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技術 信号処理装置、信号処理方法、およびプログラム

出願人 ソニー株式会社
発明者 山邉祐史松本恭輔浅田宏平
出願日 2017年6月30日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2018-541920
公開日 2019年7月18日 (1年7ヶ月経過) 公開番号 WO2018-061371
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 動作制御パターン 音響デバイス 最大入力値 聴取対象 定常音 非定常音 報知デバイス 適応信号
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

周囲音に対する適応処理モードが開始されてから、効果が得られるまでの時間を短縮する。

解決手段

収音された周囲音に基づいてノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセル処理部と、前記周囲音の特徴に係る動的解析を行い、前記周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成する信号処理部と、信号処理に係る複数のモードを制御する制御部と、を備え、前記複数のモードは、前記ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、前記ノイズキャンセル信号と前記周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、を含み、前記信号処理部は、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を継続する、信号処理装置が提供される。

概要

背景

近年、イヤホンヘッドホンなどの音響機器には、単に音響情報を出力するのみではなく、利用シーンを想定した機能を有する装置がある。上記機能の例としては、いわゆるノイズキャンセリング(Noise Cancelling)機能や、ノイズリダクション(Noise Reduction)機能が挙げられる。また、例えば、特許文献1には、ノイズキャンセル処理を行った音声信号ノイズリダクション処理により強調された聴取対象の音声信号を合成する技術が開示されている。

概要

周囲音に対する適応処理モードが開始されてから、効果が得られるまでの時間を短縮する。収音された周囲音に基づいてノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセル処理部と、前記周囲音の特徴に係る動的解析を行い、前記周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成する信号処理部と、信号処理に係る複数のモードを制御する制御部と、を備え、前記複数のモードは、前記ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、前記ノイズキャンセル信号と前記周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、を含み、前記信号処理部は、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を継続する、信号処理装置が提供される。

目的

この際、ハウリングキャンセル処理では、上記の特性H(ω)を動的に推定し、マイクロフォン51に帰還する信号、H(ω)*Y(ω)、を入力X(ω)から除去することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

収音された周囲音に基づいてノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセル処理部と、前記周囲音の特徴に係る動的解析を行い、前記周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成する信号処理部と、信号処理に係る複数のモードを制御する制御部と、を備え、前記複数のモードは、前記ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、前記ノイズキャンセル信号と前記周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、を含み、前記信号処理部は、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を継続する、信号処理装置

請求項2

前記信号処理部は、前記周囲音の特徴に係る前記動的解析を行う動的解析部と、前記動的解析部による前記動的解析の結果に基づいて動的フィルタを生成する動的フィルタ生成部と、前記動的フィルタ生成部により生成された前記動的フィルタを用いて前記周囲音のフィルタリングを行い、前記周囲音適応信号を生成するフィルタ処理部と、を備え、前記動的解析部は、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を実行する、請求項1に記載の信号処理装置。

請求項3

前記動的フィルタ生成部は、前記第1のモードにおいても、前記動的フィルタを生成する、請求項2に記載の信号処理装置。

請求項4

前記制御部は、前記第1のモードにおいて、前記フィルタ処理部の動作を停止させる、請求項2に記載の信号処理装置。

請求項5

前記周囲音適応信号の出力に係る周囲音モニタ出力スイッチ、をさらに備え、前記周囲音モニタ出力スイッチは、前記信号処理部と、前記周囲音適応信号と前記ノイズキャンセル信号とを加算する加算回路と、の間に配置され、前記制御部は、前記第1のモードにおいて、前記周囲音モニタ出力スイッチをオフに設定する、請求項1に記載の信号処理装置。

請求項6

前記信号処理部は、前記第1のモードにおいても、前記周囲音適応信号を生成する、請求項5に記載の信号処理装置。

請求項7

前記周囲音適応信号は、前記周囲音に基づくノイズリダクション処理が実施された音声信号、またはハウリングキャンセル処理が実施された音声信号のうち少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の信号処理装置。

請求項8

2つ以上の前記信号処理部を備える、請求項1に記載の信号処理装置。

請求項9

前記周囲音に基づくハウリングキャンセル処理を実施する第1の信号処理部と、前記周囲音に基づくノイズリダクション処理を実施する第2の信号処理部と、を備え、前記第2の信号処理部により生成される周囲音適応信号は、前記ハウリングキャンセル処理および前記ノイズリダクション処理が実施された音声信号であり、前記第2のモードでは、前記ノイズキャンセル信号と、前記第2の信号処理部により生成される周囲音適応信号と、に基づく音響再生が行われる、請求項1に記載の信号処理装置。

請求項10

前記制御部は、オーディオ再生状況に基づいて前記信号処理部に供給する参照信号切り替える、請求項7に記載の信号処理装置。

請求項11

前記制御部は、オーディオの再生が行われている場合、オーディオ信号を参照信号として前記信号処理部に供給する、請求項7に記載の信号処理装置。

請求項12

収音された前記周囲音のアナログ信号に係る第1のゲインを調整する第1のアンプと、前記信号処理部に供給される前記周囲音のデジタル信号に係る第2のゲインを調整する第2のアンプと、をさらに備え、前記第2のアンプは、前記ノイズキャンセル処理部に供給されるデジタル信号に影響を与えない位置に配置され、前記制御部は、前記第1のモードにおける前記第1のゲインが前記第2のモードにおける前記第1のゲインよりも大きくなるように前記第1のアンプを制御し、前記第1のゲインに係る変動値と前記第2のゲインに係る変動値との総和の絶対値が、前記第1のゲインに係る変動値の絶対値よりも小さくなるように前記第2のアンプを制御する、請求項1に記載の信号処理装置。

請求項13

前記制御部は、前記第1のゲインに係る変動値が0dBよりも大きい場合、前記第2のゲインに係る変動値が、前記第1のゲインに係る変動値の反数の2倍よりも大きく、かつ0dBよりも小さくなるように前記第2のアンプを制御する、請求項12に記載の信号処理装置。

請求項14

前記制御部は、前記第1のゲインに係る変動値が0dBよりも小さい場合、前記第2のゲインに係る変動値が、前記第1のゲインに係る変動値の反数の2倍よりも小さく、かつ0dBよりも大きくなるように前記第2のアンプを制御する、請求項12に記載の信号処理装置。

請求項15

前記制御部は、前記第1のゲインに係る変動値と前記第2のゲインに係る変動値との総和が略0dBとなるように前記第2のアンプを制御する、請求項12に記載の信号処理装置。

請求項16

前記信号処理部は、前記周囲音に基づくハウリングキャンセル処理を実施する第1の信号処理部を少なくとも含み、前記信号処理装置は、前記第1の信号処理部の参照信号に係る第3のゲインを調整する第3のアンプをさらに備え、前記制御部は、前記第1のゲインに係る変動値と前記第3のゲインに係る変動値との差の絶対値が、前記第1のゲインに係る変動値の絶対値よりも小さくなるように前記第3のアンプを制御する、請求項12に記載の信号処理装置。

請求項17

前記制御部は、前記第1のモードにおいて、前記第1のゲインおよび前記第3のゲインを上げ、前記第2のゲインを下げる制御を行う、請求項16に記載の信号処理装置。

請求項18

前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記第1のゲインおよび前記第3のゲインを下げ、前記第2のゲインを上げる制御を行う、請求項16に記載の信号処理装置。

請求項19

プロセッサが、収音された周囲音に基づいてノイズキャンセル信号を生成することと、前記周囲音の特徴に係る動的解析を行い、前記周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成することと、信号処理に係る複数のモードを制御することと、を含み、前記複数のモードは、前記ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、前記ノイズキャンセル信号と前記周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、を含み、前記周囲音適応信号を生成することは、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を継続すること、をさらに含む、信号処理方法

請求項20

コンピュータを、収音された周囲音に基づいてノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセル処理部と、前記周囲音の特徴に係る動的解析を行い、前記周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成する信号処理部と、信号処理に係る複数のモードを制御する制御部と、を備え、前記複数のモードは、前記ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、前記ノイズキャンセル信号と前記周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、を含み、前記信号処理部は、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を継続する、信号処理装置、として機能させるためのプログラム

技術分野

0001

本開示は、信号処理装置信号処理方法、およびプログラムに関する。

背景技術

0002

近年、イヤホンヘッドホンなどの音響機器には、単に音響情報を出力するのみではなく、利用シーンを想定した機能を有する装置がある。上記機能の例としては、いわゆるノイズキャンセリング(Noise Cancelling)機能や、ノイズリダクション(Noise Reduction)機能が挙げられる。また、例えば、特許文献1には、ノイズキャンセル処理を行った音声信号ノイズリダクション処理により強調された聴取対象の音声信号を合成する技術が開示されている。

先行技術

0003

特開2010−11117号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、通常、ノイズリダクション処理などの周囲音に対する適応処理では、相応の時間、周囲音を解析することが求められる。例えば、ノイズリダクション処理の場合、定常音ノイズ)か非定常音(聴取対象)かを判定するための解析時間を要する。しかし、特許文献1に記載の技術では、音声モニタタンの押下に基づいて、ノイズリダクション処理系の動作が開始される。このため、特許文献1に記載の技術では、音声モニタボタンが押下されても、周囲音の解析が完了するまでは、ノイズリダクションの効果を得ることが困難である。

0005

そこで、本開示では、周囲音に対する適応処理モードが開始されてから、効果が得られるまでの時間を短縮することが可能な、新規かつ改良された装置が提案される。

課題を解決するための手段

0006

本開示によれば、収音された周囲音に基づいてノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセル処理部と、前記周囲音の特徴に係る動的解析を行い、前記周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成する信号処理部と、信号処理に係る複数のモードを制御する制御部と、を備え、前記複数のモードは、前記ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、前記ノイズキャンセル信号と前記周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、を含み、前記信号処理部は、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を継続する、信号処理装置が提供される。

0007

また、本開示によれば、プロセッサが、収音された周囲音に基づいてノイズキャンセル信号を生成することと、前記周囲音の特徴に係る動的解析を行い、前記周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成することと、信号処理に係る複数のモードを制御することと、を含み、前記複数のモードは、前記ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、前記ノイズキャンセル信号と前記周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、を含み、前記周囲音適応信号を生成することは、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を継続すること、をさらに含む、信号処理方法が提供される。

0008

また、本開示によれば、コンピュータを、収音された周囲音に基づいてノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセル処理部と、前記周囲音の特徴に係る動的解析を行い、前記周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成する信号処理部と、信号処理に係る複数のモードを制御する制御部と、を備え、前記複数のモードは、前記ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、前記ノイズキャンセル信号と前記周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、を含み、前記信号処理部は、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を継続する、信号処理装置、として機能させるためのプログラムが提供される。

発明の効果

0009

以上説明したように本開示によれば、周囲音に対する適応処理モードが開始されてから、効果が得られるまでの時間を短縮することが可能となる。

0010

なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。

図面の簡単な説明

0011

本開示の第1の実施形態に係る信号処理装置の第1の構成例を示す図である。
同実施形態に係る信号処理装置の第2の構成例を示す図である。
本開示の関連技術に係るハウリングキャンル処理概要を説明するための図である。
本開示の第1の実施形態に係る第1のモードおよび第2のモードにおける各構成の動作制御例を示す図である。
本開示の第2の実施形態に係る信号処理装置の構成例を示す図である。
同実施形態に係る第3のゲイン制御が奏する効果について説明するための図である。
同実施形態に係る制御部によるゲイン制御パターンの一例を示す図である。
同実施形態に係る制御部によるゲイン制御パターンの一例を示す図である。
本開示に係る信号処理装置のハードウェア構成例を示す図である。

実施例

0012

以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

0013

なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.第1の実施形態
1.1.第1の実施形態の概要
1.2.信号処理装置に係る第1の構成例
1.3.信号処理装置に係る第2の構成例
1.4.各モードにおける動作制御パターン
2.第2の実施形態
2.1.第2の実施形態の概要
2.2.信号処理装置の構成例
2.3.各モードにおけるゲイン制御パターン
3.ハードウェア構成例
4.まとめ

0014

<1.第1の実施形態>
<<1.1.第1の実施形態の概要>>
まず、本開示に係る第1の実施形態の概要について説明する。上述したとおり、近年では、周囲音などの外部環境適応する機能を持つ種々の音響機器が開発されている。例えば、ノイズキャンセリング機能を有する音響機器は、マイクロフォンにより収音された周囲音に基づくノイズキャンセル信号を生成し、当該ノイズキャンセル信号を周囲音と音響的に合成することで、周囲音、すなわちノイズをキャンセルすることができる。

0015

また、例えば、ノイズリダクション機能を有する音響機器は、マイクロフォンにより収音された周囲音を動的に解析し、推定された定常音を周囲音から差し引くことで、ノイズを低減し非定常音の明瞭度を向上させることができる。

0016

さらには、特許文献1に記載の技術のように、ノイズキャンセル処理により一旦周囲音をキャンセルしたうえで、ノイズリダクション処理により抽出された非定常音を音声出力することも想定される。ここで、上記の非定常音には、例えば、発話などの音声や、各種のアラームや警報などが含まれてもよい。すなわち、音響機器を装着するユーザは、ノイズキャンセル処理により周囲音をキャンセルしながらも、必要に応じてモードを切り替えることで、例えば、周囲音から他者の発話のみを抽出し音声として取り込むことも可能である。

0017

しかし、ノイズリダクション処理のような周囲音に対する適応処理は、通常、周囲音の解析に相応の時間を要するため、上記のように、ユーザがモードの切り替えを行った場合であっても、適応処理の効果が得られるまでには時間差が生じることとなる。

0018

本実施形態に係る信号処理装置、信号処理方法、およびプログラムは、上記の点に着目して発想されたものであり、周囲音に対する適応処理モードが開始されてから、効果が得られるまでの時間を大幅に短縮することを可能とする。このために、本実施形態に係る信号処理装置は、周囲音の特徴に係る動的解析を行い、当該周囲音をフィルタリングすることで、周囲音に対する適応処理を施した音声信号(以下、周囲音適応信号、と称する)を生成する信号処理部を備える。また、本実施形態に係る信号処理部は、周囲音への適応処理が行われないモードであっても、周囲音の動的解析を継続することを特徴の一つとする。以下、本実施形態に係る信号処理装置が有する機能および当該機能が奏する効果について詳細に説明する。

0019

<<1.2.信号処理装置に係る第1の構成例>>
次に、本実施形態に係る信号処理装置の第1の構成例について説明する。本実施形態に係る信号処理装置は、例えば、ヘッドホンなどの音響機器であってもよい。ここで、本実施形態に係る信号処理装置は、信号処理に係る複数のモードを有してよい。例えば、本実施形態に係る信号処理装置は、ノイズキャンセル処理を行う第1のモードと、ノイズキャンセル処理および周囲音に対する適応処理を行う第2のモードとを有する。この際、本実施形態に係る信号処理装置は、上述したとおり、第1のモードにおいても、周囲音の動的解析を継続して行うことを特徴の一つとする。本実施形態に係る信号処理装置が有する上記の機能によれば、第2のモードへの切り替えが行われた場合でも、第1のモードにおいて実施した解析結果を用いることで、周囲音に対する適応処理を速やかに反映することが可能となる。

0020

図1は、本実施形態に係る信号処理装置の第1の構成例を示す図である。図1を参照すると、本実施形態に係る信号処理装置10は、マイクロフォン11、ADC(Analog−to−Digital Converter)12、ノイズキャンセル処理部13、デシメーションフィルタ14、信号処理部15を備える。ここで、本実施形態に係る信号処理部15は、周囲音動的解析部151、動的フィルタ生成部152、およびフィルタ処理部153から構成される。また、本実施形態に係る信号処理装置10は、周囲音モニタ出力スイッチ16、第1の加算回路17、オーバーサンプリングフィルタ18、第2の加算回路19、DAC(Digital−to−Analog Converter)20、およびスピーカ21を備える。また、本実施形態に係る信号処理装置10は、操作入力部22、センサ部23、センサ情報解析部24、および制御部25を備える。

0021

(マイクロフォン11)
マイクロフォン11は、周囲音を収音する機能を有する。マイクロフォン11は、収音した周囲音のアナログ信号をADC12に供給する。

0022

(ADC12)
ADC12は、マイクロフォン11から供給されたアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する。ADC12は、変換したデジタル信号をノイズキャンセル処理部13およびデシメーションフィルタ14にそれぞれ供給する。

0023

(ノイズキャンセル処理部13)
ノイズキャンセル処理部13は、ADC12から供給されるデジタル信号に基づくノイズキャンセル処理を行う機能を有する。すなわち、本実施形態に係るノイズキャンセル処理部13は、収音された周囲音に基づくノイズキャンセル信号を生成することができる。この際、本実施形態に係るノイズキャンセル処理部13は、例えば、フィードバック方式フィードフォワード方式によるノイズキャンセル処理を行ってもよい。なお、ノイズキャンセル処理部13の詳細な構成については、例えば、特許文献1に記載されるような構成が用いられてもよい。

0024

(デシメーションフィルタ14)
デシメーションフィルタ14は、ADC12から供給されるデジタル信号に対するデシメーション処理を行う。

0025

(信号処理部15)
信号処理部15は、デシメーションフィルタ14を通過したデジタル信号に基づいて周囲音適応信号を生成する。上述したとおり、本実施形態に係る周囲音適応信号とは、周囲音に対する適応処理を施した音声信号であってよい。本実施形態に係る信号処理部は、上記のデジタル信号から周囲音の特徴に係る動的解析を行い、当該周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成することができる。また、本実施形態に係る信号処理部15は、上述したとおり、ノイズキャンセル処理のみが行われる第1のモードにおいても、周囲音の動的解析を継続することを特徴の一つとする。

0026

なお、本実施形態に係る周囲音に対する適応処理には、例えば、ノイズリダクション処理やハウリングキャンセル処理など、周囲音に追従する種々の処理が含まれてよい。このため、本実施形態に係る信号処理部15、信号処理部15が備える周囲音動的解析部151、動的フィルタ生成部152、およびフィルタ処理部153は、種々の処理に応じた構成および機能を採用し得る。

0027

((周囲音動的解析部151))
周囲音動的解析部151は、デシメーションフィルタ14を通過したデジタル信号に基づく動的解析を行う機能を有する。すなわち、本実施形態に係る周囲音動的解析部151は、収音された周囲音の特徴に係る動的解析を行う。この際、本実施形態に係る周囲音動的解析部151は、収音された周囲音の時間的変化に係る特徴を適応処理の目的に応じた手法により解析することができる。

0028

また、本実施形態に係る周囲音動的解析部151は、ノイズキャンセル処理のみが行われる第1のモードにおいても、周囲音の特徴に係る動的解析を継続することを特徴の一つとする。本実施形態に係る周囲音動的解析部151が有する上記の機能によれば、モードが切り替わった際の処理遅延を大幅に低減することが可能となる。

0029

((動的フィルタ生成部152))
動的フィルタ生成部152は、周囲音動的解析部151による周囲音の動的解析の結果に基づいて動的フィルタを生成する機能を有する。すなわち、本実施形態に係る動的フィルタ生成部152は、適応処理の目的に応じた動的フィルタを生成することができる。また、本実施形態に係る動的フィルタ生成部152は、ノイズキャンセル処理のみが行われる第1のモードにおいても、上記のフィルタを生成してもよい。

0030

((フィルタ処理部153))
フィルタ処理部153は、動的フィルタ生成部152により生成された動的フィルタを用いて、デシメーションフィルタ14を通過したデジタル信号をフィルタリングする機能を有する。すなわち、本実施形態に係るフィルタ処理部153は、上記の動的フィルタを用いて周囲音のフィルタリングを行い、周囲音適応信号を生成する。上述したとおり、本実施形態に係る周囲音に対する適応処理には、例えば、ノイズリダクション処理やハウリングキャンセル処理が含まれてよい。このため、本実施形態に係る周囲音適応信号には、周囲音に基づくノイズリダクション処理が実施された音声信号やハウリングキャンセルが実施された音声信号などが含まれ得る。

0031

なお、本実施形態に係るフィルタ処理部153は、後述する制御部25により、ノイズキャンセル処理のみが行われる第1のモードにおいては、上記の周囲音適応信号を生成しないよう制御されてよい。一方、制御部25により後述する周囲音モニタ出力スイッチ16がオフに制御される場合においては、フィルタ処理部153は、第1のモードにおいても、上記の周囲音適応信号を生成してもよい。本実施形態に係る制御部25によりモード制御の詳細については別途詳細に説明する。

0032

(周囲音モニタ出力スイッチ16)
周囲音モニタ出力スイッチ16は、制御部25による制御に基づいて、信号処理部15が生成する周囲音適応信号の出力経路に係るスイッチングを行う機能を有する。このため、本実施形態に係る周囲音モニタ出力スイッチ16は、図1に示すように、信号処理部15と、周囲音適応信号とノイズキャンセル信号とを加算する第2の加算回路19と、の間に配置される。具体的には、本実施形態に係る周囲音モニタ出力スイッチ16は、制御部25により、第1のモードにおいてオフに設定されてよい。すなわち、本実施形態に係る周囲音モニタ出力スイッチ16は、第1のモードにおいては、周囲音適応信号が第2の加算回路19に供給されないように制御される。

0033

(第1の加算回路17)
第1の加算回路17は、オーディオ信号と信号処理部15により生成される周囲音適応信号とを加算する機能を有する。第1の加算回路17は、オーディオ信号と加算された周囲音適応信号をオーバーサンプリングフィルタ18に供給する。

0034

(オーバーサンプリングフィルタ18)
オーバーサンプリングフィルタ18は、第1の加算回路17から供給されるデジタル信号に対するオーバーサンプリング処理を行う。

0035

(第2の加算回路19)
第2の加算回路19は、ノイズキャンセル処理部13により生成されるノイズキャンセル信号と、オーバーサンプリングフィルタ18を通過したデジタル信号とを加算する機能を有する。すなわち、第2の加算回路19は、ノイズキャンセル信号と周囲音適応信号とを加算する。また、オーディオ再生時には、オーディオ信号が加算されることとなる。第2の加算回路19は加算後のデジタル信号をDAC20に供給する。

0036

(DAC20)
DAC20は、第2の加算回路19から供給されたデジタル信号をアナログ信号に変換する機能を有する。DAC20は、変換したアナログ信号をスピーカ21に供給する。

0037

(スピーカ21)
スピーカ21は、DAC20から供給されるアナログ信号に基づいて音響再生を行う機能を有する。すなわち、本実施形態に係るスピーカ21は、第1のモードにおいてはノイズキャンセル信号に基づく音響再生を行い、第2のモードにおいてはノイズキャンセル信号および周囲音適応信号に基づく音響再生を行う。また、スピーカ21は、オーディオ再生時には、上記に加えオーディオ信号に基づく音響再生信号を行う。

0038

(操作入力部22)
操作入力部22は、ユーザによる操作入力を受け付ける機能を有する。具体的には、本実施形態に係る操作入力部22は、ユーザによるモードの切り替え操作や、オーディオ再生操作に係る入力を受け付ける。このために、操作入力部22は、各種のボタン、スイッチ、レバーなどを含んで構成され得る。また、操作入力部22は、タッチパネルなどにより実現されてもよい。さらには、操作入力部22は、例えば、スマートフォンなどの外部装置からのコマンド送信を受け付けることもできる。操作入力部22は、受け付けた操作入力に係る情報を制御部25に送信する。

0039

(センサ部23)
センサ部23は、信号処理装置10、ユーザ、または外部環境に係る種々の状態を収集する機能を有する。このために、センサ部23は、例えば、マイクロフォン、振動センサ撮像センサ加速度センサジャイロセンサ地磁気センサ圧力センサ赤外線センサなどの種々の光センサを含んで構成される。また、センサ部23は、収集したセンサ情報をセンサ情報解析部24に送信する。

0040

(センサ情報解析部24)
センサ情報解析部24は、センサ部23から受信したセンサ情報に基づいて種々の解析を行う機能を有する。本実施形態に係るセンサ情報解析部24は、例えば、センサ部23から受信した振動情報に基づいて、発話を検出してもよい。また、例えば、センサ情報解析部24は、センサ部23から受信した圧力センサなどの情報に基づいて、信号処理装置10の装着判定を行ってもよい。また、例えば、センサ情報解析部24は、センサ部23から受信した加速度情報などに基づいてユーザの首を振る動作などを検出してもよい。センサ情報解析部24は、センサ情報に基づく解析結果を制御部25に送信する。

0041

(制御部25)
制御部25は、信号処理装置10が有する各機能の制御を行う。例えば、本実施形態に係る制御部25は、信号処理に係る複数のモードを制御する機能を有する。ここで、上記の複数のモードには、上述したとおり、ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、ノイズキャンセル信号と周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、が含まれてよい。

0042

このために、本実施形態に係る制御部25は、信号処理部15の各構成や、周囲音モニタ出力スイッチ16に対し各モードに応じた制御を行ってよい。より具体的には、本実施形態に係る制御部25は、第1のモードにおいて、フィルタ処理部153の動作を停止させる制御を行ってもよい。

0043

また、本実施形態に係る制御部25は、第1のモードにおいて、周囲音モニタ出力スイッチ16をオフに設定し、信号処理部15により生成される周囲音適応信号が第2の加算回路19に供給されないように制御することもできる。

0044

この際、本実施形態に係る制御部25は、操作入力部22が受け付けたユーザによるモード切り替え操作に基づいて、第1のモードおよび第2のモードの切り替えを行ってもよい。また、本実施形態に係る制御部25は、ユーザによる明示的操作のみならず、センサ情報解析部24による種々の解析結果に基づいて、動的にモードの切り替えを制御することができる。例えば、本実施形態に係る制御部25は、センサ情報解析部24が発話を検出したことに基づいて、第1のモードから第2のモードへの切り替えを実行してもよい。また、例えば、信号処理部15が聴取対象の到来方向指向性を向け当該聴取対象を強調する、いわゆるビームフォーミング処理を実施する場合には、制御部25は、所定方向からの音響を検出したことに基づいて、第2のモードへの切り替えを行うこともできる。

0045

また、本実施形態に係る制御部25による制御機能は、モードの切り替えや、当該切り替えに応じた各構成の制御に留まらない。本実施形態に係る制御部25は、モードの切り替えとは独立した各構成の動作を制御してもよい。例えば、制御部25は、周囲音動的解析部151や動的フィルタ生成部152の動作開始や動作終了などに係る制御を行ってもよい。例えば、制御部25は、センサ情報解析部24により信号処理装置10がしっかりと装着されていることが検出された場合にのみ、周囲音動的解析部151や動的フィルタ生成部152が動作するよう制御を行ってもよい。また、制御部25は、例えば、バッテリー残量などに基づいて、上記のような動作制御を行ってもよい。

0046

<<1.3.信号処理装置に係る第2の構成例>>
次に、本実施形態に係る信号処理装置10の第2の構成例について説明する。図1を用いて説明した第1の構成例では、本実施形態に係る信号処理部15が周囲音に対する種々の適応処理を行うことを述べた。第2の構成例では、より具体的に、信号処理部15がハウリングキャンセル処理およびノイズリダクション処理を行う場合を例に説明する。

0047

図2は、本実施形態に係る信号処理装置10の第2の構成例について説明するための図である。図2を参照すると、信号処理装置10は、第1の信号処理部15aおよび第2の信号処理部15bを備える。ここで、第1の信号処理部15aは、第1周囲音動的解析部151a、第1動的フィルタ生成部152a、および第1フィルタ処理部153aから構成される。また、第2の信号処理部15bは、第2周囲音動的解析部151b、第2動的フィルタ生成部152b、および第2フィルタ処理部153bから構成される。このように、本実施形態に係る信号処理装置10は、2つ以上の信号処理部15を備えてもよい。

0048

また、第2の構成例では、信号処理装置10は、参照信号入力スイッチ26をさらに備える。以下における説明では、第1の構成例との差異について中心に述べ、第1の構成例と共通する構成および機能については説明を省略する。なお、図2には示されていないが、第2の構成例においても、信号処理装置10は、操作入力部22、センサ部23、およびセンサ情報解析部24を備えてよい。

0049

(第1の信号処理部15a)
第1の信号処理部15aは、収音された周囲音に基づくハウリングキャンセル処理を実施する機能を有する。すなわち、本実施形態に係る第1の信号処理部15aは、スピーカ21により再生された音響がマイクロフォン11により収音されることで発生する周波数成分を周囲音から除去することができる。

0050

ここで、図3を用いて、ハウリングキャンセル処理の概要について説明する。図3は、ハウリングキャンセル処理の概要を示す図である。図3には、一般的な音響機器50と、音響機器50が備えるマイクロフォン51、減算回路52、およびスピーカ53、とが示されている。

0051

また、図3には、スピーカ53による出力Y(ω)、出力Y(ω)がマイクロフォン51に帰還する伝達路の特性H(ω)、周囲音S(ω)、およびマイクロフォン51への入力X(ω)がそれぞれ示されている。すなわち、図3において、入力X(ω)は、X(ω)=S(ω)+H(ω)*Y(ω)、と表すことができる。

0052

この際、ハウリングキャンセル処理では、上記の特性H(ω)を動的に推定し、マイクロフォン51に帰還する信号、H(ω)*Y(ω)、を入力X(ω)から除去することを目的とする。図3には、音響機器50により推定される特性H(ω)の推定値G(ω)が示されている。この際、マイクロフォン51に帰還する信号の推定値は、G(ω)*Y(ω)、と表すことができる。

0053

すなわち、音響機器50が上記の推定を完全に行うことができる場合、すなわち、G(ω)=H(ω)、である場合、減算回路52による減算結果P(ω)は、P(ω)=X(ω)−G(ω)*Y(ω)=(S(ω)+H(ω)*Y(ω))−G(ω)*Y(ω)=S(ω)、となり、周囲音S(ω)のみを抽出することが可能となる。

0054

このように、本実施形態に係る第1の信号処理部15aは、図3に示すような音響帰還系に係る伝達路の特性を動的に推定することでハウリングキャンセル処理を実現し、周囲音適応信号を生成することができる。

0055

((第1周囲音動的解析部151a))
第1周囲音動的解析部151aは、図3を用いて説明した音響帰還系に係る伝達路の特性を動的に推定する機能を有する。第1周囲音動的解析部151aは、供給されるデジタル信号に対して高速フーリエ変換を行い、当該デジタル信号を周波数スペクトルに変換することができる。また、第1周囲音動的解析部151aは、変換した周波数スペクトルから所定値以上のパワーレベルを有する周波数成分を検出し、第1動的フィルタ生成部152aに引き渡す。

0056

また、この際、第1周囲音動的解析部151aは、参照信号として、第1の加算回路17から供給されるデジタル信号、またはオーディオ信号を用いてよい。

0057

また、第1の構成例の場合と同様に、第1周囲音動的解析部151aは、第1のモードにおいても、上記の動的推定を継続して実施する。

0058

((第1動的フィルタ生成部152a))
第1動的フィルタ生成部152aは、第1周囲音動的解析部151aが検出した周波数成分に基づいて動的フィルタを生成する機能を有する。第1動的フィルタ生成部152aは、第1のモードにおいても、制御部25による制御に基づいて、上記の動的フィルタ生成を継続して実行してもよい。

0059

((第1フィルタ処理部153a))
第1フィルタ処理部153aは、第1動的フィルタ生成部152aが生成した動的フィルタを用いて、デジタル信号からハウリングに由来する周波数成分を除去する機能を有する。すなわち、本実施形態に係る第1フィルタ処理部153aは、収音された周囲音からハウリングをキャンセルした周囲音適応信号を生成することができる。また、第1フィルタ処理部153aは、生成した周囲音適応信号を第2の信号処理部15bに供給する。

0060

この際、第1の構成例の場合と同様に、第1フィルタ処理部153aは、第1のモードにおいては、動作を停止するように制御部25により制御される。ただし、制御部25により、周囲音モニタ出力スイッチ16がオフに設定される場合においては、第1のモードであっても、動作を継続して行うこともできる。

0061

(第2の信号処理部15b)
第2の信号処理部15bは、収音された周囲音に基づくノイズリダクション処理を実施する機能を有する。すなわち、本実施形態に係る第2の信号処理部15bは、周囲音を動的に解析することで、周囲音に含まれる定常音(ノイズ)を推定し、周囲音から非定常音、すなわち聴取対象のみを抽出した周囲音適応信号を生成することができる。

0062

((第2周囲音動的解析部151b))
第2周囲音動的解析部151bは、周囲音に含まれる定常音を動的に推定する機能を有する。第2周囲音動的解析部151bは、第1フィルタ処理部153aから供給される周囲音適応信号に基づいて、上記の推定を行ってよい。また、第2周囲音動的解析部151bは、推定した定常音に係るパワースペクトルを第2動的フィルタ生成部152bに引き渡す。

0063

また、第1周囲音動的解析部151aと同様に、第2周囲音動的解析部151bは、第1のモードにおいても、上記の動的推定を継続して実施する。

0064

((第2動的フィルタ生成部152b))
第2動的フィルタ生成部152bは、第2周囲音動的解析部151bが推定したパワースペクトルに基づいて動的フィルタを生成する機能を有する。第2動的フィルタ生成部152bは、第1のモードにおいても、制御部25による制御に基づいて、上記の動的フィルタ生成を継続して実行してもよい。

0065

((第2フィルタ処理部153b))
第2フィルタ処理部153bは、第2動的フィルタ生成部152bが生成した動的フィルタを用いて、第1フィルタ処理部153aから供給される周囲音適応信号のパワースペクトルから、推定された定常音のパワースペクトルを差し引く処理を行う。また、第2フィルタ処理部153bは、差し引き後のパワースペクトルを逆フーリエ変換することで、定常音を除去した周囲音適応信号を生成する。

0066

すなわち、本実施形態に係る第2フィルタ処理部153bにより生成される上記の周囲音適応信号は、ハウリングキャンセル処理およびノイズリダクション処理が実施された音声信号といえる。このため、第2の構成例における第2のモードでは、ノイズキャンセル信号と、ハウリングキャンセル処理およびノイズリダクション処理が実施された音声信号とに基づく音響再生が行われる。

0067

また、第1フィルタ処理部153aと同様に、第2フィルタ処理部153bは、第1のモードにおいては、動作を停止するように制御部25により制御される。ただし、制御部25により、周囲音モニタ出力スイッチ16がオフに設定される場合においては、第1のモードであっても、動作を継続して行うこともできる。

0068

(参照信号入力スイッチ26)
参照信号入力スイッチ26は、制御部25による制御に基づいて、第1の信号処理部15aに用いられる参照信号の入力経路をスイッチングする機能を有する。より具体的には、参照信号入力スイッチ26は、図2に示すように、第1の加算回路17により加算処理が行われた音声信号、またはオーディオ信号のいずれかが参照信号として第1の信号処理部15aに供給されるようにスイッチングを行う。

0069

なお、参照信号入力スイッチ26は、制御部25による制御に基づいて上記のスイッチングを行ってよい。すなわち、本実施形態に係る制御部25は、参照信号入力スイッチ26を制御することで、第1の信号処理部15aに供給される参照信号を切り替える機能を有する。

0070

この際、本実施形態に係る制御部25は、オーディオ再生状況に基づいて第1の信号処理部15aに供給する参照信号を切り替えてよい。より具体的には、本実施形態に係る制御部25は、オーディオの再生が行われている場合や、オーディオの再生音量所定音量を超える場合に、オーディオ信号を参照信号として第1の信号処理部15aに供給してよい。本実施形態に係る制御部25が有する上記の機能によれば、オーディオの再生状況に基づいてオーディオ信号を参照信号として用いることが可能となり、第1の信号処理部15aはより精度の高い解析を行うことができる。

0071

以上、本実施形態に係る第2の構成例について説明した。なお、上記の説明では、信号処理装置10が、第1の信号処理部15aおよび第2の信号処理部15bの2つの信号処理部15を備える場合を例に述べたが、本実施形態に係る信号処理装置10の構成は係る例に限定されない。本実施形態に係る信号処理装置10は、3つ以上の信号処理部15を備えてもよい。

0072

また、上記では、第1の信号処理部15aがハウリングキャンセル処理を実施し、第2の信号処理部15bがノイズリダクション処理を実施する場合を例に述べたが、本実施形態に係る周囲音に対する適応処理は、上記の例に限定されない。本実施形態に係る信号処理装置10は、例えば、ビームフォーミング処理を実施する信号処理部15を備えてもよい。

0073

また、上記の説明では、第1の信号処理部15aおよび第2の信号処理部15bが制御部25による制御に基づいて独立に動作する場合を中心に説明したが、本実施形態に係る複数の信号処理部15の動作は、互いに連動してもよい。例えば、第1の信号処理部15aがノイズリダクション処理を実施し、第2の信号処理部15bがビームフォーミング処理を実施する場合、第2の信号処理部15bは、第1の信号処理部15aにより所定以上のノイズが推定された場合にのみ動作するよう制御されてもよい。本実施形態に係る信号処理部15の機能構成は、適応処理の特性や組み合わせに応じて柔軟に変更され得る。

0074

<<1.4.各モードにおける動作制御パターン>>
以上、本実施形態に係る信号処理装置10の構成例について説明した。次に、本実施形態に係る第1のモードおよび第2のモードにおける動作制御パターンについて説明する。上述したとおり、本実施形態に係る制御部25は、第1のモードにおいては、ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われるように各構成を制御し、第2のモードにおいては、ノイズキャンセル信号および周囲音適応信号に基づく音響再生が行われるように各構成を制御する。

0075

この際、制御部25による各構成の制御には、いくつかのパターンが想定される。図4は、第1のモードおよび第2のモードにおける各構成の動作制御例を示す図である。図4では、各構成の動作が4つのレベルにより分類されている。

0076

ここで、図4における「A」は、制御部25が構成を動作させることを示す。すなわち、図4は、第1のモードにおいて、制御部25が、第1周囲音動的解析部151aおよび第2周囲音動的解析部151bを動作させることを示している。上述したとおり、第1周囲音動的解析部151aおよび第2周囲音動的解析部151bが第1のモードにおいても動的解析を継続することで、モード切り替え時の遅延を大幅に短縮することが可能となる。また、第2のモードにおいては、制御部25が図4中に示されるすべての構成を動作させることがわかる。

0077

また、「B」は、仕様に応じて制御部25が構成を動作させてもよく、また動作させなくてもよいことを示す。すなわち、図4は、第1のモードにおいて、制御部25が、第1動的フィルタ生成部152aおよび第2動的フィルタ生成部152bを動作させてもよいし、動作させなくてもよい旨を示している。

0078

また、「C」は、処理負担の観点においては制御部25が構成を動作させないことが望ましいが、構成の動作が許容され得ることを示す。すなわち、図4は、処理負担の観点からは、第1のモードにおいて、制御部25が、第1フィルタ処理部153aおよび第2フィルタ処理部153bを動作させないことが望ましいが、周囲音モニタ出力スイッチ16が動作させない場合にあっては、上記の2構成を動作させることも可能な旨を示している。

0079

また、「D」は、制御部25が構成を動作させないことを示す。すなわち、図4は、第1のモードにおいて、制御部25が周囲音モニタ出力スイッチ16を動作させない旨を示している。

0080

以上、本実施形態に係る第1のモードおよび第2のモードにおける動作制御の詳細について説明した。本実施形態に係る制御部25による上記の制御によれば、第1のモードにおいても周囲音の動的推定が継続することが可能となり、モード切り替え時の時間遅延を大幅に短縮することができる。

0081

なお、図4を用いた上記では、第1のモードにおいて、制御部25が周囲音モニタ出力スイッチ16を動作させない前提の基に説明したが、本実施形態に係る各構成の制御は、係る例に限定されない。すなわち、第1のモードにおいて、第1フィルタ処理部153aおよび第2フィルタ処理部153bを動作させない場合、制御部25は、周囲音モニタ出力スイッチ16を動作させてもよい。本実施形態に係る各構成の制御は、柔軟に変更され得る。

0082

<2.第2の実施形態>
<<2.1.第2の実施形態の概要>>
次に、本開示に係る第2の実施形態について説明する。上記の第1の実施形態では、モード切り替えに係る周囲音適応効果の時間遅延を解消する信号処理装置10について述べた。他方、ノイズキャンセル処理や周囲音に対する適応処理を行う場合、いわゆるクリップによる大音圧の異音が発生することも懸念される。すなわち、ADC12の最大入力値を超える過大音圧がマイクロフォン11に入力されることで、信号波形ピーク部分飽和されることにより、不快な異音が音響再生されることも想定される。

0083

この際、ノイズキャンセル処理においてはADC12の後段に配置されるフィルタが低域通過特性を有するため、クリップが生じた場合であっても、再生される異音は許容し得る程度である場合が多い。

0084

一方、周囲音に対する適応処理の場合、高域成分を落とさないフィルタを用いることが多い。このため、クリップ時に非常に障りな異音が再生されることとなる。

0085

本開示の第2の実施形態に係る信号処理装置、信号処理方法、およびプログラムは、上記の点に着目して発想されたものであり、ノイズキャンセル処理および周囲音に対する適応処理を同時に実施する場合であっても、クリップによる異音の発生を防止することを可能とする。このために、本実施形態に係る信号処理装置10は、収音された周囲音のアナログ信号に係る第1のゲインと、信号処理部15に供給される周囲音のデジタル信号に係る第2のゲインとを、モードにより調整する機能を有する。この際、本実施形態に係る信号処理装置10は、第1のモードにおける第1のゲインが第2のモードにおける第1のゲインよりも大きくなるように制御を行う。また、この際、本実施形態に係る信号処理装置10は、第1のゲインと第2のゲインとの総和が0dBとなるように制御を行うことを特徴とする。以下、本実施形態に係る信号処理装置が有する機能および当該機能が奏する効果について詳細に説明する。

0086

<<2.2.信号処理装置の構成例>>
次に、本実施形態に係る信号処理装置10構成例について説明する。図5は、本実施形態に係る信号処理装置10の構成例を示す図である。図5を参照すると、本実施形態に係る信号処理装置10は、図2で示した構成に加え、第1のアンプ27、第2のアンプ28、および第3のアンプ29をさらに備える。

0087

以下における説明では、第1の実施形態との差異について中心に述べ、第1の実施形態と共通する構成および機能については説明を省略する。なお、図5には示されていないが、第2の実施形態においても、信号処理装置10は、操作入力部22、センサ部23、およびセンサ情報解析部24を備えてよい。

0088

(第1のアンプ27)
第1のアンプ27は、収音された周囲音のアナログ信号に係る第1のゲインを調整する機能を有する。このため、本実施形態に係る第1のアンプ27は、マイクロフォン11とADC12との間に配置されてよい。

0089

また、本実施形態に係る第1のアンプ27は、制御部25による制御に基づいて、第1のゲインを調整する。この際、本実施形態に係る制御部25は、第1のモードにおける第1のゲインが第2のモードにおける第1のゲインより大きくなるように第1のアンプを制御する。例えば、制御部25は、第1のモードにおいては、第2のモードを基準として、第1のゲインを上げる制御を行ってもよい。また、例えば、制御部25は、第2のモードにおいては、第1のモードを基準として、第1のゲインを下げる制御を行ってよい。

0090

本実施形態に係る制御部25による上記の制御によれば、ノイズキャンセル処理のみが行われる第1のモードにおいては、ゲインを大きく設定することが可能となり、処理の精度を保つことが可能となる。

0091

(第2のアンプ28)
第2のアンプ28は、第1の信号処理部15aに供給される周囲音のデジタル信号に係る第22のゲインを調整する機能を有する。この際、第2のアンプ28は、ノイズキャンセル処理部13に供給されるデジタル信号に影響を与えない位置に配置される。このため、本実施形態に係る第2のアンプ28は、図5に示すように、デシメーションフィルタ14と第1の信号処理部15aとの間に配置されてよい。

0092

また、本実施形態に係る第2のアンプ28は、第1のアンプ27と同様に、制御部25による制御に基づいて、第2のゲインを調整する。この際、本実施形態に係る制御部25は、第1のゲインに係る変動値と第2のゲインに係る変動値との総和の絶対値が、第1のゲインに係る変動値の絶対値よりも小さくなるように第2のアンプを制御する。仮に、本実施形態に係る制御部25が有する上記の制御を行わない場合、モードにより供給されるデジタル信号のゲインが変化するため、周囲音に対する適応処理の性能が劣化することとなる。このため、本実施形態に係る制御部25は、第1のゲインの変動値に基づいて第2のゲインを設定することで、適応処理の性能劣化を防止し、動的解析の精度を高く保つことができる。

0093

この際、より具体的には、本実施形態に係る制御部25は、第1のゲインに係る変動値が0dBよりも大きい場合、第2のゲインに係る変動値が、第1のゲインに係る変動値の反数の2倍よりも大きく、かつ0dBよりも小さくなるように第2のアンプを制御してよい。すなわち、第1のゲインに係る変動値をΔX、第2のゲインに係る変動値をΔYとした場合、本実施形態に係る制御部25は、ΔYが、−ΔX*2<ΔY<0、の範囲となるように、第2のアンプを制御する。

0094

また、本実施形態に係る制御部25は、第1のゲインに係る変動値が0dBよりも小さい場合、第2のゲインに係る変動値が、第1のゲインに係る変動値の反数の2倍よりも小さく、かつ0dBよりも大きくなるように第2のアンプを制御してよい。すなわち、第1のゲインに係る変動値をΔX、第2のゲインに係る変動値をΔYとした場合、本実施形態に係る制御部25は、ΔYが、0<ΔY<|ΔX|*2、の範囲となるように、第2のアンプを制御する。

0095

本実施形態に係る制御部25が上記の範囲となるように第2のゲインを設定することで、第1のゲインの制御により変動した値を0dBに近づけることが可能となる。このため、制御部25が有する上記の機能によれば、適応処理の性能劣化の度合いを軽減することが可能となる。

0096

なお、本実施形態に係る制御部25は、第1のゲインに係る変動値と第2のゲインに係る変動値との総和が略0dBとなるように第2のアンプを制御することも可能である。この場合、第1のゲインの制御により変動した値をほぼリセットすることができるため、適応処理の性能劣化を最小限に抑えることが可能となる。

0097

以上説明したように、本実施形態に係る制御部25による上記の制御によれば、第1のモードおよび第2のモードで第1の信号処理部15aに供給されるデジタル信号のゲインを同一に保つことが可能となる。すなわち、第1の信号処理部15aおよび第2の信号処理部15bによる動的解析の精度を高く保つことができる。

0098

(第3のアンプ29)
第3のアンプ29は、第1の信号処理部15aの参照信号に係る第3のゲインを調整する機能を有する。このため、本実施形態に係る第3のアンプ29は、参照信号入力スイッチ26と第1の信号処理部15aとの間に配置されてよい。

0099

また、本実施形態に係る第3のアンプ29は、第1のアンプ27および第2のアンプ28と同様に、制御部25による制御に基づいて、第3のゲインを調整する。この際、本実施形態に係る制御部25は、第1のゲインに係る変動値と第3のゲインに係る変動値との差の絶対値が、第1のゲインに係る変動値の絶対値よりも小さくなるように第3のアンプを制御する。本実施形態に係る制御部25による上記の機能によれば、第1のゲインと連動して参照信号に係る第3のゲインを調整することができ、ハウリングキャンセル処理の性能劣化防止する効果が期待される。

0100

この際、より具体的には、本実施形態に係る制御部25は、第1のゲインに係る変動値が0dBよりも大きい場合、第3のゲインに係る変動値が、第1のゲインに係る変動値の2倍よりも小さく、かつ0dBよりも大きくなるように第3のアンプを制御してよい。すなわち、第1のゲインに係る変動値をΔX、第3のゲインに係る変動値をΔZとした場合、本実施形態に係る制御部25は、ΔZが、0<ΔZ<2*ΔX、の範囲となるように、第3のアンプを制御する。

0101

また、本実施形態に係る制御部25は、第1のゲインに係る変動値が0dBよりも小さい場合、第3のゲインに係る変動値が、第1のゲインに係る変動値の2倍よりも大きく、かつ0dBよりも小さくなるように第3のアンプを制御してよい。すなわち、第1のゲインに係る変動値をΔX、第3のゲインに係る変動値をΔZとした場合、本実施形態に係る制御部25は、ΔZが、−2*|ΔX|<ΔZ<0、の範囲となるように、第3のアンプを制御する。

0102

なお、本実施形態に係る制御部25は、第1のゲインに係る変動値と第3のゲインに係る変動値とが略同一となるように第3のアンプを制御することも可能である。

0103

ここで、図6を用いて、第3のゲイン制御が奏する効果について説明する。図6は、本実施形態に係る第3のゲイン制御が奏する効果について説明するための図である。図6には、図3と同様に、一般的な音響機器50と、音響機器50が備えるマイクロフォン51、減算回路52、およびスピーカ53、とが示されている。また、図6には、上記の構成に加え、音響機器50が備える2つのアンプ54aおよび54bと、それぞれのゲインA1およびA2とが示されている。

0104

なお、図6に示される出力Y(ω)、伝達路の特性H(ω)、周囲音S(ω)、入力X(ω)、推定値G(ω)、および減算結果P(ω)については、図3の場合と同様の定義であってよいため、説明を省略する。

0105

ここで、図6に示す一例の場合、減算結果P(w)は、P(w)=(A1*X(ω))−(A2*G(ω)*Y(ω))=A1*S(ω)+(A2*H(ω)−A1*G(ω))Y(ω)、と表すことができる。この際、G(ω)=H(ω)*(A2/A1)、となれば、上記の式における解は、S(ω)、となり、ノイズを完全にキャンセルすることができる。

0106

この際、A2/A1、が一定となる場合、例えば、A2=A1、となるようにゲインの連動制御が行われる場合には、音響機器50は、図3の場合と同様に、伝達路の特性H(ω)の変化に追従するように推定値G(ω)を推定することで処理を完遂できる。

0107

一方、A2/A1、が状況により変化する場合、音響機器50は、推定値G(ω)を伝達路の特性H(ω)のみではなくゲインA1およびA2にも追従させることが求められ、ハウリングキャンセル処理が複雑化し、動的フィルタの生成が難しくなる。

0108

このため、本実施形態に係る制御部25は、上記のゲインA1に該当する第2のゲインと、上記のゲインA2に該当する第3のゲインと、が一定となるように制御を行うことで、ハウリングキャンセル処理の複雑化を防止することができる。

0109

<<2.3.各モードにおけるゲイン制御パターン>>
以上、本実施形態に係る信号処理装置10の構成例について説明した。次に、本実施形態に係る第1のモードおよび第2のモードにおけるゲイン制御パターンについて説明する。上述したとおり、本実施形態に係る制御部25は、モードの切り替えに応じて、第1〜第3のゲインを制御する機能を有する。この際、制御部25によるゲイン制御には、2つのパターンが想定される。

0110

図7Aは、本実施形態に係る制御部25によるゲイン制御パターンの一例を示す図である。図7Aには、第2のモードにおけるゲイン設定を基準とした際に、第1のモードにおいて制御部25が行うゲイン制御の例を示している。

0111

図7Aに示すように、本実施形態に係る制御部25は、第1のモードにおける第1のゲインが第2のモードにおける第1のゲインよりも大きくなるように第1のアンプを制御する。図7Aに示す一例の場合、制御部25は、第1のモードにおいて第1のゲインが+XdBとなるように第1のアンプ27を制御している。

0112

また、本実施形態に係る制御部25は、第1のゲインに係る変動値と第2のゲインに係る変動値との総和が0dBとなるように第2のアンプ28を制御する。図7Aに示す一例の場合、制御部25は、上記の変動値の総和を0dBとするため、第2のゲインが−XdBとなるように第2のアンプ28を制御している。

0113

また、本実施形態に係る制御部25は、第2のゲインに係る変動値と第3のゲインに係る変動値との総和が0dBとなるように第3のアンプ29を制御する。図7Aに示す一例の場合、制御部25は、上記の変動値の総和を0dBとするため、第3のゲインが+XdBとなるように第3のアンプ29を制御している。

0114

以上、第2のモードにおけるゲイン設定を基準とした際の、第1のモードにおけるゲイン制御について説明した。上述したとおり、本実施形態に係る制御部25は、第1のモードにおいて、第1のゲインおよび第3のゲインを上げ、第2のゲインを下げる制御を行ってよい。

0115

一方、図7Bは、本実施形態に係る制御部25による別のゲイン制御パターンを示す図である。図7Bには、第1のモードにおけるゲイン設定を基準とした際に、第2のモードにおいて制御部25が行うゲイン制御の例を示している。

0116

上述したとおり、本実施形態に係る制御部25は、第1のモードにおける第1のゲインが第2のモードにおける第1のゲインよりも大きくなるように第1のアンプを制御する。図7Bに示す一例の場合、制御部25は、第2のモードにおいて第1のゲインが−XdBとなるように第1のアンプ27を制御している。

0117

また、本実施形態に係る制御部25は、第1のゲインに係る変動値と第2のゲインに係る変動値との総和が0dBとなるように第2のアンプ28を制御する。図7Bに示す一例の場合、制御部25は、上記の変動値の総和を0dBとするため、第2のゲインが+XdBとなるように第2のアンプ28を制御している。

0118

また、本実施形態に係る制御部25は、第2のゲインに係る変動値と第3のゲインに係る変動値との総和が0dBとなるように第3のアンプ29を制御する。図7Bに示す一例の場合、制御部25は、上記の変動値の総和を0dBとするため、第3のゲインが−XdBとなるように第3のアンプ29を制御している。

0119

以上、第1のモードにおけるゲイン設定を基準とした際の、第2のモードにおけるゲイン制御について説明した。上述したとおり、本実施形態に係る制御部25は、第2のモードにおいて、第1のゲインおよび第3のゲインを下げ、第2のゲインを上げる制御を行ってよい。

0120

以上説明したように、本実施形態に係る制御部25が有するゲイン制御機能によれば、ADC12のノイズを低減したノイズキャンセル処理と、クリップによる異音発生の可能性を低減した適応処理と、を同時に実現することが可能となる。

0121

<3.ハードウェア構成例>
次に、図8を参照して、本開示の各実施形態に係る信号処理装置10のハードウェア構成例について説明する。図8に示すように、本開示に係る信号処理装置10は、プロセッサ901と、メモリ903と、ストレージ905と、操作デバイス907と、報知デバイス909と、音響デバイス911と、収音デバイス913と、バス917とを備える。また、信号処理装置10は、通信デバイス915を備えてもよい。

0122

プロセッサ901は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、またはSoC(System on Chip)であってよく、信号処理装置10における種々の処理を実行する。プロセッサ901は、例えば、各種演算処理を実行するための電子回路により構成することが可能である。

0123

メモリ903は、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ905は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。

0124

操作デバイス907は、ユーザが所望の操作を行うための入力信号を生成する機能を有する。操作デバイス907は、例えば、タッチパネルとして構成されてもよい。また、他の一例として、操作デバイス907は、例えばボタン、スイッチ、およびキーボードなどユーザが情報を入力するための入力部と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、プロセッサ901に供給する入力制御回路などから構成されてよい。

0125

報知デバイス909は、出力デバイスの一例であり、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)装置、有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどのデバイスであってよい。この場合には、報知デバイス909は、画面表示を行うことで、ユーザに対して所定の情報を報知することができる。

0126

なお、上記に示した報知デバイス909の例はあくまで一例であり、ユーザに対して所定の情報を報知可能であれば、報知デバイス909の態様は特に限定されない。具体的な一例として、報知デバイス909は、LED(Light Emitting Diode)のように、点灯又は点滅のパターンにより、所定の情報をユーザに報知するデバイスであってもよい。また、報知デバイス909は、いわゆるバイブレータのように、振動により所定の情報をユーザに報知するデバイスであってもよい。

0127

音響デバイス911は、スピーカ等のように、所定の音響信号を出力することで、所定の情報をユーザに報知するデバイスである。

0128

収音デバイス913は、マイクロフォン等のような、ユーザから発せられた音声や周囲の環境音を収音し、音響情報(音響信号)として取得するためのデバイスである。また、収音デバイス913は、収音された音声や音響を示すアナログの音響信号を示すデータを音響情報として取得してもよいし、当該アナログの音響信号をデジタルの音響信号に変換し、変換後のデジタルの音響信号を示すデータを音響情報として取得してもよい。

0129

通信デバイス915は、信号処理装置10が備える通信手段であり、ネットワークを介して外部装置と通信する。通信デバイス915は、有線または無線用の通信インタフェースである。通信デバイス915を、無線通信インタフェースとして構成する場合には、当該通信デバイス915は、通信アンテナ、RF(Radio Frequency)回路ベースバンドプロセッサなどを含んでもよい。

0130

通信デバイス915は、外部装置から受信した信号に各種の信号処理を行う機能を有し、受信したアナログ信号から生成したデジタル信号をプロセッサ901に供給することが可能である。

0131

バス917は、プロセッサ901、メモリ903、ストレージ905、操作デバイス907、報知デバイス909、音響デバイス911、収音デバイス913、及び通信デバイス915を相互に接続する。バス917は、複数の種類のバスを含んでもよい。

0132

<4.まとめ>
以上説明したように、本開示に係る信号処理装置10は、ノイズキャンセル処理を実施する第1のモードと、ノイズキャンセル処理および周囲音に対する適応処理を実施する第2のモードと、を有する。この際、本開示に係る信号処理装置10は、第1のモードにおいても、上記の適応処理に係る動的解析を継続することを特徴の一つとする。係る構成によれば、周囲音に対する適応処理モードが開始されてから、効果が得られるまでの時間を短縮することが可能となる。

0133

以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。

0134

また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。

0135

なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
収音された周囲音に基づいてノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセル処理部と、
前記周囲音の特徴に係る動的解析を行い、前記周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成する信号処理部と、
信号処理に係る複数のモードを制御する制御部と、
を備え、
前記複数のモードは、前記ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、前記ノイズキャンセル信号と前記周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、を含み、
前記信号処理部は、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を継続する、
信号処理装置。
(2)
前記信号処理部は、
前記周囲音の特徴に係る前記動的解析を行う動的解析部と、
前記動的解析部による前記動的解析の結果に基づいて動的フィルタを生成する動的フィルタ生成部と、
前記動的フィルタ生成部により生成された前記動的フィルタを用いて前記周囲音のフィルタリングを行い、前記周囲音適応信号を生成するフィルタ処理部と、
を備え、
前記動的解析部は、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を実行する、
前記(1)に記載の信号処理装置。
(3)
前記動的フィルタ生成部は、前記第1のモードにおいても、前記動的フィルタを生成する、
前記(2)に記載の信号処理装置。
(4)
前記制御部は、前記第1のモードにおいて、前記フィルタ処理部の動作を停止させる、
前記(2)または(3)に記載の信号処理装置。
(5)
前記周囲音適応信号の出力に係る周囲音モニタ出力スイッチ、
をさらに備え、
前記周囲音モニタ出力スイッチは、前記信号処理部と、前記周囲音適応信号と前記ノイズキャンセル信号とを加算する加算回路と、の間に配置され、
前記制御部は、前記第1のモードにおいて、前記周囲音モニタ出力スイッチをオフに設定する、
前記(1)〜(3)のいずれかに記載の信号処理装置。
(6)
前記信号処理部は、前記第1のモードにおいても、前記周囲音適応信号を生成する、
前記(5)に記載の信号処理装置。
(7)
前記周囲音適応信号は、前記周囲音に基づくノイズリダクション処理が実施された音声信号、またはハウリングキャンセル処理が実施された音声信号のうち少なくともいずれかを含む、
前記(1)〜(6)のいずれかに記載の信号処理装置。
(8)
2つ以上の前記信号処理部を備える、
前記(1)〜(7)のいずれかに記載の信号処理装置。
(9)
前記周囲音に基づくハウリングキャンセル処理を実施する第1の信号処理部と、
前記周囲音に基づくノイズリダクション処理を実施する第2の信号処理部と、
を備え、
前記第2の信号処理部により生成される周囲音適応信号は、前記ハウリングキャンセル処理および前記ノイズリダクション処理が実施された音声信号であり、
前記第2のモードでは、前記ノイズキャンセル信号と、前記第2の信号処理部により生成される周囲音適応信号と、に基づく音響再生が行われる、
前記(1)〜(8)のいずれかに記載の信号処理装置。
(10)
前記制御部は、オーディオの再生状況に基づいて前記信号処理部に供給する参照信号を切り替える、
前記(7)に記載の信号処理装置。
(11)
前記制御部は、オーディオの再生が行われている場合、オーディオ信号を前記参照信号として前記信号処理部に供給する、
前記(7)に記載の信号処理装置。
(12)
収音された前記周囲音のアナログ信号に係る第1のゲインを調整する第1のアンプと、
前記信号処理部に供給される前記周囲音のデジタル信号に係る第2のゲインを調整する第2のアンプと、
をさらに備え、
前記第2のアンプは、前記ノイズキャンセル処理部に供給されるデジタル信号に影響を与えない位置に配置され、
前記制御部は、前記第1のモードにおける前記第1のゲインが前記第2のモードにおける前記第1のゲインよりも大きくなるように前記第1のアンプを制御し、前記第1のゲインに係る変動値と前記第2のゲインに係る変動値との総和の絶対値が、前記第1のゲインに係る変動値の絶対値よりも小さくなるように前記第2のアンプを制御する、
前記(1)〜(11)のいずれかに記載の信号処理装置。
(13)
前記制御部は、前記第1のゲインに係る変動値が0dBよりも大きい場合、前記第2のゲインに係る変動値が、前記第1のゲインに係る変動値の反数の2倍よりも大きく、かつ0dBよりも小さくなるように前記第2のアンプを制御する、
前記(12)に記載の信号処理装置。
(14)
前記制御部は、前記第1のゲインに係る変動値が0dBよりも小さい場合、前記第2のゲインに係る変動値が、前記第1のゲインに係る変動値の反数の2倍よりも小さく、かつ0dBよりも大きくなるように前記第2のアンプを制御する、
前記(12)または(13)に記載の信号処理装置。
(15)
前記制御部は、前記第1のゲインに係る変動値と前記第2のゲインに係る変動値との総和が略0dBとなるように前記第2のアンプを制御する、
前記(12)〜(14)のいずれかに記載の信号処理装置。
(16)
前記信号処理部は、前記周囲音に基づくハウリングキャンセル処理を実施する第1の信号処理部を少なくとも含み、
前記信号処理装置は、前記第1の信号処理部の参照信号に係る第3のゲインを調整する第3のアンプをさらに備え、
前記制御部は、前記第1のゲインに係る変動値と前記第3のゲインに係る変動値との差の絶対値が、前記第1のゲインに係る変動値の絶対値よりも小さくなるように前記第3のアンプを制御する、
前記(12)に記載の信号処理装置。
(17)
前記制御部は、前記第1のモードにおいて、前記第1のゲインおよび前記第3のゲインを上げ、前記第2のゲインを下げる制御を行う、
前記(16)に記載の信号処理装置。
(18)
前記制御部は、前記第2のモードにおいて、前記第1のゲインおよび前記第3のゲインを下げ、前記第2のゲインを上げる制御を行う、
前記(16)または(17)に記載の信号処理装置。
(19)
プロセッサが、
収音された周囲音に基づいてノイズキャンセル信号を生成することと、
前記周囲音の特徴に係る動的解析を行い、前記周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成することと、
信号処理に係る複数のモードを制御することと、
を含み、
前記複数のモードは、前記ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、前記ノイズキャンセル信号と前記周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、を含み、
前記周囲音適応信号を生成することは、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を継続すること、をさらに含む、
信号処理方法。
(20)
コンピュータを、
収音された周囲音に基づいてノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセル処理部と、
前記周囲音の特徴に係る動的解析を行い、前記周囲音をフィルタリングすることで、周囲音適応信号を生成する信号処理部と、
信号処理に係る複数のモードを制御する制御部と、
を備え、
前記複数のモードは、前記ノイズキャンセル信号に基づく音響再生が行われる第1のモードと、前記ノイズキャンセル信号と前記周囲音適応信号とに基づく音響再生が行われる第2のモードと、を含み、
前記信号処理部は、前記第1のモードにおいても、前記動的解析を継続する、
信号処理装置、
として機能させるためのプログラム。

0136

10信号処理装置
13ノイズキャンセル処理部
15信号処理部
151周囲音動的解析部
152 動的フィルタ生成部
153フィルタ処理部
15a 第1の信号処理部
151a 第1周囲音動的解析部
152a 第1動的フィルタ生成部
153a 第1フィルタ処理部
15b 第2の信号処理部
151b 第2周囲音動的解析部
152b 第2動的フィルタ生成部
153b 第2フィルタ処理部
16 周囲音モニタ出力スイッチ
17 第1の加算回路
19 第2の加算回路
25 制御部
26参照信号入力スイッチ
27 第1のアンプ
28 第2のアンプ
29 第3のアンプ

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