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技術 水頭症の治療用医薬組成物

出願人 国立大学法人熊本大学
発明者 太田訓正伊藤尚文アハメドシャーアディルイッシティアック
出願日 2017年10月23日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-547658
公開日 2019年9月19日 (7ヶ月経過) 公開番号 WO2018-079493
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 患者様 予備検査 シャントチューブ 針付き注射器 中脳水道 白灯油 周知慣用 化学分解法
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題・解決手段

本発明の目的は、新たな水頭症の予防又は治療用医薬組成物、及び患者への負担の大きくない診断用キットを提供することであり、また、新たな水頭症の予防及び治療方法、並びに患者への負担の軽減された水頭症の診断方法を提供することである。本発明は、Tsukushiタンパク質を含む水頭症の予防又は治療用医薬組成物、Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出することを含む水頭症の診断方法などを提供する。

概要

背景

水頭症は、過剰な脳脊髄液が頭の中に溜まることで脳を圧迫する病気で、新生児の場合は致死的な場合もある。「特発性正常圧水頭症」と診断された患者は全国で年間13,000人と推計され、後天性「特発性正常圧水頭症」の症状では、頭痛視神経の圧迫による失明記憶障害行動異常など、神経異常による病態が観察される。治療法としては、脳室腹腔シャント術や腰椎−腹腔シャント術が開発されているが、新たな治療法の開発が求められている。

外科的介入以外の水頭症の治療方法としては、肝細胞成長因子(HGF)を脳室内投与する方法(特許文献1)や、生物利用性フォレート誘導体又はその塩を用いる方法(特許文献2)などがこれまで開示されている。

また、特許文献3には、髄腔スモールロイシンリッチプロテオグリカン(SLRP)であるデコリンを投与することにより、SLRPを中央神経組織へ直接投与することなく、脳脊髄液(CSF)へ注入する方法について記載されている。

概要

本発明の目的は、新たな水頭症の予防又は治療用医薬組成物、及び患者への負担の大きくない診断用キットを提供することであり、また、新たな水頭症の予防及び治療方法、並びに患者への負担の軽減された水頭症の診断方法を提供することである。本発明は、Tsukushiタンパク質を含む水頭症の予防又は治療用医薬組成物、Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出することを含む水頭症の診断方法などを提供する。

目的

本発明の目的は、新たな水頭症の予防又は治療用医薬組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

Tsukushiタンパク質を含む、水頭症の予防又は治療用医薬組成物

請求項2

前記Tsukushiタンパク質が、遺伝子組換え技術により製造されたTsukushiタンパク質である、請求項1に記載の医薬組成物

請求項3

前記Tsukushiタンパク質が、(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質、又は(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1又は複数個アミノ酸欠失及び/又は置換及び/又は挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつ水頭症の予防又は治療作用を有するタンパク質、但し、208位のアルギニンシステインへの置換を除く、である請求項1又は2に記載の医薬組成物。

請求項4

前記Tsukushiタンパク質が、水頭症を罹患している哺乳動物脳室内に直接又は間接的に投与されるようの製剤化されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の医薬組成物。

請求項5

請求項1〜4のいずれか一つに記載の医薬組成物を哺乳動物に有効量投与することを含む、哺乳動物における水頭症の予防又は治療方法

請求項6

Tsukushiタンパク質の変異を検出することによって、被験哺乳動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有することを判定する方法であって、(1)該被検哺乳動物由来生体試料において、R208C、S248N及びV308Iからなる群より選択される置換型Tsukushiタンパク質又は該置換型Tsukushiタンパク質をコードする核酸を検出する工程、(2)工程(1)において置換型Tsukushiタンパク質又は該置換型Tsukushiタンパク質をコードする核酸の存在が検出された場合に、被検哺乳動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有することを判定する工程、を含む、方法。

請求項7

前記Tsukushiタンパク質の変異がR208Cである、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記被検哺乳動物がヒトである、請求項6又は7に記載の方法。

請求項9

前記Tsukushiタンパク質の変異を、生体試料中のDNA又はRNAを用いて検出する請求項6〜8のいずれか一つに記載の方法。

請求項10

生体試料が脳脊髄液又は血液である、請求項6〜9のいずれか一つに記載の方法。

請求項11

生体試料が血液である、請求項10に記載の方法。

請求項12

R208C、S248N及びV308Iからなる群より選択されるTsukushiタンパク質のアミノ酸置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出し得る核酸。

請求項13

前記核酸が、1)配列番号2で示される塩基配列の622番目塩基におけるシトシンチミンウラシル)への変異、2)配列番号2で示される塩基配列の743番目の塩基におけるグアニンアデニンへの変異、及び3)配列番号2で示される塩基配列の922番目の塩基におけるグアニンのアデニンへの変異からなる群から選ばれる少なくとも1つの変異部位を含むヌクレオチドであって、配列番号2で示される塩基配列の5〜100塩基からなる部分配列又はその部分配列の相補配列又はそれらのいずれかの配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズし得る配列からなるヌクレオチド又はその標識物からなる請求項12に記載の核酸。

請求項14

請求項12又は13に記載の核酸を含む、水頭症の診断用キット

技術分野

0001

本発明は、Tsukushiタンパク質を含む水頭症の予防又は治療用医薬組成物、及びTsukushiタンパク質のアミノ酸置換又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出することを含む水頭症の診断方法などに関するものである。

背景技術

0002

水頭症は、過剰な脳脊髄液が頭の中に溜まることで脳を圧迫する病気で、新生児の場合は致死的な場合もある。「特発性正常圧水頭症」と診断された患者は全国で年間13,000人と推計され、後天性「特発性正常圧水頭症」の症状では、頭痛視神経の圧迫による失明記憶障害行動異常など、神経異常による病態が観察される。治療法としては、脳室腹腔シャント術や腰椎−腹腔シャント術が開発されているが、新たな治療法の開発が求められている。

0003

外科的介入以外の水頭症の治療方法としては、肝細胞成長因子(HGF)を脳室内投与する方法(特許文献1)や、生物利用性フォレート誘導体又はその塩を用いる方法(特許文献2)などがこれまで開示されている。

0004

また、特許文献3には、髄腔スモールロイシンリッチプロテオグリカン(SLRP)であるデコリンを投与することにより、SLRPを中央神経組織へ直接投与することなく、脳脊髄液(CSF)へ注入する方法について記載されている。

先行技術

0005

国際公開第2006/519686号
国際公開第2009/019478号
国際公開第2012/088133号

発明が解決しようとする課題

0006

本発明の目的は、新たな水頭症の予防又は治療用医薬組成物を提供することである。本発明はまた、患者への負担の大きくない、水頭症の診断用キットを提供することである。本発明はまた、新たな水頭症の予防及び治療方法、並びに患者への負担の軽減された水頭症の診断方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、脊椎動物のみに存在するタンパク質Tsukushiを見いだし、これまでその解析を行ってきた。ヒトTsukushi(TSK)タンパク質は353アミノ酸から構成される。また、TSKはSmall Leucine-Rich Proteoglycan(SLRP)ファミリーサブクラスIVに属し、このクラス分けにはN末端側に存在するシステインリッチドメインを構成するシステインの数とその配置が重要な要素となる(図1)。
本発明者らは、TSKノックアウト(KO)マウスを作製し、その表現系解析を行った。その結果、TSKKOマウスの脳の大きさは野生型マウスと比べ小さく、脳室が拡大(水頭症患者の症状)していることを見いだした。水頭症の主な原因と考えられている脳室表面の繊毛の構造とその動きを調べたが、野生型と同じであり、また、脳脊髄液の通り道である中脳水道と高連下器官の構造も野生型と同様に正常であった。そこで、脳神経ニッチを構成する神経幹細胞神経前駆細胞ニューロブラストの増殖を調べたところ、全ての細胞の増殖が亢進していた。さらに、これらの細胞をTunnel法で調べてみると、TSK KOマウスでは野生型マウスと比べ細胞死が異常に誘導されていたことから、TSK KOマウスの脳では細胞増殖と細胞死のバランス乱れ、その結果、脳のサイズが減少し、脳室が拡大したことが明らかになった。
さらに本発明者らは、原因不明の水頭症患者様(13名)のゲノムDNAを解析したところ、水頭症患者にTsukushi遺伝子の変異がみとめられることを見出した。
また、本発明者らは、TSKタンパク質を脳室の周辺で過剰に産生するトランスジェニックマウスにおいて、脳室の拡大がレスキューされること、さらに、TSKタンパク質を脳室に直接投与することによっても、脳室の拡大がレスキューされることを見出した。

0008

発明者らはこれらの発見に基づいて鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の態様を含むものである:
[1]Tsukushiタンパク質を含む、水頭症の予防又は治療用医薬組成物。
[2]前記Tsukushiタンパク質が、遺伝子組換え技術により製造されたTsukushiタンパク質である、上記[1]に記載の医薬組成物
[3]前記Tsukushiタンパク質が、水頭症を罹患している哺乳動物の脳室内に直接又は間接的に投与されるように製剤化されていることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の医薬組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれか一つに記載の医薬組成物を哺乳動物に有効量投与することを含む、哺乳動物における水頭症の予防又は治療方法。
[5]被験哺乳動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有することを判定する方法であって、
(1)該被検動物由来生体試料において、R208C、S248N及びV308Iからなる群より選択される置換型Tsukushiタンパク質又は該置換型Tsukushiタンパク質をコードする核酸を検出する工程、
(2)工程(1)において置換型Tsukushiタンパク質又は該置換型Tsukushiタンパク質をコードする核酸の存在が検出された場合に、被検哺乳動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有することを判定する工程、
を含む、方法。
[6]Tsukushiタンパク質の変異がR208Cである、上記[5]に記載の方法。
[7]前記被検哺乳動物がヒトである、上記[5]又は[6]に記載の方法。
[8]前記Tsukushiタンパク質の変異を、生体試料中のDNA又はRNAを用いて検出する上記[5]〜[7]のいずれか一つに記載の方法。
[9]生体試料が脳脊髄液又は血液である、上記[5]〜[8]のいずれか一つに記載の方法。
[10]生体試料が血液である、上記[9]に記載の方法。
[11]R208C、S248N及びV308Iからなる群より選択されるTsukushiタンパク質のアミノ酸置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出し得る核酸。
[12]上記[11]に記載の核酸を含む、水頭症の診断用キット。
[13]前記Tsukushiタンパク質の変異を、生体試料(好ましくは、脳脊髄液又は血液)中の置換型Tsukushiタンパク質に対する抗体を用いて検出する上記[5]〜[7]のいずれか一つに記載の方法。

発明の効果

0009

本発明によれば、新たな水頭症の予防及び/又は治療方法を提供することが可能となる。また本発明によれば、患者への負担の軽減された水頭症の診断方法を提供することが可能となる。従って、本発明は水頭症の診断、予防及び治療の提供という観点から特に有用である。本発明によれば、Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換、又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出することにより、被検動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有することを判定することができる。

図面の簡単な説明

0010

図1は、Tsukushi (TSK)の一次構造を示す図である。
図2は、TSKノックアウトマウス(TSK-/-)の脳(下)が、野生型マウス(WT)の脳(上)と比較して、小さく、そして脳室が拡張していることを示す図である。
図3は、TSK-/- の繊毛の構造と動きは野生型マウスと同様であることを示す図である。
図4は、TSK-/- の高連下器官と中脳水道の構造は野生型マウスと同様であることを示す図である。
図5は、TSK-/- では、ニッチを構成する細胞の増殖が亢進していることを示す図である。
図6は、野生型マウスの脳と比較して、TSK-/- では、細胞死が誘導されていることを示す図である。
図7は、ヒトTsukushiタンパク質には4箇所のアミノ酸置換が存在することを示す図である。
図8は、208番目のアミノ酸置換によりTsukushiの機能が阻害されることを示す図である。
図9は、TSKタンパク質の過剰発現により、TSK-/- の脳室の拡張がレスキューされることを示す図である。
図10は、TSKタンパク質を脳室に直接投与することにより、脳室の拡張がレスキューされることを示す図である。

0011

以下、本発明を、例示的な実施態様を例として詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施態様に限定されるものではない。
なお、文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。また、本明細書に記載されたものと同等又は同様の任意の材料および方法は、本発明の実施において同様に使用することができる。
また、本明細書に記載された発明に関連して本明細書中引用されるすべての刊行物および特許は、例えば、本発明で使用できる方法や材料その他を示すものとして、本明細書の一部を構成するものである。
本明細書において「及び/又は」は、いずれか一方、あるいは、両方を包含する意味で使用される。

0012

本発明は、Tsukushiタンパク質を含む、水頭症の予防又は治療用医薬組成物(本明細書中、本発明の医薬組成物とも称する)を提供する。本発明はさらに、Tsukushiタンパク質をそれを必要とする対象に有効量投与することを含む、水頭症の予防又は治療方法(本明細書中、本発明の予防又は治療方法とも称する)を提供する。
また本発明は、被検動物由来の生体試料においてTsukushiタンパク質のアミノ酸置換、又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出する工程を含む、被検動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有することを判定する方法(本明細書中、本発明の判定方法とも称する)を提供する。より詳細には、本発明は、被検動物の生体試料を用いて、配列番号1に示されるヒトTsukushiタンパク質アミノ酸配列中の、208位、248位及び308位からなる群より選択されるアミノ酸残基に相当するアミノ酸残基が置換されている置換型Tsukushiタンパク質を検出することを含む、該被検動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有することを判定する方法を提供する。さらに本発明は、Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出する物質を含む、水頭症の診断用キット(本明細書中、本発明の診断用キットとも称する)を提供する。

0013

1. Tsukushiタンパク質を含む、水頭症の予防又は治療用医薬組成物。
本発明は、Tsukushiタンパク質を含む、水頭症の予防又は治療用医薬組成物を提供する。

0014

本明細書中、「水頭症」とは、脳室が拡大する病態を意味し、非交通性水頭症(non-communicating hydrocephalus)である小児水頭症、急性水頭症など、交通性水頭症(communicating hydrocephalus)である特発性又は続発性正常圧水頭症など、並びに既知の水頭症に分類されない原因不明の水頭症が包含されるものとする。

0015

本発明の医薬組成物に用いられるTsukushiタンパク質は、脳室サイズ拡大の抑制、拡大した脳室サイズの改善又は脳室サイズの正常化作用などの所望の予防又は治療作用を有する限り特に限定されないが、好ましくは、本発明の予防又は治療用医薬組成物に用いられるTsukushiタンパク質は、以下の(a)〜(c)のいずれかであり、より好ましくは以下の(a)又は(b)であり、さらに好ましくは(a)である。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失及び/又は置換及び/又は挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列(但し、208位のアルギニンのシステインへの置換を除き、好ましくはさらに、248位のセリンアスパラギンへの置換及び308位のバリンイソロイシンへの置換を除く)を有し、かつ水頭症の予防又は治療作用を有するタンパク質
(c)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質の、他の哺乳動物におけるオルソログであって、水頭症の予防又は治療作用を有するタンパク質

0016

上記(b)に関し、より具体的には、(i)配列番号1に示されるアミノ酸配列中の1〜50個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜数(5、4、3若しくは2)個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(ii)配列番号1に示されるアミノ酸配列に1〜50個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜数(5、4、3若しくは2)個のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、(iii)配列番号1に示されるアミノ酸配列に1〜50個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜数(5、4、3若しくは2)個のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、(iv)配列番号1に示されるアミノ酸配列中の1〜50個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜数(5、4、3若しくは2)個のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、又は(v)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含むタンパク質が挙げられる。

0017

上記(b)に関し、配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸が欠失及び/又は置換及び/又は挿入及び/又は付加されたアミノ酸配列(但し、208位のアルギニンのシステインへの置換、248位のセリンのアスパラギンへの置換及び308位のバリンのイソロイシンへの置換を除く)を有し、かつ水頭症の予防又は治療作用を有するタンパク質であることがより好ましく、さらに好ましくは208位のアルギニン、248位のセリン及び308位のバリンが置換されていない。

0018

本明細書中、上記(b)の配列における「208位のアルギニン」とは、当該配列において、配列番号1で示されるアミノ酸配列中の208番目のアミノ酸残基であるアルギニン残基に相当する、上記(b)の配列中のアルギニン残基を意味する。従って、上記(b)の配列における「208位のアルギニンの置換」とは、配列番号1の208番目のアミノ酸残基であるアルギニン残基に相当する、上記(b)の配列中のアミノ酸残基が置換されていることを意味する。
本明細書中、上記(b)の配列における「248位のセリン」とは、当該配列において、配列番号1で示されるアミノ酸配列中の248番目のアミノ酸残基であるセリン残基に相当する、上記(b)の配列中のセリン残基を意味する。従って、上記(b)の配列における「248位のセリンの置換」とは、配列番号1の248番目のアミノ酸残基であるセリン残基に相当する、上記(b)の配列中のアミノ酸残基が置換されていることを意味する。
本明細書中、上記(b)の配列における「308位のバリン」とは、当該配列において、配列番号1で示されるアミノ酸配列中の308番目のアミノ酸残基であるバリン残基に相当する、上記(b)の配列中のバリン残基を意味する。従って、上記(b)の配列における「308位のバリンの置換」とは、配列番号1の308番目のアミノ酸残基であるバリン残基に相当する、上記(b)の配列中のアミノ酸残基が置換されていることを意味する。

0019

例えば、アミノ酸置換を生じるヒトTsukushiの多型としては、配列番号1の341位のアスパラギン酸グルタミン酸に置換したもの、配列番号1の344位のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換したもの等が挙げられる。

0020

さらに、性質の似たアミノ酸(例えば、グリシンアラニン、セリンとトレオニン、アスパラギン酸とグルタミン酸、アスパラギンとグルタミンリシンとアルギニン、システインとメチオニンフェニルアラニンチロシン等)同士の置換等であれば、より多くの個数の置換等があり得る。上述のようにアミノ酸が欠失、置換又は挿入されている場合、その欠失、置換、挿入の位置は、水頭症の予防又は治療作用が保持される限り、特に限定されない。

0021

上記(c)においてヒト以外の哺乳動物種由来のTsukushiタンパク質のオルソログとしては、サルブタ、マウス等のTsukushiタンパク質等があげられる。例えば、マウスTsukushiアミノ酸配列は、NCBIデータベースにBAD98727として登録されている。なお、ヒトTsukushiタンパク質のアミノ酸配列は、NCBIACCESSION No. Q8WUA8として登録されている。

0022

上記配列のみならず、他の哺乳動物におけるTsukushi遺伝子又はその遺伝子産物は、配列番号2に示されるヒトTsukushicDNA塩基配列又は配列番号1に示されるアミノ酸配列をクエリーにして、ヒト以外の哺乳動物のゲノム及び/若しくはcDNAのデータベース又はタンパク質のデータベースに対して、BLASTFASTAを用いて検索を行う等により、所望の種由来のTsukushiの塩基配列及びアミノ酸配列を取得することができる。

0023

本発明の医薬組成物に用いられるTsukushiタンパク質は、その安定性、可溶性又は安全性などを高めるという観点から、所望の効果を損なわない限り、修飾されたタンパク質であってもよく、また修飾されていないものであってもよい。また、修飾されたタンパク質を用いる場合、タンパク質への修飾は一種であってもよく、複数種類の修飾を組み合わせてもよい。
例えば、本発明の医薬組成物に含まれるTsukushiタンパク質は、所望の効果を損なわない限りにおいて、生体内での安定性を高めるなどの目的のもと、公知の報告に記載の方法を用いて修飾することができる。これに限定されないが、本発明の医薬組成物に含まれるTsukushiタンパク質は、糖鎖が付加されたもの、ポリエチレングリコール(PEG)鎖が付加されたもの、あるいはポリペプチドを構成するアミノ酸の少なくとも一部としてD体アミノ酸を用いたものであってもよく、さらには、ナノ粒子リポソームとともに用いることもできる。
タンパク質に対する糖鎖付加は周知であり、例えば、Sato et al., J Am Chem Soc. 2004 Nov 3;126(43):14013-22やSato et al., Angew Chem Int Ed Engl. 2004 Mar 12;43(12):1516-20等に記載されている。
タンパク質に対するPEG鎖の付加も周知であり、例えば、Ulbricht et al., Clin Nephrol. 2006 Mar;65(3):180-90やDharap et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 Sep 6;102(36):12962-7等に記載されている。
タンパク質を構成するアミノ酸の少なくとも一部をD体とする方法も周知であり、例えば、Brenneman et al., J Pharmacol Exp Ther. 2004 Jun;309(3):1190-7 やWilkemeyer et al., J Pharmacol Exp Ther. 2004 Jun;309(3):1183-9等に記載されている。
本発明の医薬組成物に用いられるTsukushiタンパク質への修飾は、上記に例示したものに限られず、所望の効果を得られる限り、特に制限されない。

0024

本発明の医薬組成物に用いられるTsukushiタンパク質は、所望の効果を得られる限り、薬理学的に許容し得る塩、例えばナトリウムカリウムなどのアルカリ金属塩カルシウムマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩アンモニウム塩などの無機塩基との塩、及びトリエチルアミンピリジンピコリンエタノールアミントリエタノールアミンジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどの有機アミン塩、及び塩酸臭化水素酸硫酸リン酸などの無機酸塩、及びギ酸酢酸トリフルオロ酢酸マレイン酸酒石酸などの有機カルボン酸塩、及びメタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸付加塩、及びアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などの塩基性又は酸性アミノ酸といった塩基との塩又は酸付加塩などの塩であってもよい。

0025

本発明において用いられるTsukushiタンパク質は、当分野で公知の方法によって調製され得る。水頭症の予防又は治療作用を有するTsukushiタンパク質が得られる限り特に限定されるものではないが、タンパク質の標準的な調製方法としては、天然物からの精製、組換えDNA技術、排除固相合成、部分固相合成法液相合成法フラグメント縮合、古典的溶液合成またはこれらを組み合わせた方法などが挙げられる。

0026

本発明の医薬組成物は、水頭症の予防又は治療作用などの所望の効果を有する限り、経口、非経口(髄腔内、筋肉内、腹腔内、静脈内(IV)又は皮下注射経皮受動的に又はイオン導入法若しくは電気穿孔法を使用して)、硬膜内投与、髄膜内投与、脊髄硬膜外投与、脊髄くも膜下腔内投与、側脳室内投与、大槽内投与、経粘膜直腸又は下)投与経路による投与、又は脳室−腹腔シャント(V-Pシャント)術若しくは腰部くも膜下腔脳脊髄液短絡(L-P シャント)術におけるシャントチューブを介して投与され得る。

0027

一態様において、本発明の医薬組成物は、非経口投与される。
一態様において、本発明の医薬組成物は、小脳延髄槽大槽)、頚部胸部、腰部、および仙骨部脊髄レベルにおける髄腔から成る群より選択される髄腔の一部へ投与することにより、脳脊髄液(CSF)へ注入される(例えば、WO2012/088133参照)。
別の態様において、本発明の医薬組成物は、小脳延髄槽(大槽)、頚部、胸部、腰部、及び仙骨部の脊髄レベルにおける髄腔以外の部位へ注入される。

0028

本発明の医薬組成物は、その投与経路に応じて、薬理学的に許容される担体を含んでいてもよい。当業者であればかかる状況に適切な担体を適宜選択することができる。選択可能な担体としては、例えば、ショ糖デンプンマンニットソルビット乳糖グルコースセルロースタルクリン酸カルシウム炭酸カルシウム等の賦形剤;セルロース、メチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースポリプピルピロリドンゼラチンアラビアゴム、ポリエチレングリコール、ショ糖、デンプン等の結合剤;デンプン、カルボキシメチルセルロースヒドロキシプロピルスターチ、ナトリウム−グリコールスターチ炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム等の崩壊剤ステアリン酸マグネシウムエアロジル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム等の滑剤安息香酸ナトリウム亜硫酸水素ナトリウムメチルパラベンプロピルパラベン等の保存剤クエン酸クエン酸ナトリウム、酢酸等のpH調節剤;メチルセルロース、ポリビニルピロリドンステアリン酸アルミニウム等の懸濁剤界面活性剤等の分散剤;水、生理食塩水エタノールプロピレングリコール等の溶解剤;グルコース、塩化ナトリウム塩化カリウム等の等張化剤カカオ脂、ポリエチレングリコール、白灯油等のベースワックスなどがあげられるが、それらに限定されるものではない。また、これらの担体は単独の作用に限定されず、複数の作用を発揮する目的で使用することができる。

0029

好ましくは、本発明の医薬組成物は、非経口投与用として製剤化される。
非経口投与のための製剤は、注射用滅菌溶液などを含む、使用の直前溶媒と組み合わせることができる滅菌乾燥可溶性製品、例えば凍結乾燥粉末、注射用滅菌懸濁液、使用の直前にビヒクルと組み合わせることができる滅菌乾燥不溶性製品、及び滅菌乳剤を含む。溶液水性又は非水性のいずれでもよい。
一実施態様において、本発明の医薬組成物は、非経口投与用の注射剤として調製され得る。注射剤は、任意の従来の形態で、例えば液体溶液若しくは懸濁液として、注射の前に液体に溶解する若しくは懸濁するのに適した固体形態として、又は乳剤として調製され得る。

0030

本発明の医薬組成物は、一度に投与され得るか、又は時間間隔を置いて投与される、複数のより小用量に分割され得る。本発明の医薬組成物は、単位投与量などの小用量ごとに、アンプルバイアル又は針付き注射器包装され得る。非経口投与のためのすべての製剤は、当分野において公知であり、無菌でなければならない。

0031

本発明の医薬組成物中のTsukushiタンパク質の濃度は、所望の薬理作用を生じさせるのに十分な予防上又は治療上有効量が投与されるように調整され得る。有効量は、疾患状態の症状を予防又は改善するために十分であるよう、経験的に決定され得る。Tsukushiタンパク質の正確な濃度及び/又は使用される用量は、当分野で公知のように最終的には患者又は動物年齢、体重及び状態に依存する。また、本発明の医薬組成物の投与の頻度は、本発明の医薬組成物を投与される被験動物内の化合物半減期などに依存して適宜決定され得る。

0032

本発明の医薬組成物の投与対象となり得る動物としては、例えば、哺乳動物(例:ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマイヌネコヒツジヤギウサギハムスターモルモット、マウス、ラット等)、鳥類(例:ニワトリ等)などが挙げられ、好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。本発明の判定方法において水頭症の素因を有すると判定された被検動物もまた好ましい投与対象である。

0033

2. Tsukushiタンパク質を哺乳動物に有効量投与することを含む、哺乳動物における水頭症の予防又は治療方法
本発明の一態様として、Tsukushiタンパク質(好ましくは本発明の医薬組成物)を哺乳動物に予防又は治療上有効量投与することを含む、哺乳動物における水頭症の予防又は治療方法(本明細書中、本発明の予防又は治療方法とも称する)を提供する。
本発明の予防又は治療方法に用いられるTsukushiタンパク質、その投与対象、投与方法などについては、本発明の医薬組成物について記載した部分に準ずる。
本発明の予防又は治療方法において、有効量とは、対象に投与されると、予防上又は治療上の有用性をもたらすのに十分な、活性成分(すなわちTsukushiタンパク質)の量を指す。

0034

3. Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換を検出する工程を含む、被検動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有することを判定する方法
本発明はさらに、被検動物由来の生体試料において、Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出する工程を含む、被検動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有することを判定する方法(本明細書中、本発明の判定方法とも称する)、水頭症の素因を有する被検動物の同定方法、あるいは水頭症の診断又は素因の評価のためのデータを収集する方法を提供する。

0035

一態様として、本発明は、被検動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有することを判定する方法であって、
(1)該被検動物由来の生体試料において、R208C、S248N及びV308Iからなる群より選択されるTsukushiタンパク質のアミノ酸置換、又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出する工程、
(2)工程(1)においてTsukushiタンパク質のアミノ酸置換又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異の存在が検出された場合に、被検動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有すると判定する工程、
を含む、方法を提供する。
該被検動物由来の生体試料は、該被検動物から生体試料を採取する工程により得ることができる。

0036

本明細書中、Tsukushiタンパク質のR208C置換とは、配列番号1に示されるアミノ酸配列における208番目のアミノ酸であるアルギニンの、システインへの置換を意味する。
本明細書中、Tsukushiタンパク質のS248N置換とは、配列番号1に示されるアミノ酸配列における248番目のアミノ酸であるセリンの、アスパラギンへの置換を意味する。
本明細書中、Tsukushiタンパク質のV308I置換とは、配列番号1に示されるアミノ酸配列における308番目のアミノ酸であるバリンの、イソロイシンへの置換を意味する。

0037

好ましい一態様において、本発明の判定方法の工程(1)におけるTsukushiタンパク質のアミノ酸置換は、R208C置換又はS248N置換であり、より好ましくはR208C置換である。

0038

本明細書中、Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異は、当該置換をもたらす限り特に限定されない。
Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異の例としては、
1)配列番号2で示される塩基配列の622番目の塩基における、シトシンからチミンウラシル)への変異、
2)配列番号2で示される塩基配列の743番目の塩基における、グアニンからアデニンへの変異、
3)配列番号2で示される塩基配列の922番目の塩基における、グアニンからアデニンへの変異、
が挙げられる。
好ましく検出されるTsukushi遺伝子の変異としては、上記1)及び2)であり、より好ましくは上記1)である。

0039

本発明の判定方法において、Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換の検出は、被検動物より採取した生体試料中に、アミノ酸が置換されたTsukushiタンパク質(置換型Tsukushiタンパク質)が存在するか否かを調べることにより行うことができる。置換型Tsukushiタンパク質の存在又は非存在は、自体公知の方法により検出することができる。

0040

一態様において、Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換の検出は、被検動物より採取した生体試料からTsukushiタンパク質を単離し、単離したTsukushiタンパク質のアミノ酸配列を直接解析することによって検出することができる。Tsukushiタンパク質のアミノ酸配列解析は、エドマン分解法酵素分解法質量分析法などの公知のアミノ酸配列解析方法やこれらの組み合わせにより行うことができる。タンパク質やペプチドのアミノ酸配列解析の例としては、タンパク質やペプチドのN末端からアミノ酸を一つずつ切り出して(エドマン分解法)高速液体クロマトグラフHPLC分析を行ってアミノ酸配列を決定する方法や、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI法)などを用いた飛行時間型質量分析法(TOF MS)を用いる方法(MALDI−TOFMS)などが挙げられるが、これらに限定されない。また、単離されたTsukushiタンパク質を酵素などで消化後に、得られたペプチドをアミノ酸配列解析に付してもよく、消化されていないタンパク質を用いてもよい。

0041

また別の態様において、Tsukushiタンパク質の変異の検出は、被検動物より採取した生体試料中に置換型Tsukushiタンパク質が存在するか否かを調べることによっても検出することができる。例えば、置換型Tsukushiタンパク質とは結合するが、野生型(非置換型)のTsukushiタンパク質と結合しない抗Tsukushiタンパク質抗体を用いて、抗原抗体反応を利用したイムノアッセイ法により置換型タンパク質を検出することができる。抗原抗体反応を利用したイムノアッセイ法の例としては、ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)、イムノドットブロットイムノクロマトグラフィーラテックス等の粒子を利用した凝集法ウエスタンブロット等が挙げられる。

0042

本発明の判定方法において、上記アミノ酸置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異の検出は、被検動物より採取した生体試料中に、該置換型Tsukushiタンパク質をコードする核酸が存在するか否かを調べることにより行うことができる。アミノ酸置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異の存在又は非存在は、自体公知の方法により調べることができる。

0043

該アミノ酸置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異の検出は、被検動物より採取した生体試料を用いて自体公知の方法により行うことができる。例えば、該生体試料よりDNA又はRNAを抽出して、単離したDNA又はRNAを用いて変異を検出してもよい。従って、本発明の判定方法は、生体試料よりDNA又はRNAを抽出する工程を含み得る。DNA(好ましくはゲノムDNA)又はRNAの抽出は、当該分野において自体公知の方法を用いて行うことができる。

0044

変異の検出方法の例としては、サンガー法ジデオキシ法サイクルシークエンス法及びMaxam−Gilbert法(化学分解法)等の公知の方法により核酸のヌクレオチド配列を決定して変異を検出する方法、特異的なプローブや該プローブを固定化したマイクロアレイDNAチップ)などを用いるハイブリダイゼーションにより変異を検出する方法、制限断片長多型(RFLP)を利用して変異を検出する方法、変異型核酸ハイブリダイスできないオリゴヌクレオチドプライマーとして用いる方法(アレル特異的オリゴヌクレオチドASO)法、アレル特異的増幅(ASA)法など)、ミスマッチ部位化学的切断を利用して変異を検出する方法(CCM)、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE法)、プライマー伸長法(TaqMan(登録商標)法)、一本鎖高次構造多型(PCR-SSCP)法、Scorpions−ARMS(Amplification Refractory Mutation System)法、PCR-invader(登録商標)法(J Mol Diagn. 2004 May; 6(2): 137-144.)、ピロシークエンシング法、PNA-LNA PCR-Clamp法、Cycleave-PCR法及びMALDI−TOFMSを用いて変異を検出する方法などが挙げられるが、これらに限定されない。また、無数DNA断片の塩基配列を同時並行的に決定することができる次世代シーケンサーを用いた方法も利用することができる。次世代シーケンサーとしては、Genome Sequencer-FLX (GS-FLX)(Roche社)、Illumina HiSeq/MiSeq(Illumina社)、Genome Analyzer IIx(GAIIx)(Illumina社)、PacBio RS II(Pacific Biosciences社)等を用いることができる。

0045

該アミノ酸置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出するためのプローブは、当業者であれば選択した検出方法に基づいて適宜設計することができる。本発明は、該プローブも包含する。
本発明において、該変異の検出に用いることのできるプローブの例としては、変異部位を含むTsukushi遺伝子配列の一部配列に対応するヌクレオチド若しくはその相補配列又はそれらのいずれかの配列にストリンジェントな条件でハイブリダイズする配列からなるヌクレオチドからなるヌクレオチド又はその標識物からなるプローブが挙げられる。該プローブに用いるヌクレオチドの塩基長は、用いる変異の検出方法などにより適宜選択され得る。該プローブに用いるヌクレオチドの塩基長は、例えば5〜100、好ましくは8〜70であり、用いる検出方法などにより、8mer〜10mer、10mer〜65mer、10mer〜50mer、10mer〜30mer、10mer〜25mer、18mer〜30mer、20mer〜30mer、50mer〜70mer等のヌクレオチドを用いることができる。また、該プローブに用いるヌクレオチドは天然核酸であってもよく、Bridged Nucleic Acid (架橋化核酸)などの非天然核酸でもあり得る。

0046

好ましい一態様として、本発明で用いるプローブは、
1)配列番号2で示される塩基配列の622番目の塩基におけるシトシンのチミン(ウラシル)への変異、
2)配列番号2で示される塩基配列の743番目の塩基におけるグアニンのアデニンへの変異、又は
3)配列番号2で示される塩基配列の922番目の塩基におけるグアニンのアデニンへの変異
の少なくとも1つの変異部位(好ましくは上記1)及び2)であり、より好ましくは上記1))を含むヌクレオチドであって、配列番号2で示される塩基配列の5〜100塩基からなる部分配列若しくはその部分配列の相補配列又はそれらのいずれかの配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズし得る配列からなるヌクレオチド又はその標識物からなるプローブが挙げられる。

0047

本発明において用いるプローブの具体的な一例としては、
配列番号3で示される塩基配列、
配列番号4で示される塩基配列、
配列番号5で示される塩基配列、
配列番号6で示される塩基配列、
配列番号7で示される塩基配列、又は
配列番号8で示される塩基配列、
のいずれか(好ましくは配列番号3〜6のいずれか、より好ましくは配列番号3又は4、さらに好ましくは配列番号4、で示される塩基配列)を含む10〜100塩基(例えば10〜65塩基、10〜50塩基、10〜30塩基、10〜25塩基、18〜30塩基、20〜30塩基、50〜70塩基)からなる配列、若しくはその相補配列又はいずれかの核酸とストリンジェント条件下でハイブリダイズし得る配列からなるヌクレオチド又はその標識物からなるプローブが挙げられるが、これらに限定されない。

0048

上記のプローブは、配列番号2で示される塩基配列において、数個、好ましくは1個又は2個、特に好ましくは1個のミスマッチを有していてもよい。

0049

上記プローブを用いた該変異の検出方法の例としては、被検動物から採取した生体試料若しくは生体試料から単離した核酸試料とをハイブリダイゼーション条件下で接触させ、ハイブリダイゼーションの有無を検出することにより分析する方法が挙げられる。生体試料から単離した該核酸試料は、必要に応じてPCR等の公知の方法により増幅し、増幅した核酸試料を上記分析に供してもよい。ハイブリダイゼーションの条件は、上記変異の有無を区別するのに足りる条件である。例えば変異部位が特定の塩基の場合にはハイブリダイズするが、他の塩基の場合にはハイブリダイズしないような条件、例えばストリンジェントな条件が挙げられる。このような条件は当業者ならば適宜設定することができる。一例として、ストリンジェントな条件としては、約5〜6×SSC中において、約60℃以上、好ましくは約65℃以上、さらに好ましくは約70℃以上でハイブリダイゼーションを行う条件をいう。また、ストリンジェントな条件は、約0.1〜1×SSC中において、約40〜70℃、好ましくは約50〜67℃、さらに好ましくは約60〜65℃で洗浄処理を行うことを含むものであってもよい。

0050

上記プローブの一端を基板に固定することによりDNAチップ(マイクロアレイ)を作製し、該DNAチップを用いてもよい。この場合、DNAチップには、1つの変異部位に対応するプローブのみが固定されていても、複数の変異部位に対応するプローブが固定されていてもよい。プローブを固定化する基板としては、ニトロセルロース膜スライドガラスマイクロビーズ等が挙げられる。DNAチップを作製する際、プローブとなるヌクレオチドは基板上で合成してもよく、あるいは合成したヌクレオチドを基板上に固定化することもできる。市販のアレイヤー等を用いることによりプローブであるヌクレオチドを吸着共有結合を利用して固定化することできる。このようなDNAチップを用いた遺伝子多型の検出は、例えば「DNAマイクロアレイ最新PCR法」、正明及び那波浩之監修、秀潤社、2000年、第10章などに記載されている。一塩基多型を検出するためのプローブは、蛍光物質、酵素、化学発光物質標識物質により標識されていてもよく、放射性同位体等で標識されていてもよい。標識は、フルオレセイン、Cy3、Cy5、ローダミン等の公知の標識物質を用い、公知の方法で行うことができる。

0051

被検動物由来の生体試料は特に限定されないが、例えば、血液、リンパ液、尿、脳脊髄液などの体液試料、又は組織のバイオプシーなどが挙げられる。被験者への負担が小さいことが好ましいという観点から、好ましくは体液試料であり、より好ましくは血液試料である。血液試料としては、全血血漿血清などが挙げられる。
血液は、常法に従って被検動物から採血することにより調製することができる。脳脊髄液は、脊椎穿刺等の公知の手段により採取することができる。
また、本発明の判定方法工程(2)において、上記Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換を検出する場合、被検動物由来の生体試料は、脳脊髄液、血液であることが好ましく、脳脊髄液がより好ましい。

0052

本発明の判定方法の被検対象となり得る動物としては、例えば、哺乳動物(例:ヒト、サル、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、モルモット、マウス、ラット等)、鳥類(例:ニワトリ等)などが挙げられ、好ましくは、哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。

0053

工程(1)においてTsukushiタンパク質のアミノ酸置換又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異の存在が検出された場合に、被検動物は水頭症に罹患しているか罹患の素因を有する可能性が高い判定することができる。
また工程(1)において該アミノ酸置換又は該変異が検出されなかった場合に、被検動物はTsukushi遺伝子の変異に起因する水頭症に罹患していないか罹患の素因をもたない可能性が高いと判定することができる。

0054

本発明の判定方法は、野生型のTsukushiタンパク質又はそれをコードする核酸を検出する工程をさらに含んでもよい。その場合、工程(1)において該アミノ酸置換又は該変異が検出され、かつ野生型のTsukushiタンパク質又はそれをコードする核酸が検出されなかった場合に、被検動物は水頭症に罹患しているか罹患の素因を有する可能性が高いと判定することができる。また、工程(1)において該アミノ酸置換又は該変異が検出されず、かつ野生型のTsukushiタンパク質又はそれをコードする核酸が検出された場合に、被検動物はTsukushiタンパク質のアミノ酸置換又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異に起因する水頭症の罹患の素因を有する可能性が低いと判定することができる。

0055

本発明の判定方法は、Tsukushiタンパク質又はTsukushi遺伝子の変異に加えて、他の水頭症診断マーカーの変動を調べることにより、より高精度に水頭症を判定することができる。
従って、本発明の判定方法はさらに下記の工程(1’)及び(2’)をさらに含み得る:
(1’)被検動物由来の生体試料において、他の1以上の水頭症診断マーカーを検出する工程、
(2’)工程(1’)において水頭症診断マーカーの存在が検出された場合に、被検動物が水頭症に罹患しているか罹患の素因を有することを判定する工程。

0056

他の水頭症診断マーカーとしては、L1CAM遺伝子の異常などの公知のマーカーが挙げられ、これらは周知慣用検出法に従って検出することができる。

0057

一実施態様において、本発明の判定方法を用いて水頭症に罹患しているか罹患の素因を有すると判定された被検動物に、さらに、頭蓋レントゲン超音波検査核磁気共鳴画像法(MRI検査又はコンピュータ断層撮影(CT)検査などを行い、水頭症に罹患しているか診断することができる。すなわち、本発明の判定方法は、水頭症診断のための事前予備検査として用いることができる。

0058

一実施態様において、本発明の判定方法を用いて水頭症に罹患しているか罹患の素因を有すると判定された被検動物は、本発明の治療方法などの適切な治療方法と組み合わせることができる。

0059

一実施態様において、本発明の判定方法を用いて水頭症に罹患しているか罹患の素因を有すると判定された被検動物は、Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換又はTsukushi遺伝子の変異に起因する水頭症に罹患している可能性が高いと推察される。従って、本発明の判定方法により、Tsukushiタンパク質のアミノ酸置換又はTsukushi遺伝子の変異に起因する水頭症に罹患している可能性が高いと判定された被検動物は、Tsukushiを標的とした治療に応答する可能性がある。従って、本発明の判定方法により水頭症に罹患している可能性が高いと判定された被検動物は、本発明の治療方法やTsukushiタンパク質断片の投与などのその素因に合わせた治療方法に付すこともできる。すなわち、本発明の判定方法は、適切な水頭症治療方法決定あるいは不適切な治療方法の選択を避けるために有用であり、コンパニオン診断(companion diagnostics)の方法として用いることができる。

0060

一態様として、本発明は、水頭症の素因を有する個体の同定方法であって、
(1)被験動物由来の生体試料において、R208C、S248N及びV308Iからなる群より選択されるTsukushiタンパク質のアミノ酸置換(好ましくはR208C置換又はS248N置換、より好ましくはR208C置換)、又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出する工程、
(2)工程(1)においてTsukushiタンパク質のアミノ酸置換又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異の存在が検出された場合に、該被験動物が水頭症の素因を有する個体であると同定する工程、
を含む、方法を提供する。
該被検動物由来の生体試料は、該被験動物から生体試料を採取する工程により得ることができる。
本方法における各用語の定義は、上記本発明の判定方法におけるものに準ずる。

0061

別の態様として、本発明は、
(1)被検動物由来の生体試料において、R208C、S248N及びV308Iからなる群より選択されるTsukushiタンパク質のアミノ酸置換(好ましくはR208C置換又はS248N置換、より好ましくはR208C置換)、又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出する工程、
を含む、水頭症の診断及び素因の評価をするためのデータを収集する方法を提供する。
該被検動物由来の生体試料は、該被験動物から生体試料を採取する工程により得ることができる。
本方法における各用語の定義は、上記本発明の判定方法におけるものに準ずる。

0062

水頭症の診断をするためのデータとは、水頭症の罹患の有無を診断するためのデータ、及び水頭症を治療中の患者について治療の効果を評価するためのデータも含む。例えば、治療の効果を評価するため、患者から、治療前、治療中および/または治療後に生体試料を採取し、置換型Tsukushiタンパク質の濃度の変化を調べることで治療の効果を知ることができる。例えば、後の生体試料中の置換型Tsukushiタンパク質の濃度が先の生体試料中のものよりも低ければ、その治療を有効であると評価することができる。

0063

4.置換型Tsukushiタンパク質又は該置換型Tsukushiタンパク質をコードする核酸を検出し得る物質を含む、水頭症の診断用キット
本発明はさらにR208C、S248N及びV308Iからなる群より選択されるTsukushiタンパク質のアミノ酸置換(好ましくはR208C置換又はS248N置換であり、より好ましくはR208C置換)、又は該置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出し得る物質を含む、水頭症の診断用キットを提供する。
本発明の診断用キットは、水頭症の罹患の可能性、水頭症の素因を有する個体の同定、水頭症の診断及び素因の評価をするためのデータの収集、並びに水頭症の原因因子の特定などのために用いることができる。

0064

一態様において、本発明の診断用キットにおける、R208C、S248N及びV308Iからなる群より選択されるTsukushiタンパク質のアミノ酸置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出し得る物質は、該変異を検出し得る核酸であり、本発明の判定方法において記載されたプローブである。
より好ましい一態様として、本発明の診断用キット中の該変異を検出し得る核酸は、
1)配列番号2で示される塩基配列の622番目の塩基におけるシトシンのチミン(ウラシル)への変異部位を含むヌクレオチドであって、配列番号2で示される塩基配列の5〜100塩基からなる部分配列、若しくはその部分配列の相補配列又はそれらのいずれかの配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズし得る配列からなるヌクレオチド又はその標識物からなるプローブ、
2)配列番号2で示される塩基配列の743番目の塩基におけるグアニンのアデニンへの変異部位を含むヌクレオチドであって、配列番号2で示される塩基配列の5〜100塩基からなる部分配列、若しくはその部分配列の相補配列又はそれらのいずれかの配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズし得る配列からなるヌクレオチド又はその標識物からなるプローブ、又は
3)配列番号2で示される塩基配列の922番目の塩基におけるグアニンのアデニンへの変異部位を含むヌクレオチドであって、配列番号2で示される塩基配列の5〜100塩基からなる部分配列、若しくはその部分配列の相補配列又はそれらのいずれかの配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズし得る配列からなるヌクレオチド又はその標識物からなるプローブ
のいずれか1以上であり、好ましくはプローブ1)であり、あるいはプローブ1)を含む1以上のプローブである。

0065

上記のプローブは、上記プローブを固定化したDNAチップの形で本発明の診断用キットに含まれ得る。

0066

本発明の診断用キットは、上記プローブに加え、さらに野生型のTsukushi遺伝子を検出し得る核酸を含んでもよい。 本発明の診断用キットは、上記プローブに加え、さらにコントロール物質として、野生型のTsukushiタンパク質をコードする核酸(好ましくは配列番号2で示される塩基配列を有する核酸)を含んでいてもよい。

0067

本発明の診断用キットは、さらに他の1以上の水頭症診断マーカーを検出する物質を含み得る。

0068

本発明の診断用キットは、置換型Tsukushiタンパク質又はアミノ酸置換をもたらすTsukushi遺伝子の変異を検出し得る物質を使用するための指示書を含み得る。また、本発明の診断用キットは、水頭症の罹患の可能性又は水頭症の素因の有無、又は罹患のリスクの高さを評価するための指示書を含み得る。
一態様において、本発明の診断用キットは、上記プローブ及び本発明の判定方法を実施するための指示書を含み得る。

0069

本発明の診断用キットは、変異の検出に使用される制限酵素ポリメラーゼヌクレオシド三リン酸核酸標識分子及び/又は緩衝液等を含んでいてもよい。

0070

以下の実施例により本発明をより具体的に説明するが、実施例は本発明の単なる例示を示すものにすぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではない。

0071

分泌型タンパク質Tsukushi(マウス)は、354個のアミノ酸から構成され、12個のロイシンリッチリピートドメインを有する。また、Tsukushiは、Small Leucine-Rich ProteoglycanファミリーのサブクラスIV(Schaefer and Iozzo, JCB 2008)に属するタンパク質である(図1
以下の動物実験は、熊本大医学部動物実験委員会承認を得たプロトコルにて行った。

0072

実施例1:Tsukushiノックアウト(KO)マウスと野生型マウスの脳構造の比較
Biochem Biophys Res Commun. 2010 Nov 26;402(4):813-8)の記載を参照して、Tsukushiノックアウトマウスを作製した。
生後10日目の野生型マウス(WT)及びTsukushiノックアウト(KO)マウス(TSK-/-)を安楽死させてから脳を取り出し、それらの大きさを比較した。結果を図2左に示す。また、それぞれのマウスの脳室下帯SVZ)の領域の切片を作成し、Hematoxylin-Eosin(HE)染色を行った。結果を図2右に示す。
図2に示すように、TsukushiKOマウスの脳(図2左下)は野生型マウスの脳(図2左上)と比べて一回り小さくなっており、Tsukushi KOマウスの側脳室(LV)(図2右下)は、野生型マウスの側脳室と比較して拡大していた。

0073

実施例2:TsukushiKOマウスと野生型マウスとの脳室下帯(SVZ)表面の繊毛の形態の比較
野生型マウス(WT)とTsukushi KOマウス(TSK-/-)を用いて、脳室下帯(SVZ)の表面の繊毛のマーカーであるacetylated tubulinの染色及び細胞核のマーカーであるDAPI染色を行った(図3右上)。また、脳室下帯(SVZ)表面の繊毛の形態を電子顕微鏡で観察した(図3下)。
図3に示すように、野生型マウス(WT)とTsukushi KOマウス(TSK-/-)では、脳室下帯(SVZ)表面の繊毛の形態に目立った差は認められなかった。

0074

実施例3:TsukushiKOマウスと野生型マウスとの、高連下器官及び中脳水道の形態の比較
野生型マウス(WT)とTsukushi KOマウス(TSK-/-)の脳を用いて、DAPI染色により高連下器官(SCO)を比較した。結果を図4左下に示す。また、野生型マウス(WT)とTsukushi KOマウス(TSK-/-)の脳を用いて、HE染色により中脳水道(SA)を比較した。結果を図4右下に示す。
図4に示すように、野生型マウス(WT)とTsukushi KOマウス(TSK-/-)の脳では、高連下器官と中脳水道の形態に差が無かった。

0075

実施例4:TsukushiKOマウスと野生型マウスとの、神経幹細胞、神経前駆細胞及びニューロブラストの細胞数の比較
野生型マウス(WT)とTsukushi KOマウスの脳の前方脳室下帯(aSVZ)において、神経幹細胞(図5左)、神経前駆細胞(図5右上)、ニューロブラスト(図5右下)の数を、各々のマーカーであるVCAM1(図5左上赤色)とGFAP(図5左下赤色)、Mash1(図5右上色)、DCX(図5右下赤色)を用いて免疫染色法により調べた。
図5に示すように、Tsukushi KOマウス(TSK-/-)では、神経幹細胞、神経前駆細胞、ニューロブラストの各々の細胞数が、野生型マウス(WT)と比べ増加していた。

0076

実施例5:TsukushiKOマウスと野生型マウスとの、細胞死の比較
野生型マウス(WT)とTsukushi KOマウス(TSK-/-)の脳を用いて、前方脳室下帯(aSVZ)と吻側移動経路(RMS)における細胞死をTUNEL法により解析した。
図6に示すように、Tsukushi KOマウスでは、前方脳室下帯(aSVZ)と吻側移動経路(RMS)における細胞死が、野生型マウス(WT)と比べ増加していた。

0077

実施例6:原因不明の水頭症患者におけるTsukushi遺伝子変異の探索
原因不明の水頭症患者(13人)のゲノムDNAを用いて、ヒトTSKヌクレオチド配列を次世代シークエンス法により調べた。コントロールとして、8番染色体に位置するFrizzled3と、14番染色体に位置するbone morphogenetic protein 2B(BMP2B)の遺伝子配列を調べた。
図7下図)に示すように、Tsukushiタンパク質のコーディング領域において、水頭症患者では4箇所のアミノ酸置換が観察された(R208C:41%、S248N:38%、V308I:41%、D341E:100%)。これらのうち最後のD341Eは日本人特異的なため、変異とは考えられない。また、Frizzled3とBMP2Bについては、健常者と水頭症患者間で差は観察されなかった。

0078

実施例7:置換型Tsukushiタンパク質(R208C、S248N、V308I)の解析
置換型Tsukushiタンパク質(R208C、S248N、V308I)をPolyPhen2ソフトにて解析した。
結果を図8に示す。置換型Tsukushiタンパク質(S248N、V308I)では、Tsukushiタンパク質の機能に影響は無いが、置換型Tsukushiタンパク質(R208C)では、その機能の約90%が消失することが予測された。

0079

実施例8:Tsukushiタンパク質の領域特異的に強制発現による、TsukushiKOマウスのレスキュー
Tsukushiタンパク質を領域特異的に強制発現させるトランスジェニックマウス(Tsukushi-TGマウス)を作製した。発現ベクター概念図を図9上段左に示す。領域特異的cre-マウスと交配することで、B-geo遺伝子が取り除かれ、Tsukushi-GFPキメラタンパク質が産生される。
神経系や血管系特異的にTsukushi-GFPキメラタンパク質を強制発現させ、Tsukushi KOマウス(生後10日目)の表現型である側脳室の拡大がレスキューされるか検討した。
図9(上段中央)に示すように、Cre遺伝子を発現していない場合には、Tsukushi-TGマウスは、beta-gal染色で脳全体が緑色に染色される。図9上段右は、COS7細胞にこの発現ベクターをトランスフェクションし、その上清抗GFP抗体でウエスタンブロットしたものである。No19のクローンがTsukushi-GFPキメラタンパク質を強く発現していた。
Tsukushi-GFPキメラタンパク質を神経系(nestin:神経幹前駆細胞、Emx1:側脳室辺縁部と大脳皮質、sox2:脳全体)または血管系(SM22:周皮細胞、Tie2:内皮細胞)に強制発現させ、抗GFP抗体で免疫染色法を行った。結果を図9中段及び下段に示す。図9下段に示すように、側脳室の拡大がレスキューされた。Nestin-creでTsukushi-GFPキメラタンパク質の発現が弱い脳では(上段2番目)、側脳室の拡大がレスキューされなかった。

実施例

0080

実施例9:Tsukushiタンパク質の脳室内投与による、脳室拡張のレスキュー
生後0日目のTsukushiKOマウスの脳室に、Lipofectamine 2000(Thermo Fisher Scientific)を用いてCOS7細胞にTsukushi発現ベクターを導入し産出させたマウスTsukushiタンパク質(2 μg)を、マイクロキャピラリーを用いて投与した。2日後に脳切片を作製してその影響を調べた。投与方法は、ビデオジャーナル(http://www.jove.com/video/51863/intracerebroventricular-viral-injection-neonatal-mouse-brain-for)を参考にした。
図10に示すように、Tsukushiタンパク質を投与した側(矢印)は、脳室の拡大がレスキューされた。

0081

本発明によれば、患者への負担が軽減された水頭症の診断及び治療を行うこと可能となる。

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