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技術 ステルスダイシング用粘着シート

出願人 リンテック株式会社
発明者 山下茂之
出願日 2017年10月18日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-548617
公開日 2019年9月19日 (6ヶ月経過) 公開番号 WO2018-083987
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 周縁部方向 落とし速度 硬質支持体 接着剤残渣 積層回路 工程材料 レーザ光照射後 多官能性アクリル酸エステル
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課題・解決手段

基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えたステルスダイシング用粘着シートであって、前記基材が、23℃における引張弾性率が50MPa以上、450MPa以下であり、前記粘着剤層が、アクリル酸n−ブチルアクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびアルキル基炭素数が2以下の(メタアクリル酸アルキルエステル構成モノマーとして含むアクリル系共重合体を含むエネルギー線硬化性粘着剤から構成されているステルスダイシング用粘着シート。かかるステルスダイシング用粘着シートは、耐溶剤性およびヒートシリンク性に優れる。

概要

背景

電子回路大容量化、高機能化に対応して、複数の半導体チップ立体的に積層した積層回路の開発が進んでいる。このような積層回路においては、従来は半導体チップの導電接続ワイヤボンディングにより行うことが一般的であったが、近年の小型化・高機能化の必要性により、ワイヤボンディングをすることなく、半導体チップに回路形成面から裏面に貫通する電極(TSV)を設けて、直接上下のチップ間を導電接続する方法が効果的な手法として開発されている。貫通電極チップの製造方法としては、例えば、半導体ウエハの所定の位置にプラズマ等により貫通孔を設け、この貫通孔に銅等の導電体流し込んだ後、エッチング等を施して半導体ウエハの表面に回路と貫通電極とを設ける方法等が挙げられる。この際、ウエハは加熱されることになる。

このような極薄ウエハや、TSVウエハは、極めて割れやすいため、裏面研削バックグラインド)工程や、その後の加工工程や移送工程で破損することがある。このため、これらの工程中、ウエハはガラスなどの硬質支持体上に接着剤を介して保持される。この接着剤としては、アクリル系、エポキシ系、無機系などの汎用の接着剤が使用される場合があった。また、加工工程中にウエハが高温に曝される場合には、ウエハと硬質支持体とは、耐熱性の高い接着剤、たとえばポリイミド系の接着剤により接合されている。

ウエハの裏面研削および加工の終了後、ウエハは硬質支持体から、ダイシングシート上に転着され、ダイシングシートの周縁部をリングフレームにより固定した後、ウエハを回路毎に切断してチップ化し、その後ダイシングシートからチップがピックアップされる。ウエハを硬質支持体からダイシングシートに転着する際には、ウエハが固定された硬質支持体のウエハ側の面をダイシングシート上に貼着し、硬質支持体をウエハから剥離して、ウエハをダイシングシートに転着する。硬質支持体を剥離する際には、加熱して接着剤を軟化させて硬質支持体をスライドさせる熱スライドや、レーザ光照射により接着剤を分解して硬質支持体の剥離を行う。しかし、硬質支持体を剥離した後のウエハ面には、接着剤やその分解物が残着することがあった。

残着した接着剤残渣洗浄除去するため、ダイシングシート上に固定されたウエハは有機溶剤により洗浄されることがある。この洗浄は、たとえばダイシングシートとウエハとの積層物を有機溶剤に浸漬したり、あるいはウエハよりやや大きな枠を、ウエハを囲繞するように配置し、枠内に有機溶剤を投入してウエハを洗浄している。また、ウエハを硬質支持体から剥離する際には、上記の方法の他にも、有機溶剤にウエハと硬質支持体を浸漬することも行われている。

上記洗浄の際には、有機溶剤によりダイシングシートの粘着剤層膨潤または溶解し、粘着力が失われ、ウエハやリングフレームがダイシングシートから脱落することがあった。また、有機溶剤によりダイシングシートの基材しわが発生し、TSVウエハのように厚さが薄いウエハに貼付している場合には、当該ウエハが割れてしまうという問題があった。

特許文献1には、洗浄液が接触した場合であっても、粘着剤が溶解して半導体素子汚染することがないことを課題の1つとして、基材樹脂フィルムと、シリコンアクリレートまたは含フッ素オリゴマーを所定の割合で含有する粘着剤層とを備えた半導体加工用粘着テープが開示されている。

また、特許文献2には、有機溶剤と接触しても、粘着剤層の粘着力を維持でき、また基材にしわが発生することがなく、チップのピックアップ性に優れる電子部品加工用粘着シートを提供することを課題とし、ポリブチレンテレフタレートを含む基材と、所定のエネルギー線硬化性重合体を含む粘着剤層とを備える電子部品加工用粘着シートが開示されている。

概要

基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えたステルスダイシング用粘着シートであって、前記基材が、23℃における引張弾性率が50MPa以上、450MPa以下であり、前記粘着剤層が、アクリル酸n−ブチルアクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびアルキル基炭素数が2以下の(メタアクリル酸アルキルエステル構成モノマーとして含むアクリル系共重合体を含むエネルギー線硬化性粘着剤から構成されているステルスダイシング用粘着シート。かかるステルスダイシング用粘着シートは、耐溶剤性およびヒートシリンク性に優れる。

目的

また、特許文献2には、有機溶剤と接触しても、粘着剤層の粘着力を維持でき、また基材にしわが発生することがなく、チップのピックアップ性に優れる電子部品加工用粘着シートを提供する

効果

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請求項1

基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えたステルスダイシング用粘着シートであって、前記基材が、23℃における引張弾性率が50MPa以上、450MPa以下であり、前記粘着剤層が、アクリル酸n−ブチルアクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびアルキル基炭素数が2以下の(メタアクリル酸アルキルエステル構成モノマーとして含むアクリル系共重合体を含むエネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることを特徴とするステルスダイシング用粘着シート。

請求項2

前記アクリル系共重合体の主鎖を構成する全モノマー中における、前記アクリル酸2−ヒドロキシエチルの含有量は、5質量%以上、40質量%以下であり、前記アクリル系共重合体の主鎖を構成する全モノマー中における、前記アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、5質量%以上、40質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のステルスダイシング用粘着シート。

請求項3

前記アクリル系共重合体の主鎖を構成する全モノマー中における、前記アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量の、前記アクリル酸n−ブチルの含有量に対する質量比が、0.08以上、1.0以下であり、前記アクリル系共重合体の主鎖を構成する全モノマー中における、前記アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量の、前記アクリル酸2−ヒドロキシエチルの含有量に対する質量比が、0.3以上、4.0以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のステルスダイシング用粘着シート。

請求項4

前記アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−50℃以上、0℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のステルスダイシング用粘着シート。

請求項5

前記アクリル系共重合体の溶解パラメータSP値)は、9.06以上、10以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のステルスダイシング用粘着シート。

請求項6

前記アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸メチルアクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のステルスダイシング用粘着シート。

請求項7

前記基材は、ランダムポリプロピレン低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレンLLDPE)およびエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体から選択される少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のステルスダイシング用粘着シート。

請求項8

貫通電極を有する半導体ウエハをワークとすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のステルスダイシング用粘着シート。

請求項9

前記ステルスダイシング用粘着シート上に積層されたワークを、溶剤を用いて洗浄する工程を備える半導体装置の製造方法に使用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のステルスダイシング用粘着シート。

請求項10

ワークが積層された前記ステルスダイシング用粘着シートにおける、前記ワークが積層されていない領域を、加熱により収縮する工程を備える半導体装置の製造方法に使用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のステルスダイシング用粘着シート。

技術分野

0001

本発明は、ステルスダイシング登録商標用粘着シートに関するものであり、好ましくは貫通電極を有する半導体ウエハをワークとするステルスダイシング用粘着シートに関するものである。

背景技術

0002

電子回路大容量化、高機能化に対応して、複数の半導体チップ立体的に積層した積層回路の開発が進んでいる。このような積層回路においては、従来は半導体チップの導電接続ワイヤボンディングにより行うことが一般的であったが、近年の小型化・高機能化の必要性により、ワイヤボンディングをすることなく、半導体チップに回路形成面から裏面に貫通する電極(TSV)を設けて、直接上下のチップ間を導電接続する方法が効果的な手法として開発されている。貫通電極付チップの製造方法としては、例えば、半導体ウエハの所定の位置にプラズマ等により貫通孔を設け、この貫通孔に銅等の導電体流し込んだ後、エッチング等を施して半導体ウエハの表面に回路と貫通電極とを設ける方法等が挙げられる。この際、ウエハは加熱されることになる。

0003

このような極薄ウエハや、TSVウエハは、極めて割れやすいため、裏面研削バックグラインド)工程や、その後の加工工程や移送工程で破損することがある。このため、これらの工程中、ウエハはガラスなどの硬質支持体上に接着剤を介して保持される。この接着剤としては、アクリル系、エポキシ系、無機系などの汎用の接着剤が使用される場合があった。また、加工工程中にウエハが高温に曝される場合には、ウエハと硬質支持体とは、耐熱性の高い接着剤、たとえばポリイミド系の接着剤により接合されている。

0004

ウエハの裏面研削および加工の終了後、ウエハは硬質支持体から、ダイシングシート上に転着され、ダイシングシートの周縁部をリングフレームにより固定した後、ウエハを回路毎に切断してチップ化し、その後ダイシングシートからチップがピックアップされる。ウエハを硬質支持体からダイシングシートに転着する際には、ウエハが固定された硬質支持体のウエハ側の面をダイシングシート上に貼着し、硬質支持体をウエハから剥離して、ウエハをダイシングシートに転着する。硬質支持体を剥離する際には、加熱して接着剤を軟化させて硬質支持体をスライドさせる熱スライドや、レーザ光照射により接着剤を分解して硬質支持体の剥離を行う。しかし、硬質支持体を剥離した後のウエハ面には、接着剤やその分解物が残着することがあった。

0005

残着した接着剤残渣洗浄除去するため、ダイシングシート上に固定されたウエハは有機溶剤により洗浄されることがある。この洗浄は、たとえばダイシングシートとウエハとの積層物を有機溶剤に浸漬したり、あるいはウエハよりやや大きな枠を、ウエハを囲繞するように配置し、枠内に有機溶剤を投入してウエハを洗浄している。また、ウエハを硬質支持体から剥離する際には、上記の方法の他にも、有機溶剤にウエハと硬質支持体を浸漬することも行われている。

0006

上記洗浄の際には、有機溶剤によりダイシングシートの粘着剤層膨潤または溶解し、粘着力が失われ、ウエハやリングフレームがダイシングシートから脱落することがあった。また、有機溶剤によりダイシングシートの基材しわが発生し、TSVウエハのように厚さが薄いウエハに貼付している場合には、当該ウエハが割れてしまうという問題があった。

0007

特許文献1には、洗浄液が接触した場合であっても、粘着剤が溶解して半導体素子汚染することがないことを課題の1つとして、基材樹脂フィルムと、シリコンアクリレートまたは含フッ素オリゴマーを所定の割合で含有する粘着剤層とを備えた半導体加工用粘着テープが開示されている。

0008

また、特許文献2には、有機溶剤と接触しても、粘着剤層の粘着力を維持でき、また基材にしわが発生することがなく、チップのピックアップ性に優れる電子部品加工用粘着シートを提供することを課題とし、ポリブチレンテレフタレートを含む基材と、所定のエネルギー線硬化性重合体を含む粘着剤層とを備える電子部品加工用粘着シートが開示されている。

先行技術

0009

特許第5607847号
特開2015−72997号公報

発明が解決しようとする課題

0010

上述したダイシングによって得られた半導体チップをピックアップする場合には、当該半導体チップが貼付された粘着シートエキスパンドすることが行われる。これにより、半導体チップ同士が離間し、半導体チップをピックアップすることが容易となる。このようなエキスパンドは、粘着シートにおける半導体チップが貼付された領域を、その半導体チップが貼付された面とは反対の面からステージ支え、当該ステージの高さに対して、粘着シートの周縁部に貼付されたリングフレームの高さを相対的に下げることで行われる。

0011

また、上記エキスパンドを行う際には、エキスパンドした状態を維持したままダイシングシートを吸着テーブル吸着した後、ダイシングシートにおけるリングフレームが貼付された領域と半導体チップが貼付された領域との間の領域を加熱して収縮させる処理(ヒートシリンク)が行われることもある。当該収縮に起因して、ダイシングシートでは、半導体チップが貼付された領域を周縁部方向に引き伸ばす力が生じ、その結果、吸着テーブルによる吸着からダイシングシートを解放した後においても、半導体チップ同士が離間した状態を維持することができる。

0012

ところで、ダイシングの方法には、ダイシングブレードを用いたダイシング方法や、レーザ光照射によって改質部を形成し、エキスパンド時に当該改質部で分割することを含むダイシング方法(ステルスダイシング)等が存在する。このうち、ダイシングブレードを用いる方法では、半導体ウエハにおけるダイシングブレードが接触する部分が切削されため、得られる半導体チップ同士は、エキスパンドを行わない状態においても、その切削された幅の分だけ離間することとなる。一方、ステルスダイシングでは、レーザ光の照射により半導体ウエハ内に改質部を形成し、当該改質部において半導体ウエハを分割することで、複数の半導体チップを得る。そのため、半導体ウエハにおいて上述したような切削される部分が生じることはなく、得られる半導体チップ同士は、エキスパンドを行わない状態において殆ど接触するものとなる。

0013

したがって、前述したヒートシュリンクを行う場合、ダイシングブレードを用いるダイシングよりも、ステルスダイシングを行う場合の方が、半導体チップ同士を広く離間した状態で維持することが困難となり、ピックアップ不良といった問題が生じ易くなる。

0014

そのため、前述した有機溶剤による洗浄に使用されるとともに、ステルスダイシングにも使用される粘着シートでは、耐溶剤性を有するとともに、ヒートシュリンクによって粘着シートが良好に収縮し、半導体チップ同士を良好に離間した状態で維持できる(以下「ヒートシュリンク性に優れる」という場合がある。)ことが特に求められる。

0015

しかしながら、特許文献1に開示される半導体加工用粘着テープでは、粘着剤層は所定の耐溶剤性を発揮するものの、基材としては十分な耐溶剤性を発揮できない材料が使用されており、そのため、洗浄工程の際に基材が溶剤に接触した場合には、半導体加工用粘着テープにしわが発生し、半導体ウエハが割れてしまうという問題があった。

0016

また、特許文献2に開示される電子部品加工用粘着シートでは、基材として、加熱による収縮が生じ難いポリブチレンテレフタレートフィルムが使用されているため、ヒートシュリンクによって、半導体チップ間を良好に離間した状態に維持することが困難であった。

0017

本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、耐溶剤性およびヒートシュリンク性に優れるステルスダイシング用粘着シートを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備えたステルスダイシング用粘着シートであって、前記基材が、23℃における引張弾性率が50MPa以上、450MPa以下であり、前記粘着剤層が、アクリル酸n−ブチルアクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびアルキル基炭素数が2以下の(メタアクリル酸アルキルエステル構成モノマーとして含むアクリル系共重合体を含むエネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることを特徴とするステルスダイシング用粘着シートを提供する(発明1)。

0019

上記発明(発明1)に係るステルスダイシング用粘着シートは、基材の23℃における引張弾性率が上記範囲であることによりヒートシュリンク性に優れる。また、粘着剤層が上述したエネルギー線硬化性粘着剤から構成されることで優れた耐溶剤性を発揮する。このような粘着剤層が基材の片面側に積層されていることにより、ステルスダイシング用粘着シートにおける粘着剤層側の面に対して溶剤が接触した場合であっても、粘着剤層によって基材と溶剤との接触が遮断され、基材におけるしわの発生およびそれに起因するワークの割れの発生が抑制される。

0020

上記発明(発明1)において、前記アクリル系共重合体の主鎖を構成する全モノマー中における、前記アクリル酸2−ヒドロキシエチルの含有量は、5質量%以上、40質量%以下であり、前記アクリル系共重合体の主鎖を構成する全モノマー中における、前記アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、5質量%以上、40質量%以下であることが好ましい(発明2)。

0021

上記発明(発明1,2)において、前記アクリル系共重合体の主鎖を構成する全モノマー中における、前記アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量の、前記アクリル酸n−ブチルの含有量に対する質量比が、0.08以上、1.0以下であり、前記アクリル系共重合体の主鎖を構成する全モノマー中における、前記アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量の、前記アクリル酸2−ヒドロキシエチルの含有量に対する質量比が、0.3以上、4.0以下であることが好ましい(発明3)。

0022

上記発明(発明1〜3)において、前記アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、−50℃以上、0℃以下であることが好ましい(発明4)。

0023

上記発明(発明1〜4)において、前記アクリル系共重合体の溶解パラメータSP値)は、9.06以上、10以下であることが好ましい(発明5)。

0024

上記発明(発明1〜5)において、前記アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸メチルアクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルであることが好ましい(発明6)。

0025

上記発明(発明1〜6)において、前記基材は、ランダムポリプロピレン低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレンLLDPE)およびエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体から選択される少なくとも一種からなることが好ましい(発明7)。

0026

上記発明(発明1〜7)においては、貫通電極を有する半導体ウエハをワークとすることが好ましい(発明8)。

0027

上記発明(発明1〜8)においては、前記ステルスダイシング用粘着シート上に積層されたワークを、溶剤を用いて洗浄する工程を備える半導体装置の製造方法に使用されることが好ましい(発明9)。

0028

上記発明(発明1〜9)においては、ワークが積層された前記ステルスダイシング用粘着シートにおける、前記ワークが積層されていない領域を、加熱により収縮する工程を備える半導体装置の製造方法に使用されることが好ましい(発明10)。

発明の効果

0029

本発明に係るステルスダイシング用粘着シートは、耐溶剤性およびヒートシュリンク性に優れる。

0030

以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、基材と、基材における片面側に積層された粘着剤層とを備える。

0031

本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートでは、基材の23℃における引張弾性率が、50MPa以上、450MPa以下である。当該基材は、加熱された際に良好に収縮するため、当該基材を備えるステルスダイシング用粘着シートは、ヒートシュリンク性に優れたものとなる。

0032

また、本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートでは、粘着剤層が、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびアルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを構成モノマーとして含むアクリル系共重合体を含むエネルギー線硬化性粘着剤から構成されている。当該粘着剤は優れた耐溶剤性を示すため、粘着剤層が有機溶剤に接触した際に、粘着剤層中の成分が有機溶剤に溶出してワークを汚染することが抑制されるとともに、ワークに対するステルスダイシング用粘着シートの粘着力が低下することが抑制される。

0033

さらに、上記のような耐溶剤性を有する粘着剤層が基材の片面側に積層されていることにより、ステルスダイシング用粘着シートにおける粘着剤層の側に有機溶剤が接触した際に、粘着剤層によって、有機溶剤が基材に接触することが遮断される。これにより、有機溶剤との接触による基材におけるしわの発生が防止され、その結果、ステルスダイシング用粘着シート上に貼付されたワークが割れることが抑制される。

0034

なお、本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートが使用されるワークとしては、例えば、半導体ウエハ、半導体パッケージ等の半導体部材ガラス板等のガラス部材等が挙げられる。上記半導体ウエハは、貫通電極を有する半導体ウエハ(TSVウエハ)であってもよい。本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、前述の通り、有機溶剤との接触に起因したしわの発生が抑制されるため、ワークの厚さが薄い場合であっても、当該ワークの割れの発生が抑制される。このためステルスダイシング用粘着シートが使用されるワークとしては、一般的に非常に薄い厚さを有する、貫通電極を有する半導体ウエハが好適である。

0035

1.ステルスダイシング用粘着シートの構成部材
(1)基材
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートでは、基材の23℃における引張弾性率が、450MPa以下であり、400MPa以下であることが好ましく、特に300MPa以下であることが好ましい。また、当該引張弾性率は、50MPa以上であり、70MPa以上であることが好ましく、特に100MPa以上であることが好ましい。当該引張弾性率が450MPaを超える場合、基材を加熱しても十分に伸縮することができず、そのため、ヒートシュリンク後、吸着ステージによる吸着からステルスダイシング用粘着シートから解放した際に、半導体チップやガラスチップ間を十分に離間した状態で維持することができない。一方、当該引張弾性率が50MPa未満である場合、基材が十分な弾性を有することができず、ステルスダイシング用粘着シートの加工性ハンドリング性が低下する。なお、上記引張弾性率の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載の通りである。

0036

基材の材料としては、上記引張弾性率を発揮するとともに、ステルスダイシング用粘着シートの使用工程における所望の機能を発揮し、好ましくは、粘着剤層の硬化のために照射されるエネルギー線に対して良好な透過性を発揮するものである限り、特に限定されない。例えば、基材は、樹脂系の材料を主材とする樹脂フィルムであることが好ましく、その具体例としては、ポリエチレンフィルムポリプロピレンフィルムポリブテンフィルムポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン−ノルボルネン共重合体フィルムノルボルネン樹脂フィルム等のポリオレフィン系フィルム;エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体フィルム、その他のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のエチレン系重合フィルム;エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム;ポリウレタンフィルムポリスチレンフィルムフッ素樹脂フィルムなどが挙げられる。ポリオレフィン系フィルムにおいて、ポリオレフィンブロックコポリマーまたはランダムコポリマーであってもよい。ポリエチレンフィルムの例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム等が挙げられる。また、これらの架橋フィルムアイオノマーフィルムといった変性フィルムも用いられる。また、基材は、上述したフィルムが複数積層されてなる積層フィルムであってもよい。この積層フィルムにおいて、各層を構成する材料は同種であってもよく、異種であってもよい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。

0037

基材としては、上記フィルムの中でも、上述した引張弾性率を発揮し易いという観点から、低密度ポリエチレン(LDPE)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、ランダムコポリマーのポリプロピレン(ランダムポリプロピレン)フィルムまたはエチレン−メタクリル酸共重合体フィルムを使用することが好ましい。

0038

基材は、難燃剤可塑剤帯電防止剤滑剤酸化防止剤着色剤赤外線吸収剤イオン捕捉剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤の含有量としては、特に限定されないものの、基材が所望の機能を発揮する範囲とすることが好ましい。

0039

基材の粘着剤層が積層される面には、粘着剤層との密着性を高めるために、プライマー処理コロナ処理プラズマ処理等の表面処理が施されてもよい。

0040

基材の厚さは、450μm以下であることが好ましく、特に400μm以下であることが好ましく、さらには350μm以下であることが好ましい。また、当該厚さは、20μm以上であることが好ましく、特に25μm以上であることが好ましく、さらには50μm以上であることが好ましい。基材の厚さが450μm以下であることで、基材がヒートシュリンクし易いものとなり、半導体チップやガラスチップ間を良好に離間して維持することが可能となる。また、基材の厚さが20μm以上であることで、基材が良好な弾性を有するものとなり、ステルスダイシング用粘着シートがワークを効果的に支持することが可能となる。

0041

(2)粘着剤層
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートにおいて、粘着剤層は、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびアルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを構成モノマーとして含むアクリル系共重合体(以下「アクリル系共重合体(a1)」という場合がある。)を含むエネルギー線硬化性粘着剤から構成されている。粘着剤層が上述した粘着剤から構成されていることにより、優れた耐溶剤性を発揮するものとなる。

0042

アクリル系共重合体(a1)に構成モノマーとして含まれる、アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例は、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびアクリル酸エチルが挙げられ、これらの中でも、優れた耐溶剤性を発揮する観点から、アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルであることが好ましい。

0043

アクリル系共重合体(a1)は、構成モノマーとして、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、およびアルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外のモノマーを含んでもよい。

0044

例えば、アクリル系共重合体(a1)は、構成モノマーとして、アクリル酸2−ヒドロキシエチルを除く官能基含有モノマーをさらに含んでもよい。このような官能基含有モノマーは、重合性二重結合と、ヒドロキシ基カルボキシ基アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであることが好ましい。

0045

分子内にヒドロキシ基を含有するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。

0046

分子内にカルボキシ基を含有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸マレイン酸イタコン酸シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0047

分子内にアミノ基を含有するモノマーまたは置換アミノ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルアミノエチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0048

また、アクリル系共重合体(a1)は、構成モノマーとして、アクリル酸n−ブチルを除く、アルキル基の炭素数が3〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)を含んでもよい。

0049

上述したアルキル基の炭素数が3〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0050

脂環式構造含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0051

また、アクリル系共重合体(a1)は、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、および必要に応じてその他のモノマーから構成される主鎖に対して、側鎖として化合物が結合したものであってもよい。そのような化合物の例としては、後述する不飽和基含有化合物(a2)が挙げられる。

0052

アクリル系共重合体(a1)の主鎖を構成する全モノマー中におけるアクリル酸n−ブチルの含有量は、20質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、85質量%以下であることが好ましい。アクリル酸n−ブチルが、アクリル系共重合体(a1)の主鎖を中に構成モノマーとして上記範囲で含まれることで、粘着剤層が優れた耐溶剤性を発揮し易いものとなる。

0053

アクリル系共重合体(a1)の主鎖を構成する全モノマー中におけるアクリル酸2−ヒドロキシエチルの含有量は、5質量%以上であることが好ましく、特に10質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、40質量%以下であることが好ましく、特に30質量%以下であることが好ましい。アクリル酸2−ヒドロキシエチルが、アクリル系共重合体(a1)の主鎖を中に構成モノマーとして上記範囲で含まれることで、粘着剤層が優れた耐溶剤性を発揮し易いものとなる。

0054

アクリル系共重合体(a1)の主鎖を構成する全モノマー中における、アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、5質量%以上であることが好ましく、特に10質量%以上であることが好ましい。また、当該含有量は、40質量%以下であることが好ましく、特に30質量%以下であることが好ましい。アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、アクリル系共重合体(a1)の主鎖を中に構成モノマーとして上記範囲で含まれることで、粘着剤層が優れた耐溶剤性を発揮し易いものとなる。

0055

また、アクリル系共重合体(a1)の主鎖を構成する全モノマー中における、アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量の、アクリル酸n−ブチルの含有量に対する質量比は、0.08以上であることが好ましく、特に0.1以上であることが好ましい。また、当該質量比は、1.0以下であることが好ましく、特に0.9以下であることが好ましい。当該質量比が上記範囲であることで、粘着剤層が優れた耐溶剤性を発揮し易いものとなる。

0056

さらに、アクリル系共重合体(a1)の主鎖を構成する全モノマー中における、アルキル基の炭素数が2以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量の、アクリル酸2−ヒドロキシエチルの含有量に対する質量比は、0.3以上であることが好ましく、特に0.4以上であることが好ましい。また、当該質量比は、4.0以下であることが好ましく、特に3.5以下であることが好ましい。当該質量比が上記範囲であることで、粘着剤層が優れた耐溶剤性を発揮し易いものとなる。

0057

本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートでは、アクリル系共重合体(a1)のガラス転移温度(Tg)が、−50℃以上であることが好ましく、特に−48℃以上であることが好ましい。また、上記ガラス転移温度(Tg)は、0℃以下であることが好ましく、特に−8℃以下であることが好ましい。当該ガラス転移温度(Tg)が上記範囲であることで、粘着剤層が優れた耐溶剤性を発揮し易いものとなる。なお、上記ガラス転移温度(Tg)の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載の通りである。

0058

本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートでは、アクリル系共重合体(a1)の溶解パラメータ(SP値)が、9.06以上であることが好ましい。また、上記溶解パラメータ(SP値)は、10以下であることが好ましい。当該溶解パラメータ(SP値)が上記範囲であることで、粘着剤層が優れた耐溶剤性を発揮し易いものとなる。

0059

本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートでは、粘着剤層が、上述したアクリル系共重合体(a1)を含むエネルギー線硬化性粘着剤から構成されている。粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤から構成されていることにより、エネルギー線を照射することで粘着剤層を硬化させることができ、ステルスダイシング用粘着シートのワークに対する粘着力を低下させることができる。これにより、ステルスダイシングにより得られた半導体チップを、ステルスダイシング用粘着シートから容易にピックアップすることが可能となる。

0060

粘着剤層を構成するエネルギー線硬化性粘着剤は、エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とするものであってもよいし、非エネルギー線硬化性ポリマー(エネルギー線硬化性を有しないポリマー)と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とするものであってもよい。また、エネルギー線硬化性を有するポリマーと非エネルギー線硬化性ポリマーとの混合物であってもよいし、エネルギー線硬化性を有するポリマーと少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物であってもよいし、それら3種の混合物であってもよい。ここで、前述したアクリル系共重合体(a1)は、エネルギー線硬化性粘着剤中に、エネルギー線硬化性を有するポリマーとして含まれていてもよく、エネルギー線硬化性を有しないポリマーとして含まれていてもよい。

0061

最初に、エネルギー線硬化性粘着剤が、エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合について、以下説明する。

0062

エネルギー線硬化性を有するポリマーは、前述したアクリル系共重合体(a1)の側鎖にエネルギー線硬化性を有する官能基(エネルギー線硬化性基)が導入されてなる(共)重合体(A)(以下「エネルギー線硬化型重合体(A)」という場合がある。)であることが好ましい。このエネルギー線硬化型重合体(A)は、前述したアクリル系共重合体(a1)と、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基(例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチルに由来するヒドロキシ基)に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させて得られるものであることが好ましい。

0063

上記アクリル系共重合体(a1)を、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)と反応させることにより、エネルギー線硬化型重合体(A)が得られる。

0064

不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基は、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。アクリル系共重合体(a1)は、アクリル酸2−ヒドロキシエチルに由来するヒドロキシ基を有し、当該ヒドロキシ基を、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基との反応のために使用する場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはイソシアネート基またはエポキシ基が好ましい。また、アクリル系共重合体(a1)がアミノ基または置換アミノ基を官能基として有し、これらを不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基との反応のために使用する場合にも、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてイソシアネート基またはエポキシ基が好ましい。また、アクリル系共重合体(a1)がエポキシ基を官能基として有し、これを不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基との反応のために使用する場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはアミノ基、カルボキシ基またはアジリジニル基が好ましい。

0065

また上記不飽和基含有化合物(a2)には、エネルギー線重合性の炭素炭素二重結合が、1分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜6個、さらに好ましくは1〜4個含まれている。このような不飽和基含有化合物(a2)の具体例としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートメタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチルエチルイソシアネートジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等が挙げられる。

0066

上記不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基を含有するモノマーのモル数に対して、好ましくは50モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上の割合で用いられる。また、上記不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基を含有するモノマーのモル数に対して、好ましくは95モル%以下、特に好ましくは93モル%以下、さらに好ましくは90モル%以下の割合で用いられる。

0067

アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応においては、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基と不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(a1)中に存在する官能基と、不飽和基含有化合物(a2)中の官能基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、エネルギー線硬化型重合体(A)が得られる。

0068

このようにして得られるエネルギー線硬化型重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、1万以上であるのが好ましく、特に15万以上であるのが好ましく、さらには20万以上であるのが好ましい。また、当該重量平均分子量(Mw)は、150万以下であるのが好ましく、特に100万以下であるのが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。

0069

エネルギー線硬化性粘着剤が、エネルギー線硬化型重合体(A)といったエネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合であっても、エネルギー線硬化性粘着剤は、エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)をさらに含有してもよい。

0070

エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を使用することができる。

0071

かかるエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能性アクリル酸エステル類トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の多官能性アクリル酸エステル類、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート等が挙げられる。

0072

エネルギー線硬化型重合体(A)に対し、エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合、エネルギー線硬化性粘着剤中におけるエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の含有量は、エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部に対して、0質量部超であることが好ましく、特に60質量部以上であることが好ましい。また、当該含有量は、エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部に対して、250質量部以下であることが好ましく、特に200質量部以下であることが好ましい。

0073

ここで、エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させるためのエネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤(C)を添加することが好ましく、この光重合開始剤(C)の使用により、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。

0074

光重合開始剤(C)としては、具体的には、ベンゾフェノンアセトフェノンベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイドテトラメチルチウラムモノサルファイドアゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジルジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−プロペニルフェニルプロパノン}、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。

0075

光重合開始剤(C)は、エネルギー線硬化型共重合体(A)(エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、エネルギー線硬化型共重合体(A)およびエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して0.1質量部以上、特に0.5質量部以上の量で用いられることが好ましい。また、光重合開始剤(C)は、エネルギー線硬化型共重合体(A)(エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、エネルギー線硬化型共重合体(A)およびエネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して10質量部以下、特に6質量部以下の量で用いられることが好ましい。

0076

エネルギー線硬化性粘着剤においては、上記成分以外にも、適宜他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、非エネルギー線硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分(D)、架橋剤(E)等が挙げられる。

0077

非エネルギー線硬化性ポリマー成分またはオリゴマー成分(D)としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられ、重量平均分子量(Mw)が3000〜250万のポリマーまたはオリゴマーが好ましい。当該成分(D)をエネルギー線硬化性粘着剤に配合することにより、硬化前における粘着性および剥離性、硬化後の強度、他の層との接着性、保存安定性などを改善し得る。当該成分(D)の配合量は特に限定されず、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して0質量部超、50質量部以下の範囲で適宜決定される。

0078

架橋剤(E)としては、エネルギー線硬化型共重合体(A)等が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート化合物エポキシ化合物アミン化合物メラミン化合物アジリジン化合物ヒドラジン化合物アルデヒド化合物オキサゾリン化合物金属アルコキシド化合物金属キレート化合物金属塩アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。

0079

架橋剤(E)の配合量は、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.03質量部以上であることが好ましく、さらには0.04質量部以上であることが好ましい。また、架橋剤(E)の配合量は、エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して、8質量部以下であることが好ましく、特に5質量部以下であることが好ましく、さらには3.5質量部以下であることが好ましい。

0080

次に、エネルギー線硬化性粘着剤が、非エネルギー線硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とする場合について、以下説明する。

0081

非エネルギー線硬化性ポリマー成分としては、前述したアクリル系共重合体(a1)が使用される。

0082

アクリル系共重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は、10万以上であるのが好ましく、特に20万以上であるのが好ましい。また、当該重量平均分子量(Mw)は、130万以下であるのが好ましく、特に100万以下であるのが好ましい。

0083

少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、前述の成分(B)と同じものが選択できる。非エネルギー線硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの配合比は、非エネルギー線硬化性ポリマー成分100質量部に対して、少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー1質量部以上であるのが好ましく、特に60質量部以上であるのが好ましい。また、当該配合比は、非エネルギー線硬化性ポリマー成分100質量部に対して、少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー200質量部以下であるのが好ましく、特に160質量部以下であるのが好ましい。

0084

この場合においても、上記と同様に、光重合開始剤(C)や架橋剤(E)を適宜配合することができる。

0085

粘着剤層の厚さは、1μm以上であることが好ましく、特に2μm以上であることが好ましく、さらには3μm以上であることが好ましい。また、当該厚さは、50μm以下であることが好ましく、特に30μm以下であることが好ましく、さらには20μm以下であることが好ましい。粘着剤層の厚さが1μm以上であることで、粘着剤層によって有機溶剤が基材に接触することを良好に遮断することが可能となり、基材のしわの発生を効果的に抑制することができる。また、粘着剤層の厚さが50μm以下であることで、ステルスダイシング用粘着シートの粘着力が過度に高くなることが抑制され、ピックアップ不良の発生等を効果的に抑制することができる。

0086

(3)剥離シート
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートでは、粘着剤層における粘着面をワークに貼付するまでの間、当該面を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されていてもよい。剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルム剥離剤等により剥離処理したものが例示される。プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。剥離剤としては、シリコーン系フッ素系、長鎖アルキル系等を用いることができ、これらの中で、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。剥離シートの厚さについては特に制限はないが、通常20μm以上、250μm以下である。

0087

2.ステルスダイシング用粘着シートの製造方法
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、基材が前述した引張弾性率を達成するとともに、粘着剤層が前述したエネルギー線硬化性粘着剤から構成される限り、その製造方法は限定されない。

0088

例えば、剥離シート上において形成した粘着剤層を、基材の片面側に転写することで、ステルスダイシング用粘着シートを得ることができる。この場合、粘着剤層を構成する粘着性組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗工液を調製し、剥離シートの剥離処理された面(以下「剥離面」という場合がある。)上に、ダイコーターカーテンコータースプレーコータースリットコーターナイフコーター等によりその塗工液を塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成することができる。塗工液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘着剤層を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。この積層体における剥離シートは工程材料として剥離してもよいし、ステルスダイシング用粘着シートをワークに貼付するまでの間、粘着剤層の粘着面を保護するために用いてもよい。

0089

粘着剤層を形成するための塗工液が架橋剤を含有する場合には、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えることにより、または加熱処理別途設けることにより、塗膜内のエネルギー線硬化型重合体(A)または非エネルギー線硬化性ポリマー成分と架橋剤(E)との架橋反応を進行させ、粘着剤層内に所望の存在密度架橋構造を形成させればよい。この架橋反応を十分に進行させるために、上記の方法などによって基材に粘着剤層を積層させた後、得られたステルスダイシング用粘着シートを、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。

0090

上述のように剥離シート上で形成した粘着剤層を基材の片面側に転写する代わりに、基材上で直接粘着剤層を形成してもよい。この場合、前述した粘着剤層を形成するための塗工液を基材の片面側に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥させることにより、粘着剤層を形成する。

0091

3.ステルスダイシング用粘着シートの使用方法
本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、ステルスダイシングに使用することができる。また、本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、ステルスダイシングの工程を備える半導体装置の製造方法に使用することができる。

0092

本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、前述の通り、ワークの割れの発生が抑制されるため、厚さが薄いワークに好適に使用することができる。例えば、本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、貫通電極を有する半導体ウエハ(TSV)に好適に使用することができる。

0093

以下に、ステルスダイシングの工程を備える半導体装置の製造方法の一例を説明する。最初に、硬質支持体に固定されたワーク(半導体ウエハ)の片面を切削する(バックグラインド)工程が行われる。半導体ウエハは、硬質支持体に対して、例えば接着剤により固定されている。硬質支持体としては、例えばガラス等が使用される。バックグラインドは、一般的な方法により行うことができる。

0094

続いて、バックグラインドが完了した半導体ウエハを、硬質支持体からステルスダイシング用粘着シートに転写する。このとき、半導体ウエハのバックグラインドした面に対して、ステルスダイシング用粘着シートの粘着剤層側の面を貼付した後、硬質支持体を半導体ウエハから分離する。硬質支持体の半導体ウエハから分離は、硬質支持体と半導体ウエハとの固定に使用していた接着剤の種類に応じた方法により行うことができ、例えば、加熱により接着剤を軟化させた上で、硬質支持体を半導体ウエハからスライドさせる方法、レーザ光照射により接着剤を分解する方法等が挙げられる。なお、半導体ウエハから硬質支持体が分離された後、リングフレームに対して、ステルスダイシング用粘着シートにおける周縁部を貼付する。

0095

続いて、ステルスダイシング用粘着シート上に積層された半導体ウエハを、溶剤を用いて洗浄する工程が行われる。これにより、半導体ウエハに残存する接着剤を除去することができる。当該洗浄は、一般的な方法にて行うことができ、例えば、ステルスダイシング用粘着シートと半導体ウエハとの積層体を溶剤中に浸漬する方法、半導体ウエハよりやや大きな枠を、ウエハを囲繞するようにステルスダイシング用粘着シート上に配置し、枠内に溶剤を投入する方法等が挙げられる。溶剤としては、有機溶剤等を使用することができ、特に、接着剤を効果的に除去する観点から、有機溶剤を使用することが好ましい。有機溶剤の種類としては、p−メンタン、d−リモネンメシチレン等を使用することが好ましい。

0096

本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートでは、粘着剤層が前述したエネルギー線硬化性粘着剤から構成されることで、粘着剤層が優れた耐溶剤性を発揮する。これにより、粘着剤層中の成分が有機溶剤に溶出し、それに起因して半導体ウエハを汚染することが抑制されるとともに、半導体ウエハに対するステルスダイシング用粘着シートの粘着力が低下することが抑制される。さらに、耐溶剤性に優れた粘着剤層が基材の片面側に積層されていることにより、ステルスダイシング用粘着シートにおける粘着剤層側の面に対して溶剤が接触した場合であっても、粘着剤層によって基材と溶剤との接触が遮断される。これにより、基材におけるしわの発生およびそれに起因する半導体ウエハ等の割れの発生が抑制される。

0097

続いて、必要に応じて、ステルスダイシング用粘着シート上に積層された半導体ウエハに対して、別の半導体ウエハを積層してもよい。このとき、半導体同士は、接着剤等を用いて固定することができ、例えば非導電性接着フィルム(Nonconductive film;NCF)により固定することできる。半導体ウエハの積層は、必要な積層数となるまで繰り返してもよい。このような半導体ウエハの積層は、特に、半導体ウエハとしてTSVウエハを使用し、積層回路を製造する際に好適に行われる。

0098

続いて、ステルスダイシング用粘着シート上において半導体ウエハまたは半導体ウエハの積層体(以下において「半導体ウエハ」という場合、特に言及しない限り、半導体ウエハまたは半導体ウエハの積層体をいうものとする。)のステルスダイシングが行われる。この工程では、半導体ウエハに対してレーザ光を照射して、半導体ウエハ内に改質部を形成する。レーザ光の照射は、ステルスダイシングにおいて一般的に使用される装置および条件を用いて行うことができる。

0099

続いて、半導体ウエハを、ステルスダイシングにより形成された改質部において分割し、複数の半導体チップを得る。当該分割は、例えば、ステルスダイシング用粘着シートと半導体ウエハとの積層物をエキスパンド装置に設置し、0℃〜室温環境下でエキスパンドすることで行うことができる。

0100

続いて、ステルスダイシング用粘着シートを再度エキスパンドする。当該エキスパンドは、得られた半導体チップ同士を離間させることを主な目的として行われる。さらに、エキスパンドした状態を維持したままステルスダイシング用粘着シートを吸着テーブルで吸着する。ここでのエキスパンドは、常温または加熱した状態で行うことができる。また、エキスパンドは、一般的な装置を用いて一般的な方法により行うことができ、また、使用される吸着テーブルも一般的なものを用いて行うことができる。

0101

続いて、ステルスダイシング用粘着シートを吸着テーブルで吸着したまま、得られた半導体チップが積層されたステルスダイシング用粘着シートにおける、半導体チップが積層されていない領域を、加熱により収縮(ヒートシュリンク)する。具体的には、ステルスダイシング用粘着シートにおける半導体チップが積層された領域と、ステルスダイシング用粘着シートにおけるリングフレームが貼付された領域との間における領域を加熱し、当該領域を収縮させる。このときの加熱条件としては、ステルスダイシング用粘着シートの温度を、90℃以上とすることが好ましい。また、ステルスダイシング用粘着シートの温度を、200℃以下とすることが好ましい。本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、基材の23℃における引張弾性率が前述した範囲であるため、ヒートシュリンク性に優れる。

0102

続いて、上述した吸着テーブルによる吸着からステルスダイシング用粘着シートを解放する。上記ヒートシュリンク工程において、ステルスダイシング用粘着シートにおける半導体チップが積層された領域と、ステルスダイシング用粘着シートにおけるリングフレームが貼付された領域との間における領域が収縮したことにより、ステルスダイシング用粘着シートでは、半導体チップが貼付された領域を周縁部方向に引き伸ばす力が生じている。その結果、吸着テーブルによる吸着から解放した後においても、半導体チップ同士が離間した状態を維持することができる。

0103

その後、個々の半導体チップを、隣接する半導体チップから離間した状態で、ステルスダイシング用粘着シートからピックアップする。このピックアップは、一般的な装置を使用して、一般的な方法にて行うことができる。上述したように、本実施形態に係るステルスダイシング用粘着シートは、優れたヒートシュリンク性を発揮する結果、半導体チップ同士を良好に離間した状態で維持することができ、それにより、ピックアップを良好に行うことができる。

0104

以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。

0105

例えば、基材と粘着剤層との間、または基材における粘着剤層とは反対側の面には、その他の層が設けられてもよい。

0106

以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。

0107

〔実施例1〕
(1)基材の作成
2種のポリプロピレンのランダムコポリマーを1:1で含有する樹脂組成物プライムポリマー社製,製品名「プライムTPO F−3740」50質量部とプライムポリマー社製,製品名「プライムTPO J−5710」50質量部との混合物)を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって押出成形し、厚さ70μmの基材を得た。

0108

(2)粘着剤組成物の調製
アクリル酸n−ブチル(BA)50質量部と、アクリル酸メチル(MA)20質量部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)30質量部とを反応させて得られたアクリル系共重合体(a1)と、当該アクリル系共重合体(a1)のHEAに対して80mol%のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、エネルギー線硬化型重合体(A)を得た。このエネルギー線硬化型重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は、50万であった。また、上記アクリル系共重合体(a1)の溶解パラメータ(SP値)を、当該アクリル系共重合体(a1)を構成する各モノマーのSP値から算出したところ、9.61であった。

0109

得られたエネルギー線硬化型重合体100質量部(固形分換算,以下同じ)と、光重合開始剤としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製,製品名「イルガキュア184」)1.0質量部と、架橋剤としてのトルエンジイソシアネート(東ソー社製,製品名「コロネートL」)1.0質量部とを溶媒中で混合し、粘着剤組成物を得た。

0110

(3)粘着剤層の形成
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面にシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離シート(リンテック社製,製品名「SP−PET381031」)の剥離面に対して、上記粘着剤組成物を塗布し、加熱により乾燥させることで、剥離シート上に、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。

0111

(4)ステルスダイシング用粘着シートの作製
上記工程(3)で形成した粘着剤層の剥離シートとは反対側の面と、上記工程(1)で作製した基材の片面とを貼り合わせることで、ステルスダイシング用粘着シートを得た。

0112

〔実施例2〜5〕
粘着剤組成物中の組成を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。

0113

〔実施例6〕
エチレン−メタクリル酸共重合体を含有する樹脂組成物(三井・デュポンポリケミカル社製,製品名「ニュクレルN0903HC」)を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって押出成形して得られた、厚さ70μmの基材を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。

0114

〔実施例7〕
低密度ポリエチレンを含有する樹脂組成物(住友化学社製,製品名「スミセンF−412−1」)を、小型Tダイ押出機(東洋精機製作所社製,製品名「ラボプラストミル」)によって押出成形して得られた、厚さ70μmの基材を使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。

0115

〔実施例8〕
粘着剤組成物中の組成を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。

0116

〔比較例1〕
粘着剤組成物中の組成を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。

0117

〔比較例2〕
粘着剤組成物中の組成を表1に示すように変更するとともに、基材として厚さ80μmのポリブチレンテレフタレートフィルムを使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。

0118

〔比較例3〕
粘着剤組成物中の組成を表1に示すように変更するとともに、基材として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する以外、実施例1と同様にしてステルスダイシング用粘着シートを製造した。

0119

ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定(GPC測定)した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。

0120

また、表1に示す構成成分の詳細は以下の通りである。
[粘着剤組成物の組成]
・BA:アクリル酸n−ブチル
・MA:アクリル酸メチル
・MMA:メタクリル酸メチル
・EA:アクリル酸エチル
・HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
[基材の材料]
・PP:ポリプロピレン
EMAA:エチレン−メタクリル酸共重合体
・PE:ポリエチレン
・PBT:ポリブチレンテレフタレート
・PET:ポリエチレンテレフタレート

0121

〔試験例1〕(ガラス転移温度の測定)
実施例および比較例にて製造したステルスダイシング用粘着シートの粘着剤層を構成する粘着剤のガラス転移温度Tgを、示差走査熱量測定装置ティーエイインスツルメントジャパン社製,製品名「DSCQ2000」)によって、昇温・降温速度20℃/分で測定した。結果を表1に示す。

0122

〔試験例2〕(基材の引張弾性率の測定)
実施例および比較例で作製した基材を15mm×140mmの試験片裁断し、JIS K7161:2014に準拠して、温度23℃および相対湿度50%における引張弾性率を測定した。具体的には、上記試験片を、引張試験機オリエンテック社製,製品名「テンシロンRTA−T−2M」)にて、チャック間距離100mmに設定した後、200mm/minの速度で引張試験を行い、引張弾性率(MPa)を測定した。なお、測定は、基材の成形時の押出方向(MD)およびこれに直角の方向(CD)の双方で行い、これらの測定結果平均値を引張弾性率破断伸度とした。結果を表1に示す。

0123

〔試験例3〕(耐溶剤性の評価)
実施例および比較例で作製したステルスダイシング用粘着シートから剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層の粘着面の周縁部を6インチのリングフレームに貼付し、評価サンプルとした。

0124

当該評価サンプルのリングフレーム側の面を上側に向け、粘着剤層の粘着面の中央部に対して、溶剤としてのp−メンタンを滴下した。当該滴下を、溶剤が、当該粘着面におけるリングフレームが貼付されていない領域全体に行き渡るまで行い、滴下完了後5分間放置した。

0125

その後、粘着面上から溶剤を除去し、溶剤を滴下する前後における粘着シートの外観の変化の有無を目視で確認し、耐溶剤性を評価した。そして、外観に変化がないものを「○」、しわが生じたり、白化が生じるといったような、外観の変化が生じたものを「×」と評価した。

0126

〔試験例4〕(ヒートシュリンク性の評価)
実施例および比較例で製造したステルスダイシング用粘着シートから剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層の粘着面に対して、貼付装置(リンテック社製,製品名「RAD−2700 F/12」)を用いて、シリコンウエハ外径:8インチ,厚さ:100μm,ドライポリッシュ仕上)およびリングフレーム(ステンレス製)に貼付した。

0127

次いで、ステルスダイシング用粘着シート上に貼付された上記シリコンウエハに対して、レーザーソー(ディスコ社製,製品名「DFL7361」)を用いて波長1342nmのレーザ光を照射し、得られるチップサイズが8mm×8mmとなるように、シリコンウエハ内に改質部を形成した。

0128

次いで、ステルスダイシング用粘着シートが貼付された、レーザ光照射後のシリコンウエハおよびリングフレームを、ダイセパレーター(ディスコ社製,製品名「DDS2300」)に設置し、0℃にて、引き落とし速度100mm/秒、エキスパンド量10mmでエキスパンド(クールエキスパンド)した。これにより、半導体ウエハは改質部において分割され、それぞれのチップサイズが8mm×8mmである複数の半導体チップが得られた。

0129

続いて、引き落とし速度1mm/秒、エキスパンド量7mmで、ステルスダイシング用粘着シートをエキスパンドした。さらに、エキスパンドした状態のまま、ステルスダイシング用粘着シートを吸着テーブルで吸着した後、ステルスダイシング用粘着シートにおける、半導体チップが貼付された領域とリングフレームが貼付された領域との間を加熱した。このときの加熱条件としては、IRヒータ設定温度を600℃、回転速度を1deg/sec、ステルスダイシング用粘着シートを支持する吸着テーブルとヒータとの距離を13mmと設定した。これにより、ステルスダイシング用粘着シートは、約180℃に加熱された。

0130

その後、吸着テーブルによる吸着からステルスダイシング用粘着シートを解放し、隣り合う半導体チップ間の距離を5点測定し、その平均値を算出した。そして、当該平均値が20μm以上である場合を「〇」、20μm未満である場合を「×」として、ヒートシュリンク性を評価した。結果を表1に示す。

0131

実施例

0132

表1から分かるように、実施例で得られたステルスダイシング用粘着シートは、耐溶剤性およびヒートシュリンク性に優れていた。

0133

本発明のステルスダイシング用粘着シートは、貫通電極を有する半導体ウエハをワークに好適に使用することができる。

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