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技術 ハイドロタルサイトと繊維の複合体

出願人 日本製紙株式会社
発明者 大石正淳菅原直之後藤至誠
出願日 2017年8月10日 (1年4ヶ月経過) 出願番号 2018-500597
公開日 2018年8月9日 (4ヶ月経過) 公開番号 WO2018-030521
状態 特許登録済
技術分野 繊維製品の化学的、物理的処理 吸収性物品とその支持具 アルカリ土類,Al,希土類金属化合物 紙(4)
主要キーワード 各添加材 重油ボイラー ウェット条件 マイクロポリマ X線回折法 消臭特性 二酸化炭素含有気体 軽量異物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2018年8月9日)のものです。
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図面 (18)

課題・解決手段

本発明の課題は、ハイドロタルサイトと繊維との複合体を製造する技術を提供することである。 繊維の存在下において水系でハイドロタルサイトを合成することによって、ハイドロタルサイトと繊維の複合体を効率的に合成することができる。

概要

背景

一般に、ハイドロタルサイトは、一般式[M2+1−xM3+x(OH)2][An−x/n・mH2O](式中、M2+は2価の金属イオンを、M3+は3価の金属イオンを表し、An−x/nは層間陰イオンを表す。また0<x<1であり、nはAの価数、0≦m<1である)で表される化合物の一つであり、触媒医薬品、樹脂用添加剤などとして利用されている物質である(特許文献1〜3、非特許文献1〜3)。

ハイドロタルサイトは、タルクスメクタイトと同様に層状の結晶構造を有する金属水酸化物であり、ハイドロタルサイトの各々の結晶片葉片状あるいは鱗状であることが多い。ハイドロタルサイトとしては、ハイドロタルサイトのポリタイプであるmanasseite、水酸化物シートに含まれる金属がマグネシウムと鉄であるpyroauriteやsjgrenite、さらには2価と3価の鉄を水酸化物シートに持つgreen rustなどが知られている。主骨格複水酸化物なので、層状複水酸化物LDH:Layered Double Hydroxide)などとも呼ばれる。ハイドロタルサイトは天然にも産出するが産出量が少ないため、主に合成品が用いられており、種々の合成方法が知られている。

特許文献4では、ポリウレタン繊維などにハイドロタルサイトなどの金属水酸化物を担持させた消臭性布帛が提案されている。また、非特許文献4では、ハイドロタルサイト担持繊維を用いて排水からリンを除去することが提案されている。

概要

本発明の課題は、ハイドロタルサイトと繊維との複合体を製造する技術を提供することである。 繊維の存在下において水系でハイドロタルサイトを合成することによって、ハイドロタルサイトと繊維の複合体を効率的に合成することができる。

目的

本発明の課題は、ハイドロタルサイトと繊維の複合体を効率よく製造する技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

繊維を含む溶液においてハイドロタルサイトを合成することを含む、ハイドロタルサイトと繊維との複合体の製造方法。

請求項2

アルカリ溶液に繊維を浸漬する工程、次いで、浸漬した繊維に酸溶液を添加する工程、を含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

酸溶液に繊維を浸漬する工程、次いで、浸漬した繊維にアルカリ溶液を添加する工程、を含む、請求項1に記載の方法。

請求項4

さらに、ハイドロタルサイトと繊維との複合体に、アニオン性物質を含む溶液を添加することを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。

請求項5

アニオン性物質を含む溶液が、銅、または、銀を含むチオスルファト錯体溶液である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。

請求項6

前記繊維が、化学繊維再生繊維または天然繊維である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。

請求項7

前記繊維がセルロース繊維である、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記酸溶液の2価の金属イオンマグネシウムまたは亜鉛である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。

請求項9

前記酸溶液の3価の金属イオンがアルミニウムである、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。

請求項10

ハイドロタルサイトと繊維との複合体の灰分中、マグネシウムまたは亜鉛を10%以上含む、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。

請求項11

ハイドロタルサイトと繊維を含んでなる複合体。

請求項12

前記繊維がセルロース繊維である、請求項11に記載の複合体。

請求項13

繊維表面の15%以上がハイドロタルサイトによって被覆されている、請求項11または12に記載の複合体。

請求項14

前記ハイドロタルサイトの2価の金属イオンがマグネシウムまたは亜鉛である、請求項11〜13のいずれかに記載の複合体。

請求項15

前記ハイドロタルサイトの3価の金属イオンがアルミニウムである、請求項11〜14のいずれかに記載の複合体。

請求項16

銅、または、銀が付着した、請求項11〜15のいずれかに記載の複合体。

請求項17

請求項11〜16のいずれかに記載の複合体を含む製品

請求項18

前記製品が衛生用品である、請求項17に記載の製品。

請求項19

前記製品が消臭用である、請求項17または18に記載の製品。

請求項20

前記製品が抗菌用である、請求項17〜19のいずれかに記載の製品。

請求項21

前記製品が抗ウイルス用である、請求項17〜20のいずれかに記載の製品。

請求項22

前記製品がシートの形態である、請求項17〜21のいずれかに記載の製品。

技術分野

0001

本発明は、ハイドロタルサイトと繊維の複合体、および、その製造方法に関する。

背景技術

0002

一般に、ハイドロタルサイトは、一般式[M2+1−xM3+x(OH)2][An−x/n・mH2O](式中、M2+は2価の金属イオンを、M3+は3価の金属イオンを表し、An−x/nは層間陰イオンを表す。また0<x<1であり、nはAの価数、0≦m<1である)で表される化合物の一つであり、触媒医薬品、樹脂用添加剤などとして利用されている物質である(特許文献1〜3、非特許文献1〜3)。

0003

ハイドロタルサイトは、タルクスメクタイトと同様に層状の結晶構造を有する金属水酸化物であり、ハイドロタルサイトの各々の結晶片葉片状あるいは鱗状であることが多い。ハイドロタルサイトとしては、ハイドロタルサイトのポリタイプであるmanasseite、水酸化物シートに含まれる金属がマグネシウムと鉄であるpyroauriteやsjgrenite、さらには2価と3価の鉄を水酸化物シートに持つgreen rustなどが知られている。主骨格複水酸化物なので、層状複水酸化物LDH:Layered Double Hydroxide)などとも呼ばれる。ハイドロタルサイトは天然にも産出するが産出量が少ないため、主に合成品が用いられており、種々の合成方法が知られている。

0004

特許文献4では、ポリウレタン繊維などにハイドロタルサイトなどの金属水酸化物を担持させた消臭性布帛が提案されている。また、非特許文献4では、ハイドロタルサイト担持繊維を用いて排水からリンを除去することが提案されている。

0005

特開2015−193000号公報
特開2013−085568号公報
特開2009−143798号公報
特開2012−144829号公報

先行技術

0006

「ハイドロタルサイトの水環境保全浄化への応用」、The Chemical Times、no. 1、2005
「Fe-Mg系およびAl-Mg系ハイドロタルサイト様化合物の合成と陰イオン交換特性」、J. Ion Exchange、vol. 16、no. 1、2005
「層状複水酸化物の界面活性剤吸着特性および乳化ゲル体構造安定性」、東洋大学紀要自然科学篇、第56号、43〜52頁、2012
「ハイドロタルサイト担持繊維(HTCF)の実排水からのリン除去性能」、水環境学会誌、vol. 30、no. 11、pp 671-676、2007

発明が解決しようとする課題

0007

本発明の課題は、ハイドロタルサイトと繊維の複合体を効率よく製造する技術を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、繊維の存在下でハイドロタルサイトを合成することによって、ハイドロタルサイトが繊維と安定した複合体を形成することを見いだし、本発明を完成するに至った。

0009

すなわち、本発明は、これに限定されるものでないが、以下の発明を包含する。
(1) 繊維を含む溶液においてハイドロタルサイトを合成することを含む、ハイドロタルサイトと繊維との複合体の製造方法。
(2)アルカリ溶液に繊維を浸漬する工程、次いで、浸漬した繊維に酸溶液を添加する工程、を含む、(1)に記載の方法。
(3) 酸溶液に繊維を浸漬する工程、次いで、浸漬した繊維にアルカリ溶液を添加する工程、を含む、(1)に記載の方法。
(4) さらに、ハイドロタルサイトと繊維との複合体に、アニオン性物質を含む溶液を添加することを含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) アニオン性物質を含む溶液が、銅、または、銀を含むチオスルファト錯体溶液である、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6) 前記繊維が、化学繊維再生繊維または天然繊維である、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 前記繊維がセルロース繊維である、(6)に記載の方法。
(8) 前記酸溶液の2価の金属イオンがマグネシウムまたは亜鉛である、(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9) 前記酸溶液の3価の金属イオンがアルミニウムである、(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10) ハイドロタルサイトと繊維との複合体の灰分中、マグネシウムまたは亜鉛を10%以上含む、(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11) ハイドロタルサイトと繊維を含んでなる複合体。
(12) 前記繊維がセルロース繊維である、(11)に記載の複合体。
(13) 繊維表面の15%以上がハイドロタルサイトによって被覆されている、(11)または(12)に記載の複合体。
(14) 前記ハイドロタルサイトの2価の金属イオンがマグネシウムまたは亜鉛である、(11)〜(13)のいずれかに記載の複合体。
(15) 前記ハイドロタルサイトの3価の金属イオンがアルミニウムである、(11)〜(14)のいずれかに記載の複合体。
(16) 銅、または、銀が付着した、(11)〜(15)のいずれかに記載の複合体。
(17) (11)〜(16)のいずれかに記載の複合体を含む製品
(18) 前記製品が衛生用品である、(17)に記載の製品。
(19) 前記製品が消臭用である、(17)または(18)に記載の製品。
(20) 前記製品が抗菌用である、(17)〜(19)のいずれかに記載の製品。
(21) 前記製品が抗ウイルス用である、(17)〜(20)のいずれかに記載の製品。
(22) 前記製品がシートの形態である、(17)〜(21)のいずれかに記載の製品。

発明の効果

0010

本発明によれば、ハイドロタルサイトと繊維との複合体を得ることができる。また、製品への歩留りが高いハイドロタルサイトと繊維の複合体を得ることができる。さらに、消臭効果の高いハイドロタルサイトと繊維の複合体を得ることができる。

図面の簡単な説明

0011

図1は、実験1(2)のサンプル1を製造するための装置の概略図である(P:ポンプ)。
図2は、実験1(2)のサンプル5を製造するための装置の概略図である。
図3は、実験1(3)で測定したX線回折の結果である。
図4−1は、実験1(3)で製造したマット電子顕微鏡写真である(T1)。
図4−2は、実験1(3)で製造したマットの電子顕微鏡写真である(T2)。
図4−3は、実験1(3)で製造したマットの電子顕微鏡写真である(サンプル2)。
図4−4は、実験1(3)で製造したマットの電子顕微鏡写真である(T3)。
図4−5は、実験1(3)で製造したマットの電子顕微鏡写真である(ハイドロタルサイト内添紙)。
図5は、実験2で測定したX線回折の結果である。
図6は、実験3の消臭試験の結果を示すグラフである(メチルメルカプタン上段ドライ条件下段ウェット条件))。
図7は、実験3の消臭試験の結果を示すグラフである(硫化水素、上段:ドライ条件、下段:ウェット条件)。
図8は、実験3の消臭試験の結果を示すグラフである(インドール、上段:ドライ条件、下段:ウェット条件)。
図9は、実験3の消臭試験の結果を示すグラフである(アンモニア、上段:ドライ条件、下段:ウェット条件)
図10は、実験3の消臭試験の結果を示すグラフである(酢酸、上段:ドライ条件、下段:ウェット条件)
図11は、実験3の消臭試験の結果を示すグラフである(トリメチルアミン、上段:ドライ条件、下段:ウェット条件)
図12は、実験3の消臭試験の結果を示すグラフである(ピリジン、上段:ドライ条件、下段:ウェット条件)
図13は、実験3の消臭試験の結果を示すグラフである(ノネナール、上段:ドライ条件、下段:ウェット条件)

0012

ハイドロタルサイト(HT)と繊維との複合体
一般に、ハイドロタルサイトは、[M2+1−xM3+x(OH)2][An−x/n・mH2O](式中、M2+は2価の金属イオンを、M3+は3価の金属イオンを表し、An−x/nは層間陰イオンを表す。また0<x<1であり、nはAの価数、0≦m<1である)という一般式で示される。ここで、2価の金属イオンであるM2+は、例えば、Mg2+、Co2+、Ni2+、Zn2+、Fe2+、Ca2+、Ba2+、Cu2+、Mn2+など、3価の金属イオンであるM3+は、例えば、Al3+、Fe3+、Cr3+、Ga3+など、層間陰イオンであるAn−は、例えば、OH−、Cl−、CO3−、SO4−などのn価の陰イオンを挙げることができ、xは一般に0.2〜0.33の範囲である。このうち、2価の金属イオンとしては、Mg2+、Zn2+、Fe2+、Mn2+が好ましい。結晶構造は、正の電荷をもつ正八面体のbrucite単位が並んだ二次元基本層と負の電荷を持つ中間層からなる積層構造をとっている。

0013

ハイドロタルサイトは、その陰イオン交換機能を生かした様々な用途への展開、例えば、イオン交換材吸着剤脱臭剤等の用途に使用されてきた。また、その他、構成する金属イオンの組み合わせを生かし、各構成金属イオンが良好な混合状態にあるハイドロタルサイトを加熱脱水し、または、さらに加熱焼成することにより、均一な組成複合酸化物を容易に得られ、触媒用途等に使用する例なども見られる。

0014

本発明の複合体中に占めるハイドロタルサイトの比率は、10%以上とすることが可能であり、20%以上とすることもでき、好ましくは40%以上とすることもできる。ハイドロタルサイトと繊維との複合体の灰分は、JIS P 8251:2003に従って測定することができる。本発明において、ハイドロタルサイトと繊維との複合体の分灰分は10%以上とすることが可能であり、20%以上とすることもでき、好ましくは40%以上とすることができる。また、本発明のハイドロタルサイトと繊維との複合体は、灰分中、マグネシウム、鉄、マンガンまたは亜鉛を10%以上含むことが好ましく、40%以上含むことがより好ましい。灰分中のマグネシウムまたは亜鉛の含有量は、蛍光X線分析により定量することができる。

0015

本発明は、ハイドロタルサイトと繊維の複合体に関するが、好ましい態様において、繊維表面の15%以上がハイドロタルサイトによって被覆されている。好ましい態様において本発明の複合体は、ハイドロタルサイトによる繊維の被覆率面積率)が25%以上であり、より好ましくは40%以上であるが、本発明によれば被覆率が60%以上や80%以上の複合体を製造することも可能である。また、本発明に係るハイドロタルサイトと繊維の複合体は、好ましい態様において、ハイドロタルサイトが繊維の外表面やルーメンの内側に定着するだけでなく、ミクロフィブリルの内側にも生成することが電子顕微鏡観察の結果から明らかとなっている。

0016

本発明によってハイドロタルサイトと繊維を複合体化しておくと、単にハイドロタルサイトを繊維と混合した場合と比較して、ハイドロタルサイトが製品に歩留り易いだけでなく、凝集せずに均一に分散した製品を得ることができる。すなわち、本発明によれば、ハイドロタルサイトと繊維の複合体の製品への歩留り(投入したハイドロタルサイトが製品中に残る重量割合)を65%以上とすることが可能であり、70%以上や85%以上とすることもできる。

0017

ハイドロタルサイトと繊維との複合体の合成
本発明においては、繊維の存在下で溶液中においてハイドロタルサイトを合成することによって、ハイドロタルサイトと繊維の複合体を製造する。

0018

ハイドロタルサイトの合成方法は公知の方法によることができる。例えば、反応容器内に中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ溶液(水酸化ナトリウムなど)に繊維を浸漬し、次いで、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンとを含む金属塩水溶液)を添加し、温度、pHなどを制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成する。また、反応容器内において、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンを含む金属塩水溶液)に繊維を浸漬し、次いで、中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ溶液(水酸化ナトリウム等)を滴下し、温度、pH等を制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成することもできる。常圧での反応が一般的ではるが、それ以外にも、オートクレーブなどを使用しての水熱反応により得る方法もある(特開昭60−6619号公報)。

0019

本発明においては、基本層を構成する二価金属イオンの供給源として、マグネシウム、亜鉛、バリウムカルシウム、鉄、銅、コバルトニッケル、マンガンの各種塩化物硫化物硝酸化物硫酸化物を用いることができる。また、基本層を構成する三価金属イオンの供給源として、アルミニウム、鉄、クロムガリウムの各種塩化物、硫化物、硝酸化物、硫酸化物を用いることができる。

0020

本発明においては、懸濁液の調製などに水を使用するが、この水としては、通常の水道水工業用水地下水井戸水などを用いることができる他、イオン交換水蒸留水超純水工業廃水、製造工程中に得られる水を好適に用いることできる。

0021

本発明においては、層間陰イオンとして陰イオンとして炭酸イオン、硝酸イオン塩化物イオン硫酸イオンリン酸イオンなどを用いることができる。炭酸イオンを層間陰イオンとする場合、炭酸ナトリウムが供給源として使用される。ただし炭酸ナトリウムは、二酸化炭素炭酸ガス)を含む気体代替可能で、実質的に純粋な二酸化炭素ガスや、他のガスとの混合物であってもよい。例えば、製紙工場焼却炉石炭ボイラー重油ボイラーなどから排出される排ガス二酸化炭素含有気体として好適に用いることができる。その他にも、石灰焼成工程から発生する二酸化炭素を用いて炭酸化反応を行うこともできる。

0022

本発明の複合体を製造する際には、さらに公知の各種助剤を添加することができる。例えば、キレート剤中和反応に添加することができ、具体的には、クエン酸リンゴ酸酒石酸などのポリヒドロキシカルボン酸シュウ酸などのジカルボン酸グルコン酸などの糖酸イミノ二酢酸エチレンジアミン四酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのアルカリ金属塩ヘキサメタリン酸トリポリリン酸などのポリリン酸のアルカリ金属塩、グルタミン酸アスパラギン酸などのアミノ酸およびこれらのアルカリ金属塩、アセチルアセトンアセト酢酸メチルアセト酢酸アリルなどのケトン類ショ糖などの糖類、ソルビトールなどのポリオールが挙げられる。また、表面処理剤としてパルミチン酸ステアリン酸等の飽和脂肪酸オレイン酸リノール酸等の不飽和脂肪酸脂環族カルボン酸アビエチン酸等の樹脂酸、それらの塩やエステルおよびエーテルアルコール活性剤ソルビタン脂肪酸エステル類アミド系やアミン系界面活性剤ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアルファオレフィンスルホン酸ナトリウム長鎖アルキルアミノ酸、アミンオキサイドアルキルアミン第四級アンモニウム塩アミノカルボン酸ホスホン酸多価カルボン酸縮合リン酸などを添加することができる。また、必要に応じ分散剤を用いることもできる。この分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムショ糖脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルアクリル酸マレイン酸共重合体アンモニウム塩メタクリル酸ナフトキシポリエチレングリコールアクリレート共重合体、メタクリル酸−ポリエチレングリコールモノメタクリレート共重合体アンモニウム塩、ポリエチレングリコールモノアクリレートなどがある。これらを単独または複数組み合わせて使用することができる。また、添加のタイミングは中和反応の前でも後でも良い。このような添加剤は、ハイドロタルサイトに対して、好ましくは0.001〜20%、より好ましくは0.1〜10%の量で添加することができる。

0023

反応条件
本発明において合成反応の温度は、例えば、30〜100℃とすることができるが、40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましく、60℃程度とすると特に好ましい。温度が高すぎたり低すぎたりすると、反応効率が低下しコストが高くなる傾向がある。

0024

また、本発明において中和反応はバッチ反応とすることもでき、連続反応とすることもできる。一般に、中和反応後の残存物を排出する便利さから、バッチ反応工程を行うことが好ましい。反応のスケールは特に制限されないが、100L以下のスケールで反応させてもよいし、100L超のスケールで反応させてもよい。反応容器の大きさは、例えば、10L〜100L程度とすることもできるし、100L〜1000L程度としてもよい。

0025

さらに、中和反応は、反応懸濁液のpHをモニターすることにより制御することができ、反応液のpHプロファイルに応じて、例えばpH9未満、好ましくはpH8未満、より好ましくはpH7のあたりに到達するまで炭酸化反応を行うことができる。

0026

一方、反応液の電導度をモニターすることにより中和反応を制御することも出来る。電導度が100mS/cm以下に低下するまで炭酸化反応を行うことが好ましい。

0027

さらにまた、合成反応は、反応時間によって制御することができ、具体的には、反応物反応槽滞留する時間を調整して制御することができる。その他、本発明においては、反応槽の反応液を攪拌する事や、中和反応を多段反応とすることによって反応を制御することもできる。

0028

本発明においては、反応生成物である複合体が懸濁液として得られるため、必要に応じて、貯蔵タンクへの貯蔵や、濃縮脱水粉砕分級熟成、分散などの処理を行うことができる。これらは公知の工程によることができ、用途やエネルギー効率などを考慮して適宜決定すればよい。例えば濃縮・脱水処理は、遠心脱水機沈降濃縮機などを用いて行われる。この遠心脱水機の例としては、デカンタースクリューデカンターなどが挙げられる。濾過機脱水機を用いる場合についてもその種類に特に制限はなく、一般的なものを使用することができるが、例えば、フィルタープレスドラムフィルターベルトプレスチューブプレス等の加圧型脱水機オリバーフィルター等の真空ドラム脱水機などを好適に用いて炭酸カルシウムケーキとすることができる。粉砕の方法としては、ボールミルサンドグラインダーミルインパクトミル高圧ホモジナイザー低圧ホモジナイザー、ダイノーミル、超音波ミル、カングラインダアトライタ石臼型ミル、振動ミルカッターミルジェットミル離解機、叩解機短軸押出機、2軸押出機超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。分級の方法としては、メッシュ等のアウトワード型もしくはインワード型のスリットもしくは丸穴スクリーン振動スクリーン重量異物クリーナー軽量異物クリーナー、リバースクリーナー、篩分け試験機等が挙げられる。分散の方法としては、高速ディスパーザー、低速ニーダーなどが挙げられる。

0029

本発明によって得られた複合体は、完全に脱水せずに懸濁液の状態で填料顔料に配合することもできるが、乾燥して粉体とすることもできる。この場合の乾燥機についても特に制限はないが、例えば、気流乾燥機バンド乾燥機噴霧乾燥機などを好適に使用することができる。

0030

発明によって得られる複合体は、希塩酸希硝酸などの弱酸で処理する事で、塩化物イオンや硝酸物イオンなどを層間イオンとしてインターカレーションする事が可能である。インターカレーションする化合物としては、アニオン性物質が挙げられるが、例えば、銅または銀のチオスルファト錯体等が挙げられる。インターカレーションする方法としては、公知の方法によることができるが、ハイドロタルサイトと繊維の複合体に、アニオン性物質を含む溶液を添加し、混合することができる。

0031

また、本発明によって得られる複合体は、公知の方法によって改質することが可能である。例えば、ある態様においては、その表面を疎水化し、樹脂などとの混和性を高めたりすることが可能である。

0032

繊維
本発明においては、ハイドロタルサイトと繊維とを複合体化する。複合体を構成する繊維は特に制限されないが、例えば、セルロースなどの天然繊維はもちろん、石油などの原料から人工的に合成される合成繊維、さらには、レーヨンリヨセルなどの再生繊維(半合成繊維)、さらにはセラミックをはじめとする無機繊維などを制限なく使用することができる。天然繊維としては上記の他にウール絹糸コラーゲン繊維等の蛋白系繊維、キチンキトサン繊維アルギン酸繊維等の複合糖鎖系繊維等が挙げられる。

0033

セルロース系の原料としては、パルプ繊維木材パルプ非木材パルプ)、バクテリアセルロースが例示され、木材パルプは、木材原料パルプ化して製造すればよい。木材原料としては、アカマツクロマツ、トドマツエゾマツ、ベニマツカラマツモミツガスギヒノキ、カラマツ、シラベ、トウヒヒバダグラスファーヘムロックホワイトファースプルースバルサムファー、シーダパイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、及びこれらの混合材ブナカバハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバハコヤナギポプラタモ、ドロヤナギユーカリマングローブラワンアカシア等の広葉樹及びこれらの混合材が例示される。

0034

木材原料をパルプ化する方法は、特に限定されず、製紙業界で一般に用いられるパルプ化法が例示される。木材パルプはパルプ化法により分類でき、例えば、クラフト法サルファイト法ソーダ法ポリサルファイド法等の方法により蒸解した化学パルプリファイナー、グラインダー等の機械力によってパルプ化して得られる機械パルプ薬品による前処理の後、機械力によるパルプ化を行って得られるセミケミカルパルプ古紙パルプ脱墨パルプ等が挙げられる。木材パルプは、未晒(漂白前)の状態であってもよいし、晒(漂白後)の状態であってもよい。

0035

非木材由来の原料としては、綿、ヘンプ、サイザル麻マニラ麻亜麻、藁、バガスケナフサトウキビトウモロコシ稲わらこうぞ)、みつまた等が例示される。

0036

パルプ繊維は、未叩解及び叩解のいずれでもよく、複合体シートの物性に応じて選択すればよいが、叩解を行う方が好ましい。これにより、シート強度の向上並びに炭酸カルシウムの定着促進が期待できる。

0037

合成繊維としてはポリエステルポリアミドポリオレフィンアクリルナイロン、アクリル、ビニロンセラミックス繊維など、半合繊維としてはレーヨン、アセテートなどが挙げられ、無機繊維としては、ガラス繊維炭素繊維、各種金属繊維などが挙げられる。

0038

また、これらセルロース原料はさらに処理を施すことで粉末セルロース酸化セルロースなどの化学変性セルロース、およびセルロースナノファイバー:CNF(ミクロフィブリル化セルロースMFC、TEMPO酸化CNF、リン酸エステル化CNF、カルボキシメチル化CNF、機械粉砕CNFなど)として使用することもできる。本発明で用いる粉末セルロースとしては、例えば、精選パルプ酸加水分解した後に得られる未分解残渣を精製・乾燥し、粉砕・篩い分けするといった方法により製造される棒軸状である一定の粒径分布を有する結晶性セルロース粉末を用いてもよいし、KCフロック(日本製紙製)、セオラス旭化成ケミカルズ製)、アビセルFMC社製)などの市販品を用いてもよい。粉末セルロースにおけるセルロースの重合度は好ましくは100〜1500程度であり、X線回折法による粉末セルロースの結晶化度は好ましくは70〜90%であり、レーザー回折式粒度分布測定装置による体積平均粒子径は好ましくは1μm以上100μm以下である。本発明で用いる酸化セルロースは、例えばN−オキシル化合物、及び、臭化物ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化することで得ることができる。セルロースナノファイバーとしては、上記セルロース原料を解繊する方法が用いられる。解繊方法としては、例えばセルロースや酸化セルロース等の化学変性セルロースの水懸濁液等を、リファイナー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸または多軸混練機ビーズミル等による機械的な磨砕、ないし叩解することにより解繊する方法を使用することができる。上記方法を1種または複数種類組み合わせてセルロースナノファイバーを製造してもよい。製造したセルロースナノファイバーの繊維径は電子顕微鏡観察などで確認することができ、例えば5nm〜1000nm、好ましくは5nm〜500nm、より好ましくは5nm〜300nmの範囲にある。このセルロースナノファイバーを製造する際、セルロースを解繊及び/又は微細化する前及び/又は後に、任意の化合物をさらに添加してセルロースナノファイバーと反応させ、水酸基が修飾されたものにすることもできる。修飾する官能基としては、アセチル基エステル基エーテル基ケトン基ホルミル基ベンゾイル基アセタールヘミアセタールオキシムイソニトリルアレンチオール基ウレア基シアノ基ニトロ基アゾ基アリール基アラルキル基アミノ基、アミド基イミド基アクリロイル基メタクリロイル基プロピオニル基プロピオロイル基ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基メチル基エチル基プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基、ノニル基、デシル基ウンデシル基、ドデシル基ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基オキシラン基オキセタン基オキシル基チイラン基チエタン基等が挙げられる。これらの置換基の中の水素が水酸基、カルボキシル基等の官能基で置換されても構わない。また、アルキル基の一部が不飽和結合になっていても構わない。これらの官能基を導入するために使用する化合物としては特に限定されず、例えば、リン酸由来の基を有する化合物、カルボン酸由来の基を有する化合物、硫酸由来の基を有する化合物、スルホン酸由来の基を有する化合物、アルキル基を有する化合物、アミン由来の基を有する化合物等が挙げられる。リン酸基を有する化合物としては特に限定されないが、リン酸、リン酸のリチウム塩であるリン酸二水素リチウムリン酸水素リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、ポリリン酸リチウムが挙げられる。更にリン酸のナトリウム塩であるリン酸二水素ナトリウムリン酸水素二ナトリウムリン酸三ナトリウムピロリン酸ナトリウムポリリン酸ナトリウムが挙げられる。更にリン酸のカリウム塩であるリン酸二水素カリウムリン酸水素二カリウムリン酸三カリウムピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウムが挙げられる。更にリン酸のアンモニウム塩であるリン酸二水素アンモニウムリン酸水素二アンモニウムリン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウムポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがより好ましいが、特に限定されない。カルボキシル基を有する化合物としては特に限定されないが、マレイン酸コハク酸フタル酸フマル酸グルタル酸アジピン酸イタコン酸等のジカルボン酸化合物やクエン酸、アコニット酸などトリカルボン酸化合物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物としては特に限定されないが、無水マレイン酸無水コハク酸無水フタル酸無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の誘導体としては特に限定されないが、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物としては特に限定されないが、マレイミドコハク酸イミド、フタル酸イミド等のジカルボン酸化合物のイミド化物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては特に限定されない。例えば、ジメチルマレイン酸無水物ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等の、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が置換基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されたものが挙げられる。上記カルボン酸由来の基を有する化合物のうち、工業的に適用しやすく、ガス化しやすいことから、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸が好ましいが、特に限定されない。また、化学的に結合させなくても、修飾する化合物がセルロースナノファイバーに物理的に吸着する形でセルロースナノファイバーを修飾してもよい。物理的に吸着する化合物としては界面活性剤等が挙げられ、アニオン性カチオン性ノニオン性いずれを用いてもよい。セルロースを解繊及び/又は粉砕する前に上記の修飾を行った場合、解繊及び/又は粉砕後にこれらの官能基を脱離させ、元の水酸基に戻すこともできる。以上のような修飾を施すことで、セルロースナノファイバーの解繊を促進したり、セルロースナノファイバーを使用する際に種々の物質と混合しやすくしたりすることができる。

0039

以上に示した繊維は単独で用いても良いし、複数を混合しても良い。中でも、木材パルプを含むか、若しくは、木材パルプと非木材パルプ及び/又は合成繊維との組み合わせを含むことが好ましく、木材パルプのみであることがより好ましい。

0040

好ましい態様において、本発明の複合体を構成する繊維はパルプ繊維である。また、例えば、製紙工場の排水から回収された繊維状物質を本発明で用いてもよい。このような物質を反応槽に供給することにより、種々の複合粒子を合成することができ、また、形状的にも繊維状粒子などを合成することができる。

0041

複合体の成形物
本発明に係る複合体を用いて、適宜、成形物(体)を製造することも可能である。例えば、本発明によって得られた複合体をシート化すると、高灰分のシートを容易に得ることができる。シート製造に用いる抄紙機抄造機)としては、例えば長網抄紙機丸網抄紙機ギャップフォーマハイブリッドフォーマ多層抄紙機、これらの機器の抄紙方式を組合せた公知の抄造機などが挙げられる。抄紙機におけるプレス線圧後段カレンダー処理を行う場合のカレンダー線圧は、いずれも操業性や複合体シートの性能に支障を来さない範囲内で定めることができる。また、形成されたシートに対して含浸や塗布により澱粉や各種ポリマー、顔料およびそれらの混合物を付与しても良い。

0042

シート化の際には湿潤および/または乾燥紙力剤紙力増強剤)を添加することができる。これにより、複合体シートの強度を向上させることができる。紙力剤としては例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂植物性ガムラテックスポリエチレンイミングリオキサール、ガム、マンガラクタンポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド樹脂ポリビニルアミンポリビニルアルコール等の樹脂;上記樹脂から選ばれる2種以上からなる複合ポリマー又は共重合ポリマー;澱粉及び加工澱粉カルボキシメチルセルロースグアーガム尿素樹脂等が挙げられる。紙力剤の添加量は特に限定されない。

0043

また、填料の繊維への定着を促したり、填料や繊維の歩留を向上させるために、高分子ポリマー無機物を添加することもできる。例えば凝結剤として、ポリエチレンイミンおよび第三級および/または四級アンモニウム基を含む改質ポリエチレンイミンポリアルキレンイミンジシアンジアミドポリマー、ポリアミン、ポリアミン/エピクロドリ重合体、並びにジアルキルジアリル第四級アンモニウムモノマージアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド及びジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドとアクリルアミドの重合体、モノアミン類エピハロヒドリンからなる重合体、ポリビニルアミン及びビニルアミン部を持つ重合体やこれらの混合物などのカチオン性のポリマーに加え、前記ポリマーの分子内にカルボキシル基やスルホン基などのアニオン基を共重合したカチオンリッチ両イオン性ポリマー、カチオン性ポリマーとアニオン性または両イオン性ポリマーとの混合物などを用いることができる。また歩留剤として、カチオン性またはアニオン性、両性ポリアクリルアミド系物質を用いることができる。また、これらに加えて少なくとも一種以上のカチオンやアニオン性のポリマーを併用する、いわゆるデュアルポリマーと呼ばれる歩留りシステムを適用することもでき、少なくとも一種類以上のアニオン性のベントナイトコロイダルシリカポリ珪酸、ポリ珪酸もしくはポリ珪酸塩ミクロゲルおよびこれらのアルミニウム改質物などの無機微粒子や、アクリルアミドが架橋重合したいわゆるマイクロポリマーといわれる粒径100μm以下の有機系の微粒子を一種以上併用する多成分歩留りシステムであってもよい。特に単独または組合せで使用するポリアクリルアミド系物質が、極限粘度法による重量平均分子量が200万ダルトン以上である場合、良好な歩留りを得ることができ、好ましくは、500万ダルトン以上であり、更に好ましくは1000万ダルトン以上3000万ダルトン未満の上記アクリルアミド系物質である場合に非常に高い歩留りを得ることが出来る。このポリアクリルアミド系物質の形態はエマルジョン型でも溶液型であっても構わない。この具体的な組成としては、該物質中にアクリルアミドモノマーユニット構造単位として含むものであれば特に限定はないが、例えば、アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、あるいはアクリルアミドとアクリル酸エステルを共重合させた後、4級化したアンモニウム塩が挙げられる。該カチオン性ポリアクリルアミド系物質カチオン電荷密度は特には限定されない。

0044

その他、目的に応じて、濾水性向上剤内添サイズ剤pH調整剤消泡剤ピッチコントロール剤スライムコントロール剤、嵩高剤、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカなどの無機粒子(いわゆる填料)等が挙げられる。各添加材の使用量は特に限定されない。

0045

シート化以外の成形法を用いることも可能であり、例えば、パルプモールドと呼ばれるように鋳型に原料を流し込んで吸引脱水・乾燥させる方法や、樹脂や金属などの成形物の表面に塗り広げて乾燥後、基材から剥離する方法などによって、種々の形状を有する成形物を得ることができる。また、樹脂を混ぜてプラスチック様成形することもできるし、シリカやアルミナ等の鉱物を添加し、焼成することでセラミック様に成形することもできる。以上に示した配合・乾燥・成形において、1種類の複合体のみを用いることもできるし、2種類以上の複合体を混合して用いることもできる。2種類以上の複合体を用いる場合は、予めそれらを混合したものを用いることもできるし、それぞれを配合・乾燥・成形したものを後から混合することもできる。

0046

本発明に係る複合体を用いて、成形物(体)を製造する際は、ポリマーなどの各種有機物や顔料などの各種無機物、パルプ繊維などの各種繊維を付与しても良い。また、複合体の成形物に後からポリマーなどの各種有機物や顔料などの各種無機物、パルプ繊維などの各種繊維を付与しても良い。

0047

本発明によって得られた複合体は、種々の用途に用いることができ、例えば、紙、繊維、セルロース系複合材料フィルター材料塗料プラスチックやその他の樹脂、ゴムエラストマー、セラミック、ガラス、タイヤ建築材料アスファルトアスベストセメント、ボード、コンクリートれんがタイル合板繊維板など)、各種担体触媒担体医薬担体農薬担体、微生物担体など)、吸着剤(不純物除去、消臭、除湿など)、しわ防止剤粘土研磨材改質剤補修材断熱材、防湿材撥水材、耐水材遮光材シーラントシールド材防虫剤接着剤、インキ、化粧料医用材料ペースト材料食品添加剤錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤濾過助材精油材、油処理剤、油改質剤、電波吸収材絶縁材、遮音材防振材半導体封止材放射線遮断材化粧品肥料飼料香料、塗料・接着剤・樹脂用添加剤、変色防止剤導電材伝熱材、衛生用品(使い捨ておむつ、生理用ナプキン失禁者パッド母乳パッド)等のあらゆる用途に広く使用することができる。また、前記用途における各種充填剤コーティング剤などに用いることができる。このうち、吸着剤(不純物除去、消臭、除湿など)や、衛生用品(使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁者用パッド、母乳パッド)が好ましい。

0049

以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。また、本明細書において特に記載しない限り、濃度や部などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。

0050

実験1:ハイドロタルサイトと繊維の複合体
(1)アルカリ溶液と酸溶液の調製
ハイドロタルサイト(HT)を合成するための溶液を準備した。アルカリ溶液(A溶液)として、Na2CO3(和光純薬)およびNaOH(和光純薬)の混合水溶液を調製した。また、酸溶液(B溶液)として、MgCl2(和光純薬)およびAlCl3(和光純薬)の混合水溶液、ZnCl2(和光純薬)およびAlCl3(和光純薬)の混合水溶液を調製した。
・アルカリ溶液(A溶液、Na2CO3濃度:0.05M、NaOH濃度:0.8M)
・酸溶液(B溶液、Mg系、MgCl2濃度:0.3M、AlCl3濃度:0.1M)
・酸溶液(B溶液、Zn系、ZnCl2濃度:0.3M、AlCl3濃度:0.1M)

0051

(2)複合体の合成
(サンプル0:Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O)
アルカリ溶液を10L容の反応容器に入れ、撹拌しながら酸溶液(Mg系)を滴下してハイドロタルサイト微粒子を合成した。反応温度は60℃、滴下速度は15ml/minであり、反応液のpHが約7になった段階で滴下を停止した。滴下終了後、30分間、反応液を撹拌し、約10倍量の水を用いて水洗して塩を除去した。
(サンプル1:Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oとパルプ繊維の複合体)
複合体化する繊維として、セルロース繊維を使用した。具体的には、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、日本製紙製)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙製)を8:2の重量比で含み、シングルディスクリファイナー(SDR)を用いてカナダ標準濾水度を390mlに調整したパルプ繊維を用いた。
アルカリ溶液にパルプ繊維を添加し、パルプ繊維を含む水性懸濁液を準備した(パルプ繊維濃度:1.56%、pH:約12.4)。この水性懸濁液(パルプ固形分30g)を10L容の反応容器に入れ、水性懸濁液を撹拌しながら、酸溶液(Mg系)を滴下してハイドロタルサイト微粒子と繊維との複合体を合成した。図1に示すような装置を用いて、反応温度は60℃、滴下速度は15ml/minであり、反応液のpHが約7になった段階で滴下を停止した。滴下終了後、30分間、反応液を撹拌し、10倍量の水を用いて水洗して塩を除去した。
(サンプル2:Mg6Al2(OH)16CO3・4H2Oとパルプ繊維の複合体)
アルカリ溶液と酸溶液(Mg系)の添加順を逆にした以外は、サンプル1と同様にして複合体を製造した。滴下前の水性懸濁液のpHは約2.8であり、反応液のpHが約7になった段階でアルカリ溶液の滴下を停止した。
(サンプル3:Zn6Al2(OH)16CO3・4H2Oとパルプ繊維の複合体)
酸溶液(B溶液)としてZn系溶液を用いた以外は、サンプル1と同様にして複合体を作成した。滴下前の水性懸濁液のpHは約12.3であり、反応液のpHが約6.5になった段階で酸溶液(Zn系)の滴下を停止した。
(サンプル4:炭酸カルシウムとパルプ繊維の複合体)
特開2015−199655の実験1と同様にして、炭酸カルシウムとパルプ繊維の複合体を製造した。すなわち、広葉樹パルプ繊維(CV処理パルプ)の存在下で炭酸カルシウムを水系で合成し、炭酸カルシウムとパルプ繊維の複合体を製造した。
(サンプル5:炭酸マグネシウムとパルプ繊維の複合体)
水酸化マグネシウム140g(和光純薬)と広葉樹晒クラフトパルプ140g(LBKP、CSF:370ml、平均繊維長:0.75mm)を含む水性懸濁液14Lを、45L容のキャビテーション装置に入れ、反応溶液循環させながら、反応容器中に炭酸ガスを吹き込んで炭酸ガス法によって炭酸マグネシウム微粒子と繊維との複合体を合成した。反応温度は約36℃、炭酸ガスは市販の液化ガスを供給源とし、炭酸ガスの吹き込み量は4L/minとした。反応液のpHが約8になった段階でCO2の導入を停止し(反応前のpHは約9.5)、その後30分間、キャビテーションの発生と装置内でのスラリーの循環を続け、炭酸マグネシウムとパルプ繊維の複合体を得た。
複合体の合成においては、図2に示すように反応溶液を循環させて反応容器内に噴射することよって、反応容器内にキャビテーション気泡を発生させた。具体的には、ノズルノズル径:1.5mm)を介して高圧で反応溶液を噴射してキャビテーション気泡を発生させた。噴流速度は約70m/s、入口圧力上流圧)は1.8MPa、出口圧力下流圧)は0.3MPaだった。

0052

(3)複合体の評価
JIS P 8222に基づいて、合成した複合体からマットを製造した(坪量:約100g/m2)。具体的には、複合体の水性スラリー(約0.5%)をろ紙(JIS P3801、定量分析用、5種B)を用いてろ過し、得られたサンプルを1MPaで5分間圧力をかけて脱水した後、50℃で2時間緊張乾燥させて、約200cm2の大きさの複合体マットを製造した。対照として、パルプのみからなるマット(T1)、ハイドロタルサイトを内添したマット(ハイドロタルサイト内添紙)も製造した。パルプのみからなるマットはLBKP/NBKP混合パルプ(CSF:390ml)の水性スラリー(約0.5%)、ハイドロタルサイト内添紙は、LBKP/NBKP混合パルプ(CSF:390ml)の水性スラリー(約0.5%)にハイドロタルサイト(サンプル0)を添加した懸濁液から、JIS P 8222に基づいて製造した。

0053

また、X線回折にて、サンプル1(Mg系HT)およびサンプル3(Zn系HT)を分析し、ハイドロタルサイト由来のピークを確認した(図3、●印)。

0054

さらに、電子顕微鏡(SEM)を用いて、得られた複合体を観察し、パルプ繊維表面に粒子複合化されていることを確認した(図4)。図4−1は、サンプル1の調製に用いたクラフトパルプのみから製造したマットの電子顕微鏡写真であるが、繊維表面に粒子は確認されない。図4−2は、サンプル1の複合体から製造したマットの電子顕微鏡写真であるが、この複合体は繊維表面に多数のMg系HT微粒子が析出していた。サンプル1の複合体(図4−2)は、微粒子によるパルプ繊維の被覆率が約95%(微粒子の一次粒子径:40〜60nm程度、平均一次粒子径:50nm程度、)であったが、サンプル2の複合体(図4−3)は、微粒子によるパルプ繊維の被覆率が約75%だった。図4−4は、サンプル3の複合体から製造したマットの電子顕微鏡写真であるが、繊維表面に多数のZn系HT微粒子が析出していた(微粒子によるパルプ繊維の被覆率は50〜80%、微粒子の一次粒子径:100〜900nm、平均一次粒子径:400nm程度)。図4−5は、サンプル0とクラフトパルプを混抄したマットの電子顕微鏡写真である。繊維表面に粒子は確認されたが、微粒子によるパルプ繊維の被覆率が40〜60%であり、サンプル1の複合体と比較して低い値であった。

0055

さらにまた、サンプル1の複合体(Mg系HTと繊維の複合体)の灰分を測定したところ、49.5重量%であり、原料(パルプ・水酸化カルシウム)の仕込み比から計算された理論値(50重量%)とほぼ一致した。サンプル3の複合体(Zn系HTと繊維の複合体)については、灰分が49.8重量%であり、原料(パルプ・水酸化カルシウム)の仕込み比から計算された理論値(50重量%)とほぼ一致した。なお、複合体の灰分は、複合体を525℃で約2時間加熱した後、残った灰の重量と元の固形分との比率から算出した(JIS P 8251:2003)。ただし、525℃での灰化処理によって、ハイドロタルサイトの脱炭酸や層間水の離脱による重量減少が生じるため(Mg系HT:約40%、Zn系HT:約30%)、灰化処理後の実測重量から重量減少分踏まえて灰分を算出した。また、MgとZnの比率については、ハイドロタルサイトの組成に基づいて算出した。

0056

0057

実験2:複合体シートの製造と評価
(1)複合体シートの製造
(シート0)
JIS P 8222に基づいて、クラフトパルプから坪量が60g/m2程度の手抄きシートを製造した。使用したパルプは、実験1に記載したものと同じであり、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、日本製紙製)と針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙製)を8:2の重量比で含み、シングルディスクリファイナー(SDR)を用いてカナダ標準濾水度を390mlに調整したものである。

0058

(シート1・2)
JIS P 8222に基づいて、実験1で製造した複合体(サンプル1・2)からシートを製造した。具体的には、複合体の水性スラリー(約0.5%)に、カチオン性歩留剤(ND300、ハイモ社製)を100ppm、アニオン性歩留剤(FA230、ハイモ社製)を100ppm添加し、500rpmにて撹拌して懸濁液を調製した上で、調製した懸濁液からJIS P 8222に基づいてシートを製造した。

0059

(シート3)
JIS P 8222に基づいて、実験1に記載したクラフトパルプ(CSF:390ml)とハイドロタルサイト微粒子(サンプル0)からシートを製造した。具体的には、LBKP/NBKP混合パルプの水性スラリー(約0.5%)に、実験1で製造したハイドロタルサイトを添加し、カチオン性歩留剤(ND300、ハイモ社製)を100ppm、アニオン性歩留剤(FA230、ハイモ社製)を100ppm添加し、500rpmにて撹拌して懸濁液を調製した上で、調製した懸濁液からJIS P 8222に基づいてシートを製造した。

0060

(シート4・5)
カチオン性歩留剤およびアニオン製歩留剤を使用しなかった以外は、シート1・2と同様にして複合体シートを製造した。

0061

(シート6)
カチオン性歩留剤およびアニオン製歩留剤を使用しなかった以外は、シート3と同様にして複合体シートを製造した。このときの歩留りは62.1%であった。

0062

(2)複合体シートの評価
それぞれ下記の評価手順に基づいて評価した。
・坪量:JIS P 8124:1998
・厚さ:JIS P 8118:1998
密度:厚さ、坪量の測定値より算出
・灰分:JIS P 8251:2003
白色度:JIS P 8212:1998
不透明度:JIS P 8149:2000
比散乱係数S値):TAPPI T425(ISO 9416)に規定される式により算出した。
透気抵抗度:JIS P 8117:2009
平滑度:JIS P 8155:2010
曲げ荷重:ISO 2493に準じて、L&W Bending Tester(Lorentzen&Wettre社製)で、曲げ角度が15度の曲げこわさを測定して算出した。
裂断長:JIS P 8113:2006
・X線回折:実験1と同様にしてシートサンプルを分析した(図5)。
・歩留り:シート作成時の投入量と出来上がったシート重量から算出した。

0063

0064

上記の表から明らかなように、繊維とアルカリの懸濁液に酸を添加して合成したハイドロタルサイト複合体は、繊維と酸の懸濁液にアルカリを添加して合成したハイドロタルサイト複合体と比較して、白色度および不透明が高く、繊維の被覆率や灰分が高くなった。一方、繊維と酸の懸濁液にアルカリを添加して合成したハイドロタルサイト複合体は、繊維とアルカリの懸濁液に酸を添加して合成したハイドロタルサイト複合体と比較して、シートの引張強度が高くなった。

0065

実験3:消臭特性の評価
実験1(3)で製造した複合体マット(坪量:約100g/m2)を用いて、複合体の消臭特性を評価した。消臭試験に供した複合体マットの大きさは100cm2(10cm×10cm)であるが、後述するウェット条件における硫化水素、メチルメルカプタン、インドールについてはサンプルの大きさを25cm2とした。

0066

消臭試験は、SEKマーク繊維製品認証基準JEC301、繊維評価技術協議会)の方法に基づいて実施し、汗臭(アンモニア、酢酸、イソ吉草酸)、排泄臭(アンモニア、酢酸、硫化水素、メチルメルカプタン、インドール)、加齢臭(アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナール)、生ゴミ臭(アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、トリメチルアミン)、に対する消臭特性を評価した。アンモニア、酢酸、硫化水素、メチルメルカプタン、ピリジン、トリメチルアミンは検知管、イソ吉草酸とインドール、ノネナールはガスクロマトグラフィーを用いて定量した。

0067

(条件1:ドライ条件)
20℃、65%RHで24時間以上、サンプルを調湿してから、臭気成分の消臭特性(減少率、%)を評価した。ここで、減少率(%)とは、臭気成分の初期濃度と測定時の濃度から下式によって求めることができる。
減少率(%) = (1−測定時の濃度/初期濃度)×100

0068

下表および図6〜13に示すように、消臭試験を実施したサンプルの中で、T3のマット(Zn系HT複合体)は、対象とした全ての臭気成分に対し高い消臭能を示した。

0069

0070

(条件2:ウェット条件)
20℃、65%RHで24時間以上調湿したサンプルに約1mlの水をピペットで付与してから、臭気成分の消臭特性を評価した。紙オムツなどの水分の多い環境下での消臭特性を評価するためである。

0071

下表および図6〜13に示すように、汗臭に該当する臭気成分のうちアンモニアに関しては、ウェット条件の方が消臭効果は高くなった。アンモニアは水に溶けやすく、臭気が吸着しやすくなった影響と考えられる。

0072

0073

実験4:抗菌特性の評価
JIS P 8222に基づいて、実験1(2)で製造した複合体(サンプル3)からマットを製造した(坪量:約100g/m2、灰分:46%)。具体的には、湿潤紙力剤(製品名:WS4024、星光PMC社製)5000ppm、アニオン歩留剤(製品名:FA230、ハイモ社製)1200pm、カチオン歩留り剤(製品名:ND300、ハイモ社製)1000ppmを含む複合体の水性スラリー(濃度:約0.5%)をろ紙(JIS P3801、定量分析用、5種B)を用いてろ過し、得られたサンプルを1MPaで5分間圧力をかけて脱水した後、50℃で2時間緊張乾燥させて、複合体マットを製造した。ここで、複合体の灰分は、複合体を525℃で約2時間加熱した後、残った灰の重量と元の固形分との比率から算出した(JIS P 8251:2003)。

0074

製造した複合体マットを用いて抗菌特性を評価した。抗菌試験に供した複合体マットの重さは0.4gである。基準として、標準綿布を用いた。抗菌性試験は、JIS L 1902に定める菌液吸収法試験接種菌液直接試験片上に接種する定量試験方法)にて実施した。試験菌種として黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)と大腸菌(Escherichia coil NBRC 3301)の2種類を使用し、18時間培養後の生菌数混釈平版培養法にて測定した。試験手順を以下に示す。

0075

1.試験片0.4gをバイアル瓶に入れ、試験菌液0.2ml(0.05%の界面活性剤(Tween80)を含む)を滴下後、バイアル瓶のふたをする。
2.バイアル瓶を37℃で18時間培養する。
3.洗い出し液20mlを加えて試験片から試験菌洗い出し、洗い出し液中の生菌数を混釈平板培養法又は発光測定法により測定する。
4.下記の式に従い抗菌活性値を算出する。抗菌活性値が2.0以上とは、菌の死滅率が99%以上であることを意味する。
抗菌活性値 = {log(対照試料・培養後生菌数) − log(対照試料・接種直後生菌数)} − {log(試験試料・培養後生菌数) − log(試験試料・接種直後生菌数)}

0076

下表に示す通り、抗菌性試験を実施したZn系HT複合体は、対象とした菌種に対し、極めて高い抗菌特性を示した。

0077

0078

なお、下表に示す通り、標準綿布を使用して抗菌性試験をした結果、増殖値が1.0以上であったことから、試験が正しく行われていることを確認した。

0079

0080

実験5:抗ウイルス性の評価
銅のチオスルファト錯体溶液で、実験1(2)で製造した合成した複合体(サンプル3)を処理し、銅のチオスルファト錯体溶液を付着したZn系HT複合体(Zn6Al2(OH)16CO3・4H2Oとパルプ繊維の複合体)を得た(サンプル6)。

0081

具体的には、塩化銅を溶解し、その溶液とチオ硫酸ナトリウム五水和物の溶液を混合し、銅のチオスルファト錯体溶液を調製した。この銅のチオスルファト錯体溶液を、実験1(2)で製造した複合体(サンプル3)のスラリー(濃度1.5%)に対し、固形分当たり銅が0.8〜2.0%になるように添加し、3時間、20℃〜60℃の条件で撹拌した(サンプル6−1〜6−3)。

0082

続いて、JIS P 8222に基づいて、製造した複合体(サンプル6−1〜6−3)からマットを製造した(坪量:約100g/m2、灰分:46%)。具体的には、複合体の水性スラリー(濃度:約0.5%)をろ紙(JIS P3801、定量分析用、5種B)を用いてろ過し、得られたサンプルを1MPaで5分間圧力をかけて脱水した後、50℃で2時間緊張乾燥させて、複合体マットを製造した。

0083

製造した複合体マットについて、抗ウイルス特性を評価した。抗ウイルス性試験は、JIS L 1922:2016繊維製品の抗ウイルス性試験方法にて実施した。試験に供した複合体マットの重さは0.4g、対照試料には標準綿布を用いた。試験ウイルス種としてネコカリシウイルス(Feline calicivirus;Strain:F−9ATCCVR−782)を使用した。試験手順を以下に示す。
1.試験片0.4gをバイアル瓶に入れ、試験ウイルス液0.2mlを滴下後、バイアル瓶のふたをする。
2.バイアル瓶を25℃で2時間静置する。
3.洗い出し液20mlを加えて試験片からウイルスを洗い出し、プラーク測定法により感染価を算出する。
4.次の式によって抗ウイルス活性値(Mv)を計算する。なお、JISでは抗ウイルス効果を、Mv≧2.0で効果が有り、Mv≧3.0で十分に効果があると定められている。
抗ウイルス活性値(Mv) = Log(Vb)−Log(Vc)
Mv:抗ウイルス活性値
Log(Vb): 対照試料の2時間作用後の感染価常用対数(3検体平均値
Log(Vc):抗ウイルス試料の2時間作用後の感染価常用対数(3検体の平均値)

0084

実施例

0085

表に示す通り、銅のチオスルファト錯体溶液を吸着したZn系HT複合体(サンプル6)は、対象としたウイルス種に対し、極めて高い抗ウイルス特性を示した。

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