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技術 腸管のイオン経細胞輸送体への作用剤、クロライドチャネル活性化剤、腎疾患の予防もしくは治療剤、又は排便促進剤

出願人 ビオフェルミン製薬株式会社
発明者 前田彩子嶋川真木大野裕史
出願日 2017年10月18日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-546380
公開日 2019年9月5日 (7ヶ月経過) 公開番号 WO2018-074514
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 使用間隔 各含有成分 硫酸鉄七水和物 急性腸炎 糖化菌 ゼリー状製剤 硫酸亜鉛七水和物 菌体乾燥物
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図面 (8)

課題・解決手段

ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、もしくはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌またはそれらの処理物を含有する、腸管イオン経細胞輸送体への作用剤を提供する(ただし、イオン輸送体クロライドチャネルであり、作用が抑制である場合、イオン輸送体がNa+K+Cl−共輸送体(NKCC1)であり、作用が抑制である場合、菌がビフィドバクテリウムインファンティス35624(Bifidobacterium infantis 35624)である場合、及び菌がラクトバチルスサリバリウスUCC118(Lactobacillus salivarius UCC118)である場合を除く)。本発明の剤は、クロライドチャネルの活性化、腎疾患の予防または治療、および/または排便促進に有用であり、医薬サプリメント等として使用され得る。

概要

背景

クロライドイオン(Cl−)、カルシウムイオン(Ca2+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)等は、水/電解輸送分泌、又は細胞容積の調節等を司るのみならず、細胞応答を左右する因子として重要な役割を演じることが知られている。例えば、クロライドチャネルは、クロライドイオンを輸送するイオントランスポート膜タンパク質である。様々な種類のイオン経細胞輸送体が神経、筋、上皮などの細胞膜に存在し、様々な生理機能細胞防御機構関与していることが報告されている。

腸管においては、クロライドイオンが下痢便秘等の病態と深く関わっており、クロライドイオンのバランスの異常による疾患として、難治性の便秘、筋緊張性萎縮症腎結石など高カルシウム尿症を呈する疾患、不安、不眠症嚢胞性繊維症てんかん無感覚症喘息気管支炎神経障害などが知られている(特許文献1)。

一方、ラクトバチルスガセリ(Lactobacillus gasseri)の菌体、その菌体処理物、或いはそれらの混合物が、大腸クロライドチャネルを抑制することによって水分分泌を抑制し、その結果、腸管の水分量を減少させる作用を有することが知られている(特許文献2)。しかし、これまでに、クロライドチャネルを活性化する菌等については報告されていない。

概要

ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、もしくはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌またはそれらの処理物を含有する、腸管のイオン経細胞輸送体への作用剤を提供する(ただし、イオン輸送体がクロライドチャネルであり、作用が抑制である場合、イオン輸送体がNa+K+Cl−共輸送体(NKCC1)であり、作用が抑制である場合、菌がビフィドバクテリウムインファンティス35624(Bifidobacterium infantis 35624)である場合、及び菌がラクトバチルスサリバリウスUCC118(Lactobacillus salivarius UCC118)である場合を除く)。本発明の剤は、クロライドチャネルの活性化、腎疾患の予防または治療、および/または排便促進に有用であり、医薬サプリメント等として使用され得る。

目的

本発明の目的は、新規な腸管のイオン経細胞輸送体への作用剤、クロライドチャネル活性化剤、腎疾患の予防もしくは治療剤、または排便促進剤を提供する

効果

実績

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- 件
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- 件

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請求項1

ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、もしくはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌またはそれらの処理物を含有する、腸管イオン経細胞輸送体への作用剤(ただし、イオン輸送体クロライドチャネルであり、作用が抑制である場合、イオン輸送体がNa+K+Cl−共輸送体(NKCC1)であり、作用が抑制である場合、菌がビフィドバクテリウムインファンティス35624(Bifidobacterium infantis 35624)である場合、及び菌がラクトバチルスサリバリウスUCC118(Lactobacillus salivarius UCC118)である場合を除く)。

請求項2

イオン経細胞輸送体への作用がクロライドチャネルの活性化である、請求項1に記載の剤。

請求項3

排便促進剤である、請求項1又は2に記載の剤。

請求項4

ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、もしくはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌またはそれらの処理物を含有し、菌処理物が菌発酵代謝物を含まない処理物であり、投与対象からイヌ又はネコが除かれる腎疾患の予防または治療剤

請求項5

ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の菌が、ビフィドバクテリウムロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウムブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウムアドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウムインファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウムシュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、又はビフィドバクテリウムサーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)である、請求項1〜4のいずれかに記載の剤。

請求項6

ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の菌が、ビフィドバクテリウムロンガムCLA8013菌株(Bifidobacterium longum CLA8013、受託番号:NITEBP−02352)又はビフィドバクテリウムロンガムMM−2菌株(Bifidobacterium longum MM-2、受託番号:NITEBP−818)である、請求項1〜5のいずれかに記載の剤。

請求項7

ラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌が、ラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルスガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルスカゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルスプランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルスデルブリュッキサブスピーシーズブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルスデルブリュッキイサブスピーシーズラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルスヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルスパラカゼイサブスピーシーズパラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルスラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルスサリバリウス(Lactobacillus salivarius)、又はラクトバチルスブレビス(Lactobacillus brevis)である、請求項1〜6のいずれかに記載の剤。

請求項8

ラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌が、ラクトバチルスアシドフィルスJCM1132株(Lactobacillus acidophilus JCM1132)、ラクトバチルスジョンソニイJCM2012株(Lactobacillus johnsonii JCM2012)またはラクトバチルスガセリJCM5813(Lactobacillus gasseri JCM5813)である、請求項1〜6のいずれかに記載の剤。

請求項9

ビフィドバクテリウムロンガムCLA8013菌株(Bifidobacterium longum CLA8013、受託番号:NITEBP−02352)。

請求項10

ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属またはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌処理物の製造方法であって、糖を含まない溶媒(但し、精製水及び生理食塩水を除く)、又はDMEM及びHam’sF−12を含む溶媒に菌を懸濁して、菌懸濁液を得る工程と、菌懸濁液を嫌気下にて放置する工程と、放置した菌懸濁液の上清フィルター濾過して濾液を処理物として得る工程を含み、発酵工程を含まないことを特徴とする菌処理物の製造方法。

請求項11

ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属またはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌、及び糖を含まない溶媒(但し、精製水及び生理食塩水を除く)、又はDMEM及びHam’sF−12を含む溶媒を含有する懸濁液、の上清(但し、上清はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属またはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌を含まない)。

技術分野

0001

本発明は、特定の菌またはそれらの処理物を含有する腸管イオン経細胞輸送体への作用剤クロライドチャネル活性化剤腎疾患の予防もしくは治療剤、または排便促進剤に関する。

背景技術

0002

クロライドイオン(Cl−)、カルシウムイオン(Ca2+)、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)等は、水/電解輸送分泌、又は細胞容積の調節等を司るのみならず、細胞応答を左右する因子として重要な役割を演じることが知られている。例えば、クロライドチャネルは、クロライドイオンを輸送するイオントランスポート膜タンパク質である。様々な種類のイオン経細胞輸送体が神経、筋、上皮などの細胞膜に存在し、様々な生理機能細胞防御機構関与していることが報告されている。

0003

腸管においては、クロライドイオンが下痢便秘等の病態と深く関わっており、クロライドイオンのバランスの異常による疾患として、難治性の便秘、筋緊張性萎縮症腎結石など高カルシウム尿症を呈する疾患、不安、不眠症嚢胞性繊維症てんかん無感覚症喘息気管支炎神経障害などが知られている(特許文献1)。

0004

一方、ラクトバチルスガセリ(Lactobacillus gasseri)の菌体、その菌体処理物、或いはそれらの混合物が、大腸クロライドチャネルを抑制することによって水分分泌を抑制し、その結果、腸管の水分量を減少させる作用を有することが知られている(特許文献2)。しかし、これまでに、クロライドチャネルを活性化する菌等については報告されていない。

先行技術

0005

特許第4786866号
特開第2014−101282号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明の目的は、新規な腸管のイオン経細胞輸送体への作用剤、クロライドチャネル活性化剤、腎疾患の予防もしくは治療剤、または排便促進剤を提供することである。さらに本発明の目的は、腸管のイオン経細胞輸送体への作用能、クロライドチャネル活性化能、腎疾患の予防もしくは治療効果、または排便促進能を有する新規な菌処理物及びその製造方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、上記課題を解決するために検討した結果、特定の菌またはそれらの処理物が腸管のイオン経細胞輸送体へ作用し、クロライドチャネルを活性化し、腎疾患の予防または治療に有効であり、又は排便促進作用を有することを見出し、さらに検討を重ねて、種々の新知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1]ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、もしくはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌またはそれらの処理物を含有する、腸管のイオン経細胞輸送体への作用剤(ただし、イオン輸送体がクロライドチャネルであり、作用が抑制である場合、イオン輸送体がNa+K+Cl−共輸送体(NKCC1)であり、作用が抑制である場合、菌がビフィドバクテリウムインファンティス35624(Bifidobacterium infantis 35624)である場合、及び菌がラクトバチルスサリバリウスUCC118(Lactobacillus salivarius UCC118)である場合を除く)。
[2]イオン経細胞輸送体への作用がクロライドチャネルの活性化である、前記[1]に記載の剤。
[3]排便促進剤である、前記[1]又は[2]に記載の剤。
[4]ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、もしくはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌またはそれらの処理物を含有し、菌処理物が菌発酵代謝物を含まない処理物であり、投与対象からイヌ又はネコが除かれる腎疾患の予防または治療剤。
[5]ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の菌が、ビフィドバクテリウムロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウムブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウムアドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウムシュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、又はビフィドバクテリウムサーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の剤。
[6]ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属の菌が、ビフィドバクテリウム ロンガム CLA8013菌株(Bifidobacterium longum CLA8013、受託番号:NITEBP−02352)又はビフィドバクテリウム ロンガム MM−2菌株(Bifidobacterium longum MM-2、受託番号:NITE BP−818)である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の剤。
[7]ラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌が、ラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルスガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルスカゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルスプランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルスデルブリュッキサブスピーシーズブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス デルブリュッキイ サブスピーシーズラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルスヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルスパラカゼイサブスピーシーズ パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルスラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、又はラクトバチルスブレビス(Lactobacillus brevis)である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の剤。
[8]ラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌が、ラクトバチルス アシドフィルス JCM1132株(Lactobacillus acidophilus JCM1132)、ラクトバチルス ジョンソニイ JCM2012株(Lactobacillus johnsonii JCM2012)またはラクトバチルス ガセリ JCM5813株(Lactobacillus gasseri JCM5813)である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の剤。
[9]ビフィドバクテリウム ロンガム CLA8013菌株(Bifidobacterium longum CLA8013、受託番号:NITE BP−02352)。
[10]ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属またはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌処理物の製造方法であって、
糖を含まない溶媒(但し、精製水及び生理食塩水を除く)、又はDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium)及びHam’s F−12を含む溶媒に菌を懸濁して、菌懸濁液を得る工程と、
菌懸濁液を嫌気下にて放置する工程と、
放置した菌懸濁液の上清フィルター濾過して濾液を処理物として得る工程
を含み、発酵工程を含まないことを特徴とする菌処理物の製造方法。
[11]ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属またはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌、及び糖を含まない溶媒(但し、精製水及び生理食塩水を除く)、又はDMEM及びHam’s F−12を含む溶媒を含有する懸濁液、の上清(但し、上清はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属またはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌を含まない)。

発明の効果

0008

本発明は、新規な腸管のイオン経細胞輸送体への作用剤を提供することができる。本発明の剤は、クロライドチャネルの活性化、腎疾患の予防または治療が可能である点、又は排便促進作用を有する点において、特に顕著な効果を有する。

図面の簡単な説明

0009

図1は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する菌の処理物による腸管上皮細胞(T84)における短絡電流変化を示す図である。
図2は、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する菌の処理物による腸管上皮細胞(T84)における短絡電流変化を示す図である。
図3は、血清BUN(尿素窒素)測定までの試験スケジュールを示す図である。
図4は、血清BUN値測定結果を示す図である。
図5は、赤色糞便排出時間の測定結果を示す図である。
図6は、各溶媒(精製水、生理食塩水、DMEM/F-12、又はPBS(−))により処理した8013Eの腸管上皮細胞(T84)における短絡電流変化を示す図である。
図7は、血清BUN値の測定結果を示す図である。

0010

本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、もしくはラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する菌、またはそれらの処理物を含有する腸管のイオン経細胞輸送体への作用剤を提供する。具体的には、例えば、クロライドチャネル活性化剤、腎疾患の予防もしくは治療剤、又は排便促進剤を提供する。本発明の剤は、上記乳酸菌、またはその処理物を含有していればよく、さらに他の成分を含有していてもよい。上記菌は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。

0011

本発明の剤は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、またはラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する菌を含有する。ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に属する乳酸菌としては、ビフィドバクテリウムロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウムビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウムブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウムアドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウムインファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウムシュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)、ビフィドバクテリウムサーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)等が好ましく、中でもビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、又はビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)がより好ましい。ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、又はビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)としては、ビフィドバクテリウム ロンガム CLA8013(Bifidobacterium longum CLA8013、受託番号:NITEBP−02352)、ビフィドバクテリウム ロンガム ID8009(Bifidobacterium longum ID8009)、ビフィドバクテリウム ロンガム ID1163(Bifidobacterium longum ID1163)、ビフィドバクテリウム ロンガム MM−2(Bifidobacterium longum MM-2:ID1001、受託番号:NITE BP−818)、またはビフィドバクテリウム ビフィダム ID8005(Bifidobacterium bifidum ID8005)が好ましく、ビフィドバクテリウム ロンガム CLA8013(Bifidobacterium longum CLA8013、受託番号:NITE BP−02352)、またはビフィドバクテリウム ロンガム MM−2(Bifidobacterium longum MM-2:ID1001、受託番号:NITE BP−818)がさらに好ましい。ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌としては、ラクトバチルスアシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルスジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルスガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルスカゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルスプランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルスデルブリュッキイサブスピーシーズブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス デルブリュッキイ サブスピーシーズラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバチルスファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルスヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルスパラカゼイサブスピーシーズ パラカゼイ(Lactobacillus paracasei subsp. paracasei)、ラクトバチルスロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルスラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルスサリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルスブレビス(Lactobacillus brevis)等が好ましく、中でもラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス ガセリ(Lactobacillus gasseri)、又はラクトバチルス ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)がより好ましい。ラクトバチルス アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス ガセリ(Lactobacillus gasseri)、又はラクトバチルス ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)としては、ラクトバチルス アシドフィルス JCM1132(Lactobacillus acidophilus JCM1132;ID2152T)、ラクトバチルス ガセリ JCM5813(Lactobacillus gasseri JCM5813;ID2145)、ラクトバチルス ジョンソニイ JCM2012(Lactobacillus johnsonii JCM2012;ID2153T)がより好ましく、ラクトバチルス アシドフィルス JCM1132(Lactobacillus acidophilus JCM1132;ID2152T)がさらに好ましい。
これらの菌体は、例えばATCC又はIFO等の機関財団法人日本ビフィズス菌センターなどから容易に入手することができる。なお、ビフィドバクテリウム ロンガム CLA8013及びビフィドバクテリウム ロンガム MM−2は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ足2−5−8 122号室郵便番号292−0818)に下記受託番号のもとで寄託されている。また、市販されているものを適宜使用することもできる。
ビフィドバクテリウム ロンガム CLA8013(受託日:2016年9月21日、受託番号:NITE BP−02352、識別の表示:Bifidobacterium longum CLA8013)
ビフィドバクテリウム ロンガム MM−2(受託日:2009年9月17日、受託番号:NITE BP−818、識別の表示:Bifidobacterium longum MM-2)
本発明の剤は、ビフィドバクテリウム インファンティス 35624(Bifidobacterium infantis 35624)、及びラクトバチルス サリバリウス UCC118(Lactobacillus salivarius UCC118)を含まない。

0012

本発明の効果を奏する限り、上記乳酸菌以外の有用菌を含んでもよい。例えば、Bacillus subtilis 129 BIO H(α)等のBacillus subtilis、Bacillus mesentericus、Bacillus polyfermenticus等の糖化菌;例えば、Bacillus coagulans等の有胞子性乳酸菌; Bacillus toyoi、Bacillus licheniformis、Clostridium butyricum等の酪酸菌;Leuconostoc mesenteroides等のリューコノストック(Leuconostoc)属、Lactococcus lactis、Lactococcus cremoris等のラクトコッカス(Lactococcus)属、Tetragenococcus halophilus等のテトラジェノコッカス(Tetragenococcus)属、Pediococcus acidilactici、Pediococcus pentosaceus等のペディオコッカス(Pediococcus)属、Oenococcus oeni等のオエノコッカス(Oenococcus)属等の乳酸球菌;その他の有用菌が挙げられる。
これらの菌体は、例えばATCC又はIFOなどの機関から容易に入手することができる。また、市販されているものを適宜使用することもできる。

0013

上記菌体は、公知の条件又はそれに準じる条件で培養することにより得ることができる。例えば、通常、グルコ−ス、酵母エキスペプトン等を含む液体培地で上記乳酸菌の1種又は2種以上を通常約25〜45℃程度で約4〜72時間程度、好気又は嫌気培養し、培養液から菌体を集菌し、洗浄し、湿菌体を得ることができる。

0014

本発明において用いる菌は、生菌が好ましいが、乾燥物菌体乾燥物)等を含む死菌であってもよく、生菌と死菌を混合したもの等であってもよい。菌体乾燥物としては、シングルミクロンの菌体乾燥物が好ましい。菌体乾燥物とは、通常は乾燥された個々の菌体又は乾燥された菌体の集合物をいう。また、シングルミクロンとは、小数第1位を四捨五入して1〜10μmをいう。

0015

本発明において、菌の処理物は、菌に何らかの処理を加えたものをいい、その処理は特に限定されるものではない。菌の処理物としては、例えば、該菌体と溶媒の混合液、その上清又は遠心上清などであってもよく、それらをフィルターなどで濾過した濾液などであってもよい。前記の菌体と溶媒の混合液は、菌体と溶媒を混合したものであれば、懸濁液であってもよい。菌体と溶媒の混合液としては、例えば、約25〜45℃程度で約30分〜3日間程度、好気又は嫌気条件下で放置したものを用いてもよいし、混合したものをそのまま用いてもよい。また菌の処理物は、菌の処理物から抽出した抽出物などであってもよい。本発明では、これらを単に抽出物と書く場合もある。また菌の処理物は、例えば、濾液や抽出物、混合液を公知技術に従って、濃縮粉末化凍結乾燥したもの等であってもよい。なお、本発明における菌の処理物には、菌発酵代謝物を含まない。溶媒としては、例えば、リン酸緩衝液(PBS)等を含む糖を含まない溶媒、又はDMEM/F−12等の培養液などが挙げられる。リン酸緩衝液(PBS)は、カルシウム塩及びマグネシウム塩添加リン酸緩衝液(PBS(+))を用いてもよいし、カルシウム塩及びマグネシウム塩無添加リン酸緩衝液(PBS(—))を用いてもよい。遠心の条件は、特に限定されないが、遠心力は2,500〜10,000×Gであってもよい。フィルターの目の大きさは、菌を濾過できる目の大きさのフィルターであればよいが、例えば、市販の0.1μm〜1μm(例えば、0.22μm)の濾過フィルターを用いることができる。DMEM/F−12等の培養液は、糖を含んでいてもよいし、糖を含んでいなくてもよい。なお、本発明における溶媒は、精製水及び生理食塩水を含まない。

0016

本発明において、菌発酵代謝物とは、例えば、脱脂粉乳乳糖ブドウ糖、ペプトン、酵母エキスなどを含む菌増殖培地に菌を播種し、一定温度(例えば、20℃〜40℃)で、一定時間(例えば、2〜60時間)培養した後の菌発酵代謝液等をいう。

0017

本発明における菌の処理物は、菌を含有していてもよく、含有していなくてもよいが、含有していないことが好ましい。ただし、本発明における菌の処理物において、発酵していない菌を含有する場合は、前記の限りではない。

0018

本発明において、腸管とは、例えば、十二指腸空腸回腸などの小腸盲腸上行結腸横行結腸下行結腸S状結腸直腸などの大腸等であってもよい。さらに本発明において、腸管は体内にある状態でもよいし、腸管を体外に切り出してもよいし、または腹部切開して腸管の一部を生体から取り出してもよい。

0019

本発明において、イオン経細胞輸送体とは、細胞を介したイオン輸送体であり、経細胞イオン輸送体と表現される場合もある。イオン輸送体としては、例えば、イオンチャネル、イオン共輸送体、イオン交換輸送体等が挙げられる。イオンチャネルとしては、例えば、クロライドチャネル、カルシウムチャネルナトリウムチャネルカリウムチャネル陽イオンチャネル等が挙げられる。クロライドチャネルとしては、例えば、CFTRクロライドチャネル等が挙げられる。イオン共輸送体としては、例えば、Na+K+Cl−共輸送体(NKCC1)等が挙げられる。イオン交換輸送体としては、例えば、Cl−/HCO3−交換輸送体(DRA)等が挙げられる。

0020

本発明において、イオン経細胞輸送体に作用するとは、例えば、イオン経細胞輸送体の機能を活性、抑制させる等して、その機能を変化させること等をいう。具体的には、例えば、クロライドチャネルを活性化させる、カルシウムチャネルを活性化させる、ナトリウムチャネルを活性化させる、カリウムチャネルを活性化させる、陽イオンチャネルを活性化させる、Na+K+Cl−共輸送体(NKCC1)を活性化させる、Cl−/HCO3−交換輸送体(DRA)を活性化させるなどである。また具体的には、例えば、カルシウムチャネルを抑制化させる、ナトリウムチャネルを抑制化させる、カリウムチャネルを抑制化させる、陽イオンチャネルを抑制化させる、Cl−/HCO3−交換輸送体(DRA)を抑制化させるなどである。

0021

ただし、本発明において、
イオン輸送体がクロライドチャネルであり、作用が抑制である場合、
イオン輸送体がNa+K+Cl−共輸送体(NKCC1)であり、作用が抑制である場合、菌がビフィドバクテリウムインファンティス35624(Bifidobacterium infantis 35624)である場合、及び
菌がラクトバチルスサリバリウスUCC118(Lactobacillus salivarius UCC118)である場合
は含まない。

0022

以下に本発明の腸管のイオン経細胞輸送体への作用剤について、各態様ごとに説明する。具体的には、クロライドチャネルの活性化剤、腎疾患の予防または治療剤、及び排便促進剤について説明する。

0023

本発明の一態様として、例えば、クロライドチャネルの活性化剤が挙げられる。本発明において、クロライドチャネルを活性化することは、例えば、本発明の剤投与前の状態と比べ、イオンの経細胞輸送能が大きくなること等をいう。イオンの経細胞輸送能は、例えば、短絡電流法(唐木晋一郎、原 厚和、日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)123,211〜218(2004)上皮膜における電解質輸送の電気生理学的測定法:短絡電流法)により測定することができる。

0024

本発明の一態様として、例えば、腎疾患の予防又は治療剤が挙げられる。本発明において、腎疾患の予防又は治療剤は、腎疾患の予防または治療に有用である。本発明において、腎疾患の「予防」とは、例えば、腸管のイオン細胞経輸送体、例えば、イオンチャネルに作用して腎疾患の発症を阻止することをいい、腎疾患の「治療」とは、例えば、腎疾患による症状の緩解、又は完治させることをいう。腎疾患としては、例えば、腎不全尿毒症糖尿病性腎症慢性糸球体腎炎などが挙げられる。腎疾患は、例えば、慢性的なものであってもよいし、急性的なものであってもよい。慢性腎疾患としては、例えば、慢性腎不全、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群等が挙げられる。急性腎疾患としては、例えば、急性糸球体腎炎急性腎不全溶血性尿毒症症候群等が挙げられる。

0025

本発明において、腎疾患が改善したことを判断する方法は、特に限定されるものでなく、公知の方法等により判断してもよい。本発明における菌又はその処理物、もしくは本発明の剤を投与したことにより、腎疾患が改善したことを判断するための方法としては、例えば、血清中BUN(尿素窒素)を測定する方法等が挙げられる。血清中BUNを測定する方法を用いる場合には、例えば、菌又は菌処理物、もしくは剤の投与により、それらを投与する前よりもBUNの値が下がった際に、腎疾患に対して改善効果があるとする等して判断してもよい。

0026

本発明の一態様として、例えば、排便促進剤が挙げられる。これは本発明の剤が、クロライドチャネル活性化作用を有し、その結果、腸管の水分量を増加させ、排便促進作用を得ることができること等によるものである。

0027

本発明において、排便促進剤は、例えば、生理的な排便を促進させること、または食事から排便までの時間を短縮させることができる。

0028

本発明において、排便促進効果を判断する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、排便回数、食事から排便までの時間、糞便に含まれる水分量等から判断する方法が挙げられる。

0029

本発明の剤は、菌またはその処理物を単独で使用またはこれと他の成分を混合することにより、医薬品、医薬部外品飲食品食品添加物飼料等の製造に用いられる原料として;又はそのまま、医薬品、医薬部外品、飲食品、食品添加物、飼料等の形態として用いることができる。本発明の組成物は、コエンザイムQ10を含んでいなくてもよい。すなわち、本発明の一態様として、医薬品組成物医薬部外品組成物飲食品組成物、食品添加物組成物、飼料組成物等が挙げられる。このような、本発明の剤を含む医薬品組成物も、本発明の好ましい実施態様の1つである。

0030

本発明の医薬品組成物の剤型は、それぞれの成分の物理化学的性質生物的性質等を考慮して投与に好適な剤型とすればよい。経口投与に適しており、内服剤とすることが好ましい。また、本発明の医薬品組成物の剤型は、非経口剤であってもよい。内服剤の剤型としては、例えば、錠剤糖衣錠を含む)、ペレット細粒剤散剤顆粒剤丸剤チュアブル剤トローチ剤カプセル剤等の固形剤水剤懸濁剤乳剤シロップ剤エリキシル剤等の液剤ゼリー状製剤等の半固形製剤等が挙げられる。中でも、錠剤、散剤、液剤又は懸濁剤が好ましい。さらに、本発明の医薬品組成物は、乳酸菌の他に、賦形剤(例えば、白糖、乳糖、デンプン結晶セルロースリン酸ナトリウム炭酸マグネシウムペクチンデキストリントラガント等)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンカルメロースナトリウムメチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースポリビニルピロリドン、ペクチン、トラガント等)、崩壊剤(例えばデンプン、カルメロースナトリウム、トラガント等)、滑沢剤(例えばタルクステアリン酸マグネシウムステアリン酸カルシウムマクロゴールショ糖脂肪酸エステル等)、安定剤(亜硫酸水素ナトリウムチオ硫酸ナトリウムエデト酸ナトリウムクエン酸ナトリウムアスコルビン酸ジブチルヒドロキシトルエン等)、増粘剤ナトリウムカルボキシメチルセルロース等)、担体低融点ワックスカカオバター等)、着色剤賦香剤香料)、光沢剤希釈剤緩衝剤乳化剤分散剤懸濁化剤防腐剤吸収促進剤、嬌味剤等、当業界で使用される公知の添加剤等を適宜含有していてもよい。製剤中に含まれる菌又はその処理物の合計量は、通常、最終製剤全体に対して約0.000001〜99質量%の範囲から適宜選択して決定することができる。中でも、約0.05〜約50質量%含むことが好ましく、約0.1〜約25質量%含むことがより好ましい。

0031

本発明において、経口用の固形剤(錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等)が好ましく、有効成分を例えば賦形剤(ラクトースマンニトールグルコース微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤グルタミン酸アスパラギン酸等)等の添加剤と混合し、常法に従って製剤化することができる。必要に応じて、さらにコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。

0032

本発明における剤を固形製剤の形態で使用する場合、乾燥方法によっては、単に粉末同士を混合してもよいし、またその粉末を圧縮して顆粒にしたり、錠剤にしたりしてもよい。湿式法により顆粒、錠剤を製造する場合は、結合剤の水溶液を用いて練合、乾燥し、目的の固形剤とすることができる。さらに、この様にして得られた粉末又は顆粒をカプセル充填して、カプセル剤とすることもできる。

0033

例えば、錠剤を製造する場合は、公知の打錠機を用いるとよい。該打錠機としては、例えば単発式打錠機又はロータリー型打錠機等が挙げられる。また、丸剤、チュアブル剤又はトローチ剤の製造方法は、公知の方法に従って行われてよく、例えば錠剤を製造するのと同じ手段で作ることができる。

0034

微量の有効成分(菌又はその処理物)を大量の他の粉末と混合し均一な混合物を得るためには、いわゆる段階的混合法を採用するのがよい。例えば、有効成分をその100〜200容量倍の粉末と混合して均一な粉末を得、これを残りの粉末と混合すると均一に希釈された粉末を得ることができる。
含水物からの乾燥には、噴霧乾燥、L−乾燥、凍結乾燥などの手段をとることができる。

0035

本発明において、経口用の液剤(水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等)は、有効成分を一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノール又はそれらの混液等)に溶解、懸濁又は乳化して製剤化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤風味剤芳香剤保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。

0036

非経口剤としては、注射剤(例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤外用剤(例えば、経鼻投与製剤、経皮製剤軟膏剤)、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤)等が挙げられる。これらの製剤は、当該分野で通常行われている手法により、前述した薬学上許容される添加剤を用いて製剤化することができる。製剤中に含まれる菌又はその処理物の合計量は、通常、最終製剤全体に対して約0.000001〜99質量%の範囲から適宜選択して決定することができる。中でも、約0.05〜約50質量%含むことが好ましく、約0.1〜約25質量%含むことがより好ましい。

0037

本発明において、非経口剤としては例えば、注射剤が挙げられる。注射剤は、溶液、懸濁液、乳濁液、及び用時に溶解又は懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、有効成分を溶剤に溶解、懸濁又は乳化して製剤化される。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油プロピレングリコールポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等及びそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また注射剤は、無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、これを使用前に無菌化又は無菌の注射用蒸留水又は他の溶剤に溶解して製造することもできる。

0038

さらに非経口剤としては例えば、坐剤が挙げられる。この組成物は通常使用される方法に従って製造することができる。

0039

本発明で使用される菌は、一般に嫌気性で、乾燥状態では空気又は酸素に対して弱く、また、高温湿気に弱いため、組成物の製剤化に際してはできるだけ、不活性ガスの存在下又は真空低温下で、処理することが好ましい。組成物の製剤化における温度は、本発明の効果が奏される限り特に限定されるものでなく、公知の方法に従って決定することができる。

0040

本発明において、ヒトを含む動物に対する菌の投与量は、約1×103〜1×1011個/大人/回が好ましく、約1×106〜1×1011個/大人/回がより好ましく、約1×109〜1×1011個/大人/回がさらに好ましい。

0041

本発明において、ヒトを含む動物に対する菌処理物の投与量は、菌約1×103〜1×1014個の処理物/大人/回が好ましく、菌約1×106〜1×1014個の処理物/大人/回がより好ましく、菌約1×109〜1×1014個の処理物/大人/回がさらに好ましい。

0042

本発明において、組成物の使用間隔は、対象(例えば、ラット)、ルート(例えば、経口投与)、形態(例えば、液剤)等にもよるが、例えば、本発明の組成物を1日に1〜5回使用してもよいし、1週間に1〜5回使用してもよいし、1ヶ月に1〜5回使用等してもよい。

0043

本発明において、組成物の使用期間は、対象(例えば、マウス)、ルート(例えば、経口投与)、形態(例えば、液剤)、使用間隔等にもよるが、例えば、1日〜6日であってもよいし、1週間〜4週間であってもよいし、1ヶ月〜12ヶ月であってもよい。また、例えば、組成物を継続的に使用し続ける等であってもよい。

0044

本発明において、剤の投与対象は、例えば、動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、ウサギヒツジブタウシ、ネコ、イヌ、サル等)に対して投与することができる。
本発明において、腎疾患の予防または治療剤の投与対象は、イヌ及びネコが除かれる動物(例えば、ヒト、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、サル等)であることが好ましい。

0045

本発明の医薬品組成物の適用疾患としては、炎症性腸疾患潰瘍性大腸炎クローン病腸結核感染性腸炎非感染性腸炎、急性腸炎、急性胃腸炎慢性腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、大腸がん腸閉塞、便秘、腎炎、腎不全、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、糸球体腎炎腎臓結石多発性のう胞腎性貧血腎硬化症水腎症等が挙げられる。

0046

本発明の剤は、医薬品組成物以外のその他の組成物の原料として、例えば上記菌又はその処理物を使用し、公知の方法に従って、その他の組成物を製造することができる。医薬品組成物以外のその他の組成物に対する菌又はその処理物の含有量は、例えば、組成物全体に対して約0.000001〜99質量%の範囲から適宜選択して決定することができる。

0047

本発明において、飲食品としては、例えば、清涼飲料乳性飲料発酵乳ヨーグルト乳酸菌飲料サプリメント等が挙げられる。

0048

本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属またはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌処理物の製造方法であって、
糖を含まない溶媒(但し、精製水及び生理食塩水を除く)、又はDMEM及びHam’s F−12を含む溶媒に菌を懸濁して、菌懸濁液を得る工程と、
菌懸濁液を嫌気下にて放置する工程と、
放置した菌懸濁液の上清をフィルターで濾過して濾液を処理物として得る工程
を含み、発酵工程を含まないことを特徴とする菌処理物の製造方法を包含する。

0049

本発明において、糖を含まない溶媒としては、例えば、リン酸を含む溶液、リン酸緩衝液(PBS)などが挙げられるが、本発明は精製水及び生理食塩水は含まない。リン酸を含む溶液は、少なくともリン酸を含んだ溶液であればよい。リン酸緩衝液(PBS)は、カルシウム塩及びマグネシウム塩添加リン酸緩衝液(PBS(+))を用いてもよいし、カルシウム塩及びマグネシウム塩無添加リン酸緩衝液(PBS(—))を用いてもよい。イオン経細胞輸送能が高い点で、PBS(—)を用いるのが好ましい。糖としては、例えば、乳糖、ショ糖オリゴ糖糖アルコールなどが挙げられる。

0050

本発明において、DMEMは、例えば、グリシン、L−アルギニン塩酸塩、L−シスチン二塩酸塩、L−グルタミン、L−ヒスチジン塩酸塩一水和物、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン塩酸塩、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン二ナトリウム水和物、L−バリン、D−パントテン酸カルシウム塩化コリン葉酸、i−イノシトールニコチンアミドピリドキシン塩酸塩リボフラビンチアミン塩酸塩無水塩化カルシウム硝酸鉄九水和物、無水硫酸マグネシウム塩化カリウム塩化ナトリウム炭酸水素ナトリウム無水リン酸二水素ナトリウム、D−グルコース、フェノールレッド等を含んだもの等を使用してもよい。
本発明において、Ham’s F−12は、例えば、グリシン、L−アラニン、L−アルギニン塩酸塩、L−アスパラギン一水和物、L−アスパラギン酸、L−システイン塩酸塩一水和物、L−グルタミン酸、L−グルタミン、L−ヒスチジン塩酸塩一水和物、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン塩酸塩、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン二ナトリウム水和物、L−バリン、ビオチン、塩化コリン、D−パントテン酸カルシウム、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、チアミン塩酸塩、ビタミンB12、i−イノシトール、無水塩化カルシウム、硫酸銅五水和物硫酸鉄七水和物、塩化カリウム、無水塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、硫酸亜鉛七水和物、D−グルコース、ヒポキサンチンリノール酸リポ酸プトレシンニ二塩酸塩、チミジン、フェノールレッド、ピルビン酸ナトリウム等を含んだもの等を使用してもよい。

0051

本発明において、DMEM及びHam’s F−12を含む溶媒としては、例えば、DMEM及びHam’s F−12を混合した溶媒、DMEM及びHam’s F−12を含む溶液、DMEM及びHam’s F−12を含む培地などが挙げられる。
本発明において、DMEM及びHam’s F−12を含む培地は、例えば、市販品等を混合して使用してもよいし、既に混合された市販品等(DMEM/F−12培地(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製))を使用してもよいし、糖を含んでいない市販品等を使用してもよい。

0052

本発明において用いられるDMEM/F−12培地は、例えば、市販品等に含まれるぞれぞれの成分(L−グルタミン、フェノールレッド、ピルビン酸ナトリウム、無水塩化カルシウム、塩化カリウム、無水塩化マグネシウム、無水硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、無水リン酸水素二ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、硫酸銅五水和物、硝酸鉄九水和物、硫酸鉄七水和物、硫酸亜鉛七水和物、L−アラニン、L−アルギニン塩酸塩、L−アスパラギン一水和物、L−アスパラギン酸、L−シスチン二塩酸塩、L−システイン塩酸塩一水和物、L−グルタミン酸、L−グルタミン、グリシン、L−ヒスチジン塩酸塩一水和物、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン塩酸塩、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン二ナトリウム水和物、L−バリン、D−ビオチン、D−パントテン酸カルシウム、塩化コリン、葉酸、i−イノシトール、ニコチンアミド、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、チアミン塩酸塩、ビタミンB12、D−グルコース、ヒポキサンチン、リノール酸、リポ酸、プトレシンニ二塩酸塩、チミジン等)を混合して作製されたもの等を使用してもよい。簡便性の点から、市販品のDMEM/F−12を用いるのが好ましい。

0053

本発明において、嫌気下に放置するとは、例えば、好ましくは窒素置換を行ってヘッドスペース中の酸素濃度をゼロにする、あるいは培養タンクを使用する場合は、菌懸濁液中のD.O.値(溶存酸素濃度)を1.0ppm以下で放置することを言い、特に好ましい方法として、例えば、菌懸濁液を窒素ガス置換することにより、D.O.値(溶存酸素濃度)を0.5ppm以下に調節して嫌気的条件下で放置する方法等が挙げられるが、これに限定されるものではない。

0054

本発明において、菌懸濁液を放置するとは、例えば、菌と、糖を含まない溶媒(但し、精製水及び生理食塩水を除く)又はDMEM及びHam’s F−12を含む溶媒を混合した後、菌懸濁液及び/又は菌懸濁液を入れた容器に対して、何の操作もせず、静置することをいう。静置する時間は、特に限定されないが、例えば、30分以上、1時間以上、6時間以上等であってもよく、24時間以下、3日間以下等であってもよい。また、菌懸濁液を静置する際の温度は、特に限定されないが、例えば菌が生育できる温度であればよい。菌懸濁液を静置する際の条件は、菌の性質等にもよるが、例えば、好気的条件下であってもよく、嫌気的条件下等であってもよい。

0055

本発明において、フィルターは、菌を濾過できる目の大きさのフィルターであればよいが、例えば、市販の0.1μm〜1μm(例えば、0.22μm)の濾過フィルターを用いることができる。

0056

本発明において、例えば、濾液の処理物を、濃縮、粉末化、凍結乾燥等する工程をさらに含んでいてもよい。

0057

本発明において、発酵工程を含まないとは、例えば、乳酸菌が発酵を行わないこと、製造方法における全ての工程後に得られた処理物中に、乳酸菌による発酵後の代謝物が含まれないこと等をいう。
本発明において、乳酸菌による発酵の有無を判断する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、菌懸濁液を作製し、その後に菌懸濁液を放置する工程の前後において、菌懸濁液のpHを測定し、pHの値が放置前よりも放置後のpHの値が下がる(酸性側にpHの値が変化する)場合を、発酵有りと判断し、本発明には含まれないものとする。

0058

本発明は、動物にビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、もしくはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌またはそれらの処理物を投与するクロライドチャネルを活性化させる方法、腎疾患を予防もしくは治療する方法、又は排便を促進させる方法を包含する。
本発明はまた、クロライドチャネルの活性化剤、腎疾患の予防もしくは治療薬、又は排便促進剤製造のための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、もしくはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌またはそれらの処理物の使用を包含する。
本発明はさらに、クロライドチャネルの活性化、腎疾患の予防もしくは治療、又は排便の促進に使用するための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、もしくはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌またはそれらの処理物を包含する。
本発明はまた動物においてクロライドチャネルの活性化、腎疾患の予防もしくは治療、又は排便の促進のための、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属、もしくはラクトバチルス(Lactobacillus)属の菌またはそれらの処理物の使用を包含する。

0059

以下、実施例によって本発明を詳述するが、これらの実施例は本発明の一例であり、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有するものにより可能である。

0060

[実施例1](菌処理物の調製)
Bifidobacterium属またはLactobacillus属に属する菌として、
ビフィドバクテリウムロンガム(B. longum):
ID1001(MM-2、受託番号:NITEBP−818)、JCM1217(ID1100T)、ID1163、ID1164、ID1165、ID1166、ID1167、ID1168、ID1170、ID8009、CLA8013(受託番号:NITE BP−02352)、
ビフィドバクテリウムビフィダム(B. bifidum):
ID1000、ID1077、ID1078、JCM1255 (ID1079T)、ID1080、ID1127、ID1129、ID1130、ID1131、ID1188、ID1189、ID8005、ID8007、
ラクトバチルスガセリ(L. gasseri):
ID2000、JCM1131 (ID2151T)、ID2089、ID2092、ID2093、ID2100、ID2101、ID2124、ID2144、JCM5813(ID2145)、ID2146、
ラクトバチルスジョンソニイ(L. johnsonii):
JCM2012 (ID2153T)、ID2091、ID2095、ID2096、ID2126、ID2142、ID2143、ID2154、
ラクトバチルスアシドフィルス(L. acidophilus):
JCM1132(ID2152T)、ID2073、ID2107、ID2109、ID2110、
ラクトバチルスパラカゼイサブスピーシーズパラカゼイ(L. paracasei subsp. paracasei):
JCM8130(ID2148T)、ID2003、ID2004 ID2005、ID2012、ID2013、ID2014、ID2019、ID2031、ID2032、ID2033
を用いた。B. longum JCM1217(ID1100T)、B. bifidum JCM1255(ID1079T)、L. gasseri JCM5813(ID2145)、L. gasseri JCM1131(ID2151T)、L. johnsonii JCM2012(ID2153T)、L. acidophilus JCM1132(ID2152T)、L. paracasei subsp. paracasei JCM8130(ID2148T)は、各菌種標準株である。
各菌株の凍結保存菌株(約1×106〜1×108個)を1%グルコース、0.1%ポリソルベート80含有GAM(日水製薬株式会社)培地10mLを用いて37℃で18〜30時間嫌気培養した。培養後、遠心(3,000×G、10min.、R.T.)して上清を廃棄し、PBS(−)により洗浄後、DMEM/F−12(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)10mLに再懸濁し、37℃、24時間嫌気下にて放置後、遠心上清をフィルター(0.22μm)濾過し、濾液を菌処理物(Extract:以下単にEと略することがある)として調製した。

0061

細胞培養
10%FBS、ペニシリンストレプトマイシン含有DMEM/F−12にて株化ヒト結腸上皮細胞T84を培養し、4×104cells/cm2で播種して5〜7日毎に継代培養を行った。フィルタースナップウェル(snapwell)(corning,costar、1.13cm2)に5×105cells/wellで播種して3日毎に培地を交換し、5〜7日培養したものを試験に用いた。

0062

(短絡電流法)
短絡電流法は、ウッシングチャンバーステム(Ussing chamber system)(Physiologic Instruments社製)を用いて測定した。単層(monolayer)となったT84細胞をスナップウェル(snapwell)ごとウッシングチャンバー(Ussing chamber)に垂直にセットし、T84細胞が接着したスナップウェルの左右を37℃に保温したクレブスリンガー液(Krebs-Ringer液)5mLで満たし、20分以上放置し、T84細胞膜を介した電流の値(Isc)が安定したのち、試験を開始した。菌処理物100μLをT84細胞の粘膜側にあたる上側(スナップウェルに対して細胞が接着した面の逆側)に添加し、その後のIscの変化(ΔIsc)を観察し、経細胞イオン分泌の変化を比較した。ΔIscは検体添加後、最も変化したIscの値と検体添加時(0時間)のIscの値との差とした。

0063

(菌処理物のイオン経細胞輸送能)
腸内の水分量は、内容物の硬さや腸内移動に影響を及ぼし、便秘又は下痢の原因の一つとなっている。腸管における水の分泌吸収は、腸管上皮に存在するクロライドチャネルを介したクロライドイオンの移動と並行して起こるため、クロライドイオンの移動は水の移動の指標となる。そこで、腸管上皮細胞(T84細胞)を用いて、菌におけるイオンの経細胞輸送能を、Ussing chamberを用いた短絡電流法により検討した。T84細胞を用いた短絡電流法により、各菌処理物によるイオンの経細胞輸送能を測定した結果を図1(Bifidobacterium)、図2(Lactobacillus)に示す。B. longum CLA8013の菌処理物において最も大きいΔIscを示した。

0064

また、クロライドチャネルインヒビターであるCFTRinh172(Sigma C992−25MG)10 mM(DMSO溶解)を5μL/5mL Krebs−Ringer液(終濃度10μM)となるようにT84細胞の粘膜側に処置し、2分後にB. longum CLA8013の菌処理物100μLをT84細胞の粘膜側に添加した。CFTRinh172無処置(DMSO処置)時のB. longum CLA8013の菌処理物のΔIscは11.38μAであったのに対し、CFTRinh172処置時のB. longum CLA8013の菌処理物のΔIscは3.50μAであり、クロライドチャネルインヒビターにより、B. longum CLA8013の菌処理物の作用は低下した。この結果より、B. longum CLA8013の菌処理物は、腸管においてクロライドチャネルを活性化することが示された。したがって、菌処理物は、クロライドチャネル活性化作用を有することから、水の分泌を促進することによる排便促進作用を有することが分かる。

0065

[実施例2](菌処理物の調製)
菌(Bifidobacterium longum CLA8013)処理物の調製方法
菌株B. longum CLA8013の凍結保存菌株(約1×108個)を1%グルコース、0.1%ポリソルベート80含有GAM(日水製薬株式会社)培地10mLを用いて、37℃、 30時間嫌気培養した。培養後、遠心(3,000×G、10min.、R.T.)して上清を廃棄し、PBS(−)により洗浄後、PBS(−)10mLに再懸濁し、37℃、24時間嫌気下にて放置後、遠心上清をフィルター(0.22μm)濾過し、濾液を菌(B. longum CLA8013)処理物(8013E)として得た。
8013Eを吸光度260nm:33となるようにPBS(−)で希釈したものを8013E(10)、吸光度260nm:3.3となるようにPBS(−)を希釈したものを8013E(1)とした。

0066

(菌(B. longum CLA8013)処理物の慢性腎臓病モデルマウスへの改善作用
1.慢性腎臓病モデルマウスへの菌処理物の投与
図3に示すスケジュールにて試験を実施した。オスのC57BL/6マウス(日本クレア株式会社)を、6週齢まで通常飼料(CE-2、日本クレア社製)にて飼育した。7週齢時に、通常飼料にて飼育した通常飼料群(Normal)と、0.2%アデニン和光社製)を含む通常飼料(アデニン食)にて飼育したアデニン食飼料群に分けて飼育した。6週間後、Normal群はPBS(−)0.2mL/匹を1日1回、12日間ゾンデにて強制経口投与した。
アデニン食飼育群は、6週間のアデニン食飼育後、通常飼料に戻し、PBS(−)投与群(RF)、菌(B. longum CLA8013)処理物投与群(RF+8013E(1)、RF+8013E(10))に分け、RF群はPBS(−)、RF+8013E(1)及びRF+8013E(10)群は8013E(1)、8013E(10)0.2mL/匹をそれぞれ1日1回、12日間ゾンデにて強制経口投与した。
最終投与18時間後に解剖した。
2.血清BUNの測定
各群のマウス血清中BUN(尿素窒素)をDetectX Urea Nitrogen Colorimetric Detection Kit(ARBOR ASSAYS社製)を用いて測定した結果を図4に示す。各群それぞれ5匹又は6匹測定した。得られた結果は、mean±S.D.で示した(*:p<0.05vs Normal,#:p<0.05vsRF, Steel-Dwass法)。Normal群と比較してRF群では、腎機能の指標となる血清BUN濃度の上昇が確認された。RF+8013E(1)およびRF+8013E(10)群はRF群と比較して血清BUN濃度が低下しており、8013Eの用量依存的な効果が確認でき、RF+8013E(10)群はRF群に対して有意差が認められた。この結果より、8013Eは、腎機能を改善することが示された。なお、試験期間中の体重は、アデニン食飼育により減少が認められ、被検薬投与開始時に飼料を通常飼料に戻すことで回復したが、8013Eを投与しても体重回復に影響は認められず、RF群と同じ傾向を示した。

0067

[実施例3](菌処理物の調製)
菌(Bifidobacterium longum CLA8013)処理物の調製方法
菌株B. longum CLA8013の凍結保存菌株(約1×108個)を1%グルコース、0.1%ポリソルベート80含有GAM(日水製薬株式会社)培地10mLを用いて、37℃、 30時間嫌気培養した。培養後、遠心(3,000×G、10min.、R.T.)して上清を廃棄し、PBS(−)により洗浄後、PBS(−)10mLに再懸濁し、37℃、24時間嫌気下にて放置後、遠心上清をフィルター(0.22μm)濾過し、濾液を菌(B. longum CLA8013)処理物(8013E)として得た。

0068

(菌処理物の全腸管輸送能)
1.SDラットへの菌(B. longum CLA8013)処理物の投与
オスの6週齢SDラット(日本SLC製)を個別で1週間予備飼育した。予備飼育後、Normal群と8013E群に群分した。Normal群はPBS(−)を、8013E群は8013Eを0.5mL/匹の用量で1回、強制経口投与した。投与終了後に、カルミン{(Carmine) (WAKO) 3g/50 mL (0.5%carboxymethylcellulose)}水溶液を1 mL/匹の用量で1回、強制経口投与した。
2.ラット全腸管輸送能の測定(図5
Carmine溶液投与後、赤色に染色された糞便が排出される時間を各群8匹ずつ測定した(*:p<0.05 vs control(Mann-Whitney’s U test))。得られた結果は、mean±S.D.で示した。8013E群は、Normal群よりも有意に赤色糞便排出時間が短く、8013Eによる排便促進効果が認められた。

0069

[実施例4](溶媒の種類のイオン経細胞輸送能への影響)
(菌処理物の調製)
菌(Bifidobacterium longum CLA8013)処理物の調製方法
菌株B. longum CLA8013の凍結保存菌株を1%グルコース、0.1%ポリソルベート80含有GAM(日水製薬株式会社)培地10mLを用いて、37℃、 30時間嫌気培養した。培養後、遠心(3,000×G、10min.、R.T.)して上清を廃棄し、PBS(−)により洗浄後、各溶媒(精製水、生理食塩水、DMEM/F−12、又はPBS(−))10mLに再懸濁し、37℃、24時間嫌気下にて放置後、遠心上清をフィルター(0.22μm)濾過し、濾液を菌(B. longum CLA8013)処理物(8013E)として調製した。

0070

(細胞培養)
株化ヒト結腸上皮細胞T84を10%FBS、ペニシリン・ストレプトマイシン含有DMEM/F−12にて培養し、4×104cells/cm2で播種して5〜7日毎に継代培養を行った。snapwell(costar、1.13cm2)に5×105cells/wellで播種して3日毎に培地を交換し、5〜7日培養したものを試験に用いた。

0071

(短絡電流法)
実施例1の短絡電流法と同じ方法でΔIscを求めた。

0072

(菌(B. longum CLA8013)処理物のイオン経細胞輸送能)
結果を図6に示す。菌処理物製造に用いる溶媒が、PBS(−)である場合の菌処理物のイオン経細胞輸送能が最も高く、次にDMEM/F−12である場合の菌処理物のイオン経細胞輸送能が高かった。これらの結果より、菌体をPBS(−)に懸濁させることにより、より効果の高い処理物の調製が可能であることが認められた。また、菌体をDMEM/F−12に懸濁し、放置した際に、pHが変化しなかった。この結果から、菌処理物によるイオン経細胞輸送能の増加に菌体による発酵は関係しないことが明らかになった。

0073

糖を含まないDMEM/F−12に懸濁した場合にも、菌処理物のイオン経細胞輸送能が高くなることを確認した。

0074

[実施例5](菌の調製)
菌(B. longum MM−2:ID1001)の調製方法
実施例2と同様の方法により、菌(B. longum MM−2)を12〜18時間嫌気培養した。その後回収した菌体は、PBS(−)を用いて菌数5×109個/mLになるように調製して使用した。

0075

(菌体(B. longum MM−2)の慢性腎臓病モデルマウスへの改善作用)
実施例2と同様のスケジュール及び方法により、調製後の菌体を菌数1×109個/0.2mL/匹の用量でマウスに投与し、最終投与の18時間後に解剖した。その後、実施例2に記載の方法と同様の方法により、血清BUNを、各群それぞれ5匹又は10匹測定した。測定結果を図7に示す。得られた結果は、mean±S.D.で示した(**:p<0.01vs Normal,#:p<0.05vsRF)。Normal群と比較してRF群では、腎機能の指標となる血清BUN濃度の上昇が確認された。RF+MM−2群はRF群と比較して血清BUN濃度が低下した。この結果より、MM−2菌体は、腎機能を改善することが示された。なお、試験期間中の体重は、アデニン食飼育により減少が認められ、被検薬投与開始時に飼料を通常飼料に戻すことで回復したが、MM−2菌体を投与しても体重回復に影響は認められず、RF群と同じ傾向を示した。

0076

本発明において、例えば、投与される菌またはその処理物が、ビフィドバクテリウムロンガムMM−2菌株が有する程度のイオン経細胞輸送能を有していれば、当該菌又はその処理物を投与することによって、腎機能を改善することができる可能性が考えられる。

0077

本発明において、例えば、発酵していない菌を用いる場合は、菌を含有する処理物として投与しても、腎機能を改善することができると示唆される。

0078

以下、本発明の腸管のイオン経細胞輸送体への作用剤、クロライドチャネル活性化剤、腎疾患の予防もしくは治療剤、および/または排便促進剤を配合した医薬品、飲食品、および飼料の具体的処方を例示する。各処方例の右端の数値各含有成分の質量%を意味する。

0079

処方例1:医薬品(錠剤)
トウモロコシデンプン21.7%
アメ粉 27.1%
デキストリン29.4%
沈降炭酸カルシウム13.4%
タルク3.0%
白糖2.2%
ステアリン酸マグネシウム0.5%
菌(Bifidobacterium longum CLA8013)処理物2.7%

0080

処方例3:飲食品(ドリンク剤
砂糖13.3%
クエン酸0.1%
ビタミン類1.0%
香料0.2%
菌(Bifidobacterium longum CLA8013)処理物14.8%
水 70.6%

実施例

0081

処方例6:飼料(家畜用飼料
配合飼料97.5%
菌(Bifidobacterium longum CLA8013)処理物2.5%

0082

本発明の剤は、クロライドチャネルの活性化、腎疾患の予防または治療、及び/または排便促進に有用であり、医薬、サプリメント等として使用され得る。

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