図面 (/)

技術 環状ペプチド、アフィニティクロマトグラフィー担体、標識化抗体、抗体薬物複合体および医薬製剤

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 南高一
出願日 2017年8月17日 (2年7ヶ月経過) 出願番号 2018-541980
公開日 2019年10月3日 (5ヶ月経過) 公開番号 WO2018-061509
状態 未査定
技術分野
  • -
主要キーワード 前洗浄液 ポジション数 側鎖カルボキシ基 有機系分散媒 蛍光発光物質 ポリアルキルビニルエーテル 後洗浄液 定置洗浄
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年10月3日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題・解決手段

抗体結合性に優れ、しかも薬品耐性が改善された環状ペプチドを提供する。環状ペプチドは、下記式(I)によって表される。 RN−Xg−[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]k−Xh−RC ・・・(I) 式(I)中、RNは、N末端基を表し;RCは、C末端基を表し;X1は、L−ロイシン残基、L−イソロイシン残基、L−メチオニン残基、L−リジン残基またはL−アルギニン残基を表し;X2は、L−バリン残基またはL−イソロイシン残基を表し;X3は、L−トリプトファン残基またはL−フェニルアラニン残基を表し;XaおよびXbの一方は、側鎖にアジド基を有するアミノ酸由来するアミノ酸残基を表し、他方は、側鎖にアルキニル基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、かつ、XaおよびXbは、トリアゾール結合を介して結合しており;Xg、Xh、Xi、Xj、XmおよびXnは、それぞれ、連続するg個のX、連続するh個のX、連続するi個のX、連続するj個のX、連続するm個のXおよび連続するn個のXを表し;Xは、アミノ酸残基を表し、Xが複数である場合は、複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよく;g、h、iおよびjは、それぞれ独立に、0以上の整数であり;mおよびnは、0≦m≦9、0≦n≦9、および3≦m+n≦9を同時に満たす整数であり;kは、1以上の整数であり、k≧2である場合は、繰返し単位[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]中のX1、X2、X3、Xa、Xb、Xi、Xj、XmおよびXnは、それぞれ、各繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。

概要

背景

現在、抗体医薬は、最も確実性の高い分子標的医薬として注目されており、新しい医薬品分野を急速に拡大している。現在開発中または上市されている抗体医薬のほとんどはIgG(Immunoglobulin G;免疫グロブリンGクラスに属する抗体を用いるものである。

従来、IgG抗体の精製には、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus;スタフィロコッカスアウレウス由来プロテインAまたはプロテインGタンパク質が用いられている。これらのタンパク質は、マウスウサギのIgGにも結合するため、研究試薬のIgG精製に多用されてきた。近年、ヒトIgG1を中心とした抗体医薬が利用されるようになり、工業的、製薬的な利用におけるこれらのタンパク質の重要性が高まっている。特に、プロテインAカラムは、抗体医薬の精製において多用されている。多くの抗体医薬の製造プロセスにおいて、プロテインAカラムを用いた精製システムが導入されている。

しかしながら、このプロテインAカラムは、いくつかの問題点が指摘されている。例えば、精製抗体中へプロテインAが混入する問題がある。プロテインAはバクテリア由来のタンパク質であり、人体投与後の免疫原性が高く、エンドトキシンとなりうる。医薬品精製におけるアフィニティリガンドとしてのプロテインAには、不都合物質の混入が起こらないよう、高い精製度が求められている。このことにより、医薬品精製に利用するプロテインAカラムのコストは上昇する。

このような問題を解決すべく、新たなIgG抗体の精製システムの開発が行われている。

例えば、特許文献1には、R1−X01−X02−X03−X04−X05−X06−X07−X08−X09−X10−X11−X12−X13−R2のアミノ酸配列を持つ11〜13残基程度のイムノグロブリン結合性ポリペプチドが記載されている。このポリペプチドは、X02とX12との間でジスルフィド結合(X02=X12=Cである場合)またはアミド結合(X02およびX12の一方がDpr、Dab、KまたはOrnであり、他方がDまたはEである場合;ただし、Dabはジアミノブタン酸、Dprはジアミノプロピオン酸、Ornはオルニチンを表す)を形成して環化した環状ペプチドであってもよいことが記載されている(<0017>〜<0034>)。

また、特許文献2には、(X1−3)−C−(X2)−H−R−G−(Xaa1)−L−V−W−C−(X1−3)で表される13〜17アミノ酸残基からなるIgG結合性ポリペプチドが記載されている。このポリペプチドは、2つのシステイン(C)残基間でジスルフィド結合を形成した環状ペプチドであってもよいことが記載されている(<0042>〜<0044>)。

さらに、特許文献3には、式Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Cys−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Gly−Glu−Leu−Val−Trp−Cys−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13を有する11から20のアミノ酸を有するIgG−Fc結合性ペプチドが記載されている(請求項39)。このペプチドはジスルフィド結合またはラクタム結合の形成により環化できること、ジスルフィド結合を形成することのできる残基は、Cys、Pen、MprおよびMpp等であり、ラクタム結合を形成することのできる残基は、Asp、Glu、Lys、Orn、αβ−ジアミノブチル酸、ジアミノ酢酸アミノ安息香酸およびメルカプト安息香酸等であることが記載されている(<0039>)。

概要

抗体結合性に優れ、しかも薬品耐性が改善された環状ペプチドを提供する。環状ペプチドは、下記式(I)によって表される。 RN−Xg−[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]k−Xh−RC ・・・(I) 式(I)中、RNは、N末端基を表し;RCは、C末端基を表し;X1は、L−ロイシン残基、L−イソロイシン残基、L−メチオニン残基、L−リジン残基またはL−アルギニン残基を表し;X2は、L−バリン残基またはL−イソロイシン残基を表し;X3は、L−トリプトファン残基またはL−フェニルアラニン残基を表し;XaおよびXbの一方は、側鎖にアジド基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、他方は、側鎖にアルキニル基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、かつ、XaおよびXbは、トリアゾール結合を介して結合しており;Xg、Xh、Xi、Xj、XmおよびXnは、それぞれ、連続するg個のX、連続するh個のX、連続するi個のX、連続するj個のX、連続するm個のXおよび連続するn個のXを表し;Xは、アミノ酸残基を表し、Xが複数である場合は、複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよく;g、h、iおよびjは、それぞれ独立に、0以上の整数であり;mおよびnは、0≦m≦9、0≦n≦9、および3≦m+n≦9を同時に満たす整数であり;kは、1以上の整数であり、k≧2である場合は、繰返し単位[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]中のX1、X2、X3、Xa、Xb、Xi、Xj、XmおよびXnは、それぞれ、各繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。

目的

本発明は、抗体結合性に優れ、しかも薬品耐性が改善された環状ペプチドを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

下記式(I)によって表される環状ペプチド。RN−Xg−[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]k−Xh−RC・・・(I)式(I)中、RNは、N末端基を表し;RCは、C末端基を表し;X1は、L−ロイシン残基、L−イソロイシン残基、L−メチオニン残基、L−リジン残基またはL−アルギニン残基を表し;X2は、L−バリン残基またはL−イソロイシン残基を表し;X3は、L−トリプトファン残基またはL−フェニルアラニン残基を表し;XaおよびXbの一方は、側鎖にアジド基を有するアミノ酸由来するアミノ酸残基を表し、他方は、側鎖にアルキニル基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、かつ、XaおよびXbは、トリアゾール結合を介して結合しており;Xg、Xh、Xi、Xj、XmおよびXnは、それぞれ、連続するg個のX、連続するh個のX、連続するi個のX、連続するj個のX、連続するm個のXおよび連続するn個のXを表し;Xは、アミノ酸残基を表し、Xが複数である場合は、複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよく;g、h、iおよびjは、それぞれ独立に、0以上の整数であり;mおよびnは、0≦m≦9、0≦n≦9、および3≦m+n≦9を同時に満たす整数であり;kは、1以上の整数であり、k≧2である場合は、繰返し単位[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]中のX1、X2、X3、Xa、Xb、Xi、Xj、XmおよびXnは、それぞれ、各繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。

請求項2

下記式(IA)によって表される、請求項1に記載の環状ペプチド。RN−Xg−[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]k−Xh−RC・・・(IA)式(IA)中、RN、RC、X1、X2、X3、Xa、Xb、Xg、Xh、Xm、Xn、X、g、h、m、nおよびkは、前記式(I)中におけるものと同義であり;X4r、X5s、Xp1、Xp2、Xq1およびXq2は、それぞれ、連続するr個のX4、連続するs個のX5、連続するp1個のX、連続するp2個のX、連続するq1個のXおよび連続するq2個のXを表し;X4およびX5は、それぞれ独立に、側鎖にカルボキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基または側鎖にヒドロキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、X4またはX5が複数である場合は、複数のX4またはX5は互いに同一であっても異なっていてもよく;p1、p2、q1およびq2は、それぞれ独立に、0以上の整数であり;rおよびsは、それぞれ、0≦r≦5、0≦s≦5、および1≦Max(r,s)≦5を満たす整数であり、ただし、Max(r,s)は、r≠sであるとき、rとsの2数のうち大きい方を表し、r=sであるとき、rまたはsを表し;k≧2である場合は、繰返し単位[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]中のX1、X2、X3、Xa、Xb、X4r、X5s、Xm、Xn、Xp2、Xp1、Xq1およびXq2は、それぞれ、各繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。

請求項3

下記式(IB)によって表される、請求項1に記載の環状ペプチド。RN−Xv1−X6t−Xv2−[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]k−Xw2−X7u−Xw1−RC・・・(IB)式(IB)中、RN、RC、X1、X2、X3、Xa、Xb、Xi、Xj、Xm、Xn、X、i、j、m、nおよびkは、前記式(I)中におけるものと同義であり;X6t、X7u、Xv1、Xv2、Xw1およびXw2は、それぞれ、連続するt個のX6、連続するu個のX7、連続するv1個のX、連続するv2個のX、連続するw1個のXおよび連続するw2個のXを表し;X6およびX7は、それぞれ独立に、側鎖に固定化官能基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、X6またはX7が複数である場合は、複数のX6またはX7は互いに同一であっても異なっていてもよく;tおよびuは、それぞれ、0≦t≦5、0≦u≦5、および1≦Max(t,u)≦5を満たす整数であり、ただし、Max(t,u)は、t≠uであるとき、tとuの2数のうち大きい方を表し、t=uであるとき、tまたはuを表し;v1、v2、w1およびw2は、それぞれ独立に、0以上の整数であり;k≧2である場合は、繰返し単位[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]中のX1、X2、X3、Xa、Xb、Xi、Xj、XmおよびXnは、それぞれ、各繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。

請求項4

下記式(IC)によって表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の環状ペプチド。RN−Xv1−X6t−Xv2−[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]k−Xw2−X7u−Xw1−RC・・・(IC)式(IC)中、RN、RC、X1、X2、X3、Xa、Xb、Xm、Xn、X、m、nおよびkは、前記式(I)中におけるものと同義であり;Xp1、Xp2、Xq1、Xp2、X4r、X5s、X6t、X7u、Xv1、Xv2、Xw1およびXw2は、それぞれ、連続するp1個のX,連続するp2個のX、連続するq1個のX、連続するq2個のX、連続するr個のX4、連続するs個のX5、連続するt個のX6、連続するu個のX7、連続するv1個のX,連続するv2個のX、連続するw1個のXおよび連続するw2個のXを表し;X4およびX5は、それぞれ独立に、側鎖にカルボキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基または側鎖にヒドロキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、X4またはX5が複数である場合は、複数のX4またはX5は互いに同一であっても異なっていてもよく;X6およびX7は、それぞれ独立に、側鎖に固定化官能基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、X6またはX7が複数である場合は、複数のX6またはX7は互いに同一であっても異なっていてもよく;p1、p2、q1およびq2は、それぞれ独立に、0以上の整数であり;rおよびsは、それぞれ、0≦r≦5、0≦s≦5、および1≦Max(r,s)≦5を満たす整数であり、ただし、Max(r,s)は、r≠sであるとき、rとsの2数のうち大きい方を表し、r=sであるとき、rまたはsを表し;tおよびuは、それぞれ、0≦t≦5、0≦u≦5、および1≦Max(t,u)≦5を満たす整数であり、ただし、Max(t,u)は、t≠uであるとき、tとuの2数のうち大きい方を表し、t=uであるとき、tまたはuを表し;v1、v2、w1およびw2は、それぞれ独立に、0以上の整数であり;k≧2である場合は、繰返し単位[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]中のX1、X2、X3、Xa、Xb、X4r、X5s、Xm、Xn、Xp2、Xp1、Xq1およびXq2は、それぞれ、各繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。

請求項5

前記側鎖にカルボキシ基を有するアミノ酸が、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、D−グルタミン酸、L−ホモグルタミン酸およびD−ホモグルタミン酸からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸であり、前記側鎖にヒドロキシ基を有するアミノ酸が、L−セリン、D−セリン、L−ホモセリン、D−ホモセリン、L−チロシン、D−チロシン、L−トレオニン、D−トレオニン、L−アロトレオニンおよびD−アロトレオニンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸である、請求項2または4に記載の環状ペプチド。

請求項6

前記側鎖に固定化官能基を有するアミノ酸が、L−リシン、D−リシン、L−システイン、D−システイン、L−ホモシステインおよびD−ホモシステインからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸である、請求項3または4に記載の環状ペプチド。

請求項7

前記側鎖にアジド基を有するアミノ酸が、β−アジド−L−アラニン、γ−アジド−L−ホモアラニン、δ−アジド−L−ノルバリンおよびε−アジド−L−リシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸であり、前記側鎖にアルキニル基を有するアミノ酸が、L−プロパルギルグリシン、L−ホモプロパルギルグリシンおよびL−ビスホモプロパルギルグリシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の環状ペプチド。

請求項8

前記Xm−X1−X2−X3−Xnが、下記式(1)で表されるアミノ酸配列(配列番号1)または下記式(2)で表されるアミノ酸配列(配列番号2)と、70%以上の配列相同性を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の環状ペプチド。A−Y−H−L1−G−E−L2−V−W・・・(1)A−Y−H−R−G−E−L2−V−W・・・(2)式(1)および式(2)中、AはL−アラニン残基またはD−アラニン残基を表し;YはL−チロシン残基またはD−チロシン残基を表し;HはL−ヒスチジン残基またはD−ヒスチジン残基を表し;L1はL−ロイシン残基またはD−ロイシン残基を表し;RはL−アルギニン残基またはD−アルギニン残基を表し;Gはグリシン残基を表し;EはL−グルタミン酸残基またはD−グルタミン酸残基を表し;L2はL−ロイシン残基を表し;VはL−バリン残基を表し;WはL−トリプトファン残基を表す。

請求項9

k=1である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の環状ペプチド。

請求項10

下記式(II)によって表される、請求項1に記載の環状ペプチド。RN−Xv0−X6t0−Xe0−X4r0−Xp0−Xa−A−Y−H−X8−G−E−L−V−W−Xb−Xq0−X5s0−Xf0−X7u0−Xw0−RC・・・(II)式(II)中、Xa、Xb、X、RNおよびRCは、前記式(I)中におけるものと同義であり;X4およびX5は、それぞれ独立に、側鎖にカルボキシ基またはヒドロキシ基を有するL−アミノ酸残基またはD−アミノ酸残基を表し、X4またはX5が複数である場合は、複数のX4またはX5は互いに同一であっても異なっていてもよく;X6およびX7は、それぞれ独立に、側鎖に固定化官能基を有するL−アミノ酸残基またはD−アミノ酸残基を表し、X6またはX7が複数である場合は、複数のX6またはX7は互いに同一であっても異なっていてもよく;X8はL−ロイシン残基、L−アルギニン残基、D−ロイシン残基およびD−アルギニン残基からなる群から選択されるいずれか1つを表し;e0およびf0は、それぞれ、0≦e0≦10、および0≦f0≦10を満たす整数であり;p0およびq0は、それぞれ、0≦p0≦5、および0≦q0≦5を満たす整数であり;r0およびs0は、それぞれ、0≦r0≦5、および0≦s0≦5を満たす整数であり;t0およびu0は、それぞれ、0≦t0≦5、および0≦u0≦5を満たす整数であり;v0およびw0は、それぞれ、0≦v0≦5、および3≦w0≦5を満たす整数であり;さらに、p0、q0、r0、s0、t0、u0、v0およびw0は、0≦p0+q0+r0+s0+t0+u0+v0+w0≦39を満たし;AはL−アラニン残基またはD−アラニン残基を表し;YはL−チロシン残基またはD−チロシン残基を表し;HはL−ヒスチジン残基またはD−ヒスチジン残基を表し;Gはグリシン残基を表し;EはL−グルタミン酸残基またはD−グルタミン酸残基を表し;LはL−ロイシン残基を表し;VはL−バリン残基を表し;WはL−トリプトファン残基を表す。

請求項11

抗体結合性リガンドである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の環状ペプチド。

請求項12

抗体標識用リンカーである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の環状ペプチド。

請求項13

抗体薬物複合体用リンカーである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の環状ペプチド。

請求項14

薬物運搬体である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の環状ペプチド。

請求項15

水不溶性担体および請求項1〜10のいずれか1項に記載の環状ペプチドを含み、前記水不溶性担体と前記環状ペプチドとが直接または間接的に結合している、アフィニティクロマトグラフィー担体

請求項16

抗体、標識化合物および請求項1〜10のいずれか1項に記載の環状ペプチドを含み、前記抗体と前記標識化合物とが前記環状ペプチドを介して結合している、標識化抗体

請求項17

抗体、薬物および請求項1〜10のいずれか1項に記載の環状ペプチドを含み、前記抗体と前記薬物とが前記環状ペプチドを介して結合している、抗体薬物複合体。

請求項18

前記薬物が、リポソーム化高分子ミセル化またはPEG化された薬物である、請求項17に記載の抗体薬物複合体。

請求項19

薬物および請求項1〜10のいずれか1項に記載の環状ペプチドを含み、前記薬物と前記環状ペプチドとが直接または間接的に結合している、医薬製剤

請求項20

前記薬物が、リポソーム化、高分子ミセル化またはPEG化された薬物である、請求項19に記載の医薬製剤。

技術分野

背景技術

0002

現在、抗体医薬は、最も確実性の高い分子標的医薬として注目されており、新しい医薬品分野を急速に拡大している。現在開発中または上市されている抗体医薬のほとんどはIgG(Immunoglobulin G;免疫グロブリンGクラスに属する抗体を用いるものである。

0003

従来、IgG抗体の精製には、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus;スタフィロコッカスアウレウス由来プロテインAまたはプロテインGタンパク質が用いられている。これらのタンパク質は、マウスウサギのIgGにも結合するため、研究試薬のIgG精製に多用されてきた。近年、ヒトIgG1を中心とした抗体医薬が利用されるようになり、工業的、製薬的な利用におけるこれらのタンパク質の重要性が高まっている。特に、プロテインAカラムは、抗体医薬の精製において多用されている。多くの抗体医薬の製造プロセスにおいて、プロテインAカラムを用いた精製システムが導入されている。

0004

しかしながら、このプロテインAカラムは、いくつかの問題点が指摘されている。例えば、精製抗体中へプロテインAが混入する問題がある。プロテインAはバクテリア由来のタンパク質であり、人体投与後の免疫原性が高く、エンドトキシンとなりうる。医薬品精製におけるアフィニティリガンドとしてのプロテインAには、不都合物質の混入が起こらないよう、高い精製度が求められている。このことにより、医薬品精製に利用するプロテインAカラムのコストは上昇する。

0005

このような問題を解決すべく、新たなIgG抗体の精製システムの開発が行われている。

0006

例えば、特許文献1には、R1−X01−X02−X03−X04−X05−X06−X07−X08−X09−X10−X11−X12−X13−R2のアミノ酸配列を持つ11〜13残基程度のイムノグロブリン結合性ポリペプチドが記載されている。このポリペプチドは、X02とX12との間でジスルフィド結合(X02=X12=Cである場合)またはアミド結合(X02およびX12の一方がDpr、Dab、KまたはOrnであり、他方がDまたはEである場合;ただし、Dabはジアミノブタン酸、Dprはジアミノプロピオン酸、Ornはオルニチンを表す)を形成して環化した環状ペプチドであってもよいことが記載されている(<0017>〜<0034>)。

0007

また、特許文献2には、(X1−3)−C−(X2)−H−R−G−(Xaa1)−L−V−W−C−(X1−3)で表される13〜17アミノ酸残基からなるIgG結合性ポリペプチドが記載されている。このポリペプチドは、2つのシステイン(C)残基間でジスルフィド結合を形成した環状ペプチドであってもよいことが記載されている(<0042>〜<0044>)。

0008

さらに、特許文献3には、式Xaa1−Xaa2−Xaa3−Xaa4−Cys−Xaa5−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Gly−Glu−Leu−Val−Trp−Cys−Xaa9−Xaa10−Xaa11−Xaa12−Xaa13を有する11から20のアミノ酸を有するIgG−Fc結合性ペプチドが記載されている(請求項39)。このペプチドはジスルフィド結合またはラクタム結合の形成により環化できること、ジスルフィド結合を形成することのできる残基は、Cys、Pen、MprおよびMpp等であり、ラクタム結合を形成することのできる残基は、Asp、Glu、Lys、Orn、αβ−ジアミノブチル酸、ジアミノ酢酸アミノ安息香酸およびメルカプト安息香酸等であることが記載されている(<0039>)。

先行技術

0009

米国特許出願公開第2004/0087765号明細書
国際公開第2013/027796号
特開2007−289200号公報

発明が解決しようとする課題

0010

本発明者が、立体構造を制御して抗体結合性を改善することに着目して、特許文献1〜3に記載された抗体結合性環状ペプチドの結合活性および薬品耐性を検討したところ、結合活性または薬品耐性に改善の余地があることを知見した。

0011

そこで、本発明は、抗体結合性に優れ、しかも薬品耐性が改善された環状ペプチドを提供すること目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、架橋部アミノ酸残基が薬品耐性に重要な役割を果たすことを知見し、本発明を完成させた。

0013

すなわち、本発明は、以下の[1]〜[20]を提供する。
[1] 下記式(I)によって表される環状ペプチド。
RN−Xg−[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]k−Xh−RC ・・・(I)
式(I)中、
RNは、N末端基を表し;
RCは、C末端基を表し;
X1は、L−ロイシン残基、L−イソロイシン残基、L−メチオニン残基、L−リジン残基またはL−アルギニン残基を表し;
X2は、L−バリン残基またはL−イソロイシン残基を表し;
X3は、L−トリプトファン残基またはL−フェニルアラニン残基を表し;
XaおよびXbの一方は、側鎖にアジド基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、他方は、側鎖にアルキニル基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、かつ、XaおよびXbは、トリアゾール結合を介して結合しており;
Xg、Xh、Xi、Xj、XmおよびXnは、それぞれ、連続するg個のX、連続するh個のX、連続するi個のX、連続するj個のX、連続するm個のXおよび連続するn個のXを表し;
Xは、アミノ酸残基を表し、Xが複数である場合は、複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよく;
g、h、iおよびjは、それぞれ独立に、0以上の整数であり;
mおよびnは、0≦m≦9、0≦n≦9、および3≦m+n≦9を同時に満たす整数であり;
kは、1以上の整数であり、k≧2である場合は、繰返し単位[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]中のX1、X2、X3、Xa、Xb、Xi、Xj、XmおよびXnは、それぞれ、各繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。
[2] 下記式(IA)によって表される、上記[1]に記載の環状ペプチド。
RN−Xg−[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]k−Xh−RC ・・・(IA)
式(IA)中、
RN、RC、X1、X2、X3、Xa、Xb、Xg、Xh、Xm、Xn、X、g、h、m、nおよびkは、上記式(I)中におけるものと同義であり;
X4r、X5s、Xp1、Xp2、Xq1およびXq2は、それぞれ、連続するr個のX4、連続するs個のX5、連続するp1個のX、連続するp2個のX、連続するq1個のXおよび連続するq2個のXを表し;
X4およびX5は、それぞれ独立に、側鎖にカルボキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基または側鎖にヒドロキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、X4またはX5が複数である場合は、複数のX4またはX5は互いに同一であっても異なっていてもよく;
p1、p2、q1およびq2は、それぞれ独立に、0以上の整数であり;
rおよびsは、それぞれ、0≦r≦5、0≦s≦5、および1≦Max(r,s)≦5を満たす整数であり、ただし、Max(r,s)は、r≠sであるとき、rとsの2数のうち大きい方を表し、r=sであるとき、rまたはsを表し;
k≧2である場合は、繰返し単位[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]中のX1、X2、X3、Xa、Xb、X4r、X5s、Xm、Xn、Xp2、Xp1、Xq1およびXq2は、それぞれ、各繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。
[3] 下記式(IB)によって表される、上記[1]に記載の環状ペプチド。
RN−Xv1−X6t−Xv2−[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]k−Xw2−X7u−Xw1−RC ・・・(IB)
式(IB)中、
RN、RC、X1、X2、X3、Xa、Xb、Xi、Xj、Xm、Xn、X、i、j、m、nおよびkは、上記式(I)中におけるものと同義であり;
X6t、X7u、Xv1、Xv2、Xw1およびXw2は、それぞれ、連続するt個のX6、連続するu個のX7、連続するv1個のX、連続するv2個のX、連続するw1個のXおよび連続するw2個のXを表し;
X6およびX7は、それぞれ独立に、側鎖に固定化官能基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、X6またはX7が複数である場合は、複数のX6またはX7は互いに同一であっても異なっていてもよく;
tおよびuは、それぞれ、0≦t≦5、0≦u≦5、および1≦Max(t,u)≦5を満たす整数であり、ただし、Max(t,u)は、t≠uであるとき、tとuの2数のうち大きい方を表し、t=uであるとき、tまたはuを表し;
v1、v2、w1およびw2は、それぞれ独立に、0以上の整数であり;
k≧2である場合は、繰返し単位[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]中のX1、X2、X3、Xa、Xb、Xi、Xj、XmおよびXnは、それぞれ、各繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。
[4] 下記式(IC)によって表される、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
RN−Xv1−X6t−Xv2−[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]k−Xw2−X7u−Xw1−RC ・・・(IC)
式(IC)中、
RN、RC、X1、X2、X3、Xa、Xb、Xm、Xn、X、m、nおよびkは、上記式(I)中におけるものと同義であり;
Xp1、Xp2、Xq1、Xp2、X4r、X5s、X6t、X7u、Xv1、Xv2、Xw1およびXw2は、それぞれ、連続するp1個のX,連続するp2個のX、連続するq1個のX、連続するq2個のX、連続するr個のX4、連続するs個のX5、連続するt個のX6、連続するu個のX7、連続するv1個のX,連続するv2個のX、連続するw1個のXおよび連続するw2個のXを表し;
X4およびX5は、それぞれ独立に、側鎖にカルボキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基または側鎖にヒドロキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、X4またはX5が複数である場合は、複数のX4またはX5は互いに同一であっても異なっていてもよく;
X6およびX7は、それぞれ独立に、側鎖に固定化官能基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、X6またはX7が複数である場合は、複数のX6またはX7は互いに同一であっても異なっていてもよく;
p1、p2、q1およびq2は、それぞれ独立に、0以上の整数であり;
rおよびsは、それぞれ、0≦r≦5、0≦s≦5、および1≦Max(r,s)≦5を満たす整数であり、ただし、Max(r,s)は、r≠sであるとき、rとsの2数のうち大きい方を表し、r=sであるとき、rまたはsを表し;
tおよびuは、それぞれ、0≦t≦5、0≦u≦5、および1≦Max(t,u)≦5を満たす整数であり、ただし、Max(t,u)は、t≠uであるとき、tとuの2数のうち大きい方を表し、t=uであるとき、tまたはuを表し;
v1、v2、w1およびw2は、それぞれ独立に、0以上の整数であり;
k≧2である場合は、繰返し単位[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]中のX1、X2、X3、Xa、Xb、X4r、X5s、Xm、Xn、Xp2、Xp1、Xq1およびXq2は、それぞれ、各繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。
[5] 上記側鎖にカルボキシ基を有するアミノ酸が、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、D−グルタミン酸、L−ホモグルタミン酸およびD−ホモグルタミン酸からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸であり、上記側鎖にヒドロキシ基を有するアミノ酸が、L−セリン、D−セリン、L−ホモセリン、D−ホモセリン、L−チロシン、D−チロシン、L−トレオニン、D−トレオニン、L−アロトレオニンおよびD−アロトレオニンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸である、上記[2]または[4]に記載の環状ペプチド。
[6] 上記側鎖に固定化官能基を有するアミノ酸が、L−リシン、D−リシン、L−システイン、D−システイン、L−ホモシステインおよびD−ホモシステインからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸である、上記[3]または[4]に記載の環状ペプチド。
[7] 上記側鎖にアジド基を有するアミノ酸が、β−アジド−L−アラニン、γ−アジド−L−ホモアラニン、δ−アジド−L−ノルバリンおよびε−アジド−L−リシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸であり、上記側鎖にアルキニル基を有するアミノ酸が、L−プロパルギルグリシン、L−ホモプロパルギルグリシンおよびL−ビスホモプロパルギルグリシンからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸である、上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
[8] Xm−X1−X2−X3−Xnが、下記式(1)で表されるアミノ酸配列(配列番号1)または下記式(2)で表されるアミノ酸配列(配列番号2)と、70%以上の配列相同性を有する、上記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
A−Y−H−L1−G−E−L2−V−W ・・・(1)
A−Y−H−R−G−E−L2−V−W ・・・(2)
式(1)および式(2)中、
AはL−アラニン残基またはD−アラニン残基を表し;
YはL−チロシン残基またはD−チロシン残基を表し;
HはL−ヒスチジン残基またはD−ヒスチジン残基を表し;
L1はL−ロイシン残基またはD−ロイシン残基を表し;
RはL−アルギニン残基またはD−アルギニン残基を表し;
Gはグリシン残基を表し;
EはL−グルタミン酸残基またはD−グルタミン酸残基を表し;
L2はL−ロイシン残基を表し;
VはL−バリン残基を表し;
WはL−トリプトファン残基を表す。
[9] k=1である、上記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
[10] 下記式(II)によって表される、上記[1]に記載の環状ペプチド。
RN−Xv0−X6t0−Xe0−X4r0−Xp0−Xa−A−Y−H−X8−G−E−L−V−W−Xb−Xq0−X5s0−Xf0−X7u0−Xw0−RC ・・・(II)
式(II)中、
Xa、Xb、X、RNおよびRCは、上記式(I)中におけるものと同義であり;
X4およびX5は、それぞれ独立に、側鎖にカルボキシ基またはヒドロキシ基を有するL−アミノ酸残基またはD−アミノ酸残基を表し、X4またはX5が複数である場合は、複数のX4またはX5は互いに同一であっても異なっていてもよく;
X6およびX7は、それぞれ独立に、側鎖に固定化官能基を有するL−アミノ酸残基またはD−アミノ酸残基を表し、X6またはX7が複数である場合は、複数のX6またはX7は互いに同一であっても異なっていてもよく;
X8はL−ロイシン残基、L−アルギニン残基、D−ロイシン残基およびD−アルギニン残基からなる群から選択されるいずれか1つを表し;
e0およびf0は、それぞれ、0≦e0≦10、および0≦f0≦10を満たす整数であり;
p0およびq0は、それぞれ、0≦p0≦5、および0≦q0≦5を満たす整数であり;
r0およびs0は、それぞれ、0≦r0≦5、および0≦s0≦5を満たす整数であり;
t0およびu0は、それぞれ、0≦t0≦5、および0≦u0≦5を満たす整数であり;
v0およびw0は、それぞれ、0≦v0≦5、および3≦w0≦5を満たす整数であり;
さらに、p0、q0、r0、s0、t0、u0、v0、およびw0は、0≦p0+q0+r0+s0+t0+u0+v0+w0≦39を満たし;
AはL−アラニン残基またはD−アラニン残基を表し;
YはL−チロシン残基またはD−チロシン残基を表し;
HはL−ヒスチジン残基またはD−ヒスチジン残基を表し;
Gはグリシン残基を表し;
EはL−グルタミン酸残基またはD−グルタミン酸残基を表し;
LはL−ロイシン残基を表し;
VはL−バリン残基を表し;
WはL−トリプトファン残基を表す。
[11] 抗体結合性リガンドである、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
[12] 抗体標識用リンカーである、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
[13]抗体薬物複合体用リンカーである、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
[14]薬物運搬体である、上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の環状ペプチド。
[15]水不溶性担体および上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の環状ペプチドを含み、
上記水不溶性担体と上記環状ペプチドとが直接または間接的に結合している、アフィニティクロマトグラフィー担体。
[16] 抗体、標識化合物および上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の環状ペプチドを含み、
上記抗体と上記標識化合物とが上記環状ペプチドを介して結合している、標識化抗体。
[17] 抗体、薬物および上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の環状ペプチドを含み、
上記抗体と上記薬物とが上記環状ペプチドを介して結合している、抗体薬物複合体。
[18] 上記薬物が、リポソーム化高分子ミセル化またはPEG化された薬物である、上記[17]に記載の抗体薬物複合体。
[19] 薬物および上記[1]〜[10]のいずれか1つに記載の環状ペプチドを含み、
上記薬物と上記環状ペプチドとが直接または間接的に結合している、医薬製剤。
[20] 上記薬物が、リポソーム化、高分子ミセル化またはPEG化された薬物である、上記[19]に記載の医薬製剤。

発明の効果

0014

本発明によれば、抗体結合性に優れ、しかも薬品耐性が改善された環状ペプチドが提供される。

0015

[環状ペプチド]
まず、本発明の従来技術に無い特徴を記載する。
特許文献1〜3には、2つのシステイン残基間でジスルフィド結合を形成して環化した環状ペプチドが記載されている。しかし、後述する比較例2の相対結合活性および薬品耐性の評価結果によれば、2つのシステイン残基間のジスルフィド結合により環化した環状ペプチドは、抗体結合性は優れるものの、薬品耐性が劣り、所望の性能を得ることができない。
また、特許文献1には、2つのアミノ酸残基間で側鎖アミノ基と側鎖カルボキシ基との反応によりアミド結合を形成して環化した環状ペプチドが記載され、特許文献3には、N末端アミノ基または側鎖アミノ基と側鎖カルボキシ基とがラクタム結合(アミド結合)を形成して環化した環状ペプチドが記載されている。しかし、後述する比較例1の相対結合活性および薬品耐性の評価結果によれば、側鎖アミノ基および側鎖カルボキシ基間のアミド結合により環化した環状ペプチドは、薬品耐性は優れるものの、抗体結合性が劣り、所望の性能を得ることができない。
これに対して、本発明では、後述する構成を採用したことによって、抗体結合性に優れ、しかも薬品耐性が改善された環状ペプチドを得ることができた。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される範囲は、その範囲に「〜」の前後に記載された両端を含む範囲を意味する。例えば、「A〜B」はAおよびBを含む範囲を意味する。また、「以上」または「以下」を用いて表される範囲は、それぞれ、その範囲に「以上」または「以下」記載されたものを含む範囲を意味する。例えば、「C以上」はCおよびCよりも上の範囲を意味し、「D以下」はDおよびDよりも下の範囲を意味する。

0016

本発明において、アミノ酸は、原則として、国際純正応用化学連合と国際生化学分子生物学連合による共同命名委員会(INTERATINALUNION OF PURE ANDAPPLIED CHEMISTRY and INTERNATIONAL UNION OF BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY IUPAC−IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature (JCBN))で採用された名称略号等を用いて表す。また、アミノ酸残基は、そのアミノ酸残基が由来するアミノ酸の略号を用いて表す。なお、アミノ酸残基には、N末端アミノ酸残基(「N末端残基」ともいう。)およびC末端アミノ酸残基(「C末端残基」ともいう。)を含む。
特に明示しない限り、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列(「1次構造」ともいう。)は、左端から右端にかけてN末端からC末端となるようにアミノ酸残基を1列に並べて表す。ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列中のアミノ酸残基を位置も含めて特定する場合には、アミノ酸残基の略号の右側にN末端側からの何番目のアミノ酸残基であるかを示す数字を付して表す場合がある。例えば、N末端から2番目のL−リシンをLys2と表す場合がある。

0017

また、アミノ酸をその名称を用いて表した場合であって、エナンチオマーの関係にある異性体、すなわち、L体およびD体が存在するときは、L体およびD体の別を明示的に示した場合を除いて、原則としてL体を表すものとする。例えば、「イソロイシン」は「L−イソロイシン」を表すものとし、「イソロイシン」のエナンチオマーは「D−イソロイシン」と表すものとする。アミノ酸残基についても同様である。

0018

また、アミノ酸をその略号(3文字略号または1文字略号)を用いて表した場合であって、エナンチオマーの関係にある異性体、すなわち、L体およびD体が存在するときは、L体およびD体の別を明示的に示した場合を除いて、原則としてL体を表すものとする。ただし、任意のアミノ酸を表す「X」はこの限りではない。例えば、「Lys」および「L−Lys」はいずれも「L−リシン」を表すものとし、「D−Lys」は「D−リシン」を表すものとする。アミノ酸残基についても同様である。

0019

また、アミノ酸をその名称を用いて表した場合であって、ジアステレオマーの関係にある異性体が存在する場合は、その名称により特定されるアミノ酸には含まれないものとする。ジアステレオマーは接頭辞アロ」を用いて異なる種類のアミノ酸として扱う。例えば、「トレオニン」および「L−トレオニン」は「L−アロトレオニン」を含まず、「D−トレオニン」は「D−アロトレオニン」を含まないものとする。アミノ酸残基についても同様である。

0020

1文字略号および3文字略号が公式に認められたアミノ酸の名称および略号(1文字略号、3文字略号)を表1に示す。

0021

0022

アミノ酸は、表1に挙げるものに限定されず、異常アミノ酸と称されるアミノ酸を使用することもできる。異常アミノ酸の例は以下の表2に挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0023

0024

以下、本発明の環状ペプチドについて詳細に説明する。
本発明の環状ペプチドは、下記式(I)によって表される環状ペプチドである。
RN−Xg−[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]k−Xh−RC ・・・(I)

0025

式(I)中、例えば、Xnは、n個のXが連結していることを意図する。言い換えれば、−(X)n−ともいえる。なお、Xg、Xh、Xi、XjおよびXmの定義も、上記Xnと同様である。

0026

本発明の環状ペプチドにおいて、ポリペプチド鎖のうち、架橋によって閉じた環の部分を環状部、環状部に含まれない部分を直鎖部という。また、環状部のうち、本発明の環状ペプチドの分子内架橋構造を形成している部分を架橋部といい、本発明の環状ペプチドの抗体結合性に強く寄与する分を抗体結合部という。
式(I)によって表される環状ペプチドの環状部は「Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb」部分であり、直鎖部は「Xg」、「Xh」、「Xi」および「Xj」であり、架橋部は「Xa」および「Xb」であり、抗体結合部は「X1−X2−X3」である。
また、式(I)中、[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]を繰返し部という場合がある。

0027

上記式(I)において、X1は、L−ロイシン残基、L−イソロイシン残基、L−メチオニン残基、L−リジン残基またはL−アルギニン残基であり、好ましくはL−ロイシン残基またはL−イソロイシン残基であり、より好ましくはL−ロイシン残基である。
また、上記式(I)において、X2は、L−バリン残基またはL−イソロイシン残基であり、好ましくはL−バリン残基である。
また、上記式(I)において、X3は、L−トリプトファン残基またはL−フェニルアラニン残基であり、好ましくはL−トリプトファン残基である。

0028

上記式(I)において、XaおよびXbの一方は、側鎖にアジド基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基であり、他方は、側鎖にアルキニル基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基であり、かつ、XaおよびXbは、トリアゾール結合を介して結合している。なお、本発明においては、側鎖にアジド基を有するアミノ酸を「アジド基含有アミノ酸」といい、側鎖にアルキニル基を有するアミノ酸を「アルキニル基含有アミノ酸」という場合がある。

0029

ここで、トリアゾール結合は、下記式で表されるヒュスゲン反応によってアジド基とアルキニル基とから形成される結合である。

0030

0031

ただし、上記式中、Rはアジド基含有アミノ酸残基(アジド基を側鎖に有するアミノ酸残基をいう。)のアジド基以外の部分を表し、R’はアルキニル基含有アミノ酸残基(側鎖にアルキニル基を有するアミノ酸残基をいう。)のエチニル基以外の部分を表す。

0032

上記側鎖にアジド基を有するアミノ酸としては、側鎖が下記式(a)で表されるものが好ましい。
−R11−N3 (a)
式(a)中、R11は、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、より好ましくはメチレン基エチレン基プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基またはブタン−2,3−ジイル基を表し、さらに好ましくはメチレン基、エチレン基またはブタン−1,4−ジイル基を表す。経済性または架橋反応性の観点からは短鎖が好ましいが、これらの理由によって制限されるものではない。
なお、アジド基は「−N3」と表記するほか、「−N=N+=N−」または「−N−−N+≡N」等と表記することもある。

0033

上記側鎖にアルキニル基を有するアミノ酸としては、側鎖が下記式(b)で表されるものが好ましい。
−R12−C≡CH (b)
式(b)中、R12は、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基を表し、より好ましくはメチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基またはブタン−2,3−ジイル基を表し、さらに好ましくはメチレン基、エチレン基またはプロパン−1,2−ジイル基を表し、いっそう好ましくはメチレン基またはエチレン基を表す。経済性または架橋反応性の観点からは短鎖が好ましいが、これらの理由によって制限されるものではない。

0034

上記XaおよびXbは、好ましくは、一方が、β−アジド−L−アラニン、γ−アジド−L−ホモアラニン、δ−アジド−L−ノルバリンまたはε−アジド−L−リシンに由来するアミノ酸残基であり、他方が、L−プロパルギルグリシン、L−ホモプロパルギルグリシンまたはL−ビスホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基であり、より好ましくは、一方が、β−アジド−L−アラニン、γ−アジド−L−ホモアラニン、δ−アジド−L−ノルバリンまたはε−アジド−L−リシンに由来するアミノ酸残基であり、他方が、L−ホモプロパルギルグリシンまたはL−ビスホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基であり、さらに好ましくは、一方が、β−アジド−L−アラニン、γ−アジド−L−ホモアラニンまたはε−アジド−L−リシンに由来するアミノ酸残基であり、他方が、L−ホモプロパルギルグリシンまたはL−ビスホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基である。

0035

式(I)中、Xは、アミノ酸残基を表し、Xが複数である場合は、複数のXは互いに同一であっても異なっていてもよい。
上記Xは、アミノ酸残基であればよく、特に限定されないが、表1に示すアミノ酸(B、ZおよびXを除く。)および表2に示すアミノ酸からなる群から選択されるアミノ酸に由来するアミノ酸残基であることが好ましく、表1に示すアミノ酸(B、ZおよびXを除く。)からなる群から選択されるアミノ酸に由来するアミノ酸残基であることがより好ましい。また、存在する場合には、これらのアミノ酸のエナンチオマーまたはジアステレオマーに由来するアミノ酸残基であってもよい。

0036

式(I)中、RNは、N末端基を表す。
上記N末端基としては、例えば、アミノ基が挙げられ、当該アミノ基は、N−アセチル化、N−ホルミル化またはN−アシル化等のN末端修飾がされていてもよい。

0037

式(I)中、RCは、C末端基を表す。
上記C末端基としては、例えば、カルボキシ基が挙げられ、当該カルボキシ基は、アミド化等のC末端修飾がされていてもよい。

0038

式(I)中、gおよびhは、それぞれ独立に、0以上の整数である。
gは、好ましくは0≦g≦20を満たし、より好ましくは0≦g≦10を満たし、さらに好ましくは0≦g≦5を満たす。
hは、好ましくは0≦h≦20を満たし、より好ましくは0≦h≦10を満たし、さらに好ましくは0≦h≦5を満たす。

0039

式(I)中、iおよびjは、それぞれ独立に、0以上の整数である。
iは、好ましくは0≦i≦20を満たし、より好ましくは0≦i≦10を満たし、さらに好ましくは0≦i≦5を満たす。
jは、好ましくは0≦j≦20を満たし、より好ましくは0≦j≦10を満たし、さらに好ましくは0≦j≦5を満たす。

0040

式(I)中、mおよびnは、それぞれ、0≦m≦9、および0≦n≦9を満たす整数である。
さらに、mおよびnは、3≦m+n≦9を満たし、好ましくは4≦m+n≦8を満たし、より好ましくは5≦m+n≦7を満たす。

0041

上記式(I)において、環状部[Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb]のアミノ酸残基数[(m+n+5)残基]は、8〜14残基であり、好ましくは9〜13残基であり、より好ましくは10〜12残基である。
環状部のアミノ酸残基数がこの範囲内であると、環状ペプチドの分子内ひずみが大きくなり過ぎず、αヘリックス等の高次構造が安定化するため、本発明の環状ペプチドの抗体結合性が優れる。

0042

kは、k≧1を満たす整数であり、好ましくは1≦k≦3であり、より好ましくは1≦k≦2であり、さらに好ましくはk=1である。
繰返し単位の数は、特に限定されるものではないが、繰返し単位の数が多いほど環状部を多く含むことができるため、環状ペプチドの抗体結合性を向上させることができる可能性があり、繰返し単位の数が少ないほど総アミノ酸基数を少なくできるため、環状ペプチドの抗原性を抑制することができる可能性がある。環状ペプチドの合成コストの観点からは、アミノ酸残基数が少ない方が好ましく、繰返し単位の数の少ないことが好ましい。

0043

また、k≧2である場合、すなわち、式(I)によって表される環状ペプチドが繰返し単位[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]を2個以上含む場合は、繰返し単位中のX1、X2、X3、Xa、Xb、Xi、Xj、XmおよびXnは、それぞれ、繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。

0044

さらに、上記式(I)において、環状ペプチドの総アミノ酸残基数は、好ましくは8〜50残基であり、より好ましくは9〜40残基であり、さらに好ましくは10〜30残基であり、いっそう好ましくは10〜20残基である。
すなわち式(I)中、g、h、j、j、m、nおよびkは、好ましくは8≦g+h+(i+j+m+n+5)×k≦50を満たし、より好ましくは9≦g+h+(i+j+m+n+5)×k≦40を満たし、さらに好ましくは10≦g+h+(i+j+m+n+5)×k≦30を満たし、いっそう好ましくは10≦g+h+(i+j+m+n+5)×k≦20を満たす。
通常、アミノ酸残基数が多くなるほど製造コストが高くなるため、経済的な観点からは、アミノ酸残基の総数は少ない方が好ましい。

0045

また、上記式(I)によって表される環状ペプチドの分子量は、特に限定されるものではないが、抗原性の観点から、本発明の環状ペプチドの分子量は、好ましくは約5000以下であり、より好ましくは約4000以下であり、さらに好ましくは約3000以下であり、最も好ましくは約2000以下である。ここで、「約」は±2%の範囲を含むことを意味する。

0046

また、本発明の環状ペプチドは、好ましくは、下記式(IA)によって表される環状ペプチドである。
RN−Xg−[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]k−Xh−RC ・・・(IA)

0047

式(IA)中、RN、RC、X1、X2、X3、Xa、Xb、Xg、Xh、Xm、Xn、X、g、h、m、nおよびkは、いずれも、上記式(I)中におけるものと同義である。
また、式(IA)中、Xnは、式(I)中のXnと同様に、Xがn個連結していることを意図する。Xm、Xp1、Xp2、Xq1およびXq2についても同様である。
さらに、式(IA)中、X4rおよびX5sは、それぞれ、X4がr個連結していること、およびX5がs個連結していること、を意図する。

0048

式(IA)によって表される環状ペプチドの直鎖部は「Xg」、「Xh」、「Xp2−X4r−Xp1」および「Xq1−X5s−Xq2」である。環状部、架橋部および抗体結合部は式(I)で表される環状ペプチドと同様である。
また、式(IA)中、繰返し単位は[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]である。

0049

式(IA)中、X4およびX5は、それぞれ独立に、側鎖にカルボキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基または側鎖にヒドロキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表す。

0050

上記側鎖にカルボキシ基を有するアミノ酸としては、例えば、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、D−グルタミン酸、L−ホモグルタミン酸およびD−ホモグルタミン酸等が挙げられる。

0051

上記側鎖にヒドロキシ基を有するアミノ酸としては、例えば、L−セリン、D−セリン、L−ホモセリン、D−ホモセリン、L−チロシン、D−チロシン、L−トレオニン、D−トレオニン、L−アロトレオニンおよびD−アロトレオニン等が挙げられる。

0052

上記X4およびX5は、好ましくは、それぞれ独立に、L−セリン残基、D−セリン残基、L−ホモセリン残基、D−ホモセリン残基、L−アスパラギン酸残基、D−アスパラギン酸残基、L−グルタミン酸残基、D−グルタミン酸残基、L−ホモグルタミン酸残基、D−ホモグルタミン酸残基、L−チロシン残基、D−チロシン残基、L−ホモチロシン残基、D−ホモチロシン残基、L−トレオニン残基、D−トレオニン残基、L−アロトレオニン残基およびD−アロトレオニン残基からなる群から選択されるアミノ酸残基であり、より好ましくは、それぞれ独立に、L−アスパラギン酸残基、D−アスパラギン酸残基、L−トレオニン残基およびD−トレオニン残基からなる群から選択されるアミノ酸残基であり、さらに好ましくは、X4がL−アスパラギン酸残基であり、かつ、X5がL−トレオニン残基である。

0053

上記X4およびX5が、それぞれ独立に、側鎖にカルボキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基または側鎖にヒドロキシ基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基であると、環状部の抗体結合部と抗体とが水素結合および/または静電相互作用により、さらに強く相互作用することができ、抗体結合性が改善すると考えられる。

0054

式(IA)中、p1、p2、q1およびq2は、それぞれ独立に、0以上の整数である。
p1は、好ましくは0≦p1≦20を満たし、より好ましくは0≦p1≦10を満たし、さらに好ましくは0≦p1≦5を満たし、いっそう好ましくは0≦p1≦2を満たす。
p2は、好ましくは0≦p2≦20を満たし、より好ましくは0≦p2≦10を満たし、さらに好ましくは0≦p2≦5を満たし、いっそう好ましくは0≦p2≦2を満たす。
q1は、好ましくは0≦q1≦20を満たし、より好ましくは0≦q1≦10を満たし、さらに好ましくは0≦q1≦5を満たし、いっそう好ましくは0≦q1≦2を満たす。
q2は、好ましくは0≦q2≦20を満たし、より好ましくは0≦q2≦10を満たし、さらに好ましくは0≦q2≦5を満たし、いっそう好ましくは0≦q2≦2を満たす。

0055

式(IA)中、rおよびsは、それぞれ、0≦r≦5、0≦s≦5、および1≦Max(r,s)≦5を満たす整数であり、好ましくは、0≦r≦4、0≦s≦4、および1≦Max(r,s)≦4を満たす整数であり、より好ましくは、0≦r≦3、0≦s≦3、および1≦Max(r,s)≦3を満たす整数である。
ただし、Max(r,s)は、r≠sであるとき、rとsの2数のうち大きい方を表し、r=sであるとき、rまたはsを表す。

0056

上記式(IA)において、環状部[Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb]のアミノ酸残基数[(m+n+5)残基]は、上記式(I)と同様に、8〜14残基であり、好ましくは9〜13残基であり、より好ましくは10〜12残基である。
環状部のアミノ酸残基数がこの範囲内であると、環状ペプチドの分子内ひずみが大きくなり過ぎず、αヘリックス等の高次構造が安定化するため、本発明の環状ペプチドの抗体結合性が優れる。

0057

また、k≧2である場合、すなわち、式(IA)によって表される環状ペプチドが繰返し単位[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]を2個以上含む場合は、繰返し単位中のX1、X2、X3、Xa、Xb、X4r、X5s、Xm、Xn、Xp2、Xp1、Xq1およびXq2は、それぞれ、繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。

0058

さらに、上記式(IA)において、環状ペプチドの総アミノ酸残基数は、好ましくは8〜50残基であり、より好ましくは9〜40残基であり、さらに好ましくは10〜30残基であり、いっそう好ましくは10〜20残基である。
すなわち、式(IA)中、g、h、m、n、p1、p2、q1、q2、r、sおよびkは、好ましくは8≦g+h+(m+n+p1+p2+q1+q2+r+s+5)×k≦50を満たし、より好ましくは9≦g+h+(m+n+p1+p2+q1+q2+r+s+5)×k≦40を満たし、さらに好ましくは10≦g+h+(m+n+p1+p2+q1+q2+r+s+5)×k≦30を満たし、いっそう好ましくは10≦g+h+(m+n+p1+p2+q1+q2+r+s+5)×k≦20を満たす。
通常、アミノ酸残基数が多くなるほど製造コストが高くなるため、経済的な観点からは、アミノ酸残基の総数は少ない方が好ましい。

0059

また、本発明の環状ペプチドは、好ましくは下記式(IB)によって表される環状ペプチドである。
RN−Xv1−X6t−Xv2−[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]k−Xw2−X7u−Xw1−RC ・・・(IB)

0060

式(IB)中、RN、RC、X1、X2、X3、Xa、Xb、Xi、Xj、Xm、Xn、X、i、j、m、nおよびkは、いずれも、上記式(I)中におけるものと同義である。
また、式(IB)中、Xnは、式(I)中のXnと同様に、Xがn個連結していることを意図する。Xm、Xv1、Xv2、Xw1およびXw2についても同様である。
さらに、式(IB)中、X6tおよびX7uは、それぞれ、X6がt個連結していること、およびX7がu個連結していること、を意図する。

0061

式(IB)によって表される環状ペプチドの直鎖部は「Xi」、「Xj」、「Xv1−X6t−Xv2」および「Xw2−X7u−Xw1」である。環状部、架橋部および抗体結合部は式(I)で表される環状ペプチドと同様である。
また、式(IB)中、繰返し単位は、式(I)と同様に、[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]である。

0062

式(IB)中、X6およびX7は、それぞれ独立に、側鎖に固定化官能基を有するアミノ酸に由来するアミノ酸残基を表し、X6またはX7が複数である場合は、複数のX6またはX7は互いに同一であっても異なっていてもよい。

0063

上記「固定化官能基」とは、担体上の官能基と反応して共有結合を形成することができる官能基をいう。なお、「担体」については後述する。
このような固定化官能基としては、例えば、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、チオール基アルデヒド基(「ホルミル基」ともいう。)、カルバモイル基、アジド基およびアルキニル基等が挙げられる。
本発明の環状ペプチドが有する固定化官能基と担体上の官能基の組合せとしては、アミノ基とカルボキシ基(アミド結合形成反応)、アミノ基とアルデヒド基(還元的アミノ化反応)、アミノ基とエポキシ基、ヒドロキシ基とエポキシ基、カルボキシ基とヒドロキシ基(エステル結合形成反応)、チオール基とチオール基(ジスルフィド結合)、チオール基とエポキシ基およびアジド基とアルキニル基(ヒュゲン環化付加反応)等が挙げられる。
本発明の環状ペプチドが有する固定化官能基と担体上の官能基とが反応して共有結合を形成することにより、本発明の環状ペプチドが担体に固定化される。なお、本発明の環状ペプチドが有する固定化官能基の少なくとも一部が担体上の官能基と反応して共有結合を形成すればよく、すべての固定化官能基が担体上の官能基と反応しなくてもよい。

0064

上記側鎖に固定化官能基を有するアミノ酸において、固定化官能基は、好ましくはアミノ基、チオール基およびアルデヒド基からなる群から選択される少なくとも1つであり、より好ましくはアミノ基およびチオール基からなる群から選択される少なくとも1つである。

0065

上記側鎖に固定化官能基を有するアミノ酸は、好ましくは、L−リシン、D−リシン、L−システイン、D−システイン、L−ホモシステインおよびD−ホモシステインからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸である。

0066

アミノ基を固定化官能基として用いることによって、担体上のカルボキシ基とアミド結合を介して結合することができ、容易にアフィニティリガンドとしての本発明の環状ペプチドを固定化することができる。

0067

また、チオール基を固定化官能基として使用することによって、担体上のエポキシ基と共有結合を介して結合することができ、容易にアフィニティリガンドとしての本発明の環状ペプチドを固定化することができる。

0068

側鎖にアミノ基を有するアミノ酸として、L−リシンおよびD−リシン等があり、側鎖にチオール基を有するアミノ酸として、L−システイン、D−システインがあり、これらは比較的安価であることから、本発明の環状ペプチドの製造コストを抑制することができるため、経済的な観点から好ましい。

0069

なお、本発明において「担体」とは、本発明の環状ペプチドを固定化することができる基材をいう。担体は本発明の環状ペプチドが有する固定化官能基と反応して共有結合を形成することができる官能基を有する。この官能基は固定化官能基によって適宜選択される。
担体を構成する材料としては、例えば、アガロースデキストランデンプンセルロースプルランキチンキトサン三酢酸セルロースおよび二酢酸セルロース等の多糖類およびその誘導体、ならびに、ポリアクリルアミドポリメタクリルアミドポリアクリレートポリメタクリレートポリアルキルビニルエーテルおよびポリビニルアルコール等のビニル系重合体等が挙げられる。これらの材料は、機械的強度を確保できることから、架橋構造を形成していてもよい。担体はこれらのうち1種類または2種類以上の材料からなることが好ましい。
また、担体は好ましくは多孔質担体であり、より好ましくは多孔質膜または多孔質粒子であり、さらに好ましくは多孔質粒子である。

0070

式(IB)中、tおよびuは、それぞれ、0≦t≦5、0≦u≦5、および1≦Max(t,u)≦5を満たす整数であり、好ましくは0≦t≦4、0≦u≦4、1≦Max(t,u)≦4を満たす整数であり、より好ましくは0≦t≦3、0≦u≦3、1≦Max(t,u)≦3を満たす整数である。
ただし、Max(t,u)は、t≠uであるとき、tとuの2数のうち大きい方を表し、t=uであるとき、tまたはuを表す。

0071

式(IB)中、v1、v2、w1およびw2は、それぞれ独立に、0以上の整数である。
v1は、好ましくは0≦v1≦20を満たし、より好ましくは0≦v1≦10を満たし、さらに好ましくは0≦v1≦5を満たし、いっそう好ましくは0≦v1≦2を満たす。
v2は、好ましくは0≦v2≦20を満たし、より好ましくは0≦v2≦10を満たし、さらに好ましくは0≦v2≦5を満たし、いっそう好ましくは0≦v2≦2を満たす。
w1は、好ましくは0≦w1≦20を満たし、より好ましくは0≦w1≦10を満たし、さらに好ましくは0≦w1≦5を満たし、いっそう好ましくは0≦w1≦2を満たす。
w2は、好ましくは0≦w2≦20を満たし、より好ましくは0≦w2≦10を満たし、さらに好ましくは0≦w2≦5を満たし、いっそう好ましくは0≦w2≦2を満たす。

0072

また、上記式(IB)において、環状部[Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb]のアミノ酸残基数[(m+n+5)残基]は、上記式(I)と同様に、8〜14残基であり、好ましくは9〜13残基であり、より好ましくは10〜12残基である。
環状部のアミノ酸残基数がこの範囲内であると、環状ペプチドの分子内ひずみが大きくなり過ぎず、αヘリックス等の高次構造が安定化するため、本発明の環状ペプチドの抗体結合性が優れる。

0073

また、k≧2である場合、すなわち、式(IB)によって表される環状ペプチドが繰返し単位[Xi−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xj]を2個以上含む場合は、繰返し単位中のX1、X2、X3、Xa、Xb、Xm、Xn、XiおよびXjは、それぞれ、繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。

0074

さらに、上記式(IB)において、環状ペプチドの総アミノ酸残基数は、好ましくは8〜50残基であり、より好ましくは9〜40残基であり、さらに好ましくは10〜30残基であり、いっそう好ましくは10〜20残基である。
すなわち、式(IB)中、i、j、m、n、t、u、v1、v2、w1、w2およびkは、好ましくは8≦(i+j+m+n+5)×k+t+u+v1+v2+w1+w2≦50を満たし、より好ましくは(i+j+m+n+5)×k+t+u+v1+v2+w1+w2≦40を満たし、さらに好ましくは10≦(i+j+m+n+5)×k+t+u+v1+v2+w1+w2≦30を満たし、いっそう好ましくは10≦(i+j+m+n+5)×k+t+u+v1+v2+w1+w2≦20を満たす。
通常、アミノ酸残基数が多くなるほど製造コストが高くなるため、経済的な観点からは、アミノ酸残基の総数は少ない方が好ましい。

0075

さらに、本発明の環状ペプチドは、より好ましくは下記式(IC)によって表される環状ペプチドである。
RN−Xv1−X6t−Xv2−[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]k−Xw2−X7u−Xw1−RC ・・・(IC)

0076

式(IC)中、RN、RC、X1、X2、X3、Xa、Xb、Xm、Xn、X、m、nおよびkは、いずれも、上記式(I)中におけるものと同義であり、X4、X5、p1、p2、q1、q2、rおよびsは、いずれも、式(IA)中におけるものと同義であり、X6、X7、t、u、v1、v2、w1およびw2は、いずれも、式(IB)中におけるものと同義である。
また、式(IC)中、Xnは、式(I)中のXnと同様に、Xがn個連結していることを意図する。Xm、Xp1、Xp2、Xq1、Xq2、Xv1、Xv2、Xw1およびXw2についても同様である。
さらに、式(IC)中、X4r、X5s、X6tおよびX7uは、それぞれ、X4がr個連結していること、X5がs個連結していること、X6がt個連結していること、およびX7がu個連結していること、を意図する。

0077

式(IC)によって表される環状ペプチドの直鎖部は「Xv1−X6t−Xv2」、「Xw2−X7u−Xw1」、「Xp2−X4r−Xp1」および「Xq1−X5s−Xq2」である。環状部、架橋部および抗体結合部は式(I)で表される環状ペプチドと同様である。
また、式(IC)中、繰返し単位は、式(IA)と同様に、[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]である。

0078

また、上記式(IC)において、環状部[Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb]のアミノ酸残基数[(m+n+5)残基]は、上記式(I)と同様に、8〜14残基であり、好ましくは9〜13残基であり、より好ましくは10〜12残基である。
環状部のアミノ酸残基数がこの範囲内であると、環状ペプチドの分子内ひずみが大きくなり過ぎず、αヘリックス等の高次構造が安定化するため、本発明の環状ペプチドの抗体結合性が優れる。

0079

また、k≧2である場合、すなわち、式(IC)によって表される環状ペプチドが繰返し単位[Xp2−X4r−Xp1−Xa−Xm−X1−X2−X3−Xn−Xb−Xq1−X5s−Xq2]を2個以上含む場合は、繰返し単位中のX1、X2、X3、Xa、Xb、X4r、X5s、Xm、Xn、Xp2、Xp1、Xq1およびXq2は、それぞれ、繰返し単位間で同一であってもよいし、相違していてもよい。

0080

さらに、上記式(IC)において、環状ペプチドの総アミノ酸残基数は、好ましくは8〜50残基であり、より好ましくは9〜40残基であり、さらに好ましくは10〜30残基であり、いっそう好ましくは10〜20残基である。
すなわち、式(IC)中、m、n、p1、p2、q1、q2、r、s、t、u、v1、v2、w1、w2およびkは、好ましくは8≦(m+n+p1+p2+q1+q2+r+s+5)×k+t+u+v1+v2+w1+w2≦50を満たし、より好ましくは9≦(m+n+p1+p2+q1+q2+r+s+5)×k+t+u+v1+v2+w1+w2≦40を満たし、さらに好ましくは10≦(m+n+p1+p2+q1+q2+r+s+5)×k+t+u+v1+v2+w1+w2≦30を満たし、いっそう好ましくは10≦(m+n+p1+p2+q1+q2+r+s+5)×k+t+u+v1+v2+w1+w2≦20を満たす。
通常、アミノ酸残基数が多くなるほど製造コストが高くなるため、経済的な観点からは、アミノ酸残基の総数が少ない方が好ましい。

0081

さらには、上記式(I)、(IA)、(IB)または(IC)中のXm−X1−X2−X3−Xnで表される部分が、下記式(1)で表されるアミノ酸配列(配列番号1)または下記式(2)で表されるアミノ酸配列(配列番号2)と、好ましくは70%以上の、より好ましくは75%以上の、さらに好ましくは85%以上の、いっそう好ましくは90%以上の配列相同性を有する。
A−Y−H−L1−G−E−L2−V−W ・・・(1)
A−Y−H−R−G−E−L2−V−W ・・・(2)

0082

式(1)および式(2)中、AはL−アラニン残基またはD−アラニン残基を表し;YはL−チロシン残基またはD−チロシン残基を表し;HはL−ヒスチジン残基またはD−ヒスチジン残基を表し;L1はL−ロイシン残基またはD−ロイシン残基を表し;RはL−アルギニン残基またはD−アルギニン残基を表し;Gはグリシン残基を表し;EはL−グルタミン酸残基またはD−グルタミン酸残基を表し;L2はL−ロイシン残基を表し;VはL−バリン残基を表し;および、WはL−トリプトファン残基を表す。

0083

ここで、2つのアミノ酸配列の配列相同性は、次のようにして求める。
(i)2つのアミノ酸配列のアラインメントを行う
一致(マッチ)は+1、不一致ミスマッチ)は−1、ギャップは−1のスコアを与え、アラインメント・スコアが最大となるようにアラインメントを行う。
(ii)配列相同性を計算する
得られたアラインメントに基づいて、次式により配列相同性を計算する。
配列相同性[%]=(一致ポジション数/全ポジション数)×100[%]
全ポジション数はアラインメントの長さであり、一致ポジション数はアミノ酸の種類が一致するポジションの数である。
ここで、アミノ酸残基の種類が一致するか否かの判断は、そのアミノ酸残基の元になるアミノ酸の側鎖(アミノ酸側鎖)の構造が同一であるか否かによるものとする。なお、エナンチオマーの関係にあるアミノ酸の側鎖の構造は同一ではない。
(iii)配列相同性の計算例
例えば、次のアミノ酸配列を考える。
配列A AYHRGELVW
配列B AWHLGELVW
これを、上記した条件の下でアラインメントすると、次のようになる。ここで、配列A、B間でアミノ酸(残基)の種類が一致する箇所には、見やすくするため、ホモロジーストリング「|」を付けている。また、「−」はギャップである。
配列A AYHRGELVW
| | |||||
配列B AWHLGELVW
このアラインメントのスコアは、一致(+1)×7+不一致(−1)×2+ギャップ(−1)×0=5である。
この例では、全ポジション数は9であり、一致ポジション数は7であるから、上記式に従って算出した配列相同性は、7/9×100=77.8%である。

0084

本発明においては、上記式(I)および(IA)〜(IC)において、好ましくはk=1である。

0085

環状部を含む部分が1つであると、環状ペプチドの全長を短くすることができ、合成が容易となる。また、環化する際のヒュスゲン反応によって、意図しない箇所で架橋を形成することを回避することができる。

0086

本発明の環状ペプチドとして、特に好ましくは、下記式(II)によって表される環状ペプチドである。
RN−Xv0−X6t0−Xe0−X4r0−Xp0−Xa−A−Y−H−X8−G−E−L−V−W−Xb−Xq0−X5s0−Xf0−X7u0−Xw0−RC ・・・(II)
式(II)中、Xa、Xb、X、RNおよびRCは、上記式(I)中におけるものと同義である。
また、式(II)中、Xe0は、式(I)中のXnと同様に、Xがe0個連結していることを意図する。Xf0、Xp0、Xq0、Xv0およびXw0についても同様である。

0087

式(II)によって表される環状ペプチドの環状部は「Xa−A−Y−H−X8−G−E−L−V−W−Xb」であり、直鎖部は「Xv0−X6t0−Xe0−X4r0−Xp0−」および「Xq0−X5s0−Xf0−X7u0−Xw0」であり、架橋部は「Xa」および「Xb」であり、抗体結合部は「L−V−W」である。

0088

式(II)中、X4およびX5は、上記式(IA)中におけるものと同義である。
式(II)中、X6およびX7は、上記式(IB)中におけるものと同義である。

0089

式(II)中、e0およびf0は、それぞれ、0≦e0≦10、および0≦f0≦10を満たす整数である。
e0は、好ましくは0≦e0≦5を満たし、より好ましくは0≦e0≦3を満たし、さらに好ましくは0≦e0≦2を満たす。
f0は、好ましくは0≦f0≦5を満たし、より好ましくは0≦f0≦3を満たし、さらに好ましくは0≦f0≦2を満たす。

0090

式(II)中、p0およびq0は、それぞれ、0≦p0≦5、および0≦q0≦5を満たす整数である。
p0は、好ましくは0≦p0≦3を満たし、より好ましくは0≦p0≦2を満たす。
q0は、好ましくは0≦q0≦3を満たし、より好ましくは0≦q0≦2を満たす。

0091

式(II)中、r0およびs0は、それぞれ、0≦r0≦5、および0≦s0≦5を満たす整数である。
r0は、好ましくは0≦r0≦3を満たし、より好ましくは0≦r0≦2を満たす。
s0は、好ましくは0≦s0≦3を満たし、より好ましくは0≦s0≦2を満たす。

0092

式(II)中、t0およびu0は、それぞれ、0≦t0≦5、および0≦u0≦5を満たす整数である。
t0は、好ましくは0≦t0≦3を満たし、より好ましくは0≦t0≦2を満たす。
s0は、好ましくは0≦s0≦3を満たし、より好ましくは0≦s0≦2を満たす。

0093

式(II)中、v0およびw0は、それぞれ、0≦v0≦5、および3≦w0≦5を満たす整数である。
v0は、好ましくは0≦v0≦3を満たし、より好ましくは0≦v0≦2を満たす。
w0は、好ましくは0≦w0≦3を満たし、より好ましくは0≦w0≦2を満たす。

0094

また、上記(II)式中、AはL−アラニン残基またはD−アラニン残基を表し;YはL−チロシン残基またはD−チロシン残基を表し、HはL−ヒスチジン残基またはD−ヒスチジン残基を表し、L1はL−ロイシン残基またはD−ロイシン残基を表し、Gはグリシン残基を表し、EはL−グルタミン酸残基またはD−グルタミン酸残基を表し、L2はL−ロイシン残基を表し、VはL−バリン残基を表し、WはL−トリプトファン残基を表す。

0095

さらに、上記式(II)において、環状ペプチドの総アミノ酸残基数は、11〜50残基であり、好ましくは11〜40残基であり、より好ましくは11〜30残基であり、さらに好ましくは11〜20残基である。
すなわち、式(II)中、e0、f0、p0、q0、r0、s0、t0、u0、v0およびw0は、0≦e0+f0+p0+q0+r0+s0+t0+u0+v0+w0≦39を満たし、好ましくは0≦e0+f0+p0+q0+r0+s0+t0+u0+v0+w0≦29を満たし、より好ましくは0≦e0+f0+p0+q0+r0+s0+t0+u0+v0+w0≦19を満たし、さらに好ましくは0≦e0+f0+p0+q0+r0+s0+t0+u0+v0+w0≦9を満たす。

0096

本発明の環状ペプチドの、特に好ましい例は、下記式(3)〜(18)に示される(配列番号
3〜18)。

0097

Asp-[Lys(N3)]-Ala-Tyr-His-Arg-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Bpg]-Thr-Lys-Lys (3)
Asp-[Lys(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Bpg]-Thr-Lys-Lys (4)
Asp-[Bpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Lys(N3)]-Thr-Lys-Lys (5)
Asp-[Hpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Ala(N3)]-Thr-Lys-Lys (6)
Lys-Lys-Lys-Asp-[Hpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Ala(N3)]-Thr (7)
Asp-[Abu(N3)]-Ala-Tyr-His-Arg-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Pra]-Thr-Lys-Lys (8)
Asp-[Abu(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Pra]-Thr-Lys-Lys (9)
Asp-[Lys(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Hpg]-Thr-Lys-Lys (10)
Asp-[Pra]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Lys(N3)]-Thr-Lys-Lys (11)
Asp-[Lys(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Pra]-Thr-Lys-Lys (12)
Asp-[Abu(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Hpg]-Thr-Lys-Lys (13)
Asp-[Hpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Abu(N3)]-Thr-Lys-Lys (14)
Asp-[Abu(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Bpg]-Thr-Lys-Lys (15)
Asp-[Bpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Nva(N3)]-Thr-Lys-Lys (16)
Asp-[Hpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Nva(N3)]-Thr-Lys-Lys (17)
Asp-[Nva(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Bpg]-Thr-Lys-Lys (18)

0098

ただし、上記式(3)〜(18)中、[Ala(N3)]はβ−アジド−L−アラニンに由来するアミノ酸残基を表し、[Abu(N3)]はγ−アジド−L−ホモアラニンに由来するアミノ酸残基を表し、[Nva(N3)]はδ−アジド−L−ノルバリンに由来するアミノ酸残基を表し、[Lys(N3)]はε−アジド−L−リシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Pra]はL−プロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Hpg]はL−ホモプロパルギルグリシンを表し、[Bpg]はL−ビスホモプロパルギルグリシンを表す。

0099

さらに、[Ala(N3)]、[Abu(N3)]、[Nva(N3)]または[Lys(N3)]と、[Pra]、[Hpg]または[Bpg]とがは、下記式に示されるトリアゾール結合を形成している。ただし、下記式中、「*」は隣接するアミノ酸残基との結合点を表し、xは1〜4の整数であり、yは1〜3の整数である。

0100

0101

本発明の環状ペプチドの構造を特定するための方法は特に限定されず、例えば、プロテインシーケンサ(ペプチドシーケンサともいう。)、質量分析法核磁気共鳴法およびX線結晶構造解析法を適宜組み合わせることによって、一次構造をはじめとする構造を決定することができる。質量分析法には、電解脱離(FDイオン化法高速原子衝撃FAB)イオン化法、エレクトロンスプレーイオン化ESI)法またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法等を組み合わせてもよい。

0102

本発明の環状ペプチドは抗体結合性に優れる。抗体結合性とは、抗体および/または抗体誘導体との結合活性をいう。結合活性が高いほど、抗体精製用アフィニティクロマトグラフィー用のアフィニティリガンドとして使用した際に、抗体の吸着量が多く、一度に多量の抗体を精製できる。抗体とは、免疫グロブリンまたはその類縁体フラグメントもしくは融合体をいう。ここで、類縁体とは、免疫グロブリンの構造または機能が少なくとも部分的に保持された、天然のまたは人工的に作製された、タンパク質またはタンパク質コンジュゲートをいう。また、フラグメントとは、酵素的な処理または遺伝子工学的な設計によって作製された、免疫グロブリンの部分構造を有するタンパク質をいう。また、融合体とは、各種サイトカインサイトカイン受容体等の生物活性を有するタンパク質の機能部分を、免疫グロブリンの全体または一部と遺伝子工学的に融合させて作製したタンパク質をいう。また、抗体としては、モノクローナル抗体または免疫グロブリンのFc領域を有する融合体が好ましく、モノクローナル抗体がより好ましい。なお、本発明において、免疫グロブリンは、IgG(Immunoglobulin G;免疫グロブリンG)、IgM(Immunoglobulin M;免疫グロブリンM)、IgA(Immunoglobulin A;免疫グロブリンA)、IgD(Immunoglobulin D;免疫グロブリンD)およびIgE(Immunoglobulin E;免疫グロブリンE)の5種類のクラス(アイソタイプ)のいずれでもよいが、IgGまたはIgMが好ましく、IgGがより好ましい。

0103

さらに、本発明の環状ペプチドは経時安定性や薬品耐性、特にアルカリ耐性および還元剤耐性に優れる。薬品耐性に優れることで、例えば、本発明の環状ペプチドをアフィニティリガンドとして用いるアフィニティクロマトグラフィー担体を抗体精製に使用した際に、薬品、特にアルカリによる洗浄を繰り返し行っても抗体結合性が維持され、抗体精製コストをさらに低減することができる。

0104

[環状ペプチドの合成方法
本発明の環状ペプチドの合成方法は特に限定されるものではないが、例えば、有機合成化学ペプチド合成方法または遺伝子工学的ペプチド合成方法によって合成することができる。
有機合成化学的ペプチド合成方法としては、液相合成法固相合成法のいずれも用いることができる。本発明のポリペプチドの合成方法としては、全自動ペプチド合成装置を用いた固相合成法が簡便であり好ましい。
遺伝子工学的ペプチド合成方法は、細胞遺伝子導入し、ペプチドを合成する方法である。細胞としては、細菌、線虫細胞、昆虫細胞哺乳類細胞および動物細胞等が用いられる。
例えば、4塩基コドン法を用いて、非天然アミノ酸を導入して合成することが可能である。また、鎖状ペプチドを合成し、環状部に導入されたアミノ酸残基の側鎖の架橋性官能基を反応させることにより環化し、合成できる。

0105

本発明の環状ペプチドの合成では、架橋性官能基として、アジド基およびアルキニル基を用いる。アジド基またはアルキニル基を導入したアミノ酸残基を含むポリペプチド鎖を合成するには、アジド基またはアルキニル基を導入したアミノ酸をペプチド合成の際にポリペプチド鎖に組み込む方法、またはポリペプチド鎖を合成した後、所望のアミノ酸残基の側鎖にアジド基またはアルキニル基を導入する方法がある。いずれの方法によってもよい。

0106

アジド基またはアルキニル基を導入したアミノ酸残基を含むポリペプチド鎖を合成した後、ヒュスゲン(Huisgen)反応により、アルキニル基とアジド基との付加反応を起こさせ、アミノ酸残基間を架橋する。ヒュスゲン反応はアジド(−N=N+=N−原子団をもつ化合物)とアルキン炭素−炭素三重結合化合物)から1,2,3−トリアゾールを形成する1,3−双極子付加環化反応である。アジド基およびアルキニル基は多くの官能基や生体分子に対して不活性であり、両者からトリアゾール環を生成する反応は発熱的な熱力学的に有利な反応である。ヒュスゲン反応が銅触媒の存在下で反応が飛躍的に加速することから、銅触媒を使用することが好ましいが、必ずしも使用する必要はない。

0107

[環状ペプチドの用途]
本発明の環状ペプチドは、抗体結合性リガンド、抗体標識用リンカー、抗体薬物複合体用リンカーおよび薬物運搬体(医薬品用リンカー)等として用いることができる。ただし、これらに限定されるものではない。

0108

〈抗体結合性リガンドおよびアフィニティクロマトグラフィー担体〉
本発明の環状ペプチドの用途は、アフィニティクロマトグラフィーの技術領域における抗体結合性リガンドとしての用途がある。
本発明の環状ペプチドの抗体結合性リガンド用途のアプリケーションとしては、例えば、本発明の環状ペプチドを水不溶性担体に固定化した、抗体または抗体誘導体の吸着材料およびアフィニティクロマトグラフィー担体を挙げることができる。

0109

「水不溶性担体」とは、水に実質的に不溶性である担体をいう。このような担体としては、例えば、結晶性セルロース架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストランおよび架橋プルラン等の多糖類、アクリレート系重合体およびスチレン系重合体等の有機担体ガラスビーズおよびシリカゲル等の無機担体、さらにはこれらの組合せによって得られる、有機−有機、有機−無機等の複合担体等が挙げられる。水不溶性担体としては、アルカリ耐性の観点から、多糖類またはアクリレート系重合体がより好ましく、アガロースまたはセルロース等の多糖類がさらに好ましい。水不溶性担体として用いることができる市販品としては、例えば、多孔質セルロースゲルであるセルフイン(Cellufine)GCL2000(JNC社製)(CELLUFINEは登録商標)、セルファインMAX(Cellfine MAX)(JNC社製)、アリルデキストランとメチレンビスアクリルアミドとを共有結合で架橋したセファクリル(Sephacryl) S−1000SFGEヘルスケア社製)(SEPHACRYLは登録商標)、アクリレート系の担体であるトヨパール(TOYOPEARL)(東ソー社製)(トヨパールおよびTOYOPEARLは登録商標)、トヨパール(TOYOPEARL)AF−Carboxy−650 (東ソー社製)、トヨパール(TOYOPEARL) GigaCap CM−650 (東ソー社製)、アガロース系の架橋担体であるセファロース(Sepharose) CL4B(GEヘルスケア社製)(SEPHAROSEは登録商標)およびエポキシ基で活性化されたポリメタクリルアミドであるオイパーギット(Eupergit) C250L(シグマアルドリッチ社製)(EUPERGITは登録商標)等が挙げられる。ただし、本発明における水不溶性担体は、これらの担体または活性化担体にのみ限定されるものではない。また、本発明に用いる水不溶性担体は、その使用目的および方法からみて、表面積が大きいことが好ましく、適当な大きさの細孔を多数有する多孔質であることが好ましい。担体の形態としては、特に限定されるものではないが、ビーズ状、繊維状、膜状および中空糸状等、いずれも可能であり、任意の形態を選ぶことができる。

0110

本発明の環状ペプチドを水不溶性担体に固定化する方法は特に限定されるものではないが、一般にタンパク質またはポリペプチドを担体に固定化する場合に採用される方法を例示する。
担体を臭化シアンエピクロロヒドリンジグリシジルエーテルトシルクロライドトレシルクライドまたはヒドラジン等と反応させて担体を活性化または担体表面に反応性官能基を導入し、リガンドとして固定化する化合物と反応、固定化する方法、また、担体とリガンドとして固定化する化合物が存在する系にカルボジイミドのような縮合試薬またはグリセルアルデヒドのように分子中に複数の官能基を持つ試薬を加えて縮合、架橋することによる固定化が挙げられる。

0111

本発明において、「リガンド」とは、特定の物質に、ある親和性をもって結合する分子をいう。上記特定の物質は、特に限定されるものではないが、好ましくは抗体または抗体誘導体である。リガンドと、抗体または抗体誘導体との結合部位は、特に限定されるものではないが、汎用性の観点から好ましくは抗体または抗体誘導体の定常領域である。定常領域は、特に限定されないが、好ましくはFc(fragment crystallizable;結晶化可能断片)領域、CL領域(constant regions of a light chain;軽鎖の定常領域)またはCH領域(constant regions of a heavy chain;重鎖の定常領域)である。本発明においては、抗体または抗体誘導体と結合性を有するリガンドを「抗体結合性リガンド」という場合がある。

0112

リガンドを担体に固定化する際には、リガンドを水系溶媒水系分散媒)または有機系溶媒有機系分散媒)に溶解(分散)することが好ましい。水系溶媒(水系分散媒)としは、特に限定されるものではないが、例えば、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid;ヘペス)緩衝液酢酸緩衝液リン酸緩衝液クエン酸緩衝液トリス−塩酸緩衝液等を挙げることができる。有機系溶媒(有機系分散媒)は、特に限定されるものではないが、極性有機溶媒が好ましく、殊にDMSO(dimethyl sulfoxide;ジメチルスルホキシド)、DMF(N,N-dimethylformamide;N,N−ジメチルホルムアミド)、またはアルコールが好ましく、例えば、メタノールエタノール、IPA(isopropyl alcohol;イソプロピルアルコール)、TFE(2,2,2-trifluoroethanol;2,2,2−トリフルオロエタノール)およびHFIP(1,1,1,3,3,3-hexafluoro-2-propanol;1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ2−プロパノール)等が挙げられる。
リガンドを固定化する際のpH条件は特に限定されず、酸性中性およびアルカリ性のいずれでもよく、例えば、使用する溶媒分散媒)に合わせて適宜設定することができる。
例えば、アルカリ性にする場合は、DBU(diazabicycloundecene;ジアザビシクロウンデセン)等の塩基をDMSO(dimethyl sulfoxide;ジメチルスルホキシド)やアルコールに添加してもよい。

0113

上記吸着材料をアフィニティクロマトグラフィー用充填剤とする場合の抗体結合性リガンド密度は特に限定されないが、0.1〜1000mmol/充填剤1Lが好ましく、0.1〜100mmol/充填剤1Lがより好ましく、0.5〜20mmol/充填剤1Lがさらに好ましい。この範囲内であると、抗体結合性リガンドの使用量と抗体精製性能のバランスがよく、より低コストで、効率よく抗体を精製することができる。

0114

〈抗体標識用リンカーおよび標識化抗体〉
本発明の環状ペプチドの用途は、イムノアッセイの技術領域においては、抗体標識用リンカーとしての用途がある。
本発明の環状ペプチドの抗体標識用リンカーとしての用途のアプリケーションとしては、抗体、標識化合物および本発明の環状ペプチドを含み、抗体と標識化合物とが本発明の環状ペプチドを介して結合している標識化抗体を挙げることができる。
イムノアッセイは、免疫反応抗原抗体反応)を利用して、微量物質の検出および定量を行う分析方法であり、特異性が高く高感度であるという特徴を持つ。
イムノアッセイにおいて、微量物質(抗原)に結合した抗体(一次抗体)を検出するには、一次抗体に直接標識する方法および一次抗体に結合する抗体(二次抗体)に標識する方法等がある。本発明の環状ペプチドは、一次抗体に標識物質を結合させるためのリンカーとして用いることができるし、二次抗体に標識物質を結合させるためのリンカーとして用いることもできる。本発明の環状ペプチドは抗体結合性(IgG(Immunoglobulin G;免疫グロブリンG)結合性)を有するので、標識した本発明の環状ペプチドを、標識した二次抗体の代わりに用いることも可能である。
また、標識には多種あり、ラジオアイソトープを標識として用いる系を放射免疫測定法RIA;radio immunoassay)、ペルオキシダーゼ等の酵素を標識として用いる系をEIA(enzyme immunoassay;酵素免疫測定法)、ルミノール等の化学発光物質を標識として用いる系をCLIA(chemiluminescent immunoassay;化学発光免疫測定法)、FITC(fluorescein isothiocyanate;フルオレセインイソチオシアネート)等の蛍光発光物質蛍光色素)を標識物質として用いる系をFIA(fluorescent immunoassay;蛍光免疫測定法)という。本発明の環状ペプチドは、いずれの系においても、抗体標識用リンカーとして使用することができる。
イムノアッセイの検出感度を上げるためには、抗体1分子に多数の標識を付けることが必要であるが、従来の抗体標識用リンカーでは、多数結合した際に抗体の結合活性の低下を招き、かえってイムノアッセイの利点である特異性および感度を損なう可能性があった。しかし、本発明の環状ペプチドは、抗体に多数結合した場合であっても、抗体の構造的完全性を保持することができ、抗体の結合活性を低下させないので、多数結合した際にも、イムノアッセイの利点である特異性および感度を損なわず、検出感度を上げることが期待される。また、抗原抗体反応による結合であることから、従来困難であった標識後の分離も可能となり、標識の可逆操作が実現できる。

0115

本発明の環状ペプチドと抗体との結合は、本発明の環状ペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖官能基と、抗体を構成するアミノ酸残基の側鎖官能基とを、架橋剤を用いて架橋することによって形成してもよい。
上記架橋剤としては、アミノ基間架橋剤、アミノ基−チオール基間架橋剤、カルボキシ基−アミノ基間架橋剤およびチオール基間架橋剤等が挙げられる。
上記アミノ基間架橋剤の例は、DSG(ジスクシンイミジルグルタラート)、DSS(ジスクシンイミジルスベラート)およびBS3(ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート)、ならびにDMAジメチルアジピミダート)、DMP(ジメチルピメリミダート)およびDMS(ジメチルスベリミダート)などである。
上記アミノ基−チオール基間架橋剤の例は、SIA(スクシンイミジルヨードアセタート)、SBAP(スクシンイミジル−3−(ブロモアセタミドプロピオナート)およびSIAB(スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾアート)、AMAS(N−α−マレイミドアセトオキシスクシンイミドエステル)、BMPS(N−β−マレイミドプロピル−オキシスクシンイミドエステル)およびGMBS(N−γ−マレイミドブチリル−オキシスクシンイミドエステル)、ならびにSPDP(スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート)、LC−SPDP(スクシンイミジル−6−(3(2−ピリジルジチオ)プロピオナミド)ヘキサノアート)およびSMPT(4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン)などである。
上記カルボキシ基−アミノ基間架橋剤の例は、EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドヒドロクロリド)、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)およびSulfo−NHS(スルホ−N−ヒドロキシスルホスクシンイミド)などである。
上記チオール基間架橋剤の例は、BMOE(ビスマレイミドエタン)、BMB(1,4−ビスマレイミドブタン)およびBMH(ビスマレイミドヘキサン)などである。

0116

また、本発明の環状ペプチドと抗体との結合は、CCAP(Chemical Conjugation by Affinity Peptide)法(国際公開第2016/186206号を参照)を用いて形成してもよい。
CCAP法は、本発明の環状ペプチドの側鎖アミノ基または側鎖チオール基等の官能基に、抗体の側鎖アミノ基または側鎖チオール基等の官能基と反応性の官能基(「反応性官能基」という。)を有する基を導入しておき、まず、本発明の環状ペプチドと抗体とを抗原抗体反応で結合し、次いで、環状ペプチドに導入した反応性官能基と抗体のアミノ基またはチオール基等の官能基とカップリングさせることで、共有結合を形成する方法である。
上記反応性官能基の例は、アミノ基と反応性のNHS−エステル基およびイミドエステル基、ならびにチオール基と反応性のマレイミド基およびハロアセチル基などである。
CCAP法は、弱酸性から中性の条件下で、迅速かつ定量的に反応が進行するため、本発明の環状ペプチド、抗体および標識の安定性および親和性を損なわない。

0117

例えば、以下に示す反応により、本発明の環状ペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖アミノ基にNHS−エステル基を有する基を結合し、このNHS−エステル基を抗体のアミノ基とカップリングさせることで、共有結合を形成することができる。

0118

0119

〈抗体薬物複合体用リンカーおよび抗体薬物複合体〉
本発明の環状ペプチドの用途は、抗体薬物複合体の技術領域においては、抗体薬物複合体用リンカーとしての用途がある。
本発明の環状ペプチドの抗体薬物複合体用リンカーとしての用途のアプリケーションとしては、例えば、抗体、薬物および本発明の環状ペプチドを含み、抗体と薬物とが本発明の環状ペプチドを介して結合している抗体薬物複合体を挙げることができる。
ADC(Antibody Drug Conjugate;抗体薬物複合体)は、別名、武装抗体(Armed Antibody)とも呼ばれ、細胞を認識する抗体と活性本体である薬物(低分子薬物)とを、適切なリンカーで結合した医薬である。抗体薬物複合体の作用機序は、概ね、以下のとおりである。
(1)標的細胞表面の標的分子に抗体薬物複合体の抗体部分が結合する。
(2)抗体薬物複合体が細胞内に取り込まれる。
(3)細胞内で抗体薬物複合体のリンカーが切断される。
(4)細胞内で薬物(低分子薬物)の薬効が発揮される。
抗体薬物複合体では、抗体が標的とする分子が発現している細胞でのみ薬効が発揮されるため、全身副作用を抑え、標的細胞に集中して薬効を発揮できるため、薬物単体に比べて、よく効き、副作用が少ない。例えば、細胞分裂が盛んながん細胞を攻撃することを目的として開発された抗がん剤は、同様に盛んな細胞分裂で機能を維持している細胞、具体的には、免疫を担当する細胞、消化管の細胞、毛根の細胞等も攻撃してしまうため、副作用として、感染症に弱くなり、下痢を起こし、頭髪が抜け落ちる等の症状が現れることがある。しかし、抗体薬物複合体では、標的のがん細胞に選択的に抗がん剤を運搬することができるので、抗がん剤が標的細胞以外の細胞を攻撃することによる副作用を抑えることができる。

0120

抗体薬物複合体用リンカーは、抗体薬物複合体の抗体部分と薬物部分とをつなぎ、血中では安定し、細胞内で抗体と薬物を切断して放出することが要求されるだけではなく、抗体の結合活性を損なわないことも要求される。薬物の運搬効率を上げるためには、抗体1分子に多数の薬物を付けることが必要であるが、従来の抗体薬物複合体用リンカーでは、多数結合した際に抗体の結合活性の低下を招き、かえって抗体薬物複合体の利点である選択性を損ない、標的細胞への薬物運搬効率が低下する可能性があった。しかし、本発明の環状ペプチドは、抗体に多数結合した場合であっても、抗体の構造的完全性を保持することができ、抗体の結合活性を低下させないので、多数結合した際にも、抗体薬物複合体の利点である選択性を損なわず、標的細胞への薬物運搬効率を上げることが期待される。
また、本発明の環状ペプチドは従来の環状ペプチドよりも経時安定性が高いことから、抗体薬物複合体用リンカーおよび抗体薬物複合体の血中での安定性も向上することが期待される。
さらに、環状部であるトリアゾール結合の側鎖部分を変更することにより、細胞内での薬物放出性を制御することが期待される。

0121

本発明の環状ペプチドと抗体との結合は、本発明の環状ペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖官能基と、抗体を構成するアミノ酸残基の側鎖官能基とを、架橋剤を用いて架橋することによって形成してもよい。
上記架橋剤としては、アミノ基間架橋剤、アミノ基−チオール基間架橋剤、カルボキシ基−アミノ基間架橋剤およびチオール基間架橋剤等が挙げられる。
上記アミノ基間架橋剤の例は、DSG(ジスクシンイミジルグルタラート)、DSS(ジスクシンイミジルスベラート)およびBS3(ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート)、ならびにDMA(ジメチルアジピミダート)、DMP(ジメチルピメリミダート)およびDMS(ジメチルスベリミダート)などである。
上記アミノ基−チオール基間架橋剤の例は、SIA(スクシンイミジルヨードアセタート)、SBAP(スクシンイミジル−3−(ブロモアセタミド)プロピオナート)およびSIAB(スクシンイミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾアート)、AMAS(N−α−マレイミドアセト−オキシスクシンイミドエステル)、BMPS(N−β−マレイミドプロピル−オキシスクシンイミドエステル)およびGMBS(N−γ−マレイミドブチリル−オキシスクシンイミドエステル)、ならびにSPDP(スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート)、LC−SPDP(スクシンイミジル−6−(3(2−ピリジルジチオ)プロピオナミド)ヘキサノアート)およびSMPT(4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α−(2−ピリジルジチオ)トルエン)などである。
上記カルボキシ基−アミノ基間架橋剤の例は、EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド)、NHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)およびSulfo−NHS(スルホ−N−ヒドロキシスルホスクシンイミド)などである。
上記チオール基間架橋剤の例は、BMOE(ビスマレイミドエタン)、BMB(1,4−ビスマレイミドブタン)およびBMH(ビスマレイミドヘキサン)などである。

0122

また、本発明の環状ペプチドと抗体との結合は、CCAP(Chemical Conjugation by Affinity Peptide)法(国際公開第2016/186206号を参照)を用いて形成してもよい。
CCAP法は、本発明の環状ペプチドの側鎖アミノ基または側鎖チオール基等の官能基に、抗体の側鎖アミノ基または側鎖チオール基等の官能基と反応性の官能基(「反応性官能基」という。)を有する基を導入しておき、まず、本発明の環状ペプチドと抗体とを抗原抗体反応で結合し、次いで、環状ペプチドに導入した反応性官能基と抗体のアミノ基またはチオール基等の官能基とカップリングさせることで、共有結合を形成する方法である。
上記反応性官能基の例は、アミノ基と反応性のNHS−エステル基およびイミドエステル基、ならびにチオール基と反応性のマレイミド基およびハロアセチル基などである。
CCAP法は、弱酸性から中性の条件下で、迅速かつ定量的に反応が進行するため、本発明の環状ペプチド、抗体および薬物の安定性および親和性を損なわない。

0123

例えば、以下に示す反応により、本発明の環状ペプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖アミノ基にマレイミド基を有する基を結合し、このマレイミド基を抗体のチオール基とカップリングさせることで、共有結合を形成することができる。

0124

0125

なお、薬物は、リポソーム化された薬物、高分子ミセル化された薬物またはPEG(ポリエチレングリコール)化された薬物であってもよい。
薬物は、リポソーム化、高分子ミセル化またはPEG化されることにより、多くの場合において有効成分の生体内安定性、組織移行性プロファイルをはじめとする薬物動態および細胞内動態等の改善が図られる。

0126

〈薬物運搬体および医薬製剤〉
本発明の環状ペプチドの用途は、ドラッグデリバリーシステムにおける薬物運搬体としての用途がある。
本発明の環状ペプチドの薬物運搬体としての用途のアプリケーションとしては、例えば、薬物および本発明の環状ペプチドを含み、薬物と本発明の環状ペプチドとが直接または間接的に結合している医薬製剤を挙げることができる。
本発明の環状ペプチドが生体内に存在するIgGに結合することにより、上記した抗体医薬複合体と同様の効果を期待することができる。薬物はそのまま環状ペプチドと結合していてもよいし、リポソーム化、高分子ミセル化またはPEG(ポリエチレングリコール)化された薬物として、環状ペプチドと結合していてもよい。また、デキストランのような多糖類や親水性ポリマーを介して環状ペプチドと結合していてもよい。

0127

以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。

0128

[実施例1]
(1)環状ペプチドの合成
全自動ペプチド合成装置(PSSM−8、島津製作所社製)を用いて、下記式(3)で表される環状ポリペプチド(配列番号3)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド1」という場合がある。
Asp-[Lys(N3)]-Ala-Tyr-His-Arg-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Bpg]-Thr-Lys-Lys (3)
式(3)中、[Lys(N3)]はε−アジド−L−リシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Bpg]はL−ビスホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Lys(N3)]と[Bpg]は側鎖アジド基と側鎖エチニル基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している(下記化学式参照)。




なお、上記化学式中「*」は隣接するアミノ酸残基との結合点を表す。

0129

(2)リガンドの固定
GEヘルスケア社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000(Biacoaは登録商標)に市販のCM5(カルボキシメチルデキストラン導入タイプ、GEヘルスケア社製)センサーチップをセットし、SPR(surface plasmon resonance;表面プラズモン共鳴)用HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid;ヘペス)緩衝液(20mM HEPES−HCl、150mM NaCl、pH7.4)を10μL/minの流速で安定させ、0.2MのEDC(1-(3-Dimethylaminopropyl)-3-ethylcarbodiimide;1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド)と0.04MのNHS(N-Hydroxysuccinimide;N−ヒドロキシコハク酸イミド混合水溶液を70μL注入した。その後、HEPES緩衝液にて0.2g/Lに希釈し、0.20μm径のPTFE(polytetrafluoroethylene)フィルター(ADVANTEC社製)で処理した環状ペプチド1の試料液100μLを、センサーチップに供給した。次いで、試料液にエタノールアミン水溶液によってブロッキング処理を施し、水酸化ナトリウム水溶液にて洗浄して、固定化を行った。同様に、上記センサーチップの別流路試料を固定化せず、0.2MのEDCと0.04MのNHS混合水溶液を70μL添加した後、ブロッキング処理と洗浄処理を行った。得られた固定化センサーチップを、以下「固定化センサーチップA」という。

0130

(3)結合活性の評価
上記(2)で作製した固定化センサーチップAに、25℃にて3000nMのヒトIgG(Immunoglobulin G;免疫グロブリンG)抗体を10分間添加した。次いで、添加直後の環状ペプチドを固定化した流路と未固定の流路の抗体結合量を測定した。環状ペプチドを固定化した流路と未固定の流路の抗体結合量の差分と、環状ペプチドの固定化量とから環状ペプチドの活性を算出し、さらに、比較例1の環状ペプチド5の活性を1とした時のヒトIgG抗体との相対結合活性を算出した。
(相対結合活性の評価基準
相対結合活性が8倍超・・・・・・・・・・・・・・・A
相対結合活性が4倍超、8倍以下・・・・・・・・・・B
相対結合活性が2倍超、4倍以下・・・・・・・・・・C
相対結合活性が1倍超、2倍以下・・・・・・・・・・D
相対結合活性が1倍以下・・・・・・・・・・・・・・E
評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
評価A、BおよびCは本固定化による改善効果が十分であることを表し、評価DおよびEは十分な結合活性が見られないことを表す。十分な結合活性を示す環状ペプチドを用いることにより、抗体と特異的に結合することができ、より効率的に抗体を精製することが可能となり、抗体の精製コストをより低減することができる。

0131

(4)リガンドの固定
HiTrap NHS-activated HP Columns(リガンド固定化用カップリングカラム、GEヘルスケア社製)(HITRAPは登録商標)1mLに環状ペプチド1を固定化バッファー(10%DMSO in 200mM NaHCO3、500mM NaCl、pH8.3)に溶解して調製した10mg/mL環状ペプチド液1mLを25℃で1時間反応させる。これをエタノールアミン水溶液でブロッキング、洗浄し、環状ペプチド1の固定化担体を得た。得られた固定化担体を、以下「固定化担体A」という。

0132

(5)薬品耐性の評価
上記(4)で作製した固定化担体Aに、クロマトステムAKTA avant 25(GEヘルスケア社製)(AKTAAVANTは登録商標)を接続し、抗体結合量の測定を行った。カラムを平衡化液(20mMリン酸バッファー、150mM NaCl、pH7.4)で平衡化した後に、5mg/mLのヒトIgG抗体標準バッファー(20mMリン酸バッファー、150mM NaCl、pH7.4)溶液20mLを流速0.21mL/minにて注入した。その後、負荷後洗浄液(20mMリン酸バッファー、150mM NaCl、pH7.4)を同じ流速で5mL流して洗浄した後に、溶出前洗浄液(20mMリン酸バッファー、1M NaCl、pH7.4)を同じ流速で5mL流した。その後、溶出液(100mMクエン酸バッファー、pH3.2)を同じ流速で5mL流した。さらに連続して、CIP(cleaning in place;定置洗浄)液(0.1M水酸化ナトリウム)を同じ流速で5mLを流し、その後再平衡化液(20mMリン酸バッファー、150mM NaCl、pH7.4)を同じ流速で5mL流した。このとき、280nmの吸光度モニタリングして得られたIgG(Immunoglobulin G;免疫グロブリンG)溶出ピークより、抗体原液の10%が担体から漏れ出すまでに担体に抗体が結合した量を抗体結合量として測定した。次に、固定化担体Aを0.05MNaOH水溶液に25℃で6時間満たして静置した後、同様に担体の抗体結合量を測定し、アルカリ処理前後の抗体結合量から結合量変化率を算出した。
(結合量変化率の評価基準)
結合量変化率が90%超・・・・・・・・・・・・・・・A
結合量変化率が80%超、90%以下・・・・・・・・・B
結合量変化率が70%超、80%以下・・・・・・・・・C
結合量変化率が50%超、70%以下・・・・・・・・・D
結合量変化率が50%以下・・・・・・・・・・・・・・E
評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。
評価A、BおよびCは薬品耐性が十分であることを表し、評価DおよびEは十分な薬品耐性が見られないことを表す。十分な薬品耐性を示す環状ペプチドを用いることにより、洗浄後も抗体と特異的に繰り返し結合することができ、長期間、抗体を精製することが可能となり、抗体の精製コストをより低減することができる。

0133

(6)ヒト血漿中の安定性評価
環状ペプチド1のヒト血漿(ProMedDx社製)中での安定性を評価した。
5μMの環状ペプチド1水溶液を調製し、20μLのヒト血漿に2μL添加して、室温で20分間放置した。20分後、そこへメタノール(和光純薬工業社製)を100μL添加して反応を停止した。撹拌後、溶液を遠心分離し、上清採取し、これを20分サンプルとした。一方、20μLのヒト血漿にメタノールを100μL添加した後、環状ペプチド水溶液を2μL添加、撹拌、遠心分離し上清を採取したものを0分サンプルとした。
0分サンプルおよび20分サンプルを、質量分析装置RIPLE QUAD 5500(AB SCIEX社製)を用いて環状ペプチド1の含有量を定量した。0分サンプルの定量値を100%としたときの20分サンプル定量値を残存率として算出した。

0134

(残存率の評価基準)
結合量変化率が90%超・・・・・・・・・・・・・・・A
結合量変化率が80%超、90%以下・・・・・・・・・B
結合量変化率が70%超、80%以下・・・・・・・・・C
結合量変化率が50%超、70%以下・・・・・・・・・D
結合量変化率が50%以下・・・・・・・・・・・・・・E
環状ペプチドの構造および評価結果を表3の「血漿中安定性」の欄に示す。

0135

[実施例2]
(1)実施例1に準じて、下記式(4)で表される環状ペプチド(配列番号4)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド2」という場合がある。
Asp-[Lys(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Bpg]-Thr-Lys-Lys (4)
式(4)中、[Lys(N3)]はε−アジド−L−リシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Bpg]
はL−ビスホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Lys(N3)]と[Bpg]は側鎖アジド基と側鎖エチニル基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している(下記化学式参照)。




なお、上記化学式中「*」は隣接するアミノ酸残基との結合点を表す。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップBを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Bを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。
(6)実施例1と同様にして、ヒト血漿中の環状ペプチド2の安定性評価を行った。評価結果を表3の「血漿中安定性」の欄に示す。

0136

[実施例3]
(1)実施例1に準じて、下記式(5)で表される環状ペプチド(配列番号5)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド3」という場合がある。
Asp-[Bpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Lys(N3)]-Thr-Lys-Lys (5)
式(5)中、[Bpg]はL−ビスホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Lys(N3)]はε−アジド−L−リシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Bpg]と[Lys(N3)]
は側鎖エチニル基と側鎖アジド基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップCを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Cを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0137

[実施例4]
(1)実施例1に準じて、下記式(6)で表される環状ペプチド(配列番号6)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド4」という場合がある。
Asp-[Hpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Ala(N3)]-Thr-Lys-Lys (6)
式(6)中、[Hpg]はL−ホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Ala(N3)]はβ−アジド−L−アラニンに由来するアミノ酸残基を表し、[Hpg]と[Ala(N3)]は側鎖エチニル基と側鎖アジド基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している(下記化学式参照)。




なお、上記化学式中「*」は隣接するアミノ酸残基との結合点を表す。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップDを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Dを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。
(6)実施例1と同様にして、ヒト血漿中の環状ペプチド4の安定性評価を行った。評価結果を表3の「血漿中安定性」の欄に示す。

0138

[実施例5]
(1)実施例1に準じて、下記式(7)で表される環状ペプチド(配列番号7)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド5」という場合がある。
Lys-Lys-Lys-Asp-[Hpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Ala(N3)]-Thr (7)
式(7)中、[Hpg]はL−ホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Ala(N3)]はβ−アジド−L−アラニンに由来するアミノ酸残基を表し、[Hpg]と[Ala(N3)]は側鎖エチニル基と側鎖アジド基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップEを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Eを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0139

[実施例6]
(1)実施例1に準じて、下記式(8)で表される環状ペプチド(配列番号8)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド6」という場合がある。
Asp-[Abu(N3)]-Ala-Tyr-His-Arg-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Pra]-Thr-Lys-Lys (8)
式(8)中、[Abu(N3)]はγ−アジド−L−ホモアラニンに由来するアミノ酸残基を表し、[Pra]はL−ホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Abu(N3)]と[Pra]は側鎖アジド基と側鎖エチニル基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップFを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Fを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0140

[実施例7]
(1)実施例1に準じて、下記式(9)で表される環状ペプチド(配列番号9)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド7」という場合がある。
Asp-[Abu(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Pra]-Thr-Lys-Lys (9)
式(9)中、[Abu(N3)]はγ−アジド−L−ホモアラニンに由来するアミノ酸残基を表し、[Pra]はL−プロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Abu(N3)]と[Pra]は側鎖アジド基と側鎖エチニル基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップGを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Gを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0141

[実施例8]
(1)実施例1に準じて、下記式(10)で表される環状ペプチド(配列番号10)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド8」という場合がある。
Asp-[Lys(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Hpg]-Thr-Lys-Lys (10)
式(10)中、[Lys(N3)]はε−アジド−L−リシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Hpg]はL−ホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Lys(N3)]と[Hpg]は側鎖アジド基と側鎖エチニル基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド8を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップHを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド8を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Hを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0142

[実施例9]
(1)実施例1に準じて、下記式(11)で表される環状ペプチド(配列番号11)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド9」という場合がある。
Asp-[Pra]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Lys(N3)]-Thr-Lys-Lys (11)
式(11)中、[Pra]はL−プロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Lys(N3)]はε−アジド−L−リシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Pra]と[Lys(N3)]は側鎖エチニル基と側鎖アジド基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド9を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップIを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド9を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Iを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0143

[実施例10]
(1)実施例1に準じて、下記式(12)で表される環状ペプチド(配列番号12)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド10」という場合がある。
Asp-[Lys(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Pra]-Thr-Lys-Lys (12)
式(12)中、[Lys(N3)]はε−アジド−L−リシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Pra]はL−プロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Lys(N3)]と[Pra]は側鎖アジド基と側鎖エチニル基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド10を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップJを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド10を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Jを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0144

[実施例11]
(1)実施例1に準じて、下記式(13)で表される環状ペプチド(配列番号13)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド11」という場合がある。
Asp-[Abu(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Hpg]-Thr-Lys-Lys (13)
式(13)中、[Abu(N3)]はγ−アジド−L−ホモアラニンに由来するアミノ酸残基を表し、[Hpg]はL−ホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Abu(N3)]と[Hpg]は側鎖アジド基と側鎖エチニル基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド11を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップKを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド11を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Kを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0145

[実施例12]
(1)実施例1に準じて、下記式(14)で表される環状ペプチド(配列番号14)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド12」という場合がある。
Asp-[Hpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Abu(N3)]-Thr-Lys-Lys (14)
式(14)中、[Hpg]はL−ホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Abu(N3)]はγ−アジド−L−ホモアラニンに由来するアミノ酸残基を表し、[Hpg]と[Abu(N3)]は側鎖エチニル基と側鎖アジド基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド12を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップLを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド12を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Lを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0146

[実施例13]
(1)実施例1に準じて、下記式(15)で表される環状ペプチド(配列番号15)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド13」という場合がある。
Asp-[Abu(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Bpg]-Thr-Lys-Lys (15)
式(15)中、[Abu(N3)]はγ−アジド−L−ホモアラニンに由来するアミノ酸残基を表し、[Bpg]はL−ビスホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Abu(N3)]と[Bpg]は側鎖アジド基と側鎖エチニル基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド13を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップMを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド13を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Mを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0147

[実施例14]
(1)実施例1に準じて、下記式(16)で表される環状ペプチド(配列番号16)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド14」という場合がある。
Asp-[Bpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Nva(N3)]-Thr-Lys-Lys (16)
式(16)中、[Bpg]はL−ビスホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Nva(N3)]はδ−アジド−L−ノルバリンに由来するアミノ酸残基を表し、[Bpg]と[Nva(N3)]は側鎖エチニル基と側鎖アジド基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド14を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップNを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド14を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Nを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0148

[実施例15]
(1)実施例1に準じて、下記式(17)で表される環状ペプチド(配列番号17)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド15」という場合がある。
Asp-[Hpg]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Nva(N3)]-Thr-Lys-Lys (17)
式(17)中、[Hpg]はL−ホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Nva(N3)]はδ−アジド−L−ノルバリンに由来するアミノ酸残基を表し、[Hpg]と[Nva(N3)]は側鎖エチニル基と側鎖アジド基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド15を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップPを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド15を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Pを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0149

[実施例16]
(1)実施例1に準じて、下記式(18)で表される環状ペプチド(配列番号18)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド16」という場合がある。
Asp-[Nva(N3)]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Bpg]-Thr-Lys-Lys (18)
式(18)中、[Nva(N3)]はδ−アジド−L−ノルバリンに由来するアミノ酸残基を表し、[Bpg]はL−ビスホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Nva(N3)] と[Bpg]は側鎖アジド基と側鎖エチニル基との環化付加反応により形成されたトリアゾール結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド16を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップQを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド16を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Qを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0150

[比較例1]
(1)全自動ペプチド合成装置(PSSM−8、島津製作所社製)を用いて、下記式(19)で表される環状ペプチド(配列番号19)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド17」という場合がある。
Asp-[Glu]-Ala-Tyr-His-Arg-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Lys]-Thr-Lys-Lys (19)
式(19)中、[Glu]はL−グルタミン酸に由来するアミノ酸残基を表し、[Lys]はL−リシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Glu]と[Lys]は側鎖カルボキシ基と側鎖アミノ基との脱水縮合により形成されたアミド結合を介して架橋している(下記化学式参照)。




なお、上記化学式中「*」は隣接するアミノ酸残基との結合点を表す。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド17を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップRを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド17を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Rを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。
(6)実施例1と同様にして、ヒト血漿中の環状ペプチド17の安定性評価を行った。評価結果を表3の「血漿中安定性」の欄に示す。

0151

[比較例2]
(1)比較例1と同様にして、下記式(20)で表される環状ペプチド(配列番号20)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド18」という場合がある。
Asp-[Glu]-Ala-Tyr-His-Leu-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Lys]-Thr-Lys-Lys (20)
式(20)中、[Glu]はL−グルタミン酸に由来するアミノ酸残基を表し、[Lys]はL−リシンに由来するアミノ酸残基を表し、[Glu]と[Lys]は側鎖カルボキシ基と側鎖アミノ基との脱水縮合により形成されたアミド結合を介して架橋している。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド18を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップSを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド18を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Sを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。
(6)実施例1と同様にして、ヒト血漿中の環状ペプチド18の安定性評価を行った。評価結果を表3の「血漿中安定性」の欄に示す。

0152

[比較例3]
(1)全自動ペプチド合成装置(PSSM−8、島津製作所社製)を用いて、下記式(21)で表される環状ペプチド(配列番号21)を合成した。以下、この環状ペプチドを「環状ペプチド19」という場合がある。
Asp-[Cys]-Ala-Tyr-His-Arg-Gly-Glu-Leu-Val-Trp-[Cys]-Thr-Lys-Lys (21)
式(21)中、[Cys]はL−システインに由来するアミノ酸残基を表し、2つの[Cys]は側鎖チオール基の酸化により形成されたジスルフィド結合を介して架橋している(下記化学式参照)。




なお、上記化学式中「*」は隣接するアミノ酸残基との結合点を表す。
(2)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド19を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化センサーチップTを得た。
(3)実施例1と同様にして、結合活性を評価した。評価結果を表3の「相対結合活性」の欄に示す。
(4)環状ペプチド1の代わりに環状ペプチド19を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、固定化担体Tを得た。
(5)実施例1と同様にして、薬品耐性を評価した。評価結果を表3の「薬品耐性」の欄に示す。

0153

〈実施例・比較例の結果〉
以下の表3に実施例・比較例の性能評価の結果を示す。

0154

0155

〈抗体結合性および薬品耐性〉
《実施例1〜16および比較例1〜3》
実施例1〜16は、相対結合活性がC評価以上で、薬品耐性がB評価以上であった。すなわち、実施例1〜16は、抗体結合性が十分であり、薬品耐性が優れていた。なかでも、実施例1〜5、11および12は、相対結合活性および薬品耐性がいずれもA評価であり、特に優れていた。
これに対して、アミド結合により架橋している比較例1および2は、薬品耐性がB評価であり、薬品耐性は十分であったが、相対結合活性がE評価であり、抗体結合活性が劣っていた。また、ジスルフィド結合により架橋している比較例3は、相対結合活性がA評価であり、抗体結合活性は十分であったが、薬品耐性がE評価であり、薬品耐性が劣っていた。

0156

《実施例2、8および10》
実施例2、8および10は、架橋部のアミノ酸残基のうち、ポリペプチド鎖のN末端側のアミノ酸残基がε−アジド−L−リシンに由来するアミノ酸残基[Lys(N3)]であり、ポリペプチド鎖のC末端側のアミノ酸残基が、L−ビスホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基[Bpg](実施例2)、L−ホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基[Hpg](実施例8)またはL−プロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基[Pra](実施例10)である実施例である。
相対結合活性は、実施例2がA評価であり、実施例8がB評価であり、実施例10がC評価であった。このような評価の相違は、架橋部のC末端側のアミノ酸残基において、トリアゾール環が結合する炭素原子が、δ炭素原子であるか(実施例2)、γ炭素原子であるか(実施例8)またはβ炭素原子であるか(実施例10)によって、トリアゾール環による抗体結合部位に対する立体障害の影響があるものと推測される。

0157

《実施例7、11および13》
実施例7、11および13は、架橋部のアミノ酸残基のうち、ポリペプチド鎖のN末端側のアミノ酸残基がγ−アジド−L−ホモアラニンに由来するアミノ酸残基[Abu(N3)]であり、ポリペプチド鎖のC末端側のアミノ酸残基が、L−プロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基[Pra](実施例7)、L−ホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基[Hpg](実施例11)またはL−ビスホモプロパルギルグリシンに由来するアミノ酸残基[Bpg](実施例13)である実施例である。
相対結合活性は、実施例11がA評価であり、実施例7および13がB評価であった。このような評価の相違は、架橋部のC末端側のアミノ酸残基において、トリアゾール環が結合する炭素原子が、γ炭素原子であるか(実施例11)、β炭素原子であるか(実施例7)またはδ炭素原子であるか(実施例13)によって、抗体結合部位に対するトリアゾール環の立体障害が影響していると推測される。

0158

《実施例2および3、実施例9および10、実施例11および12、ならびに実施例14および16》
実施例2の環状ペプチド2と実施例3の環状ペプチド3は、架橋部のN末端側のアミノ酸残基とC末端側のアミノ酸残基を入れ換えた実施例である。また、実施例9の環状ペプチド9と実施例10の環状ペプチド、実施例11の環状ペプチド11と実施例12の環状ペプチド12、および実施例14の環状ペプチド14と実施例16の環状ペプチド16も、それぞれ、架橋部のN末端側のアミノ酸残基とC末端側のアミノ酸残基を入れ換えた実施例である。実施例2、3、9、10、11、12、14および16は、いずれも、相対結合活性がC評価以上であり、薬品耐性はA評価であった。したがって、これらの環状ペプチドの抗体結合活性および薬品耐性は十分であった。

0159

《実施例4および5》
実施例4の環状ペプチド4と実施例5の環状ペプチド5とは、固定化官能基であるアミノ基を有するリシン残基1文字表記=K、3文字表記=Lys)が3個、N末端に存在するか、C末端に存在するかという点で相違する。しかし、実施例4および実施例5の相対結合活性および薬品耐性はいずれもA評価であり、十分な抗体結合性および薬品耐性を持っている。このことから、固定化官能基を有するアミノ酸残基は、N末端側およびC末端側のどちらに存在してもよいといえる。

0160

《全般》
トリアゾール環(トリアゾール結合)を介する架橋構造を含む環状ペプチド(実施例1〜10)は、抗体結合性と薬品耐性に優れていた。また、アミド結合を介する架橋構造を含む環状ペプチド(比較例1および比較例2)は、抗体結合性が劣っていたが、薬品耐性は十分であった。抗体結合性が劣る理由は明らかではないが、アミド結合が有する剛直性が大きく影響するのではないかと考えられる。また、ジスルフィド結合を介する架橋構造を含む環状ペプチド(比較例3)は、薬品耐性が劣っていた。これは架橋構造を形成した際の環のひずみが大きく、不安定となり、薬品耐性が劣ることとなったものと考えられる。

実施例

0161

〈血漿中安定性〉
実施例1の環状ペプチド1、実施例2の環状ペプチド2および実施例4の環状ペプチド4の血漿中安定性はA評価であったが、比較例1の環状ペプチド17および比較例2の環状ペプチド18の血漿中安定性はE評価であった。
このような血漿中安定性の相違は、トリアゾール結合が架橋構造を構成するか(実施例1、2および4)、またはアミド結合が架橋構造を構成するか(比較例1および2)に起因して生じる。
本発明の環状ペプチドは、血漿中安定性が高いことから、酵素耐性に優れ、血中での使用、特に、抗体標識用リンカーまたは抗体薬物複合体用リンカーとして使用することができる。また、細胞内の還元雰囲気下でも安定的に使用できる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

この 技術と関連性が強い技術

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い法人

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い人物

該当するデータがありません

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ