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技術 蛍光樹脂粒子及びその用途

出願人 積水化成品工業株式会社
発明者 原田良祐
出願日 2017年9月29日 (2年5ヶ月経過) 出願番号 2018-542956
公開日 2019年6月24日 (8ヶ月経過) 公開番号 WO2018-062522
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 水溶性蛍光染料 流体計測 ユーザーズマニュアル 蛍光発色性 可視化装置 精度管理用 蛍光樹脂 気泡流
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題・解決手段

流体可視化に使用したときに、流体の流れに追従しやすく、流体の流れを観察しやすくすることができる蛍光樹脂粒子を提供する。蛍光樹脂粒子は、水溶性蛍光染料単量体混合物重合体とを含む蛍光樹脂粒子であって、前記単量体混合物が、第1のビニル系単量体20〜80質量%と第2のビニル系単量体80〜20質量%との混合物であり、前記第1のビニル系単量体が、炭素数3〜30のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタアクリル酸エステル及びビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体であり、前記第2のビニル系単量体が、スチレン、炭素数2以下のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数9以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及びビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体を含む。

概要

背景

蛍光を発する蛍光粒子は、現在、各種分野において広く使用されているが、中でも、流体可視化装置トレーサーフローサイト精度管理用標準粒子免疫診断薬用担体として重要な役割を果たしている。

化学プラント内の流体の流れ、原子炉炉心内の流体の流れ(対流による流体の緩やかな流れ)、船舶潜水艦スクリューの回転によるキャビテーションなどの観察では、より実物に近いスケールでのテストが望ましい。大きなスケールでの流体計測では、カメラで蛍光を捉えるために蛍光にある程度の大きさが必要となる。

特許文献1には、ビニル系単量体水溶性蛍光染料とを水性媒体に分散させてビニル系単量体を重合させることにより前記水溶性蛍光染料を含むビニル系重合体粒子を作製するビニル系重合体粒子の製造方法であって、前記重合が、界面活性剤及び重合開始剤存在下に行われる乳化重合であり、ビニル系単量体として、カルボキシル基を有するビニル系単量体と、該ビニル系単量体の前記カルボキシル基と結合可能な官能基を備えたビニル系単量体とを前記水性媒体に分散させて前記乳化重合を実施する製造方法が記載されている。

概要

流体可視化に使用したときに、流体の流れに追従しやすく、流体の流れを観察しやすくすることができる蛍光樹脂粒子を提供する。蛍光樹脂粒子は、水溶性蛍光染料と単量体混合物重合体とを含む蛍光樹脂粒子であって、前記単量体混合物が、第1のビニル系単量体20〜80質量%と第2のビニル系単量体80〜20質量%との混合物であり、前記第1のビニル系単量体が、炭素数3〜30のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタアクリル酸エステル及びビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体であり、前記第2のビニル系単量体が、スチレン、炭素数2以下のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数9以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル及びビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体を含む。

目的

本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、流体可視化に使用したときに、流体の流れに追従しやすく、流体の流れを観察しやすくすることができる蛍光樹脂粒子並びにそれを用いた分散液及び樹脂組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

水溶性蛍光染料単量体混合物重合体とを含む蛍光樹脂粒子であって、前記単量体混合物が、第1のビニル系単量体20〜80質量%と第2のビニル系単量体80〜20質量%との混合物であり、前記第1のビニル系単量体が、炭素数3〜30のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタアクリル酸エステル、及び炭素数10〜30のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体であり、前記第2のビニル系単量体が、スチレン、炭素数2以下のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数9以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び炭素数9以下のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体を含むことを特徴とする蛍光樹脂粒子。

請求項2

前記第2のビニル系単量体が、20℃において水100mlに対する溶解度が50g以下であるカルボキシ基を有する単官能ビニル系単量体を含むことを特徴とする請求項1に記載の蛍光樹脂粒子。

請求項3

20℃において水100mlに対する溶解度が50g以下である、エチレン性不飽和基を有しないカルボン酸をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光樹脂粒子。

請求項4

蛍光樹脂粒子をその3質量倍の水中に分散させた分散液を「定性濾紙No.101」(東洋濾紙株式会社製)で濾過することによって得られた濾液濁度として測定される乳化物含有率指標値が100NTU以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光樹脂粒子。

請求項5

体積平均粒子径が30〜500μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光樹脂粒子。

請求項6

体積基準粒子径変動係数が25%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光樹脂粒子。

請求項7

界面活性剤をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蛍光樹脂粒子。

請求項8

真比重が0.95〜1.05であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の蛍光樹脂粒子。

請求項9

前記水溶性蛍光染料が、ローダミン系染料又はフルオレセイン染料であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の蛍光樹脂粒子。

請求項10

流体の流れを可視化するためのトレーサー用粒子であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の蛍光樹脂粒子。

請求項11

請求項1〜10のいずれか1項に記載の蛍光樹脂粒子を含むことを特徴とする分散液。

請求項12

請求項1〜10のいずれか1項に記載の蛍光樹脂粒子と、バインダー樹脂とを含むことを特徴とする樹脂組成物

技術分野

0001

本発明は、水溶性蛍光染料ビニル系単量体重合体とを含む蛍光樹脂粒子及びその用途(分散液及び樹脂組成物)に関するものである。

背景技術

0002

蛍光を発する蛍光粒子は、現在、各種分野において広く使用されているが、中でも、流体可視化装置トレーサーフローサイト精度管理用標準粒子免疫診断薬用担体として重要な役割を果たしている。

0003

化学プラント内の流体の流れ、原子炉炉心内の流体の流れ(対流による流体の緩やかな流れ)、船舶潜水艦スクリューの回転によるキャビテーションなどの観察では、より実物に近いスケールでのテストが望ましい。大きなスケールでの流体計測では、カメラで蛍光を捉えるために蛍光にある程度の大きさが必要となる。

0004

特許文献1には、ビニル系単量体と水溶性蛍光染料とを水性媒体に分散させてビニル系単量体を重合させることにより前記水溶性蛍光染料を含むビニル系重合体粒子を作製するビニル系重合体粒子の製造方法であって、前記重合が、界面活性剤及び重合開始剤存在下に行われる乳化重合であり、ビニル系単量体として、カルボキシル基を有するビニル系単量体と、該ビニル系単量体の前記カルボキシル基と結合可能な官能基を備えたビニル系単量体とを前記水性媒体に分散させて前記乳化重合を実施する製造方法が記載されている。

先行技術

0005

特開2010−229219号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、本願発明者が、上記従来の水溶性蛍光染料を含有するビニル系重合体粒子に類似の組成粒子径の大きい粒子を作製したところ、乳化物微小粒子)の含有量の多い粒子が得られた。そして、本願発明者が、作製した粒子を大きなスケールでの流体計測に適用したところ、乳化物が蛍光樹脂粒子表面から剥がれて、本来の粒子径の蛍光樹脂粒子による流体の流れの像が不鮮明化されるために、流体の流れを観察しにくいことが分かった。また、作製した粒子は流体の流れに追従しにくいことが判明した。

0007

本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、流体可視化に使用したときに、流体の流れに追従しやすく、流体の流れを観察しやすくすることができる蛍光樹脂粒子並びにそれを用いた分散液及び樹脂組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明の蛍光樹脂粒子は、水溶性蛍光染料と単量体混合物の重合体とを含む蛍光樹脂粒子であって、前記単量体混合物が、第1のビニル系単量体20〜80質量%と第2のビニル系単量体80〜20質量%との混合物であり、前記第1のビニル系単量体が、炭素数3〜30のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタアクリル酸エステル、及び炭素数10〜30のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体であり、前記第2のビニル系単量体が、スチレン、炭素数2以下のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数9以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び炭素数9以下のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体を含むことを特徴としている。

0009

前記構成によれば、スチレン、炭素数2以下のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数9以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び炭素数9以下のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体を含む単量体混合物に対して、炭素数3〜30のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び炭素数10〜30のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体を適量含有させることで、粒子径が比較的大きい場合であっても、流体の流れに追従しやすい蛍光樹脂粒子を実現できる。よって、本発明の蛍光樹脂粒子は、大スケールでの流体可視化への使用に好適である。

0010

前記構成によれば、スチレン、炭素数2以下のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数9以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び炭素数9以下のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体を含む単量体混合物に対して、水への溶解性が低い単量体である、炭素数3〜30のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び炭素数10〜30のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体を含有させることで、水性媒体中での懸濁重合等により蛍光樹脂粒子を製造する場合に、水相中での乳化重合による乳化物(微小粒子)の生成が抑制される。その結果、流体可視化に使用したときに、蛍光樹脂粒子表面から乳化物が剥がれて、本来の粒子径の蛍光樹脂粒子による流体の流れの像が不鮮明化されることが抑制され、流体の流れを観察しやすくなる。なお、本出願書類において、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリルレート及び/又はメタクリルレートを意味するものとする。

0011

本発明の分散液は、本発明の蛍光樹脂粒子を含むことを特徴としている。本発明の分散液は、本発明の蛍光樹脂粒子を含んでいるので、流体可視化に使用したときに、蛍光樹脂粒子が流体の流れに追従しやすく、流体の流れを観察しやすい。

0012

本発明の樹脂組成物は、本発明の蛍光樹脂粒子と、バインダー樹脂とを含むことを特徴としている。本発明の樹脂組成物では、流体中で沈降し難い本発明の蛍光樹脂粒子を用いているので、蛍光樹脂粒子がバインダー樹脂中に均一に分散する。

発明の効果

0013

本発明によれば、流体可視化に使用したときに、流体の流れに追従しやすく、流体の流れを観察しやすくすることができる蛍光樹脂粒子並びにそれを用いた分散液及び樹脂組成物を提供できる。

図面の簡単な説明

0014

実施例1の蛍光樹脂粒子を含む流体の流れの視認性の評価時における流体の様子を示す。
比較例1の蛍光樹脂粒子を含む流体の流れの視認性の評価時における流体の様子を示す。

0015

以下、本発明について詳細に説明する。
〔蛍光樹脂粒子〕
本発明の蛍光樹脂粒子は、水溶性蛍光染料と単量体混合物の重合体とを含む蛍光樹脂粒子であって、前記単量体混合物が、第1のビニル系単量体20〜80質量%と第2のビニル系単量体80〜20質量%との混合物であり、前記第1のビニル系単量体が、炭素数3〜30のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び炭素数10〜30のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体であり、前記第2のビニル系単量体が、スチレン、炭素数2以下のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数9以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び炭素数9以下のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体を含んでいる。

0016

前記第1のビニル系単量体は、炭素数3〜30のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び炭素数10〜30のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体である。この単官能ビニル系単量体は、比較的疎水性の単官能ビニル系単量体である。なお、「ビニル系単量体」は少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物を意味し、「単官能ビニル系単量体」は1つのエチレン性不飽和基を有する化合物を意味する。

0017

前記炭素数3〜30のアルキル基を有するスチレン誘導体としては、例えば、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等が挙げられる。前記炭素数10〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。前記炭素数10〜30のアルキル基を有するビニルエステルとしては、例えば、ラウリン酸ビニルミリスチン酸ビニルパルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられる。前記第1のビニル系単量体としては、前記炭素数3〜30のアルキル基を有するスチレン誘導体が、より流体の流れに追従しやすい蛍光樹脂粒子を実現できるので、好ましい。

0018

前記単量体混合物中における前記第1のビニル系単量体の含有率は、20〜80質量%であればよいが、30〜80質量%であることが好ましく、40〜75質量%であることがより好ましい。れにより、さらに流体の流れに追従しやすい蛍光樹脂粒子を実現できる。

0019

前記第2のビニル系単量体は、スチレン、炭素数2以下のアルキル基を有するスチレン誘導体、炭素数9以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及び炭素数9以下のアルキル基を有するビニルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の単官能ビニル系単量体(以下、「特定単官能ビニル系単量体」と呼ぶ)を含んでいる。前記炭素数2以下のアルキル基を有するスチレン誘導体としては、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、n−メトキシスチレン等が挙げられる。前記炭素数9以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。前記炭素数9以下のアルキル基を有するビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニルプロピオン酸ビニル酪酸ビニル等が挙げられる。前記特定単官能ビニル系単量体としては、スチレン及び炭素数2以下のアルキル基を有するスチレン誘導体が、より流体の流れに追従しやすい蛍光樹脂粒子を実現できるので、好ましい。

0020

前記単量体混合物中における前記特定単官能ビニル系単量体の含有率は、20〜80質量%であればよいが、30〜80質量%であることが好ましく、40〜75質量%であることがより好ましい。これにより、さらに流体の流れに追従しやすい蛍光樹脂粒子を実現できる。

0021

前記第2のビニル系単量体は、20℃において水100mlに対する溶解度が50g以下であるカルボキシ基を有する単官能ビニル系単量体を含むことが好ましい。20℃において水100mlに対する溶解度が50g以下であるカルボキシ基を有する単官能ビニル系単量体は、比較的疎水性であり、重合時に、そのカルボキシ基で水溶性蛍光染料の分子塩基性部位(例えばローダミン系染料におけるアミノ基)に結合して、水溶性蛍光染料を疎水化して単量体混合物中に均一に溶解しやすくすることができ、その結果として、水溶性蛍光染料を蛍光樹脂粒子中に均一に存在させることができる。その結果、粒子間で蛍光発色が均一な蛍光樹脂粒子を実現できる。前記カルボキシ基を有するビニル系単量体は、より好ましくは20℃における水100mlに対する溶解度が30g以下であり、さらに好ましくは20℃における水100mlに対する溶解度が10g以下である。

0022

前記の20℃において水100mlに対する溶解度が50g以下であるカルボキシ基を有するビニル系単量体(以下、「カルボキシ基含有単官能ビニル系単量体」と呼ぶ)としては、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸[溶解度1.9g]、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等の(メタ)アクリル酸誘導体を挙げることができ、これらを単独或いは混合して使用することができる。

0023

前記単量体混合物中における前記カルボキシ基含有単官能ビニル系単量体の含有率は、2〜30質量%であることが好ましく、4〜25質量%であることがより好ましい。これにより、粒子間での蛍光発色の均一性がさらに良い蛍光樹脂粒子を実現できる。

0024

前記蛍光樹脂粒子は、20℃において水100mlに対する溶解度が50g以下である、エチレン性不飽和基を有しないカルボン酸をさらに含んでいてもよい。これにより、前記第2のビニル系単量体がカルボキシ基含有単官能ビニル系単量体をさらに含む場合と同様の効果が得られる。すなわち、20℃において水100mlに対する溶解度が50g以下である、エチレン性不飽和基を有しないカルボン酸は、比較的疎水性であり、重合時に、そのカルボキシ基で水溶性蛍光染料の分子の塩基性部位(例えばローダミン系染料におけるアミノ基)に結合して、水溶性蛍光染料を疎水化して単量体混合物中に均一に溶解しやすくすることができ、その結果として、水溶性蛍光染料を蛍光樹脂粒子中に均一に存在させることができる。その結果、粒子間で蛍光発色が均一な蛍光樹脂粒子を実現できる。前記エチレン性不飽和基を有しないカルボン酸は、より好ましくは20℃における水100mlに対する溶解度が30g以下であり、さらに好ましくは20℃における水100mlに対する溶解度が10g以下である。

0025

前記の20℃において水100mlに対する溶解度が50g以下である、エチレン性不飽和基を有しないカルボン酸としては、例えば、オクタン酸ヘプタン酸ヘキサン酸、等を挙げることができ、これらを単独或いは混合して使用することができる。

0026

前記蛍光樹脂粒子中における前記の20℃において水100mlに対する溶解度が50g以下である、エチレン性不飽和基を有しないカルボン酸の含有率は、2〜30質量%であることが好ましく、4〜25質量%であることがより好ましい。これにより、粒子間での蛍光発色の均一性がさらに良い蛍光樹脂粒子を実現できる。

0027

前記第2のビニル系単量体は、多官能ビニル系単量体を含んでいてもよい。前記多官能ビニル系単量体は、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である。前記多官能ビニル系単量体としては、ジビニルベンゼンエチレングリコールジメタクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(アルキレンは炭素数2〜4の範囲が好ましい)等が挙げられる。

0028

前記第2のビニル系単量体は、その他の単官能ビニル系単量体を含んでいてもよい。その他の単官能ビニル系単量体としては、例えば、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル塩化ビニリデン、臭化ビニル、弗化ビニル等のハロゲン化ビニル類;安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸2−クロルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドの(メタ)アクリル酸誘導体等が挙げられる。

0030

前記水溶性蛍光染料としては、前記単量体混合物に対して概ね均一に溶解可能であれば特に限定されず、ローダミンBローダミン6Gローダミン640等のローダミン系染料;スチルベン系染料メチレンブルーフルオレセインウラニンエリスロシン等のフルオレセイン系染料(フルオレセイン誘導体)等をあげることができる。中でも、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン640等のローダミン系染料、又はフルオレセイン、ウラニン、エリスロシン等のフルオレセイン系染料を前記水溶性蛍光染料として好適に使用することができる。

0031

前記水溶性蛍光染料の量は、水溶性蛍光染料の種類等によっても左右されるが、前記重合体100質量部に対して、0.005〜20質量部の範囲内であることが好ましく、0.01〜10質量部の範囲内であることがより好ましい。前記水溶性蛍光染料の量が0.005質量部未満では、前記蛍光樹脂粒子の蛍光発色性が充分なものとならないおそれがある。一方、前記水溶性蛍光染料の量が20質量部を超えても、量の増加に見合う効果を期待することが困難である。また、前記水溶性蛍光染料の存在下で前記単量体混合物の重合を行うことによって前記蛍光樹脂粒子を製造する場合、前記水溶性蛍光染料の量が20質量部を超えると、未溶解物析出や前記単量体混合物の重合阻害を発生させるおそれがある。

0032

前記蛍光樹脂粒子は、界面活性剤をさらに含むことが好ましい。界面活性剤をさらに含むことにより、蛍光樹脂粒子が親水化されて水中に分散しやすくなり、流体可視化に使用したときに、流体の流れを観察しやすくなる。

0033

前記界面活性剤は、蛍光樹脂粒子製造のための重合時に添加されたものであってもよく、蛍光樹脂粒子製造のための重合後に添加されたものであってもよい。前記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤カチオン性界面活性剤ノニオン性界面活性剤、及び両イオン性界面活性剤の何れをも用いることができるが、ノニオン性界面活性剤が好ましい。

0035

前記ノニオン性界面活性剤としては、エステル型エーテル型エステル・エーテル型等の公知のノニオン性界面活性剤をいずれも用いることができ、例えば、ポリオキシエチレントリデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテルポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、アルキレン基の炭素数が3以上であるポリオキシアルキレントリデシルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテルポリオキシエチレン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルポリオキシエチレンアルキルアミングリセリン脂肪酸エステルオキシエチレンオキシプロピレンブロック重合体等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0036

前記カチオン性界面活性剤としては、アミン塩型、第4級アンモニウム塩型等の公知のカチオン性界面活性剤をいずれも用いることができるが、水溶性のカチオン性界面活性剤がその取扱い上から有利である。上記カチオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミンアセテートステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ココイルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等のアルキルトリメチルアンモニウムクロライド;ヘキサデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のアルキルジメチルベンジルクロライド等が挙げられる。これらのカチオン性界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0037

前記両イオン性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキサイドリン酸エステル系界面活性剤亜リン酸エステル系界面活性剤等が挙げられる。これらの両イオン性界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0038

前記界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記界面活性剤としては、液温25℃の水に対する溶解度が、0.3g/100ml以上のものが好ましく、0.5g/100ml以上のものがより好ましい。前記溶解度が0.3g/100ml未満の界面活性剤を使用すると、蛍光樹脂粒子を親水化する効果が十分に得られない恐れがある。また、前記界面活性剤がポリオキシエチレン鎖を有する界面活性剤であると、前記界面活性剤が重合体表面に付着しやすいので、好ましい。

0039

前記蛍光樹脂粒子における界面活性剤の含有量は、重合体100重量部に対して0.01〜0.5重量部の範囲内であることが好ましい。界面活性剤の含有量が上記範囲より少ない場合には、蛍光樹脂粒子を親水化する効果が十分に得られない恐れがある。また、界面活性剤の含有量が上記範囲より多い場合には、コスト的に不経済である。

0040

なお、前記蛍光樹脂粒子には、本発明の効果を著しく阻害しない範囲において含有させることも可能で、その他の添加剤が添加されていてもよい。

0041

その他の添加剤としては、水溶性蛍光染料以外の着色成分(着色剤)、光安定化剤、紫外線吸収剤熱安定剤レベリング剤帯電防止剤等が挙げられる。

0042

前記蛍光樹脂粒子は、蛍光樹脂粒子をその3質量倍の水中に分散させた分散液を「定性濾紙No.101」(東洋濾紙株式会社製)で濾過することによって得られた濾液濁度として測定される乳化物含有率指標値が、100NTU以下であることが好ましく、70NTU以下であることがより好ましく、40NTU以下であることがさらに好ましい。これにより、流体可視化に使用したときに、蛍光樹脂粒子表面から乳化物が剥がれて、本来の粒子径の蛍光樹脂粒子による流体の流れの像が不鮮明化されることが抑制され、流体の流れを観察しやすくなる。なお、乳化物含有率指標値は、例えば、後段の[実施例]の項に記載の測定方法で測定できる。

0043

前記蛍光樹脂粒子の体積平均粒子径は、30〜500μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましい。これにより、化学プラント内の流体の流れ、原子炉内の流体の流れ、船舶・潜水艦のスクリューの回転による流体の流れなどを可視化する大きなスケールでの流体可視化に適用したときに、流体の流れが観察しやすい蛍光樹脂粒子を実現できる。

0044

前記蛍光樹脂粒子の体積基準の粒子径の変動係数は、32%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。これにより、さらに流体の流れに追従しやすい蛍光樹脂粒子を実現できる。

0045

前記蛍光樹脂粒子の真比重は、0.95〜1.05であることが好ましい。これにより、流体が水である流体可視化に使用したときに、水中で沈降や浮遊が起きにくくなる。

0046

〔蛍光樹脂粒子の製造方法〕
本発明の蛍光樹脂粒子を製造する方法としては、特に限定されるものでなく、水溶性蛍光染料の存在下で各種重合法(乳化重合、分散重合、懸濁重合、シード重合など)により前記単量体混合物を重合させる方法を用いることができるが、前記単量体混合物及び前記水溶性蛍光染料を含む混合物を水性媒体中に懸濁させて重合させる懸濁重合を用いることが、体積平均粒子径が30〜500μmの蛍光樹脂粒子を容易に製造できることから好ましい。

0047

前記懸濁重合に用いる水性媒体としては、水、及び、水と水溶性有機溶媒(例えば、炭素数5以下の低級アルコール)との混合物が挙げられる。

0048

前記懸濁重合では、必要に応じて、前記単量体混合物及び前記水溶性蛍光染料を含む混合物に対してさらに重合開始剤を混合してもよい。前記重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイルオルソクロロ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイドジイソプロピルパーオキシジカーボネートクメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等の油溶性アゾ化合物が挙げられる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で、又は2種類以上組み合わせて用いることができる。なお、前記重合開始剤の使用量は、前記単量体混合物100質量部に対して、0.1〜1質量部程度で十分である。

0049

また、前記懸濁重合は、必要に応じて、分散剤及び/又は界面活性剤の存在下で行われてもよい。前記分散剤としては、例えば、リン酸カルシウム、及びピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機塩ポリビニルアルコールメチルセルロース、及びポリビニルピロリドン等の水溶性高分子等が挙げられる。

0050

また、前記界面活性剤としては、例えばオレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤等が挙げられる。

0051

前記の分散剤及び界面活性剤は、それぞれ単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。中でも、分散剤として水溶性高分子を使用し、界面活性剤を分散剤と併用し、かつ界面活性剤を重合開始剤時には添加せず一次昇温後に添加する(一次昇温後の凝集を抑制するため)のが好ましい。分散剤として水溶性高分子を使用し、界面活性剤を重合開始剤時に添加しないことで、より乳化物含有率の少ない蛍光樹脂粒子を得ることができる。

0052

前記分散剤の使用量は、前記単量体混合物100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、前記界面活性剤の使用量は、前記水性媒体100質量部に対して0.01〜0.2質量部であることが好ましい。

0053

前記懸濁重合では、前記単量体混合物及び前記水溶性蛍光染料を含む混合物に、酸性有機変性リン酸化合物を含有させた状態で、前記単量体混合物の懸濁重合を行うことが好ましい。前記酸性有機変性リン酸化合物を前記混合物へ含有させることにより、水性媒体に懸濁させた際に水溶性蛍光染料及び未反応の単量体の水相への移行防止を図ると共に、安定した前記混合物の微細油滴を生じさせることができる。

0054

前記酸性有機変性リン酸化合物としては、例えば、亜燐酸モノエステルあるいは亜燐酸ジエステル燐酸モノエステル、燐酸ジエステルが挙げられる。これらの亜燐酸モノエステルあるいは亜燐酸ジエステル、燐酸モノエステル、燐酸ジエステルは、特に限定されないが、ラウリルリン酸、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(2)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(4)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(6)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレン(8)アルキルエーテルリン酸、ジポリオキシエーテル(4)ノニルフェニルエーテルリン酸カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。これら化合物の中でも、ラウリルリン酸又はカプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレートが好ましい。

0055

また、前記酸性有機変性リン酸化合物の添加量は、前記単量体混合物100質量部に対して、0.01〜5質量部とするのが好ましく、0.01〜3質量部とするのがより好ましい。

0056

前記懸濁重合は、前記単量体混合物を含む油相を調製し、調製した油相を水性媒体を含む水相中に分散させながら、この油相が分散された水相を加熱することにより開始できる。なお、重合開始剤を使用する場合には、前記単量体混合物に重合開始剤を混合して油相を調製する。また、分散剤及び/又は界面活性剤を使用する場合には、水性媒体に分散剤及び/又は界面活性剤を混合して水相を調製する。なお、前記蛍光樹脂粒子の体積平均粒子径は、油相と水相との混合割合や分散剤、界面活性剤の使用量及び攪拌条件分散条件を調整することにより適宜制御できる。

0057

水相中に油相を分散させる方法としては、例えば、水相中に油相を直接添加して、プロペラ翼等の攪拌力によりその油相を液滴として水相中に分散させる方法;水相中に油相を直接添加して、ローターステーターから構成される高せん断力を利用する分散機であるホモミクサーを用いてその油相を水相中に分散させる方法;水相中に油相を直接添加して、超音波分散機等を用いて水相中にその油相を分散させる方法等種々の方法が挙げられる。こられのうち、水相中に油相を直接添加して、マイクロフルイダイザーナノマイザー登録商標)等の高圧型分散機を用いて、混合物の液滴同士の衝突あるいは機壁に対する混合物の衝突を利用して、その油相を液滴として水相中に分散させる方法;MPGマイクロポーラスガラス多孔膜を通して油相を水相中に圧入させる方法等によって分散させれば、前記蛍光樹脂粒子の粒子径をより均一に揃えることができるので好ましい。

0058

また、重合温度は、40〜90℃程度が好ましい。そしてこの重合温度を保持する時間としては、0.1〜10時間程度が好ましい。なお、重合反応は、窒素雰囲気のような、重合反応系中の反応物(油相)に対して不活性不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。また、前記単量体混合物の沸点が重合温度付近又は重合温度以下である場合には、ビニル系単量体が揮発しないように、オートクレーブ等の耐圧重合設備を使用して、密閉下あるいは加圧下で懸濁重合を行うことが好ましい。

0059

そして、重合反応終了後、所望により、難水溶性無機塩の酸等による分解除去、濾過等による脱水洗浄、乾燥、粉砕分級等を行うことによって、目的の蛍光樹脂粒子を得ることができる。重合時に生成した乳化物(微小粒子)を分級(例えば気流分級)、濾過等により除去することで、乳化物含有率指標値の小さい(例えば100NTU以下)蛍光樹脂粒子を得ることができる。

0060

前記重合体表面に付着した界面活性剤をさらに含む蛍光樹脂粒子を製造する場合には、前記界面活性剤の存在下で重合を行うことで前記重合体表面に界面活性剤を付着させてもよいが、重合後に、洗浄、乾燥を行い、乾燥粉体を得た後に、前記界面活性剤を添加することによって乾燥粉体の親水化処理を行うことが好ましい。これにより、界面活性剤をより多く、また、より均一に前記重合体表面に付着させやすくなる。

0061

〔トレーサー用粒子
本発明の蛍光樹脂粒子は、流体の流れを可視化するためのトレーサー用粒子として好適に使用できる。そのようなトレーサー用粒子として本発明の蛍光樹脂粒子を使用することで、流体や気泡流の流れを蛍光発光により検知し、解析することができる。本発明の蛍光樹脂粒子をトレーサー用粒子として使用する場合、本発明の蛍光樹脂粒子そのものを水等の流体中に添加してもよく、本発明の蛍光樹脂粒子を水等の分散媒中に分散させた分散液を水等の流体中に添加してもよい。

0062

〔分散液〕
本発明の分散液は、本発明の蛍光樹脂粒子を含んでいる。本発明の分散液は、トレーサー用だけではなく、塗料用にも使用できる。本発明の分散液は、塗料用の分散液として使用した場合、蛍光樹脂粒子が液中で沈降しないという利点を有している。

0063

本発明の分散液は、分散媒中に本発明の蛍光樹脂粒子が分散質として分散しているものである。前記分散媒としては、水性媒体が好適に使用できる。

0064

前記水性媒体は、水、又は、Fedors法より算出された溶解度パラメータ(以下、「SP値」と称する)が20.5(MPa)1/2(10(cal/cm3)1/2)以上である有機溶剤と水との混合媒体である。前記水性媒体の比重は、前記重合体粒子の比重よりも大きい(ρp>ρf)ものとする。SP値が20.5(MPa)1/2である有機溶剤としては、具体的には、例えば、SP値が24.3(MPa)1/2(11.9(cal/cm3)1/2)であるイソプロピルアルコール、SP値が28.2(MPa)1/2(13.8(cal/cm3)1/2)であるメチルアルコール、SP値が26.2(MPa)1/2(12.6(cal/cm3)1/2)であるエチルアルコール等が挙げられる。

0065

本発明の分散液は、塗料用の場合、通常、バインダーをさらに含み、前記蛍光樹脂粒子が分散質として前記バインダーに分散されている。

0066

前記バインダーとしては、透明性、重合体粒子分散性耐光性耐湿性及び耐熱性等の要求される特性に応じて、当該分野において使用されるものであれば特に限定されるものではない。上記バインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂;(メタ)アクリルウレタン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂ポリ塩化ビニリデン系樹脂メラミン系樹脂スチレン系樹脂アルキド系樹脂フェノール系樹脂エポキシ系樹脂ポリエステル系樹脂アルキルポリシロキサン系樹脂等のシリコーン系樹脂;(メタ)アクリル−シリコーン系樹脂、シリコーン−アルキド系樹脂、シリコーン−ウレタン系樹脂、シリコーン−ポリエステル樹脂等の変性シリコーン樹脂ポリフッ化ビニリデンフルオロオレフィンビニルエーテル重合体等のフッ素系樹脂等のバインダー樹脂が挙げられる。

0067

前記バインダー樹脂は、塗料用の分散液の耐久性を向上させる観点から、架橋反応により架橋構造を形成できる硬化性樹脂であることが好ましい。上記硬化性樹脂は、種々の硬化条件硬化させることができる。上記硬化性樹脂は、硬化のタイプにより、紫外線硬化性樹脂電子線硬化性樹脂等の電離放射線硬化性樹脂熱硬化性樹脂温気硬化性樹脂等に分類される。

0069

前記電離放射線硬化性樹脂としては、多価アルコール官能(メタ)アクリレート等のような多官能(メタ)アクリレート樹脂ジイソシアネート、多価アルコール、及びヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等から合成されるような多官能ウレタンアクリレート樹脂等が挙げられる。前記電離放射線硬化性樹脂としては、多官能(メタ)アクリレート樹脂が好ましく、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多価アルコール多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多価アルコール多官能(メタ)アクリレートとしては、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサントリ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレートペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。前記電離放射線硬化性樹脂は、二種類以上を併用してもよい。

0070

前記電離放射線硬化性樹脂としては、これらの他にも、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂スピロアセタール樹脂ポリブタジエン樹脂ポリチオールポリエン樹脂等も使用できる。

0071

前記電離放射線硬化性樹脂のうち紫外線硬化性樹脂を用いる場合、紫外線硬化性樹脂に光重合開始剤を加えてバインダー樹脂とする。前記光重合開始剤は、どのようなものを用いてもよいが、用いる紫外線硬化性樹脂にあったものを用いることが好ましい。

0073

前記アセトフェノン類としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン等が挙げられる。前記ベンゾイン類としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインベンゾエート、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。前記ベンゾフェノン類としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン等が挙げられる。前記ホスフィンオキシド類としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。前記ケタール類としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のベンジルメチルケタール類が挙げられる。前記α−ヒドロキシアルキルフェノン類としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。前記α−アミノアルキルフェノン類としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノンが挙げられる。

0074

市販の光ラジカル重合開始剤としては、BASFジャパン株式会社製の商品名「イルガキュア(登録商標)651」(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、BASFジャパン株式会社製の商品名「イルガキュア(登録商標)184」、BASFジャパン株式会社製の商品名「イルガキュア(登録商標)907」(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン)等が好ましい例として挙げられる。

0075

前記光重合開始剤の使用量は、バインダー100重量%に対し、通常、0.5〜20重量%の範囲内であり、好ましくは1〜5重量%の範囲内である。

0076

前記バインダー樹脂として、前記硬化性樹脂以外に、熱可塑性樹脂を用いることができる。前記熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロースニトロセルロースアセチルブチルセルロースエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体;酢酸ビニルの単独重合体及び共重合体、塩化ビニルの単独重合体及び共重合体、塩化ビニリデンの単独重合体及び共重合体等のビニル系樹脂ポリビニルホルマールポリビニルブチラール等のアセタール樹脂;アクリル酸エステルの単独重合体及び共重合体、メタクリル酸エステルの単独重合体及び共重合体等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン樹脂ポリアミド樹脂線状ポリエステル樹脂ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。

0077

また、前記バインダーとして、前記バインダー樹脂の他に、合成ゴム天然ゴム等のゴム系バインダーや、無機系結着剤等を用いることもできる。前記ゴム系バインダー樹脂としては、エチレンプロピレン共重合ゴムポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムアクリロニトリル−ブタジエンゴム等が挙げられる。これらゴム系バインダー樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。

0078

前記無機系結着剤としては、シリカゾルアルカリ珪酸塩シリコンアルコキシドリン酸塩等が挙げられる。上記無機系結着剤として、金属アルコキシド又はシリコンアルコキシドを加水分解及び脱水縮合して得られる無機系又は有機無機複合系マトリックスを用いることもできる。前記無機系又は有機無機複合系マトリックスとしては、シリコンアルコキシド、例えばテトラエトキシシラン等を加水分解及び脱水縮合して得られる酸化珪素系マトリックスを使用できる。これら無機系結着剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。

0079

前記塗料用の分散液中における蛍光樹脂粒子の量は、バインダーの固形分100重量部に対して、2重量部以上であることが好ましく、4重量部以上であることがより好ましく、6重量部以上であることがさらに好ましい。前記蛍光樹脂粒子の量をバインダーの固形分100重量部に対して2重量部以上にすることにより、前記塗料用の分散液によって形成される塗膜艶消し性を十分なものにし易くなる。前記塗料用の分散液中における蛍光樹脂粒子の量は、バインダーの固形分100重量部に対して、300重量部以下であることが好ましく、200重量部以下であることがより好ましく、100重量部以下であることがさらに好ましい。前記蛍光樹脂粒子の量をバインダーの固形分100重量部に対して300重量部以下にすることにより、前記塗料用の分散液によって形成される塗膜の直線透過性を十分なものにし易くなる。

0080

〔樹脂組成物〕
本発明の樹脂組成物は、本発明の蛍光樹脂粒子と、バインダー樹脂とを含むものである。前記バインダー樹脂としては、前記塗料用の分散液に用いるバインダー樹脂として先に挙げたものを用いることができるが、(メタ)アクリル−スチレン樹脂((メタ)アクリル)酸エステルとスチレンとの共重合体)、ポリカーボネート樹脂等を用いることもできる。

0081

前記樹脂組成物中における蛍光樹脂粒子の量は、バインダー樹脂100重量部に対して、2重量部以上であることが好ましく、4重量部以上であることがより好ましく、6重量部以上であることがさらに好ましい。前記蛍光樹脂粒子の量をバインダー樹脂100重量部に対して2重量部以上にすることにより、前記樹脂組成物の艶消し性を十分なものにし易くなる。前記樹脂組成物中における蛍光樹脂粒子の量は、バインダー樹脂100重量部に対して、300重量部以下であることが好ましく、200重量部以下であることがより好ましく、100重量部以下であることがさらに好ましい。前記蛍光樹脂粒子の量をバインダー樹脂100重量部に対して300重量部以下にすることにより、前記樹脂組成物の直線透過性を十分なものにし易くなる。前記樹脂組成物には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤蛍光増白剤等の添加剤を加えてもよい。

0082

本発明の樹脂組成物は、成形して成形体とすることができる。前記バインダー樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には、前記樹脂組成物の成形方法として、例えば、前記バインダー樹脂を成形型に注ぎ込み、紫外線照射することで硬化させる方法を用いることができる。また、前記バインダー樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には、前記樹脂組成物の成形方法として、例えば、前記樹脂組成物を一軸押出機二軸押出機等で溶融混練する方法、前記樹脂組成物の溶融混練によって得られた成形材料をTダイ及びロールユニットを介して板状等に成形する方法、前記樹脂組成物の溶融混練及びペレット化によって得られたペレット状の成形材料(マスターペレット)を射出成形プレス成形等により板状に成形する方法等を用いることができる。前記成形体の寸法や形状等は、用途によって適宜選択することができる。前記成形体中のバインダー樹脂が透明樹脂である場合、前記成形体中の重合体粒子は光拡散剤として機能するので、前記成形体は、光拡散板等の光拡散体として機能する。したがって、そのような成形体は、LED照明カバー等として利用できる。

0083

以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。まず、以下の実施例及び比較例における蛍光樹脂粒子の特性測定及び評価の方法を説明する。

0084

〔蛍光樹脂粒子の乳化物含有率指標値の測定方法〕
蛍光樹脂粒子10.0gを内容量50mlのサンプル瓶に入れ、水30.0gを添加した。その後、超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製「ULTRASONIC CLEANERVS−150」、発振周波数:50kHz、高周波出力:150W)を用いて30分間分散処理を行うことにより蛍光樹脂粒子を水中に分散させて、分散液を得た。なお、蛍光樹脂粒子が水に分散しにくい場合には、蛍光樹脂粒子を微量(上限0.8g)のアルコール(例えばエタノール)で湿潤させた後、水に分散させてもよい。

0085

次に得られた分散液を、フィルター(「定性濾紙No.101」、直径55mm、東洋濾紙株式会社製)で吸引濾過し、濾液の濁度を測定し、測定された濁度を乳化物含有率指標値とした。濁度の測定は、濁度計「TurbiDirect」(Tintometer社製)を用いて測定した。

0086

〔蛍光樹脂粒子の真比重の測定方法〕
JIS K5101−11−1におけるA法に準じて密度(真比重)の測定を行い、得られた測定値を蛍光樹脂粒子の真比重とした。具体的には、20℃の恒温室で、次のようにして真比重の測定を行った。内容量50mlのワードン形ピクノメータに、エタノールを完全に満たし、このときの内容物を含めたピクノメータの質量を量しA(g)とした。次に、ピクノメータ中のエタノールを捨てて空にした後、試料としての蛍光樹脂粒子約3gをピクノメータの中に移し入れ、移した蛍光樹脂粒子の質量を秤量しB(g)とした。ピクノメータの中にさらにエタノールを加えて蛍光樹脂粒子及びエタノールでピクノメータを完全に満たした。このときの内容物を含めたピクノメータの質量をCgとし、下記算出式により、蛍光樹脂粒子の真比重を算出した。
[算出式]
真比重(g/ml)=B×0.7950/(A−C+B)

0087

〔蛍光樹脂粒子の体積平均粒子径及び体積基準の粒子径の変動係数の測定方法〕
蛍光樹脂粒子の体積平均粒子径及び体積基準の粒子径の変動係数(CV値)の測定は、以下のようにしてコールター法により行った。

0088

蛍光樹脂粒子の体積平均粒子径は、コールターMultisizerTM 3(ベックマン・コールター株式会社製測定装置)により測定する。測定は、ベックマン・コールター株式会社発行のMultisizerTM 3ユーザーズマニュアルに従って校正されたアパチャーを用いて実施するものとする。

0089

なお、測定に用いるアパチャーは、測定する蛍光樹脂粒子の大きさによって、適宜選択する。Current(アパチャー電流)及びGain(ゲイン)は、選択したアパチャーのサイズによって、適宜設定する。例えば、50μmのサイズを有するアパチャーを選択した場合、Current(アパチャー電流)は−800、Gain(ゲイン)は4と設定する。

0090

測定用試料としては、蛍光樹脂粒子0.1gを0.1重量%ノニオン性界面活性剤水溶液10m1中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXERMT−31」)及び超音波洗浄器(株式会社ヴェルヴォクリーア製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて分散させ、分散液としたものを使用する。測定中ビーカー内を気泡が入らない程度に緩く攪拌しておき、蛍光樹脂粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。蛍光樹脂粒子の体積平均粒子径は、10万個の粒子の体積基準の粒度分布における算術平均である。

0091

蛍光樹脂粒子の体積基準の粒子径の変動係数を、以下の数式によって算出する。
蛍光樹脂粒子の体積基準の粒子径の変動係数
=(蛍光樹脂粒子の体積基準の粒度分布の標準偏差
÷蛍光樹脂粒子の体積平均粒子径)×100

0092

〔蛍光樹脂粒子の蛍光発色性の評価方法
蛍光樹脂粒子の流体可視化特性の1つとして、蛍光樹脂粒子の蛍光発色性を以下のように評価した。まず、内容量100mlのビーカーに蛍光樹脂粒子2gを入れ、水50gを加えて水中に蛍光樹脂粒子を分散させて分散液を得た。得られた分散液にブラックライトを照射し、蛍光発色を確認した。蛍光発色がはっきりと視認できたものを蛍光発色性が「◎」(優良)、蛍光発色が弱いが確認できたものを蛍光発色性が「○」(良好)、蛍光発色が確認できなかったものを蛍光発色性が「×」(不良)とした。

0093

〔蛍光樹脂粒子を含む流体の流れの視認性の評価方法〕
蛍光樹脂粒子の流体可視化特性の他の1つとして、蛍光樹脂粒子を含む流体の流れの視認性を以下のように評価した。まず、内容量500mlのビーカー内に蒸留水500mlを入れ、マグネチックスターラーを用いてビーカー下部から攪拌回転数50rpmで緩やかに攪拌を行った。ビーカー上部から蛍光樹脂粒子の10質量%分散液を滴下し、ブラックライトの照射下で流体の流れを目視で確認した。流体の流れを良好に確認できたものを流体の流れの視認性が「◎」(優良)、流体の流れを良好にではないものの確認できたものを流体の流れの視認性が「○」(良好)、流体の流れを確認できなかったものを流体の流れの視認性が「×」(不良)とした。

0094

〔蛍光樹脂粒子の流体可視化特性の総合評価方法
蛍光発色性及び流体の流れの視認性の両方が「◎」である場合を流体可視化特性の総合評価が「◎」とし、蛍光発色性及び流体の流れの視認性の一方が「○」で他方が「○」又は「◎」である場合を流体可視化特性の総合評価が「○」とし、蛍光発色性及び流体の流れの視認性の少なくとも一方が「×」である場合を流体可視化特性の総合評価が「×」とした。

0095

〔実施例1〕
第1のビニル系単量体としてのp−tert−ブチルスチレン135質量部(単量体混合物中45質量%)と、特定単官能ビニル系単量体としてのスチレン135質量部(単量体混合物中45質量%)と、多官能ビニル系単量体としてのジビニルベンゼン15質量部(単量体混合物中5質量%)と、特定単官能ビニル系単量体及びカルボキシ基含有単官能ビニル系単量体としての2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸15質量部(単量体混合物中5質量%)と、水溶性蛍光染料としてのローダミンB0.3質量部と、酸性有機変性リン酸化合物としてのカプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート(製品名「KAYAMER(登録商標)PM−21」、日本化薬株式会社製)0.3質量部と、重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ABNV)(株式会社日本ファインケム製)3質量部及び過酸化ベンゾイル0.1質量部とを混合して、油相を調整した。また、水性媒体としての脱イオン水700質量部と、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)7質量部とを混合して、水相を調製した。

0096

その後、上記油相及び上記水相を混合して懸濁液とし、撹拌機及び温度計を備えた重合器にこの懸濁液を入れた。重合器の内部温度を60℃に昇温(一次昇温)して上記懸濁液の撹拌を攪拌回転数350rpmで5時間続けて懸濁重合させ、アニオン性界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05質量部を上記懸濁液に追加した。その後、重合器の内部温度を100℃に昇温(二次昇温)し、上記懸濁液を100℃で3時間撹拌することによって、懸濁重合反応を完了させた。上記懸濁液を冷却した後、懸濁液を濾過により脱水して固形分を分離し、十分な水により固形分を洗浄した。得られた固形分を70℃で24時間真空乾燥して乾燥粉体を得た。得られた乾燥粉体100質量部に対し、ノニオン性界面活性剤としてのモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンの0.5質量%水溶液20質量部を添加し、50℃で24時間かけて乾燥した。これにより、蛍光樹脂粒子を得た。

0097

得られた蛍光樹脂粒子は、蛍光発色性が良好であり、前述した方法による蛍光樹脂粒子を含む流体の流れの視認性の評価において、図1に示すように、流体の流れが良好に確認でき、視認性が良好であった。図1は、蛍光樹脂粒子を含む流体の流れの視認性の評価時における流体の様子を示す。

0098

〔実施例2〕
p−tert−ブチルスチレンの使用量を150質量部(単量体混合物中50質量%)に変更し、スチレンの使用量を120質量部(単量体混合物中40質量%)に変更し、水溶性蛍光染料としてローダミンB0.3質量部に代えてローダミン640 0.15質量部を使用し、重合時の攪拌回転数を400rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光樹脂粒子を得た。得られた蛍光樹脂粒子について、気流分級機を用いて粒子径30μm以下の微細粒子の割合が1質量%以下となるように微細粒子を除去した。

0099

〔実施例3〕
スチレン135質量部を使用しないようにし、第1のビニル系単量体としてp−tert−ブチルスチレン135質量部に代えてアクリル酸イソステアリル210質量部(単量体混合物中70質量%)を使用し、多官能ビニル系単量体としてジビニルベンゼン15質量部に代えてエチレングリコールジメタクリレート60質量部(単量体混合物中20質量%)を使用し、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸の使用量を30質量部(単量体混合物中10質量%)に変更し、水溶性蛍光染料としてローダミンB0.3質量部に代えてローダミン640 0.1質量部を使用し、重合時の攪拌回転数を600rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光樹脂粒子を得た。

0100

〔実施例4〕
スチレンの使用量を90質量部(単量体混合物中30質量%)に変更し、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸の使用量を60質量部(単量体混合物中20質量%)に変更し、ローダミンBの使用量を0.9質量部に変更し、重合時の攪拌回転数を600rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光樹脂粒子を得た。得られた蛍光樹脂粒子について、気流分級機を用いて粒子径10μm以下の微細粒子及び粒子径60μm以上の粗大粒子がそれぞれ1%以下となるように微細粒子及び粗大粒子を除去した。

0101

〔実施例5〕
第1のビニル系単量体としてp−tert−ブチルスチレン135質量部に代えて4−n−オクチルスチレン135質量部(単量体混合物中45質量%)を使用し、重合時の攪拌回転数を300rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光樹脂粒子を得た。

0102

〔実施例6〕
2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸15質量部に代えて、20℃において水100mlに対する溶解度が50g以下であるエチレン性不飽和基を有しないカルボン酸としてのオクタン酸15質量部(単量体混合物中5質量%)を使用し、ローダミンBの使用量を0.1質量部に変更し、重合時の攪拌回転数を400rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光樹脂粒子を得た。

0103

〔実施例7〕
スチレン135質量部を使用しないようにし、第1のビニル系単量体としてp−tert−ブチルスチレン135質量部に代えてステアリン酸ビニル215質量部(単量体混合物中71.7質量%)を使用し、多官能ビニル系単量体としてジビニルベンゼン15質量部に代えてエチレングリコールジメタクリレート65質量部(単量体混合物中21.6質量%)を使用し、水溶性蛍光染料としてローダミンBの使用量を0.1質量部に変更し、重合時の攪拌回転数を600rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光樹脂粒子を得た。なお、本実施例では、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸の量は、単量体混合物中6.7質量%である。

0104

〔実施例8〕
スチレン135質量部を使用しないようにし、第1のビニル系単量体としてp−tert−ブチルスチレン135質量部に代えてアクリル酸イソステアリル215質量部(単量体混合物中71.7質量%)を使用し、多官能ビニル系単量体としてジビニルベンゼン15質量部に代えてエチレングリコールジメタクリレート65質量部(単量体混合物中21.7質量%)を使用し、水溶性蛍光染料としてローダミンBの使用量を0.1質量部に変更し、重合時の攪拌回転数を600rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光樹脂粒子を得た。なお、本実施例では、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸の量は、単量体混合物中6.7質量%である。

0105

〔比較例1〕
p−tert−ブチルスチレンを使用しないようにし、スチレンの使用量を225質量部(単量体混合物中75質量%)に変更し、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸の使用量を60質量部(単量体混合物中20質量%)に変更し、ローダミンBの使用量を0.9質量部に変更し、重合時の攪拌回転数を300rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光樹脂粒子を得た。

0106

得られた蛍光樹脂粒子は、蛍光発色性は良好であったが、前述した方法による蛍光樹脂粒子を含む流体の流れの視認性の評価において、図2に示すように、流体の流れが確認できず、視認性が不良であった。図2は、蛍光樹脂粒子を含む流体の流れの視認性の評価時における流体の様子を示す。

0107

〔比較例2〕
スチレンを使用しないようにし、p−tert−ブチルスチレンの使用量を270質量部(単量体混合物中90質量%)に変更し、重合時の攪拌回転数を300rpmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光樹脂粒子を得た。

0108

実施例1〜8及び比較例1・2について、得られた蛍光樹脂粒子の乳化物含有率指標値(NTU)、真比重、体積平均粒子径(μm)、及び粒子径の変動係数(%)の測定結果、並びに得られた蛍光樹脂粒子の蛍光発色性、流体の流れの視認性、及び総合評価の評価結果を、蛍光樹脂粒子の製造に使用した各原料の種類及び量(質量部)と共に、表1に示す。

0109

0110

以上のように、特特定単官能ビニル系単量体を含む単量体混合物の重合体と水溶性蛍光染料とを含む蛍光樹脂粒子において、単量体混合物が第1のビニル系単量体を含まない比較例1の蛍光樹脂粒子では乳化物含有率指標値が大きく乳化物含有率が多かったのに対し、単量体混合物中における第1のビニル系単量体の含有率を45〜71.7質量%とした実施例1〜8の蛍光樹脂粒子では乳化物含有率指標値が小さく乳化物含有率が少なかった。

0111

また、特定単官能ビニル系単量体を含む単量体混合物の重合体と水溶性蛍光染料とを含む蛍光樹脂粒子において、単量体混合物中における第1のビニル系単量体の含有率を0又は90質量%とした比較例1・2の蛍光樹脂粒子では流体の流れの視認性が悪かったのに対し、単量体混合物中における第1のビニル系単量体の含有率を45〜71.7質量%とした実施例1〜8の蛍光樹脂粒子では流体の流れの視認性が良好であった。実施例1〜8の蛍光樹脂粒子では流体の流れの視認性が良好であったのは、実施例1〜8の蛍光樹脂粒子の組成が流体の流れに追従しやすい組成であること、及び実施例1〜8の蛍光樹脂粒子の乳化物含有率が少ないために、微小粒子(乳化物)が蛍光樹脂粒子表面から剥がれて、本来の粒子径の蛍光樹脂粒子による流体の流れの像が不鮮明化されることが抑制されていることの両方の理由によるものと考えられる。

0112

〔実施例9〕
実施例3で得られた蛍光樹脂粒子2重量部と、バインダーの水分散液である市販のアクリル系水性つやあり塗料(株式会社カンペハピオ製、商品名「スーパーヒット」)20重量部とを、攪拌脱泡装置を用いて、3分間混合し、1分間脱泡することによって、分散液を得た。

0113

得られた分散液を、クリアランス100μmのブレードをセットした塗工装置を用いてABS樹脂アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)板上に塗布した後、乾燥することによって塗膜を得た。得られた塗膜にブラックライトを照射したところ、蛍光色に発色した。

0114

〔実施例10〕
実施例3で得られた蛍光樹脂粒子2重量部と、紫外線硬化性樹脂の1種である光硬化性モノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(A−DPH)(新中化学工業株式会社製)20重量部と、光重合開始剤としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製、製品名「イルガキュア(登録商標)1173」)0.15gとを、攪拌脱泡装置を用いて、3分間混合し、1分間脱泡することによって、蛍光樹脂粒子が均一に分散した液状の樹脂組成物を得た。

実施例

0115

得られた液状の樹脂組成物を、成形型としての直径3cmのシャーレに厚みが3mmになるように注ぎ込み、紫外線を照射することで硬化させ、蛍光樹脂粒子を含む樹脂組成物(成形体)を得た。得られた樹脂組成物(成形体)では、蛍光樹脂粒子が均一に分散しており、樹脂組成物(成形体)にブラックライトを照射したところ、均一に蛍光色に発色した。

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