図面 (/)

技術 音量制御装置、音量制御方法及びプログラム

出願人 パイオニア株式会社
発明者 井関晃広井上裕介
出願日 2016年7月13日 (3年4ヶ月経過) 出願番号 2018-527317
公開日 2019年5月23日 (5ヶ月経過) 公開番号 WO2018-011923
状態 未査定
技術分野 車両外部の荷台、物品保持装置
主要キーワード 制御用フィルタ モード振幅 セダン車 位相処理 位相制御後 音量制御処理 制御周波数 音量制御装置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2019年5月23日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (15)

課題・解決手段

音量制御装置は、移動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続されている。音量制御装置は、出力部の各々から出力される音声を、左右2席の各々の聴取位置聴取した場合に制御すべき共通の周波数推定し、その共通の周波数に基づいて、その周波数におけるレベル補正する。好適には、出力部の各々から左右2席のうちの一方の聴取位置までの距離に基づき、出力部の各々から出力される音声の直接音同士が左右2席の各々の聴取位置において同位相となる周波数が共通の周波数に決定される。

概要

背景

車室などの音響空間において、再生音音圧レベルを調整する手法が提案されている。例えば特許文献1は、複数のスピーカ、複数のマイクロホン音圧分布をモード分解するモード分解フィルタ、及び、分割された各モードのモード振幅所定値となるように、複数のスピーカへの入力信号を制御する制御用フィルタを備える音場制御装置を記載している。この音場制御装置は、音響空間における音圧分布を測定し、振幅制御すべきモードの空間周波数正弦関数及び余弦関数を用いて音響空間における音圧分布を表現し、表現した音圧分布が測定した音圧分布と同等となるようにモード空間周波数補正し、補正されたモード空間周波数に基づいてモード分解フィルタのフィルタ係数を決定している。

概要

音量制御装置は、移動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続されている。音量制御装置は、出力部の各々から出力される音声を、左右2席の各々の聴取位置聴取した場合に制御すべき共通の周波数推定し、その共通の周波数に基づいて、その周波数におけるレベルを補正する。好適には、出力部の各々から左右2席のうちの一方の聴取位置までの距離に基づき、出力部の各々から出力される音声の直接音同士が左右2席の各々の聴取位置において同位相となる周波数が共通の周波数に決定される。

目的

本発明は、大規模な計算を行う必要なく、車室内の左右2席における音量を同時に制御することが可能な音量制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続される音量制御装置であって、前記出力部の各々から出力される音声を、前記左右2席の各々の聴取位置聴取した場合に制御すべき共通の周波数推定する推定部と、前記共通の周波数に基づいて、前記周波数におけるレベル補正する補正部と、を備えることを特徴とする音量制御装置。

請求項2

前記推定部は、前記出力部の各々から出力される音声の直接音同士が左右2席の各々の聴取位置において同位相となる周波数を、前記共通の周波数と推定することを特徴とする請求項1に記載の音量制御装置。

請求項3

前記推定部は、前記出力部の各々から左右2席のうちの一方の聴取位置までの距離に基づいて、前記共通する周波数を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の音量制御装置。

請求項4

前記推定部は、前記距離の差に基づく計算式によって、前記共通する周波数を推定することを特徴とする請求項3に記載の音量制御装置。

請求項5

前記左右の出力部の各々から出力される音声の位相を前記左右2席で同位相になるように制御する位相制御部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の音量制御装置。

請求項6

前記補正部は、前記共通する周波数から所定の範囲内の周波数帯域におけるレベルを補正することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の音量制御装置。

請求項7

前記補正部は、所定の周波数以上の前記共通する周波数については、レベルを補正しないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の音量制御装置。

請求項8

移動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続される音量制御装置により実行される音量制御方法であって、前記出力部の各々から出力される音声を、前記左右2席の各々の聴取位置で聴取した場合に制御すべき共通の周波数を推定する推定工程と、前記共通の周波数に基づいて、前記周波数におけるレベルを補正する補正工程と、を備えることを特徴とする音量制御方法。

請求項9

移動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続され、コンピュータを備える音量制御装置により実行されるプログラムであって、前記出力部の各々から出力される音声を、前記左右2席の各々の聴取位置で聴取した場合に制御すべき共通の周波数を推定する推定部、前記共通の周波数に基づいて、前記周波数におけるレベルを補正する補正部、として前記コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

請求項10

請求項9に記載のプログラムを記憶した記憶媒体

技術分野

0001

本発明は、車室空間において聴取者が聴く音を調整する技術に関する。

背景技術

0002

車室などの音響空間において、再生音音圧レベルを調整する手法が提案されている。例えば特許文献1は、複数のスピーカ、複数のマイクロホン音圧分布をモード分解するモード分解フィルタ、及び、分割された各モードのモード振幅所定値となるように、複数のスピーカへの入力信号を制御する制御用フィルタを備える音場制御装置を記載している。この音場制御装置は、音響空間における音圧分布を測定し、振幅制御すべきモードの空間周波数正弦関数及び余弦関数を用いて音響空間における音圧分布を表現し、表現した音圧分布が測定した音圧分布と同等となるようにモード空間周波数補正し、補正されたモード空間周波数に基づいてモード分解フィルタのフィルタ係数を決定している。

先行技術

0003

特開2009−159385号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかし、特許文献1の方法では、周波数特性解析のために大規模な計算を行う必要がある。また、車室内の左右2席では周波数特性が異なるため、どの周波数帯域の音を補正すればよいかを決めることが難しい。

0005

本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが例として挙げられる。本発明は、大規模な計算を行う必要なく、車室内の左右2席における音量を同時に制御することが可能な音量制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

請求項1に記載の発明は、移動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続される音量制御装置であって、前記出力部の各々から出力される音声を、前記左右2席の各々の聴取位置聴取した場合に制御すべき共通の周波数推定する推定部と、前記共通の周波数に基づいて、前記周波数におけるレベルを補正する補正部と、を備えることを特徴とする。

0007

請求項8に記載の発明は、移動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続される音量制御装置により実行される音量制御方法であって、前記出力部の各々から出力される音声を、前記左右2席の各々の聴取位置で聴取した場合に制御すべき共通の周波数を推定する推定工程と、前記共通の周波数に基づいて、前記周波数におけるレベルを補正する補正工程と、を備えることを特徴とする。

0008

請求項9に記載の発明は、移動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続され、コンピュータを備える音量制御装置により実行されるプログラムであって、前記出力部の各々から出力される音声を、前記左右2席の各々の聴取位置で聴取した場合に制御すべき共通の周波数を推定する推定部、前記共通の周波数に基づいて、前記周波数におけるレベルを補正する補正部、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。

図面の簡単な説明

0009

一般的なセダン車の車内レイアウトの例を示す。
音量制御装置の構成を概略的に示す。
車内レイアウトに基づいて制御帯域を決定する方法を示す。
典型的な車両における直接音の周波数特性を示す。
典型的な車両で測定した周波数特性を示す。
FL席における補正前の音圧分布を示す。
FR席における補正前の音圧分布を示す。
従来例及び実施例によるイコライザ特性を示す。
FL席における従来例による補正後の音圧分布を示す。
FR席における従来例による補正後の音圧分布を示す
FL席における実施例による補正後の音圧分布を示す。
FR席における実施例による補正後の音圧分布を示す
イコライザの構成例を示す。
音量制御処理フローチャートである。

0010

本発明の好適な実施形態では、移動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続される音量制御装置であって、前記出力部の各々から出力される音声を、前記左右2席の各々の聴取位置で聴取した場合に制御すべき共通の周波数を推定する推定部と、前記共通の周波数に基づいて、前記周波数におけるレベルを補正する補正部と、を備える。

0011

上記の音量制御装置は、移動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続されている。音量制御装置は、出力部の各々から出力される音声を、左右2席の各々の聴取位置で聴取した場合に制御すべき共通の周波数を推定し、その共通の周波数に基づいて、その周波数におけるレベルを補正する。これにより、左右2席の聴取位置における音量を同時に制御することができる。

0012

上記の音量制御装置の一態様では、前記推定部は、前記出力部の各々から出力される音声の直接音同士が左右2席の各々の聴取位置において同位相となる周波数を、前記共通の周波数と推定する。この態様では、出力部からの音声の直接音が同位相となり、音圧レベルが高くなる周波数でレベルの補正が行われる。

0013

上記の音量制御装置の他の一態様では、前記推定部は、前記出力部の各々から左右2席のうちの一方の聴取位置までの距離に基づいて、前記共通する周波数を推定する。好適には、前記推定部は、前記距離の差に基づく計算式によって、前記共通する周波数を推定する。これにより、室内の音響特性の測定や複雑な計算を行う必要なく、左右2席における音量を補正することが可能となる。

0014

上記の音量制御装置の他の一態様は、前記左右の出力部の各々から出力される音声の位相を前記左右2席で同位相になるように制御する位相制御部を更に備える。この態様では、出力部から出力される音声信号の位相が制御されている場合には、位相制御後の音声信号について共通の周波数が推定されてレベルの補正がなされる。

0015

上記の音量制御装置の他の一態様では、前記補正部は、前記共通する周波数から所定の範囲内の周波数帯域におけるレベルを補正する。これにより、共通する周波数を中心とする一定の帯域幅について音量が制御される。

0016

上記の音量制御装置の他の一態様では、前記補正部は、所定の周波数以上の前記共通する周波数については、レベルを補正しない。この態様では、所定の周波数以上の高域においては、人間の聴覚上、レベルを補正する効果が薄くなるため、レベルの補正を不要とする。

0017

本発明の他の好適な実施形態では、移動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続される音量制御装置により実行される音量制御方法は、前記出力部の各々から出力される音声を、前記左右2席の各々の聴取位置で聴取した場合に制御すべき共通の周波数を推定する推定工程と、前記共通の周波数に基づいて、前記周波数におけるレベルを補正する補正工程と、を備える。この方法によっても、左右2席の聴取位置における音量を同時に制御することができる。

0018

本発明の他の好適な実施形態では、移動体の左右2席の位置に対して左右対称に配置される出力部に接続され、コンピュータを備える音量制御装置により実行されるプログラムは、前記出力部の各々から出力される音声を、前記左右2席の各々の聴取位置で聴取した場合に制御すべき共通の周波数を推定する推定部、前記共通の周波数に基づいて、前記周波数におけるレベルを補正する補正部、として前記コンピュータを機能させる。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の音量制御装置を実現することができる。このプログラムは、記憶媒体に記憶して取り扱うことができる。

0019

以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。

0020

基本原理
まず、実施例による音量制御の基本原理について説明する。車室内で音声を再生した場合、車室内の各席では音圧レベルの高い帯域と低い帯域ができる。このため、車室内の左右2席、例えば運転席助手席において、各帯域の音圧レベルを同時に補正することが求められる。

0021

この点、従来技術の手法では、複数のスピーカ、複数のマイクなどを利用した測定データに対して大規模解析を行って周波数特性を求め、得られた周波数特性に基づいて、特定の帯域にイコライザによる補正処理を施している。具体的には、周波数特性におけるピーク減衰させるように音圧レベルを補正している。しかし、車室の音場を測定して得られた周波数特性は車室の内壁及び車室内の構造物シートステアリングなど)による多くの反射音を含んでおり、左右の2席における周波数特性は異なっている。このため、このようにして測定した周波数特性に基づく補正ではロバストな調整ができない。

0022

そこで、本発明の実施例では、車両の車内レイアウトに基づいて音圧レベルを補正すべき周波数帯域を決定する。一般的な車両においては、左右の2席はほぼ線対称に配置されており、左右のスピーカは2席に対して左右対称に設けられている。図1は、一般的なセダン車の車内レイアウトの例を示す。仮に車両1が右ハンドル車であるとすると、運転席2aには運転者5が座り、助手席2bには同乗者6が座る。運転席2aの右側には右スピーカFRが設けられ、助手席の左側には左スピーカFLが設けられる。

0023

図1(A)に示すように、運転者5の聴取位置、即ち、運転席2aには、矢印Y1で示すように右スピーカFRからの音が到達するとともに、矢印Y2で示すように左スピーカFLからの音が到達する。ここで、2つのスピーカから出た音が運転席2aで同相となる帯域がある。この同相となる帯域は、2つのスピーカから運転席2aまでの距離、より詳しくは距離差によって決まる。左右のスピーカから出た音が同相となる帯域では、2つのスピーカからの音が強め合うため、音圧レベルは高くなる。

0024

図1(B)に示すように、この現象は助手席2bでも生じる。そして、一般的な車内レイアウトは左右対称であるため、2つのスピーカから出た音が運転席2aで同相となる周波数と、2つのスピーカから出た音が助手席2bで同相となる周波数とは一致する。よって、車内レイアウトに基づいて2つのスピーカから出た音が同相となる周波数を制御周波数と決定し、その制御周波数を中心とする一定幅の帯域を制御帯域とする。そして、制御帯域における音圧レベルを制御すれば、左右2席における音量を同時に制御することが可能となる。

0025

[音量制御装置]
(構成)
図2は、上記の基本原理に基づく音量制御装置の構成を概略的に示す。本実施例では、車両の左右2席に対してフロントドアに設けられた左右のスピーカから音声を出力する際に、各スピーカに供給される音声信号を特定の制御帯域で減衰させる。

0026

具体的に、図2に示すように、音量制御装置10は、音源11と、イコライザ12と、制御部16と、入力部17とを備える。入力部17には、ユーザにより車内レイアウト情報、具体的には左右のスピーカFL、FRと左右2席との距離などが入力される。制御部16は、コンピュータなどにより構成され、入力部17に入力された車内レイアウト情報に基づいて後述するように制御帯域を決定し、イコライザ12に設定する。

0027

一方、音源11から出力される音声信号はイコライザ12に供給される。イコライザ12は、制御帯域において音声信号のレベルを減衰させ、減衰後の音声信号を左右のスピーカFL、FRにそれぞれ供給する。左右のスピーカFL、FRは、供給された音声信号を再生して音声を出力する。これにより、本実施例の音声制御装置10では、複雑な計算を行う必要なく、左右2席で聴取される音が共に大きい帯域において音量を低下させることができる。なお、制御部16は本発明における推定部の一例であり、イコライザ12は本発明における補正部の一例である。

0028

(制御帯域の決定方法
次に、イコライザ12により音声信号を減衰させる帯域である制御帯域の決定方法について説明する。図3は、車内レイアウトに基づいて制御帯域を決定する方法を説明する図である。制御周波数は、前述のように、2つのスピーカから出た直接音が運転席2a及び助手席2bで同相となる周波数である。なお、「直接音」とは、スピーカから直接に運転席2a及び助手席に到達する音であり、車室の内壁や車内の構造物による反射音を除外する意味である。

0029

いま、図3に示すように、運転席2aを聴取位置とし、左スピーカFLから運転席2aまでの距離を「DL」とし、右スピーカFRから運転席2aまでの距離を「DR」とすると、制御周波数Fpは、
Fp=C/|DL−DR| (1)
で得られる。「C」は音速(344m/s)である。

0030

典型的な車両の例として、距離DL=1.4m、距離DR=1.1mとすると、制御周波数Fpは、
Fp=344/|1.4−1.1| ≒ 1150[Hz] (2)
となる。従って、約1150[Hz]を中心とする一定幅の帯域を制御帯域とし、この制御帯域にイコライザ処理を適用すれば、左右2席での音場を同時に制御することが可能となる。なお、車内レイアウトは左右対称であるため、助手席2bについて制御周波数Fpを算出しても同じ値となる。好適には、制御帯域は、制御周波数Fpを中心として±1/6オクターブの範囲に設定される。即ち、イコライザ12は、制御周波数Fpを中心周波数として、即ち1/3オクターブの帯域幅で音声信号を減衰するように設定される。

0031

次に、上記のように車内レイアウト、具体的には2つのスピーカと聴取位置との距離に基づいて制御帯域を決定する方法がなぜ有効であるかについて説明する。図4は、上記の数値例(DL=1.4m、DR=1.1m)の車両において、運転席の右耳位置で測定した直接音の周波数特性を示す。即ち、この周波数特性は、車室内における反射音を含まない。図示のように、運転席における周波数特性では、600Hz付近ディップがあり、1000Hz付近に一定の幅でピークがある。ディップの部分は2つのスピーカからの音が逆相となって打ち消し合って生じたものであり、ピークの部分は2つのスピーカからの音が同相で強め合って生じたものである。上記の式(2)で算出した制御周波数は、1150Hzであり、図4におけるピークの中心とほぼ一致している。このように、2つのスピーカと聴取位置との距離に基づいて制御帯域を決定することにより、反射音の影響を受けることなく、直接音のピーク、即ち、2つのスピーカからの音が同相で強め合う帯域の中心を制御周波数に決定することが可能となる。

0032

(効果)
次に、本実施例による効果を従来例と比較しつつ説明する。図5は、補正前の車内音場で測定された周波数特性を示す。図中の実線グラフは運転席(以下、「FR席」と呼ぶ。)の周波数特性を示し、破線のグラフは助手席(以下、「FL席」と呼ぶ。)の周波数特性を示す。これらの周波数特性は、図1、2などに示す典型的なセダン車の車室内において測定したものであり、左右のスピーカFL、FRから左右2席に至る直接音のみならず、車室の内壁や構造物による反射音の成分も含んでいる。

0033

図6、7は、補正前の車内音場における周波数帯域別の音圧分布を示す。図6はFL席の音圧分布を示し、図7はFR席の音圧分布を示す。図6、7は音圧レベルを濃淡で示しており、色が濃く暗い領域は音圧レベルが低く、色が薄く明るい領域は音圧レベルが高い。

0034

各周波数帯域の音圧分布は、各周波数を中心とする1/3オクターブ毎の音圧レベルの平均を示している。また、各音圧分布に含まれる矩形領域60は、聴取位置に座っている聴取者の顔の領域を示している。即ち、FL席の音圧分布における矩形領域60は助手席に座っている同乗者の顔の領域を示し、FR席の音圧分布における矩形領域60は運転席に座っている運転者の顔の領域を示している。

0035

補正前のFL席の音圧分布では、図6楕円72で示す1250〜1600Hzの帯域で音圧レベルの高い領域ができている。また、補正前のFR席の音圧分布では、図7の楕円73で示す800〜1600Hzの帯域で音圧レベルの高い領域ができている。

0036

次に、従来例の手法について説明する。従来例の手法では、先に述べたように、複数のスピーカやマイクを用いて車内音場の周波数特性を測定し、周波数特性におけるピークの帯域にイコライザを入れて補正を行う。今回対象としている車内音場の周波数特性は図5に示されるものであり、楕円71で示す帯域でFL席とFR席の特性がともにピークに近い値となっている。よって、従来例の手法では、楕円71で示す帯域、即ち1600Hz付近の帯域をイコライザで減衰させる。具体的には、従来では、図8(A)に示すような特性のイコライザを適用する。

0037

図9、10は、従来例による補正後の車内音場における周波数帯域別の音圧分布を示す。図9はFL席の音圧分布を示し、図10はFR席の音圧分布を示す。図6、7を参照して説明したように、補正前の音圧分布では、FL席については1250〜1600Hzの帯域で音圧レベルが高くなっており、FR席については800〜1600Hzの帯域で音圧レベルが高くなっていた。

0038

従来例による補正では、図8(A)に示す特性のイコライザにより1600Hz付近の音圧レベルを低下させる。これにより、図9に示すFL席の音圧分布においては楕円74で示す1250〜1600Hzの帯域で音圧レベルを低下させることができている。また、図10に示すFR席の音圧分布においても、同様に楕円75に示す1250〜1600Hzの帯域で音圧レベルを低下させることができている。しかしながら、FR席については800〜1000Hzの帯域で、楕円76、77で示すように頭部の横付近に未だ音圧レベルの高い領域が残っている。即ち、従来例の手法では、一部の領域で音圧レベルを制御しきれていないことがわかる。これは、従来例の手法は、車内音場の周波数特性に基づいて制御帯域を決定しているため、周波数特性に含まれる反射音のピークなどの影響を受けて、制御帯域が本来制御すべき帯域からずれてしまっていることが原因と考えられる。

0039

次に、実施例の手法について説明する。実施例の手法では、前述のように車内レイアウト、即ち車室内における左右のスピーカFL、FRと、左右2席の聴取位置との距離に基づいて制御帯域を決定する。具体的には、式(2)に基づいて制御帯域を約1150Hzを中心とする帯域と決定し、図8(B)に示すように1150Hz付近で音声信号を減衰させるイコライザを使用する。なお、図8(B)に示す特性は、図8(A)に示す特性と比較して、信号を減衰させる周波数帯域は異なるが、減衰幅及び減衰量は同一としている。

0040

図11、12は、実施例による補正後の車内音場における周波数帯域別の音圧分布を示す。図11はFL席の音圧分布を示し、図12はFR席の音圧分布を示す。実施例の手法では、図11に示すFL席の音圧分布において、楕円78に示す1250〜1600Hzの帯域で音圧レベルを低下させることができている。また、図12に示すFR席の音圧分布においても、楕円79に示す800〜1600Hzの帯域で音圧レベルを低下させることができている。即ち、FR席の音圧部分においても、800〜1600Hzの広い帯域で音圧レベルを低下させることができている。このように、実施例の手法では、車内レイアウトに基づいて2つのスピーカから出た音が同相となる帯域を制御帯域と決定し、その帯域における音圧レベルを制御するので、複雑な計算を必要とすることなく、広い帯域において左右2席における音量を同時に制御することが可能となる。

0041

なお、上記の例では、FL席及びFR席の聴取位置の中心点評価点として音圧分布を評価しているが、その代わりに、FL席及びFR席に座った聴取者の左右のの位置における音圧レベルの和(両耳和)を用いて音圧分布を評価してもよい。

0042

(イコライザの構成例)
図13は、イコライザ12の構成例を示す。この例では、イコライザ12は、複数の周波数帯域毎に設けられたバンドパスフィルタ13及び増幅器14と、加算器15とを備える。音源11から入力された音声信号は、バンドバスフィルタ13により複数の帯域の信号に分割され、各帯域毎に対応する増幅器14に供給される。各増幅器14は、入力された信号を帯域毎に設定された増幅度増幅して加算器15に出力する。例えば、イコライザ12の特性が図8(B)のように設定される場合、1000Hzを中心とする制御帯域に対応する増幅器14は、入力信号を減衰するように設定される。加算器15は、各増幅器14から入力された信号を加算して左右のスピーカFL、FRに供給する。こうして、イコライザ12により制御帯域の音量が制御される。

0043

(音量制御処理)
図14は、音量制御装置10による音量制御処理のフローチャートである。この処理は、図2に示す制御部16が、予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。まず、制御部16は、ユーザが入力部17に入力した車内レイアウト情報を受け取る(ステップS10)。車内レイアウト情報は、例えば左スピーカFLから運転席2aまでの距離「DL」と右スピーカFRから運転席2aまでの距離「DR」である。次に、制御部16は、車内レイアウト情報に基づいて、上述の式(1)により、左右のスピーカからの音が左右2席で同相となる周波数、即ち、制御周波数Fpを算出する(ステップS11)。そして、制御部16は、算出された制御周波数Fpに基づいて一定幅の制御帯域を決定し、イコライザ12に入力する(ステップS12)。これにより、イコライザ12は、制御周波数Fpを中心とする制御帯域において音声信号を減衰させるように設定される。好適な例では、イコライザ12は、制御周波数Fpを中心周波数として、±1/6オクターブの範囲、即ち、1/3オクターブの帯域を制御帯域とし、この帯域で音声信号を減衰するように設定される。

0044

(応用例)
次に、上記の実施例の応用例について説明する。上記の実施例では、図4に示すように1000Hz付近で音圧レベルのピークが生じるため、図8(B)に例示する特性のイコライザ12によりその帯域の信号を減衰させている。ここで、図4に示すように、600Hz付近の帯域では逆に音圧レベルのディップが生じている。従って、イコライザ12により、1000Hz付近を減衰させるのに加えて、600Hz付近のディップを補うために600Hz付近の信号を多少増幅することとしても良い。

0045

上記の実施例では、2つのスピーカからの音が左右2席で同相となる帯域を制御帯域として決定しているが、実際には2つのスピーカからの音が左右2席で同相となる帯域は複数存在する。例えば、1000Hzの帯域で2つのスピーカからの音が同相になる場合には、2000Hzでも同相になる。しかしながら、帯域が高域になると2つのスピーカからの音が作る干渉縞の幅が一般的な聴取者の頭の幅(通常、16cm程度)よりも小さくなるため、聴取者の聴感上は音圧レベルを制御する効果が1000Hzの帯域と比べて小さくなる。よって、所定周波数(例えば、2000Hz)以上の帯域では、2つのスピーカからの音が同相になったとしても、イコライザによる音圧レベルの制御は不要となる。

実施例

0046

[変形例]
上記の実施例では、音源11から出力された音声信号をそのままイコライザ12に供給しているが、音源からの出力信号の少なくとも一方を位相処理して出力するシステムも知られている。そのようなシステムにおいては、位相処理後に2つのスピーカから出力された音声信号が左右2席の聴取位置で同相となる周波数帯域を制御帯域として設定すればよい。

0047

本発明は、車両に搭載される音響再生装置に利用することができる。

0048

1 車両
2a、2b座席
10音量制御装置
11音源
12イコライザ
16 制御部
17 入力部
FL、FR スピーカ

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社JVCケンウッドの「 電子機器、反射制御方法、および反射制御プログラム」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】画質を落とすことなく表示部からの光の反射を抑制すること。【解決手段】電子機器100Aは、筐体と、筐体に設けられ、画像を表示する表示部110と、表示部110を、筐体に対してチルト動作させる駆動部... 詳細

  • 株式会社JVCケンウッドの「 電子機器」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】溝に沿った方向の振動に起因する異音を抑制すること。【解決手段】電子機器10は、筐体12と、筐体12の前面に設けられ、側面部14Bに溝部60を有するサブパネル14と、溝部60に沿って閉状態から開... 詳細

  • 株式会社リコーの「 計測装置および移動計測装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】計測機器を外環境因子から保護する計測装置および移動計測装置を提供する。【解決手段】計測機器130を有する計測装置100であって、開口部211,212を有し、計測機器130を保護する保護部材本体... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ