図面 (/)

技術 研磨用組成物および研磨用組成物セット

出願人 株式会社フジミインコーポレーテッド東亞合成株式会社
発明者 土屋公亮丹所久典市坪大輝浅田真希
出願日 2017年8月29日 (2年6ヶ月経過) 出願番号 2018-537304
公開日 2019年6月24日 (9ヶ月経過) 公開番号 WO2018-043504
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 金平糖形状 繭型形状 ラグビーボール形状 ピーナッツ形状 材料表 炭化ホウ素粒子 供給レート ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年6月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題・解決手段

表面欠陥の低減に有効な研磨用組成物を提供する。本発明により提供される研磨用組成物は、砥粒水溶性高分子および塩基性化合物を含む。上記水溶性高分子は、下記条件(1),(2)の両方を満たすポリマーAを含む。 (1)一分子中にビニルアルコール単位および非ビニルアルコール単位を含む。 (2)[(C1−C2)/C1]×100により算出される吸着パラメータが5以上である。ここで、C1は、上記ポリマーAを0.017重量%、アンモニアを0.009重量%含む試験液L1に含まれる有機炭素の総量である。上記C2は、BET径35nmのコロイダルシリカを0.46重量%、上記ポリマーAを0.017重量%、アンモニアを0.009重量%含む試験液L2を遠心分離して上記砥粒を沈降させた上澄み液に含まれる有機炭素の総量である。

概要

背景

金属や半金属非金属、その酸化物等の材料表面に対して、砥粒を含有する研磨用組成物を用いた研磨が行われている。例えば、半導体製品の製造等に用いられるシリコン基板の表面は、一般に、ラッピング工程とポリシング工程とを経て高品位の鏡面に仕上げられる。上記ポリシング工程は、典型的には、予備研磨工程と仕上げ研磨工程とを含む。シリコンウェーハ等の半導体基板を研磨する目的で主に使用される研磨用組成物に関する技術文献として、特許文献1〜3が挙げられる。

概要

表面欠陥の低減に有効な研磨用組成物を提供する。本発明により提供される研磨用組成物は、砥粒、水溶性高分子および塩基性化合物を含む。上記水溶性高分子は、下記条件(1),(2)の両方を満たすポリマーAを含む。 (1)一分子中にビニルアルコール単位および非ビニルアルコール単位を含む。 (2)[(C1−C2)/C1]×100により算出される吸着パラメータが5以上である。ここで、C1は、上記ポリマーAを0.017重量%、アンモニアを0.009重量%含む試験液L1に含まれる有機炭素の総量である。上記C2は、BET径35nmのコロイダルシリカを0.46重量%、上記ポリマーAを0.017重量%、アンモニアを0.009重量%含む試験液L2を遠心分離して上記砥粒を沈降させた上澄み液に含まれる有機炭素の総量である。

目的

本発明は、表面欠陥の低減に有効な研磨用組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

砥粒水溶性高分子および塩基性化合物を含む研磨用組成物であって、前記水溶性高分子はポリマーAを含み、前記ポリマーAは、以下の条件:(1)一分子中にビニルアルコール単位および非ビニルアルコール単位を含む;および、(2)次式吸着パラメータ=[(C1−C2)/C1]×100;により算出される吸着パラメータが5以上であり、ここで、前記式中のC1は、前記ポリマーAを0.017重量%、アンモニアを0.009重量%含み、残部が水からなる試験液L1に含まれる有機炭素の総量であり、前記式中のC2は、BET径35nmのコロイダルシリカを0.46重量%、前記ポリマーAを0.017重量%、アンモニアを0.009重量%含み、残部が水からなる試験液L2を遠心分離して前記砥粒を沈降させた上澄み液に含まれる有機炭素の総量である;の両方を満たす、研磨用組成物。

請求項2

前記ポリマーAは、一分子中にビニルアルコールセグメントと非ビニルアルコール系セグメントとを有する共重合体である、請求項1に記載の研磨用組成物。

請求項3

前記ポリマーAは、一分子中にビニルアルコール単位とオキシアルキレン単位とを含む共重合体である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。

請求項4

前記ポリマーAは、一分子中にビニルアルコール系セグメントとオキシアルキレン系セグメントとを含む共重合体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の研磨用組成物。

請求項5

前記ポリマーAは、一分子中にビニルアルコール単位とN−ビニル型のモノマー単位とを含む共重合体である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。

請求項6

前記ポリマーAは、一分子中にビニルアルコール系セグメントとN−ビニル系セグメントとを含む共重合体である、請求項1,2または5に記載の研磨用組成物。

請求項7

前記N−ビニル型のモノマー単位がN−ビニルピロリドンである、請求項5に記載の研磨用組成物。

請求項8

前記N−ビニル系セグメントは、N−ビニルピロリドンに由来する繰返し単位を主繰返し単位とするセグメントである、請求項6に記載の研磨用組成物。

請求項9

前記ポリマーAの重量平均分子量が15×104以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の研磨用組成物。

請求項10

前記砥粒のBET径が30nm以下である、請求項1から9のいずれか一項に記載の研磨用組成物。

請求項11

前記砥粒1017個当たりの前記ポリマーAの含有量が10mg〜1000mgである、請求項1から10のいずれか一項に記載の研磨用組成物。

請求項12

重量平均分子量が1×104未満の水溶性有機化合物をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の研磨用組成物。

請求項13

前記砥粒はシリカ粒子である、請求項1から12のいずれか一項に記載の研磨用組成物。

請求項14

シリコンウェーハ研磨に用いられる、請求項1から13のいずれか一項に記載の研磨用組成物。

請求項15

請求項1から14のいずれか一項に記載の研磨用組成物を含む仕上げ研磨用組成物と、砥粒、水溶性高分子および塩基性化合物を含み、前記仕上げ研磨用組成物による研磨の前段階で行われる研磨に用いられる前段研磨用組成物と、を含む研磨用組成物セット。

技術分野

0001

本発明は、研磨用組成物および研磨用組成物セットに関する。本出願は、2016年8月31日に出願された日本国特許出願2016−170184号に基づく優先権を主張しており、その出願の全内容は本明細書中に参照として組み入れられている。

背景技術

0002

金属や半金属非金属、その酸化物等の材料表面に対して、砥粒を含有する研磨用組成物を用いた研磨が行われている。例えば、半導体製品の製造等に用いられるシリコン基板の表面は、一般に、ラッピング工程とポリシング工程とを経て高品位の鏡面に仕上げられる。上記ポリシング工程は、典型的には、予備研磨工程と仕上げ研磨工程とを含む。シリコンウェーハ等の半導体基板を研磨する目的で主に使用される研磨用組成物に関する技術文献として、特許文献1〜3が挙げられる。

先行技術

0003

国際公開第2014/148399号
日本国特許出願公開2015−109423号公報
日本国特許出願公開2016−56220号公報

発明が解決しようとする課題

0004

仕上げ研磨工程に用いられる研磨用組成物には、研磨後においてヘイズが低くかつ表面欠陥の少ない表面を実現する性能が求められる。上記仕上げ研磨工程は、例えば、シリコンウェーハ等の半導体基板その他の基板の仕上げ研磨工程であり得る。かかる用途向けの研磨用組成物は、砥粒および水に加えて、研磨対象物表面の保護や濡れ性向上等の目的で水溶性高分子を含むものが多い。なかでも汎用の水溶性高分子としてヒドロキシエチルセルロースHEC)が挙げられる。

0005

しかし、HECは天然物であるセルロース由来するため、合成ポリマーに比べて化学構造純度制御性限界がある。例えば、市場において容易に入手し得るHECの重量平均分子量(Mw)や分子量分布の範囲は限られている。ここで分子量分布とは、数平均分子量(Mn)に対するMwの比をいう。また、HECは天然物を原料とするため、表面欠陥を生じる原因となり得る異物や、ポリマー構造局所的な乱れによるミクロ凝集等を高度に低減することは困難であり、そのような異物等の量や程度もばらつきやすい。今後、研磨後の表面品位に対する要求がますます厳しくなると見込まれるなか、HECを必須成分としない組成において表面欠陥を効果的に低減可能な研磨用組成物が提供されれば有益である。

0006

かかる事情に鑑みて、本発明は、表面欠陥の低減に有効な研磨用組成物を提供することを目的とする。関連する他の発明は、かかる研磨用組成物を含む研磨用組成物セットを提供することである。

課題を解決するための手段

0007

研磨用組成物を用いて研磨した後の研磨面で観察される欠陥一種として、LPD(Light Point Defects)およびLPD−N(Light Point Defect Non-cleanable)が知られている。LPDとは、一般にパーティクルと呼ばれる異物を意味する。一方、LPD−Nとは、研磨、洗浄、乾燥等の処理によっては解消できない欠陥を意味し、主に研磨対象物自体の構造に基づく表面欠陥をいう。本発明者は、鋭意検討の結果、LPD−N数の低減に有効な研磨用組成物を見出して、本発明を完成した。

0008

この明細書により提供される研磨用組成物は、砥粒、水溶性高分子および塩基性化合物を含む。上記水溶性高分子は、以下の条件(1)および(2)の両方を満たすポリマーAを含有する。
(1)一分子中にビニルアルコール単位および非ビニルアルコール単位を含む。
(2)次式
吸着パラメータ=[(C1−C2)/C1]×100;
により算出される吸着パラメータが5以上である。ここで、上記式中のC1は、上記ポリマーAを0.017重量%、アンモニアを0.009重量%含み、残部が水からなる試験液L1に含まれる有機炭素の総量である。上記式中のC2は、BET径35nmのコロイダルシリカを0.46重量%、アンモニアを0.009重量%、上記ポリマーAを0.017重量%含み、残部が水からなる試験液L2を遠心分離して上記シリカ粒子を沈降させた上澄み液に含まれる有機炭素の総量である。
かかる研磨用組成物によると、研磨後の表面における表面欠陥を効果的に低減することができる。上記研磨用組成物は、例えば、研磨後の表面においてLPD−Nとして検出される欠陥数の低減に効果的である。

0009

この明細書によると、また、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む仕上げ研磨用組成物と、上記仕上げ研磨用組成物による研磨の前段階で行われる研磨に用いられる前段研磨用組成物と、を含む研磨用組成物セットが提供される。上記前段研磨用組成物は、砥粒、水溶性高分子および塩基性化合物を含む。このような研磨用組成物セットを用いて前段研磨工程および仕上げ研磨工程をこの順に実施することにより、仕上げ研磨後における表面品位を効果的に向上させることができる。

0010

以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。

0011

<砥粒>
ここに開示される研磨用組成物に含まれる砥粒の材質性状は特に制限されず、研磨用組成物の使用目的や使用態様等に応じて適宜選択することができる。砥粒の例としては、無機粒子有機粒子、および有機無機複合粒子が挙げられる。無機粒子の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子酸化セリウム粒子酸化クロム粒子二酸化チタン粒子酸化ジルコニウム粒子酸化マグネシウム粒子二酸化マンガン粒子酸化亜鉛粒子ベンガラ粒子等の酸化物粒子窒化ケイ素粒子窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子炭化ケイ素粒子炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子ダイヤモンド粒子炭酸カルシウム炭酸バリウム等の炭酸塩等が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチルPMMA)粒子やポリメタアクリル酸粒子、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。このような砥粒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本明細書において(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリル包括的に指す意味である。同様に、本明細書において(メタ)アクリロイルとは、アクリロイルおよびメタクリロイルを包括的に指す意味である。

0012

上記砥粒としては、無機粒子が好ましく、なかでも金属または半金属の酸化物からなる粒子が好ましく、シリカ粒子が特に好ましい。後述するシリコンウェーハ等のようにシリコンからなる表面を有する研磨対象物の研磨、例えば仕上げ研磨に用いられ得る研磨用組成物では、砥粒としてシリカ粒子を採用することが特に有意義である。ここに開示される技術は、例えば、上記砥粒が実質的にシリカ粒子からなる態様で好ましく実施され得る。ここで「実質的に」とは、砥粒を構成する粒子の95重量%以上、好ましくは98重量%以上、より好ましくは99重量%以上がシリカ粒子であることをいい、100重量%がシリカ粒子であることを包含する意味である。

0013

シリカ粒子の具体例としては、コロイダルシリカ、フュームドシリカ沈降シリカ等が挙げられる。シリカ粒子は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。研磨後において表面品位に優れた研磨面が得られやすいことから、コロイダルシリカの使用が特に好ましい。コロイダルシリカとしては、例えば、イオン交換法により水ガラス珪酸Na)を原料として作製されたコロイダルシリカや、アルコキシド法コロイダルシリカを好ましく採用することができる。アルコキシド法コロイダルシリカとは、アルコキシシラン加水分解縮合反応により製造されたコロイダルシリカをいう。コロイダルシリカは、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。

0014

砥粒構成材料真比重は、1.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.6以上である。ここで、上記砥粒構成材料の真比重とは、例えばシリカ粒子からなる砥粒では該シリカ粒子を構成するシリカの真比重のことをいう。以下、砥粒の真比重ともいう。砥粒の真比重の増大により、砥粒の物理的な研磨能力は高くなる傾向にある。砥粒の物理的な研磨能力が高くなると、一般に、該砥粒が研磨対象物表面に与える局所的なストレスは大きくなる傾向にある。したがって、砥粒の真比重(真密度)の増大により、ここに開示されるポリマーAを研磨用組成物に含有させることによる効果がよりよく発揮され得る。かかる観点から、真比重が1.7以上の砥粒が特に好ましい。砥粒の真比重の上限は特に限定されないが、典型的には2.3以下、例えば2.2以下である。砥粒の真比重としては、置換液としてエタノールを用いた液体置換法による測定値を採用し得る。上記砥粒は、例えば、シリカ粒子であり得る。

0015

砥粒のBET径は特に限定されないが、研磨効率等の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。より高い研磨効果を得る観点、例えばヘイズの低減や欠陥の除去等の効果をよりよく発揮する観点から、上記BET径は、例えば、15nm以上が好ましく、20nm以上がより好ましく、20nm超がより好ましい。また、砥粒が研磨対象物表面に与える局所的なストレスを抑制する観点から、砥粒のBET径は、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは40nm以下である。ここに開示される技術は、より高品位の表面、例えばLPD−N数が少なくヘイズレベルの低い表面を得やすくする観点等から、BET径が35nm以下、好ましくは35nm未満、より好ましくは32nm以下、例えば30nm未満の砥粒を用いる態様で実施してもよい。上記砥粒は、例えば、シリカ粒子であり得る。

0016

なお、本明細書においてBET径とは、BET法により測定される比表面積BET値)から、BET径[nm]=6000/(真密度[g/cm3]×BET値[m2/g])の式により算出される粒子径をいう。例えばシリカ粒子の場合、BET径[nm]=2727/BET値[m2/g]によりBET径を算出することができる。比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の表面積測定装置商品名「Flow Sorb II 2300」を用いて行うことができる。

0017

砥粒の形状(外形)は、球形であってもよく、非球形であってもよい。非球形をなす粒子の具体例としては、ピーナッツ形状繭型形状金平糖形状ラグビーボール形状等が挙げられる。上記ピーナッツ形状とは、すなわち、落花生の殻の形状である。例えば、粒子の多くがピーナッツ形状をした砥粒を好ましく採用し得る。

0018

特に限定するものではないが、砥粒の平均アスペクト比、すなわち砥粒の長径短径比の平均値は、原理的に1.0以上であり、好ましくは1.05以上、さらに好ましくは1.1以上である。平均アスペクト比の増大によって、より高い研磨能率が実現され得る。また、砥粒の平均アスペクト比は、スクラッチ低減等の観点から、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。

0019

砥粒の形状(外形)や平均アスペクト比は、例えば、電子顕微鏡観察により把握することができる。平均アスペクト比を把握する具体的な手順としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、独立した粒子の形状を認識できる所定個数のシリカ粒子について、各々の粒子画像外接する最小の長方形を描く。上記所定個数とは、例えば200個である。そして、各粒子画像に対して描かれた長方形について、その長辺の長さを長径の値とし、短辺の長さを短径の値として、長径の値を短径の値で除した値を、各砥粒の長径/短径比、すなわちアスペクト比として算出する。上記所定個数の粒子のアスペクト比を算術平均することにより、平均アスペクト比を求めることができる。

0020

<水溶性高分子>
ここに開示される研磨用組成物は、水溶性高分子を含有する。水溶性高分子としては、分子中に、カチオン性基アニオン性基およびノニオン性基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するポリマーを、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。より具体的には、例えば、分子中に水酸基カルボキシ基アシルオキシ基スルホ基、第1級アミド構造、複素環構造ビニル構造ポリオキシアルキレン構造等を有するポリマーから選択される一種または二種以上のポリマーを水溶性高分子として使用し得る。凝集物の低減や洗浄性向上等の観点から、一態様において、水溶性高分子としてノニオン性のポリマーを好ましく採用し得る。

0021

(ポリマーA)
ここに開示される技術における研磨用組成物は、水溶性高分子として、上述した条件(1)および(2)の両方を満たすポリマーAを含有する。

0022

〔条件(1)〕
ポリマーAが満たすべき条件(1)は、一分子中にビニルアルコール単位および非ビニルアルコール単位を含む、というものである。すなわち、一分子のポリマーAのうち一部分はビニルアルコール単位により構成され、他の一部分は非ビニルアルコール単位により構成されている。ここで、ビニルアルコール単位(以下「VA単位」ともいう。)とは、次の化学式:−CH2−CH(OH)−;により表される構造部分である。VA単位は、例えば、酢酸ビニル等のようなビニルエステル系モノマービニル重合した構造の繰返し単位加水分解けん化ともいう。)することにより生成し得る。また、上記非ビニルアルコール単位(以下「非VA単位」ともいう。)とは、VA単位とは異なる構造により構成された繰返し構造部分を指す。ポリマーAは、一種類の非VA単位のみを含んでもよく、二種類以上の非VA単位を含んでもよい。

0023

ここに開示される技術の一態様において、非VA単位は、ポリマーAを構成する繰返し単位の一部として該ポリマーAに含まれ得る。このような構造を有するポリマーAは、該ポリマーAを構成する繰返し単位としてVA単位と非VA単位とを含む共重合体として把握され得る。かかる形態で非VA単位を含むことにより、VA単位を含むポリマーAの吸着パラメータをここに開示される好ましい範囲に調節することができる。ポリマーAを構成する繰返し単位として含まれる非VA単位は、例えば、オキシアルキレン基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、水酸基、アミド基イミド基ニトリル基エーテル基エステル基、およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1つの構造を有する繰返し単位であり得る。ポリマーAを構成する全繰返し単位モル数に占めるVA単位のモル数の割合は、条件(2)を満たし得る割合であればよく、特に制限されない。上記割合は、例えば5%以上であってよく、10%以上であってもよい。砥粒および研磨対象物、例えばシリコンウェーハに対する親和性の観点から、一態様において、上記割合が20%以上、例えば30%以上であるポリマーAを好ましく採用し得る。いくつかの態様において、上記割合は、50%以上でもよく、75%以上でもよく、85%以上でもよい。また、VA単位と非VA単位とを組み合わせて含むことの効果が好適に発揮されやすいという観点から、ポリマーAを構成する全繰返し単位のモル数に占めるVA単位のモル数の割合は、例えば99%以下であってよく、98%以下でもよく、97%以下でもよい。いくつかの態様において、上記割合は、例えば95%以下であってよく、90%以下であってもよく、80%以下、さらには70%以下であってもよい。

0024

ここに開示される技術の他の一態様において、非VA単位は、VA単位を含むポリマーAの少なくとも一の末端に位置する形態で該ポリマーAに含まれ得る。ここでポリマーAの末端とは、典型的にはポリマーAの主鎖の末端であり、ポリマーAが側鎖を有する場合は該側鎖の末端もポリマーAの末端となり得る。また、非VA単位がポリマーAの末端に位置するとは、該末端を含む所定範囲が非VA単位により構成されていることをいう。このような構造を有するポリマーAは、VA単位を含むポリマー鎖の末端が非VA単位で変性または修飾された構造のポリマーとして把握され得る。上記VA単位を含むポリマー鎖は、実質的にVA単位のみからなるポリマー鎖であってもよい。かかる形態で非VA単位を含むことにより、VA単位を含むポリマーAの吸着パラメータをここに開示される好ましい範囲に調節することができる。非VA単位は、ポリマーAの主鎖の両末端に位置していてもよく、一方の末端にのみ位置していてもよい。ポリマーAが側鎖を有する場合、非VA単位は、主鎖の一方または両方の末端にのみ位置していてもよく、側鎖の全末端または一部末端にのみ位置していてもよい。例えば、主鎖の一方の末端にのみ非VA単位が位置する構造のポリマーAを好ましく採用し得る。ポリマーAの末端に位置する非VA単位は、例えば、アルキル基アリール基アリールアルキル基等の炭化水素基アルコキシ基アリールオキシ基アリールアルキルオキシ基、オキシアルキレン基等のオキシ炭化水素基;カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、水酸基、アミド基、イミド基、イミノ基アミジノ基イミダゾリノ基、ニトリル基、エーテル基、エステル基、およびこれらの塩;からなる群から選択される少なくとも1つの構造を含み得る。ポリマーAの重量に占める非VA単位の重量の割合は、条件(2)を満たし得る割合であればよく、特に制限されない。上記割合は、例えば25%以下であってよく、10%以下であってもよく、5%以下であってもよく、1%以下であってもよい。なお、ポリマーの末端に非VA単位を導入する方法としては、特に限定されず、公知の方法を適宜採用することができる。非VA単位を導入する方法の一例として、非VA単位を含む構造の重合開始剤を用いてラジカル重合を行う方法が挙げられる。例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)を重合開始剤に用いてラジカル重合を行うことにより、ポリマーの末端にアミジノ基を導入することができる。非VA単位を導入する方法の他の一例として、非VA単位を含む構造の連鎖移動剤を用いる方法が挙げられる。例えば、ラウリルメルカプタン等のアルキル基を有するチオール類の存在下で重合を行うことにより、ポリマーの末端にアルキル基を導入することができる。非VA単位を導入する方法のさらに他の一例として、非VA単位を含む構造の重合停止剤を用いる方法が挙げられる。

0025

〔条件(2)〕
ポリマーAが満たすべき条件(2)は、次式:吸着パラメータ=[(C1−C2)/C1]×100;により算出される吸着パラメータが5以上である、というものである。ここで、上記式中のC1は、上記ポリマーAを0.017重量%、アンモニアを0.009重量%含み、残部が水からなる試験液L1に含まれる有機炭素の総量である。上記式中のC2は、BET径35nmのコロイダルシリカシリカを0.46重量%、上記ポリマーAを0.017重量%、アンモニアを0.009重量%含み、残部が水からなる試験液L2を遠心分離して上記シリカ粒子を沈降させた上澄み液に含まれる有機炭素の総量である。

0026

上記試験液L2は、試験液L1に加えてシリカ粒子を含む。この試験液L2に遠心分離処理を施すと、シリカ粒子に吸着している水溶性高分子は該シリカ粒子とともに沈降し、上記上澄み液に含まれる有機炭素の総量からは除かれる。したがって、上記吸着パラメータの値がより大きいことは、試験液L2に含まれる水溶性高分子の総量のうちシリカ砥粒に吸着している水溶性高分子の割合がより多いことを意味するといえる。

0027

なお、上記試験液L2の遠心分離は、例えば、ベックマンコールター社製の遠心分離器型式「Avanti HP−30I」を用いて20000rpmの回転数で30分間の条件で行うことができる。また、上記試験液L1に含まれる有機炭素の総量および上記試験液L2に上記遠心分離処理を施した後の上澄み液に含まれる有機炭素の総量は、上記試験液L1および上記上澄み液の全有機炭素量TOC)を測定することにより求めることができる。TOCの測定は、例えば島津製作所社製の全有機体炭素計燃焼触媒酸化方式、型式「TOC−5000A」)またはその相当品を用いて行うことができる。

0028

上記条件(1)および(2)を満たすポリマーAを含む研磨用組成物によると、研磨後の表面における表面欠陥(例えばLPD−Nとして検出される欠陥の数)を効果的に低減することができる。理論により拘束されることを望むものではないが、かかる効果が得られる理由は、例えば以下のように考えられる。すなわち、上記条件(1)および条件(2)を満たすポリマーAは、VA単位を含むことにより、研磨対象物、例えばシリコンウェーハに対して良好な親和性を示す。一方、一般にVA単位はシリカ粒子等の砥粒に対する吸着性に難があるところ、上記ポリマーAはシリカ粒子に対して所定の吸着パラメータを満たすレベルの吸着性を有する。このようにVA単位を含みかつ吸着性が改善されたポリマーAによると、該ポリマーAを含む研磨用組成物を用いた研磨において、上記ポリマーAが砥粒の周囲で緩衝材として機能することにより、該砥粒が研磨対象物の表面に与え得る局部的なストレスを軽減することができる。これにより上記ストレスに起因する表面欠陥の発生が抑制され、LPD−N数が効果的に低減されるものと考えられる。

0029

ここに開示される技術の一態様において、ポリマーAとしては、上記吸着パラメータが例えば10以上のものを用いることができる。ポリマーAの吸着パラメータは、15以上でもよく、25以上でもよく、40以上でもよく、50以上でもよく、60以上でもよい。吸着パラメータの増大により、研磨用組成物に含まれるポリマーAがより効率よく利用される傾向にある。また、一態様において、ポリマーAの吸着パラメータは、該ポリマーAの入手容易性や合成容易性の観点から、例えば99以下であってよく、95以下でもよく、85以下でもよく、75以下でもよく、70以下でもよい。ここに開示される技術は、吸着パラメータが50以下、30以下、または20以下のポリマーAを用いる態様でも好適に実施され得る。吸着パラメータは、例えば、ポリマーAを構成する繰返し単位に含まれる非VA単位の種類の選択、ポリマーAの分子構造、ポリマーAに含まれるVA単位と非VA単位とのモル比、ポリマーAにおける非VA単位の配置、等により調節することができる。

0030

ここに開示される技術の一態様において、上記条件(1)および(2)を満たすポリマーAとしては、一分子中にビニルアルコールセグメントと非ビニルアルコール系セグメントとを含む共重合体を好ましく使用し得る。ここで、本明細書においてビニルアルコール系セグメントとは、VA単位を主繰返し単位とするセグメントをいう。以下、「セグメントSA」ともいう。また、本明細書において非ビニルアルコール系セグメントとは、非VA単位を主繰返し単位とするセグメントをいう。以下、「セグメントSB」ともいう。なお、本明細書において主繰返し単位とは、特記しない場合、50重量%以上を超えて含まれる繰返し単位をいう。

0031

セグメントSAとセグメントSBとを同一分子内に有するポリマーAは、セグメントSAを有することにより研磨対象物表面に対して適度な親和性を示すので、ヘイズレベルの低減や濡れ性の向上に適している。また、セグメントSAと同一分子内に存在するセグメントSB、すなわちセグメントSAと化学結合しているセグメントSBを利用して、ポリマーA全体としての砥粒に対する親和性を調節し、上記(2)を満たすポリマーAを好適に実現することができる。以下、一分子中にセグメントSAとセグメントSBとを含むポリマーAを「ポリマーASAB」と表記することがある。

0032

ポリマーASABの構造は、少なくとも一つのセグメントSAと少なくとも一つのセグメントSBとを同一分子内に含み、かつ条件(2)が満たされるように選択すればよく、特に限定されない。ポリマーASABは、例えば、セグメントSAとセグメントSBとを含むブロック共重合体グラフト共重合体ランダム共重合体であり得る。上記グラフト共重合体の構造は特に限定されず、例えば、セグメントSA(主鎖)にセグメントSB(側鎖)がグラフトした構造のグラフト共重合体であってもよく、セグメントSB(主鎖)にセグメントSA(側鎖)がグラフトした構造のグラフト共重合体であってもよい。セグメントSBの選択によってポリマーAの吸着性を調節しやすいという観点から、一態様において、ポリマーASABとしてグラフト共重合体を好ましく採用し得る。例えば、セグメントSAにセグメントSBがグラフトした構造のポリマーASABを用いることができる。

0033

〔セグメントSA〕
セグメントSAは、繰返し単位としてVA単位のみを含んでいてもよく、VA単位と非VA単位とを含んでいてもよい。セグメントSAが非VA単位を含む態様において、該非VA単位は、例えば、オキシアルキレン基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、水酸基、アミド基、イミド基、ニトリル基、エーテル基、エステル基、およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1つの構造を有する繰返し単位であり得る。セグメントSAは、一種類の非VA単位のみを含んでもよく、二種類以上の非VA単位を含んでもよい。

0034

セグメントSAに含まれ得る非VA単位の好適例として、アルキルビニルエーテル単位(すなわち、アルキルビニルエーテルに由来する繰返し単位)や、モノカルボン酸ビニルエステル単位(すなわち、モノカルボン酸ビニルエステルに由来する繰返し単位)等が挙げられる。上記アルキルビニルエーテルの非限定的な例として、プロピルビニルエーテルブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。上記アルキルビニルエーテル単位の好ましい具体例として、プロピルビニルエーテル単位、ブチルビニルエーテル単位、2−エチルヘキシルビニルエーテル単位等が挙げられる。また、上記モノカルボン酸ビニルエステルの非限定的な例として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル酪酸ビニルイソ酪酸ビニルヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリン酸ビニルミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルピバリン酸ビニル等が挙げられる。上記モノカルボン酸ビニルエステル単位の好ましい具体例として、酢酸ビニル単位、プロピオン酸ビニル単位、ヘキサン酸ビニル単位等が挙げられる。

0035

セグメントSAを構成する全繰返し単位のモル数に占めるVA単位のモル数の割合は、典型的には50%以上であり、通常は65%以上が適当であり、好ましくは75%以上、例えば80%以上である。好ましい一態様において、セグメントSAを構成する全繰返し単位のモル数に占めるVA単位のモル数の割合は、例えば90%以上であってよく、95%以上でもよく、98%以上でもよい。セグメントSAを構成する繰返し単位の実質的に100%がVA単位であってもよい。ここで「実質的に100%」とは、少なくとも意図的にはセグメントSAとして非VA単位を含有させないことをいう。

0036

〔セグメントSB〕
セグメントSBを構成する非VA単位は、例えば、オキシアルキレン基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、水酸基、アミド基、イミド基、ニトリル基、エーテル基、エステル基、およびこれらの塩から選ばれる少なくとも1つの構造を有する繰返し単位であり得る。セグメントSBを構成する非VA単位は、一種類であってもよく二種類以上であってもよい。

0037

一態様において、セグメントSBは、オキシアルキレン単位を主繰返し単位として含むセグメント、すなわちオキシアルキレン系セグメントであり得る。オキシアルキレン系セグメントに含まれる全繰返し単位のモル数に占めるオキシアルキレン単位のモル数の割合は、特に限定されず、上記条件(2)を満たすポリマーAが形成されるように設定することができる。上記割合は、例えば50%超であってよく、70%以上であってもよく、85%以上であってもよく、95%以上であってもよい。オキシアルキレン系セグメントに含まれる繰返し単位の実質的に全部がオキシアルキレン単位であってもよい。

0038

オキシアルキレン単位の例としては、オキシエチレン単位オキシプロピレン単位オキシブチレン単位等が挙げられる。このようなオキシアルキレン単位は、それぞれ、対応するアルキレンオキサイドに由来する繰返し単位であり得る。オキシアルキレン系セグメントに含まれるオキシアルキレン単位は、一種類であってもよく、二種類以上であってもよい。例えば、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位とを組合せで含むオキシアルキレン系セグメントであってもよい。

0039

二種類以上のオキシアルキレン単位を含むオキシアルキレン系セグメントにおいて、それらのオキシアルキレン単位は、対応するアルキレンオキシドのランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。各オキシアルキレン単位のモル比は特に制限されず、上記条件(2)を満たすポリマーAが形成されるように設定することができる。一態様において、オキシアルキレン系セグメントは、該セグメントに含まれる全繰返し単位のモル数に占めるオキシエチレン単位のモル数の割合が50%超であってよく、70%以上であってもよく、85%以上であってもよく、95%以上であってもよく、100%であってもよい。

0040

他の一態様において、セグメントSBは、N−ビニル型のモノマー単位を主繰返し単位として含むセグメント、すなわちN−ビニル系セグメントであり得る。N−ビニル系セグメントに含まれる全繰返し単位のモル数に占めるN−ビニル型モノマー単位のモル数の割合は、特に限定されず、上記条件(2)を満たすポリマーAが形成されるように設定することができる。上記割合は、例えば50%超であってよく、70%以上であってもよく、85%以上であってもよく、95%以上であってもよい。N−ビニル系セグメントに含まれる繰返し単位の実質的に全部がN−ビニル型モノマー単位であってもよい。

0041

N−ビニル系セグメントに含まれるN−ビニル型のモノマー単位は、後述するようなN−ビニルラクタムモノマーやN−ビニル鎖状アミドに由来する繰返し単位であり得る。セグメントSBは、例えば、N−ビニルピロリドン(VP)やN−ビニルカプロラクタムVC)等のN−ビニルラクタム型モノマーに由来する繰返し単位を主繰返し単位とするN−ビニル系セグメント、すなわちN−ビニルラクタム系セグメントであり得る。一態様において、N−ビニルラクタム系セグメントは、該セグメントに含まれる全繰返し単位のモル数に占めるVP単位のモル数の割合が、例えば50%超であってよく、70%以上であってもよく、85%以上であってもよく、95%以上であってもよく、100%であってもよい。ここでVP単位とは、VPに由来する繰返し単位のことをいう。

0042

〔VA単位およびVP単位を含むランダム共重合体〕
いくつかの態様において、上記条件(1)および(2)を満たすポリマーAは、上記VA単位およびVP単位を含むランダム共重合体であり得る。かかるランダム共重合体は、VA単位に変換され得るモノマーとN−ビニルピロリドンとのランダム共重合体を変性することにより形成され得る。例えば、酢酸ビニルとN−ビニルピロリドンとのランダム共重合体を部分けん化または完全けん化することにより、VA単位およびVP単位を含むランダム共重合体を得ることができる。かかるランダム共重合体におけるVA単位:VP単位のモル比は、例えば50:50以上であってよく、65:35以上でもよく、70:30以上でもよく、75:25以上でもよく、80:20以上でもよい。いくつかの態様において、VA単位:VP単位のモル比は、85:15以上でもよく、90:10以上または90:10超でもよい。また、VA単位:VP単位のモル比は、例えば99:1以下であってよく、98:2以下でもよく、97:3以下でもよい。いくつかの態様において、VA単位:VP単位のモル比は、95:5以下でもよく、93:7以下でもよい。

0043

〔ポリマーAのMwおよびMn〕
ポリマーAの重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。ポリマーAのMwは、通常、1.0×104以上であることが適当であり、1.2×104以上であってもよく、1.5×104以上であってもよい。ポリマーAのMwの増大につれて、研磨後の表面の濡れ性が高まる傾向にある。ポリマーAのMwは、通常、100×104以下が適当であり、50×104以下が好ましく、30×104以下であってもよく、例えば20×104以下であってもよい。ポリマーAのMwの低下により、該ポリマーAがより均一に砥粒に吸着し、研磨対象物表面に与える局所的なストレスを軽減する効果が安定して発揮される傾向にある。一態様において、ポリマーAのMwは、15×104以下であってよく、10×104以下であってもよく、7×104以下でもよく、5×104以下でもよく、4×104以下でもよく、例えば3×104以下でもよい。

0044

ポリマーAが一分子内にセグメントSAとセグメントSBとを含むブロック共重合体である場合、該ブロック共重合体を構成する各セグメントのMw、すなわちセグメントSAおよびセグメントSBの各々のMwは、特に限定されない。一態様において、上記各セグメントのMwは、例えば500以上であり得、通常は1000以上であることが適当であり、3000以上、さらには5000以上であってもよい。各セグメントのMwは、通常、ポリマーAのMw未満であって、かつ30×104以下、または10×104以下、または5×104以下、または2×104以下であり、1×104以下であってもよい。

0045

ここに開示される研磨用組成物に含まれるポリマーAにおいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との関係は特に制限されない。凝集物の発生防止等の観点から、通常、ポリマーAの分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは10.0以下、より好ましくは7.0以下、例えば5.0以下であり得る。一態様において、ポリマーAのMw/Mnは、3.0以下であってよく、2.0以下であってもよい。

0046

(ポリマーB)
ここに開示される研磨用組成物における水溶性高分子は、ポリマーAに加えて、ポリマーAに該当しないポリマー、すなわち上述した条件(1)および条件(2)の一方または両方を満たさないポリマーを含んでいてもよい。以下、ポリマーAに該当しないポリマーを「ポリマーB」ともいう。ポリマーBの使用により、LPD−N数の低減、ヘイズレベルの低減、濡れ性の向上、砥粒の分散性向上、等のうち1または2以上の効果がもたらされ得る。ポリマーBは、一種を単独でまたは二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。

0047

ポリマーBとしては、例えば、オキシアルキレン単位を含むポリマー、窒素原子を含有するポリマー、セルロース誘導体デンプン誘導体、ビニルアルコール単位含有ポリマー、等であって、条件(1)および条件(2)の一方または両方を満たさないものを適宜選択して使用し得る。

0048

オキシアルキレン単位を含むポリマーとしては、ポリエチレンオキサイド(PEO)や、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)またはブチレンオキサイド(BO)とのブロック共重合体、EOとPOまたはBOとのランダム共重合体等が例示される。そのなかでも、EOとPOのブロック共重合体またはEOとPOのランダム共重合体が好ましい。EOとPOとのブロック共重合体は、PEOブロックとポリプロピレンオキサイド(PPO)ブロックとを含むジブロック共重合体トリブロック共重合体等であり得る。上記トリブロック共重合体の例には、PEO−PPO−PEO型トリブロック共重合体およびPPO−PEO−PPO型トリブロック共重合体が含まれる。通常は、PEO−PPO−PEO型トリブロック共重合体がより好ましい。

0049

なお、本明細書中において共重合体とは、特記しない場合、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の各種の共重合体を包括的に指す意味である。

0050

窒素原子を含有するポリマーの非限定的な例には、N−ビニルラクタムやN−ビニル鎖状アミド等のようなN−ビニル型のモノマー単位を含むポリマー;イミン誘導体;N−(メタ)アクリロイル型のモノマー単位を含むポリマー;等が含まれる。

0051

N−ビニル型のモノマー単位を含むポリマーの例には、窒素を含有する複素環を有するモノマーに由来する繰返し単位を含むポリマーが含まれる。窒素を含有する複素環の一例として、ラクタム環が挙げられる。かかる繰返し単位を含むポリマーの例には、N−ビニルラクタム型モノマーの単独重合体および共重合体や、N−ビニル鎖状アミドの単独重合体および共重合体等が含まれる。上記N−ビニルラクタム型モノマー共重合体は、例えば、N−ビニルラクタム型モノマーの共重合割合が50重量%を超える共重合体であり得る。上記N−ビニル鎖状アミドの共重合体は、例えば、N−ビニル鎖状アミドの共重合割合が50重量%を超える共重合体であり得る。

0052

N−ビニルラクタム型モノマーの具体例としては、N−ビニルピロリドン(VP)、N−ビニルピペリドン、N−ビニルモルホリノン、N−ビニルカプロラクタム(VC)、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオン等が挙げられる。N−ビニルラクタム型のモノマー単位を含むポリマーの具体例としては、ポリビニルピロリドンポリビニルカプロラクタム、VPとVCとのランダム共重合体、VPおよびVCの一方または両方と他のビニルモノマーとのランダム共重合体、VPおよびVCの一方または両方を含むポリマー鎖を含むブロック共重合体やグラフト共重合体等が挙げられる。上記他のビニルモノマーは、例えば、アクリル系モノマー、ビニルエステル系モノマー等であり得る。ここでアクリル系モノマーとは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーをいう。
N−ビニル鎖状アミドの具体例としては、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオン酸アミド、N−ビニル酪酸アミド等が挙げられる。

0053

N−(メタ)アクリロイル型のモノマー単位を含むポリマーの例には、N−(メタ)アクリロイル型モノマーの単独重合体および共重合体が含まれる。N−(メタ)アクリロイル型モノマーの例には、N−(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドおよびN−(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドが含まれる。上記N−(メタ)アクリロイル型モノマーの共重合体は、例えば、N−(メタ)アクリロイル型モノマーの共重合割合が50重量%を超える共重合体であり得る。

0054

N−(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドの例としては、(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(n−ブチル)(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。N−(メタ)アクリロイル基を有する鎖状アミドをモノマー単位として含むポリマーの例として、N−イソプロピルアクリルアミドの単独重合体およびN−イソプロピルアクリルアミドの共重合体が挙げられる。上記N−イソプロピルアクリルアミドの共重合体は、例えば、N−イソプロピルアクリルアミドの共重合割合が50重量%を超える共重合体であり得る。

0055

N−(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドの例としては、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン等が挙げられる。N−(メタ)アクリロイル基を有する環状アミドをモノマー単位として含むポリマーの例として、N−アクリロイルモルホリンの単独重合体およびN−アクリロイルモルホリンの共重合体(が挙げられる。上記N−アクリロイルモルホリンの共重合体は、例えば、N−アクリロイルモルホリンの共重合割合が50重量%を超える共重合体であり得る。

0056

セルロース誘導体は、主繰返し単位としてβ−グルコース単位を含むポリマーである。セルロース誘導体の具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシエチルメチルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースメチルセルロースエチルセルロースエチルヒドロキシエチルセルロースカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。なかでもヒドロキシエチルセルロース(HEC)が好ましい。

0057

デンプン誘導体は、主繰返し単位としてα−グルコース単位を含むポリマーである。デンプン誘導体の具体例としては、アルファ化デンプンプルランカルボキシメチルデンプンシクロデキストリン等が挙げられる。なかでもプルランが好ましい。

0058

ポリマーBに該当するビニルアルコール単位含有ポリマーの例には、VA単位のみを含むものと、VA単位と非VA単位とを含むが条件(2)を満たさないものとが含まれる。ポリマーBとして用いられるビニルアルコール単位含有ポリマーは、典型的には、主たる繰返し単位としてVA単位を含み、かつ条件(2)を満たさないポリマーである。当該ポリマーにおいて、全繰返し単位のモル数に占めるVA単位のモル数の割合は、例えば50%超であり、65%以上であってもよく、70%以上であってもよく、75%以上であってもよい。ポリマーBとして用いられるビニルアルコール単位含有ポリマーにおいて、非VA単位の種類は特に限定されず、例えばプロピルビニルエーテル単位、ブチルビニルエーテル単位、2−エチルヘキシルビニルエーテル単位、酢酸ビニル単位、プロピオン酸ビニル単位、ヘキサン酸ビニル単位等から選択される一種または二種以上であり得る。

0059

ポリマーBとして用いられるビニルアルコール単位含有ポリマーは、実質的にVA単位のみを含むポリマーであってもよい。ここで「実質的に」とは、典型的には、全繰返し単位の95%以上がビニルアルコール単位であることをいう。なお、実質的にVA単位のみを含むビニルアルコール単位含有ポリマーは、通常、吸着パラメータが5未満、例えば3以下、典型的にはほぼゼロであり、したがって条件(2)を満たさない。

0060

〔ポリマーBのMwおよびMn〕
水溶性高分子がポリマーBを含む態様において、ポリマーBのMwは特に限定されない。濾過性洗浄性等の観点から、例えば、Mwが200×104以下または150×104以下のものを用いることができる。また、ポリマーBのMwは、典型的には1×104以上である。

0061

より好ましいMwの範囲は、ポリマーBの種類によっても異なり得る。
例えば、ポリマーBとしてのセルロース誘導体およびデンプン誘導体のMwは、それぞれ、典型的には200×104未満、好ましくは170×104以下、より好ましくは150×104以下であり、100×104以下であってもよく、例えば50×104以下であってもよい。この種のポリマーBのMwは、典型的には1×104以上、好ましくは2×104以上であり、3×104以上でもよく、5×104以上でもよく、7×104以上でもよく、15×104以上でもよく、30×104以上ででもよい。
また、例えばオキシアルキレン単位を含むポリマー、窒素原子を含有するポリマーおよびビニルアルコール単位含有ポリマーのMwは、それぞれ、好ましくは100×104以下、より好ましくは60×104以下であり、30×104以下であってもよく、20×104以下であってもよく、例えば10×104以下であってもよい。この種のポリマーBのMwは、それぞれ、典型的には1×104以上であり、1.2×104以上であってもよく、1.5×104以上であってもよく、例えば3×104以上であってもよい。

0062

ポリマーBのMw/Mnは、特に制限されない。凝集物の発生防止等の観点から、通常、Mw/Mnが10.0以下であるものが好ましく、7.0以下であるものがより好ましく、5.0以下であるものがさらに好ましい。

0063

なお、本明細書において、水溶性高分子や界面活性剤のMwおよびMnとしては、水系のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)に基づく値(水系、ポリエチレンオキサイド換算)を採用することができる。

0064

(水溶性高分子の含有量等)
特に限定するものではないが、研磨用組成物における水溶性高分子の含有量は、砥粒100重量部に対して、例えば0.01重量部以上とすることができる。砥粒100重量部に対する水溶性高分子の含有量は、研磨後の表面平滑性向上の観点から、通常、0.1重量部以上が適当であり、0.5重量部以上でもよく、1重量部以上でもよく、例えば1.5重量部以上でもよい。また、砥粒100重量部に対する水溶性高分子の含有量は、例えば50重量部以下であってよく、30重量部以下でもよく、20重量部以下でもよい。研磨速度や洗浄性等の観点から、一態様において、砥粒100重量部に対する水溶性高分子の含有量は、例えば10重量部以下であってよく、7重量部以下でもよく、5重量部以下でもよく、2.5重量部以下でもよく、2.0重量部以下でもよい。

0065

また、ポリマーAの含有量は、研磨用組成物に含まれる砥粒100重量部に対して、例えば0.01重量部以上とすることができる。ポリマーAの使用による効果、例えばLPD−N数の低減等の欠陥低減効果をよりよく発揮する観点から、砥粒100重量部に対するポリマーAの含有量は、通常、0.05重量部以上が適当であり、0.1重量部以上でもよく、0.5重量部以上でもよく、1重量部以上でもよく、1.5重量部以上でもよい。また、砥粒100重量部に対するポリマーAの含有量は、例えば40重量部以下とすることができ、20重量部以下としてもよく、15重量部以下としてもよい。研磨速度や洗浄性等の観点から、一態様において、砥粒100重量部に対するポリマーAの含有量は、10重量部以下であってよく、7重量部以下でもよく、5重量部以下でもよい。ここに開示される研磨用組成物は、砥粒100重量部に対するポリマーAの含有量が2.5重量部以下、例えば2.0重量部以下である態様でも好ましく実施されて、表面欠陥を低減する効果を好適に発揮し得る。

0066

水溶性高分子としてポリマーAおよびポリマーBを含む研磨用組成物において、該水溶性高分子全体に占めるポリマーAの割合、すなわちポリマーAとポリマーBとの合計重量に占めるポリマーAの割合は、重量基準で、例えば5%以上とすることができ、10%以上としてもよい。より高い効果を得る観点から、通常は、上記割合を30%以上とすることが適当であり、50%超とすることが好ましく、70%以上としてもよく、85%以上としてもよく、95%以上としてもよく、例えば99%以上としてもよい。

0067

ポリマーBとしてHEC等のセルロース誘導体を用いる場合、その使用量は、水溶性高分子全体の40重量%以下に抑えることが好ましく、25重量%以下とすることがより好ましく、10重量%以下とすることがより好ましく、5重量%以下とすることがさらに好ましい。セルロース誘導体の使用量を制限することにより、天然物に由来するセルロース誘導体に起因する異物の混入や凝集の発生を抑制することができる。ここに開示される研磨用組成物は、セルロース誘導体を実質的に含有しない態様で好ましく実施され得る。

0068

ここに開示される研磨用組成物は、砥粒1017個当たりのポリマーAの含有量が10mg以上となる態様で好ましく実施され得る。また、ここに開示される研磨用組成物は、砥粒1017個当たりのポリマーAの含有量が1000mg以下となる態様で好ましく実施され得る。ここで、砥粒数の算出は、研磨用組成物中に含まれる砥粒の重量、砥粒のBET径、および砥粒の比重に基づいて行うことができる。砥粒1017個当たりのポリマーAの含有量は、上記砥粒数および研磨用組成物中に含まれるポリマーAの重量から算出することができる。砥粒に対して所定の吸着パラメータを満たすレベルの吸着性を示すポリマーAを、該砥粒の個数当たり所定重量以上となるように含むことにより、上記砥粒が研磨対象物の表面に与え得る局部的なストレスを効果的に軽減し、ポリマーAによる欠陥低減効果を効率よく実現することができる。また、砥粒の個数当たりのポリマーAの含有量が所定値以下となるように研磨用組成物の組成を選択することにより、砥粒のポリマーAに対する過剰な吸着を抑制し、研磨対象物に対する研磨効果を効率よく発揮することができる。ここに開示される研磨用組成物の一態様において、砥粒1017個当たりのポリマーAの含有量は、例えば600mg以下であってよく、400mg以下であってもよく、300mg以下であってもよく、200mg以下であってもよい。より高い研磨効果を得る観点から、一態様において、上記砥粒1017個当たりのポリマーAの含有量は、175mg以下であってよく、例えば150mg以下であってもよく、125mg以下であってもよく、100mg以下であってもよい。また、ポリマーAによる欠陥低減効果を好適に発揮する観点から、一態様において、砥粒1017個当たりのポリマーAの含有量は、10mgより多くすることができ、例えば15mg以上であってよく、20mg以上であってもよく、30mg以上であってもよい。

0069

ここに開示される研磨用組成物は、次式:砥粒緩衝指数=(WA×Q)/S;により算出される砥粒緩衝指数が1mg/m2〜40mg/m2となる態様で好ましく実施され得る。ここで、上記式中のSは、上記研磨用組成物に含まれる砥粒の総表面積[m2]である。上記式中のWAは、上記研磨用組成物に含まれるポリマーAの総量[mg]である。上記式中のQは、上述した吸着パラメータである。より砥粒緩衝指数の高い研磨用組成物は、砥粒の表面積当たりのポリマーAの吸着量がより多くなる傾向にある。したがって、上記砥粒緩衝指数が所定値以上となるように研磨用組成物の組成を選択することにより、ポリマーAによる欠陥低減効果を効率よく実現することができる。また、上記砥粒緩衝指数が所定値以下となるように研磨用組成物の組成を選択することにより、研磨能率の過度の低下を抑えつつ欠陥の低減を図ることができる。特に限定するものではないが、一態様において、上記砥粒緩衝指数は、例えば3mg/m2以上であってよく、5mg/m2以上であってもよく、例えば10mg/m2以上であってもよい。また、一態様において、上記砥粒緩衝指数は、30mg/m2以下であってよく、例えば25mg/m2以下であってもよく、20mg/m2以下であってもよく、15mg/m2以下であってもよい。

0070

<水>
ここに開示される研磨用組成物に含まれる水としては、イオン交換水脱イオン水)、純水、超純水蒸留水等を好ましく用いることができる。使用する水は、研磨用組成物に含有される他の成分の働きが阻害されることを極力回避するため、例えば遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下であることが好ましい。例えば、イオン交換樹脂による不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等の操作によって水の純度を高めることができる。

0071

<塩基性化合物>
ここに開示される研磨用組成物は、塩基性化合物を含有する。本明細書において塩基性化合物とは、水に溶解して水溶液のpHを上昇させる機能を有する化合物を指す。塩基性化合物としては、窒素を含む有機または無機の塩基性化合物、アルカリ金属水酸化物アルカリ土類金属の水酸化物、各種の炭酸塩や炭酸水素塩等を用いることができる。窒素を含む塩基性化合物の例としては、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物、アンモニア、アミン等が挙げられる。上記アミンとしては、水溶性アミンが好ましい。このような塩基性化合物は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。

0072

アルカリ金属の水酸化物の具体例としては、水酸化カリウム水酸化ナトリウム等が挙げられる。炭酸塩または炭酸水素塩の具体例としては、炭酸水素アンモニウム炭酸アンモニウム炭酸水素カリウム炭酸カリウム炭酸水素ナトリウム炭酸ナトリウム等が挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミンジメチルアミントリメチルアミンエチルアミンジエチルアミントリエチルアミンエチレンジアミンモノエタノールアミン、N−(β−アミノエチルエタノールアミンヘキサメチレンジアミンジエチレントリアミントリエチレンテトラミン無水ピペラジンピペラジン六水和物、1−(2−アミノエチル)ピペラジン、N−メチルピペラジングアニジンイミダゾールトリアゾール等のアゾール類等が挙げられる。第四級ホスホニウム化合物の具体例としては、水酸化テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラエチルホスホニウム等の水酸化第四級ホスホニウムが挙げられる。

0073

第四級アンモニウム化合物としては、テトラアルキルアンモニウム塩ヒドロキシアルキルトリアルキルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩を好ましく用いることができる。かかる第四級アンモニウム塩におけるアニオン成分は、例えば、OH−、F−、Cl−、Br−、I−、ClO4−、BH4−等であり得る。第四級アンモニウム塩としては、強塩基のものが好ましい。なかでも好ましい例として、アニオンがOH−である第四級アンモニウム塩、すなわち水酸化第四級アンモニウムが挙げられる。水酸化第四級アンモニウムの具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウムおよび水酸化テトラヘキシルアンモニウム等の水酸化テトラアルキルアンモニウム;水酸化2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムコリンともいう。)等の水酸化ヒドロキシアルキルトリアルキルアンモニウム;等が挙げられる。

0074

これらの塩基性化合物のうち、例えば、アルカリ金属水酸化物、水酸化第四級アンモニウムおよびアンモニアから選択される少なくとも一種の塩基性化合物を好ましく使用し得る。なかでも水酸化テトラメチルアンモニウム等の水酸化テトラアルキルアンモニウムおよびアンモニアがより好ましく、アンモニアが特に好ましい。

0075

水溶性有機化合物
ここに開示される研磨用組成物には、任意成分として、重量平均分子量(Mw)が1×104未満の水溶性有機化合物を含有させることができる。かかる水溶性有機化合物の使用により、LPD−N数をさらに低減し得る。水溶性有機化合物は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。

0076

(界面活性剤)
ここに開示される研磨用組成物の任意成分として用いられ得る水溶性有機化合物の例には、以下に説明する界面活性剤が含まれる。界面活性剤は、LPD−N数に寄与し得るほか、ヘイズレベルの低減にも役立ち得る。

0077

界面活性剤としては、アニオン性カチオン性、ノニオン性、両性のいずれのものも使用可能である。通常は、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤を好ましく採用し得る。低起泡性やpH調整の容易性の観点から、ノニオン性の界面活性剤がより好ましい。例えば、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン重合体ポリオキシエチレンアルキルエーテルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルポリオキシエチレンアルキルアミンポリオキシエチレン脂肪酸エステルポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステルポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン誘導体、例えば、ポリオキシアルキレン付加物複数種のオキシアルキレンの共重合体、例えば、ジブロック型共重合体、トリブロック型共重合体、ランダム型共重合体、交互共重合体;等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。

0078

ノニオン性界面活性剤の具体例としては、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とのブロック共重合体、EOとPOとのランダム共重合体、ポリオキシエチレングリコールポリオキシエチレンプロピルエーテル、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンペンチルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルポリオキシエチレンイソステアリルエーテルポリオキシエチレンオレイルエーテルポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミンポリオキシエチレンオレイルアミンポリオキシエチレンモノラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジオレインエステルモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンモノパルチミン酸ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタントリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットポリオキシエチレンヒマシ油ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。上記EOとPOとのブロック共重合体の例には、ジブロック型共重合体、PEO(ポリエチレンオキサイド)−PPO(ポリプロピレンオキサイド)−PEO型のトリブロック体、PPO−PEO−PPO型のトリブロック共重合体等が含まれる。なかでも好ましい界面活性剤として、EOとPOとのブロック共重合体、EOとPOとのランダム共重合体およびポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。EOとPOとのブロック共重合体の一好適例として、PEO−PPO−PEO型のトリブロック共重合体が特に好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの一好適例として、ポリオキシエチレンデシルエーテルが挙げられる。

0079

アニオン性界面活性剤はとは、水中で解離して陰イオンとなる官能基および疎水性基を有し、界面活性作用を有する化合物をいう。アニオン性界面活性剤は、例えば、硫酸系、スルホン酸系、リン酸系、ホスホン酸系カルボン酸系等に分類することができる。アニオン界面活性剤の具体例には、アルキル硫酸エステルポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル硫酸、アルキル硫酸アルキルエーテル硫酸エステル高級アルコール硫酸エステル、アルキルリン酸エステルアルキルベンゼンスルホン酸α−オレフィンスルホン酸、アルキルスルホン酸スチレンスルホン酸アルキルナフタレンスルホン酸アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスルホコハク酸、アルキルスルホコハク酸、上述したいずれかの化合物の塩、等が含まれる。アルキルスルホン酸の一具体例としてドデシルスルホン酸が挙げられる。アニオン性界面活性剤の他の例として、タウリン系界面活性剤ザルコシネート系界面活性剤、イセチオネート系界面活性剤、N−アシル酸性アミノ酸系界面活性剤、高級脂肪酸塩、アシル化ポリペプチド等が挙げられる。

0080

いくつかの態様において、ポリオキシアルキレン構造を含むアニオン性界面活性剤を好ましく採用し得る。上記ポリオキシアルキレン構造とは、オキシアルキレン単位が2以上、好ましくは3以上連続する繰返し構造をいう。上記オキシアルキレン単位は、対応するアルキレンオキサイドに由来する繰返し単位であり得る。したがって、オキシアルキレン単位の繰返し数は、アルキレンオキサイドの付加モル数としても把握され得る。

0081

上記オキシアルキレン単位は、炭素原子数2以上18以下のオキシアルキレン基であると好ましい。ここで、アルキレン基は、アリール基で置換されていてもよい。このようなオキシアルキレン基は、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等から誘導され得る。入手の容易性や、研磨用組成物中において界面活性剤が分散しやすくなり、より研磨表面のヘイズを低減しやすいという観点から、オキシアルキレン単位は、炭素原子数2以上10以下のオキシアルキレン基であるとより好ましく、炭素原子数2以上4以下のオキシアルキレン基であるとさらに好ましい。なかでも好ましいオキシアルキレン単位として、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基が挙げられる。オキシエチレン基が特に好ましい。

0082

ポリオキシアルキレン構造を含むアニオン性界面活性剤は、硫酸エステル(R−O−SO3−H+)およびその塩(R−O−SO3−M+)、スルホン酸(R−SO3−H+)およびその塩(R−SO3−M+)、カルボン酸(R−COO−H+)およびその塩(R−COO−M+)、ならびにリン酸エステル(R−O−PO(O−H+)2)およびその塩(R−O−PO(O−H+)(O−M+)またはR−O−PO(O−M+)2)からなる群から選択されると好ましいが、これらに限定されない。なお、上記において、「R」は、ポリオキシアルキレン構造を含む有機基を表す。また、上記において、「M+」は、金属カチオンアンモニウムカチオン等の種々のカチオンを表す。ヘイズを低減しやすいという観点から、アニオン性界面活性剤は、硫酸エステルおよびその塩、カルボン酸およびその塩、ならびにリン酸エステルおよびその塩からなる群から選択されると好ましく、硫酸エステルおよびその塩、ならびにカルボン酸およびその塩からなる群から選択されるとより好ましい。ここで、ヘイズをより効果的に低減できるという観点から、カルボン酸およびその塩は、ポリオキシアルキレン構造を含む有機基を有する酢酸(R’−CH2COO−H+)およびその塩(R’−CH2COO−M+)からなる群から選択されることが好ましい。ここで「R’」は、ポリオキシアルキレン構造を含む有機基を表す。よって、ヘイズ低減効果をより向上するという観点から、アニオン性界面活性剤は、硫酸エステルおよびその塩、ならびに上記酢酸およびその塩からなる群から選択されると特に好ましい。

0083

上記「M+」によって分類した場合において、上記塩の種類としては、ナトリウムカリウム等のアルカリ金属塩カルシウムマグネシウム等の2族元素の塩、アンモニウム塩トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、等が挙げられる。

0084

また、アニオン性界面活性剤の一分子には、上記のアニオン部分(すなわち、「−O−SO3−」部分、「SO3−」部分、「COO−」部分、「−O−PO(OH)O−」部分および「−O−PO(O−)2」)から選択される二種以上が含まれていてもよい。

0085

ポリオキシアルキレン構造を含むアニオン性界面活性剤において、該ポリオキシアルキレン構造を構成するオキシアルキレン単位の平均付加モル数は、3を超えて25以下であることが好ましい。オキシアルキレン単位の平均付加モル数が3を超えるアニオン性界面活性剤によると、該アニオン性界面活性剤がシリコン基板等の研磨対象物表面を保護することにより、高いヘイズ低減効果が発揮されやすくなる。また、アニオン性界面活性剤に含まれるオキシアルキレン単位の平均付加モル数が25を超えると、該アニオン性界面活性剤によるシリコン基板等の研磨対象物の表面保護が過剰になり、研磨速度が低下しやすくなることがあり得る。研磨速度の低下を抑えつつヘイズを低減する観点から、オキシアルキレン単位の平均付加モル数は、4以上であると好ましく、4.5以上であるとより好ましい。また、同様の観点から、オキシアルキレン単位の平均付加モル数は、20以下であると好ましく、18以下であるとより好ましい。以上より、へイズの低減と研磨速度の向上とを両立させるという観点からは、オキシアルキレン単位の平均付加モル数は、4以上20以下であると好ましく、4.5以上18以下であるとより好ましい。いくつかの態様において、オキシアルキレン単位の平均付加モル数は、例えば6以上でもよく、10以上でもよく、14以上でもよい。
なお、上記「平均付加モル数」とは、界面活性剤1モル中において付加しているアルキレンオキサイドのモル数(すなわち、オキシアルキレン単位のモル数)の平均値を意味する。2以上の異なるオキシアルキレン単位が界面活性剤中に含まれる場合は、それらの平均値を採用するものとする。また、上記アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、1H−NMRガスクロマトグラフィーGC)、GPC、ゲル漉過クロマトグラフィー(GFC)、滴定法等により適宜測定することができる。

0086

場合によっては、アニオン性界面活性剤中において、2以上の異なるオキシアルキレン単位が存在していてもよい。ポリオキシアルキレン鎖の製造の容易性や構造の制御のしやすさの観点からは、オキシアルキレン単位は、同一の繰り返しであることが好ましい。

0087

ポリオキシアルキレン構造を含むアニオン性界面活性剤として用いられる硫酸エステルおよびその塩としては、特に制限されないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル硫酸;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウムポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル硫酸アミン、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられる。これらのなかでも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウムが好ましい。

0088

ポリオキシアルキレン構造を含むアニオン性界面活性剤として用いられるスルホン酸およびその塩としては、特に制限されないが、例えば、ポリオキシエチレンオクチルスルホン酸、ポリオキシエチレンラウリルスルホン酸、ポリオキシエチレンパルミチルスルホン酸、ポリオキシエチレンオクチルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンラウリルベンゼンスルホン酸;ポリオキシエチレンオクチルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンパルミチルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリオキシエチレンオクチルスルホン酸およびポリオキシエチレンオクチルスルホン酸ナトリウムが好ましい。

0089

ポリオキシアルキレン構造を含むアニオン性界面活性剤として用いられるカルボン酸およびその塩としては、特に制限されないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンオクチルエーテル酢酸ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸アンモニウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸アンモニウム、ポリオキシエチレンオクチルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルエーテル酢酸アンモニウム等の、ポリオキシアルキレン構造を含む酢酸およびその塩が挙げられる。これらのなかでも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウムおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸アンモニウムが好ましい。

0090

ポリオキシアルキレン構造を含むアニオン性界面活性剤として用いられるリン酸エステルおよびその塩としては、特に制限されないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキル(12−15)エーテルリン酸;ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンパルミチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル(12−15)エーテルリン酸カリウム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリオキシエチレンアルキル(12−15)エーテルリン酸およびポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウムが好ましい。

0091

また、一分子中に上記のアニオン部分を二種以上含むアニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸二ナトリウム塩、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミド二ナトリウム塩等が挙げられる。

0092

このようなアニオン性界面活性剤において、ω位末端疎水性基の構造は特に制限されないが、例えば、置換または非置換のC2以上C30以下のアルキル基、置換または非置換のC3以上C20以下のシクロアルキル基、置換または非置換のC1以上C30以下のアルキルエステル基、置換または非置換のC6以上C20以下のアリール基、C1以上C30以下のアルキル基を有するモノまたはジアルキルアミド基、C1以上C30以下のアルキル基を有するモノまたはジアルキルアミノ基等で置換されていてもよく、またソルビタン構造を有していてもよい。ここで「CX以上CY以下」とは、炭素原子数がX以上Y以下であることを表している。

0093

上記アルキル基としては、例えば、エチル基、n−プロピル基イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基n−ヘキシル基、n−へブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基などが挙げられる。

0094

上記シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。

0095

上記アルキルエステル基としては、例えば、メチルエステル基エチルエステル基、n−プロピルエステル基、i−プロピルエステル基、n−ブチルエステル基、2−メチルプロピルエステル基などが挙げられる。

0096

上記アリール基としては、例えば、フェニル基、o−,m−もしくはp−トリル基などが挙げられる。

0097

本明細書において、「置換または非置換の」基とは、当該基のなかの水素原子が、フッ素原子塩素原子臭素原子等のハロゲン原子シアノ基ニトロ基ヒドロキシ基;C1以上C10以下の直鎖状または分枝状のアルキル基;C1以上C10以下の直鎖状または分岐状のアルコキシ基;C6以上C30以下のアリール基;C2以上C30以下のヘテロアリール基;C5以上C20以下のシクロアルキル基;などの置換基で置換されているか、または非置換であることを意味する。

0098

このようなアニオン性界面活性剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。

0099

いくつかの態様において、ポリオキシアルキレン構造を含むアニオン性界面活性剤としては、上記ポリオキシアルキレン構造がポリオキシエチレン構造であって、該ポリオキシエチレン構造におけるエチレンオキサイドの平均付加モル数が3を超えて25以下であるものを好ましく採用し得る。研磨速度の低下を抑えつつヘイズを低減する観点から、エチレンオキサイドの平均付加モル数は、4以上であると好ましく、4.5以上であるとより好ましい。また、同様の観点から、エチレンオキサイドの平均付加モル数は、20以下であると好ましく、18以下であるとより好ましい。以上より、アニオン性界面活性剤におけるエチレンオキサイドの平均付加モル数は、4以上20以下であると好ましく、4.5以上18以下であるとより好ましい。

0100

界面活性剤の重量平均分子量(Mw)は、典型的には1×104未満であり、濾過性や洗浄性等の観点から9500以下が好ましく、例えば9000未満でもよい。また、界面活性剤のMwは、界面活性能等の観点から、通常、200以上が適当であり、ヘイズレベルを低下させる効果等の観点から250以上が好ましく、例えば300以上でもよい。界面活性剤のMwのより好ましい範囲は、該界面活性剤の種類によっても異なり得る。例えば、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いる場合、そのMwは、2000以下であることが好ましく、1000以下であってもよく、例えば500以下であってもよい。また、例えば界面活性剤としてPEO−PPO−PEO型のトリブロック共重合体を用いる場合、そのMwは、例えば1000以上であり、3000以上、さらには5000以上であってもよい。界面活性剤のMwとしては、GPCにより求められる値(水系、ポリエチレングリコール換算)を採用することができる。

0101

ここに開示される研磨用組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲であれば特に制限はない。通常は、洗浄性等の観点から、砥粒100重量部に対する界面活性剤の含有量は、20重量部以下が適当であり、15重量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましく、例えば6重量部以下でもよい。界面活性剤の使用効果をよりよく発揮させる観点から、砥粒100重量部に対する界面活性剤含有量は、0.001重量部以上が適当であり、0.005重量部以上が好ましく、0.01重量部以上がより好ましく、例えば0.05重量部以上であり得る。いくつかの態様において、上記界面活性剤の含有量は、例えば0.1重量部以上であってもよい。
また、ここに開示される研磨用組成物が界面活性剤を含む場合、水溶性高分子の含有量w1と界面活性剤の含有量w2との重量比(w1/w2)は特に制限されないが、例えば0.01〜100の範囲とすることができ、0.05〜50の範囲が好ましく、0.1〜30の範囲であってもよい。
あるいは、組成の単純化等の観点から、ここに開示される研磨用組成物は、界面活性剤を実質的に含まない態様でも好ましく実施され得る。

0102

<その他の成分>
その他、ここに開示される研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、キレート剤有機酸有機酸塩、無機酸、無機酸塩防腐剤防カビ剤等の、研磨スラリーに用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。上記添加剤は、例えば、シリコンウェーハのポリシング工程に用いられる研磨スラリーに用いられ得る公知の添加剤であり得る。

0103

ここに開示される研磨用組成物は、酸化剤を実質的に含まないことが好ましい。研磨用組成物に酸化剤が含まれていると、例えばシリコンウェーハ等の研磨対象物に上記研磨用組成物が供給されることで該研磨対象物の表面が酸化されて酸化膜が生じ、これにより研磨能率が低下してしまうことがあり得るためである。ここでいう酸化剤の具体例としては、過酸化水素(H2O2)、過硫酸ナトリウム過硫酸アンモニウムジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等が挙げられる。なお、研磨用組成物が酸化剤を実質的に含まないとは、少なくとも意図的には酸化剤を含有させないことをいう。

0104

<pH>
ここに開示される研磨用組成物のpHは、典型的には8.0以上であり、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくは9.3以上、例えば9.5以上である。研磨用組成物のpHが高くなると、研磨能率が向上する傾向にある。一方、砥粒、例えばシリカ粒子の溶解を防いで機械的な研磨作用の低下を抑制する観点から、研磨用組成物のpHは、12.0以下であることが適当であり、11.0以下であることが好ましく、10.8以下であることがより好ましく、10.5以下であることがさらに好ましい。

0105

ここに開示される技術において、液状の組成物のpHは、pHメーターを使用して、標準緩衝液を用いて3点校正した後で、ガラス電極測定対象の組成物に入れて、2分以上経過して安定した後の値を測定することにより把握することができる。上記標準緩衝液は、フタル酸塩pH緩衝液pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液 pH:6.86(25℃)、炭酸塩pH緩衝液 pH:10.01(25℃)である。pHメーターとしては、例えば、堀場製作所製のガラス電極式水素イオン濃度指示計型番F−23またはその相当品を用いることができる。

0106

<用途>
ここに開示される技術における研磨用組成物は、種々の材質および形状を有する研磨対象物の研磨に適用され得る。研磨対象物の材質は、例えば、シリコン、アルミニウムニッケルタングステン、銅、タンタルチタンステンレス鋼等の金属もしくは半金属、またはこれらの合金石英ガラスアルミノシリケートガラスガラス状カーボン等のガラス状物質アルミナ、シリカ、サファイア窒化ケイ素窒化タンタル炭化チタン等のセラミック材料炭化ケイ素窒化ガリウムヒ化ガリウム等の化合物半導体基板材料;ポリイミド樹脂等の樹脂材料;等であり得る。これらのうち複数の材質により構成された研磨対象物であってもよい。

0107

ここに開示される技術における研磨用組成物は、例えばシリコンウェーハ等の、シリコンからなる表面の研磨に特に好ましく使用され得る。ここでいうシリコンウェーハの典型例はシリコン単結晶ウェーハであり、例えば、シリコン単結晶インゴットスライスして得られたシリコン単結晶ウェーハである。

0108

ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物のポリシング工程、例えばシリコンウェーハのポリシング工程に好ましく適用することができる。研磨対象物には、ここに開示される研磨用組成物によるポリシング工程の前に、ラッピングやエッチング等の、ポリシング工程より上流の工程において研磨対象物に適用され得る一般的な処理が施されていてもよい。

0109

ここに開示される研磨用組成物は、例えば、上流の工程によって表面粗さ0.01nm〜100nmの表面状態に調製された研磨対象物、例えばシリコンウェーハのポリシングにおいて好ましく用いられ得る。研磨対象物の表面粗さRaは、例えば、Schmitt Measurement System Inc.社製のレーザースキャン式表面粗さ計「TMS−3000WRC」を用いて測定することができる。ファイナルポリシング(仕上げ研磨)またはその直前のポリシングでの使用が効果的であり、ファイナルポリシングにおける使用が特に好ましい。ここで、ファイナルポリシングとは、目的物の製造プロセスにおける最後のポリシング工程、すなわち、その工程の後にはさらなるポリシングを行わない工程を指す。

0110

<研磨用組成物>
ここに開示される研磨用組成物は、典型的には該研磨用組成物を含む研磨液の形態で研磨対象物に供給されて、その研磨対象物の研磨に用いられる。上記研磨液は、例えば、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を希釈して調製されたものであり得る。研磨用組成物の希釈は、典型的には水により行うことができる。あるいは、該研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。すなわち、ここに開示される技術における研磨用組成物の概念には、研磨対象物に供給されて該研磨対象物の研磨に用いられる研磨液(ワーキングスラリーともいう。)と、希釈して研磨液として用いられる濃縮液との双方が包含される。上記濃縮液は、研磨液の原液としても把握され得る。ここに開示される研磨用組成物を含む研磨液の他の例として、該組成物のpHを調整してなる研磨液が挙げられる。

0111

(研磨液)
研磨液における砥粒の含有量は特に制限されないが、典型的には0.01重量%以上であり、0.05重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.10重量%以上、例えば0.15重量%以上である。砥粒の含有量の増大によって、より高い研磨速度が実現され得る。研磨用組成物中粒子の分散安定性の観点から、通常、上記含有量は、10重量%以下が適当であり、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下、例えば1重量%以下であり、0.7重量%以下でもよい。

0112

研磨液における水溶性高分子の濃度は特に制限されず、例えば0.0001重量%以上とすることができる。ヘイズ低減等の観点から、好ましい濃度は0.0005重量%以上であり、より好ましくは0.001重量%以上、例えば0.003重量%以上であり、0.005重量%以上であってもよい。また、研磨速度等の観点から、水溶性高分子の濃度は、通常、0.2重量%以下とすることが好ましく、0.1重量%以下とすることがより好ましく、0.05重量%以下としてもよく、例えば0.01重量%以下としてもよい。

0113

ここに開示される研磨用組成物が塩基性化合物を含む場合、研磨液における塩基性化合物の濃度は特に制限されない。研磨速度向上等の観点から、通常は、上記濃度を研磨液の0.001重量%以上とすることが好ましく、0.003重量%以上とすることがより好ましく、例えば0.005重量%以上としてもよい。また、ヘイズ低減等の観点から、上記濃度は、研磨液の0.3重量%未満とすることが適当であり、0.1重量%未満とすることが好ましく、0.05重量%未満とすることがより好ましく、例えば0.03重量%未満としてもよい。

0114

ここに開示される研磨用組成物が界面活性剤を含む場合、その含有量は、本発明の効果を著しく阻害しない範囲であれば特に制限はない。通常は、洗浄性等の観点から、砥粒100重量部に対する界面活性剤の含有量は、10重量部以下とすることが適当であり、5重量部以下が好ましく、1重量部以下がより好ましく、0.5重量部以下としてもよく、例えば0.3重量部以下としてもよい。また、界面活性剤の使用効果をよりよく発揮させる観点から、砥粒100重量部に対する界面活性剤の含有量は、0.001重量部以上が適当であり、0.005重量部以上が好ましく、0.01重量部以上としてもよく、0.03重量部以上としてもよく、例えば0.05重量部以上としてもよい。研磨液における界面活性剤の濃度は、例えば0.000001重量%以上であってよく、0.000005重量%以上、0.00001重量%以上、0.00005重量%以上、0.0001重量%以上、または0.0002重量%以上でもよい。また、界面活性の濃度は、通常、0.2重量%以下が適当であり、0.1重量%以下、0.05重量%以下、0.01重量%以下、0.005重量%以下、または0.001重量%以下でもよい。

0115

(濃縮液)
ここに開示される研磨用組成物は、研磨対象物に供給される前には濃縮された形態であってもよい。上記濃縮された形態とは、研磨液の濃縮液の形態であり、研磨液の原液としても把握され得る。このように濃縮された形態の研磨用組成物は、製造、流通、保存等の際における利便性コスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は特に限定されず、例えば、体積換算で2倍〜100倍程度とすることができ、通常は5倍〜50倍程度が適当であり、例えば10倍〜40倍程度であり得る。

0116

このような濃縮液は、所望のタイミングで希釈して研磨液(ワーキングスラリー)を調製し、該研磨液を研磨対象物に供給する態様で使用することができる。上記希釈は、例えば、上記濃縮液に水を加えて混合することにより行うことができる。

0117

上記濃縮液における砥粒の含有量は、例えば50重量%以下とすることができる。上記濃縮液の取扱い性、例えば砥粒の分散安定性や濾過性等の観点から、通常、上記濃縮液における砥粒の含有量は、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。また、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から、砥粒の含有量は、例えば0.5重量%以上とすることができ、好ましくは1重量%以上、より好ましくは3重量%以上、例えば4重量%以上である。好ましい一態様において、砥粒の含有量は、5重量%以上としてもよく、10重量%以上としてもよく、例えば15重量%以上、または20重量%以上、または30重量%以上としてもよい。

0118

(研磨用組成物の調製)
ここに開示される技術において使用される研磨用組成物は、一剤型であってもよく、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。例えば、研磨用組成物の構成成分のうち少なくとも砥粒を含むパートAと、残りの成分の少なくとも一部を含むパートBとを混合し、これらを必要に応じて適切なタイミングで混合および希釈することにより研磨液が調製されるように構成されていてもよい。

0119

研磨用組成物の調製方法は特に限定されない。例えば、翼式攪拌機超音波分散機ホモミキサー等の周知の混合装置を用いて、研磨用組成物を構成する各成分を混合するとよい。これらの成分を混合する態様は特に限定されず、例えば全成分を一度に混合してもよく、適宜設定した順序で混合してもよい。

0120

<研磨>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば以下の操作を含む態様で、研磨対象物の研磨に使用することができる。以下、ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨対象物、例えばシリコンウェーハを研磨する方法の好適な一態様につき説明する。
すなわち、ここに開示されるいずれかの研磨用組成物を含む研磨液を用意する。上記研磨液を用意することには、研磨用組成物に希釈等の濃度調整や、pH調整等の操作を加えて研磨液を調製することが含まれ得る。あるいは、研磨用組成物をそのまま研磨液として使用してもよい。

0121

次いで、その研磨液を研磨対象物に供給し、常法により研磨する。例えば、シリコンウェーハの仕上げ研磨を行う場合、典型的には、ラッピング工程を経たシリコンウェーハを一般的な研磨装置にセットし、該研磨装置の研磨パッドを通じて上記シリコンウェーハの研磨対象面に研磨液を供給する。典型的には、上記研磨液を連続的に供給しつつ、シリコンウェーハの研磨対象面に研磨パッドを押しつけて両者を相対的に移動、例えば回転移動させる。かかる研磨工程を経て研磨対象物の研磨が完了する。

0122

上記研磨工程に使用される研磨パッドは、特に限定されない。例えば、発泡ポリウレタンタイプ、不織布タイプ、スウェードタイプ等の研磨パッドを用いることができる。各研磨パッドは、砥粒を含んでもよく、砥粒を含まなくてもよい。通常は、砥粒を含まない研磨パッドが好ましく用いられる。

0123

ここに開示される研磨用組成物を用いて研磨された研磨対象物は、典型的には洗浄される。洗浄は、適当な洗浄液を用いて行うことができる。使用する洗浄液は特に限定されず、例えば、半導体等の分野において一般的なSC−1洗浄液、SC−2洗浄液等を用いることができる。上記SC−1洗浄液は、水酸化アンモニウム(NH4OH)と過酸化水素(H2O2)と水(H2O)との混合液である。上記SC−2洗浄液は、HClとH2O2とH2Oとの混合液である。洗浄液の温度は、例えば室温以上、約90℃程度までの範囲とすることができる。上記室温は、典型的には約15℃〜25℃である。洗浄効果を向上させる観点から、50℃〜85℃程度の洗浄液を好ましく使用し得る。

0124

<前段研磨用組成物>
ここに開示される研磨用組成物は、例えば、該研磨用組成物を用いて行われる仕上げ研磨工程と、該仕上げ研磨工程に先立って行われる前段研磨工程と、を含む研磨プロセスにおいて好適に利用され得る。上記前段研磨工程は、典型的には、上記仕上げ研磨用組成物とは組成の異なる前段研磨用組成物を用い、該前段研磨用組成物を研磨対象物に供給して行われる。上記仕上げ研磨工程は、上記前段研磨用組成物による研磨後の研磨対象物に、上述した研磨用組成物を含む仕上げ研磨用組成物を供給して行われる。上記前段研磨工程に使用する研磨用組成物としては、砥粒、水溶性高分子および塩基性化合物を含む前段研磨用組成物を好ましく採用することができる。

0125

従来、前段研磨工程と仕上げ研磨工程とを含む研磨プロセスにおいて、前段研磨工程は仕上げ研磨工程に先立って研磨対象物の形状や大まかな表面状態を整える工程として位置づけられている。そのため、一般的に、仕上げ研磨用組成物に比べて概して研磨力の強い前段研磨用組成物を用いて研磨対象物の表面を除去することにより、表面粗さの低減等を効率よく行っている。このように研磨力が重視される関係上、前段研磨用組成物の分野では、該組成物に水溶性高分子を意図的に配合することは一般的ではなかった。

0126

ここに開示される技術によると、前段研磨工程において水溶性高分子を含む前段研磨用組成物を用いることにより、仕上げ研磨の開始時点における研磨対象物表面の平滑性をより高くし得る。このことによって、仕上げ研磨工程において、より研磨力が弱くて研磨対象物表面に与える負荷の小さい仕上げ研磨用組成物を採用しても、仕上げ研磨の開始時点で存在する凹凸を所望のレベルまで解消し、かつ該仕上げ研磨工程において研磨対象物表面に新たな欠陥が生じることを抑制することが可能となる。

0127

一態様において、前段研磨用組成物は、該前段研磨用組成物の水溶性高分子/砥粒の重量比R1が、仕上げ研磨用組成物の水溶性高分子/砥粒の重量比R2よりも小さくなるように設定されていることが好ましい。これにより、前段研磨工程における研磨効率を過度に損なうことなく、仕上げ研磨後の表面品位を効果的に向上させることができる。

0128

(前段研磨用砥粒
前段研磨用組成物に含まれる砥粒、すなわち前段研磨用砥粒は、例えば、上記で例示した砥粒のなかから適宜選択することができる。前段研磨用砥粒は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。前段研磨用砥粒と仕上げ研磨用砥粒、すなわち仕上げ研磨用組成物に含まれる砥粒とは、同一の砥粒であってもよく、材質、サイズ、形状等の少なくともいずれかが互いに異なる砥粒であってもよい。上記サイズの相違は、例えばBET径における相違であり得る。

0129

前段研磨用砥粒としては、無機粒子が好ましく、なかでも金属または半金属の酸化物からなる粒子が好ましく、シリカ粒子が特に好ましい。ここに開示される技術は、前段研磨用砥粒が実質的にシリカ粒子からなる態様で好ましく実施され得る。
一態様において、前段研磨用砥粒としては、そのBET径が仕上げ研磨用砥粒のBET径と概ね同等またはより大きいものを好ましく使用し得る。例えば、前段研磨用砥粒のBET径は、仕上げ研磨用砥粒のBET径の0.9倍〜2.0倍程度であってよく、1倍〜1.5倍程度であってもよい。

0130

前段研磨用組成物の砥粒濃度、すなわち研磨用スラリーの重量に占める砥粒の重量の割合は、特に制限されない。一態様において、前段研磨用組成物の砥粒濃度は、例えば、仕上げ研磨用組成物の砥粒濃度の0.5倍〜20倍とすることができ、0.5倍〜10倍としてもよく、0.5倍〜8倍としてもよい。

0131

(前段研磨用水溶性高分子)
前段研磨用組成物の含有する水溶性高分子、すなわち前段研磨用水溶性高分子は、例えば、上述したポリマーAおよびポリマーBの例示のなかから適宜選択することができる。前段研磨用水溶性高分子は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。上述したオキシアルキレン単位を含むポリマー、窒素原子を含有するポリマー、ビニルアルコール単位含有ポリマー、セルロース誘導体、デンプン誘導体等であって、上述した吸着パラメータが5以上のものおよび5未満のもののいずれも、ここに開示される技術における前段研磨用水溶性高分子の選択肢には含まれ得る。特に限定するものではないが、一態様において、例えばHEC等のセルロース誘導体を、前段研磨用水溶性高分子として好ましく採用し得る。

0132

前段研磨用水溶性高分子の濃度は、特に制限されない。一態様において、前段研磨用水溶性高分子の濃度は、例えば0.00001重量%以上とすることができ、好ましくは0.0001重量%以上であり、0.0005重量%以上でもよく、例えば0.001重量%以上でもよい。前段研磨用水溶性高分子の濃度の増大により、仕上げ研磨後においてさらに高品位の表面が得られる傾向にある。一方、研磨効率の観点から、前段研磨用水溶性高分子の濃度は、通常、0.1重量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.05重量%以下であり、0.01重量%以下でもよく、例えば0.005重量%以下でもよい。

0133

また、前段研磨用水溶性高分子の含有量は、前段研磨用組成物に含まれる砥粒100重量部当たり、例えば0.0001重量部以上とすることができ、通常は0.005重量部とすることが適当であり、0.01重量部以上としてもよく、0.05重量部以上でもよく、例えば0.1重量部以上でもよい。また、研磨効率の観点から、前段研磨用水溶性高分子の含有量は、前段研磨用組成物に含まれる砥粒100重量部当たり、通常、10重量部以下とすることが適当であり、7重量部以下が好ましく、5重量部以下でもよく、例えば3重量部以下でもよい。

0134

一態様において、前段研磨用組成物における水溶性高分子/砥粒の重量比R1を、仕上げ研磨用組成物における水溶性高分子/砥粒の重量比R2より小さくすることができる。
この態様において、R1/R2の値は、1.0未満であればよく、例えば0.95以下であってよく、0.9以下であってもよい。ここに開示される技術は、R1/R2が0.7以下である態様や、0.5以下である態様等でも好適に実施することができる。また、前段研磨用組成物に水溶性高分子を含有させることによる効果を有意に発揮しやすくする観点から、R1/R2は、通常、0.001以上とすることが適当であり、例えば0.005以上としてもよく、0.01以上としてもよく、0.1以上としてもよい。

0135

(前段用塩基性化合物)
前段研磨用組成物は、典型的には塩基性化合物を含有する。前段研磨用組成物の含有する塩基性化合物、すなわち前段研磨用塩基性化合物は、特に限定されず、例えば、上記で例示した塩基性化合物のなかから適宜選択することができる。前段研磨用塩基性化合物は、一種を単独でまたは二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。前段研磨用組成物に含まれる塩基性化合物は、仕上げ研磨用組成物に含まれる塩基性化合物と同じ化合物であってもよく、異なる化合物であってもよい。

0136

前段研磨工程における研磨能率をより重視する観点から、一態様において、前段用塩基性化合物としては、アルカリ金属水酸化物および水酸化第四級アンモニウムから選択される少なくとも一種の塩基性化合物を好ましく採用し得る。水酸化第四級アンモニウムの一好適例として、水酸化テトラアルキルアンモニウムが挙げられる。なかでもアルカリ金属水酸化物が好ましい。アルカリ金属水酸化物の一好適例として、水酸化カリウムが挙げられる。また、仕上げ研磨後における表面品位をより重視する観点から、一態様において、前段用塩基性化合物としてアンモニアを好ましく採用し得る。

0137

前段研磨用組成物のpHは、典型的には8.0以上であり、好ましくは8.5以上、より好ましくは9.0以上、さらに好ましくは9.5以上、例えば10.0以上である。研磨用組成物のpHが高くなると、研磨能率が向上する傾向にある。一方、例えばシリカ粒子等の砥粒の溶解を防いで機械的な研磨作用の低下を抑制する観点から、研磨用組成物のpHは、12.0以下であることが適当であり、11.8以下であることが好ましく、11.5以下であることがより好ましく、11.0以下であることがさらに好ましい。一態様において、前段研磨用組成物のpHは、仕上げ研磨用組成物のpHと同等またはより高くなるように設定することができる。例えば、前段研磨用組成物のpHは、pH12.0以下であってかつ仕上げ研磨用組成物のpHより高いpHとすることができる。このことによって、前段研磨工程における高い研磨能率と仕上げ研磨工程における高い表面品位とを好適に両立し得る。前段研磨用組成物のpHは、仕上げ研磨用組成物のpHに比べて、例えば0.1以上高いpHであってよく、0.2以上高くてもよい。

0138

(その他の成分)
前段研磨用組成物は、必要に応じて界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、上記で例示した界面活性剤から適宜選択することができる。一態様において、前段研磨用組成物は界面活性剤を実質的に含んでいなくてもよい。
その他、前段研磨用組成物は、本発明の効果が著しく妨げられない範囲で、キレート剤、有機酸、有機酸塩、無機酸、無機酸塩、防腐剤、防カビ剤等の、研磨スラリーに用いられ得る公知の添加剤を、必要に応じてさらに含有してもよい。上記添加剤は、例えば、シリコンウェーハのポリシング工程に用いられる研磨スラリーに用いられ得る公知の添加剤であり得る。前段研磨用組成物は、仕上げ研磨用組成物と同様、酸化剤を実質的に含まないことが好ましい。

0139

<研磨用組成物セット>
この明細書により提供される事項には、上述したいずれかの研磨用組成物を含む仕上げ研磨用組成物と、上記仕上げ研磨用組成物による研磨の前段階で行われる研磨において使用される前段研磨用組成物と、を含む研磨用組成物セットの提供が含まれ得る。上記仕上げ研磨用組成物は、典型的には、水溶性高分子として少なくともポリマーAを含む研磨用組成物である。かかる研磨用組成物セットを構成する前段研磨用組成物は、上述したいずれかの前段研磨用組成物であり得る。このような研磨用組成物セットを使用して、上記仕上げ研磨用組成物による研磨に先立って上記前段研磨用組成物による研磨を行うことにより、ポリマーAを含む仕上げ研磨用組成物を用いることによる欠陥低減効果がより好適に発揮され得る。上記前段研磨用組成物における水溶性高分子/砥粒の重量比は、上記仕上げ研磨用組成物における水溶性高分子/砥粒の重量比より小さくなるように設定することができる。このことによって、前段研磨工程における研磨効率への影響を抑制しつつ、仕上げ研磨後における表面品位を効果的に向上させることができる。

0140

この明細書により開示される事項には、以下のものが含まれる。
<1>砥粒、水溶性高分子および塩基性化合物を含む研磨用組成物であって、
前記水溶性高分子はポリマーAを含み、
前記ポリマーAは、以下の条件:
(1)一分子中にビニルアルコール単位および非ビニルアルコール単位を含む;および、
(2)次式:
吸着パラメータ=[(C1−C2)/C1]×100;
により算出される吸着パラメータが5以上であり、
ここで、前記式中のC1は、前記ポリマーAを0.017重量%、アンモニアを0.009重量%含み、残部が水からなる試験液L1に含まれる有機炭素の総量であり、
前記式中のC2は、BET径35nmのコロイダルシリカを0.46重量%、前記ポリマーAを0.017重量%、アンモニアを0.009重量%含み、残部が水からなる試験液L2を遠心分離して前記砥粒を沈降させた上澄み液に含まれる有機炭素の総量である;
の両方を満たす、研磨用組成物。
<2> 前記ポリマーAは、一分子中にビニルアルコール系セグメントと非ビニルアルコール系セグメントとを有する共重合体である、上記<1>に記載の研磨用組成物。ここに開示される技術は、このような構造を有するポリマーAを用いて好適に実施することができる。
<3> 前記ポリマーAは、一分子中にビニルアルコール単位とオキシアルキレン単位とを含む共重合体である、上記<1>または<2>に記載の研磨用組成物。ここに開示される技術は、これらの単位を組み合わせて含むポリマーAを用いて好適に実施することができる。
<4> 前記ポリマーAは、一分子中にビニルアルコール系セグメントとオキシアルキレン系セグメントとを含む共重合体である、上記<1>から<3>のいずれかに記載の研磨用組成物。ここに開示される技術は、このような構造を有するポリマーAを用いて好適に実施することができる。
<5> 前記ポリマーAは、一分子中にビニルアルコール単位とN−ビニル型のモノマー単位とを含む共重合体である、上記<1>から<4>のいずれかに記載の研磨用組成物。ここに開示される技術は、これらの単位を組み合わせて含むポリマーAを用いて好適に実施することができる。
<6> 前記ポリマーAは、一分子中にビニルアルコール系セグメントとN−ビニル系セグメントとを含む共重合体である、上記<1>から<5>のいずれかに記載の研磨用組成物。ここに開示される技術は、このような構造を有するポリマーAを用いて好適に実施することができる。
<7> 前記ポリマーAの重量平均分子量が15×104以下である、上記<1>から<6>のいずれかに記載の研磨用組成物。ここに開示される技術は、このようなポリマーAを用いて好適に実施され得る。
<8> 前記砥粒のBET径が30nm以下である、上記<1>から<7>のいずれかに記載の研磨用組成物。このようなサイズの砥粒を用いることで、研磨後の表面品位が向上する傾向にある。
<9> 前記砥粒1017個当たりの前記ポリマーAの含有量が10mg〜1000mgである、上記<1>から<8>のいずれかに記載の研磨用組成物。このような研磨用組成物によると、ポリマーAを用いることの意義がより効果的に発揮される傾向にある。
<10> 重量平均分子量が1×104未満の水溶性有機化合物をさらに含む、上記<1>から<9>のいずれかに記載の研磨用組成物。かかる水溶性有機化合物を含有させることにより、研磨後の表面品位をさらに向上させ得る。
<11> 前記砥粒はシリカ粒子である、上記<1>から<10>のいずれかに記載の研磨用組成物。砥粒としてシリカ粒子を含む研磨用組成物において、ポリマーAを用いることの意義が特に効果的に発揮される傾向にある。
<12>シリコンウェーハの研磨に用いられる、上記<1>から<11>のいずれかに記載の研磨用組成物。上記研磨用組成物は、特に、シリコンウェーハの仕上げ研磨に用いられる研磨用組成物として好適である。
<13> 上記<1>から<12>のいずれかに記載の研磨用組成物を含む仕上げ研磨用組成物と、
砥粒、水溶性高分子および塩基性化合物を含み、前記仕上げ研磨用組成物による研磨の前段階で行われる研磨に用いられる前段研磨用組成物と、
を含む研磨用組成物セット。

0141

以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。

0142

<吸着パラメータの測定>
以下の実施例および比較例に使用した各水溶性高分子の吸着パラメータは、次のようにして算出した。
水溶性高分子0.017%、アンモニア0.009%を含み、残部が水からなる試験液L1を調製した。この試験液L1について、島津製作所社製の全有機体炭素計(燃焼触媒酸化方式、型式「TOC−5000A」)を用いて全有機炭素量(TOC)を測定し、体積換算して該試験液L1に含まれる有機炭素の総量C1を求めた。
また、シリカ粒子0.46%、水溶性高分子0.017%、アンモニア0.009%を含み、残部が水からなる試験液L2を調製した。シリカ粒子としては、BET径35nmのコロイダルシリカを使用した。上記試験L2に対し、ベックマン・コールター社製の遠心分離器、型式「Avanti HP−30I」を用いて20000rpmの回転数で30分間の遠心分離処理を行った。上記遠心分離処理後の上澄み液を回収し、その上澄み液のTOCを上記全有機体炭素計で測定した。測定結果を上記上澄み液の体積で換算することにより、該上澄み液に含まれる有機炭素の総量C2を求めた。
上記C1および上記C2から、次式:
吸着パラメータ=[(C1−C2)/C1]×100;
により吸着パラメータを算出した。

0143

<前段研磨工程>
以下の実施例および比較例に適用した前段研磨工程の内容は、次のとおりである。
(前段研磨工程I)
砥粒1.00%および塩基性化合物0.068%を含み、残部が水からなる前段研磨用組成物Iを調製した。砥粒としては、BET径35nmのコロイダルシリカを使用した。塩基性化合物としては水酸化カリウム(KOH)を使用した。
この前段研磨用組成物をそのまま研磨液(ワーキングスラリー)として使用して、研磨対象物としてのシリコンウェーハを下記の前段研磨条件で研磨した。シリコンウェーハとしては、ラッピングおよびエッチングを終えた直径300mmの市販シリコン単結晶ウェーハ(伝導型P型結晶方位:<100>、抵抗率:1Ω・cm以上100Ω・cm未満、COPフリー)を使用した。

0144

[前段研磨条件]
研磨装置:株式会社岡本工作機械製作所製枚葉研磨機、型式「PNX−332B」
研磨荷重:20kPa
定盤回転数:20rpm
キャリア回転数:20rpm
研磨パッド:フジボウ媛社製、製品名「FP55」
研磨液供給レート:1リットル/分
研磨液の温度:20℃
定盤冷却水の温度:20℃
研磨時間:2分

0145

(前段研磨工程II)
砥粒0.23%、水溶性高分子0.003%および塩基性化合物0.014%を含み、残部が水からなる前段研磨用組成物IIを調製した。水溶性高分子としては、Mwが120×104のヒドロキシエチルセルロース(HEC)を使用した。砥粒としては、BET径35nmのコロイダルシリカを使用した。塩基性化合物としてはアンモニアを使用した。
この前段研磨用組成物IIをそのまま研磨液として使用した点以外は前段研磨工程Iと同様にして、研磨対象物としてのシリコンウェーハを上記の前段研磨条件で研磨した。

0146

<研磨用組成物の調製と仕上げ研磨>
(実施例1)
砥粒と水溶性高分子と塩基性化合物とを表1に示す濃度で含み、残部が水からなる研磨用組成物を調製した。砥粒としては、BET径35nmのコロイダルシリカを使用した。水溶性高分子としては、けん化度95%以上のポリビニルアルコールPVA)を主鎖とし、ポリエチレンオキシド(PEO)を側鎖とするグラフト共重合体(以下「PVA−g−PEO」と表記する。)を使用した。本例では、Mwが20000のPVA−g−PEOを使用した。
この研磨用組成物をそのまま研磨液として使用して、上記前段研磨工程Iを終えたシリコンウェーハを、下記の仕上げ研磨条件で研磨した。

0147

[仕上げ研磨条件]
研磨装置:株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨機、型式「PNX−332B」
研磨荷重:15kPa
定盤回転数:30rpm
キャリア回転数:30rpm
研磨パッド:フジボウ愛媛社製の研磨パッド、商品名「POLYPAS27NX」
研磨液供給レート:2リットル/分
研磨液の温度:20℃
定盤冷却水の温度:20℃
研磨時間:2分

0148

研磨後のシリコンウェーハを研磨装置から取り外し、NH4OH(29%):H2O2(31%):脱イオン水(DIW)=1:3:30(体積比)の洗浄液を用いて洗浄した(SC−1洗浄)。より具体的には、周波数950kHzの超音波発振器を取り付けた洗浄槽を2つ用意し、それら第1および第2の洗浄槽の各々に上記洗浄液を収容して60℃に保持し、研磨後のシリコンウェーハを第1の洗浄槽に6分、その後超純水と超音波によるリンス槽を経て、第2の洗浄槽に6分、それぞれ上記超音波発振器を作動させた状態で浸漬し、イソプロピルアルコール(IPA)雰囲気中に引き上げて乾燥させた。

0149

(実施例2)
砥粒としてBET径25nmのコロイダルシリカを用い、塩基性化合物の量を表1に示すように変更した他は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。この研磨用組成物を用いた他は実施例1と同様にして、上記前段研磨工程Iを終えたシリコンウェーハの仕上げ研磨、洗浄および乾燥を行った。

0150

(実施例3)
表1に示す濃度の界面活性剤をさらに含有させた他は実施例1と同様にして、本例に係る研磨用組成物を調製した。界面活性剤としては、エチレンオキサイド付加モル数5のポリオキシエチレンデシルエーテル(以下「C10PEO5」と表記する。)を使用した。この研磨用組成物を用いた他は実施例1と同様にして、上記前段研磨工程Iを終えたシリコンウェーハの仕上げ研磨、洗浄および乾燥を行った。

0151

(実施例4)
上記前段研磨工程IIを終えたシリコンウェーハに対して、実施例1と同様の仕上げ研磨、洗浄および乾燥を行った。

0152

(実施例5)
塩基性化合物の濃度を表1に示すように変更し、水溶性高分子としてPVA−PVPを表1に示す濃度で使用し、さらに表1に示す濃度の界面活性剤を含有させた他は、実施例2と同様にして本例に係る研磨用組成物を調製した。上記PVA−PVPは、ビニルアルコールとN−ビニルピロリドンとのランダム共重合体である。上記PVA−PVPに含まれるVA単位:VP単位のモル比は95:5である。上記界面活性剤としては、エチレンオキサイド付加モル数18のポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム(以下「C12EO18SO3NH4」と表記する。)を使用した。この研磨用組成物を用いた他は実施例1と同様にして、上記前段研磨工程Iを終えたシリコンウェーハの仕上げ研磨、洗浄および乾燥を行った。

0153

(比較例1,2)
実施例1の研磨用組成物において水溶性高分子として用いたPVA−g−PEOを、表1に示すMwおよび濃度のポリビニルアルコール(けん化度95%以上、以下「PVA」と表記する。)またはポリエチレンオキサイド(以下「PEO」と表記する)に変更した。この研磨用組成物を用いた他は実施例1と同様にして、上記前段研磨工程Iを終えたシリコンウェーハの仕上げ研磨、洗浄および乾燥を行った。

0154

(比較例3)
実施例1の研磨用組成物において水溶性高分子として用いたPVA−g−PEOに代えて、表1に示すMwおよび濃度のPVAおよびPEOを単に混合して使用した。この研磨用組成物を用いた他は実施例1と同様にして、上記前段研磨工程Iを終えたシリコンウェーハの仕上げ研磨、洗浄および乾燥を行った。

0155

<評価>
上記の各例により得られたシリコンウェーハについて、以下の評価を行った。

0156

(LPD−N数測定)
シリコンウェーハの表面(研磨面)に存在するLPD−Nの個数を、ケーエルエー・テンコール社製のウェーハ検査装置、商品名「SURFSCAN SP2」を使用して、同装置のDCOモードで計測した。計測されたLPD−Nの個数(LPD−N数)を以下の3段階で表1に示した。
A:50個未満
B:50個以上、100個以下
C:100個より大

0157

(ヘイズ測定)
ケーエルエー・テンコール社製のウェーハ検査装置、商品名「SURFSCAN SP2」を使用して、DWOモードでヘイズ(ppm)を測定し、結果を以下の3段階で表1に示した。
A:0.1ppm未満
B:0.1ppm以上、0.15ppm以下
C:0.15ppmより大

0158

0159

表1に示されるように、条件(1),(2)の両方を満たす水溶性高分子を含む研磨用組成物を用いて仕上げ研磨を行った実施例1〜4および実施例5によると、これらを満たす水溶性高分子を含まない研磨用組成物を用いて仕上げ研磨を行った比較例1〜3に比べて、仕上げ研磨後の表面におけるLPD−N数およびヘイズが明らかに低減された。上記表に示す結果から、よりBET径の小さい砥粒の使用や界面活性剤の配合によって、LPD−N数およびヘイズをさらに改善し得ることがわかる(実施例2,3)。また、前段研磨工程において水溶性高分子を含む前段研磨用組成物を用いることにより、仕上げ研磨後のLPD−Nをさらに改善し得ることがわかる(実施例4)。

実施例

0160

以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

この 技術と関連性が強い技術

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い法人

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い人物

該当するデータがありません

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ