図面 (/)

技術 焼結含油軸受

出願人 株式会社ダイヤメット
発明者 田村佳樹竹添真一
出願日 2017年10月26日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-547759
公開日 2019年9月19日 (6ヶ月経過) 公開番号 WO2018-079670
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 拡径領域 ネジ歯車 面取り角 銅マトリクス 焼結金属軸受 せん断荷重 成型型 テーパ角θ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年9月19日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (11)

課題・解決手段

本発明は、Fe−Cu系焼結体潤滑油含浸され、回転軸(2)を貫通支持する軸受孔(3)を有し、前記軸受孔(3)の内周面(S)は、軸方向における中央部分を含む第1領域(3A)と、前記第1領域(3A)の一方の端部から前記軸受孔(3)の一方の開口までを成す第2領域(3B又は3C)と、を少なくとも備え、前記第2領域(3B又は3C)の摩擦面(S2又はS3)は、前記第1領域(3A)の摩擦面(S1)よりも、Fe相面積が大きく、かつCu相の面積が小さい焼結含油軸受に関する

概要

背景

焼結含油軸受は、焼結体の内部にあらかじめ潤滑油含浸させておき、軸の回転によるポンプ作用摩擦熱による熱膨張で油をしみ出させて摩擦面を潤滑する。このような焼結含油軸受は、無給油で長期間使用できることから、自動車家電製品音響機器等の回転軸軸受として広く採用されている(例えば、特許文献1を参照)。

従来の焼結含油軸受を用いて回転軸を支持する場合、例えば回転軸をある方向に回転させるためにトルクを伝達すると、回転軸にせん断方向の荷重が加わる。この時、せん断荷重が非常に大きかったり回転軸の剛性が十分高くなかったりすると、回転軸がせん断荷重によって撓み、軸受内部で軸線を傾斜させたまま回転し、回転軸の表面が軸受内部の摩擦面に正しく接触しない状態(回転軸が軸受内面を抉る(こじる)ような運動)に陥る可能性がある。このような状態に陥ると、回転軸が強い抵抗を受けて回転し難くなり、軸受として十分な機能を果たさなくなる。また、このような状態が繰り返し起こると、回転軸や軸受の耐久性が低下してしまうことも考えられる。

このように、回転軸にせん断方向の荷重が加わった場合に、軸受内部の摩擦面に正しく接触しないといった不具合を解決するために、例えば、軸受孔に径の大きさが一定の直孔部と、外方に向かって径が拡大してテーパ状をなす拡径部とを備えた焼結含油軸受が知られている(例えば、特許文献2を参照)。

こうした焼結含油軸受の多くは、Fe(鉄)−Cu(銅)系の焼結金属により形成されている。このうち、Fe成分は、回転軸の回転速度が低回転で、かつ回転軸に加わる負荷が高負荷の稼働状態(低回転高負荷状態)に適している。一方、Cu成分は、回転軸の回転速度が高回転で、かつ回転軸に加わる負荷が低負荷の稼働状態(高回転低負荷状態)に適している。

一方、近年の資源価格の上昇、特にCuの価格上昇によって、Cuを含む製品の一層のコストダウンが求められており、Cuの使用量を低減しつつ、回転軸の回転速度が高回転であっても対応可能な焼結含油軸受が求められている。Cuの使用量を低減した焼結含油軸受としては、Cu系の扁平原料粉末を使用したFe−Cu系の焼結金属軸受が広く使用されている(例えば、特許文献3を参照)。

概要

本発明は、Fe−Cu系焼結体に潤滑油が含浸され、回転軸(2)を貫通支持する軸受孔(3)を有し、前記軸受孔(3)の内周面(S)は、軸方向における中央部分を含む第1領域(3A)と、前記第1領域(3A)の一方の端部から前記軸受孔(3)の一方の開口までを成す第2領域(3B又は3C)と、を少なくとも備え、前記第2領域(3B又は3C)の摩擦面(S2又はS3)は、前記第1領域(3A)の摩擦面(S1)よりも、Fe相面積が大きく、かつCu相の面積が小さい焼結含油軸受に関する

目的

本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであって、Fe−Cu系の焼結金属を用いた焼結含油軸受において、回転軸が高負荷状態での軸受性能と、回転軸が高回転状態での軸受性能とを、何れも最大限高めることができ、安定した摺動特性を得ることが可能な焼結含油軸受に提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

Fe−Cu系焼結体潤滑油含浸され、回転軸を貫通支持する軸受孔を有する焼結含油軸受であって、前記軸受孔の内周面は、軸方向における中央部分を含む第1領域と、前記第1領域の一方の端部から前記軸受孔の一方の開口までを成す第2領域と、を少なくとも備え、前記第2領域の摩擦面は、前記第1領域の摩擦面よりも、Fe相面積が大きく、かつCu系の扁平原料粉末を含むCu粉によって形成されたCu相の面積が小さいことを特徴とする焼結含油軸受。

請求項2

前記第1領域の摩擦面全体の面積に対するCu相が占める面積は、50%以上であり、前記第2領域の摩擦面全体の面積に対するCu相が占める面積は、50%未満であることを特徴とする請求項1記載の焼結含油軸受。

請求項3

前記第2領域の摩擦面の前記軸方向に沿った中央部分におけるCu相の面積は、前記第1領域の摩擦面の前記軸方向に沿った中央部分におけるCu相の面積の20%以上、70%以下であることを特徴とする請求項1記載の焼結含油軸受。

請求項4

前記軸受孔の内周面は、前記第1領域の他方の端部から前記軸受孔の他方の開口までを成す第3領域を更に備えることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の焼結含油軸受。

請求項5

前記軸受孔は、前記第1領域に形成された、径の大きさが一定な直孔部と、前記第2領域に形成され、前記直孔部に連なり外方に向かって径が拡大してテーパ状を成す第1の拡径部と、を含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の焼結含油軸受。

請求項6

前記軸受孔は、前記第3領域に形成され、前記直孔部に連なり外方に向かって径が拡大してテーパ状を成す第2の拡径部を更に含むことを特徴とする請求項5記載の焼結含油軸受。

請求項7

前記第1の拡径部の前記軸方向に対するテーパ角と、前記第2の拡径部の前記軸方向に対するテーパ角とが等しいことを特徴とする請求項6記載の焼結含油軸受。

請求項8

前記第1の拡径部の前記軸方向に対するテーパ角は、前記第2の拡径部の前記軸方向に対するテーパ角と異なっていることを特徴とする請求項6記載の焼結含油軸受。

技術分野

0001

本発明は、Fe−Cu系の焼結金属により形成された軸受本体を有する焼結含油軸受に関する。 本願は、2016年10月26日に、日本に出願された特願2016−209695号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

背景技術

0002

焼結含油軸受は、焼結体の内部にあらかじめ潤滑油含浸させておき、軸の回転によるポンプ作用摩擦熱による熱膨張で油をしみ出させて摩擦面を潤滑する。このような焼結含油軸受は、無給油で長期間使用できることから、自動車家電製品音響機器等の回転軸の軸受として広く採用されている(例えば、特許文献1を参照)。

0003

従来の焼結含油軸受を用いて回転軸を支持する場合、例えば回転軸をある方向に回転させるためにトルクを伝達すると、回転軸にせん断方向の荷重が加わる。この時、せん断荷重が非常に大きかったり回転軸の剛性が十分高くなかったりすると、回転軸がせん断荷重によって撓み、軸受内部で軸線を傾斜させたまま回転し、回転軸の表面が軸受内部の摩擦面に正しく接触しない状態(回転軸が軸受内面を抉る(こじる)ような運動)に陥る可能性がある。このような状態に陥ると、回転軸が強い抵抗を受けて回転し難くなり、軸受として十分な機能を果たさなくなる。また、このような状態が繰り返し起こると、回転軸や軸受の耐久性が低下してしまうことも考えられる。

0004

このように、回転軸にせん断方向の荷重が加わった場合に、軸受内部の摩擦面に正しく接触しないといった不具合を解決するために、例えば、軸受孔に径の大きさが一定の直孔部と、外方に向かって径が拡大してテーパ状をなす拡径部とを備えた焼結含油軸受が知られている(例えば、特許文献2を参照)。

0005

こうした焼結含油軸受の多くは、Fe(鉄)−Cu(銅)系の焼結金属により形成されている。このうち、Fe成分は、回転軸の回転速度が低回転で、かつ回転軸に加わる負荷が高負荷の稼働状態(低回転高負荷状態)に適している。一方、Cu成分は、回転軸の回転速度が高回転で、かつ回転軸に加わる負荷が低負荷の稼働状態(高回転低負荷状態)に適している。

0006

一方、近年の資源価格の上昇、特にCuの価格上昇によって、Cuを含む製品の一層のコストダウンが求められており、Cuの使用量を低減しつつ、回転軸の回転速度が高回転であっても対応可能な焼結含油軸受が求められている。Cuの使用量を低減した焼結含油軸受としては、Cu系の扁平原料粉末を使用したFe−Cu系の焼結金属軸受が広く使用されている(例えば、特許文献3を参照)。

先行技術

0007

特公平8−19941号公報
特開2004−308682号公報
特開2006−299347号公報

発明が解決しようとする課題

0008

焼結含油軸受では、前述の通り、低荷重高速運転領域では、シャフトとの焼付き性を考慮したCuベース焼結材料が用いられ、高荷重低速運転領域では高荷重に耐えうる耐摩耗性を有したFeをベースにした焼結材料が用いられることが多い。昨今のアクチュエータ運転領域の多様化により、低荷重高速運転領域から高荷重低速運転領域まで一つのアクチュエータで賄うケースが増え、双方の運転領域においても対応可能な焼結含油軸受の提案が求められていた。

0009

本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであって、Fe−Cu系の焼結金属を用いた焼結含油軸受において、回転軸が高負荷状態での軸受性能と、回転軸が高回転状態での軸受性能とを、何れも最大限高めることができ、安定した摺動特性を得ることが可能な焼結含油軸受に提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

すなわち、本発明の焼結含油軸受は、以下の構成を有する。 Fe−Cu系焼結体に潤滑油が含浸され、回転軸を貫通支持する軸受孔を有する焼結含油軸受であって、前記軸受孔の内周面は、軸方向における中央部分を含む第1領域と、前記第1領域の一方の端部から前記軸受孔の一方の開口までを成す第2領域と、を少なくとも備え、前記第2領域の摩擦面は、前記第1領域の摩擦面よりも、Fe相面積が大きく、かつCu系の扁平原料粉末を含むCu粉によって形成されたCu相の面積が小さいことを特徴とする。

0011

本発明の焼結含油軸受によれば、回転軸を回転させるために比較的小さなトルクが作用したときには、回転軸はほとんど撓みを生じないので、回転軸の表面が第1領域および第2領域に接し、この部分を摩擦面として支持される。第1領域の摩擦面は、第2領域の摩擦面よりもFe相の面積が小さく、かつCu相の面積が大きいため、回転軸が撓まずに第1領域に接している場合、回転軸を高速で回転(高回転)させることができる。即ち、Fe−Cu系の焼結金属のうち、Cu成分は、回転軸の回転速度が高回転で、かつ回転軸に加わる負荷が低負荷の稼働状態に適しているので、第1領域のCu相の面積を第2領域に対して高めることにより、回転軸を高回転させても、軸受としての機能が損なわれることがなく、耐久性の低下も起こらない。

0012

一方、回転軸を回転させるために大きなトルクが伝達されたときには、回転軸に作用するせん断荷重が大きく、回転軸が軸受本体の内部で軸線を傾斜させたまま軸支持されることになる。このとき、回転軸の表面は主に第2領域に接し、この部分を摩擦面として支持される。第2領域の摩擦面は、第1領域の摩擦面よりもFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さいため、回転軸に大きなトルクが作用して撓み、第2領域に接している場合でも、回転軸を安定して回転させることができる。即ち、Fe−Cu系の焼結金属のうち、Fe成分は、回転軸の回転速度が低回転で、かつ回転軸に加わる負荷が高負荷の稼働状態に適しているので、第2領域のFe相の面積を第1領域に対して高めることにより、回転軸に大きな負荷が加わって撓んでも、回転軸を安定して回転させることが可能になり、軸受としての機能が損なわれることがなく、耐久性の低下も起こらない。

0013

前記第1領域の摩擦面全体の面積に対するCu相が占める面積は、50%以上であり、前記第2領域の摩擦面全体の面積に対するCu相が占める面積は、50%未満であることを特徴とする。

0014

前記第2領域の摩擦面の前記軸方向に沿った中央部分におけるCu相の面積は、前記第1領域の摩擦面の前記軸方向に沿った中央部分におけるCu相の面積の20%以上、70%以下であることを特徴とする。

0015

前記軸受孔の内周面は、前記第1領域の他方の端部から前記軸受孔の他方の開口までを成す第3領域を更に備えることを特徴とする。

0016

前記軸受孔は、前記第1領域に形成された、径の大きさが一定な直孔部と、前記第2領域に形成され、前記直孔部に連なり外方に向かって径が拡大してテーパ状を成す第1の拡径部と、を含むことを特徴とする。 こうした焼結含油軸受によれば、回転軸を回転させるために比較的小さなトルクが作用したときには、回転軸はほとんど撓みを生じないので、回転軸の表面が直孔部に接し、この部分を摩擦面として支持される。直孔部の摩擦面は、第1の拡径部の摩擦面よりもFe相の面積が小さく、かつCu相の面積が大きいため、回転軸が撓まずに直孔部に接している場合、回転軸を高速で回転(高回転)させることができる。即ち、Fe−Cu系の焼結金属のうち、Cu成分は、回転軸の回転速度が高回転で、かつ回転軸に加わる負荷が低負荷の稼働状態に適しているので、直孔部のCu相の面積を第1の拡径部に対して高めることにより、回転軸を高回転させても、軸受としての機能が損なわれることがなく、耐久性の低下も起こらない。

0017

一方、回転軸を回転させるために大きなトルクが伝達されたときには、回転軸に作用するせん断荷重が大きく、回転軸が軸受本体の内部で軸線を傾斜させたまま軸支持されることになる。このとき、回転軸の表面は主に第1の拡径部に接し、この部分を摩擦面として支持される。第1の拡径部の摩擦面は、直孔部の摩擦面よりもFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さいため、回転軸に大きなトルクが作用して撓み、第1の拡径部に接している場合でも、回転軸を安定して回転させることができる。即ち、Fe−Cu系の焼結金属のうち、Fe成分は、回転軸の回転速度が低回転で、かつ回転軸に加わる負荷が高負荷の稼働状態に適しているので、第1の拡径部のFe相の面積を直孔部に対して高めることにより、回転軸に大きな負荷が加わって撓んでも、回転軸を安定して回転させることが可能になり、軸受としての機能が損なわれることがなく、耐久性の低下も起こらない。

0018

前記軸受孔は、前記第3領域に形成され、前記直孔部に連なり外方に向かって径が拡大してテーパ状を成す第2の拡径部を更に含むことを特徴とする。 このような第2の拡径部によって、回転軸を回転させるために大きなトルクが伝達され、回転軸が軸受本体の内部で軸線を傾斜した際に、回転軸の端部が軸受孔に強く接して過大な負荷が生じることを防止できる。

0019

前記第1の拡径部の前記軸方向に対するテーパ角と、前記第2の拡径部の前記軸方向に対するテーパ角とが等しいことを特徴とする。

0020

前記第1の拡径部の前記軸方向に対するテーパ角は、前記第2の拡径部の前記軸方向に対するテーパ角と異なっていることを特徴とする。

発明の効果

0021

本発明によれば、回転軸の高回転低負荷状態、および低回転高負荷状態のそれぞれにおいて、軸受性能を最大限発揮することが可能な焼結含油軸受を提供することができる。

図面の簡単な説明

0022

本発明の第1実施形態に係る焼結含油軸受を示す、回転軸の軸方向に沿った断面図である。
回転軸に負荷が加えられて傾斜した状態の焼結含油軸受を示す断面図である。
本発明の第2実施形態に係る焼結含油軸受を示す断面図である。
回転軸を保持した焼結含油軸受を示す断面図である。
焼結含油軸受の要部を拡大した要部拡大断面図である。
本発明の第2実施形態に係る焼結軸受を示す断面図である。
本発明の第3実施形態に係る焼結軸受を示す断面図である。
実施例の結果を示すグラフである。
実施例の結果を示すグラフである。
実施例の結果を示すグラフである。

0023

以下、本発明を適用した実施形態である焼結含油軸受について図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大、あるいは強調して示している場合があり、各構成要素の寸法比率、および角度などが実際と同じであるとは限らない。

0024

(第1実施形態) 第1実施形態に係る焼結含油軸受を図1図2に示して説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る焼結含油軸受を示す、回転軸の軸方向に沿った断面図である。図2は、回転軸に負荷が加えられて傾斜した状態の焼結含油軸受を示す断面図である。 焼結含油軸受(以下、単に軸受と称する)10は、Fe−Cu系の焼結金属により形成された軸受本体(焼結体)1の内部に、回転軸2が挿通される軸受孔3が形成されている。

0025

軸受本体(焼結体)1は、全体がFe−Cu系の焼結金属により形成されている(Fe−Cu系焼結体)。具体的には、Fe粉末と、Cu系の扁平原料粉末を含むCu粉とを、キャビティ内にコアロッドが挿入された金型内に導入し、Fe−Cu系の焼結体を成形することで、軸受孔3を備えた軸受本体1を形成している。 後述する軸受本体1の各領域におけるCu相が占める面積は、各領域ごとにFe粉末と、Cu系の扁平原料粉末を含むCu粉との混合比を変えることで変動させることができる。

0026

軸受孔3は、回転軸2の長手方向の軸線Oに直交する面内における断面形状が円形をなしており、軸線Oに沿った全長に渡って内径が一定にされている。本発明において、軸受孔3の内周面Sには、軸線Oに沿った中央部分を成す第1領域3Aと、この第1領域3Aの一方の端部3A1から軸受孔3の一方の開口3E1までを成す第2領域3Bと、第1領域3Aの他方の端部3A2から軸受孔3の他方の開口3E2までを成す第3領域3Cとが設定されている。

0027

こうした軸受孔3の摩擦面(内周面)Sに設定される第1領域3A,第2領域3B,第3領域3Cは、本実施形態においては、軸線Oに沿った軸受孔3の全長を均等に3等分するように設定されている。なお、第1領域3A,第2領域3B,第3領域3Cは、軸線Oに沿った軸受孔3の全長を任意の割合で分割するように設定することができる。

0028

例えば、軸線Oに沿った長さとして、第1領域3Aが最も長く、第2領域3B,第3領域3Cはそれよりも短くなるように設定したり、逆に第1領域3Aが最も短く、第2領域3B,第3領域3Cはそれよりも長くなるように設定したりすることもできる。

0029

また、軸受孔3は、特に第3領域3Cを設けずに、摩擦面(内周面)Sを軸線Oに沿った方向に第1領域3Aおよび第2領域3Bだけを形成して2分割するようにしてもよい。この場合、第1領域は軸受孔の一方の開口から中央部分を含む領域とし、第2領域は、第1領域の開口とは反対側の端部から軸受孔の他方の開口までの領域とすればよい。

0030

なお、こうした第1領域3A,第2領域3B,第3領域3Cは、それぞれの領域同士の間に明確な区画線や、大幅な組成相違があるわけではなく、後述するFe相とCu相の軸線Oに沿った分布を定義するために便宜的に設定されたものである。

0031

このような軸受孔3の第2領域3Bの摩擦面S2は、第1領域3Aの摩擦面S1よりも、Fe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さくなるように形成されている。 例えば、第1領域3Aの摩擦面S1全体の面積に対するCu相が占める面積は50%以上であり、第2領域3Bの摩擦面S2全体の面積に対するCu相が占める面積は50%未満とされている。なお、ここでいう面積は、気孔、空洞を除いた面積である。 第1領域3Aの摩擦面S1全体の面積に対するCu相が占める面積はより好ましくは60%以上100%未満である。また、第2領域3Bの摩擦面S2全体の面積に対するCu相が占める面積はより好ましくは10%〜40%である。 第1領域3Aの摩擦面S1全体の面積に対するCu相が占める面積は、例えば以下ようにして算出することができる。 まず、第1領域3Aの軸線Oに沿った中央部分3ASを中心とした任意の箇所を、倍率×200で写真撮影する。撮影した写真に、方眼フレーム(例えば、2mm方眼の30マス×40マスのフレーム)を重ね合わせ、1マスのうち、鉄マトリクス又は銅マトリクスが50%以上を占めるマスをそれぞれマーキングする。マーキングした鉄マトリクス及び銅マトリクスのマスの合計をマーキング総数として、マーキング総数に対する銅マトリクスの比率を算出する。本実施形態では、この銅マトリックスの比率を、第1領域3Aの軸線Oに沿った中央部分3ASにおけるCu相の面積比として算出する。 第2領域3Bの軸線Oに沿った中央部分3BSにおけるCu相の面積比も、同様に算出することができる。

0032

また、第2領域3Bの摩擦面S2の軸線Oに沿った中央部分3BSにおけるCu相の面積は、第1領域3Aの摩擦面S1の軸線Oに沿った中央部分3ASにおけるCu相の面積の20%以上、70%以下とされており、より好ましくは30%以上、60%以下である。

0033

なお、こうした第1領域3A,第2領域3Bは、少なくともそれぞれの表面である摩擦面の単位面積に対するCu相の面積比が上述した範囲であればよく、更に、径方向の外側に向かって表面から所定の厚み範囲でこうしたCu相の面積比が維持された領域が広がっていてもよい。

0034

また、第3領域3Cは、摩擦面S1全体の面積に対するCu相が占める面積が、例えば第1領域3Aと同等程度か、それよりも大きくすることができる。また、第3領域3Cは、第2領域3Bと同様に、第1領域3AよりもFe相の面積が大きくかつCu相の面積が小さくなるようにしてもよい。

0035

以上の様な構成の軸受10は、例えば、軸受本体1に潤滑油を含浸させたうえで、軸受孔3に回転軸2を挿通されて使用される。回転軸2を回転させるために比較的小さなトルクが作用したときには、回転軸2はほとんど撓みを生じないので、回転軸2の表面が軸受孔3の第1領域3A,第2領域3B,第3領域3Cからなる摩擦面(内周面)Sに接して支持される。そして、摩擦面(内周面)Sでは、回転軸2の回転によるポンプ作用と摩擦熱による熱膨張とによって軸受本体1の内部から潤滑油がしみ出し、摩擦面を潤滑する。

0036

第1領域3Aの摩擦面S1は、第2領域3Bの摩擦面S2よりもFe相の面積が小さく、かつCu相の面積が大きいため、回転軸2が撓まずに第1領域3Aを含む部分に接している場合、回転軸2を高速で回転(高回転)させることができる。即ち、Fe−Cu系の焼結金属のうち、Cu成分は、回転軸2の回転速度が高回転で、かつ回転軸2に加わる負荷が低負荷の稼働状態に適しているので、回転軸2を高回転させても、軸受としての機能が損なわれることがなく、耐久性の低下も起こらない。

0037

一方、回転軸2を回転させるために大きなトルクが伝達されたときには、回転軸2の撓みによって軸受本体1の内部で軸線を傾斜させたまま軸支持されることになる。このとき、回転軸2の表面は軸受孔3の第2領域3Bに接し、この部分を摩擦面S2として支持される。第2領域3Bでも、上記の直孔部3aと同じく回転軸2の回転によるポンプ作用と摩擦熱による熱膨張とによって軸受本体1の内部から潤滑油がしみ出し、摩擦面を潤滑する。

0038

軸受孔3の第2領域3Bの摩擦面S2は、第1領域3Aの摩擦面S1よりもFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さいため、回転軸2に大きなトルクが作用して撓み、回転軸2が第2領域3Bの摩擦面S2に接している場合でも、回転軸2を安定して回転させることができる。即ち、Fe−Cu系の焼結金属のうち、Fe成分は、回転軸2の回転速度が低回転で、かつ回転軸2に加わる負荷が高負荷の稼働状態に適しているので、軸受孔3の第2領域3Bの摩擦面S2のFe相の面積を第1領域3Aの摩擦面S1に対して高めることにより、回転軸2に大きな負荷が加わって撓んでも、回転軸2を安定して回転させることが可能になり、軸受としての機能が損なわれることがなく、耐久性の低下も起こらない。 以上の作用によって、回転軸2の高回転低負荷状態、および低回転高負荷状態のそれぞれにおいて、軸受性能を最大限発揮することが可能な軸受10が実現できる。

0039

(第2実施形態) 第2実施形態に係る焼結含油軸受を図3ないし図5に示して説明する。図3は本発明の第2実施形態に係る焼結含油軸受を示す、回転軸の軸方向に沿った断面図である。また、図4は、図3に示す焼結含油軸受に回転軸を保持させた状態を示す断面図である。また、図5は、焼結含油軸受と回転軸との接触状態を示す要部拡大図である。 焼結含油軸受(以下、単に軸受とする)20は、Fe−Cu系の焼結金属により形成された軸受本体(焼結体)1の内部に、回転軸2が挿通される軸受孔4が形成されている。

0040

軸受孔4は、回転軸2の長手方向の軸線Oに直交する面内における断面形状が円形をなしており、軸受孔4の摩擦面(内周面)Sには、軸線Oに沿った中央部分を成す第1領域4Aと、この第1領域4Aの一方の端部4A1から軸受孔4の一方の開口4E1までを成す第2領域4Bと、第1領域4Aの他方の端部4A2から軸受孔4の他方の開口4E2までを成す第3領域4Cとが設定されている。

0041

こうした軸受孔4の内周面Sに設定される第1領域4A,第2領域4B,第3領域4Cは、本実施形態においては、軸線Oに沿った軸受孔4の全長を均等に3等分するように設定されている。なお、第1領域4A,第2領域4B,第3領域4Cは、軸線Oに沿った軸受孔4の全長を任意の割合で分割するように設定することができる。

0042

軸受孔4の摩擦面(内周面)Sに設定される第1領域4Aには、回転軸2の直径よりも径が若干大きく、かつ長手方向のいずれの位置においても径の大きさが一定の直孔部4aが形成されている。また、第2領域4B,第3領域4Cには、直孔部4aに連なって長手方向の両側にそれぞれ設けられ、外方に向かって単調に径が拡大してテーパ状をなす第1の拡径部4bと第2の拡径部4cとがそれぞれ形成されている。第1の拡径部4b,第2の拡径部4cのいずれも、その傾斜面と軸受本体1の軸方向に平行な直孔部4aの内面(または回転軸2の軸線O)とがなす角(テーパ角)θ1は、任意の角度、例えば0.1°〜10°程度に設定されている。この角度は、摺動対象となるシャフトの撓み角度に合わせて設定することが好ましい。なお、図3ではθ1を明確にするために角度を誇張して図示してある。

0043

軸受本体1を回転軸2の軸線Oに沿う断面で見るとき(図3参照)、直孔部4aを挟んで存在する2つの拡径部4b,4cについては、第1の拡径部4bの傾斜面を軸受本体1の中央に向けて傾斜方向に延長した直線L1aと、対角に位置する第2の拡径部4cの傾斜面を軸受本体1の中央に向けて傾斜方向に延長した直線L1bとが平行配置されるとともに、両直線L1a,L1bの間隔d1が、回転軸2の直径Dよりも若干大きく、かつ直孔部4aの内径にほぼ等しくなっている。言い換えると、第1の拡径部4bの上端側の傾斜面を軸受本体1の中央に向けて傾斜方向に延長した直線L1aと、第2の拡径部4cの下端側の傾斜面を軸受本体1の中央に向けて傾斜方向に延長した直線L1bとが平行の関係にあり、両直線L1a,L1bの間隔d1が、回転軸2の直径Dよりも若干大きく、かつ直孔部4aの内径にほぼ等しくなっている。

0044

軸受本体(焼結体)1は、全体がFe−Cu系の焼結金属により形成されている(Fe−Cu系焼結体)。具体的には、Fe粉末とCu系の扁平原料粉末を含むCu粉によって形成されたCu粉とを成型型に導入し、貫通孔を備えたFe−Cu系の焼結体を形成し、この焼結体の貫通孔の両側を所定の深さまでサイジングによって拡径することで、直孔部4aと拡径部4b,4cとを備えた軸受本体1を形成している。

0045

第1の拡径部4bは、回転軸2と接する表面を成す摩擦面(内周面)Sにおいて、直孔部4aの摩擦面よりも、Fe−Cu系の焼結金属を構成するFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さくなるように形成されている。

0046

例えば、第1の拡径部4bの摩擦面S2全体の面積に対するCu相が占める面積は50%未満とされている。また、直孔部4aの摩擦面全体の面積に対するCu相が占める面積は50%以上とされている。 第1の拡径部4bの摩擦面S2全体の面積に対するCu相が占める面積はより好ましくは10%〜40%である。また、直孔部4aの摩擦面全体の面積に対するCu相が占める面積はより好ましくは60%以上100%未満である。

0047

また、第1の拡径部4bの摩擦面の軸方向(軸線O)に沿った中央部分4BSにおけるCu相の面積は、直孔部4aの摩擦面の軸方向に沿った中央部分4ASにおけるCu相の面積の20%以上、90%以下とされており、より好ましくは30%以上、60%以下である。

0048

こうしたFe相、Cu相の面積を直孔部4aと第1の拡径部4bとで異ならせるには、Fe−Cu系の焼結金属からなる焼結体の形成にあたって、原料となるFe粉と、Cu系の扁平原料粉末を含むCu粉によって形成されたCu粉とを成型型に導入する際に、金型を動かすことによってCuを選択的に金型壁寄りに集めたりすることで実現できる。

0049

なお、こうした直孔部4aと第1の拡径部4bは、少なくともそれぞれの表面である摩擦面においてFe相とCu相との面積比が異なっていればよく、さらに、Fe相とCu相との面積比が異なる領域が、それぞれの摩擦面から径方向の中心に向かって所定の厚みで広がっていてもよい。

0050

また、第2の拡径部4cは、摩擦面S3全体の面積に対するCu相が占める面積が、例えば直孔部4aと同等程度か、それよりも大きくすることができる。

0051

以上の様な構成の軸受20は、例えば、軸受本体1に潤滑油を含浸させたうえで、軸受孔3に回転軸2を挿通されて使用される。図4には、上記の軸受によって回転軸2を2箇所で支持する機構の一例を示す。この機構は、回転軸2の周面にネジ歯車2aが形成されており、回転軸2の両端は上記の軸受で支持され、図示しない駆動装置によって回転駆動されるネジ歯車5を回転軸2側のネジ歯車2aに噛み合わせ、ネジ歯車5を回転させることによって回転軸2を回転させるようになっている。なお、実際には回転軸2が図4に示したほど撓むことはないが、ここでは説明の要旨を明確にするために誇張して図示してある。

0052

回転軸2を回転させるために比較的小さなトルクが作用したときには、回転軸2はほとんど撓みを生じないので、回転軸2の表面が直孔部4aに接し、この部分を摩擦面S1として支持される。直孔部4aでは、回転軸2の回転によるポンプ作用と摩擦熱による熱膨張とによって軸受本体1の内部から潤滑油がしみ出し、摩擦面S1を潤滑する。

0053

直孔部4aの摩擦面S1は、第1の拡径部4bの摩擦面S2よりもFe相の面積が小さく、かつCu相の面積が大きいため、回転軸2が撓まずに直孔部4aに接している場合、回転軸2を高速で回転(高回転)させることができる。即ち、Fe−Cu系の焼結金属のうち、Cu成分は、回転軸2の回転速度が高回転で、かつ回転軸2に加わる負荷が低負荷の稼働状態に適しているので、直孔部4aのCu相の面積を第1の拡径部4bに対して高めることにより、回転軸2を高回転させても、軸受としての機能が損なわれることがなく、耐久性の低下も起こらない。

0054

一方、回転軸2を回転させるために大きなトルクが伝達されたときには、回転軸2に作用するせん断荷重が大きく、回転軸2に強い振れが生じて心ずれを起こそうとする。このとき、回転軸2に振れが生じたことで、回転軸2と直孔部4aとの間を潤滑していた潤滑油が第1の拡径部4b側に押し出され、回転軸2と第1の拡径部4bとの間に充たされる。回転軸2と第1の拡径部4bとの間に充たされた潤滑油は、回転軸2が振れることで第1の拡径部4bに押し付けられるように加圧されるが、第1の拡径部4bが密に形成されていることから、軸受本体1の内部には押し込まれず、回転軸2と第1の拡径部4bとの間に残って回転軸2に対し反力を作用させる。この反力により回転軸2の振れが抑制され、軸受に対する回転軸2の心ずれが防止される。

0055

しかしながら、回転軸2に作用するせん断荷重が非常に大きく、回転軸2と第1の拡径部4bとの間に残った潤滑油による押し返し作用が十分に機能しなかった場合には、回転軸2が軸受本体1の内部で軸線を傾斜させたまま軸支持されることになる。このとき、回転軸2の表面は第1の拡径部4bに接し、この部分を摩擦面S2として支持される。第1の拡径部4bでも、上記の直孔部4aと同じく回転軸2の回転によるポンプ作用と摩擦熱による熱膨張とによって軸受本体1の内部から潤滑油がしみ出し、摩擦面S2を潤滑する。

0056

第1の拡径部4bの摩擦面S2は、直孔部4aの摩擦面S1よりもFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さいため、回転軸2に大きなトルクが作用して撓み、第1の拡径部4bに接している場合でも、回転軸2を安定して回転させることができる。即ち、Fe−Cu系の焼結金属のうち、Fe成分は、回転軸2の回転速度が低回転で、かつ回転軸2に加わる負荷が高負荷の稼働状態に適しているので、第1の拡径部4bのFe相の面積を直孔部4aに対して高めることにより、回転軸2に大きな負荷が加わって撓んでも、回転軸2を安定して回転させることが可能になり、軸受としての機能が損なわれることがなく、耐久性の低下も起こらない。

0057

なお、本実施形態においては、第1の拡径部4bの摩擦面を、直孔部4aの摩擦面よりもFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さくなるようにしている。一般的に、図4に示すような構成において、回転軸2の中心付近に大きなトルクが作用して撓んだ場合、回転軸2の中心に近い方、即ち、第2の拡径部4cよりも第1の拡径部4bのほうがより強く回転軸2が押し付けられる。よって、第1の拡径部4bだけを、直孔部4aよりもFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さくなるように構成することも効果的である。

0058

また、回転軸2の一端側と他端側をそれぞれ軸支する軸受20,20どうしの第1の拡径部4bと第2の拡径部4cの両方を、直孔部4aよりもFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さくなるようにしてもよい。

0059

(第3実施形態) 第3実施形態に係る焼結含油軸受を図6に示して説明する。図6は本発明の第3実施形態に係る焼結含油軸受を示す、回転軸の軸方向に沿った断面図である。図6に示す軸受30は、焼結金属により形成された軸受本体(焼結体)11の内部に形成された軸受孔13が、回転軸2の長手方向の軸線Oに直交する面内における断面形状が円形をなしており、軸受本体11のほぼ中央にあって回転軸2の直径よりも径が若干大きく、かつ長手方向のいずれの位置においても径の大きさが一定の直孔部13aと、直孔部13aに連なって長手方向の両側にそれぞれ設けられた第1の拡径部13bおよび第2の直孔部13cとを備えている。

0060

第1の拡径部13b、第2の拡径部13cは、それぞれ軸受本体1の軸方向に平行な直孔部13aの内面(または回転軸2の軸線O)に対するテーパ角を段階的に異ならせた第1拡径領域13b1,13c1と、第2拡径領域13b2,13c2とからなる。直孔部13aから遠い位置にある第2拡径領域13b2,13c2のテーパ角θ2の方が第1拡径領域13b1,13c1のテーパ角θ1よりも大きく形成されている。

0061

軸受本体11を回転軸2の軸線Oに沿う断面で見るとき(図6参照)、第1拡径領域13b1,13c1のさらに外側に存在する2つの第2拡径領域13b2,13c2については、第1の拡径部13bの第2拡径領域13b2の傾斜面を軸受本体1の中央に向けて延長した直線L2bと、対角に位置する第2の拡径部13cの第2拡径領域13c2の傾斜面を軸受本体11の中央に向けて延長した直線L2aとの間隔d2が、回転軸2の直径Dよりも大きく、かつ直孔部13aの内径にほぼ等しくなっている。言い換えると、第1の拡径部13bの第2拡径領域13b2下端側の傾斜面を軸受本体1の中央に向けて傾斜方向に延長した直線L2bと、第2の拡径部13cの第2拡径領域13c2の上端側の傾斜面を軸受本体1の中央に向けて傾斜方向に延長した直線L2aとが平行の関係にあり、両直線L2b,L2aの間隔d2が、回転軸2の直径Dよりも若干大きく、かつ直孔部13aの内径にほぼ等しくなっている。

0062

軸受本体11は、全体がFe−Cu系の焼結金属により形成されている。具体的には、Fe粉末とCu系の扁平原料粉末を含むCu粉によって形成されたCu粉とを成型型に導入し、貫通孔を備えたFe−Cu系の焼結体を形成し、この焼結体の貫通孔の両側を所定の深さまでサイジングによって拡径することで、直孔部13aと拡径部13b,13cとを備えた軸受本体11を形成している。

0063

第1の拡径部13bは、回転軸2と接する表面を成す摩擦面S2において、直孔部13aの摩擦面S1よりも、Fe−Cu系の焼結金属を構成するFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さくなるように形成されている。

0064

例えば、第1の拡径部13bの摩擦面全体の面積に対するCu相が占める面積は50%未満とされている。また、直孔部13aの摩擦面全体の面積に対するCu相が占める面積は50%以上とされている。 第1の拡径部13bの摩擦面全体の面積に対するCu相が占める面積はより好ましくは10%〜40%である。また、直孔部13aの摩擦面全体の面積に対するCu相が占める面積はより好ましくは60%以上100%未満である。

0065

このような軸受30においては、回転軸2に伝達するトルクの大きさが異なる場合は、トルクの大きさに比例して回転軸2の撓み量が変化し、軸受内部での回転軸2の傾斜角も変化する。上記の軸受においては、比較的小さいトルクを伝達して回転軸2を回転させるときには回転軸2の撓みが小さく、回転軸2の表面がテーパ角の小さい第1拡径領域13b1に接触する。また、大きいトルクを伝達して回転軸2を回転させるときには、回転軸2の撓みが大きくなり、回転軸2の表面がテーパ角の大きい第2拡径領域13b2に接触する。

0066

第1の拡径部13bの摩擦面S2は、直孔部13aの摩擦面S1よりもFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さいため、回転軸2に大きなトルクが作用して撓み、回転軸2の表面が第1拡径領域13b1、あるいは第2拡径領域13b2に接している場合でも、回転軸2を安定して回転させることができる。即ち、Fe−Cu系の焼結金属のうち、Fe成分は、回転軸2の回転速度が低回転で、かつ回転軸2に加わる負荷が高負荷の稼働状態に適しているので、第1の拡径部13bのFe相の面積を直孔部13aに対して高めることにより、回転軸2に大きな負荷が加わって撓んでも、回転軸2を安定して回転させることが可能になり、軸受としての機能が損なわれることがなく、耐久性の低下も起こらない。

0067

(第4実施形態) 第4実施形態に係る焼結含油軸受を図7に示して説明する。図7は本発明の第4実施形態に係る焼結含油軸受を示す、回転軸の軸方向に沿った断面図である。 本実施形態の軸受40には、第1の拡径部23bは直孔部23aの一側方にのみ設けられており、直孔部23aの他側方には面取り部(第2の拡径部)23dが設けられている。この面取り部23dは、主に直孔部23aに回転軸2を通し易くするために設けられたもので、回転軸2が軸受本体30に対してどのように変位しようとも回転軸2に接することはない。これは、第1の拡径部23bの傾きθ1より、面取り部23dの面取り角のほうが大きいためである。

0068

さらに、軸受本体(焼結体)12を回転軸2の軸線Oに沿う断面で見るとき、直孔部23aと第1の拡径部23bとについては、第1の拡径部23bの傾斜面を軸受本体12の中央に向けて傾斜方向に延長した直線L1aと、軸受本体12の中央を挟んで第1の拡径部23bの傾斜した摩擦面(内壁面)S2と対向する直孔部23aの摩擦面(内壁面)S1との間隔(拡径部23bから最も遠い直孔部23aの終端部分に、直線L1aから下ろした垂線の長さに相当する)d2が、回転軸2の直径Dよりも若干大きく、かつ第1の直孔部23aの内径にほぼ等しくなっている。言い換えると、軸受本体(焼結体)12の上端側で第1の拡径部23bの傾斜面を軸受本体12の中央に向けて傾斜方向に延長した直線L1aを仮定した際に、軸受本体(焼結体)12の下端側であって、面取り部23dと接続する直孔部23aの終端部分から、直線L1aに向けて垂線を伸ばした際の、直孔部23aの終端部‐直線L1aの間隔をd2とした。

0069

上記構成の軸受において、回転軸2に作用するせん断荷重が非常に大きく、回転軸2と拡径部23bとの間に残った潤滑油による押し返し作用が十分に機能しなかった場合は、回転軸2が撓んで軸受本体12の第1の拡径部23bに支持される。

0070

本実施形態においても、軸受本体12は、全体がFe−Cu系の焼結金属により形成され、第1の拡径部23bは、回転軸2と接する表面を成す摩擦面S2において、直孔部23aの摩擦面S1よりも、Fe−Cu系の焼結金属を構成するFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さくなるように形成されている。

0071

例えば、拡径部23bの摩擦面S2全体の面積に対するCu相が占める面積は50%未満とされている。また、直孔部23aの摩擦面S1全体の面積に対するCu相が占める面積は50%以上とされている。 拡径部23bの摩擦面S2全体の面積に対するCu相が占める面積はより好ましくは10%〜40%である。また、直孔部23aの摩擦面S1全体の面積に対するCu相が占める面積はより好ましくは60%以上100%未満である。

0072

このように、第1の拡径部23bの摩擦面S2は、直孔部23aの摩擦面S1よりもFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さいため、回転軸2に大きなトルクが作用して撓み、回転軸2の表面が第1の拡径部23bに接している場合でも、回転軸2を安定して回転させることができる。即ち、Fe−Cu系の焼結金属のうち、Fe成分は、回転軸2の回転速度が低回転で、かつ回転軸2に加わる負荷が高負荷の稼働状態に適しているので、第1の拡径部23bのFe相の面積を直孔部23aに対して高めることにより、回転軸2に大きな負荷が加わって撓んでも、回転軸2を安定して回転させることが可能になり、軸受としての機能が損なわれることがなく、耐久性の低下も起こらない。

0073

上述した実施形態以外にも、例えば、直孔部の両側にそれぞれ設けられた拡径部のうち、一方の拡径部の軸方向に対するテーパ角を、他方の拡径部の軸方向に対するテーパ角よりも小さくすることもできる。こうした実施形態においても、軸受本体(焼結体)をFe−Cu系の焼結金属により形成し、少なくとも一方の拡径部、または一方と他方の拡径部の摩擦面において、直孔部の摩擦面よりも、Fe−Cu系の焼結金属を構成するFe相の面積が大きく、かつCu相の面積が小さくなるように形成する。

0074

以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

0075

(検証例1)図1に示した第1実施形態の焼結含油軸受10において、第1領域3Aにおける内周面Sの面積に対するCu相が占める面積比の好ましい比率を検証した。 検証にあたって、第1領域3Aの内周面Sの面積に対するCu相の面積比を互いに変えた以下の表1に示すサンプル1〜4の焼結含油軸受10を作成した。 サンプル1は、全体の混合比率をFe−15wt%Cu−2wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。サンプル2は、全体の混合比率をFe−20wt%Cu−2wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。サンプル3は、全体の混合比率をFe−10wt%Cu−1wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。サンプル4は、全体の混合比率をFe−1wt%Cu−0.5wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。 得られたサンプル1〜4の焼結含油軸受10の第1領域3Aの内周面Sの面積に対するCu相の面積比は、 内周面Sの面積に対するCu相が占める面積比は、実施形態で示す方法で求めた。

0076

0077

上述したそれぞれのサンプル1〜4について、摩擦係数を測定した。測定にあたっては、図1に示す焼結含油軸受10において、第1領域3Aの軸線Oに沿った中央部分3ASの位置に負荷を掛けた状態で回転軸2を回転させて摺動試験を行い、摩擦係数を算出した。測定条件は、以下のとおりである。1.回転軸2の周速:100m/min2.負荷:1MPa3.測定環境温度:室温4.回転時間:1800秒

0078

以上のような条件で行った検証例1の結果を表2および図8に示す。

0079

0080

表2、図8に示す検証例1の結果によれば、サンプル1、サンプル2の摩擦係数はサンプル3、サンプル4と比較して格段に低く、図1に示す焼結含油軸受10の第1領域3Aにおける内周面Sの面積に対するCu相が占める面積比を50%以上にすることによって、摩擦係数の大きな低減効果が得られることが確認された。

0081

(検証例2)図1に示した第1実施形態の焼結含油軸受10において、第2領域3B(表3の第2領域(B))における内周面Sの面積に対するCu相が占める面積比の好ましい比率を検証した。 検証にあたって、第2領域3A(表3の第1領域(A))の内周面Sの面積に対するCu相の面積比を互いに変えた以下の表3に示すサンプル5〜9の焼結含油軸受10を作成した。 サンプル5は、全体の混合比率をFe−60wt%Cu−3wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。サンプル6は、全体の混合比率をFe−20wt%Cu−2wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。サンプル7は、全体の混合比率をFe−25wt%Cu−2wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。サンプル8は、全体の混合比率をFe−18wt%Cu−2wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。サンプル9は、全体の混合比率をFe−1wt%Cu−0.5wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。 内周面Sの面積に対するCu相が占める面積比は、実施形態で示す方法で求めた。

0082

0083

上述したそれぞれのサンプル5〜9について、摩擦係数、摩耗量を測定した。測定にあたっては、図1に示す焼結含油軸受10において、第1領域3Aの軸線Oに沿った中央部分3ASから2mmオフセットした位置に負荷を掛けた状態で回転軸2を回転させて摺動試験を行い、摩擦係数を算出した。測定条件は、以下のとおりである。1.回転軸2の周速:25m/min2.負荷:5MPa3.測定環境温度:室温4.回転時間:1800秒 摩耗量はシリンダーゲージを用いて測定した。

0084

以上のような条件で行った検証例2の結果を表4および図9に示す。

0085

0086

表4、図9に示す検証例2の結果によれば、Cu相が占める面積が大きくなる程、摩擦係数が低くなって摩擦抵抗を低減できる。一方で、Cu相が占める面積が小さくなる程、耐摩耗性が向上することが確認された。

0087

(検証例3)図3に示した第2実施形態の焼結含油軸受20において、第1領域4A(表5の第1領域(A))を成す直孔部4aにおけるCu相が占める面積、および第2領域4B(表5の第2領域(B))を成す第1の拡径部4bにおけるCu相が占める面積の比率と、摩擦係数および摩耗量との関係を検証した。 検証にあたって、直孔部4aにおけるCu相および第1の拡径部4bにおけるCu相の面積比を互いに変えた以下の表5に示すサンプル10〜12の焼結含油軸受20を作成した。 サンプル10は、全体の混合比率をFe−20wt%Cu−2wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。サンプル11は、全体の混合比率をFe−25wt%Cu−2wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。サンプル12は、全体の混合比率をFe−18wt%Cu−2wt%Snとした混合粉を用い、Cu配合比率を各領域で変化させるようにして金型内に導入し焼結して得た。内周面Sの面積に対するCu相が占める面積比は、実施形態で示す方法で求めた。

0088

0089

上述したそれぞれのサンプル10〜12について、摩擦係数、摩耗量を測定した。測定にあたっては、図3に示す焼結含油軸受20において、第1領域4Aの軸線Oに沿った中央部分4ASからオフセットするように負荷を掛け、拡径部4b,4cで摺動させた状態で回転軸2を回転させて摺動試験を行い、摩擦係数を算出した。測定条件は、以下のとおりである。1.回転軸2の周速:25m/min2.負荷:5MPa3.測定環境温度:室温4.回転時間:1800秒 摩耗量はシリンダーゲージを用いて測定した。

0090

以上のような条件で行った検証例3の結果を表6および図10に示す。

0091

実施例

0092

表6、図10に示す検証例3の結果によれば、回転軸2が傾斜するように回転させた場合、回転軸2が当接する第1の拡径部4bにおけるCu相が占める面積を増加させることによって、摩擦係数を低減できることが確認された。

0093

1,11,12軸受本体(焼結体) 2回転軸3a,13a,23a 直孔部 3b,13b,23b 第1の拡径部 3c,13c,23c 第2の拡径部 10,20,30,40焼結含油軸受(軸受)

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

この 技術と関連性が強い技術

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い法人

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い人物

該当するデータがありません

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ