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技術 酸化銅微粒子の製造方法及び分散液

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 高橋一憲
出願日 2017年7月14日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2018-528528
公開日 2019年3月28日 (1年10ヶ月経過) 公開番号 WO2018-016445
状態 特許登録済
技術分野 ナノ構造物 重金属無機化合物(I) 溶解、混合、フローミキサー
主要キーワード 内断面形状 管内断面積 取出角度 合流領域 塩基性化合物溶液 方ジョイント 次凝集塊 有機化合物錯体
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年3月28日)のものです。
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図面 (9)

課題・解決手段

ナノメートルサイズ分散性に優れた酸化銅微粒子を連続的に製造することができる酸化銅微粒子の製造方法を提供する。また、酸化銅微粒子の凝集を防ぎ、分散性に優れた酸化銅微粒子の分散液を提供する。フロー式反応系(典型的には、いわゆるマイクロリアクター)において、銅塩溶液塩基性化合物溶液とをそれぞれ異なる流路に導入し、各流路内に各溶液流通させながら、各溶液を合流し、合流液をその下流の反応流路内へと流通させながら銅塩塩基性化合物とを反応させ、合流部における銅塩と塩基性化合物の流速と濃度が特定の関係式を満たすことにより、ナノメートルサイズの微細粒径の分散性に優れた酸化銅微粒子を連続的に得る。

概要

背景

半導体回路基板配線は、従来、スパッタリングイオンプレーティング化学気相成長CVD)等の気相法により形成されてきた。しかしこれらの方法では、基板配線の大面積化コスト低減に対する要求を十分に満たすことができない。
半導体回路の微細化や、その構造の多様化が進む中、プリンテッドエレクトロニクス(PE)と呼ばれる、プリント技術を利用した基板配線の形成方法が注目されている。PE技術により、オンデマンドに、効率的に配線を形成することができ、また、半導体製造プロセスで従来必要とされた露光処理エッチング処理を必要とせず、製造コスト環境負荷を抑えることができる。

PEに用いるメタルインクとしては、金微粒子銀微粒子を用いたナノメタルインクが主流であり、酸化銅微粒子を含むインクプリントし、これを還元して配線を形成することが検討されている。これらのナノメタルインクインクを用いる方法においては、インク中に分散する金属粒子平均粒径、及びその分散性が重要となる。特に、配線の微細化にあわせ、数十nm以下という微粒子を安定に形成することが必要とされ、より分散性の高い金属粒子が求められている。

ナノメートルサイズの酸化銅微粒子を製造する方法として、フロー式反応(フローリアクター)を用いて酸化銅を製造する方法が報告されている。例えば特許文献1には、2価の銅塩溶液及び還元剤溶液を送液しながら接触させ、酸化第1銅(Cu2O)微粒子を得ることが記載されている。
また、特許文献2には、2価の銅塩溶液および還元剤溶液を流路中に送液して接触させ、酸化第1銅微粒子を得る製造方法が記載されている。

概要

ナノメートルサイズの分散性に優れた酸化銅微粒子を連続的に製造することができる酸化銅微粒子の製造方法を提供する。また、酸化銅微粒子の凝集を防ぎ、分散性に優れた酸化銅微粒子の分散液を提供する。フロー式反応系(典型的には、いわゆるマイクロリアクター)において、銅塩溶液と塩基性化合物溶液とをそれぞれ異なる流路に導入し、各流路内に各溶液流通させながら、各溶液を合流し、合流液をその下流の反応流路内へと流通させながら銅塩塩基性化合物とを反応させ、合流部における銅塩と塩基性化合物の流速と濃度が特定の関係式を満たすことにより、ナノメートルサイズの微細な粒径の分散性に優れた酸化銅微粒子を連続的に得る。

目的

本発明は、ナノメートルサイズの分散性に優れた酸化銅微粒子を連続的に製造することができる酸化銅微粒子の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

第1流路に銅(II)塩溶液を、第2流路に塩基性化合物溶液をそれぞれ導入して各流路内に各溶液通流させ、前記第1流路内を流通する銅塩溶液と、前記第2流路内を流通する塩基性化合物溶液とを合流し、合流した液が下流へ流通中に銅(II)塩と塩基性化合物とを反応させ、反応生成物から酸化銅微粒子を製造することを含む、フロー式反応による酸化銅微粒子の製造方法であって、前記第1流路内を流通する銅(II)塩溶液と前記第2流路内を流通する塩基性化合物溶液とが合流する合流部において、前記第1流路内を流通する銅(II)塩溶液濃度をmol/L単位でW、前記第1流路内を流通する銅(II)塩溶液の流速をmL/min単位でX、前記第2流路内を流通する塩基性化合物溶液濃度をmol/L単位でY、前記第2流路内を流通する塩基性化合物溶液の流速をmL/min単位でZ、前記第2流路内を流通する塩基性化合物の価数をVとしたとき下記の式(1)の関係を満たす、製造方法。1.5≧[Y×Z×V]/[W×X]≧1.1式(1)

請求項2

前記銅(II)塩が、酢酸銅(II)である、請求項1に記載の製造方法。

請求項3

80℃以上の温度下で前記銅(II)塩と前記塩基性化合物とを反応させる、請求項1又は2記載の製造方法。

請求項4

前記銅(II)塩溶液と前記塩基性化合物溶液とを多層筒型ミキサーを用いて合流する、請求項1〜3のいずれか一項記載の製造方法。

請求項5

前記多層筒型ミキサーの最小筒の等価直径が0.1mm〜50mmである、請求項4に記載の製造方法。

請求項6

前記多層筒型ミキサーの最小筒部を流通する溶液の線速度a1と、最小筒部以外の筒を流通する溶液の線速度b1の比がa1/b1=1〜10000である、請求項4又は5に記載の製造方法。

請求項7

前記多層筒型ミキサーが2層筒型ミキサーである、請求項5又は6に記載の製造方法。

請求項8

2層筒型ミキサーの内管の線速度a2と、外管の線速度b2の比が、a2/b2=1〜10000である、請求項7に記載の製造方法。

請求項9

前記銅(II)塩溶液と前記塩基性化合物溶液とをT字型ミキサーを用いて合流する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。

請求項10

前記T字型ミキサーの開口部の等価直径が0.1〜10mmである、請求項9に記載の製造方法。

請求項11

分散媒中に酸化銅微粒子が分散した分散液であって、前記酸化銅微粒子は微粒子の表面に一価銅化合物が形成され、平均粒子径が70nm以下である、分散液。

請求項12

前記酸化銅微粒子は、pH6.8の水に分散させた場合のゼータ電位が30mV以上である、請求項11に記載の分散液。

請求項13

前記一価の銅化合物が亜酸化銅である、請求項11または請求項12に記載の分散液。

請求項14

前記分散液中に前記酸化銅微粒子を0.1〜14質量%含有する、請求項11〜13のいずれか一項記載の分散液。

技術分野

0001

本発明は、酸化銅微粒子の製造方法及び分散液に関する。

背景技術

0002

半導体回路基板配線は、従来、スパッタリングイオンプレーティング化学気相成長CVD)等の気相法により形成されてきた。しかしこれらの方法では、基板配線の大面積化コスト低減に対する要求を十分に満たすことができない。
半導体回路の微細化や、その構造の多様化が進む中、プリンテッドエレクトロニクス(PE)と呼ばれる、プリント技術を利用した基板配線の形成方法が注目されている。PE技術により、オンデマンドに、効率的に配線を形成することができ、また、半導体製造プロセスで従来必要とされた露光処理エッチング処理を必要とせず、製造コスト環境負荷を抑えることができる。

0003

PEに用いるメタルインクとしては、金微粒子銀微粒子を用いたナノメタルインクが主流であり、酸化銅微粒子を含むインクプリントし、これを還元して配線を形成することが検討されている。これらのナノメタルインクインクを用いる方法においては、インク中に分散する金属粒子平均粒径、及びその分散性が重要となる。特に、配線の微細化にあわせ、数十nm以下という微粒子を安定に形成することが必要とされ、より分散性の高い金属粒子が求められている。

0004

ナノメートルサイズの酸化銅微粒子を製造する方法として、フロー式反応(フローリアクター)を用いて酸化銅を製造する方法が報告されている。例えば特許文献1には、2価の銅塩溶液及び還元剤溶液を送液しながら接触させ、酸化第1銅(Cu2O)微粒子を得ることが記載されている。
また、特許文献2には、2価の銅塩溶液および還元剤溶液を流路中に送液して接触させ、酸化第1銅微粒子を得る製造方法が記載されている。

先行技術

0005

日本国特許第5807129号公報
日本国特開2006−96569号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、ナノメートルサイズの分散性に優れた酸化銅微粒子を連続的に製造することができる酸化銅微粒子の製造方法を提供することを課題とする。また本発明は、酸化銅微粒子の凝集を防ぎ、分散性に優れた酸化銅微粒子の分散液を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、フロー式反応系(典型的には、いわゆるマイクロリアクター)において、銅塩溶液と塩基性化合物溶液とをそれぞれ異なる流路に導入し、各流路内に各溶液流通させながら、各溶液を合流し、合流液をその下流の反応流路内へと流通させながら銅塩塩基性化合物とを反応させ、合流部における銅塩と塩基性化合物の流速と濃度が特定の関係式を満たすことにより、ナノメートルサイズの微細な粒径の分散性に優れた酸化銅微粒子を連続的に得ることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。

0008

すなわち本発明の上記課題は以下の手段により解決される。
<1>
第1流路に銅(II)塩溶液を、第2流路に塩基性化合物溶液をそれぞれ導入して各流路内に各溶液を通流させ、上記第1流路内を流通する銅塩溶液と、上記第2流路内を流通する塩基性化合物溶液とを合流し、合流した液が下流へ流通中に銅(II)塩と塩基性化合物とを反応させ、反応生成物から酸化銅微粒子を製造することを含む、フロー式反応による酸化銅微粒子の製造方法であって、
上記第1流路内を流通する銅(II)塩溶液と上記第2流路内を流通する塩基性化合物溶液とが合流する合流部において、上記第1流路内を流通する銅(II)塩溶液濃度をmol/L単位でW、上記第1流路内を流通する銅(II)塩溶液の流速をmL/min単位でX、上記第2流路内を流通する塩基性化合物溶液濃度をmol/L単位でY、上記第2流路内を流通する塩基性化合物溶液の流速をmL/min単位でZ、上記第2流路内を流通する塩基性化合物の価数をVとしたとき下記の式(1)の関係を満たす、製造方法。
1.5≧[Y×Z×V]/[W×X]≧1.1 式(1)
<2>
上記銅(II)塩が、酢酸銅(II)である、<1>に記載の製造方法。
<3>
80℃以上の温度下で上記銅(II)塩と上記塩基性化合物とを反応させる、<1>又は<2>記載の製造方法。
<4>
上記銅(II)塩溶液と上記塩基性化合物溶液とを多層筒型ミキサーを用いて合流する、<1>〜<3>のいずれか一項記載の製造方法。
<5>
上記多層筒型ミキサーの最小筒の等価直径が0.1mm〜50mmである、<4>に記載の製造方法。
<6>
上記多層筒型ミキサーの最小筒部を流通する溶液の線速度a1と、最小筒部以外の筒を流通する溶液の線速度b1の比がa1/b1=1〜10000である、<4>又は<5>に記載の製造方法。
<7>
上記多層筒型ミキサーが2層筒型ミキサーである、<5>又は<6>に記載の製造方法。
<8>
2層筒型ミキサーの内管の線速度a2と、外管の線速度b2の比が、a2/b2=1〜10000である、<7>に記載の製造方法。
<9>
上記銅(II)塩溶液と上記塩基性化合物溶液とをT字型ミキサーを用いて合流する、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の製造方法。
<10>
上記T字型ミキサーの開口部の等価直径が0.1〜10mmである、<9>に記載の製造方法。
<11>
分散媒中に酸化銅微粒子が分散した分散液であって、上記酸化銅微粒子は微粒子の表面に一価銅化合物が形成され、平均粒子径が70nm以下である、分散液。
<12>
上記酸化銅微粒子は、pH6.8の水に分散させた場合のゼータ電位が30mV以上である、<11>に記載の分散液。
<13>
上記一価の銅化合物が亜酸化銅である、<11>または<12>に記載の分散液。
<14>
上記分散液中に上記酸化銅微粒子を0.1〜14質量%含有する、<11>〜<13>のいずれか一項記載の分散液。

0009

本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において「上流」及び「下流」との用語は、溶液が流れる方向に対して用いられ、液体が導入される側(図1、3及び6の導入手段(5)、(6)及び(11)の側)が上流であり、その逆側(回収容器(7)側)が下流である。
本明細書において、単に「銅塩」という場合、特に断りのない限り「銅(II)塩」を意味する。
本明細書において「微粒子」との用語は、球状に限らず、棒状、板状等、種々の形状の微細構造物包含する意味に用いる。

発明の効果

0010

本発明の製造方法によれば、ナノメートルサイズの分散性に優れた酸化銅微粒子を、連続的に製造することができる。
本発明の酸化銅微粒子の分散液は、酸化銅微粒子の凝集を防ぎ、分散性に優れた酸化銅微粒子の分散液である。

図面の簡単な説明

0011

本発明の製造方法の好ましい実施形態を示すフロー図である。
図1の実施形態において合流領域に設置するT字型ミキサーの断面図である。
本発明の製造方法の別の好ましい実施形態を示すフロー図である。
図3の実施形態において合流領域に設置する2層筒型ミキサーの断面図である。
図4の2層筒型ミキサーの合流部JをO側からみた図である。
本発明の製造方法のさらに別の好ましい実施形態を示すフロー図である。
図6の実施形態において合流領域に設置する3層筒型ミキサーの断面図である。
図7の3層筒型ミキサーの合流部JをO側からみた図である。

0012

<酸化銅微粒子の製造方法>
本発明の製造方法は、フロー式反応により、ナノメートルサイズの分散性に優れた酸化銅微粒子を連続的に製造することが可能な酸化銅微粒子の製造方法である。本発明の製造方法の好ましい実施態様について図面を用いて以下に説明する。なお、本発明は、本発明で規定する事項以外は、図面に示された形態に何ら限定されるものではない。

0013

本発明の製造方法を実施するための好ましいフロー式反応システム(100)を図1に示す。図1に示されるフロー式反応システム(100)は、銅塩溶液が流通する第1流路(1)と、塩基性化合物溶液が流通する第2流路(2)と、第1流路(1)と第2流路(2)とが合流する合流領域(3)と、合流領域(3)の下流に繋がる反応流路(4)とを有する。
図1の実施形態において、第1流路(1)の上流には、銅塩溶液を第1流路(1)内に導入する銅塩溶液導入手段(5)が配設され、第2流路(2)の上流には、塩基性化合物溶液を第2流路(2)内に導入する塩基性化合物溶液導入手段(6)が配設されている。銅塩溶液導入手段(5)及び塩基性化合物溶液導入手段(6)に特に制限はなく、種々のポンプを用いることができる。なかでも流速を高精度に制御する観点からシリンジポンプを好適に用いることができる。これは、後述する第三液導入手段(11)についても同様である。

0014

図1の実施形態において、合流領域(3)にはT字型ミキサー(3a)が配設される。図2は、このT字型ミキサー(3a)を用いた溶液合流の状態を示す断面図である。第1流路(1)内を流通する銅塩溶液及び第2流路(2)内を流通する塩基性化合物溶液は、図2に示されるように、それぞれT字型ミキサー(3a)のA側(開口部A)及びB側(開口部B)からT字型ミキサー(3a)内へと導入される。T字型ミキサー(3a)内に導入された銅塩溶液と塩基性化合物溶液はT字型ミキサー(3a)内の合流部Jで合流し、この合流液がT字型ミキサーの(O)側に向けて流出し、反応流路(4)内へと導入される。

0015

T字型ミキサー(3a)内で銅塩溶液と塩基性化合物溶液が合流すると銅塩と塩基性化合物とが反応して水酸化銅(Cu(OH)2)が生成する。次いでこの水酸化銅は加熱下で脱水され、酸化銅微粒子が生成する。これらの反応は、銅塩と塩基性化合物が接触した時点から反応流路(4)内を流通している間に進行する。上記反応ないし反応条件の詳細は後述する。

0016

反応流路内において生成した酸化銅微粒子は、酸化銅微粒子分散液として、回収容器7内に回収される。

0017

本発明の製造方法を実施するための別の好ましいフロー式反応システム(200)を図3に示す。図3に示されるフロー式反応システム(200)は、銅塩溶液が流通する第1流路(1)と、塩基性化合物溶液が流通する第2流路(2)と、第1流路(1)と第2流路(2)とが合流する合流領域(3)と、合流領域(3)の下流に繋がる反応流路(4)とを有する。
図3の実施形態において、第1流路(1)の上流には、銅塩溶液を第1流路(1)内に導入する銅塩溶液導入手段(5)が配設され、第2流路(2)の上流には、塩基性化合物溶液を第2流路内に導入する塩基性化合物溶液導入手段(6)が配設されている。

0018

図3の実施形態において、合流領域(3)には、2層筒型ミキサー(3b)が配設される。図4は、この2層筒型ミキサー(3b)を用いた溶液合流の状態を示す断面図である。第1流路(1)は、2層筒型ミキサー(3b)内を貫通する内管(T1)のA側(開口部A)と接続され、あるいは第1流路(1)自体が内管(T1)と一体となり、これにより、第1流路(1)内を流通する銅塩溶液は内管(T1)内をA側からO側に向けて流通する。
一方、第2流路(2)は、2層筒型ミキサー(3b)の導入部B(開口部B)と接続される。これにより、第2流路(2)内を流通してきた塩基性化合物溶液は、2層筒型ミキサー(3b)の外管(T2)と内管(T1)との間を満たし、O側に向かって流通する。
内管(T1)内をO側に向けて流通する銅塩溶液は、内管(T1)のO側末端部(合流部J)において、外管(T2)と内管(T1)の間をO側に向けて流通してきた塩基性化合物溶液と合流し、その下流に繋がる反応流路(4)内へと導入される。
図4における合流部JをO側から見た断面を図5に示す。図5において、内管T1内に銅塩溶液が、外管T2と内管T1との間には塩基性化合物溶液がそれぞれ流通している。

0019

2層筒型ミキサー(3b)により銅塩溶液と塩基性化合物溶液が合流すると銅塩と塩基性化合物とが反応して水酸化銅(Cu(OH)2)が生成する。次いでこの水酸化銅は加熱下で脱水され、酸化銅微粒子が生成する。これらの反応は、銅塩と塩基性化合物が接触した時点から反応流路(4)内を流通している間に進行する。上記反応ないし反応条件の詳細は後述する。

0020

図4の形態において、合流部Jで合流した銅塩溶液と塩基性化合物溶液は、層流の状態で反応流路(4)へと導入されて反応流路内を流通してもよいし、反応流路(4)内を流通しながら徐々に混じり合う態様で合流してもよい。また、合流部Jで乱流を生じてすばやく混じり合い、反応流路(4)へと流れてもよい。図4に示されるように、2層筒型ミキサーを用いて2液を合流する場合、銅塩と塩基性化合物との接触がミキサー内管外壁で生じないため、ミキサー内の管外壁に酸化銅が析出しない。そのため、フロー反応中の圧力上昇が生じにくく、連続的な酸化第二銅の製造を、より安定的に実施することが可能となる。

0021

なお、図3〜5に示す実施形態において、銅塩溶液を外管(T2)と内管(T1)との間に流通させ、塩基性化合物溶液を内管T1内に流通させてもよく、この形態も本発明の製造方法の実施形態として好ましい。

0022

本発明の製造方法を実施するための別の好ましいフロー式反応システム(300)を図6に示す。図6に示されるフロー式反応システム(300)は、銅塩溶液が流通する第1流路(1)と、塩基性化合物溶液が流通する第2流路(2)と、後述する第三液が流通する第3流路(10)と、第1流路(1)と第2流路(2)と第3流路(10)が合流する合流領域(3)と、合流領域(3)の下流に繋がる反応流路(4)とを有する。
図6の実施形態において、第1流路(1)の上流には、銅塩溶液を第1流路(1)内に導入する銅塩溶液導入手段(5)が配設され、第2流路(2)の上流には、塩基性化合物溶液を第2流路内に導入する塩基性化合物溶液導入手段(6)が配設され、第3流路(10)の上流には、第三液を第3流路(10)内に導入する第三液導入手段(11)が配設されている。

0023

図6の実施形態において、合流領域(3)には、3層筒型ミキサー(3c)が配設される。図7は、この3層筒型ミキサー(3c)を用いた溶液合流を示す断面図である。第1流路(1)は、3層筒型ミキサー(3c)内を貫通する内管(T1)のA側(開口部A)と接続され、あるいは第1流路(1)自体が内管(T1)と一体となり、これにより、第1流路(1)内を流通する銅塩溶液は内管(T1)内をA側からO側に向かって流通する。
また、第3流路(10)は、3層筒型ミキサー(3c)の導入部C(開口部C)と接続される。これにより、第3流路(10)内を流通してきた第三液は、3層筒型ミキサー(3c)の中管(T3)と内管(T1)との間を満たし、O側に向かって流通する。
また、第2流路(2)は、3層筒型ミキサー(3c)の導入部B(開口部B)と接続される。これにより、第2流路(2)内を流通してきた塩基性化合物溶液は、3層筒型ミキサー(3c)の中管(T3)と外管(T2)との間を満たし、O側に向かって流通する。

0024

内管(T1)内をO側に向けて流通する銅塩溶液は、内管(T1)のO側末端部(合流部J)において、中管(T3)と内管(T1)の間をO側に向けて流通してきた第三液、及び外管(T2)と中管(T3)の間をO側に向けて流通してきた塩基性化合物溶液と合流し、その下流に繋がる反応流路(4)内へと導入される。
図7における合流部JをO側から見た断面を図8に示す。図8において、内管(T1)内に銅塩溶液が、中管(T3)と内管(T1)との間に第三液が、外管(T2)と中管(T3)との間には塩基性化合物溶液がそれぞれ流通している。

0025

図6に示す形態では、合流部Jにおいて、銅塩溶液と塩基性化合物溶液との間には第三液が存在する。第三液としては水、有機溶媒酸性化合物溶液、銅塩溶液、塩基性化合物溶液、分散安定剤を含む溶液およびこれらの混合液が挙げられる。
第三液として水を用いた場合、銅と塩基とが高濃度で接触することを避けることができ、反応液濃度ムラ緩和できる。
第三液として酸性溶液(例えば塩酸硫酸硝酸、あるいは酢酸等のカルボン酸化合物の溶液)を用いた場合には、反応液のpHを制御することが可能となる。
第三液として分散安定剤を含む溶液を使用した場合、生成する酸化第二銅の粒子成長を制御して形状を調節したり、粒子サイズや分散安定性を制御したりすることが可能となる。この分散安定剤としては特に制限はなく、分散安定剤として機能しうる公知の化合物を使用することができ、例えば、エチレングリコールなどのジオールオレイン酸オレイン酸塩などのカルボン酸オレイルアミン、オレイルアミン塩などのアミンチオールを持つ化合物、ゼラチンなどの高分子化合物、そのほか一般的な有機溶媒を使用することができる。

0026

図7の形態において、合流部Jで合流した銅塩溶液と水と塩基性化合物溶液は、層流の状態で反応流路(4)へと導入されて反応流路内を流通してもよいし、反応流路(4)内を流通しながら徐々に混じり合ってもよい。また、合流部Jで乱流を生じてすばやく混じり合い、反応流路(4)へと流れてもよい。
図7に示されるように、3層筒型ミキサーを用いて銅塩溶液と塩基性化合物溶液を合流する場合には、銅塩と塩基性化合物との接触がミキサー内の管外壁で生じないため、ミキサー内の管外壁には酸化銅が析出しない。そのため、フロー反応中の圧力上昇を抑えることができ、連続的な酸化第二銅の製造を、より安定的に実施することが可能となる。

0027

なお、図6〜8に示す実施形態において、銅塩溶液を外管(T2)と中管(T3)との間に流通させ、塩基性化合物溶液を内管(T1)内に流通させてもよく、この形態も本発明の製造方法の実施形態として好ましい。また、銅塩溶液を外管(T2)と中管(T3)との間に流通させ、塩基性化合物溶液を中管(T3)と内管(T1)との間に流通させ、且つ、銅塩溶液を内管に流通させる形態にしたり、塩基性化合物溶液を外管(T2)と中管(T3)との間に流通させ、銅塩溶液を中管(T3)と内管(T1)との間に流通させ、且つ、塩基性化合物溶液を内管に流通させる形態にすれば、銅塩溶液と塩基性化合物溶液との接触界面を大きくでき、合流後拡散混合効率をより高めることができる。

0028

続いて、上述した実施形態における各部材の構成、及び酸化銅微粒子を生成する反応について順に説明する。

0029

[合流領域の上流側流路
本発明において、合流領域(3)の上流側に配設される流路(図1、3、6に示す実施形態においては第1流路(1)、第2流路(2)及び第3流路(10))の形状に特に制限はなく、通常は等価直径が0.1mm〜50mm程度(好ましくは0.1mm〜10mm)、長さが20cm〜50m程度のチューブが使用される。流路の断面形状に特に制限はなく、円形楕円形の他、矩形正方形等の多角形状であってもよい。配管内部に液溜りを生じにくくする観点から、流路の断面形状は円形であることがより好ましい。
本明細書において等価直径とは流路断面を円形に換算した場合の直径である。「等価直径(equivalent diameter)」は、相当(直)径とも呼ばれ、機械工学の分野で用いられる用語である。任意の管内断面形状の配管ないし流路に対し等価な円管を想定するとき、その等価円管の管内断面の直径を等価直径という。等価直径(deq)は、A:配管の管内断面積、p:配管のぬれぶち長さ(内周長)を用いて、deq=4A/pと定義される。円管に適用した場合、この等価直径は円管の管内断面の直径に一致する。等価直径は等価円管のデータを基に、その配管の流動あるいは熱伝達特性推定するのに用いられ、現象の空間的スケール(代表的長さ)を表す。等価直径は、管内断面が一辺aの正四角形管ではdeq=4a2/4a=a、一辺aの正三角形管ではdeq=a/31/2、流路高さhの平行平板間の流れではdeq=2hとなる(例えば、(社)日本機械学会編「機械工学事典」1997年、丸善(株)参照)。
流路を構成するチューブの材質も特に制限はなく、例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テフロン登録商標)、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂ステンレス、銅(又はその合金)、ニッケル(又はその合金)、チタン(又はその合金)、石英ガラスライムソーダガラスなどが挙げられる。可撓性、耐薬品性の観点からチューブの材質はPFA、テフロン(登録商標)、ステンレス、ニッケル合金ハステロイ)又はチタンが好ましい。

0030

[T字型ミキサー]
T字型ミキサー(3a)は、T字管構造体である。T字型ミキサーは上述したように、図1の実施形態において用いられる。T字型ミキサーにおいて、T字型ミキサーが有する3つの開口部(図2のA、B、O)のうち、第1流路が接続される開口部は任意の1つである。また、第2流路が接続される接続部は、第1流路が接続される開口部を除く2つの開口部のうちいずれでもよい。好ましくは、第1流路と第2流路は、それぞれ、T字ミキサーの互いに対向する開口部(すなわち図2における開口部A及びB)に接続されることが好ましい。

0031

T字型ミキサーの材質に特に制限はなく、例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テフロン(登録商標)、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ステンレス、銅(又はその合金)、ニッケル(又はその合金)、チタン(又はその合金)、石英ガラス、ライムソーダガラスなどの材質からなるものを用いることができる。
T字ミキサーの開口部の断面形状に特に制限はなく、円形、楕円形の他、矩形、正方形等の多角形状であってもよい。ミキサー内部で液の滞留を生じにくくする観点から、T字ミキサーの管の断面形状は円形であることがより好ましい。

0032

T字型ミキサーの開口部の等価直径は、混合性能圧損等の観点から0.1mm〜10mmが好ましく、0.1mm〜5mmがより好ましく、0.2mm〜2mmが更に好ましい。T字ミキサーの3つの開口部の等価直径は同一でも異なっていてもよい。

0033

本発明に用いうるT字型ミキサーの市販品としては、例えば、ユニオンティー(Swagelok社製)、ロー・デット・ボリューム型ユニオン・ティー(Swagelok社製)、ティーユニオン(Upchurch社製)、3方ジョイント(東京理化機械株式社製)、マイクロボリュームコネクタ(VICI社製)、及びナノボリュームフィッティング(VICI社製)を挙げることができる。

0034

[多層筒型ミキサー]
本発明において、銅塩溶液と塩基性化合物溶液とを合流する合流領域(3)には、多層筒型ミキサーを用いることができる。図3〜8には、上述したように多層筒型ミキサーとして2層筒型ミキサー(3b)及び3層筒型ミキサー(3c)を用いた実施形態を示す。本発明の製造方法において、合流領域(3)には、4層以上の多層筒型ミキサーを用いてもよい。図4及び7に示されるように、多層筒型ミキサーは、管と管との間に流路が形成される態様の多層構造の管と、最小管(内管)よりも外側の流路(内管と外管との間の流路)に液を導入するための導入口を備えた構造体である。多層筒型ミキサーにおいて、銅塩溶液を流通させる流路と塩基性化合物溶液を流通させる流路は隣接していてもよいし、銅塩溶液を流通させる流路と塩基性化合物溶液を流通させる流路との間の流路に、混合、反応および生成粒子分散状態を調整する役割をする第三液(水、有機溶媒、酸などのpH調整剤分散剤溶液、第二の銅塩溶液、第二の塩基性化合物溶液等)を流通させてもよい。
多層筒型ミキサーを用いることにより、図4及び7に示すように、ミキサー内に導入された各溶液を、ミキサーの下流に向けて層流として合流させることができる。層流となって合流した各溶液は、そのまま層流の状態で反応流路内を流れてもよいし、合流後すぐに、あるいは徐々に、乱流により混じり合って反応流路内を流れてもよい。

0035

多層筒型ミキサーの材質に特に制限はなく、例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テフロン(登録商標)、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ステンレス、銅(又はその合金)、ニッケル(又はその合金)、チタン(又はその合金)、石英ガラス、ライムソーダガラスなどの材質からなるものを用いることができる。
多層筒型ミキサーの管ないし開口部の断面形状に特に制限はなく、円形、楕円形の他、矩形、正方形等の多角形状であってもよい。ミキサー内部で液の滞留が起こりにくいという観点から、多層筒型ミキサーの管の断面形状は円形であることがより好ましい。

0036

多層筒型ミキサーの最小筒(内管)の等価直径は0.1mm〜50mmが好ましく、0.2mm〜10mmがより好ましい。また、最外筒(外管)の等価直径は、層構成の数にもよるが、通常は1mm〜100mmであり、3mm〜30mmとすることが好ましい。最小筒と最外筒の間の中管の等価直径は、内管と外管の等価直径に基づき適宜に調節することができる。

0037

本発明に用いうる多層筒型ミキサーは、例えば、ボアード・スルー・ユニオンティー(Swagelok社製)等の継ぎ手と、任意の内径および外形の配管を組み合わせて製造することができる。また、特開2006−96569号公報に記載の構造物など、公知の構造物を多層筒型ミキサーとして用いることができる。

0038

[反応流路]
合流領域(3)で合流した溶液は、反応流路(4)内を流通する。合流後から反応流路内流通時に、銅塩と塩基性化合物が反応して水酸化銅が生成し、続く加熱下での脱水反応により酸化第二銅が微粒子状に析出する。
反応流路(4)はチューブ状であることが好ましい。反応流路(4)として、通常は等価直径が0.1mm〜5cm程度(好ましくは0.1mm〜1cm)、長さが20cm〜50m程度のチューブが使用される。反応流路(4)の断面形状に特に制限はなく、円形、楕円形、矩形、正方形等のいずれの形状であってもよい。配管内部の液溜りが生じにくくする観点から、T字ミキサーの管の断面形状は円形であることがより好ましい。
反応流路(4)を構成するチューブの材質も特に制限はなく、例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テフロン(登録商標)、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ステンレス、銅(又はその合金)、ニッケル(又はその合金)、チタン(又はその合金)、石英ガラス、ライムソーダガラスなどが挙げられる。可撓性、耐薬品性の観点からチューブの材質はPFA、テフロン(登録商標)、ステンレス、ニッケル合金(ハステロイ)又はチタンが好ましい。

0039

[酸化銅微粒子の生成反応
上記合流領域(3)で合流した銅塩溶液中の銅塩と塩基性化合物溶液中の塩基性化合物は、反応流路(4)内を流通しながら反応して水酸化銅を生じ、次いで加熱下で脱水されて酸化第二銅を生成する。この酸化第二銅は反応流路内の溶液中に微粒子状に析出する。反応流路内において生成した酸化銅微粒子は、酸化銅微粒子分散液として、回収容器7内に回収される。

0040

本発明に用いる銅塩としては、銅塩溶液の溶媒に溶解すれば特に制限はない。例えば、硝酸銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)、硫酸銅(II)、ギ酸銅(II)、酢酸銅(II)、プロピオン酸銅(II)、イソ酪酸銅(II)、オレイン酸銅(II)、クエン酸銅(II)、フタル酸銅(II)、シュウ酸銅(II)、酒石酸銅(II)、塩基性炭酸銅、及び塩基性硫酸銅、これら銅塩の水和物、銅の無機化合物錯体(例えばテトラアンミン銅錯体)、並びに銅の有機化合物錯体(例えば銅アセチルアセトナート)から選ばれる銅塩を使用することができ、これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。中でもギ酸銅(II)、酢酸銅(II)、酢酸銅(II)水和物、ギ酸銅(II)、酢酸銅(II)、プロピオン酸銅(II)、イソ酪酸銅(II)、オレイン酸銅(II)、クエン酸銅(II)、フタル酸銅(II)、シュウ酸銅(II)、酒石酸銅(II)及びこれら銅塩の水和物から選ばれる銅塩を用いることが好ましく、酢酸銅(II)、又は酢酸銅(II)水和物がより好ましい。
後述のように酸化銅微粒子の電荷を酸イオンにより保護することで凝集を防ぎ分散性に優れた酸化銅微粒子が得られると推察されるため、電荷の保護の観点から銅塩として酢酸銅(II)、又は酢酸銅(II)水和物を用いることが好ましい。

0041

本発明に用いる塩基性化合物としては、銅塩と塩交換を行い、水酸化銅を生成することが出来れば特段の限定は無く、例えば、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、アンモニアメチルアミンジメチルアミントリメチルアミンテトラメチルアミンヒドロキシドエチルアミンジエチルアミントリエチルアミン、及びテトラエチルアミンヒドロキシドから選ばれる塩基性化合物を使用することができ、これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。中でも水酸化ナトリウムが好ましい。

0042

上記銅塩溶液及び塩基性化合物溶液に用いる溶媒は、銅塩および塩基性化合物を溶解することが出来れば特に限定されず、水、有機溶媒、あるいは水と有機溶媒の混合物を用いることができる。
有機溶媒は水溶性有機溶媒が好ましく、具体例として、メタノールエタノールなどのアルコールアセトンメチルエチルケトンなどのケトンテトラヒドロフランが挙げられる。
また、分子中に2個以上の水酸基を持つエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオールヘキサンジオールオクタンジオールポリエチレングリコールグリセロールなども使用できる。
有機溶媒は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
上記銅塩溶液及び塩基性化合物溶液に用いる溶媒は、水又はジオール水溶液が好ましく、水がより好ましい。すなわち、銅塩溶液及び塩基性化合物溶液は、それぞれ銅塩水溶液及び塩基性化合物水溶液であることが好ましい。上記銅塩水溶液及び塩基性化合物水溶液に用いる水は、比抵抗値18MΩ・cm以上の超純水が好ましい。

0043

銅塩と塩基性化合物とが反応すると水酸化銅が生成する。この反応は、銅塩として硝酸銅(II)、塩基性化合物として水酸化ナトリウムを用いた場合を例にとると下記式(i)で表される。
Cu(NO3)2+2NaOH → Cu(OH)2+2NaNO3 式(i)

0044

上記で生成した水酸化銅は、続いて加熱下で脱水され、酸化第二銅が微粒子状に析出する。この反応は下記式(ii)で表される。
Cu(OH)2 → CuO+H2O 式(ii)

0045

上記式(ii)の脱水反応は、高温下で効率的に進行する。そのため本発明の製造方法では、銅塩と塩基性化合物との反応(すなわち、銅塩と塩基性化合物との接触から酸化第二銅の生成までの反応)を70℃以上(より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上、特に好ましくは90〜100℃)で実施することが好ましい。すなわち、図1、3及び6に示されるように合流部(3)から反応流路にかけて、加熱領域(8)を設けることが好ましい。加熱領域(8)は、ウォーターバスオイルバス恒温槽等を用いて設けることができる。反応温度を80℃以上とすることで、得られる酸化銅微粒子による2次凝集塊の形成を抑えることができる。

0046

上記式(i)で生成するCu(OH)2はゲル化しやすいため、Cu(OH)2が生成する反応をフロー式反応系に適用すると流路が閉塞しやすくなることが考えられる。しかし、本発明者らが実際に上記反応をフロー式反応系に適用してみると、生成したCu(OH)2を素早く脱水して酸化第二銅へと変換することができ、酸化第二銅を安定的に、連続的に製造する反応系を構築できることがわかった。

0047

また、得られる酸化銅微粒子分散物熟成(粒子成長)を抑制するために、加熱領域(8)の下流側に位置する反応流路を冷却領域(9)内に設置することが好ましい。冷却領域の温度は0〜30℃とすることが好ましい。冷却領域(9)は、例えば反応流路を水冷する領域とすることができる。

0048

本発明の製造方法では、第1流路内を流通する銅塩溶液と第2流路内を流通する塩基性化合物溶液とが合流する合流部(合流部J)において、第1流路内を流通する銅(II)塩溶液濃度をmol/L単位でW、第1流路内を流通する銅(II)塩溶液の流速をmL/min単位でX、第2流路内を流通する塩基性化合物溶液濃度をmol/L単位でY、第2流路内を流通する塩基性化合物溶液の流速をmL/min単位でZ、第2流路内を流通する塩基性化合物の価数をVとしたとき下記の式(1)の関係を満たす。
1.5≧[Y×Z×V]/[W×X]≧1.1 式(1)

0049

ここで合流部Jにおける式(1)の関係は、単位時間当たりに第1流路を流通してきた銅塩溶液と、同じく単位時間当たりに第2流路を流通してきた塩基性化合物溶液とが均質に混じり合った状態を想定し、この均質に混じり合った状態の溶液中における、銅塩に対する塩基性化合物のモル当量の比を意味する。なお、銅塩溶液および塩基性化合物溶液が2以上の複数の流路に導入され流通する場合は、W,X,Y,Zはそれぞれ、銅塩溶液が流通する各流路における合算値と、塩基性化合物溶液が流通する各流路における合算値を用いる。

0050

「塩基性化合物の価数」とは塩基性化合物溶液の溶質である塩基性化合物1分子が受容できるプロトンの数、または1分子が放出できる水酸化物イオンの数である。例えば、水酸化ナトリウムやアンモニアは1価(価数1)、水酸化カルシウムエチレンジアミンは2価(価数2)である。

0051

本発明の製造方法では、合流部Jにおける[Y×Z×V]/[W×X]を特定の範囲に調節することにより、得られる酸化銅微粒子の形状を所望の形状に制御することができる。例えば、合流部Jにおける[Y×Z×V]/[W×X]が小さければ、球状の酸化銅微粒子が得られ、[Y×Z×V]/[W×X]を大きくすることにより、棒状の酸化銅微粒子が得られ、[Y×Z×V]/[W×X]をさらに大きくすることにより、板状の酸化銅微粒子を得ることができる。合流部JにおけるW,X,Y,Z,Vが式(1)の関係を満たすことにより、得られる酸化銅微粒子の平均粒子径を70nm以下の微細な粒子とすることができる。
また、合流部Jにおける式(1)は、下記の式(2)であることが好ましい。

0052

1.5>[Y×Z×V]/[W×X]≧1.3 (2)
W:第1流路内を流通する銅(II)塩溶液濃度(mol/L)
X:第1流路内を流通する銅(II)塩溶液の流速(mL/min)
Y:第2流路内を流通する塩基性化合物溶液濃度(mol/L)
Z:第2流路内を流通する塩基性化合物溶液の流速(mL/min)
V:第2流路内を流通する塩基性化合物の価数

0053

詳細な理由は不明ではあるが、合流部JにおけるW,X,Y,Z,Vが式(1)、好ましくは式(2)の関係を満たすことにより、微粒子の表面に一価の銅化合物が形成された酸化銅微粒子が得られる。一価の銅化合物は亜酸化銅であることが好ましい。該酸化銅微粒子の内部は一価又は二価の銅の酸化物で構成される。酸化銅微粒子は、二価の銅の一方の電荷が共有結合し、もう一方の電荷は酸イオンにより保護される。回収容器7内に回収された酸化銅微粒子分散液中、酸イオンにより保護された電荷によって粒子同士が反発しあうため、凝集を抑制し、分散剤の添加や分散処理をしなくても酸化銅微粒子が沈降せずに安定化する。そのため、分散性に優れた酸化銅微粒子を製造し得ることが可能になったと推測している。

0054

本発明の製造方法において、合流部の上流側の流路を流通する液の流速、及び反応流路を流通する溶液の流速に特に制限はなく、流路の等価直径、長さ等により適宜に調節される。例えば、上記各流路に流通する液の流速を1mL/min〜1000mL/minとすることができ、2mL/min〜400mL/minとすることが好ましい。また、上記流速を3mL/min〜200mL/minとすることも好ましく、4mL/min〜100mL/minとすることも好ましく、4mL〜50mL/minとすることも好ましく、5mL/min〜30mL/minとしてもよい。また、合流部の上流側の各流路に流通する液の流速は、各流路の間で同じであってもよいし、流路毎に異なる流速としてもよい。

0055

合流部の上流側の流路を流通する液の線速度、及び反応流路を流通する溶液の線速度は、2〜10000mm/secとすることが好ましく、20〜500mm/secとすることがより好ましい。
また、合流領域(3)に多層筒型ミキサーを配設した場合、この多層筒型ミキサーの最小筒(内管)を流通する溶液の線速度a1と、最小筒以外の筒を流通する溶液(すなわち、最小筒以外の筒と、この最小筒以外の筒と隣接する内側の筒との間を流通する溶液)の線速度b1の比が、a1/b1=1〜10000を満たすことが好ましく、a1/b1=0.01〜100を満たすことがより好ましく、a1/b1=0.02〜50を満たすことがさらに好ましい。各筒を流通する溶液の線速度を上記好ましい範囲内とすることで、送液時の圧力損失が低減でき、各液を安定的に流通させることができる。
また、合流領域(3)に2層筒型ミキサーを配設した場合、この2層筒型ミキサーの最小筒(内管)を流通する溶液の線速度a2と、最小筒以外の筒(外管)を流通する溶液(すなわち、外管と内管との間を流通する溶液)の線速度b2の比が、a2/b2=0.02〜50を満たすことが好ましく、a2/b2=0.05〜20を満たすことがより好ましく、a2/b2=0.1〜10を満たすことがさらに好ましい。各筒を流通する溶液の線速度を上記好ましい範囲内とすることで、送液時の圧力損失が低減でき、それぞれの液を安定して流通させることができる。

0056

本発明の製造方法において、第1流路内を流通させる銅塩溶液の濃度に特に制限はないが、希薄である場合、生成する酸化銅(II)の含有量が低下し、粒子の濃縮回収プロセスの負荷が増大するおそれがあり、一方濃厚である場合には、液の粘度が上昇し、ミキサーでの混合性が悪化する場合がある。したがって、上記銅塩溶液の濃度は10〜5000mMが好ましく、20〜1000mMがより好ましい。
また、同様の観点から、第2流路内を流通させる塩基性化合物溶液の濃度は、20〜10000mMが好ましく、40〜4000mMがより好ましい。

0057

本発明の製造方法においては、合流部JにおけるW,X,Y,Z,Vを上記式(1)の関係とすることにより、還元剤を使用しなくても平均粒子径が小さい酸化銅微粒子が得られるが、必要に応じ銅(II)イオンを還元する還元剤を使用できる。
還元剤の使用量は特に制限されず、平均粒子径がより小さい酸化銅微粒子が得られる点で、酸化銅1モルに対して、0〜1モルが好ましく、0.01〜0.5モルがより好ましい。
還元剤は、塩基性化合物溶液に添加することができる。
還元剤としては、その種類は特に制限されず、公知の還元剤を使用することができる。例えば、硫酸ヒドロキシルアミン硝酸ヒドロキシルアミン亜硫酸ナトリウム亜硫酸水素ナトリウム亜ジチオン酸ナトリウム硫酸ヒドラジンリン酸ヒドラジン、ヒドラジン、次亜リン酸および次亜リン酸ナトリウムなどが挙げられ、これらを1種または2種以上を用いてもよい。還元剤として好ましくは、ヒドラジンである。

0058

本発明の製造方法においては、合流部JにおけるW,X,Y,Z,Vを上記式(1)の関係とすることにより、分散剤を使用しなくても分散性の高い酸化銅微粒子が得られるが、必要に応じ分散剤、分散安定剤等の公知の添加剤を使用できる。
分散剤は、銅塩溶液に添加することができる。
用いることのできる分散剤としては、例えば、アニオン性カチオン性両イオン性、ノニオン性もしくは低分子または高分子の分散剤を使用することができる。好ましくはヘキサメタン酸ナトリウムが挙げられる。分散剤の添加量は分散剤の種類等に応じて適宜調節すればよいが、例えば、得られる分散液中に0〜10質量%(w%)含有することが好ましく、0〜8質量%がより好ましい。

0059

本発明の製造方法で得られる酸化銅微粒子の平均粒子径は70nm以下であることが好ましく、10〜60nmであることがより好ましく、25〜47nmがさらに好ましい。平均粒子径が70nm以下であれば分散性が優れた酸化銅微粒子が得られる。
酸化微銅微粒子の平均粒子径は、レーザー回折による粒子径分布測定機等を用いて動的光散乱により測定できる。
酸化銅微粒子の形状は粒子状であれば特に制限されない。粒子状とは小さい粒状を指し、その具体例としては、球状、楕円体状、棒状、板状などが挙げられる。完全な球や楕円体等である必要はなく、一部が歪んでいてもよい。棒状ないし板状であるよりも、球状であった方が、粒子同士の接触面積が減少し、凝集し難くなり有利である。

0060

本発明の製造方法において、反応流路を通過してきた酸化銅微粒子の分散液(懸濁液)は酸化銅微粒子を0.1〜14質量%含有する形態とすることが好ましい。こうすることで、その後の精製、濃縮操作等の作業負担を減らすことができる。

0061

本発明の製造方法で得られる酸化銅微粒子、及び酸化銅微粒子の分散液の用途に特に制限はなく、例えば、基板配線形成用のメタルインク、無電解めっきの銅供給源超伝導体などのセラミックス原料顔料着色剤釉薬等、種々の用途に用いることができる。

0062

<酸化銅微粒子の分散液>
本発明は酸化銅微粒子の分散液にも関する。
本発明の分散液は、分散媒中に酸化銅微粒子が分散した分散液であって、該酸化銅微粒子は、微粒子の表面に一価の銅化合物が形成され、平均粒子径が70nm以下である。

0063

本発明に用いる酸化銅微粒子の形状は、粒子状であれば特に制限されない。粒子状とは小さい粒状を指し、その具体例としては、球状、楕円体状などが挙げられる。完全な球や楕円体である必要はなく、一部が歪んでいてもよい。

0064

本発明に用いる酸化銅微粒子は、微粒子の表面に一価の銅化合物が形成された酸化銅微粒子である。一価の銅化合物は亜酸化銅であることが好ましい。該酸化銅微粒子の内部は一価又は二価の銅の酸化物で構成された酸化銅微粒子であることが好ましく、酸化銅(I)粒子(Cu2O粒子)、酸化銅(II)粒子(CuO粒子)、又は酸化銅(I)粒子及び酸化銅(II)粒子の混合物であることがより好ましい。酸化銅微粒子は、分散性、及び分散安定性の観点から本発明の製造方法で得られた酸化銅微粒子であることが好ましい。

0065

本発明に用いる酸化銅微粒子は、pH6.8の水に分散させた場合のゼータ電位が30mV以上であることが好ましく、より好ましくは40mV以上である。ゼータ電位が30mV以上であれば、分散性が優れ分散液における凝集を抑制することができる。ゼータ電位は、公知の方法を用いて測定することができる。

0066

本発明の分散液において、酸化銅微粒子は一部が凝集して分散した分散粒子となっていてもよい。酸化微銅微粒子の平均粒子径は70nm以下であり、10〜60nmが好ましく、25〜47nmがより好ましい。酸化銅微粒子の平均粒子径が70nmを超えると分散性が低下し凝集体沈殿が生じる。
酸化微銅微粒子の平均粒子径は、レーザー回折による粒子径分布測定機等を用いて動的光散乱により測定できる。

0067

[分散媒]
本発明の分散液の分散媒としては、水、有機溶媒、あるいは水と有機溶媒の混合物を用いることができ、上記酸化銅微粒子の製造方法において溶媒として挙げられたものを挙げることができる。なかでも、水又はジオール水溶液が好ましく、水がより好ましい。

0068

[添加剤]
本発明の分散液は、必要に応じ添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤防腐剤、pH調整剤、消泡剤、分散剤、分散安定剤等の公知の添加剤が挙げられる。
本発明の分散液に用いることのできる分散剤としては、例えば、アニオン性、カチオン性、両イオン性、ノニオン性もしくは低分子または高分子の分散剤を使用することができる。好ましくはヘキサメタン酸ナトリウムが挙げられる。分散剤の添加量は分散剤の種類等に応じて適宜調節すればよいが、例えば、分散液中に0〜10質量%(wt%)含有することが好ましく、0〜8質量%がより好ましい。

0069

以下に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。

0070

[酸化銅微粒子1及びその分散液1の製造]
<フロー式反応システム1の構築>
図3に示す構成のフロー式反応システムを構築した。第1流路(1)、第2流路(2)、反応流路(4)として、SUS316製チューブを用いた。銅塩溶液導入手段(5)及び塩基性化合物溶液導入手段(6)として、シリンジポンプ(HARVARD社製 PHD ULTRA)を用い、各シリンジポンプに、銅塩水溶液が入ったシリンジ容積100mL)及び塩基性化合物水溶液が入ったシリンジ(容積100mL)をそれぞれ装着する構成とした。

0071

銅塩水溶液が入ったシリンジの先端を、外径1/8In(3.18mm)、内径2.17mmの第1流路に接続した。また、塩基性化合物溶液が入ったシリンジの先端を、外径1/8In(3.18mm)、内径2.17mmの第2流路に接続した。第2流路には圧力計を設置し、送液中の流路内の圧力を測定できるようにした。
第1流路(1)のうち下流側領域は、長さ50cm、外径1/16In(1.59mm)、内径1mmの管をコイル状に巻いた構造とし、加熱領域(8、オイルバス)内に配設した。また、第2流路(2)のうち下流側領域も同様に、長さ50cm、外径1/16In(1.59mm)、内径1mmの管をコイル状に巻いた構造とし、加熱領域(8)内に配設した。
第1流路(1)及び第2流路(2)の下流側末端に多層筒型ミキサーの1つである2層管型ミキサー(内管の外径1/16In、内径0.25mm、外管の外径1/8In、内径2.17mm)を設置する。当該内管と第1流路(1)をつなぐことで、当該内管から銅塩溶液を2層管合流部に流出させ、他方、当該外管と第2流路(2)をつなぐことで塩基性化合物溶液を2層管合流部に流出させることにより、銅塩溶液および塩基性化合物溶液が混合するように接続した。多層筒型ミキサー残りの開口部を、コイル状に巻いた長さ2m、外径1/8In(3.18mm)、内径2.17mmの流路に接続してこの流路を加熱領域(8)内に設置し、さらにその下流に、コイル状に巻いた長さ1m、外径1/8In(3.18mm)、内径2.17mmの流路を接続し、冷却領域(9、ウォーターバス(20℃))内に設置した。冷却領域9の下流に回収容器(7)を設置し、反応液を回収する構成とした。

0072

<酸化銅微粒子の製造>
酢酸銅(II)水和物を水に溶解させ、水で希釈して硝酸銅水溶液(濃度0.285M)を調製した。50%(質量/体積水酸化ナトリウム水溶液を、水で希釈して水酸化ナトリウム水溶液(濃度0.285M)を調製した。
上記硝酸銅水溶液100mL及び水酸化ナトリウム水溶液100mLを、それぞれガラス製シリンジ(容積100mL)に充填し、上記フロー式反応システムのシリンジポンプにセットした。各液をそれぞれ5ml/minで送液した。このフロー式反応系において、加熱領域(8)の温度は90℃とした。反応流路を通過してきた液(黒色の微粒子懸濁液)を回収容器(容積250mlのポリエチレン容器)に100mL回収した。

0073

<微粒子の観察および物性>
得られた黒色の微粒子懸濁液30mLを約10000Gで遠心分離して微粒子を沈降させ、得られたペーストを40℃、5時間真空乾燥させることで酸化銅微粒子1の乾燥粉末を得た。この乾燥粉末をXRD(X線回折)(RIGAKU製、Miniflex)で測定した結果、酸化第二銅に由来する回折パターンのみが検出された。また、この乾燥粉末をXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)(Ulvac−PHI社製XPS (Versa Probe II))で下記の条件にて測定した結果、微粒子の表面に酸化第一銅が形成された酸化銅微粒子であることを確認した。
また、上記黒色の微粒子懸濁液中、酸化銅微粒子1の含有量は1.1質量%であった。
XPS測定条件
X線源: Al−Kα線100μmφ×25W×15kV
帯電補正:あり(電子銃・低速イオン銃併用)
光電子取出角度:45°
測定範囲:300μm2(Area)
・Pass Energy:23.5 eV
測定元素:Cu2p, Cu LMM、C1s、S2p、O1s、N1s

0074

(凝集体の割合)
上記の条件の反応で得た微粒子懸濁液より、塩析の効果により凝集体が沈降する。得られた微粒子懸濁液100mLを静置した後、デカンテーションにより上澄み液を全て除去した。残渣に除去した上澄み液と同量の純水(pH6.8)を加え、軽く振とうさせて均一に混ぜ、この液を分散液(分散液1)とした。分散液1中、酸化銅微粒子1の含有量は0.2質量%であった。その後、遠心機にて3780Gの条件で該懸濁液中の粒子を強制的に沈降させた。ここで沈降した粒子を凝集体とみなす。凝集体を回収し、300℃のホットプレートで水分を完全に飛ばして質量を測定し、下記の式より凝集体の割合(wt%)を算出した。

凝集体の割合(wt%)=(実際の凝集体の乾燥質量/原料銅が全て酸化銅になったと仮定した場合の酸化銅の質量(原料銅のモル数×酸化銅の分子量79))×100

0075

(平均粒子径及び多分散指数の測定)
上記の処理で得た分散液1中の平均粒子径はMarveln社製動的光散乱測定装置ゼータサイザーZS)により測定した。平均粒子径はキュムラント解析による粒子径平均値(Z−Average)としてISO13321で定められている方式で測定した。
分散液1を水で希釈し、0.01wt%とした。平均粒子径(nm)とともに分散度を示す指標である多分散指数(Polydispersity Index(PDI))を測定した。

0076

(ゼータ電位の測定)
分散液1を水で希釈し、0.01wt%とした。ガラス製の専用測定セルに所定量導入し、大塚電子社製 ELSZ1EASにてゼータ電位を測定した。

0077

得られた酸化銅微粒子1及び分散液1について、下記の評価基準を用いて評価した(Aが最も好ましい)。

0078

A=凝集5%以下で分散液中の平均粒子径が70nm以下、ゼータ電位が30mV以上となる場合
B=凝集5%より多く50%以下で分散液中の平均粒子径が70nm以下となる場合
C=凝集50%より多くなる場合

0079

[酸化銅微粒子2〜6及びその分散液2〜6]
第1流路内を流通する銅(II)塩溶液濃度(mol/L)W及び第2流路内を流通する塩基性化合物溶液濃度(mol/L)Yを、下記表1に記載のものに変更した以外は酸化銅微粒子1及びその分散液1と同様にして、酸化銅微粒子2〜6及びその分散液2〜6を得て、微粒子の観察および物性を測定し評価した。

0080

[酸化銅微粒子7及びその分散液7]
水酸化ナトリウム水溶液にヒドラジンを酢酸銅に対し0.001モル%となるように添加し、酢酸銅水溶液にヘキサメタン酸ナトリウムを5w%となるように添加したこと以外は酸化銅微粒子1及びその分散液1と同様にして、酸化銅微粒子7及びその分散液7を得て、微粒子の観察および物性を測定し評価した。

0081

[酸化銅微粒子8〜18及びその分散液8〜18]
第1流路内を流通する銅(II)塩溶液濃度(mol/L)W及び第2流路内を流通する塩基性化合物溶液濃度(mol/L)Yを、下記表1に記載のものに変更した以外は酸化銅微粒子7及びその分散液7と同様にして、酸化銅微粒子8〜18及びその分散液8〜18を得て、微粒子の観察および物性を測定し評価した。

0082

0083

(*2)=ヘキサメタリン酸ナトリウムwt%=(ヘキサメタリン酸ナトリウム質量/酸化銅(*3)質量)×100
(*3)=原料中の銅が全て酸化銅になったと仮定した質量割合
(*4)=ヒドラジンのモル%=(ヒドラジンのモル数/酸化銅(*5)モル数)×100
(*5)=原料中の銅が全て酸化銅になったと仮定したモル数
W:第1流路内を流通する銅(II)塩溶液濃度(mol/L)
X:第1流路内を流通する銅(II)塩溶液の流速(mL/min)
Y:第2流路内を流通する塩基性化合物溶液濃度(mol/L)
Z:第2流路内を流通する塩基性化合物溶液の流速(mL/min)
V:第2流路内を流通する塩基性化合物の価数

0084

[酸化銅微粒子19及びその分散液19]
酢酸銅水溶液にヘキサメタン酸ナトリウムを5w%となるように添加したこと以外は酸化銅微粒子1及びその分散液1と同様にして、酸化銅微粒子19及びその分散液19を得て、微粒子の観察および物性を測定し評価した。

0085

[酸化銅微粒子20〜24及びその分散液20〜24]
第1流路内を流通する銅(II)塩溶液濃度(mol/L)W及び第2流路内を流通する塩基性化合物溶液濃度(mol/L)Yを、下記表2に記載のものに変更した以外は酸化銅微粒子19及びその分散液19と同様にして、酸化銅微粒子20〜24及びその分散液20〜24を得て、微粒子の観察および物性を測定し評価した。

0086

[酸化銅微粒子25及びその分散液25]
水酸化ナトリウム水溶液にヒドラジンを酢酸銅に対し0.001モル%となるように添加したこと以外は酸化銅微粒子1及びその分散液1と同様にして、酸化銅微粒子25及びその分散液25を得て、微粒子の観察および物性を測定し評価した。

0087

[酸化銅微粒子26〜29及びその分散液26〜29]
第1流路内を流通する銅(II)塩溶液濃度(mol/L)W及び第2流路内を流通する塩基性化合物溶液濃度(mol/L)Yを、下記表2に記載のものに変更した以外は酸化銅微粒子25及びその分散液25と同様にして、酸化銅微粒子26〜29及びその分散液26〜29を得て、微粒子の観察および物性を測定し評価した。

0088

0089

(*2)=ヘキサメタリン酸ナトリウムwt%=(ヘキサメタリン酸ナトリウム質量/酸化銅(*3)質量)×100
(*3)=原料中の銅が全て酸化銅になったと仮定した質量割合
(*4)=ヒドラジンのモル%=(ヒドラジンのモル数/酸化銅(*5)モル数)×100
(*5)=原料中の銅が全て酸化銅になったと仮定したモル数
W:第1流路内を流通する銅(II)塩溶液濃度(mol/L)
X:第1流路内を流通する銅(II)塩溶液の流速(mL/min)
Y:第2流路内を流通する塩基性化合物溶液濃度(mol/L)
Z:第2流路内を流通する塩基性化合物溶液の流速(mL/min)
V:第2流路内を流通する塩基性化合物の価数

0090

上記で得られた分散液1〜29中の、酸化銅微粒子1〜29の含有量(質量%)を表3に示す。表中「<0.1」は0.1質量%未満を示す。

0091

0092

[酸化銅微粒子30〜33及びその分散液30〜33の製造]
加熱領域8の温度を下記表4に記載の温度に変更した以外は酸化銅微粒子3及びその分散液3と同様にして、酸化銅微粒子30〜33及びその分散液30〜33を得て、酸化銅微粒子の観察および物性を測定し評価した。結果を表4に示す。表中「<0.1」は0.1質量%未満を示す。

0093

0094

[酸化銅微粒子40及びその分散液40の製造]
<フロー式反応システム40の構築>
図1に示す構成のフロー式反応システムを構築した。第1流路(1)、第2流路(2)、反応流路(4)として、SUS316製チューブを用いた。銅塩溶液導入手段(5)及び塩基性化合物溶液導入手段(6)として、シリンジポンプ(HARVARD社製 PHD ULTRA)を用い、各シリンジポンプに、銅塩水溶液が入ったシリンジ(容積100mL)及び塩基性化合物水溶液が入ったシリンジ(容積100mL)をそれぞれ装着する構成とした。

0095

(T字型ミキサー)
銅塩溶液が入ったシリンジの先端を、外径1/8In(3.18mm)、内径2.17mmの第1流路に接続した。また、塩基性化合物溶液が入ったシリンジの先端を、外径1/8In(3.18mm)、内径2.17mmの第2流路に接続した。第2流路には圧力計を設置し、送液中の流路内の圧力を測定できるようにした。
第1流路(1)のうち下流側領域は、長さ50cm、外径1/16In(1.59mm)、内径1mmの管をコイル状に巻いた構造とし、加熱領域(8、オイルバス)内に配設した。また、第2流路(2)のうち下流側領域も同様に、長さ50cm、外径1/16In(1.59mm)、内径1mmの管をコイル状に巻いた構造とし、加熱領域(8)内に配設した。
第1流路(1)及び第2流路(2)の下流側末端に内径0.5mmのT字型ミキサー(Upchrch社製)を設置し、銅塩溶液および塩基性化合物溶液が正面衝突するように、各流路とT字型ミキサー(商品名:ティーユニオン、Upchurch社製)の開口部(A及びB)とを接続した。T字型ミキサー残りの開口部Oを、コイル状に巻いた長さ2m、外径1/8In(3.18mm)、内径2.17mmの流路に接続してこの流路を加熱領域(8)内に設置し、さらにその下流に、コイル状に巻いた長さ1m、外径1/8In(3.18mm)、内径2.17mmの流路を接続し、冷却領域(9、ウォーターバス(20℃))内に設置した。冷却領域9の下流に回収容器(7)を設置し、反応液を回収する構成とした。

0096

フロー式反応システム1を、フロー式反応システム40に変更した以外は酸化銅微粒子3及びその分散液3と同様にして、酸化銅微粒子40及びその分散液40を得て、微粒子の観察および物性を測定し評価した。結果を表5に示す。

0097

0098

[酸化銅微粒子50〜54及びその分散液50〜54の製造]
T字型ミキサーの内径(開口部の直径)を表6に記載の通り変更した以外は酸化銅微粒子40及びその分散液40と同様に、酸化銅微粒子50〜54及びその分散液50〜54を製造し、酸化銅微粒子40及びその分散液40と同様に微粒子の観察および物性を測定し評価した。結果を表6に示す。表中「<0.1」は0.1質量%未満を示す。

0099

0100

このように、本発明の製造方法により、ナノメートルサイズの分散性に優れた酸化銅微粒子を連続的に製造することができることがわかった。

0101

本発明の製造方法によれば、ナノメートルサイズの分散性に優れた酸化銅微粒子を、連続的に製造することができる。
本発明の酸化銅微粒子の分散液は、酸化銅微粒子の凝集を防ぎ、分散性に優れた酸化銅微粒子の分散液である。

0102

本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2016年7月22日出願の日本特許出願(特願2016−144837)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

0103

100、200、300フロー式反応システム
1 第1流路
2 第2流路
3合流領域
3a T字型ミキサー
3b 2層筒型ミキサー(多層筒型ミキサー)
3c 3層筒型ミキサー(多層筒型ミキサー)
4反応流路
5銅塩溶液導入手段(シリンジポンプ)
6塩基性化合物溶液導入手段(シリンジポンプ)
7回収容器
8 加熱領域
9冷却領域
P圧力計
J合流部
T1内管
T2外管
T3中管
10 第3流路
11 第三液導入手段(シリンジポンプ)

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