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技術 VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療剤

出願人 国立大学法人筑波大学
発明者 千葉滋柳元麻実子
出願日 2017年10月19日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-548960
公開日 2019年9月19日 (7ヶ月経過) 公開番号 WO2018-084053
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 活性化指標 賦形材 脂肪族ポリアルコール 培養細胞液 馬鈴薯でんぷん 進行抑制 ローテート lox配列
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月19日)のものです。
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図面 (17)

課題・解決手段

本発明は、希少疾患である血管免疫芽球性T細胞リンパ腫AITL)を含む各種腫瘍治療剤等を提供する。本発明は、ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質リン酸化で同定される腫瘍の治療剤等に係るものである。

概要

背景

ダサチニブ化合物については非特許文献1、臨床試験については非特許文献2を参照)は、慢性骨髄性白血病においてチロシンキナーゼBCR−ABLATP結合部位阻害することにより、高い有効性を発揮する。ダサチニブはABL以外のチロシンキナーゼに対しても阻害作用をもつが、この効果を利用した臨床開発はこれまで進められてこなかった。
血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(Angioimmunoblastic T−cell lymphoma:AITL)は、極めて難治性血液がんであり、5年生存率は約20%である。リンパ節腫大に加えて、発熱皮疹自己免疫疾患様の異常、高ガンマグロブリン血症等の特徴的な臨床像を呈することが多い。本発明者は、AITLのゲノム解析から、RHOA遺伝子変異(c.50G>T)により、RHOAタンパク質の17番目アミノ酸グリシンからバリン置換される変異(p.G17V,以下「G17V RHOA変異」)が、AITLの70%にみられることを報告した(非特許文献3:Sakata−Yanagimoto M,et al.Nat Genet.2014 Feb;46(2):171−5.)。そこで、これらのゲノム異常による腫瘍発症仕組みを明らかにするとともに、標的治療開発が求められている。

概要

本発明は、希少疾患である血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を含む各種腫瘍の治療剤等を提供する。本発明は、ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療剤等に係るものである。

目的

Shah NP.,et al.,Overriding imatinib resestance with a novel ABLkinase inhibitor.,Science,vol.305,p399−401,2004
Talpaz M,et al.,N.Engl.J.Med.,2006 Jun15;354(24):2531−41.
Sakata−Yanagimoto M,et al.,Nat.Genet.,2014Feb;46(2):171−5.





このような状況下において、希少疾患である血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を含む各種腫瘍の治療に有用な医薬製剤治療方法等の開発が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質リン酸化で同定される腫瘍治療剤であって、ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、前記治療剤。

請求項2

前記腫瘍は、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化が亢進していると決定された腫瘍である、請求項1に記載の治療剤。

請求項3

前記タンパク質が、VAV1タンパク質である、請求項1又は2に記載の治療剤。

請求項4

RHOA遺伝子、及び/又はVAVファミリーに属する癌原遺伝子において遺伝子変異若しくは融合遺伝子形成が認められる腫瘍の治療剤であって、ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、前記治療剤。

請求項5

前記腫瘍が、T細胞リンパ腫胃がん膵がん皮膚腫瘍大腸がん子宮がん、及び神経系腫瘍からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の治療剤。

請求項6

前記腫瘍が、T細胞リンパ腫である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の治療剤。

請求項7

T細胞リンパ腫が、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、又は分類不能型末梢性T細胞リンパ腫である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の治療剤。

請求項8

ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療用医薬組成物

請求項9

VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療用薬剤を製造するためのダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用。

請求項10

ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を被験対象投与することを特徴とする、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療方法

請求項11

ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療用キット

請求項12

ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の、投与対象とする患者における有効性検査する方法であって、該患者から採取した検体中のVAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化の程度を指標とする、前記方法。

請求項13

ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の、投与対象とする患者における有効性を検査する方法であって、該患者から採取した検体中のRHOA遺伝子における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無を指標とする、前記方法。

請求項14

ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の、投与対象とする患者における有効性を検査する方法であって、該患者から採取した検体中のVAV1遺伝子における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無を指標とする、前記方法。

請求項15

ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の、投与対象とする患者における有効性を検査する方法であって、該患者から採取した検体中のVAV2遺伝子における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無を指標とする、前記方法。

請求項16

ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の、投与対象とする患者における有効性を検査する方法であって、該患者から採取した検体中のVAV3遺伝子における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無を指標とする、前記方法。

技術分野

0001

本発明は、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質リン酸化で同定される腫瘍治療剤や、ダサチニブ等についての投与対象とする患者における有効性検査する方法などに関する。

背景技術

0002

ダサチニブ(化合物については非特許文献1、臨床試験については非特許文献2を参照)は、慢性骨髄性白血病においてチロシンキナーゼBCR−ABLATP結合部位阻害することにより、高い有効性を発揮する。ダサチニブはABL以外のチロシンキナーゼに対しても阻害作用をもつが、この効果を利用した臨床開発はこれまで進められてこなかった。
血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(Angioimmunoblastic T−cell lymphoma:AITL)は、極めて難治性血液がんであり、5年生存率は約20%である。リンパ節腫大に加えて、発熱皮疹自己免疫疾患様の異常、高ガンマグロブリン血症等の特徴的な臨床像を呈することが多い。本発明者は、AITLのゲノム解析から、RHOA遺伝子変異(c.50G>T)により、RHOAタンパク質の17番目アミノ酸グリシンからバリン置換される変異(p.G17V,以下「G17V RHOA変異」)が、AITLの70%にみられることを報告した(非特許文献3:Sakata−Yanagimoto M,et al.Nat Genet.2014 Feb;46(2):171−5.)。そこで、これらのゲノム異常による腫瘍発症仕組みを明らかにするとともに、標的治療開発が求められている。

先行技術

0003

Shah NP.,et al.,Overriding imatinib resestance with a novel ABLkinase inhibitor.,Science,vol.305,p399−401,2004
Talpaz M,et al.,N.Engl.J.Med.,2006 Jun15;354(24):2531−41.
Sakata−Yanagimoto M,et al.,Nat.Genet.,2014Feb;46(2):171−5.

0004

このような状況下において、希少疾患である血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を含む各種腫瘍の治療に有用な医薬製剤治療方法等の開発が望まれていた。特に、AITLの治療には、従来より多剤併用化学療法が行われているが、治療抵抗性であることが多かったため、新規治療剤、治療方法の開発が待たれていた。
本発明は、上記状況を考慮してなされたもので、以下に示す、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療剤、該腫瘍の治療用医薬組成物、該腫瘍の治療用薬剤を製造するためのダサチニブ等の使用、該腫瘍の治療方法、及び該腫瘍の治療用キット、並びに、ダサチニブ等の投与対象とする患者における有効性を検査する方法等を提供するものである。
(1)VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療剤であって、
ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、
前記治療剤。
(2)前記腫瘍は、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化が亢進していると決定された腫瘍である、前記(1)に記載の治療剤。
(3)前記タンパク質が、VAV1タンパク質である、前記(1)又は(2)に記載の治療剤。
(4)RHOA遺伝子、及び/又はVAVファミリーに属する癌原遺伝子において遺伝子変異若しくは融合遺伝子形成が認められる腫瘍の治療剤であって、
ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を有効成分として含む、
前記治療剤。
(5)前記腫瘍が、T細胞リンパ腫、胃がん膵がん皮膚腫瘍大腸がん子宮がん、及び神経系腫瘍からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の治療剤。
(6)前記腫瘍が、T細胞リンパ腫である、前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の治療剤。
(7)T細胞リンパ腫が、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、又は分類不能型末梢性T細胞リンパ腫である、前記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の治療剤。
(8)ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療用医薬組成物。
本発明においては、ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む、RHOA遺伝子、及び/又はVAVファミリーに属する癌原遺伝子において遺伝子変異若しくは融合遺伝子形成が認められる腫瘍の治療用医薬組成物も包含される。
(9)VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療用の薬剤を製造するためのダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用。
本発明においては、RHOA遺伝子、及び/又はVAVファミリーに属する癌原遺伝子において遺伝子変異若しくは融合遺伝子形成が認められる腫瘍の治療用の薬剤を製造するためのダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の使用も包含される。
(10)ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を被験対象投与することを特徴とする、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療方法。
本発明においては、ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を被験対象に投与することを特徴とする、RHOA遺伝子、及び/又はVAVファミリーに属する癌原遺伝子において遺伝子変異若しくは融合遺伝子形成が認められる腫瘍の治療方法も包含される。
(11)ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療用キット。
本発明においては、ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物を含む、RHOA遺伝子、及び/又はVAVファミリーに属する癌原遺伝子において遺伝子変異若しくは融合遺伝子形成が認められる腫瘍の治療用キットも包含される。
(12)ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の、投与対象とする患者における有効性を検査する方法であって、該患者から採取した検体中のVAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化の程度を指標とする、前記方法。
(13)ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の、投与対象とする患者における有効性を検査する方法であって、該患者から採取した検体中のRHOA遺伝子における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無を指標とする、前記方法。
(14)ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の、投与対象とする患者における有効性を検査する方法であって、該患者から採取した検体中のVAV1遺伝子における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無を指標とする、前記方法。
(15)ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の、投与対象とする患者における有効性を検査する方法であって、該患者から採取した検体中のVAV2遺伝子における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無を指標とする、前記方法。
(16)ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物の、投与対象とする患者における有効性を検査する方法であって、該患者から採取した検体中のVAV3遺伝子における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無を指標とする、前記方法。
発明の効果
本発明によれば、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療に有用な医薬製剤・医薬組成物、該腫瘍の治療に有用な方法、及び該腫瘍の治療用キット等を提供することができる。特に、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)などの難治性疾患の治療においては、ダサチニブは、RHOA遺伝子やVAVファミリーに属する癌原遺伝子の変異等により活性化されるVAVタンパク質分子自体の活性化を阻害するため、より特異性・有効性の高い治療効果が期待できる。
また本発明によれば、ダサチニブ等の投与対象とする患者における有効性を検査する方法も提供することができる。

図面の簡単な説明

0005

急性細胞白血病細胞株であるJurkat細胞において、G17V RHOA変異体T細胞受容体(TCR)シグナルの重要分子であるVAV1と結合することを示す図である。
(A)は、Jurkat細胞において、G17V RHOA変異体の発現により、VAV1活性化指標であるY174リン酸化が亢進すること、この効果は抗CD3抗体刺激により亢進することを示す図である。(B)は、Jurkat細胞において、G17V RHOA変異体の発現により、抗CD3抗体刺激下でPhospholipaseC(PLC)−gamma1のリン酸化が亢進することを示す図である。
成人T細胞性白血病リンパ腫細胞株であるSU9T01細胞において、G17V RHOA変異体がT細胞受容体(TCR)シグナルの重要分子であるVAV1と結合することを示す図である。
(A)は、SU9T01細胞において、G17V RHOA変異体の発現により、VAV1活性化指標であるY174リン酸化が亢進することを示す図である。(B)は、SU9T01細胞において、G17V RHOA変異体の発現により、PhospholipaseC(PLC)−gamma1のリン酸化が亢進することを示す図である。
Jurkat細胞において、G17V RHOA変異体の発現により、NFAT(nuclear factor of activated T−cells)活性は亢進することを示す図である。
Jurkat細胞において、G17V RHOA変異体の発現により、インターロイキン2のmRNA発現は亢進することを示す図である。
(A)は、Jurkat細胞において、G17V RHOA変異体の発現によるY174リン酸化が亢進はダサチニブによりキャンセルされることを示す図である。(B)は、Jurkat細胞において、G17V RHOA変異体の発現によるPLC−gamma1のリン酸化が亢進はダサチニブによりキャンセルされることを示す図である。
Jurkat細胞において、G17V RHOA変異体の発現により、インターロイキン2のmRNA発現亢進はダサチニブによりキャンセルされることを示す図である。
AITLおよび分類不能型末梢性T細胞リンパ腫にVAV1遺伝子変異があることを示す図である。
Jurkat細胞において、VAV1変異体の発現により、Y174リン酸化が亢進することを示す図である。
Jurkat細胞において、VAV1変異体の発現により、PLC−gamma1のリン酸化が亢進することを示す図である。
Jurkat細胞において、VAV1変異体の発現により、NFAT活性は亢進することを示す図である。
Jurkat細胞において、VAV1変異体の発現により、インターロイキン2のmRNA発現は亢進することを示す図である。
Jurkat細胞において、VAV1変異体の発現により、インターロイキン2の上清への分泌は亢進する
Jurkat細胞において、VAV1変異体の発現によるY174リン酸化亢進はダサチニブによりキャンセルされることを示す図である。
Jurkat細胞において、VAV1変異体の発現によるNFAT活性亢進はダサチニブによりキャンセルされることを示す図である。
ヌードマウス(AITLモデルマウス)の腹腔内に、ドナーマウス腫大リンパ節由来細胞播種し、その後、ダサチニブを投与した群(ダサチニブ群:図中の「Dasatinib」)と、投与しなかった群(コントロール群:図中の「Vehicle」)との生存率(図中の「Probability」)を比較したグラフである。

0006

以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。なお、本明細書は、本願優先権主張の基礎となる特願2016−215521号明細書(2016年11月2日出願)の全体を包含する。また、本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。
1.本発明の概要
VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質、例えばVAV1は、T細胞受容体シグナルに極めて重要な分子であり、Srcファミリーキナーゼによりリン酸化されて活性化することが知られている。本発明者は、G17V RHOA変異体がVAV1と結合し、そのリン酸化(チロシンリン酸化)を亢進することによりVAV1の下流シグナルを活性化すること、G17V RHOA変異がない症例の一部ではVAV1自体に遺伝子変異があり、これによりVAV1の活性化が生じること、さらにはこれらのG17V RHOA変異体やVAV1変異体によるVAV1活性化(異常活性化)が、ダサチニブにより阻害されることを発見した。また、本発明者は、VAV1変異体によるT細胞受容体シグナル下でのNFAT活性亢進効果が、ダサチニブにより阻害されること、さらには、G17V RHOA変異体によるT細胞受容体シグナル下でのインターロイキン2(IL−2)産生が、ダサチニブにより阻害されることを発見した。
これらの知見に基づき、本発明者は、ダサチニブを用いたAITLの治療剤、ひいてはVAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化(チロシンリン酸化)で同定される腫瘍の治療剤などに係る本発明を見出した。
2.腫瘍治療剤、医薬組成物等
本発明のVAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療剤(以下、「本発明の治療剤」ということがある。)、及び、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療用医薬組成物(以下、「本発明の医薬組成物」ということがある。)は、前述した通り、ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物(以下、「ダサチニブ等」ということがある。)を有効成分として含むことを特徴とするものである。
なお、本発明は、(i)ダサチニブ等を用いること、具体的には例えばダサチニブ等の有効量を被験対象(VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の患者又はその恐れのある患者、あるいはそのような非ヒト哺乳動物)に投与することを含む、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療方法、(ii)当該腫瘍の治療用の薬剤を製造するためのダサチニブ等の使用、(iii)当該腫瘍の治療用のダサチニブ等の使用、並びに、(iv)当該腫瘍の治療用のダサチニブ等も含むものである。
本発明において、当該腫瘍の治療としては、具体的には、例えば、当該腫瘍の治療の進行抑制予後改善、及び/又は再発防止等も含まれる。
本発明において、治療対象となる腫瘍は、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化(チロシンリン酸化)で同定される腫瘍である。ここで、当該タンパク質のリン酸化で同定される、とは、例えば、健常者組織における当該タンパク質と比較して、リン酸化が亢進(又は向上)していると決定された状態の腫瘍であればよく、特に限定はされない。また、本発明において、治療対象となる腫瘍としては、RHOA遺伝子及び/又はVAVファミリーに属する癌原遺伝子において遺伝子変異若しくは融合遺伝子形成が認められる腫瘍も好ましく挙げられる。これら治療対象となる腫瘍としては、より具体的には、T細胞リンパ腫(好ましくは、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、分類不能型末梢性T細胞リンパ腫等)、胃がん、膵がん、皮膚腫瘍、大腸がん、子宮がん、及び神経系腫瘍等が好ましく挙げられる。
VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質としては、VAV1、VAV2、VAV3が挙げられる。特に、VAV1は、そのリン酸化による活性化(チロシンリン酸化亢進による異常活性化)が、T細胞リンパ腫、特に血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)の一要因である。
本発明において、RHOA遺伝子(配列番号1(NCBIGenBankAccession No.NM001664.3):1943塩基中、cDNAは第281番目〜第862番目の塩基)の遺伝子変異としては、限定はされないが、RHOAタンパク質(配列番号2)においてp.G17Vのアミノ酸変異(G17V RHOA変異)をもたらす遺伝子(DNA)変異(c.50G>T)も含め、下記表1に示されるものなどが挙げられる。さらに、同タンパク質においてp.A161E、p.A161P、p.A161V、p.A118Eのアミノ酸変異をもたらす遺伝子変異も挙げられる。
なお、本明細書において、遺伝子変異の表記については、例えば「c.50G>T」であれば、cDNAの第50番目の塩基であるGがTに置換したことを意味し、また「c.C518_529del」であれば、cDNAの第518番目と第529番目のCが欠失したことを意味する。
同様に、タンパク質のアミノ酸変異の表記については、例えば「p.G17V」であれば、cDNAによりコードされるアミノ酸配列の第17番目のG(グリシン)がV(バリン)に置換したことを意味し、「p.E175V/L」であれば、アミノ酸配列の第175番目のE(グルタミン酸)がV(バリン)又はL(ロイシン)に置換したことを意味し、「p.173_177del」であれば、アミノ酸配列の第173番目と第177番目の残基が欠失したことを意味し、「p.R24*」であれば、アミノ酸配列の第24番目のR(アルギニン)をコードするコドンストップコドンに変換したことを意味する。



また、本発明において、VAVファミリーに属する癌原遺伝子の遺伝子変異としては、限定はされないが、VAV1遺伝子(配列番号3(NCBI GenBank Accession No.NM_005428.3):2944塩基中、cDNAは第141番目〜第2678番目の塩基)では、下記表2に示すようなVAV1タンパク質(配列番号4)のアミノ酸変異をもたらす遺伝子変異が挙げられる。さらに、同タンパク質においてp.E157K、p.Y174C、p.E175V/L、p.L177R、p.K494R、p.Q487K/R,p.M501R/L/V、p.E556K、p.P615L、p.R790C、p.D797N/H,p.R798P,p.J815E、p.R822Lのアミノ酸変異をもたらす遺伝子変異も挙げられる。



同様に、VAV2遺伝子(配列番号5(NCBI GenBank Accession No.NM001134398.1):4865塩基中、cDNAは第47番目〜第2683番目の塩基)では、下記表3に示すようなVAV2タンパク質(配列番号6)のアミノ酸変異をもたらす遺伝子変異が挙げられる。さらに、同タンパク質においてp.R103Q、p.R76H、p.D760N、p.G854D、p.P657S,p.L88F,p.D170E/G、p.R700Q、p.A362T、p.P130Lのアミノ酸変異をもたらす遺伝子変異も挙げられる。



同様に、VAV3遺伝子(配列番号7(NCBI GenBank Accession No.NM006113.4):4776塩基中、cDNAは第55番目〜第2598番目の塩基)では、下記表4に示すようなVAV3タンパク質(配列番号8)のアミノ酸変異をもたらす遺伝子変異が挙げられる。さらに、同タンパク質においてp.R24*、p.V275M、p.A213T、p.E53D、p.V65I、p.W277*、C98*、p.L198*、p.K187*,p.W112*、p.G79fsのアミノ酸変異をもたらす遺伝子変異も挙げられる。ここで「p.G79fs」はアミノ酸配列の第79番目のG(グリシン)をコードするコドンがフレームシフトし、以下異なるコドンで翻訳されたことを意味する。



また、本発明において、VAVファミリーに属する癌原遺伝子の融合遺伝子形成としては、限定はされないが、例えば、VAV1遺伝子では、VAV1−STAP2、VAV1−GSS、VAV1−MY01F等が挙げられる。
本発明の治療剤及び医薬組成物の有効成分である、ダサチニブは、公知の市販のものを使用することができるが、限定はされず、独自に合成、抽出及び精製等したものを使用してもよい。
なお、ダサチニブは、正式名称は、N−(2−クロロ−6−メチルフェニル)−2−[[6−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]−2−メチル−4−ピリミジニルアミノ]−5−チアゾールカルボキサミド(N−(2−chloro−6−methylphenyl)−2−[[6−[4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazinyl]−2−methyl−4−pyrimidinyl]amino]−5−thiazolecarboxamide)であり、下記構造式で表されるものである。

本発明の治療剤及び医薬組成物の有効成分としては、ダサチニブと共に又はダサチニブに代えて、ダサチニブ誘導体を用いることもできる。当該誘導体としては、ダサチニブ由来化学構造を有する等、当業者の技術常識に基づいてダサチニブの誘導体と考えられるものであればよく、限定はされないが、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質(VAV1等)のリン酸化による活性化の抑制能がダサチニブと同程度ものが好ましい。
本発明に用いるダサチニブやその誘導体としては、例えば、生体内酸化還元加水分解、又は抱合などの代謝を受けるものも包含するほか、生体内で酸化、還元、又は加水分解などの代謝を受けてダサチニブやその誘導体を生成する化合物(いわゆるプロドラッグ)も含まれる。本発明において、プロドラッグとは、薬理学的に許容し得る、通常プロドラッグにおいて使用される基で親化合物を修飾した化合物をいい、例えば、安定性持続性の改善等の特性が付与され、腸管内等で親化合物に変換されて効果を発現することが期待できる化合物をいう。例えば、ダサチニブ等の化合物のプロドラッグは、対応するハロゲン化物等のプロドラッグ化試薬を用いて、常法により、当該化合物中のプロドラッグ化の可能な基(例えば、水酸基、アミノ基、その他の基)から選択される1以上の任意の基に、常法に従い適宜プロドラッグを構成する基を導入した後、必要に応じ、単離精製することにより製造することができる。ここで、上記プロドラッグを構成する基としては、限定はされないが、例えば、低級アルキル−CO−、低級アルキル−O−低級アルキレン−CO−、低級アルキル−OCO−低級アルキレン−CO−、低級アルキル−OCO−、及び低級アルキル−O−低級アルキレン−OCO−等が好ましく挙げられる。
本発明の治療剤及び医薬組成物の有効成分としては、ダサチニブやダサチニブ誘導体やそれらのプロドラッグと共に、又はダサチニブやダサチニブ誘導体やそれらのプロドラッグに代えて、それらの薬理学的に許容し得る塩を用いることもできる。
ダサチニブ及びその誘導体の薬理学的に許容し得る塩としては、限定はされないが、例えば、ハロゲン化水素酸塩(例えば、塩酸塩臭化水素酸塩、及びヨウ化水素酸塩など)、無機酸塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩過塩素酸塩リン酸塩炭酸塩、及び重炭酸塩など)、有機カルボン酸塩(例えば、酢酸塩トリフルオロ酢酸塩マレイン酸塩酒石酸塩フマル酸塩、及びクエン酸塩など)、有機スルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩トリフルオロメタンスルホン酸塩エタンスルホン酸塩ベンゼンスルホン酸塩トルエンスルホン酸塩、及びカンファースルホン酸塩など)、アミノ酸塩(例えば、アスパラギン酸塩、及びグルタミン酸塩など)、四級アミン塩アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、及びカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩、及びカルシウム塩など)などが好ましく挙げられる。
本発明に用いるダサチニブ等は、化合物の構造上生じ得るすべての異性体(例えば、幾何異性体不斉炭素に基づく光学異性体回転異性体立体異性体、及び互変異性体等)及びこれら異性体の2種以上の混合物をも包含し、便宜上の構造式の記載等に限定されるものではない。また、ダサチニブ等は、S−体、R−体又はRS−体のいずれであってもよく、限定はされない。さらに、ダサチニブ等は、その種類により水和物や溶媒和物の形で存在する場合もあり、本発明においては当該水和物及び溶媒和物もダサチニブ等に含むものとし、本発明の治療剤及び医薬組成物の有効成分として用いることができる。当該溶媒和物としては、限定はされないが、例えば、エタノールとの溶媒和物等が挙げられる。
本発明の治療剤及び医薬組成物において、有効成分としてのダサチニブ等の含有割合は、限定はされず、適宜設定することができるが、例えば、治療剤や医薬組成物全体に対して、0.01〜99重量%の範囲内とすることができ、好ましくは、0.01〜30重量%、より好ましくは0.05〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%の範囲内としてもよい。有効成分の含有割合が上記範囲内であることにより、本発明の治療剤及び医薬組成物は、VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質(VAV1等)のリン酸化による活性化の抑制、ひいては、当該リン酸化により同定される腫瘍の治療効果を十分に発揮することができる。
本発明の治療剤及び医薬組成物は、ダサチニブ等以外にも、本発明の効果が著しく損なわれない範囲で他の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明においては、限定はされないが、ダサチニブ等と共に、プレドニゾロンデキサメタゾンシクロフォスファミドドキソルビシンビンクリスチンアザシチジンポテジオロミデプシンアドトリス、プララトレキセート等のT細胞リンパ腫治療薬として公知の又は開発中の薬剤等のうちの1種又は2種以上を、併用することもできる。さらに、本発明の治療剤及び医薬組成物は、例えば、後述する薬剤製造上一般に用いられるもの等を含むことができる。
本発明の治療剤及び医薬組成物は、被験対象としてのヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ラットウサギヒツジブタウシネコイヌサルなど)に対して、種々の投与経路、具体的には、経口、又は非経口(例えば静脈内注射静注)、筋肉内注射腹腔内注射皮下注射直腸投与経皮投与)で投与することができる。従って、本発明に使用するダサチニブ等は、単独で用いることも可能であるが、投与経路に応じて慣用される方法により薬学的に許容し得る担体を用いて適当な剤形に製剤化して用いることができる。
剤形としては、経口剤では、例えば、錠剤散剤細粒剤顆粒剤被覆錠剤カプセル剤内用水剤懸濁剤乳剤シロップ剤、及びトローチ剤等が挙げられ、非経口剤では、例えば、注射剤点滴剤を含む)、吸入剤軟膏剤点鼻剤、及びリポソーム剤等が挙げられる。なお、上述した各種経口剤とする場合、本発明の治療剤及び医薬組成物は、場合によりサプリメント剤(例えば機能性食品に該当する)として利用することもできる。
これら製剤の製剤化に用い得る担体としては、例えば、通常用いられる賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤着色剤、及び矯味矯臭剤のほか、必要に応じ、安定化剤乳化剤吸収促進剤界面活性剤pH調整剤防腐剤抗酸化剤増量剤、湿潤化剤、表面活性化剤分散剤緩衝剤保存剤溶解補助剤、及び無痛化剤等が挙げられ、医薬品製剤原料として用いることができる公知の成分を配合して常法により製剤化することが可能である。
当該成分として使用可能な無毒性のものとしては、例えば、大豆油牛脂、及び合成グリセライド等の動植物油流動パラフィンスクワラン、及び固形パラフィン等の炭化水素ミリスチン酸オクチルドデシル、及びミリスチン酸イソプロピル等のエステル油セトステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール等の高級アルコールシリコン樹脂シリコン油ポリオキシエチレン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルポリオキシエチレン硬化ひまし油、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等の界面活性剤;ヒドロキシエチルセルロースポリアクリル酸カルボキシビニルポリマーポリエチレングリコールポリビニルピロリドン、及びメチルセルロース等の水溶性高分子;エタノール、及びイソプロパノール等の低級アルコールグリセリンプロピレングリコールジプロピレングリコールソルビトール、及びポリエチレングリコール等の多価アルコールポリオール);グルコース、及びショ糖等の糖;無水ケイ酸ケイ酸アルミニウムマグネシウム、及びケイ酸アルミニウム等の無機粉体塩化ナトリウムリン酸ナトリウム等の無機塩精製水等が挙げられ、いずれもその塩またはその水和物であってもよい。
賦形剤としては、例えば、乳糖果糖コーンスターチ白糖ブドウ糖マンニトールソルビット結晶セルロース、及び二酸化ケイ素等が、結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコールポリビニルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロースアラビアゴムトラガントゼラチンシェラックヒドロキシプロピルメチルセルロースヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレングリコール・ポリオキシエチレン・ブロックポリマー、及びメグルミン等が、崩壊剤としては、例えば、澱粉寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム炭酸水素ナトリウムクエン酸カルシウムデキストリンペクチン、及びカルボキシメチルセルロースカルシウム等が、滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウムタルク、ポリエチレングリコール、シリカ、及び硬化植物油等が、着色剤としては医薬品に添加することが許可されているものが、矯味矯臭剤としては、例えば、ココア末ハッカ脳芳香散、ハッカ油竜脳、及び桂皮末等が、それぞれ好ましく挙げられ、いずれもその塩又はそれらの水和物であってもよい。
本発明の治療剤及び医薬組成物の投与量は、一般には、製剤中の有効成分(ダサチニブ等)の配合割合を考慮した上で、投与対象(患者)の年齢、体重、病気の種類・進行状況や、投与経路、投与回数(/1日)、投与期間等を案し、適宜、広範囲に設定することができる。
本発明の治療剤及び医薬組成物を、非経口剤又は経口剤として用いる場合について、以下に具体的に説明する。
非経口剤として用いる場合、一般にその形態は限定されないが、各種注射剤の場合は、例えば、単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態や、使用時に溶解液再溶解させる凍結乾燥粉末の状態で提供され得る。当該非経口剤には、有効成分となるダサチニブ等のほかに、各種形態に応じ、公知の各種賦形材添加剤を上記有効成分の効果が損なわれない範囲で含有することができる。例えば、各種注射剤の場合は、水、グリセロール、プロピレングリコールや、ポリエチレングリコール等の脂肪族ポリアルコール等が挙げられる。
非経口剤の投与量(1日あたり)は、限定はされないが、例えば各種注射剤であれば、一般には、有効成分となるダサチニブ等を、適用対象被験者、患者等)の体重1kgあたり、0.01〜1000mg、0.05〜500mg、又は0.1〜50mg服用できる量とすることができ、あるいは0.5〜20mg服用できる量や1〜10mg服用できる量とすることもできる。
経口剤として用いる場合、一般にその形態は限定されず、前述した剤形のいずれであってもよいし、使用する際に再溶解させる乾燥生成物にしてもよい。当該経口剤には、有効成分となるダサチニブ等のほかに、各種形態に応じ、公知の各種賦形材や添加剤を上記有効成分の効果が損なわれない範囲で含有することができる。例えば、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、ポリビニルピロリドン等)、充填材(乳糖、糖、コーンスターチ、馬鈴薯でんぷんリン酸カルシウム、ソルビトール、グリシン等)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(各種でんぷん等)、および湿潤剤ラウリル硫酸ナトリウム等)等が挙げられる。
経口剤の投与量(1日あたり)は、一般には、有効成分となるダサチニブ等を、適用対象(被験者、患者等)の体重1kgあたり、0.05〜5000mg、0.1〜1000mg、又は0.1〜100mg服用できる量とすることができ、あるいは0.5〜50mg服用できる量や1〜10mg服用できる量とすることもできる。また、経口剤中の有効成分の配合割合は、限定はされず、1日あたりの投与回数等を考慮して、適宜設定することができる。
3.キット
VAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化で同定される腫瘍の治療を行うに当たっては、ダサチニブ等を含むキット(具体例として、前述した本発明の治療剤や医薬組成物を含むキット)を用いることができる。
当該キットにおけるダサチニブ等の形態は、限定はされないが、安定性(保存性)及び使用容易性等を考慮し、例えば溶解した状態で備えられていてもよい。
当該キットは、ダサチニブ等以外にも、適宜、他の構成要素を含むことができる。
当該キットは、構成要素として少なくとも前述したダサチニブ等を備えているものであればよい。従って、前記腫瘍の治療に必須となる構成要素の全てを、当該ダサチニブ等と共に備えているものであってもよいし、別々に備えているものであってもよく、限定はされない。
4.患者における薬剤有効性の検査方法
本発明においては、ダサチニブ、若しくはそのプロドラッグ、又はそれらの薬理学的に許容し得る塩、あるいはそれらの水和物若しくは溶媒和物(ダサチニブ等)の、投与対象とする患者における有効性を検査する方法(以下、「本発明の検査方法」ということがある。)が提供される。当該方法は、詳しくは、ダサチニブ等の投与が有効な患者を決定(又は判定)する検査方法である。
なお、本発明は、投与対象とする患者においてダサチニブ等の投与が有効であるかどうか(投与の有効性)を決定する又は判定する方法も提供される。
上記各方法は、医師の判断や診断を必要とするものではなく、個々の患者についてダサチニブ等の投与効果(腫瘍に対する治療効果)があるかどうかを、後述する(i)〜(iii)の手法により、投与前事前に検査・決定(又は判定)する方法である。
上記各方法において、有効性とは、限定はされないが、腫瘍の治療における有効性が挙げられる。
本発明の検査方法としては、例えば、(i)上記患者から採取した検体中のVAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質(例えば、VAV1、VAV2、VAV3)のリン酸化の程度を指標とすることを特徴とする方法、(ii)当該検体中のRHOA遺伝子における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無を指標とすることを特徴とする方法、並びに、(iii)当該検体中のVAVファミリーに属する癌原遺伝子(例えば、VAV1遺伝子、VAV2遺伝子、VAV3遺伝子)における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無を指標とすることを特徴とする方法が好ましく挙げられる。
上記(i)〜(iii)の方法において、患者から採取した検体としては、限定はされないが、リンパ節や節外病変などの腫瘍組織血清血漿血球胸水腹水髄液等が好ましく挙げられる。
上記(i)の方法の場合、検査の指標となるVAVファミリーに属する癌原遺伝子タンパク質のリン酸化(チロシンリン酸化)の程度は、例えば、免疫組織学的染色法ウエスタンブロット法等の方法で測定又は決定することができる。当該リン酸化の程度が一定割合以上の細胞(例えば、細胞数基準で10%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上)において陽性である場合は、検体を採取した投与対象となる患者は、ダサチニブ等の投与が有効な患者であると決定することができる。より詳しくは、当該決定は、ウェスタンブロット法でリン酸化VAV1/VAV2/VAV3が検出できる場合や、免疫染色法で正常リンパ節よりも強くVAV1/VAV2/VAV3が染色される細胞が見出される場合、あるいは正常リンパ節より高い割合で染色陽性細胞が見出される場合なども可能である。
上記(ii)の方法の場合、検査の指標となるRHOA遺伝子における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無は、例えば、遺伝子変異の場合は、例えば、ダイレクトシーケンス法、アレル特異的PCR法、次世代シーケンサーによるシーケンス、PNA−LNAPCRclamp、digital PCR法、WAVE法等の方法で検出することができ、融合遺伝子形成の場合は、例えば、Reverse transcription−polymerase chain reaction(RT−PCR)法、genomic PCR法、染色体分析法、fluorescence in situ hybridization(FISH)法、全RNAシークエンス法等の方法で検出することができる。
RHOA遺伝子における遺伝子変異としては、限定はされないが、例えば、下記表5に示されるものなどが挙げられる。



上記(iii)の方法の場合、VAVファミリーに属する癌原遺伝子(例えば、VAV1遺伝子、VAV2遺伝子、VAV3遺伝子)における遺伝子変異又は融合遺伝子形成の有無は、例えば、遺伝子変異の場合は、ダイレクトシーケンス法、次世代シーケンサーによるシーケンス、digital PCR法、WAVE法等の方法で検出することができ、融合遺伝子形成の場合は、例えば、例えば、Reverse transcription−polymerase chain reaction(RT−PCR)法、genomic PCR法、染色体分析法、fluorescence in situ hybridization(FISH)法、全RNAシークエンス法等の方法で検出することができる。
VAVファミリーに属する癌原遺伝子の遺伝子変異としては、限定はされないが、VAV1遺伝子では、例えば、下記表6に示すようなVAV1タンパク質のアミノ酸変異をもたらすVAV1遺伝子変異が挙げられる。



同様に、VAV2遺伝子では、例えば、下記表7に示すようなVAV2タンパク質のアミノ酸変異をもたらすVAV2遺伝子変異が挙げられる。



同様に、VAV3遺伝子では、例えば、下記表8に示すようなVAV3タンパク質のアミノ酸変異をもたらすVAV3遺伝子変異が挙げられる。



また、VAVファミリーに属する癌原遺伝子の融合遺伝子形成としては、限定はされないが、例えば、VAV1遺伝子では、VAV1−STAP2、VAV1−GSS等が挙げられる。
本発明の検査方法は、腫瘍の治療においてダサチニブ等の使用が効果的な結果をもたらす可能性が高い患者を、治療前に事前に選択・決定することができる。そのため、結果として、患者における治療上の負担(経済的・時間的・体力的な負担)をより低減することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.G17V RHOA変異体によるVAV1活性化を示すデータ(実施例1〜4)

0007

(1)レンチウイルスにより、TET−ONにより野生型RHOAcDNAあるいはコード領域の50番目のGがTに置換されたRHOAのコード領域(以下、G17V RHOA cDNAと称する。)を発現するJurkat細胞(T細胞白血病細胞株)を2×105/mL、15cm petri dish、3枚ずつ、RPMI(10%FCS,1%PS)に播種した。ドキシサイクリン最終濃度2μg/mLとなるにように加えた。翌日、細胞を一旦回収し、遠心後、6×105/mL、15cm petri dish、3枚ずつ、RPMI(無血清)へ播種した。4時間後細胞を回収、滅菌Phosphate buffered saline(PBS)により1回洗浄し、2×107/mlにして15mlチューブへ移動、37℃,5分インキュベートした。LEAFTMpurified anti−human CD3 Ab(BioLegend)、抗マウスIgG抗体Ab(各2μg/mlになるよう入れる)を加えた。37℃,5分あるいは30分インキュベートした。冷却したPBSを10ml加え、遠心、上清を除去した。Lysis buffer(事前にcOmpleteプロテアーゼインヒビターとPhosSTOP添加)を1000μl/tubeで加えた。on ice 20分でインキュベートした。遠心し、上清を回収した。Laemuli’s bufferおよびDTTを添加した。95℃で5分インキュベートした。
(2)免疫沈降
残りの上清を500μL×2本とり、抗体flagM2抗体、コントロールとして抗HA抗体(5μg)を加え、4℃で2時間ローテートした。proteinGをタッピングし、50μLを別のチューブに移した。1%tritonTBSで2回洗浄した。
10000rpm,4℃,10秒遠心、上清を捨てた(×2回)。洗浄した50%proteinG50μLずつを上清に加え、4℃で1時間ローテートした。1700rpm,4℃,2分遠心し、上清は捨てた。ペレットに1% TritonTBS 500μLを加え、4℃で5分ローテート、1700rpm,4℃,2分遠心し、上清を捨てる、これを計3回繰り返した。1xFlag peptide(500μg/mlにTBSにて希釈)を50μL加え、室温10分ローテート、1700rpm,4℃,2分遠心した。上清を回収し、Laemulis bufferおよびDTTを添加し、95℃で5分インキュベートした。
(3)上記(1)、(2)のそれぞれの実施後、アクリルアミドゲル電気泳動後、Immobilon P(Promega)にブロットし、一次抗体として、抗VAV1抗体(Abcam又はCell signaling)、抗VAV1 Y174抗体、抗PLC−gamma1抗体(Cell signaling)、抗phospho PLC−gamma1抗体(Cell signaling)および二次抗体としてHRP標識抗ウサギIgG抗体(Dako)、あるいは一次抗体として抗flag M2抗体(Sigma)、二次抗体としてHRP標識抗マウスIgG抗体(Dako)により染色し、Immobilonウェスタン化学発光HRP基質(Millipore)を用いて発色させ撮影した。以上の結果を、図1、2に示した。

0008

レンチウイルスにより、TET−ONにより野生型RHOAあるいはG17V RHOAcDNAを発現するSU9T01細胞(成人T細胞白血病/リンパ腫細胞株)を2×105/mL、15cm petri dish、3枚ずつ、RPMI(10%FCS,1%PS)に播種した。ドキシサイクリンを最終濃度2μg/mLとなるにように加えた。翌日、細胞を回収後、PBSで1回洗浄した。ペレットにLysis bufferを1000μl/tube加えた。以後は、実施例1におけるJurkat細胞と同様に実験を行った。その結果を図3、4に示した。

0009

96well平底plateへ滅菌Phosphate buffered saline(PBS)によりLEAFTM purified anti−human CD3 Ab(BioLegend)を10μg/mlに調整し、50uL/wellずつ分注、4℃で一晩インキュベートした。抗体液を除去後、滅菌PBSで3回洗浄した。
5×104/wellで24well plateにJukat細胞を播種した。翌日、X−tremeGENE HP DNA transfection reagentを用いて、NFAT応答配列ホタルルシフェラーゼをコードするcDNAが挿入されたpGL4.30ベクター(Promega)、レニラルシフェラーゼをコードするcDNAが挿入されたphRLベクター(Promega)、野生型あるいはG17V RHOAcDNAが挿入されたpEFベクターを一過性トランスフェクションした。トランスフェクションから24時間後、培養していた細胞懸濁液を150μl/wellで分注した。
7時間後に培養細胞液をチューブに回収し、さらに培養plateにPBS 200μl/wellで分注しピペッティングしチューブへ移すことを繰り返し、細胞を完全に回収した。PBSで1回洗浄した。
Dual Luciferase Reporter Assay(Promega)のプロトコールに沿って、ホタルルシフェラーゼ活性、レニラルシフェラーゼ活性をそれぞれ測定し、ホタルルシフェラーゼの値をレニラスリフェラーゼにより割ることでトランスフェクション効率補正した。具体的には、細胞にPassive Lysis Buffer(PLB)を100μl/tube加え、−80℃で凍結することにより細胞を溶解した。遠心後、上清を回収した。96well plateに100μl/wellでLARIIを分注した。20μlの細胞溶解液加えた。ルミノメーターに設置し、Stop & Glo(登録商標)Reagentを各100μL添加し、ルミノメーターで再び測定した。その結果を、図5に示した。

0010

DynabeadsT−activator CD3/CD28(Veritas)にバッファー(PBSに0.1%BSA+2mMEDTAを添加,pH7.4)を加え、マグネットラックに静置し上清を除去した。
レンチウイルスにより、TET−ONにより野生型あるいはG17V RHOAcDNAを発現するJurkat細胞を2×105/mL、15cm petri dish、3枚ずつ、RPMI(10%FCS,1%PS)に播種した。ドキシサイクリンを最終濃度2μg/mLとなるにように加えた。翌日、細胞を回収し、24well plateに細胞を播種した。上記で洗浄したDynabeads T−activator CD3/CD28(Veritas)を加えた。3時間後および6時間後に細胞を回収した。PBSで1回洗浄後、RNeasy Mini Kit(Qiagen)でRNAを抽出した。SuperscriptIII(Thermo Fisher Scientific)によりcDNAを合成した。Taqman Gene Exprsesion Assays(Thermo Fisher Scientific)のプライマープローブを用いて、IL−2mRNAを測定した。TaqMan(登録商標)Ribosomal RNA Control Reagents(Thermo Fisher Scientific)を用いてrRNAを測定し、これで補正した。その結果を、図6に示した。
2.G17V RHOA変異体によるVAV1活性化および下流シグナルのダサチニブによりキャンセルされることを示すデータ(実施例5、6)

0011

レンチウイルスにより、TET−ONにより野生型RHOAあるいはG17V RHOAcDNAを発現するJurkat細胞を2×105/mL、15cm petri dish、3枚ずつ、RPMI(10%FCS,1%PS)に播種した。ドキシサイクリンを最終濃度2μg/mLとなるにように加えた。翌日、細胞を一旦回収し、遠心後、6×105/mL、15cm petri dish、3枚ずつ、RPMI(無血清)へ播種する。3.5時間後、ダサチニブを終濃度0〜10nMで添加した。30分後に細胞を回収した。以後は、実施例1と同様に実験を行った。その結果を、図7に示した。

0012

レンチウイルスにより、TET−ONにより野生型RHOAあるいはG17V RHOAcDNAを発現するJurkat細胞を2×105/mL、15cm petri dish、3枚ずつ、RPMT(10%FCS,1%PS)に播種した。ドキシサイクリンを最終濃度2μg/mLとなるにように加えた。翌日、細胞を回収し、24well plateに細胞を播種した。ダサチニブを終濃度0〜10nMで添加した。実施例4と同様に洗浄したDynabeadsT−activator CD3/CD28(Veritas)を加えた。3時間後に細胞を回収した。PBSで1回洗浄後、RNeasy Mini Kit(Qiagen)でRNAを抽出した。SuperscriptIII(Thermo Fisher Scientific)によりcDNAを合成した。Taqman Gene Exprsesion Assays(Thermo Fisher Scientific)のプライマー/プローブを用いて、IL−2mRNAを測定した。TaqMan(登録商標)Ribosomal RNA Control Reagents(Thermo Fisher Scientific)を用いてrRNAを測定し、これで補正した。その結果を、図8に示した。
3.ゲノム解析によるVAV1遺伝子変異の発見(実施例7〜11)

0013

VAV1遺伝子のエクソンを含む領域について、AmliSeqシステム(Thermo Fisher Scientific)を用いることにより、あるいはKODPlus neo(TOYOBO)を用いてゲノムPCR法により増幅後、PCRアンプリコンについてIon Plus Fragment Library kit(Thermo Fisher Scientific)を用いることにより、ライブラリを作製した。Ion TorrentPGM(Thermo Fisher Scientific)を用いて、標準的な300塩基対用のプロトコールを用いてシーケンシングを行った後、Variant callerで変異候補を解析し、これについてダイレクトシーケンス法で結果の確認を行った。その結果を、図9に示した。

0014

レンチウイルスにより、TET−ONにより野生型VAV1あるいはVAV−STAP2cDNAを発現するJurkat細胞を2×105/mL、15cm petri dish、3枚ずつ、RPMT(10%FCS,1%PS)に播種した。ドキシサイクリンを最終濃度2μg/mLとなるにように加えた。以後は、実施例1などを参照し、野生型あるいはG17V RHOAcDNAを発現するJurkat細胞と同様に実験した。その結果を、図10、11に示した。

0015

Jukat細胞にX−tremeGENE HP DNA transfection reagentを用いて、NFAT応答配列とホタルルシフェラーゼをコードするcDNAが挿入されたpGL4.30ベクター(Promega)、レニラルシフェラーゼをコードするcDNAが挿入されたphRLベクター(Promega)、野生型あるいは変異型VAV cDNAが挿入されたpEFベクターをトランスフェクションした。以後は、実施例3等を参照し、野生型あるいはG17V RHOAcDNAの場合と同様にLEAFTM purified anti−human CD3 Ab(BioLegend)刺激し、ホタルルシフェラーゼおよびレニラルシフェラーゼ活性をそれぞれ測定した。その結果を、図12に示した。

0016

24well平底plateへPBSによりLEAFTM purified anti−human CD3 Ab(BioLegend)を10μg/mlに調整し、200μL/wellずつ分注、4℃で一晩インキュベートした。抗体液を除去後、滅菌PBSで3回洗浄した。
レンチウイルスにより、TET−ONにより野生型VAV1あるいは各種変異型VAVcDNAを発現するJurkat細胞を播種した。3時間および6時間後に細胞を回収し、以後は、実施例4などを参照し、野生型あるいはG17V RHOAの場合と同様に実験した。その結果を、図13に示した。

0017

レンチウイルスにより、TET−ONにより野生型VAV1あるいはVAV−STAP2cDNAを発現するJurkat細胞を5×104/wellで24well plateに500μl/wellで細胞を播いた。Doxycycline 2μg/mlを添加し24時間後に細胞を回収し、上記実施例3と同様にLEAFTM purified anti−human CD3 Ab(BioLegend)をコートした96well plateに細胞懸濁液を5×104/50μl/wellで分注した。刺激後0h,8h,24h後に培養上清を回収した。BD cytometric beadsarrayを用いて、IL−2を測定した。その結果を、図14に示した。
4.ダサチニブによるVAV1変異活性化阻害(実施例12、13)

0018

レンチウイルスにより、TET−ONにより野生型VAV1あるいはVAV1−STPA2GcDNAを発現するJurkat細胞を2×105/mL、15cm petri dish、3枚ずつ、RPMI(10%FCS,1%PS)に播種した。ドキシサイクリンを最終濃度2μg/mLとなるにように加えた。翌日、細胞を一旦回収し、遠心後、6×105/mL、15cm petri dish、3枚ずつ、RPMI(無血清)へ播種した。3.5時間後、ダサチニブを終濃度0〜10nMで添加した。30分後に細胞を回収した。以後は、上記と同様に抗CD3抗体で刺激実験を行う。その結果を、図15に示した。

0019

96well平底plateへPBSによりLEAFTM purified anti−human CD3 Ab(BioLegend)を10μg/mlに調整し、50μL/wellずつ分注、4℃で一晩インキュベートした。抗体液を除去後、滅菌PBSで3回洗浄した。
5×104/wellで24well plateにJukat細胞を播種した。翌日、X−tremeGENE HP DNA transfection reagentを用いて、NFAT応答配列とホタルルシフェラーゼをコードするcDNAが挿入されたpGL4.30ベクター(Promega)、レニラルシフェラーゼをコードするcDNAが挿入されたphRLベクター(Promega)、野生型あるいはG17V RHOAcDNAが挿入されたpEFベクターを一過性にトランスフェクションした。トランスフェクションから24時間後、ダサチニブを終濃度0〜10nMで添加する。30分後に細胞を回収し、以後は、上記実施例3等を参照して、LEAFTM purified anti−human CD3 Ab(BioLegend)で刺激し、ホタルルシフェラーゼ、レニラルシフェラーゼ活性を測定した。その結果を、図16に示した。
5.治療モデルマウスへのダサチニブの投与による腫瘍抑制効果(実施例14)

実施例

0020

(1)モデルマウスの作製
血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(angioimmunoblastic T−cell lymphoma,AITL)は、80%以上でTET2遺伝子の機能欠失型変異が認められ、同時に、全体の約70%でG17V型RHOA遺伝子変異が認められる。この疾患の動物モデルを作製するため、以下の遺伝子改変マウスを作製した。
マウスは受精卵の段階で、以下のように遺伝子改変を行った。
i)Tet2遺伝子内lox配列が挿入されており、Creレコンビナーゼが働くとTet2遺伝子が破壊されるようにデザインされている。
ii)Mxプロモーター下流にCreレコンビナーゼをつないだDNA配列(Cre発現カセット)が導入されている。インターフェロンに反応する細胞では、インターフェロン刺激によってMxプロモーターが活性化され、Creレコンビナーゼが発現する。このため、インターフェロン産生誘導するpoly−inosilic:poly−cytidilic acid(pIpC)を投与すると、インターフェロンに反応する細胞(造血幹細胞もこれに含まれる)ではCreレコンビナーゼが発現する。i)とii)は、すなわち、pIpC投与によって、造血幹細胞でTet2遺伝子が破壊され、不活化されるようにデザインされていることを意味している。
iii)上記i)とii)とは独立に、CD2プロモーター下にG17V変異型ヒトRHOAのcDNAをつないだDNA配列(発現カセット)が導入されている。CD2プロモーターはT細胞で特異的に活性化されるため、T細胞でのみG17V変異RHOAタンパク質が発現する。
このようにして作製したマウスに、生後週齢から20mg/kgのpIpCを4回、隔日で腹腔内投与したところ、約40週齢から50週齢頃にかけて、多くのマウスで多発リンパ節腫脹脾腫が観察され、45週齢以降死亡した。詳細な解析のため、35週齢以降で脾腫が観察されたり衰弱したりした場合に、犠牲死させて解析を進めた。腫大リンパ節や脾臓組織学的観察では、腫瘍細胞と思われるT細胞が10〜30%浸潤していたほか、リンパ球やその他の多彩炎症細胞浸潤がみられ、腫瘍と炎症との区別が困難な病理像を示していた。腫瘍性に増殖しているT細胞は、細胞表面抗原発現パターンから、濾胞性ヘルパーT細胞の特徴をもっていた。腫大リンパ節からDNAを調整しT細胞受容体の再構成を解析したところ、単クローンまたはオリゴクローンであり、T細胞の腫瘍性増殖と考えて矛盾しない結果であった。また、一部のマウスでは、肝臓などにも腫瘤を形成しており、組織学的にリンパ球様細胞の腫瘍性浸潤が確認された。
AITL患者では、腫瘍細胞は濾胞性ヘルパーT細胞の特徴をもつことが知られている。また、腫瘍組織における腫瘍細胞比率が低く、細胞の大多数は多彩な炎症細胞であることが多い。病理学的に腫瘍と診断できず、炎症と診断されることがしばしば経験される。したがって、本実施例のマウスで生じた疾患は、AITL患者の特徴を有している。(本マウスモデルは、AITLの完全なモデルとは言えないが、今回のような特徴を示す腫瘍がマウスでモデル化されたとする報告はなく、今回のモデルがもっともAITL患者に類似していることは疑いない。)
(2)移植モデル
AITLモデルが樹立されたと認められるが、pIpC投与から腫瘍形成が確認されるまでの潜伏期間が長い。このため、この遺伝子改変マウスは、治療実験に用いるには向いていない。このため、移植モデルの確立を検討した。腫大したリンパ節から全細胞を調整して浮遊させ、多数のヌードマウスの腹腔内に移植したところ、約1ヶ月でほぼ全てのホストマウスでリンパ節腫大が認められた。その組織学的検討では、概ねドナーとしたマウスの腫大リンパ節と同様で、また細胞学的検討でも濾胞性ヘルパーT細胞の特徴をもつT細胞の増加が確認された。なお、腫瘍組織に浸潤している炎症細胞は、ドナーマウス由来の細胞と、ホストマウス由来の細胞とが混在していた。
一方、ドナーマウスの腫大リンパ節細胞から、濾胞性ヘルパーT細胞の特徴をもつ細胞(CD4陽性ICOS陽性細胞)だけを分取してヌードマウスに移植しても、リンパ腫は発症しなかった(*)。
(3)治療モデル
ドナーマウス腫大リンパ節由来の2×107個の全細胞をヌードマウスの腹腔内に播種し、2週間後(超音波検査で一部のマウスでリンパ節腫大が確認)から5mg/kgのダサチニブをpropylene glycol:distill waterを1:1に調整した溶解液に溶解して連日14日間経口投与した(ダサチニブ群:図17中の「Dasatinib」)。コントロールとして、まったく同様の条件のヌードマウスに、同じ容量の溶解液(propylene glycol:distill water=1:1)のみを同じ日程で投与した(コントロール群:図17中の「Vehicle」)。これら投与実験の結果を図17に示した。コントロール群では、20日で77.8%(14/18)のマウスでリンパ腫が進行(体重減少・衰弱)したが、ダサチニブ群では150日間の観察期間中進行したのは33.3%(6/18)で、有意にダサチニブ群で進行が抑制され、生存延長していた。
なお、ドナーマウス腫大リンパ節由来の2×107個の全細胞をヌードマウスの腹腔内に播種し、2週間後に上記の要領で1日3回、2日間ダサチニブまたはコントロール溶解液を投与し、翌日ヌードマウスを犠牲死させて、腫大していたリンパ節から薄切標本を作製し、抗リン酸化VAV1抗体で染色した。その結果、コントロール溶解液を投与した群のマウスの腫大リンパ節ではリン酸化VAV1が染色されたが、ダサチニブを投与した群のマウスの腫大リンパ節ではリン酸化VAV1が染色されなかった(この結果は、ダサチニブの腫瘍抑制効果が、VAV1リン酸化抑制を介するという仮説を支持するものである)。
(4)微小環境細胞の発症への関与
上記(2)の*印をつけた記載のとおり、ドナーマウスの腫大リンパ節細胞から、濾胞性ヘルパーT細胞の特徴をもつ細胞(CD4陽性ICOS陽性細胞)だけを分取してヌードマウスに移植しても、リンパ腫は発症しなかったことが認められたが、このことは、AITLの発症にドナー由来の微小環境細胞が関与していることを示唆している。
上記(1)のモデルマウスの作製と並行して、そのモデルマウスとは下記ii)の部分だけが異なるマウスも作製した。すなわち、
i)Tet2遺伝子内にlox配列が挿入されており、Creレコンビナーゼが働くとTet2遺伝子が破壊されるようにデザインされている(上記(1)のモデルマウスと全く同じ)。
ii)CD4プロモーター下流にCreレコンビナーゼをつないだDNA配列(Cre発現カセット)が導入されている。用いたCD4プロモーターは、主にT細胞で活性化され、下流の遺伝子発現を誘導することが知られている。i)とii)はすなわち、T細胞でTet2遺伝子が破壊され、不活化されるようにデザインされていることを意味している。
iii)上記i)とii)とは独立に、CD2プロモーター下にG17V変異型ヒトRHOAのcDNAをつないだDNA配列(発現カセット)が導入されている。CD2プロモーターはT細胞で特異的に活性化されるため、T細胞でのみG17V変異RHOAタンパク質が発現する(上記(1)のモデルマウスと全く同じ)。
このマウスでは、80週齢までの間、リンパ節腫大は全く観察されなかった。この結果は、上記(2)の*印をつけた記載と合わせて勘案すると、Tet2の不活化がT細胞以外の炎症細胞で生じることが必要であり、これらTet2不活化炎症細胞が組織中で腫瘍化に寄与していることを強く示唆していると考えられた。
配列表

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