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技術 複合顔料及びその製造方法、それを含む塗料組成物並びに塗膜

出願人 石原産業株式会社
発明者 藤村猛伊勢谷匠吾下井田博謙谷口雄亮
出願日 2017年10月23日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-547653
公開日 2019年9月19日 (7ヶ月経過) 公開番号 WO2018-079487
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 幾何学条件 取り込み回数 艶消し塗装 亜鉛水酸化物 代表径 建築物壁面 倍率拡大 触感評価
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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、無機着色顔料改質することで塗膜を抑制することができ、低光沢性(艶抑制効果顔料艶消し顔料などとして種々の用途に用いることができる複合顔料及びその製造方法、並びに、塗膜に配合したときにも低い光沢と艶を持つ性質と良好な塗膜の触感とを両立させることができる塗料組成物や塗膜を提供することを目的とする。 本発明の複合顔料は、無機着色顔料が無機化合物で固着されたものであり、無機着色顔料の複数個粒子を、無機化合物を介して粒状に集合させたものである。

概要

背景

対象物の表面に艶消し塗料塗装することで、対象物の色感質感改質することが行われている。例えば、艶消し塗料を住宅の内壁に塗装することで、室内に落ち着いた雰囲気を醸し出すことができる。また、日光照明器具などの光があたる壁面や部材に艶消し塗料を塗装することで、家具植栽人物などの映りこみを抑制することができる。更に、車両本体に艶消し塗料を塗装する場合もある。一般に、車両の塗装は「あり」のものが多いが、艶消し塗装を施すことで独特且つ個性的意匠感創出することができる。
上述の用途のうち、前者(建材など)の用途では、着色の光沢塗料艶消し剤を添加したもの(着色艶消し塗料)を用いるのが一般的である。これに対して、後者(車両など)の用途では、着色光沢塗料や光輝性塗料などを車両本体に塗装してベース層を形成し、その上から、透明の艶消し塗料を塗装してトップ層を形成することが一般的である。

従来より、艶消し剤としてはシリカ樹脂ビーズ等が用いられている(特許文献1、2等)。中でもシリカの艶消し剤は艶消し特性が良好で、上述の建材用途車両用途等で広く用いられる。
一方で、シリカの艶消し剤では、これを配合した艶消し塗料の増粘が生じ易い。特に、艶消しの程度を大きくする目的で艶消し剤の配合量を多くすると、塗料の増粘が顕著となり、塗装の作業性(ハンドリング性)が悪化する。これに対して、例えば、特許文献3には、疎水性シリカ無機系の充填剤炭酸カルシウム雲母タルククレー等)との混合物を艶消し剤として用いることで、塗料の増粘を抑制する旨が記載されている。

塗料の増粘抑制以外の目的でも、シリカと無機系の充填剤(体質顔料)との混合物を艶消し剤として用いることは各種検討されている。例えば、特許文献4には、車両用の透明(クリヤー)艶消し塗料において、シリカとタルクとの混合物を艶消し剤として配合することで、シリカの凝集に起因する塗膜外観品質低下を抑制したり、摩擦による艶消し塗膜の光沢増加を抑制したりすることが記載されている。また、特許文献5には、艶消しオーバープリントワニス組成物において、球状シリカゲルと体顔料(炭酸カルシウム又は硫酸バリウム)との混合物を艶消し剤として配合することで、摩擦による艶消し塗膜の光沢増加を抑制することが記載されている。

酸化チタン顔料などの無機着色顔料は、高い光沢を有する顔料として幅広い用途に用いられている。しかしながら、高い光沢を必要とせず、艶が少ない顔料が好まれる用途もある。例えば、建築物などの塗装材料には、艶が少ない顔料を用いると落ち着いた雰囲気を作り出すことができる。また、日光や照明器具などの光があたる壁面や部材に艶が少ない顔料を用いると、家具や植栽、人物などの映りこみを抑制することができる。

一般に光沢が低く、艶が少ない塗膜を作製するには、例えば特許文献6に記載されているように、酸化チタン顔料と多孔質の炭酸カルシウムを含有させたフラットエマルション塗料を用いる。この炭酸カルシウムが、塗膜表面微細凹凸を形成し、入射光拡散し易くすることで艶消し効果発現することができる。また、特許文献1、2、7には、酸化チタン顔料等を含む光沢のある塗料(グロスエマルション塗料)に対して、球状シリカケイ酸塩粒子、樹脂ビーズの艶消し剤を添加することを記載している。

建築物などの塗装材料として、艶消し塗料が用いられることがある。例えば、艶消し塗料を建築物の内壁に塗工することで、内壁に落ち着いた雰囲気を醸し出すことができる。また、日光や照明器具などの光があたる壁面や部材に艶消し塗料を塗工することで、家具や植栽、人物などの映りこみを抑制することができる。

一般に、艶消し塗料は、光沢のある無機着色顔料(例えば、二酸化チタンなどの無機白色顔料)と、光沢を抑えるための成分とを含有する。例えば、特許文献6には、二酸化チタン顔料と多孔質の炭酸カルシウムを含有させたフラットエマルション塗料が記載されている。炭酸カルシウムが、塗膜表面に微細な凹凸を形成し、入射光を拡散し易くすることで艶消し効果が発現する。また、特許文献1、2には、二酸化チタン顔料等を含む光沢のある塗料(グロスエマルション塗料)に対して、球状シリカや樹脂ビーズ等の艶消し剤を添加することが記載されている。

また、光沢を抑える成分を用いることなく、艶消し塗料、艶消し塗膜を実現することも検討されている。例えば、特許文献8には、平均粒子径が0.15〜0.3μmのルチル型又はアナタース型の二酸化チタンの表面に、含水ケイ素及び含水アルミニウムを、SiO2及びAl2O3としてそれぞれ2〜15重量%、1〜10重量%存在させ、更に有機ケイ素化合物などの有機金属化合物を0.05〜5重量%存在させることが記載されている。このような二酸化チタン顔料は、光沢を抑えるための成分を用いなくても、高い隠ぺい力と優れた艶消し効果を奏する塗料を実現することができ、貯蔵安定性にも優れる、と記載されている。

対象物の表面に艶消し塗料を塗装することで、対象物の色感や質感を改質することが行われている。例えば、艶消し塗料を住宅の内壁に塗装することで、室内に落ち着いた雰囲気を醸し出すことができる。また、日光や照明器具などの光があたる壁面や部材に艶消し塗料を塗装することで、家具や植栽、人物などの映りこみを抑制することができる。

艶消し塗料としては、例えば、特許文献6に記載されているように、無機着色顔料(二酸化チタン顔料)と多孔質の炭酸カルシウムとを含有するフラットエマルション塗料が知られている。炭酸カルシウムが、塗膜表面に微細な凹凸を形成し、入射光を拡散し易くすることで艶消し効果を発現する。また、特許文献1、2には、無機着色顔料(二酸化チタン顔料等)を含む光沢塗料に対して、球状シリカや樹脂ビーズ等の艶消し剤を添加した艶消し塗料が記載されている。

概要

本発明は、無機着色顔料を改質することで塗膜の艶を抑制することができ、低光沢性(艶抑制効果)顔料、艶消し顔料などとして種々の用途に用いることができる複合顔料及びその製造方法、並びに、塗膜に配合したときにも低い光沢と艶を持つ性質と良好な塗膜の触感とを両立させることができる塗料組成物や塗膜を提供することを目的とする。 本発明の複合顔料は、無機着色顔料が無機化合物で固着されたものであり、無機着色顔料の複数個粒子を、無機化合物を介して粒状に集合させたものである。

目的

本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、省力で分散、塗料化でき、艶消し剤を用いなくとも十分な低光沢性(艶抑制効果)及び隠蔽性を発現可能な複合顔料及びその製造方法、この複合顔料を含有する塗料組成物、塗膜を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

無機化合物と固着している無機着色顔料粒子を含んでなる、複合顔料であって、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、粒子径が1μm以上である前記複合顔料の存在比率が全体の50%以上であり、累積90%径(D90)が30μm以下である、前記複合顔料。

請求項2

前記体積累積分布において、粒子径が2μm以上である前記複合顔料の存在比率が全体の30%以上である、請求項1に記載の複合顔料。

請求項3

アクリル樹脂と配合することによって調製される塗料組成物鏡面光沢度を、JIS−K5600−4−7に記載の方法にしたがって測定した場合に、幾何学条件60°での前記鏡面光沢度が5%以下である、請求項1又は請求項2に記載の複合顔料。

請求項4

アクリル樹脂と配合することによって調製される塗料組成物の鏡面光沢度を、JIS−K5600−4−7に記載の方法にしたがって測定した場合に、幾何学条件85°での前記鏡面光沢度が40%以下である、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の複合顔料。

請求項5

前記無機着色顔料が、二酸化チタン低次酸化チタン酸窒化チタン酸化亜鉛鉛白カーボンブラックボーンブラック黒鉛鉄黒コバルトブラック、鉄−クロム複合酸化物、銅−クロムブラック複合酸化物、Fe−Mn−Biブラック、弁柄モリブデンレッドニッケルアンチモンチタンイエロー、クロムチタンイエロー、黄色酸化鉄クロムイエロー群青紺青コバルトブルー、コバルトグリーンクロムグリーン酸化クロムグリーン、コバルト−アルミクロム系グリーン及びコバルト−チタン−ニッケル−亜鉛系グリーンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の複合顔料。

請求項6

前記無機化合物が無機ケイ素化合物である、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の複合顔料。

請求項7

無機化合物と固着している、亜鉛元素を含有する無機着色顔料粒子を含んでなる、複合顔料。

請求項8

前記無機着色顔料粒子が亜鉛元素を含有する、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の複合顔料。

請求項9

前記無機着色顔料粒子の表面に前記亜鉛元素が存在する、請求項7又は請求項8に記載の複合顔料。

請求項10

前記亜鉛元素は、亜鉛酸化物及び/又は亜鉛水酸化物として存在する、請求項7乃至請求項9の何れかに記載の複合顔料。

請求項11

前記無機着色顔料が二酸化チタン顔料である、請求項1乃至請求項10の何れかに記載の複合顔料。

請求項12

請求項1乃至請求項11の何れかに記載の複合顔料を含む艶消し顔料

請求項13

請求項1乃至請求項11の何れかに記載の複合顔料及び/又は請求項12に記載の艶消し用顔料と樹脂とを含む塗料組成物。

請求項14

アミン価を有する分散剤を含む、請求項13に記載の塗料組成物。

請求項15

請求項13又は請求項14に記載の塗料組成物を含んでなる塗膜

請求項16

アクリル樹脂を含有し、JIS−K5600−4−7に記載の方法で鏡面光沢度を測定した場合に、幾何学条件60°での前記鏡面光沢度が5%以下である、請求項15に記載の塗膜。

請求項17

アクリル樹脂を含有し、JIS−K5600−4−7に記載の方法で鏡面光沢度を測定した場合に、幾何学条件85°での前記鏡面光沢度が40%以下である、請求項15又は請求項16に記載の塗膜。

請求項18

無機化合物源と、無機着色顔料粒子とを、前記無機化合物源の析出する無機化合物に換算した体積(Va)と前記無機着色顔料の体積(Vb)との体積比(Va/Vb)が0.3以上2以下となるように含有し、且つ、固形分濃度が75g/L以上450g/L以下であるスラリーを調製し、前記スラリーのpHを調整することによる、前記無機化合物源に由来する無機化合物の析出によって前記無機着色顔料粒子を固着する、複合顔料の製造方法。

請求項19

亜鉛元素を含有する無機着色顔料粒子と無機化合物源とを含有するスラリーを調製し、該スラリーのpHを調整することによる、前記無機化合物源に由来する無機化合物の析出によって前記無機着色顔料粒子を固着する、複合顔料の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、複合顔料及びその製造方法、それを含む塗料組成物並びに塗膜に関する。詳細には、以下のとおりである。
本発明(本願第1発明)は、体質顔料無機化合物とを含む複合顔料及びその製造方法、それを含む塗料組成物並びに塗膜に関する。
本発明(本願第2発明)は、酸化チタン顔料を含む複合顔料及びその製造方法、それを含む塗料組成物並びに塗膜に関する。
本発明(本願第3発明乃至本願第5発明)は、無機着色顔料を含む複合顔料及びその製造方法、それを含む塗料組成物並びに塗膜に関する。

背景技術

0002

対象物の表面に艶消し塗料塗装することで、対象物の色感質感改質することが行われている。例えば、艶消し塗料を住宅の内壁に塗装することで、室内に落ち着いた雰囲気を醸し出すことができる。また、日光照明器具などの光があたる壁面や部材に艶消し塗料を塗装することで、家具植栽人物などの映りこみを抑制することができる。更に、車両本体に艶消し塗料を塗装する場合もある。一般に、車両の塗装は「あり」のものが多いが、艶消し塗装を施すことで独特且つ個性的意匠感創出することができる。
上述の用途のうち、前者(建材など)の用途では、着色の光沢塗料艶消し剤を添加したもの(着色艶消し塗料)を用いるのが一般的である。これに対して、後者(車両など)の用途では、着色光沢塗料や光輝性塗料などを車両本体に塗装してベース層を形成し、その上から、透明の艶消し塗料を塗装してトップ層を形成することが一般的である。

0003

従来より、艶消し剤としてはシリカ樹脂ビーズ等が用いられている(特許文献1、2等)。中でもシリカの艶消し剤は艶消し特性が良好で、上述の建材用途車両用途等で広く用いられる。
一方で、シリカの艶消し剤では、これを配合した艶消し塗料の増粘が生じ易い。特に、艶消しの程度を大きくする目的で艶消し剤の配合量を多くすると、塗料の増粘が顕著となり、塗装の作業性(ハンドリング性)が悪化する。これに対して、例えば、特許文献3には、疎水性シリカ無機系の充填剤炭酸カルシウム雲母タルククレー等)との混合物を艶消し剤として用いることで、塗料の増粘を抑制する旨が記載されている。

0004

塗料の増粘抑制以外の目的でも、シリカと無機系の充填剤(体質顔料)との混合物を艶消し剤として用いることは各種検討されている。例えば、特許文献4には、車両用の透明(クリヤー)艶消し塗料において、シリカとタルクとの混合物を艶消し剤として配合することで、シリカの凝集に起因する塗膜外観品質低下を抑制したり、摩擦による艶消し塗膜の光沢増加を抑制したりすることが記載されている。また、特許文献5には、艶消しオーバープリントワニス組成物において、球状シリカゲルと体顔料(炭酸カルシウム又は硫酸バリウム)との混合物を艶消し剤として配合することで、摩擦による艶消し塗膜の光沢増加を抑制することが記載されている。

0005

酸化チタン顔料などの無機着色顔料は、高い光沢を有する顔料として幅広い用途に用いられている。しかしながら、高い光沢を必要とせず、艶が少ない顔料が好まれる用途もある。例えば、建築物などの塗装材料には、艶が少ない顔料を用いると落ち着いた雰囲気を作り出すことができる。また、日光や照明器具などの光があたる壁面や部材に艶が少ない顔料を用いると、家具や植栽、人物などの映りこみを抑制することができる。

0006

一般に光沢が低く、艶が少ない塗膜を作製するには、例えば特許文献6に記載されているように、酸化チタン顔料と多孔質の炭酸カルシウムを含有させたフラットエマルション塗料を用いる。この炭酸カルシウムが、塗膜表面微細凹凸を形成し、入射光拡散し易くすることで艶消し効果発現することができる。また、特許文献1、2、7には、酸化チタン顔料等を含む光沢のある塗料(グロスエマルション塗料)に対して、球状シリカケイ酸塩粒子、樹脂ビーズの艶消し剤を添加することを記載している。

0007

建築物などの塗装材料として、艶消し塗料が用いられることがある。例えば、艶消し塗料を建築物の内壁に塗工することで、内壁に落ち着いた雰囲気を醸し出すことができる。また、日光や照明器具などの光があたる壁面や部材に艶消し塗料を塗工することで、家具や植栽、人物などの映りこみを抑制することができる。

0008

一般に、艶消し塗料は、光沢のある無機着色顔料(例えば、二酸化チタンなどの無機白色顔料)と、光沢を抑えるための成分とを含有する。例えば、特許文献6には、二酸化チタン顔料と多孔質の炭酸カルシウムを含有させたフラットエマルション塗料が記載されている。炭酸カルシウムが、塗膜表面に微細な凹凸を形成し、入射光を拡散し易くすることで艶消し効果が発現する。また、特許文献1、2には、二酸化チタン顔料等を含む光沢のある塗料(グロスエマルション塗料)に対して、球状シリカや樹脂ビーズ等の艶消し剤を添加することが記載されている。

0009

また、光沢を抑える成分を用いることなく、艶消し塗料、艶消し塗膜を実現することも検討されている。例えば、特許文献8には、平均粒子径が0.15〜0.3μmのルチル型又はアナタース型の二酸化チタンの表面に、含水ケイ素及び含水アルミニウムを、SiO2及びAl2O3としてそれぞれ2〜15重量%、1〜10重量%存在させ、更に有機ケイ素化合物などの有機金属化合物を0.05〜5重量%存在させることが記載されている。このような二酸化チタン顔料は、光沢を抑えるための成分を用いなくても、高い隠ぺい力と優れた艶消し効果を奏する塗料を実現することができ、貯蔵安定性にも優れる、と記載されている。

0010

対象物の表面に艶消し塗料を塗装することで、対象物の色感や質感を改質することが行われている。例えば、艶消し塗料を住宅の内壁に塗装することで、室内に落ち着いた雰囲気を醸し出すことができる。また、日光や照明器具などの光があたる壁面や部材に艶消し塗料を塗装することで、家具や植栽、人物などの映りこみを抑制することができる。

0011

艶消し塗料としては、例えば、特許文献6に記載されているように、無機着色顔料(二酸化チタン顔料)と多孔質の炭酸カルシウムとを含有するフラットエマルション塗料が知られている。炭酸カルシウムが、塗膜表面に微細な凹凸を形成し、入射光を拡散し易くすることで艶消し効果を発現する。また、特許文献1、2には、無機着色顔料(二酸化チタン顔料等)を含む光沢塗料に対して、球状シリカや樹脂ビーズ等の艶消し剤を添加した艶消し塗料が記載されている。

先行技術

0012

特開平08−209029号公報
特開2005−187701号公報
特開平09−157545号公報
特開2013−28778号公報
特開2005−272586号公報
特開2012-92289号公報
特開2016−3250号公報
特開平09−25429号公報

発明が解決しようとする課題

0013

上述のように、特許文献3〜5に記載の艶消し剤(シリカと体質顔料との混合系)では、シリカ単独の艶消し剤に対して、塗料の増粘が抑えられてハンドリング性に優れる等の利点を有する。その一方で、艶の抑制効果についてはシリカの艶消し剤よりも劣るという問題があった。また、体質顔料を併用した場合、艶消し塗膜の触感が悪化する(ザラザラとした触感になる)傾向にあった。

0014

また、上述した従来のフラットエマルション塗料では、塗料中の炭酸カルシウムが艶消し効果を発現し、無機着色顔料(例えば、酸化チタン顔料)が隠蔽性などの顔料特性を十分に発現するために、それらの顔料成分の強分散が必要となる。このため塗料化の労力が増大するという問題があった。
また、艶消し剤と光沢塗料(グロスエマルション塗料)との組み合わせでは、施工現場で艶消し剤を塗料に添加する場合、作業者が艶消し剤を計量し、塗料に撹拌混合する必要があるため、現場作業が煩雑になるという問題があった。更に、こうした煩雑な作業が加わることで、施工不良が生ずる場合があるという問題があった。加えて、艶消し剤は一般に高価であり、塗料のコスト増に繋がるという問題もあった。

0015

また、上述した特許文献6に記載のフラットエマルション塗料では、高い艶消し効果が得られ易いものの、塗膜表面に大きな凹凸が形成されることで、塗膜の触感が悪くなる(ザラザラとした触感になる)。また、グロスエマルション塗料と艶消し剤との組み合わせでは、適度な艶消し効果と適度な塗膜触感(滑らかさ)とが得られるものの、何れも十分ではなく、艶消し剤が高価であることからコスト増に繋がる。更に、特許文献8に記載の二酸化チタン顔料では、光沢の低減が十分ではなく、そのため十分な艶消し効果が得られていない。
このようなことから、上述した従来技術では、艶消し効果を高くしようとすると塗膜の触感が悪化し、塗膜の触感を優先しようとすると艶消し効果が小さくなるというように、艶消し効果と塗膜触感とを両立させることは困難であるという問題がある。
上述の問題は、二酸化チタンのような無機白色顔料を用いる場合に限られず、他の無機系の着色顔料を用いる場合にも起こる。

0016

また、従来のフラットエマルション塗料では、高い艶消し効果と十分な隠蔽性が得られるものの、そのために顔料成分の強分散が必要となる。このため塗料化の労力が増大するという問題があった。
また、光沢塗料と艶消し剤との組み合わせでは、適度な艶消し効果が得られるものの十分ではないという問題があった。もちろん、艶消し剤の配合量を多くすれば艶消し効果を大きくすることはできるが、それでは塗料の増粘を招いてしまう。高価な艶消し剤を多く配合することで塗料の製造コスト増にも繋がる。

0017

本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、省力で分散、塗料化でき、艶消し剤を用いなくとも十分な低光沢性(艶抑制効果)及び隠蔽性を発現可能な複合顔料及びその製造方法、この複合顔料を含有する塗料組成物、塗膜を提供することを目的とする。
また、本発明は、無機着色顔料を改質することで塗膜の艶を抑制することができ、低光沢性(艶抑制効果)顔料、艶消し顔料などとして種々の用途に用いることができる複合顔料及びその製造方法、並びに、塗膜に配合したときにも低い光沢と艶を持つ性質と良好な塗膜の触感とを両立させることができる塗料組成物や塗膜を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

本発明者らは上記の問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、硫酸バリウムなどの体質顔料を、シリカなどの無機化合物で固着させた複合顔料を艶消し剤として用いると、低粘度でハンドリング性に優れた艶消し塗料組成物を実現できるとともに、塗膜の状態で高い艶抑制効果と良好な塗膜触感とを実現できることを初めて見出した。

0019

本発明者らは上記の問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、酸化チタン顔料と体質顔料とを固着した複合顔料を用いると、従来のフラットエマルション塗料に比べて省力で分散、塗料化することができ、且つ、艶消し剤を別途添加しなくても、低光沢性(艶抑制効果)及び隠蔽性を実現できることを初めて見出した。

0020

また、本発明者らは上記の問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、二酸化チタンなどの無機着色顔料を無機化合物で固着させた複合顔料であって、特定の粒度分布を有するものを用いると、これを配合した塗料(塗膜)において、低い光沢(低い艶)と良好な塗膜触感とを両立させることができることを初めて見出した。

0021

また、本発明者らは上記の問題を解決すべく鋭意検討を行った結果、亜鉛元素を含有させた、二酸化チタン顔料などの無機着色顔料を無機化合物で固着させると、複合顔料の粒度を適度に大きくすることができるなどにより、それを配合した塗料を用いて形成した塗膜において高い艶消し効果を発現可能であることを初めて見出した。

0022

そして、本発明者らは、これらの知見に基づいて、以下のとおり本発明(「本願第1発明」乃至「本願第5発明」)を完成した。

0023

すなわち、本願第1発明は、
(1−1)体質顔料を無機化合物で固着した複合顔料、
(1−2)レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布における累積50%径(D50)が1〜15μmである、(1−1)に記載の複合顔料、
(1−3) レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布における累積90%径(D90)が5〜30μmである、(1−1)又は(1−2)に記載の複合顔料、
(1−4) JIS K 5101−13−1に記載の方法で測定した吸油量が80(ml/100g)以下である、(1−1)乃至(1−3)の何れかに記載の複合顔料、
(1−5) 前記体質顔料が硫酸バリウムである、(1−1)乃至(1−3)の何れかに記載の複合顔料、
(1−6) 前記無機化合物が無機ケイ素化合物である、(1−1)乃至(1−5)の何れかに記載の複合顔料、
(1−7) (1−1)乃至(1−6)の何れかに記載の複合顔料を含む、艶消し剤、
(1−8) (1−1)乃至(1−7)の何れかに記載の複合顔料又は艶消し剤と樹脂とを少なくとも含む塗料組成物、
(1−9)アミン価を有する分散剤を含む、(1−8)に記載の塗料組成物、
(1−10)着色材を含む、(1−8)又は(1−9)に記載の塗料組成物、
(1−11) (1−8)乃至(1−10)に記載の塗料組成物であって、着色のベース層の上から塗装される、艶消しトップコート形成用の塗料組成物、
(1−12) (1−8)乃至(1−11)の何れかに記載の塗料組成物を用いて形成した塗膜、
(1−13)無機化合物源と体質顔料とを含有するスラリーのpHを調整して、前記無機化合物源に由来する無機化合物を析出させて前記体質顔料を固着する、複合顔料の製造方法、
(1−14) 前記無機化合物源の無機化合物換算での体積(Va)と前記体質顔料の体積(Vb)との体積比(Va/Vb)が0.1〜3となるようにスラリーを調製する、(1−13)に記載の複合顔料の製造方法、
などである。

0024

本願第2発明は、
(2−1) 少なくとも酸化チタン顔料と体質顔料とを、無機化合物及び/又は有機化合物で固着した複合顔料、
(2−2) 少なくとも複数個の酸化チタン顔料と複数個の体質顔料とを、無機化合物及び/又は有機化合物で固着した、(2−1)に記載の複合顔料、
(2−3)レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布における累積90%径(D90)が20μm以下である、(2−1)又は(2−2)に記載の複合顔料、
(2−4) レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布における累積50%径(D50)が1〜10μmである、(2−1)乃至(2−3)の何れかに記載の複合顔料、
(2−5) 前記体質顔料が炭酸カルシウム及び/又は硫酸バリウムである、(2−1)乃至(2−4)の何れかに記載の複合顔料、
(2−6) 前記無機化合物が無機ケイ素化合物である(2−1)乃至(2−5)の何れかに記載の複合顔料、
(2−7) 更に表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物を表面に有する、(2−1)乃至(2−6)の何れかに記載の複合顔料、
(2−8) (2−1)乃至(2−7)の何れかに記載の複合顔料を含む艶消し用顔料、
(2−9) (2−1)乃至(2−7)の何れかに記載の複合顔料を含む建築物壁面塗装用顔料、
(2−10) (2−1)乃至(2−7)の何れかに記載の複合顔料を含む建材塗装用顔料、
(2−11) (2−1)乃至(2−7)の何れかに記載の複合顔料を含む自動車塗装用顔料、
(2−12) (2−1)乃至(2−7)の何れかに記載の複合顔料を含む家具塗装用顔料、
(2−13) (2−1)乃至(2−7)の何れかに記載の複合顔料を含む電気機械製品塗装用顔料、
(2−14) 少なくとも酸化チタン顔料と体質顔料と無機化合物及び/又は有機化合物を含むスラリーを調製し、撹拌下、少なくとも酸化チタン顔料と体質顔料とを無機化合物及び/又は有機化合物で固着する、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布における累積50%径(D50)が1〜10μmであり、累積90%径(D90)が20μm以下である、複合顔料の製造方法、
(2−15) (2−1)乃至(2−13)の何れかに記載の顔料を含む塗料組成物、
(2−16) (2−15)に記載の塗料組成物を用いて形成した塗膜、
などである。

0025

本願第3発明は、
(3−1)無機着色顔料を無機化合物で固着した複合顔料であって、
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、粒子径が1μm以上である前記複合顔料の存在比率が全体の50%以上であり、累積90%径(D90)が30μm以下である、複合顔料、
(3−2) 前記体積累積分布において、粒子径が2μm以上である前記複合顔料の存在比率が全体の30%以上である、(3−1)に記載の複合顔料、
(3−3) 前記複合顔料とアクリル樹脂とを含有する塗料組成物において、JIS−K5600−4−7に記載の方法で鏡面光沢度を測定した場合に、幾何学条件60°での前記鏡面光沢度が5%以下である、(3−1)又は(3−2)に記載の複合顔料、
(3−4) 前記複合顔料とアクリル樹脂とを含有する塗料組成物において、JIS−K5600−4−7に記載の方法で鏡面光沢度を測定した場合に、幾何学条件85°での前記鏡面光沢度が40%以下である、(3−1)乃至(3−3)の何れかに記載の複合顔料、
(3−5) 前記無機着色顔料が、二酸化チタン、低次酸化チタン酸窒化チタン酸化亜鉛鉛白カーボンブラックボーンブラック黒鉛鉄黒コバルトブラック、鉄−クロム複合酸化物、銅−クロムブラック複合酸化物、Fe−Mn−Biブラック、弁柄モリブデンレッドニッケルアンチモンチタンイエロー、クロムチタンイエロー、黄色酸化鉄クロムイエロー群青紺青コバルトブルー、コバルトグリーンクロムグリーン酸化クロムグリーン、コバルト−アルミクロム系グリーン及びコバルト−チタン−ニッケル−亜鉛系グリーンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、(3−1)乃至(3−4)の何れかに記載の複合顔料、
(3−6) 前記無機化合物が無機ケイ素化合物である、(3−1)乃至(3−5)の何れかに記載の複合顔料、
(3−7) (3−1)乃至(3−6)の何れかに記載の前記複合顔料を含む艶消し用顔料、
(3−8) (3−1)乃至(3−7)の何れかに記載の複合顔料と樹脂とを含む塗料組成物、
(3−9) (3−8)に記載の塗料組成物を用いて形成した塗膜、
(3−10) 前記複合顔料とアクリル樹脂とを含有し、JIS−K5600−4−7に記載の方法で鏡面光沢度を測定した場合に、幾何学条件60°での前記鏡面光沢度が5%以下である、(3−9)に記載の塗膜、
(3−11) 前記複合顔料とアクリル樹脂とを含有し、JIS−K5600−4−7に記載の方法で鏡面光沢度を測定した場合に、幾何学条件85°での前記鏡面光沢度が40%以下である、(3−9)又は(3−10)に記載の塗膜、
(3−12)無機化合物源と、無機着色顔料とを、前記無機化合物源の析出する無機化合物に換算した体積(Va)と前記無機着色顔料の体積(Vb)との体積比(Va/Vb)が0.3〜2となるように含有し、且つ、固形分濃度が75〜450g/Lであるスラリーを調製し、
前記スラリーのpHを調整して、前記無機化合物源に由来する無機化合物の析出によって前記無機着色顔料を固着する、複合顔料の製造方法、
などである。

0026

本願第4発明は、
(4−1)亜鉛元素を含有した無機着色顔料を無機化合物で固着してなる複合顔料、
(4−2) 前記無機着色顔料と体質顔料とを前記無機化合物で固着してなる、(4−1)に記載の複合顔料、
(4−3) 前記亜鉛元素が少なくとも前記無機着色顔料の表面に存在する、(4−1)又は(4−2)に記載の複合顔料、
(4−4) 前記亜鉛元素は、亜鉛酸化物及び/又は亜鉛水酸化物として存在する、(4−1)乃至(4−3)の何れかに記載の複合顔料、
(4−5)レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、粒子径が2μm以上である前記複合顔料の存在比率が全体の70%以上である、(4−1)乃至(4−4)の何れかに記載の複合顔料、
(4−6) レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布における累積90%径(D90)が30μm以下である、(4−1)乃至(4−5)の何れかに記載の複合顔料、
(4−7) 前記無機着色顔料が二酸化チタン顔料である、(4−1)乃至(4−6)の何れかに記載の複合顔料、
(4−8) 前記(4−1)乃至(4−7)の何れかに記載の複合顔料を含む艶消し用顔料、
(4−9) 前記(4−1)乃至(4−8)の何れかに記載の前記複合顔料及び/又は前記艶消し用顔料と樹脂とを少なくとも含む塗料組成物、
(4−10)アミン価を有する分散剤を含む、(4−9)に記載の塗料組成物、
(4−11) 前記(4−9)又は(4−10)に記載の塗料組成物を用いて形成した塗膜、
(4−12) 亜鉛元素を含有する無機着色顔料と無機化合物源とを含有するスラリーを調製し、該スラリーのpHを調整して、前記無機化合物源に由来する無機化合物の析出によって前記無機着色顔料を固着する、複合顔料の製造方法、
などである。

0027

本願第5発明は、
(5−1)無機化合物と固着している無機着色顔料粒子を含んでなる、複合顔料であって、
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、粒子径が1μm以上である前記複合顔料の存在比率が全体の50%以上であり、累積90%径(D90)が30μm以下である、前記複合顔料、
(5−2) 前記体積累積分布において、粒子径が2μm以上である前記複合顔料の存在比率が全体の30%以上である、(5−1)に記載の複合顔料、
(5−3)アクリル樹脂と配合することによって調製される塗料組成物の鏡面光沢度を、JIS−K5600−4−7に記載の方法にしたがって測定した場合に、幾何学条件60°での前記鏡面光沢度が5%以下である、(5−1)又は(5−2)に記載の複合顔料、
(5−4) アクリル樹脂と配合することによって調製される塗料組成物の鏡面光沢度を、JIS−K5600−4−7に記載の方法にしたがって測定した場合に、幾何学条件85°での前記鏡面光沢度が40%以下である、(5−1)乃至(5−3)の何れかに記載の複合顔料、
(5−5) 前記無機着色顔料が、二酸化チタン、低次酸化チタン、酸窒化チタン、酸化亜鉛、鉛白、カーボンブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、コバルトブラック、鉄−クロム複合酸化物、銅−クロムブラック複合酸化物、Fe−Mn−Biブラック、弁柄、モリブデンレッド、ニッケルアンチモンチタンイエロー、クロムチタンイエロー、黄色酸化鉄、クロムイエロー、群青、紺青、コバルトブルー、コバルトグリーン、クロムグリーン、酸化クロムグリーン、コバルト−アルミ−クロム系グリーン及びコバルト−チタン−ニッケル−亜鉛系グリーンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、(5−1)乃至(5−4)の何れかに記載の複合顔料、
(5−6) 前記無機化合物が無機ケイ素化合物である、(5−1)乃至(5−5)の何れかに記載の複合顔料、
(5−7) 無機化合物と固着している、亜鉛元素を含有する無機着色顔料粒子を含んでなる、複合顔料、
(5−8) 前記無機着色顔料粒子が亜鉛元素を含有する、(5−1)乃至(5−6)の何れかに記載の複合顔料、
(5−9) 前記無機着色顔料粒子の表面に前記亜鉛元素が存在する、(5−7)又は(5−8)に記載の複合顔料、
(5−10) 前記亜鉛元素は、亜鉛酸化物及び/又は亜鉛水酸化物として存在する、(5−7)乃至(5−9)の何れかに記載の複合顔料、
(5−11) 前記無機着色顔料が二酸化チタン顔料である、(5−1)乃至(5−10)の何れかに記載の複合顔料、
(5−12) (5−1)乃至(5−11)の何れかに記載の複合顔料を含む艶消し用顔料、
(5−13) (5−1)乃至(5−11)の何れかに記載の前記複合顔料及び/又は(5−12)に記載の艶消し用顔料と樹脂とを含む塗料組成物、
(5−14)アミン価を有する分散剤を含む、(5−13)に記載の塗料組成物、
(5−15) (5−13)又は(5−14)に記載の塗料組成物を含んでなる塗膜、
(5−16) 前記複合顔料とアクリル樹脂とを含有し、JIS−K5600−4−7に記載の方法で鏡面光沢度を測定した場合に、幾何学条件60°での前記鏡面光沢度が5%以下である、(5−15)に記載の塗膜、
(5−17) アクリル樹脂を含有し、JIS−K5600−4−7に記載の方法で鏡面光沢度を測定した場合に、幾何学条件85°での前記鏡面光沢度が40%以下である、(5−15)又は(5−16)に記載の塗膜、
(5−18)無機化合物源と、無機着色顔料粒子とを、前記無機化合物源の析出する無機化合物に換算した体積(Va)と前記無機着色顔料の体積(Vb)との体積比(Va/Vb)が0.3以上2以下となるように含有し、且つ、固形分濃度が75g/L以上450g/L以下であるスラリーを調製し、
前記スラリーのpHを調整することによる、前記無機化合物源に由来する無機化合物の析出によって前記無機着色顔料粒子を固着する、複合顔料の製造方法、
(5−19) 亜鉛元素を含有する無機着色顔料粒子と無機化合物源とを含有するスラリーを調製し、前記スラリーのpHを調整することによる、前記無機化合物源に由来する無機化合物の析出によって前記無機着色顔料粒子を固着する、複合顔料の製造方法、
などである。

発明の効果

0028

本願第1発明の複合顔料は、塗料(塗膜)に配合することで、塗膜の艶を十分に抑制することができる。この艶抑制の程度は、高い艶抑制効果を有する従来のシリカの艶消し剤と同程度である。
また、本願第1発明の複合顔料は、上述のように、高い艶抑制効果を発現することが可能でありながら、これを配合した塗料の増粘を十分に抑制することができ、ハンドリング性の良好な塗料組成物を実現することができる。
また、本願第1発明の複合顔料は、塗膜触感には不利に作用する体質顔料を含有しているにも関わらず、塗膜の触感を滑らかにすることができる。
以上のように、本発明の複合顔料は、従来の艶消し剤では実現が困難であった、高い艶抑制効果、良好なハンドリング性、及び良好な塗膜触感の全てを実現できる点において、優れている。

0029

更に、本願第1発明の複合顔料は、樹脂等に添加して軽く混合するだけで、省力で分散、塗料化することができる。分散が容易であることから、艶ムラ(塗膜の異なる位置における艶の程度のバラつき)を抑制することもできる。加えて、本発明の複合顔料は、比較的安価な材料で構成されるので、複合顔料及びこれを含む塗料組成物を安価に製造することができる。更に加えて、複合顔料を構成する体質顔料及び無機化合物の種類を適切に選択することにより、樹脂ビーズ系の艶消し剤よりも環境負荷の低い艶消し剤を実現することができる。

0030

また、本願第2発明の複合顔料は、酸化チタン顔料を使用する場合、十分な酸化チタン顔料特性(白色性、隠蔽性、着色性など)を持ち、酸化チタン白色顔料の光沢を抑え、艶を抑制する効果を有する。
具体的には、一般に「7分艶(JIS K5600−4−7:1999に準拠して測定した60°の鏡面光沢率が55〜65%)」や「5分艶」、「3分艶」と呼ばれる艶の抑制程度にとどまらず、「艶消し(60°の鏡面光沢率が5%以下)」と呼ばれる程度にまで艶を抑制することができる。

0031

また、本願第2発明の複合顔料は、累積90%径(D90)やメジアン径D50の値を適切な範囲に設定することができる。すなわち、累積90%径(D90)を20μm以下とし、好ましくは、更にメジアン径D50を1〜10μmとする。こうすることで、低光沢性(艶抑制効果)と隠蔽性を発現しつつ、塗膜の触感が滑らかにすることができる。同時に、塗膜に汚れが付きにくく、また汚れを除去しやすいという機能性を付与することができる。

0032

また、本願第2発明の複合顔料は、塗料樹脂などに添加して軽く混合するだけで、省力で分散、塗料化することが可能である。従って、艶消し剤を別途添加することなく低光沢性(艶抑制効果)を有する塗料を調製できるので、現場作業の効率化を図ることができ、ひいては施工不良の発生等を抑制することができる。更に、本発明の複合顔料は、比較的安価な材料で構成されるので、塗料組成物を安価に製造することができる。

0033

また、本願第3発明の複合顔料は、無機着色顔料を改質したものであり、塗料(塗膜)に配合した状態で、塗膜が低い光沢(低い艶)を発現する。具体的には、一般に「7分艶」や「5分艶」、「3分艶」と呼ばれる艶の抑制程度にとどまらず、「艶消し」(JIS K5600−4−7:1999に準拠して測定した幾何学条件60°の鏡面光沢度が5%以下)と呼ばれる程度にまで艶を抑制することができる。また、85°鏡面光沢度についても40%以下とすることができ、いわゆる底艶についても十分に抑制することができる。

0034

また、本願第3発明の複合顔料は、塗膜の触感も良好(滑らか)にすることができる。
上述した従来技術では、艶消し効果を高くしようとすると塗膜の触感が悪化し、塗膜の触感を優先しようとすると艶消し効果が小さくなるというように、艶消し効果と塗膜触感とを両立させることは困難であった。本発明の複合顔料は、高い艶消し効果と良好な塗膜の触感とを両立させることができる点で、優れている。

0035

更に、本願第3発明の複合顔料は、使用する無機着色顔料を改質することによって、光沢を抑えるための成分(体質顔料、艶消し剤など)を用いる必要がないようにすることもできるので、簡易な工程によって塗料、特に艶消し塗料を製造することができる。また、本発明の複合顔料は、樹脂等に添加して軽く混合するだけで、省力で分散、塗料化することができる。加えて、本発明の複合顔料は、比較的安価な材料で構成されるので、塗料組成物を安価に製造することができる。

0036

本願第4発明は、亜鉛元素を含有した無機着色顔料を無機化合物で固着した複合顔料であり、粒度分布を適切な範囲に設定することができ、塗料(塗膜)に配合した状態で、塗膜が低い光沢(低い艶)を発現する。
好ましくは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、粒子径が2μm以上である前記複合顔料の存在比率を全体の70%以上とすることができる。こうすることで、塗膜の60°鏡面光沢度及び85°鏡面光沢度をより一層抑制することができる。更に、累積90%径(D90)を30μm以下とすることができ、これにより塗膜の触感を滑らかにすることができる。

0037

また、本願第4発明の複合顔料は、樹脂に添加して軽く混合するだけで塗料化することができる。従って、従来のフラットエマルション塗料のように顔料成分を強分散する必要がなく、省力で艶消し塗料を製造できる。更に、本発明の複合顔料を用いれば、光沢を抑えるための成分(体質顔料、艶消し剤など)を別途添加する必要がないようにすることもできるので、簡便に艶消し塗料を製造することができる。加えて、本発明の複合顔料は、比較的安価な材料で構成されるので、艶消し塗料を安価に製造することができる。

0038

本願第5発明の複合顔料は、無機着色顔料を改質したものであり、塗料(塗膜)に配合した状態で、塗膜が低い光沢(低い艶)を発現する。具体的には、一般に「7分艶」や「5分艶」、「3分艶」と呼ばれる艶の抑制程度にとどまらず、「艶消し」(JIS K5600−4−7:1999に準拠して測定した幾何学条件60°の鏡面光沢度が5%以下)と呼ばれる程度にまで艶を抑制することができる。また、85°鏡面光沢度(いわゆる底艶)についても十分に抑制することができる。

0039

また、本願第5発明の複合顔料は、塗膜の触感も良好(滑らか)にすることができる。
上述した従来技術では、艶消し効果を高くしようとすると塗膜の触感が悪化し、塗膜の触感を優先しようとすると艶消し効果が小さくなるというように、艶消し効果と塗膜触感とを両立させることは困難であった。本発明の複合顔料は、高い艶消し効果と良好な塗膜の触感とを両立させることができる点で、優れている。

0040

更に、本願第5発明の複合顔料は、光沢を抑えるための成分(体質顔料、艶消し剤など)を用いる必要がないので、簡易な工程によって塗料、特に艶消し塗料を製造することができる。また、本発明の複合顔料は、樹脂等に添加して軽く混合するだけで、省力で分散、塗料化することができる。加えて、本発明の複合顔料は、比較的安価な材料で構成されるので、塗料組成物を安価に製造することができる。

図面の簡単な説明

0041

本発明の実施例1−1の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本発明の実施例1−2の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本発明の実施例1−3の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本発明の実施例1−4の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本発明の実施例1−1の複合顔料の体積累積粒度分布図である。
本願第2発明の実施例2−1の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第2発明の実施例2−1の複合顔料の電子顕微鏡写真(拡大図)である。
本願第2発明の実施例2−2の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第2発明の実施例2−3の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第2発明の実施例2−4の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第2発明の実施例2−5の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第2発明の実施例2−6の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第2発明の実施例2−7の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第2発明の比較例2−1の二酸化チタン、炭酸カルシウムの混合粉体の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の実施例3−1の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の実施例3−2の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の実施例3−3の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の実施例3−4の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の実施例3−5の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の実施例3−6の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の実施例3−7の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の実施例3−8の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の実施例3−9の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の比較例3−1の顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の比較例3−2の顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第3発明の実施例3−1の複合顔料の体積累積粒度分布図である。
本願第4発明の実施例4−1の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第4発明の実施例4−1の複合顔料の電子顕微鏡写真(拡大図)である。
本願第4発明の実施例4−2の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第4発明の実施例4−3の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第4発明の実施例4−1の複合顔料の体積粒度分布図である。
本願第2発明の実施例2−1の複合顔料の電子顕微鏡写真(高倍率拡大図)である。
本願第4発明の実施例4−3の複合顔料の電子顕微鏡写真(高倍率拡大図)である。
本願第5発明の実施例5−6の複合顔料の電子顕微鏡写真である。
本願第5発明の実施例5−7の複合顔料の電子顕微鏡写真である。

0042

本発明(「本願第1発明」乃至「本願第5発明」)の実施形態について以下に詳述する。

0043

[本発明(本願第1発明)の実施形態]
本発明の複合顔料は、体質顔料が無機化合物で固着されたものであり、無機化合物を介して、複数個の体質顔料の粒子を粒状に集合させたものである。
本発明において「体質顔料」とは、一般に、展色剤中に増量剤として加えられ、流動性、強度あるいは光学的性質の改善のために用いられるもので、それ自体の屈折率隠蔽力、及び着色力が小さな顔料であって、展色剤と練り合わせたときに透明又は半透明となるものをいう。体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム炭酸バリウムカオリン、タルクなどが挙げられる。中でも、体質顔料として硫酸バリウムを用いると、複合顔料に耐酸性耐アルカリ性耐熱性放射線遮蔽特性などを付与することができる。

0044

本発明の複合顔料を構成する体質顔料の大きさは、その平均一次粒子径が0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.15〜0.7μmであることがより好ましく、0.2〜0.5μmであることが更に好ましい。体質顔料の平均一次粒子径を上記範囲内とすると、体質顔料を無機化合物で固着して集合させたときに、複合顔料を適度な大きさ(好ましい粒度分布)とすることができる。
平均一次粒子径は、電子顕微鏡法にて測定することができる。詳細には、透過型電子顕微鏡日立製作所製 H−7000)を用いて、体質顔料の粒子を撮影し、自動画像処理解析装置ニレコ製ルーゼックスAP)を用いて画像処理を行い、2000個の粒子について一次粒子径を測定し、その平均値を平均一次粒子径とする。

0045

体質顔料の形状はどのような形状であってもよく、球状、略球状、柱状、針状、紡錘状楕円形立方体直方体、その他不定形状など、各種の形状をとり得る。

0046

上記の体質顔料を固着するために用いる無機化合物としては、固着性あるいは凝集性を有する無機化合物、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、セリウム、亜鉛、チタンなどの酸化物水酸化物水和酸化物などが挙げられる。より具体的には、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム酸化アンチモン酸化スズ酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどが挙げられ、体質顔料以外の無機化合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。

0047

上記無機化合物としては、無機ケイ素化合物が好ましく、特にシリカが好ましい。無機ケイ素化合物を用いることで、複合顔料の比表面積や吸油量を適度な値とすることができ、これを配合した塗料の取り扱い(ハンドリング)を容易とすることができる。

0048

本発明の複合顔料では、複合顔料中の体質顔料と無機化合物との含有比が、体質顔料の体積を1とした場合に、無機化合物の体積が0.1〜3であることが好ましい。また、塗膜の艶抑制の観点からすれば、体質顔料の体積1に対して無機化合物の体積が0.3〜3であることがより好ましい。更に、塗料の粘度(ハンドリング性)の観点からすれば、体質顔料の体積1に対して無機化合物の体積が0.1〜1.5であることがより好ましい。加えて、塗膜の艶抑制、及び塗料のハンドリング性の両観点からすれば、体質顔料の体積1に対して無機化合物の体積が0.3〜1.5であることが更に好ましい。

0049

体質顔料の固着には、上記の無機化合物と同様の特性(体質顔料を固着する性質)を有する有機化合物を用いてもよい。有機化合物としては、有機系凝集剤有機凝結剤等が使用できる。有機系凝集剤、有機系凝結剤としては、その高分子鎖により複数の粒子を絡み取り凝集させることができるものであれば特に限定されず、カチオン性高分子アニオン性高分子非イオン性高分子等の高分子化合物を用いることができる。有機化合物の含有率は適宜設定することができる。

0050

本発明の複合顔料は、体質顔料が無機化合物によって固着された集合体の形態をとる。このとき、体質顔料の間に殆ど隙間が無い(密に複合化された)状態となっていてもよいし、適度に隙間が形成された(粗に複合化された)状態となっていてもよい。また、上述の密に複合化された状態のもの(一次集合体)が複数個集合して、一次集合体同士の間に適度に隙間が形成された二次集合体を形成していてもよい。複合顔料の粒子の形状はどのような形状であってもよく、球状、略球状、柱状、針状、紡錘状、楕円形、立方体、直方体、その他不定形状など、各種の形状をとり得るが、球状、略球状等であればより好ましい。

0051

本発明の複合顔料において、無機化合物は、その機能(体質顔料同士を固着する機能)を果たすために、少なくとも体質顔料の粒子間に存在している必要があるが、これに加えて、複合顔料の粒子表面の一部又は全部を被覆するように無機化合物が存在していてもよい。

0052

本発明の複合顔料は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布における累積50%径(D50)が、1〜15μmであることが好ましい。複合顔料の体積粒度分布の測定には、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−910」(堀場製作所製)を用いることができる。

0053

D50がこのような値をとる場合、この複合顔料を配合した塗膜において、艶抑制効果を高い次元で発現させることができる。具体的には、顔料体積濃度PVC)20%でクリヤー塗料を調整し、これを塗膜化して、JIS K5600−4−7:1999に準拠して鏡面光沢度を測定した場合に、幾何学条件60°の鏡面光沢度を5%以下とすることができる。これは、一般に「7分艶(60°の鏡面光沢度が55〜65%)」や「5分艶」、「3分艶」と呼ばれる艶の抑制程度にとどまらず、「艶消し」と呼ばれる程度にまで艶が抑制されていることを意味する。

0054

本発明の複合顔料は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布における累積90%径(D90)が、5〜30μmであることが好ましい。こうすることで、複合顔料を配合した塗膜において、いわゆる「底艶」についても十分に抑制することができる。具体的には、顔料体積濃度(PVC)20%でクリヤー塗料を調整し、これを塗膜化して、JIS K5600−4−7:1999に準拠して測定した幾何学条件85°の鏡面光沢度(底艶)を、10%以下に抑制することができる。

0055

また、本発明の複合顔料は、塗膜に配合した状態での塗膜触感が良好(滑らか)であることを特徴とするが、上述の累積90%径(D90)が30μm以下であると、十分に滑らかな塗膜触感を実現することができるので好ましい。塗膜触感の観点からすれば、累積90%径(D90)は20μm以下であることがより好ましい。
塗膜触感の評価指標としては、例えば、塗膜の摩擦係数を用いることができ、摩擦係数としては、MIU(平均摩擦係数)や、MMD(平均摩擦係数の変動)などを用いることができる。これらの摩擦係数は、例えば、摩擦感テスター(カトーテック製、KES−SE)を用いて測定することができる。
本発明の複合顔料では、累積90%径(D90)を20μm以下とすることで、MMD(平均摩擦係数の変動)の値を0.02以下とすることができ、好ましくは0.01以下とすることができる。

0056

本発明の複合顔料は、JIS K 5101−13−1に記載の方法で測定した吸油量が80(ml/100g)以下であることが好ましい。こうすることで、本発明の複合顔料を塗料に配合した場合の増粘を十分に抑制することができる。塗料の粘度抑制(ハンドリング性向上)の観点からすれば、吸油量は60(ml/100g)以下であることがより好ましい。

0057

本発明の複合顔料は、上記構成に加えて、その外表面に更に表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物を有していてもよい。この無機化合物及び/又は有機化合物は、本発明の複合顔料の表面に存在(具体的には、その表面の一部又は全部を被覆するように存在)する、いわゆる「複合顔料の表面処理」に用いるものであるため、上述の固着に用いる無機化合物や有機化合物(「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」とも称する)とは機能が異なる。そのため、ここでは、「表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物」と「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」は適宜区別される。
なお、「固着用」や「表面用」という表記がなく、また前後の文脈からも判断できない場合には、通常、「固着用」を意味する。

0058

このような表面処理用無機化合物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、セリウム、亜鉛、チタンなどの酸化物、水酸化物、水和酸化物などが挙げられる。より具体的には、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどを用いることができる。複合顔料をこれらの無機化合物で処理することにより、耐酸性、耐候性の向上、あるいは樹脂などの分散媒への分散性を改良することができる。

0059

また、本発明の複合顔料の表面に存在させる表面処理用有機化合物としては、シリコーン樹脂等の有機ケイ素化合物、シロキサンシランカップリング剤ステアリン酸ラウリン酸などのカルボン酸ポリオールアミンなどが挙げられる。艶消し剤をこれらの有機化合物で処理することにより、樹脂などの分散媒への分散性を改良することができる。

0060

本発明の複合顔料は、例えば以下のような方法で製造することができる。すなわち、体質顔料と無機化合物源とを水等の溶媒に添加し、ディスパー等で分散させてスラリー化する。
本発明における「無機化合物源」とは、後述するスラリーのpH調整により無機化合物として析出するもののことを意味する。このような無機化合物源としては、例えば、ケイ酸ナトリウムアルミン酸ナトリウム硫酸アルミニウム硫酸ジルコニウム塩化第一スズ、四塩化チタンなどが挙げられる。無機化合物源としてはケイ酸ナトリウムが好ましい。ケイ酸ナトリウムとしては、JIS 1408−1966に規定されている1号、2号、3号ともに用いることができるが、入手し易さ、ハンドリングの点で3号を用いることが好ましい。

0061

ここで、上記スラリーの調製においては、無機化合物源の体積(Va)と体質顔料の体積(Vb)との体積比(Va/Vb)が、0.1〜3となるように設定することが好ましい。ここで、無機化合物源の体積(Va)は、後述のpH調整の結果、析出する無機化合物に換算した場合の体積を意味する。このような体積比とすることにより、無機化合物による十分な固着作用を得ることができ、複合顔料を適度な大きさ(好ましい粒度分布)とすることができる。

0062

続いて、上記スラリーのpH調整を行うことで、無機化合物源由来の無機化合物が析出し、無機化合物によって体質顔料が固着される。
無機化合物源としてケイ酸ナトリウムを用いる場合、上記スラリーを加熱し、50〜100℃程度に保持しながら、希硫酸を添加してpHを2〜10に調整するのが好ましい。こうすることで、遊離のシリカの生成を抑制しつつ、適度な大きさ(好ましい粒度分布)の複合顔料を得ることができる。上記希硫酸添加によるpH調整においては、pHを6〜9の範囲に調整することがより好ましく、7〜8の範囲に調整することが更に好ましい。
また、無機化合物源として硫酸アルミニウムを用いる場合、上記スラリーを加熱し、50〜100℃程度に保持しながら、苛性ソーダ水酸化ナトリウム)を添加してpHを4〜13に調整することが好ましい。

0063

上記工程に続いて、必要に応じて公知の方法で脱水洗浄、乾燥し、適宜粉砕することができる。更に必要に応じて、上記で乾燥したものをより高い温度で焼成してもよい。焼成温度は適宜設定することができ、例えば300〜900℃程度が好ましい。

0064

以上では、体質顔料を無機化合物で固着する方法について説明したが、体質顔料を有機化合物で固着することも可能である。すなわち、体質顔料と有機化合物(カチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子等の高分子化合物からなる有機系凝集剤、有機系凝結剤等)とを水等の溶媒に添加し、ディスパー等で分散させてスラリー化して、体質顔料を固着する。こうすることで、体質顔料が有機化合物で固着された複合顔料を製造することができる。

0065

上述の各種方法で製造した本発明の複合顔料は、粗大粒子を除去する目的で分級してもよい。分級は、粉砕あるいはによって行うことができる。粉砕による分級方法は特に限定されず、例えば、アトマイザー等を挙げることができる。篩による分級方法としては、湿式分級乾式分級などを挙げることができる。

0066

本発明の複合顔料を更に表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物で表面処理する場合は、湿式法乾式法などの公知の方法を用いて実施することができる。このとき、作製した複合顔料を壊さないようにするために、高トルクのかかる処理方法は避けることが好ましい。例えば、湿式法では、本発明の複合顔料と無機化合物及び/又は有機化合物に水又は有機溶剤を添加し、混合することで本発明の艶消し剤を無機化合物及び/又は有機化合物で表面処理することができる。

0067

本発明の複合顔料は、種々の用途に用いることができる。例えば、建築物壁面塗装用(外装内装天井、床や浴槽台所トイレ等の壁面や床等)や建材塗装用、車両塗装用、家具塗装用、電気機械製品塗装用などの塗料組成物に配合する艶消し剤として、好適に用いられる。また、本発明の複合顔料は、プラスチックゴムラテックスエラストマ等に艶消し剤として配合することができる。艶消し剤として用いるには、本発明の複合顔料自体を用いることもでき、従来の艶消し剤、着色材、添加剤などと混合して用いることもできる。更に、本発明の複合顔料は、増量剤、添加剤、充填剤、体質顔料、流動性付与剤、強度補助剤、光学的性質の改善剤などとしても各種塗料組成物やプラスチック、ゴム、ラテックス、エラストマ、セラミックスガラス、金属等に配合することができる。

0068

本発明の塗料組成物は、上述の複合顔料と樹脂とを含有するものであり、必要に応じて、着色材、分散剤、添加剤、溶剤などを含有する。
本発明の塗料組成物に含まれる樹脂としては、フェノール樹脂アルキド樹脂アクリルアルキド樹脂、アクリル樹脂、アクリルエマルション樹脂ポリエステル樹脂ポリエステルウレタン樹脂ポリエーテル樹脂ポリオレフィン樹脂ポリウレタン樹脂アクリルウレタン樹脂エポキシ樹脂変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂フッ素樹脂などの各種塗料用樹脂が挙げられる。

0069

着色材としては、顔料、染料などを用いることができる。本発明の塗料組成物に含まれる顔料としては、各種無機系の顔料(二酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白、低次酸化チタン、酸窒化チタン(チタンブラック)、カーボンブラック、ボーンブラック(骨炭)、黒鉛、鉄黒、コバルトブラック、鉄−クロム複合酸化物、銅−クロムブラック複合酸化物、Fe−Mn−Biブラック、弁柄、モリブデンレッド、ニッケルアンチモンチタンイエロー、クロムチタンイエロー、黄色酸化鉄、クロムイエロー、群青、紺青、コバルトブルー、コバルトグリーン、クロムグリーン、酸化クロムグリーン、コバルト−アルミ−クロム系グリーン、コバルト−チタン−ニッケル−亜鉛系グリーン等)や、各種有機系の顔料(レーキレッド4R、ITRレッド、ナフトールレッド、ピラロゾンオレンジ、ピラロゾンレッド、ベンツイミダゾロンオレンジ、ウォッチングレッド、レーキレッドR、ボルドー10Bボンマルーンライトアントラキノンレッド、ジアントラキノンレッド、アンタントロンレッド、アンタントロンオレンジ、ペリレンレッドペリレンマルーン、ペリレンバイオレットペリノンオレンジ、キナクリドンレッド、キナクリドンバイオレット、キナクリドンマゼンタジメチルマゼンタ、ジクロロキナクリドンマゼンタ、ジクロロマゼンタ、キナクリドンマルーン、キナクリドンスカレットジケトピロロピロールファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、ジアリリドイエロー、イソインドリンイエロー、キノフタロンイエロー、フタロシアニングリーン塩素化フタロシアニングリーン、臭素化フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルースレブルージオキサジンバイオレット等)を用いることができる。また染料としては、塩基性染料ローダミンビスマルクグリーン、マラカイトグリーンメチルバイオレット等)、直接染料コンゴーレッド、ダイレクトスカーレット等)、酸性染料メタニルイエローニグロシンアシッドファーストレッド等)、含金属錯塩染料油溶性染料等を用いることができる。これらの着色材の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
また、塗料組成物に着色材を配合しないことにより、透明(半透明)の艶消し塗料とすることもできる。このような透明(半透明)の艶消し塗料は、車両用の用途などにおいて、ベース層(着色光沢塗料や光輝性塗料などを基材に塗装して形成した層)の上から塗装するトップコートとして用いることができる。

0070

本発明の塗料組成物に含まれる添加剤としては各種の一般に用いられる乳化剤不凍剤pH調整剤増粘剤消泡剤などが挙げられる。溶剤としては、水、トルエンキシレンミネラルスピリットアセトンメチルエチルケトンメタノールブタノール酢酸エチル酢酸アミン、エチレングリコール等が挙げられる。分散剤は、複合顔料を合成するときに用いた無機化合物の種類に応じて適宜選択する。例えば、上述の無機化合物にシリカを用いた場合、上述の複合顔料の表面にはシリカが存在しているため、表面がわずかに酸性である。この場合、分散剤としてはアミン価を有する分散剤を用いることがより好ましい。具体的にはBYK社製「DISPERBYK(登録商標)−183」、「DISPERBYK(登録商標)−184」、「DISPERBYK(登録商標)−185」等がある。
複合顔料と樹脂、必要に応じて上述の着色材、分散剤、添加剤、溶剤等とを分散機で撹拌し、必要に応じて脱泡して本発明の塗料組成物を調製することができる。

0071

本発明の塗料組成物は、光沢塗料に本発明の複合顔料を添加するなどして着色の艶消し塗料とする場合、複合顔料の添加量は0.1〜10質量%とすることが好ましく、1〜5質量%とすることがより好ましい。
また、着色材の含有量を極少量としたり、着色材を含有させたりしないことで、透明(半透明の)トップコート用艶消し塗料とする場合、複合顔料の顔料体積濃度(PVC)を5〜40%の範囲とすることが好ましく、10〜30%の範囲とすることがより好ましく、15〜25%の範囲とすることが更に好ましい。このような範囲とすることで、ベース層の発色を維持しつつ、十分に艶を抑制可能なトップコート用艶消し塗料とすることができる。

0072

本発明の塗膜は、上述の塗料組成物を対象物に塗装し、硬化させたものである。すなわち上述の塗料組成物を刷毛ウールローラー等を用いて対象物に塗装し、乾燥させることで本発明の塗膜を得ることができる。対象物としては、建材(コンクリートモルタル石膏漆喰、プラスチック、ガラス、陶器、石、木等)や車両の本体(金属製、プラスチック製)、家具や電気機械製品(プラスチック製、ガラス製、陶器製、石製、木製等)が挙げられる。対象物は、本発明の塗料組成物とは異なる塗料組成物(光沢塗料、光輝性塗料など)で予め塗装されたものであってもよい。

0073

[本発明(本願第2発明)の実施形態]
本発明の複合顔料は、少なくとも酸化チタン顔料と体質顔料とを、無機化合物及び/又は有機化合物で固着した複合顔料である。

0074

本発明の複合顔料は、少なくとも酸化チタン顔料と体質顔料とを、無機化合物及び/又は有機化合物で固着した形態をとる。複合顔料は各種の態様を取り得るが、代表的には、少なくとも複数個の酸化チタン顔料と複数個の体質顔料とが、無機化合物及び/又は有機化合物で固着した態様が挙げられる。このとき、同種の構成粒子(酸化チタン顔料同士、あるいは体質顔料同士)が特定箇所に塊まって存在するのではなく、酸化チタン顔料の間に体質顔料が存在した状態であることが好ましい。体質顔料がスペーサー役割を果たすことで、低光沢性(艶抑制効果)や隠蔽性を向上させることができる。もちろん、必ずしも全ての酸化チタン顔料の間に体質顔料が存在している必要はなく、複合顔料の一部の領域には同種の構成粒子が塊まって存在する領域が形成されていてもよいが、複合顔料を巨視的に見た場合に、複数の酸化チタン顔料と体質顔料とが満遍なく分散して存在する態様が好ましい。
また、複合顔料中で複数個の酸化チタン顔料と体質顔料とを分散配置させる観点からすれば、酸化チタン顔料及び/又は体質顔料の形状が、球状あるいは略球状であることが好ましい。

0075

ここで、上述のように、複合顔料中の複数個の酸化チタン顔料と体質顔料とが満遍なく分散して存在した状態を取り易くするためには、体質顔料の平均一次粒子径が酸化チタン粒子の平均一次粒子径と同程度であるか、酸化チタン粒子の平均一次粒子径よりも小さいことが好ましい。具体的には、酸化チタン粒子の平均一次粒子径を1とした場合に、体質顔料の平均一次粒子径が0.1〜1.5であることが好ましく、0.5〜1であることがより好ましい。このように、酸化チタン顔料と同程度、あるいは酸化チタン顔料よりも小さい体質顔料を用いることで、酸化チタン顔料間で体質顔料がスペーサーとして機能し易くなるからである。
平均一次粒子径は、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]で既述した、平均一次粒子径を測定するのに用いた電子顕微鏡法にて同じ方法で測定することができる。

0076

また、酸化チタン顔料と体質顔料とは、無機化合物及び/又は有機化合物によって、互いに殆ど隙間が無い(密に複合化された)状態となっていてもよいし、適度に空隙が形成された(粗に複合化された)状態となっていてもよい。また、上述の密に複合化された状態のもの(一次複合粒子)が複数個集合して、一次複合粒子同士の間に適度に空隙が形成された二次複合粒子を形成していてもよい。複合顔料の形状はどのような形状であってもよく、球状、略球状、柱状、針状、紡錘状、楕円形、立方体、直方体、その他不定形状など、各種の形状をとり得るが、球状、略球状等であればより好ましい。

0077

本発明の複合顔料において、無機化合物及び/又は有機化合物は、複合顔料の構成粒子(酸化チタン顔料及び体質顔料等)を固着させる。従って、少なくとも構成粒子の間に存在している必要があるが、更に、複合顔料の表面(具体的には、複合顔料の粒子表面)の一部又は全部を被覆するように存在していてもよい。この場合、両者の機能に着目して、前者(複合顔料の前記構成粒子を固着するために用いる無機化合物及び/又は有機化合物)を「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」と、後者(複合顔料の表面の一部又は全部を被覆するように存在する、いわゆる「複合顔料の表面処理」に用いる無機化合物及び/又は有機化合物)を「表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物」と称して適宜区別する。
なお、「固着用」や「表面用」という表記がなく、また前後の文脈からも判断できない場合には、通常、「固着用」を意味する。

0078

本発明の複合顔料は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した累積90%径(D90)(体積累積分布における累積90%径)が20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
複合顔料の累積90%径(D90)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。このような装置としては、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−910」(堀場製作所製)を用いることができる。

0079

一般的なフラットエマルション塗料は、艶消し効果を発現する一方で、塗膜の表面は粗くなる。その結果、塗膜の触感がザラザラとしたり、塗膜に汚れが付きやすく、また汚れを除去しにくいことが多い。これに対して、累積90%径(D90)が20μm以下である本発明の複合顔料を用いた場合、塗膜表面が平滑になることで、低光沢性(艶抑制効果)を発現しつつ、塗膜の触感が滑らかであるという、独特の意匠感を発現させることができる。同時に、塗膜に汚れが付きにくく、また汚れを除去し易いという機能性を付与することができる。

0080

本発明の複合顔料は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定したメジアン径D50(体積累積分布における累積50%径)が1〜10μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。このような本発明の複合顔料を塗料化して用いることで、塗膜の表面をより一層、平滑とすることができる。その結果、低光沢性(艶抑制効果)を発現しつつ、塗膜の触感の滑らかさ、塗膜に汚れが付きにくさ(汚れの除去しやすさ)をより向上させることができる。
複合顔料のメジアン径D50は、上述したD90と同様に、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−910」(堀場製作所製)等を用いて測定することができる。

0081

本発明の複合顔料を構成する酸化チタン顔料は、その平均一次粒子径が0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましく、0.1〜0.3μmであることが更に好ましい。酸化チタン顔料の平均一次粒子径を上記範囲内とすることで、酸化チタン顔料と体質顔料とを複合化したときに、複合顔料を適度な大きさとすることができる。その結果、低光沢性(艶抑制効果)と隠蔽性を向上させることができ、また、塗膜の触感をより滑らかなものとすることができるので好ましい。
酸化チタン顔料の形状はどのような形状であってもよく、球状、略球状、柱状、針状、紡錘状、楕円形、立方体、直方体、その他不定形状など、各種の形状をとり得る。

0082

酸化チタン顔料の結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の何れも用いることができるが、ルチル型、アナターゼ型を用いることが好ましい。複合顔料を塗料樹脂等に配合する場合、光触媒活性による塗料樹脂の劣化を抑制する観点から、ルチル型を用いることがより好ましい。尚、酸化チタン粒子は、いわゆる硫酸法、塩素法の何れの方法で製造したものも用いることができる。

0083

本発明の複合顔料を構成する体質顔料としては、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム重質炭酸カルシウム沈降性(合成)炭酸カルシウムなど)、硫酸バリウム(沈降性(合成)硫酸バリウムなど)、バライト粉、タルク、カオリン、クレー、水酸化アルミニウム、ホワイトカーボンなどが挙げられる。体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウムが好ましい。
後述するように、本発明の複合顔料において、体質顔料は、酸化チタン顔料同士の間に入り、粒子間に適度な間隔を設けるためのスペーサーとして機能する。このような機能を実現するためには、体質顔料の体積が重要となる。この点で、炭酸カルシウムは、比較的比重が小さく、少ない使用量でも十分な体積を確保できる。従って、コストの観点からすれば、体質顔料に炭酸カルシウムを用いることがより好ましい。また、炭酸カルシウムの中でも、特に、沈降性(合成)炭酸カルシウムが好ましい。沈降性(合成)炭酸カルシウムは、所望の粒子サイズに設計がし易く、所望の粒子径のものを入手し易いからである。

0084

本発明の複合顔料を構成する体質顔料は、その平均一次粒子径が0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましく、0.1〜0.35μmであることが更に好ましい。体質顔料の平均一次粒子径を上記範囲内とすることで、酸化チタン顔料と体質顔料とを複合化したときに、複合顔料を適度な大きさとすることができ、低光沢性(艶抑制効果)と隠蔽性を向上させるとともに、塗膜の触感をより滑らかなものとすることができるので好ましい。
体質顔料の形状はどのような形状であってもよく、球状、略球状、柱状、針状、紡錘状、楕円形、立方体、直方体、その他不定形状など、各種の形状をとり得る。

0085

本発明の複合顔料では、酸化チタン顔料と体質顔料との含有率は適宜設定することができるが、質量比において、酸化チタンの質量を1とした場合に、体質顔料の質量が0.01〜100であることが好ましく、0.1〜10であることがより好ましく、0.2〜1であることが更に好ましい。

0086

上記の酸化チタン顔料と体質顔料とを強固に固着するために、無機化合物及び/又は有機化合物を用いる。無機化合物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、セリウム、亜鉛などの酸化物、水酸化物、水和酸化物などが挙げられる。より具体的には、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを用いることができる。

0087

上記無機化合物としては、複合顔料の比表面積の増大、これに伴う吸油量の増大を抑制する観点から、シリカを用いることが好ましい。こうすることで、塗料化時の塗料の粘度増大を抑制することができる。

0088

本発明の複合顔料では、固着に無機化合物を用いる場合(即ち、固着用無機化合物を用いる場合)、顔料成分(酸化チタン及び体質顔料等)と無機化合物との含有率が、質量比において、顔料成分の質量を1とした場合に、無機化合物の質量が0.01〜100であることが好ましく、0.05〜10であることがより好ましく、0.1〜0.5であることが更に好ましい。

0089

本発明の複合顔料を構成する固着用有機化合物としては、有機系凝集剤、有機系凝結剤等が使用できる。有機系凝集剤、有機系凝結剤としては、その高分子鎖により複数の粒子を絡み取り凝集させることができるものであれば特に限定されず、カチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子等の高分子化合物を用いることができる。有機化合物との含有率は適宜設定することができるが、質量比において、顔料成分の質量を1とした場合に、有機化合物の質量が0.001〜1であることが好ましく、0.001〜0.1であることがより好ましく、0.01〜0.05であることが更に好ましい。

0090

本発明の複合顔料は、表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物を表面に有していてもよい。上述のとおり、この無機化合物及び/又は有機化合物は本発明の複合顔料の表面の一部又は全部を被覆するように存在する、いわゆる「複合顔料の表面処理」に用いるものであるため、「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」とは機能が異なる。そのため、ここでは、「表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物」と「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」は区別される。

0091

このような表面処理用無機化合物としては、例えば、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]において表面処理用無機化合物として例示したものがそのまま挙げられる。

0092

また、本発明の複合顔料の表面に存在させる表面処理用有機化合物としては、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]で複合顔料の表面に存在させる有機化合物として例示したものがそのまま挙げられ、複合顔料をこれらの表面処理用有機化合物で処理することにより、樹脂などの分散媒への分散性を改良することができる。

0093

本発明の複合顔料は、酸化チタン顔料、体質顔料の他に必要に応じて、種々の着色顔料、有機顔料有機染料、遮熱顔料等の機能性顔料を適宜配合してもよい。

0094

本発明の複合顔料は、各種公知の方法で製造することができ、例えば造粒機造粒することもできるが微細な複合顔料が製造でき難い。そこで、少なくとも酸化チタン顔料と体質顔料と無機化合物及び/又は有機化合物を含むスラリーを調製し、撹拌下、少なくとも酸化チタン顔料と体質顔料とを無機化合物及び/又は有機化合物で固着すると、メジアン径D50及び累積90%径(D90)が上記範囲の微細な複合顔料を容易に製造することができるため好ましい方法である。

0095

具体的には、酸化チタン顔料と体質顔料(炭酸カルシウム、硫酸バリウム等)等と無機化合物及び/又は有機化合物を水等の溶媒に添加し、ディスパー等で分散させてスラリー化する。無機化合物としてはケイ酸ナトリウムが好ましく、JIS 1408−1966に規定されている1号、2号、3号ともに用いることができるが、入手し易さ、ハンドリングの点で3号を用いることが好ましい。このスラリーを加熱し、50〜100℃程度に保持しながら、希硫酸を添加してpHを調整する。この際、用いる体質顔料によって調整するpHの値は異なる。例えば、体質顔料に炭酸カルシウムを用い場合、pHを7.0〜10.0程度に調整する。体質顔料に硫酸バリウムを用いた場合、pHを3.0〜10.0程度に調整する。こうすることで、溶液中に、複数個の酸化チタン顔料と体質顔料とが無機化合物及び/又は有機化合物で固着された複合顔料を得ることができる。より適切なサイズの複合顔料を得るためには、pHを7.0〜7.5の範囲に調整することが好ましい。そのあとは必要に応じて公知の方法で脱水洗浄、乾燥し、適宜粉砕して、本発明の複合顔料を製造することができる。更に必要に応じて、上記で乾燥したものをより高い温度で焼成してもよい。焼成温度は適宜設定することができ、例えば300〜900℃程度が好ましい。

0096

各種公知の方法で製造した本発明の複合顔料は、粗大粒子を除去する目的で分級してもよい。分級は、粉砕あるいは篩によって行うことができる。粉砕や篩による分級方法は、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]で既述した分級方法と同じ方法で行うことができる。

0097

本発明の複合顔料を表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物で表面処理する場合は、湿式法や乾式法などの公知の方法を用いて実施することができ、この際の好ましい実施態様は、[本発明(本願第1発明)の実施形態]で述べたとおりである。

0098

本発明の複合顔料は、低光沢性(艶抑制効果)を有する白色顔料(艶消し用顔料)として種々の用途に用いることができる。例えば、建築物壁面塗装用顔料(外装、内装、天井、床や浴槽、台所、トイレ等の壁面や床等)や建材塗装用顔料、自動車塗装用顔料、家具塗装用顔料、電気機械製品塗装用顔料に好適に用いられる。また、このような艶消し用顔料は、いわゆる艶消し剤の代わりに種々の塗料に配合して用いることもできる。

0099

本発明の塗料組成物は、上述の複合顔料を含有するものであり、複合顔料以外に、必要に応じて樹脂、分散剤、添加剤、溶剤などを含有する。例えば、樹脂としては、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]において、塗料組成物として含まれる樹脂として例示したものがそのまま挙げられる。添加剤としては各種の一般に用いられる乳化剤、不凍剤、pH調整剤、増粘剤、消泡剤などが挙げられる。溶剤としては、水、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸アミン、エチレングリコール等が挙げられる。分散剤は、複合顔料を作製するときに用いた無機化合物及び/又は有機化合物の種類に応じて選択する。例えば、上述の複合顔料にシリカを用いた場合、上述の複合顔料表面はシリカで存在しているため、表面状態がわずかに酸性である。この場合、分散剤としてはアミン価を有する分散剤を用いることがより好ましい。
複合顔料と必要に応じて上述の樹脂、分散剤、添加剤、溶剤等とを分散機で撹拌し、必要に応じて脱泡して本発明の塗料組成物を調製することができる。

0100

本発明の塗料組成物は、顔料体積濃度(PVC)を30%〜60%の範囲で調整することが好ましい。塗膜の光沢を抑制することを重視する場合には、上述の範囲の下限側、具体的には顔料体積濃度を30〜40%とすることがより好ましい。また、塗膜の隠蔽性を高めることを重視する場合には、上述の範囲の上限側、具体的には顔料体積濃度を50〜60%とすることがより好ましい。

0101

本発明の塗膜は、上述の塗料組成物を被塗工物に塗布し、硬化させたものである。すなわち上述の塗料組成物を刷毛・ウールローラー等を用いて被塗工物に塗布し、乾燥させることで本発明の塗料塗膜を得ることができる。被塗工物としては、建材(コンクリート、モルタル、石膏、漆喰、プラスチック、ガラス、陶器、石、木等)や自動車の車体(金属製、プラスチック製)、家具や電気機械製品等(プラスチック製、ガラス製、陶器製、石製、木製等)が挙げられる。

0102

[本発明(本願第3発明)の実施形態]
本発明の複合顔料は、無機着色顔料が無機化合物で固着されたものであり、無機着色顔料の複数個の粒子を無機化合物を介して粒状に集合させたものである。
本発明において「無機着色顔料」とは、無機化合物を主成分として、白色、黒色などの無彩色、あるいは赤色、黄色、青色などの有彩色を呈する顔料のことを言う。白色の無機着色顔料の例としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白等が挙げられる。黒色の無機着色顔料の例としては、低次酸化チタン、酸窒化チタン(チタンブラック)、カーボンブラック、ボーンブラック(骨炭)、黒鉛、鉄黒、コバルトブラック、鉄−クロム複合酸化物、銅−クロムブラック複合酸化物、Fe−Mn−Biブラック等が挙げられる。赤色の無機着色顔料の例としては、弁柄、モリブデンレッド等が挙げられる。黄色の無機着色顔料の例としては、ニッケルアンチモンチタンイエロー、クロムチタンイエロー、黄色酸化鉄、クロムイエロー等が挙げられる。青色の無機着色顔料の例としては、群青、紺青、コバルトブルー等が挙げられる。緑色の無機着色顔料の例としては、コバルトグリーン、クロムグリーン、酸化クロムグリーン、コバルト−アルミ−クロム系グリーン、コバルト−チタン−ニッケル−亜鉛系グリーン等が挙げられ、これらの無機着色顔料の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。

0103

無機着色顔料として二酸化チタンを用いる場合、二酸化チタン顔料の結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の何れも用いることができるが、ルチル型、アナターゼ型を用いることが好ましい。複合顔料を塗料樹脂等に配合する場合、光触媒活性による塗料樹脂の劣化を抑制する観点から、ルチル型を用いることがより好ましい。尚、二酸化チタン粒子は、いわゆる硫酸法、塩素法の何れの方法で製造したものも用いることができる。

0104

本発明の複合顔料を構成する無機着色顔料の大きさは、その平均一次粒子径が0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.15〜0.7μmであることがより好ましく、0.2〜0.5μmであることが更に好ましい。無機着色顔料の平均一次粒子径を上記範囲内とすると、無機着色顔料を無機化合物及び/又は有機化合物で固着して複合化したときに、複合顔料を適度な大きさ(好ましい粒度分布)とすることができる。
平均一次粒子径は、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]で記述した、平均一次粒子径を測定するのに用いた電子顕微鏡法にて同じ方法で測定することができる。

0105

無機着色顔料の形状はどのような形状であってもよく、球状、略球状、柱状、針状、紡錘状、楕円形、立方体、直方体、その他不定形状など、各種の形状をとり得る。

0106

上記の無機着色顔料を強固に固着するために用いる無機化合物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、セリウム、亜鉛、チタンなどの酸化物、水酸化物、水和酸化物などが挙げられる。より具体的には、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどが挙げられ、無機化合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。

0107

上記無機化合物としては、無機ケイ素化合物が好ましく、特にシリカが好ましい。無機ケイ素化合物を用いることで、複合顔料の比表面積や吸油量を適度な値とすることができ、これを配合した塗料の取り扱いを容易とすることができる。

0108

本発明の複合顔料では、無機着色顔料の固着に無機化合物を用いる場合、無機着色顔料と無機化合物との含有率が次のような比率であることが好ましい。すなわち、顔料成分の体積を1とした場合に、無機化合物の体積が0.3〜2であることが好ましく、0.4〜1.5であることがより好ましく、0.5〜1であることが更に好ましい。

0109

上記の無機着色顔料の固着には無機化合物と同じ効果を有する有機化合物を用いてもよい。有機化合物としては、有機系凝集剤、有機系凝結剤等が使用できる。有機系凝集剤、有機系凝結剤としては、その高分子鎖により複数の粒子を絡み取り凝集させることができるものであれば特に限定されず、カチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子等の高分子化合物を用いることができる。有機化合物の含有率は適宜設定することができる。

0110

本発明の複合顔料は、無機着色顔料が無機化合物及び/又は有機化合物によって固着された集合体の形態をとる。このとき、無機着色顔料の間に殆ど隙間が無い(密に複合化された)状態となっていてもよいし、適度に隙間が形成された(粗に複合化された)状態となっていてもよい。また、上述の密に複合化された状態のもの(一次集合体)が複数個集合して、一次集合体同士の間に適度に隙間が形成された二次集合体を形成していてもよい。複合顔料の形状はどのような形状であってもよく、球状、略球状、柱状、針状、紡錘状、楕円形、立方体、直方体、その他不定形状など、各種の形状をとり得るが、球状、略球状等であればより好ましい。

0111

本発明の複合顔料において、無機化合物及び/又は有機化合物は、その機能(無機着色顔料同士を固着する機能)を果たすために、少なくとも無機着色顔料の粒子間に存在している必要があるが、これに加えて、複合顔料表面の一部又は全部を被覆するように無機化合物及び/又は有機化合物が存在していてもよい。この場合、両者の機能に着目して、前者(無機着色顔料同士を固着するために用いる無機化合物及び/又は有機化合物)を「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」と、後者(複合顔料の表面の一部又は全部を被覆するように存在する、いわゆる「複合顔料の表面処理」に用いる無機化合物及び/又は有機化合物)を「表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物」と称して適宜区別する。なお、「固着用」や「表面用」という表記がなく、また前後の文脈からも判断できない場合には、通常、「固着用」を意味する。

0112

本発明の複合顔料は、特定の粒度分布を有する。すなわち、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、粒子径が1μm以上である複合顔料の存在比率が全体の50%以上であり、累積90%径(D90)が30μm以下である。
複合顔料の体積粒度分布の測定には、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−910」(堀場製作所製)を用いることができる。

0113

体積累積分布において、粒子径が1μm以上である複合顔料の存在比率が全体の50%以上であることにより、塗料(塗膜)に配合した状態で、塗膜が低い光沢(低い艶)を持つようにすることができる。具体的には、顔料体積濃度(PVC)40%で塗料を調整し、これを塗膜化して、JIS K5600−4−7:1999に準拠して鏡面光沢度を測定した場合に、幾何学条件60°の鏡面光沢度を5%以下とすることができる。これは、一般に「7分艶(60°の鏡面光沢度が55〜65%)」や「5分艶」、「3分艶」と呼ばれる艶の抑制程度にとどまらず、「艶消し」と呼ばれる程度にまで艶が抑制されていることを意味する。また、幾何学条件85°の鏡面光沢度についても40%以下とすることができ、いわゆる底艶についても十分に抑制することができる。

0114

本発明の複合顔料は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、粒子径が2μm以上である複合顔料の存在比率が全体の30%以上であると、より低い光沢(低い艶)の塗膜を実現することができるので好ましい。こうすることで、JIS K5600−4−7:1999に準拠して測定した幾何学条件85°の鏡面光沢度(いわゆる底艶)を、30%以下に抑制することができる。更に、体積累積分布において、粒子径が5μm以上である複合顔料の存在比率が全体の20%以上とすると、幾何学条件85°の鏡面光沢度(底艶)を10%以下に抑制することができるので、より好ましい。

0115

また、本発明の複合顔料は、体積累積分布における累積90%径(D90)が30μm以下であることにより、滑らかな塗膜触感を実現することができる。塗膜触感の観点からすれば、累積90%径(D90)は20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
塗膜触感の評価指標としては、例えば、塗膜の摩擦係数を用いることができ、摩擦係数としては、MIU(平均摩擦係数)や、MMD(平均摩擦係数の変動)などを用いることができる。これらの摩擦係数は、例えば、摩擦感テスター(カトーテック製、KES−SE)を用いて測定することができる。
本発明の複合顔料では、累積90%径(D90)を15μm以下とすることで、MMD(平均摩擦係数の変動)の値を0.02以下とすることができ、好ましくは0.01以下とすることができる。

0116

本発明の複合顔料は、上記構成に加えて、その外表面に更に表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物を有していてもよい。上述のとおり、この無機化合物及び/又は有機化合物は本発明の複合顔料の表面の一部又は全部を被覆するように存在する、いわゆる「複合顔料の表面処理」に用いるものであるため、「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」とは機能が異なる。そのため、ここでは、「表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物」と「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」は区別される。

0117

このような表面処理用無機化合物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、セリウム、亜鉛、チタンなどの酸化物、水酸化物、水和酸化物などが挙げられる。より具体的には、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどを用いることができる。複合顔料をこれらの無機化合物で処理することにより、耐酸性、耐候性の向上、あるいは樹脂などの分散媒への分散性を改良することができる。

0118

また、本発明の複合顔料の表面に存在させる有機化合物としては、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]で例示した表面処理用有機化合物がそのまま挙げられ、複合顔料をこれらの有機化合物で処理することにより、樹脂などの分散媒への分散性を改良することができる。

0119

本発明の複合顔料は、例えば以下のような方法で製造することができる。すなわち、無機着色顔料と無機化合物源とを水等の溶媒に添加し、ディスパー等で分散させてスラリー化する。
本発明における「無機化合物源」とは、後述するスラリーのpH調整により析出して、無機着色顔料を固着する無機化合物となるもののことを意味する。このような無機化合物源としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸ジルコニウム、塩化第一スズ、四塩化チタンなどが挙げられる。無機化合物源としてはケイ酸ナトリウムが好ましい。ケイ酸ナトリウムとしては、JIS 1408−1966に規定されている1号、2号、3号ともに用いることができるが、入手し易さ、ハンドリングの点で3号を用いることが好ましい。

0120

ここで、上記スラリーの調製においては、無機化合物源の体積(Va)と前記無機着色顔料の体積(Vb)との体積比(Va/Vb)が、0.3〜2となるように設定することが好ましい。無機化合物源の体積(Va)は、後述のpH調整により析出する無機化合物に換算した場合の体積を意味する。スラリー中の無機化合物源の量が少なすぎると、十分に固着作用が得られず、所望の粒子径(粒度分布)を有する複合顔料を得られない。
また、無機着色顔料と無機化合物源とを含むスラリーの固形分濃度は、75〜450g/Lであり、100〜400g/Lであることが好ましい。このような固形分濃度とすることで、上述した所望の粒度分布の複合顔料が得られ易い。

0121

続いて、上記スラリーのpH調整を行うことで、無機化合物源由来の無機化合物の析出によって無機着色顔料を固着する。
無機化合物源としてケイ酸ナトリウムを用いる場合、上記スラリーを加熱し、50〜100℃程度に保持しながら、希硫酸を添加してpHを2〜10に調整するのが好ましい。こうすることで、溶液中に、複数個の無機着色顔料がシリカで固着された複合顔料を得ることができる。尚、このときのpHが低いほど、無機着色顔料と複合化していない遊離のシリカが析出し易く、複合顔料に含まれる遊離のシリカ量が多くなる。その結果、複合顔料を塗料化したときに粘度が増大する傾向がある。また、このときのpHが高いほど(具体的にはpH9〜10付近であると)、複合顔料の粒子径が小さくなり易く、艶消し効果が低くなる傾向がある。こうした理由から、上記希硫酸添加によるpH調整においては、pHを6〜9の範囲に調整することが好ましく、7〜8の範囲に調整することがより好ましい。
また、無機化合物源として硫酸アルミニウムを用いる場合、上記スラリーを加熱し、50〜100℃程度に保持しながら、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を添加してpHを4〜13に調整するのが好ましい。

0122

上記工程に続いて、必要に応じて公知の方法で脱水洗浄、乾燥し、適宜粉砕することができる。更に必要に応じて、上記で乾燥したものをより高い温度で焼成してもよい。焼成温度は適宜設定することができ、例えば300〜900℃程度が好ましい。

0123

以上では、無機着色顔料を無機化合物で固着する方法について説明したが、無機着色顔料を有機化合物で固着することも可能である。すなわち、無機着色顔料と有機化合物(カチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子等の高分子化合物からなる有機系凝集剤、有機系凝結剤等)とを水等の溶媒に添加し、ディスパー等で分散させてスラリー化して、無機着色顔料を固着する。こうすることで、無機着色顔料が有機化合物で固着された複合顔料を製造することができる。

0124

上述の各種方法で製造した本発明の複合顔料は、粗大粒子を除去する目的で分級しても良よい。分級は、粉砕あるいは篩によって行うことができる。粉砕や篩による分級方法は、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]で既述した分級方法と同じ方法で行うことができる。

0125

本発明の複合顔料を更に表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物で表面処理する場合は、湿式法や乾式法などの公知の方法を用いて実施することができ、この際の好ましい実施態様は、[本発明(本願第1発明)の実施形態]で述べたとおりである。

0126

本発明の複合顔料は、艶消し効果を有する顔料(艶消し用顔料)として種々の用途に用いることができる。例えば、建築物壁面塗装用顔料(外装、内装、天井、床や浴槽、台所、トイレ等の壁面や床等)や建材塗装用顔料、自動車塗装用顔料、家具塗装用顔料、電気機械製品塗装用顔料に好適に用いられる。また、このような艶消し用顔料は、いわゆる艶消し剤(顔料成分とは別個に添加される、艶を抑制するための成分)の代わりに、種々の塗料に配合して用いることもできる。

0127

本発明の塗料組成物は、上述の複合顔料を含有するものであり、複合顔料以外に、必要に応じて樹脂、分散剤、添加剤、溶剤などを含有する。これら樹脂、添加剤、溶剤の具体例は、上述の[本発明(本願第2発明)の実施形態]において、塗料組成物として含まれる樹脂、添加剤、溶剤としてそれぞれ例示したものがそのまま挙げられる。分散剤は、複合顔料を作製するときに用いた無機化合物及び/又は有機化合物の種類に応じて選択する。例えば、上述の複合顔料にシリカを用いた場合、上述の複合顔料表面はシリカで存在しているため、表面状態がわずかに酸性である。この場合、分散剤としてはアミン価を有する分散剤を用いることがより好ましい。
複合顔料と必要に応じて上述の樹脂、分散剤、添加剤、溶剤等とを分散機で撹拌し、必要に応じて脱泡して本発明の塗料組成物を調製することができる。

0128

本発明の塗料組成物は、顔料体積濃度(PVC)を10%〜60%の範囲で調整することが好ましい。塗膜の光沢を抑制することを重視する場合には、上述の範囲の下限側、具体的には顔料体積濃度を20〜40%とすることがより好ましい。また、塗膜の隠蔽性を高めることを重視する場合には、上述の範囲の上限側、具体的には顔料体積濃度を50〜60%とすることがより好ましい。

0129

本発明の塗膜は、上述の塗料組成物を被塗工物に塗布し、硬化させたものである。すなわち上述の塗料組成物を刷毛・ウールローラー等を用いて被塗工物に塗布し、乾燥させることで本発明の塗料塗膜を得ることができる。被塗工物としては、建材(コンクリート、モルタル、石膏、漆喰、プラスチック、ガラス、陶器、石、木等)や自動車の車体(金属製、プラスチック製)、家具や電気機械製品(プラスチック製、ガラス製、陶器製、石製、木製等)が挙げられる。

0130

[本発明(本願第4発明)の実施形態]
本発明の複合顔料は、亜鉛元素を含有する無機着色顔料を無機化合物で固着したものである。本発明において「無機着色顔料」とは、無機化合物を主成分として、白色、黒色などの無彩色、あるいは赤色、黄色、青色などの有彩色を呈する顔料のことを言う。白色、黒色、赤色、黄色、青色、緑色の各種無機着色顔料の例としては、[本発明(本願第3発明)の実施形態]において「無機着色顔料」として例示した各種無機着色顔料がそのまま挙げられる。

0131

複合顔料の汎用性の観点からすれば、無機着色顔料としては白色のものを用いることが好ましく、中でも二酸化チタン顔料を用いることがより好ましい。無機着色顔料として二酸化チタン顔料を用いる場合、二酸化チタン顔料の結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の何れも用いることができるが、ルチル型、アナターゼ型を用いることが好ましい。複合顔料を塗料樹脂等に配合する場合、光触媒活性による樹脂の劣化を抑制する観点から、ルチル型を用いることがより好ましい。尚、二酸化チタン顔料は、いわゆる硫酸法、塩素法の何れの方法で製造したものも用いることができる。

0132

本発明の複合顔料を構成する無機着色顔料の好ましい大きさは、その平均一次粒子径が0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.15〜0.7μmであることがより好ましく、0.2〜0.5μmであることが更に好ましい。無機着色顔料の平均一次粒子径を上記範囲内とすると、無機着色顔料を無機化合物で固着して複合化したときに、複合顔料を適度な大きさ(好ましい粒度分布)とすることができる。
平均一次粒子径は、[本発明(本願第1発明)の実施形態]等で既述した、平均一次粒子径を測定するのに用いた電子顕微鏡法にて同じ方法で測定することができる。

0133

無機着色顔料の形状はどのような形状であってもよく、球状、略球状、柱状、針状、紡錘状、楕円形、立方体、直方体、その他不定形状など、各種の形状をとり得る。

0134

本発明の複合顔料は、上述の無機着色顔料以外に、体質顔料を含むことができる。すなわち、本発明の複合顔料は、亜鉛元素を含有する無機着色顔料と体質顔料とを無機化合物で固着したものであってもよい。本発明において「体質顔料」とは、一般に、展色剤中に増量剤として加えられ、流動性、強度あるいは光学的性質の改善のために用いられるもので、それ自体の屈折率、隠蔽力、及び着色力が小さなものをいう。体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、沈降性(合成)炭酸カルシウムなど)、硫酸バリウム(沈降性(合成)硫酸バリウムなど)、水酸化アルミニウム、炭酸バリウム、バライト粉、カオリン、タルク、クレー、ホワイトカーボンなどが挙げられる。
体質顔料の大きさは、無機着色顔料と概ね同じであることが好ましい。具体的には、その平均一次粒子径が0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましく、0.1〜0.35μmであることが更に好ましい。

0135

複合顔料に体質顔料を含有させる(換言すれば、複合顔料中の無機着色顔料の一部を体質顔料で置き換える)ことによって、複合顔料の適度な大きさ(好ましい粒度分布)を維持しつつ、複合顔料の材料コストを低減することができる。

0136

本発明の複合顔料において、体質顔料を含有させる場合、無機着色顔料と体質顔料との含有比率は適宜設定することができる。具体的には、体積比において、無機着色顔料の体積を1とした場合に、体質顔料の体積が0.1〜2の範囲であることが好ましく、0.5〜1の範囲であることがより好ましい。

0137

本発明の無機着色顔料(及び体質顔料)を固着するために用いる無機化合物としては、例えば、[本発明(本願第1発明)の実施形態]において体質顔料を固着するために用いる無機化合物として例示したものがそのまま挙げられる。中でも無機ケイ素化合物が好ましく、例えば、ケイ素の酸化物、水酸化物、水和酸化物などが挙げられる。無機ケイ素化合物としては、特にシリカが好ましい。無機ケイ素化合物を用いることで、複合顔料の比表面積や吸油量を適度な値とすることができ、これを配合した塗料の取り扱いを容易とすることができる。

0138

本発明の複合顔料では、無機着色顔料(及び体質顔料)と、無機化合物との含有率が次のような比率であることが好ましい。すなわち、無機着色顔料(及び体質顔料)の体積を1とした場合に、無機化合物の体積が0.3〜2であることが好ましく、0.4〜1.5であることがより好ましく、0.5〜1であることが更に好ましい。

0139

本発明の複合顔料は、無機着色顔料(及び体質顔料)が無機化合物によって固着された集合体の形態をとる。このとき、無機着色顔料(及び体質顔料)の間に殆ど隙間が無い(密に複合化された)状態となっていてもよいし、適度に隙間が形成された(粗に複合化された)状態となっていてもよい。また、上述の密に複合化された状態のもの(一次集合体)が複数個集合して、一次集合体同士の間に適度に隙間が形成された二次集合体を形成していてもよい。複合顔料の形状はどのような形状であってもよく、球状、略球状、柱状、針状、紡錘状、楕円形、立方体、直方体、その他不定形状など、各種の形状をとり得るが、球状、略球状等であればより好ましい。

0140

本発明の複合顔料において、無機化合物は、その機能(顔料成分の固着)を発現するために、少なくとも無機着色顔料(及び体質顔料)の粒子間に存在している必要があるが、これに加えて、複合顔料の表面の一部又は全部を被覆するように存在していてもよい。

0141

本発明の複合顔料は、無機着色顔料中に亜鉛元素を含む。「無機着色顔料中に亜鉛元素を含む」とは、無機着色顔料の粒子表面に亜鉛元素が存在している状態、及び/又は無機着色顔料の内部に亜鉛元素が含有(ドープ)された状態を意味する。無機着色顔料が酸化亜鉛である場合も同様であり、母体としての酸化亜鉛の粒子表面及び/又は内部に、母体とは由来の異なる亜鉛元素が存在する状態を意味する。
亜鉛元素が複合顔料中に含まれることで、複合顔料を適度な大きさ(好ましい粒度分布)とすることができる。また、複合顔料に含まれる細粒を少なくすることができる。一般に、艶消し効果の発現に寄与するのは比較的大きな粒子であることから、細粒の低減によって比較的大きな粒子の存在比率を大きくすることができ、その結果として艶消し効果を高めることができる。亜鉛元素の含有量は、無機着色顔料に対してZn換算で0.5〜5質量%であることが好ましい。

0142

亜鉛元素は、体質顔料の粒子の表面に存在していてもよいし、体質顔料の内部に含有(ドープ)された状態で存在していてもよい。あるいは、顔料成分(無機着色顔料及び体質顔料)の粒子間の隙間や、顔料成分同士を固着する無機化合物中に存在していてもよい。
亜鉛元素が少なくとも無機着色顔料の粒子表面に存在していると、無機着色顔料(及び体質顔料)を無機化合物で固着したときに、複合顔料をより好適な大きさ(より好ましい粒度分布)とすることができるので、好ましい。その理由は定かではないが、無機化合物との親和性が比較的大きい亜鉛元素(亜鉛化合物)が無機着色顔料(及び体質顔料)の表面付近に存在することで、これらの集合化上手く進むためであると推定される。

0143

上記の亜鉛元素は、各種状態にて無機着色顔料中に存在しうるが、亜鉛酸化物、及び/又は亜鉛水酸化物の状態で存在することが好ましい。亜鉛酸化物や亜鉛水酸化物は、後述する析出や焼成などの処理によって無機着色顔料に容易に含有させることができ、複合顔料をより好適な大きさ(より好ましい粒度分布)とすることができるので好ましい。

0144

本発明の複合顔料は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、粒子径が2μm以上である前記複合顔料の存在比率が全体の70%以上であるであることが好ましく、全体の80%以上であることがより好ましい。複合顔料の体積粒度分布の測定には、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−910」(堀場製作所製)を用いることができる。

0145

このような粒度分布をとる場合、この複合顔料を配合した塗膜において、艶抑制効果を高い次元で実現することができる。具体的には、顔料体積濃度(PVC)40%の塗膜について測定した幾何学条件60°での鏡面光沢度を5%以下とすることができることはもとより、幾何学条件85°の鏡面光沢度(底艶)を、10%以下に抑制することができる。

0146

本発明の複合顔料は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布における累積90%径(D90)が、30μm以下であることが好ましい。こうすることで、複合顔料を配合した塗膜において、高次元での艶抑制効果を発現しつつ、十分に滑らかな塗膜触感を実現することができる。塗膜触感の観点からすれば、累積90%径(D90)は20μm以下であることがより好ましい。
塗膜触感の評価指標としては、例えば、塗膜の摩擦係数を用いることができ、摩擦係数としては、MIU(平均摩擦係数)や、MMD(平均摩擦係数の変動)などを用いることができる。これらの摩擦係数は、例えば、摩擦感テスター(カトーテック製、KES−SE)を用いて測定することができる。
本発明の複合顔料では、累積90%径(D90)を20μm以下とすることで、MMD(平均摩擦係数の変動)の値を0.02以下とすることができる。

0147

本発明の複合顔料は、JIS K 5101−13−1に記載の方法で測定した吸油量が80(ml/100g)以下であることが好ましい。こうすることで、本発明の複合顔料を塗料に配合した場合の増粘を十分に抑制することができる。

0148

本発明の複合顔料は、上記構成に加えて、その外表面に更に表面被覆のための別種の表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物を有していてもよい。この無機化合物及び/又は有機化合物は、本発明の複合顔料の表面に存在(具体的には、その表面の一部又は全部を被覆するように存在)する、いわゆる「複合顔料の表面処理」に用いるものであるため、上述の固着に用いる無機化合物や有機化合物(「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」とも称する)とは機能が異なる。そのため、ここでは、「表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物」と「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」は適宜区別される。
なお、「固着用」や「表面用」という表記がなく、また前後の文脈からも判断できない場合には、通常、「固着用」を意味する。

0149

このような表面処理用無機化合物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、セリウム、亜鉛、チタンなどの酸化物、水酸化物、水和酸化物などが挙げられる。より具体的には、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどを用いることができる。複合顔料をこれらの無機化合物で処理することにより、耐酸性、耐候性の向上、あるいは樹脂などの分散媒への分散性を改良することができる。

0150

また、本発明の複合顔料の表面に存在させる表面処理用有機化合物としては、シリコーン樹脂等の有機ケイ素化合物、シロキサン、シランカップリング剤、ステアリン酸、ラウリン酸などのカルボン酸又はその塩、ポリオール、アミンなどが挙げられる。複合顔料をこれらの有機化合物で処理することにより、樹脂などの分散媒への分散性を改良することができる。

0151

本発明の複合顔料は、例えば以下のような方法で製造することができる。先ず、亜鉛元素を含有する無機着色顔料を準備する。
ここで、「亜鉛元素を含有する」とは、無機着色顔料の粒子表面に亜鉛元素が存在する状態はもちろん、無機着色顔料の粒子内部に亜鉛元素が存在する状態も包含する。

0152

例えば、無機着色顔料と亜鉛化合物源とを含むスラリーのpHを調整して、無機着色顔料の表面に亜鉛化合物を析出させる。亜鉛化合物源としては、pH調整によって所望の亜鉛化合物を析出させることが可能なものを用いることができる。例えば、硫酸亜鉛・七水和物、もしくは塩化亜鉛などを亜鉛化合物源として用いて、スラリーのpHを8〜8.5程度に調整することで、亜鉛の酸化物、及び/又は水酸化物を無機着色顔料の表面に析出させることができる。このとき、pHの調整には、水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いることができる。

0153

また、無機着色顔料と亜鉛化合物とを混合し、この混合物を加熱(焼成)することによって、粒子表面、あるいは粒子内部に亜鉛元素を有する無機着色顔料を調製することもできる。亜鉛化合物の添加量や、加熱(焼成)の温度については、無機着色顔料の種類などに応じて適宜設定することができる。

0154

更に、無機着色顔料として二酸化チタン顔料を用いる場合、次のようにして粒子表面に亜鉛化合物を有する二酸化チタン顔料を準備することもできる。すなわち二酸化チタンの水和物と、焼成処理剤としての亜鉛化合物とを混合して、焼成する。亜鉛化合物の量は、二酸化チタンに対して、ZnO換算で0.1〜2.0質量%であることが好ましい。焼成条件については適宜設定することができるが、焼成温度は、800〜1000℃であることが好ましい。焼成処理剤には各種の亜鉛化合物を用いることができるが、亜鉛の酸化物、及び/又は水酸化物を用いることが好ましい。

0155

続いて、上記のようにして得た無機着色顔料と、必要に応じて体質顔料、更に無機化合物源とを水等の溶媒に添加し、ディスパー等の分散機で分散させてスラリー化する。

0156

本発明における「無機化合物源」とは、後述するスラリーのpH調整により無機化合物として析出するもののことを意味する。このような無機化合物源としては、ケイ酸ナトリウムが好ましい。ケイ酸ナトリウムとしては、JIS 1408−1966に規定されている1号、2号、3号ともに用いることができるが、入手し易さ、ハンドリングの点で3号を用いることがより好ましい。

0157

ここで、上記スラリーの調製においては、無機化合物源の体積(Va)と無機着色顔料(及び体質顔料)の体積(Vb)との体積比(Va/Vb)が、0.3〜2となるように設定することが好ましい。ここで、無機化合物源の体積(Va)は、後述のpH調整の結果、析出する無機化合物に換算した場合の体積を意味する。このような体積比とすることにより、無機化合物による十分な固着作用を得ることができ、複合顔料を適度な大きさ(好ましい粒度分布)とすることができる。

0158

続いて、上記スラリーのpH調整を行うことで、無機化合物源由来の無機化合物が析出し、無機化合物によって無機着色顔料(及び体質顔料)が固着される。
無機化合物源として、析出により上記の無機化合物となる化合物を用いることができ、析出のためのpHはその無機化合物に応じて適宜設定することができる。例えば、ケイ酸ナトリウムを用いる場合、希硫酸を添加してpHを2〜10に調整するのが好ましい。こうすることで、遊離のシリカの生成を抑制しつつ、適度な大きさ(好ましい粒度分布)の複合顔料を得ることができる。上記希硫酸添加によるpH調整においては、pHを6〜9の範囲に調整することがより好ましく、7〜8の範囲に調整することが更に好ましい。また、上記スラリーを加熱し、50〜100℃程度に保持しながら、無機化合物を析出させるのが好ましい。

0159

上記工程に続いて、必要に応じて公知の方法で脱水洗浄、乾燥し、適宜粉砕することができる。更に必要に応じて、上記で乾燥したものをより高い温度で焼成してもよい。焼成温度は適宜設定することができ、例えば300〜900℃程度が好ましい。

0160

以上では、無機着色顔料(及び体質顔料)を無機化合物で固着する方法について説明したが、無機着色顔料(及び体質顔料)を有機化合物で固着することも可能である。すなわち、体質顔料と有機化合物(カチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子等の高分子化合物からなる有機系凝集剤、有機系凝結剤等)とを水等の溶媒に添加し、ディスパー等の分散機で分散させてスラリー化して、無機着色顔料(及び体質顔料)を固着する。こうすることで、無機着色顔料(及び体質顔料)が有機化合物で固着された複合顔料を製造することができる。

0161

上述の各種方法で製造した本発明の複合顔料は、粗大粒子を除去する目的で分級してもよい。分級は、粉砕あるいは篩によって行うことができる。粉砕や篩による分級方法は、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]で既述した分級方法と同じ方法で行うことができる。

0162

本発明の複合顔料を更に表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物で表面処理する場合は、湿式法や乾式法などの公知の方法を用いて実施することができ、この際の好ましい実施態様は、[本発明(本願第1発明)の実施形態]で述べたとおりである。

0163

本発明の複合顔料は、艶消し用顔料として種々の用途に用いることができる。例えば、建築物壁面塗装用(外装、内装、天井、床や浴槽、台所、トイレ等の壁面や床等)や建材塗装用、車両塗装用、家具塗装用、電気機械製品塗装用などの塗料組成物に配合する艶消し用顔料として、好適に用いられる。
本発明の複合顔料は、いわゆる艶消し剤(着色材とは別で塗料に添加され、艶消し効果を発現するもの)として、種々の塗料に配合することもできる。

0164

本発明の塗料組成物は、上述の複合顔料及び/又は艶消し用顔料と樹脂とを含有するものであり、必要に応じて、添加剤、溶剤、分散剤などを含有する。
本発明の塗料組成物に含まれる樹脂としては、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]において、塗料組成物として含まれる樹脂として例示したものが使用できる。

0165

本発明の塗料組成物に含まれる添加剤としては各種の一般に用いられる乳化剤、不凍剤、pH調整剤、増粘剤、消泡剤などが挙げられる。溶剤の具体例については、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]において、塗料組成物で使用される溶剤として例示したものがそのまま挙げられる。
分散剤は、複合顔料を合成するときに用いた無機化合物の種類に応じて適宜選択する。例えば、上述の無機化合物にシリカを用いた場合、上述の複合顔料の表面にはシリカが存在しているため、表面がわずかに酸性である。この場合、分散剤としてはアミン価を有する分散剤を用いることがより好ましい。具体的には、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]において、アミン価を有する分散剤として例示したものがそのまま挙げられる。

0166

本発明の複合顔料は、それ自体が着色材としても機能する。従って、本発明の塗料組成物を調製する際、別途、着色材を添加する必要は無いが、複合顔料以外に別途着色材を添加することも可能である。着色材としては、一般的な顔料、染料などを用いることができる。本発明の塗料組成物に含まれる顔料としては、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]において、塗料組成物において、「着色材」として用いることができる顔料として例示されたものがそのまま挙げられる。

0167

複合顔料と樹脂、必要に応じて上述の分散剤、添加剤、溶剤、着色材等とを分散機で撹拌し、必要に応じて脱泡して本発明の塗料組成物を調製することができる。

0168

本発明の塗料組成物は、顔料体積濃度(PVC)を10%〜60%の範囲で調整することが好ましい。塗膜の光沢を抑制することを重視する場合には、上述の範囲の下限側、具体的には顔料体積濃度を20〜40%とすることがより好ましい。また、塗膜の隠蔽性を高めることを重視する場合には、上述の範囲の上限側、具体的には顔料体積濃度を50〜60%とすることがより好ましい。

0169

本発明の塗膜は、上述の塗料組成物を対象物に塗装し、硬化させたものである。すなわち上述の塗料組成物を刷毛・ウールローラー等を用いて対象物に塗装し、乾燥させることで本発明の塗膜を得ることができる。対象物としては、建材(コンクリート、モルタル、石膏、漆喰、プラスチック、ガラス、陶器、石、木等)や車両の本体(金属製、プラスチック製)、家具や電気機械製品(プラスチック製、ガラス製、陶器製、石製、木製等)が挙げられる。

0170

[本発明(本願第5発明)の実施形態]
本発明の複合顔料は、無機化合物と固着している無機着色顔料を含んでなるものである。換言すると、無機着色顔料粒子が無機化合物で固着されたものであり、無機着色顔料粒子の複数個(2個以上)の粒子を、無機化合物を介して粒状に集合させたものである。
なお、本発明の実施形態においては、特に断りのない限り、上述の[本発明(本願第1発明)の実施形態]乃至[本発明(本願第4発明)の実施形態]中で既述した内容がそのまま適用される。
本発明において「無機着色顔料」とは、無機化合物を主成分として、白色、黒色などの無彩色、あるいは赤色、黄色、青色などの有彩色を呈する顔料のことを言う。白色の無機着色顔料の例としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白等が挙げられる。黒色の無機着色顔料の例としては、低次酸化チタン、酸窒化チタン(チタンブラック)、カーボンブラック、ボーンブラック(骨炭)、黒鉛、鉄黒、コバルトブラック、鉄−クロム複合酸化物、銅−クロムブラック複合酸化物、Fe−Mn−Biブラック等が挙げられる。赤色の無機着色顔料の例としては、弁柄、モリブデンレッド等が挙げられる。黄色の無機着色顔料の例としては、ニッケルアンチモンチタンイエロー、クロムチタンイエロー、黄色酸化鉄、クロムイエロー等が挙げられる。青色の無機着色顔料の例としては、群青、紺青、コバルトブルー等が挙げられる。緑色の無機着色顔料の例としては、コバルトグリーン、クロムグリーン、酸化クロムグリーン、コバルト−アルミ−クロム系グリーン、コバルト−チタン−ニッケル−亜鉛系グリーン等が挙げられ、これらの無機着色顔料の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。

0171

複合顔料の汎用性の観点からすれば、無機着色顔料としては白色のものを用いることが好ましく、中でも二酸化チタン顔料を用いることがより好ましい。無機着色顔料として二酸化チタンを用いる場合、二酸化チタン顔料の結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の何れも用いることができるが、ルチル型、アナターゼ型を用いることが好ましい。複合顔料を塗料樹脂等に配合する場合、光触媒活性による塗料樹脂の劣化を抑制する観点から、ルチル型を用いることがより好ましい。尚、二酸化チタン粒子は、いわゆる硫酸法、塩素法の何れの方法で製造したものも用いることができる。

0172

本発明の複合顔料を構成する無機着色顔料粒子の大きさは、その平均一次粒子径が0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.7μm以下であることがより好ましく、0.2μm以上0.5μm以下であることが更に好ましい。無機着色顔料の平均一次粒子径を上記範囲内とすると、無機着色顔料粒子を無機化合物及び/又は有機化合物で固着して複合化したときに、複合顔料を適度な大きさ(好ましい粒度分布)とすることができる。
平均一次粒子径は、電子顕微鏡法にて測定することができる。詳細には、透過型電子顕微鏡(日立製作所製 H−7000)を用いて、無機着色顔料の粒子を撮影し、自動画像処理解析装置(ニレコ製ルーゼックスAP)を用いて画像処理を行い、2000個の粒子について一次粒子径を測定し、その平均値を平均一次粒子径とする。

0173

無機着色顔料の粒子形状はどのような形状であってもよく、球状、略球状、柱状、針状、紡錘状、楕円形、立方体、直方体、その他不定形状など、各種の形状をとり得る。

0174

上記の無機着色顔料粒子を強固に固着するために用いる無機化合物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、セリウム、亜鉛、チタンなどの酸化物、水酸化物、水和酸化物などが挙げられる。より具体的には、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどが挙げられ、無機化合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。

0175

上記無機化合物としては、無機ケイ素化合物が好ましく、特にシリカが好ましい。無機ケイ素化合物を用いることで、複合顔料の比表面積や吸油量を適度な値とすることができ、これを配合した塗料の取り扱いを容易とすることができる。

0176

本発明の複合顔料では、無機着色顔料粒子の固着に無機化合物を用いる場合、無機着色顔料粒子と無機化合物との含有率が次のような比率であることが好ましい。すなわち、顔料成分の体積を1とした場合に、無機化合物の体積が0.3以上2以下であることが好ましく、0.4以上1.5以下であることがより好ましく、0.5以上1以下であることが更に好ましい。

0177

上記の無機着色顔料粒子の固着には無機化合物と同じ効果を有する有機化合物を用いてもよい。有機化合物としては、有機系凝集剤、有機系凝結剤等が使用できる。有機系凝集剤、有機系凝結剤としては、その高分子鎖により複数の粒子を絡み取り凝集させることができるものであれば特に限定されず、カチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子等の高分子化合物を用いることができる。有機化合物の含有率は適宜設定することができる。

0178

本発明の複合顔料は、無機着色顔料粒子が無機化合物によって固着された集合体の形態をとる。このとき、無機着色顔料粒子の間に殆ど隙間が無い(密に複合化された)状態となっていてもよいし、適度に隙間が形成された(粗に複合化された)状態となっていてもよい。また、上述の密に複合化された状態のもの(一次集合体)が複数個集合して、一次集合体同士の間に適度に隙間が形成された二次集合体を形成していてもよい。複合顔料の形状はどのような形状であってもよく、球状、略球状、柱状、針状、紡錘状、楕円形、立方体、直方体、その他不定形状など、各種の形状をとり得るが、球状、略球状等であればより好ましい。

0179

本発明の複合顔料において、無機化合物は、その機能(無機着色顔料粒子同士を固着する機能)を果たすために、少なくとも無機着色顔料の粒子間に存在している必要があるが、これに加えて、複合顔料表面の一部又は全部を被覆するように無機化合物が存在していてもよい。

0180

本発明の複合顔料は、特定の粒度分布を有する。すなわち、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、粒子径が1μm以上である複合顔料の存在比率が全体の50%以上であり、累積90%径(D90)が30μm以下である。
複合顔料の体積粒度分布の測定には、例えば、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−910」(堀場製作所製)を用いることができる。

0181

体積累積分布において、粒子径が1μm以上である複合顔料の存在比率が全体の50%以上であることにより、塗料(塗膜)に配合した状態で、塗膜が低い光沢(低い艶)を持つようにすることができる。具体的には、顔料体積濃度(PVC)40%で塗料を調整し、これを塗膜化して、JIS K5600−4−7:1999に準拠して鏡面光沢度を測定した場合に、幾何学条件60°の鏡面光沢度を5%以下とすることができる。これは、一般に「7分艶(60°の鏡面光沢度が55%以上65%以下)」や「5分艶」、「3分艶」と呼ばれる艶の抑制程度にとどまらず、「艶消し」と呼ばれる程度にまで艶が抑制されていることを意味する。また、幾何学条件85°の鏡面光沢度についても40%以下とすることができ、いわゆる底艶についても十分に抑制することができる。

0182

本発明の複合顔料は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、粒子径が2μm以上である複合顔料の存在比率が全体の30%以上であると、より低い光沢(低い艶)の塗膜を実現することができるので好ましい。こうすることで、JIS K5600−4−7:1999に準拠して測定した幾何学条件85°の鏡面光沢度(いわゆる底艶)を、30%以下に抑制することができる。更に、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した体積累積分布において、粒子径が2μm以上である前記複合顔料の存在比率が全体の70%以上であるであることが好ましく、全体の80%以上であることがより好ましい。このような粒度分布をとる場合、この複合顔料を配合した塗膜において、艶抑制効果を高い次元で実現することができる。具体的には、顔料体積濃度(PVC)40%の塗膜について測定した幾何学条件60°での鏡面光沢度を5%以下とすることができることはもとより、幾何学条件85°の鏡面光沢度(底艶)を、10%以下に抑制することができる。加えて、体積累積分布において、粒子径が5μm以上である複合顔料の存在比率が全体の20%以上とすると、幾何学条件85°の鏡面光沢度(底艶)を10%以下に抑制することができるので、より好ましい。

0183

また、本発明の複合顔料は、体積累積分布における累積90%径(D90)が30μm以下であることにより、滑らかな塗膜触感を実現することができる。塗膜触感の観点からすれば、累積90%径(D90)は20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
塗膜触感の評価指標としては、例えば、塗膜の摩擦係数を用いることができ、摩擦係数としては、MIU(平均摩擦係数)や、MMD(平均摩擦係数の変動)などを用いることができる。これらの摩擦係数は、例えば、摩擦感テスター(カトーテック製、KES−SE)を用いて測定することができる。
本発明の複合顔料では、累積90%径(D90)を15μm以下とすることで、MMD(平均摩擦係数の変動)の値を0.02以下とすることができ、好ましくは0.01以下とすることができる。

0184

本発明の複合顔料は、亜鉛元素を含有する無機着色顔料粒子を無機化合物で固着したものである。また、本発明の複合顔料は、無機化合物で固着した無機着色顔料粒子を含んでなる、前記の複合顔料において、無機着色顔料中に亜鉛元素を含むことができる。「亜鉛元素を含有する無機着色顔料粒子」、「無機着色顔料粒子中に亜鉛元素を含む」とは、無機着色顔料の粒子表面に亜鉛元素が存在している状態、及び/又は無機着色顔料粒子の内部に亜鉛元素が含有(ドープ)された状態を意味する。無機着色顔料が酸化亜鉛である場合も同様であり、母体としての酸化亜鉛の粒子表面及び/又は内部に、母体とは由来の異なる亜鉛元素が存在する状態を意味する。
亜鉛元素が複合顔料中に含まれることで、複合顔料を適度な大きさ(好ましい粒度分布)とすることができる。また、複合顔料に含まれる細粒を少なくすることができる。一般に、艶消し効果の発現に寄与するのは比較的大きな粒子であることから、細粒の低減によって比較的大きな粒子の存在比率を大きくすることができ、その結果として艶消し効果を高めることができる。亜鉛元素の含有量は、無機着色顔料に対してZn換算で質量%以上5質量%以下であることが好ましい。

0185

亜鉛元素は、無機着色顔料の粒子間の隙間や、顔料成分同士を固着する無機化合物中に存在していてもよい。
亜鉛元素が少なくとも無機着色顔料の粒子表面に存在していると、無機着色顔料粒子を無機化合物で固着したときに、複合顔料をより好適な大きさ(より好ましい粒度分布)とすることができるので、好ましい。その理由は定かではないが、無機化合物との親和性が比較的大きい亜鉛元素(亜鉛化合物)が無機着色顔料粒子の表面付近に存在することで、これらの集合化が上手く進むためであると推定される。

0186

上記の亜鉛元素は、各種状態にて無機着色顔料粒子中に存在しうるが、亜鉛酸化物、及び/又は亜鉛水酸化物の状態で存在することが好ましい。亜鉛酸化物や亜鉛水酸化物は、後述する析出や焼成などの処理によって無機着色顔料粒子に容易に含有させることができ、複合顔料をより好適な大きさ(より好ましい粒度分布)とすることができるので好ましい。

0187

本発明の複合顔料は、JIS K 5101−13−1に記載の方法で測定した吸油量が80(ml/100g)以下であることが好ましい。こうすることで、本発明の複合顔料を塗料に配合した場合の増粘を十分に抑制することができる。

0188

本発明の複合顔料は、上記構成に加えて、その外表面に更に表面被覆のための別種の表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物を有していてもよい。この無機化合物及び/又は有機化合物は、本発明の複合顔料の表面に存在(具体的には、その表面の一部又は全部を被覆するように存在)する、いわゆる「複合顔料の表面処理」に用いるものであるため、上述の固着に用いる無機化合物や有機化合物(「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」とも称する)とは機能が異なる。そのため、ここでは、「表面処理用無機化合物及び/又は有機化合物」と「固着用無機化合物及び/又は有機化合物」は適宜区別される。
なお、「固着用」や「表面用」という表記がなく、また前後の文脈からも判断できない場合には、通常、「固着用」を意味する。

0189

このような表面処理用無機化合物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、セリウム、亜鉛、チタンなどの酸化物、水酸化物、水和酸化物などが挙げられる。より具体的には、シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化チタンなどを用いることができる。複合顔料をこれらの無機化合物で処理することにより、耐酸性、耐候性の向上、あるいは樹脂などの分散媒への分散性を改良することができる。

0190

また、本発明の複合顔料の表面に存在させる表面処理用有機化合物としては、シリコーン樹脂等の有機ケイ素化合物、シロキサン、シランカップリング剤、ステアリン酸、ラウリン酸などのカルボン酸、ポリオール、アミンなどが挙げられる。複合顔料をこれらの有機化合物で処理することにより、樹脂などの分散媒への分散性を改良することができる。

0191

本発明の複合顔料は、例えば以下のような方法で製造することができる。すなわち、無機着色顔料と無機化合物源とを水等の溶媒に添加し、ディスパー等で分散させてスラリー化する。

0192

無機着色顔料として、亜鉛元素を含有する無機着色顔料粒子を用いてもよい。ここで、「亜鉛元素を含有する」とは、無機着色顔料の粒子表面に亜鉛元素が存在する状態はもちろん、無機着色顔料の粒子内部に亜鉛元素が存在する状態も包含する。

0193

例えば、無機着色顔料粒子と亜鉛化合物源とを含むスラリーのpHを調整して、無機着色顔料の表面に亜鉛化合物を析出させる。亜鉛化合物源としては、pH調整によって所望の亜鉛化合物を析出させることが可能なものを用いることができる。例えば、硫酸亜鉛・七水和物、もしくは塩化亜鉛などを亜鉛化合物源として用いて、スラリーのpHを8以上8.5程度以下に調整することで、亜鉛の酸化物、及び/又は水酸化物を無機着色顔料粒子の表面に析出させることができる。このとき、pHの調整には、水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いることができる。

0194

また、無機着色顔料粒子と亜鉛化合物とを混合し、この混合物を加熱(焼成)することによって、粒子表面、あるいは粒子内部に亜鉛元素を有する無機着色顔料粒子を調製することもできる。亜鉛化合物の添加量や、加熱(焼成)の温度については、無機着色顔料の種類などに応じて適宜設定することができる。

0195

更に、無機着色顔料として二酸化チタン顔料を用いる場合、次のようにして粒子表面に亜鉛化合物を有する二酸化チタン顔料を準備することもできる。すなわち二酸化チタンの水和物と、焼成処理剤としての亜鉛化合物とを混合して、焼成する。亜鉛化合物の量は、二酸化チタンに対して、ZnO換算で0.1質量%以上2.0質量%であることが好ましい。焼成条件については適宜設定することができるが、焼成温度は、800℃以上1000℃以下であることが好ましい。焼成処理剤には各種の亜鉛化合物を用いることができるが、亜鉛の酸化物、及び/又は水酸化物を用いることが好ましい。

0196

本発明における「無機化合物源」とは、後述するスラリーのpH調整により析出して、無機着色顔料を固着する無機化合物となるもののことを意味する。このような無機化合物源としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸ジルコニウム、塩化第一スズ、四塩化チタンなどが挙げられる。無機化合物源としてはケイ酸ナトリウムが好ましい。ケイ酸ナトリウムとしては、JIS 1408−1966に規定されている1号、2号、3号ともに用いることができるが、入手し易さ、ハンドリングの点で3号を用いることが好ましい。

0197

ここで、上記スラリーの調製においては、無機化合物源の体積(Va)と前記無機着色顔料粒子の体積(Vb)との体積比(Va/Vb)が、0.3以上2以下となるように設定することが好ましい。無機化合物源の体積(Va)は、後述のpH調整により析出する無機化合物に換算した場合の体積を意味する。このような体積比とすることにより、無機化合物による十分な固着作用を得ることができ、複合顔料を適度な大きさ(好ましい粒度分布)とすることができる。尚、無機着色顔料粒子が亜鉛元素を含有するものである場合、上記体積比(Va/Vb)が0.3未満である場合(例えば0.25程度)であっても、適度な大きさ(好ましい粒度分布)の複合顔料を得ることができる。
また、無機着色顔料粒子と無機化合物源とを含むスラリーの固形分濃度は、75g/L以上450g/L以下であり、100g/L以上400g/L以下であることが好ましい。このような固形分濃度とすることで、上述した所望の粒度分布の複合顔料が得られ易い。

0198

続いて、上記スラリーのpH調整を行うことで、無機化合物源由来の無機化合物が析出し、この析出した無機化合物によって無機着色顔料粒子が固着される。無機化合物の析出のためのpHはその無機化合物に応じて適宜設定することができる。例えば、無機化合物源としてケイ酸ナトリウムを用いる場合、希硫酸を添加してpHを2以上10以下に調整するのが好ましい。こうすることで、遊離のシリカの生成を抑制しつつ、適度な大きさ(好ましい粒度分布)の複合顔料(複数個の無機着色顔料粒子がシリカで固着された複合顔料)を得ることができる。上記希硫酸添加によるpH調整においては、pHを6以上9以下の範囲に調整することが好ましく、7以上8以下の範囲に調整することがより好ましい。また、上記スラリーを加熱し、50℃以上100℃程度以下に保持しながら、無機化合物を析出させるのが好ましい。

0199

また、上記希硫酸の濃度は、無機着色顔料の種類などに応じて適宜設定することができるが、1〜40質量%の範囲のものを用いることが好ましい。
ここで、無機着色顔料粒子として亜鉛を含有しないものを用いる場合、低濃度の希硫酸を用いることが好ましい。具体的には、1質量%以上10質量%以下の希硫酸を用いることが好ましく、1質量%以上5質量%以下の希硫酸を用いることがより好ましく、1質量%以上3質量%以下の希硫酸を用いることが更に好ましい。こうすることで、適度な大きさ(好ましい粒度分布)の複合顔料を得ることができる。
一方で、無機着色顔料粒子として亜鉛元素を含有するものを用いた場合、比較的高濃度の希硫酸を用いた場合でも、適度な大きさ(好ましい粒度分布)の複合顔料を得ることができる。従って、生産性の観点からすれば、高濃度の希硫酸を用いることが好ましい。具体的には、5質量%以上40質量%以下の希硫酸を用いることが好ましく、10質量%以上40質量%以下の希硫酸を用いることがより好ましく、20質量%以上40質量%以下の希硫酸を用いることが更に好ましい。

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