において、「非ヒト無菌動物」は、無菌条件下で、出生及び生育している、ヒト以外の動物を意味する。ヒト以外の動物としては、例えば、マウス、ラット、サル、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、カモ、ダチョウ、アヒル、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター等が挙げられるが、これらに制限されない。また、これら動物においては、マウスが好適に用いられる。

0113

本発明において、被験試料を非ヒト無菌動物に「摂取」させる方法としては特に制限はないが、通常、経口投与によって行われる。

0114

また、腸管内におけるTh1細胞を増殖又は活性化の「検出」は、Th1細胞特異的なマーカー(例えば、CD4及びIFN−γ)を検出することによって行うことができる。かかる検出は、公知の手法によって行うことができ、例えば、フローサイトメトリー、イメージングサイトメトリー、ELISA法、ラジオイムノアッセイ、免疫組織化学的染色法、免疫沈降法、イムノブロッティング、抗体アレイ解析法等の抗体を用いて検出する方法(免疫学的手法)が挙げられる。また、検出のタイミングとしては、特に制限はなく、当業者であれば、用いる動物の種類等に応じ、適宜調整し得る。さらに、前記免疫学的手法において、対照(例えば、被験試料を摂取させていない非ヒト無菌動物)と比較して、有意にTh1細胞特異的なマーカーの増大が認められれば、Th1細胞の増殖又は活性化が検出されたと判定することができるが、対照及び判定方法はこれに限定されるものではない。

0115

本発明において「腸管内試料」とは、非ヒト無菌動物に定着したTh1細胞誘導性細菌を含む試料であればよく、例えば、該動物の糞便試料、又はその培養物が挙げられる。また、腸管内試料から細菌を「単離」する方法としては、特に制限はなく、公知の手法(希釈培養、プレート培養による単一コロニー培養)が挙げられる。

0116

なお、本発明のスクリーニング方法において、1回の実施により、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を選抜することができなかった場合には、得られた該細菌を含む腸管内試料を、被験試料の代わりに、新たな非ヒト無菌動物に摂取させ、前述のスクリーニングを複数回行うことにより、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を単離することができる。

0117

また、前述の方法を応用することにより、本発明は、以下のスクリーニング方法を提供することもできる。

0118

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌をスクリーニングする方法であって、被験試料を非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された非ヒト無菌動物の腸管内試料から細菌を単離する工程とを、含む方法。

0119

<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する生理活性物質をスクリーニングする方法 1>
本発明によれば、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌から、さらに誘導を担う生理活性物質をスクリーニングすることができる。すなわち、本発明は、以下のスクリーニング方法をも提供する。

0120

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に由来する生理活性物質を、非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化が検出された場合に、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。

0121

該方法に供される「生理活性物質」としては、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に含まれる物質、該細菌の分泌産物、該細菌による代謝産物を意味し、前記方法に供する際には単離された1の物質であってもよく、また複数の物質を含む画分(例えば、前記細菌又はその培養上清の、ポリペプチド画分、ポリヌクレオチド画分、糖鎖画分、脂質画分、低分子代謝産物画分)であってもよい。なお、複数の物質を含む画分を前記方法に供する場合には、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質であると判定された画分をさらに分画した上で、さらに前記方法を行うことにより(必要に応じ、複数回繰り返すことにより)、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する1の生理活性物質を同定することもできる。

0122

なお、前記スクリーニング方法における他の要素(非ヒト無菌動物、方法、条件等)は、前述の<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する細菌をスクリーニングする方法 1>と同様である。

0123

また、前述の方法を応用することにより、本発明は、以下のスクリーニング方法を提供することもできる。

0124

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌に由来する生理活性物質を、非ヒト無菌動物に摂取させる工程と、該非ヒト無菌動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された場合に、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。

0125

モデル動物
上述の通り、本発明においては、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を、マウスに経口にて摂取させることにより、該菌が腸管内に定着し、Th1細胞が誘導され、炎症が引き起こされることが、明らかになっている。

0126

したがって、本発明は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌が腸管内に定着している、非ヒト動物又はTh1細胞に起因する疾患の非ヒトモデル動物を提供する。

0127

また、前述の通り、かかる動物は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を、非ヒト動物に摂取させ、該細菌を該動物の腸管内に定着させることによって製造することができるため、本発明はその製造方法も提供する。

0128

非ヒト動物に摂取させる「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」としては、上述の通りであり、生菌であってもよく、死菌体であってもよい。また、含まれる有効成分の用途に応じ、改変(遺伝子改変等)が施されている細菌であってもよい。かかる改変としては特に制限はなく、例えば、腸管内におけるTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する作用が増強されるような改変が挙げられる。

0129

前述の細菌を摂取させる「非ヒト動物」としては、特に制限はなく、例えば、マウス、ラット、サル、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、カモ、ダチョウ、アヒル、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター等が挙げられるが、これらに制限されない。また、これら動物においては、マウスが好適に用いられる。また、「非ヒト動物」としては、前記細菌がより定着し易い等の観点から、無菌条件下で、出生及び生育している、非ヒト無菌動物であることが好ましい。さらにまた、「非ヒト動物」としては、炎症をより生じ易くするという観点から、IL−10の活性が抑制されている非ヒト動物が好ましい。なお、IL−10活性の抑制には、その機能の抑制のみならず、発現(翻訳レベル又は転写レベルでの発現)の抑制が含まれる。機能の抑制としては、IL−10特異的な抗体、アプタマー等を非ヒト動物に投与することにより行うことができる。また発現の抑制としては、遺伝子組み換え(いわゆる、ノックアウト)、ゲノム編集、又はsiRNA、shRNA若しくはアンチセンスRNAの投与によって行うことができる。

0130

本発明において、前記細菌を非ヒト動物に「摂取」させる方法としては特に制限はなく、通常、経口投与によって行われるが、非経口投与(例えば、腸管内への投与)であってもよい。経口投与である場合には、前記細菌がより定着し易くなる等の観点から、非ヒト動物は、プロトンポンプ阻害剤(PPI)等の摂取により胃酸の産生を減少させておくこと、または抗生物質を摂取させておくことが好ましい。また、非ヒト動物には、前記細菌を1株摂取させればよいが、複数種の株を摂取させてもよい。

0131

<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する物質をスクリーニングする方法 1>
前述の通り、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌が腸管内に定着している非ヒト動物においては、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導されており、またそのため、Th1細胞に起因する疾患の非ヒトモデル動物として好適に用いることができる。したがって、本発明は、このモデル動物を用いた、以下のスクリーニング方法をも提供する。

0132

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質のスクリーニング方法であって、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌が腸管内に定着している非ヒト動物に、被験物質を摂取させる工程と、該非ヒト動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも増加している場合に、前記被験物質は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質であると判定する工程とを、含む方法。

0133

前記方法に供される「被験物質」としては特に制限はなく、例えば、合成低分子化合物、抗体、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、糖類(単糖二糖オリゴ糖、糖鎖等)及びこれら物質から構成されるライブラリー、細胞(細菌、植物細胞動物細胞)の抽出液及び培養物(培養上清等)、細菌の分泌産物、細菌による代謝産物、海洋生物、植物又は動物由来抽出物土壌ランダムファージペプチドディスプレイライブラリーが挙げられる。

0134

「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌」については、上述のとおりである。

0135

本発明において、被験物質を非ヒト動物に「摂取」させる方法としては特に制限はなく、通常、経口投与によって行われるが、非経口投与(例えば、腸管内への投与)であってもよい。経口投与である場合には、被験物質が腸管内に送達され易くなる等の観点から、非ヒト動物は、プロトンポンプ阻害剤(PPI)等の摂取により胃酸の産生を減少させておくことが好ましい。

0136

なお、前記スクリーニング方法における他の要素(非ヒト無菌動物、方法、条件等)は、前述の<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する細菌をスクリーニングする方法 1>と同様である。

0137

また、前述の方法を応用することにより、本発明は、以下のスクリーニング方法を提供することもできる。

0138

Th1細胞に起因する疾患を誘発又は憎悪させる活性を有する物質を、スクリーニングするための方法であって、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌が腸管内に定着している、Th1細胞に起因する疾患の非ヒトモデル動物に、被験物質を摂取させる工程と、該非ヒト動物におけるTh1細胞に起因する疾患の病変の程度を検出する工程と、前記工程にて検出された病変の程度が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも増加している場合に、前記被験物質は、Th1細胞に起因する疾患を誘発又は憎悪させる活性を有する物質であると判定する工程とを、含む方法。

0139

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質のスクリーニング方法であって、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌が腸管内に定着している非ヒト動物に、被験物質を摂取させる工程と、該非ヒト動物の腸管内におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも低減している場合に、前記被験物質は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質であると判定する工程とを、含む方法。

0140

Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防する活性を有する物質をスクリーニングするための方法であって、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌が腸管内に定着している、Th1細胞に起因する疾患の非ヒトモデル動物に、被験物質を摂取させる工程と、該非ヒト動物におけるTh1細胞に起因する疾患の病変の程度を検出する工程と、前記工程にて検出された病変の程度が、前記被験物質を摂取させなかった場合におけるそれよりも低減している場合に、前記被験物質は、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防する活性を有する物質であると判定する工程とを、含む方法。

0141

なお、本発明において、Th1細胞に起因する疾患の「病変」としては特に制限はなく、当業者であれば、対象の疾患に応じ適宜選択することができ、例えば、前記疾患が、クローン病及び潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患である場合には、図13.15及び17に示すように、腸管内の炎症の程度を観察することによって評価することができる。また各疾患において定められている疾患スコア(例えば、潰瘍性大腸炎等においては「疾患活動性指数(DAI)」、S.Wirtz,C.Neufert,B.Weigmann,M.F.Neurath,Nat Protoc 2,541(2007)参照)を指標として評価することもできる。

0142

<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する細菌をスクリーニングする方法 2>
本発明に関し、腸管内においては、図51に示す通り、Th1細胞誘導性細菌又は該菌に由来する生理活性物質は、腸管上皮細胞によって取り込まれて樹状細胞に譲渡される、または該生理活性物質は、直接樹状細胞に捕獲されることが想定される。さらに、前記生理活性物質を抗原として提示した樹状細胞が産生するサイトカインによって、ナイーブT細胞からTh1細胞への分化が誘導されることが想定される。

0143

そのため、この腸管内の系を構築すれば、上述のような動物を用いなくとも、Th1細胞を誘導する活性を評価することができる。したがって、本発明は以下のスクリーニング方法をも提供する。

0144

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌をスクリーニングする方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に被験細菌を添加する工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の誘導が検出された場合には、前記被験細菌を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌であると判定する工程とを、含む方法。

0145

本発明において「被験細菌」は、特に制限はなく、例えば、ヒト口腔内細菌、ヒト膀胱内細菌、ヒト膣内細菌、ヒト尿管内細菌、ヒト尿中細菌、ヒト腸管内細菌が挙げられる。

0146

本発明において「腸管上皮細胞」とは、腸管内の管腔面に存在する細胞であり、腸管における栄養吸収や免疫応答に関与している細胞を意味する。「末梢血単核細胞」とは、末梢血由来のリンパ球及び単球を含む細胞群(PBMC)を意味し、本発明においては末梢血そのものであってもよい。また、腸管上皮細胞及び末梢血単核細胞の由来としては特に制限はなく、ヒトを含む動物(ヒト、マウス、ラット、サル)が挙げられるが、ヒト由来の細胞が好適に用いられる。

0147

「腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系」において、これら細胞が含まれる培養系であればよいが、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とは接触していることが好ましく、また末梢血単核細胞を含む層が下層であり、腸管上皮細胞を含む層が上層である、培養系であることがより好ましい。かかる培養系は、例えば、末梢血単核細胞の上に腸管上皮細胞を積層することにより構築することができ、また市販の複合培養系トランスウェル登録商標培養システム等)を用い、上部コンパートメントに腸管上皮細胞、下部コンパートメントに末梢血単核細胞をそれぞれ単層培養すること等によっても構築することができる。

0148

なお、前記スクリーニング方法における他の要素(方法、条件等)は、前述の<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する細菌をスクリーニングする方法 1>と同様である。

0149

また、前述の方法を応用することにより、本発明は、以下のスクリーニング方法を提供することもできる。

0150

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌をスクリーニングする方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に被験細菌を添加する工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された場合には、前記被験内細菌を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌であると判定する工程とを、含む方法。

0151

<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する生理活性物質をスクリーニングする方法 2>
本発明によれば、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌から、さらに誘導を担う生理活性物質をスクリーニングすることができる。すなわち、本発明は、以下のスクリーニング方法をも提供する。

0152

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に由来する生理活性物質を添加させる工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化が検出された場合には、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。

0153

なお、該方法に供される「生理活性物質」は、<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する生理活性物質をスクリーニングする方法 1>に記載の通りである。また、前記スクリーニング方法における他の要素(方法、条件等)は、前述の<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する細菌をスクリーニングする方法 1>と同様である。

0154

さらに、前述の方法を応用することにより、本発明は、以下のスクリーニング方法を提供することもできる。

0155

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質をスクリーニングする方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する細菌に由来する生理活性物質を添加する工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にてTh1細胞の増殖又は活性化の抑制が検出された場合には、前記生理活性物質を、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する生理活性物質であると判定する工程とを、含む方法。

0156

<Th1細胞の増殖又は活性化を評価するためのキット>
上述の通り、本発明によれば、インビトロにて、腸管内におけるTh1細胞の誘導を再現することができる。

0157

したがって、本発明は、腸管上皮細胞と、末梢血単核細胞とを含む、Th1細胞の増殖若しくは活性化を評価するためのキット、又は、腸管内でTh1細胞の増殖若しくは活性化を誘導する細菌と、腸管上皮細胞と、末梢血単核細胞とを含む、Th1細胞の増殖若しくは活性化を評価するためのキットをも提供する。

0158

なお、前記細菌、腸管上皮細胞、末梢血単核細胞については、<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する細菌をスクリーニングする方法 2>に記載の通りである。また、かかる評価用キットにはこれら細菌、細胞の他、これらを維持又は培養するための培地、培養システム(プレート等)、Th1細胞を検出するための試薬(CD4抗体、IFN−γ抗体、二次抗体標識物質等)が含まれていてもよい。さらに、かかる評価用キットには、当該キットの使用説明書を含めることができる。

0159

<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する物質をスクリーニングする方法 2>
前述の通り、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系、また更に腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を含む系は、Th1細胞の増殖又は活性化を評価するために、好適に用いることができる。したがって、本発明は、かかる系を用いた、以下のスクリーニング方法をも提供する。

0160

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質のスクリーニング方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌と、被験物質とを添加する工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験物質を添加しなかった場合におけるそれよりも増加している場合に、前記被験化合物は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する物質であると判定する工程とを、含む方法。

0161

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質のスクリーニング方法であって、腸管上皮細胞と末梢血単核細胞とを含む系において、該腸管上皮細胞に、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌と、被験物質とを添加する工程と、該系におけるTh1細胞の数又は活性を検出する工程と、前記工程にて検出されたTh1細胞の数又は活性が、前記被験化合物を添加しなかった場合におけるそれよりも低減している場合に、前記被験物質は、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を抑制する物質であると判定する工程とを、含む方法。

0162

なお、これら方法において用いられる物(系、細菌、被験物質)、方法及び条件等については、<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する細菌をスクリーニングする方法 2>、<腸管内でTh1細胞を誘導又は抑制する物質をスクリーニングする方法 1>に記載の通りである。

0163

<Th1細胞に起因する疾患の検査用組成物1>
上述の通り、本発明において、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌が、腸管内に定着することにより、Th1細胞が誘導され、Th1細胞に起因する疾患が誘発されることが明らかになった。そのため、前記細菌の存在を検出することにより、Th1細胞に起因する疾患を検査することが可能となる。

0164

したがって、本発明は、以下のTh1細胞に起因する疾患を検査するための組成物を提供する。

0165

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を特異的に認識する抗体を含む、Th1細胞に起因する疾患を検査するための組成物。

0166

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に特異的なヌクレオチド配列を検出するためのポリヌクレオチドを含む、Th1細胞に起因する疾患を検査するための組成物。

0167

本発明において、「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌を特異的に認識する抗体」は、該細菌を特異的に認識し得る限り、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよく、また抗体の機能的断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、可変領域断片(Fv)、ジスルフィド結合Fv、一本鎖Fv(scFv)、sc(Fv)2、ダイアボディー、多特異性抗体、又はこれらの重合体)であってもよい。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体であれば、抗原(腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌、該細菌に由来するポリペプチド、ポリヌクレオチド、糖鎖、脂質等)で免疫動物を免疫し、その抗血清から、従来の手段(例えば、塩析遠心分離透析カラムクロマトグラフィーなど)によって、精製して取得することができる。また、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法や組換えDNA法によって作製することができる。

0168

また、本発明の検査に用いる抗体としては、標識物質を結合させた抗体を使用することができる。当該標識物質を検出することにより、前記細菌又は該細菌に由来する物質に結合した抗体量を直接測定することが可能である。標識物質としては、抗体に結合することができ、化学的又は光学的方法に検出できるものであれば特に制限されることはなく、例えば、蛍光色素(GFP等)、酵素(HRP等)、放射性物質が挙げられる。

0169

本発明の検査用組成物には、抗体成分の他、組成物として許容される他の成分を含むことができる。このような他の成分としては、例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩、標識物質、二次抗体が挙げられる。また、上記検査用組成物の他、標識物質の検出に必要な基質陽性対照陰性対照、あるいは試料の希釈や洗浄に用いる緩衝液、試料と本発明の抗体との反応に用いるチューブ又はプレート等を組み合わせることができ、Th1細胞に起因する疾患の検査用キットとすることもできる。また、標識されていない抗体を抗体標品とした場合には、当該抗体に結合する物質(例えば、二次抗体、プロテインG、プロテインAなど)を標識化したものを組み合わせることができる。また、かかるTh1細胞に起因する疾患の検査用キットには、当該キットの使用説明書を含めることができる。

0170

さらに、本発明の検査用組成物には、本発明の抗体を検出するための装置を組み合わせることもできる。かかる装置としては、例えば、フローサイトメトリー装置、マイクロプレートリーダーが挙げられる。

0171

本発明において、「腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に特異的なヌクレオチド配列を検出するためのポリヌクレオチド」としては、該細菌に特異的な配列を検出する限り、特に制限はなく、例えば、少なくとも15ヌクレオチド鎖長を有する、下記(a)〜(b)に記載のいずれかであるポリヌクレオチドが、挙げられる。
(a)前記特異的なヌクレオチド配列を挟み込むように設計された一対のプライマーであるポリヌクレオチド
(b)前記特異的なヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列にハイブリダイズするプライマー又はプローブであるポリヌクレオチド。

0172

かかる本発明のポリヌクレオチドは、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌のヌクレオチド配列に相補的塩基配列を有する。ここで「相補的」とは、ハイブリダイズする限り、完全に相補的でなくともよい。これらポリヌクレオチドは、前記ヌクレオチド配列に対して、通常、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは100%の相同性を有する。

0173

本発明のポリヌクレオチドにおける「鎖長」として、プライマーとして用いる場合は、通常15〜100ヌクレオチドであり、好ましくは17〜30ヌクレオチドであり、より好ましくは20〜25ヌクレオチドである。また、プローブとして用いる場合には、通常15〜1000ヌクレオチドであり、好ましくは20〜100ヌクレオチドである。

0174

なお、本発明のポリヌクレオチドの具体的な態様として、以下に示すKlebsiella pneumoniaeに属する2H7株に特異的なヌクレオチド配列を検出するためのポリヌクレオチド(一対のプライマー)が挙げられる。
scaffold00004_68_Fプライマー(配列:AATCAAGGGCCGGTAAGT[配列番号:1])と、scaffold00004_68_Rプライマー(配列:CCAAACGCTACGCCATTAT[配列番号:2])との組み合わせ
scaffold00004_298_Fプライマー(配列:AGCACTAGCGGCTGTGGTAT[配列番号:3])と、scaffold00004_298_Rプライマー(配列:ACTTACTCGGGCCCTTGATT[配列番号:4])との組み合わせ
scaffold00004_307_Fプライマー(配列:AATCAAGGGCCCGAGTAAGT[配列番号:5])と、scaffold00004_307_Rプライマー(配列:ATTCAGGGGCTGAAGGAGTT[配列番号:6])との組み合わせ。

0175

本発明のポリヌクレオチドは、DNAであってもRNAであってもよく、またその一部又は全部において、LNA(登録商標、架橋化核酸)、ENA(登録商標、2’−O,4’−C−Ethylene−bridged nucleic acids)、GNA(グリセロール核酸)、TNA(トレオ—ス核酸)、PNA(ペプチド核酸)等の人工核酸によって、ヌクレオチドが置換されているものであってもよい。

0176

なお、本発明のポリヌクレオチドは、市販のヌクレオチド自動合成機等を用いて化学的に合成することができる。

0177

また、本発明の検査に用いるポリヌクレオチドとしては、標識物質を結合させたポリヌクレオチドを使用することができる。標識物質としては、ポリヌクレオチドに結合することができ、化学的又は光学的方法に検出できるものであれば特に制限されることはなく、例えば、蛍光色素(DEAC、FITC、R6G、TexRed、Cy5等)、蛍光色素以外にDAB等の色素(chromogen)、酵素、放射性物質が挙げられる。

0178

本発明の検査用組成物には、前述のポリヌクレオチドの他、薬理学上許容される他の成分を含むことができる。このような他の成分としては、例えば、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、安定剤、防腐剤、生理食塩等が挙げられる。

0179

また、上記検査用組成物の他、ポリヌクレオチドに付加した標識物質の検出に必要な基質、陽性対照や陰性対照、試料の希釈や洗浄に用いる緩衝液等の標品を組み合わせ、試料と本発明のポリヌクレオチドとの反応に用いるチューブ又はプレート等を組み合わせることができ、Th1細胞に起因する疾患の検査用キットとすることもできる。さらに、かかるTh1細胞に起因する疾患の検査用キットには、当該キットの使用説明書を含めることができる。

0180

さらに、本発明の検査用組成物には、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に特異的なヌクレオチド配列を検出するための装置を組み合わせることもできる。かかる装置としては、例えば、PCR装置シークエンサーマイクロアレイが挙げられる。

0181

また、本発明においては、前述の抗体、ポリヌクレオチド、又は検査用組成物を用いた、Th1細胞に起因する疾患の検査方法も提供する。すなわち、前記抗体、ポリヌクレオチド、又は検査用組成物と、被検体から単離された試料とを接触させる工程、及び、該接触により、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌の存在又は非存在を検出する工程、を含む、Th1細胞に起因する疾患の検査方法を、本発明は提供する。

0182

被検体としては特に制限はなく、Th1細胞に起因する疾患の罹患が疑われるヒト等の動物が挙げられる。また、かかる被検体から単離された試料としても特に制限はないが、被検体の糞便試料、その培養物、又はそれらから抽出されるポリペプチド、ポリヌクレオチド、糖鎖、脂質等が、本発明の方法において好適に用いられる。

0183

本発明の抗体又はそれを含む検査用組成物と、前記試料とを接触させることにより、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌の存在又は非存在を検出する方法としては、例えば、ELISA法、イムノブロッティング、抗体アレイ解析法、免疫組織化学的染色法、フローサイトメトリー、イメージングサイトメトリー、ラジオイムノアッセイ、免疫沈降法等の抗体を用いて検出する方法(免疫学的手法)が挙げられる。

0184

また、本発明のポリヌクレオチド又はそれを含む検査用組成物と、前記試料とを接触させることにより、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌の存在又は非存在を検出する方法としては、例えば、PCR(RT−PCR、リアルタイムPCR、定量PCR)、DNAマイクロアレイ解析法、ノーザンブロッティング、次世代シークエンシング法(合成シークエンシング法(sequencing−by−synthesis、例えば、イルミナ社製Solexaゲノムアナライザー又はHiseq(登録商標)2000によるシークエンシング)、パイロシークエンシング法(例えば、ロッシュ・ダイアグステックス(454)社製のシークエンサーGSLX又はFLXによるシークエンシング(所謂454シークエンシング))、リガーゼ反応シークエンシング法(例えば、ライフテクノロジー社製のSoliD(登録商標)又は5500xlによるシークエンシング)、ビーズアレイ法、in situハイブリダイゼーションドットブロットRNaseプロテクションアッセイ法質量分析法、ゲノムPCR法サザンブロッティングを用いることができる。

0185

本発明において、Th1細胞に起因する疾患の「検査」とは、該疾患の発症の有無のみならず、その発症のリスクを検査することも含まれ、前述の方法により、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌の存在が検出されれば、Th1細胞に起因する疾患が発症している又はその発症リスクが高いと判定することができる。

0186

被検体におけるTh1細胞に起因する疾患の診断は、通常、医師(医師の指示を受けた者も含む)によって行われるが、本発明の方法によって得られるデータは、医師による診断に役立つものである。よって、本発明の方法は、医師による診断に役立つデータを収集し、提示する方法とも表現しうる。

0187

また、本発明においては、前述の検査方法を利用したコンパニオン診断法、及びその薬剤も提供することができる。すなわち、本発明は以下も提供する。

0188

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に対して抗菌活性を有する物質の、Th1細胞に起因する疾患の治療、改善又は予防における有効性を判定する方法であって、前記抗体、ポリヌクレオチド、又は検査用組成物と、被検体から単離された試料とを接触させる工程、該接触により、腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌の存在又は非存在を検出する工程、前記工程において、前記細菌の存在が検出されれば、前記被検体における前記物質の前記疾患の治療、改善又は予防における有効性が高いと判定される方法。

0189

Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防する方法であって、前記判定方法により腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に対して抗菌活性を有する物質の有効性が高いと判定された患者に、該物質を摂取させる工程を含む方法。

0190

腸管内でTh1細胞の増殖又は活性化を誘導する細菌に対して抗菌活性を有する物質を、有効成分として含む、Th1細胞に起因する疾患を治療、改善又は予防するための組成物であって、前記判定方法により有効性が高いと判定された被検体に摂取される組成物。

0191

以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、本実施例は、以下に示す材料及び方法を用いて行なった。

0192

<マウス>
C57BL/6マウス、BALB/cマウス及びIQIマウスは、SPF又はGF条件下にて維持されていたものを、三協ラボサービス(日本)、SLC(日本)又はクレア(日本)から購入した。

0193

なお、「SPF」及び「GF」は各々、特定の病原性細菌の非存在下(specific pathogen−free)又は無菌(Germ−Free)の条件であることを示している。

0194

GFマウス及び純粋隔離群ノトバイオート)マウスは、慶應義塾大学医学部医学研究科又は理化学研究所統合生命医科研究センター(IMS)のノトバイオート施設内で飼育し、維持した。

0195

Il10−/−マウス及びIfngr1−/−マウスは、ジャソン研究所から購入した。Myd88−/−マウス、Tlr4−/−マウス及びMyd88−/−Trif−/−マウスは、オリエンタバイオサービス(日本)から購入した。

0196

全ての動物実験は、慶應義塾大学及び理化学研究所横施設の動物実験委員会承認を受けて行なった。

0197

<16SrRNA遺伝子についてのパイロシークエンシング>
マウスの糞便を、10mM TrisHCl(pH8.0)含有20%グリセロール/PBSに、終濃度が10%(w/v)になるよう懸濁し、解析に供する迄は−80℃にて保存した。

0198

解析の際には、凍結サンプルを解凍し、100μLの懸濁液と、RNaseA(終濃度100μg/mL、Invitrogen社製)及びリソゾーム(終濃度3.0mg/mL、Sigma社製)含有TE10(10mM Tris−HCl,10mMEDTAバッファー900μLとを混合した。

0199

得られた懸濁液を、37℃にて1時間緩やかに混合させながら、インキュベーションした。精製アクロモぺプチダーゼ(Wako社製)を終濃度2000unit/mLになるよう添加し、37℃にて更に30分間インキュベーションした。次いで、ラウリル硫酸ナトリウム(終濃度1%)及びプロテナーゼ(終濃度1mg/mL、Nacalai社製)を、懸濁液に添加し、55℃にて1時間インキュベートした。そして、高分子量DNAを、フェノールクロロホルムイソアミルアルコール(25:24:1)にて抽出し、イソプロパノール沈殿させ、70%エタノールで洗浄し、200μLのTEに再懸濁した。

0200

次に、16SrRNAのV1−V2領域増幅するためのPCRを、ExTaq(Takara社製)と下記プライマーセットとを用いて行なった。
(1)the 454primer A
[5’−CCATCTCATCCCTGCGTGTCTCCGACTCAG[配列番号:7](454アダプター配列)+バーコード(10bases)+AGRGTTTGATYMTGGCTCAG[配列番号:8]−3’(27Fmod)]
(2) the 454 primer B
[5’−CCTATCCCCTGTGTGCCTTGGCAGTCTCAG[配列番号:35](454アダプター配列)+TGCTGCCTCCCGTAGGAGT[配列番号:9]−3’(338R)]。

0201

次いで、各サンプルから得られた増幅産物(〜330bp)を、AMPure XP(Beckman Coulter社製)を用いて精製し、DNAはQuant−iT PicogreendsDNAアッセイキット(Invitrogen社製)及びTBS−380ミニフルオロメーター(Turner Biosystems社製)を用いて定量した。

0202

そして、増幅したDNAを鋳型として、GSジュニアチタニウムemPCRキット−Lib−L、GSジュニアチタニウムシークエンシングキット及びGSジュニアチタニウムピコタイタープレートキット(全てRoche社製)を用い、メーカー説明書に従って、454 GS Junior(Roche社製)パイロシークエンシングを行なった。

0203

クオリティフィルターをパスしたリードは、両方のプライマー配列を有さず、平均クオリティ値が<25であり、またキメラ産物の可能性があるリードを除外することにより得た。フィルターをパスしたリードの中から、各サンプルにおける両プライマー配列を削除した3000リードを、カットオフシミラリティ96%同一性を用いたOTU解析に供した。

0204

各OTUにおける代表的な配列を、リボソーマルデータベースプロジェクト(RDP)のデータベース、並びに、NCBI及びヒトマイクロバイオームプロジェクトにおいて公的利用可能なゲノム配列から本発明者らが構築したゲノムデータベースを用いてblast検索にかけた。

0205

ヒト唾液サンプル、細菌培養、ノトバイオート動物の作製>
ヒト唾液サンプルは、H.S.Said et al.,DNA research:an international journal for rapid publication of reports on genes and genomes 21,15−25(2014)に記載のとおり、治験審査委員会の承認を受けた研究プロトコールに沿って、琉球大学医学部附属病院より得た。また、各被験者よりインフォームドコンセントを得ている。

0206

唾液サンプルは、唾液微生物叢における16SrRNA配列を主座標分析した結果に基づき、以下のヒトのものを、各グループ(健常、CD及びUC)の代表例として選択した。
CD#1の患者:IBD029,50日本人男性,IOIBDスコア3(活動期
CD#2の患者:IBD121,52歳、日本人男性,IOIBD スコア1(寛解期
UC#1の患者:IBD096,23歳、日本人女性,UC−DAI軽度
UC#2の患者:IBD118,65歳、日本人男性,UC−DAI中等度
健常ドナー#1:S−AKO07,37歳、日本人男性
健常ドナー#2:S−AKO17,39歳、日本人女性。

0207

唾液サンプルは、等量(w/v)の20%グリセロール/PBS含有PBSに懸濁し、液体窒素にてサンプルを急速に凍らせ、使用する迄−80℃にて保存した。

0208

使用の際に、凍結ストックは解凍し、4℃にて10分間3300gにて遠心処理し、PBSにて懸濁した後、GFマウスに経口投与した(マウス1匹あたり100μL)。Th1誘導性細菌株を単離するため、GF+CD#2及びGF+UC#2の盲腸内容物を、PBSにて段階的に希釈し、非選択的及び選択的アガープレート上に播いた。次いで、嫌気性条件(80% N2,10% H2,10% CO2)下、嫌気性チャンバー(Coy Laboratory Products)にて、37℃で2日間又は4日間培養した後、独立したコロニーを採取した。

0209

16SrRNA遺伝子領域を下記ユニバーサルプライマーセットを用いて増幅し、配列を決定した。
(27F:5’−AGRGTTTGATYMTGGCTCAG−3’[配列番号:8],
1492R:5’−GGYTACCTTGTTACGACTT−3’[配列番号:10])
カルチャーコレクションにおいて配列が得られたサンプルは、それらの16SrRNA遺伝子配列が100%一致した場合に、「strains」に分類した。

0210

得られた株の配列は、近縁の種又は株、対応するOTUsを判定するため、RDPデータベース、並びにGF+CD#2及びGF+UC#2の糞便サンプルから検出されたOTUsと比較した。

0211

細菌の混合液を調製するため、細菌株を個別にコンフルエンスになる迄培養し、等量の培地になるよう混合した。なお、個別培養は、Kp−2H7,Ec−2B1についてはSchaedlerブロスにて、2D5,Ve−2E1,2G7,2E4についてはPYGブロスにて、Fu−21f,2B11についてはEGFブロスにて行なった。

0212

離株の混合物は、GFマウスに経口投与した(マウス1匹あたり、総細菌 約1〜2×108CFUを含む200μL培地を投与した)。また、混合物を摂取させた全てのマウスは、シングルノトバイオートアイソレータにて維持した。

0213

細菌株K.pneumoniae、BAA−2552、BAA−1705、700721、700603及び13882は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(Manassas,VA,USA)より購入した。

0214

K.pneumoniae KP−1はthe Scott A.Rice 研究所にて単離された(K.W.Lee et al.,TheISME journal 8,894(Apr,2014)参照)。

0215

KCTC2242は、韓国微生物カルチャーコレクション(KCTC、Daejeon,Korea)より得た。

0216

K.pneumoniae 34E1は、本発明者 本田賢也の研究室にて、アンピシリン処理したSPFマウスの盲腸内容物から単離した。

0217

K.pneumonia株は、37℃にて、Schaedlerブロス、Luria Bertani(LB)ブロス又はLBアガープレートにて培養した。

0218

加熱殺菌体を投与するため、Kp−2H7を一晩培養し、オートクレーブした水にて洗浄し、105℃で30分間で加熱殺菌した。それを、飲料水を通してGFマウスに3週間摂取させた(5x107相当CFU/mL)。

0219

<Klebsiellaの気管内注入
SPFB6マウスを、イソフルランにて麻酔し、背臥位をとらせた。麻酔条件下、気管を約2cm縦に切開することによって正中線上で開き、無菌PBS又はKlebsiella懸濁液(1x106/10μL)を、無菌30ゲージニードルにて気管内に注入した。マウスは、細菌を接種してから7日後に屠殺して回収し、リンパ球の単離及び組織解析に供した。

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