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図面 (1)

TSP1の機能を阻害することで血管新生を促進することができ、重症下肢虚血などの疾患の治療または予防に有用である化合物の提供。 式(I)

化1

[式中、Aは、連結基A1〜A6から選択され、Xaa1は、脂肪族アミノ酸芳香族アミノ酸塩基性アミノ酸中性アミノ酸、または酸性アミノ酸の残基であるか、あるいは存在せず;Xaa2は、芳香族アミノ酸または中性アミノ酸の残基であり;Xaa3は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基であり;Xaa4は、Ser、Thr、Ala、またはmSであり;Xaa5は、GlyまたはSerであり;Xaa6は、塩基性アミノ酸または中性アミノ酸の残基であり;Xaa7は、中性アミノ酸または酸性アミノ酸の残基であり;Xaa8は、芳香族アミノ酸残基であり;Xaa9は、脂肪族アミノ酸、中性アミノ酸、または芳香族アミノ酸の残基であり;Xaa10は、塩基性アミノ酸、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または中性アミノ酸の残基であり;Xaa11は、芳香族アミノ酸残基であり;Xaa12は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基である]で表される大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩など。

概要

背景

重症下肢虚血(CLI)は、下肢への血流障害によって安静時疼痛が生じ、下肢末梢潰瘍壊死が生じた状態である。Fontaine分類ではIIIおよびIV、Rutherford分類では4-6に分類される(非特許文献1)。

CLIは予後が不良で、死亡率が高いことが問題となっており、CLI患者に対しては、虚血組織での血管再生などにより血管システム再構築し、酸素および栄養分を虚血組織に送り届けることによって、下肢の潰瘍・壊死の進展を抑制する治療が検討されている(非特許文献2)。これまでに、血管新生を促進する増殖因子を用いた遺伝子治療も試みられているが、動物実験とは異なり、臨床試験では有効性を示すに到っていない。そのような臨床試験成績から、血管新生抑制因子にも焦点が当てられ、血管新生促進因子と血管新生抑制因子とのバランスが重要であるといった仮説が立てられている(非特許文献3および4)。

血管新生に対して抑制的に作用することが報告されている糖タンパク質thrombospondin 1 (TSP1)は、活性化血小板から放出され、内皮細胞平滑筋細胞メサンギウム細胞尿細管細胞、および有足細胞を含む多くの細胞で合成され、分泌されることが報告されている(非特許文献5〜7)。TSP1は末梢血管障害患者の血液およびCLI患者の下肢骨格筋中でその発現亢進していることから、CLI患者下肢における潰瘍・壊死の進展への関与示唆されている(非特許文献8および9)。TSP1がラット下肢虚血-再灌流後血流回復を抑制すること、TSP1欠損マウスにおいて下肢虚血後の血管新生が亢進することから、TSP1は下肢虚血後の血流回復に対して抑制的に働いていると考えられる(非特許文献10および11)。また、TSP1欠損マウスでは、創傷部位での血流が増加し、創傷サイズの縮小も亢進したことから、CLI患者で認められる傷に対して、TSP1の機能を阻害することにより創傷治癒効果が期待できる(非特許文献12)。

TSP1は血管新生阻害作用以外にも様々な薬理作用を示し、多くの疾患に関与していると考えられる。TSP1は血小板から分泌されて線溶系PAI-1レベルを増加させ、血栓形成を亢進させる(非特許文献13)。肥満インスリン抵抗性が生じている患者でTSP1レベルは増加し、TSP1はマクロファージに作用して、肥満により誘発される炎症反応を促進し、インスリン抵抗性を増悪させる(非特許文献14および15)。TSP1は腎有足細胞のアポトーシスを促進して、細胞機能の低下を誘発する(非特許文献16)。TSP1は非食細胞上のsignal-regulatory protein-αに結合してNADPH oxidaseを活性化し、血管弛緩作用を抑制することにより、腎臓での虚血再灌流傷害を誘発する(非特許文献17)。これらの結果から、TSP1阻害により、心筋梗塞肥満患者における炎症反応やインスリン抵抗性、さらには虚血再灌流傷害を含む腎障害が改善される可能性がある。また、TSP1によって産生された血小板由来マイクロパーティクルが、赤血球患者においてvaso-occlusive crisisを誘発する(非特許文献18および19)。さらには、TSP1が単核球遊走接着を亢進して、大動脈瘤における炎症反応が増強されることが報告されている(非特許文献20)。TSP1は、癌細胞細胞増殖、接着、浸潤への作用を介して、癌の抑制や促進に関与している可能性が報告されている(非特許文献21)。
一方、TSP1とCD47受容体との結合を阻害する物質として、抗体(特許文献1)やポリペプチド(特許文献2)が知られている。しかしながら、TSP1に結合する大環状ポリペプチドについてはこれまで知られていなかった。

概要

TSP1の機能を阻害することで血管新生を促進することができ、重症下肢虚血などの疾患の治療または予防に有用である化合物の提供。 式(I) [式中、Aは、連結基A1〜A6から選択され、Xaa1は、脂肪族アミノ酸芳香族アミノ酸塩基性アミノ酸中性アミノ酸、または酸性アミノ酸の残基であるか、あるいは存在せず;Xaa2は、芳香族アミノ酸または中性アミノ酸の残基であり;Xaa3は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基であり;Xaa4は、Ser、Thr、Ala、またはmSであり;Xaa5は、GlyまたはSerであり;Xaa6は、塩基性アミノ酸または中性アミノ酸の残基であり;Xaa7は、中性アミノ酸または酸性アミノ酸の残基であり;Xaa8は、芳香族アミノ酸残基であり;Xaa9は、脂肪族アミノ酸、中性アミノ酸、または芳香族アミノ酸の残基であり;Xaa10は、塩基性アミノ酸、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または中性アミノ酸の残基であり;Xaa11は、芳香族アミノ酸残基であり;Xaa12は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基である]で表される大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩など。

目的

本発明は、TSP1の機能を阻害することで血管新生を促進することができ、重症下肢虚血などの疾患の治療または予防に有用である化合物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

式(I) [式中、Aは、連結基から選択され、ここで、 は、Xaa1のN末端アミノ基への結合点を示すか、またはXaa1が存在しない場合にはXaa2のN末端アミノ基への結合点を示し、 は、Xaa12のC末端カルボニル基への結合点を示し、 は、Xaa1のα炭素への結合点を示すか、またはXaa1が存在しない場合にはXaa2のα炭素への結合点を示し、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子またはC1−3アルキルであり、R10はアミノまたはヒドロキシであり、nは0〜3の整数であり、iおよびjはそれぞれ独立に1〜3の整数であり、kおよびlはそれぞれ独立に0〜3の整数であり、mは1〜7の整数であり;Xaa1は、脂肪族アミノ酸芳香族アミノ酸塩基性アミノ酸中性アミノ酸、または酸性アミノ酸の残基であるか、あるいは存在せず;Xaa2は、芳香族アミノ酸または中性アミノ酸の残基であり;Xaa3は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基であり;Xaa4は、Ser、Thr、Ala、またはmSであり;Xaa5は、GlyまたはSerであり;Xaa6は、塩基性アミノ酸または中性アミノ酸の残基であり;Xaa7は、中性アミノ酸または酸性アミノ酸の残基であり;Xaa8は、芳香族アミノ酸の残基であり;Xaa9は、脂肪族アミノ酸、中性アミノ酸、または芳香族アミノ酸の残基であり;Xaa10は、塩基性アミノ酸、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または中性アミノ酸の残基であり;Xaa11は、芳香族アミノ酸の残基であり;Xaa12は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基であり;ここで、脂肪族アミノ酸は、式(IIa) (式中、R3は、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6シクロアルキルである)で表されるアミノ酸であり;芳香族アミノ酸は、式(IIb) (式中、R4は、フェニルチエニルナフチルインドリルベンゾフラニル、およびベンゾチエニルから選択される芳香族基であり、該芳香族基は、C1−3アルキル、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−3アルコキシからなる群より独立して選択される1以上の置換基により置換されていてよく、pは0〜3の整数である)で表されるアミノ酸であり;塩基性アミノ酸は、式(IIc) [式中、R5は、式−(CH2)qaNH2(式中、qaは1〜6の整数である)、式 (式中、R6は水素原子またはC1−3アルキルであり、qbは1〜6の整数である)、式−(CH2)qcNHC(=NH)NH2(式中、qcは1〜6の整数である)、または式 (式中、qdおよびqeはそれぞれ独立して1〜3の整数である)で表される基である]で表されるアミノ酸であり;中性アミノ酸は、式(IId) [式中、R7は、式−(CH2)raNHCONH2(式中、raは1〜6の整数である)または式−(CH2)rbSH(式中、rbは1〜3の整数である)で表される基である]で表されるアミノ酸、Gly、Met、MO1、MO2、Pro、3HyP、Asn、Gln、Ser、mS、MS、Thr、C(O)、C(O2)、またはPenであり;酸性アミノ酸は、式(IIe) [式中、R8は、式−(CH2)sCOOH(式中、sは1〜6の整数である)で表される基である]で表されるアミノ酸である]で表される大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項2

Xaa4がSerである、請求項1に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項3

Xaa5がGlyである、請求項1または2に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項4

Xaa8が、Trp、2Nal、または6CWである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項5

Xaa8がTrpである、請求項4に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項6

Xaa11が、Trpまたは2Nalである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項7

Xaa11がTrpである、請求項6に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項8

Xaa1が、Arg、Lys、His、Gly、Ala、Asn、Thr、Ser、Met、Leu、Ile、Val、Gln、Phe、Tyr、Trp、またはCysであるか、あるいは存在しない、請求項1〜7のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項9

Xaa1が、Arg、Lys、またはGlyであるか、あるいは存在しない、請求項8に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項10

Xaa2が、Phe、Tyr、Trp、2Nal、4CF、またはDCFである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項11

Xaa2が2Nalである、請求項10に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項12

Xaa3が、Ile、Leu、Nle、Tle、Trp、2Nal、4CF、またはArgである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項13

Xaa3が、Ile、またはArgである、請求項12に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項14

Xaa6が、Arg、Lys、His、Ser、Cit、またはMO2である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項15

Xaa6がArg、Lys、His、またはSerである、請求項14に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項16

Xaa7が、AsnまたはAspである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項17

Xaa9が、Val、Nle、Ahp、またはMetである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項18

Xaa9がVal、Nle、またはAhpである、請求項17に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項19

Xaa10が、Arg、Lys、His、AMF、Phg、またはValである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項20

Xaa10がArg、Lys、His、Phg、またはValである、請求項19に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項21

Xaa12が、Val、Tle、またはPheである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項22

Xaa12がValである、請求項21に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項23

Aが、連結基である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項24

Aが である、請求項23に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項25

Xaa1が、Arg、Lys、His、Gly、Ala、Asn、Thr、Ser、Met、Leu、Ile、Val、Gln、Phe、Tyr、Trp、またはCysであるか、あるいは存在せず;Xaa2が、Phe、Tyr、Trp、2Nal、4CF、またはDCFであり;Xaa3が、Ile、Leu、Nle、Tle、Trp、2Nal、4CF、またはArgであり;Xaa4がSerであり;Xaa5がGlyであり;Xaa6が、Arg、Lys、His、Ser、Cit、またはMO2であり;Xaa7が、AsnまたはAspであり;Xaa8がTrp、2Nal、または6CWであり;Xaa9が、Val、Nle、Ahp、またはMetであり;Xaa10が、Arg、Lys、His、AMF、Phg、またはValであり;Xaa11がTrpまたは2Nalであり;Xaa12が、Val、Tle、またはPheであり;Aが、連結基である、請求項1に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項26

Xaa1が、Arg、Lys、またはGlyであるか、あるいは存在せず;Xaa2が2Nalであり;Xaa3が、Ile、またはArgであり;Xaa4がSerであり;Xaa5がGlyであり;Xaa6がArg、Lys、His、またはSerであり;Xaa7が、AsnまたはAspであり;Xaa8がTrpであり;Xaa9がVal、Nle、またはAhpであり;Xaa10がArg、Lys、His、Phg、またはValであり;Xaa11がTrpであり;Xaa12がValであり;Aが である、請求項25に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項27

で表される化合物からなる群より選択される、請求項26に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

請求項28

請求項1〜27のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩を有効成分として含む医薬組成物

請求項29

重症下肢虚血または末梢動脈疾患治療または予防のための、請求項28に記載の医薬組成物。

請求項30

請求項1〜27のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩を有効成分として含む、血管新生促進剤

請求項31

請求項1〜27のいずれか一項に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩の治療または予防有効量をヒトに投与することを含む、疾患または症状の治療または予防のための方法。

請求項32

疾患または症状が、重症下肢虚血または末梢動脈疾患である、請求項31に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、血管新生抑制物質(thrombospondin 1/TSP1)の機能を阻害することで血管新生を促進することができ、重症下肢虚血などの疾患の治療または予防に有用である大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩に関する。

背景技術

0002

重症下肢虚血(CLI)は、下肢への血流障害によって安静時疼痛が生じ、下肢末梢潰瘍壊死が生じた状態である。Fontaine分類ではIIIおよびIV、Rutherford分類では4-6に分類される(非特許文献1)。

0003

CLIは予後が不良で、死亡率が高いことが問題となっており、CLI患者に対しては、虚血組織での血管再生などにより血管システム再構築し、酸素および栄養分を虚血組織に送り届けることによって、下肢の潰瘍・壊死の進展を抑制する治療が検討されている(非特許文献2)。これまでに、血管新生を促進する増殖因子を用いた遺伝子治療も試みられているが、動物実験とは異なり、臨床試験では有効性を示すに到っていない。そのような臨床試験成績から、血管新生抑制因子にも焦点が当てられ、血管新生促進因子と血管新生抑制因子とのバランスが重要であるといった仮説が立てられている(非特許文献3および4)。

0004

血管新生に対して抑制的に作用することが報告されている糖タンパク質thrombospondin 1 (TSP1)は、活性化血小板から放出され、内皮細胞平滑筋細胞メサンギウム細胞尿細管細胞、および有足細胞を含む多くの細胞で合成され、分泌されることが報告されている(非特許文献5〜7)。TSP1は末梢血管障害患者の血液およびCLI患者の下肢骨格筋中でその発現亢進していることから、CLI患者下肢における潰瘍・壊死の進展への関与示唆されている(非特許文献8および9)。TSP1がラット下肢虚血-再灌流後血流回復を抑制すること、TSP1欠損マウスにおいて下肢虚血後の血管新生が亢進することから、TSP1は下肢虚血後の血流回復に対して抑制的に働いていると考えられる(非特許文献10および11)。また、TSP1欠損マウスでは、創傷部位での血流が増加し、創傷サイズの縮小も亢進したことから、CLI患者で認められる傷に対して、TSP1の機能を阻害することにより創傷治癒効果が期待できる(非特許文献12)。

0005

TSP1は血管新生阻害作用以外にも様々な薬理作用を示し、多くの疾患に関与していると考えられる。TSP1は血小板から分泌されて線溶系PAI-1レベルを増加させ、血栓形成を亢進させる(非特許文献13)。肥満インスリン抵抗性が生じている患者でTSP1レベルは増加し、TSP1はマクロファージに作用して、肥満により誘発される炎症反応を促進し、インスリン抵抗性を増悪させる(非特許文献14および15)。TSP1は腎有足細胞のアポトーシスを促進して、細胞機能の低下を誘発する(非特許文献16)。TSP1は非食細胞上のsignal-regulatory protein-αに結合してNADPH oxidaseを活性化し、血管弛緩作用を抑制することにより、腎臓での虚血再灌流傷害を誘発する(非特許文献17)。これらの結果から、TSP1阻害により、心筋梗塞肥満患者における炎症反応やインスリン抵抗性、さらには虚血再灌流傷害を含む腎障害が改善される可能性がある。また、TSP1によって産生された血小板由来マイクロパーティクルが、赤血球患者においてvaso-occlusive crisisを誘発する(非特許文献18および19)。さらには、TSP1が単核球遊走接着を亢進して、大動脈瘤における炎症反応が増強されることが報告されている(非特許文献20)。TSP1は、癌細胞細胞増殖、接着、浸潤への作用を介して、癌の抑制や促進に関与している可能性が報告されている(非特許文献21)。
一方、TSP1とCD47受容体との結合を阻害する物質として、抗体(特許文献1)やポリペプチド(特許文献2)が知られている。しかしながら、TSP1に結合する大環状ポリペプチドについてはこれまで知られていなかった。

0006

WO 2008/060785
US 2014/296477

先行技術

0007

Kinlay S.Circ Cardiovasc Interv. 2016; 9: e001946.
Davies MG. Methodist Debakey Cardiovasc J. 2012; 8: 20-27.
Hellsten Y, Hoier B. Biochem. Soc. Trans. 2014; 42: 1616-1622.
OlfertIM. Microcirculation 2016; 23: 146-156.
Jimenez B, Volpert OV, Crawford SE, et al. Nat Med. 2000; 6: 41-48.
Henkin J, Volpert OV. Expert Opin Ther Targets. 2011; 15(12): 1369-1386.
Murphy-Ullrich JE, IozzoRV. Matrix Biol. 2012; 31(3): 152-154.
SmadjaDM, d'Audigier C, Bieche I, et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2011; 31: 551-559.
Favier J, Germain S, Emmerich J, et al. J Pathol 2005; 207: 358-366.
Isenberg JS, Romeo MJ, Abu-Asab M, et al. Circ Res. 2007; 100(5): 712-720.
Csanyi G, Yao M, RodriguezAI, et al. Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2012; 32: 2966-2973.
Soto-Pantoja DR, Shih HB, MaxhimerJB, et al. Matrix Biol. 2014; 37: 25-34.
Prakash P, Kulkarni PP, Chauhan AK. Blood 2015; 125(2): 399-406.
Varma V, Yao-Borengasser A, Bodles AM, et al. Diabetes. 2008; 57(2): 432-439.
Li Y, Tong X, Rumala C, et al.PLoS One. 2011; 6(10): e26656.
Cui W, Maimaitiyiming H, Zhou Q, et al. Biochim Biophys Acta. 2015; 1852(7): 1323-1333.
Yao M, Rogers NM, Csanyi G, et al. J Am Soc Nephrol. 2014; 25(6): 1171-1186.
Hagag AA, Elmashad G, Abd El-LateefAE. Mediterr J Hematol Infect Dis. 2014; 6(1): e2014044.
CamusSM, Gausseres B, Bonnin P, et al. Blood. 2012; 120(25): 5050-5058.
Liu Z, Morgan S, Ren J, et al. Circ Res. 2015; 117(2): 129-141.
Esemuede N, Lee T, Pierre-Paul D. et al., The role of thrombospondin-1 in human disease. J Surg Res. 2004;122(1):135-42.

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、TSP1の機能を阻害することで血管新生を促進することができ、重症下肢虚血などの疾患の治療または予防に有用である化合物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定のアミノ酸配列を有する大環状ポリペプチドがTSP1に結合し、TSP1への細胞の接着を阻害することにより、TSP1の機能を阻害することを見出し、本発明を完成させた。

0010

すなわち、本発明は、以下の[1]〜[34]を提供するものである。
[1]式(I)

0011

0012

[式中、Aは、連結基

0013

0014

から選択され、
ここで、

0015

0016

は、Xaa1のN末端アミノ基への結合点を示すか、またはXaa1が存在しない場合にはXaa2のN末端アミノ基への結合点を示し、

0017

0018

は、Xaa12のC末端カルボニル基への結合点を示し、

0019

0020

は、Xaa1のα炭素への結合点を示すか、またはXaa1が存在しない場合にはXaa2のα炭素への結合点を示し、
R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子またはC1−3アルキルであり、
R10はアミノまたはヒドロキシであり、
nは0〜3の整数であり、
iおよびjはそれぞれ独立に1〜3の整数であり、
kおよびlはそれぞれ独立に0〜3の整数であり、
mは1〜7の整数であり;
Xaa1は、脂肪族アミノ酸芳香族アミノ酸塩基性アミノ酸中性アミノ酸、または酸性アミノ酸の残基であるか、あるいは存在せず;
Xaa2は、芳香族アミノ酸または中性アミノ酸の残基であり;
Xaa3は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基であり;
Xaa4は、Ser、Thr、Ala、またはmSであり;
Xaa5は、GlyまたはSerであり;
Xaa6は、塩基性アミノ酸または中性アミノ酸の残基であり;
Xaa7は、中性アミノ酸または酸性アミノ酸の残基であり;
Xaa8は、芳香族アミノ酸の残基であり;
Xaa9は、脂肪族アミノ酸、中性アミノ酸、または芳香族アミノ酸の残基であり;
Xaa10は、塩基性アミノ酸、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または中性アミノ酸の残基であり;
Xaa11は、芳香族アミノ酸の残基であり;
Xaa12は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基であり;
ここで、脂肪族アミノ酸は、式(IIa)

0021

0022

(式中、R3は、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6シクロアルキルである)で表されるアミノ酸であり;
芳香族アミノ酸は、式(IIb)

0023

0024

(式中、R4は、フェニルチエニルナフチルインドリルベンゾフラニル、およびベンゾチエニルから選択される芳香族基であり、該芳香族基は、C1−3アルキル、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−3アルコキシからなる群より独立して選択される1以上の置換基により置換されていてよく、pは0〜3の整数である)で表されるアミノ酸であり;
塩基性アミノ酸は、式(IIc)

0025

0026

[式中、R5は、
式−(CH2)qaNH2(式中、qaは1〜6の整数である)、

0027

0028

(式中、R6は水素原子またはC1−3アルキルであり、qbは1〜6の整数である)、
式−(CH2)qcNHC(=NH)NH2(式中、qcは1〜6の整数である)、または

0029

0030

(式中、qdおよびqeはそれぞれ独立して1〜3の整数である)で表される基である]で表されるアミノ酸であり;
中性アミノ酸は、式

0031

0032

[式中、R7は、式−(CH2)raNHCONH2(式中、raは1〜6の整数である)または式−(CH2)rbSH(式中、rbは1〜3の整数である)で表される基である]で表されるアミノ酸、Gly、Met、MO1、MO2、Pro、3HyP、Asn、Gln、Ser、mS、MS、Thr、C(O)、C(O2)、またはPenであり;
酸性アミノ酸は、式

0033

0034

[式中、R8は、式−(CH2)sCOOH(式中、sは1〜6の整数である)で表される基である]で表されるアミノ酸である]
で表される大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[2]Xaa4がSerである、[1]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[3]Xaa5がGlyである、[1]または[2]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[4]Xaa8が、Trp、2Nal、または6CWである、[1]〜[3]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[5]Xaa8がTrpである、[4]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[6]Xaa11が、Trpまたは2Nalである、[1]〜[5]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[7]Xaa11がTrpである、[6]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[8]Xaa1が、Arg、Lys、His、Gly、Ala、Asn、Thr、Ser、Met、Leu、Ile、Val、Gln、Phe、Tyr、Trp、またはCysであるか、あるいは存在しない、[1]〜[7]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[9]Xaa1が、Arg、Lys、またはGlyであるか、あるいは存在しない、[8]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[10]Xaa2が、Phe、Tyr、Trp、2Nal、4CF、またはDCFである、[1]〜[9]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[11]Xaa2が2Nalである、[10]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[12]Xaa3が、Ile、Leu、Nle、Tle、Trp、2Nal、4CF、またはArgである、[1]〜[11]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[13]Xaa3が、Ile、またはArgである、[12]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[14]Xaa6が、Arg、Lys、His、Ser、Cit、またはMO2である、[1]〜[13]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[15]Xaa6がArg、Lys、His、またはSerである、[14]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[16]Xaa7が、AsnまたはAspである、[1]〜[15]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[17]Xaa9が、Val、Nle、Ahp、またはMetである、[1]〜[16]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[18]Xaa9がVal、Nle、またはAhpである、[17]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[19]Xaa10が、Arg、Lys、His、AMF、Phg、またはValである、[1]〜[18]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[20]Xaa10がArg、Lys、His、Phg、またはValである、[19]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[21]Xaa12が、Val、Tle、またはPheである、[1]〜[20]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[22]Xaa12がValである、[21]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[23]Aが、連結基

0035

0036

である、[1]〜[22]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[24]Aが

0037

0038

である、[23]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[25]Xaa1が、Arg、Lys、His、Gly、Ala、Asn、Thr、Ser、Met、Leu、Ile、Val、Gln、Phe、Tyr、Trp、またはCysであるか、あるいは存在せず;
Xaa2が、Phe、Tyr、Trp、2Nal、4CF、またはDCFであり;
Xaa3が、Ile、Leu、Nle、Tle、Trp、2Nal、4CF、またはArgであり;
Xaa4がSerであり;
Xaa5がGlyであり;
Xaa6が、Arg、Lys、His、Ser、Cit、またはMO2であり;
Xaa7が、AsnまたはAspであり;
Xaa8がTrp、2Nal、または6CWであり;
Xaa9が、Val、Nle、Ahp、またはMetであり;
Xaa10が、Arg、Lys、His、AMF、Phg、またはValであり;
Xaa11がTrpまたは2Nalであり;
Xaa12が、Val、Tle、またはPheであり;
Aが、連結基

0039

0040

である、[1]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[26]Xaa1が、Arg、Lys、またはGlyであるか、あるいは存在せず;
Xaa2が2Nalであり;
Xaa3が、Ile、またはArgであり;
Xaa4がSerであり;
Xaa5がGlyであり;
Xaa6がArg、Lys、His、またはSerであり;
Xaa7が、AsnまたはAspであり;
Xaa8がTrpであり;
Xaa9がVal、Nle、またはAhpであり;
Xaa10がArg、Lys、His、Phg、またはValであり;
Xaa11がTrpであり;
Xaa12がValであり;
Aが

0041

0042

である、[25]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[27]

0043

0044

0045

0046

0047

0048

0049

0050

0051

0052

0053

0054

で表される化合物からなる群より選択される、[26]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[28][1]〜[27]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩を有効成分として含む医薬組成物
[29]重症下肢虚血または末梢動脈疾患の治療または予防のための、[28]に記載の医薬組成物。
[30][1]〜[27]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩を有効成分として含む、血管新生促進剤
[31][1]〜[27]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩の治療または予防有効量をヒトに投与することを含む、疾患または症状の治療または予防のための方法。
[32]疾患または症状が、重症下肢虚血または末梢動脈疾患である、[31]に記載の方法。
[33]重症下肢虚血、末梢血管障害、心筋梗塞、肥満により誘発される炎症、大動脈瘤における炎症、糖尿病性腎症IgA腎症慢性腎不全急性腎不全、腎障害、虚血再灌流障害狭心症扁平上皮がん乳がんすい臓がん、鎌型赤血球病に伴う血管閉塞(vaso-occlusive crisis)、血管新生阻害組織壊死、インスリン抵抗性、または一般的な創傷の治療または予防のための、[28]に記載の医薬組成物。
[34]疾患または症状が、重症下肢虚血、末梢血管障害、心筋梗塞、肥満により誘発される炎症、大動脈瘤における炎症、糖尿病性腎症、IgA腎症、慢性腎不全、急性腎不全、腎障害、虚血再灌流障害、狭心症、扁平上皮がん、乳がん、すい臓がん、鎌型赤血球病に伴う血管閉塞(vaso-occlusive crisis)、血管新生阻害、組織壊死、インスリン抵抗性、または一般的な創傷である、[31]に記載の方法。
[35]疾患または症状の治療または予防における使用のための[1]〜[27]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[36]疾患または症状が、重症下肢虚血または末梢動脈疾患である、[35]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

0055

また本発明は、以下の[A1]〜[A26]を提供するものである。
[A1]式(I)

0056

0057

[式中、Aは、連結基

0058

0059

から選択され、
ここで、

0060

0061

は、Xaa1のN末端アミノ基への結合点を示すか、またはXaa1が存在しない場合にはXaa2のN末端アミノ基への結合点を示し、

0062

0063

は、Xaa12のC末端カルボニル基への結合点を示し、

0064

0065

は、Xaa1のα炭素への結合点を示すか、またはXaa1が存在しない場合にはXaa2のα炭素への結合点を示し、
R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子またはC1−3アルキルであり、
R10はアミノまたはヒドロキシであり、
nは0〜3の整数であり、
iおよびjはそれぞれ独立に1〜3の整数であり、
kおよびlはそれぞれ独立に0〜3の整数であり、
mは1〜7の整数であり;
Xaa1は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、塩基性アミノ酸、中性アミノ酸、または酸性アミノ酸の残基であるか、あるいは存在せず;
Xaa2は、芳香族アミノ酸または中性アミノ酸の残基であり;
Xaa3は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基であり;
Xaa4は、Ser、Thr、Ala、またはmSであり;
Xaa5は、GlyまたはSerであり;
Xaa6は、塩基性アミノ酸または中性アミノ酸の残基であり;
Xaa7は、中性アミノ酸または酸性アミノ酸の残基であり;
Xaa8は、芳香族アミノ酸の残基であり;
Xaa9は、脂肪族アミノ酸、中性アミノ酸、または芳香族アミノ酸の残基であり;
Xaa10は、塩基性アミノ酸、脂肪族アミノ酸、または中性アミノ酸の残基であり;
Xaa11は、芳香族アミノ酸の残基であり;
Xaa12は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基であり;
ここで、脂肪族アミノ酸は、式(IIa)

0066

0067

(式中、R3は、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6シクロアルキルである)で表されるアミノ酸であり;
芳香族アミノ酸は、式(IIb)

0068

0069

(式中、R4は、フェニル、チエニル、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、およびベンゾチエニルから選択される芳香族基であり、該芳香族基は、C1−3アルキル、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−3アルコキシから選択される1以上の置換基により置換されていてよく、pは0〜3の整数である)で表されるアミノ酸であり;
塩基性アミノ酸は、式(IIc)

0070

0071

[式中、R5は、
式−(CH2)qaNH2(式中、qaは1〜6の整数である)、

0072

0073

(式中、R6は水素原子またはC1−3アルキルであり、qbは1〜6の整数である)、
式−(CH2)qcNHC(=NH)NH2(式中、qcは1〜6の整数である)、または

0074

0075

(式中、qdおよびqeはそれぞれ独立して1〜3の整数である)で表される基である]で表されるアミノ酸であり;
中性アミノ酸は、式

0076

0077

[式中、R7は、式−(CH2)raNHCONH2(式中、raは1〜6の整数である)または式−(CH2)rbSH(式中、rbは1〜3の整数である)で表される基である]で表されるアミノ酸、Gly、Met、MO1、MO2、Pro、3HyP、Asn、Gln、Ser、mS、MS、Thr、C(O)、C(O2)、またはPenであり;
酸性アミノ酸は、式

0078

0079

[式中、R8は、式−(CH2)sCOOH(式中、sは1〜6の整数である)で表される基である]で表されるアミノ酸である]
で表される大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A2]Xaa4がSerである、[A1]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A3]Xaa5がGlyである、[A1]または[A2]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A4]Xaa8が、Trp、2Nal、または6CWである、[A1]〜[A3]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A5]Xaa8がTrpである、[A4]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A6]Xaa11が、Trpまたは2Nalである、[A1]〜[A5]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A7]Xaa11がTrpである、[A6]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A8]Xaa1が、Arg、Lys、His、Gly、Ala、Asn、Thr、Ser、Met、Leu、Ile、Val、Gln、Phe、Tyr、Trp、またはCysであるか、あるいは存在しない、[A1]〜[A7]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A9]Xaa1が、Arg、Lys、またはGlyであるか、あるいは存在しない、[A8]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A10]Xaa2が、Phe、Tyr、Trp、2Nal、4CF、またはDCFである、[A1]〜[A9]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A11]Xaa2が2Nalである、[A10]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A12]Xaa3が、Ile、Leu、Nle、Tle、Trp、2Nal、4CF、またはArgである、[A1]〜[A11]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A13]Xaa3が、Ileである、[A12]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A14]Xaa6が、Arg、Lys、His、Ser、Cit、またはMO2である、[A1]〜[A13]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A15]Xaa6がArg、Lys、His、またはSerである、[A14]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A16]Xaa7が、AsnまたはAspである、[A1]〜[A15]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A17]Xaa9が、Val、Nle、Ahp、またはMetである、[A1]〜[A16]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A18]Xaa9がVal、Nle、またはAhpである、[A17]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A19]Xaa10が、Arg、Lys、His、AMF、またはValである、[A1]〜[A18]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A20]Xaa10がArg、Lys、またはHisである、[A19]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A21]Xaa12が、Val、Tle、またはPheである、[A1]〜[A20]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A22]Xaa12がValである、[A21]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A23]Aが、連結基

0080

0081

である、[A1]〜[A22]のいずれかに記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A24]Aが

0082

0083

である、[A23]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A25]Xaa1が、Arg、Lys、His、Gly、Ala、Asn、Thr、Ser、Met、Leu、Ile、Val、Gln、Phe、Tyr、Trp、またはCysであるか、あるいは存在せず;
Xaa2が、Phe、Tyr、Trp、2Nal、4CF、またはDCFであり;
Xaa3が、Ile、Leu、Nle、Tle、Trp、2Nal、4CF、またはArgであり;
Xaa4がSerであり;
Xaa5がGlyであり;
Xaa6が、Arg、Lys、His、Ser、Cit、またはMO2であり;
Xaa7が、AsnまたはAspであり;
Xaa8がTrp、2Nal、または6CWであり;
Xaa9が、Val、Nle、Ahp、またはMetであり;
Xaa10が、Arg、Lys、His、AMF、またはValであり;
Xaa11がTrpまたは2Nalであり;
Xaa12が、Val、Tle、またはPheであり;
Aが、連結基

0084

0085

である、[A1]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。
[A26]Xaa1が、Arg、Lys、またはGlyであるか、あるいは存在せず;
Xaa2が2Nalであり;
Xaa3が、Ileであり;
Xaa4がSerであり;
Xaa5がGlyであり;
Xaa6がArg、Lys、His、またはSerであり;
Xaa7が、AsnまたはAspであり;
Xaa8がTrpであり;
Xaa9がVal、Nle、またはAhpであり;
Xaa10がArgまたはLysであり;
Xaa11がTrpであり;
Xaa12がValであり;
Aが

0086

0087

である、[A25]に記載の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩。

発明の効果

0088

本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、TSP1に結合し、TSP1への血管内皮細胞などの細胞の接着を阻害することができる。従って本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、TSP1の発現亢進により誘発される疾患または症状の治療または予防に有用である。また本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、血管新生促進剤として有用である。

0089

(定義)
明細書中天然アミノ酸は、天然に存在するタンパク質中に通常見出される未修飾のアミノ酸を意味し、具体的には、アラニンアルギニンアスパラギンアスパラギン酸システイングルタミン酸グルタミングリシンヒスチジンイソロイシンロイシンリジンメチオニンフェニルアラニンプロリンセリンスレオニントリプトファンチロシン、およびバリンを意味する。なお、本明細書においては、天然アミノ酸の表記には、三文字表記または一文字表記を用いる場合がある(すなわち、アラニン:AlaまたはA;アルギニン:ArgまたはR;アスパラギン:AsnまたはN;アスパラギン酸:AspまたはD;システイン:CysまたはC;グルタミン酸:GluまたはE;グルタミン:GlnまたはQ;グリシン:GlyまたはG;ヒスチジン:HisまたはH;イソロイシン:IleまたはI;ロイシン:LeuまたはL;リジン:LysまたはK;メチオニン:MetまたはM;フェニルアラニン:PheまたはF;プロリン:ProまたはP;セリン:Ser又はS;スレオニン:ThrまたはT;トリプトファン:TrpまたはW;チロシン:TyrまたはY;バリン:ValまたはV)。

0090

本明細書中、非天然アミノ酸は、天然アミノ酸以外のアミノ酸を意味し、天然アミノ酸の修飾体も含まれる。本明細書中に記載する非天然アミノ酸の略語を以下に示す。

0091

0092

なお、本明細書においてアミノ酸という場合、ポリペプチドの構成アミノ酸についてはアミノ酸残基を意味する。また特に明記しない限り、アミノ酸はL−アミノ酸を意味する。

0093

本明細書中、脂肪族アミノ酸は、式(IIa):

0094

0095

(式中、R3は、C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC3−6シクロアルキルである)で表されるアミノ酸である。

0096

天然の脂肪族アミノ酸としては、Ala、Val、Leu、およびIleが挙げられる。また非天然の脂肪族アミノ酸としては、Nle、Tle、Ahp、Aoc、Alg、Btgなどが挙げられるがこれらに限定されない。

0097

本明細書中、芳香族アミノ酸は、式(IIb)

0098

0099

(式中、R4は、フェニル、チエニル、ナフチル、インドリル、ベンゾフラニル、およびベンゾチエニルから選択される芳香族基であり、該芳香族基は、C1−3アルキル、ハロゲン原子、ヒドロキシ、C1−3アルコキシからなる群より独立して選択される1以上の置換基により置換されていてよく、pは0〜3の整数である)で表されるアミノ酸である。

0100

天然の芳香族アミノ酸としては、Phe、Tyr、およびTrpが挙げられる。また非天然の芳香族アミノ酸としては、2Nal、4CF、DCF、6CW、HF、Phgなどが挙げられるがこれらに限定されない。

0101

本明細書中、塩基性アミノ酸は、式(IIc)

0102

0103

[式中、R5は、
式−(CH2)qaNH2(式中、qaは1〜6の整数である)、

0104

0105

(式中、R6は水素原子またはC1−3アルキルであり、qbは1〜6の整数である)、
式−(CH2)qcNHC(=NH)NH2(式中、qcは1〜6の整数である)、または

0106

0107

(式中、qdおよびqeはそれぞれ独立して1〜3の整数である)で表される基である]で表されるアミノ酸である。

0108

天然の塩基性アミノ酸としては、Lys、His、およびArgが挙げられる。また非天然の塩基性アミノ酸としては、3MH、AMFなどが挙げられるがこれらに限定されない。

0109

本明細書中、中性アミノ酸は、式(IId)

0110

0111

[式中、R7は、式−(CH2)raNHCONH2(式中、raは1〜6の整数(例えば、1、2、3、4、5、または6)である)、または式−(CH2)rbSH(式中、rbは1〜3の整数(例えば、1、2、または3)である)で表される基である]で表されるアミノ酸、Gly、Met、MO1、MO2、Pro、3HyP、Asn、Gln、Ser、mS、MS、Thr、C(O)、C(O2)、またはPenである。

0112

天然の中性アミノ酸としては、Gly、Ser、Thr、Cys、Met、Pro、Asn、およびGlnが挙げられる。また非天然の中性アミノ酸としては、MO1、MO2、3HyP、mS、MS、Alb、Cit、Hct、Hcy、C(O)、C(O2)、Penなどが挙げられるがこれらに限定されない。

0113

本明細書中、酸性アミノ酸は、式(IIe)

0114

0115

[式中、R8は、式−(CH2)sCOOH(式中、sは1〜6の整数である)で表される基である]で表されるアミノ酸である。

0116

天然の酸性アミノ酸としては、AspおよびGluが挙げられる。

0117

本明細書中、C1−3アルキルは、1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルであり、例えば、メチルエチル、1−プロピル、または2−プロピルである。

0118

本明細書中、C1−6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキルであり、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、2−エチル−1−ブチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、または2,3−ジメチル−1−ブチルである。

0119

本明細書中、C2−6アルケニルは、2〜6個の炭素原子を有し、1以上の二重結合を含む直鎖または分枝鎖アルケニルであり、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、3−メチル−2−ペンテニルなどが挙げられ、好ましくは、ビニル、2−プロペニル(アリル)、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニルである。

0120

本明細書中、C3−6シクロアルキルは、3〜6個の炭素原子を有する環状アルキル基であり、例えば、シクロプロピル基シクロブチル基、シクロペンチル基、または、シクロヘキシル基である。

0121

本明細書中、ハロゲン原子は、F、Cl、Br、またはIである。

0122

本明細書中、C1−3アルコキシは、1個の上記C1−3アルキル基で置換されたヒドロキシル基であり、例えば、メトキシエトキシ、1−プロポキシ、または2−プロポキシである。

0123

本明細書中、TSP1阻害活性とは、TSP1の血管新生阻害作用を含む1つ以上の作用を阻害する活性をいう。TSP1阻害活性は、本願の実施例に示されるヒトTSP1および血管内皮細胞を用いた細胞接着阻害アッセイにより測定される。該アッセイにおいて、被験物質の50%阻害濃度(IC50)が200nM以下である場合、TSP1阻害活性を有すると決定される。

0124

(本発明の大環状ポリペプチド)
本発明は、TSP1阻害活性を有する新規大環状ポリペプチドに関する。

0125

一態様において、本発明に係る化合物は、式(I)

0126

0127

で表される大環状ポリペプチドである(以下、本発明の大環状ポリペプチドという)。本発明の大環状ポリペプチドにおいては、Xaa1〜Xaa12のアミノ酸、またはXaa1が存在しない場合にはXaa2〜Xaa12のアミノ酸が、アミド結合により連結されてポリペプチド鎖が形成されており、N末端アミノ酸(Xaa1またはXaa2)とC末端アミノ酸(Xaa12)とが連結基:Aを介して連結され大環状構造が形成されている。

0128

式(I)において、Aは、アミノ酸構造を含む下記の連結基A1〜A6:

0129

0130

から選択される。

0131

Aにおいて、末端に記載されている

0132

0133

は、Xaa1のN末端アミノ基への結合点を示すか、またはXaa1が存在しない場合にはXaa2のN末端アミノ基への結合点を示し、

0134

0135

は、Xaa12のC末端カルボニル基への結合点を示し、

0136

0137

は、Xaa1のα炭素への結合点を示すか、またはXaa1が存在しない場合にはXaa2のα炭素への結合点を示す。上記連結基に含まれるアミノ酸構造の不斉点はR体であってもS体であってもよい。

0138

一態様において、Aは、

0139

0140

である(以下、A1という)。連結基A1において、nは0〜3の整数(例えば、0、1、2、または3)であり、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子またはC1−3アルキルであり、R10はアミノまたはヒドロキシである。C1−3アルキルは、好ましくはメチルである。

0141

A1の好ましい態様としては、R1およびR2がそれぞれ水素原子であり、R10がアミノであり、nが0である、連結基

0142

0143

が挙げられる(以下、A1aという)。A1aは、例えば、Xaa12のC末端側にアミド結合したCys(ただしカルボキシアミドに変換されている)の−SHを、Xaa1またはXaa2のN末端アミノ基に結合した−COCH2X(XはClなどの脱離基)と反応させることにより得ることができる。この場合、CysはL−アミノ酸またはD−アミノ酸であってもよい。特に、A1aにおいてXaa12のC末端側にアミド結合したCys(ただしカルボキシがアミドに変換されている)がL−アミノ酸である場合の連結基を、A1a1という。

0144

A1の好ましい別の態様としては、R1およびR2がそれぞれ水素原子であり、R10がアミノであり、nが1である、連結基

0145

0146

が挙げられる(以下、A1bという)。A1bは、例えば、Xaa12のC末端側にアミド結合したHcy(ただしカルボキシがアミドに変換されている)の−SHを、Xaa1またはXaa2のN末端アミノ基に結合した−COCH2X(XはClなどの脱離基)と反応させることにより得ることができる。この場合、HcyはL−アミノ酸またはD−アミノ酸であってもよい。特に、A1bにおいてXaa12のC末端側にアミド結合したHcy(ただしカルボキシがアミドに変換されている)がL−アミノ酸である場合の連結基を、A1b1という。

0147

連結基A1の好ましい別の態様としては、R1およびR2がそれぞれメチルであり、R10がアミノであり、nが0である、連結基

0148

0149

が挙げられる(以下、A1cという)。A1cは、例えば、Xaa12のC末端側にアミド結合したPen(ただしカルボキシがアミドに変換されている)の−SHを、Xaa1またはXaa2のN末端アミノ基に結合した−COCH2X(XはClなどの脱離基)と反応させることにより得ることができる。この場合、PenはL−アミノ酸またはD−アミノ酸であってもよい。特に、A1cにおいてXaa12のC末端側にアミド結合したPen(ただしカルボキシがアミドに変換されている)がL−アミノ酸である場合の連結基を、A1c1という。

0150

別の態様において、連結基Aは、

0151

0152

である(以下、A2という)。A2において、nは0〜3の整数(例えば、0、1、2、または3)であり、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子またはC1−3アルキルであり、R10はアミノまたはヒドロキシである。

0153

A2の好ましい態様としては、R1およびR2がそれぞれ水素原子であり、R10がアミノであり、nが0である連結基が挙げられる(以下、A2aという)。A2aは、例えば上記A1aのスルフィド基酸化してスルホキシドとすることにより得ることができる。特に、A1a1のスルフィド基を酸化してスルホキシドとした場合の連結基を、A2a1という。

0154

別の態様において、Aは、

0155

0156

である(以下、A3という)。A3において、nは0〜3の整数(例えば、0、1、2、または3)であり、R1およびR2はそれぞれ独立に水素原子またはC1−3アルキルであり、R10はアミノまたはヒドロキシである。

0157

A3の好ましい態様としては、R1およびR2がそれぞれ水素原子であり、R10がアミノであり、nが0である連結基が挙げられる(以下、A3aという)。A3aは、例えば上記A1aのスルフィド基を酸化してスルホンとすることにより得ることができる。特に、A1a1のスルフィド基を酸化してスルホンとした場合の連結基を、A3a1という。

0158

別の態様において、Aは、

0159

0160

である(以下、A4という)。A4において、iおよびjはそれぞれ独立に1〜3の整数(例えば、1、2、または3)であり、R10はアミノまたはヒドロキシである。

0161

AがA4である場合、Xaa1またはXaa2は、

0162

0163

[式中、R9は、式−(CH2)tSH(式中、tは1〜3の整数(例えば、1、2、または3)である)で表される基である]で表されるアミノ酸の残基である。

0164

A4の好ましい態様において、iおよびjはそれぞれ1であり、R10はアミノである(以下、A4aという)。A4aは、例えば、Xaa12のC末端側にアミド結合したCys(ただしカルボキシがアミドに変換されている)の−SHを、Xaa1またはXaa2の−SHと反応させることにより得ることができる。この場合、CysはL−アミノ酸またはD−アミノ酸であってもよい。特に、Xaa12のC末端側にアミド結合したCys(ただしカルボキシがアミドに変換されている)がL−アミノ酸であるA4aを、A4a1という。

0165

別の態様において、Aは、

0166

0167

である(以下、A5という)。A5において、kおよびlはそれぞれ独立に0〜3の整数(例えば、0、1、2、または3)であり、R10はアミノまたはヒドロキシである。連結基A5は、例えば、Xaa12のC末端側にアミド結合した、側鎖に−(CH2)lCH=CH2を有するアミノ酸(カルボキシがアミドに変換されていてもよい)と、Xaa1またはXaa2のN末端アミノ基に結合した—CO(CH2)kCH=CH2とのオレフィンメタセシスにより得ることができる。この場合、Xaa12のC末端側にアミド結合したアミノ酸はL−アミノ酸およびD−アミノ酸のいずれであってもよい。

0168

別の態様において、Aは、

0169

0170

である(以下、A6という)。A6において、mは1〜7の整数(例えば、1、2、3、4、5、6、または7)であり、R10はアミノまたはヒドロキシである。A6は、例えば、A5におけるC−C二重結合を還元することにより得ることができる。

0171

式(I)において、Xaa1は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、塩基性アミノ酸、中性アミノ酸、または酸性アミノ酸の残基であるか、あるいは存在しない。好ましい態様において、Xaa1は、Arg、Lys、His、Gly、Ala、Asn、Thr、Ser、Met、Leu、Ile、Val、Gln、Phe、Tyr、Trp、またはCysであるか、あるいは存在せず、より好ましくは、Arg、Lys、またはGlyであるか、あるいは存在しない。

0172

式(I)において、Xaa2は、芳香族アミノ酸または中性アミノ酸の残基である。好ましい態様において、Xaa2は、芳香族アミノ酸の残基であり、より好ましくは、Phe、Tyr、Trp、2Nal、4CF、またはDCFであり、さらに好ましくは、2Nalである。

0173

式(I)において、Xaa3は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基である。好ましい態様において、Xaa3は、Ile、Leu、Nle、Tle、Trp、2Nal、4CF、またはArgであり、より好ましくは、Ile、またはArgである。

0174

式(I)において、Xaa4は、Ser、Thr、Ala、またはmSである。好ましい態様において、Xaa4は、Serである。

0175

式(I)において、Xaa5は、GlyまたはSerである。好ましい態様において、Xaa5は、Glyである。

0176

式(I)において、Xaa6は、塩基性アミノ酸または中性アミノ酸の残基である。好ましい態様において、Xaa6は、Arg、Lys、His、Cit、Ser、またはMO2であり、より好ましくは、Arg、Lys、His、またはSerである。

0177

式(I)において、Xaa7は、中性アミノ酸または酸性アミノ酸の残基である。好ましい態様において、Xaa7は、AsnまたはAspである。

0178

式(I)において、Xaa8は、芳香族アミノ酸残基である。好ましい態様において、Xaa8は、Trp、2Nal、または6CWであり、より好ましくはTrpである。

0179

式(I)において、Xaa9は、脂肪族アミノ酸、中性アミノ酸、または芳香族アミノ酸の残基である。好ましい態様において、Xaa9は、Val、Nle、Ahp、またはMetであり、より好ましくは、Val、Nle、またはAhpである。

0180

式(I)において、Xaa10は、塩基性アミノ酸、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または中性アミノ酸の残基である。好ましい態様において、Xaa10は、Arg、Lys、His、AMF、Phg、またはValであり、より好ましくはArg、Lys、His、Phg、またはValである。

0181

式(I)において、Xaa11は、芳香族アミノ酸残基である。好ましい態様において、Xaa11は、Trpまたは2Nalであり、より好ましくは、Trpである。

0182

式(I)において、Xaa12は、脂肪族アミノ酸、芳香族アミノ酸、または塩基性アミノ酸の残基である。好ましい態様において、Xaa12は、Val、Tle、またはPheであり、より好ましくはValである。

0183

本発明の大環状ポリペプチドの好ましい態様としては、式(I)において、
Aが連結基A1a、A1b、またはA1cであり;
Xaa1が、Arg、Lys、His、Gly、Ala、Asn、Thr、Ser、Met、Leu、Ile、Val、Gln、Phe、Tyr、Trp、またはCysであるか、あるいは存在せず;
Xaa2が、Phe、Tyr、Trp、2Nal、4CF、またはDCFであり;
Xaa3が、Ile、Leu、Nle、Tle、Trp、2Nal、4CF、またはArgであり;
Xaa4がSerであり;
Xaa5がGlyであり;
Xaa6が、Arg、Lys、His、Ser、Cit、またはMO2であり;
Xaa7が、AsnまたはAspであり;
Xaa8がTrp、2Nal、または6CWであり;
Xaa9が、Val、Nle、Ahp、またはMetであり;
Xaa10が、Arg、Lys、His、AMF、Phg、またはValであり;
Xaa11がTrpまたは2Nalであり;かつ
Xaa12が、Val、Tle、またはPheである;
大環状ポリペプチドが挙げられる。

0184

本発明の大環状ポリペプチドのより好ましい態様としては、式(I)において、
Aが連結基A1aであり;
Xaa1が、Arg、Lys、またはGlyであるか、あるいは存在せず;
Xaa2が、2Nalであり;
Xaa3が、Ile、またはArgであり;
Xaa4が、Serであり;
Xaa5が、Glyであり;
Xaa6が、Arg、Lys、His、またはSerであり;
Xaa7が、AsnまたはAspであり;
Xaa8が、Trpであり;
Xaa9が、Val、Nle、またはAhpであり;
Xaa10が、Arg、Lys、His、Phg、またはValであり;
Xaa11が、Trpであり;かつ
Xaa12が、Valである;
大環状ポリペプチドが挙げられる。

0185

本発明の大環状ポリペプチドのさらに好ましい態様としては、

0186

0187

0188

0189

0190

0191

0192

0193

0194

0195

0196

0197

で表される化合物からなる群より選択される大環状ポリペプチドが挙げられる。ここに示されたポリペプチドは、後述する実施例24、40、41、42、43、44、45、58、60、75、76、95、96、および98〜101の化合物であり、Aはいずれも連結基A1a1である。

0198

本発明の大環状ポリペプチドが塩基性基を有する場合、酸と組み合わされて塩を形成することができ、これらの塩は、本発明に包含される。そのような塩としては、例えば、無機酸塩有機酸塩アミノ酸塩、およびスルホン酸塩が挙げられる。無機酸塩としては、例えば、塩酸塩臭化水素酸塩硫酸塩、硝酸塩リン酸塩などが挙げられる。有機酸塩としては、例えば、酢酸塩シュウ酸塩マロン酸塩フマル酸塩マレイン酸塩フタル酸塩トリフルオロ酢酸塩などが挙げられる。アミノ酸塩としては、例えば、グルタミン酸塩アスパラギン酸塩などが挙げられる。スルホン酸塩としては、例えば、メタンスルホン酸塩ベンゼンスルホン酸塩p−トルエンスルホン酸塩、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸塩、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸塩、4−エチルベンゼンスルホン酸塩ナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。本発明の大環状ポリペプチドの薬理上許容される塩の好ましい態様としては、酢酸塩、塩酸塩、またはトリフルオロ酢酸塩であり、より好ましくは、酢酸塩である。

0199

本発明の大環状ポリペプチドが酸性基を有する場合、塩基組合わされて塩を形成することができ、これらの塩は、本発明に包含される。これらの塩としては、例えば、金属塩無機アミン塩有機アミン塩、およびアミノ酸塩が挙げられる。金属塩としては、例えば、ナトリウム塩カリウム塩リチウム塩などのアルカリ金属塩カルシウム塩マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩アルミニウム塩鉄塩亜鉛塩銅塩ニッケル塩コバルト塩などが挙げられる。無機アミン塩としては、例えば、アンモニウム塩が挙げられる。有機アミン塩としては、例えば、モルホリン塩、グルコサミン塩エチレンジアミン塩グアニジン塩ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩ジシクロヘキシルアミン塩ジエタノールアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩などが挙げられる。アミノ酸塩としては、例えば、リジン塩アルギニン塩などが挙げられる。

0200

本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、結晶の形態で使用されてもよく、該結晶は、本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩のみから形成されていても、共結晶溶媒和物(例えば水和物)を形成していてもよい。本発明の大環状ポリペプチドおよびその薬理上許容される塩は、いずれかを単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。

0201

本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、それを構成する1個以上の原子が非天然の比率同位体原子に置換された同位体化合物を形成することができる。同位体原子は、放射性または非放射性であり得、例えば、重水素(2H;D)、トリチウム(3H;T)、炭素−14(14C)、ヨウ素−125(125I)などである。放射性の同位体原子で標識された化合物は、疾患の治療または予防薬、研究用試薬(例えば、アッセイ用試薬)、診断薬(例えば、画像診断薬)などとして使用され得る。本発明は、放射性または非放射性の同位体化合物を包含する。

0202

本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、化学合成無細胞翻訳系などの当該技術分野において知られている方法で製造することができる。例えば、本発明の大環状ポリペプチドの化学合成は、9-フルオニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)をαアミノ基の保護基として用いる一般的な固相合成法に従って行うことができる。固相合成には、市販の自動合成機(例えばSyro II(Biotage Japan社)、Liberty Blue(CEM社)など)を用いることができる。

0203

例えば、連結基としてA1を有する本発明の大環状ポリペプチドは、例えば以下の方法に従って得ることができる。

0204

ペプチド自動合成機を用いて、固相支持体(例えば、Rink Amide Resin AM (Novaviochem社)、2-Chlorotrityl chloride resin(Novaviochem社)など)に、アミノ基の保護基(例えば、Fmoc基など)で保護されたアミノ酸をC末端側から順次連結する(C末端アミノ酸はチオールを有するアミノ酸である)。アミノ基の脱保護は当業者に知られた方法(例えば、Fmoc基の場合は20%ピペリジン/1-メチル-2-ピロリジノンなど)で行う。N末端のアミノ酸を連結し、アミノ基を脱保護した後、連結基を形成させるための基(例えば、クロロメチルカルボニル基など)を導入し(例えば、クロロ酢酸をN末端アミノ基と反応させ)、大環状ペプチドを形成する。その後、得られたペプチドをペプチドレジンから、常法(例えば、Rink Amide Resin AMを使用する場合には、トリフルオロ酢酸エタンジチオールトリイソプロピルシラン−水を使用する条件)により切断する。エーテル沈殿により粗ペプチド回収したのち、常法(例えば、逆相高速液体クロマトグラフィー)により目的物を精製する。得られた目的物は常法により所望の塩に変換することができる。
連結基としてA4を有する本発明の大環状ポリペプチドは、例えば上記方法において最後にN末端のアミノ酸として−SHを含むアミノ酸を連結することにより、さらに連結基を形成させるための基を導入することなく大環状ペプチドを形成することができる。

0205

連結基としてA2またはA3を有する本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、例えば、A1を有する本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩を酸化剤(例えば、m-クロ過安息香酸過酸化水素水またはジメチルジオキシラン)により酸化することにより得ることができる。

0206

例えば、連結基としてA5またはA6を有する本発明の大環状ポリペプチドは、例えば以下の方法に従って得ることができる。

0207

0208

末端基B1およびB2を有するポリペプチドは、ペプチド自動合成機を用いて、固相支持体に、アミノ基の保護基(例えば、Fmoc基など)で保護されたアミノ酸をC末端側から順次連結し(C末端アミノ酸はオレフィンを有するアミノ酸である)、N末端のアミノ酸のアミノ基を脱保護した後、連結基を形成させるための基(例えば、2−プロペニル基など)を導入することにより調製することができる。
末端基B1およびB2を有するポリペプチドを調製した後に、適切な触媒(例えば、第2世代グラブス触媒)を使用してオレフィンメタセシス反応を行うことにより連結基としてA5を有する大環状ポリペプチドを調製することができる。該ポリペプチドを適切な条件下(例えば、水素ウィルキンソン触媒)で還元反応に付すことにより、連結基としてA6を有する大環状ポリペプチドを得ることができる。

0209

本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、TSP1阻害活性を有し、TSP1への血管内皮細胞の接着を阻害することができるため、血管新生阻害剤として有用である。

0210

(医薬組成物)
本発明はさらに、本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩を有効成分として含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、優れたTSP1阻害活性を有しており、TSP1の発現亢進により誘発される疾患または症状(例えば、血管新生阻害に起因する疾患、血栓形成亢進に起因する疾患、炎症性疾患、腎臓細胞機能低下に起因する疾患、血管弛緩作用の抑制に起因する疾患、虚血性疾患癌疾患などの疾患、および鎌型赤血球病に伴う血管閉塞(vaso-occlusive crisis)、血管新生阻害、組織壊死、インスリン抵抗性、一般的な創傷などの症状)の治療または予防に有用である。血管新生阻害に起因する疾患としては、例えば、重症下肢虚血、末梢血管障害などが挙げられる。血栓形成亢進に起因する疾患としては、例えば、心筋梗塞、末梢血管障害(PAD)などが挙げられる。炎症性疾患としては、例えば、肥満により誘発される炎症、大動脈瘤における炎症などが挙げられる。腎臓細胞機能低下に起因する疾患としては、例えば、糖尿病性腎症、IgA腎症、慢性腎不全、急性腎不全などが挙げられる。血管弛緩作用の抑制に起因する疾患としては、例えば、腎障害、虚血再灌流障害などが挙げられる。虚血性疾患としては、例えば、心筋梗塞、狭心症などが挙げられる。癌疾患としては、例えば、扁平上皮がん、乳がん、すい臓がんなどが挙げられる。TSP1は、扁平上皮がん、乳がん、およびすい臓がんの進行を促進することが報告されている(例えば、前記非特許文献21、第39頁左欄、下から14行〜右欄3行、およびTable 4参照)。好ましい態様において、本発明の医薬組成物は、重症下肢虚血または末梢動脈疾患の治療または予防に有用であり、例えば、重症下肢虚血患者における創傷治癒の促進および重症下肢虚血に対する血管内治療の予後の改善に有用である。

0211

TSP1は、重症下肢虚血患者の下肢骨格筋中でその発現が亢進していることが知られている。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明の医薬組成物は、TSP1への血管内皮細胞の接着を阻害することにより、TSP1によって阻害されている血管新生を促進することができると考えられる。それにより本発明の医薬組成物は、重症下肢虚血患者における創傷治癒を促進することができ、またカテーテルなどによる血管内治療と組み合わせた場合に当該治療の予後を改善する(例えば、再狭窄を予防する)ことができる。

0212

本発明において、疾患または症状の治療または予防には、該疾患の発症の予防、増悪または進行の抑制または阻害、該疾患に罹患した個体が呈する一つ以上の症状の軽減または増悪もしくは進行の抑制、二次性疾患の治療または予防などが含まれる。

0213

本発明の医薬組成物は、本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩と、適宜の薬理学上許容される添加剤とを混合して製剤化することができる。例えば、本発明の医薬組成物は、錠剤カプセル剤顆粒剤などの製剤として経口的に、または、注射剤経皮吸収剤などの製剤として非経口的に投与することができる。

0214

これらの製剤は、賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤乳化剤、安定剤、希釈剤注射剤用溶剤溶解補助剤懸濁化剤等張化剤緩衝剤無痛化剤防腐剤抗酸化剤などの添加剤を用いて、周知の方法で製造される。

0215

賦形剤としては、例えば、有機系賦形剤または無機系賦形剤が挙げられる。有機系賦形剤としては、例えば、乳糖白糖のような糖誘導体トウモロコシデンプン馬鈴薯デンプンのようなデンプン誘導体結晶セルロースのようなセルロース誘導体アラビアゴムなどが挙げられる。無機系賦形剤としては、例えば、硫酸カルシウムのような硫酸塩が挙げられる。

0216

結合剤としては、例えば、上記の賦形剤;ゼラチンポリビニルピロリドンポリエチレングリコールなどが挙げられる。

0217

崩壊剤としては、例えば、上記の賦形剤;クロスカルメロースナトリウムカルボキシメチルスターチナトリウムのような化学修飾された、デンプンまたはセルロース誘導体;架橋ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。

0218

滑沢剤としては、例えば、タルクステアリン酸コロイドシリカビーズワックスゲイロウのようなワックス類硫酸ナトリウムのような硫酸塩;ラウリル硫酸ナトリウムのようなラウリル硫酸塩;上記の賦形剤におけるデンプン誘導体などが挙げられる。

0219

乳化剤としては、例えば、ベントナイトビーガムのようなコロイド性粘土;ラウリル硫酸ナトリウムのような陰イオン界面活性剤塩化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤ポリオキシエチレンアルキルエーテルのような非イオン界面活性剤などが挙げられる。

0220

安定剤としては、例えば、メチルパラベンプロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノールのようなアルコール類フェノールクレゾールのようなフェノール類などが挙げられる。

0221

希釈剤としては、例えば、水、エタノールプロピレングリコールなどが挙げられる。

0222

注射剤用溶剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリンなどが挙げられる。

0223

溶解補助剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタンコレステロールトリエタノールアミン炭酸ナトリウムクエン酸ナトリウムなどが挙げられる。

0225

等張化剤としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトールなどが挙げられる。

0226

緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。

0227

無痛化剤としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。

0228

防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールデヒドロ酢酸ソルビン酸などが挙げられる。

0229

抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩アスコルビン酸などが挙げられる。

0230

本発明の医薬組成物が投与される対象は、例えば、哺乳動物であり、好ましくはヒトである。

0231

本発明の医薬組成物の投与径路としては、経口投与および非経口投与のいずれでもよく、対象となる疾患に応じて好適な投与経路を選択すればよい。また投与経路は、全身投与および局所投与のいずれであってもよい。非経口投与としては、例えば、静脈内投与動脈内投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与腹腔内投与経皮投与骨内投与、関節内投与などを挙げることができる。本発明の医薬組成物の投与径路の好ましい態様は、静脈内投与、皮下投与、または経皮投与である。

0232

本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、治療または予防に有効な量で対象に投与される。「治療または予防に有効な量」とは、特定の疾患、投与形態および投与径路につき治療または予防効果を奏する量を意味し、対象の種、疾患の種類、症状、性別年齢持病、その他の要素に応じて適宜決定される。

0233

本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩の投与量は、対象の種、疾患の種類、症状、性別、年齢、持病、その他の要素に応じて適宜決定され、ヒトの成人に対しては、通常、0.1〜1000mg/kg、好適には0.1〜10mg/kgを、1〜7日間に1回、または1日2回もしくは3回以上投与することができる。

0234

本発明の医薬組成物は、少なくとも1つの既知治療剤または治療法と併用してもよい。例えば、重症下肢虚血の治療においては、カテーテルなどの血管内治療の前に、後に、または同時に、本発明の医薬組成物を投与することができる。
本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、薬剤溶出性ステント(DES)によって送達することができる。薬剤溶出性ステントとは、ステント表面に薬剤を担持させ、血管内留置後、薬剤が徐々に溶出されるようにしたステントをいう。

0235

また本発明は、本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩の治療または予防有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、疾患または症状の治療または予防のための方法に関する。

0236

本発明における「治療または予防有効量」とは、特定の疾患または症状、投与形態および投与径路につき治療または予防効果を奏する量を意味し、対象の種、疾患または症状の種類、症状、性別、年齢、持病、その他の要素に応じて適宜決定される。

0237

本発明における「対象」は、例えば、哺乳動物であり、好ましくはヒトである。

0238

本発明における「投与すること」には、経口投与および非経口投与が含まれ、全身投与および局所投与のいずれであってもよい。非経口投与としては、例えば、静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与、経皮投与、骨内投与、関節内投与などを挙げることができる。本発明における「投与すること」の好ましい態様は、静脈内投与、皮下投与、または経皮投与である。

0239

本発明における「疾患または症状」としては、TSP1の発現亢進により誘発される疾患または症状が挙げられる。本発明によれば、重症下肢虚血または末梢動脈疾患を治療または予防することができる。

0240

以下、実施例および試験例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。

0241

(実施例1〜104)
実施例1〜104の大環状ポリペプチドの構造式を以下に示す。

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0294

また実施例1〜104の大環状ポリペプチドを構成する残基を表1〜4に示す。表中の13番目のアミノ酸は、連結基を構成するアミノ酸であり、そのC末端はアミド基に変換されている。

0295

0296

0297

0298

0299

表5〜7に示す通り、実施例1〜104の大環状ポリペプチドを下記の合成法1〜5により、またその酢酸塩を合成法6により、合成した。なお、化合物XXXaは、化合物XXXの酢酸塩を示す。

0300

0301

0302

0303

合成法1
自動合成機Syro II(Biotage Japan社)を用い、9-フルオニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)をαアミノ基の保護基として用いる一般的な固相合成法に従って行った。
Rink Amide Resin AM (Novaviochem社)の88μmol相当を反応用ベッセルに加え、1-メチル-2-ピロリジノン中で、以下の1)および2)に従って順次アミノ酸を連結した。
1)CysおよびHis:N, N-ジイソプロピルカルボジイミド、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、Fmoc基で保護されたアミノ酸をそれぞれ3当量加えて反応させた。
2)その他のアミノ酸:O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N, N, N’, N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HATU)、N, N-ジイソプロピルアミン、Fmoc基で保護されたアミノ酸をそれぞれ3当量加えて反応させた。
Fmoc基の脱保護は20%ピペリジン/1-メチル-2-ピロリジノンで行った。
N末端のアミノ酸を連結し、Fmoc基を脱保護した後、1-メチル-2-ピロリジノン中で、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、クロロ酢酸をそれぞれ3当量加えて反応させた。
得られたペプチドレジンを1-メチル-2-ピロリジノンで3回、ジクロロメタンで3回洗浄して乾燥し、トリフルオロ酢酸−エタンジチオール−トリイソプロピルシラン−水(体積比で92.5: 2.5: 2.5: 2.5)を2mL加えて室温で3時間攪拌した。
エーテル沈殿により切断された粗ペプチドを回収し、tert-ブチルメチルエーテルで2回洗浄して乾燥した後、ジメチルスルホキシド(8mL)に溶解し、n-プロピルアミン(80μL)を加えて終夜静置した。酢酸(80μL)を加えた後、V10(Biotage Japan社)で反応液濃縮し、Kinetex5u XB-C18(150 x 21.2 mm, Phenomenex社)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィーで目的物を精製した。移動相として0.1%トリフルオロ酢酸を含む水−アセトニトリルを用いた。目的物のフラクション凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩として目的物を得た。

0304

合成法2
合成法1に従って、目的物のフラクションを凍結乾燥した後、0.1N塩酸−アセトニトリルに溶解し再び凍結乾燥して、塩酸塩として目的物を得た。

0305

合成法3
自動合成機Liberty Blue(CEM社)を用い、9-フルオニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)をαアミノ基の保護基として用いる一般的な固相合成法に従って行った。
Rink Amide Resin AM (Bovaviochem社)の100μmol相当を反応用ベッセルに加え、N, N-ジメチルホルムアミド中でN, N-ジイソプロピルカルボジイミド、シアノ(ヒドロキシイミノ酢酸エチル、Fmoc基で保護されたアミノ酸をそれぞれ5当量加えて反応させ、順次アミノ酸を連結した。
Fmoc基の脱保護は20%ピペリジン/N, N-ジメチルホルムアミドで行った。
N末端のアミノ酸を連結し、Fmoc基を脱保護した後、N, N-ジメチルホルムアミド中で、N, N-ジイソプロピルカルボジイミド、シアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチル、クロロ酢酸をそれぞれ5当量加えて反応させた。
得られたペプチドレジンをN, N-ジメチルホルムアミドで3回、ジクロロメタンで3回洗浄して乾燥し、トリフルオロ酢酸−エタンジチオール−トリイソプロピルシラン−水(体積比で92.5: 2.5: 2.5: 2.5)を2mL加えて室温で3時間攪拌した。
エーテル沈殿により切断された粗ペプチドを回収し、tert-ブチルメチルエーテルで2回洗浄して乾燥した後、ジメチルスルホキシド(8ml)に溶解し、n−プロピルアミン(80μL)を加えて終夜静置した。酢酸(80μL)を加えた後、V10(Biotage Japan社)で反応液を濃縮し、Kinetex5u XB-C18(150 x 21.2 mm, Phenomenex社)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィーで目的物を精製した。移動相として0.1%トリフルオロ酢酸を含む水−アセトニトリルを用いた。目的物のフラクションを凍結乾燥した後、0.1N塩酸-アセトニトリルに溶解し再び凍結乾燥して、塩酸塩として目的物を得た。

0306

合成法4
合成法2で得た大環状ポリペプチド塩酸塩(40.0mg, 24μmol)をアセトニトリル(5mL)、50mM炭酸水素アンモニウム水溶液(5mL)に溶解させた。m-クロロ過安息香酸の100mg/mLアセトニトリル溶液を64μL(24μmol)加えて攪拌し、室温で静置した。2時間後さらに15μL(6μmol)加えて1時間静置した。Kinetex5u XB-C18(150 x 21.2 mm, Phenomenex社)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィーで目的物を精製した。移動相として0.1%トリフルオロ酢酸を含む水−アセトニトリルを用いた。目的物のフラクションを凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩として目的物を得た。

0307

合成法5
合成法2で得た大環状ポリペプチド塩酸塩(40.0mg, 24μmol)をアセトニトリル(5mL)、50mM炭酸水素アンモニウム水溶液(5mL)に溶解させた。m-クロロ過安息香酸の100mg/mLアセトニトリル溶液を127μL(48μmol)加えて攪拌し、室温で静置した。2時間後さらに64μL(24μmol)加えて1時間静置した。Kinetex5u XB-C18(150 x 21.2 mm, Phenomenex社)を用いた逆相高速液体クロマトグラフィーで目的物を精製した。移動相として0.1%トリフルオロ酢酸を含む水−アセトニトリルを用いた。目的物のフラクションを凍結乾燥して、トリフルオロ酢酸塩として目的物を得た。

0308

合成法6
合成法1で得た目的物のトリフルオロ酢酸塩、または合成法2で得た目的物の塩酸塩を10%アセトニトリル水溶液に溶解し(5-10mM)、あらかじめ酢酸イオンに置換しておいたダウエックス登録商標)(1x8 100-200メッシュ、1.2meq/ml、和光純薬工業株式会社)を50当量加えて2時間振とうした。ろ過した後、ろ液を凍結乾燥し、目的物を酢酸塩として得た。

0309

実施例1〜104の大環状ポリペプチドの合成に用いた天然アミノ酸試薬を表8および9に示す。また実施例1〜104の大環状ポリペプチドの合成に用いたか、または用い得る非天然アミノ酸試薬とその調達先を表10〜12に示す。

0310

0311

0312

0313

0314

0315

各大環状ポリペプチドの精製に用いたHPLC条件および保持時間を表5〜7に示す。HPLC条件1〜4は以下の通りである。

0316

HPLC条件1
カラム:Kinetex 1.7u XB-C18(50 x 2.1 mm)
移動相:A: 0.1% TFA-水 B: 0.1% TFA-アセトニトリル
温度:40℃
流速:0.6 ml/min
グラジエント:0.01分(B10%)、0.33分(B10%)、0.34分(B20%)、0.66分(B20%)、0.67分(B30%)、0.99分(B30%)、1.00分(B40%)、1.33分(B40%)、1.34分(B50%)、1.66分(B50%)、1.67分(B80%)、2.50分(B80%)

0317

HPLC条件2
カラム:InertsilODS-3(150 x 4.6 mm)
移動相:A: 0.1% TFA-水 B: 0.1% TFA-アセトニトリル
温度:40℃
流速:1.0 mL/min
グラジエント:0.01分(B10%)、20.00分(B70%)

0318

HPLC条件3
カラム:InertsilODS-3(150 x 4.6 mm)
移動相:A: 0.1% TFA-水 B: 0.1% TFA-アセトニトリル
温度:40℃
流速:1.5 mL/min
グラジエント:0.01分(B25%)、8.00分(B70%)

0319

HPLC条件4
カラム:InertsilODS-3(150 x 4.6 mm)
移動相:A: 0.1% TFA-水 B: 0.1% TFA-アセトニトリル
温度:40℃
流速:1.5 mL/min
グラジエント:0.01分(B5%)、8.00分(B70%)

0320

また得られた目的物の質量分析を、以下の条件でLC−MSまたはMALDI−TOF−MSにより行った。各大環状ポリペプチドのMS実測値を表5〜7に示す。

0321

LC−MS条件
Agilent 6530 Accurate-Mass Q-TOF LC/MS(Agilent Tecnology社)を用いて測定した。
カラム:Kinetex 1.7u XB-C18(50 x 2.1 mm)
移動相:A: 0.1% TFA-水 B: 0.1% TFA-アセトニトリル
温度:40℃
流速:0.6 ml/min
グラジエント:0.01分(B10%)、0.33分(B10%)、0.34分(B20%)、0.66分(B20%)、0.67分(B30%)、0.99分(B30%)、1.00分(B40%)、1.33分(B40%)、1.34分(B50%)、1.66分(B50%)、1.67分(B80%)、2.50分(B80%)

0322

MALDI−TOF−MS条件
4800 MALDI TOF/TOF(ABSCIEX社)を用いて測定した。マトリックスにはα−シアノ−4−ヒドロキシケイ皮酸(CHCA)を用いた。

0323

(試験例1)細胞接着阻害アッセイ
I.材料・試薬
・96 well Non-treated White with clear bottom (Coster, 3632)
・BrightMax adhesive sealing films (EXCEL Scientific WT50)
・プロテオセーブ(登録商標)SS15mL (住友ベークライトMS-52150)
・Thrombospondin human platelet (Calbiochem 605225)
・HUVEC (KURABOKE-4109P10)
・EGM-2 MV (Lonza, CC-3202): HUVEC継代
・Collagen coated dish (IWAKI4020-010): HUVEC継代用
・Lipidure(登録商標)-BL802 (日油) 5% solution
・DMEMlow glucose (GIBCO 11054-020)
・Albumin solution (35%) fraction V from Bovine (Sigma A7979)
・CellTiter-Glo (Promega G7572)

0324

II.アッセイ
<Plate coat>
Thrombospondin 1 vial (25 μg)をTBS(+2mM CaCl2、以下すべて同じ)に溶解し、200μg/ml溶液を調製し、プロテオセーブ(登録商標)15 mLチューブ中で10μg/mLになるようにTBSで希釈した。10μg/mL溶液を50μL/wellで96 well plateに分注し(吸着しやすいのでリザーバーは使用しなかった)、4℃で一晩静置した。
<Plate blocking>
Lipidure(登録商標)をTBSで10倍希釈し0.5% solutionを調製した。上記<Plate coat>でコートしておいたプレートバッファーを捨て、使用するすべてのウェルに0.5% solutionを100μL/wellで分注し、室温で1時間静置した。
サンプルの希釈>
希釈バッファー(DMEM+0.5% BSA)を用いて、各サンプルについて0.2μM溶液を調製した。0.2μM溶液2μLを希釈バッファー500μLで希釈し、希釈サンプルを調製した。Vehicle controlとしてDMSOを用い、サンプルと同様に希釈した。
サンプル分注
上記<Plate blocking>のプレートのブロッキング液を捨て、TBS 150μL/wellで3回洗浄した。3回目洗浄液アスピレーターで完全に吸い、希釈サンプルを50μL/well分注し、室温で15〜30分間静置した。
<HUVEC播種
HUVECの維持には、EGM2-MV, collagen coated dishを使用した(10〜11継代で増殖が落ちるので、そこで使用終了した)。細胞を0.05% TrypsinEDTAで分散させ、DMEM 0.5% BSAで回収し、1000 rpmで3分間遠心した。上清を除いて、細胞をDMEM bufferで1回洗浄した。細胞をDMEM bufferに再懸濁し、細胞数カウントし、10000 cells/50μLに希釈した。サンプルを分注してあるプレートに、細胞懸濁液を50μL/well分注し、軽く混ぜ、37℃で2.5時間インキュベーションした。
<洗浄・検出>
細胞の接着を確認した後、アスピレーターで培地を完全に除き、100μL/wellのDMEM 0.5% BSAを静かに分注した。アスピレーターでDMEM 0.5% BSAを完全に除き、50μL/wellのDMEM 0.5% BSAを分注した。プレートの底にwhiteシールを貼り、CellTiter-Glo(登録商標)50μL/wellを分注し、2分間撹拌した後、室温で8分間静置した。EnVision Xcite Multilabel Reader(Perkin Elmer社)により発光を検出した。

0325

III.結果
発光の測定値から、各大環状ポリペプチドによる細胞接着阻害についてIC50(nM)を算出した。得られた結果を表1〜4に示す。上記試験結果により、実施例1〜104の化合物はTSP1の血管内皮細胞への接着阻害作用を有し、重症下肢虚血または末梢動脈疾患の治療または予防に有用であることが示された。

0326

(試験例2)SPRによる相互作用解析
SPRによる相互作用解析は、Biacore T200(GEヘルスケア)を用いて行った。
I.Recombinant-hTSP1の固定化
NTA-Chip(GEヘルスケア:BR100532)に500μM NiCl2を流速5μL/minで1分間injectすることで、NTAを活性化させた。次いで、EDC/NHS mixtureを流速10μL/minで7分間injectすることで、デキストランカルボキシル基を活性化させた。NTAおよびカルボキシル基が活性化された基板表面に対し、Recombinant-hTSP1を流速10μL/minで7分間injectすることで固定化した。Ethanolamineを流速10μL/minで7分間injectすることで、未反応の活性化カルボキシル基を不活化させた。
なお、10xHBS-P+(GEヘルスケア:BR100671)を1xに希釈し、かつ5mM CaCl2を添加したものを固定化bufferとして用いた。
EDC/NHS/Ethanolamineとしては、GEヘルスケアから販売されているAmine-coupling kit (BR100050)に含まれる試薬を使用した。

0327

II.検体の測定
測定Bufferは下記に示す組成で調製した。
50mM Tris-HCl pH7.5 / 150mM NaCl / 5mM CaCl2 / 0.05% Tween20 / 5%DMSO
測定は以下の順で実施した。
1) Startup
基板表面の平衡化のため、測定Bufferを下記の条件でinjectした。
Contact-time:60sec, Dissociate-time:120sec,流速50ul/min, 温度:25℃
同条件を5回繰り返し平衡化させた。
2) Solvent Correction
Biacore T200はDMSO濃度の変化に対し敏感に反応することから、DMSOによる影響を補正するため、4%-4.4%-4.8%-5.2%-5.6%-6%のDMSO溶液をinjectした。
3) Sample測定
解離性挙動を有する検体に対し有効なSingle-Cycle kinetics法を採用した。本手法は各濃度域を同一サイクル中でinjectするため、解析において低解離に伴うサイクル間の影響を無視できる点が優れている。
検体は3倍希釈系列で5濃度(100、33、11、3.7および1.2 nM)調製し、濃度の低い順から流速50μL/minで3分間、連続的にinjectした。また、最も高い濃度の希釈液をinjectした後、解離時間を20〜30分設けた。
なお、検体の測定前に、ベースライン作成のため測定Bufferのみを同条件でinjectした。

0328

III.解析
Biacore T100およびT200に付属のEvaluation softwareを用いて解析した。Solvent correction測定によって得られたDMSO補正曲線を適用した。検体測定データからベースラインデータを差し引いたものに対し、kinetics fittingを実施した。
結合速度定数(ka)および解離速度定数(kd)からKD値を算出した。得られた結果を表1〜4に示す。上記試験結果により、実施例1〜7、9〜13、24、28、40〜45、58、75の化合物はTSP1に直接結合することでTSP1の血管内皮細胞への接着阻害活性を示していることが確認された。したがって、本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、重症下肢虚血または末梢動脈疾患の治療または予防に有用であることが示された。

0329

(試験例3)血流改善測定試験
7-9週齢雄性C57BL/6マウスを日本チャールズリバー株式会社より購入し、FR-2固形飼料(株式会社フナバシファーム)を供与して1週間以上馴化させた。飼育室は午後7時消灯、午前7時点灯の12時間周期明暗切り替えを行った。イソフルオレイン吸入麻酔下に、マウスの左大腿部切開し、浅大腿動脈および静脈深部大腿動脈のすぐ下から膝窩動脈および静脈まで)を結紮し、切除した。モデル作製後、被験物質(化合物24、28、40〜45、58)を20 mM乳酸および5% (w/v)ルトロール溶液に溶解し、1日1回腹腔内投与した。
(血流改善測定試験1)
ビヒクル投与群
化合物24(10 mg/kg)投与群
(血流改善測定試験2)
ビヒクル投与群
化合物28(10 mg/kg)投与群
(血流改善測定試験3)
ビヒクル投与群
化合物40(10 mg/kg)投与群
化合物41(10 mg/kg)投与群
(血流改善測定試験4)
ビヒクル投与群
化合物42(10 mg/kg)投与群
化合物43(10 mg/kg)投与群
化合物44(10 mg/kg)投与群
化合物45(10 mg/kg)投与群
(血流改善測定試験5)
ビヒクル投与群
化合物58(10 mg/kg)投与群

虚血肢(左)および非虚血肢(右)の血流を、レーザードップラー血流計(LDPI、PIMIII、Perimed、Inc.)を用いて測定した。血流の値は、非虚血肢に対する虚血肢の比で評価した。
マウスの血流は、手術直後で最も低値を示し、その後、徐々に回復した。本動物モデルで検討したすべての被験物質は、ビヒクル処置と比較して、手術後の血流回復がより改善された。手術後7日目における被験物質投与群の血流は、ビヒクル処置マウスよりも高かった。結果を表13に示す。

実施例

0330

0331

本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、TSP1に結合し、TSP1への血管内皮細胞などの細胞の接着を阻害することができる。従って本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、TSP1の発現亢進により誘発される疾患または症状の治療または予防に有用である。また本発明の大環状ポリペプチドまたはその薬理上許容される塩は、血管新生促進剤として有用である。

0332

列番号1〜104:実施例1〜104の化合物のペプチド領域
配列番号1〜104:C末端カルボキシル基のアミド化

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