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技術 農業用ハウス

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 石渡正紀田尾本昭真継伸谷澤孝欣
出願日 2017年7月27日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2018-539554
公開日 2019年6月24日 (1年0ヶ月経過) 公開番号 WO2018-051651
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 気流形成装置 成長度合 減光用 模擬部材 散布範囲 高温期 微小水滴 濡れ状態
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題・解決手段

複数のノズルを配置する場合に、ノズルの配置密度の低減を可能にし、ノズルに要する設備費用を抑制する。農業用ハウス(30)は、外殻(20)と複数のノズル(11)と気流形成装置(15)とを備える。複数のノズル(11)は、それぞれから発生した後に地面に達するミスト密度に基づいて、密度が第1の基準値以上である複数の第1領域(A1)と、密度が第1の基準値より小さい第2の基準値以下である複数の第2領域(A2)とに地面が区分されるように配置されている。さらに、ノズル(11)は、複数の第2領域(A2)のそれぞれに複数の第1領域(A1)のうちの少なくとも1つの第1領域(A1)が隣り合うように配置されている。気流形成装置(15)は、複数の第2領域(A2)それぞれの上方空間に、第1領域(A1)に達するミストの気化で生じた冷気を移動させる気流を作り出すように構成されている。

概要

背景

従来、温室農業用ハウス)の内部に、粒径が数[μm]から十数[μm]程度の細霧噴霧することができるノズル適所に配置した構成が提案されている(特許文献1参照)。この技術では、細霧を供給すると、気化熱により室温が低下する。

一方、植物体微小水滴を直接吐出することにより植物体の葉温を低下させる技術が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2には、噴霧ノズルが2[m]間隔で置かれ、噴霧ノズルは噴霧口が水平面から15°上に向くように設けられ、粒径約30[μm]の微小水滴が植物体の成長点付近に噴霧されることが記載されている。

特許文献1に記載された技術では、温室(農業用ハウス)の室内全体を冷却するから、大量の水が必要であり、植物体を少量の水で冷却することができない。

一方、特許文献2に記載された技術は、栽培植物局所に対して微小水滴(ミスト)を噴霧ノズルから吐出させる構成であるから、室内全体を冷却する必要がない。しかしながら、複数の栽培植物のすべてに対して微小水滴を吐出することができるように噴霧ノズルを配置する必要がある。すなわち、噴霧ノズルの配置密度が高く、結果的に設備費用が増加しやすいという問題がある。

概要

複数のノズルを配置する場合に、ノズルの配置密度の低減を可能にし、ノズルに要する設備費用を抑制する。農業用ハウス(30)は、外殻(20)と複数のノズル(11)と気流形成装置(15)とを備える。複数のノズル(11)は、それぞれから発生した後に地面に達するミストの密度に基づいて、密度が第1の基準値以上である複数の第1領域(A1)と、密度が第1の基準値より小さい第2の基準値以下である複数の第2領域(A2)とに地面が区分されるように配置されている。さらに、ノズル(11)は、複数の第2領域(A2)のそれぞれに複数の第1領域(A1)のうちの少なくとも1つの第1領域(A1)が隣り合うように配置されている。気流形成装置(15)は、複数の第2領域(A2)それぞれの上方空間に、第1領域(A1)に達するミストの気化で生じた冷気を移動させる気流を作り出すように構成されている。

目的

本発明は、複数のノズルを配置する際の配置密度の低減を可能にし、ノズルに要する設備費用を抑制した農業用ハウスを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
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請求項1

複数の植物体栽培される空間を囲むように配置される外殻と、前記外殻の内部において前記植物体が栽培される地面より上方に設置され、かつ液体微粒子化したミストを発生させる複数のノズルと、前記外殻の内部に気流を作り出す気流形成装置とを備えており、前記複数のノズルは、前記複数のノズルからそれぞれ発生した後に前記地面に達する前記ミストの密度に基づいて、前記密度が第1の基準値以上である複数の第1領域と前記密度が前記第1の基準値より小さい第2の基準値以下である複数の第2領域とに、前記地面が区分され、かつ前記複数の第2領域のそれぞれに前記複数の第1領域のうちの少なくとも1つの第1領域が隣り合うように配置されており、前記気流形成装置は、前記複数の第2領域それぞれの上方空間に、前記複数の第1領域のうち前記複数の第2領域それぞれに隣り合っている第1領域に達するミストの気化で生じた冷気を移動させる気流を作り出すように構成されていることを特徴とする農業用ハウス

請求項2

前記複数のノズルは列をなすように配置されており、前記複数のノズルが列をなして並ぶ一方向において、前記複数の第1領域と前記複数の第2領域とが交互に形成される請求項1記載の農業用ハウス。

請求項3

前記複数のノズルは、粒子径最頻値が10[μm]以上かつ100[μm]以下であるミストを発生させるように構成されている請求項1又は2記載の農業用ハウス。

請求項4

前記外殻は、前記地面に沿った断面が矩形状であって、前記複数のノズルは、前記地面に沿った前記外殻の長手方向に、前記複数の第1領域と前記複数の第2領域とが並ぶように配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の農業用ハウス。

請求項5

前記複数のノズルの前記地面に対する高さを調節する調節装置をさらに備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の農業用ハウス。

請求項6

前記気流形成装置が作り出す前記気流の速度分布を変更する変更装置をさらに備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の農業用ハウス。

請求項7

前記第1領域の少なくとも一部を視野として撮影する撮影装置と、前記撮影装置が撮影した画像から前記植物体の濡れ状態評価値を求め、前記濡れ状態の評価値に基づいて前記植物体を栽培する環境を調節するための設備を制御する制御装置とをさらに備える請求項1〜6のいずれか1項に記載の農業用ハウス。

請求項8

前記撮影装置は、前記複数のノズルのうちの少なくとも1つのノズルと結合されている請求項7記載の農業用ハウス。

請求項9

前記植物体の濡れ状態を模擬するように構成された模擬部材をさらに備え、前記模擬部材は、前記撮影装置の前記視野内に位置するように前記撮影装置と結合されている請求項7又は8記載の農業用ハウス。

技術分野

0001

本発明は、農業用ハウスに関し、とくにミストを発生させるノズルを備えた農業用ハウスに関する。

背景技術

0002

従来、温室(農業用ハウス)の内部に、粒径が数[μm]から十数[μm]程度の細霧噴霧することができるノズルを適所に配置した構成が提案されている(特許文献1参照)。この技術では、細霧を供給すると、気化熱により室温が低下する。

0003

一方、植物体微小水滴を直接吐出することにより植物体の葉温を低下させる技術が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2には、噴霧ノズルが2[m]間隔で置かれ、噴霧ノズルは噴霧口が水平面から15°上に向くように設けられ、粒径約30[μm]の微小水滴が植物体の成長点付近に噴霧されることが記載されている。

0004

特許文献1に記載された技術では、温室(農業用ハウス)の室内全体を冷却するから、大量の水が必要であり、植物体を少量の水で冷却することができない。

0005

一方、特許文献2に記載された技術は、栽培植物局所に対して微小水滴(ミスト)を噴霧ノズルから吐出させる構成であるから、室内全体を冷却する必要がない。しかしながら、複数の栽培植物のすべてに対して微小水滴を吐出することができるように噴霧ノズルを配置する必要がある。すなわち、噴霧ノズルの配置密度が高く、結果的に設備費用が増加しやすいという問題がある。

先行技術

0006

特開2000−157068号公報
特開2011−36199号公報

0007

本発明は、複数のノズルを配置する際の配置密度の低減を可能にし、ノズルに要する設備費用を抑制した農業用ハウスを提供することを目的とする。

0008

本発明の一態様に係る農業用ハウスは、外殻と複数のノズルと気流形成装置とを備えている。前記外殻は、複数の植物体が栽培される空間を囲むように配置される。前記複数のノズルは、前記外殻の内部において前記植物体が栽培される地面より上方に設置され、かつ液体微粒子化したミストを発生させる。前記気流形成装置は、前記外殻の内部に気流を作り出す。前記複数のノズルは、前記複数のノズルからそれぞれ発生した後に前記地面に達する前記ミストの密度に基づいて、複数の第1領域と複数の第2領域とに地面が区分されるように配置されている。前記第1領域は前記密度が第1の基準値以上であり、前記第2領域は前記密度が前記第1の基準値より小さい第2の基準値以下である。さらに、前記ノズルは、前記複数の第2領域のそれぞれに前記複数の第1領域のうちの少なくとも1つの第1領域が隣り合うように配置されている。前記気流形成装置は、前記複数の第2領域それぞれの上方空間に、前記複数の第1領域のうち前記複数の第2領域それぞれに隣り合っている第1領域に達するミストの気化で生じた冷気を移動させる気流を作り出すように構成されている。

図面の簡単な説明

0009

図1は実施形態1の農業用ハウスを示す概略縦断面図である。
図2は実施形態1の農業用ハウスを示す図1のX−X線断面図である。
図3は実施形態1の農業用ハウスを示す図1のY−Y線断面図である。
図4は実施形態1における調節装置の一例を示す正面図である。
図5は実施形態1における変更装置の一例を示す正面図である。
図6Aは実施形態1において背丈の低い植物体とノズルとの関係を示す正面図、図6Bは実施形態1において背丈の高い植物体とノズルとの関係を示す正面図である。
図7は実施形態1における設備の制御に関するブロック図である。
図8は実施形態1における制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図9は実施形態1における制御のタイミングを示すタイムチャートである。
図10は実施形態2の農業用ハウスの他例を示す図1のX−X線断面に相当する断面図である。
図11は実施形態2の農業用ハウスの他例における設備の制御に関するブロック図である。
図12は実施形態2の農業用ハウスの他例における制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図13は実施形態2の農業用ハウスの他例における撮影装置模擬部材との関係を示す正面図である。

実施例

0010

(実施形態1)
図1図2図3に示すように、以下に説明する農業用ハウス30は、植物体40を栽培する空間を囲むように配置される外殻20を備える。露地で植物体40を栽培する場合であれば、植物体40の種類および植物体40を栽培する地域に応じて、植物体40を栽培可能な季節がおおむね決まっている。対して、農業用ハウス30で植物体40を栽培する環境を調節すると、露地とは異なる期間に植物体40の栽培が可能である。また、農業用ハウス30で植物体40を栽培する環境を調節すると、同じ種類の植物体40または異なる種類の植物体40を年間に複数回栽培できる場合がある。

0011

農業用ハウス30で栽培する植物体40は、葉菜類果菜類豆類果物花卉などから選択可能である。葉菜類は、ホウレンソウコマツナレタスキャベツハクサイなどのことであり、果菜類は、トマトキュウリナスなどのことである。以下では、栽培する植物体40がトマト、キュウリ、ナスなどの果菜類である場合を想定して説明する。ただし、以下に説明する技術は、栽培する植物体40の種類によらず適用可能である。また、植物体40を土壌に植える土耕栽培を想定している。ただし、土壌に防根透水シートなどを敷いた隔離床で植物体40を栽培する場合でも、以下に説明する技術を採用することが可能である。

0012

外殻20は、図2のように、地面に立てられるフレーム21と、フレーム21が支持する被覆体22とを備える。外殻20を地面に設置した状態で、外殻20が地面に占める形状は縦横比の大きい矩形状である(図3参照)。たとえば、外殻20の長手方向の寸法は数十[m]程度、外殻20の短手方向の寸法は数[m]程度である。

0013

フレーム21は、アーチ状の複数の主フレーム21Aと、複数の主フレーム21Aを互いに連結する複数の連結フレーム21Bとを備える(図2参照)。主フレーム21Aのそれぞれは、地面に立てられる直線状の一対のサポート211と、一対のサポート211の上端同士を一体に連結する弧状のブリッジ212とによりアーチ状に形成されている。主フレーム21Aおよび連結フレーム21Bは、金属製パイプで形成されている。金属は、表面処理が施されたアルミニウム亜鉛被覆が施された鉄などが選択される。複数の主フレーム21Aは、外殻20の長手方向(図2の面に直交する方向)に一列に並べて配置される。したがって、1つの主フレーム21Aの一対のサポート211が外殻20の短手方向(図2の左右方向)に離れて立つ。連結フレーム21Bは、外殻20の長手方向に沿って配置されており、複数の主フレーム21Aに結合されている。

0014

一方、被覆体22は、透光性を有する合成樹脂フィルムでありフレーム21を覆うように配置される。被覆体22の一部には、通気のための窓に用いる開口、出入口となる開口などが設けられている。外殻20の内部には、植物体40を栽培する環境を調節するために、植物体40に散水する散水装置、外殻20に入射する日射を調節するカーテンなどの種々の設備が設けられる。以下では、植物体40を栽培する環境を調節するための種々の設備のうち、液体を微粒子化したミストを発生させる設備と、外殻20の内部に気流を作り出す設備とに着目して説明する。

0015

ミストは、植物体40を栽培する環境のうち主として温度を調節する。すなわち、ミストが植物体40に接触して植物体40を冷却する作用と、ミストが気化し周囲の空気から気化熱を奪って冷気を生み出す作用との少なくとも一方により、植物体40の冷却に寄与する。また、外殻20の内部に気流を作り出すことにより、ミストの気化により生じた冷気が外殻20の内部で移動する。したがって、ミストの気化により生じた冷気を植物体40の周辺に移動させると、植物体40を栽培する環境の温度を低下させることが可能である。ミストを発生させる装置および気流を発生させる装置の具体的な構成は後述する。

0016

外殻20は、主フレーム21Aのサポート211に対応する一対の側壁23と、主フレーム21Aのブリッジ212に対応する屋根24と、外殻20の長手方向の両端面である一対の妻壁25とを有している。窓として用いる開口は側壁23に設けられており、出入口として用いる開口は妻壁25に設けられている。農業用ハウス30の仕様によっては、窓として用いる開口が側壁23だけではなく屋根24にも設けられる場合がある。図2に示すように、外殻20は、全体として長手方向に交差する断面において上に凸となる形状に形成されている。

0017

なお、図2に示す構成例では、主フレーム21Aがアーチ状であるが、主フレーム21Aのブリッジ212は逆V字状であってもよく、またブリッジ212の頂点は1つではなく複数であってもよい。たとえば、主フレーム21Aのブリッジ212は逆W字状であってもよい。また、被覆体22は、透明であればガラスであってもよい。なお、外殻20を組み立てる手順は、一般的であるから説明を省略する。

0018

外殻20に囲まれている地面には、植物体40を栽培するために周囲に対して土を盛り上げた複数(たとえば、3つ)の31が形成されている。1つの畝31の寸法は、外殻20の長手方向においては外殻20の寸法にほぼ等しく(たとえば、8割程度)、外殻20の短手方向においては外殻20の寸法の数分の1程度である。外殻20の短手方向において隣り合う畝31の間には、作業用通路32が形成される。

0019

複数の畝31には、それぞれ複数の植物体40がおおむね等間隔に植えられる。植物体40の畝31への配置としては、一条植えと二条植えとが広く採用されている。一条植えは、複数の植物体40を1つの畝31の長手方向に沿って一列に並ぶように植えることを意味している。二条植えは、図2のように、複数の植物体40を1つの畝31の長手方向に沿って二列に並ぶように植えることを意味している。一条植えと二条植えとのどちらでも、一列に並ぶ複数の植物体40はほぼ等間隔に植えられる。また、二条植えでは、畝31の長手方向において、一方の列で隣り合う2つの植物体40の間に他方の列の植物体40が配置されることがある。この場合、一方の列で隣り合う2つの植物体40の間隔を2dとすると、二条植えでは、植物体40が間隔dごとに異なる列に配置される。

0020

ところで、農業用ハウス30は、植物体40を栽培する環境を調節することを目的としている。植物体40を栽培する環境のうち温度を調節するには、外殻20の内部の空気を外部の空気と換気すること、外殻20の内部への太陽光の入射を調節することなどが考えられる。ただし、換気では、外殻20の内部の気温を外殻20の外部の気温より下げることはできない。また、外殻20の内部への太陽光の入射を調節すれば、外殻20の内部の気温の上昇を抑制することができるが、依然として外殻20の内部の気温を外殻20の外部の気温より下げることはできない。

0021

外殻20の内部には、ミストを発生させるための複数のノズル11が配置されている。複数のノズル11それぞれには、図4に示すように、給水管12が接続され、給水管12を通して水のような液体が供給される。複数のノズル11は、給水管12を通して供給された液体を微粒子化したミストを発生させる吹出口をそれぞれ備える。

0022

ノズル11は、通路32の上方に配置してもよいが、畝31の上方に配置されることが望ましい。つまり、ノズル11は、植物体40が栽培される地面としての畝31の上面から離れて上方に配置される。植物体40を栽培する地面(畝31の上面)からノズル11までの高さは、植物体40の背丈に応じて定められ、おおむね50[cm]以上かつ300[cm]以下に定められる。ノズル11に供給される液体は、雨水、河川水井戸水などを原水とする水、あるいは水道水のほか、植物に有用な薬剤を含む水であってもよい。以下では、ノズル11に供給される液体は、薬剤を含むか否かにかかわらず水という。畝31に植物体40が植えられた状態であって、畝31の上方にノズル11が配置される場合、ノズル11は、植物体40の直上ではなく、植物体40に対して外殻20の長手方向または短手方向にずれた位置に配置されることが望ましい。

0023

1つのノズル11は複数個(たとえば、2個または4個)の吹出口を備えていることが望ましい。ただし、1つのノズル11は1個だけ吹出口を備えていてもよい。ノズル11は、ミストを吹き出す向きが、水平面(地面に沿う面)に対して比較的小さい角度範囲(水平面に対して±15度程度)となるように配置される。ここに、ノズル11がミストを吹き出す向きは、ノズル11から吹き出した直後のミストが存在する領域の中心線に沿って、ミストが飛翔する向きである。すなわち、ミストは吹出口から広がるように吹き出すから、ノズル11からミストが吹き出す向きは、吹出直後のミストが存在する領域の中心線で定められる。吹出直後のミストが存在する領域は、ノズル11がミストを吹き出す向きに直交する断面において、円形楕円形四角形などの形状をなす。なお、ノズル11が1個だけ吹出口を備える場合には、ミストを吹き出す向きが下向きとなるようにノズル11が配置されることがある。

0024

ノズル11が発生させるミストは、粒子径最頻値が10[μm]以上かつ100[μm]以下であることが望ましい。ノズル11が発生させるミストの粒子径の最頻値が、上述した範囲であることは必須ではないが、粒子径の最頻値がこの範囲であると、ミストはあまり浮遊せずに比較的短時間で落下する。そのため、ミストは空気中で全部が蒸発するのではなく、畝31に植物体40が植えられていなければ、ノズル11で発生したミストの一部が畝31の上面に到達する。すなわち、植物体40を栽培する地面としての畝31の上面に、ノズル11で発生したミストの一部が落下する。

0025

2個の吹出口を有するノズル11からミストを吹き出す場合には、一列に並ぶ植物体40の上方において、外殻20の長手方向に沿ってミストが吹き出されるようにノズル11が配置される。4個の吹出口を有するノズル11からミストを吹き出す場合には、植物体40が一条植えであれば通路32の上方にノズル11が配置され、植物体40が二条植えであれば二列に並ぶ植物体40の列間の上方にノズル11が配置されることが望ましい。なお、1個の吹出口を有するノズル11から下向きにミストを吹き出す場合には、ノズル11の直下に少なくとも1つの植物体40が位置するように植物体40が植えられる。

0026

上述した構成例では、ノズル11が畝31の上方に配置され、1つのノズル11が1つの畝31に対応してミストを吹き出す構成を想定している。ただし、2個あるいは4個の吹出口を有したノズル11が通路32の上方に配置され、1つのノズル11から2つの畝31にミストを吹き出す構成を採用することも可能である。

0027

個々のノズル11における吹出口の個数および複数のノズル11と畝31との位置関係にかかわらず、複数のノズル11は畝31に沿った列をなすように並ぶ。図3に示すように、外殻20の内部に複数の畝31が形成されているから、ノズル11も複数の列をなすように並ぶ。1列に並ぶ複数のノズル11にそれぞれ接続されている複数の給水管12(図4参照)には、共通のヘッダ13から水が供給される。すなわち、外殻20の長手方向に沿った複数のヘッダ13が外殻20に配置されており、各ヘッダ13に複数の給水管12の一端が結合されている。ヘッダ13の材質硬質でも軟質でもよいが、給水管12の材質は柔軟であることが望ましい。ヘッダ13は、合成樹脂、金属、ゴムなどから選択される材料で形成され、給水管12は、ゴム、合成樹脂などから選択される材料で形成される。給水管12およびヘッダ13は、単独の材料ではなく複数の材料を組み合わせた複合材料で形成されていてもよいのはもちろんのことである。

0028

ノズル11に接続された給水管12がフレーム21に固定されたヘッダ13に結合されることによって、ノズル11は、ヘッダ13から吊り下げられた状態で地面の上方に配置される。ここに、給水管12の長さに余裕があれば、フレーム21からノズル11までの給水管12の距離を調節することによって、地面に対するノズル11の高さを調節することが可能である。

0029

たとえば、図4に示す構成例では、ヘッダ13とノズル11との間の給水管12の一部にループ121が形成されており、ループ121が形成されない場合よりも、地面からのノズル11の高さが大きくなっている。地面に対するノズル11の高さはループ121の直径に応じて調節され、ループ121を形成しない場合にもっとも低くなる。1本の給水管12にループ121が形成されると、1本の給水管12に重なり部分が生じる。すなわち、給水管12にループ121が形成されると、ループ121のうちヘッダ13に近い端部とノズル11に近い端部とが重なる。図4に示す構成例では、この重なり部分の位置がずれないように給水管12に固定部材122が取り付けられている。

0030

固定部材122は、たとえば、C字状の2つの保持部を一体に結合した形状に合成樹脂で形成される。2つの保持部それぞれは、給水管12が嵌まった状態において、保持部の弾性によって給水管12の外側面に密着する。ループ121の形成により生じる給水管12の重なり部分において2つの保持部それぞれに給水管12の一部が嵌まると、給水管12における重なり部分の位置が固定部材122との摩擦で固定される。この構成では、給水管12に形成されたループ121の直径が固定部材122により保たれる。

0031

固定部材122は上述した構成に限らず、給水管12の重なり部分の位置がずれないように給水管12に取付可能な部材であればよい。たとえば、金属線を用いた結束線、合成樹脂で形成された結束バンド粘着テープなどの部材も固定部材122として採用可能である。固定部材122は、給水管12の重なり部分を挟み込むように構成されたクランプであってもよい。

0032

地面に対するノズル11の高さを調節するために、上述した構成例では、ループ121を形成可能な程度に柔軟である給水管12と、ループ121の直径を保つ固定部材122とを用いている。すなわち、地面からのノズル11の高さを調節可能とする調節装置14は、給水管12と固定部材122とを備える。調節装置14は、給水管12にループ121を形成する構成のほか、給水管12を蛇行させる構成であってもよい。

0033

上述した調節装置14は一例であり、外殻20の内部でノズル11を吊り下げ、かつ地面に対するノズル11の高さが調節可能であれば、他の構成の調節装置14を採用可能である。すなわち、地面からのノズル11の高さを調節する構成は、フレーム21に取り付けたフックに給水管12の一部を引っ掛ける構成、フレーム21に対してヘッダ13を取り付ける高さを調節する構成などであってもよい。前者の構成では、調節装置14は給水管12とフックとを備え、後者の構成では、調節装置14はフレーム21にヘッダ13を取り付ける部材を備える。

0034

調節装置14は、伸縮する給水管12で実現してもよい。たとえば、調節装置14は、管壁蛇腹状である給水管12、または螺旋状に巻かれた給水管12で構成されていてもよい。この構成を採用すると、ノズル11とヘッダ13との距離が変化するように給水管12を変形させることができるから、ノズル11の地面からの高さが調節可能になる。この構成を採用する場合、給水管12の材料は、ノズル11を任意の高さに保持する程度の硬さを有している必要がある。

0035

さらに、調節装置14は、ノズル11または給水管12を吊り下げる部材と、この部材の繰り出し量を調節する構成でもよい。たとえば、調節装置14は、ノズル11または給水管12を吊り下げる紐状部材と、紐状部材の巻き取りと巻き戻しとを可能にするリールのような部材とで構成されていてもよい。調節装置14は、フレーム21に固定した上下方向のガイドと、ガイドに沿って上下にスライドするスライダとにより構成されていてもよい。この構成では、ノズル11がスライダに取り付けられる。

0036

ところで、ノズル11から吹き出したミストは落下し、ミストの一部は消滅することなく地面に到達する。複数のノズル11は互いに比較的大きく離れるように配置されている。すなわち、植物体40が栽培される地面に、ミストが到達する領域とミストが到達しない領域とが形成されるようにノズル11が配置される。

0037

実際には、図1に示すように、植物体40が栽培される地面(畝31の上面)には、ミストの密度が異なる複数の第1領域A1と複数の第2領域A2とが形成される。第1領域A1は地面に到達したミストの密度が第1の基準値以上であり、第2領域A2は地面に到達したミストの密度が第2の基準値以下である。複数のノズル11は、複数の第1領域A1のうちの隣り合う2つずつの第1領域A1の間に第2領域A2が形成されるように配置される。ここに、外殻20の内部に気流が生じていると、ミストが気流によって運ばれ、第1領域A1と第2領域A2とを確定できないから、第1領域A1および第2領域A2は、外殻20の内部における気流の速度が所定値以下である状態において定められる。

0038

上述した第1の基準値と第2の基準値とは、第2の基準値が第1の基準値よりも小さい値に定められる。たとえば、第1の基準値は50[%]、第2の基準値は20[%]などに定められる。また、第1領域A1および第2領域A2は、気流が生じていない状態を想定して定められる。すなわち、外殻20の内部における気流の速度が0[m/s]であるときを想定し、ノズル11から吹き出したミストが地面(畝31の上面)に到達する割合が求められる。ここに、ノズル11から吹き出したミストが地面(畝31の上面)に到達する割合は、ノズル11の仕様、給水管12からノズル11に供給する水の圧力、地面からノズル11までの高さ、外殻20の内部の気温および湿度、ノズル11に供給される水の温度などの要素の影響を受ける。したがって、ノズル11から吹き出したミストが地面に到達する割合は、これらの要素の影響を加味して経験的に推定される。

0039

ノズル11から吹き出したミストが地面に到達する割合はシミュレーションあるいは実測により求めてもよい。実測の場合、気流の速度は、人が気流を実質的に知覚できず、ミストが流されない程度であることが望ましい。したがって、ノズル11から吹き出したミストが地面に到達する割合を実測する際の気流の速度は、たとえば0.3[m/s]以下とし、望ましくは0.1[m/s]以下とする。なお、ノズル11から吹き出したミストの量は、ノズル11の仕様および給水管12からノズル11に供給した水の圧力により算出される。また、外殻20の内部の気温および湿度、ノズル11に供給される水の温度などによってミストが気化する速さが変化し、ノズル11から吹き出したミストが地面に到達する割合に変化が生じるが、これらの要素の影響は補正演算により修正される。なお、上述した数値(第1の基準値、第2の基準値、気流の速度)は目安を示しているだけであり、これらの数値に限定されない。また、第1の基準値以上と第2の基準値以下の関係は、所定値以上と所定値未満の関係であってもよい。たとえば、第1の領域A1は、地面に到達したミストの密度が所定値(たとえば50[%])以上であり、第2の領域A2は、地面に到達したミストの密度が所定値未満であってもよい。

0040

上述したように、複数のノズル11は間隔が比較的大きくなるように配置されており、ミストが自然落下によって地面(畝31の上面)に到達する第1領域A1の間に、ミストが地面に到達しない第2領域A2が形成される。そのため、第1領域A1に植えられた植物体40にはノズル11から吹き出したミストの多くが接触するが、第2領域A2に植えられた植物体40にはミストがほとんど接触しない。

0041

ミストの一部は植物体40に接触することなく気化するが、ミストの粒子径が比較的大きいために、比較的多くのミストが植物体40に到達し、植物体40に接触した後に気化する。そのため、第1領域A1に植えられた植物体40は比較的よく冷却される。一方、第2領域A2に植えられた植物体40にはミストがほとんど接触せず、第2領域A2に植えられた植物体40はミストの気化による冷却が期待できない。そのため、外殻20には、少なくとも第1領域A1から第2領域A2に向かう気流を外殻20の内部に作り出すように構成された気流形成装置15が配置される。

0042

気流形成装置15が作り出した気流は、第1領域A1の近傍でミストの気化により生じた冷気を第2領域A2の近傍に移動させる。これによって、第2領域A2に植物体40が植えられていれば、その植物体40の周囲温度を冷気によって下げることが可能である。すなわち、植物体40が第1領域A1と第2領域A2とのどちらに植えられても植物体40を栽培する温度を下げることが可能である。ここに、外殻20の長手方向における第1領域A1の寸法が第2領域A2の寸法よりも大きくなるようにノズル11が配置されることが望ましい。なお、実際には、気流が生じるとミストの一部が第1領域A1から第2領域A2に流される。この場合でも、植物体40は、ミストの気化と、ミストの気化により生じた冷気とのいずれかによって冷やされる。

0043

図1図2図3に示す構成例では、気流形成装置15として、外殻20の内部に外気取り入れ吸気ファン151と、外殻20の内部から外部への排気を行う排気ファン152と、外殻20の内部で気流を形成する送風ファン153とを備える。吸気ファン151は外殻20の一方の妻壁25の上部に配置されており、排気ファン152は外殻20の他方の妻壁25の上部に配置されている。すなわち、外殻20の内部における上部には、吸気ファン151と排気ファン152とにより、外殻20の長手方向の一端から他端に向かう気流が形成される。

0044

ところで、吸気ファン151と排気ファン152とは妻壁25の上部に配置されているから、外殻20の開口が閉じている状態であれば、外殻20の内部において、下部の気流は上部の気流よりも低速である。また、吸気ファン151および排気ファン152は、短手方向の中央部に配置されるから、外殻20の内部において、外殻20の短手方向の両側部の気流は中央部の気流よりも低速である。ここに、ミストの気化による冷気は外殻20の内部における下部で生じるから、気流形成装置15は、冷気を運ぶための気流を外殻20の内部における下部で作り出す必要がある。

0045

そのため、図2図3に示すように、外殻20の内部には複数(ここでは3台)の送風ファン153が配置される。複数の送風ファン153は、外殻20の長手方向において吸気ファン151が配置されている一端側に配置され、外殻20の短手方向に沿ってほぼ等間隔に並べられている。複数の送風ファン153は、外殻20の内部に形成されている畝31に沿うように気流を作り出す。個々の送風ファン153は、外殻20の上部から吊り下げられるか、地面に置かれる。

0046

送風ファン153が外殻20の上部から吊り下げられる場合、送風ファン153は外殻20に対して、複数のチェーンまたは複数のパイプを介して取り付けられる。この構成であれば、チェーンの長さを調節するか、送風ファン153をパイプに結合する位置を調節することにより、外殻20における送風ファン153の配置が調節される。すなわち、送風ファン153の配置が調節されることにより、吸気ファン151と排気ファン152と送風ファン153とにより形成される気流の速度分布が変更される。

0047

図5には、一例として、外殻20に固定した2本のパイプ161の間に送風ファン153を配置し、送風ファン153に取り付けたグリップ162を介して送風ファン153をパイプ161に結合する構成を示している。パイプ161に対してグリップ162を結合する位置は調節可能である。たとえば、グリップ162に設けられたボルトを緩めるとグリップ162をパイプ161に対してスライド可能になり、ボルトを締めるとグリップ162がパイプ161に対して固定される構成が採用される。このようにパイプ161とグリップ162とは、送風ファン153の地面からの高さを調節する変更装置16を構成する。

0048

畝31に植えられた植物体40に対して送風ファン153が作り出す気流は、植物体40の成長を損なわない程度に、速度の範囲が、たとえば0.3[m/s]以上かつ2.0[m/s]以下に設定されている。したがって、ミストの粒子径が上述した範囲のように比較的大きい場合、送風ファン153が作り出す気流がミストに及ぼす影響は限定的である。

0049

送風ファン153が地面に置かれる場合、送風ファン153には脚が付設される。脚は地面に自立し、送風ファン153を支える。また、送風ファン153は、上下の角度が調節できるように脚に支持される。たとえば、脚が軸受を備え、軸受に支持される軸を送風ファン153が備えていれば、送風ファン153は軸の周りで上下に角度を調節することができる。送風ファン153が脚に対して上下の角度を調節すれば、送風ファン153が作り出す気流の向きを変化させ、気流形成装置15が外殻20の内部に作り出す気流の速度分布の調節が可能になる。

0050

送風ファン153を外殻に取り付けるためのチェーンまたはパイプ、送風ファン153を脚で支持するための軸および軸受は、いずれも気流形成装置15が外殻20の内部に作り出す気流の速度分布の変更に寄与する。すなわち、これらの部材は、気流の速度分布を変更する変更装置16として機能する。気流形成装置15は、ミストの気化で生じた冷気が第1領域A1から第2領域A2に移動し、かつ第2領域A2に植えられた植物体40の温度が冷気で下がる程度の速度の気流を作り出すように構成される。

0051

ところで、外殻20の内部でミストを発生させると、植物体40の表面が濡れ、外殻20の内部における湿度が上昇することにより、植物体40の蒸散作用が抑制される可能性がある。植物体40に接触するミストの量が過剰である場合、あるいは植物体40を栽培する環境の湿度が過剰である場合には、植物体40に病害が生じやすくなる。そのため、ミストにより植物体40の温度あるいは植物体40の周囲温度が下がった後は、植物体40の表面に付着したミストが迅速に気化し、適量を超える空気中の水分は外殻20の内部から迅速に排出されることが望ましい。

0052

気流形成装置15は、植物体40の周囲に気流を形成するから、植物体40に付着したミストの気化を促進する効果が期待できる。また、ミストの気化により生じた水蒸気は、周囲の空気よりも密度が小さく上昇するから、ミストの気化により周囲から奪った熱を外殻20の上部に運ぶ熱媒として機能する。そして、気流形成装置15は、外殻20の上部に吸気ファン151および排気ファン152を備えるから、外殻20の上部に運ばれた水蒸気は、吸気ファン151と排気ファン152とが作り出す気流によって外殻20の外部に迅速に排出される。

0053

すなわち、ミストの気化で生じた水蒸気が外殻20における下部の熱を上部に運び、外殻20の上部に運ばれた水蒸気が吸気ファン151と排気ファン152とにより外殻20の外部に排出されることにより、外殻20から外部に熱が排出される。その結果、外殻20の下部の熱が外殻20の外部に排出されることになる。また、ミストの気化により生じた水蒸気が外殻20の外部に排出されるから、ミストを発生させているにもかかわらず、外殻20の内部の湿度の上昇が抑制される。

0054

上述したように、調節装置14は地面に対するノズル11の高さを調節し、変更装置16は送風ファン153により作り出される気流の速度分布を調節する。この構成例で想定しているトマト、キュウリ、ナスなどの果菜類は、一般的には栽培の過程において背丈が大きくなる。一方、ミストの粒子径は、上述したように、最頻値が10[μm]以上かつ100[μm]以下である。粒子径の下限値は、ノズル11から噴出したミストが植物体40に到達するまでに消滅しない程度に設定されている。一方、粒子径の上限値は、果菜類が過剰に濡れることによる生理障害の可能性を低減するように設定されている。ここでの生理障害は、果実裂皮、へたのコルク化などを意味する。

0055

ところで、ミストは、ノズル11から吹き出した後、植物体40に到達する過程で一部が蒸発するから、植物体40に接触するミストの量は、ノズル11と植物体40との距離に依存する。また、ノズル11から吹き出したミストが植物体40に到達する割合は、外殻20の内部の気温、輻射熱、気流の速度などでも変化する。さらに、植物体40に接触させるミストの量は、植物体40のサイズに応じて調節する必要がある。

0056

したがって、図6Aのように、背丈の小さい植物体40に対しては、地面からノズル11までの距離を小さくし、図6Bのように、背丈の大きい植物体40に対しては、地面からノズル11までの距離を大きくすることが望ましい。すなわち、植物体40の背丈によらず、ノズル11と植物体40の上端との距離が大幅に変化しないように、植物体40の背丈に合わせて地面からのノズル11の高さが調節されることが望ましい。たとえば、背丈の小さい植物体40に対してノズル11の地面からの距離を小さくすると、ノズル11の地面からの距離が大きい場合に比べると、空中でのミストの蒸発量が低減され、少量のミストで植物体40を冷却することが可能になる。

0057

上述した動作は、外殻20の窓あるいは出入口のような開口が閉じている状態で説明しているが、ノズル11からミストを吹き出す季節は、主として夏季であり、夏季には外殻20に外気を取り入れるために、開口を開放していることが多い。開口が開いている状態では、気流形成装置15が形成する気流とは別に、外殻20に吹き込む風によって外殻20の内部に気流が発生する。すなわち、開口が開いている状態では、外殻20に吹き込む風の影響で外殻20の内部の気流は変化する。このように外殻20に吹き込む風の影響で外殻20の内部の気流が変化すると、ノズル11から吹き出したミストが想定外の場所に飛散する可能性がある。とくに、背丈の大きい植物体40を想定してノズル11の高さが固定的に設定されていると、背丈の小さい植物体40に対しては、ミストが植物体40に達するまでにミストが気流に流されて、狙い通りの場所にミストが落下しない可能性がある。

0058

これに対し、上述した構成例では、ノズル11の地面からの高さを調節する調節装置14(図4参照)が設けられているから、植物体40の背丈が小さければ、ノズル11を植物体40に近づけることによって、ミストへの風の影響を抑制することができる。つまり、植物体40の背丈が小さい場合でも、植物体40の背丈が大きい場合と同様に、ミストを狙い通りの場所に落下させることが可能である。その結果、植物体40の背丈によらず、植物体40を狙い通りにミストで冷やすことが可能になる。さらに、背丈の小さい植物体40に対してノズル11を低い位置に調節することにより、ミストが不必要な場所に飛散する可能性が低減されるから、作業者がミストで濡れる可能性も低減される。

0059

なお、上述した構成例の農業用ハウス30は、ノズル11の地面からの高さを調節するための調節装置14を備えているが、調節装置14は必須ではなく省略することが可能である。すなわち、植物体40の背丈にかかわりなくノズル11の地面からの高さを一定に設定することも可能である。

0060

ところで、植物体40の背丈が小さければ植物体40に接触したミストは地面に比較的近い場所で気化し、植物体40の背丈が大きければ植物体40に接触したミストは地面から比較的遠い場所で気化する。したがって、背丈の小さい植物体40に対しては、気流形成装置15の作り出す気流が地面に近い部位で適正な速度となるように、送風ファン153が作り出す気流の速度分布が調節される。一方、背丈の高い植物体40に対しては、気流形成装置15の作り出す気流が地面から離れた部位で適正な速度となるように、送風ファン153が作り出す気流の速度分布が調節される。言い換えると、植物体40の背丈が大きいほど、送風ファン153が上方に位置するように変更装置16が調節される。

0061

上述した送風ファン153は作り出す気流の向きが地面に沿う方向である構成を想定している。外殻20の長手方向における寸法は数十[m]程度であるから、気流の向きを地面に対して傾けると、外殻20の長手方向に並ぶ植物体40に対する気流の影響がばらつく可能性がある。したがって、送風ファン153は、地面に沿った気流を形成するように配置され、変更装置16は、送風ファン153の地面からの高さを、植物体40の背丈に応じた高さになるように調節する構成であることが望ましい。

0062

一方、送風ファン153は、作り出す気流の向きが上下に変更できるように構成されている場合がある。たとえば、地面に設置される送風ファン153であれば、気流の向きを上下に調節できる構成が知られている。この構成の送風ファン153では、気流の向きを固定すると、気流がすべての植物体40には行き渡らない可能性がある。そのため、この種の送風ファン153を用いる場合には、送風ファン153の向きを時間経過に伴って変化させる構成(つまり、自動的に首振りを行う構成)を採用することが望ましい。

0063

ところで、上述した構成例では、畝31の上面が、ノズル11が吹き出したミストの到達する第1領域A1と、ノズル11が吹き出したミストの到達しない第2領域A2とに区分されている。すなわち、畝31の第1領域A1と第2領域A2との両方に植物体40が植えられている場合に、複数の植物体40のうちの一部の植物体40にだけミストが接触し、複数の植物体40のうちの残りの植物体40にミストは接触しない。そのため、一部の植物体40に接触したミストが気化することで生じた冷気を、気流形成装置15が作り出した気流で移動させることにより、残りの植物体40の周囲温度を引き下げている。

0064

上述した構成に対して、粒子径が上述した範囲よりも小さいミストを用い、ノズル11が吹き出したミストを植物体40に到達させることなく気化させる構成が知られている。しかしながら、この構成は、植物体40の周囲以外の空気を冷却しているから、植物体40にミストを接触させる構成と同程度に植物体40を冷却するには、より多くのミストを必要とする。しかも、より微細なミストを発生させるために高価なノズル11が必要である。すなわち、粒子径がより小さいミストを用いる場合、粒子径が上述した範囲のミストを用いる場合と比べると、設備費用および運用費用がともに増加する可能性がある。

0065

また、畝31に植えられた複数の植物体40の一部にのみミストを接触させるようにノズル11が配置された構成では、畝31に植えられた複数の植物体40のすべてにミストを接触させる場合よりもノズル11の個数が低減される。その結果、複数の植物体40のすべてにミストを接触させる構成と比べると、ミストが到達する第1領域A1とミストが到達しない第2領域A2とを形成する構成は、ノズル11に要する費用が低減され、設備費用の抑制が可能になる。

0066

ところで、ミストを発生させるタイミングは、図7に示すように、制御装置50が指示する。ミストを吹き出すノズル11に水を供給するヘッダ13には、ポンプ17が接続されており、ポンプ17で加圧された水がノズル11に供給される。したがって、制御装置50がポンプ17の動作を指示することによって、ミストが発生するタイミングと、ミストの単位時間当たりの発生量とが定まる。

0067

制御装置50は、ミストの制御だけではなく気流の制御も行うように構成されていてもよい。通常、気流形成装置15は継続的に運転され、吸気ファン151と排気ファン152は外殻20の換気に寄与しており、送風ファン153は外殻20の内部での空気の攪拌に寄与している。ただし、気流形成装置15は、空気の攪拌だけではなく、ミストの気化により生じた冷気を移動させる機能も有しているから、制御装置50は、図7破線で示すように、ミストの制御に連動させて気流形成装置15の動作を制御するように構成されていてもよい。たとえば、制御装置50は、ノズル11からミストを吹き出している期間に、送風ファン153が作り出す気流が冷気を送るための適正な速度になるように送風ファン153の動作を制御してもよい。

0068

制御装置50は、畝31に植えられる植物体40の近傍に配置された温度センサ51が計測した温度の情報と、植物体40の近傍に配置された湿度センサ52が計測した湿度の情報とを取得する。外殻20の内部には、図7に破線で示すように、外殻20に入射する太陽光の強度を監視する日射センサ53が配置されていてもよい。日射センサ53は必須ではないが、日射センサ53を備える場合、日射センサ53が計測した日射強度の情報も制御装置50が取得する。

0069

温度センサ51は、植物体40の近傍の気温を計測し、湿度センサ52は相対湿度を計測する。また、日射センサ53は、外殻20に入射する輻射エネルギーの強度を計測する。外殻20が日射を制限するカーテンを備えている場合、日射センサ53は、カーテンの開閉に関係なく日射強度を計測できるように、外殻20を構成する被覆体22とカーテンとの間の空間に配置される。

0070

制御装置50は、プログラムに従って動作するプロセッサを備えたコンピュータで構成される。制御装置50は、自動モードと手動モードとを選択可能であり、自動モードと手動モードとのいずれであっても、タイマに定められたスケジュールに従ってポンプ17が運転可能である期間を制限している。タイマは、1日のスケジュールが設定される24時間タイマのほか、年間のスケジュールが設定される年間タイマであってもよい。なお、制御装置50はプロセッサを備えたコンピュータであるから、制御装置50のハードウェア資源に余裕がある場合には、タイマを別に設けずに、制御装置50がタイマの機能を兼ねるように構成されていてもよい。

0071

タイマには、1日のうちでノズル11からミストを吹き出してもよい時間帯がスケジュールとして設定される。この時間帯は、開始時刻終了時刻とを対にして表されている。以下では、この時間帯を「許可時間帯」という。許可時間帯は、外殻20が設置される地域、植物体40を栽培する季節、植物体40の種類などに応じたデフォルト値が定められていることが望ましい。デフォルト値が定められていれば、ユーザは、農業用ハウス30の導入後、ただちに使用することが可能である。また、許可時間帯はユーザによる調節が可能であることが望ましい。ユーザによる許可時間帯の調節が可能であれば、ユーザがデフォルト値として設定された許可時間帯に満足できない場合、スケジュールを変更することができる。

0072

制御装置50は、自動モードでは、温度センサ51が計測した温度の情報および湿度センサ52が計測した湿度の情報を用いて、ポンプ17の動作を定め、ポンプ17に指示を与える。制御装置50は、ポンプ17の動作を定めるために、温度および湿度の情報に加えて、日射センサ53が計測した日射強度を用いてもよい。

0073

ところで、制御装置50は、温度センサ51から温度の情報を取得し、湿度センサ52から湿度の情報を取得するインターフェイス部501を備える。また、日射センサ53が外殻20に配置される場合、インターフェイス部501は日射センサ53から日射強度の情報を取得する。インターフェイス部501が取得した情報は処理部502が受け取る。処理部502は、インターフェイス部501が取得した情報に基づく指示を作成し、ドライブ回路503を通してポンプ17に指示を与える。ドライブ回路503は、処理部502の出力をポンプ17の運転に必要な電力引き上げるための回路である。

0074

図7に示す制御装置50は、ポンプ17の運転と停止とだけを制御する構成である。すなわち、ポンプ17への指示を与える処理部502は、温度および湿度が目標範囲であればポンプ17の停止を指示し、温度と湿度との一方が目標範囲ではない場合にポンプ17の運転を指示する。日射センサ53が外殻20に配置される場合、処理部502は、日射センサ53が監視した日射強度も目標範囲と比較する。

0075

いま、温度センサ51と湿度センサ52とに加えて日射センサ53も設けられている場合を想定する。温度と湿度と日射強度とのそれぞれに対する目標範囲は、目標設定部504に定められている。目標設定部504に定められる目標範囲は、植物体40の種類、植物体40の成長度合、季節、地域などに応じてユーザが定める。目標設定部504は、植物体40の種類、植物体40の成長度合、季節、地域などの情報をユーザから受け取ることにより、目標範囲が自動的に設定される構成であることが望ましい。温度の目標範囲は上限値が設定され、湿度の目標範囲も上限値が設定される。また、日射強度の目標範囲は下限値が設定される。通常、植物体40への日射の影響は、減光用のカーテンにより調節されるが、ここに説明している構成例ではカーテンを省略している。すなわち、日射は、外殻20の内部温度を上昇させるエネルギー源として扱われる。

0076

処理部502は、温度センサ51が計測した温度が目標範囲の上限値を超え、かつ湿度センサ52が計測した湿度が目標範囲の上限値未満であり、かつ日射センサ53が計測した日射強度が目標範囲の下限値を超えている場合に、ポンプ17に運転を指示する。つまり、植物体40を栽培する環境の熱エネルギーが大きく、植物体40を栽培する環境の湿度が高すぎない場合にポンプ17に運転が指示され、ノズル11からミストが発生する。なお、処理部502がポンプ17に運転を指示するのは、タイマに設定されている許可時間帯においてのみであり、許可時間帯でなければポンプ17の運転は行われない。通常、許可時間帯は夏季の日中の時間帯に定められる。

0077

ポンプ17の運転が指示されると、制御装置50は、ポンプ17の運転と停止とのタイミングを制御することにより、単位時間当たりの水の供給量を調節する。単位時間当たりの水の供給量は、ポンプ17の回転数を変化させることにより調節可能であるが、ここでは、ミストの吹き出しを断続的に繰り返すことにより調節している。すなわち、ノズル11からミストを吹き出させる吹出期間と、ノズル11からミストを吹き出させない休止期間とが繰り返され、吹出期間と休止期間との長さが調節されることによって、単位時間当たりの水の供給量が調節される。吹出期間は、ポンプ17が起動した後に、すべてのノズル11からミストが安定して吹き出すまでの時間よりも長く、かつ植物体40に付着したミストが集まって落下することがない程度の時間が望ましく、たとえば数秒以上かつ数十秒以下の程度に定められる。

0078

吹出期間と休止期間との少なくとも一方が調節可能であることにより、植物体40に付着する水分の量と、植物体40から蒸発する水分の量との適正化が可能である。つまり、1回の吹出期間を短縮すれば植物体40に付着する水分量が低減され、1回の休止期間を延長すれば植物体40に付着した水分の残留が抑制される。言い換えると、吹出期間と休止期間とが繰り返される場合と、動作期間において連続的にミストが吹き出される場合とを比較すると、単位時間当たりの水の供給量が等しいときには、前者のほうが植物体40に水分が付着している時間を短縮できる。

0079

また、前者の動作では、植物体40に付着した水分が水滴となって地面に落ちることがないように吹出期間を定めることにより、ノズル11から吹き出した水のうち植物体40で気化する水分の割合が後者より多くなる。すなわち、ノズル11から吹き出したミストのうち植物体40の冷却に貢献する割合が高まる可能性がある。言い換えると、前者のほうが後者よりも少ない水量で、植物体40の冷却が可能になる。

0080

目標設定部504は、ユーザが設定した目標範囲に応じて吹出期間と休止期間とを自動的に定める。たとえば、目標設定部504は、吹出期間を、植物体40の種類、植物体40の成長度合、季節、地域などに応じた一定値に定め、休止期間を、温度センサ51が計測した温度と湿度センサ52が計測した湿度とに基づいて調節することが望ましい。単位時間当たりのミストの供給量を調節するために、吹出期間は一定値に定め、休止期間だけを変化させることが望ましい。すなわち、吹出期間が一定値であれば植物体40に付着するミストの量をほぼ一定範囲に保つことが可能であり、休止期間が可変であれば植物体40に付着したミストを十分に気化させることが可能である。

0081

制御装置50の動作を図8にまとめて示す。制御装置50の処理部502は、タイマに設定された許可時間帯と判定すると(S1:Yes)、自動モードが選択されているか手動モードが選択されているかを判定する(S2)。ステップS2において自動モードが選択されていると(S2:自動)、処理部502は、温度センサ51と湿度センサ52と日射センサ53とからインターフェイス部501を通して取得した情報を目標範囲と比較する(S3)。

0082

処理部502は、温度が目標範囲の上限値以下であるか、または湿度が目標範囲の上限値以上であるか、または日射強度が目標範囲の下限値以下であるとき(S3:No)、ポンプ17が運転期間であれば(S4:Yes)、ポンプ17に停止の指示を与え(S5)、その後、ステップS1の処理に戻る。また、処理部502は、ステップS4においてポンプ17が停止期間であれば(S4:No)、ポンプ17に指示を与えることなくステップS1の処理に戻る。

0083

一方、処理部502は、温度が目標範囲の上限値を超え、かつ湿度が目標範囲の上限値に達しておらず、かつ日射強度が目標範囲の下限値を超えているとき(S3:Yes)、ポンプ17が停止期間であれば(S6:Yes)、ポンプ17に運転の指示を与え(S7)、その後、ステップS1の処理に戻る。また、処理部502は、ステップS6においてポンプ17が運転期間であれば(S6:No)、ポンプ17に指示を与えることなくステップS1の処理に戻る。

0084

ステップS2で手動モードが選択されている場合(S2:手動)、ユーザがポンプ17の運転と停止とを指示する(S8)。また、ステップS1において許可時間帯でないと判断されると(S1:No)、ポンプ17は停止が指示される(S9)。

0085

ここに、ポンプ17の運転期間は、上述した吹出期間と休止期間とが繰り返される期間であって、ポンプ17が停止していたとしても休止期間であれば運転期間である。また、ポンプ17の停止期間は、吹出期間と休止期間とのいずれでもない期間である。図9に、許可時間帯TZ1、運転期間ST1および停止期間ST2、吹出期間T1および休止期間T2の関係を示す。すなわち、1日のうちミストを吹き出すことができる許可時間帯TZ1は、インターフェイス部501が取得した情報に基づいて、ポンプ17の運転が可能な運転期間ST1とポンプ17を停止させた状態に保つ停止期間ST2とに分けられる。さらに、運転期間ST1は、ミストの供給量に応じて、吹出期間T1と休止期間T2とに分けられる。図9から明らかなように、運転期間ST1は、吹出期間T1および休止期間T2よりも長い期間であって、数分以上かつ数十分以下の程度に定められる。また、インターフェイス部501が情報を取得する時間間隔は、たとえば1秒以上かつ5分以下などの範囲で定められる。

0086

ところで、外殻20の長手方向に配置された複数のノズル11には、外殻20の長手方向に沿ったヘッダ13を通して水が供給され、ヘッダ13には長手方向の一端に加圧された水が導入される。すなわち、複数のノズル11は、それぞれの位置によってポンプ17からの給水経路の距離が異なっている。そのため、ポンプ17からノズル11までの距離に応じて、ポンプ17の起動時点からミストが発生するまでの時間に差が生じ、ポンプ17の停止時点からミストが停止するまでの時間に差が生じる。このことから、外殻20の長手方向の一端側の植物体40と他端側の植物体40とでは、ミストの接触量差異が生じる可能性がある。

0087

そこで、複数のノズル11それぞれが吹き出すミスト量のばらつきを抑制するために、ポンプ17とヘッダ13との間の給水経路に、圧力タンクバルブとを設ける構成を採用してもよい。すなわち、ポンプ17で加圧した水を圧力タンクに蓄え、ミストを発生させる際にバルブを開き、ミストを停止させる際にバルブを閉じる構成を採用してもよい。この構成は、ポンプ17のみを設ける構成に比べると設備費用が増大するが、単位期間当たりのポンプ17の運転と停止との繰り返し回数が低減されるから、ポンプ17の修理あるいは交換頻度が低減される可能性がある。

0088

(実施形態2)
実施形態1において、制御装置50は、ミストを吹き出させる吹出期間T1を一定値に定め、ミストを吹き出させない休止期間T2を、温度センサ51が計測した温度と湿度センサ52が計測した湿度とに基づいて調節している。また、日射センサ53を備える場合を想定しており、制御装置50は、日射強度も加味して休止期間T2を調節している。すなわち、制御装置50は、植物体40に付着したミストが気化する速度を、温度、湿度、日射強度から推定し、ミストが気化する速度に応じてミストの供給量を調節していると言える。

0089

以下では、図10に示すように、第1領域A1の少なくとも一部を視野に含む撮影装置54を備えた農業用ハウス30Aを説明する。本実施形態の農業用ハウス30Aのうち実施形態1の農業用ハウス30と同様の構成は、同符号を付して説明を省略する。

0090

本実施形態の農業用ハウス30Aでは、図11のように、制御装置50は、撮影装置54が撮影した植物体40の画像に基づいて植物体40の濡れ状態評価値を求め、濡れ状態の評価値に基づいて植物体40を栽培する環境の調節を行うように構成されている。以下では、濡れ状態の評価値を「水分値」と呼ぶ。水分値は、単独で用いられるのではなく、少なくとも、温度センサ51が計測した温度および湿度センサ52が計測した湿度と組み合わせて用いられる。さらに、水分値は、日射センサ53が計測した日射強度とも組み合わせることが望ましい。

0091

撮影装置54と制御装置50とは、有線通信路無線通信路とのいずれかを通じて情報を伝送する。撮影装置54には電力の供給が必要であり、電力の供給には通常はケーブルを用いるから、撮影装置54への電力の供給を行うケーブルと併せて有線通信路となる伝送線が敷設される。ただし、撮影装置54と制御装置50との間の情報の伝送を無線通信路を通して行う場合には、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)のような無線通信規格無線局を構成するか、特定小電力無線局を構成すればよい。

0092

制御装置50は、植物体40を栽培する環境を調節するために、散水装置、カーテン、ミストを発生させる設備、気流を作り出す設備などから選択される設備を制御する。以下では、ミストによる植物体40の濡れ状態に着目し、撮影装置54が撮影した植物体40の画像に基づいて、制御装置50が植物体40の水分値を求め、水分値に応じてポンプ17の運転と停止とを制御する場合について説明する。

0093

植物体40の濡れ状態に着目しているのは、植物体40が過剰に濡れていると、植物体40に障害が発生する可能性が高くなるからである。すなわち、植物体40が過剰に濡れていると、糸状菌などによる病害の罹患率が高くなり、また果実に裂果あるいはコルク化などの生理障害が発生しやすくなり、あるいは植物体40に汚れが付着しやすくなる。ここに、制御装置50は、植物体40の濡れ状態に応じて、ポンプ17を制御するだけではなく、他の設備も制御することが望ましい。

0094

撮影装置54は、カメラ照明装置とを備える。また、撮影装置54は、外殻20の内部で使用するために、防塵および防滴の仕様で構成されている。カメラは、撮像素子素子駆動および信号処理のための回路、レンズなどを備える。照明装置は、光源点灯装置とを備え、カメラの視野内の対象物に光を照射する。

0095

カメラの撮像素子は、CCDイメージセンサ(CCD:Charge Coupled Device)、CMOSイメージセンサ(CMOS:Complementary Metal Oxide Semiconductor)などから選択される。信号処理のための回路は、撮像素子の出力をデジタル信号に変換する回路を想定しており、デジタル信号は濃淡画像の情報を持つ。カメラが撮影した画像から植物体40の水分値を求めるために、カメラの視野は植物体40を含むように定められる。

0096

照明装置の光源は、LED(Light Emitting Diode)、レーザダイオードキセノンランプなどから選択される。これらの光源は、短時間の発光を行うように制御可能であり、かつ発光期間に比較的大きい光束を放射することが可能である。点灯装置は、数百分の1秒より大きく1秒より小さい程度の発光時間で短時間だけ光源を発光させるように構成されている。すなわち、照明装置は、エレクトロニックフラッシュであって、比較的強い光を短時間だけ放射する。ここに、照明装置の発光期間を短くしているのは、植物体40に光を長時間照射すると、植物体40の成長に影響する可能性があるからである。

0097

ところで、ミストによる植物体40への水分の付着量は、植物体40のうちノズル11に近い部位が遠い部位よりも多くなると考えられる。すなわち、ノズル11から吹き出したミストは拡散し、ノズル11から遠ざかるほどミストの密度が低下する。また、ノズル11から遠ざかるほどノズル11との間の障害物(たとえば、葉など)が増えるから、ノズル11から遠ざかるほど植物体40へのミストの付着量が減少する。

0098

したがって、植物体40の水分値を求めるための画像は、植物体40のうちノズル11に近い部位の画像であることが望ましい。ノズル11から吹き出したミストは、植物体40のシュートにおける様々な部位に付着する。シュートは、植物体40において地上に表出している部分であり、と葉とを主な要素とする。すなわち、ミストは植物体40の茎と葉とに付着し、植物体40に花があれば花にもミストが付着し、植物体40に果実があれば果実にもミストが付着する。

0099

植物体40のうち地面に対する傾斜の大きい部位に付着したミストは、付着しているミストの密度が高まると凝集し水滴となって落下する。一方、植物体40のうち地面に対する傾斜の小さい部位に付着したミストは、付着した場所に留まりやすい。したがって、植物体40のうちミストによる濡れ状態を評価する部位は、ノズル11に近い部位であり、かつ地面に対する傾斜の小さい部位であることが望ましい。それゆえ、撮影装置54は、植物体40の上部において地面に対する傾斜が小さい葉(たとえば、傾斜角度が15度以下)を撮影することが望ましい。

0100

また、ノズル11は、通常、植物体40の背丈よりも高い位置に配置され、ノズル11から吹き出したミストは、植物体40に対して上方から落下する。したがって、植物体40の葉に付着したミストを撮影するために、撮影装置54は、植物体40の葉を上方から下向きに撮影するように配置されることが望ましい。ところで、植物体40は、成長に伴って変形し、撮影装置54が定位置に固定されていると、カメラの視野においてミストが付着する部位が移動する。上述のように、撮影装置54が植物体40の上方から下向きに植物体40を撮影するように配置されていれば、植物体40が成長しても、カメラの視野に含まれる植物体40の部位が大きく移動することがない。したがって、比較的長い期間にわたって撮影装置54の位置調節を行わずに、植物体40の撮影を行うことが可能である。

0101

図10に示す農業用ハウス30Aでは、撮影装置54はノズル11に結合されている。ノズル11に撮影装置54が結合されることにより、撮影装置54がノズル11に対する定位置に固定される。言い換えると、植物体40に付着するミストがミストの発生側の定点から撮影される。そのため、植物体40に付着したミストを撮影する際の撮影条件の変動が抑制される。また、ノズル11の高さを調節することにより撮影装置54の高さが調節されるから、撮影装置54の高さを調節するための構成が不要である。

0102

ところで、植物体40の表面には微細な凹凸があるため、植物体40の表面は拡散反射性である。したがって、ミストが植物体40に付着していなければ、照明装置の発光期間においてカメラに入射する反射光拡散反射光であり、カメラに入射する反射光の強度は比較的小さい。また、トマトのような果実は表面に光沢があるから、カメラの視野内にトマトのような果実が存在していれば、カメラに正反射光が入射する可能性があるが、カメラの視野において果実からの正反射光の影響は限られているから、果実からの反射光は無視できる。

0103

一方、植物体40の表面にミストが付着した状態では、照明装置から植物体40に光を照射すると、ミストからの正反射光がカメラに入射する。すなわち、植物体40に付着した水粒子それぞれから正反射光がカメラに入射するから、カメラに入射する正反射光の強度は、植物体40に付着したミストの量を反映する。通常、植物体40に付着しているミストの量が多くなるに従ってカメラに入射する正反射光の強度が大きくなる。すなわち、植物体40に付着するミストの量が増加するに従って、カメラに入射する光の強度が大きくなる。

0104

したがって、カメラで撮影される植物体40の画像においてミストによる濡れ状態を監視する範囲を定め、定めた範囲における光の強度を計測すれば、植物体40の濡れ状態を評価することが可能である。すなわち、制御装置50は、照明装置から植物体40に光を照射している期間においてカメラに入射する反射光の強度を求め、反射光の強度に対応する水分値を求める。反射光の強度に対応する水分値は、あらかじめデータテーブルとして対応付けられる。植物体40の水分値は、たとえば整数値で表される。

0105

具体的には、照明装置の点灯時にカメラで撮影される植物体40の特定部位からカメラに入射した光の強度を求め、カメラが撮影した画像の画素ごとに、入射した光の強度が所定の基準値を超えるか否かを評価する。拡散反射光の強度と正反射光の強度とには大幅に差異があるから、カメラが撮影した画像の画素の濃淡値に対して適宜に基準値を定めることにより、拡散反射光に対応する画素と正反射光に対応する画素とが分離される。すなわち、カメラは濃淡画像を出力し、制御装置50は濃淡値が基準値を超えている画素を正反射光が入射した画素とみなす。ここに、画素の濃淡値は、入射した光の強度に対して単調に増加するように対応付けられている。すなわち、カメラに入射した光の強度が小さいと小さい濃淡値が対応付けられ、カメラに入射した光の強度が大きいと大きい濃淡値が対応付けられる。

0106

正反射光が入射する画素の位置は時間経過に伴って変動する可能性があるが、照明装置の点灯期間が上述のように短時間であるから、照明装置の点灯期間において濃淡値が基準値を超えた画素の総数は、植物体40に付着したミストの量に対応するとみなしてよい。すなわち、制御装置50は、撮影装置54が撮影した画像において、濃淡値が基準値を超える画素の個数を植物体40の水分値に用いる。

0107

ただし、照明装置の点灯期間が長くなるほど、ミストの1個の粒子に対応する画素数のばらつきが大きくなると考えられるから、カメラの感度の範囲内において照明装置の点灯期間は短いほうが望ましい。また、カメラの1フレームの時間と照明装置の点灯期間とを対応付けることが望ましい。たとえば、1秒間に60フレームの出力が可能なカメラが撮影装置54に用いられている場合、照明装置の点灯期間は60分の1秒程度に設定されていることが望ましい。

0108

制御装置50は、図12のように、水分値が所定の閾値より小さいときに(S3A:Yes)、ポンプ17の運転を許可する。すなわち、水分値が閾値より小さければ、制御装置50は、植物体40に適量のミストを発生させても過剰に濡れることがないとみなし、ポンプ17の運転を許可する。要するに、制御装置50は、水分値を用いることにより、植物体40があまり濡れていない状態とみなせる場合に、ミストの発生を許可する。ここで、制御装置50は、温度センサ51の計測した温度が目標範囲の上限値を超え、かつ湿度センサ52の計測した湿度が目標範囲の上限値未満であるという条件と、水分値が閾値より小さいという条件とが成立すると(S3B:Yes)、ポンプ17に運転を指示する。2つの条件に対する成否の判定は、どちらを先に行ってもよい。すなわち、ステップ3Aとステップ3Bとは入れ替え可能である。制御装置50の他の動作は、図8に示した動作と同様である。

0109

上述したように、植物体40は、成長に伴って背丈、葉の大きさ、葉の位置および向きなどを変化させる。したがって、撮影装置54が植物体40の特定の葉を撮影していても、植物体40の成長に伴って、撮影装置54から葉までの距離が変化し、画像内での葉の位置、葉の向きなどに変化が生じる。植物体40に変化が生じると、植物体40の実際の濡れ状態が同様であるにもかかわらず、カメラの視野内で正反射光に対応する画素の個数に大きな変動が生じる可能性がある。すなわち、同様の濡れ状態に対して制御装置50での判定結果にばらつきが生じる可能性がある。

0110

そこで、図13のように、実際の植物体40ではなく植物体40を模擬する模擬部材41を用いることが望ましい。すなわち、模擬部材41の濡れ状態から植物体40の濡れ状態を評価することが望ましい。模擬部材41は、撮影装置54に対する向きが変化しないように、撮影装置54と機械的に結合される。撮影装置54と模擬部材41とは取付部材42を介して連結される。取付部材42は、撮影装置54が結合されたノズル11あるいは撮影装置54に固定され、模擬部材41を保持する。取付部材42は、図13では金属線を想定しているが、金属板加工品合成樹脂成形品などであってもよい。

0111

模擬部材41は、撮影装置54の視野内で撮影装置54から数十[cm]程度の距離に配置される。農業用ハウス30Aで栽培される植物体40の種類は、トマト、キュウリ、ナスのような果菜類、ホウレンソウ、レタス、キャベツ、シュンギクのような葉菜類、バラユリキクのような花卉類などが想定される。そのため、模擬部材41は、これらの植物体40の葉を模擬するように、サイズおよび材料が選択される。

0112

模擬部材41の形状についてはとくに制限はなく、多角形状、円形状、楕円形状などから選択される。また、模擬部材41の形状は、植物体40の葉の形状に似た形状であってもよい。模擬部材41は、他のどのような形状でもよいが、カメラに用いる撮像素子の縦横比に対して極端細長い形状は避けることが望ましい。模擬部材41のサイズについては、たとえば、模擬部材41が長方形状である場合、長辺と短辺との寸法は、ともに1[cm]より大きく30[cm]より小さい程度が望ましい。模擬部材41が他の形状であっても、模擬部材41のサイズは長方形状の模擬部材41に準じる。

0113

模擬部材41の表面は、水分の蒸発の速度および水滴の接触角が、模擬しようとする植物体40の葉と同程度であることが望ましい。また、模擬部材41の表面は、水滴が溜まるような窪みが存在しない程度の平滑性を有し、模擬部材41は、自重あるいは水滴の付着による変形が生じない程度の剛性を有していることが望ましい。

0114

上述のような条件を満たすために、模擬部材41の材料は、合成樹脂、セラミックス、金属、木質材、織布、不織布、紙などから選択される。模擬部材41が、合成樹脂のフィルム、織布、不織布、紙などである場合、剛性を持たせるための骨と組み合わせることが望ましい。模擬部材41が、木質材、織布、不織布、紙などである場合、水分が浸潤しないように、表面の加工あるいは処理を行うか、体積当たり表面積を大きくすることが望ましい。

0115

表面の加工を行う方法には、模擬部材41の表面に多数の微小な凹凸を形成する方法などがあり、表面の処理を行う方法には、模擬部材41の表面に水分の浸透を抑制する物質を塗布する方法などがある。また、模擬部材41の体積当たりの表面積を大きくする方法には、模擬部材41の厚み寸法を小さくする方法、模擬部材41に目の粗い織布を用いる方法、模擬部材41に複数の孔を備えた紙あるいは不織布を用いる方法などがある。体積当たりの表面積が大きければ水分の蒸発速度が大きくなるから、模擬部材41が水分の浸潤しやすい材料であっても、水分の蒸発速度を、植物体40の葉と同程度になるように調節することが可能である。

0116

模擬部材41を用いる場合、植物体40の水分値は、撮影装置54が撮影した模擬部材41の画像に基づいて求められる。つまり、制御装置50は、植物体40の画像から水分値を求めるときと同様に、模擬部材41を用いるときも、撮影装置54が撮影した画像において濃淡値が基準値を超える画素の個数を植物体40の水分値として求める。植物体40の水分値が求められると、上述したように、水分値が所定の閾値と比較され、水分値が閾値より小さいときに、ポンプ17の運転が許可される。

0117

上述したように、制御装置50は、植物体40の濡れ状態を評価するために、水分値を閾値と比較している。植物体40の水分値は、撮影装置54が撮影した画像において濃淡値が基準値を超える画素の個数を基にしている。すなわち、上述した制御装置50は、植物体40の水分値を絶対値として求めている。ここでの絶対値は、植物体40の種類、植物体40を栽培する環境などの条件による影響を受けない値という意味である。

0118

ここで、植物体40の種類が異なると、植物体40の葉の反射率が異なるから、植物体40に付着しているミストの粒子に対応する画素の濃淡値にばらつきが生じ、濃淡値が基準値を超える画素の個数が変動する可能性がある。模擬部材41により植物体40の水分値を求める場合には、植物体40の種類の影響を受けないが、植物体40を栽培する環境の影響を受ける可能性がある。たとえば、植物体40を栽培する環境のうち、日射強度が変化すると、カメラに入射する光の強度が変化する。そのため、日射強度が変化すると、ミストの粒子に対応する画素の濃淡値が変化し、濃淡値が基準値を超える画素の個数が変動する可能性がある。したがって、植物体40の水分値を一定値である閾値と比較することによって濡れ状態を評価するには、植物体40の種類、植物体40を栽培する環境などに応じて閾値を調節することが必要である。

0119

以下に説明する制御装置50は、植物体40の水分値の絶対値を閾値と比較する代わりに、植物体40の水分値の相対値を閾値と比較するように構成されている。植物体40の水分値の相対値とは、植物体40の濡れ状態の基準となる基本画像と撮影装置54で撮影した対象画像との比較結果に基づいて求められる水分値を意味する。

0120

基本画像は、模擬部材41が乾燥していると予想される時間帯に撮影した画像が望ましい。模擬部材41が乾燥していると予想される時間帯は、たとえば、ミストを発生させない時間帯であって、ミストを発生させる時間帯が開始される前の所定時間内であることが望ましい。この時間帯は、許可時間帯TZ1(図9参照)ではない期間のうち、許可時間帯TZ1の開始時刻前の1時間内などが相当する。あるいは、模擬部材41が乾燥していると予想される時間帯は、温度センサ51が計測した温度が所定の乾燥温度を超え、かつ日射強度が所定の乾燥強度を超えている状態が所定の継続時間に達した後の時間帯であることが望ましい。この条件において、温度、日射強度、継続時間は実験的に定められる。また、温度と日射強度との組み合わせに応じて継続時間を変化させることが望ましい。

0121

ここに、模擬部材41が乾燥していると予想される時間帯は、模擬部材41が存在しない場合でも、仮に模擬部材41が存在していれば乾燥していると推定される時間帯という意味である。要するに、基本画像は、上述した条件が成立しているときに撮影された画像である。制御装置50は、基本画像を撮影する条件が成立すると、撮影装置54に撮影を指示し、撮影装置54から基本画像を受け取る。

0122

制御装置50は、基本画像を毎日更新する。ただし、撮影装置54による模擬部材41の撮影が可能である状態では、基本画像は毎日更新しなくてもよい。たとえば、撮影装置54で模擬部材41を撮影できる状態が継続していれば、基本画像の更新は数日ごとに行えばよい。たとえば、基本画像の更新は1週間に1回でもよい。一方、模擬部材41の位置がずれること、あるいは模擬部材41が植物体40に隠れることなどによって、撮影装置54で模擬部材41を撮影できなくなれば、基本画像の更新が必要である。

0123

制御装置50は、基本画像が得られると、ミストを発生させる前に撮影装置54で対象画像を撮影する。制御装置50は、撮影された対象画像と保持している基本画像との差分を求め、差分が所定値を超える画素の個数を水分値とする。すなわち、対象画像と基本画像とについて、同じ位置の画素が持つ濃淡値同士の差分値が求められ、この差分値を画素値に持つ差分画像が得られる。ここに、差分値は、対象画像の濃淡値から基本画像の濃淡値を引くことにより求められる。差分画像の各画素の差分値は所定値と比較され、差分値が所定値を超える画素の個数が計数され、計数された個数が水分値として用いられる。ここに、制御装置50は、差分画像の各画素を所定値で二値化した二値画像を生成し、二値画像において差分が所定値を超えた画素の個数を計数してもよい。

0124

上述のように、制御装置50は、対象画像と基本画像とから求められる差分画像に基づいて水分値を求めるから、求めた水分値は相対値になる。このようにして求めた植物体40の水分値は、絶対値に比べると、植物体40を栽培する環境によるばらつきが少ない。すなわち、植物体40の濡れ状態について高い客観性を持つ指標が得られる。

0125

対象画像を撮影するタイミングは、ミストを発生させるか否かを判断するタイミングであることが望ましい。そのため、制御装置50は、許可時間帯TZ1において、温度が目標範囲の上限値を超え、湿度が目標範囲の上限値に達しておらず、日射強度が目標範囲の下限値を超えているときに、撮影装置54に対象画像の撮影を指示すればよい。また、制御装置50は、対象画像を撮影するタイミングを簡易に定めるために、対象画像を定期的に撮影してもよい。

0126

制御装置50は、対象画像を撮影するタイミングにかかわらず、許可時間帯TZ1において、温度、湿度、日射強度の条件が満たされ、かつ水分値が所定の閾値より小さいときに、ポンプ17に運転を指示し、ノズル11からミストを発生させる。このように、植物体40があまり濡れていない状態でミストを発生させるから、植物体40に過剰に水分が付着することによる障害の発生が抑制される。

0127

ところで、制御装置50が差分画像を作成する際に、模擬部材41の周囲の画像を除外する必要がある。言い換えると、差分画像は模擬部材41の範囲内で作成され、かつ基本画像と対象画像とは模擬部材41における同じ範囲の画像であることが望ましい。したがって、制御装置50は、撮影装置54が撮影した濃淡画像の中で模擬部材41に対応する領域を抽出する機能を有している。

0128

撮影装置54と模擬部材41との相対位置が変化しないとみなしてもよい場合、制御装置50は濃淡画像のうちの特定の領域を、模擬部材41の範囲内の領域として扱い、この特定の領域について差分画像を作成する。また、撮影装置54が模擬部材41のみを撮影するように撮影装置54と模擬部材41との相対位置が定められていれば、制御装置50は濃淡画像の全領域について差分画像を作成する。差分画像を簡易に作成するには上述した2つの方法のいずれかを採用すればよい。

0129

制御装置50において、濃淡画像から模擬部材41の存在領域を抽出する処理が可能である場合には、模擬部材41の存在領域を抽出し、抽出した存在領域に基づいて差分画像を作成してもよい。たとえば、制御装置50は、濃淡画像に対する二値化処理を行うか、濃淡画像に対する微分処理を行って、濃淡画像に含まれている物体輪郭エッジ)を抽出した後、模擬部材41の既知の輪郭をテンプレートとしてテンプレートマッチングを行えばよい。テンプレートマッチングでは、輪郭を抽出したエッジ画像の中で、テンプレートの並進移動および回転移動を行うことにより、テンプレートとの一致度がもっとも高い領域が抽出される。制御装置50は、抽出された領域を模擬部材41の領域とみなし、抽出された領域の範囲で差分画像を作成する。

0130

テンプレートマッチングを行う場合、撮影装置54に対する模擬部材41の向きが変わらず、模擬部材41が撮影装置54の視野に収まっていれば、撮影装置54に対する模擬部材41の移動が許容される。すなわち、テンプレートマッチングを行う場合、模擬部材41の位置が撮影装置54の視野の範囲で変化しても、植物体40の水分値を得ることが可能である。

0131

テンプレートマッチングの処理を行う場合でも、制御装置50のプロセッサの処理能力は、パーソナルコンピュータタブレット端末スマートフォンなどと同程度でよい。ただし、濃淡画像に対する二値化処理、微分処理、テンプレートマッチングの処理などを行うために、制御装置50は専用のプロセッサを備えていてもよい。画像処理を行うプロセッサは汎用のプロセッサでよいが、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などを用いた画像処理専用のプロセッサであってもよい。

0132

上述した農業用ハウス30Aでは、日射センサ53を用いているが、日射センサ53は省略可能である。すなわち、農業用ハウス30Aが、温度センサ51と湿度センサ52とを備え、日射センサ53を備えていない構成であっても、制御装置50は、植物体40の水分値によりミストを発生させるか否かを決定してもよい。また、撮影装置54は、ノズル11ではなく、フレーム21に結合されていてもよい。模擬部材41は、取付部材42を介して撮影装置54に結合されているが、植物体40に添えるために地面に立てた支柱に模擬部材41が取り付けられていてもよい。また、場合によっては、模擬部材41は、植物体40に取り付けられていてもよい。模擬部材41が植物体40に取り付けられている場合、植物体40の成長により模擬部材41が移動することがあるから、制御装置50は、適宜のタイミングで基本画像を更新することが望ましい。

0133

上述した第1態様に係る農業用ハウス30、30Aは、外殻20と複数のノズル11と気流形成装置15とを備えている。外殻20は、複数の植物体40が栽培される空間を囲むように配置される。複数のノズル11は、外殻20の内部において植物体40が栽培される地面(畝31の上面)より上方に設置され、かつ液体を微粒子化したミストを発生させる。気流形成装置15は、外殻20の内部に気流を作り出す。複数のノズル11は、複数のノズル11からそれぞれ発生した後に地面に達するミストの密度に基づいて、複数の第1領域A1と複数の第2領域A2とに地面が区分されるように配置されている。第1領域A1は密度が第1の基準値以上であり、第2領域A2は密度が第1の基準値より小さい第2の基準値以下である。さらに、ノズル11は、複数の第2領域A2のそれぞれに複数の第1領域A1のうちの少なくとも1つの第1領域A1が隣り合うように配置されている。気流形成装置15は、複数の第2領域A2それぞれの上方空間に、複数の第1領域A1のうち複数の第2領域A2それぞれに隣り合っている第1領域A1に達するミストの気化で生じた冷気を移動させる気流を作り出すように構成されている。

0134

この構成によれば、第1領域A1に植えられる植物体40は、主としてミストが接触することにより植物体40が冷やされる。また、第2領域A2に植えられる植物体40は、主としてミストの気化により生じた冷気が気流形成装置15で運ばれることにより冷やされる。すなわち、外殻20の内部に植えられる複数の植物体40のうちミストに接触しない植物体40であっても冷気に接触させることによって冷やすことが可能である。したがって、ミストを利用して植物体40を冷やす構成において、外殻20の全体をミストで冷却する必要がなく、しかも複数の植物体40それぞれにミストを接触させる必要がない。このことから、ミストを発生させるノズル11の個数の増加が抑制され、ノズル11の配置密度の低減が可能であり、結果的に設備費用と運営費用との抑制につながる。なお、ミストに接触しない植物体40であっても、ミストの気化により生じた冷気に接触させることによって、夏季のような高温期でも植物体40の栽培が可能であることは確認済みである。

0135

つまり、この構成によれば、複数のノズル11を配置する場合に、複数の植物体40それぞれにミストを接触させる構成よりもノズル11の配置密度の低減が可能である。その結果、外殻20の内部に設置するノズル11の個数の増加が抑制され、比較的高価であるノズル11に要する設備費用の抑制につながるという利点がある。

0136

第2態様に係る農業用ハウス30、30Aでは、第1態様において、複数のノズル11は列をなすように配置されており、複数のノズル11が列をなして並ぶ一方向において、複数の第1領域A1と複数の第2領域A2とが交互に形成されることが望ましい。

0137

この構成によれば、複数のノズル11が列をなすように並ぶからノズル11の配置が容易である。しかも、第1領域A1と第2領域A2とが一方向に交互に並ぶから、主として第1領域A1での気化による冷気を第2領域A2に移動させる気流を作り出すことが容易である。

0138

第3態様に係る農業用ハウス30、30Aでは、第1又は第2態様において、複数のノズル11は、粒子径の最頻値が10[μm]以上かつ100[μm]以下であるミストを発生させるように構成されていることが望ましい。

0139

この構成によれば、粒子径の比較的大きいミストを発生させるから、ミストが空中を浮遊する時間が短く、ノズル11から近い位置にミストが落下する。すなわち、ノズル11の位置に対して植物体40を植える位置を定めることが容易である。また、ミストの粒子径が比較的大きいから、ミストの粒子径が小さいノズル11に比べて安価なノズル11を採用することが可能であり、このことからも設備費用の抑制が可能である。さらには、ミストの粒子径が比較的大きいから、水に含まれる固形物(砂など)がノズルに詰まりにくく、またスケール(scale)の付着によるノズルの目詰まりが抑制される。

0140

第4態様に係る農業用ハウス30、30Aでは、第1〜第3態様のいずれかにおいて、外殻20は、地面に沿った断面が矩形状であって、複数のノズル11は、地面に沿った外殻20の長手方向に、複数の第1領域A1と複数の第2領域A2とが並ぶように配置されていることが望ましい。

0141

この構成であれば、外殻20の長手方向に気流を形成するように気流形成装置15が構成されていればよい。すなわち、気流形成装置15は、主として第1領域A1で生じた冷気を主として第2領域A2に移動させるための気流を形成するから、外殻20の短手方向に気流を形成する場合よりも気流形成装置15が狭い範囲に配置される。言い換えると、気流形成装置15の小型化が可能である。

0142

第5態様に係る農業用ハウス30、30Aでは、第1〜第4態様のいずれかにおいて、複数のノズル11の地面に対する高さを調節する調節装置14を備えていてもよい。

0143

この構成によれば、植物体40の背丈に応じてノズル11の地面に対する高さを調節することにより、植物体40の背丈によらず、ノズル11と植物体40との距離を同程度にすることが可能である。その結果、ノズル11から吹き出したミストのうち植物体40に到達する割合を、植物体40の背丈によらず、同程度にすることが可能である。また、ノズル11と植物体40との距離を、植物体40の背丈によらずほぼ一定にすれば、外殻20に外気を取り入れた場合であって、風が外殻20に吹き込むことによってミストが流されたとしても、ミストの散布範囲がほぼ一定に保たれる。

0144

第6態様に係る農業用ハウス30、30Aでは、第1〜第5態様のいずれかにおいて、気流形成装置15が作り出す気流の速度分布を変更する変更装置16を備えていてもよい。

0145

この構成によれば、ミストの気化により生じた冷気を必要とする場所に送ることが可能であり、とくに植物体40の背丈に応じて気流の速度分布を変更することによって、ミストの気化により生じた冷気を植物体40に接触させることが可能である。すなわち、気流の速度分布が変更可能であることにより、冷気との接触を必要とする植物体40に向けて冷気を運ぶことが可能であり、結果的に冷熱を植物体40の冷却に効率よく利用することが可能になる。

0146

第7態様に係る農業用ハウス30Aは、第1〜第6態様のいずれかにおいて、撮影装置54と制御装置50とを備えることが望ましい。撮影装置54は、第1領域A1の少なくとも一部を視野として撮影する。制御装置50は、撮影装置54が撮影した画像から植物体40の濡れ状態の評価値を求め、濡れ状態の評価値に基づいて植物体40を栽培する環境を調節するための設備(散水装置、カーテン、ミストを発生させる装置、気流を作り出す装置など)を制御する。

0147

すなわち、撮影装置54が撮影した画像から求めた植物体40の濡れ状態の評価値に応じて植物体40を栽培する環境を調節することが可能である。そのため、植物体40の過剰に濡れることにより生じる植物体40の障害が回避できる可能性が高くなる。たとえば、植物体40の濡れ状態を適正化することが可能であり、植物体40を濡らす必要がないとき、あるいは植物体40を濡らすべきではないときに、制御装置50は、ミストを発生させないという制御が可能である。そのため、ミストを発生させる設備が無駄に稼働しないから省エネルギーであり、またミストの発生に用いる液体の消費量が低減される。

0148

第8態様に係る農業用ハウス30Aでは、第7態様において、撮影装置54は、複数のノズル11のうちの少なくとも1つのノズル11と結合されていることが望ましい。

0149

すなわち、撮影装置54がノズル11に結合されるから、ミストによる植物体40の濡れ状態がおおむね一定の撮影条件で監視される。その結果、撮影装置54が撮影した画像に基づく植物体40の濡れ状態の評価値の信頼性が高まる。

0150

第9態様に係る農業用ハウス30Aは、第7又は第8態様において、植物体40の濡れ状態を模擬するように構成された模擬部材41を備えることが望ましい。模擬部材41は、撮影装置54の視野内に位置するように撮影装置54と結合されていることが望ましい。

0151

すなわち、模擬部材41は撮影装置54との関係が一定であるから、実際の植物体40に付着したミストを撮影する場合に比べて、植物体40の濡れ状態の評価値のばらつきが低減される。

0152

なお、上述した構成例は本発明の一例である。このため、本発明は、上述した構成例に限定されることはなく、上述した構成例以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんのことである。

0153

11ノズル
14調節装置
15気流形成装置
16変更装置
20外殻
30農業用ハウス
30A 農業用ハウス
40植物体
41模擬部材
54撮影装置
A1 第1領域
A2 第2領域

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