図面 (/)

技術 懸濁重合用分散助剤及びそれを用いるビニル系重合体の製造方法

出願人 日本酢ビ・ポバール株式会社
発明者 大森健弘小塚佳明
出願日 2017年10月17日 (2年1ヶ月経過) 出願番号 2018-548608
公開日 2019年9月19日 (2ヶ月経過) 公開番号 WO2018-083968
状態 特許登録済
技術分野 重合方法(一般) 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード 残存エステル ブロックキャラクター メタノール含量 アセタール単位 スケール付着量 各原料化合物 脂肪族ビニルエステル 連鎖構造
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月19日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (1)

課題・解決手段

ビニル系化合物懸濁重合に有用な分散助剤を提供する。分散助剤を、下記一般式(1)で示される構成単位ポリビニルアルコールモノマーユニットあたり0.1〜10モル%含有し、鹸化度が15〜70モル%であるポリビニルアルコール系重合体(A)を含有するものとする。(但し、Rはアルキル基を表す。)

概要

背景

塩化ビニル系樹脂(又は、以下、塩化ビニル系重合体ということがある)は、一般に、塩化ビニルモノマーを、重合開始剤及び分散安定剤などと共に水性媒体中に分散させて重合を行う懸濁重合法により製造されている。
その際使用される分散剤としては、塩化ビニルモノマーの分散性を安定化して、製造される塩化ビニル系樹脂の粒径を調節するために添加されるいわゆる「分散安定剤(又は、以下、一次分散剤ということがある)」と、製造される塩化ビニル系樹脂中の空孔率ポロシティ)を上げるために添加されるいわゆる「分散助剤(又は、以下、二次分散剤ということがある)」とがある。

従来、一次分散剤としては、ポリビニルアルコールPVA)やヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などが使用されている。また、二次分散剤としては、前述した一次分散剤よりもケン化度が低いPVAが使用されている(特許文献1〜3参照)。
例えば、特許文献3に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法では、一次分散剤には、ケン化度が75〜85モル%のPVAを使用し、二次分散剤にはケン化度が20〜57モル%のPVAを使用している。

ケン化度が70モル%以下のPVAは、水との親和性が低いため、水溶液水性液として用いることが困難であるという欠点がある。そのため、溶液又は分散液として用いるためには、アルコール等の有機溶剤を使用する必要がある。近年、環境に対する配慮や作業性の向上の観点から、アルコール等の有機溶剤を使用しなくとも、水単独で溶解又は分散が可能な二次分散剤の開発が望まれていた。
特許文献4〜12のように、分子内にカルボン酸基スルホン酸基アミノ基などのイオン性官能基ポリオキシアルキレンなどのポリビニルアルコール以外の親水基を導入することにより、水への分散性や溶解性を向上させたPVAを分散助剤として使用して、塩化ビニル樹脂を製造する方法が提案されている。

概要

ビニル系化合物の懸濁重合に有用な分散助剤を提供する。分散助剤を、下記一般式(1)で示される構成単位をポリビニルアルコールのモノマーユニットあたり0.1〜10モル%含有し、鹸化度が15〜70モル%であるポリビニルアルコール系重合体(A)を含有するものとする。(但し、Rはアルキル基を表す。)

目的

近年、環境に対する配慮や作業性の向上の観点から、アルコール等の有機溶剤を使用しなくとも、水単独で溶解又は分散が可能な二次分散剤の開発が望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

下記一般式(1)で示される構成単位ポリビニルアルコールモノマーユニットあたり0.1〜10モル%含有し、鹸化度が15〜70モル%であるポリビニルアルコール系重合体(A)を含有する懸濁重合分散助剤。(但し、Rはアルキル基を表す)

請求項2

一般式(1)で示される構成単位中のRが炭素数3〜11のアルキル基である請求項1に記載の懸濁重合用分散助剤。

請求項3

ポリビニルアルコール系重合体(A)の平均重合度が120〜800である請求項1又は2に記載の懸濁重合用分散助剤。

請求項4

請求項1〜3のいずれかに記載の懸濁重合用分散助剤を含有する水性液

請求項5

ポリビニルアルコール系重合体(A)の鹸化度が50〜70モル%、平均重合度が120〜400、ブロックキャラクターが0.5以上である請求項4記載の水性液。

請求項6

ポリビニルアルコール系重合体(A)を30〜50質量%含有する請求項4又は5記載の水性液。

請求項7

請求項1〜3のいずれかに記載の懸濁重合用分散助剤の存在下で、ビニル系単量体を懸濁重合させるビニル系樹脂の製造方法。

請求項8

さらに、水溶性高分子の存在下で懸濁重合させる請求項7記載の製造方法。

請求項9

水溶性高分子が、鹸化度65〜90モル%のポリビニルアルコール系重合体である請求項8記載の製造方法。

請求項10

ビニル系単量体が塩化ビニルを含む請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法。

請求項11

水溶性高分子と、請求項1〜3のいずれかに記載のポリビニルアルコール系重合体(A)を含む組成物

請求項12

水溶性高分子が、鹸化度65〜90モル%のポリビニルアルコール系重合体を含有し、水溶性高分子とポリビニルアルコール系重合体(A)との質量比が、90/10〜30/70である、請求項11記載の組成物。

技術分野

0001

本発明は、ビニル系化合物懸濁重合分散助剤として好適に使用出来るポリビニルアルコール系重合体、前記ポリビニルアルコール系重合体を含有する水性液及び前記ポリビニルアルコール系重合体を分散助剤として使用して懸濁重合することにより得られる塩化ビニル系樹脂の製造方法に関する。

背景技術

0002

塩化ビニル系樹脂(又は、以下、塩化ビニル系重合体ということがある)は、一般に、塩化ビニルモノマーを、重合開始剤及び分散安定剤などと共に水性媒体中に分散させて重合を行う懸濁重合法により製造されている。
その際使用される分散剤としては、塩化ビニルモノマーの分散性を安定化して、製造される塩化ビニル系樹脂の粒径を調節するために添加されるいわゆる「分散安定剤(又は、以下、一次分散剤ということがある)」と、製造される塩化ビニル系樹脂中の空孔率ポロシティ)を上げるために添加されるいわゆる「分散助剤(又は、以下、二次分散剤ということがある)」とがある。

0003

従来、一次分散剤としては、ポリビニルアルコールPVA)やヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などが使用されている。また、二次分散剤としては、前述した一次分散剤よりもケン化度が低いPVAが使用されている(特許文献1〜3参照)。
例えば、特許文献3に記載の塩化ビニル系重合体の製造方法では、一次分散剤には、ケン化度が75〜85モル%のPVAを使用し、二次分散剤にはケン化度が20〜57モル%のPVAを使用している。

0004

ケン化度が70モル%以下のPVAは、水との親和性が低いため、水溶液や水性液として用いることが困難であるという欠点がある。そのため、溶液又は分散液として用いるためには、アルコール等の有機溶剤を使用する必要がある。近年、環境に対する配慮や作業性の向上の観点から、アルコール等の有機溶剤を使用しなくとも、水単独で溶解又は分散が可能な二次分散剤の開発が望まれていた。
特許文献4〜12のように、分子内にカルボン酸基スルホン酸基アミノ基などのイオン性官能基ポリオキシアルキレンなどのポリビニルアルコール以外の親水基を導入することにより、水への分散性や溶解性を向上させたPVAを分散助剤として使用して、塩化ビニル樹脂を製造する方法が提案されている。

先行技術

0005

特開平09−77807号公報
特開2002−37807号公報
特開2005−281680号公報
特開平04−154810号公報
特開平09−100301号公報
特開平09−183805号公報
特開平10−152508号公報
特開平10−168128号公報
特開平10−259213号公報
特開2002−69105号公報
特開2007−63369号公報
特開2013−203994号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、本発明者らの検討によれば、イオン性官能基やポリオキシアルキレン基を導入した二次分散剤では、水に対する溶解性や分散性は改善されているものの、二次分散剤としての本来の働きである空孔率の改善が不十分であったり、重合安定性が不良になったり、重合槽へのスケールの付着等が著しくなったりなどの懸念があった。

0007

また、イオン性官能基を導入して水溶性水分散性を改善した分散助剤は、10質量%以下のPVA含有量の水性液を得ることはできるが、20質量%以上のPVA含有量では分散助剤の凝集が起こるため、高含有量の水性液を得ることができないという問題があった。

0008

本発明は、ビニル系単量体の懸濁重合に用いた際に、1)懸濁重合が安定して実施でき、重合槽へのスケールの付着を少なくすることができる、2)樹脂中に残存するビニルモノマー除去性が優れる塩化ビニル系樹脂が得られる、及び/又は3)高い空孔率をもち、可塑剤吸収性が優れる塩化ビニル系樹脂が得られるなどの効果を奏する、ポリビニルアルコール系重合体を含有する懸濁重合用分散助剤を提供することを目的とする。
本発明は、高濃度においても安定な懸濁重合用分散助剤を含有する水溶液及び前記懸濁重合用分散助剤を使用するビニル系樹脂の製造方法を提供することを他の目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らはかかる事情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、一般式(1)で示される構成単位をポリビニルアルコールのモノマーユニットあたり0.1〜10モル%含有し、鹸化度が15〜70モル%であるポリビニルアルコール系重合体(A)を含有する懸濁重合用分散助剤を塩化ビニルの懸濁重合に用いると、安定的に重合が実施できるとともに、残存モノマーの除去性及び可塑剤吸収性に優れた塩化ビニル系樹脂が得られることを見出した。

0010

また、本発明者らは、一般式(1)で示される構成単位をポリビニルアルコールのモノマーユニットあたり0.1〜10モル%含有し、鹸化度が50〜70モル%、平均重合度が120〜400、ブロックキャラクターが0.5以上であるポリビニルアルコール系重合体(A)を含有する懸濁重合用分散助剤を含む水性液は、ポリビニルアルコール系重合体(A)を30〜50質量%含有する場合でも水性液として安定で、かつ取り扱いやすい粘度を有することを見出し、本発明者らはさらに研究を重ねて本発明を完成した。

0011

(但し、Rはアルキル基を表す。)

0012

即ち、本発明は、以下の懸濁重合用分散助剤等に関する。
[1]下記一般式(1)で示される構成単位をポリビニルアルコールのモノマーユニットあたり0.1〜10モル%含有し、鹸化度が15〜70モル%であるポリビニルアルコール系重合体(A)を含有する懸濁重合用分散助剤(懸濁重合用添加剤、懸濁重合用分散剤)。



(但し、Rはアルキル基を表す)
[2]一般式(1)で示される構成単位中のRが炭素数3〜11のアルキル基である[1]に記載の懸濁重合用分散助剤。
[3]ポリビニルアルコール系重合体(A)の平均重合度が120〜800である[1]又は[2]に記載の懸濁重合用分散助剤。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の懸濁重合用分散助剤を含有する水性液。
[5]ポリビニルアルコール系重合体(A)の鹸化度が50〜70モル%、平均重合度が120〜400、ブロックキャラクターが0.5以上である[4]記載の水性液。
[6]ポリビニルアルコール系重合体(A)を30〜50質量%含有する[4]又は[5]記載の水性液。
[7][1]〜[3]のいずれかに記載の懸濁重合用分散助剤の存在下で、ビニル系単量体を懸濁重合させるビニル系樹脂の製造方法。
[8]さらに、水溶性高分子の存在下で懸濁重合させる[7]記載の製造方法。
[9]水溶性高分子が、鹸化度65〜90モル%のポリビニルアルコール系重合体である[8]記載の製造方法。
[10]ビニル系単量体が塩化ビニルを含む[7]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]
水溶性高分子(又は分散安定剤)と、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリビニルアルコール系重合体(A)(又は懸濁重合用分散助剤)を含む組成物
[12]
水溶性高分子(又は分散安定剤)が、ポリビニルアルコール系重合体(例えば、ポリビニルアルコール系重合体(A)とは異なるポリビニルアルコール系重合体、特に、鹸化度65〜90モル%のポリビニルアルコール系重合体)を含有し、水溶性高分子とポリビニルアルコール系重合体(A)との質量比が、90/10〜30/70である、[11]記載の組成物。

発明の効果

0013

本発明の懸濁重合用分散助剤を用いれば、安定して懸濁重合が実施できるので、重合槽へのスケールの付着が少なく、粗大粒子が少ないビニル系樹脂(特に、塩化ビニル系樹脂)を得ることができる。

0014

本発明の懸濁重合用分散助剤によれば、残存するビニルモノマーの除去性に優れるビニル系樹脂(特に、塩化ビニル系樹脂)が得られ、省エネルギー生産性向上に寄与することができる。

0015

本発明では、高い空孔率をもち、可塑剤吸収性に優れており、そのため、成形加工性に優れたビニル系樹脂(特に、塩化ビニル系樹脂)を製造できる。

0016

本発明の懸濁重合用分散助剤は、高濃度においても安定な水性液として取り扱うことができるので、有機溶剤の使用による環境負荷を低減させることができる。

0017

以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。

0018

本発明の懸濁重合用分散助剤(分散剤)は、一般式(1)で示される構成単位を含有するポリビニルアルコール系重合体(A)(PVA系重合体(A))を含むことを特徴とする。本発明の懸濁重合用分散助剤は、PVA系重合体(A)を1種含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。

0019

[PVA系重合体(A)]
PVA系重合体(A)は、前記一般式(1)で示される構成単位を含有することを特徴とする。ここで、一般式(1)で示される構成単位中のRは、アルキル基(飽和脂肪族炭化水素基)であり、好ましくは炭素数1以上のアルキル基であり、好ましくは炭素数3〜11のアルキル基であり、より好ましくは炭素数4〜9のアルキル基である。
アルキル基の炭素数をこのようにすることで、PVA系重合体(A)を含有する分散助剤を懸濁重合に用いた際、残存モノマーの除去性や可塑剤吸収性に優れたビニル系樹脂が得られやすくなると共に、PVA系重合体(A)の親水性を確保しやすくなるため、懸濁重合の際、水性媒体への分散性を確保しやすくなる。

0020

アルキル基としては、特に限定されないが、例えば、鎖状アルキル基(例えば、メチル基エチル基プロピル基ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基、ノニル基、デシル基ウンデシル基)、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらのアルキル基は、分岐構造環状構造を含んでもよい。
また、アルキル基は置換基を有していてもよい。置換基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基芳香族基ハロゲン基カルボキシル基エーテル基エステル基アルコキシ基ニトロ基、アミノ基などが挙げられる。これらの置換基は、単独で又は2種以上組み合わせてアルキル基に置換されていてもよい。

0021

PVA系重合体(A)中のポリビニルアルコールのモノマーユニットあたりの一般式(1)で示される構成単位の含有量は、例えば、0.1〜10モル%であり、好ましくは0.2〜5モル%、より好ましくは0.3〜3モル%であってもよい。
なお、1モル%の含有量とは、モノマーユニット(例えば、ビニルアルコール単位)100個あたり、一般式(1)で示される構成単位を1個有する場合をいう。
含有量が所定量以上(例えば、0.1モル%以上)であれば、懸濁重合に用いた際、残存モノマーの除去性や可塑剤吸収性が優れるビニル系樹脂が得られるため好ましい。また、含有量が所定量以下(例えば、10モル%以下)であれば、PVA系重合体(A)の疎水性が高くなりすぎず、懸濁重合の際、水性媒体への分散性を維持できるため好ましい。

0022

本発明において、一般式(1)で示される構成単位の含有量を測定する方法は、特に限定されないが、例えば、PVA系重合体(A)をd6−DMO溶媒に溶解させ、これを1H−NMRにより測定し、アルキル基(例えば、末端のメチル基)に由来するシグナル解析する方法等が挙げられる。

0023

一般式(1)で示される構成単位を得る方法は、特に限定されないが、例えば、後述のように、PVA系重合体(B)を、Rに対応する化合物によりアセタール化して得ることが好ましい。

0024

Rに対応する化合物としては、アルデヒドやそのアセタールなどが挙げられる。アルデヒド(脂肪族アルデヒド)の炭素数は、2以上であってもよく、好ましくは3以上でありさらに好ましくは4〜12、特に5〜10であってもよい。アルデヒドの炭素数をこのようにすることで、PVA系重合体(A)を含有する分散助剤を懸濁重合に用いた際、残存モノマーの除去性や可塑剤吸収性に優れたビニル系樹脂が得られやすくなると共に、PVA系重合体(A)の親水性を確保しやすくなるため、懸濁重合の際、水性媒体への分散性を確保しやすくなる。
具体的なアルデヒドとしては、特に限定されないが、置換基を有していてもよいアルカナール鎖状又は環状アルカナール)、例えば、アセトアルデヒドプロピオンアルデヒドブタナールペンタナールヘキサナールヘプタナールオクタナールノナナールデカナールウンデカナールドデカナール2−メチルブタナール、2−エチルブタナール、2−メチルペンタナール、2−エチルヘキサナール、シクロペンタンカルボキシアルデヒド(シクロペンタンカルボアルデヒド)、シクロヘキサンカルボキシアルデヒドシクロヘキサンカルボアルデヒド)、3−フェニルプロピオンアルデヒド、6−クロロヘキサナール、10−ウンデカナール等が挙げられる。

0025

本発明では、アルデヒドとアルコールとの縮合物であるアセタールも使用することができる。アセタールとしては、特に限定されないが、例えば、第1級アルコール(例えば、メタノールなど)との縮合物などが挙げられる。

0026

アルデヒド及びそのアセタールは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。

0027

尚、グリオキサールグルタルアルデヒド等の多価アルデヒドは、アセタール化して得られるPVA系重合体(A)が不溶化する恐れがあるため好ましくない。

0028

また、PVA系重合体(A)は、一般式(1)で示される構成単位(a)の範疇に属さない構成単位(b)(アセタール単位)を有してもよい。構成単位(b)の導入方法は、特に限定されないが、例えば、PVA系重合体(B)を脂肪族アルデヒド以外のアルデヒドによりアセタール化する方法が挙げられる。

0029

脂肪族アルデヒド以外のアルデヒドとしては、例えば、ベンズアルデヒド、2−ナフトアルデヒドテレフタルアルデヒド酸等の芳香族アルデヒドアクロレインメタクロレインクロトンアルデヒドシンナムアルデヒド等のアルケナール等が挙げられる。
なお、PVA系重合体(A)が、構成単位(b)を有する場合、アセタール単位全体に対する構成単位(b)の割合は、例えば、50モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下であってもよい。

0030

PVA系重合体(A)のケン化度としては、JIS K 6726で規定されているPVAのケン化度測定方法により求められるケン化度が、例えば、15〜70モル%であり、好ましくは30〜65モル%(例えば、30モル%以上65モル%未満)であり、より好ましくは45〜60モル%である。
ケン化度が概ね15モル%以上であれば、懸濁重合の際、水性媒体への分散性が優れるため好ましい。ケン化度が概ね70モル%以下であれば、懸濁重合に用いた際、残存モノマーの除去性や可塑剤吸収性が優れるビニル系樹脂が得られるため好ましい。

0031

PVA系重合体(A)のケン化度は、例えば、この原料であるPVA系重合体(B)のケン化度により調整することができる。例えば、PVA系重合体(B)を脂肪族アルデヒド等でアセタール化する際に、反応系に水を含有させるとアセタール化反応中のPVA系重合体のケン化度の変化を少なくすることができ、PVA系重合体(A)及びPVA系重合体(B)間のケン化度の差を、例えば0〜5モル%程度に調整することができる。

0032

PVA系重合体(A)の(平均)重合度としては、特に限定されないが、JIS K 6726で規定されているPVAの平均重合度測定方法により求められる重合度が、120〜800が好ましく、より好ましくは160〜400である。
PVA系重合体(A)の重合度が概ね120以上であれば、懸濁重合の安定性が優れ、重合槽へのスケール付着が抑制され、得られるビニル系樹脂の粒径が粗大化しにくいため好ましい。重合度が概ね800以下であれば、懸濁重合の際、水性媒体への分散性に優れるため好ましい。
尚、PVA系重合体(A)の重合度は、この原料となるPVA系重合体(B)の重合度により調整することができ、通常、PVA系重合体(B)の重合度を反映することができる。

0033

なお、PVA系重合体(A)は、上記の通り、通常、完全ケン化物ではなく、ビニルエステル系単量体由来の構造単位残存エステル単位)を有している。このような構造単位(残存エステル基)は、後述のPVA系重合体(B)のビニルエステル系単量体(例えば、酢酸ビニルギ酸ビニルプロピオン酸ビニルカプリル酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪族ビニルエステル)由来の構造単位に対応する。

0034

PVA系重合体(A)の残存エステル基(脂肪酸基)のブロックキャラクターは、特に限定されないが、0.3〜0.8が好ましく、0.35〜0.55がより好ましい。概ね0.8以下であれば、懸濁重合に用いた際、残存モノマーの除去性や可塑剤吸収性が優れるビニル系樹脂が得られるため好ましい。概ね0.3以上であれば、水性媒体への分散性に優れるため好ましい。

0035

ここで、残存エステル基のブロックキャラクター(η)とは、PVA系重合体の残存脂肪酸基の分布を示す指標であり、13C−NMRスペクトル中のメチレン領域に現れる3本のピークの解析により求められる。前記の3本のピークは、(OH、OH)、(OH、OR)、(OR、OR)に相当する3個の2単位連鎖構造に相当し、その吸収強度は3個の構造に比例している。ブロックキャラクター(η)は、下記(式2)で表される。尚、OR基は、エステル単位(すなわち、ビニルエステル由来の単位)であり、例えば、ビニルエステルとして酢酸ビニルが使用された場合は、アセトキシ基OAc基)を示す。

0036

(式2) η=(OH、OR)/[2(OH)(OR)]
〔式中、(OH、OR)は、OH基とOR基が隣接する2単位連鎖構造(OH、OR)の割合を表し、13C−NMRスペクトルのメチレン炭素強度比より求められる。また、式中、(OH)は、ケン化度を表し、(OR)は、残存エステル基(脂肪酸基)の割合を表し、それぞれモル分率で表される。〕

0037

尚、(式2)において、(OH、OR)とは、(OH、OH)、(OH、OR)及び(OR、OR)の総量に対する、(OH、OR)の割合を表す。
また、(OH)、(OR)とは、PVA系重合体(A)に含まれる(OH)及び(OR)の総量に対する(OH)、(OR)の割合を表す。

0038

このブロックキャラクターは、通常0〜2の値をとり、0に近いほど残存エステル基分布のブロック性が高いことを示し、1に近いほどランダム性が高いことを示し、2に近いほど交互性が高いことを示す。残存エステル基のブロック性は、塩化ビニルモノマー等のビニル系単量体の分散性に影響を与える。尚、このブロックキャラクターに関しては、「ポバール」、高分子刊行会(1981年発行)の第246〜249頁及びMacromolecules,10,532(1977年)にその測定法等が詳述されている。

0039

PVA系重合体(A)の残存エステル基のブロックキャラクターは、原料であるPVA系重合体(B)のブロックキャラクターにより調整することができる。例えば、PVA系重合体(B)を脂肪族アルデヒド等でアセタール化する際に、反応系に水を含有させるとアセタール化反応中のPVA系重合体のブロックキャラクターの変化を少なくすることができ、PVA系重合体(A)及びPVA系重合体(B)間の残存エステル基のブロックキャラクターの差を、例えば0〜0.1程度に調整することができる。

0040

[水性液]
PVA系重合体(A)は、そのまま分散助剤(分散剤、二次分散剤)として使用してもよいし、水に溶解させた水性液として使用してもよい。
本発明の水性液は、PVA系重合体(A)及び水を含んでいればよい。水性液は、例えば、PVA系重合体(A)を分散質として、水中に分散又は溶解させたものである。

0041

PVA系重合体(A)を含有する水性液のPVA系重合体(A)のケン化度は、前記と同様の範囲から選択できるが、特に50〜70モル%が好ましい。ケン化度が概ね50モル%以上であれば、水性液の安定性や流動性が優れるため好ましい。ケン化度が概ね70モル%以下であれば、懸濁重合に用いた際、残存モノマーの除去性や可塑剤吸収性が優れるビニル系樹脂が得られるため好ましい。

0042

PVA系重合体(A)を含有する水性液のPVA系重合体(A)の平均重合度は、前記と同様の範囲から選択できるが、特に120〜400が好ましく、160〜300がより好ましい。PVA系重合体(A)の重合度が120以上であれば、懸濁重合の安定性が優れ、重合槽へのスケールの付着が抑制され、得られるビニル系樹脂の粒径が粗大化しにくくなるため好ましい。また、重合度が400以下であれば、水性液の流動性が優れるため好ましい。

0043

PVA系重合体(A)を含有する水性液のPVA系重合体(A)の残存エステル基(脂肪酸基)のブロックキャラクターは、前記と同様の範囲から選択できるが、特に0.5以上であることが好ましく、0.6〜0.8がより好ましい。ブロックキャラクターが概ね0.5以上であれば、水性液の粘度が低減され、流動性や取扱性に優れる水性液が得られるため好ましい。ブロックキャラクターが概ね0.8以下であれば、懸濁重合に用いた際、残存モノマーの除去性や可塑剤吸収性が優れるビニル系樹脂が得られるため好ましい。

0044

水性液において、PVA系重合体(A)の含有量は、30〜50質量%が好ましい。該重合体の割合が概ね30質量%以上であれば、PVA系重合体(A)と水との相溶性に優れ、PVA系重合体(A)と水が分離せず、水性液の放置安定性が向上するため好ましい。一方、概ね50質量%以下であれば、水性液の粘度が低くなり、流動性が優れるため好ましい。

0045

本発明の水性液は、PVA系重合体(A)の含有量が概ね30〜50質量%という高濃度であっても、良好な安定性(特に、有機溶媒、分散剤や乳化剤を使用しなくても良好な安定性)を有し、長期間(例えば、1年以上)の良好な放置安定性を有する。

0046

かかる水性液を得る方法としては、特に限定されず、例えば、アセタール化時のアルコール等の溶媒スチーム等の吹き込みにより水に置換する方法、撹拌下で水中へPVA系重合体(A)を投入し、引き続き撹拌してPVAを水に溶解または分散させる方法等が挙げられる。

0047

水性液には、放置安定性向上の観点から水溶性の有機溶媒などが含まれていてもよい。水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノールn−プロパノールイソプロパノールn−ブタノールイソブタノールなどのアルコール類酢酸メチル酢酸エチルなどのエステル類エチレングリコールエチレングリコールモノメチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコール誘導体;などが挙げられる。なお、これら有機溶媒は2種以上を混合して使用してもよい。

0048

水溶性有機溶媒を含む場合、溶媒全体に対する水溶性有機溶媒の割合は、例えば、70質量%以下(例えば、60質量%以下)、好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下であってもよく、特に、環境に対する配慮や作業性の向上の観点から、有機溶媒の含有量は、溶媒全体又は水性液に対して5質量%以下であることが好ましい。

0049

本発明の水性液のpHとしては、JISZ8802で規定される測定方法に従って20℃において測定した値が、好ましくは4.5〜7.0である。
水性液のpHが概ね4.5以上であれば、PVA系重合体(A)を含む水性液を長期間(例えば、6か月以上)保管した場合に、PVA系重合体(A)中の一般式(1)で示される構成単位の含有量の低下を抑制することができる。pHが概ね7以下であれば、ケン化反応によるPVA系重合体(A)のケン化度の変化を抑制することが出来るため好ましい。

0050

本発明の水性液のpHは、例えば、アセタール化反応の中和の際のpHで調整することができる。また、水性液のpHは、水性液作製後に酸性物質又は塩基性物質を加えることで調整することもできる。酸性物質又は塩基性物質は、後述のケン化反応やアセタール化反応に用いたものを用いることが好ましい。

0051

本発明の水性液の粘度は、B型回転粘度計を用いて測定した20℃における粘度が、水性液の流動性や取扱性が優れる等の観点から、好ましくは5000mPa・s以下であり、より好ましくは2500mPa・s以下である。

0052

本発明において、PVA系重合体(A)を製造する方法は特に限定されないが、例えば、PVA系重合体(B)と、Rに対応する化合物(脂肪族アルデヒド等)とを反応させ、アセタール化することにより、PVA系重合体(A)を得ることができる。以下、PVA系重合体(B)及びアセタール化について詳述する。

0053

[PVA系重合体(B)]
PVA系重合体(B)としては、特に限定されないが、例えば、ビニルエステル系重合体をケン化反応することにより得られる従来公知のPVA系重合体を使用することができる。
該ビニルエステル系重合体は、ビニルエステル系単量体を重合することにより得ることができる。重合方法としては、特に限定されないが、従来公知の方法に従って良いが、例えば、塊状重合溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられ、重合度の制御や重合後に行うケン化反応のことを考慮すると、メタノールを溶媒とした溶液重合、あるいは、水又は水/メタノールを分散媒とする懸濁重合が好ましいが、これらに限定されるものではない。

0054

前記重合に用いることができるビニルエステル系単量体としては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル等を挙げることができ、これらのビニルエステル系単量体は1種又は2種以上使用することができる。これらの中でも酢酸ビニルが工業的観点から好ましい。

0055

ビニルエステル系単量体の重合に際して、本発明の効果を奏する限り、ビニルエステル系単量体を他の単量体と共重合させても差し支えない。
使用しうる他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、α−オレフィン(例えば、エチレンプロピレン、n−ブテンイソブチレン等)、(メタアクリル酸及びその塩、(メタ)アクリル酸エステル類[例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸C1−20アルキル等)]、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド誘導体(例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩又はその4級塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等)、ビニルエーテル類(例えば、メチルビニルエーテルエチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のC1−20アルキルビニルエーテル等)、ニトリル類(例えば、アクリロニトリルメタクリロニトリル等)、ハロゲン化ビニル類(例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル等)、ハロゲン化ビニリデン類(例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等)、アリル化合物(例えば、酢酸アリル塩化アリル等)、不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸イタコン酸フマル酸等)及びその塩又はそのエステル、ビニルシリル化合物(例えば、ビニルトリメトキシシラン等)、脂肪酸アルキルエステル(例えば、酢酸イソプロペニル等)等が挙げられる。これらの他の単量体は1種又は2種以上使用することができる。

0056

前記他の単量体を使用する場合、他の単量体の含有量は、ビニルエステル系単量体の総量に対して、例えば0.1〜20質量%等である。

0057

また、ビニルエステル系単量体の重合に際して、得られるビニルエステル系重合体の重合度を調節すること等を目的として、連鎖移動剤共存させても差し支えない。
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類アセトンメチルエチルケトンヘキサノンシクロヘキサノン等のケトン類;2−ヒドロキシエタンチオールドデシルメルカプタン等のメルカプタン類四塩化炭素トリクロロエチレンパークロロエチレン等の有機ハロゲン類が挙げられ、中でもアルデヒド類及びケトン類が好適に用いられる。連鎖移動剤の添加量は、添加する連鎖移動剤の連鎖移動定数及び目的とするビニルエステル系重合体の重合度に応じて決定されるが、一般にビニルエステル系単量体に対して0.1〜10重量%が望ましい。

0058

上述のようにして得られたビニルエステル系重合体をケン化反応することにより、PVA系重合体(B)を製造することができる。
ビニルエステル系重合体のケン化反応方法は、特に限定されないが、従来公知の方法に従ってよい。例えば、水酸化ナトリウム水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;モノエタノールアミンアミノエチルエタノールアミンモノイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン2−アミノ−1−ブタノール2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシエチル)−アミノメタン等の第一級アルカノールアミンジエタノールアミンメチルエタノールアミン、ブチルメタノールアミン、N−アセチルエタノールアミンジイソプロパノールアミン等の第二級アルカノールアミン;トリエタノールアミンメチルジエタノールアミンジメチルエタノールアミンジエチルエタノールアミンエチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アルカノールアミン;メチルアミンエチルアミンイソブチルアミン、t−ブチルアミンシクロヘキシルアミン等の第一級アルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミンジイソプロピルアミン等の第二級アルキルアミン;トリメチルアミン等の第三級アルキルアミン等の有機アミン類等の塩基性触媒、又は塩酸硫酸硝酸リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸シュウ酸p−トルエンスルホン酸等の有機酸等の酸性触媒を用いた、加アルコール分解ないし加水分解反応が適用できる。
ケン化反応に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ベンゼントルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。

0059

PVA系重合体(B)のケン化度としては、特に制限はないが、続くアセタール化反応の際にPVA系重合体(A)のケン化度は原料であるPVA系重合体(B)のケン化度より高くなるので、PVA系重合体(A)の目標とするケン化度より低いケン化度(例えば、0〜5モル%低いケン化度)に調整することが好ましい。

0060

また、PVA系重合体(B)の重合度としては、特に制限はないが、続くアセタール化反応の際にPVA系重合体(A)の重合度は原料であるPVA系重合体(B)を反映することができるので、PVA系重合体(A)の目標とする重合度に調整することが好ましい。

0061

PVA系重合体(B)の残存エステル基のブロックキャラクターは、特に制限されないが、PVA系重合体(A)の目標とするブロックキャラクターの近傍に調整することが好ましい。
例えば、PVA系重合体(B)の残存エステル基(脂肪酸基)のブロックキャラクターは、特に限定されないが、前記と同様の範囲から選択でき、特に、工業的生産性の観点から0.3〜0.8が好ましい。

0062

本発明において、PVA系重合体(B)の残存エステル基(脂肪酸基)のブロックキャラクターは、ビニルエステル系重合体をケン化してPVA系重合体(B)を製造する際に使用するケン化触媒及び溶媒の種類等により調整できる。
0.6以下のブロックキャラクターを得るためには、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物等の塩基性触媒を用いてケン化する方法が簡便である。
0.6以上のブロックキャラクターを得るためには、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等の酸性触媒を用いてケン化する方法が簡便である。
また、得られたPVA系重合体を加熱しブロックキャラクターを増加させることにより調整する方法もある。

0063

[アセタール化]
本発明において、PVA系重合体(A)に一般式(1)で示される構成単位を導入する方法は特に限定されない。例えば、PVA系重合体(B)をRに対応する化合物(脂肪族アルデヒド等)によりアセタール化させることにより、PVA系重合体(A)を得ることができる。アセタール化方法は、特に限定されず、公知のアセタール化方法を用いることができる。

0064

アセタール化において、Rに対応する化合物(脂肪族アルデヒド等)の使用量は、特に限定されないが、PVA系重合体(B)100質量部に対して、例えば0.1〜40質量部、好ましくは0.2〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部である。

0065

また、アセタール化反応は、酸性触媒の存在下で行うことが好ましい。酸性触媒としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。

0066

酸性触媒の使用量は、特に限定されないが、PVA系重合体(B)100質量部に対して、例えば0.1〜10質量部である。

0067

アセタール化は、水の存在下で行ってもよい。水の存在下でPVA系重合体(B)をアセタール化することで、ブロックキャラクターなどの物性変化を抑えつつ、アセタール化しやすいため、PVA系重合体(B)の物性をPVA系重合体(A)に反映させやすい。

0068

具体的なアセタール化方法としては、例えば、(i)ビニルエステル系重合体をメタノールなどの溶媒中にて水酸化ナトリウムなどの塩基性触媒でケン化反応させ、PVA系重合体(B)の溶液を得、その後脂肪族アルデヒド等と酸性触媒を添加しアセタール化させ、その後塩基性物質で中和しPVA系重合体(A)の溶液を得る方法;(ii)ビニルエステル系重合体をメタノールなどの溶媒中でケン化触媒として酸性触媒の存在下でケン化反応させPVA系重合体(B)とした後、脂肪族アルデヒド等を添加し、ケン化反応で用いた酸性触媒をそのまま利用し、アセタール化反応させ、その後塩基性物質で中和し、PVA系重合体(A)の溶液を得る方法;(iii)前記(ii)と同様にビニルエステル系重合体を溶媒中で酸性触媒の存在下でケン化反応させPVA系重合体(B)を得る際に、予め脂肪族アルデヒド等を添加しておき、アセタール化反応させ、その後塩基性物質で中和しPVA系重合体(A)の溶液を得る方法;(iv)水性液としたPVA系重合体(B)に脂肪族アルデヒドを添加し酸性触媒の存在下で反応させ、その後塩基性物質で中和しPVA系重合体(A)の水性液を得る方法;(v)スラリー状又は粉末状のPVA系重合体(B)に、脂肪族アルデヒド等を直接添加又は脂肪族アルデヒドを有機溶剤若しくは水に溶解若しくは分散させた液体を添加し、酸性触媒の存在下で反応させ、その後塩基性物質で中和し、さらに余分な溶媒を除去してPVA系重合体(A)を得る方法;等が挙げられる。
(i)〜(iii)の方法では、その後溶媒を乾燥させ固体として得ることができるし、溶媒を水に置換して水性液にすることができる。
(iv)の方法では、水性液として得ることができるので、そのまま塩化ビニルの懸濁重合に用いることができる。
(v)のスラリー状態で反応させる方法は、PVA系重合体を固体として得ることができるため取り扱いやすい。
尚、(i)〜(v)の方法において、PVA系重合体(A)及びPVA系重合体(B)を水性液とする方法、ケン化、中和、溶解、分散及び乾燥の方法は、特に限定されず、常法を用いることができる。

0069

また、中和に用いる塩基性物質としては、特に制限されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、モノエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシエチル)−アミノメタン等の第一級アルカノールアミン;ジエタノールアミン、メチルエタノールアミン、ブチルメタノールアミン、N−アセチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の第二級アルカノールアミン;トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の第三級アルカノールアミン;メチルアミン、エチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の第一級アルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の第二級アルキルアミン;トリメチルアミン等の第三級アルキルアミン等の有機アミン類等を挙げることができる。

0070

アセタール化反応の際の反応液のpHは、3.0以下が反応速度の観点から好ましい。
また、中和後の反応液のpHは、4.7〜8.5が好ましい。

0071

[ビニル系樹脂の製造方法]
本発明の分散助剤を用いたビニル系単量体の懸濁重合法について説明する。
懸濁重合は、水性溶媒(例えば、水、加熱された水等)に分散安定剤及び本発明の分散助剤を添加し、ビニル系単量体を分散させて行う。尚、懸濁重合は、通常、重合開始剤の存在下で行う。

0072

懸濁重合の対象となるビニル系単量体としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエーテル、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等)、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)クリルアルキルエステル等)、スチレン系モノマー(例えば、スチレン等)、不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸等)又はその無水物、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等)等が挙げられるが、少なくとも塩化ビニルを含むことが好ましい。これらビニル系単量体は、1種又は2種以上を使用することができる。

0073

塩化ビニルを含むビニル系単量体を懸濁重合させることにより、塩化ビニル系樹脂を得ることができる。塩化ビニル系樹脂の製造においては、使用するビニル系単量体総量に対して、50〜100モル%(又は50〜100質量%)が塩化ビニルであることが好ましい。

0074

分散安定剤としては、例えば、水溶性高分子(例えば、メチルセルロースヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)等が挙げられる。分散安定剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。

0075

これらの中でも、PVA系重合体が好ましい。PVA系重合体のケン化度は、60モル%以上が好ましく、65モル%超(例えば、65〜90モル%、66モル%以上、67モル%以上、68モル%以上、69モル%以上、70モル%以上、70モル%超など)がより好ましい。また、PVA系重合体の重合度は、300〜4000が好ましく、500〜3000がより好ましい。

0076

分散安定剤の添加量は、分散安定剤の種類等によって選択でき、一概に言えないが、通常はビニル系単量体100質量部に対して、5質量部以下であり、0.005〜1質量部が好ましく、0.01〜0.5質量部がより好ましい。

0077

本発明の分散助剤の使用量は、特に制限はないが、PVA系重合体(A)(分散助剤中に含有されるPVA系重合体(A))の質量が、ビニル系単量体100質量部に対して、1質量部以下であり、0.002〜0.5質量部が好ましく、0.005〜0.2質量部がより好ましい。

0078

分散安定剤とPVA系重合体(A)(本発明の分散助剤に含有されるPVA系重合体(A))との質量比は、分散安定剤の種類等によって選択でき、一概に言えないが、90/10〜30/70の範囲が好ましく、特に80/20〜50/50が好ましい。
一般的に、分散助剤の使用比率(特に、分散安定剤に対する分散助剤の比率)を増加させると残存モノマーの除去性や可塑剤吸収性に優れたビニル系樹脂を得ることができるが、本発明の分散助剤を用いれば、少ない添加量で優れた特性(残存モノマーの除去性や可塑剤吸収性等)を有するビニル系重合体を得ることが出来る。
尚、該分散安定剤及び分散助剤は、重合の初期一括仕込んでも、又重合の途中で分割して仕込んでもよい。

0079

本発明の分散助剤は、粉体の状態でビニル系単量体の重合系内に存在させても(例えば、添加しても)よいし、水性液(好ましくは、PVA系重合体(A)を30〜50質量%含有する水性液)に調製してから使用してもよい。また、本発明の分散助剤は、水溶性有機溶媒、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒などに溶解して重合系に添加することができる。また、本発明の分散助剤は、ビニル系単量体を重合系内に仕込む際又は仕込んだ後に重合系内に仕込んでもよいが、ビニル系単量体を重合系内に仕込む前に重合系内に仕込むことが好ましい。

0080

重合開始剤は、特に限定されないが、油溶性開始剤が好ましい。油溶性開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキシジカーボネートなどのパーカーボネート化合物、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルネオヘキサノエート、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシ−2−ネオデカノエートなどのパーオキシエステル化合物、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物など、ラウリルパーオキシドベンゾイルパーオキシドクメンハイドロパオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−2−パーオキシフェノキシアセテートなどのパーオキシド化合物が挙げられる。
重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。

0081

重合開始剤は、水又は単量体を仕込む前と仕込む後のどちらに添加してもよく、予め水性エマルジョンとしてから重合槽に添加してもよい。
重合開始剤の添加量は、ビニル単量体又はそれを含む単量体混合物100質量部に対して、0.02〜0.5質量部であることが好ましい。

0082

本発明の効果を阻害しない範囲において、カチオン系、アニオン系又はノニオン系の界面活性剤等を、懸濁重合の際に加えてもよい。

0083

なお、本発明のビニル系樹脂の製造方法における種々の条件は、公知の技術を用いることができる。例えば、各原料化合物仕込み方法、単量体と水性溶媒との仕込み比率重合温度や、重合転化率や、攪拌回転数等の重合条件は、特に限定されない。また、必要に応じて、pH調整剤消泡剤、重合度調節剤、連鎖移動剤、酸化防止剤耐電防止剤等の公知の各種添加剤を併用しても差し支えない。

0084

なお、分散安定剤としてのPVA系重合体は、PVA系重合体(A)とは異なるPVA系重合体(例えば、PVA系重合体(A)の範疇に属しないPVA系重合体)であってもよい。例えば、PVA系重合体は、前記一般式(1)で示される構造単位を、通常、有しない(実質的に有しない)場合が多く、有する場合でもポリビニルアルコールのモノマーユニットあたりの含有量が前記範囲外(例えば、0.1モル%未満、0.05モル%以下など)であってもよい。

0085

上記のように、PVA系重合体(A)は、分散安定剤としての水溶性高分子と組み合わせて使用してもよい。
そのため、本発明には、水溶性高分子(又は分散安定剤、例えば、上記PVA系重合体など)及びPVA系重合体(A)(又は懸濁重合用分散助剤)を含む組成物を包含する。
このような組成物において、水溶性高分子と、PVA系重合体(A)とを組み合わせる(混合する)タイミングは、特に限定されず、PVA系重合体(A)と水溶性高分子とを懸濁重合において混合し、重合系において組成物を形成してもよい。また、PVA系重合体(A)と水溶性高分子とを含む組成物を予め調製し、懸濁重合において使用してもよい。

0086

なお、分散安定剤(水溶性高分子)とPVA系重合体(A)との質量比は、前記と同様の範囲から選択でき、例えば、90/10〜30/70(特に、80/20〜50/50)などであってもよい。

0087

本発明の組成物は、他の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明の組成物は、前記のように、重合系(懸濁重合系)において構成できるため、重合系に存在する前記成分(ビニル系単量体、重合開始剤、溶媒、各種添加剤など)を含んでいてもよい。
本発明の組成物がビニル系単量体を含有する場合、分散安定剤や分散助剤の割合は、前記と同様の範囲から選択できる。
例えば、分散安定剤(水溶性高分子)の割合は、ビニル系単量体100質量部に対して5質量部以下であってもよく、例えば、0.005〜1質量部が好ましく、0.01〜0.5質量部がより好ましい。
また、分散助剤(PVA系重合体(A))の割合は、ビニル系単量体100質量部に対して、1質量部以下であってもよく、0.002〜0.5質量部が好ましく、0.005〜0.2質量部がより好ましい。

0088

以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において「%」及び「部」は、特に断りのない限り、「質量%」及び「質量部」を意味する。
はじめに、本実施例における塩化ビニル樹脂の特性評価方法を以下に示す。

0089

[塩化ビニル樹脂の評価]
塩化ビニル樹脂について、スケール付着量、残存モノマーの除去性及び可塑剤吸収性を次のようにして評価した。

0090

<スケール付着量>
重合体スラリーを重合槽から取り出した後の重合槽の内壁におけるスケールの付着状態目視観察し、以下の基準で評価した。
A:スケールの付着がほとんどない
B:スケールが目視で分かる程度に付着
C:白色のスケール付着が著しい

0091

<残存モノマーの除去性>
塩化ビニル樹脂1gをテトラヒドロフラン25gに溶解し、ガスクロマトグラフにより塩化ビニル樹脂中の塩化ビニルモノマー含有量を定量した。以下の基準により評価した。
A:5ppm未満
B:5ppm以上10ppm未満
C:10ppm以上

0092

<可塑剤吸収性>
底にグラスファイバーを詰めた円筒状容器に得られた樹脂を入れ、過剰のジオクチルフタレート(以下、DOPと略記する)を加え、30分放置することによって樹脂にDOPを浸透させた後、3000rpmで遠心分離することによって余分なDOPを除去した後、樹脂の重量を測定して、重合体100質量%あたりのDOP吸収量を算出した。DOP吸収量が大きいほど、樹脂の空孔率が大きく、可塑剤吸収性がよく、成形加工性に優れることを示す。

0093

<実施例1>
(PVA系重合体(B)の合成)
攪拌機コンデンサー窒素ガス導入口及び開始剤投入口を備えた反応槽に、予め酢酸ビニル10質量部、メタノール67質量部及び2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)0.02質量部を重合缶仕込み窒素置換後加熱して沸点まで昇温した。その後、重合缶上部より、酢酸ビニル140質量部を、13時間かけて少しずつ連続的に滴下した。滴下が終了してから1時間後、重合率95%に達した時点で系を冷却し、重合を停止した。
次に、常法により未反応の酢酸ビニルを除去し、メタノール含量を調整しポリ酢酸ビニルの濃度が60%になるように調整した。得られたポリ酢酸ビニルの60%メタノール溶液100質量部に、ケン化触媒としてパラトルエンスルホン酸の45%メタノール溶液3質量部を加えて良く混合し、55℃でケン化反応を行い、水酸化ナトリウムの5%メタノール溶液5.5質量部を加え中和しケン化反応を停止し、PVA系重合体(B)の溶液を得た。得られた溶液を乾燥して、分析したところ、ケン化度55モル%、平均重合度230、ブロックキャラクター0.70であった。

0094

(PVA系重合体(A)の合成)
上記で得られたPVA系重合体(B)の溶液100質量部に水を2質量部加え、さらにヘキサナール1.0質量部を加え良く混合した後、パラトルエンスルホン酸の45%メタノール溶液1質量部を添加し、40℃の温度で30分間反応を行った。次いで、水酸化ナトリウムの5%水溶液2.3質量部で中和した。次いで、真空乾燥機を用いて100℃で2時間乾燥しPVA系重合体(A)を得た。このPVA系重合体(A)の分析値は、ケン化度56モル%、重合度230で、ブロックキャラクターは、0.70であった。また、d6−DMSO溶媒に溶解させて1H−NMR測定を行ったところ、0.85ppmにメチル基由来のシグナルが観測された。このシグナル強度から求めたヘキサナールのPVA系重合体(A)への変性量は、1.0モル%であった。
PVA系重合体(A)の製造条件と分析結果を表1に示す。

0095

(水性液の作製)
上記のようにして得られたPVA系重合体(A)を溶質として40質量%含有するように水中に投入し、80℃で1時間撹拌することにより溶解し、室温まで冷却することにより水性液を得た。

0096

(塩化ビニルの懸濁重合)
上記で得られたPVA系重合体(A)を分散助剤として用いて、以下に示す条件にて塩化ビニルの懸濁重合を行った。
内容積100リットル重合機耐圧オートクレーブ)に、部分ケン化ポリビニルアルコール(ケン化度80モル%、重合度2500)0.05質量部及び部分ケン化ポリビニルアルコール(ケン化度72モル%、重合度800)0.02質量部を脱イオン水100質量部に溶解させ仕込んだ。さらに上記で得られた水性液(PVA系重合体(A)の含有量が40重量%)0.075重量部(PVA系重合体(A)として0.03質量部)を仕込み、さらにt−ブチルパーオキシネオデカエート0.05質量部を投入した。次に、重合機内を40mmHgまで脱気した後、塩化ビニル単量体を100質量部仕込み、重合を開始した。重合温度は57℃とし、重合終了までこの温度を保持した。
重合転化率が80%に達した時点で反応を終了し、重合機内の未反応単量体回収した後、重合体スラリーを系外に取り出し、脱水乾燥し、塩化ビニル樹脂を得た。塩化ビニル樹脂の評価結果を表2に示す。

0097

本分散助剤を用いた場合、重合槽へのスケール付着がほとんどなく、安定的に懸濁重合が実施できるとともに、残存モノマーの除去性に優れ、可塑剤吸収量が25%の高い空孔率を有する塩化ビニル樹脂が得られた。

0098

<実施例2〜5>
ヘキサナールに代えて表1に示すアルデヒドを用いた以外は、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を合成し、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を含む水性液を作製した。得られた水性液を用い、実施例1と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。塩化ビニル樹脂の評価結果を表2に示す。
全ての例において、重合槽へのスケール付着はほとんどなく、安定的に懸濁重合が実施できるとともに、残存モノマーの除去性に優れ、可塑剤吸収量が多く、高い空孔率を有する塩化ビニル樹脂が得られた。

0099

<実施例6〜7>
表1に示す含有量が得られるようにヘキサナールの使用量を変えた以外は、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を合成し、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を含む水性液を作製した。得られた水性液を用い、実施例1と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。塩化ビニル樹脂の評価結果を表2に示す。
全ての例において、重合槽へのスケール付着はほとんどなく、安定的に懸濁重合が実施できるとともに、残存モノマーの除去性に優れ、可塑剤吸収量が多く、高い空孔率を有する塩化ビニル樹脂が得られた。

0100

<実施例8〜14>
表1に示す重合度、ケン化度及びブロックキャラクターを有するPVA系重合体(B)が得られるように反応条件を適宜変え、各種PVA系重合体(B)を合成した。次いで、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を合成し、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を含む水性液を作製した。
実施例10では、水に代えて、水/メタノール=1/1の混合溶剤を使用して、PVA系重合体(A)を20重量%含む水性液を作製した。また、実施例11については、水に代えて、水/メタノール=1/1の混合溶剤を使用して、PVA系重合体(A)を40重量%含む水性液を作製した。さらに、実施例14については、水に代えて、水/メタノール=1/1の混合溶剤を使用して、PVA系重合体(A)を20重量%含む水性液を作製した。
得られた水性液を用い、実施例1と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。塩化ビニル樹脂の評価結果を表2に示す。
全ての例において、重合槽へのスケール付着はほとんどなく、安定的に懸濁重合が実施できるとともに、残存モノマーの除去性に優れ、可塑剤吸収量が多く、高い空孔率を有する塩化ビニル樹脂が得られた。

0101

<比較例1>
PVA系重合体(A)の代わりにPVA系重合体(B)をアセタール化せずに使用し、実施例1と同様に水性液を作製した。得られた水性液を用いて、実施例1と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。塩化ビニル樹脂の評価結果を表2に示す。
スケール付着はほとんどなく、懸濁重合は安定であったが、得られた塩化ビニル樹脂の可塑剤吸収性は19%であり、十分なものではなかった。

0102

<参考例1>
アルデヒドとして、アルキル基を有しないアクロレインを用いた以外は、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を合成し、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を含む水性液を作製した。得られた水性液を用いて、実施例1と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。塩化ビニル樹脂の評価結果を表2に示す。
スケール付着はほとんどなく、重合は安定であったが、得られた塩化ビニル樹脂の残存モノマーの除去性及び可塑剤吸収量は、十分なものではなかった。

0103

<参考例2〜3>
表1に示す含有量となるようにヘキサナールの使用量を変えた以外は、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を合成し、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を含む水性液を作製した(参考例3については、ヘキサナールの含有量が多いため、水との相溶性が悪くなったので、水に代えて、水/メタノール=1/1の混合溶剤を使用して、PVA系重合体(A)を40重量%含む水性液を作製した。)。得られた水性液を用いて、実施例1と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。塩化ビニル樹脂の評価結果を表2に示す。
参考例2では、含有量が少なすぎたため、十分な効果を得ることは出来なかった。一方、参考例3は、含有量が多すぎたため、懸濁重合の際、水性媒体への分散性が悪くなり、十分な効果が得られなかった。

0104

<参考例4〜5>
表1に示すケン化度を有するPVA系重合体(B)が得られるように反応条件を適宜変え、PVA系重合体(B)を合成した。次いで、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を合成し、実施例1と同様にしてPVA系重合体(A)を含む水性液を作製した(参考例4については、PVA系重合体(A)のケン化度が低いため、水との相溶性が悪くなったので、水に代えて、水/メタノール=1/4の混合溶剤を使用して、PVA系重合体(A)を40重量%含む水性液を作製した。)。得られた水性液を用いて、実施例1と同様にして塩化ビニルの懸濁重合を行い、塩化ビニル樹脂を得た。塩化ビニル樹脂の評価結果を表2に示す。
参考例4では、鹸化度が低すぎたため、懸濁重合の際、水性媒体への分散性が悪くなり、十分な効果が得られなかった。一方、参考例5では、親水性が高くなりすぎ、得られた塩化ビニル樹脂の残存モノマーの除去性及び可塑剤吸収量は、十分なものではなかった。

0105

実施例

0106

0107

本発明の分散助剤は、ビニル系化合物の懸濁重合に用いると、高い重合安定性を示す。また、本発明の分散助剤を使用することで、得られる重合体の残存モノマーの除去性を高めることができ、そのため、省エネルギーや生産性向上に寄与する。さらに、得られる重合体は、可塑剤吸収性にも優れるため、成形加工性に優れている。
また、本発明の水性液は、高濃度でも、安定な水性液として取り扱うことができ、有機溶剤の使用による環境負荷を低減できるため、工業的に極めて有用である。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ