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技術 蛍光体とその製造方法、及び発光装置

出願人 株式会社東芝東芝マテリアル株式会社
発明者 松田直寿糸賀達規山川昌彦竹村博文白川康博
出願日 2017年10月10日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-545004
公開日 2019年9月12日 (6ヶ月経過) 公開番号 WO2018-070384
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 特性因子 円筒状部材内 凹状部材 総合指標 乾式レーザー ユーロピウム濃度 ワンチップ型 陳列品
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課題・解決手段

実施形態の蛍光体は、組成式:(M1−xEux)5(PO4)3Cl(Mは少なくともSr及びBaを含むアルカリ土類元素、xは0.04≦x≦0.2を満足する原子比である)で表される組成を有するユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体である。実施形態の蛍光体において、波長400nmの光に対する吸収率が90%以上であり、かつ波長650nmの光に対する吸収率が2%以下である。

概要

背景

ユーロピウム付活アパタイト蛍光体歴史は古く、蛍光灯に代表される低圧水銀灯等の青色発光成分として広く用いられてきた。また近年では、近紫外発光ダイオードと組み合わせた白色発光装置(白色LED)の蛍光体としても試行され、多くの提案がなされている。例えば、近紫外LEDと青、緑、赤色の各蛍光体とを組み合わせた発光装置において、青色発光蛍光体として一般式:(M1,Eu)10(PO4)6・Cl2(M1はMg、Ca、Sr、及びBaの少なくとも1つの元素)で表される2価のユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体を用いることが提案されている。

さらに、近紫外LEDと青、黄色の各蛍光体とを組み合わせた白色系半導体発光素子において、青色発光蛍光体としてハロ燐酸塩蛍光体(M11−xEux)10(PO4)6Cl2(M1は、Ba、Sr、Ca、及びMgの少なくとも1つ、xは0<x<1を満足する)を用いることが提案されている。近紫外LEDと緑、赤色の各蛍光体、さらに(Sr,Ca)aBabEux(PO4)cXdで表される組成を有し、波長490nmの発光強度を規定した青色発光蛍光体とを組み合わせた白色発光装置が提案されている。近紫外の発光体とEuaSrbM5−a−b(PO4)cXdで表される組成を有し、その量子効率を規定した青色蛍光体とを組み合わせた発光装置が提案されている。

このように、発光ピーク波長が390〜420nmの近紫外ないし紫色LEDと青色発光蛍光体、緑色及び/又は黄色発光蛍光体赤色発光蛍光体、又は青色発光蛍光体、緑色及び/又は黄色発光蛍光体とを組み合わせた白色LEDにおいて、組成式:M5(PO4)3Cl:Euで表されるユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体は青色発光成分として極めて有用である。

現在、実用的に普及している、あるいは試行されている白色LEDとしては、青色発光ダイオードと緑色及び/又は黄色発光蛍光体、場合によってはさらに赤色蛍光体とを組み合わせたタイプ(以下、タイプ1と呼称する。)、あるいは近紫外ないし紫色発光ダイオードと青色、黄色、及び赤色蛍光体とを組み合わせたタイプ(以下、タイプ2と呼称する。)が知られている。現時点では、タイプ1はタイプ2より高輝度であるという優位性が評価され、最も普及しているが、タイプ2は使用できる蛍光体の種類が多く、高演色性といった白色光の質を向上させるためには優位である。従って、ものの見え方重視される美術館博物館照明として、また陳列品を鮮やかに見せることが必要な売り場照明等として伸張が期待されている。さらに、最近、タイプ1の白色LEDが内在する強い青色発光が人間のサーカディアンリズム概日リズム)に影響し、睡眠の質を低下するおそれがあることが明らかとなり、タイプ2の白色LEDに対する期待が高まっている。

タイプ2の白色LEDでは、近紫外ないし紫色LEDの光を全て蛍光体で可視光に変換する必要であり、このために蛍光体の使用量がタイプ1のものに比べて多くなる。さらに、青色発光の一部はより長波長発光(緑、黄、橙、赤等)を示す蛍光体に吸収される傾向にあり、青色発光蛍光体の混合割合がさらに多くなるため、青色発光蛍光体、すなわちアパタイト蛍光体の発光効率を向上させることが、白色LEDの特性改善及び蛍光体の使用量の低減のために強く求められている。

蛍光体の発光効率は、蛍光体材料変換効率を表す内部量子効率(Internal Quantum Efficiency:IQE)と励起光吸収率との2つの要素の積で表される。発光効率は発光の効率を示す総合指標であり、外部量子効率(External Quantum Efficiency:EQE)とも呼ばれる。単に量子効率と記載されている場合は、この外部量子効率のことである。アパタイト蛍光体の吸収率を大きくするためには、付活剤であるEuの濃度を高くすることが有効であるが、一方で付活剤濃度が高くなると一般に内部量子効率は低下することが知られている。蛍光体の発光効率の向上は、こうしたトレードオフの関係にある2つの特性因子を改善しなければならない。そこで、付活剤であるユーロピウムの濃度を増やし、吸収率の大きい領域においても、高い内部量子効率を維持したアパタイト蛍光体が求められている。

概要

実施形態の蛍光体は、組成式:(M1−xEux)5(PO4)3Cl(Mは少なくともSr及びBaを含むアルカリ土類元素、xは0.04≦x≦0.2を満足する原子比である)で表される組成を有するユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体である。実施形態の蛍光体において、波長400nmの光に対する吸収率が90%以上であり、かつ波長650nmの光に対する吸収率が2%以下である。

目的

本発明が解決しようとする課題は、ユーロピウム濃度を高くしても内部量子効率が低下せず、発光効率を高めることが可能なユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体とその製造方法、及びそれを用いた発光装置を提供する

効果

実績

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請求項1

組成式:(M1−xEux)5(PO4)3Clここで、Mは少なくともSr及びBaを含むアルカリ土類元素、xは0.04≦x≦0.2を満足する原子比である、で表される組成を有するユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体であって、波長400nmの光に対する吸収率が90%以上であり、かつ波長650nmの光に対する吸収率が2%以下である蛍光体

請求項2

前記組成式におけるxが0.07以上0.17以下である、請求項1に記載の蛍光体。

請求項3

前記組成式におけるxが0.07以上0.12以下である、請求項1に記載の蛍光体。

請求項4

前記蛍光体をピーク波長が390nm以上420nm以下の範囲の近紫外ないし青紫色光励起したときの発光ピーク波長が445nm以上465nm以下の範囲である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の蛍光体。

請求項5

前記蛍光体をピーク波長が390nm以上420nm以下の範囲の近紫外ないし青紫色光で励起したときの発光効率が83%以上である、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体。

請求項6

請求項1に記載のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体を製造する方法であって、酸化ユーロピウムアルカリ土類金属リン酸水素塩アルカリ土類金属塩化物、及びアルカリ土類金属炭酸塩を混合し、原料混合物を得る工程と、前記原料混合物を、酸素を含む雰囲気中にて800℃以上1200℃以下の範囲の温度で焼成し、第1の焼成物を得る工程と、前記第1の焼成物を、1体積%以上90体積%以下の水素不活性ガスとを含む混合ガス雰囲気中にて1000℃以上1400℃以下の温度で焼成し、前記ユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体を得る工程とを具備する蛍光体の製造方法。

請求項7

請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体を含む発光部と、ピーク波長が390nm以上420nm以下の範囲の近紫外ないし青紫色光を前記発光部に照射する半導体発光素子とを具備する発光装置

請求項8

前記発光部は、前記半導体発光素子から発光される前記近紫外ないし青紫色光により励起された白色光を発光する、請求項7に記載の発光装置。

技術分野

0001

本発明の実施形態は、蛍光体とその製造方法、及び発光装置に関する。

背景技術

0002

ユーロピウム付活アパタイト蛍光体歴史は古く、蛍光灯に代表される低圧水銀灯等の青色発光成分として広く用いられてきた。また近年では、近紫外発光ダイオードと組み合わせた白色発光装置(白色LED)の蛍光体としても試行され、多くの提案がなされている。例えば、近紫外LEDと青、緑、赤色の各蛍光体とを組み合わせた発光装置において、青色発光蛍光体として一般式:(M1,Eu)10(PO4)6・Cl2(M1はMg、Ca、Sr、及びBaの少なくとも1つの元素)で表される2価のユーロピウム付活ハロ燐酸塩蛍光体を用いることが提案されている。

0003

さらに、近紫外LEDと青、黄色の各蛍光体とを組み合わせた白色系半導体発光素子において、青色発光蛍光体としてハロ燐酸塩蛍光体(M11−xEux)10(PO4)6Cl2(M1は、Ba、Sr、Ca、及びMgの少なくとも1つ、xは0<x<1を満足する)を用いることが提案されている。近紫外LEDと緑、赤色の各蛍光体、さらに(Sr,Ca)aBabEux(PO4)cXdで表される組成を有し、波長490nmの発光強度を規定した青色発光蛍光体とを組み合わせた白色発光装置が提案されている。近紫外の発光体とEuaSrbM5−a−b(PO4)cXdで表される組成を有し、その量子効率を規定した青色蛍光体とを組み合わせた発光装置が提案されている。

0004

このように、発光ピーク波長が390〜420nmの近紫外ないし紫色LEDと青色発光蛍光体、緑色及び/又は黄色発光蛍光体赤色発光蛍光体、又は青色発光蛍光体、緑色及び/又は黄色発光蛍光体とを組み合わせた白色LEDにおいて、組成式:M5(PO4)3Cl:Euで表されるユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体は青色発光成分として極めて有用である。

0005

現在、実用的に普及している、あるいは試行されている白色LEDとしては、青色発光ダイオードと緑色及び/又は黄色発光蛍光体、場合によってはさらに赤色蛍光体とを組み合わせたタイプ(以下、タイプ1と呼称する。)、あるいは近紫外ないし紫色発光ダイオードと青色、黄色、及び赤色蛍光体とを組み合わせたタイプ(以下、タイプ2と呼称する。)が知られている。現時点では、タイプ1はタイプ2より高輝度であるという優位性が評価され、最も普及しているが、タイプ2は使用できる蛍光体の種類が多く、高演色性といった白色光の質を向上させるためには優位である。従って、ものの見え方重視される美術館博物館照明として、また陳列品を鮮やかに見せることが必要な売り場照明等として伸張が期待されている。さらに、最近、タイプ1の白色LEDが内在する強い青色発光が人間のサーカディアンリズム概日リズム)に影響し、睡眠の質を低下するおそれがあることが明らかとなり、タイプ2の白色LEDに対する期待が高まっている。

0006

タイプ2の白色LEDでは、近紫外ないし紫色LEDの光を全て蛍光体で可視光に変換する必要であり、このために蛍光体の使用量がタイプ1のものに比べて多くなる。さらに、青色発光の一部はより長波長発光(緑、黄、橙、赤等)を示す蛍光体に吸収される傾向にあり、青色発光蛍光体の混合割合がさらに多くなるため、青色発光蛍光体、すなわちアパタイト蛍光体の発光効率を向上させることが、白色LEDの特性改善及び蛍光体の使用量の低減のために強く求められている。

0007

蛍光体の発光効率は、蛍光体材料変換効率を表す内部量子効率(Internal Quantum Efficiency:IQE)と励起光吸収率との2つの要素の積で表される。発光効率は発光の効率を示す総合指標であり、外部量子効率(External Quantum Efficiency:EQE)とも呼ばれる。単に量子効率と記載されている場合は、この外部量子効率のことである。アパタイト蛍光体の吸収率を大きくするためには、付活剤であるEuの濃度を高くすることが有効であるが、一方で付活剤濃度が高くなると一般に内部量子効率は低下することが知られている。蛍光体の発光効率の向上は、こうしたトレードオフの関係にある2つの特性因子を改善しなければならない。そこで、付活剤であるユーロピウムの濃度を増やし、吸収率の大きい領域においても、高い内部量子効率を維持したアパタイト蛍光体が求められている。

先行技術

0008

特許第3954304号公報
特許第3985486号公報
特許第4930649号公報
特開2004−253747号公報

0009

本発明が解決しようとする課題は、ユーロピウム濃度を高くしても内部量子効率が低下せず、発光効率を高めることが可能なユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体とその製造方法、及びそれを用いた発光装置を提供することにある。

0010

実施形態の蛍光体は、
組成式:(M1−xEux)5(PO4)3Cl
(式中、Mは少なくともSr及びBaを含むアルカリ土類元素、xは0.04≦x≦0.2を満足する原子比である。)
で表される組成を有するユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体である。実施形態の蛍光体において、波長400nmの光に対する吸収率が90%以上であり、かつ波長650nmの光に対する吸収率が2%以下である。

図面の簡単な説明

0011

実施形態の蛍光体の発光特性とEu濃度との関係を従来の蛍光体と比較して示す図である。
実施形態の発光装置の構成を示す図である。
実施例及び比較例の蛍光体の650nmの吸収率及びEu濃度に対する波長400nmの光で励起した際の発光効率(EQE)の関係を示す図である。

0012

以下、本発明の蛍光体とその製造方法、及びそれを用いた発光装置を実施するための形態について説明する。

0013

実施形態のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体は、
組成式:(M1−xEux)5(PO4)3Cl …(1)
(式中、Mは少なくともSr及びBaを含むアルカリ土類元素、xは0.04≦x≦0.2を満足する原子比である。)
で表される組成を有する。

0014

本願発明者等は種々の実験を重ねた結果、蛍光体を製造するときの焼成工程に加え、高還元雰囲気中で焼成工程を行うことで、付活剤であるユーロピウムの濃度を増やして吸収率の大きい領域においても、従来より高い内部量子効率を維持した蛍光体が得られることを見出した。さらに、こうした比較的高い内部量子効率が可視光の長波長領域での吸収率の低い領域に広く存在することを見出した。すなわち、実施形態のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体において、ユーロピウム濃度はアルカリ土類元素Mとユーロピウムの和に対して4モル%以上であり、励起波長に対する反射率が10%未満であり、発光波長より十分長波長の母体着色に対応する拡散反射率が98%以上である。

0015

ユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体において、波長が390〜420nmの近紫外ないし青紫色の励起光に対する吸収率を高くするためには、ユーロピウム濃度を高くすることが有効である。具体的には、アルカリ土類元素Mとユーロピウムの和に対するユーロピウムの濃度を4モル%以上にすることが有効である。これによって、代表的な青紫色励起光である波長400nmの光に対する拡散反射率を10%未満、すなわち波長400nmの光の吸収率を90%以上とすることが可能になる。

0016

一方で、本願発明者等はユーロピウムによる吸収や発光の影響が無視できる長波長域、例えば波長650nmの光に対する吸収率と内部量子効率との間に相関があることを見出した。すなわち、波長650nmの光に対する吸収率を2%以下、言い換えると波長650nmの光に対する拡散反射率を98%以上にすることによって、高い内部量子効率を実現することができ、それによって高い発光効率を得ることが可能になる。

0017

上述したように、実施形態のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体は、90%以上の波長400nmの光の吸収率と2%以下の波長650nmの光の吸収率とを備えている。すなわち、アルカリ土類元素Mとユーロピウムの和に対するユーロピウムの濃度を4モル%以上とし、代表的な青紫色励起光である波長400nmの光に対する吸収率を90%以上とした上で、ユーロピウムによる吸収や発光の影響が無視できる長波長域、具体的には波長650nmの光に対する吸収率を2%以下とすることによって、高い内部量子効率を実現したものである。これらによって、高い発光効率を示すユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体を提供することが可能になる。

0018

実施形態のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体において、上述したようにユーロピウムの濃度はアルカリ土類元素Mとユーロピウムの和に対して4モル%以上(式(1)のxの値(原子比)として0.04以上)である。これによって、波長400nmの光に対する吸収率を高くすることができる。さらに、波長400nmの光に対する吸収率をより一層高める上で、ユーロピウムの濃度はアルカリ土類元素Mとユーロピウムの和に対して7モル%以上(x:0.07以上)であることが好ましい。ただし、ユーロピウムの濃度が高くなりすぎると、蛍光体の発光輝度が低下することから、ユーロピウムの濃度はアルカリ土類元素Mとユーロピウムの和に対して20モル%以下(x:0.20以下)が好ましく、17モル%以下(x:0.17以下)がより好ましく、12モル%以下(x:0.12以下)がさらに好ましい。

0019

また、実施形態のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体において、M元素は少なくともストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)を含むアルカリ土類元素である。M元素はSr及びBa以外に、アルカリ土類元素であるマグネシウム(Mg)やカルシウム(Ca)を含んでいてもよい。ただし、MgやCaの含有量が増加するとアルカリ土類クロロアパタイト蛍光体としての発光特性等が低下するため、Mg及びCaの合計含有量はアルカリ土類元素Mとユーロピウムの和に対して2モル%以下であることが好ましい。また、SrとBaとの含有比率は、特に限定されるものではないが、発光特性の向上等を図る上で、アルカリ土類元素Mとユーロピウムの和に対してBa含有量を5〜80モル%の範囲とし、Euを除く残部をSr又はSrと微量のMa及び/又はCaの混合物とすることが好ましい。

0020

図1は実施形態の蛍光体の発光特性の特性値、すなわち励起波長400nmにおける吸収率(実線)、内部量子効率(IQE/破線)、及び発光効率(EQE/1点鎖線)をユーロピウム濃度に対して示している。図1には従来の蛍光体における特性値も合わせて示す。ユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体((M1−xEux)5(PO4)3Cl(ただし、Mは少なくともSr及びBaを含むアルカリ土類元素))の吸収率は、ユーロピウム濃度(図1では上記した組成式中のx×100をユーロピウム濃度(%)として示す。)が低い領域では濃度の増加に伴い高くなり、約7%において最大値となり、20%程度まで維持される。こうした吸収率のユーロピウム濃度に対する挙動は、従来の蛍光体においても概ね同様である。

0021

一方、内部量子効率(IQE)は、ユーロピウム濃度が5〜10%近傍で最大値を示し、ユーロピウム濃度が増加するにつれて徐々に低下していく。こうしたIQEの傾向のみに関しては、実施形態の蛍光体及び従来の蛍光体のいずれにも認められるが、実施形態の蛍光体は従来の蛍光体に比べて常に高い値(IQE値)を示し、ユーロピウム濃度が20%と高濃度の領域においても、内部量子効率は90%と際立って高い値を維持している。これまで、吸収率と内部量子効率の積として与えられる発光効率(EQE)は、ユーロピウム濃度が5〜10%においてピーク値を示した後、徐々に低下していくことが従来のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体の特性と認識されてきた。ところが、実施形態の蛍光体において、内部量子効率はユーロピウム濃度の広い範囲にわたって高い値(90%以上)を示し、それによって発光効率も高い値が維持される。

0022

従来、ユーロピウム濃度が高くなると内部量子効率が低下する原因としては、付活剤自身は蛍光体結晶にとっては不純物であり、ユーロピウムイオン置換する元素イオンとのサイズ差やそれに伴うひずみ等の結晶欠陥が発生すること、また付活剤元素イオンの価数が置換する元素イオンの価数と異なる場合に、それに伴う結晶欠陥の発生等が考えられてきた。このような欠陥はそれ自体発光プロセスに影響し、効率を低下させたり、着色等により効率を決める上で必要な光をプロセスから除去してしまう効果を生ずる。

0023

実施形態の蛍光体において、ユーロピウム濃度の広い範囲にわたって、高い内部量子効率が維持される原因としては、必ずしも定かではないが、実施形態の蛍光体の製造方法からして、雰囲気を制御した多段焼成により、ユーロピウムイオンが望ましい価数である+2価にほぼ統一され、発光プロセスに寄与する有効付活剤が増えたことが考えられる。さらに、ユーロピウムイオンが置換する元素イオンの価数とのミスマッチが無くなり、結晶欠陥に起因する着色が減ったことが考えられる。実施形態の蛍光体は発光特性において、従来の蛍光体よりも明らかに優れた特性を示すものである。

0024

上記した実施形態において、蛍光体の波長400nmの光に対する吸収率は、以下のようにして測定した値を示すものとする。すなわち、キセノンランプ等の光源からの光を分光し、波長400nm、半値幅10nm以下の単色光とし、スペクトロン硫酸バリウム粉末等の標準白色試料照射し、白色試料からの拡散反射光積分球を用いて収集し、波長400nmを中心とする照射光の波長領域の光子数を測定して入射光の光子数とする。次に、白色試料に替え蛍光体試料を設置し、同様に波長400nmの単色光を照射したときの拡散反射光を積分球を用いて収集し、照射光の波長領域の光子数を測定し、試料の反射光の光子数とする。入射光の光子数から反射光の光子数を引いたものが吸収光子数であり、これを入射光の光子数で除することで、波長400nmの光に対する吸収率の値を得ることができる。このような測定は、例えば浜松ホトクス社製C9920型絶対PL量子収率測定装置のような分光測定器を用いて行うことができる。

0025

また、蛍光体の波長650nmの光に対する吸収率は、以下のようにして測定した値を示すものとする。すなわち、キセノンランプ等の光源からの光を分光し、波長650nm、半値幅10nm以下の単色光とし、標準白色試料に照射し、白色試料からの拡散反射光を積分球を用いて収集し、波長650nmを中心とする照射光の波長領域の光子数を測定し、入射光の光子数とする。次に、白色試料に替えて蛍光体試料を設置し、同様に波長650nmの単色光を照射したときの拡散反射光を積分球を用いて収集し、照射光の波長領域の光子数を測定し、試料の反射光の光子数とする。波長400nmの場合と同様、入射光の光子数から反射光の光子数を引いたものが吸収光子数であり、これを入射光の光子数で除することで波長650nmの光に対する吸収率の値を得ることができる。

0026

次に、実施形態の蛍光体の製造方法について説明する。実施形態の製造方法は、上記した実施形態の蛍光体を得るために、雰囲気を制御した多段階の焼成による蛍光体を製造することを特徴としている。ユーロピウム付活アパタイト蛍光体を製造するにあたって、ユーロピウムイオンの価数を2価にする必要があるため、還元雰囲気中での焼成が必須である。ところが、本願発明者等は還元雰囲気中で直接アパタイト蛍光体を合成しても、ユーロピウム濃度が高い場合には長波長域の吸収が大きく、すなわち内部量子効率が低くなることを見出した。さらに、大気雰囲気等の酸素を含む雰囲気中でアパタイト結晶を生成させた後、高温の還元雰囲気中で焼成を行うことによって、長波長域の吸収を抑え、内部量子効率の高いアパタイト蛍光体を作製することができることを見出した。

0027

このため、実施形態の蛍光体の製造方法は、酸化ユーロピウムアルカリ土類金属リン酸水素塩アルカリ土類金属塩化物、及びアルカリ土類金属炭酸塩を混合し、原料混合物を得る工程と、原料混合物を酸素を含む雰囲気中にて800℃以上1200℃以下の範囲の温度で焼成し、第1の焼成物を得る工程と、第1の焼成物を1体積%以上90体積%以下の水素不活性ガスとを含む混合ガス雰囲気中にて1000℃以上1400℃以下の温度で焼成し、ユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体を得る工程とを具備する。以下に、蛍光体の製造方法について詳述する。

0028

まず、出発原料として、炭酸バリウム(BaCO3)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、燐酸水素バリウム(BaHPO4)、燐酸水素ストロンチウム(SrHPO4)、塩化バリウム(BaCl2・2H2O)、塩化ストロンチウム(SrCl2・6H2O)、酸化ユーロピウム(Eu2O3)といった、純度3N以上の化合物を用いる。原料組合せはこれらに限られるわけではなく、バリウム及びストロンチウムと同じアルカリ土類金属であるカルシウムやマグネシウムについては、その化合物を僅かに含んでいてもよい。その限度はアルカリ土類元素及びユーロピウムの和に対して2モル%程度である。

0029

上記した出発原料を所定の蛍光体のモル比になるように計量する。この際、アルカリ土類金属の塩化物フラックスとしても機能するため、塩素アパタイトの組成から計算される量より2〜4倍の過剰量とすることが好ましく、これに応じてアルカリ土類元素及びユーロピウムも増量することが好ましい。これらの出発原料は、原料混合物を得るために、簡便にはV型ブレンダによる乾式混合により混合される。もちろん、全て湿式混合あるいは一部を湿式混合した後、乾式混合することも可能である。

0030

次に、得られた原料混合物を、例えばアルミナルツボ充填し、酸素を含む雰囲気中にて、800℃以上1200℃以下の温度で2〜8時間焼成する。焼成温度は900℃以上1100℃以下がより好ましい。焼成時間は3〜6時間がより好ましい。酸素を含む焼成雰囲気としては、大気のほか、数%の酸素を含む不活性ガスのような混合ガス雰囲気とすることも可能である(第1の焼成工程)。

0031

次いで、第1の焼成工程で得られた生成物(第1の焼成物)を、水素と不活性ガスとの混合ガス雰囲気中にて1000℃以上1400℃℃以下の温度で2〜8時間焼成する(第2の焼成工程)。この際、第2の焼成工程では第1の焼成物をそのままの状態で焼成してもよいし、第1の焼成物を一旦アルミナ製ルツボから取り出し、生成物を解砕した後にアルミナ製ルツボに充填して焼成してもよい。還元雰囲気中での焼成は、さらに第3の焼成工程を実施する等、繰り替し実施してもよい。

0032

還元雰囲気中での焼成工程において、不活性ガスとしては窒素アルゴン等の希ガスが挙げられ、単独で又はこれらの混合ガスが用いられる。水素と不活性ガスとの混合ガスにおいて、水素の比率体積比率(%)にて1〜90%の範囲とする。水素の比率が1%未満であると還元雰囲気が不足し、ユーロピウムイオンの価数を十分に2価にすることができない。水素の比率が90%を超えると、蛍光体の特性が低下する。水素の体積比率は、5〜80%がより好ましい。第2の焼成工程は、1100〜1300℃の温度で3〜6時間焼成することにより行うことがより好ましい。

0033

第1及び第2焼成工程を経て得られる焼成物には、フラックスとしてのアルカリ土類塩化物等の残留物が含まれている場合があるため、それらを水洗により除去することが好ましい。この際、温水を使うとフラックスの除去が促進されるためにより好ましい。水洗された焼成物を、ろ過、乾燥、さらに篩別を施すことによって、実施形態のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体が得られる。

0034

このようにして得られた蛍光体は、ピーク波長が390nm以上420nm以下の近紫外ないし青紫色光で励起したとき、明るい青色発光、具体的には発光効率が83%以上の青色発光を示す。青色発光のピーク波長は445nm以上465nm以下の範囲である。蛍光体の平均粒径は10〜40μmの範囲にあり、主に第1及び第2の焼成工程の焼成温度や時間を変えることにより制御することができる。平均粒径は乾式レーザー回折法(ヘロス&ロドス)により得られた粒度分布の50%値の値である。ピーク波長が390〜420nmの近紫外ないし青紫色光で励起する場合、粒径は大きい方が輝度が高くなる傾向があり、その場合平均粒径は20〜35μmの範囲であることがより好ましい。

0035

実施形態のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体(青色蛍光体)は、例えば発光装置の発光部に用いられる。図2は実施形態の発光装置の一例としてパッケージ型白色発光装置の構成を示している。図2に示す白色発光装置1は、ピーク波長が390nm以上420nm以下の範囲の近紫外ないし青紫色光を発光するLEDチップ2と、LEDチップ2が設置された基体部3と、LEDチップ2を覆うように設けられた透明樹脂層4と、透明樹脂層4上に設けられた発光部としての蛍光体層5とを具備する。

0036

発光部としての蛍光体層5は、青色蛍光体として、実施形態のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体を含んでいる。さらに、蛍光体層5を白色光の発光部として利用する場合、LEDチップ2から発光された近紫外ないし青紫色光が蛍光体層5に照射された際に、蛍光体層5から白色光が発光されるように、蛍光体層5は青色蛍光体に加えて、黄色蛍光体を含んでいる。蛍光体層5は、青色蛍光体と緑色又は黄色蛍光体と赤色蛍光体とを含んでいてもよい。青色蛍光体以外の他の蛍光体には、各種公知の蛍光体を使用することができ、他の蛍光体の組成等は特に限定されるものではない。

0037

蛍光体層5としては、例えば蛍光体と樹脂との混合層が挙げられる。このような蛍光体層5は、例えば透明樹脂層4上に蛍光体と樹脂との混合物(蛍光体ペースト)を塗布して硬化させることにより形成される。透明樹脂層4は必要に応じて形成されるものであり、その形成を省いてもよい。なお、LEDチップ2のピーク波長が390〜420nmの範囲の場合、透明樹脂層4を設けることにより紫外線漏れを低減することができ、人体への影響を低減及び周辺部材劣化を抑制することができる。蛍光体層5は、蛍光体ペーストを塗布して硬化させる作製方法に限らず、蛍光体ペーストをキャップ状に成形した成形体をLEDチップ2に被せることにより蛍光体層5を作製してもよい。

0038

図3は、1つのLEDチップ2に1つの蛍光体層5を設けた構造(ワンチップ型白色発光装置)を示しているが、これに限られるものではなく、複数のLEDチップを蛍光体層で覆う構造(マルチチップ型白色発光装置)であってもよい。また、白色発光装置1には必要に応じてレンズカバー等の別の部品を取り付けてもよい。さらに、蛍光体層5はリフレクタ等として機能する凹状部材円筒状部材内に充填して形成してもよい。この場合、LEDチップ2は凹状部材や円筒状部材内に配置される。

0039

次に、本発明の具体的な実施例及びその評価結果について述べる。

0040

原料粉末組成)
以下に示す実施例1〜6及び比較例1〜9の蛍光体を作製するにあたって、原料としては、純度3N以上の、酸化ユーロピウム(Eu2O3)、燐酸水素バリウム(BaHPO4)、炭酸バリウム(BaCO3)、塩化バリウム(BaCl2・2H2O)、燐酸水素ストロンチウム(SrHPO4)、炭酸ストロンチウム(SrCO3)、塩化ストロンチウム(SrCl2・6H2O)、さらに塩化カルシウム(CaCl2)の各粉末を用いた。これら各原料粉末を、組成式:(M1−xEux)5(PO4)3Clにおける(M1−xEux)部分の元素比率が表1に示す比率となるように、各原料粉末を同一ポリ袋に計量した。これらをポリ袋内で混合をして原料混合物として使用した。以下ではユーロピウム(Eu)濃度[%]として[x×100(%)]の値を示す。

0041

0042

(実施例1/Eu濃度:7%)
原料混合物をアルミナ製ルツボに充填し、大気雰囲気中にて1000℃で5時間焼成した。次いで、得られた焼成物をアルミナ製ルツボに充填したまま、水素50体積%と窒素50体積%の混合雰囲気中にて1200℃で5時間焼成した。この焼成物を水洗することによって、実施例1の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は92%、650nmの光の吸収率は1.5%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は454nmで青色発光を示し、発光効率は88%と高い値を示した。

0043

(実施例2/Eu濃度:10%)
原料混合物をアルミナ製ルツボに充填し、大気雰囲気中にて1000℃で5時間焼成した。次いで、得られた焼成物をアルミナ製ルツボに充填したまま、水素50体積%と窒素50体積%の混合雰囲気中にて1200℃で5時間焼成した。この焼成物を水洗することによって、実施例2の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は92%、650nmの光の吸収率は1%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は455nmで青色発光を示し、発光効率は88%と高い値を示した。

0044

(実施例3/Eu濃度:15%)
実施例1と同一条件で1次焼成を行った後、1次焼成物をアルミナ製ルツボに充填したまま、水素5体積%と窒素95体積%の混合雰囲気中にて1000℃で5時間の条件で2次焼成を行った。2次焼成物をアルミナ製ルツボに充填したまま、水素50体積%と窒素50体積%の混合雰囲気中にて1200℃で5時間の条件で3次焼成を行った。焼成物を水洗することによって、実施例3の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は92%、650nmの光の吸収率は1.3%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は456nmで青色発光を示し、発光効率は84%と高い値を示した。

0045

(実施例4/Eu濃度:20%)
Eu濃度を20%とする以外は、実施例3と同一条件で3回の多段焼成を行った。得られた焼成物を水洗することによって、実施例4の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は92%、650nmの光の吸収率は1.8%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は458nmで青色発光を示し、発光効率は83%と高い値を示した。

0046

(実施例5/Eu濃度:10%)
Eu濃度を10%とする以外は、実施例3と同一条件で3回の多段焼成を行った。得られた焼成物を水洗することによって、実施例5の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は92%、650nmの光の吸収率は1.7%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は455nmで青色発光を示し、発光効率は85%と高い値を示した。

0047

(実施例6/Eu濃度:7%)
2次焼成雰囲気を水素5体積%と窒素95体積%の混合雰囲気とする以外は、実施例1と同一条件で2回焼成した。得られた焼成物を水洗することによって、実施例6の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は92%、650nmの光の吸収率は1.0%以下であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は455nmで青色発光を示し、発光効率は90%と高い値を示した。

0048

(比較例1/Eu濃度:1%)
原料混合物をアルミナ製ルツボに充填し、5体積%の水素を含む窒素雰囲気中にて1200℃で5時間焼成した。この焼成物を水洗することによって、比較例1の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は78%、650nmの光の吸収率は3.1%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は450nmで青色発光を示したが、吸収率が低いために発光効率(EQE)は53%と低い値であった。

0049

(比較例2/Eu濃度:7%)
原料混合物をアルミナ製ルツボに充填し、5体積%の水素を含む窒素雰囲気中にて1200℃で5時間焼成した。この焼成物を水洗することによって、比較例2の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は92%、650nmの光の吸収率は5.7%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は454nmで青色発光を示し、発光効率は82%と比較例1と比べて向上したが、まだ不十分な値であった。

0050

(比較例3/Eu濃度:10%)
原料混合物をアルミナ製ルツボに充填し、5体積%の水素を含む窒素雰囲気中にて1200℃で5時間焼成した。この焼成物を水洗することによって、比較例3の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は91%で、比較例2と同等の値であった。650nmの光の吸収率は3.2%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は454nmで青色発光を示し、発光効率は76%で比較例2より低い値となった。

0051

(比較例4/Eu濃度:1%)
Eu濃度を1%とする以外は、実施例1と同一条件で2回焼成し、焼成物を水洗することによって、比較例4の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は79%、650nmの光の吸収率は1.0%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は450nmで青色発光を示したが、Eu濃度を低くしたために発光効率は67%と低い値となった。

0052

(比較例5/Eu濃度:3%)
Eu濃度を3%とする以外は、実施例1と同一条件で2回焼成し、焼成物を水洗することによって、比較例5の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は88%、650nmの光の吸収率は1.1%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は451nmで青色発光を示したが、比較例4よりは改善したものの、Eu濃度が低くいために発光効率は76%と低い値であった。

0053

(比較例6/Eu濃度:15%)
Eu濃度を15%とする以外は、比較例1と同一条件で焼成し、焼成物を水洗をすることによって、比較例6の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は92%、650nmの光の吸収率は2.9%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は455nmで青色発光を示した。Eu濃度を高くしたものの、発光効率は77%と低い値に留まった。

0054

(比較例7/Eu濃度:20%)
Eu濃度を20%とする以外は、比較例1と同一条件で焼成し、焼成物を水洗することによって、比較例7の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は92%、650nmの光の吸収率は2.8%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は457nmで青色発光を示したが、Eu濃度を高くしたせいか、発光効率は72%と比較例6よりも低下した。

0055

(比較例8/Eu濃度:10%)
1次焼成の雰囲気を50体積%の水素を含む窒素雰囲気とする以外は、比較例3と同一条件で焼成し、焼成物を水洗することによって、比較例8の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は92%、650nmの光の吸収率は4.8%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は453nmで青色発光を示したが、発光効率は80%と比較例3より改善は見られたものの不十分な値であった。

0056

(比較例9/Eu濃度:10%)
1次焼成の雰囲気を5体積%の水素を含む窒素雰囲気中とする以外は、実施例2と同一条件で焼成し、焼成物を水洗することによって、比較例9の蛍光体粉末を得た。この蛍光体の400nmの光の吸収率は92%、650nmの光の吸収率は5.3%であった。波長400nmで励起したときのピーク波長は454nmで青色発光を示したが、1次焼成の雰囲気を酸素を含まない雰囲気としたために、発光効率は81%と実施例2のような高い値は得られず、不十分であった。

0057

表2に、実施例及び比較例に示した蛍光体の製造条件を示す。表3には実施例及び比較例で得られた蛍光体の発光特性を示す。

0058

0059

0060

表1ないし表3から、実施例の蛍光体の高発光特性は、特定範囲のユーロピウム濃度(4%以上)を適用し、1次焼成雰囲気として大気等の酸素を含む雰囲気を使用し、さらに酸素を含まない高還元雰囲気で焼成を繰返した場合に得られるものであることが分かる。製造条件での蛍光体規定に代わるものとして、長波長域での蛍光体の吸収率を調査した。表3には波長650nmにおける蛍光体の吸収率の測定値も示した。

0061

図3は波長650nmにおける蛍光体の吸収率及びEu濃度を変数として、蛍光体の発光効率(EQE)の値を等高線プロットしたものである。等高線図はEQEが90以上、85〜90、80〜85、75〜80、75以下の5領域に分け、根拠となる実施例及び比較例を図示している。実施例の蛍光体は、ユーロピウム濃度が4%以上で、650nmにおける吸収率が2%以下であり、高い発光効率を示すものである。その領域においても、特にユーロピウム濃度が7〜12%において高効率となっている。この領域は蛍光体の内部量子効率(IQE)が高いため、蛍光体が吸収した400nmの近紫外光をほとんどロスなく青色光に変換できる。

0062

図3の等高線図では、650nmの光の吸収率が5%を超える一部の領域で発光効率が比較的高いことが認められる。本来こうした長波長領域での蛍光体の光吸収は無く、低い値となる蛍光体が望ましい。実施形態の蛍光体は450nmの青色光を発するものであるが、通常単独では使用されず、黄色又は赤色発光蛍光体と組合せて使用される。こうした混合蛍光体に含まれる青色蛍光体が650nm近辺の長波長領域の光を吸収してしまうと、トータルとして発光装置の効率が低下するために好ましくない。

0063

次に、実施例1の青色発光のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体とピーク波長が405nmの紫色LEDと黄色蛍光体として発光ピーク波長が560nmの(Ba,Sr)2SiO4:Eu蛍光体とを組合せて白色LEDを作製した。同様に、比較例1の青色発光のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体を用いて、同様の白色LEDを作製した。白色LEDから発光される白色光の色度は、それぞれ(0.3,0.3)となるように、青色蛍光体と黄色蛍光体の比率を調整した。表4に実施例及び比較例の白色LEDの発光特性を示す。実施例1の青色蛍光体を用いた白色LEDは、比較例1の青色蛍光体を用いたものより10%超える高い発光輝度を示した。なお、表4に示す発光輝度は比較例の発光輝度を100としたときの相対値である。

0064

実施例

0065

なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施し得るものであり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

0066

現在、照明の分野において、従来の電球や蛍光灯から白色LEDへの移行が進んでいる。今後はこれまでの効率重視の照明から、より自然な見え方や人体にやさしい光といった光の質が求められるようになってくることが予想される。本発明の青色発光のユーロピウム付活アルカリ土類クロロアパタイト蛍光体は、こうした光の質の向上に有用なものであり、今後の伸張が期待されるものである。

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